湾曲した基板上にフィルムを貼る方法
本方法は実質的に平坦な初期形状を有する機能性フィルム(4)を基板の湾曲表面上部に貼付する。この目的を達成するために、フィルム(4)は、膜が変形されるとき、前記フィルムの各部分が膜に対して滑ることを可能とする接続手段(2)によって変形可能な膜(1)上に保持される。これは、変形によってフィルム内に生成される応力を低減する。本方法は、眼科用レンズに機能性フィルムを貼付するために適合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲した基板上にフィルムを貼る方法に関する。より具体的には、本発明は、連続的な構造、若しくは非連続的な構造を有する、又は連続的及び非連続的構造のフィルムの組合せである、一つ又はそれ以上のフィルムの積層体を含む、平坦な機能性フィルムを、球状の、又は偽球状の表面上に貼るための「低変形」法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の性能を有するレンズを得るために、光学レンズ又は眼鏡レンズの湾曲した面上にフィルムを貼ることは有効であることが多い。例えばフィルムは、偏向フィルム、コントラスト強調フィルム、フォトクロミックフィルム等であってよい。もしもレンズ面が湾曲しているならば、フィルムがレンズ面に貼られたとき、剥がれ、クラック、及び/又はしわがフィルム中に現れる。面とフィルムとの間の曲率が異なるためである。
【0003】
そのようなフィルムに対する損傷は、基板面が展開できる表面ではない場合、さらに深刻である。レンズ面の少なくとも一つは、球状又は偽球状の表面である。本発明において、「湾曲した表面」という表現は偽球状表面、すなわち穴も段差も有さない凸面又は凹面を意味する。無限焦点の、一焦点の、二焦点の、三焦点の、及び累進多焦点眼科用レンズは全て、少なくとも一つのそのような偽球状表面を有する。さらに、球状表面は偽球状表面の特別な場合であり、二つの直角な方向における表面の曲率半径が等しい。「偽球状表面」という表現は、したがって、特別な場合である球状表面を含む。
【0004】
フィルムの損傷を防ぐために、基板に貼る前にフィルムに適当な初期湾曲を与えることによって、それをプリフォームすることが知られている。特に、フィルムは熱成形プロセスによってプリフォームされ得る。この場合、フィルムを加熱することによって、フィルムの変形によるフィルムへの損傷が少なくなるように、フィルムをより柔軟にすることができる。しかしながら、そのようなプリフォーミングはフィルムの変形の原因となり、この変形は好ましいものではなく、フィルムの機能性及び/又は外見を悪化させる場合がある。
【0005】
様々な実施システムが知られているが、十分な結果が得られるものはない。これは、特に、フィルムが基板に眼科用レンズのような機能を付与するときに当てはまる。この場合、フィルムの機能性の低下及び外見上の欠陥に加えて、屈折の悪化が起こる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/013250号
【特許文献2】国際公開第2007/010414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、湾曲した基板上にフィルムを貼る新規の方法であって、フィルムの変形が低減され、フィルムに生成する欠陥が少ない方法を提案することである。
【0008】
この方法は、上述のような機能性フィルムによって基板に機能を加えるために有利に使用され、特に光学レンズ(とりわけ眼科用レンズ)を含み、それは補正レンズ又は非補正レンズであってよい。前記機能は、前記フィルムの内部及び/又は外部面、及び/又はフィルムの厚み内部に提供され得る。この使用において明確に、この方法は、その目的が視界を矯正又は保護することである、付与された機能を有するこの種の目的物に関する最適な光学透過性を保証するために、前記レンズの光学的性質、及び屈折性さえも、並びにその外観性も保たなくてはならない。結局、この方法は、フィルムが平坦な表面から球状又は偽球状表面に変わるとき、機能性フィルムにおける機能の一体性を保持しなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は実質的に平坦な初期形状を有する機能性フィルムを基板の湾曲面上に貼るための方法を提案し、この方法は変形段階を含み、その間機能性フィルムは変形され、機能性フィルムの形状が膜の変形に従って変化するように調整された接続構造体によって変形可能な補助膜の一つの面上に保持され、機能性フィルムは補助膜に平行に保たれ、補助膜のみが機械的手段によってその周縁で保持され、機能性フィルムは前記接続構造体によってのみ前記補助膜に接触して保持される。本発明によれば、変形段階の間、接続構造体は機能性フィルムの各部が局所的に補助膜に対して、及び補助膜に平行に動くことができるように調整され、膜に対する機能性フィルムの各部の動きは、機能性フィルム又は膜に対する外部の作用がない状態で、変形段階の間自由である。結果的に、膜上の機能性フィルムの滑りは、機能性フィルム内に発生する応力を最小化するような方法で起こる。
【0010】
工程の間フィルムはその周縁のどの箇所においても機械的手段によって拘束されないので、変形されたとき膜上を滑ることができ、その結果、平坦な形状から偽球状形状への変化に関連する変形によって起こる機能性フィルムの変形を低減する。したがって本発明の方法は、補助膜、フィルム、及び接続構造体を含むアセンブリの球形又は偽球形変形の間、以下のものが同時に存在することによって特徴付けられる。
・補助膜と接続構造体との界面における滑り現象;及び
・補助膜に対する、接続構造体及び機能性フィルムからなるアセンブリの密着したかつ永続的な保持の現象;この密着して保持することにより、補助膜において起こる変形に対して機能性フィルムの変形を強制的に調整させる。
【0011】
変形の間これらの二つの現象が同時に存在することで、機能性フィルムには以下のことが可能になる。
・一方で、アセンブリを接続構造体に結合する付着力又は毛細管力の効果を維持する結果、アセンブリ(補助膜、接続構造体、フィルム)に課せられた球状又は偽球状の形状に変化すること、及び
・一方で、補助膜と接続構造体との間で可能とされた滑り現象の結果、補助膜のものと比較して変形が非常に小さく、かつ分離される。
【0012】
本発明の方法を用いて機能性フィルムを基板上に貼り付ける際、これは機能性フィルムの中に生成する欠陥を低減する。特にそれは、特に基板がレンズである場合、機能性フィルムにより提供される基板の光学的機能と両立することができる。また、眼科用途等、外見上の要求を有する用途にも適合する。
【0013】
本発明において、機能性フィルムと変形可能な補助膜との間の接続構造体は、キャピラリー液体層又は粘弾性接着材料層を含む。したがって、本発明の接続構造体は、三つの役割を有する。
・その内部面と機能性フィルムとの間の密着した保持を提供する。
・キャピラリー液体層によって提供される接続の場合には、その外部面と変形可能な補助膜との間の最適化された滑りを、又は粘弾性接着材料層によって提供される接続の場合には最適化された流れを可能にする。
・積層される補助膜と機能性フィルムとの間の剪断のカップリングを低減し、結果的に機能性フィルム内部の変形を制限する。
【0014】
本発明の方法において、変形可能な補助膜は成形型として働く。
【0015】
変形段階の間、機能性フィルムの周縁端部が膜の周縁端部の内部にあるように、補助膜は機能性フィルムと比較して大きくなくてはならない。これは、本発明の方法の実行に関して、補助膜が装置内部に配置された機械的手段によってその周囲で保持されることを保証する。結果的に、補助膜の直径は基板に積層される機能性フィルムの最大寸法と比較して大きい。
【0016】
特にこの理由から、もしも基板が眼鏡フレームに組み込まれるべき眼科用レンズを含む場合、変形段階の前に、有利には、機能性フィルムは実質的にフレームのレンズハウジングの計測値に切断される。これは、眼科用レンズのブランク上に貼られるであろう、及びブランクの寸法を有するであろう機能性フィルムに対する、機能性フィルムの材料の節約にもつながる。
【0017】
補助膜の機械的性質も、機能性フィルムの変形を制限するのに重要である。機能性フィルムの機械的性質と補助膜の機械的性質との間には確証がなくてはならない。したがって、機能性フィルムの最小の変形のために(本発明の第1の目的)、補助膜が機能性フィルム以上の「剛性」を持つ必要がある。機能性フィルムに形状を付与するために、補助膜が前記機能性フィルム(機能性フィルムが補助膜内部に起こる歪みなしに補助膜が課す幾何学的形状に適合させられる)に対して機械的に十分に剛直である必要がある。本発明において、補助膜の剛性はヤング率と膜の厚みとの適切な組合せである。
【0018】
有利には、これは本発明の実施に関して本質的ではないが、接続構造体は、変形段階の間機能性フィルムに対して固定され、一方では変形段階の後機能性フィルム及び中間フィルムを含むアセンブリから変形可能な補助膜を分離するために適合され得る、中間フィルムをさらに含んでよい。変形段階の間、中間フィルムの各部分は膜に対して及び平行に局所的に移動することができ、機能性フィルムが同伴される。この種の中間フィルムは、例えば剥離されて、その後機能性フィルムから分離されてよい。この中間フィルムの主な機能は、機能性フィルム自身の物理的な及び機能的な性質を損なうことなく、接続構造体からの機能性フィルムの分離を促進することである。このフィルムは、成形による張り付け方法におけるその使用の前にそれを保護するために、特に、特定の温度で機能性フィルム上部に直接ラミネートされてよい。それは、製品の最終的な使用まで任意の外部衝撃から機能性フィルムを保護するために、機能性フィルムが基板に張り付けられた後、機能性フィルム上に保持されてもよい。
【0019】
本発明の方法の実行において、機能性フィルムを備える補助膜の変形段階は、フィルムを基板に貼る前に実行される機能性フィルムを予形成する段階の一部である。本発明において基板上部にフィルムを貼ることは、二つのものを付着することで終わる(機能性フィルムが基板よりも小さいとき)。この意味において、結合剤の一部をそれらの間に配置することによって、プロセスの最後に機能性フィルムが基板に付着するように、機能性フィルムは基板に貼られてよい。必要に応じて、結合剤部分は初期に機能性フィルム上に、その反対の側に、膜との接続に関して、存在する特定の層であってよい。
【0020】
本発明の他の特徴及び有利な点は、添付される図面に関連して与えられる、非制限的な実施形態の以下の記載の中で明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1a】本発明の実施に使用される基板の上面図である。
【図1b】本発明の実施に使用される基板の断面図である。
【図2】本発明の実施に使用される構造の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図4a】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図4b】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図4c】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図4d】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図5】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図6a】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図6b】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図6c】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図6d】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図7a】予め決められた補助膜−機能性フィルム対に関する接続構造体の適合の実現を可能にする試験装置を説明する。
