説明

温度補償型発振器および電子機器

【課題】実装する機器側の入力インピーダンスに整合するような温度補償型圧電発振器を得る。
【解決手段】温度を検出する温度センサ10と、温度センサ10の温度検出結果に応じた補償電圧を発生する補償電圧発生回路11と、圧電振動子6を備え補償電圧に基づいて所定の発振周波数で発振する発振回路12と、発振回路12の発振出力をバッファするバッファ回路13と、各種情報を記憶するメモリ14と、を備え、バッファ回路13は、発振回路12の発振出力を増幅する増幅回路と、増幅回路の出力に設けられ容量を選択可能な容量回路と、を有し、メモリ14により容量回路の容量を設定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償型圧電発振器に関し、特に搭載する各種電子機器とのインピーダンス整合を考慮した温度補償型圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧電発振器は周波数安定度、小型軽量、低価格等により携帯電話等の通信機器から水晶時計のような民生機器まで、多くの分野で用いられている。中でも圧電振動子の周波数温度特性を補償した温度補償型圧電発振器(TCXO)は、周波数安定度を必要とする携帯電話等に広く用いられている。一般に圧電発振器は、圧電発振器を搭載する機器側の電気回路からの影響を小さくするため、バッファアンプ(緩衝増幅器)を出力部に設けている場合が多い。
特許文献1には緩衝増幅器を出力部に備えた水晶発振器が開示されている。
図7は、水晶発振器50の構成を示す回路図であり、増幅器51と、帰還抵抗52と、圧電振動子53と、2つの負荷容量54、55と、緩衝増幅器56と、を備えている。
水晶発振器50は、増幅器51と、帰還抵抗52と、圧電振動子53とを並列接続し、その並列接続回路の一方の接続端に負荷容量54の一方の端子を接続し、負荷容量54の他方の端子を接地する。また並列接続回路の他方の接続端に負荷容量55の一方の端子を接続し、他方の端子を接地する。そして、増幅器51の出力端に緩衝増幅器56を接続する。このように構成される水晶発振器50の周波数調整は、負荷容量54、55にMOS半導体可変容量素子を用い、このMOS半導体可変容量素子に電圧及びその時間を制御したパルス信号を印加することにより行う。
【0003】
また、特許文献2には、ピアース型水晶発振器に高速起動回路を付加した回路の出力部に緩衝用の増幅器を付加した発振器が開示されている。
図8は、従来の高速起動回路付水晶発振器の構成を示す回路図である。
この図に示すように、高速起動回路付水晶発振器61は、ピアース型水晶発振器62と、高速起動回路63とにより構成される。
ピアース型水晶発振器62は、トランジスタTr61と、このトランジスタTr61のエミッタと接地間に接続された抵抗R61と、トランジスタTr61のベースと定電流源間に接続された抵抗R62と、水晶振動子Xと容量C63との直列接続回路の両方の端子にそれぞれ容量C62、C64接続したπ型回路と、このπ型回路の一方の端部とトランジスタTr61のベースとを接続する容量C61と、π型回路の一方の端部と抵抗R62とを接続する容量C65と、緩衝用の増幅器68と、を備えている。
【0004】
また、高速起動回路63は、トランジスタTR62と、このトランジスタTR62のエミッタと電源とを接続する抵抗R63と、トランジスタTR63と、このトランジスタTR63のエミッタと接地間に接続された容量C66と、トランジスタTR64と、を備えている。そして、トランジスタTR63のエミッタとトランジスタTR62のベースを接続し、トランジスタTR62のコレクタとトランジスタTR64のベースを接続して構成される。
そして、この高速起動回路63のトランジスタ64のコレクタと水晶振動子Xの一方の端子とを接続することにより高速起動回路付水晶発振器61が構成される。
また、温度補償型圧電発振器に関しては数多くの特許文献が開示されており、特許文献3はその1つである。圧電振動子Xの周波数温度特性を補償する回路は、低温部補償用MOS容量素子MLと感度調整用固定容量素子との直列回路と、高温補償用MOS容量用素子MHとの並列回路からなり、この並列回路に温度補償電圧発生回路からの電圧を印加し、並列回路の容量を変化させることにより温度補償を行っている。
【0005】
このように、近年の温度補償型圧電発振器70の構成は、図9に示すように、圧電振動子71と、温度センサ72と、補償電圧発生回路73と、発振回路74と、バッファ回路(緩衝増幅器)75と、メモリ76と、を備えている。
