説明

温度検出装置

【課題】調理用具の温度を正確に検出することが可能で、メンテナンス性に優れ、かつ、調理用具の位置をずらせた場合にも、不快な金属音が発生しない温度検出装置を提供する。
【解決手段】固定側支持部材56、移動側支持筒53、当接体51、サーミスタ57、および被覆保護筒63を備え、当接体は、平面視したときに、その周縁部が被覆保護筒の外周よりも外側に突出するように構成されているとともに、被覆保護筒の上端面が、当接体の下面と周方向にわたって当接している構成とする。
また、被覆保護筒が、移動側支持筒の上下方向中央よりも下側の位置において、移動側支持筒の外周に固定されており、かつ、被覆保護筒の上端面は、当接体の下面に当接しているが、固定されていない構成とする。
また、当接体の周縁部が、移動側支持筒の鍔部の上面と当接するとともに、鍔部の下面側にまで回り込むように折り返された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度検出装置に関し、詳しくは、ガスコンロやガステーブルなどの調理機器に載置された鍋などの調理用具(炊事具)の温度を検出するための温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスコンロやガステーブルなどの調理機器は、鍋などの調理用具(炊事具)が載置されていることを検出し、さらに調理用具の底面に接してその温度を検知する温度検出装置を備えている。
【0003】
そして、このような調理用具の温度検出装置としては、例えば図3に示すように、ガステーブル等の調理機器上面に設けられ、調理機器に載置された鍋等の調理用具142の底面に当接して、調理用具142の載置により退避可能に設けられたセンサ装置部144を有し、センサ装置部144が移動自在に取り付けられた支持シャフト146と、センサ装置部144の上端部に取り付けられ調理用具142の底面に当接する集熱板148を備え、集熱板148の裏面に固定された温度センサ152と、温度センサ152を収容し、集熱板148に上端部全周が液密に固定された筒状のホルダ156を備えるとともに、支持シャフト146に対して、集熱板148およびホルダ156を突出方向に付勢したバネ部材158を有し、ホルダ156の上端部から下端部付近までを同心状に所定空間を空けて覆うとともに、ホルダ156上端部全周に液密に固定され下端部が開放されたカバー162を備えた温度検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、他の温度検出装置として、例えば、図4に示すように、調理用具Pの底面に当接する集熱板181で上端を閉塞した内筒182と、内筒182を囲う外筒183とを備え、集熱板181の下面に温度検知素子180を取り付けるとともに、外筒183の上端に、径方向内方に張り出す蓋部185を設けてなるコンロ用の温度検出装置(鍋底温度センサ)108であって、蓋部185を内筒182に対し非接触として、蓋部185と内筒182との間に隙間186が残るように構成され、かつ、集熱板181の外周に、蓋部185と内筒182との間に隙間186を上方から覆うようにして蓋部185の上方に張り出す、蓋部185に対し非接触の傘部187を一体に形成することにより、隙間186から煮こぼれが外筒183内に侵入しないようにした温度検出装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の温度検出装置の場合、調理用具の底部温度を検出する集熱板に液密に固定されたホルダ156に対して、カバー162をホルダ上端部全周に液密に固定するためには、ホルダ156とカバー162との接触面積を大きくする必要がある。そして、その結果、ホルダ156とカバー162との伝熱面積が大きくなり、周囲からの熱の影響を受けやすくなって、集熱板148が接触する鍋底などの調理具142の温度を正確に検出することが困難になるという問題点がある。
【0006】
