説明

液晶表示装置

【課題】 信号遅延が発生せず,応答速度が速いソースドライバを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示装置は,ルックアップテーブル形態で階調データ値が格納され,入力される階調データに対応する多数のスイッチング信号を順次に出力するメモリと,前記多数のスイッチング信号を印加され,多数の電圧レベルを順次選択し,1フレーム期間に,液晶セルを含む画素各々に,前記選択された多数の電圧レベルに該当する多数のパルス波形を順次印加するスイッチング部とを含むソースドライバを備える。前記液晶表示装置は,前記多数の電圧レベルを生成する電圧発生部をさらに備える。前記メモリは,前記各フレームの初期毎に前記液晶セルをリセットさせるためのスイッチング信号を出力する。前記液晶セルは,OCB液晶セルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,液晶表示装置に関し,より詳細には,信号遅延が発生せず,応答速度が速いソースドライバを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近,パーソナルコンピュータやテレビなどの軽量,薄形化に伴って,ディスプレイ装置も軽量化,薄形化が要求されてきている。このような要求に応じて,陰極線管(cathode ray tube:CRT)の代わりに,液晶表示装置(liquid crystal display:LCD)のような平板型ディスプレイが開発されている。
【0003】
液晶表示装置は,2つの基板間に注入されている異方性誘電率を有する液晶物質に電界(electric field)を印加し,この電界の強さを調節して,外部の光源(バックライト)から基板に透過される光の量を調節することによって,所望の画像信号を得る表示装置である。
【0004】
一般的に,液晶表示装置(以後,LCDとも称する。)は,陰極線管に比べて極めて薄く,軽く,且つ電力消費が少ないことから,携帯電話,コンピュータ及びPDA(Personal Digital Assistant)などのような携帯型情報機器の画面表示素子として広く用いられており,電磁波の放出が少なくて,現在ディスプレイ分野において主流となっている。
【0005】
このような液晶表示装置は,携帯が簡便な平板型ディスプレイの中で代表的なものであって,これらのうち,薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)をスイッチング素子として利用したTFT−LCDが主に用いられている。
【0006】
一般的に,液晶表示装置は,カラーイメージを表示する方式によって,大きく,カラーフィルタ(color filter)方式と,フィールド順次(field sequential)駆動方式とに分けられる。
【0007】
カラーフィルタ方式の液晶表示装置は,2つの基板の一方の基板にレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3元色よりなるカラーフィルタ層を形成し,このカラーフィルタ層に透過される量を調節することによって,所望の画像を表示する。また,カラーフィルタ方式のLCDは,単一の光源から照射される光をR,G,Bカラーフィルタ層に透過させるに際して,R,G,Bカラーフィルタ層に透過される光の量を調節して,R,G,B色を合成することによって,所望の画像を表示する。
【0008】
このように,単一の光源及び3色のカラーフィルタ層を用いて画像を表示する液晶表示装置においては,R,G,Bの領域毎に各々対応する単位画素が必要なので,白黒を表示する場合より3倍程度多い画素が必要となる。したがって,高解像度の画像を得るためには,液晶表示装置パネルの精巧な製造技術が要求される。また,このような液晶表示装置は,基板に別途のカラーフィルタ層を形成しなければならないという製造上の面倒さがあり,カラーフィルタ自体の光透過率が低いため,輝度が低くなる。
【0009】
一方,フィールド順次駆動方式の液晶表示装置は,R,G,B各色の独立した光源を順次周期的に点灯し,該点灯周期に同期して,各画素に対応する色信号を加えることによって,フルカラー(full color)の画像を得る。すなわち,フィールド順次駆動方式の液晶表示装置によれば,1つの画素をR,G,Bの単位画素に分割せずに,1つの画素にR,G,Bのバックライトから出力されるR,G,Bの3元色の光を時分割的に順次表示することによって,目の残像効果を用いて画像を表示する。
