湾曲バイレイヤーによるメカニカルスイッチ
【課題】電力コストの低い電気機械装置を提供すること。
【解決手段】本発明の電気機械装置はメカニカルスイッチを含む。メカニカルスイッチは第1及び第2の安定湾曲状態を持つバイレイヤーを含む。第1の状態から第2の状態へのバイレイヤーの変形によってスイッチが閉じる。
【解決手段】本発明の電気機械装置はメカニカルスイッチを含む。メカニカルスイッチは第1及び第2の安定湾曲状態を持つバイレイヤーを含む。第1の状態から第2の状態へのバイレイヤーの変形によってスイッチが閉じる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロメカニカルスイッチ並びにマイクロメカニカルスイッチを作製し及び動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メカニカルスイッチは、開スイッチ状態及び閉スイッチ状態間の切換えの転換中に移動する電気接続を有する電気スイッチである。多くのメカニカルスイッチにおいて、制御可能な電気機械装置が開スイッチ状態及び閉スイッチ状態間の転換を駆動する。電気機械装置は、これらの状態の一方又は両方において連続的に通電されなくてはならないことが多い。そのようなメカニカルスイッチの一例として、閉スイッチ状態では電磁石がスイッチの接点同士を常に保持する電気機械リレーがある。スイッチ状態の一方又は両方においてそのような電気機械制御装置を連続的に通電することが必要となることによって、そのようなスイッチを用いるための電力コストが高くなってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
種々の実施例は、バイレイヤーの異なる安定湾曲構成が異なるスイッチ状態、即ち、開スイッチ状態及び閉スイッチ状態に対応するようなメカニカルスイッチを含む装置を提供する。あるメカニカルスイッチでは、閉スイッチ状態及び開スイッチ状態を維持するのに電力が不要である。
【0004】
一側面において、装置はメカニカルスイッチを含む。メカニカルスイッチは第1及び第2の安定湾曲状態を持つバイレイヤーを含む。第1の状態から第2の状態へのバイレイヤーの変形によってスイッチが閉じる。
【0005】
他の側面において、装置は、上表面を有する基板、上表面に沿って配置され基板に固定された複数の電極、及び基板に1以上の柱によって取り付けられたバイレイヤーを含む。バイレイヤーは第1の安定湾曲状態と第2の安定湾曲状態の間で変形することができる。バイレイヤーは第1及び第2の安定湾曲状態で湾曲する異なるエッジを有する。
【0006】
ある実施例では、上述の装置はバイレイヤー上に配置された電気ジャンパー及び上表面上に配置され基板に固定された第1及び第2の電気線を含んでいてもよい。電気ジャンパーは、バイレイヤーが第1の湾曲状態にあることに応じてこれらの線を電気的に接続し、バイレイヤーが第2の湾曲状態にあることに応じてこれらの線を短絡しないように構成されている。
【0007】
他の側面において、メカニカルスイッチを製造する方法は、応力を加えられたバイレイヤーを基板の上表面に、コネクタがバイレイヤーを基板に物理的に接続する態様で、形成する工程、及びバイレイヤーと上表面の間に配置された犠牲金属層を除去することによってバイレイヤーを解放する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は長方形状の例示の弾性バイレイヤーの2つの座曲又は湾曲安定状態を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、マイクロメカニカルスイッチの開スイッチ状態又は閉スイッチ状態を切り換えるために、異なる安定湾曲状態間でのバイレイヤーの変形を用いるマイクロメカニカルスイッチの3つの実施例の断面図である。
【図2B】図2Bは、マイクロメカニカルスイッチの開スイッチ状態又は閉スイッチ状態を切り換えるために、異なる安定湾曲状態間でのバイレイヤーの変形を用いるマイクロメカニカルスイッチの3つの実施例の断面図である。
【図2C】図2Cは、マイクロメカニカルスイッチの開スイッチ状態又は閉スイッチ状態を切り換えるために、異なる安定湾曲状態間でのバイレイヤーの変形を用いるマイクロメカニカルスイッチの3つの実施例の断面図である。
【図3】図3は図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチのバイレイヤーを示す底面図である。
【図4】図4は図2A−2Cのバイレイヤーの実施例を通る一垂直面を示す断面図である。
【図5A】図5Aは図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチの一実施例におけるバイレイヤーの下側に面し配置される表面を上から見た図である。
【図5B】図5Aは図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチの他の実施例におけるバイレイヤーの下側に面し配置される表面を上から見た図である。
【図6A】図6Aは図2Aのメカニカルスイッチにおいてバイレイヤーの中心を基板に固定する圧縮スプリング(CS)の上面図である。
【図6B】図6Bはどのようにスプリングがバイレイヤーの中心を基板に作用させるかを示す、図6Aの圧縮スプリング(CS)の側面図である。
【図7】図7は複数の安定湾曲状態を有するバイレイヤーを持つマイクロメカニカルスイッチ、例えば、図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチを動作させる方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は異なるスイッチ状態が異なる安定湾曲状態に関連付けられるマイクロメカニカルスイッチを製造するための、例えば、図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチの実施例を作製するための、方法を示すフローチャートである。
