説明

液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法

【課題】パターンの描画不良を無くすことができる液滴出装置を提供する。
【解決手段】吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出して、ワーク上にパターンを描画する液滴吐出装置であって、前記パターンのデータと前記パターンに対応する対応ノズルのデータを含む描画データに基づいて、前記ワーク上に前記パターンを描画させ、描画した前記パターンに欠け部分が発生した場合に、前記パターンの前記欠け部分に対応する不良ノズル以外のノズルを用いて、前記欠け部分のパターンを再描画させる制御部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出して、ワーク上にパターンを描画する液滴吐出装置では、例えば、ノズルに異物等が詰まった場合、当該ノズルから機能液が吐出されないため、パターン中にパターンが欠けた部分が発生してしまう。このようにパターンに欠け部分が発生してしまうと、外観検査等で不良と判断されるため、歩留りが下がってしまう。そこで、例えば、ワーク上に印字された画像を読み取り、読み取った画像が原稿画像と異なる場合には、再度印字を実行させる画像処理装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−36319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の画像処理装置では、読み取った画像が原稿画像と異なる場合には、新たな用紙に再印字される。すなわち、誤って印字された用紙等のワークは不良となってしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出して、ワーク上にパターンを描画する液滴吐出装置であって、前記パターンの描画に対応する対応ノズルのデータを含む第1描画データに基づいて、前記ワーク上に前記パターンを描画させ、描画させた前記パターンに欠け部分が発生した場合に、前記パターンの前記欠け部分に対応した前記対応ノズルのうちの不良ノズル以外の前記ノズルを用いて、前記欠け部分を描画させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、パターンの欠け部分が、不良ノズル以外のノズル、すなわち、良品ノズルによって描画される。従って、パターンの欠け部分が修正されるので、ワークの不良数が低減され、歩留りを向上させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記不良ノズル以外の前記対応ノズルを用いて、前記欠け部分を再描画させることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、欠け部分の描画に用いられるノズルは、対応ノズルのうちから選択される。すなわち、少なくともドット抜け等が無く、液滴吐出可能なノズルが選択される。従って、確実にパターンの欠け部分を修正することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記パターンのデータと前記パターンの描画に対応する前記不良ノズル以外の前記ノズルのデータを含む第2描画データを生成させることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、第2描画データの生成によって、次回のワークに対するパターンの描画が可能になる。従って、不良ノズルが発生したとしても、クリーニング等を行う必要がないので、工数を削減することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記第2描画データの生成の可否に応じて、前記吐出ヘッドのメンテナンスの実施可否を決定させることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、生産性を考慮した装置制御を行うことができる。例えば、使用できるノズルが少ない等の場合には、描画における走査数が増加して生産性が低下してしまうため、描画データの再生成を不可と判断して、吐出ヘッドのメンテナンスを実施させる。これにより吐出ヘッドの吐出性を回復させることができる。また、例えば、使用できるノズルが多い場合には、描画データの再生成が可能と判断する。この場合には、吐出ヘッドのメンテナンスを省略できるため、工数を削減し、生産性を向上させることができる。
【0014】
[適用例5]本適用例にかかる液滴吐出装置の制御方法は、吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出して、ワーク上にパターンを描画する液滴吐出装置の制御方法であって、前記パターンの描画に対応する対応ノズルのデータを含む第1描画データに基づいて、前記ワーク上に前記パターンを描画させる描画ステップと、描画させた前記パターンに欠け部分が発生した場合に、前記パターンの前記欠け部分に対応した前記対応ノズルのうちの不良ノズル以外の前記ノズルを用いて、前記欠け部分を描画させる再描画ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、パターンの欠け部分が、不良ノズル以外のノズル、すなわち、良品ノズルによって描画される。従って、パターンの欠け部分が修正されるので、ワークの不良数が低減され、歩留りを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図2】吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図3】制御部の構成を示す制御ブロック図。
