液分散装置
【課題】電場によって液液界面において生成する液滴を面内で安定化させる。
【解決手段】容器30は、第1の液体を含む第1の液体層32と、第1の液体と液液界面を形成する第2の液体を含む第2の液体層34とを収容する。第1の液体層32には、電極40が設けられ、第2の液体層34には電極42が設けられている。電極40、42は、対向電極であり、それぞれ、直流高電圧電源50の正極、負極に接続されている。界面調整部60は、格子状の構造を有し、第1の液体に濡れやすく、第2の液体に濡れにくい材料で構成される。界面調整部60は、液液界面の近傍に液液界面の面方向に設けられており、複数の貫通孔が配列されている。
【解決手段】容器30は、第1の液体を含む第1の液体層32と、第1の液体と液液界面を形成する第2の液体を含む第2の液体層34とを収容する。第1の液体層32には、電極40が設けられ、第2の液体層34には電極42が設けられている。電極40、42は、対向電極であり、それぞれ、直流高電圧電源50の正極、負極に接続されている。界面調整部60は、格子状の構造を有し、第1の液体に濡れやすく、第2の液体に濡れにくい材料で構成される。界面調整部60は、液液界面の近傍に液液界面の面方向に設けられており、複数の貫通孔が配列されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の液層を他方の液層に分散させる液分散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の液体を他方の液体中に分散させる操作は化学工業などにおいて広く用いられ、撹拌や両液体間の熱・物質移動、化学反応を目的として利用されている。
【0003】
従来、この分散操作は、ポンプなどにより加圧された一方の液体をノズルや分散板などを介して、他方の液体中に噴出させて分散させる方法が採られている。しかし、このような加圧による方法では、装置が複雑かつ大型化するうえに、両液体の流量や圧力制御などが必ずしも容易とはいえないという課題があった。
【0004】
ポンプを利用せず、静電場を利用した2液の分散方法として非特許文献1が挙げられる。図12は、非特許文献1に記載された静電液液抽出装置の概略図である。当該静電液液抽出装置では、気相9に設けられた銅棒(上部電極)2と、分散水相8の下方に設けられたステンレス板(下部電極)3との間に直流高電圧電源4を用いて直流高電圧が印加される。これにより、「ある印加電圧以上になると、油水界面が波立ち、さらに印加電圧の増加とともに波は大きくなり、ついには波の先端が水滴となって重力に逆らって連続油相中に射出・分散される。分散水滴は誘起電荷を有しており、連続油相間に形成された電位勾配のもとで連続油相中を上昇し、油気相界面に衝突して電荷交換した後、下方に下降する。下降した水滴は下部の分散水相と合一する。このように供給された分散水相は液滴生成→上昇運動→下降運動→合一を繰り返す。この挙動は印加電圧の昇圧とともに激しさを増し、分散水滴は連続油相の撹拌・混合の良好な撹拌子として作用する。(非特許文献1より引用)」ことが知られている。
【非特許文献1】分離技術第27巻4号(1997年)48頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の静電液液抽出装置では、電場により発生する電気対流の影響を受けて波(液柱)が油液界面を不規則に動き回るため、油水界面における液滴生成が面内で不均一になる。この結果、油水相の撹拌・混合が場所によってばらついてしまう。また、油水界面で生成する波立ちが不安定となり、撹拌・混合の安定性が得られないことといった液滴生成に関する問題点があった。これは、たとえば、静電液液抽出装置を用いて油相と水相との間で熱交換させる場合に、熱交換性能が不安定になる要因となる。
【0006】
また、非特許文献1に記載の静電液液抽出装置では、油水相の他に気相も必要となるため、高さ方向に大きくせざるを得ず、小型化が困難であるという構造上の問題があった。
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、液液界面における液滴生成が安定化された液分散装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、液分散装置である。当該液分散装置は、第1の液体を含む第1の液体層と、第1の液体層と液液界面を形成する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、第1の液体層および第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、液液界面の近傍に、液液界面の面方向に複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、を備え、電圧印加手段により電圧が印加されたときに、液液界面において、一方の液体層の液体が滴化され、生成した液滴が他方の液体層に分散されることを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、液液界面に電圧を印加することにより、界面調整手段の各貫通孔において、滴化が生じるため、液液界面における液滴生成を安定化させることができる。界面調整手段に複数の貫通孔が配列された形態としては、格子状あるいは網目状の形態が挙げられる。
【0010】
上記態様において、第1の液体層に第1の液体を供給する手段と、第2の液体層に第1の液体と温度差がある第2の液体を供給する手段と、前記液液界面から生成した液滴を介して第2の液体と熱交換した第1の液体を、第1の液体層から排出する手段と、前記液液界面から生成した液滴を介して第1の液体と熱交換した第2の液体を、第2の液体層から排出する手段と、を備えてもよい。
【0011】
また、上記態様において、液滴が分散された液体層の下流側に、第1の液体と第2の液体とを分離するための分離槽が設けられていてもよい。これによれば、一方の液体が他方の液体に混合して持ち去られるのを抑制することができる。
【0012】
また、上記態様において、一対の電極のうち、液滴が引きつけられる電極に複数の貫通孔が配列されていてもよい。また、上記態様において、一対の電極のうち、液滴が引きつけられる電極が針状であってもよい。
【0013】
本発明の他の態様は、液分散装置である。当該液分散装置は、第1の液体を含む第1の液体層と、第1の液体層と液液界面を形成し、かつ第1の液体層と温度差を有する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、第1の液体層および第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、液液界面の近傍に、液液界面の面方向に設けられ、複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、を含む、複数の液分散モジュールと、複数の液分散モジュールに含まれる一対の電極間にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段と、複数の液分散モジュールの各第1の液体層に第1の液体を順に流通させる第1の液体流通手段と、各分散モジュールにおいて第1の液体の流れと並行流または対向流になるように、複数の液分散モジュールの各第2の液体層に第2の液体を順に流通させる第2の液体流通手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この態様によれば、第1の液体層と第2の液体層との接触面積を増大させることができるので、単位時間当たりの交換熱量を増加させることができる。
【0015】
