説明

混合燃料供給システム

【課題】燃料ガス(第一燃料ガス及び第二燃料ガス)の供給圧が変動したとしても、第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合比を、簡便な構成により、一定に維持する技術を提供すること。
【解決手段】第一発熱量を有する第一燃料ガスを第一供給圧で混合部Mに供給する第一燃料ガス供給路1と、第一発熱量よりも発熱量の低い第二燃料ガスを、第一供給圧よりも高い第二供給圧で混合部Mに供給する第二燃料ガス供給路2と、混合部Mで混合された第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合ガスを供給する混合ガス路3とを備え、第二燃料ガス供給路2に、第一燃料ガスの供給量の変化に伴う混合部Mにおけるガス圧の変化に従って、混合部Mに供給される第二燃料ガスの供給量を調節して、混合ガスの発熱量を安定発熱量範囲に調整する調整手段5を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一発熱量を有する第一燃料ガスを第一供給圧で混合部に供給する第一燃料ガス供給路と、前記第一発熱量よりも発熱量の低い第二燃料ガスを、前記第一供給圧よりも高い第二供給圧で前記混合部に供給する第二燃料ガス供給路と、前記混合部で混合された第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合ガスを供給する混合ガス路とを備えた混合燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、例えば、食品加工工場(ビール工場等)から発生する食品残渣からバイオガスを製造する製造プロセスが確立されており、このような製造プロセスから製造されるバイオガスの発熱量は、その変動がきわめて少なく、安定したものとなっている。また、その製造量も年々増加の一途にある。
【0003】
上記実状を受けて、地球に優しい環境設備を実現する等の目的から、所謂、オンサイトで発生するバイオガスを発生熱量が管理された都市ガス等に混合して供給する混合燃料供給システムが提案されている。
このような混合燃料供給システムでは、第一燃料ガスとしての都市ガスと第一発熱量よりも発熱量の低い第二燃料ガスとしてのバイオガスとの混合ガスなどが燃料ガスとして使用される。この種の混合燃料供給システムの代表例としては、ガスエンジンにより駆動される発電機を備えたガスエンジン発電システム、混合ガスを燃焼して蒸気を発生するボイラシステム等を挙げることができる。このボイラシステムでは、その蒸気発生量を段階的に設定できる構成のものが多い。
【0004】
このような混合燃料供給システムの採用されるガスエンジン発電システムの一例が、特許文献1に示されている。
特許文献1に開示のシステムは、第二燃料ガスの熱量が変動しても安定してガスエンジンを運転することを目的としている。この文献に開示の技術では、第二燃料ガスの熱量が減少し、発電機の発電出力が目標出力よりも低下したときには、混合ガス路を介してガスエンジンに供給される第一燃料ガスと第二燃料ガスとの総熱量を確保するように、出力制御コントローラがスロットルバルブの開度を増加させる制御を行う。これに伴い、吸気マニホールド内に吸入される第二混合気の流量が増加し、吸気マニホールド内の圧力が目標圧力よりも増加する。このとき、吸気マニホールド内の圧力が目標圧力に復帰するように、主燃料制御コントローラが主燃料調整弁の開度を増加させる。
これにより、混合ガス路への主燃料ガスの供給量が増加することになり、出力制御コントローラがスロットルバルブの開度を復帰させる。こうして、副燃料ガスの熱量の不足分を、主燃料ガスの熱量によって補い、吸気マニホールド内の圧力を目標圧力に復帰させることができる。
【0005】
