説明

液状化粧料

【課題】長期安定性に優れ、(半)固形油分を安定に配合することでしっとりとした使用感触を付与でき、且つ簡便に製造できる白濁した液状化粧料を提供する。
【解決手段】(1)POE・POP共重合体ジアルキルエーテルを0.01〜5質量%と、(2)POE(30)フィトステロール、POEオクチルドデシルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルおよびPOE硬化ヒマシ油から選ばれる親水性界面活性剤を0.01〜1.0質量%と、(3)セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜15)エーテルリン酸(2E.O.)およびジイソステアリン酸ポリグリセリル−2から選ばれる親油性活性剤を0.001〜0.5質量%と、(4)イソステアリン酸を全油分中20質量%以上含む油分を0.01〜2質量%、とを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状化粧料に関し、さらに詳しくは白濁系でさっぱりとした化粧水状の液状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、油分を微粒子化した外観上白濁した化粧料が、肌に優しい感じを与え、また、嗜好にあった使用感触と肌改善効果を幅広く実現できることから好まれるようになってきており、スキンケア製品のみならず、ボディケア製品にも幅広く用いられるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1では、イソステアリン酸と親水性界面活性剤を用いることで半透明〜透明の化粧水状化粧料が得られている。しかしながらこの化粧料は、油分配合量を多くしていった時に、べたつきの原因となる活性剤量も増え良好な使用性が得られない傾向となる。
また特許文献2では、親水性非イオン活性剤と親油性非イオン性活性剤とを併用し、油分中にイソステアリン酸を必須成分として配合した白濁化粧料が開示されている。しかし、この白濁化粧料は、量産の際には乳化温度を低温で行うことが必要であるために、半固形油分や固形油分を配合しにくいという欠点がある。
また特許文献3では、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルを用いた水中油型の超微細エマルション組成物が開示されている。しかしこの超微細エマルション組成物において固形油分、半固形油分が安定に配合しにくいという欠点があった。
このように、従来技術では、しっとりさ等の使用性を高めるために固形油分や半固形油分を配合しようとすると、系の安定性が損なわれたり、製造工程上の問題が生じたりして、固形油分や半固形油分の配合が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−270807号公報
【特許文献2】特開2005−255667号公報
【特許文献3】特開2007−15972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上述べたような従来の事情に対処してなされたもので、長期安定性に優れ、さらに固形・半固形油分を安定に配合することでしっとりとした使用感触とエモリエント効果を付与することが可能で、且つ簡便に製造できる白濁した液状化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、次の(1)〜(4)成分を含むことを特徴とする液状化粧料である。
(1)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルを0.01〜5質量%
(2)ポリオキシエチレン(30)フィトステロール、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる親水性界面活性剤を0.01〜1.0質量%
(3)セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜15)エーテルリン酸(2E.O.)およびジイソステアリン酸ポリグリセリル−2から選ばれる親油性活性剤を0.001〜0.5質量%
(4)イソステアリン酸を全油分中20質量%以上含む油分を0.01〜2質量%
【0007】
本発明によれば、従来、油分を溶解させるために2価グリコールを使用していたのを、その一部または全部をポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルに置換することで、界面活性剤の曇点が上がる。このことにより、製造工程における高温化が可能となり、固形油分や半固形油分の配合が可能となる。
また、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルが活性助剤のような働きをすることにより、高いせん断力を必要とせず、製造工程が簡略化される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、長期安定性に優れ、さらに固形・半固形油分を安定に配合することでしっとりとした使用感触とエモリエント効果を付与することが可能で、且つ簡便に製造できる白濁した液状化粧料とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
(1)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテル
本発明で用いられるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルとしては、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン共重合体ジメチルエーテル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン共重合体ジエチルエーテルが挙げられ、特にランダム型であることが好適である。
なお、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンランダム共重合体ジアルキルエーテルは公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。
オキシプロピレンの平均付加モル数は1〜10、オキシエチレン鎖の平均付加モル数は9〜100、オキシエチレンとオキシプロピレンの平均付加モル数の合計に対するオキシエチレンの平均付加モル数の割合[POE/(POE+POP)]は0.5〜0.9であることが好ましい。ここで、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンのことを指す。
【0010】
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルの配合量は、液状化粧料全量中、0.01〜5質量%であり、好ましくは0.3〜3質量%である。ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルが少なすぎても多すぎても粒子が大きくなり安定性が悪くなる傾向にある。
【0011】
(2)親水性界面活性剤
本発明で用いられる親水性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(30)フィトステロール、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれるものである。上記成分以外の親水性界面活性剤を用いた場合には、安定に油分を配合できず、高温で分離が生じる。(2)成分のうち特に好ましいのは、ポリオキシエチレン(30)フィトステロールである。
