説明

測角装置

【課題】不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、仰角θの独立なモノパルス測角を実現することのできる測角装置を得る。
【解決手段】鉛直方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子2,3を二つの領域に分割する。合成部5,6は、これら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する。除算部7は、差信号Δを和信号Σで除算し、測角部8は、除算部7の演算結果を用いて仰角θのモノパルス測角を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、3次元アレーアンテナを備えた測角装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、アンテナ素子、あるいは複数のアンテナ素子からなるサブアレーを複数個並べたアレーアンテナがレーダや通信等の広い分野で用いられている。このアレーアンテナにおいて、アレーアンテナを構成するアンテナ素子やサブアレーを、利得が等しくなる二つのグループに分割し、その二つの領域の信号の和信号と差信号から受信電波の到来方向を推定するモノパルス測角がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図1は、平面アレーアンテナを用いた仰角θのモノパルス測角の処理の一般的な流れを説明するための測角装置の構成図である。図示の測角装置においては、平面アレーアンテナ101がそのアレーアンテナを構成するアンテナ領域102とアンテナ領域103の2領域に境界104を境に分割されている。その各アンテナ領域の受信信号から、合成部105と合成部106によって差信号Δと和信号Σが作成され、除算部107によってモノパルス測角の評価関数であるΔ/Σが算出される。測角部108でデータベース等の事前に取得済みのΔ/Σの情報と受信信号から求めたΔ/Σの比較により、測角結果が出力される。このとき、仰角θの測角結果は方位角φの変動に依存せず、独立に推定することができる。
【0004】
一方、アレーアンテナにおいて、素子数の低減による低コスト化や、より狭いアンテナメインローブの生成のために、アンテナ素子やサブアレーをより広くより疎に配置することが考えられる。このとき、所望のアンテナメインローブ方向以外に、利得の強いグレーティングローブ(GL)が発生する問題がある。GL抑圧にはアンテナ素子やサブアレーを不等間隔に配置するのが有効であることが知られている。
【0005】
しかし、不等間隔に配置されたアレーアンテナでは、2領域間の利得パターンの不均一に起因して、モノパルス測角に2次元依存性が発生する問題が起こる場合がある。例えば仰角θの到来角を対象としたモノパルス測角であるにもかかわらず、方位角φの変化によって仰角θの推定結果が変化するという現象が発生する。このように、仰角θあるいは方位角φの独立な測角ができない場合、正確な測角処理のためには、従来のモノパルス測角と異なり2次元探索などの処理が必要となる。そのため演算負荷の増大といった問題が発生する。
【0006】
このような問題に対し、例えば特許文献1では平面アレーアンテナを対象とし、2次元依存性を除去するアンテナ素子あるいはサブアレーの配置条件を適用したモノパルス測角装置が示されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−210337号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】吉田孝監修、「改訂レーダ技術」、電子情報通信学会編、平成8年10月1日初版発行、第262頁―第264頁(コロナ社取次販売)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年の新しいアレーアンテナの形態として、平面のみならず空間3次元にアンテナ素子やサブアレーを分散配置したアレーアンテナが考えられている。ところが、特許文献1に記載されたような測角装置ではこのような3次元配置のアレーアンテナに対しては開示されていない。
【0010】
例えば、図2の3次元配置のアレーアンテナ201を考える。アレーアンテナ201はアンテナ素子202およびアンテナ素子203が3次元空間上に配置されており、GL抑圧のためその配置の仕方はランダムである。アレーアンテナ201は仰角θのモノパルス測角を行うため、境界204によってアンテナ素子202で構成される領域とアンテナ素子203で構成される領域の二つに分割されている。
【0011】
図3にアレーアンテナ201について、アンテナ素子202とアンテナ素子203の2領域の信号から作成したΔ/Σを示す。図3には、3種類の方位角φについてのΔ/Σ曲線が図示されているが、3つのΔ/Σ曲線は一致していない。方位角φの変化に対しても感度を持つ問題が起きていることが図3からわかる。
このように、3次元分散配置のアレーアンテナを用いた測角装置において、仰角θあるいは方位角φの独立なモノパルス測角を実現することが課題であった。
