説明

混練装置

【課題】スクリュー及びバレルの製造工程が煩雑になるのを抑制しながら、スクリューとバレルの磨耗を軽減することが可能な混練装置を提供する。
【解決手段】この混練装置は、バレル6内の混練空間6aに導入される混練対象物を一対のスクリュー4,4を軸回りに回転させることによって混練する混練装置であって、各スクリュー4は、混練対象物の混練時に一対のスクリュー4,4の軸の並ぶ方向に垂直な所定方向に振れを生じる形状を有し、混練空間6aは、各スクリュー4をそれぞれ収容する一対の収容空間6b,6bが互いに径方向の一部分において重なるように繋げられた形状を有し、各収容空間6bは、各スクリュー4が振れを生じる前記所定方向における径が他の方向の径よりも大きくなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂等の混練対象物を混練する混練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂等の混練対象物を混練するための2軸押出し式の混練装置が知られている。このような混練装置は、互いに平行に設けられた一対のスクリューと、この両スクリューを収容する混練空間を内部に有するバレルとを備えている。そして、前記バレルの混練空間は、前記各スクリューをそれぞれ収容する略円形断面の一対の収容空間が互いに径方向の一部分において重なるように繋げられた形状を有する。そして、この混練装置では、前記一対のスクリューをそれぞれ軸回りに回転させることによって、前記混練空間に導入した混練対象物を両スクリュー間及び各スクリューとバレルの内壁面との間で生じる剪断力を利用して混練する。
【0003】
ところで、このような混練装置では、混練対象物の混練時に各スクリューが混練対象物から圧力を受ける。そして、この圧力によって各スクリューがその軸方向に直交する特定方向に偏荷重を受け、振れを生じる場合がある。スクリューに振れが生じると、スクリューの最外径部がバレルの内壁面と接触し、スクリューとバレルが共に磨耗する虞がある。そして、このような磨耗によりスクリュー及びバレルの寿命が短くなるという問題や、磨耗によって生じる金属粉が混練物に異物として混入し、混練物の品質が低下するという問題が生じる。
【0004】
そこで、このような問題点を解消するための技術が下記の特許文献1と特許文献2に提案されている。
【0005】
特許文献1には、スクリューの回転方向前面の角度を通常のスクリューに比べて寝かせた角度にすることによって混練対象物から受ける圧力が増大しにくい形状にスクリューを形成し、前記圧力に起因して発生するスクリューの振れを低減する技術が示されている。これにより、スクリューとバレルの内壁面との接触による磨耗を軽減している。
【0006】
また、特許文献2には、スクリューの表面とバレルの内壁面に耐摩耗性を向上させるための表面処理を施し、スクリューとバレルの内壁面との接触による磨耗を軽減する技術が示されている。
【特許文献1】特開2004−262177号公報
【特許文献2】特開平9−85739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示された技術では、スクリューの三次元形状が非常に複雑となり、スクリューの加工が煩雑となるという問題点がある。
【0008】
また、上記特許文献2に示された技術では、スクリューの表面とバレルの内壁面に表面処理を施す煩雑な工程が増え、スクリューとバレルの製造工程が煩雑になるという問題点がある。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、スクリュー及びバレルの製造工程が煩雑になるのを抑制しながら、スクリューとバレルの磨耗を軽減することが可能な混練装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による混練装置は、互いに平行に設けられた一対のスクリューと、この一対のスクリューを収容する混練空間を内部に有するバレルと、前記一対のスクリューをそれぞれの軸回りに回転させる駆動部とを備え、前記混練空間に導入される混練対象物を前記各スクリューを軸回りに回転させることによって混練する混練装置であって、前記各スクリューは、前記混練対象物の混練時にその軸方向に直交する特定方向に振れを生じる形状を有し、前記混練空間は、前記各スクリューをそれぞれ収容する一対の収容空間が互いに径方向の一部分において重なるように繋げられた形状を有し、前記各収容空間は、前記特定方向における径が他の方向の径よりも大きくなるように形成された拡径部を軸方向の少なくとも一部に含む。
【0011】
この混練装置では、バレル内の混練空間を構成する収容空間がスクリューの振れを生じる特定方向において他の方向よりも大きい径を有する拡径部を含むので、混練対象物の混練時に前記特定方向のスクリューの振れが生じたとしても、前記拡径部によってスクリューとバレルの内壁面との接触を低減することができる。これにより、スクリューとバレルの磨耗を軽減することができる。
【0012】
ところで、収容空間の径を大きくすると、収容空間内でスクリューを回転させて混練対象物を混練する際に混練対象物に加えられる作用力が小さくなり、混練対象物の混練が不十分になる虞がある。しかし、この混練装置では、収容空間の拡径部においてスクリューの振れを生じる特定方向の径のみが他の方向の径よりも大きくなっており、収容空間の全周の径を大きくする場合に比べて、混練時に混練対象物に加えられる作用力の低下を抑制することができ、混練対象物を十分に混練することができる。
