説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示素子の開口率を低下させること無く、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うことができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】電圧の印加により液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御する複数の画素が行及び列方向に配列させて形成された液晶表示素子1と、前記液晶表示素子1の複数の画素を順次選択して1つの画像を表示する1表示期間毎に、映像信号の階調データに基づいて、互いに異なる輝度で表示させるための第1と第2のデータ信号を生成し、前記表示期間を予め定めた割合で分割した2つの分割期間の一方に、前記複数の画素それぞれに前記第1と第2のデータ信号の一方に対応した電圧を印加し、他方の分割期間に、前記複数の画素それぞれに前記第1の第2のデータ信号の他方に対応した電圧を印加する駆動手段22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置として、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うために、液晶表示素子の複数の画素をそれぞれ2分割し、前記複数の画素毎に、その2つの分割画素の一方に、映像信号の階調値に基づいて設定した第1の電圧を印加し、他方の分割画素に、前記映像信号の階調値に基づいて前記第1の電圧とは異なる値に設定した第2の電圧を印加するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−72509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、液晶表示素子の複数の画素をそれぞれ2分割した従来の液晶表示装置は、前記液晶表示素子の開口率が低く、表示が暗くなってしまうという問題をもっている。
【0004】
この発明は、液晶表示素子の開口率を低下させること無く、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うことができる液晶表示装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1に記載の液晶表示装置は、
電圧の印加により液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御する複数の画素が行及び列方向に配列させて形成された液晶表示素子と、
外部から供給される映像信号の階調データに基づいて、互いに異なる輝度で表示させるための第1と第2のデータ信号を生成し、前記液晶表示素子の複数の画素それぞれに、前記第1と第2のデータ信号の一方に対応した電圧と、他方に対応した電圧とを交互に印加する駆動手段と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示装置において、前記駆動手段は、前記液晶表示素子の複数の画素を順次選択して1つの画像を表示する1表示期間毎に、前記1表示期間を予め定めた割合で分割した2つの分割期間の一方の分割期間に、前記複数の画素それぞれに前記第1と第2のデータ信号の一方に対応した電圧を印加し、他方の分割期間に、前記複数の画素それぞれに前記第1と第2のデータ信号の他方に対応した電圧を印加することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示装置において、前記駆動手段は、映像信号の階調データに対応した輝度に対して、予め定めた比率で高くした輝度に対応する第1のデータ信号と、前記映像信号の階調データに対応した輝度に対して、予め定めた比率で低くした輝度に対応する第2のデータ信号とを生成し、これらのデータ信号にそれぞれ対応した第1と第2の電圧を、前記複数の画素それぞれに順に印加することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示装置において、前記駆動手段は、前記液晶表示素子の法線方向の正面輝度に対して、前記法線から傾いた方向の輝度の変化が予め定めた値の変化率で各画素の透過率を制御する第1のデータ信号と、前記第1のデータ信号による表示に比べて、前記正面輝度に対する前記法線から傾いた方向の輝度の変化率が小さい広視野角で各画素の透過率を制御する第2のデータ信号とを生成し、これらのデータ信号にそれぞれ対応した第1と第2の電圧を、前記液晶表示素子の複数の画素それぞれに順に印加することを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1乃至4のいずれかに記載の液晶表示装置において、前記駆動手段は、1表示期間を実質的に2等分し、前記液晶表示素子の複数の画素それぞれに、第1の電圧と第2の電圧とを実質的に同じ時間ずつ印加することