説明

混合イオンイオノマーシート及びそれから製造された高強度積層物

本発明は、部分的に中和されたα,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分を導入しているイオノマーまたはイオノマーブレンドを含む少なくとも1つの層を有するとともに、ガラス積層物用途において有用である高分子シートを記載している。イオノマーまたはイオノマーブレンドは、約1〜約60%、好ましくは約10〜約55%、より好ましくは約15〜約50%の範囲の量で1種以上の一価金属イオンと、約40〜約99%、好ましくは約45〜約90%、より好ましくは約50〜約85%の範囲の量で1種以上の多価金属イオンとを含む。一価金属中和イオンと多価金属中和イオンのこの比率範囲は、一価金属中和イオン単独または多価金属中和イオン単独のいずれかに関して見られるよりもガラスへの相乗的に高い粘着力を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に安全積層ガラス製品または「危険に耐える」積層ガラス製品およびこれらの製品中で用いられる高分子中間層の分野に関する。本発明は、詳しくは、特に高強度積層物中で有用な、特定の混合イオンイオノマー(ionomer)またはイオノマーブレンドを含む高分子シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス積層製品は、殆ど一世紀にわたって社会に貢献してきた。フロントガラスにおいて用いられる周知の日常の自動車安全ガラスを超えて、積層ガラスは輸送産業のすべての形態において用いられている。積層ガラスは、列車、航空機、船舶および輸送のほぼあらゆる他の形式のための窓として用いられている。安全ガラスは、高い耐衝撃性および耐貫通性によって特徴づけられ、破砕時にガラスの破片とガラス屑を散乱させない。
【0003】
安全ガラスは、典型的には、2枚のガラスシートの間に置かれる高分子フィルムまたはシートの中間層により互いに接着された2枚のガラスシートまたはパネルのサンドイッチからなる。ガラスシートの一方または両方の代わりに、例えばポリカーボネート材料のシートなどの光学的に透明な硬質高分子シートを用いてもよい。安全ガラスは、高分子フィルムまたはシートの中間層により互いに接着されたガラスおよび高分子シートの多層を含むように更に進化してきた。
【0004】
中間層は、典型的には、靱性を示すとともに割れまたは破壊の場合にガラスに粘着力を提供する接着性を示す比較的厚いポリマーフィルムまたはシートにより製造される。長年にわたって、多様な高分子中間層が積層製品を製造するために開発されてきた。一般に、これらの高分子中間層は、他の要件の中で特に、非常に高い光学的透明度(低曇り度)、高い耐衝撃性、高い耐貫通性、優れた耐紫外線性、良好な長期熱安定性、ガラスおよび他の硬質高分子シートへの優れた粘着力、低い紫外線透過性、低い水分吸収性、高い耐水性、優れた長期耐候性を含む特性の組み合わせを有していなければならない。広く用いられた中間層材料には、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタロセン触媒線状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル(EVAc)、エチレン酸コポリマーイオノマー、高分子脂肪酸ポリアミド;ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル樹脂、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂およびゴム弾性ポリカーボネートなどのポリマーを含む複合多成分組成物が挙げられる。
【0005】
より最近の傾向は、家庭構造物および事務所構造物のための建築事業におけるガラス積層製品の使用であった。設計者がより多くのガラス表面を建物に導入するにつれて建築用ガラスの使用は数年にわたって急速に広がってきた。「危険に耐える」は、建築用ガラス積層製品のために益々増大する要件になってきた。これらのより新しい製品は自然災害と人災の両方に耐えるように設計されている。これらのニーズの例には、ハリケーンを被りやすい地域で現在義務付けられているハリケーン抵抗ガラスの最近の開発、窃盗防止グレージングならびに建物および住民を保護するために設計されたより最近の耐突風ガラス積層製品が挙げられる。これらの製品は、例えば、強い力の風によって、または空中に浮動する屑の衝撃によって、あるいは車両または構造物に押し入る犯罪的試みによってガラス積層物の脆弱な部分が破壊された後でさえも侵入に耐える十分な大きい強度を有する。
【0006】
更に、ガラス積層製品は、建物内の構造要素として導入するための強度要件に今や到達した。この例は、今や多くの建物において特色をなすガラス階段であろう。
【0007】
この傾向の一部は、ガラス積層物の中間層材料としてのコポリエチレンイオノマー樹脂の使用であった。こうしたイオノマー樹脂は、ポリビニルブチラール材料およびエチレン酢酸ビニル材料などの他の一般的な中間層材料に関して判明したより大幅に高い強度を提供する。例えば、Friedmanらは、米国特許第6,432,522号明細書において、ポリビニルブチラール樹脂が5000psi(34.5MPa)未満の弾性率(ASTM方法D638)を有し、エチレン酢酸ビニル材料が750〜900psi(5.2〜6.2MPa)の弾性率を有する一方で、コポリエチレンイオノマー樹脂が34,000〜80,000psi(235〜552MPa)の範囲内の弾性率を有することを開示している。
【0008】
ガラス積層物内での特定の混合金属イオン−中和イオノマー材料の使用は当該技術分野で開示されてきた。例えば、Boltonらは、米国特許第4,663,228号明細書および米国特許第4,668,574号明細書において、エチレンおよびメタクリル酸モノマーから調製され、任意に有機ジアミンまたは有機トリアミンによって更に部分的に中和されたイオノマー樹脂の金属塩を含む水不溶性イオノマー樹脂フィルムを含む透明積層物品を開示している。Boltonらは、ナトリウムイオノマー樹脂と亜鉛イオノマー樹脂との混合物を用いてもよく、イオノマーを中和するために亜鉛イオンとナトリウムイオンの両方を用いてもよいことを明細に記している。
【0009】
Smithらは、米国特許第5,763,062号明細書において、約17〜40重量%の間のカルボン酸含有率を有する押出イオノマー樹脂フィルムまたはシートを含む透明物品であって、前記イオノマー樹脂が本質的にアミンを含まない、少なくとも約0.5mmの厚さを有する透明物品を開示している。Smithらは、「中和のために適する金属カチオンがリチウム、ナトリウムおよびカリウムなどの一価カチオンであることを開示している。マグネシウム、カルシウムおよび亜鉛などの二価カチオンは、単独で、または一価カチオンと組み合わせて用いてもよいが、しばしば、金属炭酸塩または金属酸化物は、曇り度発生不純物として存在する」(米国特許第5,763,062号明細書、欄6行1)。Smithらは、金属中和剤のナトリウムおよびナトリウム・リチウム混合物を含む積層物を例示している。
【0010】
米国特許第6,114,046号明細書においてHanokaおよび米国特許第6,187,448号明細書においてHanokaらは、封入剤材料として特定のイオノマーの2層の間に配置されたメタロセンポリエチレンの層を含む光起電力太陽電池モジュールおよびガラス積層物を開示している。好ましいイオノマーは、部分的に中和されたエチレンメタクリル酸コポリマーまたはエチレンアクリル酸コポリマーを含む。Hanokaらは、「裏外皮層28がナトリウム酸コポリマーおよび亜鉛酸コポリマーなどの少なくとも2種の酸コポリマーの混合物を含む熱可塑性ポリオレフィンであることが可能であること」を開示している(米国特許第6,187,448号明細書、欄6行52−53)。しかし、Hanokaらは、「イオノマー層が薄く(すなわち、ほぼ0.001〜0.004[インチ]厚さ)」(米国特許第6,114,046号明細書、欄2行66)、「酸コポリマー層14、16が0.001〜0.004インチ(1〜4ミル)の範囲内の厚さを有することが可能である」ことを更に開示している(米国特許第6,187,448号明細書、欄6行19)。Hanokaは、米国特許第6,320,110号明細書において、電子ビーム線を照射されたイオノマー封入剤を含んでもよい太陽電池モジュールを開示している。Hanokaは、「ポリオレフィンの混合物の1つの例が無機充填剤を一緒にしたZnイオノマーとNaイオノマーとの混合物である」ことを開示している(米国特許第6,320,116号明細書、欄6行8)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の高強度積層物は、当該技術分野で開示された欠点を克服し、相乗的に改善されたガラス粘着力を更に提供する耐久性ガラス積層物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書における本発明は、10ミル(0.25mm)以上の厚さを有するとともに、イオノマーまたはイオノマーブレンドを含む少なくとも1層を有する高分子シートを提供する。イオノマーまたはイオノマーブレンドは、中和の全量を基準にして約1〜約60%、好ましくは約10〜約55%、より好ましくは約15〜約50%の範囲の量で1種以上の一価金属のイオンと、約40〜約99%、好ましくは約45〜約90%、より好ましくは約50〜約85%の範囲の量で1種以上の多価金属のイオンとを含む。
【0013】
本発明は、上述した高分子シートと少なくとも1つの追加の層とを含む積層物も提供する。追加の層は、硬質シート、上述した本発明の高分子シートを含む高分子シート、高分子フィルムおよびそれらの組み合わせであることが可能である。
【0014】
一実施形態において、本発明は、
(a)10ミル(0.25mm)以上の厚さを有するとともに、イオノマーまたはイオノマーブレンドを含む少なくとも1層を有する高分子シートであって、前記イオノマーまたはイオノマーブレンドが中和の全量を基準にして約1〜約60%、好ましくは約10〜約55%、より好ましくは約15〜約50%の範囲の量で1種以上の一価金属のイオンと、約40〜約99%、好ましくは約45〜約90%、より好ましくは約50〜約85%の範囲の量で1種以上の多価金属のイオンとを含む高分子シートと、
(b)前記高分子シートの片側の表面に積層された硬質シートであって、ガラス、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、環式ポリオレフィン、ポリスチレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される硬質シートと
