説明

液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法

【課題】吸引時における機能液の粘度を下げ、機能液の吸引流速を高めて、吐出ヘッド内の気泡や異物等を除去する。
【解決手段】機能液を吐出する吐出部と、前記吐出部内の前記機能液を吸引する吸引部と、前記吸引部の内部を洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液貯留部と、前記吸引部に対して、前記洗浄液貯留部から前記洗浄液を吸引させた後に、前記吐出部から前記機能液を吸引させる制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吐出ヘッドから機能液を液滴として吐出して、所望のパターンを形成する液滴吐出装置が知られている。当該液滴吐出装置では、吐出ヘッドの内部の気泡や異物等を除去するため、吐出ヘッド内の機能液を強制的に吸引する吸引装置を備えている。さらに、吸引時における機能液の粘度を低下させ、吸引性能を維持するため、吸引装置を構成する吸引パイプに機能液を加熱する加熱手段を設けている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−99414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸引パイプを加熱しながら機能液を吸引すると、機能液を組成する成分が加熱によって固化しやすくなり、残留物として吸引パイプ内に付着して、吸引性能が低下してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、機能液を吐出する吐出部と、前記吐出部内の前記機能液を吸引する吸引部と、前記吸引部の内部を洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液貯留部と、前記吸引部に対して、前記洗浄液貯留部から前記洗浄液を吸引させた後に、前記吐出部から前記機能液を吸引させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、吸引部の内部に洗浄液が吸引されると、例えば、吸引部に残留した機能液に含まれる成分の固形物等が除去される。そうすると、その後、吸引される機能液の吸引速度が高まり、容易に吐出ヘッド内の気泡や異物等を除去することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置では、前記洗浄液貯留部に、前記洗浄液を加温する洗浄液加温部が設けられ、前記制御部では、前記吸引部に対して、前記洗浄液貯留部から加温された前記洗浄液を吸引させた後に、前記吐出部から前記機能液を吸引させることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、加温された洗浄液の吸引によって吸引部の内部の温度が上昇する。すると、吸引部の温度の上昇によって吸引される機能液の温度が上昇して粘度が低下する。従って、機能液を吸引する吸引速度が高まり、容易に吐出ヘッド内の気泡や異物等を除去することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記吸引部の内部に、加温された前記洗浄液を充填させて放置した後、前記洗浄液を吸引させることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、まず、吸引部の内部に加温された洗浄液が充填されて放置される。この間、吸引部の内部が温まり温度が上昇し、液体を吸引した後も、加温効果が持続する。従って、効率よく吸引部の内部を暖め、機能液の粘度を低下させることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記吸引部に対して、前記吐出部から前記機能液を吸引させた後で、前記洗浄液貯留部から前記洗浄液を吸引させることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、機能液を吸引した場合、吸引部に機能液に含まれる成分が残留する場合がある。このような残留物は、吸引性能を低下させる原因となる。そこで、機能液を吸引した後に、洗浄液を吸引することにより、残留物等が除去され、吸引性能を安定的に維持することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記吸引部に吸引された前記機能液を加温する機能液加温部を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、加温部によって機能液が流動する部分が加温される。そして、加温された部分の温度の上昇によって吸引される機能液の粘度が低下する。従って、機能液の吸引する吸引速度が高まり、容易に吐出ヘッド内の気泡や異物等を除去することができる。