説明

液状食品調理器

【課題】サイホン現象を利用した液体食品調理器の組立構造の信頼性を向上して安定した調理結果が得られるようにするとともに、複数の調理モードから任意の調理モードを選択して指定し、所望の液状食品の調理が可能となるようにする。
【解決手段】加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連結管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、圧力容器の開口部に遠心方向に延在するフランジを形成する一方、抽出容器の底部を縮径して段部を形成し、装着状態において前記圧力容器のフランジと前記抽出容器の段部が幅広に重合するようにし、該重合部にシール部材が介在するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を細かく粉砕する機能、粉砕した食材を煮沸する機能、そして濾過機能により抽出液と残滓を分離する一連の作業を完結し、主として家庭において豆乳や各種スープ等を手軽に調理生成できるようにした液状食品調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する意識の向上から添加物を含まない食材を用い、家庭で手軽に食品を調理して食用に供する要求が高まっている。その代表的な例として、粉砕した大豆から豆乳を生成するサイホン現象を利用した装置が知られている(例えば、特許文献1)。そして豆乳のような液状食品は、上記したように食材の粉砕、煮沸、濾過の処理工程が不可欠であり、この一連の作業を自動的に完結でき、利便性を向上した装置が本願出願人により提案されている(特許文献2)。
【0003】
特許文献1に開示された技術は、粉砕した大豆を用いて豆乳とおからを分離するようにしたもので、これはサイホン式コーヒー抽出器の原理により粉砕した大豆を濾過手段を設けた抽出容器に投入し、密閉された圧力容器とを連通管により連通させ、この連通管の圧力容器側の開口をこの圧力容器に注入した冷水又は温水に浸漬しておき、圧力容器を加熱して生成された熱水と水蒸気を連通管から抽出容器に揚上する。
【0004】
そして、気泡による活性化作用により大豆の成分を抽出し、圧力容器の加熱を停止した後の圧力容器内の減圧を利用して圧力容器内に抽出液(豆乳)を回収する。このようにして濾過手段により抽出容器内におからが分離して残存し、圧力容器内に豆乳となった抽出液が回収され、おからや豆乳を好みに応じて食用に供することができる。
【0005】
特許文献2に開示された装置は、上記特許文献1と同様にサイホン現象を利用するようにしたもので、図29に示すように装置101は、組み立てられた状態の構成要素として抽出容器(上容器)102、圧力容器(下容器)103、駆動モーター104および圧力容器103を加熱するヒーター105を備える。図30は、前記圧力容器103に抽出容器102が装着された状態を断面図で示したもので、抽出容器102の内部には、外周にシール部材106を取り付けた粉砕籠107が着脱可能に収容されている。
【0006】
粉砕籠107の凹んだ底部には第1の濾過手段108が配設されており、また、抽出容器102の中心には軸受109・109で支持された回転軸110が垂下され、その先端にカッター111が取り付けられている。一方、回転軸110の上端はカップリング112を介して駆動モーター104の駆動軸の下端に結合される。
【0007】
抽出容器102の底部外周には、耐熱性ゴム等により成形されたシール部材113が装着されている。これにより、抽出容器102を圧力容器103の開口部に装着すると、シール部材113により圧力容器103内が密封状態となる。抽出容器102の底部は中央が幾分低くなるように傾斜し、その略中央部分は一段凹んだ窪み114が形成され、この窪み114には第2の濾過手段115が装着される。更に抽出容器102には、底部の窪み114から下方へ延在し、圧力容器103内へ延在する連通管116が設けられている。尚、符号117・117は抽出容器102および圧力容器103に取り付けられた把手を示し、また、符号118は抽出容器102の蓋体であり、軸受109・109を固定するフレーム119が一体化されている。
【0008】
このように構成された装置を作動するには、まず、圧力容器103に適量の冷水(温水)Wを注入し、抽出容器102の底部を圧力容器103の開口部に装着して結合する。つぎに、抽出容器102に装着されている粉砕籠107に適量の豆類、根菜等の食材を投入し、カッター111を取り付けてある蓋体118により抽出容器102の開口部を施蓋する。このとき、抽出容器102の底部の窪み114から下方へ延在する連通管116の下端開口部120は圧力容器103に注入した冷水(温水)Wの水面Wh以下に浸漬される。
【0009】
上記の準備が完了し、制御装置の電源スイッチ(図示省略)を操作するとヒーター105に通電が開始され、圧力容器103の加熱が開始される。このようにして圧力容器103の加熱が開始されると、圧力容器103に注入した冷水(温水)Wおよび容器内の空気が徐々に加熱され、やがて冷水(温水)Wが熱水となって沸騰し、発生した水蒸気により圧力容器103内の気圧が高くなり、熱水が連通管116を介して抽出容器102に圧送され揚上される。
【0010】
このようにして、圧力容器103から揚上された熱水が抽出容器102に滞留すると、制御装置がこれを検出し、予め設定した時間間隔で駆動モーター104を断続運転する。この駆動モーター104の断続運転によりカッター111が断続的に回転するため、熱水中を浮遊する食材は粉砕され、攪拌されて次第に微粒化される。尚、駆動モーター104の断続運転中も圧力容器103から抽出容器102への熱水の揚上は継続され、抽出容器102に滞留する熱水の温度が降下することはない。
【0011】
熱水の抽出容器102への揚上に伴って圧力容器103内の水面Whが低下し、水面Whが連通管116の下端開口120に達すると、抽出容器102へは高熱の水蒸気のみが供給されるようになる。この水蒸気により抽出容器102内の食材は更に加熱されるとともに、運動量の大きな水蒸気の供給により熱水と粉砕された食材が強く攪拌されて成分抽出効果を高める。尚、上記過程に至る間においても、カッター111の回転により粉砕籠107内に強い水流が起こされるので、濾過手段108の目詰まりが防止されて連通管116から圧送される熱水の流れが阻害されることはない。
【0012】
上記した運転が継続され、予め設定された所定時間に達すると制御装置はヒーター105への通電を停止する。これにより、圧力容器103は次第に温度が降下してくるため、その内部が負圧となり、この負圧により抽出容器102に生成された液状食品の抽出液が圧力容器103へ吸引されるように回収される。このとき、第1の濾過手段108および第2の濾過手段115による濾過作用により食材の残滓と抽出液を分離することが可能となる。
【特許文献1】特公平6−87758号公報
【特許文献2】特開2004−8310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の特許文献1に開示された装置による場合は、大豆の粉砕手段を備えていないため、別途、専用の器具を準備しなければならない。また、家庭において手軽に使用できるようにするには、抽出容器と圧力容器を着脱可能に構成し、濾過手段の清掃や回収した抽出液をそのまま配膳できるように使い勝手を向上し、何よりもコンパクトである必要があるが、かかる要求は容易に満たすことができるものではなく、豆乳のみを生成する専用の装置となっている。
【0014】
