説明

液晶パラメータ測定の方法及び装置

【課題】液晶パラメータ測定の方法及び装置の提供。
【解決手段】第1電気コントローラにより線偏光ジェネレータを調整し、第2電気コントローラにより偏光分析器を調整する。該線偏光ジェネレータは光源からの入射光を受け取り並びに複数の偏光の特徴を抽出し、第1電気コントローラにより制御されて、この複数の偏光を測定サンプルに照射する。該測定サンプルを透過した光は偏光分析器に受け取られる。第2電気コントローラは該偏光分析器を制御して特定の偏光を抽出して後端のデータ処理装置に送る。該データ処理装置は該偏光分析器からの偏光データを受け取り液晶分割層モデルを使用して少なくとも一つの液晶パラメータを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の液晶(liquid crystal cell,LC Cell)パラメータ測定の方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ技術の応用領域は広範であり、たとえばタッチスクリーン或いは市場で見られるようになった3D立体テレビなどは、いずれも各産業研究機構により良好な発展と見なされている。そのうち、液晶は液晶パネルにおいて光学スイッチの役割を果たし、その液晶光学パラメータの映像品質の優劣に対する影響は非常に大きい。
【0003】
たとえば、液晶注入パネル(filled LC panel)は、その厚さが空パネル(empty panel)とは異なり、その液晶厚さの均一度が映像品質に非常に大きな影響を与える。特に、高画質のマルチドメイン垂直配向(multi−domain vertical alignment,MVA)パネルは、液晶間隙均一度に対する要求がより高く、微小液晶間隙不均一に対して、5mmより小さいムラ(輝度差)現象を発生し得る。
【0004】
現在、製造されるパネルサイズがますます大きくなり、且つ表示品質要求も更に高くなり、パネル全体の均一度と光学パラメータの設計値の監視制御は、パネル製品の表示品質及びコスト管理上、さらに重要となっており、直接にメーカーの製品競争力に影響を与える。
【0005】
多くの液晶光学パラメータ測定技術は、ただ一般的な液晶配向(Alignment)形態に対する解析を行うだけであり、機能上と測定範囲上、制限がある。或いは、特定順序のステップによる測定メカニズムは、測定速度と正確性をアップすることができない。米国のある特許文献に記載のストークパラメータ(Stokes parameter)を使用して液晶厚さ(Cell Gap)とねじれ角(Twist Angle)を測定する技術においては、旋回分析器を利用してストークパラメータを得る。この液晶厚さとねじれ角測定の技術は、ストークパラメータにより分析可能な情報が不足するという制限を受けて、測定誤差を招く。後続の改良方法は、たとえば、マルチ波長方式で測定することで単波長測定の誤差を改善するものがあるが、この方法とスペクトル式偏光器と偏光分析器の液晶パラメータ測定方法を比較しても、特に優れたところはない。
【0006】
また別の米国特許文献に記載の、スペクトル式偏光器と偏光分析器を液晶厚さ測定に使用した技術においては、測定した得られた位相差(Retardation)と既知の屈折率を換算して液晶厚さを得る。この技術は液晶光学パラメータの測定に対して、特定順序で解を求める必要があり、測定の正確性と測定速度が制限される。
【0007】
また別の米国特許文献に記載の、液晶プレティルト角測定構造では、位相差数値理論モデルを用いたねじれネマティック(Twisted Nematic)液晶パネル測定方法が開示されている。この方法は、複数の入射角度を利用し、数値に位相差をフィッティングさせる方法により液晶プレティルト角(Pre−tilt Angle)と液晶厚さを求める。この技術は比較的小範囲角度の解を求めるのに適用され、情報不足により比較的大きな誤差をもたらす恐れがある。
【0008】
また別の米国特許文献に記載の、液晶プレティルト角測定構造では、構造内に4分の1波長板(Waveplate)を包含し、サンプル回転時に発生する透過光の非対称性により液晶プレティルト角をフィッテングする。この技術は正面入射のみ必要とし、ゆえに機構上の設計を簡易化できるが、ねじれ角が比較的小さい液晶パネル(たとえば:π−cell)には不適用である。
【0009】
図1は周知の理論モデルが用いるホモジナス三次元液晶モデル構造の一例の表示図である。周知の理論モデル中、異方性(Anisotropic)物質(たとえば液晶)はいずれも一種のバルク(Bulk)構造と見なされ、簡易な物理方程式を使用して数値分析を行うことができる。図1に示されるように、液晶パネル内の液晶分子1、液晶分子2、及び液晶分子3のプレティルト角θはいずれも等しく、且つねじれ角は0度とされすなわち結晶構造と見なされる。そのうち、符号106は入射線偏光とされ、符号107は測定サンプル103を透過した透過光とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