【0012】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、仰角θあるいは方位角φあるいはそれら両方の独立なモノパルス測角を実現することのできる測角装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る測角装置は、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成される3次元受信アレーアンテナと、3次元受信アレーアンテナにおいて、鉛直方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、これら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う測角手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の測角装置は、鉛直方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、これら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成し、これら差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行うようにしたので、不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、仰角θの独立なモノパルス測角を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】平面アレーアンテナを用いた測角装置の構成と処理の流れを示す説明図である。
【図2】3次元配置のアレーアンテナを示す構成図である。
【図3】図2のアレーアンテナにおけるΔ/Σを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による測角装置の構成と処理の流れを示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による測角装置におけるΔ/Σを示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2による測角装置の仮想アレーアンテナを示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2による測角装置の構成と処理の流れを示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態3による測角装置の構成と処理の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図4は、この発明の実施の形態1による測角装置を示す構成図である。
図4に示す測角装置は3次元アレーアンテナ1、合成部5,6、除算部7、測角部8を備えている。
3次元アレーアンテナ1は、アンテナ素子2で構成される領域とアンテナ素子3から構成される領域からなり、境界4でモノパルス測角のための2領域に分割される。また、3次元アレーアンテナ1は、仰角θを独立に測角するためのアンテナ配置となっている。尚、この配置条件については後述する。合成部5は、2領域の差信号Δを生成する手段であり、合成部6は2領域の和信号Σを生成する手段である。また、これら合成部5,6で合成手段が構成されている。除算部7は、差信号Δを和信号Σで除算する手段であり、測角部8は、除算部7における除算結果に基づいて仰角θのモノパルス測角を行う手段である。また、これら除算部7及び測角部8によって測角手段が構成されている。
【0017】
次に、3次元アレーアンテナ1における配置条件について説明する。
3次元アレーアンテナ1におけるアレーアンテナ配置は、図4中の破線枠内に示すアンテナ配置条件を満たす必要がある。すなわち、任意の1種類の線形アレーアンテナである基本配置9と任意の3次元アンテナ配置10の空間的な畳み込みとして、3次元アレーアンテナ1が構成されるという条件である。
【0018】
このとき任意の1種類の基本配置9は以下に記す制約を満たす必要がある。
・基本配置9は、アンテナ素子2とアンテナ素子3の両方によって構成されなければならない。
・測角対象が仰角θの場合、基本配置9は鉛直方向の線形アレーアンテナである。
・測角対象が方位角φの場合、基本配置9は水平方向の線形アレーアンテナである。
【0019】
次に、実施の形態1の測角装置について、図4中の破線枠に記載のアンテナ配置条件を用いた際の測角対象の角度(図4の場合は仰角θ)に対する独立性の保証効果について数式を用いて説明する。
図4中の破線枠内に記載の任意の3次元アンテナ配置10のアレーファクタをaarb(θ,φ)、基準配置9のアレーファクタをapri(θ)とする。また、基準配置9のアンテナ素子2で構成される領域のアレーファクタをapri1(θ)、アンテナ素子3で構成される領域のアレーファクタをapri2(θ)とする。図4記載の3次元アレーアンテナ1は仰角θを測角対象としているため、基準配置9は鉛直方向の線形アレーアンテナとなっており、そのためアレーファクタapri(θ)は仰角θに対してのみの関数となっている。このときアレーファクタapri(θ)は以下のように記述できる。
【0020】
pri(θ)=apri1(θ)+apri2(θ) (1)
【0021】
このとき、図4記載の3次元アレーアンテナ1のアンテナ素子2からなる領域のアレーファクタをa1(θ,φ)、アンテナ素子3からなる領域のアレーファクタをa2(θ,φ)と記述する。3次元アレーアンテナ1は、基本配置9と任意の3次元アンテナ配置10の空間的な畳み込みで構成されているため、3次元アレーアンテナ1のアレーファクタは基本配置9のアレーファクタと任意の3次元アンテナ配置10のアレーファクタの積となり、以下の式(2),(3)のように記述できる。
