説明

液圧ハイブリッド車両

【課題】効率損失を低くすることができるようにする。
【解決手段】一対の駆動輪と、内燃機関と、液圧流体を受け入れて圧力を蓄えるとともに、蓄えられた圧力を放出する少なくとも一つのアキュムレータと、駆動輪に接続されたギヤセットと、ギヤセットの一つのギヤの両側に配設された第1、第2の液圧ポンプモータと、アキュムレータ、及びポンプモードにある第1、第2の液圧ポンプモータのうちの少なくとも一方に液圧流体を供給するために内燃機関によって作動させられる第3の液圧ポンプモータとを有する。第1、第2の液圧ポンプモータは、共通の入出力シャフトを共用し、軸方向に位置合わせされるとともに、共通の入出力シャフトの両端に固定され、モータモード及びポンプモードで作動させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合型の内燃機関によって発生させられたエネルギーを極めて高い効率で利用することを可能にした自動車用の動力伝達装置、すなわち、自動車用動力伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の利用の拡大に伴って、二酸化炭素等の温室効果ガス等の大気中の汚染物質が極めて増大している。現状の動力伝達装置の熱効率は、通常、平均すると約15〔%〕にすぎない。したがって、燃料の利用効率を改善するための自動車用動力伝達装置に対する新しいアプローチが必要とされている。
【0003】
従来の自動用動力伝達装置においては、エネルギー損失がかなり大きく、効果的に排気ガスを制御するのが困難であり、自動車の燃料経済性の改善にも限度があった。従来の動力伝達装置は、内燃機関及びギヤ比が非連続的である単純な機械式の変速機から成る。そして、低い効率のために、システムで消費される燃料エネルギーの約85〜90〔%〕が熱として浪費され、エネルギーの10〜15〔%〕しか道路負荷を克服するのに利用できず、また、ブレーキ操作中においては、エネルギーの多くが熱として消失される。
【0004】
エネルギー損失の大部分は、エンジンの動力容量と平均の動力要求とが適合していないことによるものである。任意の瞬間にエンジンに加わる負荷は、その時点における道路負荷の全体によって直接的に決められるが、該道路負荷の全体は極めて高い負荷と極めて低い負荷との間で変化する。加速の要求を満たすためには、エンジンは平均の道路負荷に比べて何倍も強力でなければならない。
【0005】
内燃機関の効率は負荷によって大きく変わる。すなわち、ピーク負荷の近傍の高負荷状態で効率が最高となり、低負荷状態で最低となる。通常の運転で経験される道路負荷のほとんどは、スペクトラムの低い側の端に近いので、従来のエンジンは35〜40〔%〕の範囲のピーク効率を有するが、エンジンはほとんどの期間低い効率(例えば、20〔%〕以下)で作動しなければならない。
【0006】
他の主要なエネルギー損失はブレーキ操作の際に発生する。エネルギーを駆動輪である車輪に供給することが必要な加速時とは逆に、ブレーキをかける場合には、車輪からエネルギーを除去しなければならない。内燃機関はエネルギーを発生させることができるが、再生することはできず、また、単純なギヤ式の変速機はエネルギーを伝達することができるだけであるので、従来の動力伝達装置は一方向のエネルギー伝達路になる。ブレーキ操作は、摩擦ブレーキ系によって達成されるが、摩擦ブレーキ系は、一時的に不要になった運動エネルギーを熱に変えてしまうので、運動エネルギーを利用することができない。
【0007】
また、従来の動力伝達装置においては、エンジンの回転速度及び負荷が大幅に変化するので、排気ガスを効果的に制御することが困難になる。すなわち、エンジンは、種々の燃焼条件で駆動する必要があるので、エンジンを一定の回転速度又は負荷で駆動すると、排気ガス制御装置を一層最適化することができる。さらに、エンジンを総合的に一層効率よく設定すると、単位距離ごとに燃焼される燃料が一層少なくなる。
【0008】
従来の動力伝達装置は、空力抵抗、重量及びころがり抵抗によるものでない場合には、自動車の燃料経済性を限られた範囲でしか改良することができない。そのような改良は効率をわずかに高くするだけであり、また改善された動力伝達装置にも同様に適用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ハイブリッド車両システムは、このような非効率を軽減する手段として研究されてきた。ハイブリッド車両システムは、エンジンに対する動力要求の変化を緩和するために、道路負荷の要求と内燃機関との間に「バッファ」を提供する。また、バッファは、エネルギーを受け取って蓄えることができるので、回生ブレーキングを可能にする。ハイブリッド車両システムの有効性は、エンジンをピーク効率で動作させることができるかどうか、バッファ媒体の容量及び効率、並びに動力を駆動車輪に伝達する伝達システムの効率に依存する。典型的なバッファ媒体は、蓄電池、機械式のフライホイール及び液圧アキュムレータを含む。
【0010】
前記液圧アキュムレータをバッファとして使用するために、液圧式のポンプモータ(液圧ポンプモータ)がシステムに組み込まれる。ポンプモータは選択的にポンプ又はモータとして作動する。ポンプとして作動するときは、エンジンの動力が液圧流体をアキュムレータに供給するシャフトを回転させ、アキュムレータにおいて液圧流体は所定の量の気体(例えば、窒素)に逆らって加圧される。モータとして作動するときは、加圧された流体がユニットを介して解放され、シャフトを回転させ、動力を発生させる。これについては、例えば、1980年9月23日にサムアル・シーバー(Samual Shiber)に付与された米国特許第4,223,532号に記載されている。
【0011】
そのようなハイブリッド動力伝達装置を開示している他の米国特許には以下のものがある。
【0012】
ハイブリッドパワートレイン車両(Hybrid Powertrain Vehicle)−米国特許第5,495,912号(発行日:1996年3月5日)
アンチロック回生ブレーキングシステム(Anti−Lock Regenerative Braking System)−米国特許第5,505,527号(発行日:1996年4月9日)
アキュムレータエンジン(Accumulator Engine)−米国特許第5,579,640号(発行日:1996年12月3日)
軽量安全液圧パワーシステム及びその操作方法(Lightweight, Safe Hydraulic Power System & Method of Operation Thereof)−米国特許第5,507,144号(発行日:1996年4月16日)
連続的に円滑な変速機(Continuously Smooth Transmission)−米国特許第5,887,674号(発行日:1999年3月30日)
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一対の駆動輪と、動力出力用のクランクシャフトを備えた内燃機関と、液圧動力回路とを備えた自動車用動力伝達装置を提供する。液圧動力回路は、液圧流体を受け入れて圧力を蓄えるとともに、蓄えられた圧力を放出する少なくとも一つのアキュムレータを含む。ギヤセットが少なくとも一台の液圧ポンプモータから駆動輪へ動力を伝達する。好適な実施の形態では、液圧動力回路に組み込まれた第1、第2の液圧ポンプモータが、ギヤセットの一つのギヤの両側に配設されており、その一つのギヤが取り付けられた共通の入出力シャフトを共用している。これらの第1、第2の液圧ポンプモータは、ギヤシャフトを介して一対の駆動輪を駆動するモータモード、又は駆動輪のブレーキ操作に対応させてアキュムレータに液圧流体を供給するポンプモードで作動する。内燃機関によって駆動される第3の液圧ポンプ又は液圧ポンプモータは、アキュムレータ及び/又は第1、第2の液圧ポンプモータに液圧流体を供給し、第1、第2のポンプモータをモータモードで駆動して車両に動力を与える。この場合、液圧ポンプ及び/又は液圧ポンプモータはインラインピストン式の機械、一層具体的には、斜軸ピストン式の機械であることが好ましい。第3の液圧ポンプ又は液圧ポンプモータは、本発明の上述した態様のように、内燃機関のクランクシャフトに固定された駆動シャフトを有してもよい。