【図7b】予め決められた補助膜−機能性フィルム対に関する接続構造体の適合の実現を可能にする試験装置を説明する。
【図7c】予め決められた補助膜−機能性フィルム対に関する接続構造体の適合の実現を可能にする試験装置を説明する。
【図7d】予め決められた補助膜−機能性フィルム対に関する接続構造体の適合の実現を可能にする試験装置を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
明確にするために、図に示される要素は実際の寸法又は実際の寸法比を再現しない。さらに、異なる図面の同じ参照番号は、同じであるか、又は同じ機能を有する要素を示す。
【0023】
図1a及び1bによると、基板は眼科用レンズ10からなる。この種のレンズは、凸面である前面の表面S1と凹面である背面の表面S2とを有する。鋳造による、又は射出成形によるその製造工程の終了時に、眼科用レンズ10は一般的に及び好ましくは円形の周辺端部、例えば直径6.5cm(センチメートル)、Bで示される、を有する。図1bにおいて、参照番号Cはレンズ10の切り取られた輪郭を示し、これは一対の眼鏡フレームのハウジング内部に組み込まれる準備ができたレンズの最終形状に対応する。レンズ10は眼科用分野で通常使用される任意の剛直な材料から構成されてよい。特に、それは、無機物、有機物、又は複合材料であってよい。非制限的な例示を目的として、材料は、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート及びポリカーボネートのコポリマー、ポリオレフィン、特にポリノルボルネン、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のポリマー及びコポリマー;(メタ)アクリル酸ポリマー及びコポリマー、特にビスフェノールAから誘導された(メタ)アクリル酸ポリマー及びコポリマー;チオ(メタ)アクリル酸ポリマー及びコポリマー;ウレタン及びチオウレタンポリマー及びコポリマー;エポキシポリマー及びコポリマー;エピスルフィドポリマー及びコポリマーから選択される。
【0024】
眼科用レンズは単に基板の例として選択されたが、本発明は、その各々の偽球状面にフィルムが貼付されなくてはならない他の基板を用いて実施されてよいことは理解される。
【0025】
図2によれば、多層構造体20は、暫定的な接続構造体によって互いに接続された補助膜1及び機能性フィルム4を含む。多層構造体20は、例えば標準的なラミネーション及び/又はコーティング法によって、それが単純な、特に大きなシートで、製造され得るように、平坦な初期構造を有する。したがって、その製造コストは低い。
【0026】
膜1は、フィルム4が変形されるとき、フィルム4を支持することを意図する。その後膜は、場合によっては予め加熱され、フィルムと同時に変形される。この目的を達成するために、膜は変形可能な材料から構成され、該材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリビニルアルコール(PVA)、多環式オレフィン(PCO)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、又はポリイミド(PI)に基づくものであってよいが、ここに列記したものは本発明を制限しない。膜1は単一の均一なフィルムであってよく、又はそれ自身が複数の層を含む積層構造を有してよい。膜1は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートの単一の均一な層からなる。補助膜1は、そのヤング率(E1)とその厚み(e1)の積が、機能性フィルム4のヤング率(E4)とその厚み(e4)の積と同じかそれよりも大きい。接続構造体に従う程、E1・e1の積の絶対値は積E4・e4の絶対値に近づく。
【0027】
フィルム4は、レンズ10上に積層されるとき、レンズ10に特別な機能を与えることを意図する。この機能は、フィルム自身の材料によって、又はフィルムの少なくとも一つの層によって提供されてよい。後者の場合、機能性フィルム4はベースフィルム、及びベースフィルムによって支えられる一つ以上の機能性層を含む。本発明において、用語「機能」は、構造的、光学的、物理的、又は物理化学的機能を指す。この種の機能は、光劣化又は光酸化に対する保護機能、耐衝撃機能、耐ひっかき性機能、反射防止機能、偏向機能、カラーフィルタ機能、フォトクロミック機能、帯電防止機能、防汚機能、複雑なピクセル化構造体又はミクロ構造体により提供される機能、を含み得る。表現「ピクセル化構造体又はミクロ構造体」は、特にフィルム及び/又は基板の一つの面に平行に並べて置かれたセルからなるセル状構造体を示す。そのようなフィルムは、特に国際公開第2006/013250号及び国際公開第2007/010414号に記述される。後者は特にそれらの構成内部の多数の機能を具体化することができる。光学用途、又は眼科用途に関して機能性フィルム4は、薄い色を付けてもよいが、透明である。
【0028】
これらの層のうちあるものは、当業者には知られるように、ベースフィルムに対して、仕上がったレンズ内で外部に曝されなくてはならない。図2において、これらの層の一つ以上は、参照番号4aによって示され、補助膜1に対向する機能性フィルム4の面上に配置される。膜1上部で暫定的にフィルム4を保持する接続構造体2は、膜1の形状がフィルム4に伝わるようなものであり、フィルム4は前記接続構造体を介して膜1と密着してかつ永続的に接触して保持される。さらに、フィルム4のどの部分も膜1に堅く固定されることはないが、一方で膜に平行なままで、膜に対して、少なくとも限られた範囲内で、動くことができる。結果的に、膜1及びフィルム4が湾曲しているとき、すなわち基板の輪郭に実質的に対応する偽球形の輪郭が形成されるとき、フィルム4の端部は接続構造体2を介して補助膜1の表面を滑ることができる。
【0029】
この目的で、接続構造体2は様々な種類であってよく、様々な構成を有する。第1の可能性によれば、フィルム4が液体層を含む接続構造体2によって、液体の毛細管現象で膜1上部に保持される。本発明において、用語「液体」は、材料がそれ自身の重量の下で十分な流動性を有する材料の状態を示す。液体としては、その沸点が、粘着が起こる温度よりも高いものが選ばれる。液体は、有利にはオイルである。
【0030】
他の可能性によれば、フィルム4が粘弾性を保持する接着材料層を含む接続構造体によって、膜1上部に保持される。この場合、接着材料の局所的な流れにより、フィルム4と膜1との対向する部分が、平行を保ちながら、互いに動くことが可能になる。この種の接着材料層の厚みは、特に接着材料の粘弾特性に応じて、調整が容易である。この第2の場合、機能性フィルム4の変形を最小化するために、この種の粘弾性接着材料を含むこの接続構造体の最良のコンプライアンスを保証することが必要である。用語「コンプライアンス」は、この接続構造体が剪断で変形される能力を示し、この性質は「構造体厚み/剪断弾性率」比に関係する。このコンプライアンスは、延性の高い粘弾性接着材料を用いて特に実現され得る。
【0031】
多くの粘弾性接着材料が使用されてよい。この材料、及びその厚みの選択は、積層体(補助膜、接続構造体、及び機能性フィルム)が本発明の主題である熱(成形)プロセスの間曝される条件に近い荷重条件の下で、補助膜1と機能性フィルム4との間に挿入される接続構造体のコンプライアンスを特徴付けるために設計された特定のサンプルに基づく予備試験によって導くことができる。図7a−7dによれば、サンプルは本方法の積層された三つの要素、すなわち補助膜1、接続構造体2、及び機能性フィルム4、を含む。試験に適するこれらのサンプルにおいて、積層体の各構成要素は材料M1、M2、及びM4のストリップを含み、各々補助膜1に使用される材料、接続構造体2に使用される材料、及び機能性フィルム4に使用される材料を表す。細長い形態を有するこれらの構成要素は、ストリップM1がクランプ「z」により長手方向の軸に沿って引っ張られ、要素M2及びM4はストリップM1と比較して長さが短く、したがって、クランプ「z」のグリップの後ろ及び外側に置かれ、ストリップM1とは密着を保つように配置される。ストリップM1及びM4の端部には四つのマーカー(w)がある。荷重がないとき、すなわち前記ストリップの長手方向の軸に垂直な重力により起こるものを除いてどのような張力も存在しないとき、マーカーの間の距離は長さl10及びl40である(各々試験装置の側面図及び上面図である、図7a及び7bを参照されたい)。選択された機能性フィルム4が使用される適切な(熱)成形工程の条件に可能な限り近い動力学的F、動的、及び熱的操作条件の下で引っ張りにおける累進的負荷がもたらされる。変形フェーズの間の引っ張り負荷の効果は、ストリップM1(補助膜1を体現する)が引き伸ばされ、密着した接続の結果として、ストリップM2(接続構造体2を体現する)を駆動することである。それに付随して、ストリップM2はストリップM4(機能性フィルム4を体現する)を駆動する傾向がある。システムは、ストリップM1、ストリップM2、及びストリップM4における引っ張り応力が厳密に引っ張り負荷Fの逆向きであるとき、応答により共に、平衡に達する。存在する力は、接続構造体からなる中間層の剪断を引き起こし、上述のように、機能性フィルム4の変形を与えるのは、この接続構造のコンプライアンス(言い換えれば、剪断応力が与えられたとき、変形されるその性能)である。この方法の形成段階の間、積層体の引張をシミュレートするため負荷を与えた後、マーカーは長さl1C及びl4Cで分離される(図7c及び7dを参照されたい)。補助膜M1に相当するサンプルの部分及び機能性フィルムM4に相当するサンプルの部分における各々の変位l1C−l10、及びl4C−l40は、例えば光学的エクステンシオメトリー等、当業者に知られる様々な方法によって測定することができる。構造M1−M4の所定の対に関して、接続構造体M2を有効なものとするため見出された適切なパラメータ(十分なコンプライアンスがあるか否か)は、M4に関して測定される相対的な変形とM1に関して測定される相対的な変形との間の比、すなわち(l4C−l40)×l10/(l1C−l10)×l40の結果である。その比は、もしも、例えば、「オイル」タイプ液体接続構造体の非常に良好な滑り性が利用される場合、ゼロに近づく傾向があり、見かけ上の滑りが接着性材料の粘弾性流メカニズム特性の結果であるとき、M2の性質である及び/又はM2の厚みの逆数である材料の剪断弾性率に伴い増加する。この比の1/100のオーダーの閾値は、接続構造体2の性質及び厚みを適格とするための選択の良好な基準である。この1/100の閾値は、補助膜が10%変形するときの機能性フィルムの0.1%の変形に相当する。したがって、本発明において、好ましい選択は本発明の方法によって成形するため準備された所定の補助膜1/機能性フィルム4の対に関して比(l4C−l40)×l10/(l1C−l10)×l40が最大0.01(1/100)に等しく、l10、l40、l1C、及びl4Cの値が上述の試験条件下で図7aから7dの装置を用いて決定されるような接続構造体2である。
【0032】
ポリアクリレートに基づく感圧接着剤(PSA)が、好ましくは本発明を実行するのに使用される。
【0033】
