説明

減圧容器、減圧処理装置および減圧容器の製造方法

【課題】 複数の板材を接合することにより構成され、接合部の気密性が十分に確保された減圧容器を提供する。
【解決手段】 減圧容器において、底板73の壁部73aと、側板74cまたは側板74dとにより形成される接合部Jac,Jad、側板74cと側板74dとにより形成される接合部Jcdは、それぞれ両側の内壁面が略面一になるように形成されている。そして、シール部材80を押え具90により各接合部に押圧固定することにより、減圧容器の気密性が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧容器(真空容器も含む。以下同様の意味である)のシール技術に関し、例えば液晶表示装置(LCD)やプラズマディスプレイ等に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板等に対して減圧下でドライエッチングや成膜、搬送、位置合わせ等の処理を施す際に使用される減圧容器のシール技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真空容器は、大気圧に対する耐久性と気密性を確保する観点から、原料ブロックから機械加工によって容器を削り出す方法や、板材を溶接やろう付けによって接合する方法によって製造されてきた。しかし、機械による切削加工を行なう場合には、材料から容積相当分を削り出すため、加工に時間がかかり、材料の無駄も多いという問題があった。また、溶接やろう付けによる方法では、入熱による歪みを除去したり、仕上げ加工を行なったりする必要があるため、製作コストが増加するという問題があった。
【0003】
ところで近年では、被処理基板の大型化に伴い処理チャンバ自体のサイズも大型化しつつある。例えば、FPDの製造過程では、長辺の長さが2mを超える矩形の大型ガラス基板を処理チャンバ内に収容し、真空状態でエッチングやアッシング、成膜などの処理が行なわれる。そして、このような大型ガラス基板に対して真空状態で処理を行なう真空容器においては、アルミニウムなどからなる金属製容器の内部を真空にした状態で大気圧に耐え得るだけの充分な剛性を確保しなければならない。
【0004】
従来の機械加工や溶接等による一体型構造の真空容器では、剛性を高めるには容器の壁を充分に厚くしなければならないため、重量の増大を伴うとともに、大型機械による加工が必要になるので製造コストが増大してしまうという問題が生じていた。また、真空容器が所定のサイズを超えて大型化すると、その運搬に法令上の制約が課せられ、移送に伴う経費が増大するという問題もあった。
【0005】
機械加工や溶接以外の加工方法により真空容器を作製する技術として、例えば構造ボルトによって箱状に強固に接合された複数の板材と、内側より各板材の接合線に沿って連続的に設けられたシール部材と、前記シール部材を前記接合線に向けて押付けて気密にシールするために締結ボルトにより取付けられた押え部材と、を用いる真空容器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、相互に端面を接合して周方向に閉じられた中空枠体を構成する4つ以上の側面部材と、この中空枠体の頂面および底面に配設され接合される天面部材および底面部材を、各々の部材の隣接する接合面相互間にシール部材を設けて一体化して容器を構成する技術も提案されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平9−209150号公報(図4など)
【特許文献2】特開2004−286165号公報(図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1および特許文献2の真空容器は、板材とシール部材により構成されることから、設置場所での組立てが可能であり、運搬の際の制約も少ない。また、従来の機械加工や溶接等によって真空容器を作製する場合に比べて低コストを実現できるというメリットもある。
しかし、特許文献1のように板材を組み合わせて接合する構造の真空容器では、容器内部の隅部におけるシール性を確保することが難しいという問題があった。例えば、特許文献1では、隅部における3枚の板材の接合部分に、板材の接合線に沿って3方向に互いに直角に折曲された枝分かれ形状のシール部材を使用している。しかし、このような枝分かれ形状のシール部材は、その製造に立体金型を必要とするため、コストの増加が避けられない。
【0008】
また、特許文献1のシール機構では、エラストマーを板材の接合線に対して一定の力で押圧することが必要である。しかし、3枚の板材により形成される隅部において、前記枝分かれ形状のシール部材を十分に押圧することは困難であり、最悪の場合には真空を維持できないおそれがある。
【0009】
一方、特許文献2に記載のシール部材においては、各部材の隣接する接合面の間にシール部材を配設する構成であるため、シール部材を交換するためには容器を分解しなければならず、消耗品であるシール部材のメンテナンスが困難であるという課題があった。
【0010】
従って本発明は、複数の板材を接合することにより構成され、接合部の気密性が十分に確保された減圧容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、複数の部材を接合することにより構成される減圧容器であって、
前記部材どうしの接合部は、前記減圧容器の隅から外れた位置に形成されており、前記接合部が前記減圧容器の内側からシール部材によってシールされている、減圧容器を提供する。
【0012】