本発明の他の態様は、液分散装置である。当該液分散装置は、第1の液体を含む第1の液体層と、第1の液体層と液液界面を形成し、かつ第1の液体層と温度差を有する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、第1の液体層および第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、液液界面の近傍に、液液界面の面方向に設けられ、、複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、を含む、複数の液分散モジュールと、複数の液分散モジュールに含まれる一対の電極間にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段と、複数の液分散モジュールの各第1の液体層に第1の液体を分配して流通させる第1の液体流通手段と、各分散モジュールにおいて第1の液体の流れと並行流または対向流になるように、複数の液分散モジュールの各第2の液体層に第2の液体を分配して流通させる第2の液体流通手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この態様によれば、第1の液体層と第2の液体層との接触面積を増大させることができるので、単位時間当たりの交換熱量を増加させることができる。さらに、供給される第1の液体および第2の液体の流量が多い場合であっても、複数の容器に分配して熱交換をすることができるため、一度に熱交換可能な総流量を増大させることができる。
【0017】
複数の液分散モジュールが上下方向に積層されていてもよい。この態様によれば、液分散装置の設置面積を小さくすることができる。
【0018】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電場によって液液界面において生成する液滴を面内で安定化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置20は、容器30、一対の電極40、42、直流高電圧電源50、および界面調整部60を備える。
【0022】
容器30は、アクリルなどの絶縁性を有する体で形成される。容器には、第1の液体からなる第1の液体層32および第2の液体からなる第2の液体層34が収容されている。第1の液体と第2の液体とは相溶性が低く、かつ比重が異なる。このため、高電圧を印加した場合、第1の液体層32と第2の液体層34との間に水平方向に液液界面36が形成される。
【0023】
第1の液体としては、たとえば、シリコーンオイル、トランスオイルなどの油を用いることができる。一方、第2の液体としては、たとえば水などを用いることができる。
【0024】
容器30内には、一対の電極40、42(対向電極)が設けられている。電極40は、第1の液体層32の中に設置されている。一方、電極42は、第2の液体層34の中に設けられ、接地されている。本実施の形態の電極40、42は、ともに平板状である。
【0025】
直流高電圧電源50は、正極が電極40に接続され、負極が電極42に接続されている。直流高電圧電源50により、電極40と電極42との間に直流高電圧が印加され、電極40と電極42との間に液−液界面と直角方向に所定強度の電場が形成される。電圧としては、たとえば、第1の液体としてシリコーンオイル、第2の液体として水を用い、電圧を印加しない静止状態における界面と電極40との間の距離が50mm、網のピッチが20mmの場合には15〜20kVとすることができ、好ましくは、16〜18.5kVとすることができる。印加電圧が15kVより低いと、後述する液滴が生成しにくくなる。一方、印加電圧が20kVより高いと、液滴の挙動が激しくなり、液滴の生成が不安定となる。この結果、水による短絡が発生する。
【0026】
界面調整部60は、第1の液体および第2の液体のうち、一方の液体に濡れやすく、他方の液体に濡れにくい材質で形成される。たとえば、第1の液体をシリコーンオイルとし、第2の液体を水とした場合には、界面調整部60として、水に濡れにくく、シリコーンオイルに濡れやすいステンレスを用いることができる。界面調整部60は、面内に複数の貫通孔が配列されており、たとえば、図2に示すように、格子状のメッシュ構造または網目構造を有する。界面調整部60の格子の一辺の長さは、5mm〜20mmが好適である。格子状の構造の製造方法は、特に限定されず、細線を撚る手法や、シートを打ち抜く手法であってもよい。なお、界面調整部60に設けられた貫通孔の開口形状は、四角形に限定されず、三角形やその他の多角形でもよく、円形、楕円形などでもよい。
【0027】
界面調整部60は、電極40と電極42との間に直流高電圧が印加されず、界面調整部60がない状態で形成される液液界面から濡れにくい方の第2の液体層34の方へずれた位置に設置されることが望ましい。
【0028】
(液滴生成)
ここで、本実施の形態の液分散装置20による液滴生成について説明する。
【0029】
図3(A)は、電極40と電極42との間に直流高電圧が印加されていない状態で、第1の液体層32と第2の液体層34との間に形成される液液界面の様子を示す図である。電圧が印加されていない状態では、界面調整部60の網目中央付近の液液界面36aは盛り上がり、界面調整部60を構成する線材付近の液液界面36bは下降する。
【0030】
一方、電極40と電極42との間に直流高電圧が印加されると、界面調整部60の網目中央付近は電場強さが大きくなり、その結果、網目中央付近の液液界面36aはさらに持ち上げられて鋭い先端をもつコニーデ型火山のような形状を成す(図3(B)参照)。液液界面36aがある高さを超えると、その先端から滴化現象が生じる。この形状の波(液柱)は、界面調整部60の各網目で形成され、それらの先端で滴化が起こる。液液界面36aで生じた液滴48は、負に帯電しているため、電場の働きにより電極40に引き寄せられ、第1の液体層32中を上方に移動する。電極40に接触した液滴は電荷を交換し、第2の液体層34に戻る。これにより、第1の液体中に第2の液体が分散される。
【0031】
図4は、実際に生成した液滴を撮影した高速度写真である。図4より、界面調整部60の各網目において、液液界面36aが突起状となっている様子が分かる。また、液液界面36aの各先端部分から液滴が断続的に生成し、電極40に向かって移動することが確認された。
【0032】
図4からもわかるように、液液界面36aは、界面調整部60の網目の数だけ生じる。このため、界面調整部60の網目を規則正しく配列することにより、液液界面内において、滴化を均一かつ安定的に生成させることができる。言い換えると、界面調整部60の網目の数だけノズルを設置した場合と同様の効果を得ることができる。
【0033】
第1の液体および第2の液体が静止している場合において、仮に、界面調整部60がないとすると、波(液柱)は電場により発生する電気対流の影響を受けて液液界面を不規則に動き回るが、界面調整部60が存在することにより、波の位置が各網目の場所に固定される。これにより、液液界面における液滴生成のばらつきを抑制することができる。
【0034】
また、第1の液体および第2の液体の一方または両方の液体が流動している場合において、仮に、界面調整部60がないとすると、液柱は液体の流れによって移動し、分散などの目的を十分に実現できない。しかし、界面調整部60が存在する場合には、波は網目の区画に固定されて移動せず、設計上の位置において滴の分散をより確実に実現することができる。
【0035】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置21に関して、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0036】
本実施の形態の液分散装置21では、第1の液体層32に第1の液体を供給する手段として、ポンプ100および配管110が設けられている。また、液分散装置21には、第1の液体層32から第1の液体を排出する手段として、ポンプ120および配管130が設けられている。ポンプ100は、所定流量の第1の液体を配管110を経由して容器30内の第1の液体層32に供給する。配管110が接続された側を上流側として容器30内を流動した第1の液体は、ポンプ120により配管130を経由して容器30内から排出される。