機能性フィルム4を補助膜1に接続する構造体2は、中間フィルムと呼ばれるサプリメンタリーフィルム3を任意に含んでもよい。フィルム3は機能性フィルム4と接続層2との間にある。それはフィルム4、又はそれによって支えられる薄層4aに固く固定される。この目的を達成するために、接着材料層3a、特に感圧接着剤、が機能性フィルム4と中間フィルム3との間に配置されてよい。一方の端部から開始して、膜1及び機能性フィルム4が互いに分離されるとき、それを可能にするのは接続層2であるように、層3の接着力は、好ましくは接続層2の接着力と比較して大きい。中間フィルム3は、層3aが可能にする結果として、フィルム4を剥離することによってその後分離されてよい。上述のように、この中間フィルム3の主な機能は、前記機能性フィルムによって提供される機能を劣化することなく、機能性フィルム4を保護すること、特に、プロセスの最後に接続構造体2及び補助膜1からのその分離を可能にすることである。この中間フィルムは、レンズ10が最終的に仕上げられるとき、接着プロセスの最後に、それを剥離することによって容易に取り除くように選択される。
【0034】
最終的に、構造体20はフィルム4をレンズ10の一面に接着するための結合剤のサプリメンタリー層5をさらに含んでよい。この目的を達成するために、層5はフィルム4上、フィルム4の接続構造体2とは反対の側に、に配置される。ここで記述される眼科用レンズ用途に関して、層5は透明であり、フィルム4を永続的にレンズ10に固定するよう適合される。したがって、特に、それを加熱することによって又は紫外線を照射することによって架橋される接着剤、又は感圧接着剤であってよい。レンズ10に貼られる前、結合剤層5は剥離フィルム6によって一時的に保護されてよい。この種のフィルム6は層5上、層5の機能性フィルム4とは反対の側に、に配置される。これは、膜1が機能性フィルム4と共に変形される前又は後のどちらかに取り除かれてよい。この種の剥離フィルムは、本発明の好ましい実施形態において、結合剤が感圧接着剤であるとき、特に使用される。ここでは示されない本発明の他の実施形態において、本発明の方法が実行される前に、結合剤はレンズ10上に直接置かれてよい。
【0035】
膜1はフィルム4が貼付されなくてはならないレンズ10の面と比較して大きい。その結果、膜1はレンズ10を完全に覆うことができ、レンズの端部Bの外側の、それ自身の周縁端部Eによって保持される。
【0036】
機能性フィルム4は、好ましくは、図2構造体20に存在するとき、使用される準備ができた最終的な眼科用レンズの寸法に事前に切り取られてもよい。表現「レンズの寸法に切り取られる」は、切り取られたときフィルム4がレンズよりも若干大きい、すなわち、フィルム4がレンズ10に貼られるとき輪郭Cの外側にある周縁端部Dを有することを意味する(図1bを参照されたい)。本発明の好ましい実施形態において、変形後、フィルム4は削られたレンズと同じ形状を有する、すなわち、機能性フィルム4の周縁端部は切り取られたレンズの輪郭Cと完全に一致する。削られたレンズの寸法に対するフィルム4のサイズのそのような減少は(これはレンズ10にフィルム4を貼る前に実行される)、特に上述の特徴を有する本発明の方法による接続構造体を使用するので、それが変形するときフィルム4内に生成される応力を有意に減少させる。さらに、フィルムの大量生産されたシートにおいて、フィルム4を削られたレンズの寸法に直接切り取ることも可能である。これは、フィルム4の材料の無駄を回避して、最終的なレンズの単位コストを低減させる助けとなる。
【0037】
結果的に膜1は機能性フィルム4と比較して大きく、したがってフィルム4の周縁端部Dは膜1の端部Eの内部に配置される。特に、円形の補助膜1を用いる本発明の有利な実施形態において、前記膜の直径は積層される機能性フィルム4の最大寸法と比較して大きい。端部B、C、D、及びEは図2に示され、それらの相対的位置が示される。機能性フィルム4の端部Dも、フィルムが眼鏡レンズに貼付されるとき、好ましくは、フレームに合うよう準備された眼鏡レンズの幾何学的形状に正確に従う削られたレンズ10の端部Cの内側と正確に一致する。
【0038】
膜1は、好ましくは、同じ変形を受けた機能性フィルム4の機械的強度と比較して大きい、変形に対する機械的強度を有する。このように、構造体20が全体的に変形するとき、それが変形されたとき構造体内に生成される応力は、主として膜1内部で生成される。フィルム4内に現れる残留応力はしたがって低く、フィルム4内に現れやすい欠陥をさらに低減する。
【0039】
図2の構造体20を図1a及び1bのレンズ10に貼付する第1の方法は、図3及び4a−4dを参照して記述される。この方法において、膜1の二つの面の間に空気圧の差が生成されることによる予成形段階の間構造体20は変形される。これはその後レンズ10に積層される。
【0040】
図3に示されるように、封入体100(例えば垂直軸円筒形)はその上面が開いている。封入体100の側壁100aは、その上端部に構造体20を固定するためのシステムを備え、封入体100を密閉する。この固定システムは、例えば、図示されない締め付けネジを用いて、側壁100aと構造体20の補助膜1の周縁端部との間の固定リング11によって圧縮されることが意図されるO−リング等の、密閉手段を含む。
【0041】
任意の幾何学的形状を有するレンズ10を保持することができるレンズ支持体12は、シリンダ13の端部において封入体100内に配置される。シリンダ13はピストン14と組み合わされ、支持体12を、固定リング11のレベルよりも高く、封入体100の内部へ持ち上げる。シリンダ13およびピストン14による支持体12の動きは、例えば電気的に又は油圧で、封入体100の外部から制御される。この種のリモート制御は知られていると思われるので、ここで改めて記述はしない。
【0042】
封入体100は、適切なパイプによって外部ガスソース(図示されない)に接続されるオリフィス15を有する。このソースは、制御された空気圧が封入体100内部に実現されることを可能にする。結果的に、封入体100内部の圧力は封入体100外部の周囲圧力に対して増加され、又は減少され得る。封入体100内の圧力は、支持体12の位置及び動きとは独立に変えられ、又は制御されることができる。言い換えれば、封入体100内の圧力及び支持体12の位置は、別個の制御手段によって調整される。
【0043】
最終的に、加熱システム16が封入体100の上方に、本発明による構造体20からなる封入体密閉手段に対向して、配置される。放射赤外線加熱システムは特に簡単で迅速な使用を可能にするが、代わりに他の加熱システムが使用されてよい。
【0044】
加熱システム16、封入体100内部の圧力、及び支持体12の位置は、本発明による貼付を実行するため、装置の様々なパラメータの一連の変化を実行するためのプログラム可能な自動制御装置によって有利に制御される。
【0045】
所定のフレームに取り付けられる準備ができた眼鏡レンズの幾何学的形状に削られたレンズ10は、面S1を上に向けて支持体12に取り付けられる。その後、支持体12は封入体100内部の低い位置に移動される。
【0046】
構造体20を保護するフィルム6は結合剤層5を露出するため取り除かれる。構造体20は、結合剤層5を有する機能性フィルム4の面S0が封入体の内部を向くように、図2(図2の下方向を向くよう配置された)及び図3(図3の上方向を向くよう配置された)において示される配置された方向と一致して、補助膜1及びリング11によって封入体100に固定される。この構成において、レンズ10の面S1は機能性フィルム4の面S0の下に離隔して置かれ、封入体100は補助膜1によって密封される。装置の使用のこの構成において、機能性フィルム4は固定リング11によって封入体100上部に保持されない。
【0047】
第1の段階の間、封入体100内部の圧力は増加され、構造体20の二つの側の間に0.1barから4.0barの間の、好ましくは0.1barから1.0barの間の、空気圧の差ΔP1を生成する。封入体100の外側の圧力は大気圧であり、封入体100は高い圧力を有する。この段階の間、構造体20はシステム16によって加熱され、より柔軟に、より可塑性に、及びより伸張性になる。構造体20の温度T1は、80℃から180℃の間である。封入体100の圧力を増加する前に構造体20を加熱すること、及び封入体100内の圧力が増加する間構造体20の温度を保持するよう加熱を継続することは有利であり得る。構造体20はその後、図4aに示されるように、封入体100の外部に向かって膨張することによって、実質的に球形状を仮定する。
【0048】
構造体20の加熱はその後停止され、構造体20の温度は10℃から40℃の間である周囲温度T0と実質的に等しくされる。封入体100内部の圧力は第2の段階の間減少されてよく、構造体20の二つの側の間の空気圧差ΔP2が得られる。小さな面積を移動する場合、貼付は好ましくは変形圧力において実施される:フィルム4は弾性成分によって応力を与えられることなく、貼付段階の間圧力を低減する必要はない。貼付圧力は成形圧力ΔP1と0.05barとの間である。したがって封入体100は連続的に加圧される。膜1の部分的な弾性挙動により、封入体100の外部へ向かう構造体20の膨張は減少する。高い圧力値ΔP2は、機能性フィルム4の湾曲がレンズ10の凸面S1の湾曲と比較して若干小さくなるように選択される(図4b)。これらの第1及び第2段階は、初期にゼロであるフィルム4の湾曲とレンズ10の面S1の湾曲との間にある湾曲の値にフィルム4の予成形を構成する。この場合、この予成形は熱成形工程によって実施される。
【0049】
第3段階の間、支持体12は、レンズ10の面S1がフィルム4の面S0上に存在する結合剤層5と接触するようになるように持ち上げられる。二つの面S0及びS1の各々の湾曲のため、接触はまずレンズ10の中心において起こり(図4c)、その後支持体12が上昇し続けるのに伴い放射状に膨張する。レンズ10の面S1はその後、封入体100の外側に向かって、支持体12を上昇する前のフィルムの位置を越えて、構造体20を押す。したがってレンズ10の面S1はフィルム4の面S0に対して、相対的な動きが0.1から1.0mm/sの間であってよい速度で、徐々に押し付けられる。この速度の上限値は構造体20の可塑性挙動に依存する。このように、しわをつけたり、裂いたりすることなく(図4d)、変形が最小限であるように、フィルム4は面S1の形状になる。この第3段階の間フィルムの温度は一定であり、例えば周囲温度と等しいように保たれる。
【0050】
待ち時間の間(0.5秒から2分の間とすることができる)、レンズ10はフィルム4に対して押し付けられ続けてよい。その後封入体100の加圧は終了され、支持体12は下げられ、固定リング11は取り外される。レンズ10はその後面S1に積層された構造体20と共に回収される。もしも層5が重合可能な接着剤から構成される場合、レンズ10及び構造体20はUV照射又は熱流に曝され、永続的に付着が固定される。必要に応じて、この露出段階は、増加された圧力ΔP2が印加されたまま、封入体100からレンズ10及び構造体20を取り外す前に実行されてよい。
【0051】
補助膜1はその後レンズ10から分離され、接続層2の破壊を引き起こす。そのような分離は、例えば剥離によって実行され得る。中間フィルム3、接着材料層3a、機能性フィルム4、及び結合剤層5からなるアセンブリ21は、その後レンズ10に貼付される。
【0052】
もしも機能性フィルム4が削られたレンズ10の周縁端部Cと比較して大きい周縁端部Dを有する場合、周縁端部Cと等しい周縁端部を有するように、それはその後切り取られる。最終的に中間フィルム3は剥がされてよく、使用の準備ができた眼科用レンズが仕上がる。
【0053】
本発明は、以下の特定の条件下で実施される。
・レンズ10の面S1が、曲率半径68mm、及び直径65mmの球である。
・膜1は厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)である。
・機能性フィルム4は厚み80μmのセルローストリアセテート(CTA)のベースフィルムからなり、機械的保護及び反射防止の二つの機能を有する層4aからなるコーティングを備える。
・接続層2は厚み25μmの感圧接着剤(PSA)の層である。
・中間フィルム3はポリ塩化ビニル(PVC)であり、感圧性接着剤(PSA)の予めコーティングされた層によってフィルム4に固定され、全体の厚みは70μmである。
・中間フィルムは予め眼科用レンズの以下の寸法に減少される:幅32mm、長さ55mm、及び長い対角線が58mm。
【0054】