【0012】
ポリオキシエチレン(30)フィトステロールとして市販されているものとしては、NIKKOL BPS−30(日光ケミカルズ株式会社製商品名)が挙げられる。
【0013】
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルとして市販されているものとしては、Emalex OD−30(日本エマルジョン株式会社製商品名)、セオドールE-2020(日本エマルジョン株式会社製商品名)が挙げられる。
【0014】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油として市販されているものとしては、NIKKOL HCO−60(日光ケミカルズ株式会社製商品名)が挙げられる。
【0015】
本発明の液状化粧料における(2)成分の配合量は、0.01〜1.0質量%であり、好ましくは0.04〜0.1質量%である。0.01質量%未満では安定な白濁化粧料が得られず分離が生じ、1.0質量%を超えると、べたつく使用感となる。
【0016】
(3)親油性界面活性剤
本発明で用いられる親油性界面活性剤は、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜15)エーテルリン酸(2E.O.)およびジイソステアリン酸ポリグリセリル−2から選ばれるものである。上記成分以外の親油性界面活性剤を用いた場合には、安定な白濁化粧料が得られない。
セスキオレイン酸ソルビタンとして市販されているものとしては、NOFABLE SO−852S(日油社製商品名)、セスキイソステアリン酸ソルビタンとしてはエステモール182V(日清オイリオ株式会社製商品名)、セスキステアリン酸ソルビタンとしてはニッコールSS−15(日光ケミカル社製商品名)、トリオレイン酸ソルビタンとしてはNOFABLE SO−853S(日油社製商品名)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C15)エーテルリン酸(2E.O.)としてはDDP−2(日光ケミカル社製商品名)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2としてはWOGEL−18DV(マツモト交商社製商品名)が挙げられる。
【0017】
本発明の液状化粧料における親油性界面活性剤の配合量は、合計で0.001〜0.5質量%であり、好ましくは0.003〜0.03質量%である。0.001質量%未満では油分を安定に配合できず、0.5質量%を超えても、安定な白濁した化粧料が得られない。
【0018】
(4)油分
本発明においては、イソステアリン酸を必須成分として用いる。イソステアリン酸の配合量は、全油分に対して20質量%以上であり、油分としてイソステアリン酸のみを用いてもよい。イソステアリン酸の配合量は、好ましくは全油分に対して30〜50質量%である。イソステアリン酸の配合量が油分の20質量%未満では、分離が生じる。
【0019】
本発明の液状化粧料に用いるその他の油分は化粧料に配合できるものであれば特に制限されず、天然物由来のものでも合成のものでもよく、液体でも固体でもよい。
【0020】
例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリイソオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ミリスチル、オクタン酸イソセチル、イソオクタン酸セチル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸オレイル、エルカ酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジオクチル、12−ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、アジピン酸ジオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、メトキシケイ皮酸オクチル、乳酸オクチルドデシル、乳酸イソステアリル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、揮発性環状シリコーン、揮発性ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール等の液体油脂;カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、コレステロール、フィトステロール、マイクロクリスタリンワックス、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸等の固体油脂及びロウが挙げられる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
これらの油分のうち、液状油分としては、スクワラン、オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、イソヘキサデカン、イソステアリルアルコールなどの炭化水素油が好ましく、半固形油分としては、ワセリン、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ脂肪酸コレステリルが好ましく、固形油分としては、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコールが好ましい。
本発明においては、上記したその他の油分をイソステアリン酸と共に組み合わせて用いることにより、安定性が良好で使用感触に優れた液状化粧料を得ることができる。
【0022】
本発明の液状化粧料においては、(4)成分である油分中に固形油分および/または半固形油分を全油分中、1〜80質量%、より望ましくは10〜80質量%用いることがしっとりさ等の使用感触向上のためには好ましい。
【0023】
また本発明の液状化粧料においては、前記成分(2)成分と(3)成分の合計量と、(4)成分(すなわち全油分)との配合比率(質量比)が、(2)+(3):(4)=10:1〜1:10であることが好ましく、さらに好ましくは(2)+(3):(4)=10:1〜1:5である。この範囲で、安定な液状化粧料とすることができる。
【0024】
本発明の液状化粧料の油分中には、さらに油溶性薬剤及び/又は香料を配合することができ、薬剤が皮膚へ浸透することによる化粧料としての効果を高めたり、香料によるアロマコロジー効果を付与したりすることができる。
【0025】
油溶性薬剤としては、例えば、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、リボフラビン酪酸エステル、ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、ジラウリン酸ピリドキシン、ジパルミチン酸アスコルビル、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、トコフェロール類、酢酸トコフェロール、メナジオン、ニコチン酸ベンジル、トリクロロカルバニリド、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、グリチルレチン酸ステアリル、γ−オリザノール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0026】