を含む積層物品を提供する。
【0015】
もう1つの実施形態において、積層物品は、高分子シートの他の表面に積層された追加の硬質シートを更に含む。
【0016】
なおもう1つの実施形態において、積層物品は、硬質シート、上述した本発明の高分子シートを含む高分子シート、高分子フィルムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの追加の層を更に含む。追加の高分子シートまたはフィルムは、好ましくは、太陽光制御フィルム、配向ポリエステルまたは非配向ポリエステルを含むシートまたはフィルム、ポリカーボネート、ポリウレタン組成物、ポリ塩化ビニル組成物、ポリビニルブチラール組成物、防音ポリビニルアセタール組成物、エチレン酢酸ビニル組成物、イオノマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
定義
「コポリマー」という用語は、2種以上のモノマーから重合されたポリマーを意味し、よってターポリマーまたはより厳密には2種以上の反復単位を含むポリマーを含む。
【0018】
「イオノマー」という用語は、α−オレフィンと、少なくとも1種の一価金属のイオンおよび少なくとも1種の多価金属のイオンで部分的に中和されたα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のコポリマーとして本明細書で定義される。α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のコポリマーは、好ましくは、約0.1〜約30重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分を導入している。このコポリマーは、好ましくは約10〜約30重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分を導入しており、より好ましくは約21〜約30重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分を導入している。α−オレフィンは、好ましくは2〜10個の炭素原子を導入している。好ましくは、α−オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンなど、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、α−オレフィンはエチレンである。好ましくは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分は、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
コポリマーは他の不飽和コモノマーを任意に含んでもよい。他の不飽和コモノマーは、好ましくは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ウンデシルアクリレート、ウンデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルメタクリレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジブチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルフマレート、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルなど、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、他の不飽和コモノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、酢酸ビニルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、本発明のエチレンコポリマーは、組成物の全重量を基準にして約0〜約50重量%の間の他の不飽和コモノマーを導入している。より好ましくは、本発明のエチレンコポリマーは、組成物の全重量を基準にして約0〜約25重量%の間、最も好ましくは約0〜約10重量%の間の他の不飽和コモノマーを導入している。本発明のエチレンコポリマーは、例えば、米国特許第3,264,272号明細書、米国特許第3,355,319号明細書、米国特許第3,404,134号明細書、米国特許第3,520,861号明細書、米国特許第4,248,990号明細書、米国特許第5,028,674号明細書、米国特許第5,057,593号明細書、米国特許第5,827,559号明細書、米国特許第6,500,888号明細書および米国特許第6,518,365号明細書で開示されたように重合させてもよい。
【0020】
コポリマー内に導入されたカルボン酸官能基の約5〜約100%は、一価金属イオンと多価金属イオンの特定の混合物で中和される。好ましくは、カルボン酸官能基の約10〜約90%は中和される。より好ましくは、カルボン酸官能基の約20〜約50%は中和される。
【0021】
「イオノマーブレンド」という用語は、α−オレフィンと、少なくとも1種の一価金属のイオンで中和されたα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の少なくとも1種のコポリマーおよびα−オレフィンと、少なくとも1種の多価金属のイオンで中和されたα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の少なくとも1種のコポリマーとして本明細書で定義される。好ましくは、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のコポリマーの各々は独立して約0.1〜約30重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分を導入している。各コポリマーは、好ましくは約10〜約30重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分、より好ましくは約21〜約30重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分を導入している。好ましくは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分は、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。エチレンコポリマーは独立して他の不飽和コモノマーを任意に含んでもよい。コポリマーの各々内に導入されたカルボン酸官能基の約5〜約100%は中和されている。好ましくは、カルボン酸官能基の約10〜約90%は中和されている。より好ましくは、カルボン酸官能基の約20〜約50%は中和されている。
【0022】
「ポリ(メタ)アクリレート」という用語は、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートまたはそれらの混合物あるいはブレンドの一般的な意味を有するように用いられる。
【0023】
高分子シート
本発明は、10ミル(0.25mm)以上の厚さを有するとともに、イオノマーまたはイオノマーブレンドを含む少なくとも1層を有する高分子シートを規定している。イオノマーまたはイオノマーブレンドは、1種以上の一価金属のイオンと1種以上の多価金属のイオンとを含まなければならない。
【0024】
本発明の高分子シートは約10ミル(0.25mm)以上の厚さを有する。好ましくは、本発明の高分子シートは、本発明の高分子シートから製造された積層物の強化された貫通強度に基づいて約15ミル(0.38mm)以上の厚さを有する。より好ましくは、高分子シートは、高分子シートから製造された積層物の更に強化された貫通強度に基づいて約30ミル(0.75mm)以上の厚さを有する。なおより好ましくは、高分子シートは、高分子シートから製造された積層物のなお更に強化された貫通強度に基づいて約50ミル(1.25mm)以上の厚さを有する。強化された貫通強度は、ハリケーンおよび危険に耐えるための現在義務付けられている要件の多くを満たすために必要である。現行環境内の多くの最終用途は、エチレンコポリマー中間層が遙かにより厚いことを要求する。60ミル(1.5mm)、90ミル(2.25mm)より厚い中間層および120ミル(3.00mm)より遙かに厚い中間層は市場内で一般的になりつつある。好ましくは、高分子シートは積層プロセス中に脱気を促進するために粗い表面を導入している。
【0025】
イオノマーまたはイオノマーブレンド中の一価金属のイオンのレベルは中和の全量の約1〜約60%であり、多価金属のイオンのレベルは中和の全量の約40〜約99%である。好ましくは、一価金属のイオンのレベルは中和の全量の約1〜約50%であり、多価金属のイオンのレベルは中和の全量の約50〜約99%である。一価金属中和イオンと多価金属中和イオンのこの比率範囲は、一価金属中和イオン単独または多価金属中和イオン単独のいずれかに関して見られるより相乗的に高いガラスへの粘着力を提供する。
【0026】
好ましい一価金属は、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀、水銀、銅およびそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、一価金属はナトリウムである。多価金属は、二価、三価、四価、多価またはそれらの混合物であってもよい。好ましい二価金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カドミウム、水銀、錫、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい三価金属は、アルミニウム、スカンジウム、鉄、イットリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい多価金属は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、クロム、セリウム、鉄およびそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、多価金属は亜鉛である。本発明のエチレンコポリマーは、例えば、米国特許第3,404,134号明細書、米国特許第4,666,988号明細書、米国特許第4,774,290号明細書および米国特許第4,847,164号明細書で開示されたように中和してもよい。
【0027】
本明細書で記載され権利請求されている高分子シートは、好ましくは透明である。従って、高分子シートは、特に安全ガラス積層製品または「危険に耐える」ガラス積層製品のための中間層としてガラス積層用途において特に有用である。