特許文献1に記載の技術においては、第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合比の変化を考慮することなく、混合ガス路側で所定の出力を得るために、両燃料ガスの供給流量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−30492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合比が一定の混合ガスを混合ガス路に供給し、スロットルの開度調整により出力の調整を行う方が好ましい場合もある。この状況は、例えば、ガスエンジンが、発熱量が安定的に管理された第一燃料ガスのみで運転されていたシステムで第二燃料ガスを消費したいといった場合であり、ガスエンジンに許容される発熱量許容幅が所定の幅に制限される場合である。このような既存設備を使用する場合には、第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合比を一定に保ち、混合ガスの発熱量を所定の変動幅内に維持した状態で、ガスエンジン側で発生する出力に応じた総発熱量となる流量の混合ガスを前記ガスエンジンに供給する必要が生じる。
【0008】
そこで、このような第一燃料ガス、第二燃料ガスをガスエンジンに供給する場合に、混合ガスの混合比率を維持することによって、前記混合ガスの熱量を安定させつつ前記第二燃料ガスの消費を図ることが考えられる。このような混焼システムの構成としては、本願明細書の図4(ガスエンジン発電システムを対象とする構成例)に示すように、混合器において、その混合ガスの圧力を検出するとともに、その圧力が目標圧力となるように、第一燃料ガスの供給流量F1を流量調整弁FCV−1で制御するとともに、この供給流量F1に対して、第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合比として予め設定される所定の供給流量比となるように第二燃料ガスの供給流量F2を求め、第二燃料ガスを流量調整弁FCV−2で制御する構成が考えられる。
【0009】
しかしながら、この構成では、流量検出器、流量調整弁及び制御器がそれぞれ一対必要とされるのに加えて、第一燃料ガスに対する第二燃料ガスの供給流量比から第二燃料ガスの供給流量を決定する比率設定器が必要となるため、設備が複雑となるとともに、コスト高となる。
【0010】
本発明の目的は、燃料ガス(第一燃料ガス及び第二燃料ガス)の供給圧が変動したとしても、前記第一燃料ガスと前記第二燃料ガスとの混合比を、簡便な構成により、一定に維持することができる混合燃料供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔構成1〕
上記目的を達成するための本発明の混合燃料供給システムの特徴構成は、
第一発熱量を有する第一燃料ガスを第一供給圧で混合部に供給する第一燃料ガス供給路と、
前記第一発熱量よりも発熱量の低い第二燃料ガスを、前記第一供給圧よりも高い第二供給圧で前記混合部に供給する第二燃料ガス供給路と、
前記混合部で混合された第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合ガスを供給する混合ガス路とを備え、
前記第二燃料ガス供給路に、前記第一燃料ガスの供給量の変化に伴う前記混合部におけるガス圧の変化に従って、前記混合部に供給される前記第二燃料ガスの供給量を調節して、前記混合ガスの発熱量を所定の安定発熱量範囲に調整する調整手段を備えた点にある。
【0012】
〔作用効果1〕
上記構成によると、前記混合部には、第一燃料ガス供給路から第一燃料ガスが供給され、第二燃料ガス供給路から第二燃料ガスが供給されて、これらが混合した混合ガスが調整される。調整された混合ガスは、混合ガス路よりガス消費の行われる部位に供給される。
【0013】
ここで、例えば、第一燃料ガスとして、熱量が高く成分が安定し、主な燃料として用いられる都市ガス、天然ガス等を想定し、第二燃料ガスとして、熱量が低いバイオガス、炭鉱ガス等を想定すると、汎用される第一燃料ガスに対して需要の限られる第二燃料ガスを混合して効率よく有効利用したい場合のシステム構成となる。
【0014】
