説明

液滴吐出装置および液滴吐出装置の洗浄方法

【課題】カラーフィルター用インクの流路における汚れを好適に解消できる液滴吐出装置およびその洗浄方法を提供すること。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置は、液滴吐出方式によるカラーフィルターの製造に用いられ、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むカラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出装置であって、インク貯留槽と、液滴吐出ヘッドと、インク貯留槽から液滴吐出ヘッドへインクを送液するためのインク搬送路と、洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽と、洗浄液貯留槽から液滴吐出ヘッドへ洗浄液を送液するための洗浄液搬送路と、洗浄液中に気泡を混入させる気泡混入手段と、を有することを特徴とする。このような液滴吐出装置では、気泡を混入させた洗浄液をインクの流路に流すことにより、インクの流路を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置および液滴吐出装置の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造の過程で形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。その結果、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
【0003】
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法では、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
このようなカラーフィルターの製造においては、通常、光の三原色(赤色、緑色、青色)に対応する3色のインク(カラーフィルター用インク)が用いられる。
【0004】
ところで、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行うため、大量の液滴を長時間にわたって連続で吐出することが求められる。また、カラーフィルターの製造に用いるインク(産業用)では、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて、一般に、高粘度で、固形分の含有率が高いため、インクジェットヘッドの吐出部(ノズル)や吐出面に加え、インクの流路などにもインク(固形分)が残存しやすい。この結果、継続して吐出した場合、インクに含まれる成分が液滴吐出装置のインクの流路に付着し、液滴吐出ヘッドへのインクの供給が不安定になる。また、カラーフィルターの製造に用いるインク(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて組成に制限が多く、一旦析出した固形分の再分散性、再溶解性等の特性が十分ではなく、顔料粒子等の固形分が析出、あるいは凝集して、液滴吐出ヘッドの吐出部の目詰まりを起こしやすく、液滴の飛行曲がりによる混色や吐出の不安定性による液滴重量の変化を頻発させる。このような場合、カラーフィルター用インクを所望の部位に、所望の量だけ付与することが困難となり、得られるカラーフィルターを用いて表示される画像において、色むら、濃度むら等を生じてしまうという問題があった。
【0005】
このため、例えば、液滴吐出装置のカラーフィルター製造用の基板のない部分で液滴を吐出することによる行う方法(つば吐き)により、液滴吐出ヘッドやインクの流路に存在する凝集物、付着物等を取り除き、インク等による汚れ、目詰まりの解消を行う。しかしながら、このような方法はプロセス時間とインクの消費を伴う上、この方法のみでは、十分に凝集物、付着物を取り除くことができず、再び液滴の吐出を行うと比較的短期間で、液滴の吐出量が不安定になったり、吐出部が再び目詰まりする問題があった。このような場合、液滴吐出ヘッドや他の部材を頻繁に交換する必要があり、カラーフィルターの生産性を極端に落とすものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−372613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、カラーフィルター用インクの流路における汚れを好適に解消できる液滴吐出装置およびその洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴吐出装置は、液滴吐出方式によるカラーフィルターの製造に用いられ、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むカラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出装置であって、
前記インクを貯留するインク貯留槽と、
前記インク貯留槽から送液された前記インクを吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記インク貯留槽から前記液滴吐出ヘッドへ前記インクを送液するためのインク搬送路と、
当該液滴吐出装置の洗浄に用いる洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽と、
前記洗浄液貯留槽から前記液滴吐出ヘッドへ前記洗浄液を送液するための洗浄液搬送路と、
前記洗浄液中に気泡を混入させる気泡混入手段と、を有することを特徴とする。
これにより、カラーフィルター用インクの流路における汚れを好適に解消できる液滴吐出装置が得られる。
【0009】
本発明の液滴吐出装置では、前記気泡混入手段は、前記洗浄液搬送路に設置されていることが好ましい。
これにより、効率よく気泡を発生させ、洗浄液中に混入させることができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記気泡混入手段は、エアーレーション方式により前記洗浄液中に気泡を混入させるものであることが好ましい。
これにより、洗浄液の流れに応じて気体が巻き込まれ、これによって洗浄液中に気泡を簡単に混入させることができる。
【0010】
本発明の液滴吐出装置では、前記気泡混入手段は、前記洗浄液中に混入した気泡のバブル径を調整するバブル径調整手段を備えていることが好ましい。
これにより、大きな気泡しか発生させられない場合でも、その気泡を微細化し、汚れの除去に適した大きさに調整することができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記洗浄液中の気泡の平均バブル径は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
これにより、気泡による汚れの除去作用を高めつつ、気泡がカラーフィルター用インクの流路に詰まってしまうのを防止することができる。
【0011】
本発明の液滴吐出装置では、前記洗浄液に対して脱気処理を施す脱気手段を有していることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの流路内に残留した気泡を確実に溶解・除去することができる。その結果、流路内に気泡が残留することに伴う、インクの吐出不良等の発生を防止することができる。
【0012】
本発明の液滴吐出装置では、前記洗浄液は、前記インクの固形分を溶解または分散可能であり、かつ、前記液性媒体と相溶性を有する液体であることが好ましい。
これにより、インクの固形分が析出したとしても、再溶解または再分散により固形分を洗浄液中に取り込んで、洗い流すことができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記洗浄液は、前記インクの前記液性媒体の主成分と同じ液体であることが好ましい。
これにより、洗浄液は、インクとの置換性が特に優れたものとなり、残存したインクと素早く混合させ、置換することができる。
【0013】
本発明の液滴吐出装置では、前記洗浄液は、下記式(1)で示される化合物Aを含有することが好ましい。
【化1】

これにより、汚れをより好適に除去することができる。
【0014】
本発明の液滴吐出装置では、前記洗浄液は、下記式(2)で示される化合物Bを含有することが好ましい。
【化2】

これにより、汚れをより好適に除去することができる。
【0015】
本発明の液滴吐出装置では、前記洗浄液は、下記式(3)で示される化合物Cを含有することが好ましい。
【化3】

これにより、汚れをより好適に除去することができる。
【0016】
本発明の液滴吐出装置では、前記洗浄液は、下記式(4)で示される化合物Dを含有することが好ましい。
【化4】