【0010】
このようなフィールド順次駆動方式は,アナログ駆動方式と,デジタル駆動方式とに分けられる。
【0011】
アナログ駆動方式は,表示しようとする階調数に対応する複数の階調電圧を設定し,複数の階調電圧の中から階調データに相当する1つの階調電圧を選択し,選択された階調電圧で液晶パネルを駆動することによって,印加された階調電圧に対応する透過量で階調を表示する。
【0012】
デジタル駆動方式は,液晶に印加される駆動電圧を一定にし,電圧印加時間を制御して,階調を表示する。このようなデジタル駆動方式によれば,駆動電圧を一定に維持し,電圧印加状態及び電圧非印加状態をタイミング的に制御して,液晶に透過される累積光量を調節することによって,階調を表示する。
【0013】
上述のような液晶表示装置は,画面を見る方向によって明暗や色相が異なるので,狭い視野角を有するという短所がある。この短所を克服する様々な方法が提案されている。
【0014】
例えば,導光板の表面にプリズム板を取り付けることによって,バックライトから入射光の直進性を向上させ,垂直方向の輝度を30%以上向上させる方法が実用化されてきており,その方法によってLCDの視野角を向上させることができる。また,ネガティブ(negative)光補償板を取り付けることによって視野角を高める方法も実用化されつつある。
【0015】
また,インプレーンスイッチング(In Plane Switching)モードが開発され,上下左右の視野角が160゜とほとんど陰極線管水準の広視野角化が達成されたが,開口率が相対的に低くて,これに対する改善策が必要である。
【0016】
その他,OCB(Optically Compensated Birefringence;以下,OCBという)方式,PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)方式,DHF(Deformed Helix Ferroelectric)方式などを薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)で駆動して,視野角を改善する努力など多くの試みがなされている。
【0017】
特に,OCBモードの場合,液晶応答速度が速く,広視野角の特性を有しているという長所があることから,現在研究開発が活発に進行中である。
【0018】
図1は,一般的なOCBモードの動作を説明するための液晶状態図である。
【0019】
図1に示すように,上部板電極と下部板電極との間に位置する液晶の初期配向状態は,ホモジニアス状態(Homogeneous state)であり,上下部板電極に所定の電圧を印加すれば,転移スプレイ(Transient splay)及び非対称スプレイ(Asymmetric splay)を経てベンド状態(Bend state)に変換された後,OCBモードで動作する。
【0020】
図1に示すように,一般的に,OCB液晶セルは,傾斜角(tilt angle)が約10〜20゜,液晶セルの厚みが4〜7μmとなるように製作され,配向膜を同一の方向にラビング(rubbing)する方法を適用している。液晶層の真中での液晶分子の配列は,左右対称となるので,特定の電圧以下では傾斜角が0゜であり,特定の電圧以上では,傾斜角が90゜となる。そこで,初期に大きい電圧を印加して,液晶層の中心部において液晶分子の傾斜角を90゜にし,印加電圧を異にして,配向膜と液晶層の中間の液晶分子を除いた残りの液晶分子のチルト(tilt)変化により,液晶層を通る光の偏光を変調する。通常,中心部の液晶分子の傾斜角が0゜〜90゜に配列するのにかかる時間が数秒であり,バックフロー(Back-Flow)がなく,弾性係数が大きい反り変形であるから,反応時間は10μm程度と非常に速いという特徴がある。
【0021】
上述のような従来の液晶表示装置は,多数の画素を具備する液晶表示パネルと,その液晶表示パネルを駆動するためのソースドライバ,スキャンドライバ及びバックライトを備える。スキャンドライバからスキャン信号が順次印加され,前記スキャン信号に同期して,ソースドライバから該当画素にデータ電圧が印加されることによって,印加された電圧に応じて液晶の透過度が変形し,この際,バックライトから液晶表示パネルに光を照射して,液晶の透過度に対応する輝度で光が発光して,映像イメージを表示する。
【0022】
図2は,従来の液晶表示装置のソースドライバを示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように,従来の液晶表示装置のソースドライバ20は,D/Aコンバータ(Digital to Analog Converter)21と,増幅部/バッファ部(Amp/Buffer)22とを含む。