このような構成において、混合ガスの需要が変化すると、前記第一燃料ガスの供給量は、前記混合ガスの需要に応じて変化し、前記第一燃料ガスの供給量の変化に伴って、前記混合部におけるガス圧が変化する。これに対し、前記第一発熱量よりも発熱量の低い第二燃料ガスを、前記第一供給圧よりも高い第二供給圧で前記混合部に供給することとしてあれば、前記第一燃料ガスの供給圧が変動しても、確実に第二燃料ガスを前記混合部に供給することができる。
【0015】
すると、第一燃料ガスに対して所定の割合で第二燃料ガスを供給したい場合、前記第一燃料ガスの供給圧に対する第二燃料ガスの供給圧も一定に維持する必要があるが、前記混合部のガス圧が変化すると、それに伴い上記第一燃料ガスの供給圧に対する第二燃料ガスの供給圧の比率も変化する。そこで、前記第二燃料ガス供給路に、前記混合部に供給される前記第二燃料ガスの供給量を調節する調整手段を備えると、前記混合ガスの発熱量を前記安定発熱量範囲に調整することができ、すなわち、前記第一燃料ガスの供給量と第二燃料ガスの供給量との比をほぼ一定に維持することができ、前記第二燃料ガスの安定消費を図ることができる。
【0016】
〔構成2〕
尚、前記第二燃料ガスが流入する弁入口と、前記第二燃料ガスが流出する弁出口と、前記弁入口より上流側の第二燃料ガスが導かれる第二燃料ガス導入口とを備え、弁箱内に、前記第二燃料ガス導入口に連通接続される圧力調整室と、前記弁入口に常時連通接続され、弁体の位置に従って前記弁出口に連通する弁孔の開度を調整自在に接続されるガス流通室とを、ダイヤフラムを介して備え、前記弁出口側の圧力上昇に伴い、前記ダイヤフラムが変位して前記弁孔の開度を小さくするように前記弁体を移動させ、前記出口側の圧力低下に伴い、前記ダイヤフラムが変位して前記弁孔の開度を大きくするように前記弁体を移動させる流量調整弁により、前記調整手段が構成されていることが好ましい。
【0017】
〔作用効果2〕
前記調整手段として、流量調整弁を備え、前記第一燃料ガスの供給量と第二燃料ガスの供給量との比をほぼ一定に維持することができれば、きわめて簡単な構成で、前記第二燃料ガスの安定消費を図ることができることになる。この流量調整弁としては、弁箱内に、前記第二燃料ガス導入口に連通接続される圧力調整室と、前記弁入口に常時連通接続され、弁体の位置に従って前記弁出口に連通する弁孔の開度を調整自在に接続されるガス流通室とを、ダイヤフラムを介して備えた構成が採用できる。このような構成により、前記弁出口側の圧力上昇に伴い、前記ダイヤフラムが変位して前記弁孔の開度を小さくするように前記弁体を移動させ、前記出口側の圧力低下に伴い、前記ダイヤフラムが変位して前記弁孔の開度を大きくすることができるのは、以下のように説明することができる。
【0018】
混合ガス路において、前記第一、第二燃料ガスが消費され、所定量の第二燃料ガスを流通する定常状態で、圧力調整室内圧力をP1、ガス流通室圧力をP2とし、前記ダイヤフラムを変位して前記弁孔の開度を大きくするように前記弁体を移動させる力をSとすると、これらの力が均衡する状態で、
P1=P2+S (S>0)
の関係が成り立つ。
【0019】
この状態から第一、第二燃料ガスの消費量が減少すると、前記混合部における圧力は上昇するので、供給量の減少に伴い、
P2→P2+ΔP2(ΔP2>0)
P1→P1+ΔP1(ΔP1>0)
S→S+ΔS
で均衡すると、
(P1+ΔP1)=(P2+ΔP2+S+ΔS)
の関係が成立する。この式を変形すると、
ΔS=ΔP1−ΔP2
の関係が成り立つ。
【0020】
ここで、圧力変動がP2側で生じているから、前記流量調整弁が絞りとして働き、
ΔP2>ΔP1
の関係が成り立つ。
【0021】
したがって、
ΔS=ΔP1−ΔP2<0
となって第二燃料ガスの供給量の減少後の均衡状態では、弁孔の開度が小さくなるダイヤフラム位置で均衡することになる。
【0022】
