説明

液晶配向用突起形成用ネガ型レジスト

【課題】液晶表示装置の液晶配向を制御するための突起を形成することができ、製造した液晶表示装置に液晶焼きつき現象が生じることを防止できる液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを提供する。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体及び光重合開始剤を含有する、MVA方式の液晶表示装置の液晶配向用の突起の形成に用いるネガ型レジストであって、前記重合性単量体は、水酸基量が15〜70モル%であるノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを含有する液晶配向突起形成用ネガ型レジスト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の液晶配向を制御するための突起を形成することができ、製造した液晶表示装置に液晶焼きつき現象が生じることを防止できる液晶配向用突起形成用ネガ型レジストに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、カラーフィルター、ブラックマトリックス、線状透明電極、配向膜等が形成された2枚の基板間に、該基板に対して垂直方向や平行方向に配向した液晶が注入された構造を有する。基板間に注入された液晶は、電場無印加の状態では基板に対して垂直方向や平行方向等に配向されているが、電場の印加により配向状態が変化し、液晶を透過する光の透過量を調整することができる。
【0003】
液晶表示装置は、従来のブラウン管を用いた表示装置と比べて、薄型でかつ消費電力の少ないことから、大画面テレビに利用する液晶テレビとして実用化されている。しかし、液晶表示素子には、ブラウン管を用いた表示装置と比べて視野角が狭いという問題がある。大画面の液晶テレビの普及に伴い、視野角の改良が強く求められていた。
【0004】
液晶表示装置の視野角を改善する方法として、透明電極上にアーチ状の突起を形成し、この突起のスロープを利用して液晶を局所的に傾け、一画素内で液晶を多方向に分割配向させる、いわゆるMVA(Multidomain Vertical Alignment)方式が提案されている。
このような透明電極上に形成するアーチ状の突起を形成する方法として、ポジ型レジストを用いたフォトリソグラフの手法により断面が略矩形状の突起を形成し、その後、該突起を加熱しリフローさせることでアーチ状とする方法が知られている。透明電極上にアーチ状の突起を形成するのに用いるポジ型レジストとして、例えば、特許文献1には、ナフトキノンジアジド化合物と水酸基を有する特定の構造単位を含む共重合体とを含有するものが開示されている。
【0005】
しかしながら、ポジ型レジストを用いて透明基板上に突起を形成する場合、加熱リフローさせてアーチ状にする工程が必須となることから、形成するパターンのボトム幅や加熱温度によって、得られる突起のアーチ形状の高さや、基板と接触する角度等が異なったものとなるという問題があった。突起の高さや角度が異なると、液晶の配向ムラ、更には表示ムラが発生する。また、特許文献1に開示のポジ型レジストは、加熱により未反応のナフトキノンジアジトと水酸基を有する特定の構造単位を含む共重合体とがカップリング反応し、レジストを赤変させるという問題があった。また、特許文献1に開示のポジ型レジストは、ナフトキノンジアジドの光分解で生成させたアルカリ可溶性のカルボン酸により、露光部と未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の差を発現させる。このため、ネガ型レジストに比べると現像条件のマージンが狭く、空気中の酸素により現像劣化したりする等、現像状態の管理が困難であった。更に、液晶表示装置の製造過程においては、透明電極上に突起を形成する工程以外にも種々のレジストを用いる工程が含まれるが、そのほとんどはネガ型レジストが用いられる。突起を形成する工程のみポジ型レジストを用いることは、製造工程の煩雑化の原因となっていた。
【0006】
これに対して、特許文献2には、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤及び光重合性モノマーを主成分とするネガ型レジストを用いて電極上に突起を設けることが開示されている。また、特許文献3には、液晶分割配向用突起形成用のネガ型レジストとして、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂を主成分とする感光性樹脂組成物が開示されている。これらのネガ型レジストを用いることで、液晶表示装置の製造の簡略化を図ることができると考えられる。
しかしながら、従来のネガ型レジストを用いて液晶配向用突起を形成した液晶表示装置は、長時間表示を行うと液晶配向用突起を形成した部分で液晶の異常配向が生じ、表示画像が焼き付くという、液晶焼きつき現象が生じる問題があった。
【特許文献1】特開平7−92689号公報
【特許文献2】特開2003−330011号公報
【特許文献3】特開2006−11359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、液晶表示装置の液晶配向を制御するための突起を形成することができ、製造した液晶表示装置に液晶焼きつき現象が生じることを防止できる液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体及び光重合開始剤を含有する、MVA方式の液晶表示装置の液晶配向用の突起の形成に用いるネガ型レジストであって、前記重合性単量体は、水酸基量が15〜70モル%であるノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを含有する液晶配向突起形成用ネガ型レジストである。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明者らは、MVA方式の液晶表示装置の液晶を一画素内で多方向に分割配向させるための突起を、重合性単量体としてノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを含有するネガ型レジストを用いて形成した場合には、表示を長期間行っても突起形成部分に液晶の異常配向が生じることがなく、液晶焼きつき現象が生じることがないことを見出した。更に検討の結果、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートのなかでも、水酸基量が一定の範囲にあるものを用いた場合には、ネガ型レジストに要求される高い現像性と耐熱性とを同時に実現できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明の液晶配向用突起形成用ネガ型レジスト(以下、本発明のネガ型レジストともいう)は、MVA方式の液晶表示装置において、液晶を部分的に分割配向させるための基板上に形成されるアーチ状の突起(液晶配向用突起)を形成するためのものである。なお、本発明のネガ型レジストは、上記液晶配向用突起のほか、例えば、液晶表示装置の2枚の基板のギャップを規制するカラムスペーサを製造することもできる。
【0011】
本発明のネガ型レジストは、アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体及び光重合開始剤を含有する。
上記重合性単量体は、本発明のネガ型レジストへの光照射により、後述するアルカリ可溶性樹脂を架橋させる架橋成分である。上記重合性単量体としてノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを用いることにより、本発明のネガ型レジストを用いて液晶配向用突起を設けたMVA方式の液晶表示装置は、液晶焼きつき現象の発生を抑制できる。この理由は、以下のとおりであると考えられる。
【0012】