【0014】
また、本発明は、上記の形式の動力伝達装置において液圧流体を制御するための液圧制御ロジックを提供する。一層詳しくは、本発明は、一対の駆動輪と、クランクシャフトを介して動力を出力する内燃機関と、液圧駆動回路とを備えた自動車用動力伝達装置を提供する。第1の液圧ポンプモータは、モータモードで動作するときに、高圧のラインからの高圧流体の受け取りに対応させて駆動輪を駆動し、かつ、駆動輪のブレーキ操作に対応させて高圧のラインに高圧流体を供給するためにポンプモードで作動する。液圧回路は、高圧のラインを介して高圧流体を受け取ったり放出したりする高圧のアキュムレータと、低圧のラインと、低圧のラインを介して低圧流体を受け取ったり放出したりする低圧のアキュムレータとを更に含む。液圧制御ロジックは、第1のポンプモータの一方の側を高圧のライン及び低圧のラインにそれぞれ並列に接続する第1、第2のラインを含み、第1の並列ラインは、前進駆動の場合に高圧のラインから第1のポンプモータの一方側へ高圧流体を流すために開放される第1のバルブを備える。第2の並列ラインは、後退駆動の場合に、低圧のラインから第1のポンプモータの一方側へ低圧流体を流すために開放される第2のバルブを備える。第3、第4の並列ラインは、第1のポンプモータの他方の側を高圧のライン及び低圧のラインにそれぞれ並列に接続する。第3の並列ラインは、前進駆動の場合に、低圧のラインから第1のポンプモータの他方側へ低圧流体を流すために開放される第3のバルブを備える。第4の並列ラインは、後退駆動の場合に、高圧のラインから第1のポンプモータの他方側へ高圧流体を流すために開放される第4のバルブを備える。第2のポンプモータ及び任意的に第3のポンプモータの作動を制御するために同様の制御ロジックを設けてもよい。上記の本発明の特徴と同様に、第1、第3のポンプモータは、減速ギヤユニットのギヤを備えた共通のシャフトを共用してもよい。
【0015】
本発明の自動車用動力伝達装置は、従来の動力伝達装置のすべての機能を行うが、エネルギー効率がはるかに高いユニークな動力伝達装置である。この新規な動力伝達装置は、車両の減速時(すなわち、ブレーキ操作時)に、移動する車両の運動エネルギーを位置エネルギーに変換し、このエネルギーを後の使用のために車両上に保存する。動力伝達装置は、エネルギー効率及び経済効率が高い運転のために必要とされる種々の従来の部品及び新規な部品を一体化したユニークな設計を採用している。また、この新しい動力伝達装置によって達成できるエネルギー効率の改善を完全なものにするために、ユニークな液圧流体流回路及びユニークな動作制御ロジックを利用している。この新しい動力伝達装置のユニークな特徴の多くは電気式のハイブリッド動力伝達装置にも適用できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、一対の駆動輪と、動力出力用のクランクシャフトを備えた内燃機関と、液圧動力回路とを備えた自動車用動力伝達装置を提供する。液圧動力回路は、液圧流体を受け入れて圧力を蓄えるとともに、蓄えられた圧力を放出する少なくとも一つのアキュムレータを含む。ギヤセットが少なくとも一台の液圧ポンプモータから駆動輪へ動力を伝達する。好適な実施の形態では、液圧動力回路に組み込まれた第1、第2の液圧ポンプモータが、ギヤセットの一つのギヤの両側に配設されており、その一つのギヤが取り付けられた共通の入出力シャフトを共用している。これらの第1、第2の液圧ポンプモータは、ギヤシャフトを介して一対の駆動輪を駆動するモータモード、又は駆動輪のブレーキ操作に対応させてアキュムレータに液圧流体を供給するポンプモードで作動する。内燃機関によって駆動される第3の液圧ポンプ又は液圧ポンプモータは、アキュムレータ及び/又は第1、第2の液圧ポンプモータに液圧流体を供給し、第1、第2のポンプモータをモータモードで駆動して車両に動力を与える。
【0017】
この場合、押退け容積が零に設定されたポンプモータに対する高圧の液圧流体の供給を停止させることによって効率損失を低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1を参照して説明する。エンジン11は、最初、ポンプモータ12によって始動されるが、その後はポンプモータ12を作動させる。すなわち、高圧のアキュムレータ13から、ライン14、液圧制御回路(液圧コントローラ)15及びライン16を介してポンプモータ12に高圧流体が供給されると、ポンプモータ12はモータとして作動させられ、エンジン11を始動する。モータとして作動させられたポンプモータ12から排出された低圧流体は、ライン19、液圧制御回路15、ライン18を介して低圧のアキュムレータ17に供給される。エンジン11が始動されると、エンジン11はポンプモータ12をポンプモードで作動させる。
【0019】
電子制御回路(電子制御ユニット)10は、種々の信号、例えば、運転者によるアクセル操作を表すアクセルペダル90の位置を示すセンサ9からの信号を受信し、前記液圧制御回路15に対して制御信号を出力する。
【0020】
低圧流体は、低圧のアキュムレータ17から、ライン18、液圧制御回路15及びライン16を介して、ポンプとして作動させられるポンプモータ12に供給される。ポンプモータ12はポンプとして作動させられ、高圧流体をライン19、液圧制御回路15及びライン14を介して高圧のアキュムレータ13に供給する。車輪20を駆動するために動力が必要な場合は、高圧流体が、ライン23及びライン24のうちのいずれか一方又は両方を介して、モータとして作動させられる駆動用のポンプモータ21、22のうちのいずれか一方又は両方に供給される。モータとして作動させられるポンプモータ21、22のうちのいずれか一方又は両方からの低圧流体が、ライン25、26のうちのいずれか一方又は両方、制御回路15及びライン18を介して、低圧のアキュムレータ17に排出される。高圧のアキュムレータ13内の圧力が所定の最大値に達したとき、エンジン11は、アイドリング状態に移行するか又は停止し、ポンプとして動作しているポンプモータ12への動力の供給を停止する。高圧のアキュムレータ13内の圧力が所定の最小値に達したときには、エンジン11は動力の供給を再開する。
【0021】
車両にブレーキをかけることが必要になった場合、低圧流体をライン23、24のうちのいずれか一方又は両方を介して供給し、ポンプモータ21、22のうちのいずれか一方又は両方をポンプとして作動させ、高圧流体を、ライン25、26のうちのいずれか一方又は両方、制御回路15及びライン14を介して高圧のアキュムレータ13に供給することによって、車輪20から動力が得られる。
【0022】
次に、制御回路15の設計、機能及び制御について一層詳細に説明する。
【0023】
図2は第1の実施例における液圧制御回路15の詳細を示す概略図である。
【0024】
図に示されるように、ポンプは、オーバーセンタをすることがなく、すなわち、ポンプモータ12の出力シャフトが同一方向に回転し続けている間は、流体は逆方向に流れない。本実施の形態においては、バルブ42〜45、32、35、52、55はそれぞれ、「閉」(逆止)位置で遮断バルブ及び逆止バルブとして作動する。バルブ42、44、32、52は、常に、ポンプモータ12、21、22から高圧のライン14への高圧の流体の流れを許容し、バルブ43、45、35、55は、常に、ポンプモータ12、21、22から低圧のライン18への低圧の流体の流れを許容する。
【0025】