すなわち、第一、第二燃料ガスの消費量が減少するのに伴って、前記流量調整弁は、前記第二燃料ガスの供給量を減少する調整手段として働くことになる。また、このときの第二燃料ガスの供給量の減少度合いは、ΔP2とΔP1との関係によって決まるから、前記流量調整弁の絞りとしての機能が高いほど、前記第二燃料ガスの流量変動を生じることとになる。また、逆に、第一、第二燃料ガスの消費量が増加するのに伴って、前記流量調整弁は、前記第二燃料ガスの供給量を増加する調整手段として働くことになる。そのため、前記混合ガスの発熱量を前記安定発熱量範囲に調整することができ、すなわち、前記第一燃料ガスの供給量と第二燃料ガスの供給量との比をほぼ一定に維持することができ、前記第二燃料ガスの安定消費を図ることができる。
【0023】
尚、このような構成において、前記流量調整弁の絞りとしての機能は、前記流量調整弁の弁入口側で前記第二燃料ガス導入口に対する接続部よりも下流側に、別途絞りを設けてあれば、前記ΔP2とΔP1との関係を設定変更可能な構成とすることもできる。
【0024】
〔構成3〕
また、前記混合ガス路に所定の安定発熱量範囲の燃料ガスの供給を受けて安定運転可能なエンジンを備え、前記エンジンに供給する燃料ガスの量を、前記エンジンから排出される排ガスの状態に従って制御する供給燃料ガス量制御手段が備えられてもよい。
【0025】
〔作用効果3〕
前記混合ガス路にエンジンを備え、そのエンジンを駆動する燃料ガス供給源として上記混合燃料供給システムを構成すると、前記エンジンは、その出力の変動に伴って、供給される混合燃料の量を調節する。この混合燃料の量はエンジンから排出される排ガスの状態に従って求めることができるので、前記供給燃料ガス量制御手段により前記エンジンから排出される排ガスの状態を監視して制御することができる。
【0026】
エンジンに供給されるべき混合ガス量が決まると、前記エンジンが前記混合ガス路から混合ガスを吸い込む吸い込み圧が決まり、前記混合ガスに供給される燃料ガス量が決まる。このとき、第一、第二燃料ガスの量は、第一燃料ガス供給路のガス供給圧と第二燃料ガス供給路のガス供給圧の関係で決まり、第一発熱量を有する第一燃料ガスに対して前記第一発熱量よりも発熱量の低い第二燃料ガスの供給量は、前記第一供給圧よりも高い第二供給圧で前記混合部に供給する第二燃料ガス路において前記吸い込み圧に基づいて決まる。
【0027】
エンジンの出力に応じて、前記吸い込み圧が変動すると、上記関係式におけるP2が変動することになり、エンジンの出力が増え、吸い込み圧が大きくなると(P2が減少すると)、第二燃料ガスの供給が増え、逆にエンジンの出力が減り、吸い込み圧が小さくなると(P2が増加すると)、第二燃料ガスの供給が減り、混合ガスの供給量の変動に対応した変動で第二燃料ガスの供給量が変化することになる。
【0028】
すると、前記混合ガスの供給に対して第二燃料ガスの供給比率は実質的に変らないように制御されることになるから、前記混合ガスの発熱量を前記安定発熱量範囲に調整することができ、すなわち、前記第一燃料ガスの供給量と第二燃料ガスの供給量との比をほぼ一定に維持することができ、前記第二燃料ガスの安定消費を図ることができる。
【発明の効果】
【0029】
したがって、従来使用形態の限られていたバイオガス、炭鉱ガス等の低カロリーガスの有効利用を容易にすることができる混合燃料供給システムを提供することができ、エンジン、ボイラの駆動に用いることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の混合燃料供給システムのフロー図である。
【図2】流量調整弁の縦断側面図である。
【図3】エンジン出力(発電出力)とガス消費量との関係を示す図である。
【図4】従来の混合燃料供給システムのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の混合燃料供給システムを説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0032】
〔混合燃料供給システム〕
混合燃料供給システムは、図1に示すように、