本発明の第2の観点は、複数の部材を接合することにより構成される減圧容器であって、
前記側板どうしを接合するすべての接合部において、該接合部を挟んでその両側の内壁面が略面一に形成されており、前記接合部が前記減圧容器の内側からシール部材によってシールされている、減圧容器を提供する。
【0013】
本発明の第3の観点は、端部が折曲形成された板材と平板とを含む複数の部材を接合することにより構成される減圧容器であって、
前記端部が折曲形成された板材とこれに接合される前記平板とにより形成される隅を有するとともに、
互いに隣接する3つの部材により形成される接合部は、前記隅から外れた位置に形成され、
前記部材どうしを接合する接合部が前記減圧容器の内側からシール部材によってシールされている、減圧容器を提供する。
【0014】
上記第1の観点から第3の観点において、前記部材として、少なくとも底板と、該底板に接合される複数の側板とを備えていてもよく、この場合、複数の前記側板の全部または一部は、その端部が折曲形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の第4の観点は、複数の部材を接合することにより構成される減圧容器であって、
底板と、
前記底板に接合される複数の側板と、
隣り合う前記側板どうし、および前記側板と前記底板との各接合部を内側からシールするシール部材と、
を備え、
前記底板には、前記減圧容器の側壁の下部を構成する壁体が一体的に設けられており、
前記接合部を挟んで前記側板の内壁面と前記底板の壁体の内壁面が略面一に接合されている、減圧容器を提供する。
【0016】
上記第4の観点において、前記側板に接合される上板をさらに備え、該上板には、前記減圧容器の側壁の上部を構成する壁体が一体的に設けられていてもよい。
また、複数の前記側板の全部または一部は、その端部が折曲した形状を有しており、前記減圧容器の隅と隅とを結ぶ角部から外れた位置に隣接する前記側板どうしの接合部が形成されていてもよい。
また、前記側板どうしおよび前記底板と前記側板とを接合するすべての接合部が、前記減圧容器の側部に形成されていることが好ましい。
【0017】
また、上記第1〜第4の観点において、前記接合部に、前記シール部材を装着する溝が形成されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の第5の観点は、上記第1〜第4の観点のいずれかの減圧容器を備えた、減圧処理装置を提供する。
【0019】
また、本発明の第6の観点は、複数の部材を用い、前記部材どうしの接合部が、減圧容器の隅から外れた位置に形成され、かつ前記接合部を挟んでその両側の内壁面が略面一に形成されるように各部材を接合して筐体を組立てる工程と、
前記筐体の内側において、前記接合部をシールする工程と、
を含む、減圧容器の製造方法を提供する。
【0020】
上記第7の観点において、前記部材として、少なくとも底板と、該底板に接合される複数の側板と、を用いるとともに、前記底板には、前記減圧容器の側壁の下部を構成する壁体が一体的に設けられており、
複数の前記側板の全部または一部は、その端部が折曲した形状を有していることが好ましい。
【0021】
本発明の第8の観点は、端部が折曲形成された部材と平板とを含む複数の部材を用い、前記端部が折曲形成された部材と前記平板とにより隅を形成するとともに、互いに隣接する3つの部材により形成される接合部が前記隅から外れた位置に形成されるように各部材を接合して筐体を組立てる工程と、
前記筐体の内側において、前記接合部をシールする工程と、
を含む、減圧容器の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の好適な態様では、少なくとも底板と、該底板に接合される複数の側板と、を含む複数の部材を接合することにより構成される減圧容器において、前記部材どうしの接合部を、前記減圧容器の隅から外れた位置に形成した。これにより、シール部材によるシール性を確保することが困難な減圧容器の隅部でのシールを回避できる。
【0023】
また、本発明の別の好適な態様では、少なくとも底板と、該底板に接合される複数の側板と、を含む複数の部材を接合することにより構成される減圧容器において、前記側板どうしおよび前記底板と前記側板とを接合するすべての接合部を挟んでその両側の内壁面を略面一に形成した。これにより、減圧容器の隅部に接合部が形成されることを回避し、シール部材によるシール性を向上させることができる。
【0024】
本発明のさらに別の好適な態様では、端部が折曲形成された板材とこれに接合される平板との2枚の板材によって減圧容器の隅を形成したので、3枚の板材の接合により隅が形成された従来構造の減圧容器に比べて当該隅におけるシール性を格段に向上させることできる。
また、互いに隣接する3つの部材により形成される接合部は、前記隅から外れた位置に形成されるので、T字型のシール部材を配備することにより確実にシールすることができる。
【0025】
よって、本発明によれば、複数の板材を接合する組立て構造の減圧容器の気密性を格段に向上させることが可能になる。
また、本発明により、気密性に優れた組立て構造の減圧容器を製造できるので、機械加工や溶接などによる接合方法では限界があった減圧容器の大型化への対応も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。ここでは、本発明のシール機構を適用可能な真空処理システムを例に挙げて説明を行なう。図1は本発明の一実施形態に係る真空チャンバを備えた真空処理システム1を概略的に示す斜視図であり、図2はその内部を概略的に示す水平断面図である。この真空処理システム1は、例えばFPD用ガラス基板(以下、単に「基板」と記す)Sに対してプラズマ処理を行なうためのマルチチャンバタイプの真空処理システムとして構成されている。ここで、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display;VFD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0027】