1(θ,φ)=apri1(θ)・aarb(θ,φ) (2)
2(θ,φ)=apri2(θ)・aarb(θ,φ) (3)
【0022】
このとき、仰角θのモノパルス測角の評価関数Δ/Σは、式(2)と式(3)から以下のように記述することができる。

【0023】
式(4)から明らかなように、図4に記載のアンテナ配置条件を適用した3次元アレーアンテナ1においては、仰角θのモノパルス測角の評価関数Δ/Σから、方位角φに対する依存性が除去され、仰角θにのみ感度を持つ関数となっていることがわかる。
このとき、前述の図3と同様に、3次元アレーアンテナ1のアンテナ素子2とアンテナ素子3の2領域の信号から作成したΔ/Σを図5に示す。図5では、図3と同様に3種類の方位角φ(φ=−1°,0°,1°)についてのΔ/Σ曲線が示されている。図3とは異なり、図5では三つのΔ/Σ曲線が一致していることが確認できる。図5から、実施の形態1の3次元アレーアンテナ1を用いることで、方位角φの影響を受けずに仰角θのモノパルス測角を行えることがわかる。
【0024】
図4記載の3次元アレーアンテナ1においては、仰角θを独立に測角する場合のアンテナ配置条件を示しているが、方位角φを独立に測角する場合も同様の考え方で3次元アレーアンテナの配置を決定すればよい。そのとき、前述の基本配置の制約条件に記載したように、基本配置が水平方向の線形アレーアンテナとなっていればよい。
【0025】
図4記載の本発明の実施の形態1に係る測角装置においては,3次元アレーアンテナ1はアンテナ素子2およびアンテナ素子3によって構成されていたが、このアンテナ素子がサブアレーに置き換わった3次元アレーアンテナも、本発明の実施の形態1の範囲内となる。その場合、図4における基本配置9を構成するアンテナ素子2およびアンテナ素子3を、3次元アレーアンテナを構成するサブアレーに置き換えればよい。
【0026】
また、仰角θと方位角φの両方の角度を独立に測角する場合は、本発明の実施の形態1に係る測角装置の3次元アレーアンテナを、水平方向の線形アレーによる基本配置と鉛直方向の線形アレーによる基本配置の畳み込みと、任意の3次元アンテナ配置の畳み込みとして構成すればよい。
【0027】
サブアレーにより構成される3次元アレーアンテナの場合も、図4に記載した仰角θをモノパルス測角の対象とする場合のみならず、方位角φを独立に測角する場合も同様の考え方で3次元アレーアンテナの配置を決定すればよい。そのとき、基本配置はサブアレーによって構成される水平方向の線形アレーアンテナとなっていればよい。
【0028】
以上、図4,図5および式(1)〜式(4)を用いて説明したように、本発明の実施の形態1の測角装置では、3次元アレーアンテナをいくつかの制約を満たした線形アレーアンテナ配置と任意の3次元アンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成することで、測角対象の到来角の独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0029】
以上説明したように、実施の形態1の測角装置によれば、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成される3次元受信アレーアンテナと、3次元受信アレーアンテナにおいて、鉛直方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、これら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う測角手段を備えたので、不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、仰角θの独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0030】
また、実施の形態1の測角装置によれば、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の水平方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成される3次元受信アレーアンテナと、3次元受信アレーアンテナにおいて、水平方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、これら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、差信号Δと和信号Σを用いて方位角φのモノパルス測角を行う測角手段を備えたので、不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、方位角φの独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0031】