図3及び4a−4dに関して記述されるアプリケーションプロセスの間、前述の構造体20は、120℃で30秒間加熱され、その後封入体100内の圧力を0.9barまで上昇させ、同時に構造体20の加熱を継続して、予成形される。
【0055】
これらの条件の下で、フィルム4の変形は中心で最大であり、その値は1%のオーダーである。その値は中心における補助膜1の変形の1/5から1/10である。
【0056】
図5及び6a−6cは、機能性フィルム4をレンズ10上部に貼るための本発明の他の方法を示し、その間膜は機能性フィルム4と反対側の膜に対してバッファパッドを押し付けることによって変形される。
【0057】
図5に示される装置はこのために使用され得る。この種の装置は低圧封入体100、及び剛体構造による封入体の上方に保持されるアプリケータシステム200を備える。
【0058】
低圧封入体100は、これも垂直軸シリンダである側壁100aを有する。これはクランピングリング11と合わされ、構造体20を壁100aの上部周縁端部に固定する。したがって封入体100は上部において密閉される。固定された高さにおいて、それはベース101より上に配置される。封入体100の下方の面を通過する垂直軸シリンダ13及びピストン14は、封入体100内部で支持体12を垂直に移動させる。固定化システム17は支持体12の高さを固定し、壁100aはガスインレットオリフィス15及びアスピレーションオリフィス16を含む。オリフィス16は図示されないポンピングユニットに接続される。
【0059】
アプリケーションシステム200は、変位システム202によって移動することができる、垂直スライド203に取り付けられたバッファパッド201を含む。この種の変異システムは、例えば主ねじを駆動するステッピングモータを備えてよい。圧力センサ204は圧電性素子を備えてよく、構造体20に対するバッファパッド201にかかる力を測定する。
【0060】
構造体20は再度補助膜1によってリング11を用いて封入体100に固定される。それは、機能性フィルム4の面S0が封入体100の内部に向かうように、図2及び5において示される定められた垂直方向Nに向けて、配置される。この段階において、もしも構造体20が保護フィルム6を含む場合、このフィルムは結合剤層5を覆わないように取り除かれる。
【0061】
レンズ10は、その面S1が再度上方を向くように、支持体12に固定される。ピストン14は、レンズ10及び構造体20が互いに離隔されるように、低い位置にある。
【0062】
構造体20は、段階において構造体20及びレンズ10を互いに向かって動かすことによって、レンズ10にその後貼られてよい。
【0063】
第1段階において(図6a)、バッファパッド201は構造体20の中心位置を封入体100内部に向かって押すために、低くされる。構造体20がその周縁において補助膜1及びリング11によって固く保持される条件下で、それは変形され、及び湾曲構造とされ、これはバッファパッド201の下方端部の湾曲と一致する。この第1段階は、それがその後レンズ10の湾曲面S1に規則的に貼付され得るように構造体20を予成形することからなる。
【0064】
第2段階において(図6b)、封入体100内部で、それらの間の圧力を減少することによって、レンズ10は構造体20に向かって動かされる。ピストン14は、封入体100に初期に存在するガスがオリフィス16を介して吸引されるに従い、上昇する。吸引は、構造体20とレンズ10の面S1との間に接触点が出来るとき、停止される。その後ピストン14の高さは、ロッキングシステム17によって固定される。
【0065】
最後に、第3段階において(図6c)、バッファパッド201は再度下げられ、構造体20のレンズ10とは反対の側において、構造体20上部にそれを押し付ける。これは構造体20を、結合剤層5がそれらの間に固定された状態で、レンズ10の面S1全体に対して押し付ける。バッファパッド201の端部は好ましくは変形可能な、かつ柔軟な材料で作られており、レンズ10全体への構造体20の規則的な貼付が得られる。構造体20は、その後バッファパッド201によって面S1全体に対して押される。
【0066】
その後リング11は解放され、バッファパッド201は上昇される。レンズ10は、その前面S1に構造体20が積層された状態で、装置から取り外される。眼科用レンズの作製は前述したものと同じ方法で仕上げられてよい。
【0067】
本発明は眼科用レンズの凸前面構造の貼付に関して詳細が記述されたけれども、封入体100内部に生成される過剰な空気圧又は低減された圧力を調整することによって、凹状の背面にも同様の方法で貼り付けができることは理解される。さらに、初期に機能性フィルムを組み込む、又は使用されるアプリケータ装置を組み込む構造体の構成のどちらかに関連して本発明の多くの他の応用が実行され得る。
【符号の説明】
【0068】
S1 前面
S2 背面
1 補助膜
2 接続構造体
4 機能性フィルム
5 結合剤層
6 保護フィルム
10 レンズ
20 多層構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲した基板上にフィルムを貼る方法に関する。より具体的には、本発明は、連続的な構造、若しくは非連続的な構造を有する、又は連続的及び非連続的構造のフィルムの組合せである、一つ又はそれ以上のフィルムの積層体を含む、平坦な機能性フィルムを、球状の、又は偽球状の表面上に貼るための「低変形」法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の性能を有するレンズを得るために、光学レンズ又は眼鏡レンズの湾曲した面上にフィルムを貼ることは有効であることが多い。例えばフィルムは、偏向フィルム、コントラスト強調フィルム、フォトクロミックフィルム等であってよい。もしもレンズ面が湾曲しているならば、フィルムがレンズ面に貼られたとき、剥がれ、クラック、及び/又はしわがフィルム中に現れる。面とフィルムとの間の曲率が異なるためである。
【0003】
そのようなフィルムに対する損傷は、基板面が展開できる表面ではない場合、さらに深刻である。レンズ面の少なくとも一つは、球状又は偽球状の表面である。本発明において、「湾曲した表面」という表現は偽球状表面、すなわち穴も段差も有さない凸面又は凹面を意味する。無限焦点の、一焦点の、二焦点の、三焦点の、及び累進多焦点眼科用レンズは全て、少なくとも一つのそのような偽球状表面を有する。さらに、球状表面は偽球状表面の特別な場合であり、二つの直角な方向における表面の曲率半径が等しい。「偽球状表面」という表現は、したがって、特別な場合である球状表面を含む。
【0004】
フィルムの損傷を防ぐために、基板に貼る前にフィルムに適当な初期湾曲を与えることによって、それをプリフォームすることが知られている。特に、フィルムは熱成形プロセスによってプリフォームされ得る。この場合、フィルムを加熱することによって、フィルムの変形によるフィルムへの損傷が少なくなるように、フィルムをより柔軟にすることができる。しかしながら、そのようなプリフォーミングはフィルムの変形の原因となり、この変形は好ましいものではなく、フィルムの機能性及び/又は外見を悪化させる場合がある。
【0005】
様々な実施システムが知られているが、十分な結果が得られるものはない。これは、特に、フィルムが基板に眼科用レンズのような機能を付与するときに当てはまる。この場合、フィルムの機能性の低下及び外見上の欠陥に加えて、屈折の悪化が起こる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/013250号
【特許文献2】国際公開第2007/010414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、湾曲した基板上にフィルムを貼る新規の方法であって、フィルムの変形が低減され、フィルムに生成する欠陥が少ない方法を提案することである。
【0008】
この方法は、上述のような機能性フィルムによって基板に機能を加えるために有利に使用され、特に光学レンズ(とりわけ眼科用レンズ)を含み、それは補正レンズ又は非補正レンズであってよい。前記機能は、前記フィルムの内部及び/又は外部面、及び/又はフィルムの厚み内部に提供され得る。この使用において明確に、この方法は、その目的が視界を矯正又は保護することである、付与された機能を有するこの種の目的物に関する最適な光学透過性を保証するために、前記レンズの光学的性質、及び屈折性さえも、並びにその外観性も保たなくてはならない。結局、この方法は、フィルムが平坦な表面から球状又は偽球状表面に変わるとき、機能性フィルムにおける機能の一体性を保持しなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は実質的に平坦な初期形状を有する機能性フィルムを基板の湾曲面上に貼るための方法を提案し、この方法は変形段階を含み、その間機能性フィルムは変形され、機能性フィルムの形状が膜の変形に従って変化するように調整された接続構造体によって変形可能な補助膜の一つの面上に保持され、機能性フィルムは補助膜に平行に保たれ、補助膜のみが機械的手段によってその周縁で保持され、機能性フィルムは前記接続構造体によってのみ前記補助膜に接触して保持される。本発明によれば、変形段階の間、接続構造体は機能性フィルムの各部が局所的に補助膜に対して、及び補助膜に平行に動くことができるように調整され、膜に対する機能性フィルムの各部の動きは、機能性フィルム又は膜に対する外部の作用がない状態で、変形段階の間自由である。結果的に、膜上の機能性フィルムの滑りは、機能性フィルム内に発生する応力を最小化するような方法で起こる。
【0010】
工程の間フィルムはその周縁のどの箇所においても機械的手段によって拘束されないので、変形されたとき膜上を滑ることができ、その結果、平坦な形状から偽球状形状への変化に関連する変形によって起こる機能性フィルムの変形を低減する。したがって本発明の方法は、補助膜、フィルム、及び接続構造体を含むアセンブリの球形又は偽球形変形の間、以下のものが同時に存在することによって特徴付けられる。
・補助膜と接続構造体との界面における滑り現象;及び
・補助膜に対する、接続構造体及び機能性フィルムからなるアセンブリの密着したかつ永続的な保持の現象;この密着して保持することにより、補助膜において起こる変形に対して機能性フィルムの変形を強制的に調整させる。
【0011】
変形の間これらの二つの現象が同時に存在することで、機能性フィルムには以下のことが可能になる。
・一方で、アセンブリを接続構造体に結合する付着力又は毛細管力の効果を維持する結果、アセンブリ(補助膜、接続構造体、フィルム)に課せられた球状又は偽球状の形状に変化すること、及び
・一方で、補助膜と接続構造体との間で可能とされた滑り現象の結果、補助膜のものと比較して変形が非常に小さく、かつ分離される。
【0012】
本発明の方法を用いて機能性フィルムを基板上に貼り付ける際、これは機能性フィルムの中に生成する欠陥を低減する。特にそれは、特に基板がレンズである場合、機能性フィルムにより提供される基板の光学的機能と両立することができる。また、眼科用途等、外見上の要求を有する用途にも適合する。
【0013】
本発明において、機能性フィルムと変形可能な補助膜との間の接続構造体は、キャピラリー液体層又は粘弾性接着材料層を含む。したがって、本発明の接続構造体は、三つの役割を有する。
・その内部面と機能性フィルムとの間の密着した保持を提供する。
・キャピラリー液体層によって提供される接続の場合には、その外部面と変形可能な補助膜との間の最適化された滑りを、又は粘弾性接着材料層によって提供される接続の場合には最適化された流れを可能にする。
・積層される補助膜と機能性フィルムとの間の剪断のカップリングを低減し、結果的に機能性フィルム内部の変形を制限する。
【0014】
本発明の方法において、変形可能な補助膜は成形型として働く。
【0015】
