説明

液面制御装置及び液面制御方法

【課題】より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができる液面制御装置及び液面制御方法を提供する。
【解決手段】液が貯留される容器20と、供給路10と、払い出し路30と、供給路10及び払い出し路30の流量を調節するコントロール弁12及び払い出しポンプ32と、容器20の液面がH,Lに達しているかを検知するレベルスイッチ20H,20Lとを備える液面制御装置1において、制御部40が、レベルスイッチ20H,20Lの検知結果から供給量と排出量との差であるΔWを演算し、ΔWが0に収束するように供給路10及び払い出し路30の流量を調節することにより、容器20の液面の高さを制御する。このため、供給量及び排出量の変化等の外乱に対する追従性がより良く、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面制御装置及び液面制御方法に関し、特に、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する液面制御装置及び液面制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の内部に貯留された液の液面の高さ(液位)を制御する技術が提案されている。工業的用途において、容器内に貯留される液には、例えば温度や組成により粘度や比重が変化する中・高粘度流体等の容器内で液の高さを測定することが困難な液がある。このような液を連続的又は半連続的に容器内に供給し、且つ容器内に貯留された液を排出して、容器の液面を制御する場合がある。このような場合には、差圧式液面計やフロート式液面計を用いて連続的に液の供給や排出をすると、液面の検出精度が低いため、容器の液面が高くなり過ぎて液がオーバーフローしたり、液面が低くなり過ぎて液切れを起こしたりする懸念がある。
【0003】
確実に液位を検知する目的で、容器の水位の上限及び下限にレベルスイッチを設置し、例えば、上限で払い出しを開始し、下限で払い出しを停止するようなバッチ供給または抜き出しによる方法がある。しかし、この方法では、上下限でのON・OFF操作となり、ポンプやコントロール弁の作動頻度が高く、装置の故障の原因にもなり、液面の変動も大きく不満足である。
【0004】
これらの問題点の改善を目的とした液面制御方法として、例えば特許文献1に記載の方法がある。この方法は、容器内の液面が所定の範囲に収まるように制御する方法であって、単に供給ポンプをON・OFFするだけではなく、ポンプの回転数制御を行なうことで、ポンプのON・OFF回数を低減し、液面の乱れを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3599790号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の技術では、ポンプの回転数制御は、液面検出手段が所定時間毎に出力するON・OFF信号により形成されたON=1、OFF=0の数値列の移動平均値に対応した回転数を求め、当該回転数でポンプを制御する方法であり、ポンプを最適な回転数で連続運転させるものではない。つまり、液面が急激に変化した場合でも、一定時間内で取得されるスイッチのON・OFF状態は1つで変わらないため、液面の変化量の大小をポンプの供給量及び排出量が適切に反映しない。一方、液の供給量と排出量とが釣り合い、一定の液位を維持していても、レベルスイッチのONまたはOFFの一方が継続すると、無駄な調整を行なうこととなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができる液面制御装置及び液面制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内部に液が貯留される容器と、容器に前記液を供給する供給路と、容器の内部に貯留された液を排出する排出路と、供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節する流量調節機構と、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達しているか否かを検知する第1のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも低い第2の高さに達しているか否かを検知する第2のレベルスイッチと、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果とから、供給路により容器に供給される液の供給量と排出路により容器から排出される液の排出量との差であるΔWを演算する演算手段と、演算手段で演算されたΔWが0に収束するように、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節させることにより、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する制御手段とを備えた液面制御装置である。
【0009】
この構成によれば、内部に液が貯留される容器と、容器に液を供給する供給路と、容器の内部に貯留された液を排出する排出路と、供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節する流量調節機構と、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達しているか否かを検知する第1のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも低い第2の高さに達しているか否かを検知する第2のレベルスイッチとを備える液面制御装置において、演算手段が、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果とから、供給路により容器に供給される液の供給量と排出路により容器から排出される液の排出量との差であるΔWを演算し、制御手段が、演算手段で演算されたΔWが0に収束するように、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節させることにより、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する。このため、供給量及び排出量の変化等の外乱に対する追従性がより良く、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができる。
【0010】
この場合、容器の内部に貯留された液の液面が前記第1の高さよりも高い第3の高さに達しているか否かを検知する第3のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さよりも低い第4の高さに達しているか否かを検知する第4のレベルスイッチとをさらに備え、演算手段は、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果と、第3のレベルスイッチの検知結果と、第4のレベルスイッチの検知結果とからΔWを演算することが好適である。