また、特許文献2の場合には、外筒183の上端に径方向内方に張り出す蓋部185を設け、蓋部185と内筒182との間に隙間が残るようにしてあることから、集熱板181と接触する鍋などの温度を正確に検出することができるようになるものの、鍋などからの煮こぼれが隙間に浸入して付着した場合には、清掃が困難で、本来の性能を維持することができなくなるという問題点がある。また、外筒183の上端部(蓋部)185は他の部材などにより拘束されていないため、可聴周波数の音響振動が発生するような状況において、該音響振動が抑制されることがないため、集熱板181と調理用具(鍋底など)を接触させた状態で該調理用具の位置をずらした場合(調理用具でこすった場合)などにおいて、高周波の金属音が発生しやすいため、高品位の使用感を確保することができないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−170038号公報
【特許文献2】特開2004−061002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、鍋などの調理用具の温度を正確に検出することが可能で、調理用具からの煮こぼれが落下して付着した場合にも清掃などが容易で、かつ、調理用具と接触した状態で、調理用具の位置をずらした場合にも、不快な高周波の金属音が発生しにくい、高品位の使用感を実現することが可能な温度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)の調理用具の温度検出装置は、
(a)調理機器の任意の固定部に固定されて縦方向に伸びる固定側支持部材と、
(b)前記固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、
(c)前記移動側支持筒の上端に配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、前記調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、
(d)前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合するような態様で配設されたサーミスタと、
(e)前記移動側支持筒の上端部から下端近傍までを、同心状に所定空間を介して被覆する被覆保護筒と
を具備し、
前記当接体は、平面視したときに、その周縁部が前記被覆保護筒の外周よりも外側に突出するように構成されているとともに、
前記被覆保護筒の上端面が、前記当接体の下面と周方向にわたって当接していること
を特徴としている。
【0010】
また、請求項2の調理用具の温度検出装置は、
前記被覆保護筒が、前記移動側支持筒の下端部寄りの位置において、前記移動側支持筒の外周に固定されており、かつ、 前記被覆保護筒の上端面は、前記当接体の下面に当接しているだけで、固定されていないこと
を特徴としている。
【0011】
また、請求項3の調理用具の温度検出装置は、
前記移動側支持筒の上端には、外側に突出する鍔部が形成され、かつ、
前記当接体の周縁部が、前記移動側支持筒の前記鍔部の上面と当接するとともに、前記鍔部の外周部を超えて、その下面側にまで回り込むように折り返されていること
を特徴としている。
【0012】
また、請求項4の調理用具の温度検出装置は、
前記被覆保護筒が、前記移動側支持筒の外周に固定された固定部よりさらに下方に延びる延長部を備えており、かつ、
前記延長部が、前記固定側支持部材の一部を同心状に所定空間を介して被覆するように構成されていること
を特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明(請求項1)の調理用具の温度検出装置は、移動側支持筒の上端に、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された集熱のための当接体(集熱板)を設け、この当接体の下面側に、当接体と熱的に結合するような態様でサーミスタを設けるとともに、移動側支持筒の上端部から下端近傍までを同心状に所定空間を介して被覆する被覆保護筒を設け、さらに、当接体の周縁部を被覆保護筒の外周よりも外側に突出させるとともに、被覆保護筒の上端面を当接体の下面と周方向にわたって当接させるようにしているので、外部からの熱影響を被覆保護筒によって遮断し、当接体が当接する鍋底などの調理用具の温度を正確に検出することが可能になる。
なお、本発明(請求項1)の温度検出装置において、「被覆保護筒の上端面が、当接体の下面と周方向にわたって当接している」とは、単に接している場合や、スポット溶接で一部が固着している場合などを含む概念である。
【0014】
