液晶装置、および電子機器
【課題】マルチドメインを形成するためのジグザグ形状を構成することなく視野角特性を改善し、広い視野角を有する画像表示を行う技術が望まれていた。
【解決手段】対向する一対の基板と当該一対の基板に挟持された液晶とを有し、前記一対の基板に対して略法線方向に初期的に配列された前記液晶の液晶分子の長軸方向が前記一対の基板に沿う方向に近づくように駆動されて画像を表示する画素が設けられた液晶装置の駆動方法であって、前記画素が表示する画像の視野角特性が互いに相補関係となる第1の表示状態と第2の表示状態とを形成するように、前記液晶分子を駆動することを特徴とする。
【解決手段】対向する一対の基板と当該一対の基板に挟持された液晶とを有し、前記一対の基板に対して略法線方向に初期的に配列された前記液晶の液晶分子の長軸方向が前記一対の基板に沿う方向に近づくように駆動されて画像を表示する画素が設けられた液晶装置の駆動方法であって、前記画素が表示する画像の視野角特性が互いに相補関係となる第1の表示状態と第2の表示状態とを形成するように、前記液晶分子を駆動することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶を駆動して画素ごとに明るさを制御し画像を表示する液晶装置において、液晶の応答速度が速い駆動方式の一つとして、VA(Vertical Alignment)方式が多く用いられている。VA方式は、対向する一対の基板とその一対の基板に挟持された液晶層とを有し、一対の基板に対して略法線方向(縦方向)に初期的に配列された液晶分子の長軸方向が、液晶層に印加する電圧によって画素毎に一対の基板に沿う方向に近づくように駆動されて画像を表示する所謂縦電界方式という駆動方法である。
【0003】
ところで、このようなVA方式の液晶装置は、視野角特性が、他の駆動方式、例えば液晶分子の長軸方向が、液晶層に印加する電圧によって基板面に沿った方向おいて回転する横電界方式に比べて劣るという課題がある。そこで、従来から、VA方式の液晶装置において、視野角特性を改善する方法が提案されている。例えば特許文献1には、液晶層に電圧を印加したときに呈する液晶分子の長軸方向が複数存在するように、液晶層の初期的な配向方向を複数形成してマルチドメインとする方法が開示されている。こうすることで、画素内での配向方向が分割して形成されるので、広い視野角が得られるというものである。
【0004】
【特許文献1】特開平11−258606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、マルチドメインを形成するためにジグザグ形状の突起または窪みまたはスリットを所定のピッチで平行に配列形成しなければならず、液晶装置において複雑な構造を設ける必要があった。このため、高精細の画像を表示するために画素ピッチが小さい液晶装置においては、物理的にこのようなジグザグ構造を形成することは困難であった。従って、このようなジグザグ形状を構成することなく視野角特性を改善し、広い視野角を有する画像表示を行う技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]対向する一対の基板と、当該一対の基板に挟持され、前記一対の基板に対して初期的に略法線方向に配向した液晶層と、画像を表示する画素と、を有する液晶装置であって、前記画素が表示する画像の視野角特性が互いに相補関係となる第1の表示状態と第2の表示状態とを合成させて表示することを特徴とする液晶装置。
【0008】
この構成によれば、画素に表示される画像について、互いに相補関係の視野角特性を有する2つの表示状態を合成して表示するので、この2つの表示状態によって広い視野角を有する画像表示を行うことができる。
【0009】
[適用例2]上記液晶装置であって、前記第1の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値と、前記第2の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値と、が異なることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、液晶層に印加する電圧の電圧値が異なることによって、画像の視野角特性が互いに相補関係となる表示状態を形成するので、印加する電圧を異ならせることによって、広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0011】
[適用例3]上記液晶装置であって、前記第1の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値は、前記画素が表示する前記画像の明るさが最大となる電圧の電圧値より高い電圧の範囲であり、前記第2の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値は、前記画素が表示する前記画像の明るさが最大となる電圧の電圧値より低い電圧の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、液晶層に印加される電圧を、画像が最も明るくなるときに印加される電圧より高い電圧と低い電圧によって互いに相補関係の視野角特性を有する画像を表示する。従って、例えば、ほぼ同じ明るさであって相補関係の視野角特性を有する2つの表示状態を用いることによって、画像の明るさを変えることなく容易に広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0013】
[適用例4]上記液晶装置であって、前記画像の表示期間内において、前記第1の表示状態で駆動される期間と、前記第2の表示状態で駆動される期間と、を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、画像の表示期間内で、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を表示するので、相補関係の視野角特性を有する画像が時間的に積分されて合成される。この結果、広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0015】
[適用例5]上記液晶装置であって、前記第1の表示状態で駆動される期間と、前記第2の表示状態で駆動される期間とは、同じ時間長の期間であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、画像の表示期間内で、互いに相補関係の視野角特性を有する2つの表示状態が同じ時間形成されるので、時間的に積分されて合成された画像は、広い視野角の画像となる確率が高くなる。
【0017】
[適用例6]上記液晶装置であって、前記画素は複数のサブ画素によって構成され、前記複数のサブ画素には、前記第1の表示状態で駆動される前記サブ画素と、前記第2の表示状態で駆動される前記サブ画素と、が含まれていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、画像の表示期間で、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を同時に表示するので、相補関係の視野角特性を有する画像が空間的に積分されて合成される。この結果、広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0019】
[適用例7]上記液晶装置であって、前記第1の表示状態で駆動される前記サブ画素と、前記第2の表示状態で駆動される前記サブ画素は、画素の領域面積の大きさが等しいことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、画像の表示期間において、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を等しい大きさで同時に表示するので、空間的に積分されて合成された画像は、広い視野角の画像となる確率が高くなる。
【0021】
[適用例8]上記液晶装置であって、前記画素から、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの色の波長を有する光が射出されることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、R,G,Bのいずれかの色についての表示画像を、互いに相補関係の視野角特性を有する画像によって視野角を合成することができる。この結果、カラー画像について広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0023】
[適用例9]上記液晶装置であって、前記画素に対して、面内方向の屈折率に比べて厚さ方向の屈折率が小さい位相差板が、前記一対の基板の外側に配設されていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、液晶分子が呈する屈折率異方性を位相差板によって補償することができるので、さらに広い視野角の画像表示を行うことができる液晶装置を実現することが期待できる。
【0025】
[適用例10]上記液晶装置であって、前記画素は、当該画素内に入射した光を反射して前記画像を表示する画素であることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を表示することによって広い視野角の画像表示を行うことができる反射型の液晶装置を実現することができる。
【0027】
[適用例11]上記液晶装置を備えた電子機器。
【0028】
この機器構成によれば、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を表示することによって広い視野角の画像表示を行うことが可能な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、以降の説明において用いる図面は、説明のために誇張して図示している場合もあり、必ずしも実際の大きさや長さを示すものでないことは言うまでもない。
【0030】
図1は、本発明の一実施例となる液晶装置100を備えた電子機器としての電子ビューファインダー1について、その概略構成を模式的に示した斜視図である。電子ビューファインダー1は、反射型の表示装置であって、平面領域に形成された画素によって画像を表示する表示装置となる液晶装置100を備え、ビデオカメラなどの映像機器から出力される画像(カラー画像)を表示するように構成されている。
【0031】
具体的に説明すると、LED(有機発光ダイオードや無機発光ダイオード)などの光源からの光が偏光ビームスプリッター5に照射する。本実施例では、偏光ビームスプリッター5はS偏光を反射させ、P偏光を通過させるように構成されており、光源からの光のうちS偏光(これを図示するようにX軸方向に振動する光とする)が反射される。反射されたS偏光は、液晶装置100の表示面に対して略法線方向(これを図示するようにZ軸方向とする)から入射する。ここで、液晶装置100は、X軸方向を基準(0度)とし、図示するように表示面内においてX軸と直交するY軸方向へ、反時計周りで45度傾いた方向が、遅相軸となるように液晶層の配向方向が形成され(後述する)、位相差板として機能するように構成されている。そして、液晶装置100に入射したS偏光を反射して、再び偏光ビームスプリッター5に向けて射出する。この時、入射したS偏光は、光変調されるとともに1/2波長の位相差が付与され、偏光軸が90度回転されてP偏光(図示するようにY軸方向に振動する光)となる。偏光ビームスプリッター5では、P偏光と同じ方向に偏光軸が形成されているので、液晶装置100から射出されたP偏光は偏光ビームスプリッター5を通過する。通過したP偏光は、その後図示しない接眼レンズなどの光学系3を経由して射出される。電子ビューファインダー1の観察者は、射出されたP偏光を見ることよって、液晶装置100の各画素が表示する画像を視認する。
【0032】
さて、本実施例の液晶装置100は、一対の基板としての基板10と基板20とが、図示しない液晶層を封止状態で挟んで、同じく図示しないシール材によって貼り合わされた構造を有した液晶パネル30と、位相差板50とから構成されている。本実施例では、液晶パネル30はVAモードの反射型パネルであり、位相差板50は、Cプレートである。周知のように、VAモードは、初期的な配向状態において、液晶分子の長軸方向が基板10(あるいは基板20)の法線方向つまりZ軸方向に沿った方向であることから、液晶層におけるZ軸方向の屈折率が大きい。そこで、Z軸方向の屈折率nzがX軸方向の屈折率nxおよびY軸方向の屈折率nyよりも小さいCプレートによってZ軸方向に対して斜めの方向からみたときの位相差を補償することが出来る。なお、位相差板50は液晶パネル30と離間して図示しているが、液晶パネル30に貼り合わされていても差し支えない。
【0033】
次に液晶パネル30について図2および図3を用いて説明する。図2は、液晶パネル30を構成する基板10についての説明図、図3は、液晶パネル30の全体構成を説明する説明図である。
【0034】
