説明

液滴吐出装置

【課題】液滴吐出ヘッドのメンテナンスに起因した工程時間の増加を回避して、液滴からなるパターンの生産性を向上させた液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】制御装置22によって識別可能な複数のヘッドユニット30を、それぞれスカラロボットとメンテナンス機構に搭載するようにした。そして、制御装置22からの「描画タイミング信号LP1」をスカラロボットに搭載したヘッドユニット30(描画用ヘッドユニット30D)に送信して識別コードを形成させるようにした。また、制御装置22からの「フラッシングタイミング信号LP2」をメンテナンス機構に搭載したヘッドユニット30(待機ヘッドユニット30S)に送信して、フラッシング動作を実行させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置には、画像を表示するための基板が備えられている。この種の基板には、品質管理や製造管理を目的として、その製造元や製品番号等の製造情報をコード化した識別コード(例えば、2次元コード)が形成されている。こうした識別コードは、配列された多数のパターン形成領域(データセル)の一部に、パターンとしてのコードパターン(例えば、有色の薄膜や凹部等のドット)を備え、そのコードパターンの有無によって製造情報を再現可能にしている。
【0003】
識別コードの形成方法には、金属箔にレーザ光を照射してコードパターンをスパッタ成膜するレーザスパッタ法や、研磨材を含んだ水を基板等に噴射してコードパターンを刻印するウォータージェット法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
しかし、上記レーザスパッタ法では、所望するサイズのコードパターンを得るために、金属箔と基板の間隙を、数〜数十μmに調整しなければならない。つまり、基板と金属箔の表面に対して非常に高い平坦性が要求され、しかも、これらの間隙をμmオーダの精度で調整しなければならない。その結果、識別コードを形成できる対象基板が制限されて、その汎用性を損なう問題を招いていた。また、ウォータージェット法では、基板の刻印時に、水や塵埃、研磨剤等が飛散するため、同基板を汚染する問題があった。
【0005】
近年、こうした生産上の問題を解消する識別コードの形成方法として、インクジェット法が注目されている。インクジェット法では、金属微粒子を含む液滴を液滴吐出ヘッドのノズルから吐出して、その液滴を乾燥させることによってコードパターンを形成する。そのため、識別コードを形成する基板の対象範囲を拡大することができ、同基板の汚染等を回避して識別コードを形成することができる。
【特許文献1】特開平11−77340号公報
【特許文献2】特開2003−127537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記インクジェット法では、ノズルの目詰まりを回避するために、ノズル内で増粘した液状体を強制的に吐出させるフラッシング動作を液滴吐出動作の直前や液滴吐出動作の間に適宜実行している。さらに、上記インクジェット法では、固化した液状体の飛散による基板の汚染を回避するために、ノズルの形成される側面(ノズル形成面)を払拭して固化した液状体を洗浄するクリーニング動作を適宜実行している。
【0007】
そのため、こうしたインクジェット法では、上記フラッシング動作やクリーニング動作等、液滴吐出ヘッドのメンテナンス動作に要する時間分だけ、識別コードを製造する工程時間が長くなり、識別コードの生産性を損なう問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、液滴吐出ヘッドのメンテナンスに起因した工程時間の増加を回避して、液滴からなるパターンの生産性を向上させた液滴吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液滴吐出装置は、加圧手段の加圧によって対象物に液滴を吐出させる複数の液滴吐出ユニットと、前記複数の液滴吐出ユニットを待機させる待機領域と、前記複数の液滴吐出ユニットのいずれか1つを前記対象物上で移動させる移動手段と、前記移動手段にて移動させる前記液滴吐出ユニットの加圧手段を駆動制御する制御手段と、を備えた液滴吐出装置において、前記制御手段は、複数の前記液滴吐出ユニットのそれぞれに、液滴吐出の開始を規定する吐出タイミング信号を送信する送信手段を備え、前記複数の液滴吐出ユニットは、それぞれ前記制御手段の送信した前記吐出タイミング信号を受信する受信手段と、前記受信手段の受信した前記吐出タイミング信号に基づいて前記加圧手段を駆動する駆動するための駆動電力を前記加圧手段に供給する電力供給制御手段と、を備えた。
【0010】
本発明の液滴吐出装置によれば、移動手段で移動させる液滴吐出ユニットと、待機領域に位置する液滴吐出ユニットの双方に、吐出タイミング信号を供給することができる。従って、対象物への液滴吐出処理を実行するときに、待機位置の液滴吐出ユニットに対して液滴吐出動作を実行させることができ、同液滴吐出動作に基づいた液滴吐出ユニットのメンテナンスを実行させることができる。その結果、液滴吐出処理の処理工程時間から、液滴吐出ユニットに関するメンテナンス時間を削減することができ、液滴からなるパターンを形成するときに、パターンの生産性を向上させることができる。
【0011】
この液滴吐出装置において、前記待機領域は、前記液滴吐出ユニットをフラッシングさせるフラッシング領域であってもよい。
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出処理の処理工程時間から、液滴吐出ユニットをフラッシングさせる時間を削減することができ、パターンの生産性を向上させることができる。
【0012】
この液滴吐出装置において、前記待機領域は、前記液滴吐出ユニットを洗浄する洗浄手段を備えるようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出処理の処理工程時間から、液滴吐出ユニットの洗浄時間を削減することができ、パターンの生産性を向上させることができる。
【0013】
この液滴吐出装置において、前記液滴吐出ユニットは、前記加圧手段を駆動するための前記駆動電力を蓄電する蓄電手段を備えるようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、加圧手段を駆動するための駆動電力を蓄電手段から供給させることができる。その結果、駆動電力を供給するための接続配線を削減することができ、各液滴吐出ユニットの移動や待機領域における配置位置の自由度を拡張させることができる。その結果、待機領域に位置する液滴吐出ユニットのメンテナンスを、より円滑に実施することができる。
【0014】
この液滴吐出装置において、前記待機領域は、前記待機領域に待機する前記液滴吐出ユニットの前記蓄電手段を充電可能にするようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、待機領域に待機させた各液滴吐出ユニットの蓄電手段を充電させることができ、待機領域の液滴吐出ユニットを利用することによって、液滴吐出処理中の蓄電量不足を回避させることができる。
【0015】
この液滴吐出装置において、前記制御手段は、前記蓄電手段の蓄電量を取得して、前記蓄電量が基準値以下になったときに、前記蓄電手段を充電させるようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、各液滴吐出ユニットの蓄電量不足を回避することができる。従って、液滴吐出ユニットのメンテナンス不足や、対象物に対する液滴吐出処理不良を回避させることができる。
【0016】