【0024】
D/Aコンバータ21は,映像データに該当するレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の階調データを入力され,アナログ電圧値に変換して出力する。
【0025】
増幅部/バッファ部22は,上記アナログ電圧値を増幅して,液晶表示パネル10に出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかし,上述した従来の液晶表示装置のソースドライバ20では,増幅部/バッファ部22に含まれた出力演算増幅器Ampの技術的な限界に起因して,信号変化率(Slew Rate)が制限されるようになる。すなわち,増幅部/バッファ部22の入力であるアナログ電圧値に対応して,増幅部/バッファ部22の出力が予想の電圧値より時間遅延を持って増幅される。このような現象は,OCBモードを有する液晶表示装置のフレーム周波数(frame frequency)を制限させて,OCBモードの長所である速い応答速度を十分に発揮することができないという問題点がある。
【0027】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,いくつかの電圧レベルだけを用いて多様な階調を表現できる新しいソースドライバを有する液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,複数のスキャンラインと複数のデータラインとが交差する領域に配置され,共通電極,画素電極及びOCB液晶よりなるOCB液晶セルを含む複数の画素を備える液晶表示パネルと;前記スキャンラインを介して前記複数の画素から任意の画素を選択するためのスキャン信号を印加するスキャンドライバと;前記データラインを介して前記複数の画素に複数のパルス波形を順次印加するソースドライバと;前記液晶表示パネルに光源を印加するバックライト部と;前記バックライト部にバックライト電圧を印加する光源制御器と;前記スキャンドライバ,前記ソースドライバ及び前記光源制御器の動作を制御するための制御信号を印加するタイミング制御部と;を備え,前記ソースドライバは,ルックアップテーブル形態で階調データ値を格納し,入力される階調データに対応する複数のスイッチング信号を出力するメモリと;前記複数のスイッチング信号を入力され,複数の電圧レベルから前記各スイッチング信号に対応する電圧レベルを選択し,1フレーム期間に,前記選択した複数の電圧レベルに該当する複数のパルス波形を前記画素に順次印加するスイッチング部と;を含む液晶表示装置が提供される。
【0029】
上記メモリは,入力される階調データに対応する複数のスイッチング信号を順次に出力してもよい。その場合,スイッチング部は,メモリが出力したスイッチング信号の順序に従って,各スイッチング信号に対応する電圧レベルに該当するパルス波形を画素に順次印可する。なお,メモリが出力するスイッチング信号の順序は,階調データごとに予め定められていてもよい。
【0030】
上記液晶表示装置は,上記複数の電圧レベルを生成する電圧発生部をさらに備えてもよい。
【0031】
上記電圧発生部は,前記ソースドライバに含まれてもよい。
【0032】
上記メモリは,前記OCB液晶セルをリセットさせるためのスイッチング信号を各フレームの初期毎に出力してもよい。
【0033】
上記OCB液晶は,前記OCB液晶セルのリセット時,光透過率が実質的に0となるようにしてもよい。
【0034】
上記スイッチング部は,前記OCB液晶セルのリセット時,前記複数の電圧レベルのうち最大の電圧レベルを選択してもよい。
【0035】
上記液晶表示装置の駆動の初期段階に,前記OCB液晶をベンド転移させるための電圧を前記共通電極に印加するDC−DCコンバータをさらに備えてもよい。なお,液晶表示装置の駆動の初期段階とは,例えば,液晶表示装置に電源が投入された直後の段階や,液晶表示装置に電源が投入された後液晶パネルを介して映像イメージを表示する前のいずれかの段階などを示す。
【0036】
上記スイッチング部は,複数のスイッチング素子から構成され,前記各スイッチング素子は,前記各データラインに連結されてもよい。
【0037】
上記各スイッチング素子は,バイポーラ接合トランジスタ(BJT),モス電界−効果トランジスタ(MOSFET)及びマルチプレックスからなる群より選択された少なくとも1つであってもよい。