また、上述のように、当接体の周縁部が被覆保護筒の外周よりも外側に突出しているので、調理用具から煮こぼれがあった場合にも、当接体と被覆保護筒との間に煮汁が浸入したり滞留したりすることが抑制、防止されるため、保守も簡単で良好なメンテナンス性を確保することができる。
【0015】
また、被覆保護筒の上端面が、当接体の下面と周方向にわたって当接していることから、調理用具の底面と当接体とが接触した状態で調理用具の位置をずらした場合にも、被覆保護筒の振動による高周波の金属音の発生を抑制することが可能になり、使用感を向上させることができる。
【0016】
さらに、被覆保護筒の上端部が当接体により覆われることになるので、被覆保護筒の先端部にバリがある場合にも、使用者が清掃する際などに誤って被覆保護筒の先端部に触れて怪我をするおそれがなくなり、安全性が向上する。
【0017】
また、請求項2の調理用具の温度検出装置のように、被覆保護筒が、移動側支持筒の下端部寄りの位置において、移動側支持筒の外周に固定されており、かつ、被覆保護筒の上端面は、当接体の下面に当接しているだけで、固定されていないような構成とした場合、被覆保護筒から当接体への熱伝導が極力抑制され、当接体が当接する調理用具(鍋など)の温度をより一層正確に検出することが可能になる。
なお、請求項2の温度検出装置において、「被覆保護筒の上端面は、前記鍔部の下面に当接しているだけで、固定されていない」とは、接してはいるが、溶接やろう付け、接合材による接合により、両者が固着されたり固定されたりしていない状態をいう。
【0018】
また、請求項3の調理用具の温度検出装置のように、移動側支持筒の上端には、外側に突出する鍔部が形成され、かつ、当接体の周縁部が、移動側支持筒の鍔部の上面と当接するとともに、鍔部の外周部を超えて、その下面側にまで回り込むように折り返された構成とした場合、移動側支持筒の上端部の鍔部近傍の構造が、鍔部と、鍔部の上面側の当接体と、鍔部の下面側にまで回り込むように折り返された当接体とからなる三層構造となり、剛性や機械的強度の大きい構造部となるため、調理用具の底面と当接体とが接触した状態で、調理用具の位置をずらした場合にも、被覆保護筒の振動による高周波の金属音の発生をより効果的に抑制することが可能になり、使用感を向上させることができる。
【0019】
また、請求項4の調理用具の温度検出装置のように、被覆保護筒が、移動側支持筒の外周に固定された固定部よりさらに下方に延びる延長部を備えており、かつ、延長部が、固定側支持部材の一部を同心状に所定空間を介して被覆するように構成されている場合には、延長部によって、固定側支持部材への熱影響が抑制され、調理用具の温度をさらに正確に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例にかかる調理用具の温度検出装置を示す正面断面図である。
【図2】本発明の実施例にかかる調理用具の温度検出装置を備えたガスコンロの要部を示す断面図である。
【図3】従来の温度検出装置の構成を示す図である。
【図4】従来の他の温度検出装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を示して、その特徴とするところを詳しく説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例にかかる調理用具の温度検出装置を示す正面断面図、図2は、本発明の実施例にかかる調理用具の温度検出装置を備えたガスコンロの要部を示す断面図である。
【0023】
この実施例の調理用具の温度検出装置は、図2に示すように、ガスコンロのバーナ部に配設されて、調理用具(鍋など)2の温度を検出するために用いられる温度検出装置である。
【0024】
なお、ガスコンロおよびそのバーナ部の構成は既に周知であることから、詳細な構造は、図示を省略して、その要部構成を図2に示している。
【0025】
ガスコンロには、1台のバーナ部または横方向に並ぶ2台のバーナ部、あるいはそれ以上のバーナ部を備えたものなどがあるが(図示省略)、ここでは温度検出装置1を備えた1つのバーナ部について、その構造を、図1および図2を参照しつつ説明する。
【0026】
図2に示すように、バーナ部においては、混合管33の先端に環状のバーナベース41が連結されている。また、バーナベース41の上部には環状のバーナキャップ5が着脱自在に載置されている。そして、バーナベース41およびバーナキャップ5の略中心には、上下に貫通するように挿入孔4が設けられている。
