説明

液晶モニタ照明装置及び該液晶モニタ照明装置を用いた液晶モニタ付きデジタルカメラ

【課題】液晶モニタのインバータによって生じるノイズを少なくするためにバックライト部の蛍光灯を直流点灯回路により点灯させた場合でも、黒化現象が極力発生しにくい液晶モニタ照明装置及び該液晶モニタ照明装置を用いた液晶モニタ付きデジタルカメラを提供する。
【解決手段】本願発明の液晶モニタ照明装置は、液晶モニタ2を後方から照明するバックライト部13に設けられた蛍光灯16を直流点灯回路17により点灯させる液晶モニタ照明装置に、直流点灯回路17の極性の切り換えを行う切り換えスイッチ回路23を設けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、液晶モニタの照明を行う液晶モニタ照明装置路及び該液晶モニタ照明装置を用いた液晶モニタ付きデジタルカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日のデジタルカメラは、被写体の観察および被写体撮影後の撮影画像の確認等を行うために液晶モニタを備えるものが多く、暗い所でも液晶モニタが見やすいようにバックライトが設けられている。
【0003】バックライト部は蛍光灯の光を導光体及び反射板により液晶モニタに導いて面照明される構造のものが用いられ、この蛍光灯には、使用可能時間が平均10000時間(但し、令陰極蛍光灯の場合)と長い交流点灯回路を使用することが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、交流点灯回路により点灯する蛍光灯をバックライト部に用いて液晶モニタを表示させると、液晶モニタの表示画像にインバータにより生じるノイズが発生しやすく、直流点灯回路を用いた液晶モニタの表示画像に比べて画質が劣化するという欠点があった。そこで、蛍光灯の点灯を交流点灯回路から直流点灯回路に変更することにより、インバータによって生じるノイズを減少させて表示画質の向上を図ることが考えられるが、直流点灯回路により点灯される蛍光灯は、交流点灯回路により点灯される蛍光灯に比べて早期に黒化現象が発生しやすく、結果的に液晶モニタの寿命を縮めるという別の不具合が発生する。
【0005】この発明は上記の事情に鑑みてなされたものあり、インバータにより生じるノイズを抑えた液晶モニタ表示を得るために蛍光灯を直流点灯回路により点灯させた場合でも、蛍光灯に黒化現象が極力生じないようにし、ひいては液晶モニタの使用期限を長くすることのできる液晶モニタ照明装置及びこの液晶モニタ照明装置を用いた液晶モニタ付きデジタルカメラを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために請求項1に記載の液晶モニタ照明装置は、液晶モニタを後方から照明するバックライト部に設けられた蛍光灯を直流点灯回路により点灯させる液晶モニタ照明装置において、該直流点灯回路の極性の切り換えを行う切り換えスイッチ回路を設けることを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の液晶モニタ照明装置において、請求項1の切り換えスイッチ回路は、液晶モニタへ表示情報を送出する本体側のメインスイッチがオンされる度に前記直流点灯回路の極性の切り換えを行うことを特徴とする。
【0008】請求項3に記載の液晶モニタ照明装置において、請求項1の切り換えスイッチ回路は、所定時間毎に前記直流点灯回路の極性の切り換えを行うことを特徴とする。
【0009】請求項4に記載の液晶モニタ照明装置において、請求項3における所定時間は、液晶モニタへ表示情報を送出する本体側のクロックジェネレータから発信されるクロックパルスを測定することにより計測された時間経過に基づいて、前記本体側のCPUにより判断されることを特徴とする。
【0010】請求項5に記載される液晶モニタ付きデジタルカメラは、請求項1ないし請求項4のいずれか1項の液晶モニタ照明装置を備えることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る液晶モニタ照明装置を備えた液晶モニタ付きデジタルカメラの一例を示す斜視図であって、1はデジタルカメラ本体、2は液晶モニタ、3はシャッターボタン、4はファインダ窓、5はモード設定ボタン、6は外部表示部、7はメインスイッチ、8はコントラスト調整ノブ、9はメモリカード挿入口、10は電池蓋である。液晶モニタ照明装置は液晶モニタ2の後方に設けられ、図2、図3に示すバックライト部13、直流点灯回路17及び切り換えスイッチ回路23で構成される。液晶モニタ照明装置の各構成の詳細については後述する。