一方、抽出容器と圧力容器を着脱可能に構成した特許文献2の装置で液状食品の抽出液を抽出する場合は、圧力容器103の気密性を維持することが重要な課題となる。即ち、コーヒーのように粘性の低い抽出液の場合は重力の作用も伴い濾過が容易であるが、豆乳やスープのように微粒化した食材が含まれる抽出液は粘性が高いため、抽出容器102からの回収を十分に行うには圧力容器103による強い吸引力が必要となることから、圧力容器103の高い気密性が要求されるのである。
【0015】
このため、上記構成の装置では図31に示すように、粉砕籠107の外周に接着剤で取り付けたシール部材106のシール片106aが抽出容器102の内壁と接触して気密性が保たれるようにしている。一方、抽出容器102の底部外周に接着剤で取り付けたシール部材113のシール片113aは、図32に示すように圧力容器103の内壁と接触して気密性が保たれるようにしている。
【0016】
このような構成で気密性をより高くするには、シール片106a・113aの内壁への接触率を大きくすることにより可能となるが、この場合、摺接抵抗が大きくなるため容器の着脱が困難となり、接触率を小さくすると容器の着脱は容易となるが、気密性が低下するという相反する結果となる。また、前記シール部材106・113は容器の垂直面に取り付けられた状態であるため、容器の着脱の繰り返し、容器から伝達する熱の影響等により接着剤が劣化して脱落する可能性がある。
【0017】
尚、上記構成による場合は、粉砕籠107を抽出容器102内へ装着するようにしているが、図30に示すように抽出容器102と粉砕籠107の間に空間が形成されてしまい、この部分に圧力容器103から揚上されて浸入した熱水は抽出の用に供せなくなることになる。また、カッター111が回転すると強い水流が発生し、抽出容器102が蓋体118で施蓋されている部分から熱水が溢れ出す危険があり、更に、連続して抽出を行う場合、第2の濾過手段115に目詰まりが発生し、残滓を取り除くことが困難であった。
【0018】
ところで、以上に説明したこの種の装置は、通常、単機能として構成されており、主に豆乳のみを調理できるようにしたものであった。これは、食材の調理工程や濾過手段であるフィルターの構成が豆乳とスープで対比した場合、大きく相違することに起因するものであり、複数の液状食品、例えば、豆乳、スープの調理等を1台の装置で対応できるようにすることが困難であった。
【0019】
更に、抽出容器と圧力容器を着脱可能にした従来の構成において、大きい容量の抽出が可能となるようにする場合は、抽出容器、圧力容器の何れも容量の大きいものとしなければならないため、装置全体が大型化し、家庭用として適する大きさに構成することができない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、かかる従来の装置を改良するようにしたもので、以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項1記載の発明では、加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、圧力容器の開口部に遠心方向に延在するフランジを形成する一方、抽出容器の底部を縮径して段部を形成し、装着状態において前記圧力容器のフランジと前記抽出容器の段部が幅広に重合するようにし、該重合部にシール部材が介在するように構成する。
【0021】
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、圧力容器の開口部のフランジを水平状態に形成する一方、抽出容器の底部を縮径して形成した段部が前記フランジと平行する水平状態に形成され、前記圧力容器のフランジと抽出容器の段部でシール部材を挟持するように構成する。
【0022】
請求項3記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、圧力容器の開口部のフランジをテーパ状に拡径した状態に形成する一方、抽出容器の底部を縮径した段部が前記フランジと平行するテーパ状に形成され、前記圧力容器のフランジと抽出容器の段部でシール部材を挟持するように構成する。
【0023】
請求項4記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、抽出容器の底部が縮径部から連通管へ向かう下り勾配となるように形成する。
【0024】
請求項5記載の発明では、加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、前記抽出容器の底部の直径に対する前記粉砕手段の回転軌跡の直径の比率が0.4〜0.6となるようにする。
【0025】
請求項6記載の発明では、加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、前記抽出容器の底部に装着する濾過手段が残滓を回収する機能を備えるように構成する。
【0026】
請求項7記載の発明では、加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、前記圧力容器で沸騰した熱水が抽出容器に揚上され、この熱水により抽出容器に投入されている食材が漬浸された時期若しくは煮沸されて軟化した時期を起点として粉砕手段が断続運転を開始する調理モードを備える。
【0027】
請求項8記載の発明では、上記請求項7記載の発明において、異なる濾過手段を任意に選択して抽出容器に装着可能となるようにし、豆乳又はスープの何れも生成できるようにする。
【0028】
請求項9記載の発明では、上記請求項7又は請求項8記載の発明において、圧力容器で沸騰した熱水が抽出容器に揚上された後、加熱手段による圧力容器の加熱量を減少するようにする。
【0029】
請求項10記載の発明では、加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、動力伝達機構が連結されて前記粉砕手段を回転駆動するための動力手段による動力の伝達が可能となったとき、装置電源が投入されて調理モードのシーケンスが開始されるようにする。
【0030】
請求項11記載の発明では、構成要素として少なくとも、着脱可能の濾過手段および底部から下方に延在する連通管とを備えた抽出容器と、該抽出容器を装着することにより密閉状態となる圧力容器と、粉砕手段およびこれを回転駆動するための回転軸を備えるとともに、抽出容器に施蓋可能となるようにした蓋体と、該蓋体に配設した回転軸を回転駆動する動力手段と、前記圧力容器を加熱する加熱手段とを本体に一体化して成立する液状食品調理器であり、前記動力手段および加熱手段を制御する制御手段を設け、該制御手段にプログラムされた各種の調理モードを設定するとともに、前記調理モードを指定するための選択手段を本体に設け、この選択手段により任意に調理モードを指定して所望の液状食品の調理が可能となるようにする。
【0031】
請求項12記載の発明では、上記請求項11記載の発明において、大豆から豆乳を生成する豆乳モード、および野菜からスープを生成するスープモードを備えるようにする。
【0032】
請求項13記載の発明では、上記請求項11記載の発明において、抽出容器の温度を検出する温度検出手段を備え、該検出手段により抽出容器へ揚上された熱水の温度を検出した時点から指定された調理モードのシーケンスが開始されるようにする。
【0033】
請求項14記載の発明では、上記請求項11記載の発明において、圧力容器により生成された熱水が連通管を介して抽出容器に揚上されたことを検出する検出手段を備え、該検出手段により抽出容器へ熱水が揚上されたことを検出した時点から指定された調理モードのシーケンスが開始されるようにする。
【0034】