【0013】
さらに、この混練装置では、従来のようにスクリューを混練対象物から受ける圧力が増大しにくい形状に形成する場合と異なり、スクリューの三次元形状を複雑な形状に加工しなくてもよいので、スクリューの加工が煩雑となるのを防ぐことができる。
【0014】
また、この混練装置では、従来のようにスクリューの表面とバレルの内壁面とに耐磨耗性を向上させるための表面処理を行う場合と異なり、煩雑な表面処理工程が増加するのを防ぐことができるので、スクリューとバレルの製造工程が煩雑になるのを抑制することができる。従って、この混練装置では、スクリュー及びバレルの製造工程が煩雑になるのを抑制しながら、スクリューとバレルの磨耗を軽減するとともに混練対象物を十分に混練することができる。
【0015】
上記混練装置において、前記各スクリューは、前記混練対象物の混練時に前記一対のスクリューの軸の並ぶ方向に垂直な所定方向に振れを生じる形状を有し、前記拡径部は、前記各スクリューが振れを生じる前記所定方向において他の方向よりも大きい径を有するのが好ましい。
【0016】
このように構成すれば、混練対象物の混練時に各スクリューが一対のスクリューの軸の並ぶ方向に垂直な方向に振れを生じた場合でも、その方向に収容空間の拡径部が他の方向よりも大きい径を有しているので、各スクリューとバレルの内壁面との接触を有効に低減することができる。
【0017】
この場合の具体的な構成として、前記一対のスクリューは、互いに等しい形状に形成されているとともに、回転時にその最外径部の通る軌跡が互いに交わるように配置されており、前記駆動部は、前記一対のスクリューをこれらのスクリューが互いに干渉しないような位相差を保ちながら同方向に回転させてもよい。
【0018】
上記混練装置において、前記拡径部を囲む前記バレルの内壁面は、前記各スクリューが振れを生じる前記所定方向に延びる平面部を有し、前記所定方向における前記平面部の長さLと、前記スクリューの最外径部とそのスクリューが収容された前記拡径部を囲む前記バレルの内壁面の平面部との間のクリアランスCとの比L/Cが1以上4以下であるのが好ましい。
【0019】
本願発明者らが鋭意検討した結果、前記比L/Cが1以上となるように前記拡径部を囲むバレルの内壁面の前記平面部の長さLを設定すれば、混練対象物から各スクリューが受ける圧力を有効な範囲に低減できるとともに各スクリューの振れを低減でき、各スクリューとバレルセグメントの内壁面との接触を低減できることが判明した。なお、前記平面部の長さLを大きくするほど、すなわち、前記比L/Cが大きくなるほど、前記特定方向における前記拡径部の径が大きくなり、各スクリューとバレルの内壁面との接触をより低減可能であるが、この場合には、混練対象物に加えられる作用力が低下しすぎて混練対象物の混練が不十分になる虞がある。そこで、本願発明者らは鋭意検討した結果、前記比L/Cが4以下となるように前記平面部の長さLを設定すれば、混練対象物の十分な混練が得られることを見出した。従って、この構成のように前記比L/Cを1以上4以下となるように設定すれば、スクリューとバレルの内壁面との接触の低減と、混練対象物の十分な混練とを同時に達成することができる。
【0020】
上記混練装置において、前記各スクリューは、その軸方向に離間して配置され、前記混練対象物を混練するための複数の混練部を有し、前記バレルは、その内部の前記混練空間に前記混練対象物を導入するための導入口を有し、前記拡径部は、前記複数の混練部のうち少なくとも前記導入口の最も近くに配置された混練部を収容するように設けられているのが好ましい。
【0021】
混練対象物は導入口から導入された後、混練時に発生する熱により溶融しながら混練されるとともにスクリューの回転によって下流側へ送られるが、前記複数の混練部のうち導入口の最も近くに配置された混練部では、まだ溶融していない部分を多く含む混練対象物を混練するため、その混練部よりも下流側に配置された混練部に比べて混練対象物からより大きな圧力を受ける。このため、前記導入口の最も近くに配置された混練部では、混練対象物の混練時に大きな振れを生じやすい。しかしながら、この構成では、この大きな振れを生じやすい混練部を収容するように前記拡径部が設けられているので、導入口の最も近くに配置された混練部の大きな振れに起因する当該混練部とバレルの内壁面との接触を有効に低減することができる。
【0022】
上記混練装置において、前記バレルは、その軸方向に連接されることにより前記混練空間を形成する複数のバレルセグメントを含み、前記複数のバレルセグメントのうちの少なくとも1つが前記拡径部を有するのが好ましい。
【0023】
このように構成すれば、拡径部を有するバレルセグメントの位置を必要に応じて入れ替えることにより、拡径部をバレルの軸方向の任意の位置に配置することができるので、バレルがその軸方向に連続する単一の部材からなる場合に比べて、拡径部を設ける位置をスクリューの中で大きな振れを生じる箇所に合わせて容易に変更することができる。また、この構成において、複数のバレルセグメントのうち一部のバレルセグメントのみが拡径部を有するように構成すれば、全てのバレルセグメントが拡径部を有する構成に比べて加工に手間の掛かる拡径部を有するバレルセグメントの数を減らすことができる。
【0024】
この場合において、前記各スクリューは、その軸方向に離間して配置され、前記混練対象物を混練するための複数の混練部を有し、前記バレルは、その内部の前記混練空間に前記混練対象物を導入するための導入口を有し、前記複数のバレルセグメントのうち前記導入口の最も近くに配置された前記混練部を収容するバレルセグメントが前記拡径部を有するのが好ましい。