中央のサブ回路31は、ライン16を介してポンプモータ12に供給される流体の流量、及びライン19を介してポンプモータ12から供給される流体の流量を制御する。中央のサブ回路31においては、ポンプモータ12の一方側に接続されたライン16と高圧のライン14及び低圧のライン18とが、並列ライン36、37を介してそれぞれ接続される。同様に、ポンプモータ12の他方側に接続されたライン19と高圧のライン14及び低圧のライン18とが、並列ライン38、39を介してそれぞれ接続される。
【0026】
そして、高圧流体が高圧のライン14からライン16を介して、エンジン11を始動させるためのモータとして作動させられるポンプモータ12に供給される場合に、バルブ32は開放される。逆止バルブ33、34は、高圧流体が低圧のライン18に直接流れ込むのを防止する。前記バルブ32が開かれ、流体がモータとして作動させられるポンプモータ12に流れ、低圧のライン18を介して流体が低圧のアキュムレータ17へ排出されるとき、バルブ35も(図2に示されるように)開状態でなければならない。
【0027】
エンジン11が始動されると、ポンプモータ12からの流体の押退け容積は直ちに零(0)まで下がり、バルブ32は図2に示されるように閉位置、すなわち逆止位置になる。ポンプモータ12からの流体の押退け容積が完全に零にならないか、又は、ポンプモータ12にリークがある場合には、逆止バルブ33によって低圧のライン18からライン37を介してライン16に低圧流体が流れる。したがって、流体は、ポンプモータ12からライン19、開になっているバルブ35及び並列ライン39を介して低圧のライン18に流れるので、ポンプモータ12はキャビテーションを起こす可能性がなく、ポンプモータ12の低摩擦なニュートラル回転のためのニュートラルループが確立される。
【0028】
バルブ32は閉位置で逆止バルブとして作動し、ポンプモータ12がわずかにオーバーセンタになったときに、流体がロックしたり、又は過圧されたりするのを防止する。ポンプモータ12のニュートラル回転は、冷えた状態のエンジンが始動された後、トルクが必要になるまでにエンジンを十分に温めておくのに必要である。準備ができ、必要性が生じた場合に、エンジン11はポンプモータ12をポンプとして作動させる。これに伴って、バルブ35が最初に閉(逆止)位置になり、ポンプモータ12の押退け容積が増加させられる。低圧流体は、ライン18から逆止バルブ33、並列ライン37及びライン16を介してポンプとして作動させられているポンプモータ12に供給される。ポンプモータ12から排出された高圧流体は、ライン19、並列ライン38及び逆止バルブ34を介して高圧のライン14に供給される。
【0029】
ところで、流体は、高圧のアキュムレータ13だけに流れる場合、高圧のアキュムレータ13だけでなく、モータとして作動させられるポンプモータ21、22のうちのいずれか一方又は両方にも流れる場合、又は、モータとして作動させられるポンプモータ21、22のうちのいずれか一方又は両方だけに流れる場合がある。
【0030】
そして、車輪20を駆動する動力が必要な場合、高圧流体が、サブ回路41、51のうちのいずれか一方又は両方から、ライン23、24のうちのいずれか一方又は両方を介して、モータとして作動させられるポンプモータ21、22のうちのいずれか一方又は両方に流れる。サブ回路41、51のうちの一方だけを使用するか、又はサブ回路41、51のうちの両方を使用するかの判断は、米国特許第5号「Continuously Smooth Transmission」に記載されており、その教示を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0031】
サブ回路41のライン46、47は、ポンプモータ21の一方側と高圧のライン14及び低圧のライン18とをライン23を介してそれぞれ並列に接続する。また、サブ回路41のライン48、49は、ポンプモータ21の他方側と高圧のライン14及び低圧のライン18とをライン25を介してそれぞれ並列に接続する。サブ回路41がライン23に高圧流体を供給するように指令されると、バルブ42が開かれ(図2においては、閉止位置、すなわち、逆止位置の状態で示されている。)、高圧流体はライン14からバルブ42及び並列ライン46を介してライン23に供給される。モータとして作動させられるポンプモータ21が車輪20にトルクを供給するように指令されると、ポンプモータ21からの流体の押退け容積は、零から要求される量まで増加させられ、高圧流体はライン23及びポンプモータ21を流れ、低圧流体になってライン25、ライン49中のバルブ45(図2においては既に開いている状態で示されている。)及びライン18を介して低圧のアキュムレータ17に戻る。このとき、バルブ43、44は、(図2に示されるように)閉止位置、すなわち、逆止位置にあり、高圧流体が低圧側に流れるのを防止する。バルブ43が逆止位置であるので、バルブ42が閉止位置であっても、ポンプモータ21にキャビテーションが発生するのを防止することができる。
【0032】
同様に、サブ回路51のライン56、57は、ポンプモータ22の一方側と高圧のライン14及び低圧のライン18とをライン24を介してそれぞれ並列に接続する。サブ回路51のライン58、59は、ポンプモータ22の他方側と高圧のライン14及び低圧のライン18とをライン26を介してそれぞれ並列に接続する。サブ回路51がライン24へ高圧流体を供給するように指令されると、バルブ52が開かれ(図2においては、閉止位置、すなわち、逆止位置の状態で示されている。)、高圧流体はライン14からバルブ52を介してライン24に供給され、車輪20へトルクを供給するためにポンプモータ22がモータとして作動するように指令された場合は、ポンプモータ22の押退け容積は、零から要求される量まで増加し、高圧流体は、ライン24及びポンプモータ22を流れ、低圧流体になってライン26、バルブ55(図2においては、既に開いた状態で示されている。)及びライン18を介して低圧のアキュムレータ17に戻る。バルブ53、54は、逆止位置(図2に示されるとおり)であり、高圧流体が低圧側に流れるのを防止する。この場合、バルブ53が逆止位置であるので、バルブ52が閉止位置であっても、ポンプモータ22にキャビテーションが発生するのを防止することができる。
【0033】
車両にブレーキをかけることが必要になる場合、サブ回路41、51のうちのいずれか一方又は両方を使用して、ライン23、24のうちのいずれか一方又は両方を介し、低圧流体を供給してポンプモータ21、22のうちのいずれか一方又は両方を作動させると、車輪20から動力を得ることができる。
【0034】
サブ回路41が低圧流体をライン23に供給するように指令された場合、バルブ45は閉止位置、すなわち、逆止位置(図2においては開放状態で示されている。)に切り換えられる。その他のすべてのバルブ(42、43及び44)は、(図2に示されるように)閉止位置、すなわち、逆止位置のままである。ブレーキペダル(図示されない。)の踏込み量に比例して、ポンプモータ21は押退け容積を増加するように指令され、低圧流体はライン18からバルブ43、並列ライン47及びライン23を介してポンプモータ21に流れ、ポンプモータ21からの高圧流体はライン25、バルブ44、並列ライン48及びライン14を介して高圧のアキュムレータ13に流れる。
【0035】
サブ回路51がライン24へ低圧流体を供給するように指令されたときは、バルブ55は閉止位置、すなわち、逆止位置(図2においては開位置で示されている。)になる。その他のすべてのバルブ(52、53及び54)は、図2に示されるように閉止位置、すなわち、逆止位置のままである。サブ回路41とポンプモータ21と同様に、ブレーキペダルの押込み量に比例して、ポンプモータ22は押退け容積を増加させるように指令されて、低圧流体は、ライン18からバルブ53、並列ライン57及びライン24を介してポンプモータ22に流れ、ポンプモータ22からの高圧流体は、ライン26、バルブ54、並列ライン58及びライン14を介して高圧のアキュムレータ13に流れる。
【0036】