これにより、汚れをより好適に除去することができる。
【0017】
本発明の液滴吐出装置の洗浄方法は、液滴吐出装置によるカラーフィルターの製造に用いられ、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むカラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出装置の洗浄方法であって、
前記液滴吐出装置は、前記インクを貯留するインク貯留槽と、
前記インク貯留槽から送液された前記インクを吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記インク貯留槽から前記液滴吐出ヘッドへ前記インクを送液するためのインク搬送路と、
前記液滴吐出装置の洗浄に用いる洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽と、
前記洗浄液貯留槽から前記液滴吐出ヘッドへ前記洗浄液を送液するための洗浄液搬送路と、を有し、
気泡を混入させた前記洗浄液を前記液滴吐出ヘッドに送液することにより、前記液滴吐出装置内を洗浄することを特徴とする。
これにより、カラーフィルター用インクの流路における汚れを好適に解消することができる。
【0018】
本発明の液滴吐出装置の洗浄方法では、気泡を混入させた前記洗浄液を前記液滴吐出ヘッドに送液することにより、前記液滴吐出装置内を洗浄した後、脱気処理を施した前記洗浄液を送液することが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの流路内に残留した気泡を確実に溶解・除去することができる。その結果、流路内に気泡が残留することに伴う、インクの吐出不良等の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の液滴吐出装置が備える液滴吐出ヘッドの概略構成を説明するための模式図である。
【図3】液滴吐出装置の全体構成の一例を示した模式図である。
【図4】図3に示す液滴吐出装置の部分拡大図(縦断面図)である。
【図5】カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
【図6】液滴吐出装置の全体構成の他の一例を示した模式図である。
【図7】液滴吐出装置の全体構成の他の一例を示した模式図である。
【図8】液滴吐出装置の全体構成の他の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《液滴吐出装置および液滴吐出装置の洗浄方法》
まず、本発明の液滴吐出装置、および、当該液滴吐出装置を用いたカラーフィルターの製造方法の好適な実施形態について説明する。
図1は、液滴吐出装置(インクジェット装置)の好適な実施形態の一例を示す斜視図、図2は、図1の液滴吐出装置が備える液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の概略構成を説明するための模式図、図3は、液滴吐出装置の全体構成の一例を示した模式図、図4は、図3に示す液滴吐出装置の部分拡大図(縦断面図)、図5は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
【0021】
図1〜図3に示す液滴吐出装置(インクジェット装置)100は、顔料粒子等の着色剤が分散媒に分散したカラーフィルター用インク1を吐出することにより、カラーフィルター10の着色部12を形成するのに用いられる装置である。
まず、カラーフィルター10の製造の概要について説明する。図5に示すように、カラーフィルター10は、隔壁(遮光部)13が設けられた基板11を用意する基板用意工程(1a)と、図1〜図3に示す液滴吐出装置(インクジェット装置)100を用いて、カラーフィルター用インク1を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1b)と、カラーフィルター用インク1から分散媒を除去し、固形状の着色部12とする着色部形成工程(1c)とを有する方法を用いて製造することができる。このようにして製造されるカラーフィルター10は、通常、複数色の着色部12を有している。図5に示す構成では、互いに異なる色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cを有している。
【0022】
図1および図3に示すように、液滴吐出装置100は、図2に示す液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド。以下、単にヘッドと呼ぶ)110と、ベース130と、テーブル140と、インク貯留槽150と、洗浄液貯留槽160と、テーブル位置決め手段170と、ヘッド位置決め手段180と、制御装置190とを有している。
ベース130は、テーブル140、テーブル位置決め手段170、およびヘッド位置決め手段180等の液滴吐出装置100の各構成部材を支持する台である。
【0023】
テーブル140は、テーブル位置決め手段170を介してベース130に設置されている。また、テーブル140は、隔壁(遮光部)13が設けられた基板11(以下、単に基板11ともいう)を載置するものである。
テーブル位置決め手段170は、第1移動手段171と、モーター172とを有している。テーブル位置決め手段170は、ベース130におけるテーブル140の位置を決定し、これにより、ベース130における基板11の位置を決定する。
【0024】
第1移動手段171は、Y方向と略平行に設けられた2本のレールと、当該レール上を移動する支持台とを有している。第1移動手段171の支持台は、モーター172を介してテーブル140を支持している。そして、支持台がレール上を移動することにより、基板11を載置するテーブル140は、Y方向に移動および位置決めされる。
モーター172は、テーブル140を支持しており、θz方向にテーブル140を揺動および位置決めする。
【0025】
ヘッド位置決め手段180は、第2移動手段181と、リニアモーター182と、モーター183、184、185とを有している。ヘッド位置決め手段180は、ヘッド110の位置を決定する。
第2移動手段181は、ベース130から立設する2本の支持柱と、当該支持柱同士の間に当該支持柱に支持されて設けられ、2本のレールを有するレール台と、レールに沿って移動可能でヘッド110を支持する支持部材(図示せず)とを有している。そして、支持部材がレールに沿って移動することにより、ヘッド110は、X方向に移動および位置決めされる。
【0026】
リニアモーター182は、支持部材付近に設けられており、ヘッド110のZ方向の移動および位置決めをすることができる。
モーター183、184、185は、ヘッド110を、それぞれα,β,γ方向に揺動および位置決めする。
以上のようなテーブル位置決め手段170およびヘッド位置決め手段180とにより、インクジェット装置100は、ヘッド110のインク吐出面115Pと、テーブル140上の基板11との相対的な位置および姿勢を、正確にコントロールできるようになっている。
【0027】
図2に示すように、ヘッド110は、インクジェット方式(液滴吐出方式)によってインク1をノズル(突出部)118から吐出するものである。本実施形態では、ヘッド110は、圧電体素子としてのピエゾ素子113を用いてインクを吐出させるピエゾ方式を用いている。ピエゾ方式は、インク1に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えないなどの利点を有する。
【0028】
ヘッド110は、ヘッド本体111と、振動板112と、ピエゾ素子113とを有している。
ヘッド本体111は、本体114と、その下端面にノズルプレート115とを有している。そして、本体114を板状のノズルプレート115と振動板112とが挟み込むことにより、空間としてのリザーバー116およびリザーバー116から分岐した複数のインク室117が形成されている。
【0029】
リザーバー116には、後述するインク貯留槽150よりインク1が供給される。リザーバー116は、各インク室117にインク1を供給するための流路を形成している。
また、ノズルプレート115は、本体114の下端面に装着されており、インク吐出面115Pを構成している。このノズルプレート115には、インク1を吐出する複数のノズル118が、各インク室117に対応して開口されている。そして、各インク室117から対応するノズル(吐出部)118に向かって、インク流路が形成されている。
【0030】
振動板112は、ヘッド本体111の上端面に装着されており、各インク室117の壁面を構成している。振動板112は、ピエゾ素子113の振動に応じて振動可能となっている。
ピエゾ素子113は、その振動板112のヘッド本体111と反対側に、各インク室117に対応して設けられている。ピエゾ素子113は、水晶等の圧電材料を一対の電極(不図示)で挟持したものである。その一対の電極は、駆動回路191に接続されている。
【0031】
そして、駆動回路191からピエゾ素子113に電気信号を入力すると、ピエゾ素子113が膨張変形または収縮変形する。ピエゾ素子113が収縮変形すると、インク室117の圧力が低下して、リザーバー116からインク室117にインク1が流入する。また、ピエゾ素子113が膨張変形すると、インク室117の圧力が増加して、ノズル118からインク1が吐出される。なお、印加電圧を変化させることにより、ピエゾ素子113の変形量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子113の変形速度を制御することができる。すなわち、ピエゾ素子113への印加電圧を制御することにより、インク1の吐出条件を制御し得るようになっている。
【0032】
制御装置190は、インクジェット装置100の各部位を制御する。例えば、駆動回路191で生成する印加電圧の波形を調節してインク1の吐出条件を制御したり、ヘッド位置決め手段180およびテーブル位置決め手段170を制御することにより基板11へのインク1の吐出位置を制御する。
インク貯留槽150は、インク1を貯留する。
【0033】
インク貯留槽150は、図3に示すように、インク搬送路151を介して、ヘッド110(リザーバー116)に接続されている。
インク搬送路151には、インク貯留槽150側からヘッド110へ向かって順に、コック(分岐)152と、インク1の逆流を防止するための自己封止弁153とが設けられている。
【0034】
インク貯留槽150に貯留されたインク1は、液滴吐出時等における必要に応じて、インク搬送路151に送られ、コック152、自己封止弁153を介して、リザーバー116に供給される。
洗浄液貯留槽160は、洗浄液を貯留する。洗浄液貯留槽160内の洗浄液は、洗浄液搬送路161によってインク流路に搬送され、インク流路内を洗浄する。
【0035】
洗浄液搬送路161は、コック152においてインク搬送路151と接続されている。
また、洗浄液搬送路161の途中には、気泡発生器162が設けられている。気泡発生器162は、洗浄液搬送路161内を送液される洗浄液2中に気泡を混入させる。洗浄液2中に混入した気泡は、洗浄液2の流れとともに洗浄液搬送路161を介して、インク1の流路(インク搬送路151、ヘッド110等)に送液され、これにより液滴吐出装置100内が洗浄される。洗浄液搬送路161の途中に気泡発生器162を設けることにより、効率よく気泡を発生させ、洗浄液2中に混入させることができる。
【0036】
ここで、気泡を含む洗浄液2がインク1の流路を流れると、流路の内壁に付着した汚れに気泡が衝突する。これにより、汚れに衝撃力が加わり、それに基づいて汚れが脱落する。また、衝突しないまでも、汚れの近くを気泡が通過すると、それにより汚れ周辺の圧力が急激に変化する。この圧力変化によっても汚れを除去することができ、さらには洗浄液が効率よく攪拌されることで、汚れに対して常に洗浄力の高い洗浄液が接触するため洗浄効果が高まる。
【0037】
一方、気泡が汚れに衝突したとき、気泡が破裂する場合もある。気泡が破裂すると、それにより圧力波が発生し、この圧力波が汚れを粉砕したり、あるいは脱落させる。
さらには、汚れに気泡が付着すると、その気泡に対して別の気泡が次々に付着し、気泡同士が合体する。これにより、気泡が成長し、洗浄液2の流れに対してより大きな抵抗力を受ける。このような状態になると、成長した気泡ごと、汚れが脱落し易くなる。
以上のようにして、インクの流路に付着した汚れを容易に脱落させることができる。
【0038】
図4に示す気泡発生器162は、洗浄液2中に混入させる気体を貯留する気体貯留槽1621と、洗浄液搬送路161に設けられた分岐部1622と、分岐部1622と気体貯留槽1621とを接続する気体搬送路1623と、気体搬送路1623の途中に設けられた開閉弁1624とを備えている。気体貯留槽1621に貯留されている気体は、気体搬送路1623を介して洗浄液搬送路161中に供給され、洗浄液2中に混入される(エアーレーション方式)。具体的には、分岐部1622を通過する洗浄液2の流れによって圧力差が生じ、この圧力差に伴って気体搬送路1623中の気体が洗浄液2中に巻き込まれる。これにより、洗浄液2中に効率よく気泡を混入させることができる。
【0039】
気体貯留槽1621に貯留される気体としては、例えば、空気、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素等が挙げられる。
なお、気体の発生方式は、上記エアーレーション方式に限定されず、例えば、化学反応により気体を発生させる方法等を用いるようにしてもよい。
また、気体搬送路1623の下流端1623aでは、内径が小さくなっている。この内径の大きさに応じて洗浄液2中に形成される気泡の大きさが決まるため、形成すべき気泡の大きさに応じて内径が調整されている。なお、下流端1623aは、図4に示すキャピラリーのような単なる管体であってもよいが、内径部が多孔質体で充填された管体であってもよい。これにより、多孔質体を通過して洗浄液2中に気体が混入するため、多孔質体の気孔の大きさに応じた、より微細な気泡を混入させることができる。このような多孔質体としては、連続気孔を含む多孔質体であればよく、具体的には、いわゆるスポンジのような樹脂製多孔質体の他、セラミックス製多孔質体、金属製多孔質体、ガラス製多孔質体等が挙げられる。この他、パンチングメタル、メッシュ等であってもよい。
【0040】
また、図4では、洗浄液搬送路161と気体搬送路1623との接続部である分岐部1622において、洗浄液搬送路161の内径が局所的に小さくなっている。これにより、洗浄液搬送路161を通過する洗浄液2の流速が、分岐部1622近傍において速くなるため、洗浄液2中に巻き込まれる気泡の混入量を増大させることができる。
なお、洗浄液中に混入させる気体が空気である場合、気体貯留槽1621を省略することができる。この場合、気体搬送路1623の上流端は、開放端とすればよい。
【0041】
洗浄液2中に混入させる気泡の平均バブル径は、5μm以上100μm以下程度であるのが好ましく、10μm以上80μm以下程度であるのがより好ましく、15μm以上60μm以下程度であるのがさらに好ましい。気泡の平均バブル径を前記範囲内とすることにより、気泡による汚れの除去作用を高めつつ、気泡がインク1の流路に詰まってしまうのを防止することができる。
【0042】
なお、気泡の平均バブル径が前記下限値を下回った場合、気泡が発生させる衝撃力や圧力波が小さく、汚れの除去作用が低下するおそれがあり、また、微小な気泡はインク1の流路のインク流速が相対的に遅い部分などに付着・滞留しやすくなり排出が困難となる恐れがあり、インクの充填不良を引き起こす可能性がある。一方、気泡の平均バブル径が前記上限値を上回った場合、大きな気泡は流路の隅々まで行き渡らないため、洗浄の効果が低下して異物が残留するおそれがある。
このような洗浄液2中の気泡の平均バブル径は、例えば、光学顕微鏡等による光学観察、レーザービームの散乱・遮光などによる液中パーティクルカウンター等により測定することができる。
【0043】
また、洗浄液2中の気泡の混入率は、特に限定されないが、10個/mL以上5000個/mL以下程度であるのが好ましく、100個/mL以上3000個/mL以下程度であるのがより好ましい。気泡の混入率を前記範囲内とすることにより、気泡による汚れの除去作用を高めつつ、洗浄液2の十分な流動性を確保することができる。
このような洗浄液2中の気泡の混入率は、例えば、光学顕微鏡等による光学観察、レーザービームの散乱・遮光などによる液中パーティクルカウンター等により測定することができる。
【0044】
また、洗浄液搬送路161の下流側には、洗浄液2中の気泡のバブル径を調整するバブル径調整手段163が設けられている。このバブル径調整手段163は、洗浄液2中の気泡を微細化して小径化する。気泡発生器162は、その種類や方式によっては大きな気泡しか形成することができないため、バブル径調整手段163を用いることで、より小さな気泡に変化させることができる。これにより、気泡の平均バブル径を前記範囲内に調整することができ、上述したような優れた効果を享受することができる。
【0045】
バブル径調整手段163としては、例えば、(1)キャビテーションにより気泡を微細化する手段、(2)二相流旋回方式や超高速旋回方式などの旋回方式またはベンチュリー管方式により気泡を微細化する手段、(3)旋回流により気泡を微細化する手段等が挙げられ、これらの手段の2つ以上を組み合わせた手段であってもよい。
このうち、(1)の手段は、洗浄液2を送液するポンプで構成される。このポンプに、気泡を混入させた洗浄液2を導入すると、ポンプ内でキャビテーションが生じて気泡が分裂する。これにより、より微細な気泡が形成される。
【0046】
また、(2)の手段は、二相流旋回方式や超高速旋回方式などの旋回方式またはベンチュリー管方式により構成される。このベンチュリー管に、気泡を混入させた洗浄液2を導入すると、管内を洗浄液2が通過する際に発生する圧力差によって微細な気泡が発生する。
さらに、(3)の手段は、旋回するプロペラで構成される。この旋回するプロペラに、気泡を混入させた洗浄液2を導入すると、プロペラによる撹拌力で気泡が破壊され、より微細な気泡が形成される。
【0047】
なお、上記のバブル径調整手段163は、気泡を微細化することができるが、通常、微細化可能な大きさの下限値が存在する。このため、これらのバブル径調整手段163にバブル径のバラツキが大きい気泡を導入したときには、気泡のバブル径を揃えることもできる。気泡のバブル径を揃えることにより、洗浄液2の流動性が均一になるため、インク1の流路に対して気泡が混入した洗浄液2を円滑に流すことができる。
【0048】
本実施形態では、以上のような気泡発生器162およびバブル径調整手段163により、気泡混入手段が構成されている。なお、本実施形態では、洗浄液搬送路161の途中に気泡混入手段を設けた場合について説明したが、気泡混入手段の設置場所は、例えば洗浄液貯留槽160であってもよい。
なお、気泡発生器162、バブル径調整手段163およびコック152は、それぞれ、前述した制御装置190と電気的に接続されている。これにより、制御装置190によってインク1と洗浄液2の切り替えや、気泡発生の有無、気泡のバブル径等を制御することができる。
【0049】
液滴吐出装置100において用いる洗浄液2の温度は、特に限定されないものの、20℃以上60℃以下であるのが好ましく、25℃以上50℃以下であるのがより好ましい。これにより、より効果的にインク1の流路における汚れを除去することができる。
また、洗浄液2の送液速度は、自己封止弁153の下流部において、20mL/min以上200mL/min以下であるのが好ましく、50mL/min以上150mL/min以下であるのがより好ましい。これにより、より効果的にインクの流路内の洗浄を行うことができる。
【0050】
また、図3に示す液滴吐出装置は、ヘッド110の下方に設けられた吸引手段200を有している。この吸引手段200は、ヘッド110の下面と接触した状態でヘッド110内のインクや洗浄液2を吸引するよう構成されている。そして、吸引手段200で吸引されたインクや洗浄液は、吸引手段200の下方に設けられた回収タンク210に送液され、回収される。
【0051】
また、吸引手段200による吸引動作が終了した後、必要に応じて、インク吐出面115Pを拭き取る(ワイピング)操作を行うようにしてもよい。
ここで、液滴吐出装置100の動作について説明する。
液滴吐出装置100は、通常、ヘッド110のノズル118からインク1を吐出する動作を行うが、この動作を繰り返すうち、インク1の流路にインク1に含まれる固形分(汚れ)が付着する。
【0052】
インク1の流路に洗浄液2を送液する動作は、この通常動作の開始前・終了後や通常動作の合間等に行われ、インク1の流路に付着した固形分を除去するために行われる。
具体的には、ヘッド110の下面と吸引手段200の上面とが接するように、ヘッド110を移動させる。
次いで、洗浄液貯留槽160内の洗浄液2をインク1の流路に送液する。この際、気泡発生器162により洗浄液2中に気泡が混入させ、混入した気泡はバブル径調整手段163により微細化される。これにより、インク1の流路が気泡を含む洗浄液2により洗浄される。
以上、本発明の液滴吐出装置について、好適な実施形態について説明したが、これに限定されず、例えば、図6〜8に示すような液滴吐出装置であってもよい。
【0053】
図6〜8は、本発明の液滴吐出装置の全体構成の他の一例を示した模式図である。
本実施形態では、上述した実施形態と異なる点について説明し、同様の構成については、その説明を省略する。
図6に示す気泡混入手段は、上述したバブル径調整手段163に代えて、洗浄液搬送路161の気泡発生器162より下流側に設けられたポンプ164を備えている。このポンプ164は、洗浄液搬送路161を流れる洗浄液を取り込み、強制的に下流側へ流すものであるが、この際、ポンプ164の下流側では上流側より圧力が上昇する。したがって、ポンプ164の下流側では洗浄液の圧力が上昇し、それに伴って洗浄液における気体の溶解度が上昇する。その結果、ポンプ164の下流側を流れる洗浄液中では、含まれていた気泡が洗浄液中に一部溶解し、気泡のサイズが小さくなる(過飽和状態)。
【0054】
気泡のサイズが小さくなると、洗浄液は、大きな気泡を含む場合に比べて円滑に流れることができる。加圧された洗浄液は、洗浄液搬送路161およびインク搬送路151を介してヘッド110に送液される。この際、インク搬送路151には高圧の洗浄液が通過することになるため、汚れの除去作用を高めることができる。その後、洗浄液は、より広い空間であるヘッド110内のリザーバー116に達するが、この際、洗浄液に加わっていた圧力が急激に解放される。その結果、過飽和状態が解除され、溶解していた気体が気泡として現れる。その結果、洗浄液は気泡を含むものとなり、ヘッド110内の汚れを強力に除去する。しかもこの方法で発生する気泡は、バブル径が均一でかつ微細なものであるので、汚れの除去作用が特に高くなる。
【0055】
また、ポンプ164を間欠的に動作させることにより、洗浄液搬送路161、インク搬送路151およびヘッド110内の圧力を高めたり低くしたりしてもよい。この際、汚れに対しても圧力変化が作用し、汚れを引き剥がし易くなる。図6に示す気泡混入手段によれば、これらの効果が相乗的に働き、汚れを確実に除去することができる。
以上のようなことから、気泡混入手段がポンプ164を備えていることにより、インク搬送路151中では洗浄液を円滑に流すことができ、一方、ヘッド110内においては確実に汚れを除去することができる。換言すれば、インク搬送路151等には汚れが付着し難く、ヘッド110内に汚れが付着し易い場合等に、図6に示す気泡混入手段は好適である。また、ポンプ164の動作を変えることで、汚れの除去作用を増強することもできる。
【0056】
洗浄液を加圧する際、その圧力は大気圧以上であればよいが、好ましくは1.5気圧(0.15MPa)以上10気圧(1MPa)以下とされ、より好ましくは2気圧(0.2MPa)以上8気圧(0.8MPa)以下とされる。
なお、この場合、洗浄液に混入させる気体としては、洗浄液に対する溶解度の高いものが好ましく用いられる。これにより、洗浄液に加える圧力をそれほど高くしなくても、過飽和状態を形成することができる。なお、液体に対する溶解度が比較的高い気体としては、例えば、二酸化炭素、酸素等が挙げられる。
【0057】
また、ポンプ164についても、前述した制御装置190と電気的に接続されている。これにより、制御装置190によってポンプ164の動作を制御することができる。
図7に示す液滴吐出装置は、複数の洗浄液貯留槽(図7では、3つの洗浄液貯留槽1601、1602、1603)を有している。また、洗浄液搬送路161の途中(気泡発生器162の上流側)には、洗浄液搬送路161を分岐させる3つの分岐部1651、1652、1653が設けられており、分岐部1651から分岐した分岐路1611には洗浄液貯留槽1601が、分岐部1652から分岐した分岐路1612には洗浄液貯留槽1602が、分岐部1653から分岐した分岐路1613には洗浄液貯留槽1603が、それぞれ接続されている。
【0058】
ここで、3つの洗浄液貯留槽1601、1602、1603には、互いに異なる種類(組成)の洗浄液を貯留してもよく、同じ種類(組成)の洗浄液を貯留するようにしてもよい。
前者の場合、使用したインク1の種類に応じて最適な洗浄液を選択し、インク1の流路を洗浄することができる。なお、最適な洗浄液とは、例えば、インク1が含む固形分に対して溶解性または分散性が高く、かつ、インク1が含む液性媒体(分散媒)と相溶性を有する液体が挙げられる。
【0059】
また、異なる種類の洗浄液を順次用いることにより、汚れの除去作用が高められたり、洗浄液によるヘッド110の変質・劣化が抑制されたりすることがある。図7に示す液滴吐出装置であれば、このような操作を、分岐部1651、1652、1653により洗浄液の流路を選択するのみで容易に行うことができる。
具体的には、インク1が含む液性媒体と同じ組成の洗浄液を洗浄液搬送路161に供給した後、汚れの除去効率に優れた洗浄液を洗浄液搬送路161に供給することにより、前者の洗浄液がインク1と高度に相溶し、後者の洗浄液が汚れに対して高い洗浄作用を示すことになるため、結果的に汚れを効率よく除去することができる。
【0060】
これとは反対に、先に汚れの除去効率に優れた洗浄液を供給した後、次いで、インク1が含む液性媒体と同じ組成の洗浄液を供給するようにしてもよい。このようにすれば、インク1の流路がもともとインク1に対する優れた耐久性を有していることから、後者の洗浄液がインク1の流路に残留したとしても、インク1の流路の変質・劣化が抑制されることとなる。その結果、液滴吐出装置の耐久性を高めることができる。
【0061】
また、インク1が含む着色剤や樹脂材料によっては、これらを同時に溶解または分散することができない場合もある。このような場合、着色剤と樹脂材料とを順次洗浄できるよう、それぞれを溶解または分散する2種類の洗浄液を各洗浄液貯留槽1601、1602に貯留しておき、これらを順次供給するようにすればよい。これにより、さらに確実な汚れの除去が可能になる。
【0062】
さらには、気泡を含む洗浄液を供給した後、最後に、消泡剤を含む洗浄液を供給するようにしてもよい。このようにすれば、インク1の流路内に残留した洗浄液中の気泡に消泡剤が作用して、気泡を強制的に消滅させることができる。その結果、インク1の流路内に気泡が残留することに伴う、インク1の吐出不良等の発生を防止することができる。
なお、消泡剤としては、洗浄液に対して相溶性を有し、かつ、析出し難いものが好ましく用いられる。具体的には、例えば、ポリエーテル系、鉱物油系、高級アルコール系、シリコーン系の各消泡剤が挙げられる。
【0063】
洗浄液2に対する消泡剤の添加量は、特に限定されないが、0.01wt%以上5wt%以下程度であるのが好ましく、0.1wt%以上3wt%以下程度であるのがより好ましい。
また、分岐部1651、1652、1653は、それぞれ制御装置190と電気的に接続され、その動作が制御されるよう構成されている。これにより、分岐部1651、1652、1653の各動作を協調的に制御することができるので、最適なタイミングで異なる種類の洗浄液を供給することができる。
【0064】
一方、後者の場合、洗浄液の貯留量を増やすことができるので、洗浄液の補充頻度を少なくすることができる。
図8に示す液滴吐出装置では、洗浄液搬送路161が、気泡発生器162の上流側に設けられたコック(分岐)166において、第1の搬送路161aと第2の搬送路161bとに一旦分岐し、その後、コック152に達する前に、再度合流している。また、図8に示す液滴吐出装置では、第2の搬送路161bの途中に脱気手段167が設けられている。
【0065】
脱気手段167は、洗浄液2中に含まれる気体成分を除去するものであり、例えば、気液分離膜方式、減圧方式の脱気装置等で構成される。脱気手段167により洗浄液2中の気体成分を除去することで、洗浄液2は、新たに気体成分を溶解し得る潜在的な気体溶解能を有するものとなる。このため、先に第1の搬送路161aを介してインク1の流路に気泡を含む洗浄液2を供給し、洗浄した後、次いで、第2の搬送路161bを介して脱気手段167を通過させた洗浄液2を供給することにより、インク1の流路内に残留した気泡を確実に溶解・除去することができる。その結果、インク1の流路内に気泡が残留することに伴う、インク1の吐出不良等の発生を防止することができる。
【0066】
<洗浄液>
次に、本発明の洗浄方法(液滴吐出装置)に好適に適用することが可能な洗浄液について説明する。
本発明に適用される洗浄液(クリーニングインク)2は、カラーフィルターの製造に用いられるヘッド110の洗浄をするものであり、特に、後述するようなカラーフィルター用インク(以下単にインクともいう)による液滴吐出装置100の汚れ、目詰まり等を好適に解消するものである。
【0067】
本発明の洗浄方法に適用する洗浄液2は、前述したように、インク1が含む固形分に対する溶解性または分散性を有し、かつ、インク1が含む液性媒体(分散媒)と相溶性を有する液体が挙げられる。このような洗浄液2を用いることで、インク1が含む固形分が析出したとしても、汚れを洗浄液2中に取り込んで、洗い流すことができる。
また、洗浄液2は、後述するカラーフィルター用インクに含まれる分散媒(カラーフィルター用インク分散媒)と共通の成分を含むものであるのが好ましく、同じ組成ものであるのがより好ましい。これにより、インク1との置換性が特に優れたものとなり、残存したインク1と素早く混合、置換することができる。
【0068】
また、洗浄液2には、カラーフィルター用インクに含まれる分散媒(液性媒体)中に5vol%以上の割合で含まれる成分のうち、最も低沸点の成分より沸点の高いものが好ましく用いられる。これにより、インク1に比べて洗浄液2の揮発性が低下するため、インク1と洗浄液2とが相溶したとき、インク1に含まれる固形分の析出が抑制される。すなわち、固形分が析出するまでにより長い時間がかかることになるため、本発明の洗浄方法を行う頻度を少なくしても、固形分の析出が抑えられ、ヘッド110を清浄状態で維持することができる。その結果、カラーフィルターの製造効率を高めることができる。
【0069】
なお、洗浄液2の沸点とカラーフィルター用インクに含まれる分散媒(液性媒体)の低沸点成分の沸点との差は、20℃以上150℃以下程度であるのが好ましく、30℃以上100℃以下程度であるのがより好ましい。
また、洗浄液2の沸点は、190℃以上300℃以下程度であるのが好ましく、200℃以上280℃以下程度であるのがより好ましい。
【0070】
洗浄液2としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。分散媒として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
<化合物A>
また、洗浄液2としては、特に、下記式(1)で示される化合物Aを含有するものが好ましい。
【0072】
【化5】