変形段階の間、機能性フィルムの周縁端部が膜の周縁端部の内部にあるように、補助膜は機能性フィルムと比較して大きくなくてはならない。これは、本発明の方法の実行に関して、補助膜が装置内部に配置された機械的手段によってその周囲で保持されることを保証する。結果的に、補助膜の直径は基板に積層される機能性フィルムの最大寸法と比較して大きい。
【0016】
特にこの理由から、もしも基板が眼鏡フレームに組み込まれるべき眼科用レンズを含む場合、変形段階の前に、有利には、機能性フィルムは実質的にフレームのレンズハウジングの計測値に切断される。これは、眼科用レンズのブランク上に貼られるであろう、及びブランクの寸法を有するであろう機能性フィルムに対する、機能性フィルムの材料の節約にもつながる。
【0017】
補助膜の機械的性質も、機能性フィルムの変形を制限するのに重要である。機能性フィルムの機械的性質と補助膜の機械的性質との間には確証がなくてはならない。したがって、機能性フィルムの最小の変形のために(本発明の第1の目的)、補助膜が機能性フィルム以上の「剛性」を持つ必要がある。機能性フィルムに形状を付与するために、補助膜が前記機能性フィルム(機能性フィルムが補助膜内部に起こる歪みなしに補助膜が課す幾何学的形状に適合させられる)に対して機械的に十分に剛直である必要がある。本発明において、補助膜の剛性はヤング率と膜の厚みとの適切な組合せである。
【0018】
有利には、これは本発明の実施に関して本質的ではないが、接続構造体は、変形段階の間機能性フィルムに対して固定され、一方では変形段階の後機能性フィルム及び中間フィルムを含むアセンブリから変形可能な補助膜を分離するために適合され得る、中間フィルムをさらに含んでよい。変形段階の間、中間フィルムの各部分は膜に対して及び平行に局所的に移動することができ、機能性フィルムが同伴される。この種の中間フィルムは、例えば剥離されて、その後機能性フィルムから分離されてよい。この中間フィルムの主な機能は、機能性フィルム自身の物理的な及び機能的な性質を損なうことなく、接続構造体からの機能性フィルムの分離を促進することである。このフィルムは、成形による張り付け方法におけるその使用の前にそれを保護するために、特に、特定の温度で機能性フィルム上部に直接ラミネートされてよい。それは、製品の最終的な使用まで任意の外部衝撃から機能性フィルムを保護するために、機能性フィルムが基板に張り付けられた後、機能性フィルム上に保持されてもよい。
【0019】
本発明の方法の実行において、機能性フィルムを備える補助膜の変形段階は、フィルムを基板に貼る前に実行される機能性フィルムを予形成する段階の一部である。本発明において基板上部にフィルムを貼ることは、二つのものを付着することで終わる(機能性フィルムが基板よりも小さいとき)。この意味において、結合剤の一部をそれらの間に配置することによって、プロセスの最後に機能性フィルムが基板に付着するように、機能性フィルムは基板に貼られてよい。必要に応じて、結合剤部分は初期に機能性フィルム上に、その反対の側に、膜との接続に関して、存在する特定の層であってよい。
【0020】
本発明の他の特徴及び有利な点は、添付される図面に関連して与えられる、非制限的な実施形態の以下の記載の中で明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1a】本発明の実施に使用される基板の上面図である。
【図1b】本発明の実施に使用される基板の断面図である。
【図2】本発明の実施に使用される構造の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図4a】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図4b】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図4c】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図4d】本発明の第1の実施形態を説明する。
【図5】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図6a】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図6b】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図6c】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図6d】本発明の第2の実施形態を説明する。
【図7a】予め決められた補助膜−機能性フィルム対に関する接続構造体の適合の実現を可能にする試験装置を説明する。
【図7b】予め決められた補助膜−機能性フィルム対に関する接続構造体の適合の実現を可能にする試験装置を説明する。
【図7c】予め決められた補助膜−機能性フィルム対に関する接続構造体の適合の実現を可能にする試験装置を説明する。
【図7d】予め決められた補助膜−機能性フィルム対に関する接続構造体の適合の実現を可能にする試験装置を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
明確にするために、図に示される要素は実際の寸法又は実際の寸法比を再現しない。さらに、異なる図面の同じ参照番号は、同じであるか、又は同じ機能を有する要素を示す。
【0023】
図1a及び1bによると、基板は眼科用レンズ10からなる。この種のレンズは、凸面である前面の表面S1と凹面である背面の表面S2とを有する。鋳造による、又は射出成形によるその製造工程の終了時に、眼科用レンズ10は一般的に及び好ましくは円形の周辺端部、例えば直径6.5cm(センチメートル)、Bで示される、を有する。図1bにおいて、参照番号Cはレンズ10の切り取られた輪郭を示し、これは一対の眼鏡フレームのハウジング内部に組み込まれる準備ができたレンズの最終形状に対応する。レンズ10は眼科用分野で通常使用される任意の剛直な材料から構成されてよい。特に、それは、無機物、有機物、又は複合材料であってよい。非制限的な例示を目的として、材料は、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート及びポリカーボネートのコポリマー、ポリオレフィン、特にポリノルボルネン、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のポリマー及びコポリマー;(メタ)アクリル酸ポリマー及びコポリマー、特にビスフェノールAから誘導された(メタ)アクリル酸ポリマー及びコポリマー;チオ(メタ)アクリル酸ポリマー及びコポリマー;ウレタン及びチオウレタンポリマー及びコポリマー;エポキシポリマー及びコポリマー;エピスルフィドポリマー及びコポリマーから選択される。
【0024】
眼科用レンズは単に基板の例として選択されたが、本発明は、その各々の偽球状面にフィルムが貼付されなくてはならない他の基板を用いて実施されてよいことは理解される。
【0025】
図2によれば、多層構造体20は、暫定的な接続構造体によって互いに接続された補助膜1及び機能性フィルム4を含む。多層構造体20は、例えば標準的なラミネーション及び/又はコーティング法によって、それが単純な、特に大きなシートで、製造され得るように、平坦な初期構造を有する。したがって、その製造コストは低い。
【0026】
膜1は、フィルム4が変形されるとき、フィルム4を支持することを意図する。その後膜は、場合によっては予め加熱され、フィルムと同時に変形される。この目的を達成するために、膜は変形可能な材料から構成され、該材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリビニルアルコール(PVA)、多環式オレフィン(PCO)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、又はポリイミド(PI)に基づくものであってよいが、ここに列記したものは本発明を制限しない。膜1は単一の均一なフィルムであってよく、又はそれ自身が複数の層を含む積層構造を有してよい。膜1は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートの単一の均一な層からなる。補助膜1は、そのヤング率(E1)とその厚み(e1)の積が、機能性フィルム4のヤング率(E4)とその厚み(e4)の積と同じかそれよりも大きい。接続構造体に従う程、E1・e1の積の絶対値は積E4・e4の絶対値に近づく。
【0027】
フィルム4は、レンズ10上に積層されるとき、レンズ10に特別な機能を与えることを意図する。この機能は、フィルム自身の材料によって、又はフィルムの少なくとも一つの層によって提供されてよい。後者の場合、機能性フィルム4はベースフィルム、及びベースフィルムによって支えられる一つ以上の機能性層を含む。本発明において、用語「機能」は、構造的、光学的、物理的、又は物理化学的機能を指す。この種の機能は、光劣化又は光酸化に対する保護機能、耐衝撃機能、耐ひっかき性機能、反射防止機能、偏向機能、カラーフィルタ機能、フォトクロミック機能、帯電防止機能、防汚機能、複雑なピクセル化構造体又はミクロ構造体により提供される機能、を含み得る。表現「ピクセル化構造体又はミクロ構造体」は、特にフィルム及び/又は基板の一つの面に平行に並べて置かれたセルからなるセル状構造体を示す。そのようなフィルムは、特に国際公開第2006/013250号及び国際公開第2007/010414号に記述される。後者は特にそれらの構成内部の多数の機能を具体化することができる。光学用途、又は眼科用途に関して機能性フィルム4は、薄い色を付けてもよいが、透明である。
【0028】
これらの層のうちあるものは、当業者には知られるように、ベースフィルムに対して、仕上がったレンズ内で外部に曝されなくてはならない。図2において、これらの層の一つ以上は、参照番号4aによって示され、補助膜1に対向する機能性フィルム4の面上に配置される。膜1上部で暫定的にフィルム4を保持する接続構造体2は、膜1の形状がフィルム4に伝わるようなものであり、フィルム4は前記接続構造体を介して膜1と密着してかつ永続的に接触して保持される。さらに、フィルム4のどの部分も膜1に堅く固定されることはないが、一方で膜に平行なままで、膜に対して、少なくとも限られた範囲内で、動くことができる。結果的に、膜1及びフィルム4が湾曲しているとき、すなわち基板の輪郭に実質的に対応する偽球形の輪郭が形成されるとき、フィルム4の端部は接続構造体2を介して補助膜1の表面を滑ることができる。
【0029】
この目的で、接続構造体2は様々な種類であってよく、様々な構成を有する。第1の可能性によれば、フィルム4が液体層を含む接続構造体2によって、液体の毛細管現象で膜1上部に保持される。本発明において、用語「液体」は、材料がそれ自身の重量の下で十分な流動性を有する材料の状態を示す。液体としては、その沸点が、粘着が起こる温度よりも高いものが選ばれる。液体は、有利にはオイルである。
【0030】
他の可能性によれば、フィルム4が粘弾性を保持する接着材料層を含む接続構造体によって、膜1上部に保持される。この場合、接着材料の局所的な流れにより、フィルム4と膜1との対向する部分が、平行を保ちながら、互いに動くことが可能になる。この種の接着材料層の厚みは、特に接着材料の粘弾特性に応じて、調整が容易である。この第2の場合、機能性フィルム4の変形を最小化するために、この種の粘弾性接着材料を含むこの接続構造体の最良のコンプライアンスを保証することが必要である。用語「コンプライアンス」は、この接続構造体が剪断で変形される能力を示し、この性質は「構造体厚み/剪断弾性率」比に関係する。このコンプライアンスは、延性の高い粘弾性接着材料を用いて特に実現され得る。
【0031】