1台、2台又はそれ以上の台数の駆動用ポンプモータを、単一のサブ回路(その場合、後述されるように車輪20に後退用駆動力も供給するサブ回路41の設計が好ましい。)で扱うことも可能であるが、一つのサブ回路に一つの駆動用ポンプモータを組み合わせると、正又は負(ブレーキ)のトルクを供給するように指令されていないポンプモータへの高圧流体を停止させることができる。ポンプモータへの高圧流体の供給を停止させると、ポンプモータを介した低圧側への流体のリークが大幅に減り、効率を高くすることができる。ポンプモータを駆動系から切り離すのにクラッチを使用しない場合においては、車両が走行している間のポンプモータの回転トルク、回転摩擦、流体圧縮損失等も顕著に小さくすることができる。
【0037】
車両の後退が指令されると、サブ回路41が使用される。バルブ44、43は開放され(図2においては、閉止位置、すなわち、逆止位置の状態で示されている。)、バルブ45は閉じ(図2においては開状態で示されている。)、バルブ42は図2に示されているように、閉止/逆止位置のままとなる。「アクセルペダル」(図示されない。)の踏込み量に比例して、ポンプモータ21は押退け容積を増加させるように指令され、高圧流体は、ライン14からバルブ44、並列ライン48及びライン25を介してポンプモータ21を流れ、ポンプモータ21からの低圧流体は、ライン23、バルブ43、並列ライン47及びライン18を介して低圧のアキュムレータ17に流れる。ポンプモータ21の高圧側と低圧側とを逆にすることによって、ポンプモータ21を逆方向に回転させることができる。一層大きな逆転トルクが必要になる場合、サブ回路51をサブ回路41のように構成し、逆転トルクを供給するためにポンプモータ22も使用することも可能である。
【0038】
図3は、液圧ハイブリッド車両の動力伝達装置変速機の好適な実施の形態の主要な構成要素を一層詳細に示す。
【0039】
前記好適な実施の形態においては、図3に示されるように、エンジン11のクランクシャフトと一体化されたエンジン用のポンプモータ12が使用され、ポンプモータ12はクランクシャフトの端部に直接作用する。ポンプモータ12の出力シャフトがエンジン11のクランクシャフト(入出力シャフト)になるため、共通のベアリング、例えば、テーパ付きのローラベアリング127だけが使用され、エンジン11のピストンによってクランクシャフトに加えられる力を緩和する力を提供できるように、ポンプモータ12内のバレル運動のためのポンプモータ平面が選択される。その結果、ローラベアリング127の軸受力、したがって、軸受摩擦を減少することができる。
【0040】
前記好適な実施の形態においては、エンジン11が変速機のハウジングに直接取り付けられる。そして、変速機は、エンジン用のポンプモータ12及びアクチュエータだけでなく、前述されたような動力伝達制御のために必要なすべての流れ回路及びバルブ、歯車減速部の駆動シャフトと一体化された好適な実施の形態の二組の駆動用ポンプモータ及びアクチュエータ(歯車力を緩和するようにバレル移動平面が位置決めされている。)、並びにディファレンシャル・アッセンブリと一体化された減速のために必要とされる歯車を含む。また、変速機は、二つの一次液圧ラインの接続、すなわち、高圧のアキュムレータへの接続ライン(高圧のライン14)、及び低圧のアキュムレータへの接続ライン(低圧のライン18)とを有する。変速機は、二つの二次液圧ラインの接続、すなわち、ポンプモータ12及び歯車減速/ディファレンシャル・アッセンブリに低圧の潤滑油を供給するライン、並びに潤滑油及びポンプモータのケースから漏洩(えい)する油を保持容器に戻して再び使用するためのラインを有する。
【0041】
そして、エンジン用のポンプモータ12は、エンジン11のクランクシャフトの出力フランジ123と一体化されている。また、ポンプモータ12は、斜軸ポンプモータ(斜軸ピストンポンプ)から成り、ピストン124は、クランクシャフトのフランジ123に直接取り付けられた回転板(駆動プレート)125に作用する(又は、回転板125自体がクランクシャフトのフランジ123であってもよい。)。ポンプモータ12の出力シャフトとエンジン11のクランクシャフトとが、単一のシャフト126に一体化されているので、共通のベアリング127が、クランクシャフトの背部の主ベアリング(背部ベアリング)、及びポンプモータの駆動ベアリングの両方に兼用される。矢印129は、ポンプモータ12を介しての液圧流体の流路を示す。
【0042】
好適な実施の形態の二つのポンプモータ21、22は、二つの駆動ギヤ225、325のうちの径の小さい方の駆動ギヤ225を作動させるために、ギヤ減速アッセンブリ(ギヤセット)214の駆動シャフト(第1、第2の入出力シャフト)213と一体化され、前記ギヤ225は、二つの駆動ギヤ225、325のうちの径の大きい方の駆動ギヤ325を駆動する。ギヤ325は、駆動シャフト326に取り付けられ、該駆動シャフト326は、慣用のディファレンシャル・アッセンブリ(図示されない。)に取り付けられ、ディファレンシャル・アッセンブリは慣用のドライブアクスル(図示されない。)を介して慣用の方法で駆動車輪に連結される。駆動用ポンプモータのピストン216、226は、駆動シャフト213の両端に直接取り付けられた回転板217、227に作用する。駆動用のポンプモータの出力シャフトは、小径ギヤ駆動シャフトと一体化されて単一の駆動シャフト213になっているので、ベアリング218、228を、小径ギヤ駆動シャフト用のベアリングとポンプモータ駆動用のベアリングとの両方に兼用することができる。矢印219、215は、それぞれポンプモータ21、22を介しての液圧流体の流路を示す。ポンプモータ21、22は、インライン形ピストンポンプ、一層具体的には、斜軸ピストン機械である。
【0043】
液圧ハイブリッド車両の動力伝達装置においては、車両エンジン、関連の押退け容積アクチュエータ等を介してポンプモータ、流量制御バルブ、遮断バルブ、及び車両の他の構成要素を管理することによって、効率、性能等を最大にするための動作制御ロジックを利用する。電子制御システムは、ポンプモータ押退け容量、バルブ位置等の出力信号を決定するために、駆動トルク要求(アクセルペダル位置)、車両速度、液圧流体の圧力等を含む種々の入力を受け、主として液圧システム圧力、駆動トルク要求、及び車両速度に対応させてエンジン11を制御する。
【0044】
動作制御ロジックは、米国特許第5,495,912号に示されているものと同じであり、後に、図6を参照して記述する、本発明のための付加的なユニークな制御ロジックと共に本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0045】
ところで、図1に示されるように、アクセルペダル90の位置に対応させてポンプモータ21、22のうちの一方又は両方が、正(又は零)トルクを車輪20に供給する。これは、液圧システム圧力及び車速を考慮して、モータ押退け容積を調節することによって行われる。ブレーキペダルの踏込みの最初の部分に対応するブレーキペダル8の位置を検知するセンサ7からの信号に対応させて、負トルク(すなわち、ブレーキ操作)が同様の方法で供給される。一方、ブレーキペダル8の踏込みの第二の部分においては、米国特許第5,505,527号に示されているように、従来の摩擦ブレーキ(図示されない。)が徐々に組み入れられる。この米国特許に示された事項を、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0046】
正、零又は負のトルク指令は、そのトルク指令に対して利用可能なポンプモータの最も高効率の押退け容積を設定することによって達成される。これは、米国特許第5,887,674号に示されたものと同じであり、その技術を、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0047】