【0027】
バーナキャップ5の周縁には溝が形成され、バーナキャップ5がバーナベース41に載置されると、バーナベース41とバーナキャップ5との間に外方に向けて炎を形成する複数の炎口(図示せず)が周方向に沿って間隔を隔てて形成されるように構成されている。
【0028】
また、前記バーナキャップ5は、コンロのトッププレート11に形成されたバーナ用開口部内の略中心に位置するように設けられ、このバーナ用開口部の周縁のトッププレート11には、調理用具2を載置するための五徳12が設けられている。
【0029】
そして、このコンロ部に配設された調理用具の温度検出装置1は、図1および図2に示すように、
(a)調理機器の任意の固定部に固定されて縦方向に伸びる固定側支持部材(シャフト)56と、
(b)固定側支持部材(シャフト)56の外側に嵌挿され、上下動可能に保持された移動側支持筒(ホルダー)53と、
(c)移動側支持筒(ホルダー)53の上端に配設され、調理用具2の上下動に追随して上下動することにより、五徳12(図2)に載置された調理用具2の底面位置が上下方向に変動した場合にも、調理用具2の底面に常時当接するように構成された当接体(集熱板)51と、
(d)当接体51の下面側に、当接体51と熱的に結合するような態様で配設され、当接体51と一体となって移動側支持筒53の上下動に追随して上下動するように配設された、調理用具2の温度を検出するためのサーミスタ(温度検出素子)57と、
(e)移動側支持筒53の上端部から下端近傍部まで(少なくとも、移動側支持筒53の上下方向の寸法の中央より下側の位置まで)を、同心状に所定空間を介して被覆する被覆保護筒63とを備えている。
【0030】
そして、上記当接体51は、銅等の熱伝導率の高い材料から形成されており、その外径が被覆保護筒63の外径より大きく、平面視したときに、当接体51の周縁部が被覆保護筒63の外周よりも外側に突出するように構成されている。
【0031】
詳しくは、移動側支持筒(ホルダ)53の上端には、外側に突出する鍔部53xが形成されており、かつ、当接体(集熱板)51の周縁部は、移動側支持筒53の鍔部53xの上面と当接するとともに、鍔部53xの外周部を超えて、その下面側にまで回り込むように折り返されている。
すなわち、移動側支持筒53の鍔部53xの近傍の構造が、鍔部53xと、鍔部53xの上面側の当接体51と、鍔部53xの下面側にまで回り込むように折り返された当接体51が重なった三層構造となるように構成されている。
【0032】
そして、被覆保護筒63の上端面が、当接体51の下面(詳しくは、鍔部53xの下面側にまで回り込むように折り返された当接体51の下面)と、周方向にわたって当接している。また、この実施例の調理用具の温度検出装置においては、移動側支持筒53もその鍔部53xが、当接体51に当接している。
【0033】
ただし、被覆保護筒63の上端部は当接体51に、周方向にわたって当接しているが、固着されてはおらず、被覆保護筒63と当接体51とは、あくまでも接触した状態に保たれている。
【0034】
また、サーミスタ(温度検出素子)57は、移動側支持筒53内に収納され、当接体51の下面にサーミスタ固定板62を介して取り付けられており、当接体51に熱的に結合した状態とされている。なお、サーミスタ57は、サーミスタ固定板62の中心付近に垂下形成された筒部64内に納められており、サーミスタ57と筒部64の間には充填剤58が充填されている。
【0035】
サーミスタ57から下方には、移動側支持筒53より下方に伸びるリード線が接続されており、該リード線は絶縁チューブ59,60に収納され、保護されている。
【0036】
なお、移動側支持筒53は、固定側支持部材(シャフト)56の外側に嵌挿され、固定側支持部材(シャフト)56に対して上下動可能に取り付けられており、固定側支持部材56はコンロ部の任意の固定部に固定状態に取り付けられている。
【0037】
また、固定側支持部材56の上端には、座金55が嵌め込まれ、カシメによって固定されている。なお、座金55は、その外周面が移動側支持筒53の内周面に上下方向に移動可能に摺接するように構成されている。
【0038】
移動側支持筒53内における当接体51の下面と座金55の上面との間にはスプリング54が配設されており、移動側支持筒53はスプリング54の付勢力により固定側支持部材56に対して上方向に向けて付勢されている。