【0037】
一方、第2の液体層34に第2の液体を供給する手段として、ポンプ140および配管150が設けられている。また、液分散装置21には、第2の液体層34から第2の液体を排出する手段として、ポンプ160および配管170が設けられている。ポンプ140は、所定流量の第2の液体を配管150を経由して容器30内の第2の液体層34に供給する。配管150が接続された側を上流側として容器30内を流動した第2の液体は、ポンプ160により配管170を経由して容器30内から排出される。
【0038】
これによれば、容器30内の第1の液体および第2の液体を入れ替えることなく、連続的に分散または撹拌を行うことができる。
【0039】
また、容器30に供給される第1の液体と第2の液体との間に温度差を設けることにより、容器30内で生成する液滴を介して第1の液体と第2の液体との間で熱交換をさせることができる。すなわち、液分散装置21を熱交換器として使用することが可能である。
【0040】
なお、本実施の形態では、第1の液体の供給用ポンプと、排出用ポンプの両方を用いて第1の液体の供給と排出を行っているが、いずれか一方のポンプにより、第1の液体の供給と排出を実現してもよい。同様に、第2の液体の供給用ポンプと、排出用ポンプの両方を用いて第2の液体の供給と排出を行っているが、いずれか一方のポンプにより、第2の液体の供給と排出を実現してもよい。また、一方の液体の供給用ポンプの機能と排出用ポンプの機能とを入れ替えることにより、第1の液体、第2の液体の流れ方向を対向流としてもよい。
【0041】
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置22は、容器30a、容器30b、および容器30cを備える。各容器30a−c内に収められた電極、液液界面調整部の構成は、実施の形態2の容器30と同様である。各容器30a−cは、それぞれ第1の液体層32a−c、および第2の液体層34a−cを含む。第1の液体層32aに供給される第1の液体と、第2の液体層34aに供給される第2の液体とは温度が異なるものとする。すなわち、本実施の形態の液分散装置22は熱交換器として機能する。
【0042】
第1の液体層32a−cは、配管200により直列的に順に接続されている。同様に、第2の液体層34a−cは、配管210により直列的に順に接続されている。各容器30a−c内では、第1の液体と第2の液体が並行流となっている。
【0043】
各容器30a−cに設けられた電極40、電極42は、直流高電圧電源50と並列に接続されている。これにより、各容器30a−cにおいて、電極40と電極42との間に所定の直流電圧が印加可能になっている。
【0044】
一般に、温度が異なる2液が直接接触して熱交換する場合、単位時間当たりの交換熱量は、熱通過率を一定と仮定すると、接触面積で決まる。本実施の形態の液分散装置22では、第1の液体と第2の液体との接触面積は、容器30a−cの水平方向の長さに比例すると考えることができる。このため、図6のように、容器30a−cを上下方向に積み上げることで、設置面積を低減しつつ、十分な交換熱量を確保することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、容器30a−cが上下方向に配置されているが、設置面積に制約がなければ、容器30a−cを水平方向に配置してもよい。また、一方の液体の供給用ポンプの機能と排出用ポンプの機能とを入れ替えることにより、第1の液体、第2の液体の流れ方向を対向流としてもよい。
【0046】
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4に係る液分散装置の構成を示す概略図である。実施の形態4では、各容器30a−c内の液体が直列的に連通しているが、本実施の形態の液分散装置23は、各容器30a−c内の液体が並列的に流通している。すなわち、ポンプ100から供給された第1の液体は、分配管310により各容器30a−cの第1の液体層32a−cに分配される。各容器30a−cから排出された第1の液体は集合管320により合流した後、ポンプ120により送出される。一方、ポンプ140から供給された第2の液体は、分配管330により各容器30a−cの第2の液体層34a−cに分配される。各容器30a−cから排出された第2の液体は集合管340により合流した後、ポンプ160により送出される。
【0047】
本実施の形態によれば、図7のように、容器30a−cを上下方向に積み上げることで、設置面積を低減しつつ、十分な交換熱量を確保することができる。また、一方の液体の供給用ポンプの機能と排出用ポンプの機能とを入れ替えることにより、第1の液体、第2の液体の流れ方向を対向流としてもよい。
【0048】
(実施の形態5)
図8は、実施の形態5に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置24では、第1の液体層32および第2の液体層34の下流側に分離槽500が設けられている。分離槽500において、熱交換後の第1の液体層510と第2の液体層520との間に液液界面530が形成され、両者が分離されている。第2の液体層520の下流側に配管130が接続されており、ポンプ120により第2の液体層520から熱交換後の第2の液体が回収される。一方、第1の液体層510の下流側に配管170が接続されており、ポンプ160により第1の液体層510から熱交換後の第1の液体が回収される。
【0049】
本実施の形態によれば、熱交換後の第1の液体および第2の液体が分離槽500によって分離された後、容器30から排出されるため、一方の液体が他方の液体に混合して持ち去られるのを抑制することができる。
【0050】
実施の形態3および4に示したような多段型の液分散装置においては、各対向電極の下流側に本実施の形態と同様な分離槽を設けてもよい。これによれば、各対向電極の下流側において第1の液体と第2の液体との分離が施されるため、容器30から排出された第1の液体に不純物として第2の液体が混ざることを抑制することができる。
(実施の形態6)
図9は、実施の形態6に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置25では、容器30の中に、折り返しながら下方から上方へ連通する第1の液体層32が設けられている。また、容器30の中に、第1の液体層32と隔離された第2の液体層34a−cが上下方向に多段的に設けられている。第2の液体層34a−cには、ポンプ140から送出された第2の液体が、分配菅400によって分配される。また、第2の液体層34a−cから排出される第2の液体は、集合管410により集合され、ポンプ160により送出される。
【0051】
各第2の液体層34a−cは、第1の液体層32と液液界面を形成し、各液液界面の両側にそれぞれ一対の電極40、42が設けられている。一対の電極40、42の下流側にそれぞれ、実施の形態5に示したような分離槽500a−cがそれぞれ設けられている。各分離槽500a−cにおいて、熱交換後の第1の液体層510a−cと第2の液体層520a−cとの間に液液界面530a−cがそれぞれ形成され、両者が分離されている。第2の液体層520a−cの下流側に、それぞれ配管420a−cが接続されており、ポンプ430a−cにより第2の液体層520a−cから熱交換後の第2の液体がそれぞれ回収される。
【0052】
本実施の形態によれば、容器30を一体型とすることにより、構造をコンパクト化することが可能になるとともに、液体層34a−cを上下方向に多段式とすることで、設置面積を低減しつつ、十分な交換熱量を確保することができる。また、本実施の形態によれば、供給される第1の液体および第2の液体の流量が多い場合であっても、複数の容器に分配して熱交換をすることができるため、一度に熱交換可能な総流量を増大させることができる。また、一方の液体が他方の液体に混合して持ち去られるのを抑制することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、液体層34a−cが上下方向に配置されているが、設置面積に制約がなければ、液体層34a−cを水平方向に配置してもよい。また、一方の液体の供給用ポンプの機能と排出用ポンプの機能とを入れ替えることにより、第1の液体、第2の液体の流れ方向を対向流としてもよい。