真空処理システム1においては、中央部に搬送室20とロードロック室30とが連設されている。さらに搬送室20の周囲には、基板Sに対してエッチング等のプラズマ処理を行なう3つのプロセスチャンバ10a,10b,10cが配設されている。これら搬送室20、ロードロック室30、3つのプロセスチャンバ10a,10b,10cは、いずれも真空チャンバとして構成されている。搬送室20とロードロック室30との間、搬送室20と各プロセスチャンバ10a,10b,10cとの間、およびロードロック室30と外側の大気雰囲気とを連通する開口部には、これらの間を気密にシールし、かつ開閉可能に構成されたゲートバルブ22がそれぞれ介挿されている。
【0028】
ロードロック室30の外側には、2つのカセットインデクサ41が設けられており、その上にそれぞれ基板Sを収容するカセット40が載置されている。これらカセット40の一方には、例えば未処理基板を収容し、他方には処理済み基板を収容できる。これらカセット40は、昇降機構42により昇降可能となっている。
【0029】
これら2つのカセット40の間には、支持台44上に搬送機構43が設けられており、この搬送機構43は上下2段に設けられたピック45,46、ならびにこれらを一体的に進出退避および回転可能に支持するベース47を具備している。
【0030】
前記プロセスチャンバ10a,10b,10cは、その内部空間が所定の減圧雰囲気例えば真空状態に保持されることが可能であり、その内部でプラズマ処理、例えばエッチング処理やアッシング処理が行なわれる。本実施形態では、3つのプロセスチャンバを有しているため、例えばそのうち2つのプロセスチャンバをエッチング処理室として構成し、残りの1つのプロセスチャンバをアッシング処理室として構成したり、3つのプロセスチャンバ全てを同一の処理を行なうエッチング処理室やアッシグ処理室として構成することができる。なお、プロセスチャンバの数は3つに限らず、4つ以上であってもよい。
【0031】
搬送室20は、真空処理室であるプロセスチャンバ10a〜10cと同様に所定の減圧雰囲気に保持することが可能であり、その中には、図2に示すように、上下2段のスライドピック513,523(上段のみ図示)を備えた搬送装置50が配設されている。そして、この搬送装置50により、ロードロック室30および3つのプロセスチャンバ10a,10b,10cの間で基板Sが搬送される。
【0032】
ロードロック室30は、各プロセスチャンバ10および搬送室20と同様に所定の減圧雰囲気に保持されることが可能である。また、ロードロック室30は、大気雰囲気にあるカセット40と減圧雰囲気のプロセスチャンバ10a,10b,10cとの間で基板Sの授受を行うためのものであり、大気雰囲気と減圧雰囲気とを繰り返す関係上、極力その内容積が小さく構成されている。ロードロック室30には基板収容部31が上下2段に設けられており(図2では上段のみ図示)、各基板収容部31には、基板Sを支持する複数のバッファ32が設けられ、これらバッファ32の間には、スライドピック513,523の逃げ溝32aが形成されている。また、ロードロック室30内には、矩形状の基板Sの互いに対向する角部付近に当接して位置合わせを行なうポジショナー33が設けられている。
【0033】
真空処理システム1の各構成部は、制御部60に接続されて制御される構成となっている(図1では図示を省略)。制御部60の概要を図3に示す。制御部60は、CPUを備えたプロセスコントローラ61を備え、このプロセスコントローラ61には、工程管理者が真空処理システム1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、真空処理システム1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース62が接続されている。
【0034】
また、制御部60は、真空処理システム1で実行される各種処理をプロセスコントローラ61の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピが格納された記憶部63を有しており、この記憶部63はプロセスコントローラ61に接続されている。
【0035】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース62からの指示等にて任意のレシピを記憶部63から呼び出してプロセスコントローラ61に実行させることで、プロセスコントローラ61の制御下で、真空処理システム1での所望の処理が行われる。
【0036】
前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリなどに格納された状態のものを利用したり、あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
【0037】
次に、以上のように構成された真空処理システム1の動作について説明する。
まず、搬送機構43の2枚のピック45、46を進退駆動させて、未処理基板を収容した一方のカセット40から2枚の基板Sをロードロック室30の上下2段の基板収容部31に1枚ずつ搬入する。