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1乃至4のいずれかに記載の液晶表示装置において、前記駆動手段は、1表示期間を期間の長さが異なる2つの期間に分割し、前記液晶表示素子の複数の画素それぞれに、第1の電圧と第2の電圧とを互いに長さが異なる期間ずつ印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明の液晶表示装置によれば、液晶表示素子の開口率を低下させること無く、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1はこの発明の一実施例を示す液晶表示装置の構成図であり、この液晶表示装置は、電圧の印加により液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御する複数の画素21(図2参照)が行及び列方向に配列させて形成された液晶表示素子1と、前記液晶表示素子1の駆動手段22とを備えている。
【0013】
図2は前記液晶表示素子1の一部分の断面図、図3は前記液晶表示素子1の一方の基板の一部分の平面図である。
【0014】
この液晶表示素子1は、予め定めた間隙を設けて対向配置され、周縁部において図示しない枠状のシール材を介して互いに接合された観察側(図2において上側)とその反対側の一対の透明基板2,3と、これらの基板2,3の互いに向き合う内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域によって前記複数の画素21を形成する透明電極13,4と、前記一対の基板2,3間の間隙の前記シール材で囲まれた領域に封入された液晶層17と、前記一対の基板2,3を挟んで配置された観察側とその反対側の一対の偏光板19,20とからなっている。
【0015】
なお、この液晶表示素子1は、TFT(薄膜トランジスタ)5をアクティブ素子としたアクティブマトリックス液晶表示素子であり、一方の基板、例えば観察側とは反対側の基板(以下、後側基板という)3の内面に、行及び列方向に配列させて設けられた複数の画素電極4と、前記複数の画素電極4にそれぞれ対応させて配置され、対応する画素電極4と接続された複数のTFT5と、各行のTFT5にゲート信号を供給するための複数の走査線11と、各列のTFT5にデータ信号を供給するための複数のデータ線12とが設けられ、他方の基板、つまり観察側基板2の内面に、前記複数の画素電極4と対向する一枚膜状の対向電極13が設けられている。
【0016】
なお、前記TFT5は、後基板3の内面上に形成されたゲート電極6と、前記後基板3の内面上の略全域に前記ゲート電極6を覆って設けられた透明なゲート絶縁膜7と、前記ゲート絶縁膜7の上に前記ゲート電極6と対向させて形成されたi型半導体膜8と、前記i型半導体膜8のチャンネル領域を挟む両側部の上に図示しないn型半導体膜を介して形成されたドレイン電極9及びソース電極10とからなっている。
【0017】
また、前記複数の走査線11は、前記後基板3の内面上に、各行の画素電極4の一側に沿わせて形成され、各行のTFT5のゲート電極6に接続されており、前記複数のデータ線12は、前記ゲート絶縁膜7の上に、各列の画素電極4の一側に沿わせて形成され、各列のTFT5のドレイン電極9に接続されている。
【0018】
そして、前記複数の画素電極4は、前記ゲート絶縁膜7の上に形成されており、これらの画素電極4の一端部に、その画素電極4と対応するTFT5のソース電極10が接続されている。
【0019】
一方、前記観察側基板2の内面には、前記複数の画素電極4と対向電極13とが互いに対向する領域からなる複数の画素21にそれぞれ対応させて、赤、緑、青の3色のカラーフィルタ14R,14G,14Bが設けられており、前記対向電極13は、前記カラーフィルタ14R,14G,14Bの上に形成されている。
【0020】
また、前記液晶表示素子1は、前記一対の基板2,3の内面それぞれに前記電極13,4を覆って垂直配向膜15,16を形成し、前記一対の基板2,3の間の間隙に、誘電異方性が負のネマティック液晶からなる液晶層17を封入した垂直型液晶表示素子であり、前記液晶層17の液晶分子18は、その分子長軸を、前記一対の基板2,3面に対して実質的に垂直な方向に向けて配向しており、前記複数の画素21毎に、前記電極4,13間への電圧の印加によって、前記画素21の周縁部から中心部に向かって倒れ込むように倒伏配向する。
【0021】
次に、前記液晶表示素子1の駆動手段22について説明すると、この駆動手段22は、図1のように、前記液晶表示素子1の複数の走査線11に各画素行毎に順次前記TFT5をオンさせるためのゲート信号を供給する走査駆動回路23と、前記液晶表示素子1の複数のデータ線12にデータ信号を供給するデータ駆動回路24と、映像信号の階調データに基づいて、互いに異なる輝度で表示させるための第1と第2のデータ信号を生成するデータ信号生成部25と、前記ゲート信号に対応した電圧及び前記第1と第2のデータ信号に対応した値の電圧を発生する電源部26と、前記走査駆動回路23及びデータ駆動回路24を制御する制御部27とからなっている。
