説明

液状組成物および金属ベース回路基板

【課題】金属基板と絶縁フィルムと導電箔とを有する金属ベース回路基板において、絶縁フィルムの熱伝導性および密着性を改善する。
【解決手段】液晶ポリエステルと溶媒と熱伝導充填材とを含み、この熱伝導充填材が体積平均粒径10μm以上の窒化ホウ素である液状組成物を調製する。この液状組成物の流延物から溶媒を除去して絶縁フィルム3を形成する。金属基板2の表面に絶縁フィルム3を積層し、絶縁フィルム3の表面に導電箔5を積層して、3層構造の金属ベース回路基板1を形成する。これにより、液晶ポリエステルに熱伝導充填材を高充填する場合であっても、絶縁フィルム3の熱伝導率および密着強度が増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステル、溶媒および熱伝導充填材を含む液状組成物と、この液状組成物を用いた金属ベース回路基板とに関するものである。
【0002】
ここで、熱伝導充填材とは、熱伝導性を有する無機または有機の充填材(フィラー)を意味する。
【背景技術】
【0003】
近年、パワートランジスタやハイブリッドICの高密度実装化が進んでいることに対応して、これらの発熱部品から発生する熱を考慮した金属ベース回路基板(金属ベース配線基板、金属ベース基板)が提案されている。例えば、特許文献1、2に開示されているように、金属ベース回路基板の放熱性を高めて実装部品の動作を安定させるため、金属基板(金属ベース)と回路形成用の導電箔(金属薄、金属薄層)との間に介在する絶縁フィルム(接着剤層)に熱伝導充填材(無機粉末、球状無機充填材)を含有させる技術が報告されている。ここで、絶縁フィルムとしては、エポキシ樹脂などの高分子化合物からなるものが用いられ、熱伝導充填材としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素その他が用いられている。
【0004】
一方、液晶ポリエステルは、エポキシ樹脂などに比べて熱伝導率が高いことが知られており、金属ベース回路基板を構成する絶縁フィルムの材料として利用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−323889号公報(段落〔0004〕〔0006〕〔0007〕の欄)
【特許文献2】特開平5−167212号公報(段落〔0007〕〔0008〕の欄)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液晶ポリエステルからなる絶縁フィルムを用いて金属ベース回路基板を構成する場合、熱伝導率をさらに高めるべく、絶縁フィルムに熱伝導充填材を高充填すると、それに伴って絶縁フィルムは、その中の液晶ポリエステルと導電箔との接触面積が実質的に減少して密着性が乏しくなる。この導電箔は、回路パターンの形成時に微細な形状に加工される傾向にあるため、微細なパターンを形成しても絶縁フィルムから剥離しないよう密着性を確保する必要がある。
【0007】
特に、熱伝導充填材として窒化ホウ素を用いる場合、窒化ホウ素の縦配向によりBruggemanの式で予想される以上の高熱伝導率を達成できることを本発明者らは見出したが、絶縁フィルムに窒化ホウ素を高充填すると、それに伴って絶縁フィルムは、やはり上記のとおり、その中の液晶ポリエステルと導電箔との接触面積が実質的に減少して密着性が乏しくなる。
【0008】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、熱伝導性に優れるのみならず、導電箔との密着性にも優れた絶縁フィルムの材料として好適に使用可能な液状組成物を提供することを第1の目的とし、また、このような液状組成物からなる絶縁フィルムを備えた放熱性の高い金属ベース回路基板を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明者は、液晶ポリエステルに熱伝導充填材として窒化ホウ素を含有させた液状組成物からなる絶縁フィルムにおいて、その熱伝導率および密着強度が窒化ホウ素の粒径に大きく依存することを見出した。そして、絶縁フィルムの熱伝導率および密着強度を高めるべく、熱伝導充填材として大粒径の窒化ホウ素を使用することに着目し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、液晶ポリエステルと溶媒と熱伝導充填材とを含み、前記液晶ポリエステルおよび前記熱伝導充填材の合計含有量に対する前記熱伝導充填材の含有量が30〜90体積%である液状組成物であって、前記熱伝導充填材が、体積平均粒径10μm以上の窒化ホウ素である液状組成物としたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記液晶ポリエステルが、下式(1)で示される第1構造単位と、下式(2)で示される第2構造単位と、下式(3)で示される第3構造単位とを有し、かつ、全構造単位の合計含有量に対して、前記第1構造単位の含有量が30〜80モル%、前記第2構造単位の含有量が35〜10モル%、前記第3構造単位の含有量が35〜10モル%の液晶ポリエステルであることを特徴とする。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−X−Ar3 −Y−
Ar1 :1,4−フェニレン、2,6−ナフタレンまたは4,4’−ビフェニレン
Ar2 :1,4−フェニレン、1,3−フェニレンまたは2,6−ナフタレン
Ar3 :1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレン
X:−NH−