【0028】
本発明のブレンドを製造するプロセスは、当該技術分野で知られているいずれかの高剪断強力溶融混合プロセスによって行うことが可能である。好ましくは、こうしたプロセスは、溶融したエチレンコポリマー樹脂および他の任意の成分の強力混合を含む。例えば、強力混合は、スタチックミキサ、ゴムミル、ブラベンダーミキサ、ブスニーダ、一軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機を通して提供してもよい。エチレンコポリマー樹脂は、あらゆる混合工程の前に乾燥させることが可能である。エチレンコポリマー樹脂は、典型的には「ペレットブレンド」と呼ばれるドライブレンドとして他の任意の成分に混合することが可能である。あるいは、エチレンコポリマー樹脂は、2つの異なるフィーダを通して共フィードすることが可能である。押出プロセスにおいて、エチレンコポリマー樹脂は、典型的には、押出機の背部フィード部分にフィードされる。しかし、エチレンコポリマー樹脂は独立して、押出機の2つの異なる位置に有利にフィードすることが可能である。例えば、多価金属イオンで中和されたエチレンコポリマー樹脂をダイプレート付近で押出機の前面にフィードしつつ一価金属イオンで中和されたエチレンコポリマー樹脂を押出機の背部フィード部分に添加することが可能である。押出機の温度分布は、エチレンコポリマー樹脂が加工条件下で溶融することを可能にするために設定される。スクリューの設計は、スクリューが溶融したエチレンコポリマー樹脂を混合するにつれて樹脂に応力および次に熱も提供する。一般に、エチレンコポリマー樹脂の溶融加工温度は約50℃〜約300℃の範囲内である。しかし、厳密な加工条件はエチレンコポリマー樹脂の化学的組成に応じて異なる。あるいは、エチレンコポリマーは、以下で記載するようにシートプロセスの一部としてブレンドすることが可能である。好ましくは、最終シートの透明性のために、エチレンコポリマー樹脂のブレンドの製造において選択されたエチレンコポリマー樹脂は混和性である。
【0029】
当業者が認めるように、本発明のブレンドを製造するために用いられるエチレンコポリマー樹脂が中和金属イオンのタイプおよびレベルを除いて組成的に同等であるとき、本発明のブレンドのために上で記載されたように本発明の均質組成物が製造される。
【0030】
積層物
本発明の更なる態様は、本発明の高分子シートの層と少なくとも1つの追加の層とを含む高強度多層積層物を含む。特定の好ましい実施形態は、本発明の高分子シートの層と硬質シートの層とを含む高強度積層物であり、こうした高強度積層物は、少なくとも1つの追加の層を更に含む。追加の層は、硬質シート、上述した高分子シートを含む高分子シートまたはフィルムおよびそれらの組み合わせであることが可能である。
【0031】
硬質シートはガラスまたはポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリレートなどの硬質透明プラスチックシート、エチレンノルボルネンポリマーなどの環式ポリオレフィン、ポリスチレン(好ましくはメタロセン触媒ポリスチレン)およびそれらの組み合わせであることが可能である。透明性が積層物のために必要ではない場合、金属板またはセラミック板を硬質高分子シートまたはガラスの代わりに用いてもよい。
【0032】
好ましくは、硬質シートはガラスである。「ガラス」という用語は、窓ガラス、板ガラス、ケイ酸塩ガラス、シートガラスおよびフロートガラスのみでなく、着色ガラス、ソーラーヒーティングを制御するための原料入り特殊ガラス、太陽光制御目的のための銀またはインジウム錫酸化物などのスパッター金属で被覆されたガラス、E−ガラス、Toroglass(登録商標)およびSolex(登録商標)ガラスを含むことを意図する。こうした特殊ガラスは、例えば、米国特許第4,615,989号明細書、米国特許第5,173,212号明細書、米国特許第5,264,286号明細書、米国特許第6,150,028号明細書、米国特許第6,340,646号明細書、米国特許第6,461,736号明細書および米国特許第6,468,934号明細書で開示されている。特定の積層物のために選択されるべきガラスのタイプは意図した用途に応じて異なる。
【0033】
本質的にいかなるポリマーも本発明の積層物中の追加の高分子フィルムとして有用性を見出す場合がある。好ましくは、高分子フィルムは透明である。高分子フィルム層として用いるために好ましいフィルムには、配向ポリエステルフィルムおよび非配向ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルムおよびポリ塩化ビニルフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましくは、追加のフィルム層は二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)である。フィルムは、当該技術分野で知られているいずれかのプロセスによって高分子材料から製造される。例えば、薄いフィルムは、米国特許第4,372,311号明細書内で教示されたように浸漬被覆を通して、米国特許第4,427,614号明細書内で教示されたように圧縮成形を通して、米国特許第4,880,592号明細書内で教示されたように溶融押出を通して、米国特許第5,525,285号明細書内で教示されたように溶融ブロー成形を通して、あるいは他の技術プロセスを通して成形してもよい。好ましくは、フィルムは押出プロセスを通して成形する。フィルムとシートとの間の相違は厚さであるが、フィルムがシートになるときに関して定められた工業標準は存在しない。本発明の目的のために、前記高分子フィルムは約10ミル(0.25ミリメートル(mm))以下の厚さを有する。好ましくは、前記高分子フィルムは約0.5ミル(0.012mm)〜約10ミル(0.25mm)の厚さを有する。より好ましくは、前記高分子フィルムは約1ミル(0.025mm)〜約5ミル(0.13mm)の厚さを有する。
【0034】
多層フィルムも高分子フィルムとして用いることが可能である。多層フィルムの1つの利点は、より高いニーズを提供する外層により高価な原料を割り当てることを可能にしつつ、重要な用途ニーズを解決するために特定の特性をフィルムに適応させることが可能であることである。多層フィルム構造は、共押出、インフレートフィルム、浸漬被覆、溶液被覆、ブレード、パドル、エアナイフ、印刷、Dahlgren、グラビア、粉末被覆、噴霧または他の技術プロセスを通して形成させることが可能である。典型的には、多層フィルムは、共押出プロセスまたは積層プロセスを通して製造される。追加の層はバリア層、接着剤層、粘着防止層として、または他の目的のために機能してもよい。
【0035】
フィルムを成形する方法に関係なく、成形後に縦方向または横方向あるいは両方のいずれかに延伸することによりフィルムを配向に供してもよい。単純にフィルムを伸ばし巻取ることによりフィルムを成形する際に縦方向延伸は開始される。これは、巻取りの方向にフィルムを本質的に延伸し、繊維の一部を配向させる。これは縦方向にフィルムを強化するが、繊維のすべてが1方向に配向されるので、直角の方向においてフィルムは容易に引き裂かれる。二軸配向フィルムは、テンシライズとして知られているプロセスにおいて縦方向でのフィルムの追加の引っ張りに更に供してもよい。フィルム配向は当該技術分野で知られているいずれかのプロセスによって得てもよい。
【0036】
フィルムを延伸位置に保持し、冷却する前に数秒にわたり加熱することにより収縮を制御することが可能である。この熱は配向されたフィルムを安定化し、その後、それは熱安定化温度より高い温度でのみ収縮する。更に、フィルムは、圧延、カレンダー加工、被覆、エンボス、印刷または当該技術分野で知られている他の典型的ないずれかの仕上げ操作に供してもよい。
【0037】
当該技術分野におけるいずれかの方法によってフィルムを製造するための上のプロセス条件およびパラメータは、所定のいずれかの高分子組成物および所望の用途に関して当業者によって容易に決定される。
【0038】
着色剤、染料、UV安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、潤滑剤、粘着防止剤およびスリップ剤などの、高分子組成物に特定の添加剤および充填剤を添加することによりフィルム特性を更に調節してもよい。
【0039】
フィルムおよびフィルムから製造された積層物に価値ある特性を提供するために本発明のフィルムを更に改良することが可能である。フィルムの放射線処理、例えば電子線処理によって本発明のフィルムを処理することが可能である。約2MRd〜約20MRdの範囲内の強度による本発明のフィルムの電子線処理は、約20℃〜約50℃のフィルムの軟化点(ビカット軟化点)の上昇を提供する。好ましくは、放射線強度は約2.5MRd〜約15MRdである。
【0040】
好ましくは、高分子フィルムの一方または両方の表面は粘着力を強化するために処理される。この処理は、米国特許第2,632,921号明細書、米国特許第2,648,097号明細書、米国特許第2,683,894号明細書および米国特許第2,704,382号明細書内で開示されたような接着剤、シランなどのプライマ、火炎処理、米国特許第4,732,814号明細書内で開示されたようなプラズマ処理;電子ビーム処理、酸化処理、コロナ放電処理、化学処理、クロム酸処理、高温空気処理、オゾン処理、紫外線処理、サンドブラスト処理および溶媒処理など、ならびにそれらの組み合わせを含む当該技術分野で知られているいかなる形態も取ってよい。例えば、米国特許第4,865,711号明細書で開示された真空スパッタリングを通して高分子フィルムの一方または両方の表面上に炭素の薄い層を沈着させてもよい。例えば、米国特許第5,415,942号明細書には、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムのための接着促進プライマとして機能し得るヒドロキシ−アクリルヒドロゾルプライマ塗料が開示されている。本発明の高分子フィルムは、ポリアリルアミン系プライマの塗料を含むプライマ塗料を一方または両方の表面、より好ましくは両方の表面上に含んでもよい。ポリアリルアミン系プライマおよびポリ(エチレンテレフタレート)高分子フィルムへのその塗布は、米国特許第5,411,845号明細書、米国特許第5,770,312号明細書、米国特許第5,690,994号明細書および米国特許第5,698,329号明細書内で開示されている。
【0041】
高分子フィルムは、好ましくは十分に応力緩和されており、被覆プロセスおよび積層プロセス下で収縮安定性である。好ましくは、高分子フィルムは、以下で記載された積層プロセスを通して見られるように高温にさらされたときに低い収縮特性(すなわち、150℃で30分後に両方向で2%未満の収縮)を提供するために熱安定化される。