【0038】
ピック45,46が退避した後、ロードロック室30の大気側のゲートバルブ22を閉じる。その後、ロードロック室30内を排気して、内部を所定の真空度まで減圧する。真空引き終了後、ポジショナー33により基板Sを押圧することにより基板Sの位置合わせを行なう。
【0039】
以上のように位置合わせされた後、搬送室20とロードロック室30との間のゲートバルブ22を開いて、搬送室20内の搬送装置50によりロードロック室30の基板収容部31に収容された基板Sを受け取る。そして、搬送装置50のスライドピック513または523により、プロセスチャンバ10a,10b,10cのいずれかに基板Sを搬入する。そして、プロセスチャンバ10a,10b,10cでエッチング等の所定の処理が施された基板Sは、搬送装置50によりプロセスチャンバ10a,10b,10cから搬出される。そして、基板Sは、前記とは逆の経路でロードロック室30を経て、搬送機構43によりカセット40に収容される。このとき、基板Sを元のカセット40に戻してもよいし、他方のカセット40に収容するようにしてもよい。
【0040】
次に、本発明のシール部材およびこれを用いたシール機構について説明を行なう。搬送室20、ロードロック室30およびプロセスチャンバ10a,10b,10cを構成する真空容器は、それぞれ内部を真空状態に保持できるように、シール部材を用いてシールされている。ここでは、搬送室20におけるシール機構を例に挙げて説明を行なう。
【0041】
図4は、搬送室20の外観構成を示す斜視図であり、図5はその分解斜視図である。なお、搬送装置50などの内部の機構は図示を省略している。搬送室20は、主要な構成として、筐体70と天板71とを備えた真空容器である。筐体70は、6枚の板材を接合することにより構成されている。すなわち、筐体70は、上板72、この上板72に対向し、かつ平行に配置される底板73、これら上板72と底板73に接合される4枚の側板74a,74b,74c,74dを有している。筐体70を構成する各板材は、例えば螺子やボルト等の固定手段(図示せず)により接合され、一体となってその内部に基板Sを搬送する搬送空間を形成している。
【0042】
上板72は、図示のように中央に開口75を有している。そして、天板71を例えばクレーンなどを用いて上昇させた状態で、この開口75を介して搬送室20の内部に配置された搬送装置50のメンテナンスなどを行えるようになっている。また、上板72の開口75の周囲には、図示しない細溝内にOリングなどのシール部材76が配備されている。そして、天板71を螺子やボルト等の固定手段101で筐体70に仮止めした状態で、搬送室20の内部を減圧することにより、真空容器としての十分な気密性を確保できるようになっている。また、図示は省略するが、底板73にも、搬送機構50(図2参照)を設置するための開口が形成されている。
【0043】
上板72には、筐体70の側壁の一部分(上部)を構成する壁部72aが設けられており、下面が開口した浅い箱形をなしている。このような形状の上板72は、例えば切削加工によって形成することができる。
【0044】
また、底板73には、筐体70の側壁の一部分(下部)を構成する壁部73aが設けられており、上面が開口した浅い箱形をなしている。このような形状の底板73は、例えば切削加工によって形成することができる。
【0045】
4枚の側板74a,74b,74c,74dには、それぞれに基板Sを搬入出するための搬送用開口が設けられている。筐体70の短辺側の側板74aに形成された搬送用開口77a,77bは、ロードロック室30(図1および図2参照)のバッファ32との間で基板Sを搬入出可能な位置に形成されている。また、筐体70の他の3辺に位置する側板74b〜74dにそれぞれ形成された搬送用開口78は、真空処理室であるプロセスチャンバ10a〜10cとの間で基板Sを搬入出する際に用いられる。各搬送用開口77a,77b,78には、それぞれゲートバルブ22が装着され(図1参照)、各ゲートバルブ22を介して隣接配置される各プロセスチャンバ10a,10b,10cおよびロードロック室30との間で基板Sの受渡しが行なわれる。
【0046】
また、4枚の側板74a,74b,74c,74dのうち、側板74aと側板74cの両端部Eは、それぞれ直角に折曲して筐体70の側壁の一部分を構成できるように形成されている。
【0047】
以上のような上板72および底板73の形状によって、筐体70を組立てた状態で全ての接合部は筐体70の8つの隅部400(図6参照)から外れた位置に形成される。これにより、シール性を確保することが困難な筐体70の隅部400をシールする必要性がなくなる。また、本実施形態では、4枚の側板74a〜74dのうち、側板74aと側板74cの両端部Eが折曲した形状であることから、筐体70を組立てた状態で、隣接する側板どうしの接合部は、筐体70の内側において互いに隣り合う隅部400と隅部400とを結ぶ角部500(図6参照)から外れた位置に形成される。これにより、隅部400の次にシール性を確保することが困難な筐体70の角部500をシールする必要がなくなる。
【0048】
このように、本実施形態に係る筐体70では、構成部材である各板材の形状を工夫することにより、シールが難しい筐体70の隅部400や角部500のシールを極力少なくして、減圧容器としての搬送室20の気密性を向上させている。また、上記構成により、全ての接合部は、筐体70の側壁部分(側面)に形成されることから、筐体70の組立てが容易であり、シール部材80(図8参照)の交換などのメンテナンスも容易に行なうことができる。
【0049】