また、実施の形態1の測角装置によれば、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の水平方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成される3次元受信アレーアンテナと、3次元受信アレーアンテナにおいて、鉛直方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、それら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する第1の合成手段と、第1の合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う第1の測角手段と、3次元受信アレーアンテナにおいて、水平方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、それら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する第2の合成手段と、第2の合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて方位角φのモノパルス測角を行う第2の測角手段とを備えたので、不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、仰角θと方位角φの両方の独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0032】
また、実施の形態1の測角装置によれば、線形アレーアンテナ配置において、構成するアンテナ素子を任意のサブアレーアンテナに置き換えた場合でも測角対象の到来角の独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態2は、測角装置をMIMOレーダ技術に適用した例である。
送信アレーアンテナを構成する複数の送信アンテナ素子や複数の送信サブアレーから、それぞれ異なる直交する信号を送信し、受信側でそれらの信号を分離し、仮想的により開口の広いアレーアンテナを構成するMIMOレーダ技術がある(例えば、文献として、J.Li and P.Stoica,MIMO RADAR SIGNAL PROCESSING,Wiley,2009.参照)。このとき、MIMOレーダにおける仮想アレーアンテナは送信アレーアンテナ配置と受信アレーアンテナ配置の畳み込みと見なすことができる。
【0034】
実施の形態2に係る測角装置では、実施の形態1の様にアンテナ配置に関する条件を受信アレーアンテナに施すのみではなく、MIMOレーダの送信アレーアンテナに対してアンテナ配置に条件付けをすることで、MIMOレーダにおける仮想アレーアンテナを用いて、測角対象となる到来角成分の独立なモノパルス測角を提供するものである。
【0035】
図6に、実施の形態2に係る測角装置のMIMOレーダにおける仮想アレーアンテナ11を示している。なお、図6に示す仮想アレーアンテナ11も、実施の形態1の図4記載の3次元アレーアンテナ1と同様に、仰角θのモノパルス測角を行う場合の仮想アレーアンテナを示したものである。
【0036】
図6において、仮想アレーアンテナ11は、アンテナ素子2aで構成される領域とアンテナ素子3aで構成される領域からなり、境界4aで仰角θのモノパルス測角のために2領域に分割される。
このとき、仮想アレーアンテナ11は、MIMOレーダ技術により、図6記載の受信アレーアンテナ1aと送信アレーアンテナ13の畳み込みとして構成される。
【0037】
実施の形態2に係る測角装置では、この送信アレーアンテナ13に、実施の形態1と同様のアンテナ配置条件を適用する。すなわち、送信アレーアンテナ13が、任意の1種類の線形アレーアンテナである基本配置9aと任意の3次元アンテナ配置12の空間的な畳み込みとして構成されるという条件である。
【0038】
このとき、基本配置9aは、実施の形態1に係る測角装置の場合と同様に、以下に示す制約を満たす必要がある。
・基本配置9aはアンテナ素子2aとアンテナ素子3aの両方によって構成されなければならない。
・測角対象が仰角θの場合、基本配置9aは鉛直方向の線形アレーアンテナである。
・測角対象が方位角φの場合、基本配置9aは水平方向の線形アレーアンテナである。
【0039】
次に、実施の形態2の測角装置について、図6の送信アレーアンテナ13に記載のアンテナ配置条件を用いた際の測角対象の角度に対する独立性の保証効果について、実施の形態1と同様に数式を用いて説明する。
【0040】
図6記載の送信アレーアンテナ13を構成する基準配置9aのアレーファクタをaarbTx(θ)、アンテナ素子2aで構成される領域のアレーファクタをapri1Tx(θ)、アンテナ素子3aで構成される領域のアレーファクタをapri2Tx(θ)とする。このときアレーファクタaarbTx(θ)は以下のように記述できる。
priTx(θ)=apri1Tx(θ)+apri2Tx(θ) (5)
【0041】
図6記載の仮想アレーアンテナ11も、仰角θを測角対象としているため、基本配置9aは鉛直方向の線形アレーであり、式(5)のアレーファクタapriTx(θ)はθに対する関数となっている。
このとき、送信アレーアンテナ13は、基本配置9aと任意の3次元アンテナ配置12の畳み込みとして構成され、MIMOレーダの仮想アレーアンテナ11は、送信アレーアンテナ13と受信アレーアンテナ1aの畳み込みとして構成される。前述のように、アンテナ配置が空間での畳み込みで表現できる場合、アレーファクタはそれらのアンテナ配置のアレーファクタの積となる。よって、送信アレーアンテナ13の任意の3次元アンテナ配置12のアレーファクタをaarbTx(θ,φ)、受信アレーアンテナ1aのアレーファクタをaRx(θ,φ)とすると、仮想アレーアンテナ11のアンテナ素子2aからなる領域のアレーファクタaMIMO1(θ,φ)とアンテナ素子3aからなる領域のアレーファクタaMIMO2(θ,φ)は以下の様に表すことができる。