【0025】
このように構成すれば、上記拡径部が複数の混練部のうち少なくとも導入口の最も近くに配置された混練部を収容するように設けられている構成と同様、導入口の最も近くに配置された混練部の大きな振れに起因する当該混練部とバレルの内壁面との接触を有効に低減しながら、複数のバレルセグメントのうち加工に手間の掛かる拡径部を有するバレルセグメントの数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、スクリュー及びバレルの製造工程が煩雑になるのを抑制しながら、スクリューとバレルの磨耗を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による混練装置の縦断面図である。図2は、図1の混練装置のスクリュー4の第1〜第3搬送部10,16,22を構成するフルフライトスクリュー24の斜視図であり、図3は、図1の混練装置のスクリュー4の第1及び第2混練部12,18を構成するロータ26の斜視図であり、図4は、図1の混練装置のスクリュー4の第1及び第2搬送抵抗部14,20を構成するニーディングディスク28の斜視図である。図5は、スクリュー4の軸方向に垂直な断面における図3のロータ26及びそのロータ26を囲むバレルセグメント6fの形状を示した断面図である。図6は、バレル6の内壁面6gの形状及びその内壁面6gとスクリュー4との位置関係を説明するための断面図である。まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による混練装置の構成について説明する。
【0029】
本実施形態による混練装置は、ゴムや各種樹脂等の混練対象物を下流側へ送りながら混練する2軸押出し式の混練装置である。この混練装置は、駆動部2と、一対のスクリュー4,4と、バレル6とを備えている。
【0030】
前記駆動部2は、前記一対のスクリュー4,4の基端側に接続されており、この各スクリュー4をそれぞれの軸回りに回転させるものである。この駆動部2は、前記一対のスクリュー4,4をこれらのスクリュー4,4が互いに干渉しないような位相差(本実施形態では90°)を保ちながら等しい回転速度で同方向に回転させる。
【0031】
前記一対のスクリュー4,4は、それぞれ軸回りに回転し、混練対象物を下流側へ送りながら混練するものであり、この両スクリュー4,4は、互いに平行、かつ、水平方向に延びるように設けられている。また、各スクリュー4は、前記バレル6内の後述する混練空間6aの各収容空間6b,6bにそれぞれ配置されている。そして、各スクリュー4は、図1に示すように、第1搬送部10と、第1混練部12と、第1搬送抵抗部14と、第2搬送部16と、第2混練部18と、第2搬送抵抗部20と、第3搬送部22とを有しており、これら各部はこの順番でスクリュー4の基端側から先端側に向かって配設されている。
【0032】
前記第1搬送部10は、混練対象物を下流側へ送るための部分である。この第1搬送部10は、図2に示すようなフルフライトスクリュー24によって構成されている。各スクリュー4は、その軸方向に延びるとともに前記駆動部2に接続され、その駆動部2から回転を与えられるシャフト4aを有しており、前記フルフライトスクリュー24は、このシャフト4aに外挿されて固定されている。フルフライトスクリュー24は、互いに180°の位相で配置された2条の螺旋翼24a,24aを備えている。
【0033】
両スクリュー4,4の第1搬送部10は、回転時にその最外径部、すなわち径方向における前記螺旋翼24aの端縁の通る軌跡が互いに交わるように配置されている。ただし、両スクリュー4,4の第1搬送部10は、互いの間に位相差を保ちながら回転するのでその回転時に互いに干渉しないように構成されている。各スクリュー4の第1搬送部10は、スクリュー4の回転に伴って軸回りに同方向に回転し、それに伴って前記バレル6の後述する導入口6cから混練空間6a内に導入される粉状の混練対象物を下流側へ押し出す。
【0034】
前記第1混練部12は、前記第1搬送部10から送られる混練対象物を混練しながら下流側へ送る部分である。
【0035】
具体的には、この第1混練部12は、図3に示すようなロータ26が軸方向に複数連接されることによって構成されている。この各ロータ26は、前記シャフト4aに外挿されて固定されている。また、第1混練部12のロータ26は、前記第1搬送部10のフルフライトスクリュー24と同様の軸方向に垂直な断面形状を有しており、第1搬送部10の下流側の端面と第1混練部12の上流側の端面とは、互いにずれなく重ね合わされている。
【0036】
第1混練部12のロータ26は、一定の捩れ角で形成された2条の螺旋翼26a,26aを有している。これら螺旋翼26a,26aは、互いに180°の位相で配置されている。両スクリュー4,4の各第1混練部12は、回転時にその最外径部、すなわち径方向における前記螺旋翼26aの端縁の通る軌跡が互いに交わるように配置されている。ただし、両スクリュー4,4の第1混練部12は、互いの間に位相差を保ちながら回転するのでその回転時に互いに干渉しないようになっている。
【0037】