Y:−O−または−NH−
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記窒化ホウ素が、凝集体粒子であることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明は、金属基板と、この金属基板上に設けられた絶縁フィルムと、この絶縁フィルム上に設けられた回路形成用の導電箔とを有する金属ベース回路基板であって、前記絶縁フィルムが、請求項1乃至3のいずれかに記載の液状組成物の流延物から溶媒を除去して形成されたものである金属ベース回路基板としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液晶ポリエステルに熱伝導充填材を高充填する場合であっても、その熱伝導充填材として大粒径の窒化ホウ素を使用することにより、熱伝導性および密着性に優れた絶縁フィルムの材料として好適に使用可能な液状組成物を提供することができる。
【0015】
また、このような液状組成物からなる絶縁フィルムを備えることにより、放熱性の高い金属ベース回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る金属ベース回路基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0018】
図1には、本発明の実施の形態1を示す。この実施の形態1では、導電箔の一例として銅箔5を用いている。
<金属ベース回路基板の構成>
【0019】
この実施の形態1に係る金属ベース回路基板1は、図1に示すように、金属基板2を有しており、金属基板2の表面(図1上面)には絶縁フィルム3が積層されている。さらに、絶縁フィルム3の表面(図1上面)には銅箔5が積層されている。
【0020】
ここで、金属基板2は、例えば、アルミニウム、銅、ステンレスまたはこれらの合金などからなり、従来の金属ベース回路基板と同じものを使用することができる。また、金属基板2の厚さは、例えば0.5〜5mmである。なお、金属基板2は平板状のものであっても、任意の曲面状に曲げ加工されたものであってもよい。
【0021】
また、絶縁フィルム3は、熱伝導充填材を含有する液晶ポリエステルからなる。この熱伝導充填材については後述する。
【0022】
さらに、銅箔5には、例えばエッチング等により、回路の配線パターンが形成される。そして、この配線パターンを用いて、金属ベース回路基板1上に、電子部品(図示せず)が実装される。また、銅箔5の厚さは、例えば30〜500μmである。
<液晶ポリエステル>
【0023】
絶縁フィルム3を構成する液晶ポリエステルは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。この実施の形態1では、液晶ポリエステルを溶媒に溶解して得た溶液(液晶ポリエステル溶液)を用いて、絶縁フィルム3を形成する。
【0024】
この液晶ポリエステルは、下式(1)で示される第1構造単位と、下式(2)で示される第2構造単位と、下式(3)で示される第3構造単位とを有し、かつ、全構造単位の合計含有量に対して、前記第1構造単位の含有量が30〜80モル%、前記第2構造単位の含有量が35〜10モル%、前記第3構造単位の含有量が35〜10モル%の液晶ポリエステルであることが好ましい。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−X−Ar3 −Y−
【0025】
ここで、Ar1 は、1,4−フェニレン、2,6−ナフタレンまたは4,4’−ビフェニレンを表す。また、Ar2 は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレンまたは2,6−ナフタレンを表す。さらに、Ar3 は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表す。また、Xは−NH−を表し、Yは−O−または−NH−を表す。
【0026】
第1構造単位は芳香族ヒドロキシ酸由来の構造単位であり、第2構造単位は芳香族ジカルボン酸由来の構造単位であり、第3構造単位は芳香族ジアミン、ヒドロキシル基(水酸基)を有する芳香族アミン、芳香族アミノ酸由来の構造単位であるが、これらの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を用いてもよい。
【0027】
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基がポリエステルを生成する反応を促進するような酸塩化物、酸無水物などの反応活性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基がエステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
【0028】
フェノール性ヒドロキシル基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性ヒドロキシル基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
【0029】
アミノ基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
【0030】
本発明に使用される液晶ポリエステルの繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