請求項15記載の発明では、上記請求項13又は請求項14記載の発明において、検出手段により熱水の揚上が検出された後、加熱手段による圧力容器の加熱量を減少させる。
【発明の効果】
【0035】
請求項1乃至請求項3記載の発明によれば、圧力容器の開口部のフランジと抽出容器の底部に形成した段部でシール部材を幅広に挟持するように構成したので、圧力容器内が負圧となることにより、抽出容器が下方へ吸引される場合においてもシール部材からのエア漏れが防止され、圧力容器の気密性を高く保つことができる。
【0036】
また、大豆や野菜等の食材を煮沸する場合は、圧力容器から抽出容器への熱伝達が重要となるが、かかる点において本発明では、圧力容器の開口部のフランジと抽出容器の底部の段部が幅広に重合するとともに、抽出容器の側周部の一部と底部が圧力容器内部へ没入する構成となることから接触面積が大きくなるので、熱伝達効率が向上し、抽出容器を素早く加熱することができる。
【0037】
請求項4記載の発明によれば、抽出容器の底部が縮径部から連通管へ向かう下り勾配となるようにしたので、抽出容器の底部が圧力容器内へ没入する状態となり、これにより抽出容器の容量を大きくしつつ容器全体の高さを低く抑えることができるので、抽出容器と圧力容器を組み立てた状態において装置全体の高さを低くすることができ、ひいては調理器全体の高さを抑えてコンパクトに構成することができる。
【0038】
これにより、重心を低くすることができるので、全高が増した場合のサイフォン式固有の構造的不安定(調理過程において熱水が抽出容器へ揚上される物理現象に伴い発生する不安定)を回避することができ、運転中の装置の転倒等を防ぎ、安全性を高めることができる。また、抽出容器の底部が傾斜状であることからその面積が拡大し、圧力容器内へ没入することと相俟って圧力容器に発生した熱を吸収し易くなり、抽出容器が素早く加熱されることになる。更に、抽出容器の底面が傾斜状となっていることから、濾過手段(フィルター)により濾過される液状食品に含まれる微細粒子の滞留を防ぎ、生成された液状食品を圧力容器へ良好に回収することができる。
【0039】
請求項5記載の発明によれば、抽出容器の底部の直径に対する粉砕手段の回転軌跡の直径の比率を一定の範囲に収めるようにしたので、食材の粉砕能力を維持しつつ熱水が抽出容器の施蓋部分から溢れ出すのを防止することができる。
【0040】
請求項6記載の発明によれば、濾過手段に残滓を回収する機能を備えたので、調理後の残滓の除去が容易であり、調理作業の能率を向上することができると共に、抽出容器の略内径までフィルターを張設できるので目詰まりの恐れを少なくできる。
【0041】
請求項7乃至請求項9記載の発明によれば、圧力容器で沸騰した熱水が抽出容器に揚上され、この熱水により抽出容器に投入されている食材が浸漬された時期若しくは煮沸されて軟化した時期を起点として粉砕手段が断続運転を開始するようにしたので、食材の硬さ等に応じて有効に粉砕することができる。また、異なる濾過手段を任意に選択して抽出容器に装着するようにしたので、豆乳又はスープの何れも生成することが可能となる。更に、圧力容器で沸騰した熱水が抽出容器に揚上された後、加熱手段による圧力容器の加熱量を減少するようにしたので、過剰な加熱により食材の抽出成分の破壊や焦げ付きを誘発することなく、味覚を損なわない安定した調理結果を得ることができる。
【0042】
請求項10記載の発明によれば、動力伝達機構が連結されて粉砕手段を回転駆動するための動力手段による動力の伝達が可能となったとき、装置電源が投入されて調理モードのシーケンスが開始するようにしたので、電源スイッチの投入等の操作が不要となり、使い勝手が向上するとともに操作パネルを簡素化してコストの削減が可能となる。
【0043】
請求項11乃至請求項15記載の発明によれば、複数の調理モードから任意の調理モードを選択して指定し、所望の液状食品の調理が可能となる。また、圧力容器から抽出容器への熱水の揚上を正確に検出して液状食品の生成が行われるようにしたので、圧力容器に冷水又は温水のいずれを注入した場合において、抽出容器において調理運転を開始するタイミングを一定に定めることができるので制御装置を簡素化できると共に、均質な調理結果が得られる。また、検出手段により熱水の揚上が検出された後、加熱手段による圧力容器の加熱量を減少するようにしたので、大部分の熱水が抽出容器に揚上されて、連通管の先端が浸漬しなくなった後の乏しくなった圧力容器の熱水が異常に高温となり、食材の焦げ付きなどの不具合を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明を実施した液状食品調理器Aの正面図であり、図2にその側面図を示し、図3に断面図を示す。同各図において、装置構成要素は大別して、前面を開放し、底部に加熱手段としてのヒーター2を配設するとともに、上部に動力機構3を内蔵した本体(スタンド)1、および圧力容器(下容器)4とこの圧力容器4に装着される抽出容器(上容器)5からなる。
【0046】
圧力容器4は、ステンレス等のように熱伝導性に優れた金属又は耐熱ガラスで有底筒状に形成されるが、その開口部の全周には遠心方向へ水平状態で延在するフランジ4aが形成され、把手4bが取り付けられている。前記フランジ4aは、図4に示すように水平状態に形成してもよく、図5に示すようにフランジ4aをテーパ状に拡径した状態に形成しても良い。尚、圧力容器4の底面には、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウムや銅をメッキ若しくは溶接等で付設してもよく、これにより加熱による熱が均等に拡散し、非水溶性成分の焦げ付きを抑制することができる。
【0047】
前記圧力容器4に装着する抽出容器5は、ステンレス等により有底状態に形成されるが、傾斜状態の底部5cの略中央部から下方に延在する連通管(サイホン管)5Aが設けられている。この連通管5Aの長さは、熱水の揚上に供するようにその下部開口部と圧力容器4の底面との間隙を可及的に狭く、例えば、5mm以下となるようにする。連通管5Aは抽出容器5と一体で形成しても良く、別体として抽出容器5に取着可能に構成しても良い。更にこの抽出容器5は、その底部を縮径して形成した段部5aが前記圧力容器4のフランジ4aに平行する水平状態で形成されている。尚、フランジ4aを図5に示すようにテーパ状に形成した場合は、同図に示すように抽出容器5の段部5aもフランジ4aに平行するテーパ状に形成する。
【0048】
そして、前記段部5aを覆う状態でシール材6が耐熱性の接着剤等により貼着されており、これにより、抽出容器5を圧力容器4へ装着したとき、前記シール材6を圧力容器4のフランジ4aと抽出容器5の段部5aにより挟持されることになる。詳述すると、シール材6は抽出容器5と圧力容器4の断面略L字状の幅広の重合部に沿って断面略L字状に挟持され、気密性を増すと共に抽出容器5と圧力容器4との熱的結合を良好に保つように構成される。前記のように段部5aが形成された抽出容器5は、縮径部5bから連通管5Aに向かう下り勾配の傾斜面となるように底部5cが形成されている。尚、勾配の角度(α)は、回転軸に垂直な面を基準として略10〜30度に構成される。このように形成された抽出容器5を図3又は図5に示すように圧力容器4へ装着すると、抽出容器5の底部5cが圧力容器4内へ没入する状態となると共に、熱的結合を良好にしつつシール材6の鉛直方向における挟持が確実に行われ、圧力容器4内の減圧吸収時における位置ずれが生じない。
【0049】