MVA方式の液晶表示装置において生じる液晶焼きつき現象は、突起形成部分と対向基板との間に生じる残留電界が原因であると考えられる。この残留電界は、突起の有する誘電正接と配向膜及び液晶の有する誘電正接との差が大きなものであることに起因して生じていたと考えられる。重合性単量体としてノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを含有する本発明のネガ型レジストを用いて形成した液晶配向用突起は、その誘電正接が配向膜及び液晶の誘電正接と近くなるため、上記残留電界の発生を防止することができるものと考えられる。従って、本発明のネガ型レジストを用いて形成した液晶配向用突起を有するMVA方式の液晶表示装置は、長時間表示を行っても液晶焼きつき現象が生じることがないと考えられる。
【0013】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、0−クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、m−クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、p−クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ナフトール変性ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ハロゲン化フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを表す一般式を下記式(1)に示した。
【0014】
【化1】

【0015】
式(1)中、R、Rは、水素又はメチル基を表し、mは、0又は正の整数を表す。
【0016】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、水酸基量の下限が15モル%、上限が70モル%である。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの水酸基量が15モル%未満であると、現像性に劣り、70モル%を超えると、耐熱性に劣る。
なお、上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの水酸基量は、(メタ)アクリレート変性の程度を調節することにより調整することができる。
【0017】
上記水酸基量が15〜70モル%であるノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、水酸基を有するノボラック樹脂の水酸基を残したまま、水酸基に(メタ)アクリル酸を付加する方法、又は、ノボラックエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加することによりエポキシ基を開環させ水酸基を生じさせる方法等により製造することができる。
【0018】
上記ノボラックエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加することによりエポキシ基を開環させ水酸基を生じさせる方法としては、ノボラックエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応する方法等が挙げられる。反応させるノボラックエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との配合比を適宜変更することにより、所望のアクリル化率のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0019】
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の原料のうち市販されているものとしては、例えば、フェノールノボラック型としては、エピクロンN−740、エピクロンN−770、エピクロンN−775(以上、大日本インキ化学社製)、エピコート152、エピコート154(以上、ジャパンエポキシレジン社製)が挙げられ、クレゾールノボラック型としては、エピクロンN−660、エピクロンN−665、エピクロンN−670、エピクロンN−673、エピクロンN−680、エピクロンN−695、エピクロンN−665−EXP、エピクロンN−672−EXP(以上、大日本インキ化学社製)等が挙げられる。
【0020】
上記反応は、例えば、エポキシエステル化触媒、重合禁止剤、酸化防止剤等安定剤存在下、30〜150℃の温度にて上記ノボラックエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させる方法等が挙げられる。
上記エステル化触媒としては、例えば、第三級アミン類、イミダゾール化合物類、リン化合物類、有機金属類等が挙げられる。
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4−メトキシフェノール等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えば、亜リン酸系、亜リン酸エステル類、亜リン酸ジエステル類等が挙げられる。
【0021】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、アルカリ可溶性官能基を有することが好ましい。アルカリ可溶性官能基を有することにより、得られる本発明のネガ型レジストの現像性が向上する。アルカリ可溶性官能基はノボラックエポキシ(メタ)アクリレートに含有される水酸基に多塩基酸無水物を反応させることにより導入することができる。反応方法としては例えば上記エステル化反応と同様な条件下で継続反応させることにより得ることができる。
上記アルカリ可溶性官能基を有するノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを表す一般式を下記式(2)に示した。
【0022】
【化2】

【0023】
式(2)中、R、Rは、水素又はメチル基を表し、Rは、多塩基酸無水物に由来しカルボキシル基を有する原子団を表す。また、m、nは、0又は正の整数を表す。
【0024】
上記多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。なかでも反応性の面から無水コハク酸又は無水フタル酸が好ましい。
【0025】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートがアルカリ可溶性官能基を有する場合、その酸化の好ましい上限は250mgKOH/gである。上記アルカリ可溶性官能基を有するノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの酸化が250mgKOH/gを超えると、密着性が低下することがある。上記アルカリ可溶性官能基を有するノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの酸化のより好ましい上限は200mgKOH/gである。
【0026】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、重量平均分子量の好ましい下限が600、好ましい上限が2000である。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの重量平均分子量が600未満であると、樹脂中の未反応の低分子化合物の量が多くなり、残存した低分子化合物が液晶中に溶出してパネルの表示不良を引き起こすことがあり、2000を超えると、現像時に残渣が発生したり、得られる突起がアーチ状とならないことがある。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの重量平均分子量のより好ましい下限は800、より好ましい上限は1800である。
なお、本発明においてノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、例えば、昭和電工社製Shodex LF−804等のカラムを用い、テトラヒドロフランを展開溶剤としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算により求められる値を意味する。