本発明の液状化粧料には、イソステアリン酸を含む油分が0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%含有される。0.01質量%未満では白濁度が低く(L値が高く)、1質量%を超えると、安定な白濁化粧水を得ることは難しい。
また、油分中にはイソステアリン酸が20質量%以上含まれる。油分の全量をイソステアリン酸としてもよい。イソステアリン酸が20質量%未満では安定性に欠けるものとなる。
【0027】
本発明の液状化粧料には上記成分のほか、一般の化粧料に用いられる成分、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、それ以上の分子量のポリエチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、それ以上の分子量のポリグリセリン類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール類;フルクトース、グルコース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、トレハロース等の糖類;タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト等の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)等の無機赤色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の黒色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタンコーテッドマイカ、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号などのジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料;クロロフィル、β−カロチン等の天然色素;アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、ジェランガム、カラギーナン等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンとビニルアセテート共重合物、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アルカノールアミン、アルキルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合物、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリメタクリロイルオキシトリメチルアンモニウム等のアクリル系高子;アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、ビタミンB6塩酸塩、パントテニルエチルエーテル等のビタミン類;紫外線吸収剤、キレート剤、殺菌剤、消炎剤、防腐剤、植物抽出液、アミノ酸、清涼剤等の薬剤;エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、アルブチン、トラネキサム酸、トラネキサム酸のアミド体又はその塩、サリチル酸、アルコキシサリチル酸又はその塩、3−O−エチルアスコルビン酸又はその塩等の水溶性の薬剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジメチルエーテルランダム共重合体等の保湿剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。
【0028】
本発明の液状化粧料は、攪拌溶解した水相の中に、加熱溶解した界面活性剤および油分層を攪拌しながら添加することにより製造することができる。本発明による液状化粧料の油分の分散滴の平均粒子径は、50〜300nmであることが好ましい。
【0029】
本発明の液状化粧料は、L値が1〜80の白濁した化粧料であることが好ましい。ここで、L値とは、濁り度合を表す尺度で、分光光度計(グレタグマクベスGE−700A:グレタグマクベス社製)を用い、ガラスセルに精製水5mlを入れて、光を透過させたときの透明度を100とし、光を完全に遮断して、透過光がないときの透明度を0として測定したときの値である。
【0030】
本発明の液状化粧料は、スキンケアを目的とした化粧水、美容液、乳液として用いる他、サンスクリーン基剤、サンタン基剤、洗浄基剤として用いることができる。このうち特に化粧水状であるものが好ましい。
【実施例】
【0031】
次に本発明の実施例について説明する。
実施例に先立ち、本実施例で行った評価方法およびその基準について述べる。
【0032】
(安定性)
(1)平均粒子径
調製直後の化粧水について、ALV-5000/EPP Multiple Tau Digital Correlator (丸文株式会社製)で乳化滴の平均粒子径を測定した。
【0033】
(2)振とう安定性
輸送および使用中の振動や振とう後の安定性は、井内盛栄堂株式会社のシェーカーにサンプルを半量充填した100mLガラス容器をセットし、4cmの距離を300回/分で20分間振とうした後の平均粒子径を測定し、評価した。
◎:平均粒子径 150nm以下。
○:平均粒子径 150nmを超え、300nm以下。
△:平均粒子径 300nmを超え、1000nm以下。
×:平均粒子径 1000nmを超える。
【0034】
(3)長期安定性
長期安定性は、試験品を0℃、50℃の各温度で3ヶ月間保存し、次の基準に従って評価した。
◎:分離、クリーミング、平均粒子径の変化などがまったく認められない。
○:わずかにクリーミング、分離や平均粒子系の変化が認められ、イソステアリン酸などの析出は認められない。
△:わずかにクリーミング、分離、平均粒子径の変化が認められ、イソステアリン酸などの析出が認められる。
×:分離、クリーミング、平均粒子径の変化、イソステアリン酸の析出が認められる。
【0035】
(使用性)
本発明の白濁化粧料の使用性の評価は女子パネル20名で行い、使用テストとして次の基準にしたがって評価した。
◎:非常に感じると評価したパネルが16名以上。
○:非常に感じると評価したパネルが10〜15名。
△:非常に感じると評価したパネルが6〜9名。
×:非常に感じると評価したパネルが5名以下。
【0036】
実施例1〜18、比較例1〜5
次の表1〜4に記載した処方で、下記の方法によって液状化粧料を製造し、その特性を上記した方法で評価した。その結果を併せて表1〜4に記載する。またL値について測定した結果を記載する。
(製法)
加熱溶解した界面活性剤、油分、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルを含む溶媒を均一混合し、水相の中に攪拌しながら添加して白濁化粧水を得た。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
※1:ニッコールBPS−30(日光ケミカルズ社製)
※2:エステモール182V(日清オイリオ社製)
※3:NOFABLE SO−852S(日油社製)
【0042】
(実施例19) 白濁化粧水
(処方) 質量%
エチルアルコール 5
グリセリン 1
1,3−ブチレングリコール 5