【0038】
上記バックライト部は,レッド,グリーン及びブルーの光を各々発光するレッドLED,グリーンLED及びブルーLEDから構成されてもよい。また,レッドLED,グリーンLED及びブルーLEDが順次各々の光を発光してもよい。
【0039】
上記バックライト部は,ホワイト光を発光するホワイトLEDまたはCCFL(Cold Cathode Fluorescence Lamp)であってもよい。
【0040】
上記液晶表示装置は,上記バックライト部から発光する光をフィルタリングするレッド,グリーン及びブルーのカラーフィルタをさらに備えてもよい。
【0041】
上記各画素は,前記スキャンラインを介して伝達されるスキャン信号に応答して,前記データラインを介して伝達される複数のパルス波形を前記OCB液晶セルの画素電極に順次に伝達するスイッチングトランジスタと;前記複数のパルス波形を蓄積する蓄積キャパシタと;をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように本発明によれば,ルックアップテーブル形態で階調データを格納するメモリとスイッチング部とから構成される新しい形態のソースドライバを備えることによって,いくつかの段階の電圧レベルだけを用いて多様な階調表現が可能なので,従来のソースドライバに現れる出力増幅部/バッファ部の信号変化率の制限に起因した遅い応答速度の問題点を解決し,OCB液晶の速い応答速度の長所を充分に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0044】
図3は,本発明の実施形態による液晶表示装置を示すブロック図である。
【0045】
図3に示すように,本発明の実施形態による液晶表示装置は,液晶表示パネル100,ソースドライバ200,スキャンドライバ300,光源制御器400,バックライト部500及びタイミング制御部600を含む。
【0046】
液晶表示パネル100は,複数のスキャンラインS〜Sと複数のデータラインD〜Dとが交差する領域に形成された複数の画素110から構成され,映像イメージを表示する。図3の液晶表示パネル100に,N×M個の画素の中で代表的なものとして,n番目のスキャンラインS及びm番目のデータラインDに連結された画素110を示した。以下,画素110を参照して説明する。
【0047】
各画素110は,スイッチングトランジスタMS,OCB液晶セルCLC及び蓄積キャパシタCstから構成されている。
【0048】
スイッチングトランジスタMSのソース端子は,データラインDに連結され,前記スイッチングトランジスタMSのゲート端子は,スキャンラインSに連結される。前記スイッチングトランジスタMSは,前記スキャンラインSを介して印加されるスキャン信号によりオンとなり,データラインDを介して印加されるデータ電圧をOCB液晶セルCLCに伝達する。
【0049】
OCB液晶セルCLCは,画素電極111,共通電極112及びこれら間のOCB液晶層から構成される。画素電極111は,前記スイッチングトランジスタMSのドレイン端子に連結され,データラインDを介して伝達されたデータ電圧が印加される。共通電極112は,前記画素電極111に対向する電極であって,共通電圧Vcomが印加される。画素電極111及び共通電極112に印加された両端の電圧差により,OCB液晶分子の配列状態が変化し,OCB液晶層を通る光の偏光状態によって透過率が変わる。
【0050】
蓄積キャパシタCstは,画素電極111とストレージ電極113及びこれら間の誘電層から構成される。この際,前記ストレージ電極113は,OCB液晶セルCLCの共通電極112に連結される。したがって,蓄積キャパシタCstは,前記OCB液晶キャパシタCLCと並列状態に連結され,前記データ電圧を一定時間蓄積する役目をする。
【0051】
スキャンドライバ300は,複数のスキャンラインS〜Sを介してスキャン信号を順次印加し,ソースドライバ200は,複数のデータラインD〜Dを介して複数のパルス波形を該当画素に順次印加する。つまり,スキャンドライバ300とソースドライバ200とによって液晶表示パネル100が駆動される。ここで,前記ソースドライバ200で複数のパルス波形を生成し,該当画素に順次印加するための構成は,後述する。
【0052】
タイミング制御部600は,外部映像処理部(図示しない)から映像イメージである階調データと水平同期信号Hsync及び垂直同期信号Vsyncを印加され,ソースドライバ200に映像階調データ及び動作制御信号Sを出力し,スキャンドライバ300にスキャンドライバ300の動作を制御するための制御信号Sを出力する。また,タイミング制御部600は,バックライト部500が液晶表示パネル100に光を出力するように,光源制御信号Sを光源制御器400に提供する。