この液滴吐出装置において、前記送信手段は、前記複数の液滴吐出ユニットのそれぞれ
に設けられた複数の前記加圧手段に前記駆動電力を供給するか否かを規定する吐出制御データを送信し、前記電力供給制御手段は、前記受信手段の受信した前記吐出制御データに基づいて選択される前記加圧手段に前記駆動電力を供給するようにしてもよい。
【0017】
この液滴吐出装置によれば、吐出制御データで選択した加圧手段にのみ、液滴吐出処理を実行させることができる。従って、液滴吐出動作の制御性を向上させることができる、ひいては液滴からなるパターンを形成するときに、同パターンの生産性を向上させることができる。
【0018】
この液滴吐出装置において、前記送信手段は、前記液滴吐出ユニットに設けられた複数の前記加圧手段のそれぞれに前記駆動電力を供給するか否かを規定する吐出制御データを送信し、前記液滴吐出ユニットは、前記受信手段の受信した前記吐出制御データを記憶する記憶手段を備え、前記電力供給制御手段は、前記記憶手段の記憶する前記吐出制御データに基づいて選択される前記加圧手段に前記駆動電力を供給するようにしてもよい。
【0019】
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出ユニットに吐出制御データを記憶させるため、各液滴吐出ユニットに対応した液滴吐出を、確実に実行させることができる。その結果、メンテナンスの効率化を図ることができ、液滴からなるパターンを形成するときに、パターンの生産性を向上させることができる。
【0020】
この液滴吐出装置において、前記液滴吐出ユニットは、前記対象物に着弾した前記液滴の領域にレーザ光を照射するレーザ照射手段を備えるようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、レーザ照射手段を備えた液滴吐出ユニットに関するメンテナンス時間を削減することができ、レーザ光の照射によって形成するパターンの生産性を向上させることができる。
【0021】
この液滴吐出装置において、前記移動手段は、前記液滴吐出ユニットを前記対象物上で少なくとも2次元方向に移動させる多関節ロボットであってもよい。
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出ヘッドを多関節ロボットに搭載して移動させるため、液滴吐出ユニットの移動速度の高速化や移動範囲の拡大を図ることができ、ひいては液滴吐出ユニットのメンテナンス性とパターンの生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。まず、本発明の液滴吐出装置を利用して形成した識別コードを有する液晶表示装置1について説明する。
図1において、基板2の一側面(表面2a)には、その略中央位置に液晶分子を封入した四角形状の表示部3が形成されるとともに、その表示部3の外側に、走査線駆動回路4及びデータ線駆動回路5が形成されている。液晶表示装置1は、これら走査線駆動回路4が供給する走査信号と、データ線駆動回路5が供給するデータ信号に基づいて、前記表示部3内の液晶分子の配向状態を制御するようになっている。そして、液晶表示装置1は、図示しない照明装置からの平面光を液晶分子の配向状態によって変調して、表示部3の領域に所望の画像を表示するようになっている。
【0023】
表面2aの左側下隅には、一辺が約1mmの正方形からなるコード領域Sが区画形成されるとともに、そのコード領域S内には、16行×16列のデータセルCが仮想分割されている。そのコード領域Sの選択されたデータセルCの領域には、それぞれパターンとしてのドットDが形成されるとともに、これら複数のドットDによって、液晶表示装置1の識別コード10が構成されている。
【0024】
本実施形態では、ドットDの形成されたデータセルCの中心位置を「目標吐出位置P」
とし、各データセルCの一辺の長さをセル幅Wという。
各ドットDは、その外径がデータセルCの一辺の長さ(前記セル幅W)で形成された半球状のパターンである。このドットDは、パターン形成材料としての金属微粒子(例えば、ニッケル微粒子やマンガン微粒子)を分散媒に分散させた液状体F(図4参照)の液滴FbをデータセルCに吐出させるとともに、データセルCに着弾した液滴Fbを乾燥及び焼成させることによって形成されている。着弾した液滴Fbの乾燥・焼成は、レーザ光B(図4参照)を照射することによって行われる。尚、本実施形態では、液滴Fbを乾燥・焼成することによってドットDを形成するようにしているが、これに限らず、例えばレーザ光Bの乾燥のみによって形成するようにしてもよい。
【0025】
そして、識別コード10は、各データセルC内のドットDの有無によって、液晶表示装置1の製品番号やロット番号等を再現させるようになっている。本実施形態では、上記基板2の長手方向をX矢印方向とし、X矢印方向と直交する方向をY矢印方向という。
【0026】
次に、前記識別コード10を形成するための液滴吐出装置20を図2及び図3に従って説明する。尚、本実施形態では、複数の前記基板2を切出し可能にした対象物としてのマザー基板2Mに、点在する複数の前記識別コード10を形成する場合について説明する。
【0027】
図2において、液滴吐出装置20には、略直方体形状に形成された基台21が備えられている。基台21の内部には、液滴吐出装置20の各部を駆動制御する制御手段としての制御装置22が配設されている。その基台21の一側(X矢印方向側)には、複数の前記マザー基板2Mを収容する基板ストッカ23が配設されている。基板ストッカ23は、図2における上下方向(Z矢印方向及び反Z矢印方向)に移動して、収容する各マザー基板2Mをそれぞれ基台21上に搬出可能にするとともに、基台21上のマザー基板2Mを対応するスロットに搬入可能にしている。
【0028】
基台21の上面21aであって、その基板ストッカ23側(反X矢印方向側)には、Y矢印方向に延びる走行装置24Aが配設されている。走行装置24Aは、その内部に走行モータMA(図5参照)を有して、その走行モータMAの出力軸に駆動連結される搬送装置24Bを、Y矢印方向及び反Y矢印方向に走行させるようになっている。搬送装置24Bは、マザー基板2Mの裏面2Mbを吸着把持可能にした搬送アーム24Hを有する水平多関節ロボットであって、その内部に設けられた搬送モータMB(図5参照)の出力軸に駆動連結される搬送アーム24Hを、XY平面上で伸縮自在に回動するとともに、上下方向に移動するようになっている。
【0029】
基台21の上面21aであって、そのY矢印方向両側には、マザー基板2Mの表面2Maを上側にして同マザー基板2Mを載置する一対の載置台25R,25Lが併設されている。一対の載置台25R,25Lは、それぞれ載置するマザー基板2Mの裏面2Mb側に、前記搬送アーム24Hを抜き出し可能にする空間(凹部25a)を有して、同凹部25a内で前記搬送アーム24Hを上動及び下動することによりマザー基板2Mの搬送及び載置を可能にしている。
【0030】
そして、走行モータMA及び搬送モータMBに所定の駆動制御信号を供給すると、走行装置24A及び搬送装置24Bは、前記基板ストッカ23内の各マザー基板2Mを搬出するとともに、搬出したマザー基板2Mを、載置台25R,25Lのいずれか一方に載置するようになっている。また、走行装置24A及び搬送装置24Bは、載置台25R,25Lに載置したマザー基板2Mを、基板ストッカ23内の所定のスロットに搬入して回収するようになっている。
【0031】
尚、本実施形態では、図3に示すように、載置台25R,25Lに載置されたマザー基
板2Mのコード領域Sであって、その最もX矢印方向側から順に、1行目コード領域S1、2行目コード領域S2、・・・、5行目コード領域S5という。
【0032】