ポリオキシエチレン(17)・ポリオキシプロピレン(04)共重合体ジメチルエーテル 0.3
ポリオキシエチレン(30)フィトステリルエーテル 0.09
セスキオレイン酸ソルビタン 0.03
オレフィンオリゴマー 0.3
イソステアリン酸 0.2
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.03
トリメチルグリシン 1
ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.1
α−トコフェロール 0.05
チオタウリン 0.1
緑茶エキス 0.1
西洋ハッカエキス 0.1
イリス根エキス 0.1
EDTA3ナトリウム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.02
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
香料 適量
【0043】
(実施例20) 美白用白濁化粧水
(処方) 質量%
エタノール 10
ジプロピレングリコール 1
ポリエチレングリコール1000 1
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1
ポリオキシエチレン(17)・ポリオキシプロピレン(04)共重合体ジメチルエーテル 0.4
ポリオキシエチレン(30)フィトステリルエーテル 0.09
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.03
ワセリン 0.15
流動パラフィン 0.15
イソステアリン酸 0.2
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
塩酸アルギニン 0.1
トラネキサム酸 2
オウゴンエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
オドリコソウエキス 0.1
エデト酸三ナトリウム 0.05
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.01
ジブチルヒドロキシトルエン 適量
パラベン 適量
海洋深層水 3
精製水 残余
香料 適量
【0044】
(実施例21) 美白用白濁化粧水
(処方) 質量%
エタノール 10
ジプロピレングリコール 1
ポリエチレングリコール1000 1
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1
ポリオキシエチレン(14)・ポリオキシプロピレン(07)共重合体ジエチルエーテル 0.4
ポリオキシエチレン(30)オクチルドデシルエーテル 0.09
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.03
水添ポリイソブテン 0.25
イソステアリン酸 0.25
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
塩酸アルギニン 0.1
L−アスコルビン酸グルコシド 2
水酸化カリウム 0.4
オウゴンエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
オドリコソウエキス 0.1
エデト酸三ナトリウム 0.05
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.01
ジブチルヒドロキシトルエン 適量
パラベン 適量
海洋深層水 3
精製水 残余
香料 適量
【0045】
(実施例22) 白濁化粧水
(処方) 質量%
グリセリン 2
1,3−ブチレングリコール 4
エリスリトール 1
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1
ポリオキシエチレン(14)・ポリオキシプロピレン(07)共重合体ジメチルエーテル 1
ポリオキシエチレン(30)フィトステリルエーテル 0.09
セスキオレイン酸ソルビタン 0.03
ベヘニルアルコール 0.1
トリー2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.2
イソステアリン酸 0.2
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
フェノキシエタノール 適量
N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸 0.1
精製水 残余
【0046】
(実施例23) 白濁化粧水
(処方) 質量%
グリセリン 2
1,3−ブチレングリコール 4
エリスリトール 1
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1
ポリオキシエチレン(14)・ポリオキシプロピレン(07)共重合体ジメチルエーテル 1
ポリオキシエチレン(30)フィトステリルエーテル 0.09
セスキオレイン酸ソルビタン 0.03
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.1
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.2
イソステアリン酸 0.2
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
フェノキシエタノール 適量
N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸 0.1
精製水 残余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(1)〜(4)成分を含むことを特徴とする液状化粧料。
(1)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体ジアルキルエーテルを0.01〜5質量%
(2)ポリオキシエチレン(30)フィトステロール、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる親水性界面活性剤を0.01〜1.0質量%
(3)セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜15)エーテルリン酸(2E.O.)およびジイソステアリン酸ポリグリセリル−2から選ばれる親油性活性剤を0.001〜0.5質量%
(4)イソステアリン酸を全油分中20質量%以上含む油分を0.01〜2質量%
【請求項2】
(4)成分中に固形・半固形油分を1〜80質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の液状化粧料。
【請求項3】
前記成分(2)成分と(3)成分の合計量と、(4)成分との配合比率(質量比)が、(2)+(3):(4)=10:1〜1:10であることを特徴とする請求項1に記載の液状化粧料。
【請求項4】
油分の分散滴の平均粒子径が50〜300nmであることを特徴とする請求項1に記載の液状化粧料。
【請求項5】
L値が1〜80の白濁した化粧料であることを特徴とする請求項1に記載の液状化粧料。

【公開番号】特開2010−173999(P2010−173999A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21357(P2009−21357)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】