【図4】液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャート。
【図5】第1描画データを説明する説明図。
【図6】パターンの画像取得方法を示す説明図。
【図7】第2描画データの生成方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮小を異ならせて図示している。
【0018】
(液滴吐出装置の構成)
まず、液滴吐出装置の構成について説明する。図1は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。図1に示すように、液滴吐出装置1には、直方体形状に形成される基台2が備えられている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY方向とし、同Y方向と直交する方向をX方向とする。
【0019】
基台2の上面2aには、Y方向に延びる一対の案内レール3a,3bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その基台2の上側には、一対の案内レール3a,3bに対応する図示しない走査手段を備えたステージ4が取り付けられている。走査手段は、例えば、直動機構であり、当該直動機構は、例えば案内レール3a,3bに沿ってY方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するY軸モーター(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸モーターに入力されると、Y軸モーターが正転又は逆転して、ステージ4が同ステップ数に相当する分だけ、Y軸方向に沿って所定の速度で往動又は、復動する(Y方向に走査する)ようになっている。
【0020】
さらに、基台2の上面2aには、案内レール3a,3bと平行に主走査位置検出装置5が配置され、ステージ4の位置が計測できるようになっている。
【0021】
そのステージ4の上面には、載置面6が形成され、その載置面6には、図示しない吸引式の基材チャック機構が設けられている。そして、載置面6にワーク7を載置すると、ワークチャック機構によって、そのワーク7が載置面6の所定位置に位置決め固定されるようになっている。
【0022】
基台2のX方向両側には、一対の支持台8a,8bが立設され、その一対の支持台8a,8bには、X方向に延びる案内部材9が架設されている。案内部材9は、ステージ4のX方向における幅よりも長く形成され、その一端が支持台8a側に張り出すように配置されている。案内部材9の上側には、吐出する液体を供給可能に収容する収容タンク10が配設されている。一方、その案内部材9の下側には、X方向に延びる案内レール11がX方向全幅にわたり凸設されている。
【0023】
案内レール11に沿って移動可能に配置されるキャリッジ12は、略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ12の直動機構は、例えば案内レール11に沿ってX方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するX軸モーター(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸モーターに入力すると、X軸モーターが正転又は逆転して、キャリッジ12が同ステップ数に相当する分だけX方向に沿って往動又は復動する(X方向に走査する)。案内部材9とキャリッジ12との間には、副走査位置検出装置13が配置され、キャリッジ12の位置が計測できるようになっている。そして、キャリッジ12の下面(ステージ4側の面)には、吐出ヘッド14が設置されている。
【0024】
また、ステージ4の上方であって、ステージ4に対向する位置には、ワーク7に描画されたパターンの画像を取得する画像取得装置が設けられている。本実施形態では、画像取得装置としてのカメラ29が設けられている。
【0025】
基台2の片側の一方(図中X方向の逆方向)には、保守用基台15が配置されている。保守用基台15の上面15aには、Y方向に延びる一対の案内レール16a,16bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その保守用基台15の上側には、一対の案内レール16a,16bに対応する図示しない直動機構を備えた移動手段を構成する保守ステージ17が取り付けられている。その保守ステージ17の直動機構は、例えばステージ4と同様の直動機構であり、Y方向に沿って往動又は、復動するようになっている。
【0026】
保守ステージ17の上には、吐出ヘッド14のメンテナンスを行うヘッドメンテナンス部21が設けられている。ヘッドメンテナンス部21は、フラッシングユニット18とキャッピングユニット19とワイピングユニット20を含む。
【0027】