図2において、基台21の上面21aであって、前記一対の載置台25R,25Lの間には、移動手段としての多関節ロボット(以下単に、スカラロボットという。)26が配設されている。そのスカラロボット26には、基台21の上面21aに固設されて上方(Z矢印方向)に延びる主軸27が備えられている。
【0033】
主軸27の上端には、主軸27に設置された第1モータM1(図5参照)の出力軸に駆動連結される第1アーム28aが水平方向(XY平面方向)に回動可能に連結されている。その第1アーム28aの先端部には、第1アーム28aに設置された第2モータM2(図5参照)の出力軸に駆動連結される第2アーム28bが水平方向に回動可能に連結されている。さらに、第2アーム28bの先端部には、第2アーム28bに設置された第3モータM3(図5参照)の出力軸に駆動連結される円柱状の第3アーム28cが、そのZ矢印方向に沿う軸心を回動中心にして回動可能に連結されている。
【0034】
前記第3アーム28cの下端部には、着脱機構28dが配設されて、同着脱機構28dの下側には、液滴吐出ユニットとしてのヘッドユニット30が着脱可能に配設されている。着脱機構28dは、前記制御装置22からの駆動制御信号を受けて、ヘッドユニット30を磁気的あるいは機械的に着脱するようになっている。
【0035】
本実施形態では、着脱機構28dに取着けられたヘッドユニット30を、「描画用ヘッドユニット30D」とし、着脱機構28dから脱離したヘッドユニット30を、「待機ヘッドユニット30S」という。
【0036】
そして、これら第1、第2及び第3モータM1,M2,M3に所定の駆動制御信号を供給すると、スカラロボット26は、対応する第1、第2及び第3アーム28a,28b,28cを回動して、搭載した描画用ヘッドユニット30Dを、上面21a上の所定領域(図3に示す2点鎖線の領域:走査領域E)内で走査するようになっている。
【0037】
詳述すると、図3の矢印で示すように、スカラロボット26は、まず、第1アーム28a、第2アーム28b及び第3アーム28cを回動して、描画用ヘッドユニット30Dを、1行目コード領域S1上のY矢印方向に沿って走査する。1行目コード領域S1上を走査すると、スカラロボット26は、第3アーム28cを回動して、描画用ヘッドユニット30Dを180度だけ左回りに回転する。描画用ヘッドユニット30Dを回転すると、スカラロボット26は、再び第1アーム28a、第2アーム28b及び第3アーム28cを回動して、描画用ヘッドユニット30Dを、2行目コード領域S2上の反Y矢印方向に沿って走査する。
【0038】
以後同様にして、スカラロボット26は、描画用ヘッドユニット30Dを、3行目、4行目、5行目コード領域S3,S4,S5の順に、そのY矢印方向あるいは反Y矢印方向に沿って走査する。すなわち、スカラロボット26は、描画用ヘッドユニット30Dの配置方向を描画用ヘッドユニット30Dの移動する方向(走査方向J)に対応させながら、同描画用ヘッドユニット30Dを、各コード領域Sを結ぶ九十九折り状の走査経路に沿って走査するようになっている。
【0039】
図4において、ヘッドユニット30には、箱体状に形成されたケース30aが備えられて、そのケース30aの外側面下側には、ヘッドユニット30の内部に配設された各種駆動回路に電源を供給するための一対の接続端子30Pが配設されている。そのケース30aの内部には、液状体タンク31が配設されて、前記液状体Fを導出可能に収容するとと
もに、収容する液状体Fを液滴吐出ヘッド32に導出するようになっている。
【0040】
ヘッドユニット30であって、前記液状体タンク31のマザー基板2M側(下側)には、液滴吐出ヘッド32(以下単に、吐出ヘッド32という。)が配設されている。吐出ヘッド32の下側には、ノズルプレート33が備えられるとともに、そのノズルプレート33の下面(ノズル形成面33a)には、マザー基板2Mの法線方向(Z矢印方向)に沿う複数の円形孔(ノズルN)が貫通形成されている。各ノズルNは、ヘッドユニット30の走査方向Jと直交する方向(図4において紙面に垂直な方向)に沿って配列形成されて、その形成ピッチが、前記セル幅Wと同じサイズで形成されている。
【0041】
本実施形態では、マザー基板2Mの表面2Ma上であって、各ノズルNの直下(反Z矢印方向)の位置を、それぞれ「着弾位置PF」という。
図4において、各ノズルNの上側には、前記液状体タンク31に連通するキャビティ34が形成されて、液状体タンク31の導出する液状体Fを、それぞれ対応するノズルN内に供給するようになっている。各キャビティ34の上側には、上下方向に振動可能な振動板35が貼り付けられて、キャビティ34内の容積を拡大・縮小するようになっている。
【0042】
振動板35の上側には、各ノズルNに対応する加圧手段としての複数の圧電素子PZが配設されている。各圧電素子PZは、その駆動量を規定する信号(駆動電力としての圧電素子駆動電圧COM:図6参照)を受けて、対応する駆動量で収縮・伸張するとともに、振動板35を上下方向に振動させて、前記駆動量に対応する容量の液滴Fbを対応するノズルNから吐出させるようになっている。
【0043】
この圧電素子駆動電圧COMを供給するか否かは、「吐出制御データSI」(図6参照)に基づいて選択されて、その「吐出制御データSI」が、制御装置22から描画用ヘッドユニット30Dに送信されるようになっている。
【0044】
そして、スカラロボット26を駆動制御(描画用ヘッドユニット30Dを走査)して、各「着弾位置PF」がコード領域Sの「目標吐出位置P」に位置するタイミングで、選択した圧電素子PZに圧電素子駆動電圧COMを供給する。すると、選択したノズルNからの液滴Fbは、反Z矢印方向に沿って飛行して、対応する「着弾位置PF」(「目標吐出位置P」)に着弾する。「着弾位置PF」に着弾した液滴Fbは、表面2Maで濡れ広がって、乾燥するためのサイズ(本実施形態では、外径が前記セル幅Wになるサイズ)になる。
【0045】
本実施形態では、液滴Fbの吐出動作の開始時から、吐出した液滴Fbの外径がセル幅Wになるまでの時間を「照射待機時間」とし、同「照射待機時間」の間に、描画用ヘッドユニット30Dが前記セル幅Wだけ走査されるようになっている。
【0046】
ヘッドユニット30であって、前記吐出ヘッド32の走査方向Jの反対側には、レーザヘッド37が配設されている。レーザヘッド37の内部には、前記ノズルNに対応してレーザ照射手段を構成する複数の半導体レーザLDが、前記ノズルNの配列方向(図4において紙面に垂直な方向)に沿って配列されている。各半導体レーザLDは、それぞれ半導体レーザLDを駆動するための信号(レーザ駆動電圧VL:図6参照)を受けて、液滴Fbの吸収波長に対応した波長領域のレーザ光Bを、その直下(反Z矢印方向)に出射するようになっている。
【0047】
このレーザ駆動電圧VLを供給するか否かは、制御装置22から描画用ヘッドユニット30Dに送信される前記「吐出制御データSI」(図6参照)に基づいて選択されるようになっている。
【0048】
レーザヘッド37の下端であって、半導体レーザLDの直下(マザー基板2側)には、各半導体レーザLDに対応して光学系を構成する複数の反射ミラーMが、前記ノズルNの配列方向に沿って配列されている。反射ミラーMは、対応する半導体レーザLDからのレーザ光Bを「着弾位置PT」側に全反射するとともに、全反射したレーザ光Bを、対応する「着弾位置PF」の移動経路上の位置(「照射位置PT」)に導くようになっている。
【0049】
尚、本実施形態における「着弾位置PF」と「照射位置PT」との間の距離は、前記描画用ヘッドユニット30Dが「照射待機時間」の間に移動する距離、すなわち前記セル幅Wに設定されている。
【0050】