そして、各スクリュー4の第1混練部12は、スクリュー4の回転に伴って軸回りに同方向に回転し、それに伴って前記第1搬送部10から送られる粉状の混練対象物を混練しながら下流側へ送る。この混練の際には、熱が発生し、この熱によって混練対象物が溶融するとともに、溶融した混練対象物はさらに第1混練部12によって混練される。従って、この第1混練部12において混練される混練対象物は、まだ溶融していない粉状のものを含んでおり、その混練時に第1混練部12は混練対象物から大きな圧力を受ける。
【0038】
前記第1搬送抵抗部14は、前記第1混練部12から送られる混練対象物を混練しながらその混練対象物に対して搬送抵抗を付加することにより、上流側の第1混練部12での混練時間を長くし、その第1混練部12における混練対象物の混練を十分に行わせるための部分である。この第1搬送抵抗部14は、図4に示すようなニーディングディスク28が軸方向に複数連接されることによって構成されている。この各ニーディングディスク28は、前記シャフト4aに外挿されて固定されている。また、ニーディングディスク28は、前記第1混練部12のロータ26と同様の軸方向に垂直な断面形状を有しており、第1混練部12の下流側の端面と第1搬送抵抗部14の上流側の端面とは、互いにずれなく重ね合わされている。
【0039】
各ニーディングディスク28は、軸方向に長さの小さい板状に構成されており、互いに180°の位相で配置されるとともに軸と平行に配置された2条の混練翼28a,28aを有している。そして、軸方向に隣り合う各ニーディングディスク28は、軸回りに所定角度ずつ位相をずらして配置されている。これにより、第1搬送抵抗部14の軸方向に垂直な断面形状はその軸方向に沿って不連続に変化するように構成されている。両スクリュー4,4の各第1搬送抵抗部14において互いに対応するニーディングディスク28は、回転時にその最外径部、すなわち径方向における前記混練翼28aの端縁が通る軌跡が互いに交わるように配置されている。ただし、両スクリュー4,4の第1搬送抵抗部14は、互いの間に位相差を保ちながら回転するのでその回転時に互いに干渉しないようになっている。
【0040】
前記第2搬送部16は、前記第1搬送抵抗部14から送られる混練対象物を下流側へ送る部分である。この第2搬送部16は、前記第1搬送部10と同様に構成されている。
【0041】
前記第2混練部18は、前記第2搬送部16から送られる混練対象物を混練しながら下流側へ送る部分であり、前記第1混練部12と同様に構成されている。ただし、この第2混練部18において混練される混練対象物はすでに溶融状態となっており、粉状の部分を含む混練対象物を混練する前記第1混練部12に比べて混練対象物から受ける圧力は小さい。
【0042】
前記第2搬送抵抗部20は、前記第2混練部18から送られる混練対象物を混練しながらその混練対象物に対して搬送抵抗を付加することにより、上流側の第2混練部18での混練時間を長くし、その第2混練部18における混練対象物の混練を十分に行わせるための部分である。この第2搬送抵抗部20は、前記第1搬送抵抗部14と同様に構成されている。
【0043】
前記第3搬送部22は、前記第2搬送抵抗部20から送られる混練対象物を下流側へ送り、前記バレル6の後述する導出口6dを通じて混練後の混練対象物を送り出す部分である。この第3搬送部22は、前記第1搬送部10と同様に構成されている。
【0044】
そして、上記のように構成された各スクリュー4は、軸回りに回転して混練対象物を混練する際に一対のスクリュー4,4の軸の並ぶ方向に垂直な方向、すなわち鉛直方向に振れを生じる形状を有している。この振れは、混練時に混練対象物から受ける圧力に起因して発生する偏荷重が各スクリュー4に掛かることによって生じる。そして、上記したようにスクリュー4の第1混練部12は混練対象物から大きな圧力を受けるため、この第1混練部12に生じる前記振れは大きいものとなる。
【0045】
前記バレル6は、前記一対のスクリュー4,4が回転して混練対象物を混練するための混練空間6aを内部に有する。このバレル6の混練空間6aは、前記各スクリュー4をそれぞれ収容する一対の収容空間6b,6bからなり、これら両収容空間6b,6bが互いに径方向の一部分において重なるように繋げられた形状を有する。各収容空間6bは、前記各スクリュー4の軸方向に延びている。そして、バレル6の軸方向の一端側の上部、換言すれば前記スクリュー4の第1搬送部10に対応する部分の上部には、前記混練空間6aに混練対象物を導入するための導入口6cが設けられている一方、他端側には、混練後の混練対象物を送り出すための導出口6dが設けられている。また、バレル6には、その軸方向の複数個所に脱気や観察等を行うための開口部6eが設けられている。
【0046】
前記各収容空間6bは、前記各スクリュー4が混練対象物の混練時に振れを生じる鉛直方向において他の方向よりも大きい径を有する。すなわち、本実施形態では、各収容空間6bの軸方向の全体が本発明における拡径部となっている。これにより、混練対象物の混練時に各スクリュー4に振れが生じたときに各スクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触が低減されるようになっている。
【0047】
具体的には、前記収容空間6bを囲むバレル6の内壁面6gは、図5に示すように、前記各スクリュー4が振れを生じる鉛直方向に延びる平面部6hと、その平面部6hの上下にそれぞれ連続する円弧状の曲面部6i,6iとによって構成されている。前記平面部6fの存在によって収容空間6bの径が各スクリュー4の振れを生じる鉛直方向に拡大されており、その方向における収容空間6bの径が他の方向の径よりも大きくなっている。本実施形態では、各スクリュー4が振れを生じる鉛直方向における前記平面部6hの長さL(図6参照)と、前記スクリュー4の最外径部とそのスクリュー4が収容された収容空間6bを囲むバレル6の内壁面6gの平面部6hとの間のクリアランスC(図6参照)との比L/Cが1以上4以下となるように前記平面部6hの長さLと前記クリアランスCとが設定されている。