まず図2を用いて基板10を説明する。図示するように、基板10は、その外周部分に、走査駆動回路11とデータ駆動回路12とが、ガラスや石英あるいは樹脂やセラミックなどの平板上(図面表面側)に形成されたものである。また、走査駆動回路11からは走査線111が、データ駆動回路12からはデータ線121が、図2に示したように配線されている。そして、各画素に対応して走査線111とデータ線121の交点付近にそれぞれ形成された薄膜トランジスター14に対して供給され、走査線111によって供給される電圧によって薄膜トランジスター14のオン・オフが制御される。さらに、薄膜トランジスター14がオンしたとき、データ線121によって供給される電圧が、画素毎に設けられた電極に導通印加されるように構成されている。
【0035】
そして、基板10と図示しない基板20とを貼り合わせたとき、各画素において基板10側に設けられた電極(以降「画素電極」と称す)と、図中2点鎖線で示したように基板20側に設けられ総ての画素に対して共通な電位(例えば接地電位)を供給する電極(以降「共通電極」と称す)とが、液晶層を挟んでそれぞれ対向するように構成されている。従って、各画素において、薄膜トランジスター14のオンによって、データ線121によって供給される電圧と共通電極の電圧との差分電圧が、各画素に対応する液晶層に印加され、差分電圧に応じた光変調が行われて画素の明るさが制御されるように構成されている。
【0036】
なお、本実施例では、画素電極は光を反射するように構成された反射電極である。また、本実施例では説明の簡略化のため、X軸方向に6個、Y軸方向に3個の画素電極が配列形成され、これに対応して画素も同様に形成されているものとする。もとより、実際には、X軸方向およびY軸方向それぞれに、数百個から数千個の画素が通常形成される。
【0037】
次に、液晶パネル30について、その構成を図3を用いて説明する。図3(a)はX軸方向に並んだ3つの画素を基板20側から見た平面図である。また、図3(b)はその構成の部分的な断面図であり、図3(a)におけるC−C断面を示している。また、図3(c)は、液晶層における液晶分子の配向状態を示した模式図である。図3(b)に示すように、液晶パネル30は、液晶層40が基板10と基板20とで挟持された構造を有している。
【0038】
基板20は、図3(a)および図3(b)に示したように、光変調を行う画素に対応する領域部分を光入射領域とし、薄膜トランジスター14やその他の領域部分が遮光領域となるように、金属膜などからなる所定の遮光層BMが、ガラスや石英または樹脂などの透光性を有する平板B上に形成されている。光入射領域には、本実施例では、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)色の波長を有する光を透過させるRフィルタ層、Gフィルタ層、Bフィルタ層がそれぞれ形成されている。
【0039】
平板Bおよび遮光層BMの液晶層40側には透光性材料(例えばITO)からなる共通電極が形成されている。さらに共通電極の液晶層40側には、共通電極を覆うように配向膜Bが形成されている。配向膜Bは、例えばポリイミドをベースとした組成物からなる。
【0040】
基板10は、上述するようにガラスや石英あるいは樹脂やセラミックなどの平板において、液晶層40側の面に、画素領域に対応して画素電極が形成されている。画素電極は、反射電極でもあることから、例えばアルミニウムやアルミニウムと銅、あるいはアルミニウムとネオジムの合金やAPC(銀−パラジウム−銅の合金)などの材料が用いられる。さらに画素電極の液晶層40側には、画素電極を覆うように配向膜Aが形成されている。配向膜Aは、例えばポリイミドをベースとした組成物からなる。なお、図示しないが、基板10には、走査線111、データ線121および薄膜トランジスター14が形成されている。
【0041】
本実施例では、液晶パネル30は、遅相軸の方向が、S偏光の振動方向つまりX軸方向に対して45度の方向となるように、液晶層40における液晶分子の配向が設定されている。すなわち、図3(c)に示したように、遅相軸とX軸との成す角度が、45度になるように基板10において配向膜Aの配向処理が行われている。また、電圧印加時において駆動される液晶分子が遅相軸方向に傾くように、配向膜Aには、液晶分子がZ軸方向に対して5度のプレチルト角度を有するように配向処理が行われている。なお、説明は省略するが、基板20においても、同様に配向膜Bの配向処理が行われている。
【0042】
さて、このように構成された液晶装置100において、各画素について液晶層40に電圧が印加されると、印加される電圧に応じて液晶装置100が表示する画像の明るさ、つまり偏光ビームスプリッター5から観察者側に射出する光の量が変化する。本実施例において得られる電圧と明るさの関係を図4(a)に示した。図中、横軸は液晶層に印加される電圧(V)を示している。また縦軸は、電圧(V)が印加されたときに画素が表示する画像の明るさを、最大明るさを「1」として規格化した値として示している。なお、図4(a)に示した画像の明るさは、画素のZ軸方向における明るさである。
【0043】
図示するように、本実施例の液晶装置100では、電圧が「3.1V」において明るさが最大となる。そして、その前後の電圧において、同じ明るさを呈する電圧が存在する。例えば、明るさが約0.95を呈する電圧は、「2.8V」と「3.4V」である。あるいは、明るさが約0.82を呈する電圧は、「2.6V」と「3.9V」である。
【0044】
ところで、本実施例では、液晶パネル30は液晶分子の駆動方式はVA方式であるので、液晶分子の傾きは、液晶層40に印加される電圧に相関すると考えてよい。また、液晶分子のZ軸方向からの傾き量は、液晶層40の中心部ほど大きく、配向膜Aおよび配向膜B近傍では小さいと考えてよい。一例として、前述した同じ画像の明るさを呈する電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とについて、液晶層40中における液晶分子の傾きの様子を図4(b)に示した。図中、横軸は、Z軸方向に対する傾き角度であるチルト角度(「極角度」とも称す)を示している。また、縦軸は、液晶層40の総厚(すなわち配向膜Aから配向膜Bまでの距離)を「1」として規格化した液晶層40の厚さを示している。
【0045】
図示するように、本実施例の液晶装置100では、電圧が「2.8V」のときの液晶分子の傾きは液晶層40の中心付近で最大となり、そのチルト角度は凡そ63度である。これに対して、電圧が「3.4V」のときの液晶分子の傾きは液晶層40の中心付近で最大となり、そのチルト角度は凡そ75度である。また、一例として、液晶層40の層厚のうち、電圧が「2.8V」において液晶分子が60度以上のチルト角を呈する範囲Pよりも、電圧が「3.4V」において液晶分子が60度以上のチルト角を呈する範囲Qの方が明らかに広くなる。
【0046】
このように、液晶層40における液晶分子のZ軸方向に対する傾き具合が、電圧に応じて異なることから、偏光ビームスプリッター5から観察者側に射出される光について、位相差板50の光学補償作用が加わることによって、Z軸に対して傾いた方向から見たときのXY平面上の明るさ、つまり視野角特性が異なることが想定される。
【0047】
そこで、液晶装置100における視野角特性について、光学的な特性変化が顕著に現れると推定される液晶分子の配向方向すなわち遅相軸方向と、これに直交する方向と、の2方向について調べる。図5は、視角特性について調べるに際して定義した方向を示した説明図である。図示するように、X軸方向を方位角0度−180度、液晶パネル30の遅相軸方向を方位角45度−225度、Y軸方向を方位角90度−270度、液晶パネル30の遅相軸と直交する方向を方位角135度−315度、と表している。また、Z軸方向を極角度0度とし、方位角45度−225度においては、方位角45度側への傾き方向をプラス方向、方位角225度側への傾きをマイナス方向としている。同じく、方位角135度−315度においては、方位角135度側への傾き方向をプラス方向、方位角315度側への傾きをマイナス方向としている。
【0048】
さて、同じ明るさ(Z軸方向において同じ明るさ)を呈する電圧「2.8V」と、電圧「3.4V」について、一例としてG画素(本実施例では、透過する光の波長を550nmとする)について、2方向における位相差を調べた結果を図6に示した。図示するように、極角度が−40度から+40度の範囲において、電圧「2.8V」については、方位角135度−315度の方が大きな位相差となり、逆に、電圧「3.4V」については、方位角45度−225度の方が大きな位相差となった。ここで、詳しい説明は省略するが、位相差の値が、液晶装置100に入射する光の波長の1/2(ここでは275nm)に近づくほど、画像が明るくなることを示している。従って、図6に示した位相差の値は波長の1/2以下の範囲の値であるので、位相差の値が大きいほど明るくなるということを表している。
【0049】
図6の結果から、電圧「2.8V」の視野角特性は、方位角135度−315度の方向が明るいのでこの方向に明視方向をもち、逆に、電圧「3.4V」については、方位角45度−225度の方向が明るいのでこの方向に明視方向をもつ。言い換えれば、本実施例の液晶装置100は、画素に印加する電圧によって明視方向が変わるという特性を有するのである。なお、説明は省略するが、他のR画素、B画素についても同様である。
【0050】
本実施例では、この特性を利用して、電子ビューファインダー1が備える液晶装置100を構成する液晶パネル30の各画素において、表示する画像の単位表示期間内つまり1フレーム期間内で画素に印加する電圧を変化させて、表示する画像の視野角が広くなるようにする。電子ビューファインダー1の観察者は、実際にはZ軸に対して傾いた方向から画像を見る場合がある。そこで液晶装置100が表示する画像(カラー画像)の視野角を広くすることによって、観察者が斜めから見たときに対しても明るさが均一となった画像を表示できるようにするのである。
【0051】
これを図7を用いて説明する。図7は1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、図7(a)は、データ線121から出力される電圧が画素電極に印加されたときの画素電極が呈する電圧の変化の様子を示すタイミング図、図7(b)は、総ての方位角、および極角度の絶対値が40度内の視野角について、画像の明るさを等高線で示した模式図である。
【0052】
視野角の補償対象となる補償画素について、視野角特性を補償するためのデータ線121の出力信号は、図7(a)に示したように、画像の単位表示時間となる1フレーム期間F毎に繰り返して出力され、画素電極の電圧を変化させる。すなわち、時間t1から時間t11までの1フレーム期間Fにおいて、本実施例では、補償画素に対応する薄膜トランジスター14が走査線111の信号によってオンしたとき、1フレーム期間Fの前半分の期間F/2となる時間t1から時間t2まで画素電極の電圧は「2.8V」となり、1フレーム期間Fの後半分の期間F/2となる時間t2から時間t11まで画素電極の電圧は「3.4V」となるのである。
【0053】
具体的には、補償画素が接続された走査線111に、1フレーム期間Fの1/2の期間ごとに薄膜トランジスター14をオンさせる信号を出力する。そして薄膜トランジスター14がオンする都度、データ線121に出力される電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とが交互に画素電極に印加されるように構成されている。
【0054】
なお、データ線121に出力される電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とが画素電極に印加される期間は、実際には薄膜トランジスター14が走査線111の信号によってオンしている期間つまり1水平走査期間のみであるが、各画素には保持容量(不図示)がそれぞれ設けられ、画素電極に印加された電圧は、次に画素電極に電圧が印加されるまで凡そその電圧値が保持されるのである。
【0055】
このように画素電極の電圧が変化すると、補償画素において表示される画像の視野角特性は、1フレーム期間Fの前半1/2における電圧「2.8V」の視野角特性と、1フレーム期間Fの後半1/2における電圧「3.4V」の視野角特性とが合成された視野角特性、すなわち、時間的に積分された視野角特性となる。
【0056】
具体的には、図7(b)に示したように各視野角における明るさが合成され、視野角特性が補償される。詳しく説明すると、画素電極の電圧が「2.8V」のときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.88」以上の明るい画像の方向は、方位角135度−315度であり、この方位角方向と直交する方位角45度−225度の方向については、Z軸から傾くほど次第に暗くなる視野角特性を有する。一方、画素電極の電圧が「3.4V」のときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.88」以上の明るい画像の方向は、方位角45度−225度であり、この方位角方向と直交する方位角135度−315度の方向については、Z軸から傾くほど次第に暗くなる視野角特性を有する。従って、電圧「2.8V」が印加されたときの画素の表示状態と、電圧「3.4V」が印加されたときの画素の表示状態とは、互いに相補関係となる視野角特性を有するのである。