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかる液滴吐出装置の制御方法は、機能液を吐出する吐出部と、前記吐出部内の前記機能液を吸引する吸引部と、前記吸引部の内部を洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液貯留部と、を備えた液滴吐出装置の制御方法であって、前記吸引部に対して、前記洗浄液貯留部から前記洗浄液を吸引させた後で、前記吐出部から前記機能液を吸引させることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、吸引部の内部に洗浄液が吸引されると、例えば、吸引部に残留した機能液に含まれる成分の固形物等が除去される。そうすると、その後、吸引される機能液の吸引速度が高まり、容易に吐出ヘッド内の気泡や異物等を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図2】吐出部としての吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図3】洗浄液貯留部の構成を示す模式図。
【図4】吸引部としてのキャッピングユニットの構成を示す模式図。
【図5】制御部の構成を示す電気制御ブロック図。
【図6】液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮小を異ならせて図示している。
【0020】
(液滴吐出装置の構成)
まず、液滴吐出装置の構成について説明する。図1は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。液滴吐出装置1は、機能液を吐出する吐出部としての吐出ヘッド14と、吐出ヘッド14内の機能液を吸引する吸引部としてのキャッピングユニット19と、キャッピングユニット19の内部を洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液貯留部70と、キャッピングユニット19に対して、洗浄液貯留部70から洗浄液を吸引させた後に、吐出ヘッド14から機能液を吸引させる制御部等を備えている。以下、さらに詳細な構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、液滴吐出装置1には、直方体形状に形成される基台2が備えられている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY方向とし、同Y方向と直交する方向をX方向とする。基台2の上面2aには、Y方向に延びる一対の案内レール3a,3bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その基台2の上側には、一対の案内レール3a,3bに対応する図示しない直動機構を備えた走査手段を構成するテーブル及びワーク移動テーブルとしてのステージ4が取り付けられている。そのステージ4の直動機構は、例えば案内レール3a,3bに沿ってY方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するY軸モーター(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸モーターに入力されると、Y軸モーターが正転又は逆転して、ステージ4が同ステップ数に相当する分だけ、Y軸方向に沿って所定の速度で往動又は、復動する(Y方向に走査する)ようになっている。
【0022】
さらに、基台2の上面2aには、案内レール3a,3bと平行に主走査位置検出装置5が配置され、ステージ4の位置が計測できるようになっている。
【0023】
そのステージ4の上面には、載置面6が形成され、その載置面6には、図示しない吸引式の基材チャック機構が設けられている。そして、載置面6にワーク7を載置すると、基材チャック機構によって、そのワーク7が載置面6の所定位置に位置決め固定されるようになっている。
【0024】
基台2のX方向両側には、一対の支持台8a,8bが立設され、その一対の支持台8a,8bには、X方向に延びる案内部材9が架設されている。案内部材9は、ステージ4の幅よりも長く形成され、その一端が支持台8a側に張り出すように配置されている。案内部材9の上側には、機能液を収容する機能液収容タンク10及び洗浄液を収容する洗浄液収容タンク71(洗浄液貯留部70の一部)が配設されている。一方、その案内部材9の下側には、X方向に延びる案内レール11がX方向全幅にわたり凸設されている。
【0025】