前述されたように、押退け容積が零に設定されたポンプモータに対する高圧の液圧流体の供給を停止させることによって効率損失を低くすることができる。運転者が出す可能性のある各トルク指令に対して、すべての駆動用のポンプモータが最良の(すなわち、総合効率が最大となる。)押退け容積を設定することを可能にする唯一の解決策は、液圧システム圧力及び車速に基づいて設定値を決定することである。電子制御回路10は、センサ9からの信号に従い、メモリに記憶された、例えば、図4に示されているような検索表又は相関方程式から押退け容積設定値を取得し、指令信号を液圧制御ユニット15に対して出力する。
【0048】
本発明の第2の実施の形態は、オーバーセンタ式のポンプモータを利用し、液圧制御回路15(図2)を液圧制御回路15(図5)に置き換えたこと以外は図1と同様である。バルブ62、72、82は「閉止」(逆止)位置で逆止バルブ機能を提供し、それによって、ポンプモータからの高圧流体を前記高圧のラインに常に流入することができる。
【0049】
第2の好適な実施の形態においては、高圧と低圧とを切り換えるためのバルブは必要ではない。したがって、エンジン11が、モータとして作動するポンプモータ12によって始動され、ポンプとして作動するポンプモータ12の駆動を開始する場合、ポンプモータの押退け容積制御機構(図示されない。)は、ピストンストローキング手段をオーバーセンタに動かし、ポンプモータを介して液圧流体の流れ方向を反転する。したがって、ポンプモータ12がポンプとして作動している場合には、低圧のアキュムレータ17から低圧の液圧流体が、ライン18、液圧制御回路15(図5参照)及びライン19を介してポンプとして作動するポンプモータ12に供給される。ポンプとして作動するポンプモータ12は、高圧流体を、ライン16、液圧制御回路15(図5参照)及びライン14を介して高圧のアキュムレータ13に放出する。車輪20を駆動するための動力が要求される場合には、高圧流体は、また、ライン23、24のうちの一方又は両方を介して、モータとして作動するポンプモータ21、22のうちの一方又は両方に流れる。低圧流体は、モータとして作動するポンプモータ21、22のうちの一方又は両方から、ライン25、26のうちの一方又は両方、液圧制御回路15及びライン18を介して低圧のアキュムレータ17に放出される。
【0050】
車両にブレーキをかけることが必要になると、ポンプモータ21、22のうちの一方又は両方をオーバーセンタで駆動することによって、ポンプモータ21、22のうちの一方又は両方をポンプとして作動させることによって、車輪20から動力が取得され、流体の流れる方向が逆にされる。低圧流体は、ライン25、26のうちの一方又は両方を介して流れ、排出された高圧流体は、ライン23、24のうちの一方又は両方、液圧制御回路15及びライン14を介して高圧のアキュムレータ13に供給される。
【0051】
図5は、オーバーセンタ式ポンプモータを利用する第2の実施の形態のための液圧制御回路15の詳細を示す。
【0052】
液圧制御回路15に入るライン及び液圧制御回路15から出るラインは図1と同じであり、図1と同じ符号が付されている。図5の第2の実施の形態において、中央のサブ回路60においては、ポンプモータ12の一方側に接続されたライン16と高圧のライン14及び低圧のライン18とが、並列ライン64、65を介してそれぞれ接続され、ポンプモータ12の他方側に接続されたライン19と低圧のライン18とが直接(バルブを介することなく)接続される。
【0053】
中央のサブ回路60は、ポンプモータ12に入る流体及びポンプモータ12から出る流体の流れを制御する。高圧のライン14から、ライン16を介してエンジン11を始動するためにモータとして作動するポンプモータ12に流れる高圧流体のためにバルブ62が開放される。モータとして作動するポンプモータ12からの低圧流体は、低圧のライン19及び低圧のライン18を介して低圧のアキュムレータ17に放出される。
【0054】
エンジン11が始動されると、ポンプモータ12の押退け容積は急速に減少して零になり、並列ライン64中のバルブ62は、図5に示されている閉止、すなわち逆止位置に戻る。ポンプモータ12の押退け容積が完全に零でない場合、又は、ポンプモータ12にリークがある場合には、ライン65に任意的に配設された逆止バルブ63が、低圧流体がポンプモータ12に流れることを可能にする。したがって、ポンプモータ12にキャビテーションが発生するのを防止することができ、ポンプモータ12の低摩擦なニュートラル回転のためのニュートラルループが確立される。準備ができていて、必要性が生じた場合に、エンジン11は、ポンプとして作動するポンプモータ12を作動させる。ポンプモータ12はオーバーセンタでストロークされ、オーバーセンタ方向の押退け容積が増加される。低圧流体はポンプとして作動するポンプモータ12を介してライン19から流出する。高圧流体はライン16に放出され、並列ライン64及びバルブ62を介してライン14に流れる。
【0055】
車輪20を駆動するために動力が要求された場合には、高圧流体がサブ回路70、80のうちの一方又は両方から、ライン23、24のうちの一方又は両方を介して、モータとして作動するポンプモータ21、22のうちの一方又は両方に流れる。
【0056】
ポンプモータ21を制御するサブ回路70においては、ポンプモータ21の一方側に接続されるライン23と高圧のライン14及び低圧のライン18とが並列ライン74、75を介してそれぞれ接続され、ポンプモータ21の他方側に接続されたライン25と低圧のライン18とが直接(バルブを介することなく)接続される。サブ回路70が高圧流体をライン23に供給するように指令される場合、バルブ72が開放され、高圧流体は、ライン14から並列ライン74及びバルブ72を介してライン23に供給される。モータとして作動するポンプモータ21が車輪20にトルクを提供するように指令された場合、ポンプモータ21の押退け容積が零から所望のレベルに増大させられ、高圧流体はライン23及びポンプモータ21を介して流れ、低圧になってライン25及びライン18を介して低圧のアキュムレータ17に戻る。ライン75に任意的に配設された逆止バルブ73は、バルブ72が閉位置にある場合、ポンプモータ21にキャビテーションが発生するのを防止する。サブ回路80が高圧流体をライン24に供給するように指令された場合におけるサブ回路80の機能、及び並列ライン84、85、バルブ82及び任意的に配設された逆止バルブ83の機能は、低圧流体がライン26及びライン18を介してアキュムレータ17に戻ることを含めて、サブ回路70について記載した機能と同じである。
【0057】
車両にブレーキをかけることが必要になった場合には、ポンプモータ21、22のうちの一方又は両方をポンプとして作動させることによって車輪20から動力を取得することができる。サブ回路70がポンプモータ21をポンプとして作動させるように指令された場合、アクチュエータは、ポンプモータをオーバーセンタで所望の押退け容積が得られるようにストロークを調整する。低圧流体は、低圧のアキュムレータ17から、ライン18、ライン25を介してポンプとして作動するポンプモータ21に供給される。高圧流体は、ライン23に放出され、並列ライン74、バルブ72及びライン14を介して高圧のアキュムレータ13に供給される。サブ回路80がポンプモータ22をポンプとして作動させられるように指令された場合におけるサブ回路80の機能、並びにバルブ82及び任意的に配設された逆止バルブ83の機能は、サブ回路70について記載した機能と同じである。
【0058】
車両を後退させることが指令された場合には、ポンプモータ21、22のうちの一方又は両方、及びサブ回路70、80のうちの一方又は両方が使用される。サブ回路70、80の動作は同じであるので、車両の後退駆動をサブ回路70だけを使用して説明する。
【0059】
バルブ72が開放され、ポンプモータ21が指令押退け容積までオーバーセンターにストロークされる。これは、ポンプとして作動させられるポンプモータ21が回生制動のためにストロークされる場合と同じである。高圧流体は、ライン14から、並列ライン74、バルブ72及びライン23を介して、モータとして作動させられるポンプモータ21に逆方向に流入する。低圧流体は、ライン25に放出され、ライン18を介して低圧のアキュムレータ17に供給される。