【0042】
高分子フィルムは一方または両方の表面上にハードコート層を有してもよい。当該技術分野で知られているいかなるハードコート配合物も用いてよい。ハードコートは更なる添加剤を導入してもよいか、または高い耐引掻性、耐曇り性、耐溶媒性および水分バリア特性などの望ましい他の特性を提供するために変性してもよい。
【0043】
高分子フィルムは太陽光制御フィルムであってもよい。太陽光制御フィルムは、赤外線を反射してもよいか、赤外線を吸収してもよいか、またはそれらの組み合わせを行ってもよい。
【0044】
本発明の積層物の幾つかの実施形態は1つ以上の追加の高分子シートを含む。好ましくは、追加の高分子シートは、ポリ(ビニルブチラール)組成物、防音変性ポリビニルアセタール組成物、防音ポリビニルブチラール組成物、エチレン酢酸ビニル組成物、酸官能基を導入しているエチレンコポリマー組成物およびこの組成物から誘導されたイオノマー、熱可塑性ポリウレタン組成物、ポリ塩化ビニルコポリマー組成物、ISDポリアクリレート材料などの防音組成物およびそれらの組み合わせからなるシートからなる群から選択されたシートである。
【0045】
本発明の追加の特に好ましい実施形態は、本発明のシートの少なくとも1層と高分子フィルムの少なくとも1層を有する高強度積層物、本発明のシートの少なくとも2層と高分子フィルムの少なくとも1層を含む高強度積層物、本発明のシートの少なくとも1層と追加のシートの少なくとも1層を含む高強度積層物、および本発明のシートの少なくとも1層と追加のシートの少なくとも1層と高分子フィルムの少なくとも1層を含む高強度積層物を含む。
【0046】
積層物の形成
本発明の積層物を製造するプロセスは多くの形態を取ってもよく、既知のいずれかの技術プロセスを通して製造してもよい。本質的に、積層物を形成させる層は互いに接触して置かれ、積層を引き起こすのに十分な熱および圧力が加えられる。
【0047】
積層物の層の間の接着強度を強化するために接着剤およびプライマを用いることが可能である。知られている本質的にいかなる接着剤も本発明内で有用性を見出すであろう。好ましいシラン接着剤の特定の例には、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0048】
接着剤は、溶融プロセスを通して、あるいは溶液被覆プロセス、エマルジョン被覆プロセスまたは分散液被覆プロセスを通して被着させてもよい。当業者は、被膜形成のために用いられる高分子組成物およびプロセスに基づいて適切なプロセスパラメータを特定することができるであろう。本発明の積層物は、以下で記載するようにオートクレーブプロセスおよび非オートクレーブプロセスを通して製造してもよい。
【0049】
当該技術分野で知られている本質的にいかなる積層プロセスも本発明の中間層と合わせて用いてよい。典型的なプロセスにおいて、ガラスシート、本発明の高分子シートを含んでなる中間層および第2のガラスシートは熱および圧力ならびに空気を除去するための真空(例えば、約27〜28インチ(689〜711mm)Hgの範囲内)下で互いに積層される。好ましくは、中間層はガラスシートの錫側に接触している。好ましくは、ガラスシートは洗浄され乾燥されている。典型的なガラスのタイプは、厚さ90ミルの焼鈍板ガラスである。典型的な手順において、本発明の中間層はガラス板の間に置いて、ガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを形成させる。プレプレスアセンブリは真空を維持できる袋(「真空袋」)に入れる。プレプレスアセンブリは加熱され、空気は真空ラインまたは袋上で真空を引く他の手段を用いて袋から抜き取られる。袋は真空を維持しつつ密封される。密封された袋は、約120℃〜約180℃の温度および約200psi(14.3バール)の圧力で約10分〜約50分にわたりオートクレーブに入れる。好ましくは、袋は約130℃〜約160℃の温度で20分〜約45分にわたりオートクレーブに入れる。より好ましくは、袋は約135℃の温度で約30分にわたりオートクレーブに入れる。その後、空気は冷却する一方で、オートクレーブにもう空気を添加しない。冷却から約20分後、空気温度が50℃未満であるとき、過剰の空気圧力をベントし、積層物をオートクレーブから取り出す。真空袋の1つのタイプは米国特許第3,311,517号明細書で開示されている。真空環を真空袋の代わりに用いてもよい。
【0050】
あるいは、ガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを約80〜約120℃の間、好ましくは約90〜約100℃の間で約30分にわたり炉内で加熱することが可能である。その後、加熱されたガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを1組のニップロールに通し、ガラスと中間層との間の空隙空間内の空気を絞り出し、プレプレスアセンブリの縁を密封する。その後、プレプレスアセンブリを空気オートクレーブに入れてもよく、上述したように加工してもよい。当該技術分野で知られている本質的にいかなる積層プロセスも本発明の中間層と合わせて用いてもよい。
【0051】
本発明の積層物は非オートクレーブプロセスを用いて製造してもよい。こうした非オートクレーブプロセスは、例えば、米国特許第3,234,062号明細書、米国特許第3,852,136号明細書、米国特許第4,341,576号明細書、米国特許第4,385,951号明細書、米国特許第4,398,979号明細書、米国特許第5,536,347号明細書、米国特許第5,853,516号明細書、米国特許第6,342,116号明細書、米国特許第5,415,909号明細書、米国特許出願公開第2004/0182493号明細書、欧州特許第1235683B1号明細書、国際公開第91/01880号パンフレットおよび国際公開第03/057478A1号パンフレットで開示されている。
【0052】
本発明の多様な積層構造を形成させるために積層プロセスを用いてもよい。上述したように、接着剤、プライマならびに高分子シートおよびフィルムの「追加の層」、硬質シートを本発明の積層物に導入してもよい。
【0053】
耐磨耗性のハードコートを積層物に被着させてもよい。ハードコートは、引掻および磨耗などから高分子外層を保護するのを助ける。ハードコート組成物は当該技術分野で一般的である。例として、米国特許第4,027,073号明細書を参照すること。
【0054】
建築用途および自動車、トラックおよび列車などの輸送用途に関しては、本発明の典型的な積層物はガラスの層を有し、本発明の中間層はガラスに直接自己接着されている。積層物は約3mm〜約30mmの全厚を有する。中間層は、典型的には約0.38mm〜約4.6mmの厚さを有し、各ガラス層は、通常は少なくとも1mm以上の厚さである。本発明の中間層はガラスに直接接着され、ガラスと中間層との間の中間接着剤層または被膜は不要である。同様に、多層構造化積層物を形成させてもよい。
【0055】
添加剤
本発明のシートおよび積層物の組成物を当該技術分野で知られている添加剤と合わせて用いてもよいことが理解される。添加剤には、可塑剤、加工助剤、流れ強化添加剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、耐衝撃性改良剤、結晶性を高める核剤、シリカなどの粘着防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート化剤、カップリング剤、接着剤およびプライマが挙げられる。例えば、典型的な着色剤は黄変を減らす青味剤を含んでもよい。着色剤は積層物を着色するため、あるいは無機赤外線吸収剤または有機赤外線吸収剤の場合のように太陽光線を制御するために添加してもよい。
【0056】
より高い粘着力レベルを本発明の積層物内で必要とする場合、シランカップリング剤を本発明のフィルムおよびシートに導入してもよい。有用なシランカップリング剤の特定の例には、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびそれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、前記シランカップリング剤は、組成物の全重量を基準にして約0.01〜約5重量%のレベルで添加される。
【0057】
本発明の組成物は有効量の熱安定剤を導入してもよい。当該技術分野で知られている本質的にいかなる熱安定剤も本発明内で有用性を見出すであろう。熱安定剤の好ましい一般的な種類には、フェノール酸化防止剤、アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン、アルキル化ヒドロキノン、トコフェノール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アミン酸化防止剤、アリールアミン、ジアリールアミン、ポリアリールアミン、アシルアミノフェノール、オキサミド、金属不活性剤、ホスフィット、ホスホナイト、ベンジルホスホネート、アスコルビン酸(ビタミンC)、過酸化物を分解する化合物、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオ相乗剤、ベンゾフラノンおよびインドリノンなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約0〜約10重量%の熱安定剤を導入している。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、より好ましくは約0〜約5重量%の熱安定剤を導入している。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、最も好ましくは約0〜約1重量%の熱安定剤を導入している。
【0058】
本発明の組成物は有効量のUV吸収剤を導入してもよい。当該技術分野で知られている本質的にいかなるUV吸収剤も本発明内で有用性を見出すであろう。UV吸収剤の好ましい一般的な種類には、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジン、置換安息香酸および非置換安息香酸のエステルならびにそれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約0〜約10重量%のUV吸収剤を導入している。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、より好ましくは約0〜約5重量%のUV吸収剤を導入している。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして最も好ましくは約0〜約1重量%のUV吸収剤を導入している。