周知の技術の限界と将来の市場の要求に対して、新たな測定方法と装置を開発して高効率で高精度の測定を達成し、並びに解決対策の提供が急がれるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、液晶パラメータ測定の装置において、
光源からの入射光を受け取り並びに該入射光より複数の入射線偏光を抽出する線偏光ジェネレータと、
該線偏光ジェネレータに接続されて該線偏光ジェネレータを調整して該線偏光ジェネレータに異なる方位角の該線偏光を発生させる第1電気コントローラと、
中心方向軸線が該線偏光と傾斜夾角を形成する測定サンプルと、
該測定サンプルを透過した透過光を受け取る偏光分析器と、
該偏光分析器に接続されて該偏光分析器を調整し、特定の偏光強度を抽出させる第2電気コントローラと、
該装置の後端に置かれ、該偏光分析器より抽出された偏光データを受け取り、液晶分割層理論モデルにより、少なくとも一つの液晶光学パラメータを求めるデータ処理装置と、 を包含したことを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該線偏光ジェネレータは、偏光器と第1回転プラットフォームを包含し、該偏光器は該第1回転プラットフォームに固定され、該第1電気コントローラにより該第1回転プラットフォームが制御されることで異なる方位角の線偏光が生成され、並びに設定された傾斜角度で該測定サンプルに投射されることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該偏光分析器は波長板、第2回転プラットフォーム、偏光検出器及び光受信器を包含し、該波長板は該第2回転プラットフォームに固定され、該第2電気コントローラにより該第2回転プラットフォームが制御されて、特定の偏光強度が抽出され、並びに該光受信器により受信された光強度変化が電流或いは電圧情報に変換されることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項4の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該線偏光ジェネレータはさらに偏光器、前処理電圧調整位相シフタと波長板を包含し、該偏光器の前に光学フィルタが設置され、且つ該波長板は該光学フィルタの波長の4分の1に対応し、該光学フィルタにより光源の特定波長が抽出され、該線偏光ジェネレータにより線偏光が抽出され、該第1電気コントローラにより該前処理電圧調整位相シフタが制御され、該線偏光ジェネレータに異なる方位角の線偏光を生成させ、並びに設定された傾斜角度で該測定サンプルに投射させることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項5の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該偏光分析器は、さらに第2電圧調整位相シフタ、偏光検出器、及び光受信器を包含し、該偏光分析器が該測定サンプルをい透過した透過光を分析し、該第2電気コントローラが該第2電圧調整位相シフタの位相を調整し、特定の偏光強度を抽出し、該光受信器により受信した光強度変化を電流或いは電圧情報に変換することを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項6の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該測定サンプルは傾斜機構の上に置かれ、さらに該傾斜機構を回転させる方式により、該測定サンプルの中心方向軸線と該線偏光に傾斜夾角を形成させることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項7の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該線偏光ジェネレータを回転させることにより、該測定サンプルの中心方向軸線と該線偏光に傾斜夾角を形成させ、該偏光分析器も対応する回転により該測定サンプルを透過した透過光を受け取ることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項8の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該液晶分割層理論モデルはジョーンズマトリクス或いは拡張ジョーンズマトリクスを使用して展開されることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項9の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該液晶分割層理論モデルは、
M=R(−α)R(φ)R(−△φ)Mj-1Λ R(−△φ)・M1R(−△φ)M0R(α)