第1構造単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の構造単位が全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位を含む液晶ポリエステルを使用することが好ましい。第1構造単位は、全構造単位に対して、30〜80モル%であることが好ましく、40〜70モル%であることがより好ましく、45〜65モル%であることがさらに好ましい。第1構造単位の含有量が80モル%を超えると、溶解性が著しく低下する傾向があり、第1構造単位の含有量が30モル%未満では、液晶性を示さない傾向がある。
【0032】
第2構造単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の構造単位が全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、溶解性の観点から、イソフタル酸由来の構造単位を含む液晶ポリエステルを使用することが好ましい。第2構造単位は、全構造単位に対して、35〜10モル%であることが好ましく、30〜15モル%であることがより好ましく、27.5〜17.5モル%であることがさらに好ましい。第2構造単位の含有量が35モル%を超えると、液晶性が低下する傾向があり、第2構造単位の含有量が10モル%未満では、溶解性が低下する傾向がある。
【0033】
第3構造単位としては、例えば、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、アミノ安息香酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の構造単位が全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、反応性の観点から、4−アミノフェノール由来の構造単位を含む液晶ポリエステルを使用することが好ましい。第3構造単位は、全構造単位に対して、35〜10モル%であることが好ましく、30〜15モル%であることがより好ましく、27.5〜17.5モル%であることがさらに好ましい。第3構造単位の含有量が35モル%を超えると、液晶性が低下する傾向があり、第3構造単位の含有量が10モル%未満では、溶解性が低下する傾向がある。
【0034】
第3構造単位は、第2構造単位と実質的に等量用いられることが好ましい。但し、第3構造単位の含有量を第2構造単位の含有量に対して−10モル%〜+10モル%とすることにより、液晶ポリエステルの重合度を制御することもできる。
【0035】
本発明で使用される液晶ポリエステルの製造方法は、特に限定されない。例えば、第1構造単位に対応する芳香族ヒドロキシ酸、第3構造単位に対応するヒドロキシル基を有する芳香族アミン、芳香族ジアミンのフェノール性ヒドロキシル基およびアミノ基を過剰量の脂肪酸無水物によってアシル化してアシル化物を得た後、得られたアシル化物と第2構造単位に対応する芳香族ジカルボン酸とをエステル交換(重縮合)して溶融重合する方法などが挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た脂肪酸エステルを用いてもよい(例えば、特開2002−220444号公報、特開2002−146003号公報参照)。
【0036】
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の使用量は、フェノール性ヒドロキシル基とアミノ基の合計含有量に対して、1〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の使用量が1倍当量未満では、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や原料モノマーなどが昇華して反応系が閉塞しやすくなる傾向がある。逆に、脂肪酸無水物の使用量が1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
【0037】
アシル化反応は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることがより好ましい。
【0038】
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は、特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格および取扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
【0039】
エステル交換においては、アシル化物のアシル基の含有量がカルボキシル基の含有量の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
【0040】
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
【0041】
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際には、ル・シャトリエ‐ブラウンの法則(平衡移動の原理)により、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
【0042】
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行なってもよい。この触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。
【0043】
これらの触媒の中で、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003号公報参照)。