案内レール11に沿って移動可能に配置されるキャリッジ12は、略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ12の直動機構は、例えば案内レール11に沿ってX方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するX軸モーター(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸モーターに入力すると、X軸モーターが正転又は逆転して、キャリッジ12が同ステップ数に相当する分だけX方向に沿って往動又は復動する(X方向に走査する)。案内部材9とキャリッジ12との間には、副走査位置検出装置13が配置され、キャリッジ12の位置が計測できるようになっている。そして、キャリッジ12(ステージ4側の面)には、吐出ヘッド14が凸設されるとともに、洗浄液供給部72(洗浄液貯留部70の一部)が併設されている。そして、機能液収容タンク10は吐出ヘッド14に接続され、機能液収容タンク10に収容された機能液が吐出ヘッド14に供給される。一方、洗浄液収容タンク71は洗浄液供給部72に接続され、洗浄液収容タンク71に収容された洗浄液が洗浄液供給部72に供給される。
【0026】
基台2の片側の一方(図中X方向の逆方向)には、保守用基台15が配置されている。保守用基台15の上面15aには、Y方向に延びる一対の案内レール16a,16bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その保守用基台15の上側には、一対の案内レール16a,16bに対応する図示しない直動機構を備えた移動手段を構成する保守ステージ17が取り付けられている。その保守ステージ17の直動機構は、例えばステージ4と同様の直動機構であり、Y方向に沿って往動又は、復動するようになっている。
【0027】
保守ステージ17の上には、フラッシングユニット18、吸引部としてのキャッピングユニット19、ワイピングユニット20が配置されている。
【0028】
フラッシングユニット18は、吐出ヘッド14内の流路を洗浄するとき、吐出ヘッド14から吐出する液滴を受ける装置である。吐出ヘッド14内に固形物が混入した場合に、固形物を吐出ヘッド14から排除するため、吐出ヘッド14から液滴を吐出して洗浄する。この液滴を受ける機能をフラッシングユニット18が行う。
【0029】
キャッピングユニット19は、主に、吐出ヘッド14に蓋をするとともに吐出ヘッド14内の機能液を吸引する装置である。吐出ヘッド14から吐出する液滴は、揮発性を有する場合があり、吐出ヘッド14に内在する機能液の溶媒がノズルから揮発すると、機能液の粘度が変わり、ノズルが目詰まりすることがある。キャッピングユニット19は、吐出ヘッド14に蓋をすることで、ノズルが目詰まりすることを防止するようになっている。また、吐出ヘッド14に蓋をした状態で、当該蓋内に負圧をかけ、吐出ヘッド14内の機能液を吸引することにより、吐出ヘッド14内の気泡や異物等を取り除くことができる。なお、キャッピングユニット19の詳細な構成については後述する。
【0030】
ワイピングユニット20は、吐出ヘッド14のノズルが配置されているノズルプレートを拭く装置である。ノズルプレートは、吐出ヘッド14において、ワーク7と対向する側の面に配置されている部材である。ノズルプレートに液滴が付着しているとき、ノズルプレートに付着している液滴とワーク7とが接触して、ワーク7において、予定外の場所に液滴が付着してしまうことがある。ワイピングユニット20は、ノズルプレートを拭くことにより、ワーク7において、予定外の場所に液滴が付着してしまうことを防止している。
【0031】
保守用基台15と基台2との間には、重量測定装置22が配置されている。重量測定装置22には、電子天秤が2台設置され、各電子天秤には、受け皿が配置されている。液滴が、吐出ヘッド14から受け皿に吐出され、電子天秤が液滴の重量を測定するようになっている。受け皿は、スポンジ状の吸収体を備え、吐出される液滴が、跳ねて、受け皿の外に出ないようになっている。電子天秤は、吐出ヘッド14が液滴を吐出する前後で、受け皿の重量を測定し、吐出前後の受け皿の重量の差分を測定している。
【0032】
キャリッジ12が、案内レール11に沿って、X方向に移動することにより、吐出ヘッド14は、ヘッドクリーニング部21、重量測定装置22、ワーク7と対向する場所に移動し、液滴を吐出することができるようになっている。ヘッドクリーニング部21は、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20を含み、保守ステージ17が、案内レール16a,16bに沿って移動することにより、吐出ヘッド14と対向する場所に、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20のいずれか一つの装置が配置されるようになっている。
【0033】
次に、吐出ヘッド14の構成について説明する。図2は、吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図2に示すように、吐出ヘッド14は、ノズルプレート30を備え、ノズルプレート30には、ノズル31が形成されている。ノズルプレート30の上側であってノズル31と相対する位置には、ノズル31と連通するキャビティ32が形成されている。そして、吐出ヘッド14のキャビティ32には、機能液収容タンク10に貯留されている機能液33が供給される。
【0034】