図6は、抽出容器5へ配設される濾過手段としてのフィルターユニット7および粉砕手段としてのカッター9を軸支した蓋体10の組立状態を斜視図で示したものである。同図に示すフィルターユニット7は、抽出容器5の縮径部5bの内周壁に圧入して固定される環状枠体7aから抽出容器5の底部5cの斜面に平行する状態で形成されたステム(支持枠)7bにフィルター素材7cが張設されている。このフィルター素材7cは、一例として、JISで規定されているステンレス鋼線製織金網を採用する場合、豆乳の生成用として、例えば、線径0.22mm、45メッシュ、スープ生成用として、例えば、線径0.22mm、10〜20メッシュ(好ましくは16メッシュ)を採用した場合に良好な生成結果が得られた。尚、他のフィルター素材としてステンレス板のパンチングメタルを採用しても良い。
【0050】
前記フィルターユニット7にはハンドル7dを備え、調理後にこのハンドル7dによりフィルターユニット7を抽出容器5から引き抜くことができ、残滓の回収が容易となる。
尚、図7は、上記とは異なる形状に構成したフィルターユニット8を示すもので、内周にフィルター素材8bを張設した環状枠体8aの外周の複数箇所に傾斜凸条8cを形成する一方、抽出容器5の縮径部5bの前記傾斜凸条8cに対向する位置に突起5dを形成してバヨネット構造となるようにし、着脱可能となるようにしたもので、フィルター素材8bが平坦面を形成するように構成したものである。
【0051】
つぎに、蓋体10の組立状態を図3ならびに図8に示す分解斜視図にもとづいて説明する。蓋体10の中央には凹陥状態に形成された中空ホルダー10aを備え、該ホルダー10a内にシャフト11が挿通されたスリーブメタル12が固定される。このスリーブメタル12は、その上下がストップリング13で位置決めされ、ワッシャー14とオイルシール15が配設され、中空ホルダー10aの内部を液密状態となるようにするとともに押さえ板16が止めネジ17で固定され、シャフト11が上下方向の定位置で回転可能に固定される。尚、蓋体10には窓蓋10bを備え、抽出容器5への蓋体10の施蓋後、若しくは本体1へ組み立てた状態においてこの窓蓋10bの開口部から食材の投入が可能となるようにすると共に、図示しない蒸気の抜ける通気孔を設けている。
【0052】
このようにして組み立てられたシャフト11の上端11aは中空ホルダー10aの開口部に臨み、このシャフト11の上端11aに下カップリング18をナット19により固定する。一方、中空ホルダー10aから垂下したシャフト11の下端11bにはカッター9のホルダー9aが装着され、該ホルダー9aの割溝とシャフト11のピン11cが係合し、カッター9が着脱可能に取り付けられる。尚、図3に示すようにカッター9の回転軌跡の直径D1と抽出容器5の底部の直径D2との比率D1/D2は、略0.4〜0.6となるようにしている。これにより、カッター9の回転軌跡の直径が大きすぎることによる熱水の施蓋部分からの溢れ、逆に小さ過ぎることによる粉砕能力の低下やフィルターの目詰まりを防止することができる。
【0053】
以上のように蓋体10に構成されたカッター9の回転機構は、本体1の上部に組み込まれた動力機構3により駆動される。図9は、その要部を示す断面図であり、出力軸の先端に上カップリング20が固定された動力手段としての電動モーター21は、下端に適度の柔軟性を具えた緩衝部材22bが配設されたモーターセットボタン22に収容され、昇降可能となるようにしている。
【0054】
即ち、図10ならびに図11に示すように、モーターセットボタン22の直径方向の両側部で対向するスプリングホルダー22aが一体に構成されており、該スプリングホルダー22aに圧縮コイルスプリング23が内装されているので、モーターセットボタン22は上方へ付勢された状態で本体1の頂部で停止している。また、前記モーターセットボタン22内にはイジェクトボタン24が上下方向にスライド可能に内装され、圧縮コイルスプリング25により上方へ付勢された状態で停止している。
【0055】
尚、図10において、制御部を構成する配線基板B1にはマイコン機能を果たす集積回路素子等の電子部品が実装され、タイマー機能やプログラムされた調理シーケンス等が保存されている。また、表示制御部を構成する配線基板B2にも集積回路素子やスイッチ素子、LEDランプ、ブザー等が実装される。
【0056】
つぎに、以上のように構成されたモーターセットボタン22のロック機構26の構成ならびに作用を図12にもとづいて説明する。このロック機構26は、図10に示すようにスプリングホルダー22aの外周の直径方向で対向する位置に構成されており、モーターセットボタン22から延設された支持片22cに求心方向へ付勢された可動爪26aが揺動可能に支持されている。そして、前記可動爪26aの降下位置に本体1のケーシングに固定爪26bが形成されている。
【0057】
図12(A)は、本体1に抽出容器5が配設され、蓋体10の下カップリング18と電動モーター21の上カップリング20が対向した状態を示す。かかる状態において、モーターセットボタン22の頂部外周を押圧すると、該モーターセットボタン22はイジェクトボタン24とともに降下し、やがて可動爪26aと固定爪26bのそれぞれの傾斜面が接触し、可動爪26aが付勢力に抗して遠心方向へ揺動する。尚、この時点で、リミットスイッチ27の作用片が支持片22cから離脱するため、該リミットスイッチ27の接点動作により装置電源が投入され調理モードを起動することができる。
【0058】
そして、なおもモーターセットボタン22が降下すると、可動爪26aと固定爪26bのアングルが図12(B)に示すように相互に係合し、モーターセットボタン22が降下した状態でロックされることになる。この状態に至ると、蓋体10の下カップリング18と電動モーター21の上カップリング20が係合し、電動モーター21の動力の伝達が可能となり、カッター9の回転駆動が可能となる。また、モーターセットボタン22の下端の緩衝部材22bが蓋体10を押圧し、施蓋状態を安定に保つと共に圧力容器4内の高圧時における抽出容器5の振動を防ぐことができる。
【0059】
図12(B)の状態、即ち、モーターセットボタン22が降下してロックされた状態を解除するには、図12(C)に示すようにイジェクトボタン24のみを押圧する。これにより、可動爪26aが遠心方向へ揺動し、固定爪26bとのアングルの係合が解除され、これと同時に圧縮コイルスプリング23の付勢作用を受けてモーターセットボタン22が上昇して図12(A)に示す位置で停止し、下カップリング18と上カップリング20との係合が解除される。一方、イジェクトボタン24は、前記押圧操作を解除すると圧縮コイルスプリング25の付勢作用によりモーターセットボタン22の内周面に案内されて上昇し、図12(A)に示す位置で停止する。
【0060】
以上は本発明の最も基本的構成を示すもので、装置を起動することにより、予め実験した結果にもとづいてプログラムされたシーケンスにもとづいて豆乳あるいはスープの調理が可能となるが、更に精度の高い調理結果を得るには、以下に述べる構成を付加することにより可能となる。
【0061】
図13は、本体1に温度センサー(サーミスタ)28を配設し、抽出容器5の温度を検出することにより圧力容器4から揚上された熱水の温度を間接的に検出するようにしたものである。これにより、熱水が揚上された時期、抽出容器5内の熱水の温度を検出することができ、この検出データにもとづいて調理の精度を向上することができる。
【0062】
図14は、蓋体10に電極29a・29bを備えるようにしたもので、それぞれの電極の一端が抽出容器5内に垂下するとともに、他端を蓋体10の表面に臨ませて固定し、制御部へ接続された導電ピン31a・31bと電気的に導通するコンタクト30a・30bが形成されている。前記導電ピン31a・31bは、図15ならびに図16に示すようにモーターセットボタン22の外周の直径方向で対向する位置に構成されたピンホルダー22dに収容されて上下動可能となるようにしており、内蔵された圧縮コイルスプリングにより下方へ付勢されている。