【0054】
(電極の形態)
(実施の形態7)
図10は、実施の形態7に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置26では、実施の形態2が有するような平板状の電極に代えて、複数の貫通孔が配列された電極40を有する。複数の貫通孔が配列された電極40の例としては、格子状あるいは網目状などが挙げられる。
【0055】
これによれば、電極40を液液界面に近接させることにより、低い印加電圧で電場を強くすることができる。その際、液滴は貫通孔(たとえば、格子)を通り抜け第1の液体層32中に分散され、後続の液滴との衝突を避けられる。第1の液体層32中の液滴同士は同極性のため、互いに反発し、合体することなく、電極40に引き寄せられるため、第1の液体層32中で運動したのち、第2の液体層34に戻る。
【0056】
(実施の形態8)
図11は、実施の形態8に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置27では、実施の形態2が有するような平板状の電極に代えて、液液界面の面方向に直角な針状の電極40を有する。
【0057】
これによれば、電極40の各針近傍における電場勾配が急峻となるため、第1の液体層32に飛び出した液滴が電極40に引きつけられやすくなる。この結果、第1の液体層32中の液滴が速やかに電荷を交換し、第2の液体層34に戻るので、第1の液体層32に液滴が滞留することが抑制される。
【0058】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施の形態1に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図2】界面調整部のメッシュ(網目)構造を示す図である。
【図3】図3(A)は、電圧を印加していない状態での液液界面の様子を示す図である。図3(B)は、電圧を印加した状態での液液界面の様子を示す図である。
【図4】実際に生成した液滴を撮影した高速度写真である。
【図5】実施の形態2に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図6】実施の形態3に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図7】実施の形態4に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図8】実施の形態5に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図9】実施の形態6に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図10】実施の形態7に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図11】実施の形態8に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図12】従来の静電液液抽出装置の概略図である。
【符号の説明】
【0060】
20、21、22、23、24、25、26、27 液分散装置、30 容器、40、42 電極、50 直流高電圧電源、60 界面調整部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の液層を他方の液層に分散させる液分散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の液体を他方の液体中に分散させる操作は化学工業などにおいて広く用いられ、撹拌や両液体間の熱・物質移動、化学反応を目的として利用されている。
【0003】
従来、この分散操作は、ポンプなどにより加圧された一方の液体をノズルや分散板などを介して、他方の液体中に噴出させて分散させる方法が採られている。しかし、このような加圧による方法では、装置が複雑かつ大型化するうえに、両液体の流量や圧力制御などが必ずしも容易とはいえないという課題があった。
【0004】
ポンプを利用せず、静電場を利用した2液の分散方法として非特許文献1が挙げられる。図12は、非特許文献1に記載された静電液液抽出装置の概略図である。当該静電液液抽出装置では、気相9に設けられた銅棒(上部電極)2と、分散水相8の下方に設けられたステンレス板(下部電極)3との間に直流高電圧電源4を用いて直流高電圧が印加される。これにより、「ある印加電圧以上になると、油水界面が波立ち、さらに印加電圧の増加とともに波は大きくなり、ついには波の先端が水滴となって重力に逆らって連続油相中に射出・分散される。分散水滴は誘起電荷を有しており、連続油相間に形成された電位勾配のもとで連続油相中を上昇し、油気相界面に衝突して電荷交換した後、下方に下降する。下降した水滴は下部の分散水相と合一する。このように供給された分散水相は液滴生成→上昇運動→下降運動→合一を繰り返す。この挙動は印加電圧の昇圧とともに激しさを増し、分散水滴は連続油相の撹拌・混合の良好な撹拌子として作用する。(非特許文献1より引用)」ことが知られている。
【非特許文献1】分離技術第27巻4号(1997年)48頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の静電液液抽出装置では、電場により発生する電気対流の影響を受けて波(液柱)が油液界面を不規則に動き回るため、油水界面における液滴生成が面内で不均一になる。この結果、油水相の撹拌・混合が場所によってばらついてしまう。また、油水界面で生成する波立ちが不安定となり、撹拌・混合の安定性が得られないことといった液滴生成に関する問題点があった。これは、たとえば、静電液液抽出装置を用いて油相と水相との間で熱交換させる場合に、熱交換性能が不安定になる要因となる。
【0006】
また、非特許文献1に記載の静電液液抽出装置では、油水相の他に気相も必要となるため、高さ方向に大きくせざるを得ず、小型化が困難であるという構造上の問題があった。
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、液液界面における液滴生成が安定化された液分散装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、液分散装置である。当該液分散装置は、第1の液体を含む第1の液体層と、第1の液体層と液液界面を形成する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、第1の液体層および第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、液液界面の近傍に、液液界面の面方向に複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、を備え、電圧印加手段により電圧が印加されたときに、液液界面において、一方の液体層の液体が滴化され、生成した液滴が他方の液体層に分散されることを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、液液界面に電圧を印加することにより、界面調整手段の各貫通孔において、滴化が生じるため、液液界面における液滴生成を安定化させることができる。界面調整手段に複数の貫通孔が配列された形態としては、格子状あるいは網目状の形態が挙げられる。
【0010】