【0011】
この構成によれば、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも高い第3の高さに達しているか否かを検知する第3のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さよりも低い第4の高さに達しているか否かを検知する第4のレベルスイッチとをさらに備え、演算手段は、第1〜第4のレベルスイッチの検知結果からΔWを演算するため、さらに精度の高い液面制御が可能となる。
【0012】
また、演算手段は、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの容器の内部の液の変化量Vを除した値として、前記ΔW=V/Tを演算し、制御手段は、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量をΔW以上増減させることにより、ΔWが0に収束するようにすることが好適である。
【0013】
この構成によれば、演算手段は、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの容器の内部の液の変化量Vを除した値として、ΔW=V/Tを演算し、制御手段は、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量をΔW以上増減させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0014】
また、第3のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達していることを検知したときは、制御手段は、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なうことが好適である。
【0015】
この構成によれば、第3のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達していることを検知したときは、制御手段は、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう。このため、容器のオーバーフローを確実に防止することができる。
【0016】
また、第4のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達していないことを検知したときは、制御手段は、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なうことが好適である。
【0017】
この構成によれば、第4のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達していないことを検知したときは、制御手段は、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう。これにより、容器内の液が全て排出されてしまうことを確実に防止することができる。
【0018】
また、流量調節機構は排出路に設けられたポンプであり、制御手段は、ポンプの現在の回転数をR、予め設定されたポンプの最低回転数をRMIN、予め設定されたポンプの最高回転数をRMAX、1≦k≦2である任意の定数をk、ポンプの1回転当りの液の排出量をωとして、下式(i)〜(vi)に示す目標回転数Rに前記ポンプを制御することが好適である。
(1)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第1のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達したことを検知したときは、ΔW>0として、
R=R+k×ΔW/ω (i)
(2)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第2のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、
R=R+k×ΔW/ω (ii)
(3)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達したことを検知したときは、
R=RMAX (iii)
(4)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達しなくなったことを検知したときは、
R=RMIN (iv)
(5)現在の回転数RがR=RMAXで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達しなくなったことを検知したときは、前記ΔW<0として、
R=RMAX+k×ΔW/ω (v)
(6)現在の回転数RがR=RMINで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達したことを検知したときは、前記ΔW>0として、
R=RMIN+k×ΔW/ω (vi)
【0019】
この構成によれば、流量調節機構は排出路に設けられたポンプであり、制御手段は、ポンプの現在の回転数をR、予め設定されたポンプの最低回転数をRMIN、予め設定されたポンプの最高回転数をRMAX、1≦k≦2である任意の定数をk、ポンプの1回転当りの液の排出量をωとして、下式(i)〜(vi)に示す目標回転数Rにポンプを制御する。
【0020】
すなわち、(1)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第1のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達したことを検知したときは、ΔW>0として、R=R+k×ΔW/ω (i)とする。これにより、液面が上昇して第1の高さに達したときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量をΔW以上増加させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0021】
また、(2)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第2のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、R=R+k×ΔW/ω (ii)とする。これにより、液面が下降して第2の高さに達しなくなったときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量をΔW以上減少させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0022】
また、(3)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達したことを検知したときは、R=RMAX (iii)とする。これにより、液面が上昇して第3の高さに達したときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量を最大値にさせる。このため、容器のオーバーフローを確実に防止することができる。