【0044】
この触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、この触媒を除去しない場合には、そのままエステル交換を行なうことができる。
【0045】
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合に代えて固相重合を採用してもよい。この固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状またはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、例えば、窒素などの不活性ガスの雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理するという操作により、固相重合を実施することができる。この固相重合は、攪拌しながら行ってもよく、攪拌することなく静置した状態で行っても構わない。なお、適当な攪拌機構を備えることにより、溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。また、こうして固相重合した後、得られた液晶ポリエステルは、公知の方法によりペレット化してもよい。
【0046】
液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
<溶媒>
【0047】
このようにして得られた液晶ポリエステルを所定の溶媒に溶解して液晶ポリエステル溶液を調製する。
【0048】
この溶媒としては、非プロトン性溶媒であることが好ましい。溶媒としては、液晶ポリエステルが溶解するものが望ましいが、溶解しないもの(分散するもの)も使用することができる。溶媒の使用量は、特に限定されるものでなく、用途に応じて適宜選択することができるが、溶媒100質量部に液晶ポリエステル0.01〜100質量部を使用することが好ましい。液晶ポリエステルが0.01質量部未満であると、溶液粘度が低すぎて均一に塗工できない傾向があり、液晶ポリエステルが100質量部を超えると、高粘度化する傾向がある。作業性や経済性の観点からは、溶媒100質量部に対して、液晶ポリエステルが1〜50質量部であることがより好ましく、2〜40質量部であることがさらに好ましい。
【0049】
非プロトン性溶媒としては、例えば、1−クロロブタン、クロロベンゼン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン系溶媒、アセトニトリル、サクシノニトリルなどのニトリル系溶媒、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホランなどのスルフィド系溶媒、ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸などのリン酸系溶媒などが挙げられる。
【0050】
これらの中で、ハロゲン原子を含まない溶媒が環境への影響面から好ましく使用され、双極子モーメントが3以上5以下の溶媒が溶解性の観点から好ましく使用される。具体的には、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒がより好ましく使用され、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがさらに好ましく使用される。
<熱伝導充填材>
【0051】
このようにして得られた液晶ポリエステル溶液に所定の熱伝導充填材を添加して液状組成物を得る。
【0052】
この熱伝導充填材としては、大粒径の窒化ホウ素、具体的には、体積平均粒径10μm以上、好ましくは15μm以上の窒化ホウ素を用いる。この窒化ホウ素の含有量は、液晶ポリエステルおよび窒化ホウ素の合計含有量に対して、30〜90体積%、好ましくは50〜80体積%とする。ここで、この窒化ホウ素は凝集体粒子であることが望ましい。ここで記載の凝集体粒子とは、鱗片状粒子がランダムに集合して一体化または化学的に結合したもの(焼結した焼結体を含む)を粉砕した粒子をも包含する広義のものを示す。
【0053】
窒化ホウ素の体積平均粒径は、レーザー回折・散乱法での粒度分布測定を実施してD50値を測定することにより、求めることができる。窒化ホウ素の体積平均粒径は、粒度分布の大きなものから分級することで任意にコントロールすることができる。
【0054】
なお、窒化ホウ素の体積平均粒径は、絶縁フィルム3の厚さにもよるが、絶縁フィルム3の耐電圧を高めるという観点から、好ましくは80μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。
<他の成分>
【0055】
この液状組成物には、上述した熱伝導充填材に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の充填材、添加剤などを含有させてもよい。
【0056】
充填材としては、例えば、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、スチレン樹脂などの有機充填材、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、カオリン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウムなどの無機充填材などが挙げられる。
【0057】
添加剤としては、各種のカップリング剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などが挙げられる。