【0053】
光源制御器400は,タイミング制御部600から印加されるバックライト制御信号Sにより,液晶表示パネル100の裏面に配置されたバックライト部500を駆動するための所定の電圧を印加する。前記バックライト部500は,フィールド順次(Field-Sequential)駆動方式の場合,レッド,グリーン及びブルーの光を順次出力するレッドLED,グリーンLED及びブルーLEDから構成することができる。カラーフィルタを用いた駆動方式の場合,ホワイト光を出力するホワイトLEDまたはCCFL(Cold
Cathode Fluorescence Lamp)であってもよい。また,カラーフィルタを用いた駆動方式の液晶表示装置の場合,単位画素毎にレッド,グリーン及びブルーのカラーフィルタが共通電極上に配置される。
【0054】
また,OCB液晶セルCLCは,液晶表示装置の初期起動時に,OCB液晶をベンド状態に転移させるための高電圧(例えば,約15V〜30V)を前記OCB液晶セルCLCの共通電極112に印加するが,この際,液晶表示装置は,前記高電圧を共通電極112に印加するDC−DCコンバータ(図示しない)をさらに備えることができる。
【0055】
従来のソースドライバは,上述のように,D/Aコンバータ21及び増幅部/バッファ部22を使用してアナログ電圧を出力したが,上述のように,本発明の実施形態による液晶表示装置は,ソースドライバ200で複数のパルス波形を順次印加するので,従来の問題点である信号遅延を防止し,応答速度を速くすることができる。以下,本発明の実施形態による液晶表示装置のソースドライバについて図4及び図5を参照して詳細に説明する。
【0056】
図4は,本発明の実施例による液晶表示装置のソースドライバを示すブロック図である。
【0057】
図4に示すように,本発明の実施形態による液晶表示装置のソースドライバ200は,メモリ210及びスイッチング部220を含む。
【0058】
メモリ210は,多数の階調データの各々に該当するデータ値をルックアップテーブル形態で格納しており,該当階調データを入力されて,予め格納されている上記データ値に対応するスイッチング信号を順次にスイッチング部220に伝達する。前記メモリ210に格納されたデータ値は,nビット(bit)で格納される。前記メモリに格納されたルックアップテーブルについては,図5を参照して詳細に説明する。
【0059】
スイッチング部220は,液晶表示パネル100内の複数のデータラインD〜Dの各々に連結された複数のスイッチング素子(図示しない)から構成されている。各スイッチング素子は,前記メモリ210から出力されるスイッチング信号を入力され,スイッチング動作を行う。前記それぞれのスイッチング素子は,バイポーラ接合トランジスタ(Bipolar Junction Transistor:BJT),モス電界−効果トランジスタ(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor:MOSFET)またはマルチプレックス(Multiplex)などから構成されることができる。
【0060】
また,前記スイッチング部220は,電圧レベル発生器230から出力される複数段階の電圧レベル(図4では,V,V,V,Vの4段階)を前記メモリ210のスイッチング信号に応じて選択し,複数の画素110に伝達する。前記電圧レベル発生器230は,ソースドライバ200の外部で複数段階の電圧レベルを生成するものであるが,これに限らず,ソースドライバ200内に含まれて複数段階の電圧レベルを生成してもよい。また,図4では,4段階の電圧レベルV,V,V,Vを例に挙げて説明したが,表現しようとする階調データによってそれ以下またはそれ以上であってもよい。
【0061】
図5は,図4に示すソースドライバのルックアップテーブル形態で階調データが格納されたメモリを説明するための図である。
【0062】