【0023】
また、(4)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達しなくなったことを検知したときは、R=RMIN (iv)とする。これにより、液面が下降して第4の高さに達しなくなったときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量を最小値にさせる。このため、容器内の液が全て排出されてしまうことを確実に防止することができる。
【0024】
また、(5)現在の回転数RがR=RMAXで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、R=RMAX+k×ΔW/ω (v)とする。これにより、これにより、最高回転数により液面が下降して第3の高さに達しなくなったときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量をΔW以上減少させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0025】
また、(6)現在の回転数RがR=RMINで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達したことを検知したときは、ΔW>0として、R=RMIN+k×ΔW/ω (vi)とする。これにより、これにより、最低回転数により液面が上昇して第4の高さに達したときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量をΔW以上増加させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0026】
また、容器の内部に貯留される液は、粘性が100cP以上であるものとできる。
【0027】
本発明は、供給量及び排出量の変化等の外乱に対する追従性がより良く、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができるため、粘性が100cP以上である粘性が高い液に対して効力を発揮する。
【0028】
また、レベルスイッチが静電容量計であることが好適である。
【0029】
この構成によれば、レベルスイッチが静電容量計であるため、高粘性の液の液面を検出するときに有利である。
【0030】
レベルスイッチがガスパージ式の温度計であることが好適である。
【0031】
この構成によれば、レベルスイッチがガスパージ式の温度計であるため、高粘性及び高温の液の液面を検出するときに有利である。
【0032】
また、本発明は、内部に液が貯留される容器と、容器に前記液を供給する供給路と、容器の内部に貯留された液を排出する排出路と、供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節する流量調節機構と、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達しているか否かを検知する第1のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも低い第2の高さに達しているか否かを検知する第2のレベルスイッチとを備えた装置において、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する液面制御方法であって、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果とから、供給路により容器に供給される液の供給量と排出路により容器から排出される液の排出量との差であるΔWを演算する演算ステップと、演算ステップで演算されたΔWが0に収束するように、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節させることにより、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する制御ステップとを含む液面制御方法である。
【0033】
この場合、装置は、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも高い第3の高さに達しているか否かを検知する第3のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さよりも低い第4の高さに達しているか否かを検知する第4のレベルスイッチとをさらに備え、演算ステップでは、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果と、第3のレベルスイッチの検知結果と、第4のレベルスイッチの検知結果とからΔWを演算することが好適である。
【0034】
また、演算ステップでは、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの容器の内部の液の変化量Vを除した値として、ΔW=V/Tを演算し、制御ステップでは、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量をΔW以上増減させることにより、ΔWが0に収束するようにすることが好適である。
【0035】
また、第3のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達していることを検知したときは、制御ステップでは、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なうことが好適である。
【0036】
また、第4のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達していないことを検知したときは、制御手段では、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なうことが好適である。
【0037】
また、流量調節機構は排出路に設けられたポンプであり、制御ステップでは、ポンプの現在の回転数をR、予め設定されたポンプの最低回転数をRMIN、予め設定されたポンプの最高回転数をRMAX、1≦k≦2である任意の定数をk、ポンプの1回転当りの液の排出量をωとして、下式(i)〜(vi)に示す目標回転数Rに前記ポンプを制御することが好適である。
(1)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第1のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達したことを検知したときは、前記ΔW>0として、
R=R+k×ΔW/ω (i)
(2)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第2のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さに達しなくなったことを検知したときは、前記ΔW<0として、
R=R+k×ΔW/ω (ii)