上記態様において、第1の液体層に第1の液体を供給する手段と、第2の液体層に第1の液体と温度差がある第2の液体を供給する手段と、前記液液界面から生成した液滴を介して第2の液体と熱交換した第1の液体を、第1の液体層から排出する手段と、前記液液界面から生成した液滴を介して第1の液体と熱交換した第2の液体を、第2の液体層から排出する手段と、を備えてもよい。
【0011】
また、上記態様において、液滴が分散された液体層の下流側に、第1の液体と第2の液体とを分離するための分離槽が設けられていてもよい。これによれば、一方の液体が他方の液体に混合して持ち去られるのを抑制することができる。
【0012】
また、上記態様において、一対の電極のうち、液滴が引きつけられる電極に複数の貫通孔が配列されていてもよい。また、上記態様において、一対の電極のうち、液滴が引きつけられる電極が針状であってもよい。
【0013】
本発明の他の態様は、液分散装置である。当該液分散装置は、第1の液体を含む第1の液体層と、第1の液体層と液液界面を形成し、かつ第1の液体層と温度差を有する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、第1の液体層および第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、液液界面の近傍に、液液界面の面方向に設けられ、複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、を含む、複数の液分散モジュールと、複数の液分散モジュールに含まれる一対の電極間にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段と、複数の液分散モジュールの各第1の液体層に第1の液体を順に流通させる第1の液体流通手段と、各分散モジュールにおいて第1の液体の流れと並行流または対向流になるように、複数の液分散モジュールの各第2の液体層に第2の液体を順に流通させる第2の液体流通手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この態様によれば、第1の液体層と第2の液体層との接触面積を増大させることができるので、単位時間当たりの交換熱量を増加させることができる。
【0015】
本発明の他の態様は、液分散装置である。当該液分散装置は、第1の液体を含む第1の液体層と、第1の液体層と液液界面を形成し、かつ第1の液体層と温度差を有する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、第1の液体層および第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、液液界面の近傍に、液液界面の面方向に設けられ、、複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、を含む、複数の液分散モジュールと、複数の液分散モジュールに含まれる一対の電極間にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段と、複数の液分散モジュールの各第1の液体層に第1の液体を分配して流通させる第1の液体流通手段と、各分散モジュールにおいて第1の液体の流れと並行流または対向流になるように、複数の液分散モジュールの各第2の液体層に第2の液体を分配して流通させる第2の液体流通手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この態様によれば、第1の液体層と第2の液体層との接触面積を増大させることができるので、単位時間当たりの交換熱量を増加させることができる。さらに、供給される第1の液体および第2の液体の流量が多い場合であっても、複数の容器に分配して熱交換をすることができるため、一度に熱交換可能な総流量を増大させることができる。
【0017】
複数の液分散モジュールが上下方向に積層されていてもよい。この態様によれば、液分散装置の設置面積を小さくすることができる。
【0018】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電場によって液液界面において生成する液滴を面内で安定化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置20は、容器30、一対の電極40、42、直流高電圧電源50、および界面調整部60を備える。
【0022】
容器30は、アクリルなどの絶縁性を有する体で形成される。容器には、第1の液体からなる第1の液体層32および第2の液体からなる第2の液体層34が収容されている。第1の液体と第2の液体とは相溶性が低く、かつ比重が異なる。このため、高電圧を印加した場合、第1の液体層32と第2の液体層34との間に水平方向に液液界面36が形成される。
【0023】
第1の液体としては、たとえば、シリコーンオイル、トランスオイルなどの油を用いることができる。一方、第2の液体としては、たとえば水などを用いることができる。
【0024】
容器30内には、一対の電極40、42(対向電極)が設けられている。電極40は、第1の液体層32の中に設置されている。一方、電極42は、第2の液体層34の中に設けられ、接地されている。本実施の形態の電極40、42は、ともに平板状である。
【0025】
直流高電圧電源50は、正極が電極40に接続され、負極が電極42に接続されている。直流高電圧電源50により、電極40と電極42との間に直流高電圧が印加され、電極40と電極42との間に液−液界面と直角方向に所定強度の電場が形成される。電圧としては、たとえば、第1の液体としてシリコーンオイル、第2の液体として水を用い、電圧を印加しない静止状態における界面と電極40との間の距離が50mm、網のピッチが20mmの場合には15〜20kVとすることができ、好ましくは、16〜18.5kVとすることができる。印加電圧が15kVより低いと、後述する液滴が生成しにくくなる。一方、印加電圧が20kVより高いと、液滴の挙動が激しくなり、液滴の生成が不安定となる。この結果、水による短絡が発生する。
【0026】
界面調整部60は、第1の液体および第2の液体のうち、一方の液体に濡れやすく、他方の液体に濡れにくい材質で形成される。たとえば、第1の液体をシリコーンオイルとし、第2の液体を水とした場合には、界面調整部60として、水に濡れにくく、シリコーンオイルに濡れやすいステンレスを用いることができる。界面調整部60は、面内に複数の貫通孔が配列されており、たとえば、図2に示すように、格子状のメッシュ構造または網目構造を有する。界面調整部60の格子の一辺の長さは、5mm〜20mmが好適である。格子状の構造の製造方法は、特に限定されず、細線を撚る手法や、シートを打ち抜く手法であってもよい。なお、界面調整部60に設けられた貫通孔の開口形状は、四角形に限定されず、三角形やその他の多角形でもよく、円形、楕円形などでもよい。
【0027】
界面調整部60は、電極40と電極42との間に直流高電圧が印加されず、界面調整部60がない状態で形成される液液界面から濡れにくい方の第2の液体層34の方へずれた位置に設置されることが望ましい。
【0028】
(液滴生成)
ここで、本実施の形態の液分散装置20による液滴生成について説明する。
【0029】
図3(A)は、電極40と電極42との間に直流高電圧が印加されていない状態で、第1の液体層32と第2の液体層34との間に形成される液液界面の様子を示す図である。電圧が印加されていない状態では、界面調整部60の網目中央付近の液液界面36aは盛り上がり、界面調整部60を構成する線材付近の液液界面36bは下降する。
【0030】
一方、電極40と電極42との間に直流高電圧が印加されると、界面調整部60の網目中央付近は電場強さが大きくなり、その結果、網目中央付近の液液界面36aはさらに持ち上げられて鋭い先端をもつコニーデ型火山のような形状を成す(図3(B)参照)。液液界面36aがある高さを超えると、その先端から滴化現象が生じる。この形状の波(液柱)は、界面調整部60の各網目で形成され、それらの先端で滴化が起こる。液液界面36aで生じた液滴48は、負に帯電しているため、電場の働きにより電極40に引き寄せられ、第1の液体層32中を上方に移動する。電極40に接触した液滴は電荷を交換し、第2の液体層34に戻る。これにより、第1の液体中に第2の液体が分散される。