【0063】
また、一方の導電ピン31aを収容したピンホルダー22dにはリミットスイッチ32を備え、導電ピン31aの上端の上下動に伴って作動するようにしている。即ち、モーターセットボタン22を押し下げてロックされたとき、コンタクト30aに導電ピン31aの下端が当接して押し上げられ、リミットスイッチ32が作動されるようにしている。このリミットスイッチ32が作動することにより装置電源が投入され装置の運転が可能となる。
【0064】
前記電極29a・29bは、圧力容器4からの熱水の揚上を検知するとともにこの熱水の温度を検知するもので、電極29a・29bが浸水する所定の高さまで熱水が達すると、電極29a・29b間の電気抵抗値の変化を検知し、制御部において熱水が揚上されたものと判断する。また装置運転中にこの電極29a・29bから得られる電気抵抗値にもとづいて制御部がヒーター2の発熱量を制御し、抽出容器5内の熱水の温度が適正となるようにすることが可能となる。
【0065】
また、制御部で電極29a・29bの電気抵抗値を監視することにより、設定された所定のシーケンスにおいて調理された抽出液が圧力容器4へ降下して回収されないという不具合も検知することができる。即ち、濾過手段の目詰まりにより抽出液が設定された時間を経過しても降下せず、抽出容器5内に滞留したままである場合、電極29a・29bから得られる電気抵抗値が所定時間を経過しても変化しない状態を異常と判断し、制御部が粉砕手段を動作するか、動作しても目詰まりが解消しない場合は以降のシーケンスを停止して異常状態をブザーを鳴動して報知することができる。尚、構成を多少変更して1本の電極により熱水の揚上を検出することも可能である。この場合、蓋体10の中空ホルダー部10aをもう一方の電極としても良い。
【0066】
以上説明したように、抽出容器5内の熱水の温度や揚上を温度センサー28又は電極29a・29bにより検知する場合は、熱水の抽出容器5への揚上の時期および温度を正確に検知することができるので、豆乳、スープ等異なる種類の複数の液状食品の調理が可能となり、調理内容の相違(加熱時間、粉砕、攪拌のタイミング等)に対応することができ、精度の高い調理結果を得ることができる。図17は、このような複数モードを備えて完成した本発明の液状食品調理器Aの正面図であり、本体1の頂部に操作部33を構成したもので、モードスイッチ33a(コーヒー)、モードスイッチ33b(豆乳)、モードスイッチ33c(スープ)を備え、電源表示ランプ33d、調理終了や異常状態を報知するブザー33eを備える。尚、前記モードスイッチ33a・33b・33cにはモードランプ33a−1・33b−1・33c−1を備え、運転中のモードの認識が可能となるようにしている。
【0067】
つぎに、本発明の液状食品調理器Aを運転するため、制御部にプログラムされた各調理モードのシーケンスの一例を説明する。まず、本発明の液状食品調理器Aを単機能に構成した場合の豆乳の生成を前提とするシーケンスを図18および図19にもとづいて説明する。尚、特に指定の無い限り、以下の運転モードの説明で使用する圧力容器はステンレス製のものである。
【0068】
調理を開始する準備として、予め水に浸漬しておいた所定量の大豆をフィルターユニット7が装着された抽出容器5へ投入する。一方、圧力容器4には所定量の冷水を注入し、この圧力容器4に蓋体10により施蓋された抽出容器5を装着し、本体1へ図1に示すように配設する。そして、モーターセットボタン22を押し込んでロックすることによりリミットスイッチ27が作動し、モーターセットボタン22が操作されたことを確認し(ステップSa1)、装置電源が投入され、調理モードのシーケンスが開始される。
【0069】
制御部は、前記により装置電源が投入されると同時に12分タイマーおよび17分タイマーを起動(ステップSa2)するとともにヒーター2の継続作動を開始するとともに本体1の表示部のLEDランプを点灯する(ステップSa3)。これにより、圧力容器4に注入されている水が加熱されて沸騰すると、熱水が抽出容器5へ揚上され、抽出容器5に投入されている大豆が浸漬し煮沸が開始される。そして、タイマーによる12分の経過が確認されると(ステップSa4)、更に9分40秒タイマーが起動されるとともに、ヒーター2の断続作動(20秒ON/50秒OFF)が開始される(ステップSa5)。
【0070】
このヒーター2の断続運転により抽出容器5へ揚上した熱水が異常な高温となることや、更に圧力容器4に残存する微少量の熱水に含まれる非水溶性の豆乳成分の焦げ付きを防止するとともに、大豆が適当な温度で煮沸され、軟化する。そして、タイマーによる17分の経過が確認されると(ステップSa6)、4分40秒タイマーが起動されるとともに、電動モーター21が作動され、カッター9の断続作動(1秒ON/2秒OFF)が開始される(ステップSa7)。これにより、抽出容器5の軟化した大豆はカッター9により断続的に粉砕され、次第に微粒化して大豆の水溶性成分が溶出される。この間、ヒーター2は断続作動が継続され、抽出容器5の熱水が適温に制御されて抽出液が加熱殺菌されると共にカッター9の作動により豆乳特有の泡の発生を抑制する。
【0071】
前記の状態が継続され、タイマーによる9分40秒の経過が確認されると(ステップSa8)、ヒーター2の断続作動が停止されるとともに、8分20秒タイマーが起動され、カッターの断続作動が変更(10秒ON/20秒OFF:6回)される(ステップSa9)。かかる状態に至ると、ヒーター2による圧力容器4の加熱が終了するため、その内部が急速に減圧し、抽出容器5の抽出液(豆乳)が吸引されて圧力容器4への回収が開始される。
【0072】
この間、カッター9の断続作動(10秒ON/20秒OFF:6回)により抽出液が攪拌されるので、フィルターユニット7の残滓による目詰まりと泡の発生を防止することができ、抽出液が勢いよく圧力容器4に吸引される。そして、カッター9の6回の断続作動が確認されると(ステップSa10)、カッター9の作動が終了し(ステップSa11)、抽出液が完全に圧力容器4へ回収された後のタイマーによる8分20秒の経過を確認すると(ステップSa12)、ブザーを鳴動して調理終了を報知する(ステップSa13)。
【0073】
つぎに、図13に示すようにサーミスタ28を配設し、抽出容器5の温度を検出してシーケンスを進行するようにして豆乳を生成する例を図20および図21にもとづいて説明する。尚、以下の説明では、複数モードを備えた図17に示す構成の液状食品調理器Aを前提とするものである。また、この実施例では圧力容器4を耐熱ガラスとしたものである。
【0074】
調理を開始する準備として、予め水に浸漬しておいた所定量の大豆をフィルターユニット7が装着された抽出容器5へ投入する。一方、圧力容器4には所定量の冷水又は温水を注入し、この圧力容器4に蓋体10により施蓋された抽出容器5を装着し、本体1へ図17に示すように配設した後、モーターセットボタン22を押し込んでロックする。そして、本体1のモードスイッチ33bの投入が確認(ステップSb1)されるとヒーターの運転が開始され、モードランプ33b−1が点灯するとともに、ヒーター2の継続作動が開始する(ステップSb2)。
【0075】