【0060】
図6及び7は車両の運転者が一層効率的に運転することができるようにした駆動用のポンプモータのための動作制御を示す。図6に示される制御においては、ポンプモータ21、22(流体モータ)の動作は、センサ9によって検出されるアクセルペダル90の位置に従って制御される。アクセルペダル(アクセル要素)90が移動させられるゾーン1(第1の領域)は、最も小型のポンプモータ22だけが作動する踏込みに対応する。ゾーン1には四つのサブゾーン(サブ領域)がある。
【0061】
第1のサブゾーンは「不感帯」であり、第1のサブゾーンにおいて、電子制御回路10、すなわち、制御ロジックは、ポンプモータの押退け容積を零に維持する。したがって、効率が極めて低くなったり、押退け容積が極めて小さくなったりするのを防止する(ステップ310)。その結果、アクセルペダル90が踏み込まれた場合(ステップ300での「イエス」)、図7の制御ルーチンはステップ310に進み、ステップ310でペダルがサブゾーン1にあれば、排出指令信号は発生されない。
【0062】
アクセルペダル90の位置が第2のサブゾーン内にあると(ステップ320)、零の押退け容積(押退け容積が零であることを表す。)と、最低効率の押退け容積(許容し得る最低の効率の押退け容積を表し、本実施の形態においては、1/3の押退け容積)との間でポンプモータを作動させるための指令信号が出力される。
【0063】
次に、アクセルペダル90の踏込みに伴って第2のサブゾーンに入ったか、又はアクセルペダル90の解放に伴って第2のサブゾーンに入ったかが判断される(ステップ321)。運転者がこの第2のサブゾーン内の位置までアクセルペダル90を踏み込んでいる場合、制御ロジックは、排出指令に対してゆっくり応答する(例えば、零から1/3未満の押退け容積にする排出指令に対して、押退け容積を2秒をかけて調整する。)(ステップ323)。これらの排出指令からのトルク出力は極めて小さいので、一層迅速なトルク上昇が必要な場合には、運転者はアクセルペダル90を一層踏み込むと考えられ、この場合、1/3未満の押退け容積で実際に使われる時間が最小にされる。一方、運転者が第2のサブゾーン内の位置までペダル90を解放している場合、制御ロジックは、可能な限り迅速に押退け容積を零にする(ステップ322)。ペダル90が再び第2のサブゾーン内で押し下げられた場合には、制御ロジックは、前述された場合と同様に、押退け容積をゆっくり増大させる。
【0064】
第3のサブゾーンは、1/3の押退け容積から最大の押退け容積までの範囲であり、前記第3のサブゾーンにおいて、電子制御ユニット10(図1)は、前述されたように決定される排出信号を指令のバルブに可能な限り迅速に送る(ステップ331)。
【0065】
第4のサブゾーンにおいては、第2の「不感帯」(すなわち、アクセルペダル90の踏込みが、「もう少し」トルクが必要であることを示唆している場合でも、ポンプモータは最大の押退け容積に留められる。)にあり、可能な限り長い時間、ポンプモータ22を効率の高い最大の押退け容積に維持される。
【0066】
そして、運転者がペダル90をゾーン2(第2の領域)に踏み込むと(ステップ350)、大型のポンプモータ21がトルクを提供し始め、ポンプモータ21の押退け容積を、本実施の形態においては、1/3の押退け容積以上の押退け容量の設定値にし、同時にポンプモータ22の押退け容積を零にする。ゾーン2内において、電子制御ユニット10は、ポンプモータ21の押退け容積を指令値まで可能な限り迅速に大きくし、ポンプモータ21が1/3の押退け容積と最大の押退け容積との間で作動させられるための信号を送り(ステップ351)、ポンプモータ22の押退け容積が零になるようにポンプモータ22に指令を送る(ステップ352)。
【0067】
運転者がペダル90をゾーン3(第3の領域)に押し下げた場合には(ステップ360)、ポンプモータ21、22の両方に指令が送られ(ステップ361、362)、両ポンプモータ21、22の最大の押退け容積以下の、指令されたトルクを満足し、最も効率が高くなるように組み合わされた押退け容積の設定値でトルクを提供する。2台以上のポンプモータ21、22が使用される場合、すべてのポンプモータ21、22が最大の押退け容積で使用されるまで、同じロジックが追加のポンプモータに対して続けられることは明らかである。同様の制御ロジックを、ブレーキペダル(ブレーキ要素)を押し下げたときに行われる回生制動に対して適用することができる。
【0068】
図8は本発明の別の実施の形態を示す。本実施の形態においては、複数のポンプモータを配設したり、駆動用のポンプモータと駆動車輪との間に速度を変更するための変速機を配設したりすることなく、自動車の運転では典型的な広範囲のトルク指令に対して、効率的にトルクを発生させることができる。
【0069】
本実施の形態においては、指令が与えられた場合、利用可能な駆動用のポンプモータを使用して発生することができる最大のトルクを提供する。図8の実施の形態においては、図1の実施の形態での高圧のライン14が高圧のライン94に置き換えられ、置き換えられた高圧のライン94が同様に制御回路15に接続される。図8に示される他の構成要素は、高圧のアキュムレータ13に代えて配設されたものであり、図8には示されていないが、図1に示されている他の構成の部分は、変更を加えることなく使用される。
【0070】
図8の実施の形態においては、高いトルクが指令された場合、高圧のアキュムレータを「バルブアウト(バルブで切り離)」し、直接静圧モードで作動させる。低トルク指令及び中トルク指令においては、駆動用のポンプモータは、前述されたように作動させられる。現時点におけるシステム圧で、駆動用のポンプモータが供給することができる最大の押退け容積に対応したトルクより高いトルク指令に対しては、高圧のアキュムレータが液圧回路から「バルブアウト」され、システム圧を指令されたトルクに上昇させるのに十分な液圧動力をエンジンが供給する。
【0071】
このようにして、駆動用のポンプモータは、最大の定格システム圧での最大の押退け容積に対応するトルクまで、指令されたトルクを満足することができる最も高い効率(すなわち、最適の押退け容積及び圧力)で作動させられる。
【0072】
次に、図8のドライブトレーンの動作を、車両が低速状態にあり最大加速(すなわち、最大トルク)の指令を受け取った場合の作動を参照して説明する。車速が低く、液圧システムの圧力がシステムの最大定格圧力以下である場合、エンジン11は駆動用のポンプモータが利用することができる動力より、一層多くの動力を供給することができる。
【0073】
高圧のアキュムレータ93が開いている場合には、駆動用のポンプモータが最大の押退け容積である場合であっても、エンジン11は液圧流体を高圧のアキュムレータに供給する。システム定格圧力が5000〔psi〕であり、現在のシステム圧が2500〔psi〕である場合には、駆動用のポンプモータ21、22は、5000〔psi〕で利用可能なトルクの半分のトルク(及び動力)だけしか提供することができない。したがって、高圧のアキュムレータ93を液圧回路から外すと、システム圧は(この例では)5000〔psi〕まで直ちに上昇し、最大の可能トルク(及び動力)が車輪に供給される。
【0074】
図8を参照すると、高圧のライン94を介しての高圧のアキュムレータ93への流れは、バルブ91を閉じることによって停止させられる。極めて低い車速においては、最大のシステム定格圧を越えることを避けるために、エンジン動力がポンプモータ21、22を介して流れる液圧流体の流量に関連する動力と釣り合うようにエンジン動力を管理しなければならない。
【0075】