【0048】
また、バレル6は、軸方向に連接されることにより前記混練空間6aを形成する複数のバレルセグメント6fによって構成されている。すなわち、各バレルセグメント6fが前記収容空間6b,6bからなる混練空間6aの軸方向の一部分を内部に有している。
【0049】
次に、本実施形態の混練装置により混練対象物を混練する際の動作について説明する。
【0050】
まず、駆動部2により前記各スクリュー4をその軸回りに等しい回転速度で同方向に回転させる。その後、バレル6の導入口6cを通じて粉状の混練対象物をバレル6内の混練空間6aに導入する。この混練対象物は、両スクリュー4,4の第1搬送部10に対応する空間に導入される。そして、両スクリュー4,4の第1搬送部10は、その回転によって混練対象物を下流側の第1混練部12へ送る。
【0051】
第1混練部12は、送られてきた粉状の混練対象物を混練しながら下流側の第1搬送抵抗部14へ送る。この第1混練部12による混練時には熱が発生し、この熱によって混練対象物が溶融しながらさらに混練される。この第1混練部12では、混練対象物が溶融するまでは粉状のものを混練するため、混練対象物から大きな圧力を受ける。そして、この大きな圧力に起因する偏荷重が第1混練部12に掛かり、スクリュー4に振れが生じる。
【0052】
そして、第1搬送抵抗部14は、第1混練部12から送られてきた混練対象物を混練しながら下流側の第2搬送部16へ送る。ただし、この第1搬送抵抗部14では混練対象物に大きな搬送抵抗を付加するため、この第1搬送抵抗部14から下流側への混練対象物の送り速度は遅くなる。このため、上流側の前記第1混練部12における混練時間が長くなり、前記第1混練部12において混練対象物の混練が十分に行われる。
【0053】
次に、第2搬送部16は、前記第1搬送抵抗部14から送られてくる混練対象物を前記第1搬送部10と同様にして下流側の第2混練部18へ送る。
【0054】
第2混練部18は、その送られてくる混練対象物を前記第1混練部12と同様にして混練するとともに下流側の第2搬送抵抗部20へ送る。ただし、この第2混練部18に送られてくる混練対象物はすでに溶融状態になっているため、この第2混練部18が混練対象物から受ける圧力は前記第1混練部12が混練対象物から受ける圧力よりも小さくなる。
【0055】
第2搬送抵抗部20は、前記第1搬送抵抗部14と同様にして第2混練部18から送られてきた混練対象物を混練しながら下流側の第3搬送部22へ送る。この際、第2搬送抵抗部20は、前記第1搬送抵抗部14と同様、混練対象物に大きな搬送抵抗を付加し、上流側の前記第2混練部18における混練時間を長くすることによってその第2混練部18において混練対象物の混練を十分に行わせる。
【0056】
第3搬送部22は、前記第1搬送部10と同様にして第2搬送抵抗部20から送られてきた混練対象物を下流側へ送り、バレル6の導出口6dから外部へ送り出す。このようにして、本実施形態の混練装置による混練対象物の混練が行われる。
【0057】
ところで、上記のような混練対象物の混練過程において、各スクリュー4には混練対象物から受ける圧力に起因する偏荷重が掛かり、その偏荷重によって各スクリュー4に振れが生じる。特に、第1混練部12では、粉状の部分を多く含む混練対象物を混練するため大きな圧力を受け、大きな振れを生じる。
【0058】
図7には、両スクリュー4,4の軸の並ぶ方向において各スクリュー4が受ける作用力と前記軸の並ぶ方向に垂直な方向(鉛直方向)において各スクリュー4が受ける作用力とをそれぞれ各スクリュー4の回転位相を変化させて解析した結果が示されている。
【0059】
この図7の結果から、各スクリュー4は両スクリュー4,4の軸の並ぶ方向に比べてその軸の並ぶ方向に垂直な方向(鉛直方向)に混練対象物からより大きな圧力を受け、その方向に振れを生じやすいことが判る。そして、このようなスクリュー4の振れは、スクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触の原因となる。
【0060】
そこで、本実施形態では、上記したようにバレル6の収容空間6bを各スクリュー4が振れを生じる鉛直方向において他の方向よりも大きい径を有するように構成することによって、スクリュー4の前記振れに起因するスクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触を低減している。
【0061】
さらに、バレル6の内壁面6gは、各スクリュー4が振れを生じる鉛直方向における前記平面部6hの長さL(図6参照)と、前記各スクリュー4の最外径部とバレル6の内壁面6gとの間のクリアランスC(図6参照)との比L/Cが1以上4以下となるように構成されており、これによってスクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触の低減と、混練対象物の十分な混練とが同時に得られるようになっている。
【0062】