ヒーター2の継続作動が開始されると、圧力容器4に注入されている冷水又は温水が加熱され揚上温度(約90℃)に達する。この揚上点に達するまでの時間は、注入された冷水又は温水の温度により異なり、概ね、8〜12分となる。かかる時間の経過した後、圧力容器4の沸騰した熱水が抽出容器5へ揚上されると、抽出容器5に投入されている大豆が浸漬し煮沸が開始されるとともに、抽出容器5の外壁の温度が急激に上昇(揚上時の外壁温度約80℃)するので、サーミスタ28はこれを検知し、その信号で熱水の揚上が僅かに遅れて確認される(ステップSb3)と共に調理モードのシーケンスが開始される。
【0076】
サーミスタ28により熱水の揚上を検知すると、ヒーター2の断続作動(20秒ON/OFF)およびカッター9の断続作動(1秒ON/20秒OFF)が開始される(ステップSb4)。これにより、抽出容器5へ揚上した熱水が緩く攪拌されつつ大豆が煮沸され、次第に熱水が沸騰点に向かって上昇する。そして、サーミスタ28が湯温約98℃(外壁温約88℃)を検出すると(ステップSb5)、ヒーター2の断続作動が変更(20秒ON/30秒OFF:10回)されるとともに、カッター9の断続作動が変更(3秒ON/10秒OFF)され(ステップSb6)、抽出容器5内の熱水は適温に制御され抽出液が加熱殺菌される。この時点に至ると大豆は軟化し、カッター9により断続的に粉砕され、次第に微粒化して大豆の水溶性成分が溶出される。
【0077】
前記状態が継続され、ヒーター2の10回の断続作動が確認されると(ステップSb7)、8分タイマーが起動され(ステップSb8)、カッター9の断続作動が変更(10秒ON/OFF:3回)される(ステップSb9)。かかる状態に至ると、ヒーター2による圧力容器4の加熱が終了するため、その内部が急速に減圧し、抽出容器5の抽出液(豆乳)が吸引され圧力容器4への回収が開始される。
【0078】
この間、カッター9の断続作動(10秒ON/OFF:3回)により抽出液が攪拌されるので、フィルターユニット7の残滓による目詰まりと泡の発生を防止することができ、抽出液が勢いよく圧力容器4に吸引される。そして、カッター9の3回の断続作動が確認されると(ステップSb10)、カッター9の作動が終了し(ステップSb11)、抽出液が完全に圧力容器4へ回収された後のタイマーによる8分の経過を確認すると(ステップSb12)、ブザーを鳴動して調理終了を報知する(ステップSb13)。
【0079】
つぎに、同様にサーミスタ28を配設した図13に示す構成により、抽出容器5の温度を検出してシーケンスを進行し、野菜スープを生成する例を図22および図23にもとづいて説明する。尚、この実施例では圧力容器4を耐熱ガラスとしたものである。
【0080】
調理を開始する準備として、所定量の野菜(根菜)をフィルターユニット7が装着された抽出容器5へ投入する。一方、圧力容器4には所定量の冷水又は温水を注入し、この圧力容器4に蓋体10により施蓋された抽出容器5を装着し、本体1へ図17に示すように配設した後、モーターセットボタン22を押し込んでロックする。そして、本体1のモードスイッチ33cの投入が確認(ステップSc1)されるとヒーターの運転が開始され、モードランプ33c−1が点灯するとともに、ヒーター2の継続作動が開始する(ステップSc2)。
【0081】
ヒーター2の継続作動が開始されると、圧力容器4に注入されている冷水又は温水が加熱され揚上温度(約90℃)に達する。この揚上点に達するまでの時間は、注入された冷水又は温水の温度により異なり、概ね、8〜12分となる。かかる時間の経過した後、圧力容器4の沸騰した熱水が抽出容器5へ揚上されると、抽出容器5に投入されている野菜が浸漬し煮沸が開始されるとともに、抽出容器5の外壁の温度が急激に上昇(揚上時の外壁温度約80℃)するので、サーミスタ28はこれを検知し、その信号で熱水の揚上が僅かに遅れて確認される(ステップSc3)と共に調理モードのシーケンスが開始される。
【0082】
サーミスタ28が熱水の揚上を検知すると、ヒーター2の断続作動(20秒ON/10秒OFF)およびカッター2の断続作動(1秒ON/20秒OFF)が開始される(ステップSc4)。これにより、抽出容器5へ揚上した熱水が緩く攪拌されつつ野菜が煮沸され、次第に熱水が沸騰点に向かって上昇する。そして、サーミスタ28が湯温約98℃(外壁温約88℃)を検出すると(ステップSc5)、ヒーター2の断続作動が変更(20秒ON/30秒OFF:11回)されるとともに、カッター9の断続作動が変更(3秒ON/10秒OFF)され(ステップSc6)、抽出容器5内の熱水は適温に制御される。この時点に至ると野菜は軟化し、カッター9により断続的に粉砕され、次第に微粒化して野菜の水溶性成分が溶出される。
【0083】
前記状態が継続され、ヒーター2の11回の断続作動が確認されると(ステップSc7)、8分タイマーが起動され(ステップSc8)、カッター9の断続作動が変更(10秒ON/OFF:3回)される(ステップSc9)。かかる状態に至ると、ヒーター2による圧力容器4の加熱が終了するため、その内部が急速に減圧し、抽出容器5の抽出液(野菜スープ)が吸引され圧力容器4への回収が開始される。
【0084】
この間、カッター9の断続作動(10秒ON/OFF:3回)により抽出液が攪拌されるので、フィルターユニット7の残滓による目詰まりを防止することができ、抽出液が勢いよく圧力容器4に吸引される。そして、カッター9の3回の断続作動が確認されると(ステップSc10)、カッター9の作動が終了し(ステップSc11)、抽出液が完全に圧力容器4へ回収された後のタイマーによる8分の経過を確認すると(ステップSc12)、ブザーを鳴動して調理終了を報知する(ステップSc13)。
【0085】
つぎに、図14に示すように蓋体10に電極29a・29bを設け、この電極29a・29bにより抽出容器5への熱水の揚上を直接検出してシーケンスを進行し、豆乳を生成する例を図24および図25にもとづいて説明する。尚、以下の説明では、複数モードを備えた図17に示す構成を前提とするものである。
【0086】
調理を開始する準備として、予め水に浸漬しておいた所定量の大豆をフィルターユニット7が装着された抽出容器5へ投入する。一方、圧力容器4には所定量の冷水又は温水を注入し、この圧力容器4に蓋体10により施蓋された抽出容器5を装着し、本体1へ図17に示すように配設した後、モーターセットボタン22を押し込んでロックする。そして、本体1のモードスイッチ33bの投入が確認(ステップSd1)されるとヒーターの運転が開始され、モードランプ33b−1が点灯するとともに、ヒーター2の継続作動が開始する(ステップSd2)。
【0087】
ヒーター2の継続作動が開始されると、圧力容器4に注入されている冷水又は温水が加熱され、約8〜12分で沸騰点に達したものとする。かかる時間の経過した後、圧力容器4の沸騰した熱水が抽出容器5へ揚上されると、抽出容器4内に垂下した電極29a・29bが熱水に浸水し、これにより熱水の揚上が確認され調理モードのシーケンスが開始される(ステップSd3)。電極29a・29bにより熱水の揚上を検知すると、5分タイマーが起動されるとともに、ヒーター2の断続作動(20秒ON/30秒OFF:11回)が開始される(ステップSd4)。
【0088】
これにより、抽出容器5内の大豆が浸漬し煮沸が開始され、次第に軟化する。そして、5分タイマーの経過を確認すると(ステップSd5)、6分20秒タイマーが起動されるとともに、カッター9の断続作動(1秒ON/5秒OFF)が開始される(ステップSd6)。したがって、軟化した大豆は、この時点からカッター9により断続的に粉砕され、次第に微粒化して大豆の水溶性成分が溶出されると共に加熱殺菌される。
【0089】
前記の状態が継続され、ヒーター2の11回の断続作動(9分40秒)が確認されると(ステップSd7)、該ヒーターの断続作動が停止され、11分20秒タイマーが起動する(ステップSd8)。ヒーター2の作動が停止された後も抽出液(豆乳)は抽出容器5内に滞留し、この抽出液のカッター9による攪拌が断続的に継続され泡の発生を抑制する。そして、タイマーによる6分20秒の経過が確認されると(ステップSd9)、カッター9の断続作動が停止される。