【0042】
MIMO1(θ,φ)=apri1Tx(θ)・aarbTx(θ,φ)・aRx(θ,φ) (6)
MIMO2(θ,φ)=apri2Tx(θ)・aarbTx(θ,φ)・aRx(θ,φ) (7)
このとき、仰角θのモノパルス測角の評価関数Δ/Σは、式(6)と式(7)から以下のように記述することができる。

【0043】
式(8)から明らかなように、実施の形態2のアンテナ配置条件を適用したMIMOレーダにおける仮想アレーアンテナ11においては、仰角θのモノパルス測角の評価関数Δ/Σから、方位角φに対する依存性が除去され、仰角θにのみ感度を持つ関数となっていることがわかる。
【0044】
実施の形態2に係る測角装置の構成と処理の流れを図7に示す。図7の測角装置においては、受信アレーアンテナ1aの各アンテナ素子で受信された受信信号が、送信信号分離部14で送信アレーアンテナ13の各アンテナ素子に対応した信号に分離される。この処理により、「送信信号分離部14による分離信号数」×「受信アレーアンテナ1aの素子数」の信号が生成される。それらの信号が、領域分割部15で、図6記載の仮想アレーアンテナ11の、アンテナ素子2aにより構成される領域の信号と、アンテナ素子3aにより構成される領域の信号の2系統に分類される。それら2系統の信号について、図1記載の従来のモノパルス測角の場合と同様に、合成部5と合成部6によって差信号Δと和信号Σが作成され、除算部7によってモノパルス測角の評価関数であるΔ/Σが算出される。測角部8aでデータベース等の事前に取得済みのΔ/Σの情報と受信信号から導出したΔ/Σの比較により、測角結果が出力される。
【0045】
尚、図7において、送信信号分離部14は信号分離手段を構成し、合成部5,6は合成手段を、また、除算部7と測角部8aで測角手段を構成している。
【0046】
図6記載のMIMOレーダにおける仮想アレーアンテナ11においては、仰角θを独立に測角する場合のアンテナ配置条件を示しているが、方位角φを独立に測角する場合も同様の考え方で仮想アレーアンテナ11および送信アレーアンテナ13の配置を決定すればよい。そのとき、前述の基本配置の制約条件に記載したように、基本配置は水平方向の線形アレーアンテナとなっていればよい。
【0047】
図6記載のアンテナ配置では、MIMOレーダにおける仮想アレーアンテナ11はアンテナ素子2aおよびアンテナ素子3aによって構成されていたが、このアンテナ素子がサブアレーに置き換わった仮想アレーアンテナ11も、本発明の実施の形態2の範囲内となる。
その場合、図6における送信アレーアンテナ13の基本配置9aを構成するアンテナ素子2aおよびアンテナ素子3aを、実施の形態1の場合と同様にサブアレーに置き換えればよい。
【0048】
サブアレーにより構成される仮想アレーアンテナの場合も、図6に記載した仰角θをモノパルス測角の対象とする場合のみならず、方位角φを独立に測角する場合も同様の考え方で仮想アレーアンテナの配置を決定すればよい。そのとき、基本配置はサブアレーによって構成される水平方向の線形アレーアンテナとなっていればよい。
【0049】
また、本発明の実施の形態2に係る測角装置の図6においては、MIMOレーダにおける送信アレーアンテナ13を基本配置9aで構成することで、所望の到来角の独立なモノパルス測角を実現しているが、受信アレーアンテナ1aを基本配置9aと任意の3次元アンテナ配置の畳み込みとして構成しても構わない。その場合、処理の流れは従来のモノパルス測角の処理の流れを記載した図1と同様の流れとなる。
【0050】
以上、図6,図7および式(5)〜式(8)を用いて説明したように、本発明の実施の形態2の測角装置では、MIMOレーダにおける送信アレーアンテナあるいは受信アレーアンテナを、いくつかの制約を満たした線形アレーアンテナ配置と任意の3次元アンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成することで、測角対象の到来角の独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0051】
以上説明したように、実施の形態2の測角装置によれば、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成され、アンテナ素子からそれぞれ直交する信号を送信する機能を持つ3次元送信アレーアンテナと、任意の3次元受信アレーアンテナと、3次元受信アレーアンテナで受信した信号を送信信号ごとに分離する信号分離手段と、分離後の受信信号を、鉛直方向の線形アレーアンテナ配置における二つのグループに対応するように二つのグループに分割し、これら二つのグループの受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う測角手段とを備えたので、不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、仰角θの独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0052】