フラッシングユニット18は、吐出ヘッド14内の流路を洗浄するとき、吐出ヘッド14から吐出する液滴を受ける装置である。吐出ヘッド14内に固形物が混入した場合に、固形物を吐出ヘッド14から排除するため、吐出ヘッド14から液滴を吐出して洗浄する。フラッシングユニット18は、吐出された液滴を捕集する機能を有している。
【0028】
キャッピングユニット19は、主に、吐出ヘッド14に蓋をするとともに吐出ヘッド14内の機能液を吸引する装置である。吐出ヘッド14から吐出する液滴は、揮発性を有する場合があり、吐出ヘッド14に内在する機能液の溶媒がノズルから揮発すると、機能液の粘度が変わり、ノズルが目詰まりすることがある。キャッピングユニット19は、吐出ヘッド14に蓋をすることで、ノズルが目詰まりすることを防止するようになっている。また、吐出ヘッド14に蓋をした状態で、当該蓋内に負圧をかけ、吐出ヘッド14内の機能液を吸引することにより、吐出ヘッド14内の気泡や異物等を取り除くことができる。
【0029】
ワイピングユニット20は、吐出ヘッド14のノズルが配置されているノズルプレートを拭く装置である。ノズルプレートは、吐出ヘッド14において、ワーク7と対向する側の面に配置されている部材である。ノズルプレートに液滴が付着しているとき、ノズルプレートに付着している液滴とワーク7とが接触して、ワーク7において、予定外の場所に液滴が付着してしまうことがある。ワイピングユニット20は、ノズルプレートを拭くことにより、予定外の場所に液滴が付着してしまうこと防止することができる。
【0030】
保守用基台15と基台2との間には、重量測定装置22が配置されている。重量測定装置22には、電子天秤が2台設置され、各電子天秤には、受け皿が配置されている。液滴が、吐出ヘッド14から受け皿に吐出され、電子天秤が液滴の重量を測定するようになっている。受け皿は、スポンジ状の吸収体を備え、吐出される液滴が、跳ねて、受け皿の外に出ないようになっている。電子天秤は、吐出ヘッド14が液滴を吐出する前後で、受け皿の重量を測定し、吐出前後の受け皿の重量の差分を測定している。
【0031】
キャリッジ12が、案内レール11に沿って、X方向に移動すると、吐出ヘッド14が、ヘッドメンテナンス部21や重量測定装置22やワーク7と対向する場所に移動することができるようになっている。
【0032】
(吐出ヘッドの構成)
図2は、吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図2に示すように、吐出ヘッド14は、ノズルプレート30を備え、ノズルプレート30には、ノズル31が形成されている。ノズルプレート30の上側であってノズル31と相対する位置には、ノズル31と連通するキャビティ32が形成されている。そして、吐出ヘッド14のキャビティ32には、収容タンク10に貯留されている機能液33が供給される。
【0033】
キャビティ32の上側には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ32内の容積を拡大縮小する振動板34と、上下方向に伸縮して振動板34を振動させる加圧手段としての圧電素子35が配設されている。圧電素子35が上下方向に伸縮して振動板34を振動し、振動板34がキャビティ32内の容積を拡大縮小してキャビティ32を加圧する。それにより、キャビティ32内の圧力が変動し、キャビティ32内に供給された機能液33は、ノズル31を通って吐出されるようになっている。
【0034】
そして、吐出ヘッド14が圧電素子35を制御駆動するための駆動信号を受けると、圧電素子35が伸張して、振動板34がキャビティ32内の容積を縮小する。その結果、吐出ヘッド14のノズル31からは、縮小した容積分の機能液33が液滴36として吐出される。なお、本実施形態では、加圧手段として、縦振動型の圧電素子35を用いたが、特に、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いてもよい。また、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0035】
(制御部の構成)
次に、制御部の構成について説明する。液滴吐出装置1は、制御部38を備えている。上記説明した各部材を制御するものであり、例えば、制御部38は、パターンの描画に対応する対応ノズルのデータを含む第1描画データに基づいて、ワーク上にパターンを描画させ、描画させたパターンに欠け部分が発生した場合に、パターンの欠け部分に対応した対応ノズルのうちの不良ノズル以外のノズルを用いて、欠け部分を描画させるものである。すなわち、描画したパターンに欠け部分が発生した場合に、その欠け部分を再描画して修理させるものである。以下、具体的な構成について説明する。
【0036】
図3は、制御部の構成を示すブロック図である。制御部38は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132、記憶手段としてのROM133,RAM134および入出力インターフェイス131からなり、CPU132が入出力インターフェイス131を介して入力される各種信号を、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェイス131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。CPU132は、例えば、ROM133に記憶されたプログラムソフトに従って、ワーク7の表面の所定位置に機能液を液滴吐出するための制御を行うものである。
