説明

混合廃プラスチック再生処理方法及び混合廃プラスチック再生処理装置

【課題】発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックの分別再生処理において、再生プラスチックの純度を高め品質を向上させるとともに、再生量(歩留り)を増量させ、廃棄物量を低減させる。
【解決手段】混合廃プラスチックを破砕する破砕工程102と、破砕した混合廃プラスチックを攪拌水槽中に投入し、発泡スチロールを所定場所に集めながら浮上させる浮上選別工程103と、浮上させた発泡スチロール及び発泡スチロールに付着したその他プラスチックを回収する回収工程104と、回収した発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕する粉砕工程106と、粉砕した発泡スチロール及びその他プラスチックを、粒径に応じて2種別以上に選別する篩選別工程107とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックの再生処理方法及び再生処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭や事業所から廃棄物として排出される廃プラスチックは、再生処理によりリサイクルされ、再利用されている。
特に近年、家庭ゴミをゴミ収集に出す場合に、調味料の容器、卵のパック、肉・野菜のトレイなどのプラスチック製容器包装を分別して「リサイクルプラスチック」として出すように義務付ける自治体が増加しており、地球環境の保全のため廃プラスチックのリサイクルがますます重要となってきている。
【0003】
ここで、一口に廃プラスチックといっても、その種類は様々である。例えば、上記「リサイクルプラスチック」の中には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン(発泡スチロール)などが含まれる。また、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPVC(ポリ塩化ビニル)等も混入している。これらの様々な種類の廃プラスチックは、ゴミ収集時には混合された状態にある。
従って、廃プラスチックを再生処理してリサイクルするためには、収集された廃プラスチックを、再生するプラスチックの種類ごとに分別することが必要になる。
【0004】
こうした分別処理の方法として、図2を参照しながら、従来例1に係る混合廃プラスチックの再生処理方法を説明する。
従来例1は、発泡スチロール及びその他プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン等)が混入した混合廃プラスチック(リサイクルプラスチック)からポリエチレン及びポリプロピレンを分別し再生処理するものである。
【0005】
リサイクル工場等に混合廃プラスチック100が搬入されると、まず異物除去工程101において、混入している金属、木片、紙等が取り除かれる。金属の除去は主に磁気を利用して行われ、木片、紙等は手作業により除去される。また手作業で除去可能な大きさの発泡スチロールも除去される。
次に、破砕工程102において、混合廃プラスチック100が破砕される。
浮上選別工程103においては、軽量物であるプラスチックと、重量物(異物)を選別し、重量物が取り除かれる。
遠心分離工程108においては、遠心分離機の中で高速回転させることにより、比重1以上のポリ塩化ビニル等が取り除かれる。
そして乾燥工程109を経て、フレーク状の再生プラスチックが完成する。
さらに、造粒工程110においては、フレーク状の再生プラスチックをペレット状に造粒し、最終的に再生プラスチック(X)500が完成する。
【0006】
ここで、再生プラスチック(X)500の主成分は、ポリエチレン及びポリプロピレンであるが、その他に発泡スチロールの成分であるポリスチレンが混入している。
混合廃プラスチック中の発泡スチロールは基本的に異物除去工程101で手作業により取り除かれるが、リサイクル工場等に搬入される混合廃プラスチック100は、運搬時に圧縮され搬入後にほぐされることから、その過程で発泡スチロールが細かくなってしまい手作業で取りきれないためである。
このように、ポリエチレン及びポリプロピレンを主成分とする再生プラスチック(X)500にポリスチレンが混入してしまうと、純度が低下し品質の低いものとなってしまう。
【0007】
この問題を解決するものとして、図3に示すような、従来例2に係る混合廃プラスチックの再生処理方法が行われている。
従来例2は、発泡スチロール及びその他プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン等)が混入した混合廃プラスチック(リサイクルプラスチック)からポリエチレン及びポリプロピレンを分別して再生するとともに、発泡スチロールの成分であるポリスチレンも分別するものである。
従来例2の従来例1との相違点は、回収工程104を設けている点である。
【0008】
従来例2の浮上選別工程103においては、軽量物であるプラスチックと重量物(異物)を選別し重量物が取り除かれると同時に、攪拌水槽中に投入された混合廃プラスチック100のうち発泡スチロールだけが所定場所に集められながら浮上させられる。
そして、回収工程104において、浮上した発泡スチロールが回収され、ポリスチレンを主成分とする再生不可プラスチック(Z)700として廃棄される。
一方、浮上選別工程103において発泡スチロールが分別された後の混合廃プラスチックは、従来例1と同様に、遠心分離工程108、乾燥工程109、造粒工程110を経て、ポリエチレン、ポリプロピレンを主成分とする再生プラスチック(Y)600として再生される。
【0009】
その他、混合廃プラスチックの処理方法として、特許文献1には、比重差を利用して混合廃プラスチックから発泡スチロールや塩化ビニル等を分離する発明が記載されている。