そして、スカラロボット26を駆動制御(描画用ヘッドユニット30Dを走査)して、各「照射位置PT」が「目標吐出位置P」に位置するタイミングで、選択した半導体レーザLDにレーザ駆動電圧VLを供給する。すると、選択した半導体レーザLDからのレーザ光Bが、対応する反射ミラーMに全反射されて、「照射位置PT」の液滴Fbの領域に照射される。液滴Fbの領域に照射されたレーザ光Bは、液滴Fbの溶媒あるいは分散媒等を蒸発(乾燥)して、同液滴Fbの金属微粒子を焼成する。これによって、「目標吐出位置P」には、データセルCに対応して、セル幅Wの外径からなるドットDが形成される。
【0051】
図3において、スカラロボット26の反X矢印方法には、Y矢印方向に延びる直方体状に形成されたメンテナンス機構40が設けられている。
メンテナンス機構40の上面(搭載面40a)には、メンテナンス機構40の内部まで貫通する4個の挿入口40hが形成されている。各挿入口40hは、前記吐出ヘッド32と略同じサイズに形成されて、吐出ヘッド32を収容可能にしている。そして、挿入口40hに吐出ヘッド32を挿入すると、ヘッドユニット30が搭載面40aに対して位置決め固定される(搭載される)ようになっている。尚、本実施形態では、挿入口40hの配置位置であって、その最もY矢印方向側に位置する挿入口40hから順に、「第1の挿入口40h」、「第2の挿入口40h」、・・・「第4の挿入口40h」という。
【0052】
メンテナンス機構40の搭載面40aであって、各挿入口40hの近傍には、それぞれ一対の外部端子40Pが配設されている。各一対の外部端子40Pは、図2に示すように、それぞれ対応する挿入口40hに挿入された待機ヘッドユニット30Sの前記接続端子30Pと接続されるようになっている。
【0053】
そして、各待機ヘッドユニット30Sを対応するメンテナンス機構40の位置(挿入口40h)に搭載する。すると、待機ヘッドユニット30Sの接続端子30Pが対応する外部端子40Pに接続されて、制御装置22内の電源回路59(図5参照)で変換した直流電源が、外部端子40P及び接続端子30Pを介して、対応する待機ヘッドユニット30S内の電源回路63(図6参照)に供給されるようになっている。
【0054】
メンテナンス機構40の内部であって、各挿入口40hと相対向する位置には、多孔質部材からなる吸収材が配設されて、各挿入口40h内で吐出された液滴Fbを吸収するフラッシング領域FAが形成されている。また、メンテナンス機構40の内部には、図示しない払拭部材を有した洗浄手段としてのクリーニング機構が配設されて、待機ヘッドユニット30Sのノズル形成面33aを払拭部材で払拭して洗浄するようになっている。
【0055】
そして、待機ヘッドユニット30の各圧電素子PZに、それぞれ圧電素子駆動電圧COM(図6参照)を供給すると、各ノズルN内で増粘した液状体Fが強制的に吐出されて、吐出された液状体Fがフラッシング領域FAに吸収される。また、クリーニング機構を駆
動すると、固化した液状体Fで汚染されたノズルNやノズル形成面33aが払拭されて洗浄される。これによって、待機ヘッドユニット30Sの液滴吐出動作を安定化させることができる。
【0056】
すなわち、本実施形態の液滴吐出装置20におけるメンテナンス機構40では、待機ヘッドユニット30Sのそれぞれに直流電源を供給するとともに、フラッシング動作とクリーニング動作によって、その液滴吐出動作を安定化させるようになっている。尚、このメンテナンス機構40の配設された領域によって、待機ヘッドユニット30Sを待機させる待機領域が構成されている。
【0057】
次に、上記のように構成した液滴吐出装置20の電気的構成を図5及び図6に従って説明する。
図5において、制御装置22には、CPU等からなる制御部51、入力部52、発振回路53、記憶部54、走行装置駆動回路55、搬送装置駆動回路56、スカラロボット駆動回路57、送信手段としての送受信部58、電源回路59によって構成されている。
【0058】
制御部51は、記憶部54に格納された各種データと各種制御プログラムに従って、走行装置24A、搬送装置24B及びスカラロボット26を駆動するとともに、吐出ヘッド32、レーザヘッド37及びメンテナンス機構40を駆動制御するようになっている。
【0059】
入力部52には、起動スイッチ、停止スイッチ等の操作スイッチを有して、識別コード10の画像を既定形式の描画データIaとして入力するようになっている。そして、制御部51は、入力部52からの描画データIaに所定の展開処理と施して、二次元描画平面(マザー基板2Mの表面2a)の各位置に液滴Fbを吐出させるか否か(圧電素子PZのオンあるいはオフ)を規定するビットマップデータBMDを生成するようになっている。また、制御部51は、描画データIaにビットマップデータBMDと異なる展開処理を施して圧電素子PZに印加する圧電素子駆動電圧COMの波形データWDを生成するようになっている。そして、制御部51は、生成したビットマップデータBMD及び波形データWDを記憶部54に格納するようになっている。
【0060】
発振回路53は、各種信号を同期するためのクロック信号を生成して出力するようになっている。
記憶部54は、各種ROMやRAM等によって構成されて、識別データID、前記ビットマップデータBMD、フラッシングデータFMD及び前記波形データWDを格納するようになっている。
【0061】
識別データIDは、制御装置22及び各ヘッドユニット30(描画用ヘッドユニット30D及び待機ヘッドユニット30S)のそれぞれに一義的に設定されたデータである。詳述すると、各ヘッドユニット30の識別データIDは、メンテナンス機構40上における各ヘッドユニット30の搭載位置(挿入口40hの位置座標)に対応して設定されている。
【0062】
例えば、図2において、「第1の挿入口40h」に搭載された待機ヘッドユニット30Sには、「第1の挿入口40h」の位置座標に対応する識別データIDが予め設定されている。また、図2において、スカラロボット26に搭載された描画用ヘッドユニット30Dには、「第4の挿入口40h」の位置座標(待機ヘッドユニット30Sの搭載されていない挿入口40hの位置座標)に対応する識別データIDが予め設定されている。すなわち、各ヘッドユニット30の識別データIDは、各ヘッドユニット30の個体とその所在位置とを対応させるように予め設定されている。
【0063】
フラッシングデータFMDは、フラッシング領域FAの各位置に液滴Fbを吐出させるか否か(圧電素子PZのオンあるいはオフ)を規定するデータであって、本実施形態では、全ての圧電素子PZをオンさせるように設定されている。
【0064】
走行装置駆動回路55には、走行モータMAと走行モータ回転検出器MAEが接続されて、制御部51からの駆動制御信号に応答して走行モータMAを正転または逆転させるとともに、走行モータ回転検出器MAEからの検出信号に基づいて、搬送装置24Bの移動方向及び移動量を演算するようになっている。
【0065】
搬送装置駆動回路56には、搬送モータMBと搬送モータ回転検出器MBEが接続されて、制御部51からの駆動制御信号に応答して搬送モータMBを正転または逆転させるとともに、搬送モータ回転検出器MBEからの検出信号に基づいて、搬送アーム24Hの移動方向及び移動量を演算するようになっている。
【0066】
スカラロボット駆動回路57には、第1モータM1、第2モータM2及び第3モータM3が接続されて、制御部51からの駆動制御信号に応答して第1、第2及び第3モータM1,M2,M3を正転または逆転させるようになっている。また、スカラロボット駆動回路57には、第1モータ回転検出器M1E、第2モータ回転検出器M2E及び第3モータ回転検出器M3Eが接続されて、第1、第2及び第3モータ回転検出器M1E,M2E,M3Eからの検出信号に基づいて、描画用ヘッドユニット30Dの移動方向及び移動量を演算するようになっている。
【0067】
そして、制御部51は、スカラロボット駆動回路57を介して、描画用ヘッドユニット30Dを走査方向Jに沿って九十九折り状に走査するとともに、スカラロボット駆動回路57からの演算結果に基づいて各種制御信号を出力するようになっている。