と表示され、そのうち、R(α)とR(−α)は座標系変換表示式とされ、αは第0層液晶分子の配向角度であり、Mkは各1層の液晶の電場表示式を代表することを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項10の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、抽出される該特定の偏光強度は、線偏光、異なる楕円率と異なる旋回性の偏光特性を包含することを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項11の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、求められる液晶光学パラメータは、配向角度、ねじれ角、液晶厚さ及びプレティルト角の少なくとも一つとされることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項12の発明は、請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、求められる液晶光学パラメータは、配向角度、ねじれ角、液晶厚さ及びプレティルト角の少なくとも一つとされ、該液晶分割層理論モデルと測定信号のフィッティング或いは対比原理により求められることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置としている。
請求項13の発明は、液晶パラメータ測定の方法において、
開始するために少なくとも一つの液晶光学パラメータを入力し、
傾斜角度を設定して光源から特定偏光成分を抽出して設定した傾斜角度で測定サンプルに投射し、
特定光強度の信号を取得し、各傾斜角度の光強度信号を測定開始し、そのとき偏光分析器を使用して該測定サンプルを透過した特定の偏光強度を抽出し、
理論モデルと該特定の偏光強度の信号を対比又はフィッティングし、その時理論モデルと少なくとも一つの測定信号を使用し、該偏光強度とデータ処理装置に構築した液晶分割層理論モデルにより、少なくとも一つの液晶光学パラメータを得、
以上のステップを包含することを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法としている。
請求項14の発明は、請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、抽出される該特定の偏光強度は、線偏光、異なる楕円率と異なる旋回性の偏光特性を包含することを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法としている。
請求項15の発明は、請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、該液晶分割層理論モデルはジョーンズマトリクス或いは拡張ジョーンズマトリクスを使用して展開されることを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法としている。
請求項16の発明は、請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、該液晶分割層理論モデルは、
M=R(−α)R(φ)R(−△φ)Mj-1Λ R(−△φ)・M1R(−△φ)M0R(α)
と表示され、そのうち、R(α)とR(−α)は座標系変換表示式とされ、αは第0層液晶分子の配向角度であり、Mkは各1層の液晶の電場表示式を代表することを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法としている。
請求項17の発明は、請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、求められる液晶光学パラメータは、配向角度、ねじれ角、液晶厚さ及びプレティルト角の少なくとも一つとされることを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法としている。
請求項18の発明は、請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、求められる液晶光学パラメータは、配向角度、ねじれ角、液晶厚さ及びプレティルト角の少なくとも一つとされ、該液晶分割層理論モデルと測定信号のフィッティング或いは対比原理により求められることを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法としている。
【発明の効果】
【0012】
総合すると、本発明の実施例は以下の技術特徴を有する。
(1)偏光測定技術に新規な液晶理論モデルを組合せ、ねじれ角とプレティルト角の厚さ方向の変化を同時に考慮し、複数の液晶パラメータを同時計算できる。
(2)この液晶分割層理論モデルを組み合わせて、異なるタイプの液晶態様の光学特性を解析できる。ゆえに、産業の多元化の要求に符合する。
(3)三次元ディスプレイのマイクロ位相差膜(micro retarder)の光学複屈折特性の測定に応用可能である。
【0013】