【0012】液晶モニタへ表示情報を送出する本体側にあたるデジタルカメラ本体1内部には、図4に示すCPU12が設けられている。CPU12には、メインスイッチ7、測光スイッチ・レリーズスイッチ26、モード設定ボタン5及び露出制御回路41から各情報が入力される。
【0013】CPU12は入力された情報に基づいて、ストロボ制御回路27、AF駆動機構28、絞り駆動機構29、クロックジェネレータ32に各動作に対応する信号を出力し、この信号によりストロボ30、絞り31、CCDドライバ33が駆動され、撮像レンズ43、光学ローパスフィルタ35を介してCCD34により撮影された撮影画像が増幅回路36、A/D変換回路37、信号処理回路38、圧縮回路39を介してメモりカード40に記録される。また、CPU12は、外部表示部6に撮影に関係する情報を表示させる。
【0014】これらの各回路の電源には電池24が用いられており、DC/DCコンバータ25を介して給電される。
【0015】これらの各回路の機能については、公知でありかつこの発明には直接係わらないのでその詳細な説明は省略する。
【0016】CPU12にはメインスイッチカウンタ42が接続されており、メインスイッチ7から電源オンの信号が入力される毎にメインスイッチカウンター42の値を0又は1に交互に設定する。CPU12はその設定値に応じて液晶モニタ照明装置の切り換えスイッチ回路23に極性切り換え信号を出力し、その信号に応じて切り換えスイッチ回路23が、蛍光灯16を点灯させる点灯回路の極性を変更してバックライト部13を発光させる。
【0017】バックライト部13は、反射板14a、14b、導光体層15及び蛍光灯16で構成され、図2に示すように平面状に設けられた反射板14aの上層に導光体の層15が設けられた構造となっており、その上層に液晶モニタ2が位置する。導光体層15の側方には、導光体層15に接する部分以外を反射板14bにより覆われた蛍光灯16が位置し、蛍光灯16からの光が導光体層15下面の反射板14aにより反射されて面発光することにより液晶モニタ2を照明する。
【0018】この蛍光灯16は、直流電源Eにより点灯する構造となっており、蛍光灯16を点灯するための回路として図3に示すようなキック式の直流点灯回路17が一例として用いられる。
【0019】直流点灯回路17は、蛍光灯16に抵抗18及び巻線19が直列に接続された直列回路L1と、巻線20とコンデンサ21とからなる直列回路L2とが接点A、Bで並列に接続されている。
【0020】直流点灯回路17には、可動スイッチ22aと可動スイッチ22bとを備えた切り換えスイッチ回路23が接続さており、接点Aは可動スイッチ22a、接点Bは可動スイッチ接点22bに接続される。
【0021】直流電源Eには、電源スイッチ44と各固定接点C,D,Eが設けられており、電源スイッチ44は、メインスイッチ7からの信号により開閉される。
【0022】切り換えスイッチ回路23は、CPU12からの極性切り換え信号に応じて、可動スイッチ22a又は可動スイッチ22bのどちらか一方を直流電源Eの陽極側固定接点C又はE、他方を陰極側固定接点Dへ電気的又は機械的に同時に移動させる。
【0023】メインスイッチ7をオンにすると、メインスイッチ7からの信号により、電源スイッチ44が閉じられると共に可動スイッチ22aが固定接点Cに、可動スイッチ22bが固定接点Dに接続される。
【0024】直流点灯回路17の直列回路L1は、蛍光灯16を点灯させるために必要な電圧を直流電源Eから得ることができないため電流が流れない。
【0025】直列回路L2には、コンデンサ21、巻線20を通って矢印A方向に電流が過渡的に流れて、コンデンサ21に電荷が蓄えられる。
【0026】巻線20と相互逆向きにトランス結合された巻線19は、巻線20に流れる過渡的電流よって昇圧されるため、蛍光灯16の両極16a,16bに蛍光灯16を点灯させるために十分の電位差が生じる。コンデンサ21に電荷が十分に蓄えられて直流回路L2の電流が流れなくなると、巻線19に生じた電位差により直列回路L1に電流が流れて蛍光灯16が点灯する。