【特許文献1】特開2001−328120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来例1の問題点を解決した従来例2に係る混合廃プラスチック処理方法においても、次のような新たな問題点が生じてしまう。
【0011】
一つ目の問題点は、ポリスチレンを主成分とする再生不可プラスチック(Z)700に、ポリエチレン及びポリプロピレン等が混入してしまうことである。
回収工程104では、基本的に浮上選別工程103で所定場所に集められた発泡スチロールが回収されるが、回収時の発泡スチロールは濡れているため、ポリエチレン及びポリプロピレン等が付着して混入してしまうからである。
このように、ポリスチレンを主成分とする再生不可プラスチック(Z)700は、ポリエチレン及びポリプロピレン等のプラスチックが混入してしまうことにより、純度が低下し再生できず、廃棄物扱いとなってしまうのである。
【0012】
二つ目の問題点は、再生プラスチック(Y)600の歩留りが低下してしまうことである。
浮上選別工程103において発泡スチロールが分別された後に再生処理された再生プラスチック(Y)600は、ポリエチレン及びポリプロピレンの純度が高くなり品質は向上する。しかし、本来再生プラスチック(Y)600として再生されるべきポリエチレン及びポリプロピレンが、再生不可プラスチック(Z)700側に混入されてしまい、再生プラスチック(Y)600の再生量が少なくなってしまうのである。
【0013】
一方、特許文献1に記載された発明においては、比重差を利用して混合廃プラスチックから発泡スチロールや塩化ビニル等を分離することができるようになっているが、発泡スチロールは同じく比重の小さいフィルム状プラスチックとともに分別され易いため、発泡スチロール(ポリスチレン)とその他のプラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン)を精度良く分別再生することは困難である。
【0014】
そこで、本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックの分別再生処理において、再生プラスチックの純度を高め品質を向上させるとともに、再生量(歩留り)を増量させ、廃棄物量を低減させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る発明の混合廃プラスチック再生処理方法は、発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックを分別処理して、発泡スチロール及びその他プラスチックを別々に再生する混合廃プラスチック再生処理方法において、少なくとも、前記発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕する粉砕工程(106)と、前記粉砕した発泡スチロール及びその他プラスチックを、粒径に応じて2種別以上に選別する篩選別工程(107)とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に係る発明の混合廃プラスチック再生処理方法は、発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックを分別処理して、発泡スチロール及びその他プラスチックを別々に再生する混合廃プラスチック再生処理方法において、前記混合廃プラスチックを破砕する破砕工程(102)と、前記破砕した混合廃プラスチックを攪拌水槽中に投入し、前記発泡スチロールを所定場所に集めながら浮上させる浮上選別工程(103)と、前記浮上させた発泡スチロール及び発泡スチロールに付着したその他プラスチックを回収する回収工程(104)と、前記回収した発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕する粉砕工程(106)と、前記粉砕した発泡スチロール及びその他プラスチックを、粒径に応じて2種別以上に選別する篩選別工程(107)とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記篩選別工程(107)で選別された発泡スチロール及びその他プラスチックのうち大粒径のものを、前記浮上選別工程(103)時に再投入することを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に係る発明の混合廃プラスチック再生処理装置は、発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックを分別処理して、発泡スチロール及びその他プラスチックを別々に再生する混合廃プラスチック再生処理装置において、少なくとも、前記発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕する粉砕手段(106)と、前記粉砕された発泡スチロール及びその他プラスチックを、粒径に応じて2種別以上に選別する篩選別手段(107)とを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の発明において、前記粉砕手段(106)は、ブレード又は羽根を備え、前記ブレード又は羽根を回転させて、発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕するとともに乾燥させることを特徴とする。
【0020】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、粉砕工程において、発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕した後、篩選別工程において粒径に応じて2種別以上に選別するので、小粒径となる発泡スチロールを選別して純度の高い再生プラスチック(主成分:発泡スチロール)を得ることができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明によれば、破砕工程において混合廃プラスチックを破砕するので、再生処理を行いやすい大きさにすることができる。