(3)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達したことを検知したときは、
R=RMAX (iii)
(4)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達しなくなったことを検知したときは、
R=RMIN (iv)
(5)現在の回転数RがR=RMAXで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、
R=RMAX+k×ΔW/ω (v)
(6)現在の回転数RがR=RMINで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達したことを検知したときは、ΔW>0として、
R=RMIN+k×ΔW/ω (vi)
【0038】
また、容器の内部に貯留される液は、粘性が100cP以上であるものとできる。
【0039】
また、レベルスイッチは静電容量計であることが好適である。
【0040】
また、レベルスイッチはガスパージ式の温度計であることが好適である。
【発明の効果】
【0041】
本発明の液面制御装置及び液面制御方法によれば、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る液面制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液面制御装置の動作の概略を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る液面制御装置の払い出しポンプの回転数を制御する動作の詳細を示すフローチャートである。
【図4】払い出しポンプの回転数と液面の高さとの変化の一例を示すグラフ図である。
【図5】払い出しポンプの回転数と液面の高さとの変化の一例を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る液面制御装置及び液面制御方法を説明する。
【0044】
本実施形態に係る液面制御装置及び液面制御方法は、例えば、レゾルシノールの製造工程において生じた粘性の高いタールを容器内に連続的又は半連続的に供給しつつ容器外に排出して、タールを容器内に所定の液位で貯留させることにより、容器内を大気圧より低い圧力状態に保ち、製造工程上流から供給されるタールが容器をオーバーフローして他の工程や外部に流出することを防ぐ装置である。本実施形態に係る液面制御装置及び液面制御方法は、これ以外にも、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御するために適用することができる。
【0045】
図1に示すように、本実施形態の液面制御装置1は、供給路10、コントロール弁12、容器20、レベルスイッチ20HH,20H,20L,20LL、払い出し路30、払い出しポンプ32及び制御部40を備えている。
【0046】
供給路10は、レゾルシノールの製造工程において生じた100cP以上の高粘性のタールを連続的又は半連続的に容器20内に供給する経路である。供給路10には、供給路10内を流れるタールの流量を調節するためのコントロール弁12が設けられている。
【0047】
容器20は、レゾルシノールの製造工程において生じた粘性の高いタールが貯留される。容器20には、上部から液位の高い順に4つのレベルスイッチ20HH,20H,20L,20LLが、容器20の高さの異なる箇所HH,H,L,LLにそれぞれ設けられている。レベルスイッチ20HH,20H,20L,20LLは、容器20内に貯留されたタールの液位が当該レベルスイッチ20HH等の高さまで到達しているか否かに応じてON/OFF信号を出力する。レベルスイッチ20HH等は、当該レベルスイッチ20HH等の高さに容器20内の液の液位が到達しているときはONの信号を出力し、当該レベルスイッチ20HH等の高さに容器20内の液の液位が到達していないときはOFFの信号を出力する。レベルスイッチ20HH等には、例えば、静電容量計や、ガスパージ式の温度計が適用される。
【0048】
払い出し路30は、容器20内に貯留されたタールを連続的又は半連続的に容器20から排出するための経路である。払い出し路30には、払い出し路30を流れるタールの流量を調節するための払い出しポンプが設けられている。
【0049】
制御部40は、後述するような方法により、レベルスイッチ20HH〜20LLからのON/OFF信号に基づいて、コントロール弁12及び払い出しポンプ32の動作を制御することにより、容器20内に貯留されるタールの液位を制御するためのものである。
【0050】
以下、本実施形態の液面制御装置1の動作について説明する。本実施形態の液面制御装置1では、4点のレベルスイッチ20HH〜20LLのON/OFFの時間間隔から、液の最適供給量または最適払い出し量を逐次算出し、供給量と払い出し量との差ΔWが0に収束するように、供給量又は払い出し量を制御する。
【0051】
まず、本実施形態の液面制御装置1の動作の概要について説明する。図2に示すように、液面制御装置1の制御部40は、レベルスイッチ20HH〜20LLのON/OFF信号を受信する(S11)。
【0052】
制御部40は、レベルスイッチ20HH〜20LLの中で最も近接するレベルスイッチ20HH等同士について、液位が上昇して一方のレベルスイッチ20HH等がOFFからONになってから他方のレベルスイッチ20HH等がOFFからONになるまでの時間間隔、又は液位が下降して一方のレベルスイッチ20HH等がONからOFFになってから他方のレベルスイッチ20HH等がONからOFFになるまでの時間間隔Tを計測する(S12)。
【0053】
制御部40は、計測した時間間隔Tと、容器20内において最も近接するレベルスイッチ20HH等同士の間に保有される液の容量Vとから、供給量と払い出し量との差ΔW=V/Tを演算する(S13)。
【0054】
制御部40は、演算したΔWに応じて、ΔWが0に収束するように、供給路10のコントロール弁12の開度や、払い出し路30の払い出しポンプ32の回転数を算出し、コントロール弁12や払い出しポンプ32を制御する(S14)。
【0055】
以下、本実施形態の液面制御装置1の動作の詳細について説明する。なお、以下の説明では、払い出し路30の払い出しポンプ32の動作のみにより、液面制御が行なわれ、コントロール弁12の開度は一定にされるものとする。また、以下の説明では、払い出しポンプ32の現在の回転数をR*、予め設定された払い出しポンプ32の最低回転数をRMIN、予め設定された払い出しポンプ32の最高回転数をRMAX、1≦k≦2である任意の定数をk、払い出しポンプ32の1回転当りの液の排出量をωとする。
【0056】
図3に示すように、払い出しポンプ32の現在の回転数R*が、RMIN<R*<RMAXである場合は(S21)、液面制御装置1の制御部40はレベルスイッチ20HH〜20LLのON/OFF信号から、容器20内に貯留される液の液位の上昇、下降及びその高さを判定する(S22)。
【0057】
容器20内に貯留される液の液位が上昇し、レベルスイッチ20HがOFFからONになり、レベルスイッチHHがOFFからONになるまでは(レベルスイッチ20H−レベルスイッチ20HH間)、制御部40は払い出しポンプ32の目標回転数Rを下式(1)により算出する。