これにより、本発明の実施例の提出する液晶パラメータ測定の方法及び装置は、確実にその記載する技術により新規性、進歩性と産業上の利用価値の特許の要件に符合する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】周知の理論モデルが用いるホモジナス三次元液晶モデル構造の一例の表示図である。
【図2】本発明の液晶パラメータ測定の装置の実施例表示図である。
【図3】本発明の液晶パラメータ測定の装置の動作例の表示図である。
【図4】本発明の液晶パラメータ測定の装置の別の動作例の表示図である。
【図5】本発明中、ねじれネマティック液晶の三次元構造の例の表示図である。
【図6】本発明中、π−cell液晶パネルの三次元構造の例の表示図である。
【図7】本発明の液晶パラメータ測定の方法の実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明はある実施例において、一種の液晶パラメータ測定の装置を提供する。この装置は、線偏光ジェネレータ、該線偏光ジェネレータを調整して異なる方位角の線偏光を生成させる第1電気コントローラ、中心方向軸線が該線偏光と傾斜夾角を形成する測定サンプル、偏光分析器、該偏光分析器を調整する第2電気コントローラ、及びデータ処理装置を包含する。
【0016】
そのうち、該線偏光ジェネレータは、光源からの入射線偏光を抽出し並びに該測定サンプルに投射し、該線偏光ジェネレータの生成する異なる方位角の線偏光は、該第1電気コントローラにより調整され、線偏光を該測定サンプルに投射し、該測定サンプルの中心方向軸線が該線偏光と傾斜夾角を形成し、該測定サンプルを透過した透過光は該偏光分析器により受信され、該偏光分析器は該第2電気コントローラにより調整されて、線偏光、異なる楕円率(Ellipticity)と異なる旋回性(Handedness)の偏光を抽出し、後端のデータ処理装置により、並びに液晶分割層モデルを通し、フィッティングにより少なくとも一つの液晶光学パラメータを得る。
【0017】
本発明の別の実施例はまた、液晶光学パラメータ測定の方法を提供し、この方法は、開始の少なくとも一つの液晶光学パラメータを入力し、液晶パネルに、入射光方向に対する傾斜角度範囲及び各隣り合う傾斜角度の間隔を入力し、光源より複数の方位角の線偏光成分を取り出す。各傾斜角度の光強度信号の測定を開始し、それは偏光分析器を使用して液晶パネルを透過する複数の偏光強度を得る、及び理論モデルと少なくとも一つの測定信号を通し、この偏光強度よりデータ処理装置が構築した液晶分割層モデルを利用し、少なくとも一つの液晶光学パラメータを得る。
【0018】
以下に、図面、実施例の詳細な説明を組合せ、本発明のその他の目的を呼び長所を詳しく説明する。
【0019】
ここに記載の実施例は、線偏光ジェネレータ(Linear Polarization Generator)と、偏光分析器(Polarization Analyzer)に基づき、並びに液晶分割層モデルを組合せ、同時にねじれ角とプレティルト角の厚さ方向の変化を考慮し、線偏光ジェネレータで異なる方位角の線偏光を測定サンプルに投射し、並びに偏光分析器が構成する複数組の偏光特性が抽出する光強度を組合せ、フィッティング或いは対比計算により少なくとも一つの液晶光学パラメータを得る。該液晶光学パラメータは各種の定向形態の液晶パネル測定に適用可能である。
【0020】
図2は本発明の液晶パラメータ測定の装置の実施例表示図である。この装置は、線偏光ジェネレータ102、該線偏光ジェネレータ102を調整して異なる方位角の線偏光を生成させる第1電気コントローラ201、中心方向軸線が該線偏光と傾斜夾角を形成する測定サンプル103、偏光分析器104、該偏光分析器104を調整する第2電気コントローラ202、及びデータ処理装置105を包含する。
【0021】
そのうち、該線偏光ジェネレータ102は、光源101からの入射線偏光106を抽出し並びに該測定サンプル103に投射する。該線偏光ジェネレータ102が生成する異なる方位角の線偏光は、該第1電気コントローラ201により調整される。注意するべきことは、測定サンプル103の中心方向軸線が該線偏光と傾斜夾角を形成することにより、線偏光が該測定サンプル103に投射されることである。
【0022】
該測定サンプル103を透過した透過光107は該偏光分析器104により受信され、該偏光分析器104は第2電気コントローラ202により調整され、線偏光、異なる楕円率、及び異なる旋回性の偏光が抽出され、最後に、後端のデータ処理装置105により、液晶分割層理論モデル115を通し、フィッティングにより少なくとも一つの液晶光学パラメータ125が得られる。
【0023】
注意すべきことは、測定サンプル103の中心方向軸線と該線偏光に傾斜夾角を形成させる方式は異なるメカニズムにより実施され得ることであり、本発明は特定手段に限定していない。たとえば、傾斜機構を利用し、該測定サンプル103を該傾斜機構上に置き、さらに該傾斜機構を回転させる方式により、該測定サンプル103の中心方向軸線と該線偏光に傾斜夾角を形成させることができる。図2中に示されるXはすなわち、該傾斜機構の回転軸である。