【0059】
本発明の組成物は有効量のヒンダードアミン光安定剤(HALS)を導入してもよい。ヒンダードアミン光安定剤(HALS)は当該技術分野で一般によく開示されている。当該技術分野で知られている本質的にいかなるヒンダードアミン光安定剤も本発明内で有用性を見出す場合がある。一般に、ヒンダードアミン光安定剤は、第二級環式アミンまたは第三級環式アミン、アセチル化環式アミン、N−ヒドロカルビルオキシ置換環式アミン、ヒドロキシ置換N−ヒドロカルビルオキシ置換環式アミンあるいはアミン官能基に隣接した炭素原子上の脂肪族置換から一般に誘導された立体障害を更に導入している他の置換環式アミンであると開示されている。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約0〜約10重量%のヒンダードアミン光安定剤を導入している。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、より好ましくは約0〜約5重量%のヒンダードアミン光安定剤を導入している。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、最も好ましくは約0〜約1重量%のヒンダードアミン光安定剤を導入している。
【0060】
本発明のエチレンコポリマー組成物は、熱硬化性フィルムおよびシートをもたらす限界に至るまで樹脂のメルトフローを効果的に減らす添加剤を更に導入してもよい。こうした添加剤の使用は、本発明のフィルム、シートおよび積層物の上限使用温度を高める。典型的には、上限使用温度は20〜70℃に至るまで高められる。更に、こうした材料から製造された積層物は難燃性である。本発明のエチレンコポリマー中間層のメルトフローを減らすことにより、前記材料は、溶融し積層物から流れ出し、そして次に火災のための追加の燃料として作用する傾向が低くなる。メルトフロー減少添加剤の特定の例は有機過酸化物である。好ましくは、有機過酸化物は、約100℃以上の温度で分解してラジカルを発生させる。より好ましくは、有機過酸化物は、ブレンディング操作のための改善された安定性を提供するために、約70℃以上で10時間の半減期を与える分解温度を有する。典型的には、有機過酸化物は、エチレンコポリマー組成物の全重量を基準にして約0.01〜約10重量%の間のレベルで添加される。必要に応じて、ジブチル錫ジラウレートなどの開始剤を用いてもよい。典型的には、開始剤は、エチレンコポリマー組成物の全重量を基準にして約0.01〜約0.05重量%のレベルで添加される。必要に応じて、反応の制御および安定性を強化するためにヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノンおよびメチルヒドロキノンなどの抑制剤を添加してもよい。典型的には、抑制剤は、エチレンコポリマー組成物の全重量を基準にして約5重量%未満のレベルで添加される。
【0061】
高分子シートの成形
高分子シートは、押出、カレンダー加工、溶液キャスティングまたは射出成形などの当該技術分野で知られているいずれかのプロセスによって成形してもよい。これらのプロセスの各々に対するパラメータは、高分子材料の粘度特性およびシートの所望の厚さに応じて当業者が容易に決定することが可能である。
【0062】
本発明の高分子シートは、好ましくは押出によって成形される。押出は、連続長さとして出てくるフィルムおよびシートなどの「エンドレス」製品の成形のために特に好ましい。押出において、溶融ポリマーとしてまたはプラスチックのペレットまたは粒体として提供されるか否かを問わず高分子材料は流動化され均質化される。必要に応じて、熱安定剤またはUV安定剤、可塑剤、充填剤および/またはブレンド可能な高分子材料などの上述した添加剤を添加してもよい。好ましくは、本発明の高分子組成物の溶融加工温度は約100℃〜約300℃である。より好ましくは、本発明の高分子組成物の溶融加工温度は約150℃〜約250℃である。本発明の高分子組成物は優れた熱安定性を有する。それは、有効な溶融粘度を下げるために十分高い温度での加工を可能にする。本発明のリサイクル高分子組成物を本発明のバージン高分子組成物に加えて用いることが可能である。その後、この混合物は適切に造形されたダイに押し進められて、所望の断面の高分子シート形状をもたらす。押出力は、ピストンまたはラム(ラム押出)によって、あるいは回転スクリュー(スクリュー押出)によって加えてもよい。回転スクリューは、材料が加熱され可塑化され、その後、材料が連続流れでダイを通して押出されるシリンダ内で動作する。一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機および多軸スクリュー押出機を当該技術分野で知られているように用いてもよい。異なる種類のダイを用いて、シートおよび細片(スロットダイ)ならびに中空部分および中実部分(サーキュラーダイ)などの異なる製品を製造する。このようにして、異なる幅および厚さのシートが製造される。押出後、高分子シートをロール上でまたはフラットシートとして巻き取り、冷却し、シートの後続の一切の変形を妨げるために設計されている好適な器具によって引き取る。
【0063】
当該技術分野で知られている押出機を用いて、チルドロール上にポリマーの層を押し出し、その後、テンションロールによって所望のサイズにシートを更に引き落とすことによってシートを製造することが可能である。押出キャスティングプロセスにおいて、ポリマー溶融物をスロットダイ(T−形状ダイ、すなわち「コートハンガー」ダイ)を通して押出機から搬送する。ダイは10フィートほどの幅であってもよく、典型的には、内部圧力からのリップの変形を最少にするために最終ランド上で厚い壁部分を有する。ダイ開口は広い範囲内であってもよい。発生期キャストシートは、シートを巻き取るロールの速度に応じて引き落としてもよく、そして大幅に薄くしてもよい。その後、結晶融点またはガラス転移温度より下に冷却することによりシートは固化される。これは、シートを水浴に通すか、または水冷却のために除芯された2つ以上のクロムメッキチルロール上に通すことにより実行してもよい。その後、キャストシートはニップロール、縁をトリムするスリッターを通して搬送し、その後、巻き取るか、または切断し、積み重ねる。キャストシートにおいて、条件を適応させて、特に高い引き落とし条件および巻取り速度で縦方向に比較的高い配向度、および横方向で遙かにより低い配向レベルを可能にしてもよい。あるいは、条件を適応させて、配向のレベルを最少にし、よって縦方向と横方向の両方で本質的に同等の物理的特性をシートに与えてもよい。
【0064】
大量のシートを製造するために圧延カレンダーを用いる。粗いシートをカレンダーの空隙にフィードする。カレンダーは、反対方向に回転するとともにポリマーを分散させ、そしてポリマーを必要な厚さに延伸する加熱可能な多くの平行円柱ロールを含む機械である。最終ロールは、こうして製造されたシートを平滑にする。シートが組織化表面を有することが必要である場合、最終ロールに適切なエンボスパターンを与える。あるいは、シートを再加熱してもよく、その後、エンボスカレンダに通してもよい。カレンダーの後に1つ以上の冷却ドラムが続く。最後に、仕上げられたシートは巻き取るか、または一定長さに切断し、積み重ねる。
【0065】
本発明の高分子シートは平滑な表面を有してもよい。好ましくは、積層物内の中間層として用いられるべき高分子シートは、積層プロセス中に積層物の表面の間から殆どの空気を除去することを効果的に可能にするために粗面を有する。これは、例えば、上述した押出後にシートを機械的にエンボスすることにより、またはシートの押出中のメルトフラクチャによって実行することが可能である。例えば、押し出されたままのシートは、溶融ポリマーの片側に所望の表面特性を付与するダイの出口に極めて近くに配置されたダイロールの特殊に調製された表面上に通してもよい。従って、こうしたロールの表面が微細な峰および谷を有するとき、ロール上にキャストされたポリマーから成形されたシートは、ロールに接触する側に粗面を有する。粗面はロール表面の谷および峰に一般に順応する。こうしたダイロールは、例えば米国特許第4,035,549号明細書で開示されている。知られているように、この粗面は一時的のみであり、積層中に脱気を促進するように特に機能し、その後、粗面はオートクレーブ処理および他の積層プロセスに付随した高い温度および圧力から平滑に溶融される。
【0066】
上の押出プロセスを広い融通性のために様々なポスト押出操作と組み合わせることが可能である。こうしたポスト成形操作には、当該技術分野で当業者に知られているように、丸形状を卵形状に変える、異なる寸法にシートを延伸する、機械加工、打抜および二軸延伸などが挙げられる。
【0067】
本発明の高分子シートを押出中および/または仕上げ中に他の高分子材料と組み合わせて、改善された特性を有する積層物または多層シートを形成させてもよい。多層シートまたは積層シートは当該技術分野で知られているいずれかの方法によって製造してもよく、当該技術分野で知られているように熱、接着剤および/または繋ぎ層によって互いに接合された5層以上ほどに多い別個の層を有してもよい。多層シートの1つの利点は、より高いニーズを提供する外層により高価な原料を割り当てることを可能にしつつ、重要な用途ニーズを解決するために特定の特性をシートに適応させることが可能であることである。多層シート構造は、共押出、インフレートフィルム、浸漬被覆、溶液被覆、ブレード、パドル、エアナイフ、印刷、Dahlgren、グラビア、粉末被覆、噴霧または他の技術プロセスを通して形成させることが可能である。一般に、多層シートは、共押出キャスティングプロセスを通して製造される。例えば、樹脂材料は均一に加熱される。溶融材料は、溶融材料を組み合わせて多層共押出構造を形成させる共押出アダプタに搬送される。層状高分子材料は所定の空隙に開けられた押出ダイを通して移送される。その後、典型的には約15〜約55℃(60〜130°F)の範囲内で維持された一次チルロールまたはキャスティングロールによって材料は意図したゲージ厚さに引き落とされる。典型的な引落比は、約1:1から約5:1〜約40:1の範囲である。追加の層は、バリア層、接着剤層、粘着防止層、太陽光制御層としてまたは他の目的のために機能してもよい。
【0068】
当業者は、シートの成形のために用いられる高分子組成物およびプロセスに基づいて適切なプロセスパラメータを特定することができるであろう。
【0069】
高分子フィルムのために記載されたように、すなわち高分子シートを延伸位置に保持し、冷却する前に数秒にわたり加熱することにより収縮を制御することが可能である。更に、シートは、圧延、カレンダー加工、被覆、エンボス、印刷または当該技術分野で知られている他の典型的なあらゆる仕上げ操作に供してもよい。