また、小型の補助高圧のアキュムレータ95(アキュムレータ93より小さい)を図8に示される回路に追加し、大型の高圧のアキュムレータ93が流体を受入れられない場合に、システム圧を緩和するようにしてもよい。車速及びポンプモータ12の速度が高くなると(図1)、流量が増加し、エンジン11から一層多くの動力が供給される。これは、エンジン11の動力出力が最大になるまで続く。エンジン11の動力出力が最大になって車速を越えると、エンジン11からの使用することができる最大の動力を利用し続けながら、駆動用のポンプモータ21、22の押退け容積は減少させられる。
【0076】
この状態は、車両の運転者からの最大の加速率の指令が停止させられるまで(すなわち、アクセルペダル90の踏込み量が減少されるまで)続く。システム圧と高圧のアキュムレータ93内の圧が等しくなったときにバルブ91を開放することによって、高圧のアキュムレータ93が再び液圧回路に戻され、「通常」動作(すなわち、前述されたような動作)が再開される。
【0077】
高圧のアキュムレータ93をシステムに戻す過渡期を円滑にするために、逆止バルブ92を回路に追加することができる。システム圧が高圧のアキュムレータ内の圧以下に低下すると、流体が高圧のアキュムレータ93から、逆止バルブ92を介して液圧回路に再び流れ始める。
【0078】
システム圧と高圧のアキュムレータ93の圧力とは等しいことが保証されているので、システムに何らの圧力スパイクを引き起こすことなく、バルブ91を開放することができる。
【0079】
図9は、前述されたように高圧のアキュムレータを「バルブアウト」することによって、直接静圧モードで作動させるための本発明の更に別の実施の形態を示す。図9において、図1の構成要素と同じ構成要素は同じ参照番号で表され、ライン16、18、19、23、24、25、26が接続されている構成要素は図1における構成要素と同じである。
【0080】
本実施の形態においては、低トルク指令及び中トルク指令だけでなく、高トルク指令が出力された場合にも、直接静圧モードでの作動を提供する。本実施の形態においては、車両が任意の車速で走行しているときに、低トルク指令又は中トルク指令を受けたが、現在のシステム圧が十分に高く、その結果、駆動用のポンプモータの押退け容積が極めて小さく、ポンプモータが所望の効率よりも低い効率で作動する場合の動作について説明する。
【0081】
高圧のアキュムレータ13からの高圧のライン104を介しての流れは、バルブ105を閉じることによって停止させられる(任意的に配設されたバルブ106及び任意的に配設された逆止バルブ107、108が回路に含まれていない場合)。
【0082】
エンジン動力出力は、車両によって要求される動力になるように小さくされ、システム圧は特定の最低値に低下させられ、駆動用のポンプモータ21、22は、指令されたトルクを維持することができ、効率良く作動することができるように、押退け容積を増大させることが許容されるか、又は増大させることが要求される。そして、前述されたように、直接静圧モード作動のために、一層高いトルク指令が容易に満足させられる。しかしながら、その車速で、エンジン動力出力がエンジン11に対して規定されている最低の効率の動力出力レベル以下になるようなトルク指令を受けた場合には、高圧のアキュムレータ13を液圧回路に戻さなければならず、バルブ105を開放しなければならない。
【0083】
システムへの液圧圧力スパイクが発生するのを避けるために、バルブ105が開放される前にシステム圧が高圧のアキュムレータの圧力まで高くされていなければならない。液圧流体を高圧のアキュムレータ13に供給することによって、エンジン11は最低の効率の動力出力レベルで駆動し続けることができる。システム圧が車速に対して設定された目標レベル以上である場合は、エンジン11を停止させ、アキュムレータ13によって車両動力を供給することができる。
【0084】
バルブ105を開放する前に、システム圧と高圧のアキュムレータ圧とを正確に一致させる必要があるが、その際の作業を容易にするために、バルブ106及び逆止バルブ107、108を回路に追加することができる。直接静圧モード作動が使用されない場合には、バルブ105、106はいずれも開放される。
【0085】
現時点で高圧のアキュムレータ13から利用することができる圧力より高いシステム圧が要求される場合には、バルブ105が閉じられ、前述された高トルク静圧モード作動が有効にされる。現時点で高圧のアキュムレータ13から利用することができる圧力より低いシステム圧が要求される場合には、低トルク指令及び中トルク指令に対する直接静圧モード作動がバルブ106を閉じることによって提供される。
【0086】
システム圧が高圧のアキュムレータ13内の圧力以上に上昇した場合、液体はシステムから逆止バルブ108を介して高圧のアキュムレータ13内に再び流れ始める。システム圧と高圧のアキュムレータ13の圧力は等しいことが保証されているので、バルブ106は、システムに何らの圧力スパイクを発生させることなく開放することができる。
【0087】
また、図9に示される実施の形態は、エンジン11を始動するのに利用される小型の補助アキュムレータ109を含む。低システム圧での動作を含む制御ロジックを利用する場合には、モータとして作動させられるエンジンポンプモータ12は、最低許容システム圧でエンジン11を始動するために十分大きくなくてはならない。その結果、ポンプとしての動作に対して(最大効率のために)必要とされ、又は所望されるものよりも大きいポンプが必要になる。
【0088】
図9に示されている実施の形態は、極めて小型のエンジン用のポンプモータ12を使用することを可能にする。システム圧は低い値と高い値との間で周期的に変化するので、前記補助アキュムレータ109と前記高圧のライン14との間に挿入された逆止バルブ110は、流体が補助アキュムレータ109に入るのを可能にし、最後のエンジン始動以降に到達した最高圧まで充填(てん)が行われる。バイパスライン112に配設されたバルブ(制御バルブ)111は、最後にエンジン11が駆動された以後、閉止位置にある。
【0089】
エンジン11を始動することが必要になった場合には、バルブ111が開放され、高圧流体がバイパスライン112を介してポンプモータ12に流れ、ポンプモータ12はモータとして動作してエンジン11を始動する。
【0090】
エンジン11が始動すると、バルブ111は再び閉じられ、ポンプモータ12がポンプとして作動させられる。図2に示されたバルブ32及びライン36は本実施の形態では使用されない。
【0091】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の動力伝達装置の好適な実施の形態のブロック図である。
【図2】液圧制御回路の第1の好適な実施の形態の回路図である。
【図3】本発明の動力伝達装置のポンプモータの好適な配置を示す概略図である。
【図4】特定の速度についてのポンプモータの押退け容積設定値のテーブルを示す図である。
【図5】液圧制御回路の第2の好適な実施の形態の回路図である。
【図6】アクセルペダルを使用した制御方式を示す図である。
【図7】制御プログラムの好適な実施の形態を示すフローチャートである。
【図8】図1における実施の形態の変形部分を示す概略図である。
【図9】図1における駆動系の一部分についての他の変形例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0093】
10 電子制御回路
11 エンジン
12 エンジン用ポンプモータ
13 高圧のアキュムレータ
14 高圧のライン
15 液圧制御回路
17 低圧のアキュムレータ
18 低圧のライン
20 車輪
21、22 駆動用ポンプモータ
32、35、42〜45、52、55 バルブ
36〜39 並列ライン
126 シャフト
225、325 駆動ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の駆動輪と、
動力出力用のクランクシャフトを備えた内燃機関と、
液圧流体を受け入れて圧力を蓄えるとともに、該蓄えられた圧力を放出する少なくとも一つのアキュムレータと、
前記駆動輪に接続されたギヤセットと、