【0039】
また、移動側支持筒53の下端側は、その下端から長さLの領域が、座金55の外径よりも内径の小さい小径部53aとされており、移動側支持筒53内に挿入された固定側支持部材56に固定された座金55の、移動側支持筒53内における下方向への移動が規制されるように構成されている。すなわち、スプリング54の付勢力により移動側支持筒53が固定側支持部材56に対して上方向に向けて付勢されたときに、移動側支持筒53において座金55の外径より大きい内径を有する大径部53bと、上記の小径部53aとの境界が規制部Sを構成し、この規制部Sによって座金55の下方向への移動が防止されるとともに、固定側支持部材56が、移動側支持筒53の下端側から抜脱してしまうことが防止されるように構成されている。
【0040】
また、移動側支持筒53の下端は内方に向けに径が小さくなるように絞り加工されており、絞り加工された移動側支持筒53の下端が、固定側支持部材56の外周面に対し、上下方向に移動可能に摺接するように構成されている。
【0041】
このようにして、移動側支持筒53と固定側支持部材56とは、相対的に上下方向に移動可能に構成されている一方で、座金55の外周面と移動側支持筒53の内周面との摺接、および、移動側支持筒53の下端面と固定側支持部材56の外周面との摺接により移動側支持筒53と固定側支持部材56との軸のずれが生じないように構成されている。
【0042】
また、被覆保護筒63は、上下方向の下側部分が上側部分よりも径の小さい小径部63aとされており、この小径部63aの内径は、移動側支持筒53の大径部53bと略同寸法とされている。そして、この被覆保護筒63の小径部63aの上側部分が移動側支持筒53の大径部53bの下端側部分に接合、固定されることにより、被覆保護筒63が移動側支持筒53に固定されている。
【0043】
また、被覆保護筒63の下端側(小径部63aの下端側)は、移動側支持筒53の下端よりも下方にまで延びて延長部を形成しており、被覆保護筒63の小径部63aの延長部が、同心状に所定空間を介して固定側支持筒56を被覆している。
【0044】
この実施例の調理用具の温度検出装置は、上述のように構成されており、被覆保護筒63の上端の外径が鍔部53xの外径より小さく、当接体51の周縁部が、被覆保護筒63の外周よりも外側に突出するように構成されているので、調理用具2から煮こぼれがあった場合にも、当接体51と被覆保護筒63との間に煮汁が浸入したり、当接体51と被覆保護筒63との間やその近傍に滞留したりすることが抑制、防止されるため、保守が簡単になる。
【0045】
また、被覆保護筒63の上端部は、当接体51(詳しくは、当接体51の、移動側支持筒53の鍔部53xを回り込んで折り返された部分)に固着されてはおらず、被覆保護筒63と当接体51とは、あくまでも接触した状態に保たれていることから、被覆保護筒63から当接体51への熱伝導が抑制され、当接体51が接触する調理用具(鍋底など)2の温度を正確に検出することができる。
【0046】
さらに、被覆保護筒63の上端部が当接体51により覆われることになるので、被覆保護筒63の先端にバリがあるような場合にも、使用者が清掃する際に誤って被覆保護筒63のバリのある上端部に触れて怪我をしたりするするおそれがなくなり、安全性が向上する。
【0047】
また、当接体51の周縁部が、移動側支持筒53の鍔部53xの上面と当接するとともに、鍔部53xの外周部を超えて、その下面側にまで回り込むように折り返された構造とされており、移動側支持筒53の鍔部53x近傍の構造が、鍔部53xと、鍔部53xの上面側の当接体51と、鍔部53xの下面側にまで回り込むように折り返された当接体51からなる三層構造となり、剛性や機械的強度の大きい構造部とされているため、調理用具2の底面と当接体51とが接触した状態で、調理用具2の位置をずらした場合にも、被覆保護筒63の振動による高周波の金属音の発生をより効果的に抑制することが可能になり、使用感を向上させることができる。
【0048】
また、被覆保護筒63の下端側(小径部63aの下端側)が、移動側支持筒53の下端よりも下方にまで延びて延長部を形成しており、この延長部が同心状に所定空間を介して固定側支持筒56を被覆しているので、固定側支持部材56への熱影響が抑制され、調理用具2の温度をさらに正確に検出することが可能になる。