【0068】
詳述すると、制御部51は、スカラロボット駆動回路57からの制御信号に基づいて、「着弾位置PF」が「目標吐出位置P」に位置するタイミングで、同「目標吐出位置P」に液滴Fbを吐出させるための信号(「描画タイミング信号LP1」)を生成するようになっている。また、制御部51は、待機ヘッドユニット30Sの待機している時間を図示しないタイマーで計測して、所定の時間だけ経過する毎に、フラッシング領域FAに液滴Fbを吐出させるための信号(「フラッシングタイミング信号LP2」)を生成するようになっている。
【0069】
尚、本実施形態では、これら「描画タイミング信号LP1」及び「フラッシングタイミング信号LP2」によって、液滴Fbの吐出タイミングを規定する吐出タイミング信号が構成されている。
【0070】
送受信部58には、変復調部58a、送信部58b、受信部58c及びアンテナ58dが配設されている。送受信部58は、各種信号を変復調部58aで変調して送信部58bで電波に変換し、アンテナ58dを介して送信するようになっている。また、送受信部58は、同アンテナ58dを介して各種信号を受信部58cで受信し、変復調部58aで復調して出力するようになっている。
【0071】
そして、制御部51は、前記ビットマップデータBMD及び前記フラッシングデータFMDをクロック信号に同期させてシリアルデータ(「吐出制御データSI」及び「フラッシング制御データFI」)を生成する。「吐出制御データSI」及び「フラッシング制御データFI」を生成すると、制御部51は、「吐出制御データSI」及び「フラッシング制御データFI」のそれぞれに所定の識別データID(例えば、受信先となるヘッドユニット30の識別データID)を付加して、対応するヘッドユニット30(30S)に送信
するようになっている。また、制御部51は、波形データWD、「描画タイミング信号LP1」及び「フラッシングタイミング信号LP2」のそれぞれに識別データIDを付加して、対応するヘッドユニット30(30S)に送信するようになっている。
【0072】
電源回路59は、所定のコンセントに差込まれたプラグから供給される交流電力を所定の直流電力に変換するとともに、その直流電力を所定量の直流電源に変換して制御部51や各種駆動回路等に供給するようになっている。また、電源回路59には、前記メンテナンス機構40に配設された外部端子40Pが接続されて、待機ヘッドユニット30S(接続端子30P)に直流電源を供給するようになっている。
【0073】
図6において、ヘッドユニット30には、CPU等からなる電力供給制御手段を構成する制御部61、発振回路62、電源回路63、受信手段としての送受信部64、記憶部65、吐出ヘッド駆動回路66及びレーザヘッド駆動回路67が備えられている。
【0074】
制御部61は、記憶部65に格納された各種データと各種プログラムに従って、各圧電素子PZ及び各半導体レーザLDを駆動制御するようになっている。
発振回路62は、各種信号を同期するためのクロック信号CLKを生成して出力するようになっている。
【0075】
電源回路63には、前記ケース30aに設けられた接続端子30Pが接続されるとともに、電源制御回路63a、充電回路63b及び蓄電手段としての2次電池63cが備えられている。
【0076】
電源制御回路63aは、接続端子30Pからの直流電源あるいは2次電池63cからの直流電源を変換して、対応する直流電源を各部に供給するようになっている。例えば、電源制御回路63aは、接続端子30Pからの直流電源あるいは2次電池63cからの直流電源を変換してレーザ駆動電圧VLを生成し、同レーザ駆動電圧VLをレーザヘッド駆動回路67に供給するようになっている。
【0077】
また、電源制御回路63aは、接続端子30Pと外部端子40Pとの接続状態を検出して、接続端子30Pと外部端子40Pが接続されていないときに、各部への給電を、接続端子30Pからの直流電源から、2次電池63cからの直流電源に切り替えるようになっている。すなわち、待機ヘッドユニット30Sの電源制御回路63aは、接続端子30P(制御装置22)からの直流電源を各部に給電するようになっている。一方、描画用ヘッドユニット30Dの電源制御回路63aは、2次電池63cからの直流電源を各部に給電するようになっている。
【0078】
また、電源制御回路63aは、2次電池63cの充電状態を検出して、その蓄電量が規定量としての所定の「最小蓄電量」以下になるタイミングで、2次電池63cを充電させるための信号(「充電開始信号QI」)を出力するようになっている。また、電源制御回路63aは、2次電池63cの充電状態を検出して、その蓄電量が「最大蓄電量」に到達するタイミングで、2次電池63cの充電を終了させるための信号(「充電終了信号QE」)を出力するようになっている。尚、本実施形態の「最小蓄電量」は、1つの識別コード10を形成するために必要な電力量で設定されている。
【0079】
充電回路63bは、接続端子30Pから供給される直流電源を受けて、電源制御回路63aによる制御のもとに、2次電池63cを充電させるようになっている。
送受信部64には、変復調部64a、送信部64b、受信部64c及びアンテナ64dが配設されている。送受信部64は、各種信号を変復調部64aで変調して送信部64bで電波に変換し、アンテナ64dを介して送信するようになっている。また、送受信部6
4は、同アンテナ64dを介して各種信号を受信部64cで受信し、変復調部64aで復調して出力するようになっている。
【0080】
そして、制御部61は、送受信部64を介して、制御装置22(送受信部58)からの「吐出制御データSI」及び「フラッシング制御データFI」を受信するようになっている。また、制御部61は、受信した「吐出制御データSI」及び「フラッシング制御データFI」をシリアル/パラレル変換して、前記ビットマップデータBMD及び前記フラッシングデータFMDを生成する。さらに、制御部61は、生成したビットマップデータBMD及びフラッシングデータFMDを記憶部65に格納するようになっている。
【0081】
また、制御部61は、送受信部64を介して、制御装置22(送受信部58)からの波形データWD、「描画タイミング信号LP1」及び「フラッシングタイミング信号LP2」を受信するようになっている。そして、制御部61は、受信した波形データWDを記憶部65に格納するとともに、「描画タイミング信号LP1」及び「フラッシングタイミング信号LP2」を吐出ヘッド駆動回路66に出力するようになっている。
【0082】
また、制御部61は、同「描画タイミング信号LP1」をレーザヘッド駆動回路67に出力するようになっている。さらに、制御部61は、電源回路63からの「充電開始信号QI」及び「充電終了信号QE」を制御装置22に送信するようになっている。
【0083】
記憶部65は、各種ROMやRAM等によって構成されて、識別データID、ビットマップデータBMD、フラッシングデータFMD及び前記波形データWDを格納するようになっている。識別データIDは、送受信部64で受信する各種信号が、対応するヘッドユニット30(待機ヘッドユニット30S)に対する信号であるか否かを判断する際に利用される。
【0084】
そして、制御部61は、記憶部65に格納したビットマップデータBMDをクロック信号CLKに同期させてシリアルデータ(前記「吐出制御データSI」)として生成するとともに、生成した「吐出制御データSI」を、吐出ヘッド駆動回路66及びレーザヘッド駆動回路67に出力するようになっている。また、制御部61は、記憶部65に格納したフラッシングデータFMDをそれぞれクロック信号CLKに同期させたシリアルデータ(前記「フラッシング制御データFI」)を生成するとともに、同「フラッシング制御データFI」を吐出ヘッド駆動回路66に出力するようになっている。さらにまた、制御部61は、記憶部65に格納した波形データWDを吐出ヘッド駆動回路66に出力するようになっている。