R=R*+k×ΔW/ω (ただしΔW>0) …(1)
【0058】
容器20内に貯留される液の液位が下降し、レベルスイッチ20LがONからOFFになり、レベルスイッチLLがONからOFFになるまでは(レベルスイッチ20L−レベルスイッチ20HH間)、制御部40は払い出しポンプ32の目標回転数Rを下式(2)により算出する。
R=R*+k×ΔW/ω (ただしΔW<0) …(2)
【0059】
容器20内に貯留される液の液位が上昇し、レベルスイッチ20HHがOFFからONになったとき、あるいはレベルスイッチ20HHがOFFからONになってから所定時間が経過したときは(レベルスイッチ20HH超え)、制御部40は払い出しポンプ32の目標回転数Rを下式(3)により算出する。
R=RMAX …(3)
【0060】
容器20内に貯留される液の液位が下降し、レベルスイッチ20LLがONからOFFになったとき、あるいはレベルスイッチ20LLがONからOFFになってから所定時間が経過したときは(レベルスイッチ20LL超え)、制御部40は払い出しポンプ32の目標回転数Rを下式(4)により算出する。
R=RMIN …(4)
【0061】
払い出しポンプ32の現在の回転数R*が、R*=RMAXである場合であって(S21)、容器20内に貯留される液の液位が下降してレベルスイッチ20HHがONからOFFとなり、液位がレベルスイッチ20H−レベルスイッチ20HH間にあるときは(S27)、制御部40は払い出しポンプ32の目標回転数Rを下式(5)により算出する(S28)。ただし、払い出しポンプ32の現在の回転数R*が、R*=RMAXである場合であって(S21)、レベルスイッチ20HHがONのままで、容器20内に貯留される液の液位がレベルスイッチ20HHよりも高いときは、制御部40は、R=RMAXとする
R=RMAX+k×ΔW/ω (ただしΔW<0) …(5)
【0062】
払い出しポンプ32の現在の回転数R*が、R*=RMINである場合であって(S21)、容器20内に貯留される液の液位が上昇してレベルスイッチ20LLがOFFからONとなり、液位がレベルスイッチ20LL−レベルスイッチ20L間にあるときは(S29)、制御部40は払い出しポンプ32の目標回転数Rを下式(6)により算出する(S30)。ただし、払い出しポンプ32の現在の回転数R*が、R*=RMINである場合であって(S21)、レベルスイッチ20LLがOFFのままで、容器20内に貯留される液の液位がレベルスイッチ20LLよりも高いときは、制御部40は、R=RMINとする
R=RMIN+k×ΔW/ω (ただしΔW>0) …(6)
【0063】
(実験例1)
図4に、本実施形態の液面制御装置1を動作させた際の払い出しポンプ32の回転数と液面の高さとの関係について示す。この例では、レベルスイッチ20HHがOFFからONになったときは、制御部40は、払い出しポンプ32の回転数RをR=RMAXとし、レベルスイッチ20LLがONからOFFになったときは、R=RMINとした。
【0064】
また、制御部40は、レベルスイッチ20LがOFFからONになり、レベルスイッチ20HがOFFからONになるときの払い出しポンプ32の回転数Rを下式(7)により算出した。また、制御部40は、レベルスイッチ20HがONからOFFになり、レベルスイッチ20LがONからOFFになるときの払い出しポンプ32の回転数Rを下式(8)により算出した。ただし、THLは、レベルスイッチ20HがONからOFFになり、レベルスイッチ20LがONからOFFになるまでの時間間隔であり、TLHは、レベルスイッチ20LがOFFからONになり、レベルスイッチ20HがOFFからONになるまでの時間間隔である。
=RMAX−2(V/ωTHL) …(7)
=R+2(V/ωTLH) …(8)
【0065】
図4に示すように、液位はレベルスイッチ20HHとレベルスイッチ20LLとの間に保たれていることが判る。
【0066】
(実験例2)
図5に、本実施形態の液面制御装置1を動作させた際の払い出しポンプ32の回転数と液面の高さとの関係について示す。この例では、制御部40は、レベルスイッチ20Lからレベルスイッチ20Hに到る区間、レベルスイッチ20Hからレベルスイッチ20HHに到る区間、レベルスイッチ20Hからレベルスイッチ20Lに到る区間、及びレベルスイッチ20Lからレベルスイッチ20LLに到る区間について、払い出しポンプ32の回転数Rを上式(1)〜(6)に基づいて制御した。制御部40は、レベルスイッチ20HHがOFFからONになってから10分間が経過したときは、払い出しポンプ32の目標回転数RをR=RMAX=400rpmとした。また、制御部40は、レベルスイッチ20LLがONからOFFになってから10分間が経過したときは、制御部40は払い出しポンプ32の目標回転数RをR=RMIN=60rpmとした。
【0067】
図5に示すように、液位は、レベルスイッチ20HHとレベルスイッチ20LLの各区間で滑らかに制御されていることが判る。
【0068】
本実施形態では、内部に液が貯留される容器20と、容器20に液を供給する供給路10と、容器20の内部に貯留された液を排出する払い出し路30と、供給路10及び払い出し路を通過する液の流量を調節するコントロール弁12及び払い出しポンプ32と、容器20の内部に貯留された液の液面がHに達しているか否かを検知するレベルスイッチ20Hと、容器20の内部に貯留された液の液面がLに達しているか否かを検知するレベルスイッチ20Lとを備える液面制御装置1において、制御部40が、レベルスイッチ20Hの検知結果と、レベルスイッチ20Lの検知結果とから、供給路10により容器に供給される液の供給量と払い出し路30により容器から排出される液の排出量との差であるΔWを演算し、演算されたΔWが0に収束するように、コントロール弁12及び払い出しポンプ32に供給路10及び払い出し路30を通過する液の流量を調節させることにより、容器20の内部に貯留された液の液面の高さを制御する。このため、供給量及び排出量の変化等の外乱に対する追従性がより良く、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができる。
【0069】
また、本実施形態では、容器20の内部に貯留された液の液面がHHに達しているか否かを検知するレベルスイッチ20HHと、容器20の内部に貯留された液の液面がLLに達しているか否かを検知するレベルスイッチ20LLとをさらに備え、制御部40は、レベルスイッチ20HH〜20LLの検知結果からΔWを演算するため、さらに精度の高い液面制御が可能となる。
【0070】
制御部40は、液の液面が近接するレベルスイッチ20HH等同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、液の液面が近接するレベルスイッチ20HH等同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの容器20の内部の液の変化量Vを除した値として、ΔW=V/Tを演算し、コントロール弁12及び払い出しポンプ32に供給路10及び払い出し路30を通過する液の流量をΔW以上増減させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0071】