【0027】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、EA−1020、EA−1025、EA−1026、EA−1028、EA−6320、EA−6340(以上、いずれも新中村化学工業社製)、Ebecryl 150、Ebecryl 1150(以上、いずれもダイセル・ユーシービー社製)、M−208、M−210(以上、いずれも東亜合成社製)、PNA−161H、CNA−142H、PCR−1169H、CCR−1159H(以上、いずれも日本化薬社製)、エピクロンN−695、エピクロンN−775(以上、いずれも大日本インキ化学社製)、PR−300、PR−310、PR−320、HRM−1004、HRM−1005、HRM−1011、HRM−1013、HRM−2019、HRM−2021、HRM−2027、HRM−2031(以上、いずれも昭和高分子社製)等が挙げられる。
【0028】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの配合量としては特に限定されないが、上記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して好ましい下限は20重量部、好ましい上限は200重量部である。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの配合量が20重量部未満であると、焼きつき防止の効果が損なわれることがあり、200重量部を超えると、現像溶解速度の低下等を招きやすくなることがある。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの配合量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は180重量部である。
【0029】
本発明のネガ型レジストは、密着性、現像性、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品、アルカリ可溶性樹脂との相溶性の向上を目的として、上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート以外の重合性単量体を含有しても良い。上記重合性単量体とは、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。
【0030】
エチレン性不飽和結合を分子内に1個有する化合物としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。
【0031】
エチレン性不飽和結合を分子内に2個有する化合物としては特に限定されず、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(メタ)アクリレートや、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
エチレン性不飽和結合を分子内に3個以上有する化合物としては特に限定されず、例えば、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和結合を分子内に3個以上有する化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。なかでも、現像性、アルカリ可溶樹脂との相溶性が向上することから、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好適である。
これらの重合性単量体は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0033】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート以外の重合性単量体を併用する場合、上記重合性単量体全体に占める上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート以外の重合性単量体の比率の好ましい上限は80重量%である。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート以外の重合性単量体の比率が80重量%を超えると、焼きつき防止効果が損なわれることがある。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート以外の重合性単量体の比率のより好ましい上限は75重量%である。
【0034】
本発明のネガ型レジストは、アルカリ可溶性樹脂を含有する。
上記アルカリ可溶性樹脂としては特に限定されないが、分子内に重合性二重結合を有するものが好適に用いられる。具体的には、例えば、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と不飽和二重結合を有する単官能化合物とを共重合した共重合体等のアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物が挙げられる。
【0035】
上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
上記不飽和二重結合を有する単官能化合物としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられる。
【0036】
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体や、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物や、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物や、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等の芳香族置換マレイミドや、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミド等に由来する成分を含有してもよい。
【0037】
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物は、現像時の溶解性を制御する等の目的で、水酸基を有する単官能不飽和化合物に由来する成分を含有してもよい。
上記水酸基を有する単官能不飽和化合物としては特に限定されず、例えば、分子内に水酸基を1つ有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
【0038】
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物において、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物に由来する成分の比の好ましい下限は5重量%、好ましい上限は50重量%である。上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物に由来する成分の比が5重量%未満であると、アルカリ可溶性を付与することが困難であり、50重量%を超えると、現像時の膨潤が著しくパターンの形成が困難となることがある。カルボキシル基含有単官能不飽和化合物に由来する成分の比のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は40重量%である。
【0039】
上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と不飽和二重結合を有する単官能化合物とを共重合する方法としては特に限定されず、例えば、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調節剤を用いて、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により重合する方法が挙げられる。なかでも、溶液重合が好適である。