多くの粘弾性接着材料が使用されてよい。この材料、及びその厚みの選択は、積層体(補助膜、接続構造体、及び機能性フィルム)が本発明の主題である熱(成形)プロセスの間曝される条件に近い荷重条件の下で、補助膜1と機能性フィルム4との間に挿入される接続構造体のコンプライアンスを特徴付けるために設計された特定のサンプルに基づく予備試験によって導くことができる。図7a−7dによれば、サンプルは本方法の積層された三つの要素、すなわち補助膜1、接続構造体2、及び機能性フィルム4、を含む。試験に適するこれらのサンプルにおいて、積層体の各構成要素は材料M1、M2、及びM4のストリップを含み、各々補助膜1に使用される材料、接続構造体2に使用される材料、及び機能性フィルム4に使用される材料を表す。細長い形態を有するこれらの構成要素は、ストリップM1がクランプ「z」により長手方向の軸に沿って引っ張られ、要素M2及びM4はストリップM1と比較して長さが短く、したがって、クランプ「z」のグリップの後ろ及び外側に置かれ、ストリップM1とは密着を保つように配置される。ストリップM1及びM4の端部には四つのマーカー(w)がある。荷重がないとき、すなわち前記ストリップの長手方向の軸に垂直な重力により起こるものを除いてどのような張力も存在しないとき、マーカーの間の距離は長さl10及びl40である(各々試験装置の側面図及び上面図である、図7a及び7bを参照されたい)。選択された機能性フィルム4が使用される適切な(熱)成形工程の条件に可能な限り近い動力学的F、動的、及び熱的操作条件の下で引っ張りにおける累進的負荷がもたらされる。変形フェーズの間の引っ張り負荷の効果は、ストリップM1(補助膜1を体現する)が引き伸ばされ、密着した接続の結果として、ストリップM2(接続構造体2を体現する)を駆動することである。それに付随して、ストリップM2はストリップM4(機能性フィルム4を体現する)を駆動する傾向がある。システムは、ストリップM1、ストリップM2、及びストリップM4における引っ張り応力が厳密に引っ張り負荷Fの逆向きであるとき、応答により共に、平衡に達する。存在する力は、接続構造体からなる中間層の剪断を引き起こし、上述のように、機能性フィルム4の変形を与えるのは、この接続構造のコンプライアンス(言い換えれば、剪断応力が与えられたとき、変形されるその性能)である。この方法の形成段階の間、積層体の引張をシミュレートするため負荷を与えた後、マーカーは長さl1C及びl4Cで分離される(図7c及び7dを参照されたい)。補助膜M1に相当するサンプルの部分及び機能性フィルムM4に相当するサンプルの部分における各々の変位l1C−l10、及びl4C−l40は、例えば光学的エクステンシオメトリー等、当業者に知られる様々な方法によって測定することができる。構造M1−M4の所定の対に関して、接続構造体M2を有効なものとするため見出された適切なパラメータ(十分なコンプライアンスがあるか否か)は、M4に関して測定される相対的な変形とM1に関して測定される相対的な変形との間の比、すなわち(l4C−l40)×l10/(l1C−l10)×l40の結果である。その比は、もしも、例えば、「オイル」タイプ液体接続構造体の非常に良好な滑り性が利用される場合、ゼロに近づく傾向があり、見かけ上の滑りが接着性材料の粘弾性流メカニズム特性の結果であるとき、M2の性質である及び/又はM2の厚みの逆数である材料の剪断弾性率に伴い増加する。この比の1/100のオーダーの閾値は、接続構造体2の性質及び厚みを適格とするための選択の良好な基準である。この1/100の閾値は、補助膜が10%変形するときの機能性フィルムの0.1%の変形に相当する。したがって、本発明において、好ましい選択は本発明の方法によって成形するため準備された所定の補助膜1/機能性フィルム4の対に関して比(l4C−l40)×l10/(l1C−l10)×l40が最大0.01(1/100)に等しく、l10、l40、l1C、及びl4Cの値が上述の試験条件下で図7aから7dの装置を用いて決定されるような接続構造体2である。
【0032】
ポリアクリレートに基づく感圧接着剤(PSA)が、好ましくは本発明を実行するのに使用される。
【0033】
機能性フィルム4を補助膜1に接続する構造体2は、中間フィルムと呼ばれるサプリメンタリーフィルム3を任意に含んでもよい。フィルム3は機能性フィルム4と接続層2との間にある。それはフィルム4、又はそれによって支えられる薄層4aに固く固定される。この目的を達成するために、接着材料層3a、特に感圧接着剤、が機能性フィルム4と中間フィルム3との間に配置されてよい。一方の端部から開始して、膜1及び機能性フィルム4が互いに分離されるとき、それを可能にするのは接続層2であるように、層3の接着力は、好ましくは接続層2の接着力と比較して大きい。中間フィルム3は、層3aが可能にする結果として、フィルム4を剥離することによってその後分離されてよい。上述のように、この中間フィルム3の主な機能は、前記機能性フィルムによって提供される機能を劣化することなく、機能性フィルム4を保護すること、特に、プロセスの最後に接続構造体2及び補助膜1からのその分離を可能にすることである。この中間フィルムは、レンズ10が最終的に仕上げられるとき、接着プロセスの最後に、それを剥離することによって容易に取り除くように選択される。
【0034】
最終的に、構造体20はフィルム4をレンズ10の一面に接着するための結合剤のサプリメンタリー層5をさらに含んでよい。この目的を達成するために、層5はフィルム4上、フィルム4の接続構造体2とは反対の側に、に配置される。ここで記述される眼科用レンズ用途に関して、層5は透明であり、フィルム4を永続的にレンズ10に固定するよう適合される。したがって、特に、それを加熱することによって又は紫外線を照射することによって架橋される接着剤、又は感圧接着剤であってよい。レンズ10に貼られる前、結合剤層5は剥離フィルム6によって一時的に保護されてよい。この種のフィルム6は層5上、層5の機能性フィルム4とは反対の側に、に配置される。これは、膜1が機能性フィルム4と共に変形される前又は後のどちらかに取り除かれてよい。この種の剥離フィルムは、本発明の好ましい実施形態において、結合剤が感圧接着剤であるとき、特に使用される。ここでは示されない本発明の他の実施形態において、本発明の方法が実行される前に、結合剤はレンズ10上に直接置かれてよい。
【0035】
膜1はフィルム4が貼付されなくてはならないレンズ10の面と比較して大きい。その結果、膜1はレンズ10を完全に覆うことができ、レンズの端部Bの外側の、それ自身の周縁端部Eによって保持される。
【0036】
機能性フィルム4は、好ましくは、図2構造体20に存在するとき、使用される準備ができた最終的な眼科用レンズの寸法に事前に切り取られてもよい。表現「レンズの寸法に切り取られる」は、切り取られたときフィルム4がレンズよりも若干大きい、すなわち、フィルム4がレンズ10に貼られるとき輪郭Cの外側にある周縁端部Dを有することを意味する(図1bを参照されたい)。本発明の好ましい実施形態において、変形後、フィルム4は削られたレンズと同じ形状を有する、すなわち、機能性フィルム4の周縁端部は切り取られたレンズの輪郭Cと完全に一致する。削られたレンズの寸法に対するフィルム4のサイズのそのような減少は(これはレンズ10にフィルム4を貼る前に実行される)、特に上述の特徴を有する本発明の方法による接続構造体を使用するので、それが変形するときフィルム4内に生成される応力を有意に減少させる。さらに、フィルムの大量生産されたシートにおいて、フィルム4を削られたレンズの寸法に直接切り取ることも可能である。これは、フィルム4の材料の無駄を回避して、最終的なレンズの単位コストを低減させる助けとなる。
【0037】
結果的に膜1は機能性フィルム4と比較して大きく、したがってフィルム4の周縁端部Dは膜1の端部Eの内部に配置される。特に、円形の補助膜1を用いる本発明の有利な実施形態において、前記膜の直径は積層される機能性フィルム4の最大寸法と比較して大きい。端部B、C、D、及びEは図2に示され、それらの相対的位置が示される。機能性フィルム4の端部Dも、フィルムが眼鏡レンズに貼付されるとき、好ましくは、フレームに合うよう準備された眼鏡レンズの幾何学的形状に正確に従う削られたレンズ10の端部Cの内側と正確に一致する。
【0038】
膜1は、好ましくは、同じ変形を受けた機能性フィルム4の機械的強度と比較して大きい、変形に対する機械的強度を有する。このように、構造体20が全体的に変形するとき、それが変形されたとき構造体内に生成される応力は、主として膜1内部で生成される。フィルム4内に現れる残留応力はしたがって低く、フィルム4内に現れやすい欠陥をさらに低減する。
【0039】
図2の構造体20を図1a及び1bのレンズ10に貼付する第1の方法は、図3及び4a−4dを参照して記述される。この方法において、膜1の二つの面の間に空気圧の差が生成されることによる予成形段階の間構造体20は変形される。これはその後レンズ10に積層される。
【0040】
図3に示されるように、封入体100(例えば垂直軸円筒形)はその上面が開いている。封入体100の側壁100aは、その上端部に構造体20を固定するためのシステムを備え、封入体100を密閉する。この固定システムは、例えば、図示されない締め付けネジを用いて、側壁100aと構造体20の補助膜1の周縁端部との間の固定リング11によって圧縮されることが意図されるO−リング等の、密閉手段を含む。
【0041】
任意の幾何学的形状を有するレンズ10を保持することができるレンズ支持体12は、シリンダ13の端部において封入体100内に配置される。シリンダ13はピストン14と組み合わされ、支持体12を、固定リング11のレベルよりも高く、封入体100の内部へ持ち上げる。シリンダ13およびピストン14による支持体12の動きは、例えば電気的に又は油圧で、封入体100の外部から制御される。この種のリモート制御は知られていると思われるので、ここで改めて記述はしない。
【0042】
封入体100は、適切なパイプによって外部ガスソース(図示されない)に接続されるオリフィス15を有する。このソースは、制御された空気圧が封入体100内部に実現されることを可能にする。結果的に、封入体100内部の圧力は封入体100外部の周囲圧力に対して増加され、又は減少され得る。封入体100内の圧力は、支持体12の位置及び動きとは独立に変えられ、又は制御されることができる。言い換えれば、封入体100内の圧力及び支持体12の位置は、別個の制御手段によって調整される。
【0043】
最終的に、加熱システム16が封入体100の上方に、本発明による構造体20からなる封入体密閉手段に対向して、配置される。放射赤外線加熱システムは特に簡単で迅速な使用を可能にするが、代わりに他の加熱システムが使用されてよい。
【0044】
加熱システム16、封入体100内部の圧力、及び支持体12の位置は、本発明による貼付を実行するため、装置の様々なパラメータの一連の変化を実行するためのプログラム可能な自動制御装置によって有利に制御される。
【0045】
所定のフレームに取り付けられる準備ができた眼鏡レンズの幾何学的形状に削られたレンズ10は、面S1を上に向けて支持体12に取り付けられる。その後、支持体12は封入体100内部の低い位置に移動される。
【0046】
構造体20を保護するフィルム6は結合剤層5を露出するため取り除かれる。構造体20は、結合剤層5を有する機能性フィルム4の面S0が封入体の内部を向くように、図2(図2の下方向を向くよう配置された)及び図3(図3の上方向を向くよう配置された)において示される配置された方向と一致して、補助膜1及びリング11によって封入体100に固定される。この構成において、レンズ10の面S1は機能性フィルム4の面S0の下に離隔して置かれ、封入体100は補助膜1によって密封される。装置の使用のこの構成において、機能性フィルム4は固定リング11によって封入体100上部に保持されない。
【0047】
第1の段階の間、封入体100内部の圧力は増加され、構造体20の二つの側の間に0.1barから4.0barの間の、好ましくは0.1barから1.0barの間の、空気圧の差ΔP1を生成する。封入体100の外側の圧力は大気圧であり、封入体100は高い圧力を有する。この段階の間、構造体20はシステム16によって加熱され、より柔軟に、より可塑性に、及びより伸張性になる。構造体20の温度T1は、80℃から180℃の間である。封入体100の圧力を増加する前に構造体20を加熱すること、及び封入体100内の圧力が増加する間構造体20の温度を保持するよう加熱を継続することは有利であり得る。構造体20はその後、図4aに示されるように、封入体100の外部に向かって膨張することによって、実質的に球形状を仮定する。
