説明

液晶装置、液晶装置の製造方法並びに電子機器

【課題】光学特性に優れた位相差を形成することのできる液晶装置を提供する。
【解決手段】本発明の液晶装置100は、液晶層50を挟持する一対の基板10,20を備え、1つのサブ画素領域内に反射表示を行う反射表示領域Rと透過表示を行う透過表示領域Tとが設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板20の反射表示領域Rに対応する領域に位相差層60が設けられ、前記位相差層60は複数の液晶材料の層(第1位相差層62及び第2位相差層64)を配向膜(第1配向膜61、第2配向膜63)を介して積層することにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの内側に位相差層を備えた半透過反射型の液晶装置及びその製造方法並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半透過反射型の液晶装置として、液晶パネルの内面側に位相差層を備えた位相差層内蔵型の液晶装置が知られている。位相差層は反射表示領域に対して選択的に設けられており、これにより適切な反射表示及び透過表示が実現されている。この種の液晶装置では、液晶パネルの外側にλ/4位相差板等を設ける必要がないので、液晶装置の薄型化や低コスト化に寄与することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−338256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、液晶パネルの内面側に位相差層を設けた場合、位相差層の層厚を考慮したセル厚の設計が必要となる。例えば、半透過反射型の液晶装置では、反射表示領域と透過表示領域の液晶層厚を異ならせるマルチギャップ構造が採用されるが、位相差層のリタデーション(位相差)は材料の複屈折Δnと位相差層の層厚dによって決まるため、リタデーションΔndの大きさが変更されると、層厚dが変更され、マルチギャップ構造にもこの層厚dの制限が加わってしまう。この場合、プロセスの大きな変更が必要となり、表示品質を低下させるリスクも大きくなる。
【0004】
また、位相差層を反射表示領域と透過表示領域の液晶層厚を異ならせる液晶層厚調整層(マルチギャップ構造)として利用する場合、位相差層が数μm程度の層厚を有するため、一回の塗布工程で位相差層を形成しようとすると、位相差層の層厚が不均一になる場合がある。また、位相差層は、液晶材料を配向膜上に塗布し、乾燥固化させる際に所定方向に配向させる方法により形成されるため、位相差層の層厚が大きいと、配向膜から遠い部分の液晶材料が十分に配向されなくなり、精密な光学設計ができなくなるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、光学特性に優れた位相差を形成することのできる液晶装置及びその製造方法を提供することを目的とする。また、このような液晶装置を備えることにより、表示品質に優れた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の液晶装置は、液晶層を挟持する一対の基板を備え、1つのサブ画素領域内に反射表示を行う反射表示領域と透過表示を行う透過表示領域とが設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板の反射表示領域に対応する領域に位相差層が設けられてなる液晶装置であって、前記位相差層は複数の液晶材料の層を配向膜を介して積層することにより形成されていることを特徴とする。この構成によれば、複数の液晶材料の複屈折Δn及び層厚dを調節することにより、所望の位相差及び層厚を備えた位相差層を形成することができる。本発明の場合、位相差層は複数回の塗布工程によって形成されるため、一度の塗布工程で厚い位相差層を形成する場合に比べて、層厚の均一な位相差層を形成することができる。また、液晶材料は配向膜を介して積層されるため、1つの配向膜で配向される液晶材料の厚みが薄くなり、液晶材料全体に十分な配向規制力を及ぼすことができる。したがって、本発明によれば、光学特性に優れた位相差を所望の層厚で形成することができ、表示品質に優れた液晶装置を提供することができる。
【0007】
本発明においては、前記位相差層の層厚によって前記反射表示領域における液晶層の層厚が前記透過表示領域における液晶層の層厚よりも小さくなっていることが望ましい。これにより、マルチギャップ構造を実現することができる。位相差層を液晶層厚調整層として機能させる場合、従来は一回の塗布工程で形成していたため、位相差層の層厚が大きくなると、位相差層の層厚が不均一になったり、位相差層全体の配向が不十分になる等の問題があったが、本発明では、位相差層を複数の塗布工程で形成するため、所望の厚みの液晶層厚調整層を精度良く形成でき、さらに位相差層の光学設計も精密に行うことができることから、表示品質に優れた液晶装置が提供できる。
【0008】
本発明においては、前記位相差層は複屈折の異なる複数の液晶材料の層により構成されていることが望ましい。この構成によれば、各液晶材料の複屈折及び層厚をそれぞれ適切に調節することにより、位相差層全体の位相差及び層厚を所望の位相差及び層厚とすることができる。この場合、位相差層全体の位相差及び層厚をそれぞれ独立に制御することができるため、位相差層全体の位相差が変更されても位相差層全体の層厚を変更する必要がない。このため、プロセスの変更が不要になり、共通のプロセスで安定した表示品質を実現することができる。