第一発熱量を有する第一燃料ガスを、第一燃料ガス供給部10から第一供給圧で混合部Mに供給する第一燃料ガス供給路1と、前記第一発熱量よりも発熱量の低い第二燃料ガスを、第二燃料ガス供給部20から前記第一供給圧よりも高い第二供給圧で前記混合部Mに供給する第二燃料ガス供給路2と、前記混合部Mで混合された第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合ガスを供給する混合ガス路3とを備え、
前記第二燃料ガス供給路2に、前記第一燃料ガスの供給量の変化に伴う前記混合部Mにおけるガス圧の変化に従って、前記混合部Mに供給される前記第二燃料ガスの供給量を調節して、前記混合ガスの発熱量を前記安定発熱量範囲に調整する調整手段5を備える。
【0033】
具体的な一例として、前記第一燃料ガスとしては、都市ガスが用いられ、前記第二燃料ガスとしては、バイオマスをメタン発酵して得られるバイオガスを用いるとともに、第一供給圧としては、2kPa程度、第二供給圧としては3kPa程度を想定することができる。
【0034】
また、前記混合ガス路3には、所定の安定発熱量範囲の燃料ガスの供給を受けて安定運転可能なエンジン6を備え、前記エンジン6に供給する燃料ガスの量を、前記エンジン6から排出される排ガスの状態に従って制御する供給燃料ガス量制御手段7が備えられている。
【0035】
前記供給燃料ガス量制御手段7は、前記エンジン6の排ガス路8に設けられる酸素センサ81の出力に基き前記混合ガス路3に設けられる流量調整弁31を開閉制御自在に構成され、この流量調整弁31の開閉により、前記混合部Mからの燃料ガス吸込圧を調節し、エンジン6に供給される混合ガス量を調整する。具体的には、前記供給燃料ガス量制御手段7は、前記酸素センサ81からの出力を受け、その出力が所定値よりも小さければ前記流量調整弁31を開方向に調整するとともに、その出力が所定値よりも大きければ、前記流量調整弁31を閉方向に調整する。これにより、前記混合ガス路3に設けられる空気供給路4からの空気供給量と混合ガス量の比(A/F)を所定量に維持し、消費される混合ガス量を決める。前記混合部Mにおける燃料ガス吸込圧が決まると、前記第一燃料ガスと第二燃料ガスの混合比は、前記調整手段5により調整され、混合ガスの熱量を前記エンジン6の運転に適した所定の安定発熱量範囲に調節する。
【0036】
尚、前記第一燃料ガス供給部10と前記混合部Mとの間や前記第二燃料ガス供給部20と前記調整手段5との間には、供給されるガスを整流して安定供給するための制御弁等が設けられている。
【0037】
〔調整手段〕
前記調整手段5としては、図2に示す流量調整弁が用いられる。
【0038】
前記調整手段5としての流量調整弁は、弁箱50内に、前記第二燃料ガス導入口51に連通接続される圧力調整室50Aと、前記弁入口52に常時連通接続され、弁体54の位置に従って前記弁出口53に連通する弁孔55の開度を調整自在に接続されるガス流通室50Bとを、ダイヤフラム56を介して備えて構成してある。前記弁出口53は、前記混合部M側に配管され、前記弁入口52は第二燃料ガス供給部20としてのバイオガス供給源側に配管され、第二燃料ガス供給路2を構成する。また、前記第二燃料ガス供給路の前記弁入口52には、流量計57を構成する絞り部57aを設け、前記絞り部57aよりも上流側の第二燃料ガス供給路2から分岐して前記圧力調整室50Aにおける前記第二燃料ガス導入口51に対し燃料ガスを導入するパイロット流路21を接続してある。
【0039】
前記ダイヤフラム56と前記弁孔55周縁部との間で前記ダイヤフラム56の変位を規制するスプリング58を設けるとともに、前記スプリング58を受け止めるスプリング受け58aが設けられ、前記ガス流通室50Bに配置される弁体54を前記スプリング受け58aとともにダイヤフラム56に固定してある。これにより、前記弁出口53側の圧力上昇に伴い、前記ダイヤフラム56が変位して前記弁孔55の開度を小さくするように前記弁体54を移動させ、前記弁出口53の圧力低下に伴い、前記ダイヤフラム56が変位して前記弁孔55の開度を大きくするように前記弁体54を移動させる。
【0040】
〔エンジン運転例〕