【0057】
この結果、2つの表示状態がそれぞれ1フレーム期間Fの1/2ずつ時間的に積分されると、画素は1フレーム期間Fにおいて図面下側に示したような表示状態を呈することになる。すなわち、電圧「2.8V」について方位角45度−225度の方向における明るさが、電圧「3.4V」について方位角45度−225度の方向における明るさによって補償され、凡そ総ての方位角方向において広がることになる。こうして、本実施例によれば、同じ画像の明るさを有し、互いに相補関係の視野角特性を呈する2つの表示状態を時間的に積分して合成することによって視野角特性が改善されるので、画像の明るさを変えることなく容易に視野角が広がった表示を得ることができるのである。
【0058】
なお、本実施例では、2つの表示状態をそれぞれ1フレーム期間Fの1/2ずつ形成することとしている。これは、画像の表示期間内で、互いに相補関係の視野角特性を有する2つの表示状態を同じ時間形成すれば、時間的に積分されて合成された画像は、広い視野角の画像となる確率が高くなるからである。もとより、2つの表示状態が、1フレーム期間Fにおいて互いに異なる時間長形成されることとしても差し支えない。合成する2つの表示状態の視野角特性に基づいて、時間的に積分されて合成されたときの視野角特性が広くなるように、それぞれの表示時間割合を変更すればよいことは言うまでもない。
【0059】
ところで、本実施例において、画素の明るさが最も明るくなる電圧「3.1V」について、その視野角特性を調べてみた。その結果を、図8に示す。図示するように、本実施例において、電圧「3.1V」における視野角は、総ての方位角方向において凡そ同じ明るさを呈することが解かる。従って、上述した電圧「2.8V」と電圧「3.4V」における視野角の様子とから、本実施例では、補償画素に対して、明るさが最も明るくなる電圧よりも高い電圧と低い電圧との間では、画素の表示状態における明視方向が相補関係となることが解かる。この結果、本実施例によれば、同じ画像の明るさであって、互いに相補関係となる視野角が得られる2つの電圧を、1フレーム期間において分割(本実施例では1/2ずつに分割)して印加することによって、広い視野角のカラー画像を得ることが可能である。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について実施例により説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。以下、変形例をあげて説明する。
【0061】
(第1変形例)
上記実施例では、各画素における視野角特性を補償する方法として、図7に示したように、1フレーム期間Fにおいて時間を分けて2つの異なる電圧を液晶層40に印加し、視野角特性を時間的に積分して補償することとしたが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、1つの画素を2つ以上の複数のサブ画素に分割し、分割したサブ画素の2つについて、それぞれ視野角特性が相補関係を呈する電圧を、1フレーム期間Fにおいて液晶層40にそれぞれ印加することによって視野角特性を空間的に積分して補償することとしてもよい。
【0062】
本変形例を図9および図10を用いて説明する。図9は、本変形例の一例として、1つの画素が2つのサブ画素に分割された液晶パネル30を構成する基板10についての構成を示す説明図である。図10は1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、図10(a)は、データ線121から出力される電圧が画素電極に印加されたときの画素電極が呈する電圧の様子を示すタイミング図、図10(b)は、総ての方位角、および極角度の絶対値が40度内の視野角について、画像の明るさを等高線で示した模式図である。なお、図9において、上記実施例における基板10(図2参照)と同じ構成要素については同じ符号を付している。また図10(b)は、上記実施例における図7(b)と同一である。従って、これらについては、ここでの説明を省略する。
【0063】
まず基板10を図9を用いて説明する。本変形例の基板10は、図中太い実線の四角形で囲ったように、1つの画素(R画素、G画素、B画素)がX軸方向に隣り合う2つのサブ画素に分割されて構成されている。すなわち、例えば1つのR画素を構成する2つのサブ画素Ra,Rbは、本変形例ではほぼ同じ画素の領域面積を有するようにほぼ同じ形状を有し、データ線121aから供給される電圧信号と、データ線121bから供給される電圧信号と、をそれぞれの画素に印加するべく、個別に薄膜トランジスター14aと薄膜トランジスター14bとが形成されている。そして、2つのサブ画素Ra,Rbに同じ画像(明るさ)を表示させて1つのR画素として機能するようにデータ駆動回路12から出力する電圧信号を制御するように構成されている。
【0064】
なお、本変形例では、説明をわかりやすくするために、図9においてX軸方向とY軸方向にそれぞれ3つ、計9個の画素が形成される様子を示しているが、もとより、上記実施例と同様、X軸方向およびY軸方向についてそれぞれ数百個から数千個程度の色画素(X軸方向については2倍のサブ画素)が通常形成される。
【0065】
次に、視野角の補償方法について説明する。本変形例では、視野角の補償対象となる補償画素について、その補償画素を構成するサブ画素に対応するデータ線121aおよびデータ線121bに、液晶層40に印加する画素電圧が図10(a)に示した電圧を呈するように、所定の電圧を画像の単位表示時間となる1フレーム期間F毎に繰り返して出力する。すなわち、時間t1から時間t11までの1フレーム期間Fにおいて、補償画素に対応する2つのサブ画素について、薄膜トランジスター14aおよび薄膜トランジスター14bが走査線111の信号によってオンしたとき、1フレーム期間Fとなる時間t1から時間t11まで(時間t11から時間t21まで)、2つのサブ画素における画素電極が呈する電圧が、同じ明るさの画像を表示する2つの異なる電圧、本変形例では、一例として電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とになるように、それぞれの電圧「2.8V」と電圧3.4V」とを繰り返して出力するのである。
【0066】
このように2つのサブ画素の画素電極が、それぞれ異なる電圧「2.8V」と電圧「3.4V」を同時に呈すると、補償画素において表示される画像の視野角特性は、電圧「2.8V」の視野角特性と電圧「3.4V」の視野角特性とを合成した視野角特性、すなわち、空間的に積分された視野角特性となる。
【0067】
具体的には、図10(b)に示したように、各サブ画素において、画素電極が呈する電圧「2.8V」と電圧「3.4V」に応じて形成されるそれぞれの各視野角の明るさが合成され、図中下側に示したように視野角特性が補償されるのである。なお、図10(b)に示した具体的な合成の様子については、上記実施例(図7(b)参照)と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0068】
このように本変形例では、互いに相補関係となる視野角特性を有する表示状態を、隣り合う2つのサブ画素にそれぞれ同時に形成するように、例えば電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とをそれぞれのサブ画素の画素電極に印加するのである。この結果、2つの表示状態が空間的に積分されることによって視野角特性が改善されるので、上記実施例と同様に、画像の明るさを変えることなく容易に視野角が広がった表示を得ることが可能である。
【0069】
なお、本変形例では、隣り合う2つのサブ画素の領域面積をほぼ同じ大きさ(形状)としている。これは、画像の表示期間で、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を同じ領域面積で同時に表示すれば、空間的に積分されて合成された画像は、広い視野角の画像となる確率が高くなるからである。もとより、サブ画素が、それぞれ異なる領域面積を有するように分割構成されていることとしてもよい。合成される2つの表示状態の視野角特性に基づいて、空間的に積分されて合成されたときの視野角特性が広くなるように、それぞれの領域面積(あるいは形状)を変更すればよいことは言うまでもない。
【0070】
(第2変形例)
上記実施例および変形例では、液晶装置100は、同じ明るさを呈するとともに、明るさが最大になる電圧よりも高い電圧と低い電圧の2つの電圧を用いて視野角特性を補償し、広い視野角を得ることとしたが、必ずしも同じ明るさを呈する2つの電圧に限るものでないことは勿論である。
【0071】
上記実施例において図4(a)に示したように、明るさが最大になる電圧よりも高い電圧と低い電圧において、同じ明るさを呈する電圧には範囲が存在する。このため、同じ明るさが得られる電圧を用いて視野角特性を広くすることができる画像の明るさは、その範囲が限られることになる。ちなみに、図4(a)においては、規格化された画像の明るさがおおよそ0.68以上(このとき印加電圧は、約2.5V以上(5V以下)の電圧範囲)に限られる。
【0072】
そこで、上記実施例で説明したように、明るさが最大になる電圧よりも高い電圧と低い電圧の2つの電圧では、視野角特性が異なることから、同じ明るさではないものの、この2つの電圧において存在する視野角特性の相補関係を利用して視野角特性を補償すれば、同じ明るさを呈する2つの電圧が存在しない明るさにおいても、広い視野角特性の画像を得ることが可能である。
【0073】
一例として、2つの電圧として、電圧「2.2V」と電圧「3.8V」を用いて視野角特性を補償する場合について、図11を用いて説明する。これらの電圧は、図4(a)から明らかなように、明るさが最大になる電圧「3.1V」よりも高い電圧と低い電圧であって、それぞれ異なる明るさを呈する電圧である。
【0074】
図11は、1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、図11(a)は、データ線121から出力される電圧によって呈する画素電極の電圧の変化の様子を示すタイミング図、図11(b)は、総ての方位角、および極角度の絶対値が40度内の視野角について、画像の明るさを等高線で示した図である。
【0075】
本変形例では、視野角の補償対象となる補償画素について、データ線121の出力信号によって、画素電極の電圧は、図11(a)に示したように画像の単位表示時間となる1フレーム期間F毎に繰り返して所定の電圧を呈するように構成されている。すなわち、時間t1から時間t11までの1フレーム期間Fにおいて、補償画素に対応する薄膜トランジスター14が走査線111の信号によってオンしたとき、1フレーム期間Fの前3分の2の期間となる時間t1から時間t3まで電圧「2.2V」となり、1フレーム期間Fの残りの3分の1の期間となる時間t3から時間t11まで電圧「3.8V」となるように構成されている。
【0076】
このように画素電極が異なる電圧を呈することによって、それぞれの電圧が液晶層40に印加されると、補償画素において表示される画像の視野角特性は、1フレーム期間Fの前3分の2における電圧「2.2V」のときの視野角特性が、1フレーム期間Fの残り3分の1における電圧「3.8V」のときの視野角特性によって補償された視野角特性、すなわち、時間割合に応じて積分された視野角特性となる。
【0077】
具体的には、図11(b)に示したように各視野角における明るさが時間割合に応じて積分されて合成され、視野角特性が補償される。詳しく説明すると、電圧「2.2V」が印加されたときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.40」以上の明るい画像の方向は、方位角135度−315度であり、この方位角方向と直交する両方向については次第に暗くなる視野角特性を有する。一方、電圧「3.8V」が印加されたときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.79」以上の明るい画像の方向は、方位角45度−225度であり、この方位角方向と直交する両方向については次第に暗くなる視野角特性を有する。従って、電圧「2.2V」が印加されたときの画素の表示状態に対して、電圧「3.8V」が印加されたときの画素の表示状態は、相補関係となる視野角特性を有している。
【0078】
そして、2つの表示状態が時間的に積分されると、画素は1フレーム期間Fにおいて図面下側に示したような表示状態を呈することになる。すなわち、電圧「2.2V」について方位角45度−225度の方向における明るさが、電圧「3.8V」について方位角45度−225度の方向における明るさによって補償され、凡そ総ての方位角方向において明るさが均一になることが解かる。こうして、本変形例によって視野角特性が改善され、視野角が広がった表示を得ることができるのである。
【0079】
なお、本変形例では、図11(b)に示したように、電圧「2.2V」のときにZ軸方向(つまり中心)の明るさ(0.4〜0.41)に対して、電圧「3.8V」のときのZ軸方向(つまり中心)の明るさ(0.79〜0.86)は、相当に明るい。従って、本変形例の如く、互いに異なる明るさを呈する電圧を組み合わせて用いる場合は、時間的に積分された状態での視野角特性において、Z軸方向の明るさが、その補償画素において本来表示すべき画像の明るさになるように、1フレーム期間の分割時間を調整することが好ましい。