【0073】
洗浄液2が化合物Aを含有することにより、汚れを好適に除去することができる。これは、洗浄液2中に含まれる化合物Aが、液滴吐出装置の構成部材に悪影響を及ぼすことなく、汚れと、汚れが付着している構成部材との密着性を低下させることができる機能を有しているためであると思われる。また、特に、化合物Aを含有する洗浄液2は、後述するC.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むインク1の固形分に対して強力に作用し、除去することを可能にする。
【0074】
上記式(1)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数が1〜3のアルキル基であればよいが、いずれも、メチル基であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
また、上記式(1)中、X、X、X、X、Xは、それぞれ、独立に、水素原子またはハロゲン原子であればよいが、いずれも、水素原子であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
なお、洗浄液2は、化学構造の異なる複数種の化合物Aを含むものであってもよい。
【0075】
洗浄液2中における化合物Aの含有率は、特に限定されないが、40wt%以上であるのが好ましく、50wt%以上98wt%以下であるのがより好ましく、55wt%以上95wt%以下であるのがさらに好ましい。化合物Aの含有率が前記範囲内の値であると、洗浄液2による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。これに対し、化合物Aの含有率が前記下限値未満であると、洗浄液2が化合物Aを含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、化合物Aの含有率が前記上限値を超えると、後に詳述するような成分(インク(カラーフィルター用インク)の液性媒体を構成するのと同一の成分等)を十分な比率で含有することができず、当該成分を併用することによる効果を十分に発揮させることが困難となる。なお、洗浄液2が化学構造の異なる複数種の化合物Aを含むものである場合、化合物Aの含有率の値としては、これら複数の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
【0076】
<化合物B>
また、洗浄液2としては、特に、下記式(2)で示される化合物Bを含有するものが好ましい。
【0077】
【化6】