【0049】
[別実施例]
なお、上記実施例1では、被覆保護筒63が、移動側支持筒53の大径部53bにおいて、移動側支持筒53に固定されているが、被覆保護筒63の下端部を、移動側支持筒の小径部53aに固定することも可能である。
【0050】
そのようにした場合には、構造は複雑になるものの、当接体51からより離れた位置で、被覆保護筒63と移動側支持筒53とが固定されることになるため、被覆保護筒63と移動側支持筒53との固定部からの熱伝導による集熱板の温度上昇が抑制され、より精度よく、調理用具2の温度を検出することが可能になる。
【0051】
本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、固定側支持部材、移動側支持筒、当接体、サーミスタ、被覆保護筒などの各部材の具体的な構成、本発明の調理用具の温度検出装置が適用される調理機器の構成などに関し、本発明の範囲内において各種の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 調理用具の温度検出装置
2 調理用具(鍋など)
4 挿入孔
5 バーナキャップ
11 トッププレート
12 五徳
33 混合管
41 バーナベース
51 当接体(集熱板)
53 移動側支持筒(ホルダー)
53a 移動側支持筒の小径部
53b 移動側支持筒の大径部
53x 移動側支持筒の鍔部
54 スプリング
55 座金
56 固定側支持部材(シャフト)
57 サーミスタ(温度検出素子)
58 充填剤
59,60 絶縁チューブ
62 サーミスタ固定板
63 被覆保護筒
63a 被覆保護筒の小径部
64 筒部
L 移動側支持筒の小径部の長さ
S 規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)調理機器の任意の固定部に固定されて縦方向に伸びる固定側支持部材と、
(b)前記固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、
(c)前記移動側支持筒の上端に配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、
(d)前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合するような態様で配設されたサーミスタと、
(e)前記移動側支持筒の上端部から下端近傍までを、同心状に所定空間を介して被覆する被覆保護筒と
を具備し、
前記当接体は、平面視したときに、その周縁部が前記被覆保護筒の外周よりも外側に突出するように構成されているとともに、
前記被覆保護筒の上端面が、前記当接体の下面と周方向にわたって当接していること
を特徴とする、調理用具の温度検出装置。
【請求項2】
前記被覆保護筒が、前記移動側支持筒の下端部寄りの位置において、前記移動側支持筒の外周に固定されており、かつ、 前記被覆保護筒の上端面は、前記当接体の下面に当接しているだけで、固定されていないこと
を特徴とする、請求項1記載の調理用具の温度検出装置。
【請求項3】
前記移動側支持筒の上端には、外側に突出する鍔部が形成され、かつ、
前記当接体の周縁部が、前記移動側支持筒の前記鍔部の上面と当接するとともに、前記鍔部の外周部を超えて、その下面側にまで回り込むように折り返されていること
を特徴とする、請求項1または2記載の調理用具の温度検出装置。
【請求項4】
前記被覆保護筒が、前記移動側支持筒の外周に固定された固定部よりさらに下方に延びる延長部を備えており、かつ、
前記延長部が、前記固定側支持部材の一部を同心状に所定空間を介して被覆するように構成されていること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の調理用具の温度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−233601(P2012−233601A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100455(P2011−100455)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(301071893)株式会社ハーマン (94)
【Fターム(参考)】