【0024】
別の実施手段は、線偏光ジェネレータ102を回転させることにより、該測定サンプル103の中心方向軸線と該線偏光に傾斜夾角を形成させ、偏光分析器104も対応して回転させられて、該測定サンプル103を透過した透過光107を受け取る、というものである。図2中に示される点線回転矢印は、この実施手段を示す。
【0025】
以下の記述は、傾斜機構を実施手段として説明するが、その他の同等の実施手段も本発明に適用できる。
【0026】
図3は本発明の液晶パラメータ測定の装置の動作例の表示図である。線偏光ジェネレータ102は偏光器301が回転プラットフォーム302に固定されることで実現され、並びに第1電気コントローラ201が回転プラットフォーム302を制御して異なる方位角の線偏光を生成させ、並びに傾斜機構に取付けられた測定サンプル103に投射させる。
【0027】
一方で、偏光分析器104は波長板303、偏光検出器305及び光受信器306を回転プラットフォーム304に固定することにより実現され、第2電気コントローラ202により回転プラットフォーム304が制御されて、線偏光、異なる楕円率と異なる旋回性の偏光が抽出され、並びに光受信器306により光強度変化が受信されて電流或いは電圧情報に変換された後、後端のデータ処理装置105に送られて、液晶分割層モデルを利用し、フィッティングにより少なくとも一つの液晶光学パラメータ125が得られる。
【0028】
図4は本発明の液晶パラメータ測定の装置の別の動作例の表示図である。線偏光ジェネレータ102は偏光器301、前処理電圧調整位相シフタ308と波長板309により実現される。該偏光器301の前に光学フィルタ(Optical Filter)307が設置され、且つ波長板309は光学フィルタ307の波長の4分の1に対応する。その操作は、光学フィルタ307により光源の特定波長を抽出し、線偏光ジェネレータ102により線偏光を抽出し、第1電気コントローラ201により前処理電圧調整位相シフタ308を制御して、線偏光ジェネレータ102に異なる方位角の線偏光を生成させ、並びに傾斜機構108に付加された測定サンプル103に投射させる。
【0029】
一方で、偏光分析器104は、電圧調整位相シフタ310、偏光検出器305及び光受信器306により実現され得る。偏光分析器104により測定サンプル103を透過した透過光107が分析される。第2電気コントローラ202により電圧が印加されて電圧調整位相シフタ310の位相が調整され、線偏光、異なる楕円率及び異なる旋回性の偏光が抽出され、並びに光受信器306により光強度変化が受信され並びに電流或いは電圧情報に変換され、さらに後端のデータ処理装置105に送られ、液晶分割層モデルにより、フィッティングにより少なくとも一つの液晶光学パラメータ125が得られる。
【0030】
液晶パネルは、製品応用上の要求により、周知の技術の結晶構造理論モデルでは使用に十分ではなく、その原因の一つは、結晶構造の仮説は、僅かに全体の平均特性を代表するだけであり、液晶のプレティルト角が厚さ方向に対称漸次変化構造を現出すると(たとえば、π−cell液晶パネル)、周知の結晶構造理論モデルは光学上の対称相殺の分析能力を喪失してしまう可能性がある。さらに、ねじれネマティック型液晶パネルは、ねじれ角のe−wave及びo−waveに対する効果を考慮する必要があり、上述の多種の状況はいずれも周知の結晶理論モデルを修正することで、液晶パラメータ計算の精度を高める必要があった。
【0031】
図5に示されるのは、本発明中、ねじれネマティック液晶の三次元構造の実施例の表示図である。仮に、プレティルト角を固定値θとし、並びにねじれ角は厚さ(d)方向に沿った変数とする。もし、厚さ(d)方向に全部でj層に分割すると、第k層(k=0,1,2,...,j−1)ねじれ角は、
φk=α+(k/j)φ
と表示可能で、そのうち、αは第0層液晶分子1の配向角度であり、第0層液晶分子1と第k層液晶分子3の遅軸(slow axis)のx−y平面上の投影の差の値はすなわちねじれ角φとされ、ゆえに、隣り合う液晶分子のねじれ角差は、
△θ=φ/j
とされる。
【0032】
図6に示されるのは本発明の、π−cell液晶パネルの三次元構造の実施例表示図である。仮にプレティルト角を厚さ(d)方向に沿った変数とし、厚さ(d)方向に沿って、全部でj層に分割したとすると、第k層(k=0,1,2,...,j−1)プレティルト角は、
θk=θ−2θ(k/j)
と表示可能で、そのうち、θは第0層液晶分子1のプレティルト角とされ、すなわち、隣り合う液晶分子のプレティルト角差は、
△θ=−2θ/j
と表示できる。
【0033】
以上の例は液晶ねじれ角と液晶プレティルト角がいずれも厚さ方向に沿っての変数とされてもよい。或いは第0層液晶分子1と第j−1層液晶分子3のプレティルト角の差異を導入して、上下ガラスのプレティルト角誤差を代表させてもよく、これによりさらに良好なフィッティング結果を獲得できる。
【0034】
上述の新理論モデルの記載を受けて、本発明の液晶分割層モデル表示は、