【0085】
吐出ヘッド駆動回路66には、D/A変換部66a、増幅部66b及び圧電素子スイッチ回路66cが設けられている。
D/A変換部66aは、制御部61からの前記波形データWDをデジタル/アナログ変換し、アナログ信号として増幅部66bに出力するようになっている。増幅部66bは、D/A変換部66aからのアナログ信号を増幅して、圧電素子駆動電圧COMを生成し、同圧電素子駆動電圧COMを圧電素子スイッチ回路66cに出力するようになっている。圧電素子スイッチ回路66cは、制御部61からの前記「吐出制御データSI」あるいは前記「フラッシング制御データFI」をシリアル/パラレル変換するようになっている。
【0086】
そして、制御装置22からの「描画タイミング信号LP1」が圧電素子スイッチ回路66cに入力される毎に、圧電素子スイッチ回路66cは、シリアル/パラレル変換した「吐出制御データSI」に基づいて、増幅部66bからの圧電素子駆動電圧COMを、選択された圧電素子PZに供給する。圧電素子PZに圧電素子駆動電圧COMが供給されると、対応するノズルNから、一斉に液滴Fbが吐出される。
【0087】
また、制御装置22からの「フラッシングタイミング信号LP2」が圧電素子スイッチ回路66cに入力される毎に、圧電素子スイッチ回路66cは、シリアル/パラレル変換した「フラッシング制御データFI」に基づいて、増幅部66bからの圧電素子駆動電圧COMを全ての圧電素子PZに供給する。全ての圧電素子PZに圧電素子駆動電圧COMが供給されると、全てのノズルNから、一斉に液滴Fbが吐出される(フラッシングが実行される)。
【0088】
レーザヘッド駆動回路67には、半導体レーザスイッチ回路67aが設けられて、制御部61からの「吐出制御データSI」をシリアル/パラレル変換するようになっている。また、半導体レーザスイッチ回路67aには、電源回路63からのレーザ駆動電圧VLが入力されるようになっている。
【0089】
そして、制御装置22からの「描画タイミング信号LP1」が入力される毎に、半導体レーザスイッチ回路67aは、所定の時間(前記「照射待機時間」)だけ待機した後に、シリアル/パラレル変換した「吐出制御データSI」に基づいて、選択された半導体レーザLDにレーザ駆動電圧VLを供給する。
【0090】
すなわち、レーザヘッド駆動回路67は、「照射位置PT」が「目標吐出位置P」に位置するタイミングで、「目標吐出位置P」の液滴Fbの領域に向かってレーザ光Bを照射する。
【0091】
次に、液滴吐出装置20を使って識別コード10を形成する方法について説明する。
まず、入力部52を操作して描画データIaを制御装置22に入力する。すると、制御装置22は、走行装置駆動回路55及び搬送装置駆動回路56を介して、走行装置24A及び搬送装置24Bを駆動制御し、基板ストッカ23のマザー基板2Mを載置台25R(載置台25L)に搬送して載置する。
【0092】
続いて、制御装置22は、描画用ヘッドユニット30Dからの「充電開始信号QI」の有無を確認して、描画用ヘッドユニット30Dの2次電池63cの蓄電量が「最小蓄電量」よりも大きいか否かを判断する。
【0093】
そして、制御装置22は、描画用ヘッドユニット30Dの蓄電量が「最小蓄電量」以下であると判断すると、描画用ヘッドユニット30Dの識別データIDに基づいて、同描画用ヘッドユニット30Dを、対応するメンテナンス機構40の挿入口40hに移載して充電を開始させる。これによって、蓄電量の少ないヘッドユニット30による液滴吐出動作を回避することができ、液滴Fbの吐出不良を回避することができる。
【0094】
蓄電量の少ない描画用ヘッドユニット30Dをメンテナンス機構40に移載すると、制御装置22は、蓄電量が「最小蓄電量」よりも大きい(「充電開始信号QI」を送信していない)待機ヘッドユニット30Sの中から1体のヘッドユニット30を選択して、同ヘッドユニット30をスカラロボット26に搭載させる。これによって、制御装置22は、描画用ヘッドユニット30Dを、蓄電量の十分大きいヘッドユニット30に交換する。
【0095】
尚、制御装置22は、描画用ヘッドユニット30Dの2次電池63cの蓄電量が「最小蓄電量」よりも大きいと判断すると、描画用ヘッドユニット30Dの交換動作をすることなく、識別コード10の形成動作を実行する。
【0096】
描画用ヘッドユニット30Dを交換すると、制御装置22は、描画データIaに所定の展開処理を施してビットマップデータBMD及び波形データWDを生成し、これらビット
マップデータBMD及び波形データWDを記憶部54に格納する。ビットマップデータBMD及び波形データWDを格納すると、制御装置22は、ビットマップデータBMD及びフラッシングデータFMDに基づいて「吐出制御データSI」及び「フラッシング制御データFI」を生成する。そして、制御装置22は、生成した「吐出制御データSI」、「フラッシング制御データFI」及び「波形データWD」を、送受信部58を介して、各ヘッドユニット30に送信する。
【0097】
各ヘッドユニット30は、制御装置22からの「吐出制御データSI」、「フラッシング制御データFI」及び「波形データWD」を受信すると、「吐出制御データSI」、「フラッシング制御データFI」に基づいてビットマップデータBMD及びフラッシングデータFMDを生成する。そして、ヘッドユニット30は、生成したビットマップデータBMD、フラッシングデータFMD及び波形データWDを記憶部65に格納する。これによって、描画データIaに基づくビットマップデータBMD、波形データWD及び予め設定されたフラッシングデータFMDを、制御装置22の記憶部54からヘッドユニット30の記憶部65に転送する。
【0098】
「吐出制御データSI」、「フラッシング制御データFI」及び「波形データWD」を送信すると、制御装置22は、スカラロボット駆動回路57を介してスカラロボット26を駆動制御し、ヘッドユニット30の走査を開始する。そして、制御装置22は、スカラロボット駆動回路57からの演算結果に基づいて、ヘッドユニット30の走査とともに移動する「着弾位置PF」が、1行目コード領域S1の最も反Y矢印方向側に位置するデータセルC(「目標吐出位置P」)に到達したか否かを判断する。
【0099】
この間、描画用ヘッドユニット30Dは、ビットマップデータBMDをクロック信号CLKに同期させて「吐出制御データSI」を生成するとともに、生成した「吐出制御データSI」を吐出ヘッド駆動回路66とレーザヘッド駆動回路67に出力してシリアル/パラレル変換させる。また、描画用ヘッドユニット30Dは、波形データWDをクロック信号CLKに同期させて吐出ヘッド駆動回路66に出力し、波形データWDに基づく圧電素子駆動電圧COMを圧電素子スイッチ回路66cに出力させる。また、描画用ヘッドユニット30Dは、電源回路63の生成したレーザ駆動電圧VLをレーザヘッド駆動回路67に出力させる。
【0100】
ここで、描画用ヘッドユニット30Dの走査によって、「着弾位置PF」が、1行目コード領域S1の最も反Y矢印側に位置するデータセルC(「目標吐出位置P」)に到達する。すると、制御装置22は、「描画タイミング信号LP1」を生成して、同「描画タイミング信号LP1」を描画用ヘッドユニット30Dに送信する。
【0101】
「描画タイミング信号LP1」が送信されると、描画用ヘッドユニット30Dは、制御装置22からの「描画タイミング信号LP1」を受信して、同「描画タイミング信号LP1」を、吐出ヘッド駆動回路66(圧電素子スイッチ回路66c)及びレーザヘッド駆動回路67(半導体レーザスイッチ回路67a)の双方に出力する。
【0102】