【0040】
溶液重合法により上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物を製造する場合の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコール等の脂肪族アルコール類や、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類や、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類や、酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類や、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類や、テトラヒドロフラン等の環状エーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類や、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶剤等を用いることができる。
【0041】
また、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の非水系の分散重合により上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物を製造する場合の媒体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の液状の炭化水素や、その他の非極性の有機溶剤等を用いることができる。
【0042】
上記ラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化物、アゾ開始剤等の従来公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。また、上記分子量調節剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン系の連鎖移動剤等を用いることができる。
【0043】
本発明のネガ型レジストにおいて、上記アルカリ可溶性樹脂としては、なかでも、側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体が好適である。上記アルカリ可溶性樹脂として、側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体を選択した場合には、本発明のネガ型レジストは高い感度を有し、かつ、硬化させてなる液晶配向用突起は、解像度や基板に対する密着性に優れる。この理由としては、アルカリ可溶性樹脂の側鎖のアクリル基が露光時に反応することでアルカリ可溶性樹脂自体も架橋構造の中に取り込まれる結果、パターン剥がれが抑制されるためであると考えられる。
また、上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体は、セグメントの極性が低いため、本発明のネガ型レジストの他の成分との相溶性に優れる。これにより、液晶配向用突起の製造時の現像処理において現像ムラ等の不具合が生じることもない。
【0044】
上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体としては、下記式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)及び(3e)で表される構造単位からなる共重合体が好適である。
【0045】
【化3】

【0046】
式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)及び(3e)中、A及びAは、水素、下記式(4a)、(4b)、(4c)又は(4d)を表し、A又はAのいずれか一方が水素である場合、他方は下記式(4a)、(4b)、(4c)又は(4d)のいずれかである。Rは、水素及び/又はメチル基を表し、Rは、アルキル基、フェニル基、アルキル基若しくはアルコキシ基を含むフェニル基、ヒドロキシアルキル基又は脂環式炭化水素を表し、Rは、ニトリル基又はフェニル基を表し、Rは、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はラジカル重合性基含有脂肪族炭化水素を表す。また、a、b、c、d、eは、各成分のモル比率(%)を表し、a+b+c+d+e=100とするとき、a、b及びdは0〜90、cは5〜50、eは5〜60である。
【0047】
【化4】

【0048】
上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量としては特に限定されないが、好ましい下限は3000、好ましい上限は10万である。上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が3000未満であると、得られる液晶配向用突起の密着性が低下することがあり、10万を超えると、解像度が低下することがある。より好ましい下限は5000、より好ましい上限は5万である。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。
【0049】
上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体の製造方法としては特に限定されないが、例えば、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を開環付加重合させてカルボキシル基の一部を変性し、更に、変性により生じた水酸基及び/又は残存しているカルボキシル基の一部にイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ラクトン化合物、アルコール化合物等を反応させる方法が挙げられる。
【0050】
上記側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の製造方法としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とをラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調整剤を用いて塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により共重合する方法が挙げられる。
【0051】
上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては特に限定されないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
【0052】
上記イソシアネート化合物としては特に限定されないが、例えば、炭素数が2〜18のアルキルイソシアネート、重合性基含有イソシアネートが好適に用いられる。上記重合性基含有イソシアネートを用いると、光硬化時の感度の上昇や、耐熱性、耐薬品性、タックフリー性等の様々な物性の更なる向上が実現される。
上記重合性基含有イソシアネートとしては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基と結合したものを使用することが好ましい。具体的には、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート、2−アクリロイルエチルイソシアネート等が挙げられ、2−メタクリロイルエチルイソシアネート、及び、2−アクリロイルエチルイソシアネートは、それぞれ、カレンズMOI、及び、カレンズAOI(いずれも昭和電工社製)として市販されている。
【0053】
上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記イソシアネート化合物を反応させる方法としては特に限定されず、少量の触媒存在下、上記イソシアネート化合物を、上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の溶液中に滴下又は混合する方法が挙げられる。