【0080】
(第3変形例)
上記実施例では、液晶装置100は、液晶パネル30と位相差板50とから構成されるものとしたが、これに限らず、位相差板50を備えない構成としてもよい。位相差板50を備えない場合は、光学補償を行わないことから、画素における視野角特性が位相差板50を備えた場合と異なることが想定される。
【0081】
そこで、上記実施例において用いた2つの電圧(電圧「2.8V」と電圧「3.4V」)について、それぞれの視野角特性を図12を用いて説明する。図12は、上記実施例における図6と同様に、電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とについて、方位角45度−225度と方位角135度−315度の2方向における位相差を調べた結果を示したものである。図示するように、位相差板50を備えない場合は、極角度が−40度から+40度の範囲において、電圧「2.8V」については、方位角45度−225度の方が大きな位相差となり、逆に、電圧「3.4V」については、方位角135度−315度の方が大きな位相差となった。つまり、位相差板50を備えた場合とは逆になる。
【0082】
本変形例においては、図12に示した視野角特性の結果から、上記実施例とは異なり、電圧「2.8V」の視野角特性は、方位角45度−225度の方向が明るいのでこの方向に明視方向をもち、逆に、電圧「3.4V」については、方位角135度−315度の方向が明るいのでこの方向に明視方向をもつ。言い換えれば、本変形例の液晶装置100は、位相差板50を備えない状態であっても、画素に印加する電圧によって明視方向が変わるという特性を有するのである。特に、極角度が0度から+40度の範囲については、顕著であるといえる。
【0083】
本変形例における液晶装置100(すなわち液晶パネル30)において、同じ明るさを呈するとともに、明るさが最大になる電圧よりも高い電圧と低い電圧の2つの電圧を用いて視野角特性を補償する一例を、図13を用いて説明する。
【0084】
図13は、同じ明るさを呈する2つの電圧「2.6V」と電圧「3.9V」について、1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図である。図13(a)は、総ての方位角であって極角度の絶対値が40度以内における視野角について、画素の明るさを等高線で示した図である。図13(b)は、本変形例において補償された視野角特性を有する液晶装置100の一つの使用方法を説明するための図である。なお、本変形例では、視野角の補償対象となる補償画素について、視野角特性の積分を時間的に行う場合であってもよいし、空間的に行う場合であってもよい。
【0085】
本変形例では、図13(a)に示したように各視野角における明るさが同じ割合で合成され、視野角特性が補償される。詳しく説明すると、画素電極の電圧「2.6V」が液晶層40に印加されたときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.77」以上の明るい画像の方向は、方位角45度−225度であり、この方位角方向と直交する方向については特に方位角135度の方向において次第に暗くなる視野角特性を有する。
【0086】
一方、画素電極の電圧「3.9V」が液晶層40に印加されたときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.78」以上の明るい画像の方向は、方位角135度の方向であり、この方位角方向と直交する方向については緩やかに明るくなる視野角特性を有する。そして、方位角135度方向においては、画素電極の電圧「2.6V」が液晶層40に印加されたときの画素の表示状態に対して、画素電極の電圧「3.9V」が液晶層40に印加されたときの画素の表示状態は、相補関係となる視野角特性を有している。
【0087】
さて、本変形例において、2つの表示状態が時間的に積分されると、画素は1フレーム期間Fにおいて図13(a)の下側に示したような表示状態を呈することになる。すなわち、電圧「2.6V」について方位角135度の方向における明るさが、電圧「3.9V」について方位角135度の方向における明るさによって補償され、明るさがおおよそ均一化される様子が解かる。こうして、本変形例によれば、明るさが相対的に低くなる視野角が少なくなるように特性が改善され、その結果、視野角が広がった表示を得ることができるのである。
【0088】
なお、本変形例では、図13(a)に示したように、積分された視野角特性において、方位角45度−225度の方向における明るさは、極角度の絶対値が大きくなる方向に明るくなる対称な特性を呈する。また、方位角135度−315度の方向における明るさについても、極角度の絶対値が大きくなる方向に暗くなるもののほぼ対称な特性を呈する。
【0089】
そこで、本変形例では、図13(b)に示すように、液晶装置100を回転し、方位角45度の方向が元のX軸方向の方位角180度の方向に向くようにして使用することが好ましい。こうすると、左右(X軸方向)および上下(Y軸方向)の視野角特性を凡そ対称にすることができる。この場合は、例えば、画像を特に左右方向から観賞する場合、画像に対して左右方向からの見たとき明るさが対称になるように補償されるので、左右から見たときの明るさが視野角に対して均等にできる。この結果、見た目の違和感が抑制された画像を提供することができる。もとより、観賞する方向が特定される場合、その特定される方向に応じて方位角の方向を回転して使用するようにすればよい。
【0090】
(その他の変形例)
上記実施例では、視野角特性を空間的に積分して補償する場合、図9に示したように、画素の形状が矩形形状で凡そ同じ領域面積を有し、X軸方向に隣り合う2つのサブ画素を用いることとして説明したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、X軸方向でなくY軸方向に隣り合う2つのサブ画素としてもよい。さらには、必ずしも隣り合うことなく、離間している画素であっても差し支えない。
【0091】
また上記実施例では、液晶装置100を反射型の表示装置としたが、必ずしもこれに限らず、透過型の表示装置であってもよい。透過型の場合は、視野角特性が極角度のプラス方向とマイナス方向とで対称になる確率が反射型に比べて低くなることが予測されるが、異なる2つ電圧間で、互いに相補関係となる視野角特性が現れる場合においては、この異なる電圧を、前述したように時間的もしくは空間的に分割して印加することによって視野角特性を補償することが可能である。
【0092】
また上記実施例では、液晶装置100をR,G,Bの各フィルタ層によってカラー表示を行う装置としたが、必ずしもこれに限らず、モノカラー(例えば白黒)の表示を行う装置としてもよい。モノカラーの表示装置の場合は、基板20においてR,G,Bの各フィルタ層を必ずしも形成する必要はない。
【0093】
また上記実施例では、液晶装置100を電子機器としての電子ビューファインダー1に備えることとして説明したが、必ずしもこれに限るものでないことは勿論である。例えば、液晶装置100を備える電子機器として、ヘッドマウントディスプレイであってもよい。あるいは、プロジェクターなどの画像投射装置や、テレビジョンなどのビデオ機器であってもよい。あるいは、コンピューター機器や携帯機器であっても差し支えない。なお、電子ビューファインダー1を含め、ヘッドマウントディスプレイやその他の機器に備える場合においては、液晶装置100が備える光源は、LEDに限らず水銀ランプや蛍光管など、電子機器に適した光源を用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施例となる液晶装置を備えた電子機器の概略構成を模式的に示した斜視図。
【図2】液晶パネルを構成する基板についての説明図。
【図3】液晶パネルの全体構成を説明する説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は液晶分子の配向の様子を示す模式図。
【図4】液晶装置の特性を示す説明図で、(a)は電圧と明るさの関係を示す図、(b)は液晶層内での電圧に対する液晶分子の傾き具合を示す図。
【図5】視角特性について調べるに際して定義した方向を示した説明図。
【図6】電圧と位相差(明るさ)の関係を示した説明図。
【図7】視野角特性の補償の様子を説明する図で、(a)は、画素電極の電圧の変化の様子を示すタイミング図、(b)は、画像の明るさを等高線で示した模式図。
【図8】明るさが最大となる電圧において、画像の明るさを等高線で示した模式図。
【図9】第1変形例で、1つの画素が2つのサブ画素に分割された液晶パネルを構成する基板についての構成を示す説明図。
【図10】第1変形例で行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、(a)は画素電極の電圧の様子を示すタイミング図、(b)は画像の明るさを等高線で示した模式図。
【図11】第2変形例で、1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、(a)は画素電極の電圧の変化の様子を示すタイミング図、(b)は画像の明るさを等高線で示した模式図。
【図12】第3変形例で、異なる2つの電圧について、位相差板を備えないときの電圧と位相差(明るさ)の関係を示した説明図。
【図13】第3変形例で、1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図。
【符号の説明】
【0095】
1…電子ビューファインダー、3…光学系、5…偏光ビームスプリッター、10…基板、11…走査駆動回路、12…データ駆動回路、14,14a,14b…薄膜トランジスター、20…基板、30…液晶パネル、40…液晶層、50…位相差板、100…液晶装置、111…走査線、121,121a,121b…データ線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶を駆動して画素ごとに明るさを制御し画像を表示する液晶装置において、液晶の応答速度が速い駆動方式の一つとして、VA(Vertical Alignment)方式が多く用いられている。VA方式は、対向する一対の基板とその一対の基板に挟持された液晶層とを有し、一対の基板に対して略法線方向(縦方向)に初期的に配列された液晶分子の長軸方向が、液晶層に印加する電圧によって画素毎に一対の基板に沿う方向に近づくように駆動されて画像を表示する所謂縦電界方式という駆動方法である。
【0003】
ところで、このようなVA方式の液晶装置は、視野角特性が、他の駆動方式、例えば液晶分子の長軸方向が、液晶層に印加する電圧によって基板面に沿った方向おいて回転する横電界方式に比べて劣るという課題がある。そこで、従来から、VA方式の液晶装置において、視野角特性を改善する方法が提案されている。例えば特許文献1には、液晶層に電圧を印加したときに呈する液晶分子の長軸方向が複数存在するように、液晶層の初期的な配向方向を複数形成してマルチドメインとする方法が開示されている。こうすることで、画素内での配向方向が分割して形成されるので、広い視野角が得られるというものである。
【0004】
【特許文献1】特開平11−258606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、マルチドメインを形成するためにジグザグ形状の突起または窪みまたはスリットを所定のピッチで平行に配列形成しなければならず、液晶装置において複雑な構造を設ける必要があった。このため、高精細の画像を表示するために画素ピッチが小さい液晶装置においては、物理的にこのようなジグザグ構造を形成することは困難であった。従って、このようなジグザグ形状を構成することなく視野角特性を改善し、広い視野角を有する画像表示を行う技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]対向する一対の基板と、当該一対の基板に挟持され、前記一対の基板に対して初期的に略法線方向に配向した液晶層と、画像を表示する画素と、を有する液晶装置であって、前記画素が表示する画像の視野角特性が互いに相補関係となる第1の表示状態と第2の表示状態とを合成させて表示することを特徴とする液晶装置。
【0008】
この構成によれば、画素に表示される画像について、互いに相補関係の視野角特性を有する2つの表示状態を合成して表示するので、この2つの表示状態によって広い視野角を有する画像表示を行うことができる。
【0009】
[適用例2]上記液晶装置であって、前記第1の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値と、前記第2の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値と、が異なることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、液晶層に印加する電圧の電圧値が異なることによって、画像の視野角特性が互いに相補関係となる表示状態を形成するので、印加する電圧を異ならせることによって、広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0011】