【0009】
本発明においては、前記位相差層は複屈折の等しい複数の液晶材料の層により構成されていることが望ましい。この構成によれば、同一の液晶材料が複数回にわたって重ね塗りされるため、一度の塗布工程で位相差層を形成する場合に比べて、均一な層厚の位相差層を形成することができる。また、液晶材料は配向膜を介して積層されるため、1つの配向膜で配向される液晶材料の厚みが薄くなり、液晶材料全体に十分な配向規制力を及ぼすことができる。
【0010】
本発明においては、前記複数の液晶材料の層の各々の層厚は1μm以下であることが望ましい。位相差層は液晶材料を配向膜により配向させつつ硬化することで形成されるため、位相差層の厚みが大きいと、位相差層全体に十分な配向規制力を及ぼすことができない。この厚みは概ね1μm程度とされ、位相差層の層厚が1μm以下であれば、配向膜の配向規制力を位相差層全体に及ぼすことができ、光学特性に優れた位相差層が形成できる。
【0011】
本発明においては、前記複数の液晶材料の層の各々の配向方向は互いに平行であることが望ましい。この構成によれば、コンピュータを用いたシミュレーションを行わなくても位相差層の光学特性を容易に把握でき、設計ミスも少なくなる。
【0012】
本発明においては、前記位相差層の位相差は1/2波長であり、前記位相差層の形成された領域の液晶層の位相差は1/4波長であることが望ましい。この構成によれば、液晶層と位相差層との積層体を広帯域の1/4位相差板として機能させることができる。ここで、位相差層の位相差を1/2波長とすると、位相差層の層厚が大きいため、位相差層の層厚にばらつきが発生したり、位相差層全体の配向が不十分になることがあるが、本発明では、位相差層を配向膜を挟んで複数の塗布工程で形成するため、位相差層の層厚が大きくなっても精密な光学設計ができ、表示品質に優れたものが提供できる。
【0013】
本発明の液晶装置の製造方法は、液晶層を挟持する一対の基板を備え、1つのサブ画素領域内に反射表示を行う反射表示領域と透過表示を行う透過表示領域とが設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板の反射表示領域に対応する領域に複数の液晶材料の層からなる位相差層が設けられてなる液晶装置の製造方法であって、前記位相差層の形成工程が、前記一方の基板上に配向膜を形成する第1工程と、前記配向膜上に液晶材料を塗布する第2工程と、前記液晶材料を前記配向膜によって配向させつつ硬化する第3工程とを含み、前記第1工程ないし第3工程を複数回繰り返すことにより、前記複数の液晶材料の層からなる位相差層を形成することを特徴とする。この方法によれば、複数の液晶材料の複屈折Δn及び層厚dを調節することにより、所望の位相差及び層厚を備えた位相差層を形成することができる。本発明の場合、位相差層は複数回の塗布工程によって形成されるため、一度の塗布工程で厚い位相差層を形成する場合に比べて、層厚の均一な位相差層を形成することができる。また、液晶材料は配向膜を介して積層されるため、1つの配向膜で配向される液晶材料の厚みが薄くなり、液晶材料全体に十分な配向規制力を及ぼすことができる。したがって、本発明によれば、光学特性に優れた位相差を所望の層厚で形成することができ、表示品質に優れた液晶装置を提供することができる。
【0014】
本発明においては、前記複数の液晶材料の層のうちの少なくとも1つの液晶材料の層は、他の液晶材料の複屈折とは異なる複屈折を持つ液晶材料からなることが望ましい。この方法によれば、各液晶材料の複屈折及び層厚をそれぞれ適切に調節することにより、位相差層全体の位相差及び層厚を所望の位相差及び層厚とすることができる。この場合、位相差層全体の位相差及び層厚をそれぞれ独立に制御することができるため、位相差層全体の位相差が変更されても位相差層全体の層厚を変更する必要がない。このため、プロセスの変更が不要になり、共通のプロセスで安定した表示品質を実現することができる。
【0015】
本発明においては、前記複数の液晶材料の層は、複屈折が互いに等しい液晶材料からなることが望ましい。この方法によれば、同一の液晶材料が複数回にわたって重ね塗りされるため、一度の塗布工程で位相差層を形成する場合に比べて、均一な層厚の位相差層を形成することができる。また、液晶材料は配向膜を介して積層されるため、1つの配向膜で配向される液晶材料の厚みが薄くなり、液晶材料全体に十分な配向規制力を及ぼすことができる。
【0016】
本発明の電子機器は、前述した本発明の液晶装置を備えたことを特徴とする。この構成によれば、表示品質に優れた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではない。下記の実施形態において、各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1実施形態の液晶装置100を構成するマトリクス状に形成された複数のサブ画素の回路構成図である。本実施形態の液晶装置100は、液晶に対して基板面方向の電界(横電界)を作用させ、配向を制御することにより画像表示を行う横電界方式のうち、FFS(Fringe Field Switching)方式と呼ばれる方式を採用した液晶装置である。また、基板上にカラーフィルタを具備したカラー液晶装置であり、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を出射する3個のサブ画素で1個の画素を構成するものとなっている。したがって、表示を構成する最小単位となる表示領域を「サブ画素領域」と称し、一組(R,G,B)のサブ画素から構成される表示領域を「画素領域」と称する。