また、実施の形態2の測角装置によれば、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の水平方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成され、アンテナ素子からそれぞれ直交する信号を送信する機能を持つ3次元送信アレーアンテナと、任意の3次元受信アレーアンテナと、3次元受信アレーアンテナで受信した信号を送信信号ごとに分離する信号分離手段と、分離後の受信信号を、水平方向の線形アレーアンテナ配置における二つのグループに対応するように二つのグループに分割し、これら二つのグループの受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて方位角φのモノパルス測角を行う測角手段とを備えたので、不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、方位角φの独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0053】
また、実施の形態2の測角装置によれば、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の水平方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成され、アンテナ素子からそれぞれ直交する信号を送信する機能を持つ3次元送信アレーアンテナと、任意の3次元受信アレーアンテナと、3次元アレーアンテナで受信した信号を送信信号ごとに分離する信号分離手段と、分離後の受信信号を、鉛直方向の線形アレーアンテナ配置における二つのグループに対応するように二つのグループに分割し、これら二つのグループの受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する第1の合成手段と、第1の合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う第1の測角手段と、分離後の受信信号を、水平方向の線形アレーアンテナ配置における二つのグループに対応するように二つのグループに分割し、これら二つのグループの受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する第2の合成手段と、第2の合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて方位角φのモノパルス測角を行う第2の測角手段とを備えたので、不等間隔配置を3次元アンテナ配置に適用した場合でも、仰角θと方位角φの両方の独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0054】
また、実施の形態2の測角装置によれば、送信アレーアンテナを構成する複数のアンテナ素子がそれぞれ直交する信号を送信し、信号分離手段によって、受信後の信号を送信信号ごとに分離するMIMOレーダとしての機能を有するようにしたので、MIMOレーダとして、測角対象の到来角の独立なモノパルス測角を実現することができる。
【0055】
実施の形態3.
上記実施の形態1および実施の形態2に係る測角装置により、所望の到来角を独立に測角することができる。しかし、仰角θおよび方位角φの両方が測角対象である場合は、アンテナ素子配置の物理的な制約などから、両角度の独立な測角のためのアンテナ配置条件を満たすことが難しい場合がある。そのため、仰角θあるいは方位角φのどちらか一方のみ独立に測角できるといった状況が起こる。
【0056】
そこで、実施の形態3に係る測角装置では、そのようなどちらか一方の到来角のみ独立に測角できる場合に、独立性が保たれていない到来角についても、演算負荷の増大を抑えながらモノパルス測角を行うようにしている。
【0057】
実施の形態1に係る測角装置の図4や、実施の形態2にかかる測角装置の図6は、仰角θは独立にモノパルス測角を行えるが、方位角φのモノパルス測角は仰角θの影響を受けてしまう。このような場合の実施の形態3に係る測角装置の構成と処理の流れを図8に示す。
【0058】
図8に記載の測角装置は、図4や図6の場合のように仰角θは独立なモノパルス測角ができる場合を想定した処理の流れとなっている。まず、仰角θの測角のための差信号Δθと和信号Σを用い、仰角θモノパルス測角部16がΔθ/Σ1次元データ17を参照することで仰角θを推定する。仰角θモノパルス測角部16の出力である仰角θ測角値を用い、データ切り出し部19が、仰角φへの依存性によって2次元データとなっているΔφ/Σ2次元データ18から、仰角θの測角値に対応した部分のみ切り出し、1次元のΔφ/Σデータを作成する。方位角φモノパルス測角部20は、方位角φの測角のための差信号Δφと和信号Σおよびデータ切り出し部19により生成されたΔφ/Σ1次元データを用い、方位角φの独立性が保たれている場合と同様にモノパルス測角を行い、方位角φの測角値を求める。
【0059】