吐出ヘッド駆動回路66に「描画タイミング信号LP1」が出力されると、圧電素子スイッチ回路66cは、「吐出制御データSI」に基づいて選択された圧電素子PZに前記圧電素子駆動電圧COMを供給する。
【0103】
すると、対応するノズルNから一斉に液滴Fbが吐出されて、吐出された液滴Fbが、対応する「目標吐出位置P」に着弾して濡れ広がり、吐出動作の開始から「照射待機時間」だけ経過すると、その外径をセル幅Wにする。
【0104】
レーザヘッド駆動回路67に「描画タイミング信号LP1」が出力されると、半導体レーザスイッチ回路67aは、「照射待機時間」だけ待機して、描画用ヘッドユニット30Dの走査によって、各「照射位置PT」を「目標吐出位置P」に相対させる。そして、半導体レーザスイッチ回路67aは、「吐出制御データSI」に基づいて選択された半導体レーザLDに前記レーザ駆動電圧VLを供給する。
【0105】
すると、対応する半導体レーザLDから一斉にレーザ光Bが出射されて、「照射位置PT」(「目標吐出位置P」)の液滴Fbの領域、すなわちセル幅Wからなる液滴Fbの領域に照射される。レーザ光Bの照射された液滴Fbは、その溶媒あるいは分散媒の蒸発と金属微粒子の焼成によって、外径がセル幅WからなるドットDとして表面2Maに固着する。これによって、セル幅Wに整合したドットDが形成される。
【0106】
以後同様に、制御装置22は、描画用ヘッドユニット30Dを走査経路に沿って走査して、各「着弾位置PF」が「目標吐出位置P」に到達する毎に、「描画タイミング信号LP1」を送信する。そして、描画用ヘッドユニット30Dは、「描画タイミング信号LP1」を受信する度に、選択したノズルNから液滴Fbを吐出させて、着弾した液滴Fbがセル幅Wになるタイミングで、液滴Fbの領域にレーザ光Bを照射させる。
【0107】
これによって、マザー基板2Mの各コード領域S内に、全てのドットDを形成することができる。
この間、待機ヘッドユニット30Sは、フラッシングデータFMDをクロック信号CLKに同期させて「フラッシング制御データFI」を生成するとともに、生成した「フラッシング制御データFI」を吐出ヘッド駆動回路66に出力してシリアル/パラレル変換する。また、待機ヘッドユニット30Sは、波形データWDをクロック信号CLKに同期させて吐出ヘッド駆動回路66に出力し、波形データWDに基づく圧電素子駆動電圧COMを圧電素子スイッチ回路66cに出力する。
【0108】
そして、制御装置22が待機ヘッドユニット30Sの待機している時間を計測して、所定の時間だけ経過する毎に、対応する待機ヘッドユニット30Sに対して「フラッシングタイミング信号LP2」を出力する。すると、描画用ヘッドユニット30Dは、制御装置22からの「フラッシングタイミング信号LP2」を受信して、同「フラッシングタイミング信号LP2」を、吐出ヘッド駆動回路66(圧電素子スイッチ回路66c)に出力する。吐出ヘッド駆動回路66に「フラッシングタイミング信号LP2」が出力されると、圧電素子スイッチ回路66cは、「フラッシング制御データFI」に基づいて選択された圧電素子PZに前記圧電素子駆動電圧COMを供給する。
【0109】
これによって、全てのノズルNから一斉に液滴Fbが吐出されて、吐出された液滴Fbが、フラッシング領域FAに吐出される。すなわち、フラッシング動作が実行される。
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、制御装置22によって識別可能な複数のヘッドユニット30を、それぞれスカラロボット26とメンテナンス機構40に交換可能に搭載するようにした。そして、スカラロボット26に搭載したヘッドユニット30(描画用ヘッドユニット30D)に、制御装置22からの「描画タイミング信号LP1」を送信して、識別コード10を形成させるようにした。また、メンテナンス機構40に搭載したヘッドユニット30(待機ヘッドユニット30S)に、制御装置22からの「フラッシングタイミング信号LP2」を送信して、フラッシング動作を実行させるようにした。
【0110】
従って、描画用ヘッドユニット30Dによって識別コード10を形成するときに、待機ヘッドユニット30Sにフラッシング動作を実行させることができる。その結果、フラッシング動作に起因した工程時間の増加を回避して、識別コード10の生産性を向上させる
ことができる。
(2)上記実施形態によれば、ヘッドユニット30に電源回路63を設けて、圧電素子PZを駆動するための圧電素子駆動電圧COMと半導体レーザLDを駆動するためのレーザ駆動電圧VLを生成するようにした。従って、制御装置22とヘッドユニット30との間に、圧電素子駆動電圧COM及びレーザ駆動電圧VLを供給するための接続配線を形成することなく、液滴吐出動作とレーザ照射動作を実行させることができる。その結果、各ヘッドユニット30の移動やメンテナンス機構40の配設位置等の自由度を拡張させることができる。そのため、ヘッドユニット30のメンテナンスを、より円滑に実施することができる。
(3)上記実施形態によれば、ヘッドユニット30の接続端子30Pとメンテナンス機構40の外部端子40Pを接続させて、待機ヘッドユニット30Sの2次電池63cを充電させるようにした。従って、充電した待機ヘッドユニット30Sを描画用ヘッドユニット30Dに交換利用することによって、識別コード10を形成する際の蓄電量の不足を回避させることができる。
(4)上記実施形態によれば、ヘッドユニット30の蓄電量が「最小蓄電量」以下になるタイミングで、同ヘッドユニット30に「充電開始信号QI」を送信させるようにした。そして、「充電開始信号QI」を受信すると、制御装置22によって、同ヘッドユニット30をメンテナンス機構40に移載させるとともに、「最小蓄電量」よりも大きい蓄電量の待機ヘッドユニット30Sを、スカラロボット26に搭載させるようにした。
【0111】
従って、描画用ヘッドユニット30Dによって識別コード10を形成するときに、同描画用ヘッドユニット30Dの蓄電量不足を回避させることができる。その結果、識別コード10の形成不良を回避して、同識別コード10の生産性を向上させることができる。
(5)上記実施形態によれば、制御装置22から各ヘッドユニット30に、「吐出制御信号SI」(「フラッシング制御信号FI」)を送信するようにした。また、「吐出制御信号SI」(「フラッシング制御信号FI」)を受信する各ヘッドユニット30に、同「吐出制御信号SI」(同「フラッシング制御信号FI」)に基づくビットマップデータBMD(フラッシングデータFMD)を生成させるようにした。そして、生成したビットマップデータBMD(フラッシングデータFMD)に基づいて各圧電素子PZを選択駆動させるようにした。
【0112】
従って、予め選択したノズルNによって液滴吐出動作(フラッシング動作)を実行させることができる。その結果、液滴吐出動作の制御性を向上させることができ、フラッシング動作の効率化を図ることができる。
(6)上記実施形態によれば、ヘッドユニット30にレーザヘッド37を配設して、着弾した液滴Fbに対してレーザ光Bを照射させるようにした。従って、液滴Fbの形状制御性を向上させることができる。その結果、識別コード10の生産性を、さらに向上させることができる。
【0113】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、待機ヘッドユニット30Sにフラッシング動作のみを実行させる構成にした。これに限らず、例えばメンテナンス機構40(クリーニング機構)を駆動して、待機ヘッドユニット30Sの吐出ヘッド32を洗浄する構成にしてもよく、ヘッドユニット30の液滴吐出動作(あるいはレーザヘッド37の乾燥・焼成動作)を安定化させる構成であればよい。
・上記実施形態では、蓄電手段を2次電池63cに具体化した。これに限らず、例えば、蓄電手段を電気二重層キャパシタに具体化してもよく、あるいは機械力を電気力に変換する機構に具体化してもよい。