M=R(−α)R(φ)R(−△φ)Mj-1Λ R(−△φ)・M1R(−△φ)M0R(α)
と表示され、そのうち、R(α)とR(−α)は座標系変換表示式とされ、αは第0層液晶分子の配向角度である。Mは各1層の液晶の電場表示式であり、分割層数量が十分に多くなると、各1層の液晶は均質(Homogeneous)特性であると見なすことができる。分割層の計算過程中、ねじれ角差は座標系変換表示式R(−△φ)により修正されなければならない。プレティルト角差は各1層を計算する時、θkの数値を修正する。
【0035】
この分割層理論モデルのマトリクスは、さらにジョーンズ(Jones)マトリクス或いは拡張(Extended)ジョーンズマトリクスを使用して展開され得る。
【0036】
図2、図3及び図4の構造により、光強度理論方程式は、
【数1】

と表示され得て、S[p(t),β(t),r(t)]はそれぞれ入射線偏光106の方位角p(t)、波長板303(或いは電圧調整位相シフタ310)の方位角β(t)、及び波長板303(或いは電圧調整位相シフタ310)の位相r(t)の時間変化に伴う関数であり、Aは偏光検出器305の電場表示式で、この実施例のAは透過軸(Transmission Axis)角度が0度に固定され、波長板303(或いは電圧調整位相シフタ310)の電場表示式はC[β(t),r(t)]とされ、E[p(t)]は入射線偏光106の電場表示式とされる。実際の光受信器306が測定する光強度は、I[p(t),β(t),r(t)]と表示でき、このとき、液晶光学パラメータ125は以下の例によりフィッティングにより求められる。
【0037】
例1:
電圧調整位相シフタ310の方位角αが不変で、線偏光ジェネレータ301の入射線偏光方位角pと電圧調整位相シフタ310の位相rは時間に伴い変化する関数の方式でフィッティングにより求められる。
【数2】

方程式(1)の左式の分子は右式の分子に対応し、右式の分子が対応するのは時間t1時の理論方程式である。左式の分母は右式の分母に対応し、右式の分母が対応するのは時間t2時の理論方程式である。例1は複数組の時間の測定結果を導入して、少なくとも一つの液晶光学パラメータを求める。
【0038】
例2:
波長板303の位相rが不変で、入射線偏光106方位角pと波長板303の方位角αが時間に伴い変化する関数の方式でフィッティングにより求められる。
【数3】

方程式(2)の左式の分子は右式の分子に対応し、右式の分子が対応するのは時間t3時の理論方程式である。左式の分母は右式の分母に対応し、右式の分母が対応するのは時間t4時の理論方程式である。例2は複数組の異なる時間の測定結果を導入して、少なくとも一つの液晶光学パラメータを求める。
【0039】
例3:
偏光総強度I[45°,45°,0°]+I[45°,45°,90°]を考慮して正規化演算を行う。
【数4】

方程式(3)の左式は右式の時間t5時の理論方程式に対応する。この例3は複数組の異なる時間の測定結果を導入して、少なくとも一つの液晶光学パラメータを求める。
【0040】
例4:
偏光総強度I[45°,45°,90°]+I[45°,135°,90°]を考慮して正規化演算を行う。
【数5】

方程式(4)の左式は右式の時間t6時の理論方程式に対応する。この例4は複数組の異なる時間の測定結果を導入して、少なくとも一つの液晶光学パラメータを求める。
【0041】
図7は本発明の液晶パラメータ測定の方法の実施例のフローチャートである。まずステップ711に示されるように、開始するのに少なくとも一つの液晶光学パラメータを入力する。
【0042】
続いて、ステップ712のように、入射角度範囲を設定し、このステップにおいては、液晶パネルの入射光方向に対する傾斜角度範囲と各隣り合う傾斜角度の間隔を入力し、それは光源より複数の方位の線偏光成分を抽出し、設定された入射角度の入射光を液晶パネルに投射する。
【0043】
さらにステップ713のように、各傾斜角度の光強度信号の測定開始し、それは偏光分析器を利用して液晶パネルを透過した複数の偏光の強度を抽出する。
【0044】
さらにステップ714のように、理論モデルと測定信号のフィッテイング或いは対比により、この偏光強度からデータ処理装置に構築された液晶分割層理論モデルを用い、少なくとも一つの液晶光学パラメータを求める。
【0045】
注意すべきことは、本発明は使用状況により各種の変化が可能であることである。たとえば、異なる種類の偏光器301、電圧調整位相シフタ310、偏光検出器305及び光受信器306の使用、或いは波長板303、異なる方位角の切り換えを行う偏光検出器305及び光受信器306の形成する偏光分析器104の使用等である。
【0046】
以上述べたことは、本発明の実施例にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に基づきなし得る同等の変化と修飾は、いずれも本発明の権利のカバーする範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0047】
101 光源 102 線偏光ジェネレータ