【0019】
図1に示すように、液晶装置100の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数のサブ画素領域には、それぞれ画素電極9と、画素電極9と電気的に接続されてサブ画素をスイッチング制御するTFT30とが形成されており、データ線駆動回路101から延びるデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線駆動回路101は、画像信号S1、S2、…、Snをデータ線6aを介して各画素に供給する。画像信号S1〜Snはこの順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0020】
TFT30のゲートには、走査線駆動回路102から延びる走査線3aが電気的に接続されており、走査線駆動回路102から所定のタイミングで走査線3aにパルス的に供給される走査信号G1、G2、…、Gmが、この順に線順次でTFT30のゲートに印加されるようになっている。画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
そして、スイッチング素子であるTFT30が走査信号G1、G2、…、Gmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで画素電極9に書き込まれるようになっている。
【0021】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、液晶を介して画素電極9と対向する共通電極との間で一定期間保持される。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が接続されている。蓄積容量70はTFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。
【0022】
図2は、液晶装置100の任意の1サブ画素における平面構成図である。液晶装置100のサブ画素領域には、平面視略梯子状を成すY軸方向に長手の画素電極(第1電極)9と、画素電極9と平面的に重なって配置された平面略ベタ状の共通電極(第2電極)19とが設けられている。サブ画素領域の図示左上の端部の角部(或いは各サブ画素領域の間隙)には、第1基板10と第2基板20とを所定間隔で離間した状態に保持するための柱状スペーサ40が立設されている。
【0023】
画素電極9は、概略X軸方向に延びる複数本(図示では15本)の帯状電極9cと、これらの帯状電極9cの図示左右方向の両端部と接続された平面視略矩形枠状の枠体部9aとを備えて構成されており、複数の帯状電極9cは、互いに平行に均等な間隔でY軸方向に配列されている。
【0024】
共通電極19は、サブ画素領域内に部分的に設けられた反射層29を覆うように形成されている。本実施形態の場合、共通電極19はITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる導電膜であり、反射層29は、アルミニウムや銀等の光反射性の金属膜や、屈折率の異なる誘電体膜(SiOとTiO等)を積層した誘電体積層膜(誘電体ミラー)からなるものである。液晶装置100は、上記反射層29での反射光を散乱させる機能を具備していることが好ましく、かかる構成により反射表示の視認性を向上させることができる。
【0025】
なお、共通電極19は、本実施形態のように反射層29を覆うように形成されている構成のほか、透明導電材料からなる透明電極と、光反射性の金属材料からなる反射電極とが平面的に区画されている構成、即ち、反射表示領域に対応して配置された透明電極と、反射表示領域に対応して配置された反射電極とを備え、両電極が透過表示領域と反射表示領域との間(境界部)で互いに電気的に接続されているものも採用することができる。
この場合、透明電極と反射電極とが画素電極9との間に電界を生じさせる共通電極を構成する一方、反射電極は当該サブ画素領域の反射層としても機能する。
【0026】
サブ画素領域には、X軸方向に延びるデータ線6aと、Y軸方向に延びる走査線3aと、走査線3aに隣接して走査線3aと平行に延びる容量線3bとが形成されている。データ線6aと走査線3aとの交差部に対応してその近傍にTFT30が設けられている。TFT30は走査線3aの平面領域内に部分的に形成された島状のアモルファスシリコン膜からなる半導体層35と、半導体層35と一部平面的に重なって形成されたソース電極6b、及びドレイン電極32とを備えている。走査線3aは半導体層35と平面的に重なる位置でTFT30のゲート電極として機能する。
【0027】
TFT30のソース電極6bは、データ線6aから分岐されて半導体層35に延びる平面視略L形を成しており、ドレイン電極32は、半導体層35上から画素電極側に延びて平面視略矩形状の容量電極31と電気的に接続されている。容量電極31上には、画素電極9のコンタクト部が配置されており、両者が平面的に重なる位置に設けられた画素コンタクトホール45を介して容量電極31と画素電極9とが電気的に接続されている。また容量電極31は容量線3bの平面領域内に配置されており、当該位置に厚さ方向で対向する容量電極31と容量線3bとを電極とする蓄積容量70が形成されている。
【0028】