搬送室20の天板71と、筐体70を構成する6枚の板材とは、例えばアルミニウム、ステンレス、鉄鋼材料などの金属材料により構成することができる。
【0050】
搬送室20の組立ては、以下の手順で行なうことができる。まず、上板72,底板73,側板74a〜74dを螺子やボルト等の固定手段により接合して筐体70を形成する。この際、各板材を接合する順序は問わない。次に、本発明の一実施形態に係るシール機構により各板材の接合部を筐体70の内側からシールし、真空状態に耐え得る気密性を確保する。このシール機構については後で詳述する。
【0051】
次に、筐体70に搬送機構50などの内部機材やゲートバルブ22を設置した後、天板71を筐体70の上部に配置し、Oリング等のシール部材76を天板71の下面に当接させる。そして、天板71を筐体70に螺子やボルト等の固定手段101で仮止めする。この状態で図示しない排気装置により搬送室20の内部を減圧排気することにより、シール部材76が天板71の下面に圧接されて、気密性を確保した状態で内部を真空状態に維持することができる。
なお、天板71および筐体70を構成する各板材(上板72,底板73,側板74a〜74d)を接合する際には、螺子やボルトに限らず任意の固定手段を採用することが可能である。
【0052】
図6は、搬送室20の内部の接合部のシール機構を示す要部斜視図である。また、図7(a)は、図6におけるA部の拡大図であり、図7(b)は図6におけるB部の拡大図である。さらに、図8は、この実施形態に用いるシール部材80の全体構成を示す斜視図である。本実施形態におけるシール機構では、筐体70の内側の接合部に対応した形状のシール部材80と、このシール部材80を固定するための補助具(後述する押え具90、角部押え具91)を使用する。
【0053】
本実施形態では、前記のように底板73に、筐体70の側壁の一部分を構成する壁部73aが設けられ、上面が開口した浅い箱形をなしている。これにより、図6に示すように、底板73の壁部73aと側板74cとの接合部Jacを挟んでその両側の内壁面(底板73の壁部73aと側板74cの内壁面)が略面一(同一平面)になるように形成されている。同様に、底板73の壁部73aと側板74dとの接合部Jadを挟んでその両側の内壁面(底板73の壁部73aと側板74dの内壁面)も略面一に形成されている。図6では図示をしていない側板74a、74bと底板73の壁部73aとの接合部についても同様である。また、前記のように、4枚の側板74a,74b,74c,74dのうち、側板74aと側板74cの両端部Eは、それぞれ直角に折曲形成されている。従って、例えば図6では側板74cと側板74dとを接合した状態で、両者の接合部Jcdを挟んでその両側の内壁面が略面一になるように形成されている。
【0054】
前掲の従来技術のように、筐体の隅部に板材による接合部を設けた構成では、3方向に枝分かれした形状のシール部材を使用する必要があり、その交点部分で例えば直角に折曲させなければ隅部400の接合部をシールすることができなかった。しかし、3方向に枝分かれした形状で、かつ折曲させた状態のシール部材を十分な圧力で隅部400の接合線に押圧することは困難であり、筐体70の隅部400におけるシール性能が低下してリークが発生し、真空容器としての信頼性を損なうおそれがあった。
【0055】
本実施形態では、筐体70の内側の各接合部において、その両側の内壁面が略面一となるように形成され、筐体70の隅部には接合部が形成されない構造となっている。それ故、筐体70を構成する各板材の接合部のシールを平面的に行なうことが可能になり、優れたシール性を得ることができる。また、本実施形態では、シール部材80として、図8に例示するような形状のシール部材80を用いる。より具体的には、シール部材80は、ループ状に形成された上下のループ部80a,80bが、4本の直線部80c,80d,80e,80fによって接続された形態をなしている。上下のループ部80a,80bに対し、4本の直線部80c,80d,80e,80fはそれぞれT字形をなして直角に接続されている。そして、シール部材80における上側のループ部80aは、上板72と各側板74a〜74dとの接合部をシールし、下側のループ部80bは、底板73と各側板74a〜74dとの接合部をシールする。また、シール部材80における4本の直線部80c,80d,80e,80fは、それぞれ各側板74a〜74d間の接合部をシールできるように構成されている。このようなシール部材80を用いることにより、上板72および底板73と、側板74a〜74dとの接合部を確実にシールすることができる。
【0056】
シール部材80は、例えば直径2〜10mm程度の紐状のエラストマーにより構成されている。シール部材80の材質としては、通常のOリングと同様に、例えばバイトン(商品名;デュポン社製)に代表されるフッ素系ゴムや、ブチル系ゴム、シリコーンなどのエラストマーを使用できる。
【0057】
シール部材80は、各板材の接合部に形成される接合線に沿って配置され、補助具により固定される。例えば底板73と側板74c,74dとにより形成される接合部Jac,Jadや、側板74cと側板74dとにより形成される接合部Jcdでは、押え具90によりシール部材80を接合線に押圧することにより固定し、気密性を確保することができる。また、側板74cの角部500においては、角部押え具91により、シール部材80を接合部Jacの接合線に押圧することにより固定し、気密性を確保することができる。なお、図6では図示を省略しているが、側板74cと74dとの接合部Jcdについても押え具90が配備される。また、図6における符号202は、押え具90,91を螺子やボルトなどの固定手段102により固定する際のねじ穴であり、押え具90の符号90a、角部押え具91の符号91aは、その際に固定手段102が挿入される孔部である。