[適用例3]上記液晶装置であって、前記第1の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値は、前記画素が表示する前記画像の明るさが最大となる電圧の電圧値より高い電圧の範囲であり、前記第2の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値は、前記画素が表示する前記画像の明るさが最大となる電圧の電圧値より低い電圧の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、液晶層に印加される電圧を、画像が最も明るくなるときに印加される電圧より高い電圧と低い電圧によって互いに相補関係の視野角特性を有する画像を表示する。従って、例えば、ほぼ同じ明るさであって相補関係の視野角特性を有する2つの表示状態を用いることによって、画像の明るさを変えることなく容易に広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0013】
[適用例4]上記液晶装置であって、前記画像の表示期間内において、前記第1の表示状態で駆動される期間と、前記第2の表示状態で駆動される期間と、を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、画像の表示期間内で、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を表示するので、相補関係の視野角特性を有する画像が時間的に積分されて合成される。この結果、広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0015】
[適用例5]上記液晶装置であって、前記第1の表示状態で駆動される期間と、前記第2の表示状態で駆動される期間とは、同じ時間長の期間であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、画像の表示期間内で、互いに相補関係の視野角特性を有する2つの表示状態が同じ時間形成されるので、時間的に積分されて合成された画像は、広い視野角の画像となる確率が高くなる。
【0017】
[適用例6]上記液晶装置であって、前記画素は複数のサブ画素によって構成され、前記複数のサブ画素には、前記第1の表示状態で駆動される前記サブ画素と、前記第2の表示状態で駆動される前記サブ画素と、が含まれていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、画像の表示期間で、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を同時に表示するので、相補関係の視野角特性を有する画像が空間的に積分されて合成される。この結果、広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0019】
[適用例7]上記液晶装置であって、前記第1の表示状態で駆動される前記サブ画素と、前記第2の表示状態で駆動される前記サブ画素は、画素の領域面積の大きさが等しいことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、画像の表示期間において、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を等しい大きさで同時に表示するので、空間的に積分されて合成された画像は、広い視野角の画像となる確率が高くなる。
【0021】
[適用例8]上記液晶装置であって、前記画素から、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの色の波長を有する光が射出されることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、R,G,Bのいずれかの色についての表示画像を、互いに相補関係の視野角特性を有する画像によって視野角を合成することができる。この結果、カラー画像について広い視野角の画像表示を行うことができる。
【0023】
[適用例9]上記液晶装置であって、前記画素に対して、面内方向の屈折率に比べて厚さ方向の屈折率が小さい位相差板が、前記一対の基板の外側に配設されていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、液晶分子が呈する屈折率異方性を位相差板によって補償することができるので、さらに広い視野角の画像表示を行うことができる液晶装置を実現することが期待できる。
【0025】
[適用例10]上記液晶装置であって、前記画素は、当該画素内に入射した光を反射して前記画像を表示する画素であることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を表示することによって広い視野角の画像表示を行うことができる反射型の液晶装置を実現することができる。
【0027】
[適用例11]上記液晶装置を備えた電子機器。
【0028】
この機器構成によれば、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を表示することによって広い視野角の画像表示を行うことが可能な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、以降の説明において用いる図面は、説明のために誇張して図示している場合もあり、必ずしも実際の大きさや長さを示すものでないことは言うまでもない。
【0030】
図1は、本発明の一実施例となる液晶装置100を備えた電子機器としての電子ビューファインダー1について、その概略構成を模式的に示した斜視図である。電子ビューファインダー1は、反射型の表示装置であって、平面領域に形成された画素によって画像を表示する表示装置となる液晶装置100を備え、ビデオカメラなどの映像機器から出力される画像(カラー画像)を表示するように構成されている。
【0031】
具体的に説明すると、LED(有機発光ダイオードや無機発光ダイオード)などの光源からの光が偏光ビームスプリッター5に照射する。本実施例では、偏光ビームスプリッター5はS偏光を反射させ、P偏光を通過させるように構成されており、光源からの光のうちS偏光(これを図示するようにX軸方向に振動する光とする)が反射される。反射されたS偏光は、液晶装置100の表示面に対して略法線方向(これを図示するようにZ軸方向とする)から入射する。ここで、液晶装置100は、X軸方向を基準(0度)とし、図示するように表示面内においてX軸と直交するY軸方向へ、反時計周りで45度傾いた方向が、遅相軸となるように液晶層の配向方向が形成され(後述する)、位相差板として機能するように構成されている。そして、液晶装置100に入射したS偏光を反射して、再び偏光ビームスプリッター5に向けて射出する。この時、入射したS偏光は、光変調されるとともに1/2波長の位相差が付与され、偏光軸が90度回転されてP偏光(図示するようにY軸方向に振動する光)となる。偏光ビームスプリッター5では、P偏光と同じ方向に偏光軸が形成されているので、液晶装置100から射出されたP偏光は偏光ビームスプリッター5を通過する。通過したP偏光は、その後図示しない接眼レンズなどの光学系3を経由して射出される。電子ビューファインダー1の観察者は、射出されたP偏光を見ることよって、液晶装置100の各画素が表示する画像を視認する。
【0032】
さて、本実施例の液晶装置100は、一対の基板としての基板10と基板20とが、図示しない液晶層を封止状態で挟んで、同じく図示しないシール材によって貼り合わされた構造を有した液晶パネル30と、位相差板50とから構成されている。本実施例では、液晶パネル30はVAモードの反射型パネルであり、位相差板50は、Cプレートである。周知のように、VAモードは、初期的な配向状態において、液晶分子の長軸方向が基板10(あるいは基板20)の法線方向つまりZ軸方向に沿った方向であることから、液晶層におけるZ軸方向の屈折率が大きい。そこで、Z軸方向の屈折率nzがX軸方向の屈折率nxおよびY軸方向の屈折率nyよりも小さいCプレートによってZ軸方向に対して斜めの方向からみたときの位相差を補償することが出来る。なお、位相差板50は液晶パネル30と離間して図示しているが、液晶パネル30に貼り合わされていても差し支えない。
【0033】
次に液晶パネル30について図2および図3を用いて説明する。図2は、液晶パネル30を構成する基板10についての説明図、図3は、液晶パネル30の全体構成を説明する説明図である。
【0034】
まず図2を用いて基板10を説明する。図示するように、基板10は、その外周部分に、走査駆動回路11とデータ駆動回路12とが、ガラスや石英あるいは樹脂やセラミックなどの平板上(図面表面側)に形成されたものである。また、走査駆動回路11からは走査線111が、データ駆動回路12からはデータ線121が、図2に示したように配線されている。そして、各画素に対応して走査線111とデータ線121の交点付近にそれぞれ形成された薄膜トランジスター14に対して供給され、走査線111によって供給される電圧によって薄膜トランジスター14のオン・オフが制御される。さらに、薄膜トランジスター14がオンしたとき、データ線121によって供給される電圧が、画素毎に設けられた電極に導通印加されるように構成されている。
【0035】
そして、基板10と図示しない基板20とを貼り合わせたとき、各画素において基板10側に設けられた電極(以降「画素電極」と称す)と、図中2点鎖線で示したように基板20側に設けられ総ての画素に対して共通な電位(例えば接地電位)を供給する電極(以降「共通電極」と称す)とが、液晶層を挟んでそれぞれ対向するように構成されている。従って、各画素において、薄膜トランジスター14のオンによって、データ線121によって供給される電圧と共通電極の電圧との差分電圧が、各画素に対応する液晶層に印加され、差分電圧に応じた光変調が行われて画素の明るさが制御されるように構成されている。
【0036】
なお、本実施例では、画素電極は光を反射するように構成された反射電極である。また、本実施例では説明の簡略化のため、X軸方向に6個、Y軸方向に3個の画素電極が配列形成され、これに対応して画素も同様に形成されているものとする。もとより、実際には、X軸方向およびY軸方向それぞれに、数百個から数千個の画素が通常形成される。
【0037】
次に、液晶パネル30について、その構成を図3を用いて説明する。図3(a)はX軸方向に並んだ3つの画素を基板20側から見た平面図である。また、図3(b)はその構成の部分的な断面図であり、図3(a)におけるC−C断面を示している。また、図3(c)は、液晶層における液晶分子の配向状態を示した模式図である。図3(b)に示すように、液晶パネル30は、液晶層40が基板10と基板20とで挟持された構造を有している。
【0038】
基板20は、図3(a)および図3(b)に示したように、光変調を行う画素に対応する領域部分を光入射領域とし、薄膜トランジスター14やその他の領域部分が遮光領域となるように、金属膜などからなる所定の遮光層BMが、ガラスや石英または樹脂などの透光性を有する平板B上に形成されている。光入射領域には、本実施例では、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)色の波長を有する光を透過させるRフィルタ層、Gフィルタ層、Bフィルタ層がそれぞれ形成されている。
【0039】
平板Bおよび遮光層BMの液晶層40側には透光性材料(例えばITO)からなる共通電極が形成されている。さらに共通電極の液晶層40側には、共通電極を覆うように配向膜Bが形成されている。配向膜Bは、例えばポリイミドをベースとした組成物からなる。
【0040】
基板10は、上述するようにガラスや石英あるいは樹脂やセラミックなどの平板において、液晶層40側の面に、画素領域に対応して画素電極が形成されている。画素電極は、反射電極でもあることから、例えばアルミニウムやアルミニウムと銅、あるいはアルミニウムとネオジムの合金やAPC(銀−パラジウム−銅の合金)などの材料が用いられる。さらに画素電極の液晶層40側には、画素電極を覆うように配向膜Aが形成されている。配向膜Aは、例えばポリイミドをベースとした組成物からなる。なお、図示しないが、基板10には、走査線111、データ線121および薄膜トランジスター14が形成されている。
【0041】
本実施例では、液晶パネル30は、遅相軸の方向が、S偏光の振動方向つまりX軸方向に対して45度の方向となるように、液晶層40における液晶分子の配向が設定されている。すなわち、図3(c)に示したように、遅相軸とX軸との成す角度が、45度になるように基板10において配向膜Aの配向処理が行われている。また、電圧印加時において駆動される液晶分子が遅相軸方向に傾くように、配向膜Aには、液晶分子がZ軸方向に対して5度のプレチルト角度を有するように配向処理が行われている。なお、説明は省略するが、基板20においても、同様に配向膜Bの配向処理が行われている。
【0042】