キャビティ32の上側には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ32内の容積を拡大縮小する振動板34と、上下方向に伸縮して振動板34を振動させる加圧手段としての圧電素子35が配設されている。圧電素子35が上下方向に伸縮して振動板34を振動し、振動板34がキャビティ32内の容積を拡大縮小してキャビティ32を加圧する。それにより、キャビティ32内の圧力が変動し、キャビティ32内に供給された機能液33は、ノズル31を通って吐出されるようになっている。
【0035】
そして、吐出ヘッド14が圧電素子35を制御駆動するための駆動信号を受けると、圧電素子35が伸張して、振動板34がキャビティ32内の容積を縮小する。その結果、吐出ヘッド14のノズル31からは、縮小した容積分の機能液33が液滴36として吐出される。なお、本実施形態では、加圧手段として、縦振動型の圧電素子35を用いたが、特に、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いてもよい。また、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0036】
次に、洗浄液貯留部70の構成について説明する。図3は、洗浄液貯留部の構成を示す模式図である。洗浄液貯留部70は、洗浄液を収容する洗浄液収容タンク71と、洗浄液を外部に供給する洗浄液供給部72と、洗浄液収容タンク71と洗浄液供給部72とを接続するチューブ73とを有し、チューブ73の途中には開閉弁74が設けられている。そして、開閉弁74を開弁すると洗浄液収容タンク71から洗浄液供給部72側に洗浄液が導入される。一方、開閉弁74を閉弁すると洗浄液収容タンク71から洗浄液供給部72側への洗浄液の導入が停止される。洗浄液供給部72は、洗浄液を貯留する容器72aと、貯留した洗浄液を外部に供給する供給部72bを備え、供給部72bには、複数のノズル孔72cが設けられている。さらに、洗浄液貯留部70には、洗浄液を加温する洗浄液加温部が設けられている。本実施形態では、チューブ73に洗浄液加温部としての第2ヒーター部75が配置されている。そして、第2ヒーター部75を駆動させることにより、洗浄液収容タンク71から洗浄液供給部72に導入される洗浄液が加温される。なお、洗浄液加温部の配置位置は、チューブ73のみに限定されず、例えば、洗浄液収容タンク71や洗浄液供給部72等に配置してもよい。
【0037】
ここで、洗浄液は、液滴吐出装置1において用いる機能液に応じて適宜設定される。例えば、機能液としてUVインクを用いる場合には、洗浄液としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、グリコールエーテル類等を用いることができる。また、機能液として水系のAgインクを用いる場合には、洗浄液として純水を用いることができる。
【0038】
次に、キャッピングユニットの構成について説明する。図4は、キャッピングユニットの構成を示す模式図である。キャッピングユニット19は、吐出ヘッド14のノズルプレート30の面や洗浄液供給部72の供給部72bの面を覆うキャップ部60と、吸引した機能液や洗浄液を回収する回収タンク64と、キャップ部60と回収タンク64とを接続するチューブ63と、チューブ63の途中に設けられた吸引ポンプ62等を備えている。そして、例えば、吐出ヘッド14のノズルプレート30の面をキャップ部60で覆い、吸引ポンプ62を駆動させることにより、キャップ部60の内部が負圧となり、吐出ヘッド14内の機能液がキャップ部60側に吸引される。そして、吸引された機能液はチューブ63を介して回収タンク64に回収される。また、キャッピングユニット19には、吸引される機能液を加温する機能液加温部が設けられている。本実施形態では、チューブ63に機能液加温部としての第1ヒーター部69が配置されている。そして、第1ヒーター部69を駆動させることにより、チューブ63が加温されるため、吸引される機能液が加温され、機能液の粘度が低下する。なお、機能液加温部の配置位置は、チューブ63のみに限定されず、例えば、キャップ部60等に配置してもよい。また、キャップ部60とチューブ63の双方に配置してもよい。
【0039】
次に、制御部の構成について説明する。制御部は、上記説明した各部材を制御するものであり、例えば、キャッピングユニット19に、洗浄液供給部72から洗浄液を吸引させた後に、吐出ヘッド14から機能液を吸引させたり、第1または第2ヒーター部69,75を駆動させ、キャッピングユニット19に、加温された洗浄液を吸引させたり、キャッピングユニット19の内部において加温された洗浄液を充填させて放置した後、洗浄液を吸引させたりする。以下、詳細な構成について説明する。
【0040】
図5は、制御部の構成を示すブロック図である。制御部100は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132,記憶手段としてのROM133,RAM134および入出力インターフェース131からなり、CPU132が入出力インターフェース131を介して入力される各種信号を、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェース131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。