図8には、前記比L/Cを変化させながらスクリュー4が混練対象物から受ける作用力を測定した結果が示されており、図9には、前記比L/Cを変化させながらスクリュー4の平均トルクを測定した結果が示されている。ただし、図8において作用力変動幅比F/F0は、前記比L/Cが0のとき、すなわち前記平面部6hの長さLが0のときにスクリュー4が混練対象物から受ける作用力F0を100%として、その作用力F0に対する前記比L/Cが各値のときのスクリュー4が受ける作用力Fの比を表したものである。また、図9において平均トルク比T/T0は、前記比L/Cが0のとき、すなわち前記平面部6hの長さLが0のときのスクリュー4のトルクT0を100%として、そのトルクT0に対する前記比L/Cが各値のときのスクリュー4のトルクTの比を表したものである。
【0063】
図8の結果から、前記比L/Cの値が大きくなるに従って、すなわち前記平面部6hの長さLが大きくなるに従って、混練対象物からスクリュー4が受ける作用力は低下することが判る。これは、前記平面部6hの長さLが大きくなるにつれて各スクリュー4が振れを生じる鉛直方向における前記収容空間6bの径が大きくなり、各スクリュー4に混練対象物から作用する圧力が低下することによると考えられる。そして、前記比L/Cを1以上に設定すれば、混練対象物からスクリュー4が受ける作用力を前記平面部6hの長さLが0のとき、すなわち前記収容空間6bが均一な径の円弧状断面を有するときにスクリュー4が受ける作用力F0の約90%以下に低減できることが判る。
【0064】
すなわち、前記比L/Cを1以上に設定することによって、混練対象物からスクリュー4が受ける作用力を有効に低減でき、その作用力に起因するスクリュー4の振れを有効に低減できるとともにそのスクリュー4の振れに起因するスクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触を低減可能であることが判った。
【0065】
一方、図9の結果から、前記比L/Cの値が大きくなるに従って、すなわち前記平面部6hの長さLが大きくなるに従って、スクリュー4のトルクは減少することが判る。これは、前記平面部6hの長さLが大きくなるにつれて各スクリュー4に混練対象物から作用する圧力が低下し、それに応じてスクリュー4のトルクが減少するためであると考えられる。
【0066】
ところで、このスクリュー4のトルクと混練対象物の混練度合いとの間には相関がある。すなわち、スクリュー4のトルクが大きい場合には混練対象物に加えられる圧力が大きく、混練対象物の混練が十分に行われる一方、スクリュー4のトルクが小さい場合には混練対象物に加えられる圧力が小さく、混練対象物の混練が不十分になる虞がある。前記図8の結果から前記平面部6hの長さLを大きくすることによってスクリュー4の振れを抑え、スクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触を低減可能であることが判ったが、その一方でこの図9の結果から、前記平面部6hの長さLを大きくすることによって混練対象物に加えられる圧力が小さくなりすぎて混練対象物の混練が不十分になる虞があることが判る。
【0067】
ここで、図9から前記比L/Cを4以下に設定すれば、スクリュー4のトルクを前記平面部6hの長さLが0のとき、すなわち前記収容空間6bが均一な径の円弧状断面を有するときのスクリュー4のトルクT0の約80%以上に維持できることが判る。すなわち、前記比L/Cを4以下に設定することによって、混練対象物に加えられる圧力の減少を有効な範囲にとどめることができ、混練対象物の十分な混練を得られることが判った。
【0068】
従って、以上の結果から前記比L/Cを1以上4以下となるように設定すれば、スクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触の低減と、混練対象物の十分な混練とを同時に達成できることが判った。
【0069】
以上説明したように、本実施形態では、バレル6内の混練空間6aを構成する収容空間6bがスクリュー4の振れを生じる鉛直方向において他の方向よりも大きい径を有するので、混練対象物の混練時にスクリュー4の振れが生じたとしてもそのスクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触を低減することができる。これにより、スクリュー4とバレル6の磨耗を軽減することができる。
【0070】
また、本実施形態では、バレル6の収容空間6bの前記スクリュー4が振れを生じる鉛直方向の径のみが他の方向の径よりも大きくなっているので、収容空間6bの全周の径を大きくする場合に比べて、混練時に混練対象物に加えられる作用力の低下を抑制することができ、混練対象物を十分に混練することができる。
【0071】
さらに、本実施形態では、従来のようにスクリューを混練対象物から受ける圧力が増大しにくい形状に形成する場合と異なり、スクリュー4の三次元形状を複雑な形状に加工しなくてもよいので、スクリュー4の加工が煩雑となるのを防ぐことができる。
【0072】
また、本実施形態では、従来のようにスクリューの表面とバレルの内壁面とに耐磨耗性を向上させるための表面処理を行う場合と異なり、煩雑な表面処理工程が増加するのを防ぐことができるので、スクリュー4とバレル6の製造工程が煩雑になるのを抑制することができる。従って、本実施形態では、スクリュー4及びバレル6の製造工程が煩雑になるのを抑制しながら、スクリュー4とバレル6の磨耗を軽減するとともに混練対象物を十分に混練することができる。
【0073】