【0027】この直流点灯回路13の極性はメインスイッチ7をオンする度に切り換えてられるため、メインスイッチ7が次にオンされた場合には、可動スイッチ22aが固定接点Dに接続され、可動スイッチ22bが固定接点Eに接続される。
【0028】このように、蛍光灯16の両端に係る極性がメインスイッチ7がオンされる毎に切り替えられるため、蛍光灯16の同一端が常に同一極となることを防止することが可能となり、黒化現象の発生を遅らせることができる。
【0029】また、直列点灯回路17の極性を切り換える作業は、メインスイッチ7をオンする度に行う他に所定期間毎に切り換えるようにしてもよい。
【0030】図5に示すブロック図は、メインスイッチカウンター42が設けられておらず、代わりにクロックジェネレータ32からクロックパルスがCPU12に入力される点を除いて図4に示すブロック図と同じ構成である。
【0031】このCPU12はクロックパルスを測定して時間経過を計測し、計測された時間から所定期間毎に切り換えスイッチ回路23に極性切り換え信号を出力する。
【0032】切り換えスイッチ回路23はその信号に応じて直流点灯回路13の極性を変更して蛍光灯16を点灯させて液晶モニタ2を照明する。
【0033】
【発明の効果】本発明に係る液晶モニタ照明装置及びこの液晶モニタ照明装置を用いた液晶モニタ付きデジタルカメラは以上説明したように、インバータにより生じるノイズを抑えた液晶モニタ表示を可能とするためにバックライト部の蛍光灯を直流点灯回路を用いて点灯させた場合でも、直流点灯回路の極性を所定の条件で切り換えることとしたため、蛍光灯の黒化現象の発生を遅らせることが可能となり、ひいては液晶モニタの使用期間を長くすることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液晶モニタ付きデジタルカメラを示す斜視図である。
【図2】 本発明に係る液晶モニタ照明装置のバックライト部の構成を示す斜視図である。
【図3】 本発明に係る液晶モニタ照明装置の直流点灯回路及び切り換えスイッチ回路を示す回路図である。
【図4】 メインスイッチカウンタの値に基づいて直流点灯回路の転極を行う本発明に係る液晶モニタ付きデジタルカメラのブロック図である。
【図5】 クロックジェネレータから発信されるクロックパルスを用いて、直流点灯回路での転極の制御を行う本発明に係る液晶モニタ付きデジタルカメラのブロック図である。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ本体
2 液晶モニタ
7 メインスイッチ
12 CPU
13 バックライト部
16 蛍光灯
17 直流点灯回路
23 切り換えスイッチ回路
32 クロックジェネレータ
42 メインスイッチカウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】液晶モニタを後方から照明するバックライト部に設けられた蛍光灯を直流点灯回路により点灯させる液晶モニタ照明装置において、該直流点灯回路の極性の切り換えを行う切り換えスイッチ回路を設けることを特徴とする液晶モニタ照明装置。
【請求項2】前記切り換えスイッチ回路は、液晶モニタへ表示情報を送出する本体側のメインスイッチがオンされる度に前記直流点灯回路の極性の切り換えを行うことを特徴とする請求項1に記載の液晶モニタ照明装置。
【請求項3】前記切り換えスイッチ回路は、所定時間毎に前記直流点灯回路の極性の切り換えを行うことを特徴とする請求項1に記載の液晶モニタ照明装置。
【請求項4】前記所定時間は、液晶モニタへ表示情報を送出する本体側のクロックジェネレータから発信されるクロックパルスを測定することにより計測された時間経過に基づいて、前記本体側のCPUにより判断されることを特徴とする請求項3に記載の液晶モニタ照明装置。
【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の液晶モニタ照明装置を備えることを特徴とする液晶モニタ付きデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−69332(P2000−69332A)
【公開日】平成12年3月3日(2000.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−230693
【出願日】平成10年8月17日(1998.8.17)
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】