【0041】
駆動部140は、ヘッドドライバー141、モータードライバー142、開閉弁ドライバー144、メンテドライバー145、第1ヒータードライバー146及び第2ヒータードライバー147等から構成されている。モータードライバー142は、指令部130の制御信号により、X軸モーターやY軸モーターを制御し、ワーク7や吐出ヘッド14の移動を制御する。また、メンテドライバー145を制御して、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20のそれぞれを制御する。ヘッドドライバー141は、吐出ヘッド14を制御し、モータードライバー142の制御と同調して、ワーク7上に所定位置に吐出を行う。開閉弁ドライバー144は、洗浄液貯留部70の開閉弁74を制御する。そして、第1ヒータードライバー146は、第1ヒーター部69を制御し、第2ヒータードライバー147は、第2ヒーター部75を制御する。
【0042】
(液滴吐出装置の制御方法)
次に、液滴吐出装置の制御方法について説明する。図6は、液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態にかかる液滴吐出装置の制御方法は、機能液を吐出する吐出部としての吐出ヘッド14と、吐出ヘッド14内の機能液を吸引する吸引部としてのキャッピングユニット19と、キャッピングユニット19の内部を洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液貯留部70と、を備えた液滴吐出装置の制御方法であって、キャッピングユニット19に対して、洗浄液貯留部70から洗浄液を吸引させた後で、吐出ヘッド14から機能液を吸引させるものである。以下、さらに詳細に説明する。
【0043】
まず、ステップS1では、第1ヒーター部69を駆動させる。次いで、ステップS2では、第2ヒーター部75を駆動させる。なお、ステップS1及びステップS2を同時期に実施してもよい。これにより、各チューブ63,73の温度が上昇する。
【0044】
ステップS3では、洗浄液を吸引させ、キャッピングユニット19内を加温された洗浄液で充填させる。具体的には、キャッピングユニット19のキャップ部60で洗浄液供給部72の供給部72bを覆い、吸引ポンプ62を駆動させる。また、同時期に、開閉弁74を開弁させる。これにより、洗浄液が洗浄液収容タンク71からチューブ73を介して洗浄液供給部72に導入される。なお、洗浄液の導入過程において、洗浄液はチューブ73に設けられた第2ヒーター部75によって加温されるため、加温された洗浄液が洗浄液供給部72に導入される。そして、洗浄液供給部72のノズル孔72cからキャップ部60側に洗浄液が吸引される。そして、例えば、チューブ63において洗浄液で充填されるタイミングで吸引ポンプ62の駆動を停止させ、チューブ63内を加温された洗浄液で充填させる。また、第1ヒーター部69の駆動により、充填された洗浄液の加温状態が維持される。つまり、本ステップS3における洗浄液の吸引及び充填させることにより、チューブ63内の温度を十分に加温させることができる。
【0045】
ステップS4では、機能液を吸引させる。具体的には、キャッピングユニット19のキャップ部60で吐出ヘッド14のノズルプレート30を覆い、吸引ポンプ62を駆動させる。これにより、吐出ヘッド14内の機能液が吸引され、吸引された機能液は、チューブ63を介して回収タンク64に回収される。
【0046】
ステップS5では、洗浄液を吸引させる。具体的には、キャッピングユニット19のキャップ部60で洗浄液供給部72の供給部72bを覆い、吸引ポンプ62を駆動させる。これにより、吸引された洗浄液は、チューブ63を介して回収タンク64に回収される。すなわち、本ステップS5における洗浄液の吸引及は、本来の洗浄機能であり、機能液に含まれる成分の固形化した残留物を除去し、キャッピングユニット19の機能液等の吸引性能を維持・確保するために行われる。
【0047】
ステップS6では、第1ヒーター部69の駆動を停止させる。次いで、ステップS7では、第2ヒーター部75の駆動を停止させる。なお、ステップS6及びステップS7を同時期に実施してもよい。このように、機能液を吸引する際に第1及び第2ヒーター部69,75を駆動させ、機能液の吸引が終了次第、第1及び第2ヒーター部69,75の駆動を停止させることにより、電力を削減することができる。
【0048】
従って、上記の実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0049】