また、本実施形態では、収容空間6bを囲むバレル6の内壁面6gがスクリュー4の振れを生じる鉛直方向に延びる平面部6hを有し、スクリュー4が振れを生じる鉛直方向における前記平面部6hの長さLと、スクリュー4の最外径部とそのスクリュー4が収容された収容空間6bを囲むバレル6の内壁面6gの平面部6hとの間のクリアランスCとの比L/Cが1以上4以下に設定されている。前記比L/Cが1以上となるように前記平面部6hの長さLを設定することにより、混練対象物から各スクリュー4が受ける圧力を有効な範囲に低減できるとともに各スクリュー4の振れを低減でき、各スクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触を低減できる。一方、前記比L/Cが4以下となるように前記平面部6hの長さLを設定することにより、混練対象物の十分な混練が得られる。従って、本実施形態では、スクリュー4とバレル6の内壁面6gとの接触の低減と、混練対象物の十分な混練とを同時に達成することができる。
【0074】
また、本実施形態では、第1混練部12と第2混練部18のうちバレル6の導入口6cに近い第1混練部12を収容するバレルセグメント6fの収容空間6bがスクリュー4の振れを生じる鉛直方向において他の方向よりも大きい径を有する。第1混練部12では、まだ溶融していない部分を多く含む混練対象物を混練するため、第2混練部18に比べて混練対象物からより大きな圧力を受け、大きな振れを生じやすい。しかしながら、本実施形態では、この第1混練部12を収容するバレルセグメント6fの収容空間6bが第1混練部12の振れを生じる方向において他の方向よりも大きい径を有するので、第1混練部12の大きな振れに起因する当該第1混練部12とバレル6の内壁面6gとの接触を有効に低減することができる。
【0075】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0076】
例えば、上記実施形態では、両スクリュー4,4が軸回りに同方向に回転する例について説明したが、各スクリュー4が軸回りに互いに逆方向に回転する場合についても本発明を同様に適用することが可能である。
【0077】
また、スクリュー4の第1混練部12及び第2混練部18を構成するロータ26は2条の螺旋翼26aを有するものに限られず、3条の螺旋翼を有するものであってもよい。
【0078】
また、バレルセグメント6fの内壁面6gは平面部6hと曲面部6i,6iとによって構成された形状に限られない。すなわち、バレルセグメント6fの内壁面6gの形状は、混練対象物の混練時にスクリュー4が振れを生じる方向における収容空間6bの径が他の方向の径よりも大きくなる形状であれば、前記平面部6hと前記曲面部6i,6iによって構成された形状以外の形状であってもよい。
【0079】
例えば、前記平面部6hを曲面部に置き換えて、収容空間6bがスクリュー4の振れを生じる鉛直方向に長径を有する楕円となるように前記内壁面6gを構成してもよい。また、混練対象物の混練時にスクリュー4が振れを生じる方向が前記スクリュー4,4の軸の並ぶ方向に垂直な方向(鉛直方向)からずれている場合には、そのスクリュー4が振れを生じる方向に合わせて収容空間6bの径が大きくなるように前記内壁面6gを構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、バレル6を軸方向に連接された複数のバレルセグメント6fによって構成したが、バレル6を軸方向に連続する単一の部材によって構成してもよい。この場合には、そのバレル6内の収容空間6bの軸方向の一部に前記スクリュー4の振れを生じる方向の径が他の方向の径よりも大きくなるように形成された拡径部を設けてもよい。そして、この拡径部は、少なくとも前記第1混練部12を収容するように設けるのが好ましい。
【0081】
また、上記実施形態では、バレル6を構成する全てのバレルセグメント6fについて、収容空間6bの前記スクリュー4が振れを生じる鉛直方向における径が他の方向の径よりも大きくなるように構成した。すなわち、全てのバレルセグメント6fの収容空間6bを本発明における拡径部としたが、これら全てのバレルセグメント6fのうち一部のバレルセグメント6fの収容空間6bのみが前記スクリュー4の振れを生じる鉛直方向において他の方向よりも大きい径を有する拡径部となるように構成してもよい。
【0082】
このようにバレル6が軸方向に連接される複数のバレルセグメント6fからなり、それらのバレルセグメント6fの一部を前記拡径部を有するバレルセグメント6fとする場合には、前記拡径部を有するバレルセグメント6fの位置を必要に応じて入れ替えることにより前記拡径部をバレル6の軸方向の任意の位置に配置することができるので、バレル6がその軸方向に連続する単一の部材からなる場合に比べて、拡径部を設ける位置をスクリュー4の中で大きな振れを生じる箇所に合わせて容易に変更することができる。また、この構成では、全てのバレルセグメント6fのうち一部のバレルセグメント6fの収容空間6bのみが前記拡径部となるので、上記実施形態のように全てのバレルセグメント6fの収容空間6bが前記拡径部となっている構成に比べて、加工に手間の掛かる拡径部を有するバレルセグメント6fの数を減らすことができる。
【0083】
さらに、スクリュー4の中で大きな振れを生じる第1混練部12を収容するバレルセグメント6fの収容空間6bのみをスクリュー4が振れを生じる鉛直方向の径が他の方向の径よりも大きい拡径部とし、残りのバレルセグメント6fの収容空間6bは均一な径を有する円弧状に構成してもよい。
【0084】