このような温度補償型圧電発振器70を製造する際には、圧電振動子71の周波数温度特性を測定して、周波数温度特性を補償する温度−補償電圧特性を求め、この温度−補償電圧特性を生成するように、補償電圧発生回路73の諸定数を設定してメモリ76に格納するようにしている。
温度補償型圧電発振器70の動作は、電源をオンすると同時に温度補償電圧発生回路73から温度−容量特性を生成するための補償電圧が出力され、補償電圧が発振回路74内の可変容量素子に印加されて、所要の容量値を生成し、発振周波数を補償するように動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−20003号公報
【特許文献2】特開2006−279608公報
【特許文献3】特開2004−343733公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記したような温度補償型圧電発振器に関する客先仕様書は、温度補償型圧電発振器単体の性能について詳細に規定しており、温度補償型圧電発振器の製造メーカはこの客先仕様書に基づいて温度補償型圧電発振器を設計、試作、調整作業を行い、仕様書を満たした温度補償型圧電発振器を客先に納入する。しかし、客先が納入された圧電発振器を携帯電話等の機器に搭載し、機器の総合性能を試験すると、機器の仕様を満たさないということが屡々あった。例えば、機器の受信感度が機器の仕様を満たさないという問題が多々あり、その原因を調べてみると圧電発振器が発する高調波が機器のキャリア周波数に影響を及ぼしている場合等があった。高調波発生の原因としては、圧電発振器の出力ラインと、機器側のRFIC(高周波集積回路)までのライン間で発生する場合や、圧電発振器内部からの発生する場合、RFIC内部からの発生する場合、或いは電源ラインに高調波が重畳する場合等、いくつかの原因が考えられる。中でも原因として高いものは圧電発振器−RFIC間のラインであり、基板のラインの引き回しや、圧電発振器−RFIC間のインピーダンス不整合により高調波を放射しているものと考えられる。
【0008】
しかしながら、特許文献1、2及び3には発振回路の出力部に緩衝用の増幅器が付加されているものの、発振器の緩衝用増幅器と、発振器が搭載されるセット側のRFICとの整合、高調波の抑止等については記載されておらず、客先でセットの受信感度不具合が屡々発生するという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、機器に実装した際に、温度補償型圧電発振器に起因する機器の受信感度不良等を解消した温度補償型圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の温度補償型圧電発振器は、温度を検出する温度センサと、前記温度センサの温度検出結果に応じた補償電圧を発生する補償電圧発生回路と、圧電振動子を備え前記補償電圧に基づいて所定の発振周波数で発振する発振回路と、前記発振回路の発振出力をバッファするバッファ回路と、各種情報を記憶するメモリ回路と、を備え、前記バッファ回路は、前記発振回路の発振出力を増幅する増幅回路と該増幅回路の出力側に設けられ、容量を選択可能な容量回路と、を有し、前記メモリ回路により前記容量回路の容量が設定されることを特徴とする。
このような本発明によれば、温度補償型圧電発振器の出力インピーダンスを実装する機器側のインピーダンスに整合させるように設定することが可能となり、インピーダンスのミスマッチによって生じる高調波を低減でき、セットの受信感度の劣化を防止することができるという効果がある。
【0010】
また本発明の温度補償型圧電発振器は、増幅回路のゲインをメモリ回路により設定されることを特徴とする。
このような本発明によれば、温度補償型圧電発振器の出力レベルを実装する機器側の入力感度に合わせることが可能となり、機器の受信感度を良好に保つことができるという効果がある。
また本発明の温度補償型圧電発振器は、増幅回路のゲインと容量回路の容量は、メモリ回路により独立に設定されることを特徴とする。
このような本発明によれば、実装する機器側とのインピーダンスマッチングの調整と、必要に応じて入力レベルを調整することが可能となり、セットの受信感度と必要出力レベルとを良好に保つことができるという効果がある。
【0011】
また本発明の温度補償型圧電発振器は、増幅回路のゲインと容量回路の容量は、メモリ回路により連動して設定されることを特徴とする。
このような本発明によれば、容量の付加によって生じる出力レベルの低下を、ゲイン調整を同時に行うことによって補正することが可能になる。これにより、機器の受信感度を良好に保つことができるという効果がある。
また本発明の温度補償型圧電発振器は、圧電振動子以外の回路がIC化されていることを特徴とする。