また、浮上選別工程において、破砕した混合廃プラスチックのうち発泡スチロールを所定場所に集めながら浮上させた後、回収工程において回収するので、混合廃プラスチックから発泡スチロールを選別回収し、残りの廃プラスチックで純度の高い再生プラスチック(主成分:その他プラスチック)を得ることができる。
最後に、粉砕工程において、発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕した後、篩選別工程において粒径に応じて2種別以上に選別するので、小粒径となる発泡スチロールを選別して純度の高い再生プラスチック(主成分:発泡スチロール)を得ることができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、篩選別工程で選別された発泡スチロール及びその他プラスチックのうち大粒径のものを、浮上選別工程時に再投入するので、再生プラスチック(主成分:その他プラスチック)の歩留り低下を防ぐことができる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明によれば、粉砕手段により、発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕した後、篩選別手段により粒径に応じて2種別以上に選別するので、小粒径となる発泡スチロールを選別して純度の高い再生プラスチック(主成分:発泡スチロール)を得ることができる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の作用効果に加えて、破砕手段はブレード又は羽根を備えており、ブレード又は羽根を回転させて、発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕するとともに乾燥させるので、篩選別手段で選別するときに粒が篩にくっつかないように、又、再生発泡スチロールの水分品質を向上させるべく、乾燥させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、図1を参照して、本発明の実施形態に係る混合廃プラスチック処理方法及び混合廃プラスチック処理装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る混合廃プラスチック処理方法の工程を示すフローチャートである。
本実施形態においては、混合廃プラスチックとして、調味料の容器、卵のパック、肉・野菜のトレイなどのプラスチック製容器包装である「リサイクルプラスチック」を分別処理して再生する。
「リサイクルプラスチック」の中には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン(発泡スチロール)などが含まれる。また、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPVC(ポリ塩化ビニル)等も混入している。
以下、図1のフローチャートに沿って説明する。
【0027】
リサイクル工場等に混合廃プラスチック100が搬入されると、まず異物除去工程101において、混入している金属、木片、紙等が取り除かれる。金属の除去は主に磁気を利用して行われ、木片、紙等は手作業により除去される。また手作業で除去可能な大きさの発泡スチロールも回収し再生している。
なお、既に異物が除去された状態の混合廃プラスチック100が搬入される場合もありうる。
【0028】
次に、破砕工程102において、混合廃プラスチック100が破砕される。
【0029】
次に、浮上選別工程103において、軽量物であるプラスチックと重量物(異物)を選別し重量物が取り除かれると同時に、攪拌水槽中に投入された混合廃プラスチック100のうち発泡スチロールが所定場所に集められながら浮上させられる。
浮上選別工程103で用いられる機器は、攪拌水槽を備えており、浮力の違いを利用することにより、軽量物であるプラスチックと重量物(異物)を選別して、重量物が取り除かれる。
同時に、攪拌水槽中をスクリューで攪拌して対流を発生させることにより、浮力の強い発泡スチロールが中央に集められながら浮上させられる。
なお、発泡スチロールを所定場所に集めながら浮上させることができるものであれば、集める場所は中央に限られない。
【0030】
次に、回収工程104において、浮上した発泡スチロールが回収される。
回収工程104では、攪拌水槽の中央部分に浮上した発泡スチロールを回収するため、吸引ブロワ等を用いて吸引する方法をとるとよい。
なお、回収工程104では、発泡スチロールのみを回収することが好ましいが、回収時の発泡スチロールは濡れているため、発泡スチロール以外のポリエチレン、ポリプロピレン等が付着して混入することとなる。
【0031】
次に、洗浄脱水工程105において、回収された発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等が洗浄され脱水される。
洗浄は水により行い、脱水はローラーやスクリュー等で絞り出す又は圧縮する方法により行うとよい。
なお、洗浄脱水工程105は必ずしも必要ではなく、回収された発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等の状態によっては、省略してもよい。
ただし、次の粉砕工程106において粉砕するときに、水分を多く含んでいる場合は粉砕室内での分散が低下したり乾燥時間が長くなるなど、粉砕能力が低下する恐れがあり、逆に乾燥しすぎている場合は粉砕時の熱により発泡スチロールが溶けて溶着し粒径が大きくなってしまう恐れがある。従って、回収された発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等を粉砕する前に、水分量を適度(粉砕時に分散が低下せず、乾燥時間が長くならず、しかも熱により発泡スチロールが溶け出さない程度)に調整して湿った状態にしておくことが好ましい。