【0058】
また、この液状組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテルおよびその変性物、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂、グリシジルメタクリレートとポリエチレンの共重合体などのエラストマーなどを1種または2種以上含有させてもよい。
<絶縁フィルム>
【0059】
このようにして得られた液状組成物は、必要に応じて、フィルターなどによってろ過して、液状組成物中に含まれる微細な異物を除去した後、この液状組成物を支持体上に表面平坦かつ均一に流延し、その後、この液状組成物から溶媒を除去してフィルム化することにより、本発明の絶縁フィルム3を形成する。
【0060】
ここで、液状組成物の流延方法としては、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法など各種の方法を採用することができる。
【0061】
また、溶媒の除去方法としては、特に限定されないが、溶媒の蒸発によって行うことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられる。これらの中でも、生産効率、取扱い性の点から、加熱して蒸発させることが好ましく、通風しつつ加熱して蒸発させることが一層好ましい。このときの加熱条件としては、60〜200℃で10分〜2時間予備乾燥を行う工程と、200〜400℃で30分〜5時間熱処理を行う工程とを含むことが好ましい。
【0062】
この絶縁フィルム3の厚さは、成膜性や機械特性の観点からは、通常0.5〜500μmであるが、絶縁フィルム3の耐電圧を高めるという観点から、窒化ホウ素の体積平均粒径の1.25倍以上(すなわち窒化ホウ素の体積平均粒径が絶縁フィルム3の厚さの80%以下)であることが好ましく、熱抵抗を低く抑えるという観点からは、200μm以下であることがより好ましい。
【0063】
そして、金属基板2の表面に、この絶縁フィルム3および銅箔5を順に積層することにより、金属基板2、絶縁フィルム3および銅箔5からなる3層構造の金属ベース回路基板1が得られる。
【0064】
このようにして得られた金属ベース回路基板1においては、上述したとおり、大粒径の窒化ホウ素が熱伝導充填材として絶縁フィルム3に含まれているため、小粒径の窒化ホウ素が含まれている場合と比べて、絶縁フィルム3の熱伝導性および密着性が良好となる。その理由は、絶縁フィルム3中における多数の窒化ホウ素の配向具合が窒化ホウ素の体積平均粒径の大小によって自ずと変化することに起因すると考えられる。
【0065】
まず、絶縁フィルム3の熱伝導性が大粒径の窒化ホウ素によって良好となるのは、次の理由によると考えられる。すなわち、粒子内部の熱伝導率に比べて、粒子同士が接触して熱を伝える場合は接触抵抗により熱伝導率は小さくなる。そして、窒化ホウ素の体積平均粒径が所定値(概ね10μm)未満では、粒子同士で接触する数が多くなるため、必然的に熱伝導率が低くなる。これに対して、窒化ホウ素の体積平均粒径が所定値以上では、粒子が大きいため、粒子同士で接触する数が少ないため熱伝導率が高くなる。
【0066】
また、窒化ホウ素は、六方晶系の結晶構造を有する鱗片状の粒子で、六方形の網面が重なる方向(以下、主軸方向という。)と、それに直交する方向(以下、主軸直交方向という。)とでは、後者に比べて前者で熱伝導率が桁違いに小さくなる。そして、非凝集体粒子の場合は、その主軸方向(つまり、熱伝導率が小さい方向)が金属ベース回路基板1の積層方向(図1上下方向)に一致した状態で金属基板2と銅箔5との間に配向するため、必然的に熱伝導率が低くなる。これに対して、凝集体粒子では、多数の鱗片状の粒子がほぼ球形に凝集しており、鱗片状の粒子がランダムな方向に配向するため、主軸直交方向(つまり、熱伝導率が大きい方向)が金属ベース回路基板1の積層方向に近付いた鱗片状の粒子が増える分だけ熱伝導率が高くなる。
【0067】
一方、絶縁フィルム3の密着性が大粒径の窒化ホウ素によって良好となるのは、次の理由によると考えられる。すなわち、窒化ホウ素は、六方晶系の結晶構造を有する鱗片状の粒子で、主軸方向に直交する面とその他の面とで、極性官能基の有無の違いに起因して化学的な結合力に強弱がある。そして、非凝集体粒子では、このような鱗片状の粒子のまま、その主軸方向(つまり、結合力が弱い方向)が金属ベース回路基板1の積層方向(図1上下方向)に一致した状態で金属基板2と銅箔5との間に配向するため、必然的に密着強度が低下する。これに対して、凝集体粒子では、多数の鱗片状の粒子がほぼ球形に凝集しており、鱗片状の粒子がランダムな方向に配向するため、主軸直交方向(つまり、結合力が強い方向)が金属ベース回路基板1の積層方向に近付いた鱗片状の粒子が増える分だけ密着強度が上昇する。
【0068】
また、絶縁フィルム3の密着性が大粒径の窒化ホウ素によって良好となるのは、次の理由にもよると考えられる。すなわち、絶縁フィルム3は、その中の液晶ポリエステルと銅箔粗化面との接触面積の大小に起因して密着力に強弱がある。そして、窒化ホウ素の体積平均粒径が、銅箔粗化面の突起間隔(概ね10〜15μm)よりも小さい場合は、積層時に窒化ホウ素の粒子が銅箔粗化面の突起間に入り込み易く、液晶ポリエステルと銅箔との接触面積が小さくなるため、密着強度が低下する。これに対して、窒化ホウ素の体積平均粒径が、銅箔粗化面の突起間隔よりも大きい場合は、積層時に窒化ホウ素の粒子が銅箔粗化面の突起間に入り込み難く、液晶ポリエステルと銅箔との接触面積が大きくなるため、密着強度が上昇する。したがって、窒化ホウ素の体積平均粒径が大きいほど、銅箔粗化面の突起間隔よりも小さい粒子を含む量が少なくなるため、密着強度が上昇する。