【0070】
シートによって示される特性は、高分子組成物、ポリマーの形成の方法、シートの成形の方法およびシートを延伸のために処理したか、二軸配向させたかどうかを含む上で示した幾つかの要素に応じて異なる。これらの要素は、収縮、引張強度、破断点伸び、衝撃強度、絶縁耐力、誘電率、引張弾性率、耐薬品性、融点および熱変形温度などのシートの多くの特性に影響を及ぼす。
【0071】
フィルムのために上で挙げたような着色剤、染料、可塑剤、潤滑剤、粘着防止剤、スリップ剤、UV安定剤、熱安定剤および酸化防止剤などの特定の添加剤および充填剤を高分子組成物に添加することによりシートの特性を更に調節してもよい。本発明のシートをフィルムのために説明したようにシートの放射線処理、例えば電子線処理によって処理してもよい。
【0072】
本発明の種々の態様をより完全に示し更に例示するために以下の実施例を提示する。以下の実施例は過度に限定されるものではない。
【実施例】
【0073】
分析方法
曇り度は、積層物を通して移動する非散乱光の経路によって画定される軸から2.5度を上回る角度で散乱される光束の百分率である。ASTM規格D1003−61の方法Aと一致しているASTM規格NF−54−111に準拠してHazegard曇り度計(BYK−Gardner USA,Columbia,MD)を用いて曇り度を測定した。シートの左側で、シートの中央でおよびシートの右側で曇り度を測定した。これらの測定値を平均して各シート厚さでの平均曇り度を提供した。厚さ90ミル(2.9mm)の曇り度測定に関して、厚さ30ミル(0.75mm)のシート三枚を互いの上に積み重ねた。
【0074】
圧縮剪断強度は、ここで概説するように米国特許第6,599,630号明細書で開示された方法を通して決定した。6つの1インチ×1インチ(25mm×25mm)チップを積層物から鋸でひいて作った。試験する前にチップを23℃±2℃および相対湿度50%±1%で制御された室内で1時間にわたり状態調節した。米国特許第6,599,630号明細書の図1に示された治具の下半分の上のカットアウト上にチップを置き、その後、治具の上半分をチップの上に置いた。クロスヘッドがデバイスの上片に接触するまでクロスヘッドを0.1インチ/分(2.5mm/分)の速度で下げた。クロスヘッドが下方に移動し続けるにつれて、チップのガラスの一片は他方に対して滑り始める。チップの圧縮剪断強度は接着破壊を引き起こすのに要した剪断応力である。報告した結果は6チップに関する測定値の平均である。この試験の精度は、1標準偏差が6チップの平均結果の典型的には6%であるような精度である。
【0075】
剥離試験は90度剥離強度粘着力試験方法を通して行った。Model SP−102B−3M90SLIP/PEEL Tester(Instrumentors,Inc.,Strongsville,Ohio44149)を用いて90度の角度で積層物を剥離した。積層物を1インチ(2.5cm)/分および2インチ(5.1cm)/分の速度で剥離した。
【0076】
標準積層手順
積層物中のすべての層を同じサイズに切断し、所望の順に積み重ねたプレプレスアセンブリを真空袋に入れ、90〜100℃で30分にわたり加熱してプレプレスアセンブリの層の間に含まれた一切の空気を除去した。プレプレスアセンブリを200psig(14.3バール)の圧力で空気オートクレーブ内で30分にわたり135℃で加熱した。その後、追加のガスを添加せずに空気を冷却し、オートクレーブ内の圧力を放置して下げるようにする。冷却から20分後、空気温度が約50℃未満であったとき、過剰の圧力をベントし、積層物をオートクレーブから取り出した。
【0077】
比較実験A
ナトリウムで37.4%のレベルに中和された19重量%のメタクリル酸を導入しているコポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)を以下のようにシートに押出キャストした。コポリマーを以下の温度分布で直径1.5インチ(38mm)のKillion押出機(Davis−Standard Killion,Pawcatuck,Connecticut,USA06379)にフィードした。
【0078】

【0079】
スクリュー速度を70rpmに調節することによりポリマーの押出量を制御した。押出機は、公称空隙0.038インチ(0.97mm)の14インチ(35.6cm)「コートハンガー」ダイを供給した。Teflon(登録商標)剥離フィルムで覆われた直径6インチ(15.2cm)のゴムニップロールおよび約15℃の温度で保持された直径12インチ(30.5cm)の2つの磨きクロムチルロールからなる三ロールスタックにキャストされたままのシートをフィードした。その後、公称0.030インチ(30ミル、0.75mm)の厚さのシートを約2.8フィート/分(0.85m/分)の速度で紙管上に巻きつけた。
【0080】
30ミル(0.75mm)厚さに関する平均曇り度は0.65であり、90ミル(2.29mm)厚さに関する平均曇り度は1.7であった。
【0081】
比較実験B
亜鉛で48.5%のレベルに中和された19重量%のメタクリル酸を導入しているコポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)を本質的に比較実験Aに記載されたようにシートに押出キャストして、公称0.030インチ厚さのシート(30ミル、0.75mm)を製造した。
【0082】
30ミル(0.75mm)厚さに関する平均曇り度は1.33であり、90ミル(2.29mm)厚さに関する平均曇り度は3.87であった。
【0083】
比較実験C
最終ブレンドの全重量を基準にして75重量%のイオノマー樹脂Aおよび25重量%のイオノマー樹脂Bからなるブレンド組成物をドライブレンドし、その後、1インチのKillion一軸スクリュー押出機でコンパウンディングした。
【0084】
押出機は、約200℃の溶融温度をおよび2.5ポンド/時の速度を有していた。組成物に応じて、スクリュー速度は47〜70RPMの範囲であり、リアゾーンの温度は120℃〜170℃の範囲であった。アダプタ圧力は400psi〜800psiの範囲であり、電力消費は約2.5〜3アンペアの範囲であった。典型的な押出機のバレル温度分布は以下の通りであった。
リア(原料ホッパー)ゾーン: 120〜170℃
中央ゾーン: 199〜203℃
フロントゾーン: 200〜202℃
アダプタ: 200〜201℃
【0085】
単一ストランドを水浴に通し、ペレット化して小ペレットを形成させた。ペレットを室温で一晩窒素でパージし、その後、水分バリア包装内に密封した。
【0086】
ブレンドを比較実験Aに記載されたようにシートに押出キャストして、公称0.030インチ厚さのシート(30ミル、0.75mm)を製造した。高分子シートは、全中和量を基準にして70%のナトリウムイオンと30%の亜鉛イオンとを含む40%のレベルに中和されたイオノマーブレンドであった。
【0087】
実施例1
最終ブレンドの全重量を基準にして50重量%のイオノマー樹脂Aおよび50重量%のイオノマー樹脂Bからなるブレンド組成物をドライブレンドし、その後、比較実験Cに記載されたように1インチのKillion一軸スクリュー押出機でコンパウンディングした。
【0088】
ブレンドを比較実験Aに記載されたようにシートに押出キャストして、公称0.030インチ厚さのシート(30ミル、0.75mm)を製造した。高分子シートは、全中和量を基準にして44%のナトリウムイオンと56%の亜鉛イオンとを含む43%のレベルに中和されたイオノマーブレンドであった。
【0089】
30ミル(0.75mm)厚さに関する平均曇り度は0.56であり、90ミル(2.29mm)厚さに関する平均曇り度は1.14であった。
【0090】
実施例2
最終ブレンドの全重量を基準にして25重量%のイオノマー樹脂Aおよび75重量%のイオノマー樹脂Bからなるブレンド組成物をドライブレンドし、その後、比較実験Cに記載されたように1インチのKillion一軸スクリュー押出機でコンパウンディングした。
【0091】
ブレンドを比較実験Aに記載されたようにシートに押出キャストして、公称0.030インチ厚さのシート(30ミル、0.75mm)を製造した。高分子シートは、全中和量を基準にして20%のナトリウムイオンと80%の亜鉛イオンとを含む48%のレベルに中和されたイオノマーブレンドであった。
【0092】
30ミル(0.75mm)厚さに関する平均曇り度は0.83であり、90ミル(2.29mm)厚さに関する平均曇り度は2.71であった。
【0093】
比較実験1−A
ガラス層、比較実験Aで製造された高分子シートおよびガラス層からなるガラス積層物を以下のように製造した。比較実験Aのシートを状態調節せず、「入手したまま」用いた。順に透明焼鈍フロートガラス板層、ガラス層の錫側が高分子シートに接触している比較実験Aで製造された高分子シートおよびガラスの錫側が高分子シートに接触している透明焼鈍フロートガラス板層(各層は6インチ×6インチ(152mm×152mm)の寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、高分子シートは厚さ30ミル(0.75mm)である)からなるガラス/高分子シート/ガラスプレプレスアセンブリを標準積層手順に準拠して積層した。
【0094】
積層物の圧縮剪断強度は5635psiであった。
【0095】
比較実験1−B
ガラス層、比較実験Bで製造された高分子シートおよびガラス層からなるガラス積層物を比較実験1−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Bで製造された高分子シートであったことである。
【0096】
積層物の圧縮剪断強度は6254psiであった。
【0097】
比較実験1−C
ガラス層、比較実験Cで製造された高分子シートおよびガラス層からなるガラス積層物を比較実験1−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Cで製造された高分子シートであったことである。
【0098】
積層物の圧縮剪断強度は6040psiであった。
【0099】
実施例1−1
ガラス層、実施例1で製造された高分子シートおよびガラス層からなるガラス積層物を比較実験1−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例1で製造された高分子シートであったことである。
【0100】
積層物の圧縮剪断強度は6380psiであった。
【0101】
実施例1−2