図3は、図2のA−A'線に沿う部分断面構成図である。液晶装置100は、互いに対向して配置された第1基板10と第2基板20との間に液晶層50を挟持した構成を備えており、液晶層50は第1基板10と第2基板20とが対向する領域の縁端に沿って設けられたシール材(図示略)によって両基板10,20間に封止されている。第1基板10の外面側(液晶層と反対側)には、偏光板14が設けられ、第2基板20の外面側には偏光板24が設けられている。第1基板10の背面側(図示下面側)には、光源と導光板91と反射板92とを具備したバックライト(照明装置)90が設けられている。
【0029】
第1基板10は、ガラスや石英、プラスチック等からなる基板本体10Aを基体としてなり、基板本体10Aの内面側(液晶層50側)には、走査線3a及び容量線3bが形成されており、走査線3a及び容量線3bを覆ってゲート絶縁膜11が形成されている。ゲート絶縁膜11上に、アモルファスシリコンの半導体層35が形成されており、半導体層35に一部乗り上げるようにしてソース電極6bと、ドレイン電極32とが形成されている。ドレイン電極32の図示右側には容量電極31が一体に形成されている。半導体層35は、ゲート絶縁膜11を介して走査線3aと対向配置されており、当該対向領域で走査線3aがTFT30のゲート電極を構成するようになっている。容量電極31はゲート絶縁膜11を介して容量線3bと対向配置されており、容量電極31と容量線3bとが対向する領域に、ゲート絶縁膜11を誘電体膜とする蓄積容量70が形成されている。
【0030】
半導体層35、ソース電極6b、ドレイン電極32、及び容量電極31を覆って、第1層間絶縁膜12が形成されている。第1層間絶縁膜12上の一部にはアクリル樹脂等の樹脂層39が形成されており、樹脂層39上には反射層29が形成されている。樹脂層39は透過表示領域Tを除く領域に設けられている。樹脂層39は、後述する位相差層60と共に、透過表示領域Tと反射表示領域Rの液晶層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能する。反射層29と第1層間絶縁膜12とを覆って、ITO等の透明導電材料からなる共通電極19が形成されている。上記樹脂層39はその表面に凹凸形状を有しており、かかる凹凸形状に倣う凹凸面を有して形成された反射層29が光散乱性の反射手段を構成している。
【0031】
このようにサブ画素領域に部分的に反射層29が形成された本実施形態の液晶装置100では、図2に示した1サブ画素領域内のうち、反射層29の形成領域が、第2基板20の外側から入射して液晶層50を透過する光を反射、変調して表示を行う反射表示領域Rとなっている。また、反射層29の形成領域の外側の光透過領域が、バックライト90から入射して液晶層50を透過する光を変調して表示を行う透過表示領域Tとなっている。
【0032】
共通電極19を覆ってシリコン酸化物等からなる第2層間絶縁膜13が形成されている。第2層間絶縁膜13の液晶層側の表面にITO等の透明導電材料からなる画素電極9が形成されている。また、画素電極9、第2層間絶縁膜13を覆ってポリイミド等からなる配向膜18が形成されている。
【0033】
第1層間絶縁膜12及び第2層間絶縁膜13を貫通して容量電極31に達する画素コンタクトホール45が形成されており、この画素コンタクトホール45内に画素電極9の一部(コンタクト部)が埋め込まれて、画素電極9と容量電極31とが電気的に接続されている。上記画素コンタクトホール45の形成領域に対応して共通電極19にも開口部が設けられており、この開口部を介して画素電極9と容量電極31とが電気的に接続されるとともに、共通電極19と画素電極9とが短絡しないような構成になっている。
【0034】
一方、第2基板20は、ガラスや石英、プラスチック等からなる基板本体20Aを基体としてなり、基板本体20Aの内面側(液晶層50側)には、サブ画素毎に異なる色光を透過するカラーフィルタを備えたCF層22が形成されている。上記カラーフィルタは、サブ画素内で色度の異なる2種類の色材領域に区画されている構成とすることが好ましい。具体的には、透過表示領域Tの平面領域に対応して第1の色材領域が設けられ、反射表示領域Rの平面領域に対応して第2の色材領域が設けられており、第1の色材領域の色度が、第2の色材領域の色度より大きいものとされている構成を採用できる。また、反射表示領域Rの一部に非着色領域を設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、カラーフィルタを表示光が1回のみ透過する透過表示領域Tと、2回透過する反射表示領域Rとの間で表示光の色度が異なるのを防止でき、反射表示と透過表示の見映えを揃えて表示品質を向上させることができる。なお、CF層22は、第1基板10側に形成することもできる。
【0035】
CF層22の液晶層50側には、反射表示領域Rに対応して位相差層60が形成されており、位相差層60及びCF層22を覆ってポリイミド等からなる配向膜28が形成されている。位相差層60は、第1位相差層62と第2位相差層64とを含む複数の位相差層により形成されている。本実施形態の場合、第1位相差層62の光学軸と第2位相差層64とは互いに平行に配置されており、位相差層60の光学軸は第1位相差層62の光学軸及び第2位相差層64の光学軸と平行である。位相差層60は、その入射光に対して略1/2波長(λ/2)の位相差を付与するものであり、基板本体20Aの内面側に設けられたいわゆる内面位相差層である。第1位相差層62及び第2位相差層64は、液晶材料(液晶モノマーあるいは液晶オリゴマー)を含む溶液を配向膜上に塗布し、乾燥固化させる際に所定方向に配向させる方法により形成されている。