本発明の実施の形態3に係る測角装置の図8では、仰角θについてのみ独立なモノパルス測角ができる場合を示していたが、方位角φについてのみ独立なモノパルス測角ができる場合も、同様に処理を行う。すなわち、方位角φについてモノパルス測角を行い、方位角φの測角値を用いて仰角θのモノパルス測角のためのΔθ/Σのデータを1次元化し、1次元化されたデータを用いて仰角θのモノパルス測角を行えばよい。この場合は、仰角θモノパルス測角部16が方位角φモノパルス測角部となり、Δφ観測値を入力する。また、Δθ/Σ1次元データ17はΔφ/Σ1次元データとなり、データ切り出し部19は、Δθ/Σ2次元データからΔθ/Σ1次元データを切り出す。また、方位角φモノパルス測角部20は仰角θモノパルス測角部となり、Δθ/Σ1次元データと、仰角θの測角のための差信号Δθと和信号Σとを用いて仰角θの測角値を求める。
【0060】
以上、本発明の実施の形態3に係る測角装置では、モノパルス測角の独立性が保たれている到来角の測角結果を、独立性が保たれていない他方の到来角のモノパルス測角処理において参照することで、その到来角のモノパルス測角における2次元探索問題を1次元探索問題に変換する。これにより、演算負荷の増大を軽減することができる。
【0061】
以上説明したように、実施の形態3の測角装置によれば、仰角θのモノパルス測角結果を参照し方位角φの測角のための2次元のΔφ/Σのデータから仰角θの測角結果に対応するΔφ/Σ1次元データを切り出すデータ切り出し部と、Δφ/Σ1次元データと、方位角φの測角のための差信号Δφと、和信号Σとを用い、方位角φのモノパルス測角を行う方位角φモノパルス測角部とを備えたので、方位角φの独立な測角のためのアンテナ配置条件を満たすことが難しいといった場合でも、方位角φのモノパルス測角の演算負荷軽減を実現することができる。
【0062】
また、実施の形態3の測角装置によれば、方位角φのモノパルス測角結果を参照し仰角θの測角のための2次元のΔθ/Σのデータから方位角φの測角結果に対応するΔθ/Σ1次元データを切り出すデータ切り出し部と、Δθ/Σ1次元データと、仰角θの測角のための差信号Δθと、和信号Σとを用い、仰角θのモノパルス測角を行う仰角θモノパルス測角部とを備えたので、仰角θの独立な測角のためのアンテナ配置条件を満たすことが難しいといった場合でも、仰角θのモノパルス測角の演算負荷軽減を実現することができる。
【0063】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 3次元アレーアンテナ、1a 受信アレーアンテナ、2,2a,3,3a アンテナ素子、4,4a 境界、5,6 合成部、7 除算部、8,8a 測角部、9,9a 基本配置、10,12 任意の3次元アンテナ配置、11 仮想アレーアンテナ、13 送信アレーアンテナ、14 送信信号分離部、15 領域分割部、16 仰角θモノパルス測角部、17 Δθ/Σ1次元データ、18 Δφ/Σ2次元データ、19 データ切り出し部、20 方位角φモノパルス測角部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成される3次元受信アレーアンテナと、
前記3次元受信アレーアンテナにおいて、鉛直方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、これら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、
前記差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う測角手段を備えたことを特徴とする測角装置。
【請求項2】
任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の水平方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成される3次元受信アレーアンテナと、
前記3次元受信アレーアンテナにおいて、水平方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、これら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、
前記差信号Δと和信号Σを用いて方位角φのモノパルス測角を行う測角手段を備えたことを特徴とする測角装置。
【請求項3】
任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の水平方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成される3次元受信アレーアンテナと、
前記3次元受信アレーアンテナにおいて、鉛直方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、それら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する第1の合成手段と、
前記第1の合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う第1の測角手段と、
前記3次元受信アレーアンテナにおいて、水平方向の線形アレーアンテナの二つのアンテナ素子グループに対応するようにアンテナ素子を二つの領域に分割し、それら二つの領域の受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する第2の合成手段と、
前記第2の合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて方位角φのモノパルス測角を行う第2の測角手段とを備えたことを特徴とする測角装置。
【請求項4】