(1)第2ヒーター部75を駆動させ、加温させた洗浄液を吸引させて、キャッピングユニット19のチューブ63を洗浄液で充填させた。これにより、チューブ63内の温度が上昇する。その後、機能液を吸引した。すると、チューブ63内の温度が加温された状態であるため、吸引された機能液の温度が上昇して、機能液の粘度が低下する。従って、機能液の吸引する吸引速度が高まり、容易に吐出ヘッド内の気泡や異物等を除去することができる。
【0050】
(2)さらに、第1ヒーター部69を駆動させるとともに、機能液を吸引させた。これにより、さらに、チューブ63内の温度が上昇するため、機能液を粘度を低下させることができる。
【0051】
(3)機能液を吸引させた後、再度洗浄液を吸引させた。これにより、機能液の成分の一部が固形化した残留物等が除去され、吸引性能を安定的に維持することができる。
【0052】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0053】
(変形例1)上記の実施形態では、洗浄液と機能液とを別々に吸引したが、これに限定されない。例えば、洗浄液供給部72から洗浄液とともに、吐出ヘッド14から機能液を吸引させてもよい。この場合、吐出ヘッド14と洗浄液供給部72を覆う大きさのキャップ部60を構成すればよい。或いは、吐出ヘッド14と洗浄液供給部72のそれぞれにキャップ部60を用意するとともに、チューブ63を各キャップ部60に分岐させればよい。このようにすれば、機能液は、希釈液によって希釈され、粘度が低下する。従って、機能液の吸引する吸引速度が高まり、容易に吐出ヘッド内の気泡や異物等を除去することができる。
【0054】
(変形例2)上記の実施形態では、洗浄液をチューブ63内部で充填させて放置させた後、機能液を吸引させたが、これに限定されない。洗浄液を吸引させた後に、機能液を吸引させてもよい。このようにしても、チューブ63内は加温されるため、機能液の粘度を低下させることができる。
【0055】
(変形例3)上記の実施形態の液滴吐出装置1では、機能液としてのカラーフィルター用の機能液、有機EL用の機能液、UV硬化性の機能液、基板配線用の機能液等に適用することができる。なお、この場合において、各機能液を洗浄する洗浄液を適宜用いればよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…液滴吐出装置、14…吐出部としての吐出ヘッド、19…吸引部としてのキャッピングユニット、60…キャップ部、62…吸引ポンプ、63…チューブ、64…回収タンク、69…機能液加温部としての第1ヒーター部、70…洗浄液貯留部、71…洗浄液収容タンク、72a…容器、72b…供給部、72c…ノズル孔、73…チューブ、74…開閉弁、75…洗浄液加温部としての第2ヒーター部、100…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能液を吐出する吐出部と、
前記吐出部内の前記機能液を吸引する吸引部と、
前記吸引部の内部を洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液貯留部と、
前記吸引部に対して、前記洗浄液貯留部から前記洗浄液を吸引させた後に、前記吐出部から前記機能液を吸引させる制御部と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記洗浄液貯留部に、前記洗浄液を加温する洗浄液加温部が設けられ、
前記制御部では、
前記吸引部に対して、前記洗浄液貯留部から加温された前記洗浄液を吸引させた後に、前記吐出部から前記機能液を吸引させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記吸引部の内部に、加温された前記洗浄液を充填させて放置した後、前記洗浄液を吸引させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記吸引部に対して、前記吐出部から前記機能液を吸引させた後で、前記洗浄液貯留部から前記洗浄液を吸引させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記吸引部に吸引された前記機能液を加温する機能液加温部を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
機能液を吐出する吐出部と、前記吐出部内の前記機能液を吸引する吸引部と、前記吸引部の内部を洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液貯留部と、を備えた液滴吐出装置の制御方法であって、
前記吸引部に対して、前記洗浄液貯留部から前記洗浄液を吸引させた後で、前記吐出部から前記機能液を吸引させることを特徴とする液滴吐出装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131458(P2011−131458A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291948(P2009−291948)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】