【0022】
前記映像信号は、表示する画像に対応した同期信号と、複数の画素21それぞれ対応した表示輝度を定義する階調データ(赤、緑、青の3色の階調データ)とを含む信号であり、図示しない外部回路から前記制御部27に入力される。
【0023】
前記制御部27は、前記映像信号に基づいて複数の制御信号を生成して前記走査駆動回路23とデータ信号生成部25とに供給し、前記階調データを前記データ信号生成部25に供給し、前記走査駆動回路23とデータ信号生成部25とを制御する。
【0024】
前記データ信号生成部25は、前記制御部27から入力された階調データに基づいて、予め設定された演算式に従った演算により、前記階調データに対応した輝度に対して予め定めた比率で高くした輝度に対応する第1の階調と、前記映像信号の階調データに対応した輝度を予め定めた比率で低くした輝度に対応する第2の階調とを算出し、前記第1の階調を表わすデータ信号と、前記第2の階調を表わす第2のデータ信号とを生成して、これらのデータ信号と、前記同期信号とをデータ駆動回路24に供給する。
【0025】
そして、前記走査駆動回路23は、前記電源部26により発生された電圧値のゲート信号を、前記制御部27からの制御信号に応じて前記液晶表示素子1の複数の走査線11に順次供給する。この実施例では、液晶表示素子1の複数の画素を順次選択して1つの画像を表示する1表示期間Tを2つの期間に分割し、それらの分割期間ごとにゲート信号を前記複数の走査線に供給し、各行の前記TFT5を順次オンさせる。
【0026】
一方、前記データ駆動回路24は、前記1表示期間Tが分割されたそれぞれの分割期間毎に、前記ゲート信号に同期させて、前記第1と第2のデータ信号を、交互に前記液晶表示素子1の複数のデータ線12に供給する。。
【0027】
すなわち、前記駆動手段22は、外部回路から供給された映像信号の階調データに基づいて、互いに異なる輝度で表示させるための第1と第2のデータ信号を生成し、前記液晶表示素子1の複数の画素を順次選択して1つの画像を表示する1表示期間毎に、前記1表示期間を予め定めた割合で分割した2つの分割期間の一方の分割期間に前記複数の画素21の電極4,13間それぞれに前記第1と第2のデータ信号の一方に対応した電圧を印加し、他方の分割期間に、前記複数の画素21の電極4,13間それぞれに、前記第1と第2のデータ信号の他方に対応した電圧を印加する。
【0028】
この実施例において、前記データ信号生成部25から前記データ駆動回路24に供給される第1と第2のデータ信号のうちの第1のデータ信号は、前記制御部27から前記データ信号生成部25に入力された階調データに対応した輝度を予め定めた比率で高くした輝度に対応する信号であり、また、第2のデータ信号は、前記映像信号の階調データに対応した輝度を予め定めた比率で低くした輝度に対応する信号である。
【0029】
したがって、前記駆動手段22は、前記映像信号の階調データに対応した輝度を予め定めた比率で高くした輝度に対応する第1のデータ信号と、前記映像信号の階調データに対応した輝度を予め定めた比率で低くした輝度に対応する第2のデータ信号とを生成し、これらのデータ信号にそれぞれ対応した第1と第2の電圧を、前記複数の画素21にそれぞれ順に印加する。
【0030】
すなわち、前記駆動手段22は、液晶表示素子1の法線方向の正面輝度に対して、前記法線から傾いた方向の輝度の変化が予め定めた値の変化率が書く画素の透過率を制御する第1のデータ信号と、前記第1のデータ信号による表示に比べて、前記正面輝度に対する前記法線から傾いた方向の輝度の変化率が小さい広視野角で各画素の透過率を制御する第2のデータ信号とを生成し、これらのデータ信号にそれぞれ対応した第1と第2の電圧を、前記液晶表示素子1の複数の画素21にそれぞれ順に印加する。
【0031】
図4は、前記液晶表示素子1の複数の画素21を順次選択して1つの画像を表示する1表示期間Tにおける輝度の変化を示しており、図において、t1,t2は前記1表示期間Tを2分割した2つの分割期間である。
【0032】
なお、前記液晶表示素子1の駆動周期は例えば60Hzであり、1表示期間Tはそれぞれ16.7msecである。そして、この実施例では、各表示期間Tをそれぞれ実質的に2等分し、複数の画素21にそれぞれ第1の電圧と第2の電圧とを実質的に同じ時間ずつ印加するようにしている。
【0033】
また、この実施例では、前記表示期間Tを実質的に2等分した2つの分割期間t1,t2のうちの前の分割期間t1に、前記階調データに対応した輝度を予め定めた比率で高くした輝度に対応する第1のデータ信号に対応した第1の電圧を前記画素21に印加し、後の分割期間t2に、前記映像信号の階調データに対応した輝度を予め定めた比率で低くした輝度に対応する第1のデータ信号に対応した第1の電圧を前記画素21に印加している。
【0034】
そのため、複数の画素21の輝度が、前記2つの分割期間t1,t2のうちの前の分割期間t1に、前記階調データに対応した電圧をそのまま印加したときの輝度(以下、標準輝度という)Vを予め定めた比率で高くした輝度Vになり、後の分割期間t2に、前記標準輝度Vを予め定めた比率で低くした輝度Vになる。