【0031】
図4は、実際に生成した液滴を撮影した高速度写真である。図4より、界面調整部60の各網目において、液液界面36aが突起状となっている様子が分かる。また、液液界面36aの各先端部分から液滴が断続的に生成し、電極40に向かって移動することが確認された。
【0032】
図4からもわかるように、液液界面36aは、界面調整部60の網目の数だけ生じる。このため、界面調整部60の網目を規則正しく配列することにより、液液界面内において、滴化を均一かつ安定的に生成させることができる。言い換えると、界面調整部60の網目の数だけノズルを設置した場合と同様の効果を得ることができる。
【0033】
第1の液体および第2の液体が静止している場合において、仮に、界面調整部60がないとすると、波(液柱)は電場により発生する電気対流の影響を受けて液液界面を不規則に動き回るが、界面調整部60が存在することにより、波の位置が各網目の場所に固定される。これにより、液液界面における液滴生成のばらつきを抑制することができる。
【0034】
また、第1の液体および第2の液体の一方または両方の液体が流動している場合において、仮に、界面調整部60がないとすると、液柱は液体の流れによって移動し、分散などの目的を十分に実現できない。しかし、界面調整部60が存在する場合には、波は網目の区画に固定されて移動せず、設計上の位置において滴の分散をより確実に実現することができる。
【0035】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置21に関して、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0036】
本実施の形態の液分散装置21では、第1の液体層32に第1の液体を供給する手段として、ポンプ100および配管110が設けられている。また、液分散装置21には、第1の液体層32から第1の液体を排出する手段として、ポンプ120および配管130が設けられている。ポンプ100は、所定流量の第1の液体を配管110を経由して容器30内の第1の液体層32に供給する。配管110が接続された側を上流側として容器30内を流動した第1の液体は、ポンプ120により配管130を経由して容器30内から排出される。
【0037】
一方、第2の液体層34に第2の液体を供給する手段として、ポンプ140および配管150が設けられている。また、液分散装置21には、第2の液体層34から第2の液体を排出する手段として、ポンプ160および配管170が設けられている。ポンプ140は、所定流量の第2の液体を配管150を経由して容器30内の第2の液体層34に供給する。配管150が接続された側を上流側として容器30内を流動した第2の液体は、ポンプ160により配管170を経由して容器30内から排出される。
【0038】
これによれば、容器30内の第1の液体および第2の液体を入れ替えることなく、連続的に分散または撹拌を行うことができる。
【0039】
また、容器30に供給される第1の液体と第2の液体との間に温度差を設けることにより、容器30内で生成する液滴を介して第1の液体と第2の液体との間で熱交換をさせることができる。すなわち、液分散装置21を熱交換器として使用することが可能である。
【0040】
なお、本実施の形態では、第1の液体の供給用ポンプと、排出用ポンプの両方を用いて第1の液体の供給と排出を行っているが、いずれか一方のポンプにより、第1の液体の供給と排出を実現してもよい。同様に、第2の液体の供給用ポンプと、排出用ポンプの両方を用いて第2の液体の供給と排出を行っているが、いずれか一方のポンプにより、第2の液体の供給と排出を実現してもよい。また、一方の液体の供給用ポンプの機能と排出用ポンプの機能とを入れ替えることにより、第1の液体、第2の液体の流れ方向を対向流としてもよい。
【0041】
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置22は、容器30a、容器30b、および容器30cを備える。各容器30a−c内に収められた電極、液液界面調整部の構成は、実施の形態2の容器30と同様である。各容器30a−cは、それぞれ第1の液体層32a−c、および第2の液体層34a−cを含む。第1の液体層32aに供給される第1の液体と、第2の液体層34aに供給される第2の液体とは温度が異なるものとする。すなわち、本実施の形態の液分散装置22は熱交換器として機能する。
【0042】
第1の液体層32a−cは、配管200により直列的に順に接続されている。同様に、第2の液体層34a−cは、配管210により直列的に順に接続されている。各容器30a−c内では、第1の液体と第2の液体が並行流となっている。
【0043】
各容器30a−cに設けられた電極40、電極42は、直流高電圧電源50と並列に接続されている。これにより、各容器30a−cにおいて、電極40と電極42との間に所定の直流電圧が印加可能になっている。
【0044】
一般に、温度が異なる2液が直接接触して熱交換する場合、単位時間当たりの交換熱量は、熱通過率を一定と仮定すると、接触面積で決まる。本実施の形態の液分散装置22では、第1の液体と第2の液体との接触面積は、容器30a−cの水平方向の長さに比例すると考えることができる。このため、図6のように、容器30a−cを上下方向に積み上げることで、設置面積を低減しつつ、十分な交換熱量を確保することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、容器30a−cが上下方向に配置されているが、設置面積に制約がなければ、容器30a−cを水平方向に配置してもよい。また、一方の液体の供給用ポンプの機能と排出用ポンプの機能とを入れ替えることにより、第1の液体、第2の液体の流れ方向を対向流としてもよい。
【0046】
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4に係る液分散装置の構成を示す概略図である。実施の形態4では、各容器30a−c内の液体が直列的に連通しているが、本実施の形態の液分散装置23は、各容器30a−c内の液体が並列的に流通している。すなわち、ポンプ100から供給された第1の液体は、分配管310により各容器30a−cの第1の液体層32a−cに分配される。各容器30a−cから排出された第1の液体は集合管320により合流した後、ポンプ120により送出される。一方、ポンプ140から供給された第2の液体は、分配管330により各容器30a−cの第2の液体層34a−cに分配される。各容器30a−cから排出された第2の液体は集合管340により合流した後、ポンプ160により送出される。
【0047】
本実施の形態によれば、図7のように、容器30a−cを上下方向に積み上げることで、設置面積を低減しつつ、十分な交換熱量を確保することができる。また、一方の液体の供給用ポンプの機能と排出用ポンプの機能とを入れ替えることにより、第1の液体、第2の液体の流れ方向を対向流としてもよい。
【0048】
(実施の形態5)
図8は、実施の形態5に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置24では、第1の液体層32および第2の液体層34の下流側に分離槽500が設けられている。分離槽500において、熱交換後の第1の液体層510と第2の液体層520との間に液液界面530が形成され、両者が分離されている。第2の液体層520の下流側に配管130が接続されており、ポンプ120により第2の液体層520から熱交換後の第2の液体が回収される。一方、第1の液体層510の下流側に配管170が接続されており、ポンプ160により第1の液体層510から熱交換後の第1の液体が回収される。