【0032】
次に、粉砕工程106において、洗浄され脱水された発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等が粉砕される。
粉砕工程106では、円筒状容器内でブレード又は羽根が回転するヘンシェルミキサー等を用いて粉砕するとよい。また、ヘンシェルミキサーを用いることにより、発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等は、粉砕過程で高温となり乾燥も同時に行うことができる。もちろん別の機器を用いてもよい。
この粉砕工程106では、衝撃値が小さく割れやすい発泡スチロールは小粒径に粉砕されるのに対して、発泡スチロールよりも衝撃値の大きいポリエチレン、ポリプロピレン等は粉砕され難く、発泡スチロールよりも大粒径に粉砕される。
【0033】
次に、篩選別工程107において、粉砕された発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等が粒径に応じて選別される。
篩選別工程107では、複数の篩を同時に用いて選別できるロータリーシフター等を用いるとよい。
本実施形態では、篩選別工程107で2枚の篩を用いることにより、発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等を大10、中20、小30の3種類に選別する。
なお、篩の数を例えば1枚にして、大小2種類の粒径に選別してもよい。
【0034】
大10の主成分は、粉砕工程106で大粒径に粉砕されたポリエチレン、ポリプロピレン等が混入するプラスチックとなっている。
また、小30の主成分は、粉砕工程106で小粒径に粉砕された発泡スチロールであるポリスチレンとなっている。
また、中20は、主成分であるポリエチレン、ポリプロピレンにポリスチレン等が混入したものとなっている。
【0035】
上記のように選別されたもののうち、小30はポリスチレンを主成分とする再生プラスチック(B)300として再生される。なお再生プラスチック(B)300は、そのままパウダ状で出荷してもよいし、造粒機を用いてペレットとして出荷してもよい。
【0036】
また、大10は廃棄することもできるが、歩留り向上させるべく、浮上選別工程103時に、攪拌水槽中に入れるなどして、再投入するとよい。
【0037】
また、中20は、ポリエチレン、ポリプロピレンを含むプラスチックの再生プラスチック(C)400として再生される。だだし、再生プラスチック(C)400にはポリスチレン等が混入しており、品質の点では劣るものとなっている。
従って、中20についても、大10と同様に浮上選別工程103時に、攪拌水槽中に入れるなどして、再投入してもよい。
【0038】
一方、浮上選別工程103において発泡スチロールが分別された後の混合廃プラスチック100は、以下のように処理されて、ポリエチレン、ポリプロピレンを主成分とする再生プラスチック(A)200として再生される。
まず、遠心分離工程108において、遠心分離機の中で高速回転させることにより、比重1以上のポリ塩化ビニル等が取り除かれる。
次に、乾燥工程109を経て、フレーク状の再生プラスチックが完成する。
さらに、造粒工程110において、フレーク状の再生プラスチックをペレット状に造粒し、最終的に再生プラスチック(A)200として再生される。
【0039】
以上の工程により再生された、再生プラスチック(A)200、再生プラスチック(B)300、再生プラスチック(C)400、従来例1における再生プラスチック(X)500、従来例2における再生プラスチック(Y)600と再生不可プラスチック(Z)700について、主成分と混入物及び品質についてまとめたものを表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
なお、表1において、混入物の欄が“−”と表示されている部分は、全く混入していないのではなく、品質上無視できる程度のものであることを示している。
表1に示すように、本実施形態で得られる再生プラスチック(A)200及び再生プラスチック(B)300は、混入物がなく高品質のものとなる。また、再生プラスチック(C)400はポリスチレン等が混入し低品質となるが、再度浮上選別工程103時に再投入すれば、再生プラスチック(A)200、再生プラスチック(B)300として回収することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、篩選別工程107で使用する篩の網目の大きさにより、得られる再生プラスチックの成分が変化することとなる。
従って、得られる再生プラスチック(A)200、再生プラスチック(B)300が所定の品質基準を満たすように、網目の大きさを調整してやればよい。
【0043】
本実施形態に係る混合廃プラスチック処理方法によれば、破砕工程102において混合廃プラスチック100を破砕するので、再生処理を行いやすい大きさにすることができる。
また、浮上選別工程103において、破砕した混合廃プラスチック100のうち発泡スチロールを所定場所に集めながら浮上させた後、回収工程104において回収するので、混合廃プラスチック100から発泡スチロールを選別回収し、残りの廃プラスチックで純度の高い再生プラスチック(A)200(主成分:ポリエチレン、ポリプロピレン)を得ることができる。
【0044】
さらに、洗浄脱水工程105において、回収した発泡スチロール及び発泡スチロールに付着したポリエチレン、ポリプロピレン等を洗浄し脱水するので、余分な汚れを落とすとともに、次工程の粉砕工程106での処理が容易となるように水分量を適度に調整することができる。