【0036】
ここで、第1位相差層62の複屈折をΔn、層厚をd、第2位相差層64の複屈折をΔn、層厚をdとした場合、Δn、d、Δn、dは下式(1)、(2)を満たすように構成されている。第1位相差層62と第2位相差層64とは互いに複屈折の異なる液晶材料を配向膜を介して順次積層することにより形成されている。そのため、第1位相差層62の複屈折Δnと第2位相差層64の複屈折Δnとは互いに異なったものとなっている。なお、式中、Nは設計によって求められた位相差層60の所望の位相差、Dは設計によって求められた位相差層60の所望の層厚である。
【0037】
【数1】

【0038】
【数2】

【0039】
本実施形態の場合、位相差層60は、樹脂層39と共に反射表示領域Rにおける液晶層50の厚さを透過表示領域Tにおける液晶層50の厚さよりも小さくするための液晶層厚調整層としても機能するものとなっている。半透過反射型の液晶表示装置では、反射表示領域Rへの入射光は液晶層50を2回透過するが、透過表示領域Tへの入射光は液晶層50を1回しか透過しない。これにより反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間で液晶層50のリタデーションが異なると、光透過率に差異を生じて均一な画像表示が得られないことになる。そこで位相差層60及び樹脂層39を液晶層50側に突出させて形成することでいわゆるマルチギャップ構造を実現している。具体的には、反射表示領域Rにおける液晶層50の層厚が透過表示領域Tにおける液晶層50の層厚の半分程度に設定されて、反射表示領域Rおよび透過表示領域Tにおける液晶層50のリタデーションが略同一に設定されている。これにより、反射表示領域Rおよび透過表示領域Tにおいて均一な画像表示を得ることができるようになっている。
【0040】
本実施形態の場合、液晶層50は誘電異方性が正の液晶からなり、画素電極9と共通電極19との間に電界が発生していない初期配向状態において、透過表示領域Tの液晶層50のリタデーションΔndは、略1/2波長の位相差を付与するものであり、反射表示領域Rの液晶層50のリタデーションΔndは、略1/4波長(λ/4)の位相差を付与するものとなっている。このため、液晶層50と位相差層60との積層体が広帯域の1/4位相差板として機能し、可視光領域全域にわたって反射率が低下し、低反射率且つ無彩色の反射表示が得られるようになっている。
【0041】
本実施形態では、位相差層60を反射表示領域Rに選択的に形成しているが、位相差層としての機能の観点からは透過表示領域Tにおける透過光に対する位相差と、反射表示領域Rにおける透過光に対する位相差とに所定の差異を生じさせることができればよく、液晶層厚調整層としての機能の観点からは反射表示領域Rにおいて透過表示領域Tにおいてよりも液晶層50側に突出して形成されていればよいため、部位により層厚の異なる位相差層をCF層22上に形成してもよい。すなわち、透過表示領域Tにおいて薄い層厚、小さい位相差を有し、反射表示領域Rにおいて厚い層厚、大きい位相差を有する位相差層を形成してもよい。
【0042】
図4は、液晶装置100の各光学部材の光学軸の配置の説明図である。偏光板14の透過軸153と偏光板24の透過軸155とは直交している。偏光板24の透過軸155は、画素電極と共通電極との間に生じる電界の主方向157(図2に示す帯状電極9cの延在方向と直交する方向)と45°をなす方向に配置されている。第1位相差層62の光学軸152(遅相軸)と第2位相差層64の光学軸154(遅相軸)とは平行であり、第1位相差層62の光学軸152及び第2位相差層64の光学軸154は偏光板24の透過軸155と22.5°をなす方向に配置されている。配向膜18,28のラビング方向151は偏光板14の透過軸153と平行である。配向膜18,28のラビング方向151はこれに限定されないが、画素電極9と共通電極19との間に生じる電界の主方向157と交差する方向とする。そして、初期状態ではラビング方向151に沿って平行配向している液晶が、画素電極9と共通電極19との間への電圧印加によって上記電界の主方向157側へ回転して配向する。この初期配向状態と電圧印加時の配向状態との差異に基づいて明暗表示が成されるようになっている。
【0043】
図5は、液晶装置100の製造方法の説明図である。図5(a)〜図5(e)は、液晶装置100のうち、位相差層の形成工程を示す断面工程図である。なお、位相差層の形成工程以外は公知の手法が採用できるため、ここでは主に位相差層の形成方法を中心に説明し、他の工程の詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態では、まず、シミュレーションにより所望の位相差及び所望の層厚を算出する。そして、単一の位相差層で所望の位相差及び所望の層厚が実現できる場合には、単一の位相差層で位相差層60を形成し、単一の位相差層(液晶材料)で所望の位相差及び所望の層厚が実現できない場合には、次の工程により複数の位相差層で位相差層60を形成する。なお、複数の位相差層の各々の位相差及び層厚は、上記式(1)及び(2)により設計する。
【0045】
まず、図5(a)に示すように、CF層22を備えた基板本体20A上に配向膜形成材料をスピンコート法あるいはフレキソ印刷法で塗布し、焼成した後、ラビング処理を行うことにより、第1配向膜61を形成する。配向膜材料としては、公知の可溶性ポリイミド溶液等が用いられる。第1配向膜61は少なくとも反射表示領域に対応する領域に形成するが、基板全面に形成しても良い。