【0078】
洗浄液2が化合物Bを含有することにより、汚れを好適に除去することができる。これは、洗浄液2中に含まれる化合物Bが、液滴吐出装置の構成部材に悪影響を及ぼすことなく、汚れと、汚れが付着している構成部材との密着性を低下させることができる機能を有することによるものと思われる。また、特に、化合物Bを含有する洗浄液2は、汚れに対して強力に作用する一方、気体(特に空気)の溶解性が高いことから、優れた脱気性を有し、洗浄作業の最後に気泡を除去するために流される洗浄液2として好適に用いられる。
【0079】
上記式(2)中、Rは、炭素数が1〜4の炭化水素基であればよいが、メチル基であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
また、上記式(2)中、X、X、X、X、Xは、それぞれ、独立に、水素原子またはハロゲン原子であればよいが、いずれも、水素原子であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
なお、洗浄液2は、化学構造の異なる複数種の化合物Bを含むものであってもよい。
【0080】
洗浄液2中における化合物Bの含有率は、特に限定されないが、15wt%以上であるのが好ましく、30wt%以上98wt%以下であるのがより好ましく、40wt%以上90wt%以下であるのがさらに好ましい。化合物Bの含有率が前記範囲内の値であると、洗浄液2による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。これに対し、化合物Bの含有率が前記下限値未満であると、洗浄液2が化合物Bを含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、化合物Bの含有率が前記上限値を超えると、後に詳述するような成分(インク(カラーフィルター用インク)の液性媒体を構成するのと同一の成分等)を十分な比率で含有することができず、当該成分を併用することによる効果を十分に発揮させることが困難となる。なお、洗浄液2が化学構造の異なる複数種の化合物Bを含むものである場合、化合物Bの含有率の値としては、これら複数の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
【0081】
<化合物C>
また、洗浄液2としては、特に、下記式(3)で示される化合物Cを含有するものが好ましい。
【0082】
【化7】