【0058】
図9および図10は、接合部のシール構造の一例を示す断面図である。ここでは、底板73の壁部73aと側板74dとの接合部Jadについて例示する。
押え具90は、筐体70を構成する各板材と同様の材質により長板状に形成されている。そして、押え具90により、シール部材80を筐体70における接合部Jadの内側の接合線に向けて押圧しつつ、螺子やボルトなどの固定手段102により固定する。この際、接合部Jadを挟んでその両側の壁面(側板74dと底板73の壁部73aの壁面)は略面一に形成されているので、押え具90によりシール部材80を均等かつ確実に押圧しやすい構造となっている。本実施形態では、接合部Jadに限らず、筐体70を構成する全ての接合部において、該接合部を間に挟んでその両側の壁面が略面一に形成されているので、シール部材80によるシール性能を十分に確保することが可能である。
【0059】
また、接合部Jadにはシール溝79が形成されており、図10に示すようにこのシール溝79内にシール部材80(図9では下側のループ部80b)を嵌め込んでシールできるように構成されている。シール溝79は、シール部材80を位置決めする機能を有し、シール部材80を接合部Jadに確実に圧接させるように作用する。よって、シール部材80によるシール性を十分に確保することができる。なお、シール溝79は、各接合部を形成する板材の縁を切除して段部を形成することにより設けることができる。この場合、図9および図10では、接合部を構成する二枚の板材の一方の側板74dに段部を形成しているが、底板73の壁部73aの縁に段部を形成してもよく、あるいは二枚の板材のそれぞれの縁に段部を形成してもよい。
【0060】
次に、図11〜図13を参照しながら、別の実施形態に係る減圧容器について説明する。前記のとおり、図4〜図6に記載した実施形態では、筐体70を構成する上板72と底板73として、壁部72a,73aを有する板材を用いることにより、互いに隣接する3枚の板材による接合部が筐体70の隅部400から外れた側壁部分に形成されるようにした。しかし、例えば図11に示すように、平板状の上板301および平板状の底板302と、側板303a〜303dとを接合することにより、筐体300を形成することもできる。なお、図11において天板は図示を省略している。
【0061】
搬送室20を構成する筐体300は、平板状の上板301、この上板301に対向し、かつ平行に配置される平板状の底板302、これら上板301と底板302に接合される4枚の側板303a,303b,303c,303dを有している。筐体300を構成する各板材は、例えば螺子やボルト等の固定手段(図示せず)により接合され、一体となってその内部に基板Sを搬送する搬送空間を形成している。
【0062】
上板301は、開口304を有している。そして、図示しない天板を例えばクレーンなどを用いて上昇させた状態で、この開口304を介して搬送室20の内部に配置された搬送装置50のメンテナンスなどを行えるようになっている。また、上板301の開口304の周囲には、図示しない細溝内にOリングなどのシール部材305が配備されている。そして、図示しない天板を螺子やボルト等の固定手段で筐体300に仮止めした状態で、搬送室20の内部を減圧することにより、真空容器としての十分な気密性を確保できるようになっている。また、図示は省略するが、底板302にも、搬送機構50(図2参照)を設置するための開口が形成されている。
【0063】
4枚の側板303a,303b,303c,303dには、それぞれに基板Sを搬入出するための搬送用開口が設けられている。筐体300の短辺側の側板303aに形成された搬送用開口306a,306bは、ロードロック室30(図1および図2参照)のバッファ32との間で基板Sを搬入出可能な位置に形成されている。また、筐体300の他の3辺に位置する側板303b〜303dにそれぞれ形成された搬送用開口307は、真空処理室であるプロセスチャンバ10a〜10cとの間で基板Sを搬入出する際に用いられる。各搬送用開口306a,306b,307には、それぞれゲートバルブ22が装着され(図1参照)、各ゲートバルブ22を介して隣接配置される各プロセスチャンバ10a,10b,10cおよびロードロック室30との間で基板Sの受渡しが行なわれる。
【0064】
また、4枚の側板303a,303b,303c,303dのうち、側板303aと側板303cの両端部Eは、それぞれ直角に折曲して筐体300の側壁の一部分を構成できるように形成されている。
【0065】
本実施形態では、4枚の側板303a〜303dのうち、側板303a,303cの両側の端部Eが折曲した形状であることから、平板状に形成された上板301および底板302と、端部Eが折曲形成された側板303a,303cとを接合することにより筐体300における8つの隅部400を形成することができる。そして、筐体300を組立てた状態で、隣接する側板どうしの接合部は、筐体300の内側において互いに隣り合う隅部400と隅部400とを結ぶ角部500から外れた位置に形成される。例えば、図12に示すように、平板状の底板302と端部が折曲形成された側板303cとの2枚の板材によって筐体300の隅部400が形成されるので、3枚の板材の接合により隅部400が形成された従来構造の減圧容器に比べて当該隅部400におけるシール性を格段に向上させることできる。
【0066】