ガラス層、実施例2で製造された高分子シートおよびガラス層からなるガラス積層物を比較実験1−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例2で製造された高分子シートであったことである。
【0102】
積層物の圧縮剪断強度は6603psiであった。
【0103】
比較実験2−A
ガラス層および比較実験Aで製造された高分子シートからなる積層物を以下のように製造した。比較実験Aのシートを状態調節せず、「入手したまま」用いた。順に透明焼鈍フロートガラス板層、ガラス層の錫側が高分子シートに接触している比較実験Aで製造された高分子シート、薄いTeflon(登録商標)フィルム層および透明焼鈍フロートガラス板層(各層は7インチ×3.5インチ(178mm×89mm)の寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、高分子シートは厚さ30ミル(0.75mm)である)からなるガラス/高分子シート/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスプレプレスアセンブリを標準積層手順に準拠して積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよびガラスカバーシートの除去は所望のガラス/高分子シート積層物を提供した。
【0104】
積層物は4.1lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0105】
比較実験2−B
ガラス層および比較実験Bで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験2−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Bで製造された高分子シートであったことである。
【0106】
積層物は8.8lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0107】
比較実験2−C
ガラス層および比較実験Cで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験2−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Bで製造された高分子シートであったことである。
【0108】
積層物は8.5lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0109】
実施例2−1
ガラス層および実施例1で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験2−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例1で製造された高分子シートであったことである。
【0110】
積層物は10.1lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0111】
実施例2−2
ガラス層および実施例2で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験2−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例2で製造された高分子シートであったことである。
【0112】
積層物は8.8lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0113】
比較実験3−A
ガラス層および比較実験Aで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験2−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、錫側でなくガラス層の空気側が高分子シートに接触していたことである。
【0114】
積層物は4lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0115】
比較実験3−B
ガラス層および比較実験Bで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験3−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Bで製造された高分子シートであったことである。
【0116】
積層物は6.7lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0117】
比較実験3−C
ガラス層および比較実験Cで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験3−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Cで製造された高分子シートであったことである。
【0118】
積層物は4.5lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0119】
実施例3−1
ガラス層および実施例1で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験3−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例1で製造された高分子シートであったことである。
【0120】
積層物は7.4lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0121】
実施例3−2
ガラス層および実施例2で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験3−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例2で製造された高分子シートであったことである。
【0122】
積層物は7.6lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0123】
比較実験4−A
ガラス層および比較実験Aで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験2−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、プレプレスアセンブリ中で用いる前に比較実験Aの高分子シートを相対湿度(RH)8%未満および温度72°Fで一晩状態調節したことである。
【0124】
積層物は2.2lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0125】
比較実験4−B
ガラス層および比較実験Bで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験4−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Bで製造された高分子シートであったことである。
【0126】
積層物は15.6lb/inの引き剥がし粘着力を有していた。
【0127】
比較実験4−C
ガラス層および比較実験Cで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験4−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Cで製造された高分子シートであったことである。
【0128】
積層物は5lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0129】
実施例4−1
ガラス層および実施例1で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験4−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例1で製造された高分子シートであったことである。
【0130】
積層物は8.8lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0131】
実施例4−2
ガラス層および実施例2で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験4−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例2で製造された高分子シートであったことである。
【0132】
積層物は8.6lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0133】
比較実験5−A
ガラス層および比較実験Aで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験4−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、錫側でなくガラス層の空気側が高分子シートに接触していたことである。
【0134】
積層物は1.6lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0135】
比較実験5−C
ガラス層および比較実験Cで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験5−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Cで製造された高分子シートであったことである。
【0136】
積層物は3.6lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0137】
実施例5−1
ガラス層および実施例1で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験5−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例1で製造された高分子シートであったことである。
【0138】
積層物は5.2lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0139】
実施例5−2
ガラス層および実施例2で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験5−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例2で製造された高分子シートであったことである。
【0140】
積層物は5.9lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0141】