また、本実施形態では、レベルスイッチ20HHが、容器20の内部に貯留された液の液面がHHに達していることを検知したときは、制御部40は、コントロール弁12及び払い出しポンプ32に、供給路10を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び払い出し路30を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう。このため、容器20のオーバーフローを確実に防止することができる。
【0072】
また、本実施形態では、レベルスイッチ20LLが、容器20の内部に貯留された液の液面がLLに達していないことを検知したときは、制御部40は、コントロール弁12及び払い出しポンプ32に、供給路10を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び払い出し路30を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう。これにより、容器20内の液が全て排出されてしまうことを確実に防止することができる。
【0073】
また、本実施形態では、現在の回転数R*がRMIN<R*<RMAXの範囲で、且つ容器20の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、レベルスイッチ20Hが容器20の内部に貯留された液の液面がHに達したことを検知したときは、ΔW>0として、R=R*+k×ΔW/ω…(1)とする。これにより、液面が上昇してHに達したときに、制御部40は、払い出し路30を通過する液の流量をΔW以上増加させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0074】
また、本実施形態では、現在の回転数RがRMIN<R*<RMAXの範囲で、且つ容器20の内部に貯留された液の液面が下降することにより、レベルスイッチ20Lが容器20の内部に貯留された液の液面がLに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、R=R*+k×ΔW/ω…(2)とする。これにより、液面が下降してLに達しなくなったときに、制御部40は、払い出し路30を通過する液の流量をΔW以上減少させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0075】
また、本実施形態では、現在の回転数R*がRMIN<R*<RMAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達したことを検知したときは、R=RMAX…(3)とする。これにより、液面が上昇してHHに達したときに、制御部40は、払い出し路30を通過する液の流量を最大値にさせる。このため、容器20のオーバーフローを確実に防止することができる。
【0076】
また、本実施形態では、現在の回転数R*がRMIN<R*<RMAXの範囲で、且つ容器20の内部に貯留された液の液面が下降することにより、レベルスイッチ20LLが容器20の内部に貯留された液の液面がLLに達しなくなったことを検知したときは、R=RMIN…(4)とする。これにより、液面が下降してLLに達しなくなったときに、制御部40は、払い出し路30を通過する液の流量を最小値にさせる。このため、容器20内の液が全て排出されてしまうことを確実に防止することができる。
【0077】
また、本実施形態では、現在の回転数R*がR*=RMAXで、且つ容器20の内部に貯留された液の液面が下降することにより、レベルスイッチ20HHが容器20の内部に貯留された液の液面がHHに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、R=RMAX+k×ΔW/ω…(5)とする。これにより、これにより、最高回転数により液面が下降してHHに達しなくなったときに、制御部40は、払い出し路30を通過する液の流量をΔW以上減少させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0078】
また、本実施形態では、現在の回転数R*がR*=RMINで、且つ容器20の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、レベルスイッチ20LLが容器20の内部に貯留された液の液面がLLに達したことを検知したときは、ΔW>0として、R=RMIN+k×ΔW/ω…(6)とする。これにより、これにより、最低回転数により液面が上昇してLLに達したときに、制御部40は、払い出し路30を通過する液の流量をΔW以上増加させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0079】
また、本実施形態では、供給量及び排出量の変化等の外乱に対する追従性がより良く、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができるため、粘性が100cP以上である粘性が高い液に対して効力を発揮する。
【0080】
また、本実施形態では、レベルスイッチ20HH〜20LLが静電容量計であるため、高粘性の液の液面を検出するときに有利である。あるいは本実施形態では、レベルスイッチ20HH〜20LLがガスパージ式の温度計であるため、高粘性及び高温の液の液面を検出するときに有利である。
【0081】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記例では、液面制御装置1をレゾルシノールの製造工程において生じた粘性の高いタールを容器20内に貯留させる態様について主に説明したが、本発明はこれに限定されることが無く、容器内に液を貯留させつつ液面の液位を制御するあらゆる態様に適用が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…液面制御装置、10…供給路、12…コントロール弁、20…容器、20HH,20H,20L,20LL…レベルスイッチ、30…払い出し路、32…払い出しポンプ、40…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液が貯留される容器と、
前記容器に前記液を供給する供給路と、
前記容器の内部に貯留された前記液を排出する排出路と、
前記供給路及び前記排出路の少なくともいずれかを通過する前記液の流量を調節する流量調節機構と、
前記容器の内部に貯留された前記液の液面が第1の高さに達しているか否かを検知する第1のレベルスイッチと、
前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第1の高さよりも低い第2の高さに達しているか否かを検知する第2のレベルスイッチと、
前記第1のレベルスイッチの検知結果と、前記第2のレベルスイッチの検知結果とから、前記供給路により前記容器に供給される前記液の供給量と前記排出路により前記容器から排出される前記液の排出量との差であるΔWを演算する演算手段と、