このような本発明によれば、周波数温度特性が優れ、小型で且つ、出力インピーダンス及び出力レベルの調整できる温度補償型圧電発振器が容易に構成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態の温度補償型圧電発振器のブロック回路図。
【図2】図1に示したバッファ回路の詳細回路図。
【図3】第2の実施の形態の温度補償型圧電発振器のブロック回路図。
【図4】図3に示したバッファ回路の詳細回路図。
【図5】第3の実施の形態の温度補償型圧電発振器のブロック回路図。
【図6】図5に示したバッファ回路の詳細回路図。
【図7】従来の圧電発振器の回路図。
【図8】従来の圧電発振器の回路図。
【図9】従来の温度補償型圧電発振器の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の温度補償型圧電発振器の構成を示すブロック回路図である。
この図1に示す温度補償型圧電発振器1は、温度センサ10、補償電圧発生回路11、圧電振動子6を備えた発振回路12、バッファ回路13、及びメモリ14を備えている。
温度センサ10は、例えばサーミスタやダイオードセンサーなどにより構成され、当該温度補償型圧電発振器1の周囲温度を検出する。
補償電圧発生回路11は、温度センサ10の温度検出結果に基づいて、所要の補償電圧を発生して発振回路12に出力する。
発振回路12は、圧電振動子6を備え、補償電圧発生回路11からの補償電圧に基づいて所定の発振周波数で発振する。
発振回路12は、圧電振動子6の周波数温度特性を補償する補償回路として発振周波数を変化させるための可変容量素子を備える。補償回路は、例えば低温部補償用MOS容量素子、高温部補償用MOS容量用素子、感度調整用固定容量素子等から構成され、これらの容量素子の容量が補償電圧発生回路11からの補償電圧によって制御される。なお、圧電振動子6は周知のATカット水晶振動子が用いられる。
【0014】
バッファ回路13は、発振回路12の発振出力を増幅する増幅回路と、この増幅回路の出力に設けられた容量素子を選択可能な容量回路とを有し、メモリ14により容量回路として選択すべき容量値が設定されている。なお、バッファ回路13の詳細については後述する。
メモリ14は、不揮発性のメモリ回路であり、補償電圧発生回路11、発振回路12、バッファ回路13の各種情報が記憶されている。また、メモリ14は、信号ラインL4、L5を介して容量回路に設けられているスイッチをオン又はオフすることにより出力に容量を付加するようにしている。なお、どの容量を選択するかは顧客の要求に合わせて製造時において決定され、その情報は製造時にメモリ14に記憶される。
このように構成される温度補償型圧電発振器1の補償方法は、まず圧電振動子6の周波数温度特性に応じて、発振回路の周波数温度特性が所定の周波数偏差内に収まるような温度−補償電圧特性が得られる条件(情報)となるように、信号ラインLx1、Lx2、・・・・Lxnの最適条件をメモリ14に格納する。なお、本実施例では発振回路の周波数調整や感度調整等を行うための情報は、信号ラインL1、L2、L3によって与えられる。
そして、本実施の形態の温度補償型圧電発振器1の特徴は、バッファ回路13の構成にある。つまり、バッファ回路13は、増幅回路と、複数の容量及びスイッチを有する容量回路とから構成され、複数の容量が選択可能となっているところが特徴的なところである。また、この容量回路は増幅回路の出力に並列に設けられている。
【0015】
図2は、バッファ回路の一例を詳細に示した回路図であり、増幅回路13aと、容量回路2段の例を示している。つまり、図2に示すバッファ回路13−1は、所定のゲインを有する増幅回路13aの出力ラインLOと接地間に、容量C11とスイッチS11とが直列接続された第1の容量回路と、容量C12とスイッチS12との直列接続回路である第2の容量回路と、が並列接続されて構成されている。さらに、第1の容量回路のスイッチS11と、第2の容量回路のスイッチS12とには、メモリ14からの信号ラインL4、L5が夫々接続され、出力ラインLOはバッファ回路13−1の出力OUTに接続されている。
第1及び第2の容量回路のスイッチS11、S12は、夫々メモリ14から信号ラインL4、L5を介して供給される信号によりオンまたはオフに固定される。スイッチS11がオンの場合には容量C11が増幅回路13aの出力に並列接続される。スイッチS12がオンの場合は容量C12が増幅回路13aの出力に並列接続される。また、スイッチS11、S12が共にオンの場合には容量(C11+C12)が増幅器13aの出力に並列接続される。
【0016】