この際に用いられる触媒としては特に限定されず、例えば、ラウリン酸、ジブチル錫等が挙げられる。
また、必要に応じて、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の重合禁止剤を用いてもよい。
更に、増粘等を抑制する目的で、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール等のアルコールによる処理を行ってもよい。
【0054】
上記製造方法に従い、上記変性により生じた側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体にイソシアネート化合物を反応させた場合には、式(4b)に示される構造単位が形成される。
【0055】
上記エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、炭素数2〜18のアルキルエポキシ化合物、炭素数が2〜18のアルコキシエポキシ化合物や重合性基含有エポキシ化合物が挙げられる。
【0056】
上記エポキシ化合物として、上記重合性基含有エポキシ化合物を用いると、光硬化時の感度の上昇や、耐熱性、耐薬品性、タックフリー性等の様々な物性の更なる向上が実現される。
上記重合性基含有エポキシ化合物としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してエポキシ基と結合したものが好ましい。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0057】
上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記エポキシ化合物を反応させる方法としては特に限定されず、少量の触媒存在下、上記エポキシ化合物を、上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の溶液中に滴下又は混合する方法が挙げられる。
この際に用いられる触媒としては特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、トリプロミルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルラウリルアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
また、必要に応じて、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の重合禁止剤を用いてもよい。
【0058】
上記製造方法に従い、上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体にエポキシ化合物を反応させた場合には、式(4c)及び(4d)に示される構造単位が形成される。
【0059】
上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に、上記イソシアネート化合物やエポキシ化合物、ラクトン化合物、アルコール化合物等を反応させる際には、上記(メタ)アクリル共重合体中に含まれる水酸基のうち0〜100モル%に相当する量を反応させることができる。
【0060】
また、変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記イソシアネート化合物やエポキシ化合物、ラクトン化合物、アルコール化合物等を反応させる際には、上記(メタ)アクリル共重合体中に含まれるカルボキシル基のうち、0〜90モル%に相当する量を反応させることができる。90モル%を超えると、残存するカルボキシル基の量が少なくなりすぎるため、アルカリ可溶性が損なわれ、現像性が低下することがある。
【0061】
上記式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)及び(3e)中のa、b、c、d、eは各成分のモル比率(%)を表し、a+b+c+d+e=100とするとき、a、b及びdの下限は0%、上限は90%である。また、cの下限は5%、上限は50%である。また、eの下限は5%、上限は60%である。cの下限は5%、上限は50%であるが、5%未満、すなわち、カルボキシル基含有の構造単位のモル比率が5%未満であると、アルカリ可溶性を付与することが困難であり、50%を超えると、現像時の膨潤が著しく、パターンの形成が困難となる。また、eの好ましい下限は5%、好ましい上限は60%であるが、5%未満であるとアルカリ可溶性樹脂の架橋構造への取り込みが不充分となり架橋密度が低下した結果、現像工程でのけずれが大きくなりすぎて、液晶配向用突起の高さのばらつきが生じ、60%を超えると、架橋構造の架橋密度が高くなりすぎて、アーチ状の形状を安定して形成しづらくなる。
【0062】
更に、本発明のネガ型レジストにおいて、上記アルカリ可溶性樹脂は、分子内に芳香環を有することが好ましい。芳香環を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することで、液晶配向用突起の誘電正接を更に低下させることができ、本発明のネガ型レジストを用いた液晶配向用突起を有する液晶表示装置の表示を長時間行った場合に、液晶焼きつき現象が生じることをより好適に防止することができる。
芳香環を有するアルカリ可溶性樹脂としては特に限定されないが、ベンジル(メタ)アクリレート共重合体が密着性、現像性が良好であることから好適である。
【0063】
本発明のネガ型レジストにおいて、上記アルカリ可溶性樹脂は、酸価の好ましい下限は50mgKOH/gである。上記アルカリ可溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、本発明のネガ型レジストの解像性が低下してしまい、アーチ形状の液晶配向用突起を安定的に形成することができないことがある。上記アルカリ可溶性樹脂の酸価の上限としては特に限定されないが、好ましい上限は150mgKOH/gである。上記アルカリ可溶性樹脂の酸価が150mgKOH/gを超えると、本発明のネガ型レジストを用いてなる液晶配向用突起の基板に対する密着性が低下することがある。上記アルカリ可溶性樹脂の酸価のより好ましい下限は60mgKOH/g、より好ましい上限は140mgKOH/gである。
なお、本明細書において、上記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ可溶性樹脂1gを有機溶剤へ溶かし、フェノールフタレインを指示薬として水酸化カリウムで滴定するとき、中和までに要する水酸化カリウムのmg数で示される。
【0064】
本発明のネガ型レジスト中の上記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、全固形分に対して、通常25重量%以上、好ましくは30重量%以上であり、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下である。アルカリ可溶性樹脂の量が少なすぎると、耐熱性の低下、現像溶解速度の低下等を招きやすく、多すぎると感度の低下、画像断面形状の再現性不良を招きやすい。
【0065】
本発明のネガ型レジストは、液晶配向用突起の高さや、基板と接触する形状を安定させるために、アルカリ可溶性樹脂の含有量と上述した重合性単量体の含有量とが特定の比率であることが好ましい。具体的には、(アルカリ可溶性樹脂の含有量)/(重合性単量体の含有量)の重量比の好ましい下限は0.25、好ましい上限は3.5であり、より好ましい下限は0.35、より好ましい上限は3である。
【0066】
本発明のネガ型レジストは、光重合開始剤を含有する。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、従来公知のものが挙げられ、例えば、紫外線によりエチレン性不飽和基を重合させるラジカルを発生させることのできる化合物及び紫外線により酸を発生させる化合物等が挙げられる。
【0067】