前記演算手段で演算された前記ΔWが0に収束するように、前記流量調節機構に前記供給路及び前記排出路の少なくともいずれかを通過する前記液の流量を調節させることにより、前記容器の内部に貯留された前記液の液面の高さを制御する制御手段と、
を備えた液面制御装置。
【請求項2】
前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第1の高さよりも高い第3の高さに達しているか否かを検知する第3のレベルスイッチと、
前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第2の高さよりも低い第4の高さに達しているか否かを検知する第4のレベルスイッチと、
をさらに備え、
前記演算手段は、前記第1のレベルスイッチの検知結果と、前記第2のレベルスイッチの検知結果と、前記第3のレベルスイッチの検知結果と、前記第4のレベルスイッチの検知結果とから前記ΔWを演算する、請求項1に記載の液面制御装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記液の液面が近接する前記レベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、前記液の液面が近接する前記レベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの前記容器の内部の前記液の変化量Vを除した値として、前記ΔW=V/Tを演算し、
前記制御手段は、前記流量調節機構に前記供給路及び前記排出路の少なくともいずれかを通過する前記液の流量を前記ΔW以上増減させることにより、前記ΔWが0に収束するようにする、請求項1又は2に記載の液面制御装置。
【請求項4】
前記第3のレベルスイッチが、前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第3の高さに達していることを検知したときは、
前記制御手段は、前記流量調節機構に、前記供給路を通過する前記液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び前記排出路を通過する前記液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう、請求項2又は3に記載の液面制御装置。
【請求項5】
前記第4のレベルスイッチが、前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第4の高さに達していないことを検知したときは、
前記制御手段は、前記流量調節機構に、前記供給路を通過する前記液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び前記排出路を通過する前記液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう、請求項2〜4のいずれか1項に記載の液面制御装置。
【請求項6】
前記流量調節機構は前記排出路に設けられたポンプであり、
前記制御手段は、前記ポンプの現在の回転数をR、予め設定された前記ポンプの最低回転数をRMIN、予め設定された前記ポンプの最高回転数をRMAX、1≦k≦2である任意の定数をk、前記ポンプの1回転当りの前記液の排出量をωとして、下式(i)〜(vi)に示す目標回転数Rに前記ポンプを制御する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の液面制御装置。
(1)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が上昇することにより、前記第1のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第1の高さに達したことを検知したときは、前記ΔW>0として、
R=R+k×ΔW/ω (i)
(2)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が下降することにより、前記第2のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第2の高さに達しなくなったことを検知したときは、前記ΔW<0として、
R=R+k×ΔW/ω (ii)
(3)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が上昇することにより、前記第3のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第3の高さに達したことを検知したときは、
R=RMAX (iii)
(4)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が下降することにより、前記第4のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第4の高さに達しなくなったことを検知したときは、
R=RMIN (iv)
(5)現在の回転数RがR=RMAXで、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が下降することにより、前記第3のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第3の高さに達しなくなったことを検知したときは、前記ΔW<0として、
R=RMAX+k×ΔW/ω (v)
(6)現在の回転数RがR=RMINで、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が上昇することにより、前記第4のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第4の高さに達したことを検知したときは、前記ΔW>0として、
R=RMIN+k×ΔW/ω (vi)
【請求項7】
前記容器の内部に貯留される前記液は、粘性が100cP以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液面制御装置。
【請求項8】
前記レベルスイッチが静電容量計である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液面制御装置。
【請求項9】
前記レベルスイッチがガスパージ式の温度計である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液面制御装置。
【請求項10】
内部に液が貯留される容器と、前記容器に前記液を供給する供給路と、前記容器の内部に貯留された前記液を排出する排出路と、前記供給路及び前記排出路の少なくともいずれかを通過する前記液の流量を調節する流量調節機構と、前記容器の内部に貯留された前記液の液面が第1の高さに達しているか否かを検知する第1のレベルスイッチと、前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第1の高さよりも低い第2の高さに達しているか否かを検知する第2のレベルスイッチとを備えた装置において、前記容器の内部に貯留された前記液の液面の高さを制御する液面制御方法であって、