【0049】
本実施の形態によれば、熱交換後の第1の液体および第2の液体が分離槽500によって分離された後、容器30から排出されるため、一方の液体が他方の液体に混合して持ち去られるのを抑制することができる。
【0050】
実施の形態3および4に示したような多段型の液分散装置においては、各対向電極の下流側に本実施の形態と同様な分離槽を設けてもよい。これによれば、各対向電極の下流側において第1の液体と第2の液体との分離が施されるため、容器30から排出された第1の液体に不純物として第2の液体が混ざることを抑制することができる。
(実施の形態6)
図9は、実施の形態6に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置25では、容器30の中に、折り返しながら下方から上方へ連通する第1の液体層32が設けられている。また、容器30の中に、第1の液体層32と隔離された第2の液体層34a−cが上下方向に多段的に設けられている。第2の液体層34a−cには、ポンプ140から送出された第2の液体が、分配菅400によって分配される。また、第2の液体層34a−cから排出される第2の液体は、集合管410により集合され、ポンプ160により送出される。
【0051】
各第2の液体層34a−cは、第1の液体層32と液液界面を形成し、各液液界面の両側にそれぞれ一対の電極40、42が設けられている。一対の電極40、42の下流側にそれぞれ、実施の形態5に示したような分離槽500a−cがそれぞれ設けられている。各分離槽500a−cにおいて、熱交換後の第1の液体層510a−cと第2の液体層520a−cとの間に液液界面530a−cがそれぞれ形成され、両者が分離されている。第2の液体層520a−cの下流側に、それぞれ配管420a−cが接続されており、ポンプ430a−cにより第2の液体層520a−cから熱交換後の第2の液体がそれぞれ回収される。
【0052】
本実施の形態によれば、容器30を一体型とすることにより、構造をコンパクト化することが可能になるとともに、液体層34a−cを上下方向に多段式とすることで、設置面積を低減しつつ、十分な交換熱量を確保することができる。また、本実施の形態によれば、供給される第1の液体および第2の液体の流量が多い場合であっても、複数の容器に分配して熱交換をすることができるため、一度に熱交換可能な総流量を増大させることができる。また、一方の液体が他方の液体に混合して持ち去られるのを抑制することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、液体層34a−cが上下方向に配置されているが、設置面積に制約がなければ、液体層34a−cを水平方向に配置してもよい。また、一方の液体の供給用ポンプの機能と排出用ポンプの機能とを入れ替えることにより、第1の液体、第2の液体の流れ方向を対向流としてもよい。
【0054】
(電極の形態)
(実施の形態7)
図10は、実施の形態7に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置26では、実施の形態2が有するような平板状の電極に代えて、複数の貫通孔が配列された電極40を有する。複数の貫通孔が配列された電極40の例としては、格子状あるいは網目状などが挙げられる。
【0055】
これによれば、電極40を液液界面に近接させることにより、低い印加電圧で電場を強くすることができる。その際、液滴は貫通孔(たとえば、格子)を通り抜け第1の液体層32中に分散され、後続の液滴との衝突を避けられる。第1の液体層32中の液滴同士は同極性のため、互いに反発し、合体することなく、電極40に引き寄せられるため、第1の液体層32中で運動したのち、第2の液体層34に戻る。
【0056】
(実施の形態8)
図11は、実施の形態8に係る液分散装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の液分散装置27では、実施の形態2が有するような平板状の電極に代えて、液液界面の面方向に直角な針状の電極40を有する。
【0057】
これによれば、電極40の各針近傍における電場勾配が急峻となるため、第1の液体層32に飛び出した液滴が電極40に引きつけられやすくなる。この結果、第1の液体層32中の液滴が速やかに電荷を交換し、第2の液体層34に戻るので、第1の液体層32に液滴が滞留することが抑制される。
【0058】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施の形態1に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図2】界面調整部のメッシュ(網目)構造を示す図である。
【図3】図3(A)は、電圧を印加していない状態での液液界面の様子を示す図である。図3(B)は、電圧を印加した状態での液液界面の様子を示す図である。
【図4】実際に生成した液滴を撮影した高速度写真である。
【図5】実施の形態2に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図6】実施の形態3に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図7】実施の形態4に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図8】実施の形態5に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図9】実施の形態6に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図10】実施の形態7に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図11】実施の形態8に係る液分散装置の構成を示す概略図である。
【図12】従来の静電液液抽出装置の概略図である。
【符号の説明】
【0060】
20、21、22、23、24、25、26、27 液分散装置、30 容器、40、42 電極、50 直流高電圧電源、60 界面調整部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体を含む第1の液体層と、前記第1の液体層と液液界面を形成する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、
前記第1の液体層および前記第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、
前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記液液界面の近傍に、前記液液界面の面方向に複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、
を備え、
前記電圧印加手段により電圧が印加されたときに、前記液液界面において、一方の液体層の液体が滴化され、生成した液滴が他方の液体層に分散されることを特徴とする液分散装置。
【請求項2】
前記第1の液体層に第1の液体を供給する手段と、
前記第2の液体層に前記第1の液体と温度差がある第2の液体を供給する手段と、
前記液液界面から生成した液滴を介して前記第2の液体と熱交換した前記第1の液体を、前記第1の液体層から排出する手段と、
前記液液界面から生成した液滴を介して前記第1の液体と熱交換した前記第2の液体を、前記第2の液体層から排出する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の液分散装置。
【請求項3】
前記液滴が分散された液体層の下流側に、前記第1の液体と前記第2の液体とを分離するための分離槽が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液分散装置。