上記光重合開始剤の具体例としては、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体や、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体や、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体や、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類や、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体や、ベンズアンスロン誘導体や、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体や、2,2,−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1,−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体や、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体や、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体や、9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体や、9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体や、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のチタノセン誘導体や、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等のα−アミノアルキルフェノン系化合物や、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシム誘導体類や、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、ホスフィンオキサイド系開始剤は、得られる液晶配向用突起の形状をアーチ形状に成形しやすいことから好適である。
【0068】
上記ホスフィンオキサイド系開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、イルガキュア819(チバスペシャリティケミカルズ社製)、イルガキュア819(チバスペシャリティケミカルズ社製)、ダロキュアTPO(チバスペシャリティケミカルズ社製)、SP−246(ADEKA社製)等が挙げられる。
【0069】
本発明のネガ型レジストにおいて、上記光重合開始剤の含有量としては特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂及び重合性単量体の合計100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は40重量部である。上記光重合開始剤の含有量が0.1重量部未満であると、光硬化が不充分となり、液晶配向用突起の基板に対する密着性が低下することがあり、40重量部を超えると、光硬化反応が進みすぎて現像残渣が生じたり、得られる液晶配向用突起の形状がアーチ状とならずに、液晶配向異常を生じる原因となることがある。上記光重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.2重量部、より好ましい上限は30重量部であり、更に好ましい下限は0.5重量部、更に好ましい上限は20重量部である。
【0070】
本発明のネガ型レジストは、酸素による反応障害を軽減するために反応助剤を含有してもよい。このような反応助剤と水素引き抜き型の光反応開始剤とを併用することにより光を照射したときの硬化速度を向上させることができる。
【0071】
上記反応助剤としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン系反応助剤や、トリ−n−ブチルホスフィン等のホスフィン系反応助剤や、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート等のスルホン酸系反応助剤等が挙げられる。これらの反応助剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
本発明のネガ型レジストは、シランカップリング剤を含有していてもよい。
上記シランカップリング剤は、本発明のネガ型レジストと基板との密着性を向上させる役割を果たす。
上記シランカップリング剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。なかでも、官能基としてアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有するものが好ましい。官能基としてアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有するシランカップリング剤を含有することで、本発明のネガ型レジストの基材との密着性を大幅に向上させることができる。
【0073】
上記アクリロキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、上記メタクリロキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0074】
本発明のネガ型レジストにおいて、上記シランカップリング剤の含有量としては特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂と重合性単量体の合計を100重量部とした場合に、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は40重量部である。上記シランカップリング剤の含有量が0.1重量部未満であると、基板との密着性が低下することがあり、40重量部を超えると、フォトリソグラフィーにおいてアルカリ現像残りが生じることがある。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は30重量部である。
【0075】
本発明のネガ型レジストは、上述した本発明のネガ型レジストを構成する各成分が有機溶剤を用いて、固形分濃度の下限が5重量%、上限が50重量%、好ましくは下限が10重量%、上限が40重量%の範囲となるように調整して使用される。
上記有機溶剤としては、上述の各成分を溶解し、又は、分散させることができ、かつ、取り扱い性に優れるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMAc」と略記する。)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラハイドロフラン等が挙げられる。
上記有機溶剤としては、沸点が100〜200℃の範囲が好適に用いられ、より好ましくは沸点が120〜180℃の範囲のものが用いられる。
【0076】
本発明のネガ型レジストを製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記アルカリ可溶性樹脂、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを含有する重合性単量体、光重合開始剤、有機溶剤、及び任意の添加剤を攪拌槽に入れて攪拌翼等を用いて混合する方法等が挙げられる。
【0077】
本発明のネガ型レジストを用いて液晶配向用突起を製造する方法を説明する。
本発明のネガ型レジストを用いて液晶配向用突起を製造するには、まず、本発明のネガ型レジストを所定の厚さになるように基板上に塗工して被膜を形成する。
上記塗工の方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート、スリット&スピン、スリットコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート等の従来公知の塗工法を用いることができる。