【0090】
かかる状態に至ると、圧力容器4の温度が降下してその内部が急速に減圧するため、抽出容器5の抽出液が吸引され圧力容器4への回収が開始され、抽出液が完全に圧力容器4へ回収された後のタイマーによる11分20秒の経過を確認すると(ステップSd11)、ブザーを鳴動して調理終了を報知する(ステップSd12)。
【0091】
つぎに、同様に蓋体10に電極29a・29bを配設した図14に示す構成により、抽出容器5への熱水の揚上を検出してシーケンスを進行し、野菜スープを生成する例を図26および図27にもとづいて説明する。
【0092】
調理を開始する準備として、所定量の野菜(根菜)をフィルターユニット7が装着された抽出容器5へ投入する。一方、圧力容器4には所定量の冷水又は温水を注入し、この圧力容器に蓋体10により施蓋された抽出容器5を装着し、本体1へ図17に示すように配設した後、モーターセットボタン22を押し込んでロックする。そして、本体1のモードスイッチ33cの投入が確認(ステップSe1)されるとヒーターの運転が開始され、モードランプ33c−1が点灯するとともに、ヒーター2の継続作動が開始する(ステップSe2)。
【0093】
ヒーター2の継続作動が開始されると、圧力容器4に注入されている冷水又は温水が加熱され、約8〜12分で沸騰点に達したものとする。かかる時間の経過した後、圧力容器4の沸騰した熱水が抽出容器5へ揚上されると、抽出容器4内に垂下した電極29a・29bが熱水に浸水し、これにより熱水の揚上が確認され調理モードのシーケンスが開始される(ステップSe3)。電極29a・29bにより熱水の揚上を検知すると、9分40秒タイマーおよび5分タイマーが起動する(ステップSe4)。
【0094】
かかる状態からタイマーによる5分経過を確認すると(ステップSe5)、カッター9の断続作動(1秒ON/2秒OFF)が開始される(ステップSe6)。したがって、軟化した野菜は、この時点からカッター9により断続的に粉砕され、次第に微粒化して野菜の水溶性成分が溶出される。この状態が継続され、タイマーによる9分40秒の経過が確認されると(ステップSe7)、11分20秒タイマーを起動する(ステップSe8)。これと同時にヒーター2の作動を停止するとともに、カッター9の断続作動が変更(10秒ON/20秒OFF:6回)される(ステップSe9)。
【0095】
ヒーター2の作動が停止され、圧力容器4の温度が低下すると、その内部が急速に減圧し、抽出容器5の抽出液(野菜スープ)が吸引され圧力容器4への回収が開始される。この間、カッター9の断続作動(10秒ON/20秒OFF:6回)により抽出液が攪拌されるので、フィルターユニット7の残滓による目詰まりを防止することができ、抽出液が勢いよく圧力容器4に吸引される。そして、カッター9の6回の断続作動が確認されると(ステップSe10)、カッター9の作動を終了し(ステップSe11)、抽出液が完全に圧力容器4へ回収された後のタイマーによる11分20秒の経過を確認すると(ステップSe12)、ブザーを鳴動して調理終了を報知する(ステップSe13)。
【0096】
ところで、大豆を調理する場合、熱水の抽出容器5への揚上前に大豆の粉砕を行い、熱水の揚上後は抽出促進及び泡の抑制のために断続的に攪拌を行うようにカッター9を動作させても良い。このようにすると、熱水の浸漬前に大豆を粉砕することができるので、高温の熱水により大豆の蛋白質成分を固化させることなく(固化すると残滓(おから)の蛋白質成分が残存し易くなる)、大豆成分の多い抽出液(豆乳)を得ることができる。
【0097】
尚、本発明の液状食品調理器による野菜スープの主な食材としては、南瓜、馬鈴薯、人参、玉葱、アスパラ、トウモロコシなどであり、それぞれ良好な生成結果を得られた。これらの野菜の場合、大豆に比して蛋白質成分が少ない分、圧力容器(下容器)の焦げ付きの度合いは少なく、熱水が抽出容器(上容器)へ揚上した後の加熱手段(ヒーター)の加熱量の減少(断続運転)は必ずしも必要でない(図26、図27)。しかしながら、図22、図23の実施例のように熱水の揚上後、過度に食材を煮沸させないように加熱手段の加熱量を減少させるようにすると、焦げ付きを解消できると共に風味の良い液状食品を得ることができる。
【0098】
つぎに、サーミスタ28を配設した図13に示す構成又は蓋体10に電極29a・29を配設した図14に示す構成により、熱水の揚上を検出してシーケンスを進行し、コーヒーを抽出する例を図28にもとづいて説明する。
【0099】
コーヒーの抽出を行う場合は、カッター9を全く作動しないため、図7に示すフィルターユニット8を採用し得る。このフィルター8が装着された抽出容器5へ所定量の粉砕されたコーヒーパウダーを投入する。一方、圧力容器4には所定量の冷水を注入し、この圧力容器に蓋体10により施蓋された抽出容器5を装着し、本体1へ図17に示すように配設した後、モーターセットボタン22を押し込んでロックする。そして、本体1のモードスイッチ33aの投入が確認(ステップSf1)されるとシーケンスが開始され、モードランプ33a−1が点灯するとともに、ヒーター2の継続作動が開始する(ステップSf2)
【0100】
ヒーター2の継続作動が開始されると、圧力容器4に注入されている冷水が加熱され沸騰する。そして、圧力容器4の沸騰した熱水の抽出容器5への揚上がサーミスタ28又は電極29a・29bにより検知され(ステップSf3)、揚上が十分となるようにするための10秒タイマーが起動される(ステップSf4)。熱水が揚上し、タイマーによる10秒の経過が確認されると(ステップSf5)、ヒーター2の作動が停止され(ステップSf6)、3分タイマーが起動され、コーヒー抽出液が圧力容器4へ回収された後のタイマーによる3分の経過を確認すると(ステップSf8)、ブザーを鳴動してコーヒー抽出の終了を報知する(ステップSf9)。
【0101】
尚、以上の説明では、豆乳、野菜スープ、コーヒーを調理の例として説明したが、調理シーケンスやフィルターユニットの変更により各種の液状食品の調理が可能となるものであり、上記の調理例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の液状食品調理器の正面斜視図である。
【図2】本発明の液状食品調理器の側面図である。
【図3】本発明の液状食品調理器の断面図である。
【図4】本発明の圧力容器ならびに抽出容器を示す斜視図である。
【図5】本発明の圧力容器ならびに抽出容器の他の成形例を示す断面図である。
【図6】抽出容器の組立状態を示す斜視図である。
【図7】フィルターユニットの他の構成の例を示す断面図である。
【図8】蓋体の構成を示す分解斜視図である。
【図9】動力機構の構成を示す断面図である。
【図10】本体上部構造を説明するための図である。
【図11】モーターセットボタンの構成を示す図である。
【図12】モーターセットボタンのロック機構を説明する図である。
【図13】抽出容器の温度検出手段を設けた状態を示す断面図である。
【図14】抽出容器の熱水揚上検出手段を設けた状態を示す断面図である。
【図15】図14の構成における本体上部構造を説明するための図である。
【図16】図14の構成におけるモーターセットボタンの構成を示す図である。
【図17】複数モードを備える本発明の液状食品調理器の正面斜視図である。
【図18】単機能における調理モードの一例のフローチャート図である。
【図19】図18に対応するタイムチャート図である。
【図20】温度検出手段にもとづく豆乳モードの一例のフローチャート図である。