さて、このように構成された液晶装置100において、各画素について液晶層40に電圧が印加されると、印加される電圧に応じて液晶装置100が表示する画像の明るさ、つまり偏光ビームスプリッター5から観察者側に射出する光の量が変化する。本実施例において得られる電圧と明るさの関係を図4(a)に示した。図中、横軸は液晶層に印加される電圧(V)を示している。また縦軸は、電圧(V)が印加されたときに画素が表示する画像の明るさを、最大明るさを「1」として規格化した値として示している。なお、図4(a)に示した画像の明るさは、画素のZ軸方向における明るさである。
【0043】
図示するように、本実施例の液晶装置100では、電圧が「3.1V」において明るさが最大となる。そして、その前後の電圧において、同じ明るさを呈する電圧が存在する。例えば、明るさが約0.95を呈する電圧は、「2.8V」と「3.4V」である。あるいは、明るさが約0.82を呈する電圧は、「2.6V」と「3.9V」である。
【0044】
ところで、本実施例では、液晶パネル30は液晶分子の駆動方式はVA方式であるので、液晶分子の傾きは、液晶層40に印加される電圧に相関すると考えてよい。また、液晶分子のZ軸方向からの傾き量は、液晶層40の中心部ほど大きく、配向膜Aおよび配向膜B近傍では小さいと考えてよい。一例として、前述した同じ画像の明るさを呈する電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とについて、液晶層40中における液晶分子の傾きの様子を図4(b)に示した。図中、横軸は、Z軸方向に対する傾き角度であるチルト角度(「極角度」とも称す)を示している。また、縦軸は、液晶層40の総厚(すなわち配向膜Aから配向膜Bまでの距離)を「1」として規格化した液晶層40の厚さを示している。
【0045】
図示するように、本実施例の液晶装置100では、電圧が「2.8V」のときの液晶分子の傾きは液晶層40の中心付近で最大となり、そのチルト角度は凡そ63度である。これに対して、電圧が「3.4V」のときの液晶分子の傾きは液晶層40の中心付近で最大となり、そのチルト角度は凡そ75度である。また、一例として、液晶層40の層厚のうち、電圧が「2.8V」において液晶分子が60度以上のチルト角を呈する範囲Pよりも、電圧が「3.4V」において液晶分子が60度以上のチルト角を呈する範囲Qの方が明らかに広くなる。
【0046】
このように、液晶層40における液晶分子のZ軸方向に対する傾き具合が、電圧に応じて異なることから、偏光ビームスプリッター5から観察者側に射出される光について、位相差板50の光学補償作用が加わることによって、Z軸に対して傾いた方向から見たときのXY平面上の明るさ、つまり視野角特性が異なることが想定される。
【0047】
そこで、液晶装置100における視野角特性について、光学的な特性変化が顕著に現れると推定される液晶分子の配向方向すなわち遅相軸方向と、これに直交する方向と、の2方向について調べる。図5は、視角特性について調べるに際して定義した方向を示した説明図である。図示するように、X軸方向を方位角0度−180度、液晶パネル30の遅相軸方向を方位角45度−225度、Y軸方向を方位角90度−270度、液晶パネル30の遅相軸と直交する方向を方位角135度−315度、と表している。また、Z軸方向を極角度0度とし、方位角45度−225度においては、方位角45度側への傾き方向をプラス方向、方位角225度側への傾きをマイナス方向としている。同じく、方位角135度−315度においては、方位角135度側への傾き方向をプラス方向、方位角315度側への傾きをマイナス方向としている。
【0048】
さて、同じ明るさ(Z軸方向において同じ明るさ)を呈する電圧「2.8V」と、電圧「3.4V」について、一例としてG画素(本実施例では、透過する光の波長を550nmとする)について、2方向における位相差を調べた結果を図6に示した。図示するように、極角度が−40度から+40度の範囲において、電圧「2.8V」については、方位角135度−315度の方が大きな位相差となり、逆に、電圧「3.4V」については、方位角45度−225度の方が大きな位相差となった。ここで、詳しい説明は省略するが、位相差の値が、液晶装置100に入射する光の波長の1/2(ここでは275nm)に近づくほど、画像が明るくなることを示している。従って、図6に示した位相差の値は波長の1/2以下の範囲の値であるので、位相差の値が大きいほど明るくなるということを表している。
【0049】
図6の結果から、電圧「2.8V」の視野角特性は、方位角135度−315度の方向が明るいのでこの方向に明視方向をもち、逆に、電圧「3.4V」については、方位角45度−225度の方向が明るいのでこの方向に明視方向をもつ。言い換えれば、本実施例の液晶装置100は、画素に印加する電圧によって明視方向が変わるという特性を有するのである。なお、説明は省略するが、他のR画素、B画素についても同様である。
【0050】
本実施例では、この特性を利用して、電子ビューファインダー1が備える液晶装置100を構成する液晶パネル30の各画素において、表示する画像の単位表示期間内つまり1フレーム期間内で画素に印加する電圧を変化させて、表示する画像の視野角が広くなるようにする。電子ビューファインダー1の観察者は、実際にはZ軸に対して傾いた方向から画像を見る場合がある。そこで液晶装置100が表示する画像(カラー画像)の視野角を広くすることによって、観察者が斜めから見たときに対しても明るさが均一となった画像を表示できるようにするのである。
【0051】
これを図7を用いて説明する。図7は1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、図7(a)は、データ線121から出力される電圧が画素電極に印加されたときの画素電極が呈する電圧の変化の様子を示すタイミング図、図7(b)は、総ての方位角、および極角度の絶対値が40度内の視野角について、画像の明るさを等高線で示した模式図である。
【0052】
視野角の補償対象となる補償画素について、視野角特性を補償するためのデータ線121の出力信号は、図7(a)に示したように、画像の単位表示時間となる1フレーム期間F毎に繰り返して出力され、画素電極の電圧を変化させる。すなわち、時間t1から時間t11までの1フレーム期間Fにおいて、本実施例では、補償画素に対応する薄膜トランジスター14が走査線111の信号によってオンしたとき、1フレーム期間Fの前半分の期間F/2となる時間t1から時間t2まで画素電極の電圧は「2.8V」となり、1フレーム期間Fの後半分の期間F/2となる時間t2から時間t11まで画素電極の電圧は「3.4V」となるのである。
【0053】
具体的には、補償画素が接続された走査線111に、1フレーム期間Fの1/2の期間ごとに薄膜トランジスター14をオンさせる信号を出力する。そして薄膜トランジスター14がオンする都度、データ線121に出力される電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とが交互に画素電極に印加されるように構成されている。
【0054】
なお、データ線121に出力される電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とが画素電極に印加される期間は、実際には薄膜トランジスター14が走査線111の信号によってオンしている期間つまり1水平走査期間のみであるが、各画素には保持容量(不図示)がそれぞれ設けられ、画素電極に印加された電圧は、次に画素電極に電圧が印加されるまで凡そその電圧値が保持されるのである。
【0055】
このように画素電極の電圧が変化すると、補償画素において表示される画像の視野角特性は、1フレーム期間Fの前半1/2における電圧「2.8V」の視野角特性と、1フレーム期間Fの後半1/2における電圧「3.4V」の視野角特性とが合成された視野角特性、すなわち、時間的に積分された視野角特性となる。
【0056】
具体的には、図7(b)に示したように各視野角における明るさが合成され、視野角特性が補償される。詳しく説明すると、画素電極の電圧が「2.8V」のときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.88」以上の明るい画像の方向は、方位角135度−315度であり、この方位角方向と直交する方位角45度−225度の方向については、Z軸から傾くほど次第に暗くなる視野角特性を有する。一方、画素電極の電圧が「3.4V」のときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.88」以上の明るい画像の方向は、方位角45度−225度であり、この方位角方向と直交する方位角135度−315度の方向については、Z軸から傾くほど次第に暗くなる視野角特性を有する。従って、電圧「2.8V」が印加されたときの画素の表示状態と、電圧「3.4V」が印加されたときの画素の表示状態とは、互いに相補関係となる視野角特性を有するのである。
【0057】
この結果、2つの表示状態がそれぞれ1フレーム期間Fの1/2ずつ時間的に積分されると、画素は1フレーム期間Fにおいて図面下側に示したような表示状態を呈することになる。すなわち、電圧「2.8V」について方位角45度−225度の方向における明るさが、電圧「3.4V」について方位角45度−225度の方向における明るさによって補償され、凡そ総ての方位角方向において広がることになる。こうして、本実施例によれば、同じ画像の明るさを有し、互いに相補関係の視野角特性を呈する2つの表示状態を時間的に積分して合成することによって視野角特性が改善されるので、画像の明るさを変えることなく容易に視野角が広がった表示を得ることができるのである。
【0058】
なお、本実施例では、2つの表示状態をそれぞれ1フレーム期間Fの1/2ずつ形成することとしている。これは、画像の表示期間内で、互いに相補関係の視野角特性を有する2つの表示状態を同じ時間形成すれば、時間的に積分されて合成された画像は、広い視野角の画像となる確率が高くなるからである。もとより、2つの表示状態が、1フレーム期間Fにおいて互いに異なる時間長形成されることとしても差し支えない。合成する2つの表示状態の視野角特性に基づいて、時間的に積分されて合成されたときの視野角特性が広くなるように、それぞれの表示時間割合を変更すればよいことは言うまでもない。
【0059】
ところで、本実施例において、画素の明るさが最も明るくなる電圧「3.1V」について、その視野角特性を調べてみた。その結果を、図8に示す。図示するように、本実施例において、電圧「3.1V」における視野角は、総ての方位角方向において凡そ同じ明るさを呈することが解かる。従って、上述した電圧「2.8V」と電圧「3.4V」における視野角の様子とから、本実施例では、補償画素に対して、明るさが最も明るくなる電圧よりも高い電圧と低い電圧との間では、画素の表示状態における明視方向が相補関係となることが解かる。この結果、本実施例によれば、同じ画像の明るさであって、互いに相補関係となる視野角が得られる2つの電圧を、1フレーム期間において分割(本実施例では1/2ずつに分割)して印加することによって、広い視野角のカラー画像を得ることが可能である。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について実施例により説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。以下、変形例をあげて説明する。
【0061】
(第1変形例)
上記実施例では、各画素における視野角特性を補償する方法として、図7に示したように、1フレーム期間Fにおいて時間を分けて2つの異なる電圧を液晶層40に印加し、視野角特性を時間的に積分して補償することとしたが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、1つの画素を2つ以上の複数のサブ画素に分割し、分割したサブ画素の2つについて、それぞれ視野角特性が相補関係を呈する電圧を、1フレーム期間Fにおいて液晶層40にそれぞれ印加することによって視野角特性を空間的に積分して補償することとしてもよい。
【0062】
本変形例を図9および図10を用いて説明する。図9は、本変形例の一例として、1つの画素が2つのサブ画素に分割された液晶パネル30を構成する基板10についての構成を示す説明図である。図10は1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、図10(a)は、データ線121から出力される電圧が画素電極に印加されたときの画素電極が呈する電圧の様子を示すタイミング図、図10(b)は、総ての方位角、および極角度の絶対値が40度内の視野角について、画像の明るさを等高線で示した模式図である。なお、図9において、上記実施例における基板10(図2参照)と同じ構成要素については同じ符号を付している。また図10(b)は、上記実施例における図7(b)と同一である。従って、これらについては、ここでの説明を省略する。
【0063】