【0083】
洗浄液2が化合物Cを含有することにより、汚れを好適に除去することができる。これは、洗浄液2中に含まれる化合物Cが、液滴吐出装置の構成部材に悪影響を及ぼすことなく、汚れと、汚れが付着している構成部材との密着性を低下させることができる機能を有することによるものと思われる。また、特に、化合物Cを含有する洗浄液2は、汚れに対して強力に作用する一方、気体(特に空気)の溶解性が高いことから、優れた脱気性を有し、洗浄作業の最後に気泡を除去するために流される洗浄液2として好適に用いられる。
【0084】
上記式(3)中、Rは、炭素数が1〜6の炭化水素基であればよいが、Rの炭素数が1〜5であるのが好ましく、Rの炭素数が1〜4であるのがより好ましく、Rがプロピル基またはブチル基であるのがさらに好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
また、上記式(3)中、X、X、X、X、Xは、それぞれ、独立に、水素原子またはハロゲン原子であればよいが、いずれも、水素原子であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
なお、洗浄液2は、化学構造の異なる複数種の化合物Cを含むものであってもよい。
【0085】
洗浄液2中における化合物Cの含有率は、特に限定されないが、40wt%以上であるのが好ましく、50wt%以上98wt%以下であるのがより好ましく、55wt%以上95wt%以下であるのがさらに好ましい。化合物Cの含有率が前記範囲内の値であると、洗浄液2による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。これに対し、化合物Cの含有率が前記下限値未満であると、洗浄液2が化合物Cを含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、化合物Cの含有率が前記上限値を超えると、後に詳述するような成分(インク(カラーフィルター用インク)の液性媒体を構成するのと同一の成分等)を十分な比率で含有することができず、当該成分を併用することによる効果を十分に発揮させることが困難となる。なお、洗浄液2が化学構造の異なる複数種の化合物Cを含むものである場合、化合物Cの含有率の値としては、これら複数の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
【0086】
<化合物D>
また、洗浄液2としては、特に、下記式(4)で示される化合物Dを含有するものが好ましい。
【0087】
【化8】