103 測定サンプル 104 偏光分析器
105 データ処理装置 106 入射線偏光
107 透過光 X 測定サンプルの回転軸線
115 分割層理論モデル 125 液晶光学パラメータ
201 第1電気コントローラ 202 第2電気コントローラ
301 偏光器 302 回転プラットフォーム
303 波長板 304 回転プラットフォーム
305 偏光検出器 306 光受信器
307 光学フィルタ 308 電圧調整位相シフタ
309 波長板 310 電圧調整位相シフタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パラメータ測定の装置において、
光源からの入射光を受け取り並びに該入射光より複数の入射線偏光を抽出する線偏光ジェネレータと、
該線偏光ジェネレータに接続されて該線偏光ジェネレータを調整して該線偏光ジェネレータに異なる方位角の該線偏光を発生させる第1電気コントローラと、
中心方向軸線が該線偏光と傾斜夾角を形成する測定サンプルと、
該測定サンプルを透過した透過光を受け取る偏光分析器と、
該偏光分析器に接続されて該偏光分析器を調整し、特定の偏光強度を抽出させる第2電気コントローラと、
該装置の後端に置かれ、該偏光分析器より抽出された偏光データを受け取り、液晶分割層理論モデルにより、少なくとも一つの液晶光学パラメータを求めるデータ処理装置と、 を包含したことを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項2】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該線偏光ジェネレータは、偏光器と第1回転プラットフォームを包含し、該偏光器は該第1回転プラットフォームに固定され、該第1電気コントローラにより該第1回転プラットフォームが制御されることで異なる方位角の線偏光が生成され、並びに設定された傾斜角度で該測定サンプルに投射されることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項3】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該偏光分析器は波長板、第2回転プラットフォーム、偏光検出器及び光受信器を包含し、該波長板は該第2回転プラットフォームに固定され、該第2電気コントローラにより該第2回転プラットフォームが制御されて、特定の偏光強度が抽出され、並びに該光受信器により受信された光強度変化が電流或いは電圧情報に変換されることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項4】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該線偏光ジェネレータはさらに偏光器、前処理電圧調整位相シフタと波長板を包含し、該偏光器の前に光学フィルタが設置され、且つ該波長板は該光学フィルタの波長の4分の1に対応し、該光学フィルタにより光源の特定波長が抽出され、該線偏光ジェネレータにより線偏光が抽出され、該第1電気コントローラにより該前処理電圧調整位相シフタが制御され、該線偏光ジェネレータに異なる方位角の線偏光を生成させ、並びに設定された傾斜角度で該測定サンプルに投射させることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項5】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該偏光分析器は、さらに第2電圧調整位相シフタ、偏光検出器、及び光受信器を包含し、該偏光分析器が該測定サンプルをい透過した透過光を分析し、該第2電気コントローラが該第2電圧調整位相シフタの位相を調整し、特定の偏光強度を抽出し、該光受信器により受信した光強度変化を電流或いは電圧情報に変換することを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項6】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該測定サンプルは傾斜機構の上に置かれ、さらに該傾斜機構を回転させる方式により、該測定サンプルの中心方向軸線と該線偏光に傾斜夾角を形成させることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項7】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該線偏光ジェネレータを回転させることにより、該測定サンプルの中心方向軸線と該線偏光に傾斜夾角を形成させ、該偏光分析器も対応する回転により該測定サンプルを透過した透過光を受け取ることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項8】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該液晶分割層理論モデルはジョーンズマトリクス或いは拡張ジョーンズマトリクスを使用して展開されることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項9】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、該液晶分割層理論モデルは、