【0078】
次いで、形成した被膜上に、所定のパターンが形成されたマスクを介して、紫外線等の活性光線を照射する。これにより、光照射部においては、本発明のネガ型レジスト中に含まれるアルカリ可溶性樹脂と重合性単量体と光重合開始剤とが反応して光硬化する。
上記活性光線としては特に限定されず、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、紫外線が好ましい。
【0079】
上記液晶配向用突起は、例えば、上記塗膜の液晶配向用突起形成部分に照射される光量を調整することで形成することが可能である。照射量を調整する方法としては、従来用いられている方法を使用すればよく、例えば、上記マスクを介して活性光線を照射する際に、後述するアルカリ現像処理にてアーチ状の液晶配向用突起を形成するために、グレイスケールやハーフトーンマスク等を用いる方法等が挙げられる。
【0080】
照射する紫外線等の活性光線の波長としては特に限定されないが、波長200〜600nm程度の紫外線を用いることが好ましい。
上記活性光線の照射量の好ましい下限は10mJ/cm、好ましい上限は500mJ/cmである。上記活性光線の照射量が10mJ/cm未満であると、光硬化が不充分なものとなり、現像工程でパターンが流れて密着性不良を生じることがある。上記活性光線の照射量が500mJ/cmを超えると、現像残渣を生じやすくなる。
【0081】
次いで、光硬化後の光硬化物をアルカリ現像して基板上に本発明のネガ型レジストの光硬化物からなる所定のパターンの液晶配向用突起を形成する。
上記アルカリ現像処理で使用する溶剤としては、未硬化部の塗布膜を溶解させる能力のある溶剤であれば特に限定されず、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物、或いはジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド等の有機アルカリ化合物を含有した水溶液が挙げられる。
【0082】
上記アルカリ現像液には、必要に応じて、界面活性剤、水溶性の有機溶剤、湿潤剤、水酸基又はカルボン酸基を有する低分子化合物等を含有させることもできる。特に、界面活性剤は現像性、解像性、地汚れ等に対して改良効果をもつものが多いため添加するのが好ましい。
【0083】
上記アルカリ現像液に使用する界面活性剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0084】
アルカリ現像処理の方法としては特に限定されないが、通常、10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
【0085】
最後に乾燥オーブンで充分に乾燥させる。乾燥温度としては250℃以下が好ましく、乾燥時間は60分以下であることが好ましい。温度が250℃を超え、乾燥時間が60分を超えて長くなると、上記液晶配向用突起をカラーフィルター上に形成した場合、開口部の着色顔料又は染料にダメージを与えてしまい表示品質自体を低下させてしまう恐れがある。
【0086】
本発明のネガ型レジストを用いてなる液晶配向用突起もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶配向用突起を有するカラーフィルターもまた、本発明の1つである。
【0087】
本発明のカラーフィルターが上述した本発明のネガ型レジストからなる液晶配向用突起を有する場合、該カラーフィルターを用いてなる液晶表示装置は視野角が広いものとなる。
本発明のネガ型レジスト、又は、本発明のカラーフィルターを用いてなる液晶表示装置もまた、本発明の1つである。
【0088】
なお、本発明のネガ型レジストを用いて液晶表示装置のセルギャップを規制する柱状のカラムスペーサを形成することもできる。
本発明のネガ型レジストを用いてカラムスペーサを形成する方法としては、例えば、上述した方法で基板上に形成した被膜のカラムスペーサとなる部分に、例えば、液晶配向用突起を作成するのに要する露光エネルギーよりも過剰に光を照射した後、上述したアルカリ現像する方法が挙げられる。このような方法によると、上記被膜に照射する光により本発明のネガ型レジストが充分に重合硬化し、上記液晶配向用突起よりも高い柱状のカラムスペーサを形成することができる。
【発明の効果】
【0089】
本発明によれば、液晶表示装置の液晶配向を制御するための突起を形成することができ、製造した液晶表示装置に液晶焼きつき現象が生じることを防止できる液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0090】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0091】
(実施例1)
(1)ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの調製
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エピクロンN−740、大日本インキ化学社製)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸200重量部を空気を送り込みながら、90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた樹脂100重量部を、反応物中のイオン性不純物を吸着させる為にクオルツとカオリンの天然結合物(ホフマンミネラル社製、シリチンV85)10重量部が充填されたカラムで濾過し、アクリル酸変性フェノールノボラックエポキシ樹脂(50%部分アクリル化物、水酸基量50%)を得た。
【0092】
(2)アルカリ可溶性樹脂の合成
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、ガス導入管を備えたフラスコにPGMAc150重量部を取り、窒素置換しながら攪拌し110℃に昇温した。
次に、メタクリル酸32.6重量部(0.38モル)、メチルメタクリレート31.1重量部(0.31モル)からなるモノマー混合物に、t−ブチルヒドロパーオキサイド(日本油脂社製、パーブチルO)3.6重量部を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、更に110℃で3時間攪拌し続けエージングを行った。
次に、3,4−エポキシシクロへキシルメタクリレート36.4重量部(0.20モル)、トリフェニルフォスフィン0.36重量部及びメチルハイドロキノン0.15重量部を加えて、100℃で10時間反応させた。反応は、空気/窒素雰囲気下で行った。これにより、酸価100mgKOH/g、二重結合当量(不飽和基1モルあたりの樹脂のg重量)500、重量平均分子量15000のアルカリ可溶性樹脂溶液P−1(固形分40%)を得た。
【0093】
(3)液晶配向用突起形成用ネガ型レジストの調製
得られたアルカリ可溶性樹脂溶液P−1を200重量部、重量性単量体として得られたフェノールノボラックエポキシアクリレート分散液100重量部、光反応開始剤としてイルガキュア819(チバスペシャリティケミカルズ社製、アシルホスフィンオキサイド)10重量部、溶剤としてPGMAc200重量部を混合して液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製した。
【0094】
(4)カラーフィルターの製造
フォトエッチング法により、透明基板上にCr薄膜パターンを成膜した。この上にフォトリソグラフィー法により、赤色、青色、緑色感光性樹脂組成物をパターニングし、赤色、青色、緑色画素を形成した。更に、スパッタにより全面にITO膜を成膜して透明導電膜層とし、カラーフィルターを製造した。
【0095】
(5)液晶配向用突起が形成されたカラーフィルター基板の製造