任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成され、前記アンテナ素子からそれぞれ直交する信号を送信する機能を持つ3次元送信アレーアンテナと、
任意の3次元受信アレーアンテナと、
前記3次元受信アレーアンテナで受信した信号を前記送信信号ごとに分離する信号分離手段と、
分離後の受信信号を、前記鉛直方向の線形アレーアンテナ配置における二つのグループに対応するように二つのグループに分割し、これら二つのグループの受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、
前記合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う測角手段とを備えたことを特徴とする測角装置。
【請求項5】
任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の水平方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成され、前記アンテナ素子からそれぞれ直交する信号を送信する機能を持つ3次元送信アレーアンテナと、
任意の3次元受信アレーアンテナと、
前記3次元受信アレーアンテナで受信した信号を前記送信信号ごとに分離する信号分離手段と、
分離後の受信信号を、前記水平方向の線形アレーアンテナ配置における二つのグループに対応するように二つのグループに分割し、これら二つのグループの受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する合成手段と、
前記合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて方位角φのモノパルス測角を行う測角手段とを備えたことを特徴とする測角装置。
【請求項6】
任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の鉛直方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の二つのグループのアンテナ素子で構成された1種類の水平方向の線形アレーアンテナ配置と、任意の3次元アレーアンテナ配置の空間的な畳み込みとして構成され、前記アンテナ素子からそれぞれ直交する信号を送信する機能を持つ3次元送信アレーアンテナと、
任意の3次元受信アレーアンテナと、
前記3次元アレーアンテナで受信した信号を前記送信信号ごとに分離する信号分離手段と、
分離後の受信信号を、前記鉛直方向の線形アレーアンテナ配置における二つのグループに対応するように二つのグループに分割し、これら二つのグループの受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する第1の合成手段と、
前記第1の合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて仰角θのモノパルス測角を行う第1の測角手段と、
分離後の受信信号を、前記水平方向の線形アレーアンテナ配置における二つのグループに対応するように二つのグループに分割し、これら二つのグループの受信信号について差信号Δと和信号Σを生成する第2の合成手段と、
前記第2の合成手段で生成された差信号Δと和信号Σを用いて方位角φのモノパルス測角を行う第2の測角手段とを備えたことを特徴とする測角装置。
【請求項7】
送信アレーアンテナを構成する複数のアンテナ素子がそれぞれ直交する信号を送信し、信号分離手段によって、受信後の信号を前記送信信号ごとに分離するMIMOレーダとしての機能を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の測角装置。
【請求項8】
仰角θのモノパルス測角結果を参照し方位角φの測角のための2次元のΔφ/Σのデータから仰角θの測角結果に対応するΔφ/Σ1次元データを切り出すデータ切り出し部と、
前記Δφ/Σ1次元データと、方位角φの測角のための差信号Δφと、和信号Σとを用い、方位角φのモノパルス測角を行う方位角φモノパルス測角部とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の測角装置。
【請求項9】
方位角φのモノパルス測角結果を参照し仰角θの測角のための2次元のΔθ/Σのデータから方位角φの測角結果に対応するΔθ/Σ1次元データを切り出すデータ切り出し部と、
前記Δθ/Σ1次元データと、仰角θの測角のための差信号Δθと、和信号Σとを用い、仰角θのモノパルス測角を行う仰角θモノパルス測角部とを備えたことを特徴とする請求項2または請求項5に記載の測角装置。
【請求項10】
線形アレーアンテナ配置において、構成するアンテナ素子を任意のサブアレーアンテナに置き換えたことを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の測角装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−242243(P2012−242243A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112620(P2011−112620)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】