図4を参照して図5を説明する。まず,メモリ210は,スイッチング部220に印加されるスイッチング信号に2ビットのコードを付与する。例えば,スイッチング信号SV1に2ビットのコード“00”を付与する。スイッチング信号にコードを付与しておくことにより,メモリ210は,例えば入力されたり読み込んだりしたコードが“00”である時には,スイッチング信号SV1を出力しする。そして,スイッチング信号SV1をメモリ210から入力されたスイッチング部220は,電圧レベルVを選択する。同様に,メモリ210は,スイッチング信号SV2に2ビットのコード“01”を付与し,スイッチング信号SV3に2ビットのコード“10”を付与し,スイッチング信号SV4に2ビットのコード“11”を付与する。それにより,メモリ210は,コードが“01”である時は,スイッチング部220が電圧レベルVを選択するようにスイッチング信号SV2を出力し,“10”である時は,電圧レベルVを選択するようにスイッチング信号SV3を出力し,“11”である時は,電圧レベルVを選択するようにスイッチング信号SV4を出力する。
【0063】
また,メモリ210において階調データが各グレイスケールに応じて格納されるように,8ビットの階調データが64個のグレイスケール(Gray Scale)に分類される。8ビットの階調データのうち,最初の2ビットは,液晶をリセットさせるためのリセット値であって,“11”に固定されており,前記電圧レベルV,V,V,Vのうち,最高電圧VがOCB液晶セルに印加されることを示す。この際,OCB液晶をリセットさせるというのは,バックライト部500から出る光を透過させる液晶の光透過率を実質的に0(ブラック状態)にすることを示す。メモリ210は,各フレームの初期毎に,電圧レベルVをOCB液晶セルに印加するためのスイッチング信号SV4をスイッチング部220に印加する。これにより,各フレームの初期毎にOCB液晶を初期状態にし,現在のフレームに印加されるパルス波形が直前のフレームに印加されたパルスと関係なく常に一定の階調を表現できるようにする。
【0064】
次に,8ビット階調データのうち,残りの6ビットは,液晶を通過して出る光の輝度を示すデータ値である。図5では,64個のグレイスケールに対応する輝度を設定するために,4つの電圧レベルV,V,V,Vを組み合わせることにより,各画素に印加するパルス波形を選択する。すなわち,各グレイスケールに対応する輝度のパルス波形を求めるために,4つの電圧レベルV,V,V,Vから算出できる組み合わせ可能なパルス波形を画素に順次印加し,この時に現れる輝度を各々測定する。その後,それらのうち所望のグレイスケール,例えば64個のグレイスケールを選定し,そのグレイスケールを作り出す際に画素に印加した電圧レベルの組み合わせを,電圧レベルのスイッチングのための信号としてメモリ210に格納する。この際,スイッチングのための信号としてメモリ210には6ビットが格納される。詳細に説明すれば,上述のように,メモリ210は,2ビットのコードをスイッチング信号に付与することによって,“00”である時には,スイッチング部220が電圧レベルVを選択するようにスイッチング信号SV1を出力し,“01”である時は,電圧レベルVを選択するようにスイッチング信号SV2を出力し,“10”である時は,電圧レベルVを選択するようにスイッチング信号SV3を出力し,“11”である時は,電圧レベルVを選択するようにスイッチング信号SV4を出力する。そこで例えば,4つの電圧レベルV,V,V,Vの組み合わせの1つである電圧レベルV,V,Vを1つの画素に順次印加し,この時に現れる輝度を測定して,“00 00 00”のデータ値をメモリ210に格納する。次に,同様に組み合わせの1つである電圧レベルV,V,Vを1つの画素に順次印加し,この時に現れる輝度を測定して,“00 00 10”のデータ値を格納する。上述のような方法で,組み合わせた3つの電圧レベルの印加,輝度の測定,データ値の格納を繰り返し,最後に電圧レベルV,V,Vを1つの画素に順次印加し,この時に現れる輝度を測定して,“11 11 11”のデータ値を格納する。その結果,64個のグレイスケールの輝度を有するパルス波形を求めることができる。上述のように各グレイスケールに該当する階調データがルックアップテーブル形態でメモリ210に格納されていれば,メモリ210への階調データの入力を受けて,メモリ210は,予め格納されているリセット値とデータ値に該当するスイッチング信号をスイッチング部220に順次印加することができる。そして,スイッチング部220は,印加されるスイッチング信号に基づいて,前記電圧レベル発生器230から出力される電圧レベルを順次に選択し,該当画素に印加する。図5では,代表的な例として,6ビットのデータ値に対して4つの電圧レベルV,V,V,Vのうち組合可能な3つの電圧レベルを順次印加し,この時の輝度を測定して,64個のグレイスケールを格納したが,設定者の選択に応じてデータビット数と電圧レベルは調整自在であり,64個以下またはそれ以上のグレイスケールをも容易に設定可能である。以上で,図4及び図5を参照して,本発明の実施例による液晶表示装置のソースドライバの構成及びルックアップテーブル形態で階調データを格納するメモリについて説明した。次に,図6を参照して,本発明の実施形態による液晶表示装置の駆動方法を説明する。