該ギヤセットの一つのギヤの両側に配設された第1、第2の液圧ポンプモータと、
前記アキュムレータ、及びポンプモードにある前記第1、第2の液圧ポンプモータのうちの少なくとも一方に液圧流体を供給するために前記内燃機関によって作動させられる第3の液圧ポンプモータとを有するとともに、
前記第1、第2の液圧ポンプモータは、第1、第2の液圧ポンプモータ間に配設され、前記一つのギヤが取り付けられた共通の入出力シャフトを共用し、軸方向に位置合わせされるとともに、前記共通の入出力シャフトの両端に固定され、前記ギヤセットを介して前記駆動輪を駆動するためにモータモードで作動させられ、駆動輪のブレーキ操作に対応させて前記アキュムレータに液圧流体を供給するポンプモードで作動させられることを特徴とする自動車用動力伝達装置。
【請求項2】
前記第1、第2の液圧ポンプモータはインライン形ピストンポンプである請求項1に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項3】
前記第1、第2の液圧ポンプモータは斜軸ピストンポンプである請求項1に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項4】
前記第3の液圧ポンプモータは、一体回転のために前記クランクシャフトに固定されたシャフトを有する請求項1に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項5】
一対の駆動輪と、
内燃機関と、
高圧のラインからの高圧流体の受け取りに対応させてモータモードで前記駆動輪を駆動するとともに、駆動輪のブレーキ操作に対応させて前記高圧のラインに高圧流体を供給するためにポンプモードで作動するオーバーセンタで作動可能な第1の液圧ポンプモータと、
前記高圧のラインからの高圧流体の受け取りに対応させてモータモードで前記内燃機関を始動させるとともに、前記内燃機関によって駆動され、前記高圧のラインに高圧流体を供給するためにポンプモードで作動するオーバーセンタで作動可能な第2の液圧ポンプモータと、
前記高圧のラインと連通する高圧のアキュムレータと、
低圧のラインと連通する低圧のアキュムレータと、
前記第1の液圧ポンプモータの一方側と前記高圧のライン及び低圧のラインとをそれぞれ並列に接続するための第1、第2の並列ラインとを有するとともに、
前記第1の並列ラインは、前記高圧のラインから前記第1の液圧ポンプモータの前記一方側に高圧流体を流すために開放される第1のバルブを備え、
前記第2の並列ラインは、前記高圧のラインから前記低圧のラインへの流体の流れを阻止する逆止バルブである第2のバルブを備え、
前記第1の液圧ポンプモータの他方側は前記低圧のラインに接続され、
前記第2の液圧ポンプモータの一方側と前記高圧のライン及び低圧のラインとをそれぞれ並列に接続するための第3、第4の並列ラインを有するとともに、
前記第3の並列ラインは、前記高圧のラインから前記第2の液圧ポンプモータの前記一方側に高圧流体を流すために開放される第3のバルブを備え、
前記第4の並列ラインは、前記高圧のラインから前記低圧のラインへの流体の流れを阻止する逆止バルブである第4のバルブを備え、
前記第2の液圧ポンプモータの他方側は前記低圧のラインに接続されることを特徴とする自動車用動力伝達装置。
【請求項6】
高圧流体の供給に対応させてモータモードで前記駆動輪を駆動するとともに、該駆動輪のブレーキ操作に対応させて高圧のラインに高圧流体を供給するためにポンプモードで作動するオーバセンタで作動可能な第3の液圧ポンプモータと、
該第3の液圧ポンプモータの一方側と前記高圧のライン及び低圧のラインとをそれぞれ並列に接続するための第5、第6の並列ラインとを有するとともに、
前記第5の並列ラインは、前記高圧のラインから前記第3の液圧ポンプモータの前記一方側に高圧流体を流すために開放される第5のバルブを備え、
前記第6の並列ラインは、前記高圧のラインから前記低圧のラインへの高圧流体の流れを阻止する逆止バルブである第6のバルブを備え、
前記第3の液圧ポンプモータの他方側は前記低圧のラインに直接接続される請求項5に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項7】
前記第2の並列ラインの前記バルブは逆止バルブである請求項5に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項8】
前記第2、第4の並列ラインの前記バルブは逆止バルブである請求項5に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項9】
前記第2、第4、第6の並列ラインの前記バルブは逆止バルブである請求項6に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項10】
ギヤセットを有するとともに、
該ギヤセットを介して前記駆動輪が前記第1、第3の液圧ポンプモータによって駆動され、
前記第1、第3の液圧ポンプモータは、前記ギヤセットの駆動ギヤと同軸にその両側に取り付けられ、前記第1、第3の液圧ポンプモータのシャフトは、前記駆動ギヤのための一つの駆動シャフトと一体化される請求項6に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項11】
前記第1、第3、第5のバルブは、前記液圧ポンプモータから高圧のラインへの高圧流を常時許容するために、閉じられたときに逆止バルブの機能を有する請求項6に記載の自動車用動力伝達装置。
【請求項12】
一対の駆動輪と、
内燃機関と、
高圧のラインからの高圧流体の受け取りに対応させて前記駆動輪を駆動する第1の流体モータと、
前記内燃機関によって駆動され、前記高圧のラインに高圧流体を供給するポンプと、
前記高圧のラインを介して高圧流体を受け取ったり、放出したりする高圧のアキュムレータと、
低圧のラインを介して低圧流体を受け取ったり、放出したりする低圧のアキュムレータと、
前記高圧のラインからの高圧流体の受け取りに対応させて前記駆動輪を駆動する、前記第1の流体モータよりも容量の小さい第2の流体モータと、
複数の領域に分割された移動範囲内におけるアクセル要素の位置を検出するセンサと、
アクセル要素が位置する領域に従って、前記第1の流体モータ及び/又は前記第2の流体モータを動作させるための指令信号を選択的に発生させる電子制御ユニットとを有するとともに、
該電子制御ユニットは、第1の領域のサブ領域内における前記アクセル要素の位置に対応させて変更し、第1の領域内の前記第2の流体モータだけを作動させるための第1の指令信号を発生させ、第1の領域の他のサブ領域内における前記アクセル要素の移動にかかわらず、前記第1の指令信号を変更しないままとし、第2の領域内における前記アクセル要素の検出に対応させて前記第1の流体モータだけを作動させるための第2の指令信号を発生させ、第3の領域内における前記アクセル要素の検出に対応させて、前記第1、第2の流体モータのうちのいずれかを作動させることを特徴とする自動車用動力伝達装置。
【請求項13】
前記アクセル要素はアクセルペダルであり、
該アクセルペダルが踏み込まれると、アクセルペダルは、前記第1〜第3の領域を順番に移動する請求項12に記載の自動車用動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−261578(P2007−261578A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130760(P2007−130760)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【分割の表示】特願2001−552039(P2001−552039)の分割
【原出願日】平成13年1月8日(2001.1.8)
【出願人】(500311923)ユナイテッド ステイツ エンバイロメンタル プロテクション エージェンシー (5)
【Fターム(参考)】