【0046】
次に、図5(b)に示すように、第1配向膜61上に光重合性液晶材料を塗布し、露光処理及び現像処理を行うことにより、第1位相差層62を形成する。具体的には、第1配向膜61上に液晶モノマー又は液晶オリゴマー等の光重合性液晶材料の溶液を塗布し、仮焼成して溶媒を除去した後、アイソトロピック転移温度(相転移温度)以上の温度で加熱する。その後、徐々に冷却して光重合性液晶材料を第1配向膜61のラビング方向に配向させ、その後光重合性液晶材料を露光して重合させることにより、第1位相差層62を形成する。露光処理は反射表示領域に対して行い、露光処理が行われない透過表示領域の光重合性液晶材料は、有機溶剤の現像液によって除去される。
【0047】
次に、図5(c)に示すように、第1位相差層62上に配向膜形成材料をスピンコート法あるいはフレキソ印刷法で塗布し、焼成した後、ラビング処理を行うことにより、第2配向膜63を形成する。配向膜材料としては、公知の可溶性ポリイミド溶液等が用いられる。第2配向膜63は少なくとも反射表示領域に対応する領域に形成するが、基板全面に形成しても良い。
【0048】
次に、図5(d)に示すように、第2配向膜63上に光重合性液晶材料を塗布し、露光処理及び現像処理を行うことにより、第2位相差層64を形成する。具体的には、第2配向膜63上に液晶モノマー又は液晶オリゴマー等の光重合性液晶材料の溶液を塗布し、仮焼成して溶媒を除去した後、アイソトロピック転移温度(相転移温度)以上の温度で加熱する。その後、徐々に冷却して光重合性液晶材料を第2配向膜63のラビング方向に配向させ、その後光重合性液晶材料を露光して重合させることにより、第2位相差層64を形成する。露光処理は反射表示領域に対して行い、露光処理が行われない透過表示領域の光重合性液晶材料は、有機溶剤の現像液によって除去される。
【0049】
次に、図5(e)に示すように、第2位相差層64が形成された基板上に、配向膜形成材料をスピンコート法あるいはフレキソ印刷法で塗布し、焼成した後、ラビング処理を行うことにより、配向膜28を形成する。配向膜材料としては、公知の可溶性ポリイミド溶液等が用いられる。配向膜28は表示領域の全面に形成される。
【0050】
以上の工程により第2基板20を作製したら、公知の製造方法を用いて作製した第1基板10と第2基板20とをシール材を介して貼り合わせる。その後、第1基板10と第2基板20とシール材とに囲まれる空間に液晶を充填して封止する。そして、基板本体10Aの外面側と基板本体20Aの外面側とにそれぞれ偏光板14,24を配設し、第1基板10の外面側にバックライト90を配設することで、上記実施形態の液晶装置100を製造することができる。
【0051】
なお、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる工程や液晶を封入する工程、偏光板14,24を配設する工程、バックライト90の製造工程等は公知の製造工程を適用することができる。また、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる際に、両基板の対向面に液晶を予め配置しておき、封止口を有さない枠状のシール材を用いて液晶を封入する工程を適用してもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の液晶装置100によれば、位相差層60が複屈折の異なる複数の位相差層62,64によって形成されるため、各位相差層62,64の複屈折Δn及び層厚dを適切に調節することにより、所望の位相差N及び層厚Dを備えた位相差層60を形成することができる。この場合、位相差層全体の位相差Nが変更されても位相差層全体の層厚Dを変更する必要がない。このため、プロセスの変更が不要になり、共通のプロセスで安定した表示品質を実現することができる。
【0053】
また、位相差層60は複数回の塗布工程によって形成されるため、一度の塗布工程で厚い位相差層を形成する場合に比べて、層厚の均一な位相差層を形成することができる。さらに、第1位相差層62及び第2位相差層64は、第1配向膜61又は第2配向膜63を介して積層されるため、1つの配向膜で配向される液晶材料の厚みが薄くなり、位相差層全体に十分な配向規制力を及ぼすことができる。このため、精密な光学設計を行うことができ、表示品質に優れた液晶装置が提供できる。
【0054】
なお、本実施形態では、位相差層60を複屈折の異なる2種類の液晶材料の層(第1位相差層62、第2位相差層64)で構成したが、位相差層60を構成する液晶材料の層の層数はこれに限定されない。例えば、3層以上の液晶材料の層で位相差層60を構成することも可能である。この場合、各々の液晶材料の層の複屈折は互いに異なっていても良いし、当該複数の層のうちの2層又は3層以上が同じ複屈折の液晶材料の層で形成されても良い。この場合でも、位相差層全体として式(1)及び式(2)のような関係を満たすものであれば、上記の作用効果を奏することができる。
【0055】
また、本実施形態では、FFS方式と呼ばれる方式を採用したが、同様に基板面方向の電界で液晶を動作するIPS(In Plane Switching)方式等にも上記構成を適用できる。また、本発明の技術範囲は、FFS方式やIPS方式に代表される横電界駆動型の液晶装置に限定されず、TNモードやVANモードの液晶を具備し、一方の基板の液晶層側に位相差層が設けられている液晶装置にも適用することができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2実施形態の液晶装置200の断面構成図である。液晶装置200の基本構成は第1実施形態の液晶装置100と同じである。異なるのは、位相差層65を複屈折の等しい複数の位相差層67,69によって形成した点である。したがって、第1実施形態の液晶装置100と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0057】