M=R(−α)R(φ)R(−△φ)Mj-1Λ R(−△φ)・M1R(−△φ)M0R(α)
と表示され、そのうち、R(α)とR(−α)は座標系変換表示式とされ、αは第0層液晶分子の配向角度であり、Mkは各1層の液晶の電場表示式を代表することを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項10】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、抽出される該特定の偏光強度は、線偏光、異なる楕円率と異なる旋回性の偏光特性を包含することを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項11】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、求められる液晶光学パラメータは、配向角度、ねじれ角、液晶厚さ及びプレティルト角の少なくとも一つとされることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項12】
請求項1記載の液晶パラメータ測定の装置において、求められる液晶光学パラメータは、配向角度、ねじれ角、液晶厚さ及びプレティルト角の少なくとも一つとされ、該液晶分割層理論モデルと測定信号のフィッティング或いは対比原理により求められることを特徴とする、液晶パラメータ測定の装置。
【請求項13】
液晶パラメータ測定の方法において、
開始するために少なくとも一つの液晶光学パラメータを入力し、
傾斜角度を設定して光源から特定偏光成分を抽出して設定した傾斜角度で測定サンプルに投射し、
特定光強度の信号を取得し、各傾斜角度の光強度信号を測定開始し、そのとき偏光分析器を使用して該測定サンプルを透過した特定の偏光強度を抽出し、
理論モデルと該特定の偏光強度の信号を対比又はフィッティングし、その時理論モデルと少なくとも一つの測定信号を使用し、該偏光強度とデータ処理装置に構築した液晶分割層理論モデルにより、少なくとも一つの液晶光学パラメータを得、
以上のステップを包含することを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法。
【請求項14】
請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、抽出される該特定の偏光強度は、線偏光、異なる楕円率と異なる旋回性の偏光特性を包含することを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法。
【請求項15】
請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、該液晶分割層理論モデルはジョーンズマトリクス或いは拡張ジョーンズマトリクスを使用して展開されることを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法。
【請求項16】
請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、該液晶分割層理論モデルは、
M=R(−α)R(φ)R(−△φ)Mj-1Λ R(−△φ)・M1R(−△φ)M0R(α)
と表示され、そのうち、R(α)とR(−α)は座標系変換表示式とされ、αは第0層液晶分子の配向角度であり、Mkは各1層の液晶の電場表示式を代表することを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法。
【請求項17】
請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、求められる液晶光学パラメータは、配向角度、ねじれ角、液晶厚さ及びプレティルト角の少なくとも一つとされることを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法。
【請求項18】
請求項13記載の液晶パラメータ測定の方法において、求められる液晶光学パラメータは、配向角度、ねじれ角、液晶厚さ及びプレティルト角の少なくとも一つとされ、該液晶分割層理論モデルと測定信号のフィッティング或いは対比原理により求められることを特徴とする、液晶パラメータ測定の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−127933(P2012−127933A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2024(P2011−2024)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】