【0088】
洗浄液2が化合物Dを含有することにより、汚れを好適に除去することができる。これは、洗浄液2中に含まれる化合物Dが、液滴吐出装置の構成部材に悪影響を及ぼすことなく、汚れと、汚れが付着している構成部材との密着性を低下させることができる機能を有することによるものと思われる。また、特に、化合物Dを含有する洗浄液2は、汚れに対して強力に作用する一方、気体(特に空気)の溶解性が高いことから、優れた脱気性を有し、洗浄作業の最後に気泡を除去するために流される洗浄液2として好適に用いられる。また、ジエーテル構造のため粘度が低く、流路への洗浄液の充填および洗浄液の除去などが容易である。
【0089】
上記式(4)中、Rは、炭素数が1〜4の炭化水素基であればよいが、Rの炭素数が1〜3であるのが好ましく、Rの炭素数が1〜2であるのがより好ましく、Rがメチル基であるのがさらに好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
また、上記式(4)中、nは、1〜3の数であればよいが、1〜2であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
【0090】
また、上記式(4)中、X、X、X、X、Xは、それぞれ、独立に、水素原子またはハロゲン原子であればよいが、いずれも、水素原子であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
なお、洗浄液2は、化学構造の異なる複数種の化合物Dを含むものであってもよい。
洗浄液2中における化合物Dの含有率は、特に限定されないが、40wt%以上であるのが好ましく、50wt%以上98wt%以下であるのがより好ましく、55wt%以上95wt%以下であるのがさらに好ましい。化合物Dの含有率が前記範囲内の値であると、洗浄液2による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。これに対し、化合物Dの含有率が前記下限値未満であると、洗浄液2が化合物Dを含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、化合物Dの含有率が前記上限値を超えると、後に詳述するような成分(インク(カラーフィルター用インク)の液性媒体を構成するのと同一の成分等)を十分な比率で含有することができず、当該成分を併用することによる効果を十分に発揮させることが困難となる。なお、洗浄液2が化学構造の異なる複数種の化合物Dを含むものである場合、化合物Dの含有率の値としては、これら複数の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
【0091】
また、洗浄液2は、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、表面張力調整剤、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、チオ尿素等が挙げられる。
また、上述したような洗浄液2は、後述するカラーフィルター用インクより25℃での表面張力と同程度であるか、あるいは低いものであることが好ましい。これにより、洗浄時において、液滴吐出装置100の洗浄部位に好適に洗浄液2が濡れ広がることができる。このため、洗浄後における洗浄部位に残存する汚れが特に少ないものとなる。
【0092】
洗浄液2は、後述するカラーフィルター用インクより25℃における粘度が低いものであることが好ましい。これにより、洗浄時において、液滴吐出装置100の洗浄部位に好適に洗浄液2が濡れ広がることができる。また、洗浄時において、洗浄液搬送路161やインク1の流路における洗浄液2の流速を早いものとすることができる。このため、洗浄後における洗浄部位に残存する汚れが特に少ないものとなる。
なお、上記「同程度」とは、カラーフィルター用インクの表面張力の1倍以上1.3倍程度とされる。
【0093】
以下、カラーフィルター用インクについて説明する。
《カラーフィルター用インク》
次に、本発明の洗浄方法に適用される液滴吐出装置から吐出されるカラーフィルター用インクについて説明する。
カラーフィルター用インクは、基板上に着色部を形成するのに用いるインクであり、特に、液滴吐出法によってカラーフィルターの着色部を形成するのに用いるインクである。
【0094】
以下、カラーフィルター用インクの各構成成分について詳細に説明する。
[着色剤]
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色部)を有している。着色剤は、通常、形成すべき着色部の色調に応じて選択される。カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができる。
【0095】
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、これらの誘導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0096】
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有しているものの、各種顔料の中でも、特に分散性の低い材料であるため、従来において液滴吐出に供するインクに適用する場合には、液滴吐出装置のインクの流路への付着、液滴吐出ヘッドの吐出部の目詰まり等の問題を特に生じ易かった。これに対し、本発明では、カラーフィルター用インクがC.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、上記のような問題を好適に解消することができる。すなわち、カラーフィルター用インクがC.I.ピグメントグリーン58を含むものであると、本発明の効果がより顕著に発揮される。
【0097】
カラーフィルター用インク中における顔料の含有率は、2wt%以上25wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上20wt%以下であるのがより好ましい。
カラーフィルター用インク中に含まれる顔料の平均粒径は、10nm以上200nm以下であるのが好ましく、20nm以上180nm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、カラーフィルターインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。
【0098】
一方、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185、C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられる。
【0099】
カラーフィルター用インク中における染料の含有率は、2wt%以上25wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上20wt%以下であるのがより好ましい。染料の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、所定の色濃度の着色部を形成するのに要するカラーフィルター用インクの量を少なくすることができ、省資源の観点から有利である。また、カラーフィルターの着色部を形成する際における溶剤の揮発量を抑制することができるため、環境に対する負荷を軽減することができる。
【0100】
[分散媒]
分散媒(カラーフィルター用インク分散媒)としては、上述した、洗浄液と同様の液体を用いることができる。
カラーフィルター用インク中における分散媒の含有率は、50wt%以上98wt%以下であるのが好ましく、55wt%以上95wt%以下であるのがより好ましく、65wt%以上93wt%以下であるのがさらに好ましい。
【0101】
[樹脂材料]
カラーフィルター用インクは、形成される着色部の基板に対する密着性向上等の目的で、通常、樹脂材料を含んでいる。
樹脂材料としては、硬化性樹脂を用いるのが好ましい。
カラーフィルター用インクが硬化性樹脂を含むものであると、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる等の効果が得られるが、カラーフィルター用インクが顔料等の着色剤に加え、硬化性樹脂を含むものであると、従来においては、液滴吐出装置のインク1の流路への固形分の付着、ヘッド110のノズル118の目詰まり等の問題を特に生じ易かった。これに対し、本発明では、カラーフィルター用インクが硬化性樹脂を含む場合であっても、上記のような問題を好適に解消することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが硬化性樹脂を含むものであると、本発明の効果がより顕著に発揮され、固形分の生成等を考慮することなく、カラーフィルター用インクが含む樹脂材料の選択肢を拡大することができる。
【0102】
硬化性樹脂は、例えば、エポキシ構造を有するものであるのが好ましい。このような構造を有する硬化性樹脂を含むカラーフィルター用インクによれば、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる等の効果が得られるが、カラーフィルター用インクが顔料等の着色剤に加え、硬化性樹脂を含むものであると、従来においては、インク1の流路への固形分の付着、ヘッド110のノズル118の目詰まり等の問題を特に生じ易かった。これに対し、本発明では、カラーフィルター用インクが上記のような構造を有する硬化性樹脂を含む場合であっても、上記のような問題を好適に解消することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが上記のような構造を有する硬化性樹脂を含むものであると、本発明の効果がより顕著に発揮され、固形分の生成等を考慮することなく、カラーフィルター用インクが含む樹脂材料の選択肢を拡大することができる。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率は、0.5wt%以上18wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以上15wt%以下であるのがより好ましく、3.0wt%以上12wt%以下であるのがさらに好ましい。
【0103】
[分散剤]
カラーフィルター用インクは、分散剤を含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子等の着色剤の分散安定性を優れたものとすることができ、より長期間にわたって安定的な液滴吐出を行うことができる。分散剤としては、上述した、洗浄液の構成成分としての分散剤と同様の材料を用いることができる。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5wt%以上15wt%以下であるのが好ましく、0.6wt%以上8.0wt%以下であるのがより好ましい。
【0104】
[その他の成分]
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、各種架橋剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、各種重合開始剤、酸架橋剤、界面活性剤、増感剤、光安定剤、各種染料、各種分散剤、発光材料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、各種重合促進剤、各種光安定化剤、ガラス、ジルコニア、アルミナ、酸化チタン等のセラミックス、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を用いることができる。
【0105】
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、4mPa・s以上12mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上11mPa・s以下であるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であると、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用インクの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
【実施例】
【0106】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[1]洗浄液およびカラーフィルター用インクの調製
各実施例および各比較例における洗浄液およびカラーフィルター用インクは、以下のようにして製造した。
【0107】
[洗浄液の調製]
(洗浄液1)
洗浄液1としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用意した。なお、洗浄液1の沸点は247℃であった。
(洗浄液2)
洗浄液2として1,3−ブチレングリコールジアセテートを用意した。なお、洗浄液2の沸点は232℃であった。
【0108】
(洗浄液3)
洗浄液3としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用意した。
(洗浄液4)
洗浄液4として下記式(5)で示される化合物Aと、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、3−エトキシプロピオン酸エチルとの混合物を用意した。
【0109】
【化9】