【0069】
しかも、本発明の液状組成物は、腐食性が低く、取扱いが容易であり、この液状組成物を用いて得られる絶縁フィルム3は、縦方向(流延方向)と横方向(流延方向に対して直角な方向)の異方性が小さく、機械的強度に優れており、また、液晶ポリエステルが本来有する高周波特性、低吸水性などの性能にも優れている。したがって、金属ベース回路基板1だけでなく、他の電子部品用の絶縁フィルムにも適している。
【0070】
なお、本明細書中において使用される用語「フィルム」とは、シート状の極薄のフィルムから肉厚のフィルムまで含有するものであり、シート状のみならず、瓶状の容器形態などをも含有するものである。
[発明のその他の実施の形態]
【0071】
なお、上述した実施の形態1では、金属基板2の表面(図1上面)に絶縁フィルム3および銅箔5を一対だけ積層した3層構造の金属ベース回路基板1について説明した。しかし、絶縁フィルム3および銅箔5を複数対(二対以上)積層した5層構造、7層構造などの金属ベース回路基板1に本発明を同様に適用することもできる。
【0072】
また、上述した実施の形態1では、金属基板2の表面(図1上面)に絶縁フィルム3を介して銅箔5が設けられた金属ベース回路基板1について説明した。しかし、金属基板2の表裏両面(図1上下面)にそれぞれ絶縁フィルム3を介して銅箔5が設けられた金属ベース回路基板1に本発明を同様に適用することも可能である。
【0073】
さらに、上述した実施の形態1では、導電箔として銅箔5を用いる場合について説明した。しかし、導電性を有するものである限り、銅箔5以外の金属箔(例えば、金箔、銀箔、アルミニウム箔、ステンレス箔など)やカーボングラファイトシートその他を導電箔として代用または併用することもでき、また、銅箔に金メッキや銀メッキを施したものを導電箔として代用または併用することもできる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
(a)液晶ポリエステルの製造
【0075】
まず、攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1976g(10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド1474g(9.75モル)、イソフタル酸1620g(9.75モル)および無水酢酸2374g(23.25モル)を仕込んだ。そして、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、この温度(150℃)を保持しつつ3時間還流させた。
【0076】
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、170分かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了点とみなし、内容物を取り出した。こうして取り出した内容物を室温まで冷却し、粉砕機で粉砕した後、比較的低分子量の液晶ポリエステル粉末を得た。こうして得られた液晶ポリエステル粉末について、(株)島津製作所製のフローテスター「CFT−500型」を用いて、流動開始温度を測定したところ、235℃であった。この液晶ポリエステル粉末に対して、窒素雰囲気において223℃で3時間の加熱処理を施すことにより、固相重合を行った。固相重合後の液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。
(b)液晶ポリエステル溶液の調製
【0077】
上記(a)で得られた液晶ポリエステル2200gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)7800gに加え、100℃で2時間加熱して、液晶ポリエステル溶液を得た。このときの溶液粘度は320cPであった。この溶液粘度は、東機産業(株)製のB型粘度計「TVL−20型」(ローターNo.21、回転速度5rpm)を用いて、室温(23℃)で測定したときの値である。
(c)金属ベース回路基板の作製
<実施例1>
【0078】
上記(b)で得られた液晶ポリエステル溶液(固形分22質量%)に、体積平均粒径(D50:マルバーン社製のレーザー回折式粒度分布測定装置「マスターザイザー2000」による測定値)27.2μmの窒化ホウ素粉末(水島合金鉄(株)製の窒化ホウ素粉末「HP40 MF100」)を熱伝導充填材として加えて、液状組成物を得た。ここで、この窒化ホウ素粉末(熱伝導充填材)の充填量は、液晶ポリエステルおよび窒化ホウ素粉末の合計含有量に対して65体積%とした。
【0079】
次に、こうして得られた液状組成物を遠心脱泡機で5分間攪拌した後、厚さ70μmの銅箔(導電箔)上に厚さ350μmとなるように塗布した。続いて、これを40℃で1時間乾燥させた後、300℃で3時間熱処理した。これにより、表面に銅箔が形成された厚さ100μmの液晶ポリエステルフィルムを得た。
【0080】
その後、熱伝導率140W/(m・K)、厚さ2mmのアルミニウム合金板(金属基板)上に、上記の液晶ポリエステルフィルムを積層した。このとき、液晶ポリエステルフィルムの裏面(銅箔が形成されていない面)が、アルミニウム合金板の表面と接するようにした。そして、圧力19.6MPa(200kgf/m2 )、温度340℃で20分間の加熱処理を行うことにより、これらアルミニウム合金板と液晶ポリエステルフィルムとを熱接着して、金属ベース回路基板を作製した。