最後に、粉砕工程106において、発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等を粉砕した後、篩選別工程107において粒径に応じて選別するので、小粒径30となる発泡スチロールを選別して純度の高い再生プラスチック(B)300(主成分:ポリスチレン)を得ることができる。
【0045】
また、篩選別工程107で選別された発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等のうち大粒径のものを、浮上選別工程103時に再投入するので、再生プラスチック(A)200(主成分:ポリエチレン、ポリプロピレン)の歩留り低下を防ぐことができる。
【0046】
また、粉砕工程106において、円筒状容器内でブレード又は羽根が回転するヘンシェルミキサー等を用いて粉砕することにより、発泡スチロール及びポリエチレン、ポリプロピレン等を粉砕すると同時に乾燥することができる。従って、篩選別工程107において、粒が篩にくっつかないように、又、再生発泡スチロールの水分品質を向上させることができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、混合廃プラスチック100を、異物除去101、破砕102、浮上選別103、回収104、洗浄脱水105の各工程を経た後に、粉砕し106、篩選別する107構成としたが、これに限らず、発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックを粉砕し106、篩選別する107工程のみであっても、小粒径となる発泡スチロールとそれ以外のその他プラスチックを分別処理して再生することが可能である。
【0048】
また、本実施形態では混合廃プラスチックとして「リサイクルプラスチック」をとりあげたが、発泡スチロールと発泡スチロール以外のプラスチックが混入した混合廃プラスチックであれば、同様に発泡スチロールを分別して再生することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る混合廃プラスチック再生処理方法の工程を示すフローチャートである。
【図2】従来例1に係る混合廃プラスチック再生処理方法の工程を示すフローチャートである。
【図3】従来例2に係る混合廃プラスチック再生処理方法の工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
100 混合廃プラスチック
101 異物除去工程
102 破砕工程
103 浮上選別工程
104 回収工程
105 洗浄脱水工程
106 粉砕工程
107 篩選別工程
108 遠心分離工程
109 乾燥工程
110 造粒工程
200 再生プラスチック(A)
300 再生プラスチック(B)
400 再生プラスチック(C)
500 再生プラスチック(X)
600 再生プラスチック(Y)
700 再生不可プラスチック(Z)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックを分別処理して、発泡スチロール及びその他プラスチックを別々に再生する混合廃プラスチック再生処理方法において、
少なくとも、前記発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕した発泡スチロール及びその他プラスチックを、粒径に応じて2種別以上に選別する篩選別工程とを備えたことを特徴とする混合廃プラスチック再生処理方法。
【請求項2】
発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックを分別処理して、発泡スチロール及びその他プラスチックを別々に再生する混合廃プラスチック再生処理方法において、
前記混合廃プラスチックを破砕する破砕工程と、
前記破砕した混合廃プラスチックを攪拌水槽中に投入し、前記発泡スチロールを所定場所に集めながら浮上させる浮上選別工程と、
前記浮上させた発泡スチロール及び発泡スチロールに付着したその他プラスチックを回収する回収工程と、
前記回収した発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕した発泡スチロール及びその他プラスチックを、粒径に応じて2種別以上に選別する篩選別工程とを備えたことを特徴とする混合廃プラスチック再生処理方法。
【請求項3】
前記篩選別工程で選別された発泡スチロール及びその他プラスチックのうち大粒径のものを、前記浮上選別工程時に再投入することを特徴とする請求項2に記載の混合廃プラスチック再生処理方法。
【請求項4】
発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックを分別処理して、発泡スチロール及びその他プラスチックを別々に再生する混合廃プラスチック再生処理装置において、
少なくとも、前記発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕する粉砕手段と、
前記粉砕された発泡スチロール及びその他プラスチックを、粒径に応じて2種別以上に選別する篩選別手段とを備えたことを特徴とする混合廃プラスチック再生処理装置。
【請求項5】
前記粉砕手段は、ブレード又は羽根を備え、前記ブレード又は羽根を回転させて、発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕するとともに乾燥させることを特徴とする請求項4に記載の混合廃プラスチック再生処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−205664(P2006−205664A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23793(P2005−23793)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(505038748)株式会社広島リサイクルセンター (2)
【Fターム(参考)】