また、側板303cと側板303dとの接合部308aの両側の内壁面は略面一に形成されるので、ここでは図示しない押え具90(図6参照)によって確実にシールすることができる。なお、底板302と、側板303c,303dとの接合部308bは、筐体300の角部500に形成されることから、この部分では2つの内壁面が例えば直角になる。そこで、接合部308bでは、例えば図13に示すように、断面L字型をした角部押え具93を用いてシール部材80を固定する。角部押え具93には、その外周面にシール部材80に当接する当接部93bが形成されており、この当接部93bによりシール部材80を押圧固定することができる。なお、図13において、符号93aは螺子やボルトなどの固定具102により角部押え具93を固定するための孔部である。
【0067】
以上の構成により、本実施形態では、互いに隣接する3つの板材例えば底板302と側板303cと側板303dにより形成される接合部309(つまり、接合部308aと接合部308bとの交差部位)は、前記隅部400から外れた位置に形成される。この接合部309におけるT字型の接合線は、T字型の接続部位を有するシール部材80を配備することにより確実にシールすることができる。従って、気密性に優れた減圧容器を形成できる。
なお、図11および図12に示す実施形態の筐体300においては、上板301および底板302が平板状である点を除き、基本的に図4から図6に示す実施形態に係る筐体70と同様の構成を採用することが可能であり、シール部材80も図8と同様の構成のものを使用できる。
【0068】
このように、本実施形態に係る筐体300においても、構成部材である各板材の形状を工夫することにより、シールが難しい筐体300の隅部400や角部500のシールを極力少なくして、減圧容器としての搬送室20の気密性を向上させている。
【0069】
本発明では、上記の各実施形態に示されたシール構造を採用することにより、複数の板材を接合する組立て構造においても、気密性に優れた真空容器を作製することが容易になる。従って、設置場所において接合する組立て式の減圧容器として、従来の一体型真空容器に比較して素材コスト、加工コスト等の製作コストを削減できるだけでなく、運送コストも低減できる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、被処理体としては、FPD用のガラス基板に限られず、半導体ウエハであってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、減圧容器を形成する筐体70として平面視矩形の6面体を例に挙げたが、板材を接合して例えば8面体や10面体などの形状にした減圧容器についても同様に本発明のシール機構を適用できる。図14は、底板311および5枚の側板312a〜312eを接合して搬送チャンバとして利用可能な平面視5角形(7面体)の減圧容器310を構成した例である。なお、図14では上板もしくは天板は図示を省略している。
【0072】
また、減圧容器は、図4に例示するような筐体70と天板71を有するものに限定されない。例えば下部容器とこれに対向配置される上部容器によって一つのチャンバが構成され、上部容器を昇降、スライド・回転させることによりチャンバを開閉させる構造の減圧容器において、前記上部容器および下部容器を板材の接合によって作製する場合にも、本発明のシール機構を適用できる。
【0073】
また、図4〜図6に示した実施形態では、筐体70を構成する板材のうち、上板72と底板73にそれぞれ壁部72a,73aを設けるとともに、側板74a,74cの端部に折曲部Eを設けて、筐体70の8つの隅部400に接合部が形成されることを回避した。しかし、例えば図15に示すように、側板74c,74dの端部を斜めに切断して傾斜面を形成するとともに、各側板74c,74dの端部に山形の凸部Dを設ける構成を採用することもできる。この場合、二枚の板材74c,74dの傾斜面を互いに接合することにより、二つの凸部Dが接合部Jcdを形成するように組み合わされ、筐体内側の角部が平坦化される。つまり、筐体の内側の角部においては、接合部Jcdを挟んでその両側の内壁面を面一に形成することが可能になる。この実施形態においても、ここでは図示しない押え具90を使用してシール部材80を確実に押圧固定することが可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、搬送チャンバ20を例に挙げて説明したが、減圧容器であれば特に制限なく本発明の技術思想を適用することが可能である。例えば真空予備室であるロードロック室30や、真空処理室であるプロセスチャンバ10a〜10cにも同様のシール機構を採用することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、基板Sを水平方向に保持した状態で搬送や処理を行なうチャンバを例に挙げて説明を行なったが、本発明の技術思想は、基板Sを縦に起立させた状態で搬送や処理を行なうように構成された、所謂縦型構造のチャンバにも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、例えばFPD用ガラス基板等の基板に対して、その搬送やエッチングなどの各種処理を行なう際に使用される減圧容器を製造する際に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明のシール機構を適用可能な真空処理システムを概略的に示す斜視図。
【図2】図1の真空処理システムの水平断面図。
【図3】制御部の概略構成を示すブロック図。
【図4】搬送室の外観構成を示す斜視図。
【図5】筐体の分解斜視図。