CF層22の液晶層50側には、反射表示領域Rに対応して位相差層65が形成されており、位相差層65及びCF層22を覆ってポリイミド等からなる配向膜28が形成されている。位相差層65は、第1位相差層67と第2位相差層69とを含む複数の位相差層により形成されている。本実施形態の場合、第1位相差層67の光学軸と第2位相差層69とは互いに平行に配置されており、位相差層65の光学軸は第1位相差層67の光学軸及び第2位相差層69の光学軸と平行である。位相差層65は、その入射光に対して略1/2波長(λ/2)の位相差を付与するものであり、基板本体20Aの内面側に設けられたいわゆる内面位相差層である。第1位相差層67及び第2位相差層69は、液晶材料(液晶モノマーあるいは液晶オリゴマー)を含む溶液を配向膜上に塗布し、乾燥固化させる際に所定方向に配向させる方法により形成されている。
【0058】
ここで、第1位相差層69の複屈折をΔn、層厚をd、第2位相差層64の複屈折をΔn、層厚をdとした場合、Δn、d、Δn、dは下式(3)〜(5)を満たすように構成されている。第1位相差層67と第2位相差層69とは互いに複屈折の異なる液晶材料を配向膜を介して順次積層することにより形成されている。そのため、第1位相差層67の複屈折Δnと第2位相差層69の複屈折Δnとは互いに異なったものとなっている。なお、式中、Nは設計によって求められた位相差層65の所望の位相差、Dは設計によって求められた位相差層65の所望の層厚である。
【0059】
【数3】

【0060】
【数4】

【0061】
【数5】

【0062】
本実施形態の場合、位相差層65は、樹脂層39と共に反射表示領域Rにおける液晶層50の厚さを透過表示領域Tにおける液晶層50の厚さよりも小さくするための液晶層厚調整層としても機能するものとなっている。具体的には、反射表示領域Rにおける液晶層50の層厚が透過表示領域Tにおける液晶層50の層厚の半分程度に設定されて、反射表示領域Rおよび透過表示領域Tにおける液晶層50のリタデーションが略同一に設定されている。これにより、反射表示領域Rおよび透過表示領域Tにおいて均一な画像表示を得ることができるようになっている。
【0063】
本実施形態の場合、液晶層50は誘電異方性が正の液晶からなり、電圧を印加しない初期配向状態において、反射表示領域Rの液晶層50のリタデーションΔndは、略1/4波長(λ/4)の位相差を付与するものとなっている。このため、液晶層50と位相差層65との積層体が広帯域の1/4位相差板として機能し、可視光領域全域にわたって反射率が低下し、低反射率且つ無彩色の反射表示が得られるようになっている。
【0064】
液晶装置200の各光学部材の光学軸の配置は図4と同様である。すなわち、偏光板14の透過軸と偏光板24の透過軸とは直交している。偏光板24の透過軸は、画素電極と共通電極との間に生じる電界の主方向(帯状電極9cの延在方向と直交する方向)と45°をなす方向に配置されている。第1位相差層67の光学軸(遅相軸)と第2位相差層69の光学軸(遅相軸)とは平行であり、第1位相差層67の光学軸及び第2位相差層69の光学軸は偏光板24の透過軸と22.5°をなす方向に配置されている。配向膜18,28のラビング方向は偏光板14の透過軸と平行である配向膜18,28のラビング方向はこれに限定されないが、画素電極9と共通電極19との間に生じる電界の主方向と交差する方向とする。そして、初期状態ではラビング方向に沿って平行配向している液晶が、画素電極9と共通電極19との間への電圧印加によって上記電界の主方向側へ回転して配向する。この初期配向状態と電圧印加時の配向状態との差異に基づいて明暗表示が成されるようになっている。
【0065】
位相差層65を形成する場合、まず、シミュレーションにより所望の位相差及び所望の層厚を算出する。そして、算出された位相差層65の層厚が1μmよりも大きい場合には、1層当たりの位相差層の層厚(1回当たりの液晶材料の層厚)を1μm以下とし、位相差層全体の層厚が所望の層厚となるように、配向膜の形成工程、液晶材料の塗布工程及び液晶材料の硬化工程を複数回繰り返し、複数の位相差層で位相差層65を形成する。位相差層65の形成方法は、第1位相差層67と第2位相差層69とが同一の液晶材料で形成される点を除いて、図5に示した方法と同じである。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の液晶装置200によれば、位相差層65が複屈折の等しい複数の位相差層67,69によって形成されるため、各位相差層67,69の複屈折Δn及び層厚dを適切に調節することで、所望の位相差N及び層厚Dを備えた位相差層65を形成することができる。
【0067】
また、位相差層65は複数回の塗布工程によって形成されるため、一度の塗布工程で厚い位相差層を形成する場合に比べて、層厚の均一な位相差層を形成することができる。さらに、第1位相差層67及び第2位相差層69は、第1配向膜66又は第2配向膜68を介して積層されるため、1つの配向膜で配向される液晶材料の厚みが薄くなり、位相差層全体に十分な配向規制力を及ぼすことができる。このため、精密な光学設計を行うことができ、表示品質に優れた液晶装置が提供できる。