【0048】
構造体20の加熱はその後停止され、構造体20の温度は10℃から40℃の間である周囲温度T0と実質的に等しくされる。封入体100内部の圧力は第2の段階の間減少されてよく、構造体20の二つの側の間の空気圧差ΔP2が得られる。小さな面積を移動する場合、貼付は好ましくは変形圧力において実施される:フィルム4は弾性成分によって応力を与えられることなく、貼付段階の間圧力を低減する必要はない。貼付圧力は成形圧力ΔP1と0.05barとの間である。したがって封入体100は連続的に加圧される。膜1の部分的な弾性挙動により、封入体100の外部へ向かう構造体20の膨張は減少する。高い圧力値ΔP2は、機能性フィルム4の湾曲がレンズ10の凸面S1の湾曲と比較して若干小さくなるように選択される(図4b)。これらの第1及び第2段階は、初期にゼロであるフィルム4の湾曲とレンズ10の面S1の湾曲との間にある湾曲の値にフィルム4の予成形を構成する。この場合、この予成形は熱成形工程によって実施される。
【0049】
第3段階の間、支持体12は、レンズ10の面S1がフィルム4の面S0上に存在する結合剤層5と接触するようになるように持ち上げられる。二つの面S0及びS1の各々の湾曲のため、接触はまずレンズ10の中心において起こり(図4c)、その後支持体12が上昇し続けるのに伴い放射状に膨張する。レンズ10の面S1はその後、封入体100の外側に向かって、支持体12を上昇する前のフィルムの位置を越えて、構造体20を押す。したがってレンズ10の面S1はフィルム4の面S0に対して、相対的な動きが0.1から1.0mm/sの間であってよい速度で、徐々に押し付けられる。この速度の上限値は構造体20の可塑性挙動に依存する。このように、しわをつけたり、裂いたりすることなく(図4d)、変形が最小限であるように、フィルム4は面S1の形状になる。この第3段階の間フィルムの温度は一定であり、例えば周囲温度と等しいように保たれる。
【0050】
待ち時間の間(0.5秒から2分の間とすることができる)、レンズ10はフィルム4に対して押し付けられ続けてよい。その後封入体100の加圧は終了され、支持体12は下げられ、固定リング11は取り外される。レンズ10はその後面S1に積層された構造体20と共に回収される。もしも層5が重合可能な接着剤から構成される場合、レンズ10及び構造体20はUV照射又は熱流に曝され、永続的に付着が固定される。必要に応じて、この露出段階は、増加された圧力ΔP2が印加されたまま、封入体100からレンズ10及び構造体20を取り外す前に実行されてよい。
【0051】
補助膜1はその後レンズ10から分離され、接続層2の破壊を引き起こす。そのような分離は、例えば剥離によって実行され得る。中間フィルム3、接着材料層3a、機能性フィルム4、及び結合剤層5からなるアセンブリ21は、その後レンズ10に貼付される。
【0052】
もしも機能性フィルム4が削られたレンズ10の周縁端部Cと比較して大きい周縁端部Dを有する場合、周縁端部Cと等しい周縁端部を有するように、それはその後切り取られる。最終的に中間フィルム3は剥がされてよく、使用の準備ができた眼科用レンズが仕上がる。
【0053】
本発明は、以下の特定の条件下で実施される。
・レンズ10の面S1が、曲率半径68mm、及び直径65mmの球である。
・膜1は厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)である。
・機能性フィルム4は厚み80μmのセルローストリアセテート(CTA)のベースフィルムからなり、機械的保護及び反射防止の二つの機能を有する層4aからなるコーティングを備える。
・接続層2は厚み25μmの感圧接着剤(PSA)の層である。
・中間フィルム3はポリ塩化ビニル(PVC)であり、感圧性接着剤(PSA)の予めコーティングされた層によってフィルム4に固定され、全体の厚みは70μmである。
・中間フィルムは予め眼科用レンズの以下の寸法に減少される:幅32mm、長さ55mm、及び長い対角線が58mm。
【0054】
図3及び4a−4dに関して記述されるアプリケーションプロセスの間、前述の構造体20は、120℃で30秒間加熱され、その後封入体100内の圧力を0.9barまで上昇させ、同時に構造体20の加熱を継続して、予成形される。
【0055】
これらの条件の下で、フィルム4の変形は中心で最大であり、その値は1%のオーダーである。その値は中心における補助膜1の変形の1/5から1/10である。
【0056】
図5及び6a−6cは、機能性フィルム4をレンズ10上部に貼るための本発明の他の方法を示し、その間膜は機能性フィルム4と反対側の膜に対してバッファパッドを押し付けることによって変形される。
【0057】
図5に示される装置はこのために使用され得る。この種の装置は低圧封入体100、及び剛体構造による封入体の上方に保持されるアプリケータシステム200を備える。
【0058】
低圧封入体100は、これも垂直軸シリンダである側壁100aを有する。これはクランピングリング11と合わされ、構造体20を壁100aの上部周縁端部に固定する。したがって封入体100は上部において密閉される。固定された高さにおいて、それはベース101より上に配置される。封入体100の下方の面を通過する垂直軸シリンダ13及びピストン14は、封入体100内部で支持体12を垂直に移動させる。固定化システム17は支持体12の高さを固定し、壁100aはガスインレットオリフィス15及びアスピレーションオリフィス16を含む。オリフィス16は図示されないポンピングユニットに接続される。
【0059】
アプリケーションシステム200は、変位システム202によって移動することができる、垂直スライド203に取り付けられたバッファパッド201を含む。この種の変異システムは、例えば主ねじを駆動するステッピングモータを備えてよい。圧力センサ204は圧電性素子を備えてよく、構造体20に対するバッファパッド201にかかる力を測定する。
【0060】
構造体20は再度補助膜1によってリング11を用いて封入体100に固定される。それは、機能性フィルム4の面S0が封入体100の内部に向かうように、図2及び5において示される定められた垂直方向Nに向けて、配置される。この段階において、もしも構造体20が保護フィルム6を含む場合、このフィルムは結合剤層5を覆わないように取り除かれる。
【0061】
レンズ10は、その面S1が再度上方を向くように、支持体12に固定される。ピストン14は、レンズ10及び構造体20が互いに離隔されるように、低い位置にある。
【0062】
構造体20は、段階において構造体20及びレンズ10を互いに向かって動かすことによって、レンズ10にその後貼られてよい。
【0063】
第1段階において(図6a)、バッファパッド201は構造体20の中心位置を封入体100内部に向かって押すために、低くされる。構造体20がその周縁において補助膜1及びリング11によって固く保持される条件下で、それは変形され、及び湾曲構造とされ、これはバッファパッド201の下方端部の湾曲と一致する。この第1段階は、それがその後レンズ10の湾曲面S1に規則的に貼付され得るように構造体20を予成形することからなる。
【0064】
第2段階において(図6b)、封入体100内部で、それらの間の圧力を減少することによって、レンズ10は構造体20に向かって動かされる。ピストン14は、封入体100に初期に存在するガスがオリフィス16を介して吸引されるに従い、上昇する。吸引は、構造体20とレンズ10の面S1との間に接触点が出来るとき、停止される。その後ピストン14の高さは、ロッキングシステム17によって固定される。
【0065】
最後に、第3段階において(図6c)、バッファパッド201は再度下げられ、構造体20のレンズ10とは反対の側において、構造体20上部にそれを押し付ける。これは構造体20を、結合剤層5がそれらの間に固定された状態で、レンズ10の面S1全体に対して押し付ける。バッファパッド201の端部は好ましくは変形可能な、かつ柔軟な材料で作られており、レンズ10全体への構造体20の規則的な貼付が得られる。構造体20は、その後バッファパッド201によって面S1全体に対して押される。
【0066】
その後リング11は解放され、バッファパッド201は上昇される。レンズ10は、その前面S1に構造体20が積層された状態で、装置から取り外される。眼科用レンズの作製は前述したものと同じ方法で仕上げられてよい。
【0067】
本発明は眼科用レンズの凸前面構造の貼付に関して詳細が記述されたけれども、封入体100内部に生成される過剰な空気圧又は低減された圧力を調整することによって、凹状の背面にも同様の方法で貼り付けができることは理解される。さらに、初期に機能性フィルムを組み込む、又は使用されるアプリケータ装置を組み込む構造体の構成のどちらかに関連して本発明の多くの他の応用が実行され得る。
【符号の説明】
【0068】
S1 前面
S2 背面
1 補助膜
2 接続構造体
4 機能性フィルム
5 結合剤層
6 保護フィルム
10 レンズ
20 多層構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に平坦な初期形状を有する機能性フィルム(4)を基板(10)の湾曲面上に貼付するための方法であって、以下を含むことを特徴とする方法:
変形段階であって、その間機能性フィルム(4)は変形され、及びその間前記機能性フィルムは、機能性フィルムの形状が膜の変形に従って変化するように調整された接続手段によって変形可能な補助膜(1)の一つの面上に保持され、機能性フィルムは膜に平行に保たれ、補助膜のみが機械的手段によってその周縁で保持され、機能性フィルムは前記接続手段によってのみ前記補助膜に接触して保持され、変形段階の間、接続手段は機能性フィルム(4)の各部が局所的に膜(1)に対して、及び膜(1)に平行に動くことができるようにさらに調整される。
【請求項2】
膜(1)に対する機能性フィルム(4)の各部の動きは、前記機能性フィルム又は前記膜に対する外部の作用がない状態で、変形段階の間自由である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
接続構造体がキャピラリー液体層、又は粘弾性接着材料層(2)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
接続構造体が、前記方法が実行される温度と比較して高い沸点を有する液体を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
接続構造体がオイルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
接続構造体が感圧接着剤を含む粘弾性接着材料層である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
変形段階の間前記機能性フィルムの周縁端部(D)が前記膜の周縁端部(E)の内側にあるように、膜(1)が機能性フィルム(4)と比較して大きい、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
円形状の膜(1)が機能性フィルム(4)の最大寸法と比較して大きな直径を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
変形に関する膜(1)の機械的強度が、前記変形に関する機能性フィルム(4)の機械的強度と比較して大きい、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
膜(1)のヤング率と厚みの組合せが、機能性フィルム4のヤング率と厚みの組合せと比較して大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