まず基板10を図9を用いて説明する。本変形例の基板10は、図中太い実線の四角形で囲ったように、1つの画素(R画素、G画素、B画素)がX軸方向に隣り合う2つのサブ画素に分割されて構成されている。すなわち、例えば1つのR画素を構成する2つのサブ画素Ra,Rbは、本変形例ではほぼ同じ画素の領域面積を有するようにほぼ同じ形状を有し、データ線121aから供給される電圧信号と、データ線121bから供給される電圧信号と、をそれぞれの画素に印加するべく、個別に薄膜トランジスター14aと薄膜トランジスター14bとが形成されている。そして、2つのサブ画素Ra,Rbに同じ画像(明るさ)を表示させて1つのR画素として機能するようにデータ駆動回路12から出力する電圧信号を制御するように構成されている。
【0064】
なお、本変形例では、説明をわかりやすくするために、図9においてX軸方向とY軸方向にそれぞれ3つ、計9個の画素が形成される様子を示しているが、もとより、上記実施例と同様、X軸方向およびY軸方向についてそれぞれ数百個から数千個程度の色画素(X軸方向については2倍のサブ画素)が通常形成される。
【0065】
次に、視野角の補償方法について説明する。本変形例では、視野角の補償対象となる補償画素について、その補償画素を構成するサブ画素に対応するデータ線121aおよびデータ線121bに、液晶層40に印加する画素電圧が図10(a)に示した電圧を呈するように、所定の電圧を画像の単位表示時間となる1フレーム期間F毎に繰り返して出力する。すなわち、時間t1から時間t11までの1フレーム期間Fにおいて、補償画素に対応する2つのサブ画素について、薄膜トランジスター14aおよび薄膜トランジスター14bが走査線111の信号によってオンしたとき、1フレーム期間Fとなる時間t1から時間t11まで(時間t11から時間t21まで)、2つのサブ画素における画素電極が呈する電圧が、同じ明るさの画像を表示する2つの異なる電圧、本変形例では、一例として電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とになるように、それぞれの電圧「2.8V」と電圧3.4V」とを繰り返して出力するのである。
【0066】
このように2つのサブ画素の画素電極が、それぞれ異なる電圧「2.8V」と電圧「3.4V」を同時に呈すると、補償画素において表示される画像の視野角特性は、電圧「2.8V」の視野角特性と電圧「3.4V」の視野角特性とを合成した視野角特性、すなわち、空間的に積分された視野角特性となる。
【0067】
具体的には、図10(b)に示したように、各サブ画素において、画素電極が呈する電圧「2.8V」と電圧「3.4V」に応じて形成されるそれぞれの各視野角の明るさが合成され、図中下側に示したように視野角特性が補償されるのである。なお、図10(b)に示した具体的な合成の様子については、上記実施例(図7(b)参照)と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0068】
このように本変形例では、互いに相補関係となる視野角特性を有する表示状態を、隣り合う2つのサブ画素にそれぞれ同時に形成するように、例えば電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とをそれぞれのサブ画素の画素電極に印加するのである。この結果、2つの表示状態が空間的に積分されることによって視野角特性が改善されるので、上記実施例と同様に、画像の明るさを変えることなく容易に視野角が広がった表示を得ることが可能である。
【0069】
なお、本変形例では、隣り合う2つのサブ画素の領域面積をほぼ同じ大きさ(形状)としている。これは、画像の表示期間で、互いに相補関係の視野角特性を有する画像を同じ領域面積で同時に表示すれば、空間的に積分されて合成された画像は、広い視野角の画像となる確率が高くなるからである。もとより、サブ画素が、それぞれ異なる領域面積を有するように分割構成されていることとしてもよい。合成される2つの表示状態の視野角特性に基づいて、空間的に積分されて合成されたときの視野角特性が広くなるように、それぞれの領域面積(あるいは形状)を変更すればよいことは言うまでもない。
【0070】
(第2変形例)
上記実施例および変形例では、液晶装置100は、同じ明るさを呈するとともに、明るさが最大になる電圧よりも高い電圧と低い電圧の2つの電圧を用いて視野角特性を補償し、広い視野角を得ることとしたが、必ずしも同じ明るさを呈する2つの電圧に限るものでないことは勿論である。
【0071】
上記実施例において図4(a)に示したように、明るさが最大になる電圧よりも高い電圧と低い電圧において、同じ明るさを呈する電圧には範囲が存在する。このため、同じ明るさが得られる電圧を用いて視野角特性を広くすることができる画像の明るさは、その範囲が限られることになる。ちなみに、図4(a)においては、規格化された画像の明るさがおおよそ0.68以上(このとき印加電圧は、約2.5V以上(5V以下)の電圧範囲)に限られる。
【0072】
そこで、上記実施例で説明したように、明るさが最大になる電圧よりも高い電圧と低い電圧の2つの電圧では、視野角特性が異なることから、同じ明るさではないものの、この2つの電圧において存在する視野角特性の相補関係を利用して視野角特性を補償すれば、同じ明るさを呈する2つの電圧が存在しない明るさにおいても、広い視野角特性の画像を得ることが可能である。
【0073】
一例として、2つの電圧として、電圧「2.2V」と電圧「3.8V」を用いて視野角特性を補償する場合について、図11を用いて説明する。これらの電圧は、図4(a)から明らかなように、明るさが最大になる電圧「3.1V」よりも高い電圧と低い電圧であって、それぞれ異なる明るさを呈する電圧である。
【0074】
図11は、1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、図11(a)は、データ線121から出力される電圧によって呈する画素電極の電圧の変化の様子を示すタイミング図、図11(b)は、総ての方位角、および極角度の絶対値が40度内の視野角について、画像の明るさを等高線で示した図である。
【0075】
本変形例では、視野角の補償対象となる補償画素について、データ線121の出力信号によって、画素電極の電圧は、図11(a)に示したように画像の単位表示時間となる1フレーム期間F毎に繰り返して所定の電圧を呈するように構成されている。すなわち、時間t1から時間t11までの1フレーム期間Fにおいて、補償画素に対応する薄膜トランジスター14が走査線111の信号によってオンしたとき、1フレーム期間Fの前3分の2の期間となる時間t1から時間t3まで電圧「2.2V」となり、1フレーム期間Fの残りの3分の1の期間となる時間t3から時間t11まで電圧「3.8V」となるように構成されている。
【0076】
このように画素電極が異なる電圧を呈することによって、それぞれの電圧が液晶層40に印加されると、補償画素において表示される画像の視野角特性は、1フレーム期間Fの前3分の2における電圧「2.2V」のときの視野角特性が、1フレーム期間Fの残り3分の1における電圧「3.8V」のときの視野角特性によって補償された視野角特性、すなわち、時間割合に応じて積分された視野角特性となる。
【0077】
具体的には、図11(b)に示したように各視野角における明るさが時間割合に応じて積分されて合成され、視野角特性が補償される。詳しく説明すると、電圧「2.2V」が印加されたときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.40」以上の明るい画像の方向は、方位角135度−315度であり、この方位角方向と直交する両方向については次第に暗くなる視野角特性を有する。一方、電圧「3.8V」が印加されたときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.79」以上の明るい画像の方向は、方位角45度−225度であり、この方位角方向と直交する両方向については次第に暗くなる視野角特性を有する。従って、電圧「2.2V」が印加されたときの画素の表示状態に対して、電圧「3.8V」が印加されたときの画素の表示状態は、相補関係となる視野角特性を有している。
【0078】
そして、2つの表示状態が時間的に積分されると、画素は1フレーム期間Fにおいて図面下側に示したような表示状態を呈することになる。すなわち、電圧「2.2V」について方位角45度−225度の方向における明るさが、電圧「3.8V」について方位角45度−225度の方向における明るさによって補償され、凡そ総ての方位角方向において明るさが均一になることが解かる。こうして、本変形例によって視野角特性が改善され、視野角が広がった表示を得ることができるのである。
【0079】
なお、本変形例では、図11(b)に示したように、電圧「2.2V」のときにZ軸方向(つまり中心)の明るさ(0.4〜0.41)に対して、電圧「3.8V」のときのZ軸方向(つまり中心)の明るさ(0.79〜0.86)は、相当に明るい。従って、本変形例の如く、互いに異なる明るさを呈する電圧を組み合わせて用いる場合は、時間的に積分された状態での視野角特性において、Z軸方向の明るさが、その補償画素において本来表示すべき画像の明るさになるように、1フレーム期間の分割時間を調整することが好ましい。
【0080】
(第3変形例)
上記実施例では、液晶装置100は、液晶パネル30と位相差板50とから構成されるものとしたが、これに限らず、位相差板50を備えない構成としてもよい。位相差板50を備えない場合は、光学補償を行わないことから、画素における視野角特性が位相差板50を備えた場合と異なることが想定される。
【0081】
そこで、上記実施例において用いた2つの電圧(電圧「2.8V」と電圧「3.4V」)について、それぞれの視野角特性を図12を用いて説明する。図12は、上記実施例における図6と同様に、電圧「2.8V」と電圧「3.4V」とについて、方位角45度−225度と方位角135度−315度の2方向における位相差を調べた結果を示したものである。図示するように、位相差板50を備えない場合は、極角度が−40度から+40度の範囲において、電圧「2.8V」については、方位角45度−225度の方が大きな位相差となり、逆に、電圧「3.4V」については、方位角135度−315度の方が大きな位相差となった。つまり、位相差板50を備えた場合とは逆になる。
【0082】
本変形例においては、図12に示した視野角特性の結果から、上記実施例とは異なり、電圧「2.8V」の視野角特性は、方位角45度−225度の方向が明るいのでこの方向に明視方向をもち、逆に、電圧「3.4V」については、方位角135度−315度の方向が明るいのでこの方向に明視方向をもつ。言い換えれば、本変形例の液晶装置100は、位相差板50を備えない状態であっても、画素に印加する電圧によって明視方向が変わるという特性を有するのである。特に、極角度が0度から+40度の範囲については、顕著であるといえる。
【0083】
本変形例における液晶装置100(すなわち液晶パネル30)において、同じ明るさを呈するとともに、明るさが最大になる電圧よりも高い電圧と低い電圧の2つの電圧を用いて視野角特性を補償する一例を、図13を用いて説明する。
【0084】
図13は、同じ明るさを呈する2つの電圧「2.6V」と電圧「3.9V」について、1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図である。図13(a)は、総ての方位角であって極角度の絶対値が40度以内における視野角について、画素の明るさを等高線で示した図である。図13(b)は、本変形例において補償された視野角特性を有する液晶装置100の一つの使用方法を説明するための図である。なお、本変形例では、視野角の補償対象となる補償画素について、視野角特性の積分を時間的に行う場合であってもよいし、空間的に行う場合であってもよい。
【0085】
本変形例では、図13(a)に示したように各視野角における明るさが同じ割合で合成され、視野角特性が補償される。詳しく説明すると、画素電極の電圧「2.6V」が液晶層40に印加されたときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.77」以上の明るい画像の方向は、方位角45度−225度であり、この方位角方向と直交する方向については特に方位角135度の方向において次第に暗くなる視野角特性を有する。
【0086】
一方、画素電極の電圧「3.9V」が液晶層40に印加されたときの画素は、図示するような明るさの等高線を呈する画像を表示する状態となる。すなわち、規格化された明るさ「0.78」以上の明るい画像の方向は、方位角135度の方向であり、この方位角方向と直交する方向については緩やかに明るくなる視野角特性を有する。そして、方位角135度方向においては、画素電極の電圧「2.6V」が液晶層40に印加されたときの画素の表示状態に対して、画素電極の電圧「3.9V」が液晶層40に印加されたときの画素の表示状態は、相補関係となる視野角特性を有している。
【0087】
さて、本変形例において、2つの表示状態が時間的に積分されると、画素は1フレーム期間Fにおいて図13(a)の下側に示したような表示状態を呈することになる。すなわち、電圧「2.6V」について方位角135度の方向における明るさが、電圧「3.9V」について方位角135度の方向における明るさによって補償され、明るさがおおよそ均一化される様子が解かる。こうして、本変形例によれば、明るさが相対的に低くなる視野角が少なくなるように特性が改善され、その結果、視野角が広がった表示を得ることができるのである。