【図6】筐体内部の接合構造を示す要部斜視図。
【図7】筐体内部の接合構造を示す要部斜視図であり、(a)は図6におけるA部の拡大図、(b)は同図B部の拡大図である。
【図8】シール部材の全体像を示す斜視図。
【図9】接合部の構造の説明に供する要部断面図。
【図10】接合部におけるシール構造の説明に供する要部断面図であり、シール部材を固定した状態を示す。
【図11】別の実施形態に係る筐体の分解斜視図。
【図12】図11の筐体の接合構造を示す要部斜視図。
【図13】シール部材の固定方法の説明に供する要部斜視図。
【図14】さらに別の実施形態に係る筐体の外観斜視図。
【図15】別の実施形態に係る筐体の角部における接合構造を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0078】
1;真空処理システム
10a,10b,10c;プロセスチャンバ
20;搬送室
30;ロードロック室
50;搬送装置
60;制御部
80;シール部材
80a,80b;ループ部
80c,80d,80e,80f;直線部
90;押え具
91;角部押え具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材を接合することにより構成される減圧容器であって、
前記部材どうしの接合部は、前記減圧容器の隅から外れた位置に形成されており、前記接合部が前記減圧容器の内側からシール部材によってシールされている、減圧容器。
【請求項2】
複数の部材を接合することにより構成される減圧容器であって、
前記部材どうしを接合するすべての接合部において、該接合部を挟んでその両側の内壁面が略面一に形成されており、前記接合部が前記減圧容器の内側からシール部材によってシールされている、減圧容器。
【請求項3】
端部が折曲形成された板材と平板とを含む複数の部材を接合することにより構成される減圧容器であって、
前記端部が折曲形成された板材とこれに接合される前記平板とにより形成される隅を有するとともに、
互いに隣接する3つの部材により形成される接合部は、前記隅から外れた位置に形成され、
前記部材どうしを接合する接合部が前記減圧容器の内側からシール部材によってシールされている、減圧容器。
【請求項4】
前記部材として、少なくとも底板と、該底板に接合される複数の側板とを備えた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の減圧容器。
【請求項5】
複数の前記側板の全部または一部は、その端部が折曲形成されている、請求項4に記載の減圧容器。
【請求項6】
複数の部材を接合することにより構成される減圧容器であって、
底板と、
前記底板に接合される複数の側板と、
隣り合う前記側板どうし、および前記側板と前記底板との各接合部を内側からシールするシール部材と、
を備え、
前記底板には、前記減圧容器の側壁の下部を構成する壁体が一体的に設けられており、
前記接合部を挟んで前記側板の内壁面と前記底板の壁体の内壁面が略面一に接合されている、減圧容器。
【請求項7】
前記側板に接合される上板をさらに備え、該上板には、前記減圧容器の側壁の上部を構成する壁体が一体的に設けられている、請求項6に記載の減圧容器。
【請求項8】
複数の前記側板の全部または一部は、その端部が折曲した形状を有しており、前記減圧容器の隅と隅とを結ぶ角部から外れた位置に隣接する前記側板どうしの接合部が形成されている、請求項6または請求項7に記載の減圧容器。
【請求項9】
前記側板どうしおよび前記底板と前記側板とを接合するすべての接合部が、前記減圧容器の側部に形成されている、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の減圧容器。
【請求項10】
前記接合部に、前記シール部材を装着する溝が形成されている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の減圧容器。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の減圧容器を備えた、減圧処理装置。
【請求項12】
複数の部材を用い、前記部材どうしの接合部が、減圧容器の隅から外れた位置に形成され、かつ前記接合部を挟んでその両側の内壁面が略面一に形成されるように各部材を接合して筐体を組立てる工程と、
前記筐体の内側において、前記接合部をシールする工程と、
を含む、減圧容器の製造方法。
【請求項13】
前記部材として、少なくとも底板と、該底板に接合される複数の側板と、を用いるとともに、
前記底板には、前記減圧容器の側壁の下部を構成する壁体が一体的に設けられており、
複数の前記側板の全部または一部は、その端部が折曲した形状を有している、請求項12に記載の減圧容器の製造方法。
【請求項14】
端部が折曲形成された部材と平板とを含む複数の部材を用い、前記端部が折曲形成された部材と前記平板とにより隅を形成するとともに、互いに隣接する3つの部材により形成される接合部が前記隅から外れた位置に形成されるように各部材を接合して筐体を組立てる工程と、
前記筐体の内側において、前記接合部をシールする工程と、
を含む、減圧容器の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−309382(P2007−309382A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137709(P2006−137709)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】