【図21】図20に対応するタイムチャート図である。
【図22】温度検出手段にもとづくスープモードの一例のフローチャート図である。
【図23】図22に対応するタイムチャート図である。
【図24】熱水揚上検出手段にもとづく豆乳モードの一例のフローチャート図である。
【図25】図24に対応するタイムチャート図である。
【図26】熱水揚上検出手段にもとづくスープモードの一例のフローチャート図である。
【図27】図26に対応するタイムチャート図である。
【図28】コーヒーモードの一例を示すフローチャート図である。
【図29】従来の液状食品調理器の構成を示す図である。
【図30】図29の液状食品の要部の構成を示す断面図である。
【図31】従来の構成の要部拡大断面図である。
【図32】従来の構成の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0103】
A・・・・・・液状食品調理器
1・・・・・・本体(スタンド)
2・・・・・・ヒーター
3・・・・・・動力機構
4・・・・・・圧力容器(下容器)
4a・・・・・フランジ
5・・・・・・抽出容器(上容器)
5A・・・・・連通管
5a・・・・・段部
5b・・・・・縮径部
5c・・・・・底部
6・・・・・・シール材
7・・・・・・フィルターユニット
8・・・・・・フィルターユニット
9・・・・・・カッター
10・・・・・蓋体
11・・・・・シャフト
18・・・・・下カップリング
20・・・・・上カップリング
21・・・・・電動モーター
22・・・・・モーターセットボタン
24・・・・・イジェクトボタン
26・・・・・ロック機構
27・・・・・リミットスイッチ
28・・・・・温度センサー(サーミスタ)
29a・・・・電極
29b・・・・電極
30a・・・・コンタクト
30b・・・・コンタクト
31a・・・・導電ピン
31b・・・・導電ピン
32・・・・・リミットスイッチ
33・・・・・操作部
B1・・・・・基板
B2・・・・・基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、
圧力容器の開口部に遠心方向に延在するフランジを形成する一方、抽出容器の底部を縮径して段部を形成し、装着状態において前記圧力容器のフランジと前記抽出容器の段部が幅広に重合するようにし、該重合部にシール部材が介在するようにしたことを特徴とする液状食品調理器。
【請求項2】
圧力容器の開口部のフランジを水平状態に形成する一方、抽出容器の底部を縮径して形成した段部が前記フランジと平行する水平状態に形成され、前記圧力容器のフランジと抽出容器の段部でシール部材を挟持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の液状食品調理器。
【請求項3】
圧力容器の開口部のフランジをテーパ状に拡径した状態に形成する一方、抽出容器の底部を縮径した段部が前記フランジと平行するテーパ状に形成され、前記圧力容器のフランジと抽出容器の段部でシール部材を挟持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の液状食品調理器。
【請求項4】
抽出容器の底部が縮径部から連通管へ向かう下り勾配となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の液状食品調理器。
【請求項5】
加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、
前記抽出容器の底部の直径に対する前記粉砕手段の回転軌跡の直径の比率が0.4〜0.6となるようにしたことを特徴とする液状食品調理器。
【請求項6】
加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、
前記抽出容器の底部に装着する濾過手段が残滓を回収する機能を備えていることを特徴とする液状食品調理器。
【請求項7】
加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、
前記圧力容器で沸騰した熱水が抽出容器に揚上され、この熱水により抽出容器に投入されている食材が浸漬された時期若しくは煮沸されて軟化した時期を起点として粉砕手段が断続運転を開始する調理モードを備えたことを特徴とする液状食品調理器。
【請求項8】
異なる濾過手段を任意に選択して抽出容器に装着可能となるようにし、豆乳又はスープの何れも生成できるようにしたことを特徴とする請求項7記載の液状食品調理器。
【請求項9】
圧力容器で沸騰した熱水が抽出容器に揚上された後、加熱手段による圧力容器の加熱量を減少するようにしたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の液状食品調理器。
【請求項10】
加熱手段により注入された冷水又は温水を沸騰させて水蒸気を発生させるようにした圧力容器と、濾過手段を収容する底部から下方へ延在する連通管が形成された抽出容器とを備え、前記圧力容器の開口部に前記抽出容器の底部を装着して組み立てた状態において抽出容器の内部に粉砕手段が臨むようにした液状食品調理器であり、
動力伝達機構が連結されて前記粉砕手段を回転駆動するための動力手段による動力の伝達が可能となったとき、装置電源が投入されて調理モードのシーケンスが開始するようにしたことを特徴とする液状食品調理器。
【請求項11】
装置構成要素として少なくとも、着脱可能の濾過手段および底部から下方に延在する連通管とを備えた抽出容器と、該抽出容器を装着することにより密閉状態となる圧力容器と、粉砕手段およびこれを回転駆動するための回転軸を備えるとともに、抽出容器に施蓋可能となるようにした蓋体と、該蓋体に配設した回転軸を回転駆動する動力手段と、前記圧力容器を加熱する加熱手段とを本体に一体化して成立する液状食品調理器であり、
前記動力手段および加熱手段を制御する制御手段を設け、該制御手段にプログラムされた各種の調理モードを設定するとともに、前記調理モードを指定するための選択手段を本体に設け、この選択手段により任意に調理モードを指定して所望の液状食品の調理が可能となるようにしたことを特徴とする液状食品調理器。
【請求項12】
大豆から豆乳を生成する豆乳モード、および野菜からスープを生成するスープモードを備えていることを特徴とする請求項11記載の液状食品調理器。
【請求項13】
抽出容器の温度を検出する温度検出手段を備え、該検出手段により抽出容器へ揚上された熱水の温度を検出した時点から指定された調理モードのシーケンスが開始されるようにしたことを特徴とする請求項11記載の液状食品調理器。
【請求項14】
圧力容器により生成された熱水が連結管を介して抽出容器に揚上されたことを検出する検出手段を備え、該検出手段により抽出容器へ熱水が揚上されたことを検出した時点から指定された調理モードのシーケンスが開始されるようにしたことを特徴とする請求項11記載の液状食品調理器。
【請求項15】
検出手段により熱水の揚上が検出された後、加熱手段による圧力容器の加熱量を減少するようにしたことを特徴とする請求項13又は請求項14記載の液状食品調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2007−44162(P2007−44162A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230011(P2005−230011)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(590004774)山本電気株式会社 (8)
【Fターム(参考)】