【0037】
駆動部140は、ヘッドドライバー141、モータードライバー142、メンテドライバー145、カメラドライバー146等から構成されている。モータードライバー142は、指令部130の制御信号により、X軸モーターやY軸モーターを制御し、ワーク7や吐出ヘッド14の移動を制御する。また、メンテドライバー145は、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20のそれぞれを制御する。ヘッドドライバー141は、吐出ヘッド14を制御し、モータードライバー142の制御と同調して、ワーク7上に所定位置に吐出を行う。カメラドライバー146は、カメラ29を制御する。
【0038】
(液滴吐出装置の制御方法)
次に、液滴吐出装置の制御方法について説明する。図4は、液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャートである。本実施形態における液滴吐出装置1の制御方法は、吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出して、ワーク上にパターンを描画する液滴吐出装置の制御方法であって、パターンの描画に対応する対応ノズルのデータを含む第1描画データに基づいて、ワーク上にパターンを描画させる描画ステップと、描画させたパターンに欠け部分が発生した場合に、パターンの欠け部分に対応した対応ノズルのうちの不良ノズル以外のノズルを用いて、欠け部分を描画させる再描画ステップと、を含むものである。以下、具体的に説明する。
【0039】
まず、ステップS1では、ワーク7上にパターンPを描画させる。具体的には、第1描画データに基づいて、各種モーターを駆動させるとともに、吐出ヘッド14を駆動させて、ワーク7上にパターンPを描画させる。図5は、第1描画データを説明する説明図である。第1描画データには、描画するパターンPのデータやパターンPに対応する対応ノズル31aのデータが含まれる。なお、本実施形態では、ワーク7の移動方向と吐出ヘッド14のノズル31の配列方向とが直交するように、ワーク7と吐出ヘッド14とを相対的に移動(走査)させ、一回の走査でパターンPを描画する場合について説明する。図5に示すように、パターンPは、例えば、「ABCDEFGH」,「SAMPLE」,「12345」であり、これらのパターンPがデータ化されて第1描画データとして生成される。さらに、ノズル31のうち、パターンPの描画に対応して使用されるものを対応ノズル31aとされ、ノズルデータとして第1描画データとして生成される。そして、第1描画データに基づいて、ワーク7上にパターンPが描画される。
【0040】
ステップS2では、描画されたパターンの画像を取得させる。具体的には、カメラ29を駆動させ、パターンPの画像を撮像し、画像データを取得する。
【0041】
ステップS3では、第1描画データのパターンデータと取得された画像データとを比較して、パターンPに欠け部分があるか否かを判断させる。双方のデータの比較では、取得した画像データの一部を選択して第1描画データのパターンデータと比較してもよい。例えば、図6に示すように、インクジェット法の特性を踏まえ、X方向(ノズル31の配列方向)に配置された矩形の検査領域IPを任意に設定する。この場合、特に、X方向において対応ノズル31a数が多い(描画面積が広い)部分を選択するとよい。また、検査領域IPのX方向の幅は、パターンPの幅を網羅する長さに設定する。また、検査領域IPのY方向の幅は、液滴36がワーク7上に着弾した際の着弾径の長さを目安に設定すればよい。また、検査領域IPの数は、1箇所或いは複数個所に配置することができる。このようにすれば、取得された全体の画像データを比較するのに比べ、比較処理時間の短縮を図ることができる。そして、パターンPに欠け部分がある場合(YES)には、ステップS4に移行する。一方、パターンPに欠け部分が無い場合(NO)には、終了する。なお、本ステップS3において、パターンPの欠け部分が有る場合とは、パターンPの外観に異常が発生した(検査不合格)場合であり、パターンPの欠け部分が無い場合とは、パターンPの外観に異常が無い(検査合格)場合である。
【0042】
ステップS4では、第2描画データの生成の可否を判断させる。図7は、第2描画データの生成方法を示す説明図である。第2描画データとは、第1描画データとは異なる新たな描画データである。第2描画データの生成の可否を判断するため、まず、不良ノズル31bを特定する。図7(a)は、パターンPの欠け部分Lと不良ノズル31bとの対応を示している。同図(a)に示すように、欠け部分Lと走査方向(Y方向)に重複する部分が不良ノズル31bとして特定される。当該不良ノズル31bは、例えば、機能液の固化物や異物等に起因するものと想定される。
【0043】
次いで、パターンPのデータとパターンPの描画に対応する不良ノズル31b以外のノズル31のデータを含む第2描画データの生成を試みる。具体的には、図7(b)に示すように、不良ノズル31bが、パターンPに対応しない位置にオフセットさせ、新たな対応ノズル31a’を用いて第2描画データの生成を試みる。そして、生成可能(YES)の場合には、ステップS5に移行し、生成不可(NO)の場合には、ステップS7に移行する。すなわち、本ステップS4では、第2描画データの生成の可否に応じて、吐出ヘッドのメンテナンスの実施可否を決定させる。