膜(1)が、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びポリエチレンテレフタレートから選択される材料の単一な均一層からなる、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
膜(1)は前記膜の二つの面の間に空気圧差を生成することによって変形され、膜の前記面の一つが機能性フィルム(4)を保持する、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
膜は、前記膜の機能性フィルムとは反対の面に対してバッファパッドを押し付けることによって変形される、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
接続構造体は中間フィルム(3)を含み、前記中間フィルム(3)は変形段階の間機能性フィルム(4)に対して固定され、前記中間フィルムの各部分は膜(1)に対して及び平行に局所的に移動することができ、
前記中間フィルムは、変形段階の後、膜(1)の、機能性フィルム(4)及び中間フィルム(3)を含むアセンブリ(21)からの分離を可能とするために調整され得る、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
中間フィルム(3)が剥離により機能性フィルム(4)から分離されるようさらに調整される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
機能性フィルム(4)がベースフィルム、及び任意に前記ベースフィルムによって支えられる一つ以上の機能性層(4a)を含み、ベースフィルム自身が、又は機能性層(4a)と組み合わせて、光劣化又は光酸化に対する保護機能、耐衝撃機能、耐ひっかき性機能、反射防止機能、偏向機能、カラーフィルタ機能、フォトクロミック機能、帯電防止機能、防汚機能、複雑なピクセル化構造体又はミクロ構造体により提供される機能、から選択される少なくとも一つの機能を有する:ピクセル化構造体又はミクロ構造体は、特にセル状構造体を意味する、請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
機能性フィルム(4)は、前記機能性フィルムの一つの面に平行に並べて置かれたセルを含む少なくとも一つのセル状構造体を含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記変形段階は、前記機能性フィルムを基板(10)上部に貼付する前に実施される機能性フィルム(4)を予成形する段階に含まれる、請求項1から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
この工程の最後に機能性フィルムが基板に貼付されるように、前記機能性フィルムと基板との間の結合剤(5)の一部で基板(10)上部に機能性フィルム(4)が貼付される、請求項1から18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
結合剤部分(5)は、前記接続手段とは反対側の前記機能性フィルム(4)の面に初期に存在する前記物質の層である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
基板(10)は眼鏡フレームに組み込まれることが意図される眼科用レンズを含む、請求項1から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
機能性フィルム(4)が、変形段階の前、実質的にフレームのレンズハウジングの寸法に切り取られる、請求項21に記載の方法。
【請求項1】
実質的に平坦な初期形状を有する機能性フィルム(4)を基板(10)の湾曲面上に貼付するための方法であって、以下を含むことを特徴とする方法:
変形段階であって、その間機能性フィルム(4)は変形され、及びその間前記機能性フィルムは、機能性フィルムの形状が膜の変形に従って変化するように調整された接続手段によって変形可能な補助膜(1)の一つの面上に保持され、機能性フィルムは膜に平行に保たれ、補助膜のみが機械的手段によってその周縁で保持され、機能性フィルムは前記接続手段によってのみ前記補助膜に接触して保持され、変形段階の間、接続手段は機能性フィルム(4)の各部が局所的に膜(1)に対して、及び膜(1)に平行に動くことができるようにさらに調整される。
【請求項2】
膜(1)に対する機能性フィルム(4)の各部の動きは、前記機能性フィルム又は前記膜に対する外部の作用がない状態で、変形段階の間自由である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
接続構造体がキャピラリー液体層、又は粘弾性接着材料層(2)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
接続構造体が、前記方法が実行される温度と比較して高い沸点を有する液体を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
接続構造体がオイルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
接続構造体が感圧接着剤を含む粘弾性接着材料層である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
変形段階の間前記機能性フィルムの周縁端部(D)が前記膜の周縁端部(E)の内側にあるように、膜(1)が機能性フィルム(4)と比較して大きい、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
円形状の膜(1)が機能性フィルム(4)の最大寸法と比較して大きな直径を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
変形に関する膜(1)の機械的強度が、前記変形に関する機能性フィルム(4)の機械的強度と比較して大きい、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
膜(1)のヤング率と厚みの組合せが、機能性フィルム4のヤング率と厚みの組合せと比較して大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
膜(1)が、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びポリエチレンテレフタレートから選択される材料の単一な均一層からなる、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
膜(1)は前記膜の二つの面の間に空気圧差を生成することによって変形され、膜の前記面の一つが機能性フィルム(4)を保持する、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
膜は、前記膜の機能性フィルムとは反対の面に対してバッファパッドを押し付けることによって変形される、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
接続構造体は中間フィルム(3)を含み、前記中間フィルム(3)は変形段階の間機能性フィルム(4)に対して固定され、前記中間フィルムの各部分は膜(1)に対して及び平行に局所的に移動することができ、
前記中間フィルムは、変形段階の後、膜(1)の、機能性フィルム(4)及び中間フィルム(3)を含むアセンブリ(21)からの分離を可能とするために調整され得る、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
中間フィルム(3)が剥離により機能性フィルム(4)から分離されるようさらに調整される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
機能性フィルム(4)がベースフィルム、及び任意に前記ベースフィルムによって支えられる一つ以上の機能性層(4a)を含み、ベースフィルム自身が、又は機能性層(4a)と組み合わせて、光劣化又は光酸化に対する保護機能、耐衝撃機能、耐ひっかき性機能、反射防止機能、偏向機能、カラーフィルタ機能、フォトクロミック機能、帯電防止機能、防汚機能、複雑なピクセル化構造体又はミクロ構造体により提供される機能、から選択される少なくとも一つの機能を有する:ピクセル化構造体又はミクロ構造体は、特にセル状構造体を意味する、請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
機能性フィルム(4)は、前記機能性フィルムの一つの面に平行に並べて置かれたセルを含む少なくとも一つのセル状構造体を含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記変形段階は、前記機能性フィルムを基板(10)上部に貼付する前に実施される機能性フィルム(4)を予成形する段階に含まれる、請求項1から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
この工程の最後に機能性フィルムが基板に貼付されるように、前記機能性フィルムと基板との間の結合剤(5)の一部で基板(10)上部に機能性フィルム(4)が貼付される、請求項1から18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
結合剤部分(5)は、前記接続手段とは反対側の前記機能性フィルム(4)の面に初期に存在する前記物質の層である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
基板(10)は眼鏡フレームに組み込まれることが意図される眼科用レンズを含む、請求項1から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
機能性フィルム(4)が、変形段階の前、実質的にフレームのレンズハウジングの寸法に切り取られる、請求項21に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【公表番号】特表2010−533609(P2010−533609A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516474(P2010−516474)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059096
【国際公開番号】WO2009/021793
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(505425373)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラレ ドプテイク) (74)
【出願人】(500174661)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・レシェルシュ・サイエンティフィーク−セ・エン・エール・エス− (54)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059096
【国際公開番号】WO2009/021793
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(505425373)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラレ ドプテイク) (74)
【出願人】(500174661)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・レシェルシュ・サイエンティフィーク−セ・エン・エール・エス− (54)
【Fターム(参考)】
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