【0110】
(洗浄液5)
洗浄液5として下記式(6)で示される化合物Bと、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合物を用意した。
【0111】
【化10】

【0112】
(洗浄液6)
洗浄液6として下記式(7)で示される化合物Cと、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルと、3−エトキシプロピオン酸エチルとを混合物を用意した。
【0113】
【化11】

【0114】
(洗浄液7)
洗浄液7として下記式(8)で示される化合物Dと、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルと、3−エトキシプロピオン酸エチルとを混合物を用意した。
【0115】
【化12】

【0116】
表1に、用意した各洗浄液の組成を示す。なお、表中、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを「S3」、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S4」で示した。3−エトキシプロピオン酸エチルを「S5」で示した。
【0117】
【表1】

【0118】
[カラーフィルター用インクの調製]
(カラーフィルター用インク1)
顔料としてのC.I.ピグメントグリーン58と、分散媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、分散剤としてのディスパービック111と、熱硬化性樹脂としての樹脂a1(エポキシ構造を有する熱硬化性樹脂)とを所定の割合で配合し、カラーフィルター用インク1(インク1)とした。
【0119】
樹脂a1の合成は以下のようにして行った。
まず、四つ口フラスコに、n−ヘキサン:320重量部、メタアクリル酸:86重量部、トリエチルアミン:111重量部を投入した後、この四つ口フラスコに、温度計、還流冷却器、撹拌機および窒素ガス導入口を取り付けた。この四つ口フラスコを、氷水で冷却しつつ、トリメチルクロルシラン:120重量部を滴下した。この際、反応系内の温度が25℃以下となるようにした。その後、25℃で1時間反応を続けた。次に、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別し、得られたろ液から減圧下でn−ヘキサンを除去した後、減圧蒸留にて精製し、シリルアセテート構造を有するエチレン性不飽和単量体を得た。
【0120】
次に、温度計、還流冷却器、撹拌機および窒素ガス導入口が取り付けられ、溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を仕込んだ四つ口フラスコを用意した。この四つ口フラスコ内のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを攪拌しつつ60℃まで昇温した後、上記エチレン性不飽和単量体:27重量部と、メタアクリル酸グリシジル:30重量部と、スチレン:38重量部と、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル):6重量部との混合物を1時間かけて滴下した。滴下後60℃にて1時間保持した後、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル):0.08重量部を加え、さらに60℃で6時間反応させ、その後、未反応のモノマーを減圧処理により除去することにより、エポキシ構造とを有するエポキシ系樹脂としての樹脂a1を得た。
【0121】
(カラーフィルター用インク2〜9)
カラーフィルター用インクの各材料の種類および配合量を表1に示すように変更した以外は、前記カラーフィルター用インク1と同様にしてカラーフィルター用インク2〜9(インク2〜インク9)を得た。
表2に、製造した各カラーフィルター用インクの組成を示す。なお、表中、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを「S3」、ディスパービック111を「DA1」、ディスパービック166を「DA2」、ヒノアクトT8000Eを「DA3」、樹脂a1を「a1」で示した。
【0122】
【表2】

【0123】
[液滴吐出装置に用いる洗浄液およびカラーフィルター用インクの選定]
(実施例1〜27)
上記のように製造した各洗浄液および各カラーフィルター用インクのうち、表3または表4に示すように洗浄液およびカラーフィルター用インクをそれぞれ選定し、各実施例における洗浄液およびカラーフィルター用インクとした。
【0124】
(比較例1〜4)
上記のように製造した各洗浄液および各カラーフィルター用インクのうち、表4に示すように洗浄液およびカラーフィルター用インクをそれぞれ選定し、各比較例における洗浄液およびカラーフィルター用インクとした。
なお、前記各カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、いずれも、5mPa・s以上11mPa・s以下であった。
【0125】
また、前記の洗浄液とカラーフィルター用インクの組み合わせでは、いずれも、洗浄液の25℃での表面張力が、カラーフィルター用インクの25℃での表面張力と同程度か、あるいは低いものであった。
また、前記各実施例および前記各比較例では、いずれも、洗浄液の25℃における粘度が、カラーフィルター用インクの25℃における粘度よりも低いものであった。
【0126】
【表3】