【0044】
ステップS5では、第2描画データを生成する。次いで、ステップS6では、再描画(1)させる。すなわち、不良ノズル31b以外の対応ノズル31aを用いて、欠け部分Lを再描画させる。本ステップS6では、生成された第2描画データに基づいて再描画が行われる。当該再描画により、パターンPの欠け部分Lに機能液が付着し、パターンPが修正される。なお、再描画の際には、ノズル31のうち、欠け部分Lに対応する対応ノズル31a’のみを駆動させればよい。
【0045】
一方、ステップS7では、吐出ヘッド14のメンテナンスを行う。例えば、キャッピングユニット19を駆動させ、吐出ヘッド14内の機能液を強制的に吸引して、ノズル31に固着した異物や気泡等を除去する。次いで、ステップS8では、再描画(2)させる。本ステップS8では、第1描画データに基づいて再描画が行われる。当該再描画により、パターンPの欠け部分Lに機能液が付着し、パターンPが修正される。なお、再描画の際には、ノズル31のうち、欠け部分Lに対応する対応ノズル31aのみを駆動させればよい。
【0046】
従って、上記の実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0047】
描画したパターンPに欠け部分Lが検知された場合に、不良ノズル31b以外の対応ノズル31a’を使用して欠け部分Lに再描画することにより、パターンPが修正される。これにより、パターンPの欠け等の不良が無くなり、歩留りを向上させることができる。
【0048】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0049】
(変形例1)上記の実施形態では、図4のステップS4において、第2描画データの生成が不可の場合に、吐出ヘッドをメンテナンスさせたが、これに限定されない。例えば、不良ノズルの数が所定数以上の場合に、吐出ヘッド14をメンテナンスさせてもよい。このようにしても、効率よく再描画処理を行わせることができる。
【0050】
(変形例2)上記の実施形態では、図4のステップS4において、第2描画データの生成が可能であれば、ステップS5に移行して第2描画データを生成したが、これに限定されない。例えば、第2描画データの生成が可能であっても、第2描画データにおける描画の際の吐出ヘッド14の走査数が、第1描画データにおける吐出ヘッド14の走査数よりも多くなる場合には、吐出ヘッド14をメンテナンスさせてもよい。すなわち、ステップS7に移行させてもよい。このようにすれば、描画処理時間の長期化を防止させることができる。
【0051】
(変形例3)上記実施形態の液滴吐出装置1では、UVインクの塗布、カラーフィルター用の材料塗布、有機EL用の材料塗布、基板配線用の材料塗布等に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…液滴吐出装置、14…吐出ヘッド、29…カメラ、31…ノズル、31a、31a’…対応ノズル、31b…不良ノズル、38…制御部、P…パターン、L…欠け部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出して、ワーク上にパターンを描画する液滴吐出装置であって、
前記パターンの描画に対応する対応ノズルのデータを含む第1描画データに基づいて、前記ワーク上に前記パターンを描画させ、描画させた前記パターンに欠け部分が発生した場合に、前記パターンの前記欠け部分に対応した前記対応ノズルのうちの不良ノズル以外の前記ノズルを用いて、前記欠け部分を描画させる制御部を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記不良ノズル以外の前記対応ノズルを用いて、前記欠け部分を再描画させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記パターンのデータと前記パターンの描画に対応する前記不良ノズル以外の前記ノズルのデータを含む第2描画データを生成させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記第2描画データの生成の可否に応じて、前記吐出ヘッドのメンテナンスの実施可否を決定させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出して、ワーク上にパターンを描画する液滴吐出装置の制御方法であって、
前記パターンの描画に対応する対応ノズルのデータを含む第1描画データに基づいて、前記ワーク上に前記パターンを描画させる描画ステップと、
描画させた前記パターンに欠け部分が発生した場合に、
前記パターンの前記欠け部分に対応した前記対応ノズルのうちの不良ノズル以外の前記ノズルを用いて、前記欠け部分を描画させる再描画ステップと、を含むことを特徴とする液滴吐出装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−131145(P2011−131145A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291947(P2009−291947)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】