このように構成される本実施の形態の温度補償型圧電発振器1では、メモリ14からの信号によりバッファ回路13−1の出力インピーダンスを設定できるように構成したことで、温度補償型圧電発振器1の出力インピーダンスを機器(セット)側の回路、例えばRFICの入力インピーダンスに整合させるように調整することが可能になる。
即ち、本実施の形態の温度補償型圧電発振器は、客先の携帯電話等のセットにおいて、本温度補償型圧電発振器と接続されるRFICの入力インピーダンスに整合するように、温度補償型圧電発振器の出力インピーダンスを調整できるので、温度補償型圧電発振器の出力インピーダンスと、セット側の入力インピーダンスとの不整合により生じる高調波の発生を低減することができ、セットの受信感度を良好に保つという効果がある。
また、客先の機種変更により、RFICの入力インピーダンスが変わってしまう場合があるが、その場合でも、メモリの設定を変更することで対応が可能であり、客先の機種変更に合わせて発振回路の部分を新規設計することが不要となるので、設計工数や温度補償型圧電発振器の専用ICの開発コストを削減することが可能である。
【0017】
図3は第2の実施の形態の温度補償型圧電発振器2の構成を示すブロック回路図で、図1の構成と異なる点はバッファ回路13の増幅回路の構成である。
図4は、図3のバッファ回路13の一例を詳細に示した回路図であり、3段のCMOSインバータ回路と、2段の容量回路を備えた例を示している。
つまり、図4に示すバッファ回路13−2は、半導体素子Tr1、Tr2を備えた第1の増幅回路(インバータ回路)、半導体素子Tr3、Tr4及びスイッチS3、S4を備えた第2の増幅回路(インバータ回路)、半導体素子Tr5、Tr6及びスイッチS5、S6を備えた第3の増幅回路(インバータ回路)、容量C11とスイッチS11とが直列接続された第1の容量回路、及び容量C12とスイッチS12とが直列接続された第2の容量回路、が縦続接続されて構成されている。さらに、第2の増幅回路のスイッチS3、S4と第1の容量回路のスイッチS11にはメモリ14からの信号ラインL4が接続され、第3の増幅回路のスイッチS5、S6と第2の容量回路のスイッチS12にはメモリ14からの信号ラインL5が接続されている。第1、第2及び第3の増幅回路の夫々の出力は、出力ラインLOに接続され、出力OUTに接続されている。
【0018】
第1の増幅回路は、NチャネルMOSFET(Tr1)のゲートとPチャネルMOSFET(Tr2)のゲートとを接続して入力とし、Tr1のドレインとTr2のドレインとを接続し、Tr1のソースを接地し、TR2のソースを電源VDDに接続してインバータ回路を構成している。
第1の増幅回路の出力はTr1のドレインから得る。NチャネルMOSFET(Tr3)、PチャネルMOSFET(Tr4)からなる第2の増幅回路は、第1の増幅回路(インバータ回路)と同様であるが、Tr3、Tr4のドレイン端子に夫々スイッチS3、S4が直列接続され、メモリ14からの信号によりスイッチS3、S4がオン、オフされ、第2の増幅回路をインバータ回路として機能させるか、機能を停止させるかが制御される。Tr5、Tr6からなる第3の増幅回路は、第2の増幅回路(インバータ回路)と同様に機能する。
【0019】
また、図4に示すように、容量C11とスイッチS11との直列回路からなる第1容量回路と、容量C12とスイッチS12との直列回路からなる第2の容量回路とは、出力ラインLOと接地との間に並列接続されている。そして、メモリ14から信号ラインL4、L5を介して供給される信号によりスイッチS11、S12がオンまたはオフに固定される。
スイッチS11がオンの場合には容量C11が増幅器の出力に並列接続される。スイッチS12がオンの場合は容量C12が増幅器の出力に並列接続される。スイッチS11、S12が共にオンの場合には容量(C11+C12)が増幅器の出力に並列接続される。このように、本実施の形態では、メモリ14からの信号によりバッファ回路13−2の出力インピーダンスを変更できるように構成したことで、温度補償型圧電発振器1の出力インピーダンスを機器(セット)側の回路、例えばRFICの入力インピーダンスに整合させるように調整することが可能になる。この場合、信号ラインL4、L5の信号は、夫々スイッチS11、S12をオンまたはオフにすると同時にスイッチS3、S4とスイッチS5、S6とをオンまたはオフにするので、バッファ回路13の増幅度を温度補償型圧電発振器の出力インピーダンスに応じて可変することができる。
【0020】
このように第2の実施の形態の温度補償型圧電発振器は、客先の携帯電話等のセットのRFICの入力インピーダンスに応じて、温度補償型圧電発振器のバッファ13−2の出力インピーダンスと出力レベルとを連動して調整できるので、不整合により生じる高調波の発生を抑止でき、セットの受信感度を良好に保つことができる。