【0088】
なお、本変形例では、図13(a)に示したように、積分された視野角特性において、方位角45度−225度の方向における明るさは、極角度の絶対値が大きくなる方向に明るくなる対称な特性を呈する。また、方位角135度−315度の方向における明るさについても、極角度の絶対値が大きくなる方向に暗くなるもののほぼ対称な特性を呈する。
【0089】
そこで、本変形例では、図13(b)に示すように、液晶装置100を回転し、方位角45度の方向が元のX軸方向の方位角180度の方向に向くようにして使用することが好ましい。こうすると、左右(X軸方向)および上下(Y軸方向)の視野角特性を凡そ対称にすることができる。この場合は、例えば、画像を特に左右方向から観賞する場合、画像に対して左右方向からの見たとき明るさが対称になるように補償されるので、左右から見たときの明るさが視野角に対して均等にできる。この結果、見た目の違和感が抑制された画像を提供することができる。もとより、観賞する方向が特定される場合、その特定される方向に応じて方位角の方向を回転して使用するようにすればよい。
【0090】
(その他の変形例)
上記実施例では、視野角特性を空間的に積分して補償する場合、図9に示したように、画素の形状が矩形形状で凡そ同じ領域面積を有し、X軸方向に隣り合う2つのサブ画素を用いることとして説明したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、X軸方向でなくY軸方向に隣り合う2つのサブ画素としてもよい。さらには、必ずしも隣り合うことなく、離間している画素であっても差し支えない。
【0091】
また上記実施例では、液晶装置100を反射型の表示装置としたが、必ずしもこれに限らず、透過型の表示装置であってもよい。透過型の場合は、視野角特性が極角度のプラス方向とマイナス方向とで対称になる確率が反射型に比べて低くなることが予測されるが、異なる2つ電圧間で、互いに相補関係となる視野角特性が現れる場合においては、この異なる電圧を、前述したように時間的もしくは空間的に分割して印加することによって視野角特性を補償することが可能である。
【0092】
また上記実施例では、液晶装置100をR,G,Bの各フィルタ層によってカラー表示を行う装置としたが、必ずしもこれに限らず、モノカラー(例えば白黒)の表示を行う装置としてもよい。モノカラーの表示装置の場合は、基板20においてR,G,Bの各フィルタ層を必ずしも形成する必要はない。
【0093】
また上記実施例では、液晶装置100を電子機器としての電子ビューファインダー1に備えることとして説明したが、必ずしもこれに限るものでないことは勿論である。例えば、液晶装置100を備える電子機器として、ヘッドマウントディスプレイであってもよい。あるいは、プロジェクターなどの画像投射装置や、テレビジョンなどのビデオ機器であってもよい。あるいは、コンピューター機器や携帯機器であっても差し支えない。なお、電子ビューファインダー1を含め、ヘッドマウントディスプレイやその他の機器に備える場合においては、液晶装置100が備える光源は、LEDに限らず水銀ランプや蛍光管など、電子機器に適した光源を用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施例となる液晶装置を備えた電子機器の概略構成を模式的に示した斜視図。
【図2】液晶パネルを構成する基板についての説明図。
【図3】液晶パネルの全体構成を説明する説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は液晶分子の配向の様子を示す模式図。
【図4】液晶装置の特性を示す説明図で、(a)は電圧と明るさの関係を示す図、(b)は液晶層内での電圧に対する液晶分子の傾き具合を示す図。
【図5】視角特性について調べるに際して定義した方向を示した説明図。
【図6】電圧と位相差(明るさ)の関係を示した説明図。
【図7】視野角特性の補償の様子を説明する図で、(a)は、画素電極の電圧の変化の様子を示すタイミング図、(b)は、画像の明るさを等高線で示した模式図。
【図8】明るさが最大となる電圧において、画像の明るさを等高線で示した模式図。
【図9】第1変形例で、1つの画素が2つのサブ画素に分割された液晶パネルを構成する基板についての構成を示す説明図。
【図10】第1変形例で行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、(a)は画素電極の電圧の様子を示すタイミング図、(b)は画像の明るさを等高線で示した模式図。
【図11】第2変形例で、1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図であり、(a)は画素電極の電圧の変化の様子を示すタイミング図、(b)は画像の明るさを等高線で示した模式図。
【図12】第3変形例で、異なる2つの電圧について、位相差板を備えないときの電圧と位相差(明るさ)の関係を示した説明図。
【図13】第3変形例で、1つの画素において行われる視野角特性の補償の様子を示した説明図。
【符号の説明】
【0095】
1…電子ビューファインダー、3…光学系、5…偏光ビームスプリッター、10…基板、11…走査駆動回路、12…データ駆動回路、14,14a,14b…薄膜トランジスター、20…基板、30…液晶パネル、40…液晶層、50…位相差板、100…液晶装置、111…走査線、121,121a,121b…データ線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の基板と、
当該一対の基板に挟持され、前記一対の基板に対して初期的に略法線方向に配向した液晶層と、
画像を表示する画素と、
を有する液晶装置であって、
前記画素が表示する画像の視野角特性が互いに相補関係となる第1の表示状態と第2の表示状態とを合成させて表示することを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置であって、
前記第1の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値と、前記第2の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値と、が異なることを特徴とする液晶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶装置であって、
前記第1の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値は、前記画素が表示する前記画像の明るさが最大となる電圧の電圧値より高い電圧の範囲であり、前記第2の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値は、前記画素が表示する前記画像の明るさが最大となる電圧の電圧値より低い電圧の範囲に設定されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の液晶装置であって、
前記画像の表示期間内において、前記第1の表示状態で駆動される期間と、前記第2の表示状態で駆動される期間と、を有することを特徴とする液晶装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶装置であって、
前記第1の表示状態で駆動される期間と、前記第2の表示状態で駆動される期間とは、同じ時間長の期間であることを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
請求項2または3に記載の液晶装置であって、
前記画素は複数のサブ画素によって構成され、
前記複数のサブ画素には、前記第1の表示状態で駆動される前記サブ画素と、前記第2の表示状態で駆動される前記サブ画素と、が含まれていることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶装置であって、
前記第1の表示状態で駆動される前記サブ画素と、前記第2の表示状態で駆動される前記サブ画素は、画素の領域面積の大きさが等しいことを特徴とする液晶装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記画素から、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの色の波長を有する光が射出されることを特徴とする液晶装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記画素に対して、面内方向の屈折率に比べて厚さ方向の屈折率が小さい位相差板が、前記一対の基板の外側に配設されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記画素は、当該画素内に入射した光を反射して前記画像を表示する画素であることを特徴とする液晶装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の液晶装置を備えた電子機器。
【請求項1】
対向する一対の基板と、
当該一対の基板に挟持され、前記一対の基板に対して初期的に略法線方向に配向した液晶層と、
画像を表示する画素と、
を有する液晶装置であって、
前記画素が表示する画像の視野角特性が互いに相補関係となる第1の表示状態と第2の表示状態とを合成させて表示することを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置であって、
前記第1の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値と、前記第2の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値と、が異なることを特徴とする液晶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶装置であって、
前記第1の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値は、前記画素が表示する前記画像の明るさが最大となる電圧の電圧値より高い電圧の範囲であり、前記第2の表示状態において前記液晶層に印加される電圧の電圧値は、前記画素が表示する前記画像の明るさが最大となる電圧の電圧値より低い電圧の範囲に設定されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の液晶装置であって、
前記画像の表示期間内において、前記第1の表示状態で駆動される期間と、前記第2の表示状態で駆動される期間と、を有することを特徴とする液晶装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶装置であって、
前記第1の表示状態で駆動される期間と、前記第2の表示状態で駆動される期間とは、同じ時間長の期間であることを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
請求項2または3に記載の液晶装置であって、
前記画素は複数のサブ画素によって構成され、
前記複数のサブ画素には、前記第1の表示状態で駆動される前記サブ画素と、前記第2の表示状態で駆動される前記サブ画素と、が含まれていることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶装置であって、
前記第1の表示状態で駆動される前記サブ画素と、前記第2の表示状態で駆動される前記サブ画素は、画素の領域面積の大きさが等しいことを特徴とする液晶装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記画素から、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの色の波長を有する光が射出されることを特徴とする液晶装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記画素に対して、面内方向の屈折率に比べて厚さ方向の屈折率が小さい位相差板が、前記一対の基板の外側に配設されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記画素は、当該画素内に入射した光を反射して前記画像を表示する画素であることを特徴とする液晶装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の液晶装置を備えた電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−145564(P2010−145564A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320492(P2008−320492)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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