<実施例2>
【0081】
熱伝導充填材として、体積平均粒径(D50)67.9μmの窒化ホウ素粉末(水島合金鉄(株)製の窒化ホウ素粉末「HP40 MF100」を篩い分けにより分級したもの)を代用したことを除き、実施例1と同じ手順で金属ベース回路基板を作製した。
<実施例3>
【0082】
熱伝導充填材として、体積平均粒径(D50)14.7μmの窒化ホウ素粉末(水島合金鉄(株)製の窒化ホウ素粉末「HP40 MF100」を篩い分けにより分級したもの)を代用したことを除き、実施例1と同じ手順で金属ベース回路基板を作製した。
<比較例1>
【0083】
熱伝導充填材として、体積平均粒径(D50)5.9μmの窒化ホウ素粉末(水島合金鉄(株)製の窒化ホウ素粉末「HP40−J5」)を代用したことを除き、実施例1と同じ手順で金属ベース回路基板を作製した。
<比較例2>
【0084】
熱伝導充填材として、体積平均粒径(D50)9.0μmの窒化ホウ素粉末(水島合金鉄(株)製の窒化ホウ素粉末「HP40P」)を代用したことを除き、実施例1と同じ手順で金属ベース回路基板を作製した。
<熱伝導性の評価>
【0085】
これらの実施例1〜3および比較例1、2の金属ベース回路基板についてそれぞれ、絶縁フィルムの熱伝導性を評価するため、次の式を用いて絶縁フィルムの熱伝導率(単位:W/(m・K))を算出した。
(熱伝導率)=(熱拡散率)×(比熱)×(密度)
【0086】
ここで、熱拡散率は、金属ベース回路基板から縦10mm×横10mm×厚さ0.1mmのサンプルを切り出し、(株)アイフェイズ製の測定器「ai-Phase Mobile」を用いて、温度波熱分析法により室温で測定した。
【0087】
また、比熱は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、サファイヤ標準物質との比較により測定した。
【0088】
さらに、密度はアルキメデス法により測定した。
【0089】
その結果をまとめて表1に示す。
<密着性の評価>
【0090】
これらの実施例1〜3および比較例1、2の金属ベース回路基板についてそれぞれ、絶縁フィルムと銅箔との密着性を評価するため、Tピール強度試験を行った。
【0091】
すなわち、これらの金属ベース回路基板において、銅箔をエッチングすることにより、幅10mmの導電パターンを形成した。そして、銅箔が垂直になるように50mm/分の速度で引き剥がすときの強度、つまりTピール強度(単位:N/cm)を測定した。
【0092】
その結果をまとめて表1に示す。
【表1】

【0093】
表1から明らかなように、体積平均粒径が大きくなるほど、絶縁フィルムの熱伝導率が増大するとともに、Tピール強度(密着強度)が増大することが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、パワートランジスタやハイブリッドICのほか、発光ダイオードなどの電子部品を実装する金属ベース回路基板に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1……金属ベース回路基板
2……金属基板
3……絶縁フィルム
5……銅箔(導電箔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリエステルと溶媒と熱伝導充填材とを含み、前記液晶ポリエステルおよび前記熱伝導充填材の合計含有量に対する前記熱伝導充填材の含有量が30〜90体積%である液状組成物であって、
前記熱伝導充填材が、体積平均粒径10μm以上の窒化ホウ素であることを特徴とする液状組成物。
【請求項2】
前記液晶ポリエステルが、下式(1)で示される第1構造単位と、下式(2)で示される第2構造単位と、下式(3)で示される第3構造単位とを有し、かつ、全構造単位の合計含有量に対して、前記第1構造単位の含有量が30〜80モル%、前記第2構造単位の含有量が35〜10モル%、前記第3構造単位の含有量が35〜10モル%の液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の液状組成物。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−X−Ar3 −Y−
Ar1 :1,4−フェニレン、2,6−ナフタレンまたは4,4’−ビフェニレン
Ar2 :1,4−フェニレン、1,3−フェニレンまたは2,6−ナフタレン
Ar3 :1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレン
X:−NH−
Y:−O−または−NH−
【請求項3】
前記窒化ホウ素が、凝集体粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の液状組成物。
【請求項4】
金属基板と、この金属基板上に設けられた絶縁フィルムと、この絶縁フィルム上に設けられた回路形成用の導電箔とを有する金属ベース回路基板であって、
前記絶縁フィルムが、請求項1乃至3のいずれかに記載の液状組成物の流延物から溶媒を除去して形成されたものであることを特徴とする金属ベース回路基板。

【図1】
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【公開番号】特開2011−219749(P2011−219749A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65641(P2011−65641)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】