【0068】
なお、本実施形態では、位相差層65を複屈折の等しい2つの液晶材料の層(第1位相差層67、第2位相差層69)で構成したが、位相差層65を構成する液晶材料の層の層数はこれに限定されない。例えば、3層以上の液晶材料の層で位相差層65を構成することも可能である。この場合でも、位相差層全体として式(4)及び式(5)のような関係を満たすものであれば、上記の作用効果を奏することができる。
【0069】
[電子機器]
図7は、本発明に係る電子機器の一例である携帯電話の概略斜視図である。携帯電話1300は、本発明の液晶装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。これにより、本発明の液晶装置により構成された表示品質に優れる表示部を具備した携帯電話1300を提供することができる。
【0070】
上記各実施の形態の液晶表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、高コントラスト、広視野角の表示が可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態の液晶装置の等価回路図である。
【図2】同液晶装置の1サブ画素の平面構成図である。
【図3】図2のA−A’線に沿う断面構成図である。
【図4】同液晶装置の光学部材の光学軸の配置の説明図である。
【図5】同液晶装置の製造方法をの断面工程図である。
【図6】第2実施形態の液晶装置の断面構成図である。
【図7】電子機器の一例である携帯電話の概略構成図である。
【符号の説明】
【0072】
10…第1基板、20…第2基板、50…液晶層、60…位相差層、61…第1配向膜、62…第1位相差層、63…第2配向膜、64…第2位相差層、65…位相差層、66…第1配向膜、67…第1位相差層、68…第2配向膜、69…第2位相差層、100…液晶装置、152…第1位相差層の光学軸、154…第2位相差層の光学軸、200…液晶装置、1300…携帯電話(電子機器)、R…反射表示領域、T…透過表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層を挟持する一対の基板を備え、1つのサブ画素領域内に反射表示を行う反射表示領域と透過表示を行う透過表示領域とが設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板の反射表示領域に対応する領域に位相差層が設けられてなる液晶装置であって、
前記位相差層は複数の液晶材料の層を配向膜を介して積層することにより形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記位相差層の層厚によって前記反射表示領域における液晶層の層厚が前記透過表示領域における液晶層の層厚よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記位相差層は複屈折の異なる複数の液晶材料の層により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記位相差層は複屈折の等しい複数の液晶材料の層により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記複数の液晶材料の層の各々の配向方向は互いに平行であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記位相差層の位相差は1/2波長であり、前記位相差層の形成された領域の液晶層の位相差は1/4波長であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項7】
液晶層を挟持する一対の基板を備え、1つのサブ画素領域内に反射表示を行う反射表示領域と透過表示を行う透過表示領域とが設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板の反射表示領域に対応する領域に複数の液晶材料の層からなる位相差層が設けられてなる液晶装置の製造方法であって、
前記位相差層の形成工程が、
前記一方の基板上に配向膜を形成する第1工程と、
前記配向膜上に液晶材料を塗布する第2工程と、
前記液晶材料を前記配向膜によって配向させつつ硬化する第3工程とを含み、
前記第1工程ないし第3工程を複数回繰り返すことにより、前記複数の液晶材料の層からなる位相差層を形成することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の液晶材料の層のうちの少なくとも1つの液晶材料の層は、他の液晶材料の複屈折とは異なる複屈折を持つ液晶材料からなることを特徴とする請求項7に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項9】
前記複数の液晶材料の層は、複屈折が互いに等しい液晶材料からなることを特徴とする請求項7に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−268482(P2008−268482A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110313(P2007−110313)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】