このように構成すれば、第1混練部12の大きな振れに起因する当該第1混練部12とバレル6の内壁面6gとの接触を有効に低減しながら、全てのバレルセグメント6fのうち加工に手間の掛かる拡径部を有するバレルセグメント6fの数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態による混練装置の縦断面図である。
【図2】図1の混練装置のスクリューの第1〜第3搬送部を構成するフルフライトスクリューを示した斜視図である。
【図3】図1の混練装置のスクリューの第1及び第2混練部を構成するロータを示した斜視図である。
【図4】図1の混練装置のスクリューの第1及び第2搬送抵抗部を構成するニーディングディスクを示した斜視図である。
【図5】スクリューの軸方向に垂直な断面における図3のロータ及びそのロータを囲むバレルの形状を示した断面図である。
【図6】バレルの内壁面の形状及びその内壁面とスクリューとの位置関係を説明するための断面図である。
【図7】各スクリューの回転位相と、一対のスクリューの軸の並ぶ方向において各スクリューが受ける作用力及び前記軸の並ぶ方向に垂直な方向において各スクリューが受ける作用力との関係を示した相関図である。
【図8】一対のスクリューの軸の並ぶ方向に垂直な方向におけるバレルの内壁面の平面部の長さLと、スクリューの最外径部とそのスクリューを収容する収容空間を囲むバレルの内壁面の平面部との間のクリアランスCとの比L/Cと、スクリューが混練対象物から受ける作用力の変動幅比F/F0との関係を示した相関図である。
【図9】一対のスクリューの軸の並ぶ方向に垂直な方向におけるバレルの内壁面の平面部の長さLと、スクリューの最外径部とそのスクリューを収容する収容空間を囲むバレルの内壁面の平面部との間のクリアランスCとの比L/Cと、スクリュー4の平均トルク比T/T0との関係を示した相関図である。
【符号の説明】
【0086】
2 駆動部
4 スクリュー
6 バレル
6a 混練空間
6b 収容空間
6f バレルセグメント
6h 平面部
12 第1混練部
18 第2混練部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に設けられた一対のスクリューと、この一対のスクリューを収容する混練空間を内部に有するバレルと、前記一対のスクリューをそれぞれの軸回りに回転させる駆動部とを備え、前記混練空間に導入される混練対象物を前記各スクリューを軸回りに回転させることによって混練する混練装置であって、
前記各スクリューは、前記混練対象物の混練時にその軸方向に直交する特定方向に振れを生じる形状を有し、
前記混練空間は、前記各スクリューをそれぞれ収容する一対の収容空間が互いに径方向の一部分において重なるように繋げられた形状を有し、
前記各収容空間は、前記特定方向における径が他の方向の径よりも大きくなるように形成された拡径部を軸方向の少なくとも一部に含む、混練装置。
【請求項2】
前記各スクリューは、前記混練対象物の混練時に前記一対のスクリューの軸の並ぶ方向に垂直な所定方向に振れを生じる形状を有し、
前記拡径部は、前記各スクリューが振れを生じる前記所定方向において他の方向よりも大きい径を有する、請求項1に記載の混練装置。
【請求項3】
前記一対のスクリューは、互いに等しい形状に形成されているとともに、回転時にその最外径部の通る軌跡が互いに交わるように配置されており、
前記駆動部は、前記一対のスクリューをこれらのスクリューが互いに干渉しないような位相差を保ちながら同方向に回転させる、請求項2に記載の混練装置。
【請求項4】
前記拡径部を囲む前記バレルの内壁面は、前記各スクリューが振れを生じる前記所定方向に延びる平面部を有し、
前記所定方向における前記平面部の長さLと、前記スクリューの最外径部とそのスクリューが収容された前記拡径部を囲む前記バレルの内壁面の平面部との間のクリアランスCとの比L/Cが1以上4以下である、請求項2または3に記載の混練装置。
【請求項5】
前記各スクリューは、その軸方向に離間して配置され、前記混練対象物を混練するための複数の混練部を有し、
前記バレルは、その内部の前記混練空間に前記混練対象物を導入するための導入口を有し、
前記拡径部は、前記複数の混練部のうち少なくとも前記導入口の最も近くに配置された混練部を収容するように設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の混練装置。
【請求項6】
前記バレルは、その軸方向に連接されることにより前記混練空間を形成する複数のバレルセグメントを含み、
前記複数のバレルセグメントのうちの少なくとも1つが前記拡径部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の混練装置。
【請求項7】
前記各スクリューは、その軸方向に離間して配置され、前記混練対象物を混練するための複数の混練部を有し、
前記バレルは、その内部の前記混練空間に前記混練対象物を導入するための導入口を有し、
前記複数のバレルセグメントのうち前記導入口の最も近くに配置された前記混練部を収容するバレルセグメントが前記拡径部を有する、請求項6に記載の混練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−96004(P2009−96004A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267907(P2007−267907)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】