なお、第2の実施の形態においては、バッファ回路の増幅回路(インバータ回路)が3段、容量回路が2段の場合を例に挙げて説明したが、増幅回路と容量回路とを共に複数段とし、温度補償型圧電発振器の出力インピーダンスと出力レベルとをセット側に整合するように、より微細に調整することが望ましい。
【0021】
図5は、第3の実施の形態の温度補償型圧電発振器3の構成のブロック回路図、図6は、図5のバッファ回路13の一例を示す詳細な回路図である。図3に示した温度補償型圧電発振器2と異なる点は、図6のバッファ回路13−3に示すように、メモリ14とバッファ回路13−3と接続する信号ラインL4〜L7の形態が異なることである。
この場合、信号ラインL4はTr3、Tr4からなる第2の増幅回路に接続され、信号ラインL5はTr5、Tr6からなる第3の増幅回路に接続され、これらの信号ラインL4、L5を介して供給される信号により、それぞれの増幅回路に設けられているスイッチS3、S4及びスイッチS5、S6をオン又はオフに固定する。信号ラインL6は第1の容量回路のスイッチS11に接続され、信号ラインL7は第2の容量回路のスイッチS12に接続され、これらの信号ラインLL6、L7を介して供給される信号により、それぞれのスイッチS11、S12をオンまたはオフに固定する。
【0022】
このように構成される温度補償型圧電発振器3は、第2、第3の増幅回路と、第1、第2の容量回路とをそれぞれ個別に制御できる点に特徴がある。
従って、このような温度補償型圧電発振器3を携帯電話等のセットに用いれば、温度補償型圧電発振器3の出力インピーダンスと、出力レベルとを独立して調整することができ、セット側のRFIC回路に対して最適な条件で調整することが可能となる。
なお、第3の実施の形態においては、バッファ回路13−3の増幅器が3段、容量回路が2段の場合を例に挙げて説明したが、増幅器と容量回路とを共に複数段とし、セット側のRFICのインピーダンスと、所要とするレベルに温度補償型圧電発振器3のバッファ回路をより微細に調整することが望ましい。
また、これまで説明した本実施の形態の温度補償型圧電発振器は、圧電振動子6以外の回路を半導体上に集積化(IC化)することが可能であり、IC化した場合は、周波数温度特性が優れ、小型で且つ、出力インピーダンス及び出力の調整が可能な温度補償型圧電発振器が容易に構成できるという効果がある。
【符号の説明】
【0023】
1、2、3 温度補償型圧電発振器、6 圧電振動子、10 温度センサ、11 補償電圧発生回路、12 発振回路、13、13−1、13−2、13−3 バッファ回路、14 メモリ、LO 出力ライン、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、Lx1,Lxn 信号ライン、Tr1、Tr2、Tr3、Tr4、Tr5、Tr6 トランジスタ、S3、S4、S5、S6、S11、S12 スイッチ、C11、C12 容量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサと、
前記温度センサの温度検出結果に応じた補償電圧を発生する補償電圧発生回路と、
圧電振動子を備えており、前記補償電圧発生回路の出力に基づいて所定の発振周波数で発振する発振回路と、
前記発振回路から出力された信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力側に設けられており選択可能な容量素子を備えている容量回路とを有するバッファ回路と、
前記増幅回路のゲインの調整と、前記容量素子の選択とを連動して制御する信号を出力するためのメモリ回路と、
を備えていることを特徴とする温度補償型発振器。
【請求項2】
前記温度センサ、前記補償電圧発生回路、前記発振回路、前記バッファ回路、および前記メモリ回路が集積回路化されていることを特徴とする請求項2記載の温度補償型圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−253829(P2012−253829A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−211948(P2012−211948)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2007−201565(P2007−201565)の分割
【原出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】