【0065】
図6は,本発明の実施形態による液晶表示装置の駆動方法により駆動した場合の,ソースドライバによる画素への印可電圧を示す波形図である。
【0066】
図4及び図5を参照して図6を説明すると,ソースドライバ200から1つの画素110に印加されるパルス波形の電圧レベルは,4つの電圧レベルV,V,V,Vであり,4つの電圧が順次印加される。図6に示すように,1フレーム期間に,第10番のグレイスケールに該当する階調データがソースドライバ200に印加されると,メモリ210には,第10番のグレイスケールに該当する8ビットの“11 00 10 01”が格納されているので,前記“11 00 10 01”に該当するスイッチング信号SV4,SV1,SV3,SV2をスイッチング部220に順次印加する。スイッチング信号SV4,SV1,SV3,SV2を印加されたスイッチング部220は,電圧レベル発生器230の電圧レベルV,V,V,Vを順次に選択し,該当画素110に印加する。したがって,該当画素の液晶は,順次印加される電圧レベルV,V,V,Vによって光透過率が変化する。この際,バックライト部から出力される光は,前記光透過率によって順次に異なる透過率を持って透過されるが,人間の目が認識できない程度の速さで光が透過するので,ユーザは,第10番のグレイスケールに該当する輝度を認識する。
【0067】
次に,2フレーム期間に,第39番のグレイスケールに該当する階調データがソースドライバ200に印加されると,メモリ210には,第39番のグレイスケールに該当する8ビットの“11 10 01 10”が格納されているので,前記“11 10 01 10”に該当するスイッチング信号SV4,SV3,SV2,SV3をスイッチング部220に順次印加する。スイッチング信号SV4,SV3,SV2,SV3を印加されたスイッチング部220は,電圧レベル発生器230の電圧レベルV,V,V,Vを順次に選択し,該当画素110に印加する。したがって,該当画素の液晶は,順次印加された電圧レベルV,V,V,Vによって光透過率が変化する。上述のような方法で,ソースドライバ200を駆動させて,液晶表示パネル100に映像イメージを表示する。
【0068】
上述したように,前記図6の駆動方法において8ビットのうち最初の2ビットの“11”は,リセットパルスに固定されていて,常に各フレームの初期に液晶を初期状態にする電圧レベルVがまず印加され,以前のフレームに印加されたパルス波形と関係がなく常に一定の階調を表現できる。
【0069】
上述のように,本発明の実施形態による液晶表示装置のソースドライバを,従来のソースドライバと異なって,メモリ210及びスイッチング部220を含んで構成することによって,いくつかの段階(上記実施形態ではV〜Vの4段階)の電圧レベルだけを用いて多様な階調表現が可能なので,従来のソースドライバに現れる出力増幅部/バッファ部22の信号変化率(Slew Rate)の制限に起因した応答速度の遅れという問題点を解決し,OCBモードの速い応答速度という長所を充分に発揮することができる。
【0070】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】一般的なOCBモードの動作を説明するための液晶状態図である。
【図2】従来の液晶表示装置のソースドライバを示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による液晶表示装置を示すブロック図である。
【図4】同実施形態による液晶表示装置のソースドライバを示すブロック図である。
【図5】図4に示すソースドライバにおいて,ルックアップテーブル形態で階調データが格納されたメモリを説明するための図である。
【図6】同実施形態による液晶表示装置の駆動方法を示す波形図である。
【符号の説明】
【0072】
100 液晶表示パネル
200 ソースドライバ
210 メモリ
220 スイッチング部
230 電圧レベル発生器
300 スキャンドライバ
400 光源制御器
500 バックライト部
600 タイミング制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスキャンラインと複数のデータラインとが交差する領域に配置され,共通電極,画素電極及びOCB液晶よりなるOCB液晶セルを含む複数の画素を備える液晶表示パネルと;