・上記実施形態では、加圧手段を圧電素子PZに具体化した。これに限らず、加圧手段は、キャビティ34内の液状体Fを加熱して、液状体Fの体積膨張によって同液状体Fを加
圧する抵抗加熱素子であってもよく、液状体Fを加圧可能な手段であればよい。
【0114】
これによれば、液滴Fbを吐出するための駆動電圧を小さくすることができる。
・上記実施形態では、「吐出制御データSI」に基づいて、各半導体レーザLDに対してレーザ駆動電圧VLを供給するか否かを規定する構成にした。これに限らず、例えばレーザ駆動電圧VLを供給するか否か規定する信号(レーザ照射制御信号)を別途制御装置22で生成し、同レーザ照射制御信号をヘッドユニット30に送信して、レーザ駆動電圧VLの供給を制御するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ヘッドユニット30にレーザヘッド37を搭載する構成にしたが、これに限らず、レーザヘッド37を搭載しない構成であってもよい。これによれば、液滴吐出ヘッド32の移動速度を、より高速で制御することができ、識別コード10の生産性を向上させことができる。
・上記実施形態では、移動手段を多関節ロボットに具体化したが、これに限らず、ヘッドユニット30を対象物上で移動可能な手段であればよい。
・上記実施形態では、液滴Fbの領域に照射するレーザ光Bによって、液滴Fbを乾燥・焼成する構成にした。これに限らず、例えば照射するレーザ光Bのエネルギーによって、液滴Fbを所望の方向に流動させる構成にしてもよく、あるいは液滴Fbの外縁のみに照射して液滴Fbをピニングする構成にしてもよい。すなわち、液滴Fbの領域に照射するレーザ光Bによってパターンを形成する構成であればよい。
・上記実施形態では、液滴Fbによって半円球状のドットDを形成する構成にしたが、これに限らず、例えば、楕円形状のドットや線状のパターンを形成する構成であってもよい。
・上記実施形態では、吐出した液滴Fbによって識別コード10のドットDを形成する構成にした。これに限らず、例えば液晶表示装置1や、平面状の電子放出素子を備えて同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型装置(FEDやSED等)に設けられる各種薄膜、金属配線、カラーフィルタ等を形成する構成にしてもよく、着弾した液滴Fbによってパターンを形成する構成であればよい。
・上記実施形態では、対象物をマザー基板2Mに具体化したが、これに限らず、例えばシリコン基板やフレキシブル基板、あるいは金属基板等であってもよく、着弾した液滴Fbによってパターンを形成する対象物であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本実施形態における液晶表示装置を示す平面図。
【図2】同じく、液滴吐出装置を示す概略斜視図。
【図3】同じく、液適吐出装置を示す概略平面図。
【図4】同じく、ヘッドユニットを説明する説明図。
【図5】同じく、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気ブロック回路図。
【図6】同じく、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気ブロック回路図。
【符号の説明】
【0116】
2M…対象物としてのマザー基板、20…液滴吐出装置、26…移動手段としての多関節ロボット、30…液滴吐出ユニットとしてのヘッドユニット、61…電力供給制御手段を構成する制御部、64…記憶手段としての記憶部、B…レーザ光、FA…フラッシング領域、Fb…液滴、LP1…吐出タイミング信号を構成する描画タイミング信号、LP2…吐出タイミング信号を構成するフラッシングタイミング信号、COM…駆動電力としての圧電素子駆動電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧手段の加圧によって対象物に液滴を吐出させる複数の液滴吐出ユニットと、前記複数の液滴吐出ユニットを待機させる待機領域と、前記複数の液滴吐出ユニットのいずれか1つを前記対象物上で移動させる移動手段と、前記移動手段にて移動させる前記液滴吐出ユニットの加圧手段を駆動制御する制御手段と、を備えた液滴吐出装置において、
前記制御手段は、複数の前記液滴吐出ユニットのそれぞれに、液滴吐出の開始を規定する吐出タイミング信号を送信する送信手段を備え、
前記複数の液滴吐出ユニットは、それぞれ前記制御手段の送信した前記吐出タイミング信号を受信する受信手段と、前記受信手段の受信した前記吐出タイミング信号に基づいて前記加圧手段を駆動する駆動するための駆動電力を前記加圧手段に供給する電力供給制御手段と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記待機領域は、前記液滴吐出ユニットをフラッシングさせるフラッシング領域であることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液滴吐出装置において、
前記待機領域は、前記液滴吐出ユニットを洗浄する洗浄手段を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ユニットは、前記加圧手段を駆動するための前記駆動電力を蓄電する蓄電手段を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液滴吐出装置において、
前記待機領域は、前記待機領域に待機する前記液滴吐出ユニットの前記蓄電手段を充電可能にすることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液滴吐出装置において、
前記制御手段は、前記蓄電手段の蓄電量を取得して、前記蓄電量が基準値以下になったときに、前記蓄電手段を充電させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
前記送信手段は、前記複数の液滴吐出ユニットのそれぞれに設けられた複数の前記加圧手段に前記駆動電力を供給するか否かを規定する吐出制御データを送信し、
前記電力供給制御手段は、前記受信手段の受信した前記吐出制御データに基づいて選択される前記加圧手段に前記駆動電力を供給することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
前記送信手段は、前記液滴吐出ユニットに設けられた複数の前記加圧手段のそれぞれに前記駆動電力を供給するか否かを規定する吐出制御データを送信し、
前記液滴吐出ユニットは、前記受信手段の受信した前記吐出制御データを記憶する記憶手段を備え、
前記電力供給制御手段は、前記記憶手段の記憶する前記吐出制御データに基づいて選択される前記加圧手段に前記駆動電力を供給することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ユニットは、前記対象物に着弾した前記液滴の領域にレーザ光を照射する
レーザ照射手段を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
前記移動手段は、前記液滴吐出ユニットを前記対象物上で少なくとも2次元方向に移動させる多関節ロボットであることを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−136257(P2007−136257A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329330(P2005−329330)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】