【0035】
一方、前記液晶表示素子1の表示の視野角は、複数の画素21に印加する各階調毎の電圧値に対応し、各階調毎の電圧値を高く設定したときは、正面方向(液晶表示素子1の法線付近の方向)の輝度を高くし、良好なコンラストの表示を観察できる視野角が狭い。また、各階調毎の電圧値を低く設定したときは、正面方向の輝度が低下するが、良好なコンラストの表示を観察できる視野角が広い。
【0036】
この実施例の液晶表示装置は、垂直配向型の液晶表示素子1を、前記駆動手段22により、前記液晶表示素子1の複数の画素21を行毎に選択し、表示期間T毎に、映像信号の階調データに基づいて、互いに異なる輝度で表示させるための第1と第2のデータ信号を生成し、前記表示期間Tを予め定めた割合で分割した2つの分割期間t1,t2の一方t1に、前記複数の画素21にそれぞれ前記第1と第2のデータ信号の一方に対応した電圧を印加し、他方の分割期間t2に、前記複数の画素21にそれぞれ前記第1の第2のデータ信号の他方に対応した電圧を印加することによって駆動するようにしているため、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うことができる。
【0037】
すなわち、図5は、前記液晶表示装置の視野角−コントラスト特性図であり、この液晶表示装置においては、表示期間Tを分割した2つの分割期間t1,t2の一方t1に、各階調毎の電圧値を高く設定したときの視野角−コントラスト特性に対応した表示が得られ、他方の分割期間t2、各階調毎の電圧値を低く設定したときの視野角−コントラスト特性に対応した表示が得られるため、見かけ上、これらの表示が重畳した、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うことができる。
【0038】
この実施例では、前記駆動手段22を、前記液晶表示素子1の各行の表示期間Tを実質的に2等分し、前記複数の画素21にそれぞれ第1の電圧と第2の電圧とを実質的に同じ時間ずつ印加するように構成しているため、前記前の分割期間t1の表示と後の分割期間t2の表示とが平均して見える表示を行うことができる。
【0039】
そして、前記液晶表示装置は、液晶表示素子1の各行の複数の画素21の全域によって前記2つの分割期間t1,t2の表示を行うため、前記液晶表示素子1の開口率を低下させること無く、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うことができる。
【0040】
なお、前記駆動手段22は、前記液晶表示素子1の各行の表示期間Tを、その期間の長さが異なる2つの期間に分割し、前記複数の画素21それぞれに、第1の電圧と第2の電圧とを互いに異なる時間ずつ印加するように構成してもよい。
【0041】
図6はこの発明の他の実施例における前記液晶表示素子1の1つの画素21の表示期間Tの輝度の変化を示しており、ここでは、前記液晶表示素子1の各行の表示期間Tを、2:1の割合で異なる長さをもった2つの期間t11、t12に分割し、この2つの分割期間t11,t12のうちの前の分割期間t11に、前記階調データに対応した輝度に対して予め定めた比率で高くした輝度に対応する第1のデータ信号に対応した第1の電圧を前記複数の画素21に印加し、後の分割期間t2に、前記映像信号の階調データに対応した輝度に対して予め定めた比率で低くした輝度に対応する第1のデータ信号に対応した第1の電圧を前記画素21に印加したときの例を示している。
【0042】
この実施例では、前記複数の画素21の輝度が、前記2つの分割期間t11,t12のうちの前の分割期間t11に、前記階調データに対応した電圧をそのまま印加したときの標準輝度Vを予め定めた比率で高くした輝度Vになり、後の分割期間t2に、前記標準輝度Vを予め定めた比率で低くした輝度Vになる。
【0043】
そのため、この実施例によれば、前記前の分割期間t11の高輝度で視野角が狭い表示と、後の分割期間t12の低輝度で視野角が広い表示とが、そのうちの期間の長い表示(高輝度で視野角が狭い表示)が、期間の短い表示(低輝度で視野角が広い表示)よりも強く見える割合で重畳した、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うことができる。
【0044】
なお、前記2つの分割期間t11,t12の時間は、上記実施例と逆(t11<t12)に設定してもよく、その場合は、低輝度で視野角が広い表示が、高輝度で視野角が狭い表示よりも強く見える割合で重畳した、コントラストが良好で、視野角が広い表示を行うことができる。
【0045】
また、上記各実施例では、2つの分割期間t1,t2及びt11,t12のうちの前の分割期間t1,t11に、前記複数の画素21それぞれに前記第1のデータ信号に対応した電圧を印加しているが、前記第1と第2のデータ信号は、上記実施例と逆の順で印加してもよい。
【0046】