前記スキャンラインを介して前記複数の画素から任意の画素を選択するためのスキャン信号を印加するスキャンドライバと;
前記データラインを介して前記複数の画素に複数のパルス波形を順次印加するソースドライバと;
前記液晶表示パネルに光源を印加するバックライト部と;
前記バックライト部にバックライト電圧を印加する光源制御器と;
前記スキャンドライバ,前記ソースドライバ及び前記光源制御器の動作を制御するための制御信号を印加するタイミング制御部と;を備え,
前記ソースドライバは,
ルックアップテーブル形態で階調データ値を格納し,入力される階調データに対応する複数のスイッチング信号を出力するメモリと;
前記複数のスイッチング信号を入力され,複数の電圧レベルから前記各スイッチング信号に対応する電圧レベルを選択し,1フレーム期間に,前記選択した複数の電圧レベルに該当する複数のパルス波形を前記画素に順次印加するスイッチング部と;
を含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ソースドライバは,前記複数の電圧レベルを生成する電圧発生部を備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の電圧レベルを生成する電圧発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記メモリは,前記OCB液晶セルをリセットさせるためのスイッチング信号を各フレームの初期毎に出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記OCB液晶は,前記OCB液晶セルのリセット時,光透過率が実質的に0となることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記スイッチング部は,前記OCB液晶セルのリセット時,前記複数の電圧レベルのうち最大の電圧レベルを選択することを特徴とする請求項4または5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶表示装置の駆動の初期段階に,前記OCB液晶をベンド転移させるための電圧を前記共通電極に印加するDC−DCコンバータをさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記スイッチング部は,複数のスイッチング素子から構成され,前記各スイッチング素子は,前記各データラインに連結されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記各スイッチング素子は,バイポーラ接合トランジスタ(BJT),モス電界−効果トランジスタ(MOSFET)及びマルチプレックスからなる群より選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記バックライト部は,レッド,グリーン及びブルーの光を各々発光するレッドLED,グリーンLED及びブルーLEDから構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記バックライト部は,ホワイト光を発光するホワイトLEDまたはCCFL(Cold Cathode Fluorescence Lamp)であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記バックライト部から発光する光をフィルタリングするレッド,グリーン及びブルーのカラーフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記各画素は,
前記スキャンラインを介して伝達されるスキャン信号に応答して,前記データラインを介して伝達される複数のパルス波形を前記OCB液晶セルの画素電極に順次に伝達するスイッチングトランジスタと;
前記複数のパルス波形を蓄積する蓄積キャパシタと;
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−209056(P2006−209056A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154122(P2005−154122)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】