このような構成の混合燃料供給システムにおいて、前記エンジン6を運転して発電機(図外)の駆動を行った場合、前記発電機の負荷出力の変動に従って都市ガス(第一燃料ガス)流量とバイオガス(第二燃料ガス)流量とがどのように変動するか調べたところ、図3に示すようになった。
【0041】
図3より、第一、第二燃料ガスのトータルガス流量も第二燃料ガスの流量(バイオガス流量)も前記エンジン6の発電出力に比例して増加するように流通されており、前記第一燃料ガスと、前記第二燃料ガスとの混合比はほぼ一定に保った状態となっている。つまり、前記エンジン6は、燃料として安定発熱量範囲の混合ガスを供給されており、安定運転が可能であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の混合燃料供給システムは、例えば、バイオガス生成装置から直接ガスエンジンに燃料ガスとしてバイオガスを供給して発電を行うシステムに利用することができ、他にも、前記混合ガス路に所定の安定発熱量範囲の燃料ガスの供給を受けて安定運転可能なエンジンを運転するのに用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 :第一燃料ガス供給路
10 :第一燃料ガス供給部
2 :第二燃料ガス供給路
20 :第二燃料ガス供給部
21 :パイロット流路
3 :混合ガス路
31 :流量調整弁
4 :空気供給路
5 :調整手段
50 :弁箱
50B :ガス流通室
51 :第二燃料ガス導入口
52 :弁入口
53 :弁出口
54 :弁体
55 :弁孔
56 :ダイヤフラム
57 :流量計
57a :絞り部
58 :スプリング
6 :エンジン
7 :供給燃料ガス量制御手段
8 :排ガス路
81 :酸素センサ
M :混合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一発熱量を有する第一燃料ガスを第一供給圧で混合部に供給する第一燃料ガス供給路と、
前記第一発熱量よりも発熱量の低い第二燃料ガスを、前記第一供給圧よりも高い第二供給圧で前記混合部に供給する第二燃料ガス供給路と、
前記混合部で混合された第一燃料ガスと第二燃料ガスとの混合ガスを供給する混合ガス路とを備え、
前記第二燃料ガス供給路に、前記第一燃料ガスの供給量の変化に伴う前記混合部におけるガス圧の変化に従って、前記混合部に供給される前記第二燃料ガスの供給量を調節して、前記混合ガスの発熱量を所定の安定発熱量範囲に調整する調整手段を備えた混合燃料供給システム。
【請求項2】
前記第二燃料ガスが流入する弁入口と、前記第二燃料ガスが流出する弁出口と、前記弁入口より上流側の第二燃料ガスが導かれる第二燃料ガス導入口とを備え、弁箱内に、前記第二燃料ガス導入口に連通接続される圧力調整室と、前記弁入口に常時連通接続され、弁体の位置に従って前記弁出口に連通する弁孔の開度を調整自在に接続されるガス流通室とを、ダイヤフラムを介して備え、前記弁出口の圧力上昇に伴い、前記ダイヤフラムが変位して前記弁孔の開度を小さくするように前記弁体を移動させ、前記弁出口の圧力低下に伴い、前記ダイヤフラムが変位して前記弁孔の開度を大きくするように前記弁体を移動させる流量調整弁により、前記調整手段が構成されている請求項1に記載の混合燃料供給システム。
【請求項3】
前記混合ガス路に所定の安定発熱量範囲の燃料ガスの供給を受けて安定運転可能なエンジンを備え、前記エンジンに供給する燃料ガスの量を、前記エンジンから排出される排ガスの状態に従って制御する供給燃料ガス量制御手段が備えられている請求項1または2に記載の混合燃料供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−211514(P2012−211514A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76550(P2011−76550)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】