【0127】
【表4】

【0128】
[3]液滴吐出の安定性評価(安定吐出性評価)
[3.1]洗浄操作
(実施例1〜16)
室温25℃、相対湿度50%、クラス100のクリーンルーム内に設置した図1〜3に示すようなインクジェット装置100に、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを充填し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、インクジェットヘッドの各ノズルから、200000発(200000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、60分間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、液滴の吐出の中断の操作を繰り返し行った。30シーケンス目の液滴吐出の後、20時間放置した。その後、前記各実施例の洗浄液にて、インクの流路を洗浄した。洗浄は、洗浄液貯留槽160から洗浄液2を供給するとともに、気泡発生器162により気泡を発生させ、さらにベンチュリー管で構成されたバブル径調整手段163を介してインク搬送路151へ投入し、表3で示した速度で洗浄液2を流すことにより行った。そして、この洗浄を100秒間行った。なお、洗浄液の搬送速度、液中パーティクルカウンターで測定された平均バブル径および混入率を表3に示す。
その後、上記プロセスを100回繰り返した。
【0129】
(実施例17〜20)
ベンチュリー管の設定を変更した以外は、実施例1と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄を行った。なお、洗浄液の搬送速度、洗浄液中の気泡の平均バブル径および混入率を表3に示す。
(実施例21)
バブル径調整手段163を省略した以外は、実施例1と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄を行った。なお、洗浄液の搬送速度、洗浄液中の気泡の平均バブル径および混入率を表3に示す。
【0130】
(実施例22)
図6に示すようなインクジェット装置を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄とを行った。なお、ポンプによる洗浄液の加圧力は4気圧とした。また、洗浄液の搬送速度、洗浄液中の気泡の平均バブル径および混入率を表4に示す。
【0131】
(実施例23)
図7に示すようなインクジェット装置を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄とを行った。なお、洗浄液として2種類を使用し、最初に洗浄液1を50秒間送液した後、続いて洗浄液4を50秒間送液するようにした。また、洗浄液の搬送速度、洗浄液中の気泡の平均バブル径および混入率を表4に示す。
【0132】
(実施例24)
図7に示すようなインクジェット装置と、図8に示すようなインクジェット装置とを組み合わせ、3つの洗浄液貯留槽を有するとともに、気液分離膜方式の脱気モジュールを設置したインクジェット装置を用意した。そして、この装置を用い、実施例1と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄とを行った。なお、洗浄液として2種類を使用し、最初に洗浄液1を30秒間送液した後、続いて洗浄液4を30秒間送液し、最後に脱気モジュールを経由した洗浄液1を30秒間送液するようにした。また、洗浄液の搬送速度、洗浄液中の気泡の平均バブル径および混入率を表4に示す。
(実施例25〜27)
洗浄液として表4に示す3種類を順次使用するようにした以外は、実施例24と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄とを行った。また、洗浄液の搬送速度、洗浄液中の気泡の平均バブル径および混入率を表4に示す。
【0133】
(比較例1)
気泡発生器162を停止した以外は、実施例1と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄とを行った。また、洗浄液の搬送速度を表4に示す。
(比較例2)
気泡発生器162を停止した以外は、実施例22と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄とを行った。また、洗浄液の搬送速度を表4に示す。
【0134】
(比較例3)
気泡発生器162を停止した以外は、実施例23と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄とを行った。また、洗浄液の搬送速度を表4に示す。
(比較例4)
気泡発生器162を停止した以外は、実施例24と同様にしてインクの吐出とインクの流路の洗浄とを行った。また、洗浄液の搬送速度を表4に示す。
【0135】
[3.2]着弾位置精度評価
まず、上述したプロセスを10回繰り返した時点で、インクジェット装置のインクの流路に同じインクを再び充填した。充填は、インクの流路内に、カラーフィルター用インクを1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。その後、引き続きインクジェットヘッドの各ノズルから、300000発(300000滴)の液滴の連続吐出を行った。そして、カラーフィルター用インクを充填した後の、インクジェットヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された300000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、これを以下の6段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
【0136】
A:ズレ量dの平均値が1μm未満。
B:ズレ量dの平均値が1μm以上、3μm未満。
C:ズレ量dの平均値が3μm以上、5μm未満。
D:ズレ量dの平均値が5μm以上、10μm未満。
E:ズレ量dの平均値が10μm以上、15μm未満。
F:ズレ量dの平均値が15μm以上。
これらの結果を表3、4に合わせて示す。
【0137】
その後、上述したプロセスを50回および100回繰り返した後に、再び、インクジェット装置のインクの流路に同じインクを充填した。そして、上述したのと同様にして300000発(300000滴)の液滴の連続吐出を行った。そして、カラーフィルター用インクを充填した後の、インクジェットヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された300000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、これを上記6段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
これらの結果を表3、4に合わせて示す。
表3、4から明らかなように、本発明の液滴吐出装置では、インクの流路における汚れを容易に除去することができ、インクの吐出安定性に優れていた。これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
【符号の説明】
【0138】
1…カラーフィルター用インク(インク) 2…洗浄液 10…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁(バンク、遮光部) 100…インクジェット装置(液滴吐出装置) 110…インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド、ヘッド) 111…ヘッド本体 112…振動板 113…ピエゾ素子 114…本体 115…ノズルプレート 115P…インク吐出面 116…リザーバー 117…インク室 118…ノズル(吐出部) 130…ベース 140…テーブル 150…インク貯留槽 151…インク搬送路 152…コック 153…自己封止弁 160、1601、1602、1603…洗浄液貯留槽 161…洗浄液搬送路 161a…第1の搬送路 161b…第2の搬送路 1611、1612、1613…分岐路 162…気泡発生器 1621…気体貯留槽 1622…分岐部 1623…気体搬送路 1623a…下流端 1624…開閉弁 163…バブル径調整手段 164…ポンプ 1651、1652、1653…分岐部 166…コック 167…脱気手段 170…テーブル位置決め手段 171…第1移動手段 172…モーター 180…ヘッド位置決め手段 181…第2移動手段 182…リニアモーター 183、184、185…モーター 190…制御装置 191…駆動回路 200…吸引手段 210…回収タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出方式によるカラーフィルターの製造に用いられ、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むカラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出装置であって、
前記インクを貯留するインク貯留槽と、
前記インク貯留槽から送液された前記インクを吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記インク貯留槽から前記液滴吐出ヘッドへ前記インクを送液するためのインク搬送路と、
当該液滴吐出装置の洗浄に用いる洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽と、
前記洗浄液貯留槽から前記液滴吐出ヘッドへ前記洗浄液を送液するための洗浄液搬送路と、
前記洗浄液中に気泡を混入させる気泡混入手段と、を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記気泡混入手段は、前記洗浄液搬送路に設置されている請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記気泡混入手段は、エアーレーション方式により前記洗浄液中に気泡を混入させるものである請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記気泡混入手段は、前記洗浄液中に混入した気泡のバブル径を調整するバブル径調整手段を備えている請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記洗浄液中の気泡の平均バブル径は、5μm以上100μm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記洗浄液に対して脱気処理を施す脱気手段を有している請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記洗浄液は、前記インクの固形分を溶解または分散可能であり、かつ、前記液性媒体と相溶性を有する液体である請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記洗浄液は、前記インクの前記液性媒体の主成分と同じ液体である請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記洗浄液は、下記式(1)で示される化合物Aを含有する請求項6に記載の液滴吐出装置。
【化1】

【請求項10】
前記洗浄液は、下記式(2)で示される化合物Bを含有する請求項6に記載の液滴吐出装置。
【化2】

【請求項11】
前記洗浄液は、下記式(3)で示される化合物Cを含有する請求項6に記載の液滴吐出装置。
【化3】

【請求項12】
前記洗浄液は、下記式(4)で示される化合物Dを含有する請求項6に記載の液滴吐出装置。
【化4】

【請求項13】
液滴吐出装置によるカラーフィルターの製造に用いられ、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むカラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出装置の洗浄方法であって、
前記液滴吐出装置は、前記インクを貯留するインク貯留槽と、
前記インク貯留槽から送液された前記インクを吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記インク貯留槽から前記液滴吐出ヘッドへ前記インクを送液するためのインク搬送路と、
前記液滴吐出装置の洗浄に用いる洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽と、
前記洗浄液貯留槽から前記液滴吐出ヘッドへ前記洗浄液を送液するための洗浄液搬送路と、を有し、
気泡を混入させた前記洗浄液を前記液滴吐出ヘッドに送液することにより、前記液滴吐出装置内を洗浄することを特徴とする液滴吐出装置の洗浄方法。
【請求項14】
気泡を混入させた前記洗浄液を前記液滴吐出ヘッドに送液することにより、前記液滴吐出装置内を洗浄した後、脱気処理を施した前記洗浄液を送液する請求項13に記載の液滴吐出装置の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103389(P2012−103389A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250552(P2010−250552)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】