さらに、上記実施例の液晶表示装置は、垂直配向型の液晶表示素子1を備えたものであるが、液晶表示素子は、垂直配向型に限らず、液晶分子をツイスト配向させたTN型またはSTN型、液晶分子を分子長軸を一方向に揃えて基板面と実質的に平行に配向させた非ツイストの水平配向型、液晶分子をベンド配向させるベンド配向型のいずれか、あるいは強誘電性または反強誘電性液晶表示素子でもよい。
【0047】
また、液晶表示素子は、一対の基板の内面にそれぞれ複数の画素を形成するための電極を設けたものに限らず、一対の基板のいずれか一方の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極と、それよりも液晶層側に前記第1の電極と絶縁して形成された複数の細長電極部を有する第2の電極とを設け、これらの電極間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる横電界制御型のものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の一実施例を示す液晶表示装置の構成図。
【図2】液晶表示素子の一部分の断面図。
【図3】前記液晶表示素子の一方の基板の一部分の平面図。
【図4】前記液晶表示素子における1表示期間の輝度の変化を示す図。
【図5】前記液晶表示装置の視野角−コントラスト特性図。
【図6】この発明の他の実施例における液晶表示素子における1表示期間の輝度の変化を示す図。
【符号の説明】
【0049】
1…液晶表示素子、2,3…基板、4…画素電極、5…TFT、11…走査線、12…データ線、13…対向電極、17…液晶層、19,20…偏光板、22…駆動手段、23…走査駆動回路、24…データ駆動回路、25…データ信号生成部、26…電源部、27制御部、T…1表示期間、t1,t2,t11,t12…分割期間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加により液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御する複数の画素が行及び列方向に配列させて形成された液晶表示素子と、
外部から供給される映像信号の階調データに基づいて、互いに異なる輝度で表示させるための第1と第2のデータ信号を生成し、前記液晶表示素子の複数の画素それぞれに、前記第1と第2のデータ信号の一方に対応した電圧と、他方に対応した電圧とを交互に印加する駆動手段と、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
駆動手段は、液晶表示素子の複数の画素を順次選択して1つの画像を表示する1表示期間毎に、前記1表示期間を予め定めた割合で分割した2つの分割期間の一方の分割期間に、前記複数の画素それぞれに第1と第2のデータ信号の一方に対応した電圧を印加し、他方の分割期間に、前記複数の画素それぞれに前記第1と第2のデータ信号の他方に対応した電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
駆動手段は、映像信号の階調データに対応した輝度に対して、予め定めた比率で高くした輝度に対応する第1のデータ信号と、前記映像信号の階調データに対応した輝度に対して、予め定めた比率で低くした輝度に対応する第2のデータ信号とを生成し、これらのデータ信号にそれぞれ対応した第1と第2の電圧を、前記複数の画素それぞれに順に印加することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
駆動手段は、液晶表示素子の法線方向の正面輝度に対して、前記法線から傾いた方向の輝度の変化が予め定めた値の変化率で各画素の透過率を制御する第1のデータ信号と、前記第1のデータ信号による表示に比べて、前記正面輝度に対する前記法線から傾いた方向の輝度の変化率が小さい広視野角で各画素の透過率を制御する第2のデータ信号とを生成し、これらのデータ信号にそれぞれ対応した第1と第2の電圧を、前記液晶表示素子の複数の画素それぞれに順に印加することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
駆動手段は、1表示期間を実質的に2等分し、液晶表示素子の複数の画素それぞれに、第1の電圧と第2の電圧とを実質的に同じ時間ずつ印加することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
駆動手段は、1表示期間を期間の長さが異なる2つの期間に分割し、液晶表示素子の複数の画素それぞれに、第1の電圧と第2の電圧とを互いに長さが異なる期間ずつ印加することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−151994(P2010−151994A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328533(P2008−328533)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】