比較実験6−A
ガラス層および比較実験Aで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験2−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、プレプレスアセンブリ中で用いる前に比較実験Aの高分子シートを相対湿度(RH)23%および温度72°Fで一晩状態調節したことである。
【0142】
積層物は0.8lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0143】
比較実験6−C
ガラス層および比較実験Cで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験6−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Cで製造された高分子シートであったことである。
【0144】
積層物は2lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0145】
実施例6−1
ガラス層および実施例1で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験6−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例1で製造された高分子シートであったことである。
【0146】
積層物は4.9lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0147】
実施例6−2
ガラス層および実施例2で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験6−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例2で製造された高分子シートであったことである。
【0148】
積層物は9.6lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0149】
比較実験7−A
ガラス層および比較実験Aで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験2−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、プレプレスアセンブリ中で用いる前に比較実験Aの高分子シートを相対湿度(RH)50%および温度72°Fで一晩状態調節したことである。
【0150】
積層物は1.2lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0151】
比較実験7−B
ガラス層および比較実験Bで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験7−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Bで製造された高分子シートであったことである。
【0152】
積層物は10.6lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0153】
比較実験7−C
ガラス層および比較実験Cで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験7−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Cで製造された高分子シートであったことである。
【0154】
積層物は1.1lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0155】
実施例7−1
ガラス層および実施例1で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験7−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例1で製造された高分子シートであったことである。
【0156】
積層物は3.9lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0157】
実施例7−2
ガラス層および実施例2で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験7−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例2で製造された高分子シートであったことである。
【0158】
積層物は14.8lb/inの引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0159】
比較実験8−A
ガラス層および比較実験Aで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験7−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、錫側でなくガラス層の空気側が高分子シートに接触していたことである。
【0160】
積層物は1lb/in未満の引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0161】
比較実験8−C
ガラス層および比較実験Cで製造された高分子シートからなる積層物を比較実験8−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが比較実験Cで製造された高分子シートであったことである。
【0162】
積層物は0.5lb/in未満の引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0163】
実施例8−1
ガラス層および実施例1で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験8−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例1で製造された高分子シートであったことである。
【0164】
積層物は2.4lb/in未満の引き剥がし粘着力を有することが判明した。
【0165】
実施例8−2
ガラス層および実施例2で製造された高分子シートからなる積層物を比較実験8−Aに記載された方法を用いて製造した。唯一の相違は、用いられた高分子シートが実施例2で製造された高分子シートであったことである。
【0166】
積層物は4.2lb/in未満の引き剥がし粘着力を有することが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10ミル(0.25mm)以上の厚さを有するとともに、部分的に中和されたα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を導入しているイオノマーまたはイオノマーブレンドを含む少なくとも1つの層を有する高分子シートであって、前記イオノマーまたはイオノマーブレンドが前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の中和の全量を基準にして約1〜約60%の範囲の量で1種以上の一価金属のイオンと、約40〜約99%の範囲の量で1種以上の多価金属のイオンとを含むことを特徴とする高分子シート。
【請求項2】
1種の一価金属が存在し、それがナトリウムであり、1種の多価金属が存在し、それが亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の高分子シート。
【請求項3】
ナトリウムのイオンが約15〜約50%の範囲の量であり、亜鉛のイオンが約50〜約85%の範囲の量であることを特徴とする請求項2に記載の高分子シート。
【請求項4】
前記シートが透明であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子シート。
【請求項5】
(a)10ミル(0.25mm)以上の厚さを有するとともに、部分的に中和されたα,β−エチレン性不飽和カルボン酸成分を導入しているイオノマーまたはイオノマーブレンドを含む少なくとも1層を有する高分子シートであって、前記イオノマーまたはイオノマーブレンドが中和の全量を基準にして約1〜約60%の範囲の量で1種以上の一価金属のイオンと、約40〜約99%の範囲の量で1種以上の多価金属のイオンとを含むことを特徴とする高分子シートと、
(b)前記高分子シートに積層された硬質シートであって、ガラス、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、環式ポリオレフィン、ポリスチレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される硬質シートと
を含む積層物品。
【請求項6】
1種以上の一価金属のイオンが約15〜約50%の範囲の量であり、1種以上の多価金属のイオンが約50〜約85%の範囲の量であることを特徴とする請求項5に記載の積層物品。
【請求項7】
前記高分子シートの他の表面に積層された追加の硬質シートであって、ガラス、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、環式ポリオレフィン、ポリスチレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される追加の硬質シートを更に含むことを特徴とする請求項5または6に記載の積層物品。
【請求項8】
前記硬質シートがガラスを含むことを特徴とする請求項7に記載の積層物品。
【請求項9】
1種の一価金属が存在し、それがナトリウムであり、1種の多価金属が存在し、それが亜鉛であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の積層物品。
【請求項10】
前記物品が透明であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の積層物品。

【公表番号】特表2009−512763(P2009−512763A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536834(P2008−536834)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/041091
【国際公開番号】WO2007/047956
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】