得られた液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを、(4)で製造したカラーフィルター上にスピンコート後、80℃、2分間乾燥して塗膜を得た。得られた塗膜に、8μm角のドットパターンマスクを介して100mJ/cmの紫外線を照射した後、0.1%炭酸ナトリウム水溶液により60秒間現像し、純水にて30秒間洗浄した。その後、200℃、30分のベーキング処理を行い、配向制御用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0096】
(実施例2)
実施例1に準ずる方法により、水酸基量が約15モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレート分散液(固形分80重量%)を得た。
得られた水酸基量が約30モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製し、これを用いて液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0097】
(実施例3)
実施例1に準ずる方法により、水酸基量が約30モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレート分散液(固形分80重量%)を得た。
得られた水酸基量が約30モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製し、これを用いて液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0098】
(実施例4)
実施例1に準ずる方法により、水酸基量が約70モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレート分散液(固形分80重量%)を得た。
得られた水酸基量が約30モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製し、これを用いて液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0099】
(比較例1)
実施例1に準ずる方法により、水酸基量が0モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレート分散液(固形分80重量%)を得た。
得られた水酸基量が約30モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製し、これを用いて液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0100】
(比較例2)
実施例1に準ずる方法により、水酸基量が約5モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレート分散液(固形分80重量%)を得た。
得られた水酸基量が約30モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製し、これを用いて液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0101】
(比較例3)
実施例1に準ずる方法により、水酸基量が約90モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレート分散液(固形分80重量%)を得た。
得られた水酸基量が約30モル%のフェノールノボラックエポキシアクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製し、これを用いて液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0102】
(比較例4)
フェノールノボラックエポキシアクリレート(EA−6320)に代えて、1、4―ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(アロニックスM450、東亜合成社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製し、これを用いて液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0103】
(比較例5)
フェノールノボラックエポキシアクリレート(EA−6320)代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PE−3A、共栄社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを調製し、これを用いて液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を得た。
【0104】
(評価)
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板について以下の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0105】
(1)焼きつきの評価
得られた液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を用いてMVA−LCDを作製した。その後、MVA−LCDに常温で24時間にわたって連続して電圧を印加して画像表示を行った。24時間連続表示後の画像を目視により観察した。すぐに表示パターンが消滅した場合を「◎」と、1分以内に消滅した場合を「○」と、1分以内には消滅しなかった場合を「×」と評価した。
【0106】
(2)突起形状の評価
カラーフィルター基板上に形成された液晶配向用突起を顕微鏡を用いて観察した。突起形状について、アーチ形状である場合を「◎」と、やや台形に近いアーチ形状である場合を「○」と、台形形状である場合を「△」と、柱形状である場合を「×」と評価した。
【0107】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明によれば、液晶表示装置の液晶配向を制御するための突起を形成することができ、製造した液晶表示装置に液晶焼きつき現象が生じることを防止できる液晶配向用突起形成用ネガ型レジストを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体及び光重合開始剤を含有する、MVA方式の液晶表示装置の液晶配向用の突起の形成に用いるネガ型レジストであって、
前記重合性単量体は、水酸基量が15〜70モル%であるノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを含有する
ことを特徴とする液晶配向用突起形成用ネガ型レジスト。
【請求項2】
ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が800〜2000であることを特徴とする請求項1記載の液晶配向用突起形成用ネガ型レジスト。
【請求項3】
ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、アルカリ可溶性官能基を有することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶配向用突起形成用ネガ型レジスト。
【請求項4】
アルカリ可溶性樹脂は、(メタ)アクリル基、カルボキシル基、及び、ベンジル基を有するものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶配向用突起形成用ネガ型レジスト。
【請求項5】
光重合性開始剤は、ホスフィンオキサイド系開始剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液晶配向用突起形成用ネガ型レジスト。


【公開番号】特開2010−91984(P2010−91984A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264478(P2008−264478)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】