前記第1のレベルスイッチの検知結果と、前記第2のレベルスイッチの検知結果とから、前記供給路により前記容器に供給される前記液の供給量と前記排出路により前記容器から排出される前記液の排出量との差であるΔWを演算する演算ステップと、
前記演算ステップで演算された前記ΔWが0に収束するように、前記流量調節機構に前記供給路及び前記排出路の少なくともいずれかを通過する前記液の流量を調節させることにより、前記容器の内部に貯留された前記液の液面の高さを制御する制御ステップと、
を含む液面制御方法。
【請求項11】
前記装置は、前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第1の高さよりも高い第3の高さに達しているか否かを検知する第3のレベルスイッチと、前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第2の高さよりも低い第4の高さに達しているか否かを検知する第4のレベルスイッチとをさらに備え、
前記演算ステップでは、前記第1のレベルスイッチの検知結果と、前記第2のレベルスイッチの検知結果と、前記第3のレベルスイッチの検知結果と、前記第4のレベルスイッチの検知結果とから前記ΔWを演算する、請求項10に記載の液面制御方法。
【請求項12】
前記演算ステップでは、前記液の液面が近接する前記レベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、前記液の液面が近接する前記レベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの前記容器の内部の前記液の変化量Vを除した値として、前記ΔW=V/Tを演算し、
前記制御ステップでは、前記流量調節機構に前記供給路及び前記排出路の少なくともいずれかを通過する前記液の流量を前記ΔW以上増減させることにより、前記ΔWが0に収束するようにする、請求項10又は11に記載の液面制御方法。
【請求項13】
前記第3のレベルスイッチが、前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第3の高さに達していることを検知したときは、
前記制御ステップでは、前記流量調節機構に、前記供給路を通過する前記液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び前記排出路を通過する前記液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう、請求項11又は12に記載の液面制御方法。
【請求項14】
前記第4のレベルスイッチが、前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第4の高さに達していないことを検知したときは、
前記制御手段では、前記流量調節機構に、前記供給路を通過する前記液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び前記排出路を通過する前記液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう、請求項11〜13のいずれか1項に記載の液面制御方法。
【請求項15】
前記流量調節機構は前記排出路に設けられたポンプであり、
前記制御ステップでは、前記ポンプの現在の回転数をR、予め設定された前記ポンプの最低回転数をRMIN、予め設定された前記ポンプの最高回転数をRMAX、1≦k≦2である任意の定数をk、前記ポンプの1回転当りの前記液の排出量をωとして、下式(i)〜(vi)に示す目標回転数Rに前記ポンプを制御する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の液面制御方法。
(1)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が上昇することにより、前記第1のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第1の高さに達したことを検知したときは、前記ΔW>0として、
R=R+k×ΔW/ω (i)
(2)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が下降することにより、前記第2のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第2の高さに達しなくなったことを検知したときは、前記ΔW<0として、
R=R+k×ΔW/ω (ii)
(3)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が上昇することにより、前記第3のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第3の高さに達したことを検知したときは、
R=RMAX (iii)
(4)現在の回転数RがRMIN<R<RMAXの範囲で、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が下降することにより、前記第4のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第4の高さに達しなくなったことを検知したときは、
R=RMIN (iv)
(5)現在の回転数RがR=RMAXで、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が下降することにより、前記第3のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第3の高さに達しなくなったことを検知したときは、前記ΔW<0として、
R=RMAX+k×ΔW/ω (v)
(6)現在の回転数RがR=RMINで、且つ前記容器の内部に貯留された前記液の液面が上昇することにより、前記第4のレベルスイッチが前記容器の内部に貯留された前記液の液面が前記第4の高さに達したことを検知したときは、前記ΔW>0として、
R=RMIN+k×ΔW/ω (vi)

【請求項16】
前記容器の内部に貯留される前記液は、粘性が100cP以上であるものとする、請求項10〜15のいずれか1項に記載の液面制御方法。
【請求項17】
前記レベルスイッチは静電容量計である、請求項10〜16のいずれか1項に記載の液面制御方法。
【請求項18】
前記レベルスイッチはガスパージ式の温度計である、請求項10〜16のいずれか1項に記載の液面制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−216133(P2012−216133A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81984(P2011−81984)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】