【請求項4】
前記一対の電極のうち、液滴が引きつけられる電極に複数の貫通孔が配列されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液分散装置。
【請求項5】
前記一対の電極のうち、液滴が引きつけられる電極が針状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液分散装置。
【請求項6】
第1の液体を含む第1の液体層と、前記第1の液体層と液液界面を形成し、かつ第1の液体層と温度差を有する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、
前記第1の液体層および前記第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、
前記液液界面の近傍に、前記液液界面の面方向に設けられ、複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、
を含む、複数の液分散モジュールと、
前記複数の液分散モジュールに含まれる一対の電極間にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段と、
前記複数の液分散モジュールの各第1の液体層に前記第1の液体を順に流通させる第1の液体流通手段と、
各分散モジュールにおいて前記第1の液体の流れと並行流または対向流になるように、前記複数の液分散モジュールの各第2の液体層に前記第2の液体を順に流通させる第2の液体流通手段と、
を備えることを特徴とする液分散装置。
【請求項7】
第1の液体を含む第1の液体層と、前記第1の液体層と液液界面を形成し、かつ第1の液体層と温度差を有する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、
前記第1の液体層および前記第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、
前記液液界面の近傍に、前記液液界面の面方向に設けられ、複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、
を含む、複数の液分散モジュールと、
前記複数の液分散モジュールに含まれる一対の電極間にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段と、
前記複数の液分散モジュールの各第1の液体層に前記第1の液体を分配して流通させる第1の液体流通手段と、
各分散モジュールにおいて前記第1の液体の流れと並行流または対向流になるように、前記複数の液分散モジュールの各第2の液体層に前記第2の液体を分配して流通させる第2の液体流通手段と、
を備えることを特徴とする液分散装置。
【請求項8】
前記複数の液分散モジュールが上下方向に積層されていることを特徴とする請求項6または7に記載の液分散装置。
【請求項1】
第1の液体を含む第1の液体層と、前記第1の液体層と液液界面を形成する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、
前記第1の液体層および前記第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、
前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記液液界面の近傍に、前記液液界面の面方向に複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、
を備え、
前記電圧印加手段により電圧が印加されたときに、前記液液界面において、一方の液体層の液体が滴化され、生成した液滴が他方の液体層に分散されることを特徴とする液分散装置。
【請求項2】
前記第1の液体層に第1の液体を供給する手段と、
前記第2の液体層に前記第1の液体と温度差がある第2の液体を供給する手段と、
前記液液界面から生成した液滴を介して前記第2の液体と熱交換した前記第1の液体を、前記第1の液体層から排出する手段と、
前記液液界面から生成した液滴を介して前記第1の液体と熱交換した前記第2の液体を、前記第2の液体層から排出する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の液分散装置。
【請求項3】
前記液滴が分散された液体層の下流側に、前記第1の液体と前記第2の液体とを分離するための分離槽が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液分散装置。
【請求項4】
前記一対の電極のうち、液滴が引きつけられる電極に複数の貫通孔が配列されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液分散装置。
【請求項5】
前記一対の電極のうち、液滴が引きつけられる電極が針状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液分散装置。
【請求項6】
第1の液体を含む第1の液体層と、前記第1の液体層と液液界面を形成し、かつ第1の液体層と温度差を有する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、
前記第1の液体層および前記第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、
前記液液界面の近傍に、前記液液界面の面方向に設けられ、複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、
を含む、複数の液分散モジュールと、
前記複数の液分散モジュールに含まれる一対の電極間にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段と、
前記複数の液分散モジュールの各第1の液体層に前記第1の液体を順に流通させる第1の液体流通手段と、
各分散モジュールにおいて前記第1の液体の流れと並行流または対向流になるように、前記複数の液分散モジュールの各第2の液体層に前記第2の液体を順に流通させる第2の液体流通手段と、
を備えることを特徴とする液分散装置。
【請求項7】
第1の液体を含む第1の液体層と、前記第1の液体層と液液界面を形成し、かつ第1の液体層と温度差を有する第2の液体を含む第2の液体層とを収容する絶縁性の容器と、
前記第1の液体層および前記第2の液体層の中にそれぞれ設けられた一対の電極と、
前記液液界面の近傍に、前記液液界面の面方向に設けられ、複数の貫通孔が配列された界面調整手段と、
を含む、複数の液分散モジュールと、
前記複数の液分散モジュールに含まれる一対の電極間にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段と、
前記複数の液分散モジュールの各第1の液体層に前記第1の液体を分配して流通させる第1の液体流通手段と、
各分散モジュールにおいて前記第1の液体の流れと並行流または対向流になるように、前記複数の液分散モジュールの各第2の液体層に前記第2の液体を分配して流通させる第2の液体流通手段と、
を備えることを特徴とする液分散装置。
【請求項8】
前記複数の液分散モジュールが上下方向に積層されていることを特徴とする請求項6または7に記載の液分散装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【公開番号】特開2008−173593(P2008−173593A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10785(P2007−10785)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
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