【図9】図9は図8の方法の種々の実施例の実行中に製作された中間構造体の断面図である。
【図10】図10は図8の方法の種々の実施例の実行中に製作された中間構造体の断面図である。
【図11】図11は図8の方法の種々の実施例の実行中に製作された中間構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面及び文章において、同じ符号は同様の構造及び/又は機能を持つ要素を示す。
図面において、ある構成の相対寸法は、そこにおける構造の一以上をより明確に示すために誇張されている場合もある。
なお、種々の実施例が「図面」及び「発明を実施するための形態」によってより完全に記載されている。それでもなお、本発明は種々の形態で具現化されることができ、「図面」及び「発明を実施するための形態」に記載される実施例に限定されるものではない。
【0010】
2つのレイヤーが非類似の組成を持つ弾性平面バイレイヤーは内部応力傾斜をしばしば受ける。内部応力傾斜は多角形状のバイレイヤーの平面状態を不安定にさせる。そのため、そのような平面バイレイヤーは自然に座曲して湾曲し得る。座曲又は湾曲された状態では、バイレイヤーは軸、例えば、バイレイヤーの対辺の中間点を通る軸に関して湾曲する。バイレイヤーが偶数のエッジ(辺)の多角形状を有する場合、バイレイヤーは1より多い安定湾曲状態を持つことになる。
【0011】
図1は平坦な表面12上に配置された弾性バイレイヤー10の安定湾曲状態を示す。弾性バイレイヤー10は平らになったときには長方形状又は正方形状を有する。弾性バイレイヤー10において、一方の対の対辺の中心点が「A」で示され、他方の対の対辺の中心点が「B」で示される。
【0012】
図1の上段及び下段にそれぞれ示すように、弾性レイヤー10は2つの安定湾曲状態を持つ。図1の上段は、弾性バイレイヤー10がバイレイヤーの中心線B−Bの長さ全体に沿って平板表面12と接触する第1の安定湾曲状態を示す。この湾曲状態では、中心点「A」を含む弾性レイヤーの対辺は、縦方向の点線で示すように平坦表面12の上方に持ち上げられ、中心点「B」を有するバイレイヤーエッジが湾曲される。第2の安定湾曲状態では、弾性バイレイヤー10はバイレイヤーの中心線A−Aの長さ全体に沿って平坦表面12と接触する。この湾曲状態では、中心点「B」を含む弾性バイレイヤーの対辺は、縦方向の点線で示すように平坦表面12の上方に持ち上げられ、中心点「A」を有するバイレイヤーエッジが湾曲される。従って、安定湾曲状態の各々は弾性バイレイヤー10の1つの中心線を平坦表面12に接触配置する。バイレイヤーの安定湾曲状態はバイレイヤーの多角形状によって定められる。
【0013】
図1は弾性バイレイヤー10をその2つの安定湾曲状態間で変形する方法を示している。本方法は、その各湾曲状態が1つの中心線、即ち、A−A又はB−Bを線の長さ全体に沿って平坦支持表面12に接触させて位置させることを利用する。特に、弾性多角形バイレイヤー10の第1の湾曲状態から第2の湾曲状態への変形は、中心線、即ち、最初は平坦表面12に接触していないA−A又はB−Bを平坦表面12に接触させるようにしなければならない。従って、本方法は、中心線A−Aの長さ全体を平坦表面12の近く又は接触状態に至らせる力を弾性バイレイヤー10に加えて、多角形バイレイヤーを図1の上段の安定湾曲状態から下段の安定湾曲状態に変形する。同様に、本方法は、中心線B−Bの長さ全体を平坦表面12の近くに、又は接触状態に、至らせる力を弾性バイレイヤー10に加えて、弾性バイレイヤー10を図1の下段の安定湾曲状態から上段の安定湾曲状態に変形する。
【0014】
図1の2つの安定湾曲状態間で多角形弾性バイレイヤー10を変形するのに必要な力は静電的に加えられてもよい。そのような静電力によって、図2A−2C、3、4、5A及び5Bに図示されるマイクロメカニカルスイッチ20の種々の実施例が動作する。各実施例では、バイレイヤーの各安定湾曲状態は閉スイッチ状態に対応し、同じバイレイヤーの1以上の他の安定湾曲状態は開スイッチ状態に対応する。
【0015】
実施例の各々において、マイクロメカニカルスイッチ20は基板22、弾性バイレイヤー24、制御電極のアレイ28、誘電体層30、導電ジャンパー32、及び入出力(I/O)電線34を含む。図2A、2B及び2Cの異なる実施例は、導電ジャンパー32及び/又はI/O電線34については異なる構造を有する。
【0016】
基板22は微細電子製作のための堅い支持構造である。基板22は、例えば、結晶シリコンウエハ基板、堅い誘電体基板、又は1以上の絶縁誘電体層に覆われた結晶半導体ウエハ基板等であればよい。基板22はメカニカルスイッチ20の他の要素がその上に配置される上表面26を有する。上表面26は平坦であってもよいし、ほぼ平坦、即ち、平板の状態からわずかにばらついたものであってもよい。
【0017】
弾性レイヤー24は略多角形の横形状を有し、多角形は偶数のエッジを有する。例えば、8、6又は4辺の多角形状を有していてもよいし、その横形状を完全な多角形でなくすような小辺及び/又は角の不規則性を有していても、いなくてもよい。例示の弾性バイレイヤー24は、辺の長さが約100μmと約500μmの間の正方形又は長方形である。弾性バイレイヤー24は2つの結合された異なる組成を有する薄い層36、38で形成される。下部層は導電層であり、例えば、1マイクロメートル(μm)から3μmの厚さの重度にドーピングされた多結晶シリコン(ポリシリコン)である。上部層38は無機誘電体層であり、例えば、約0.3μmから約1.0μmの厚さの窒化シリコン層、即ち、0.5μmのSi3N4である。結合された薄い層36、38は大きく異なる組成を有するので、これらは弾性バイレイヤー24が平らなときに有効応力傾斜を生成することになる。例えば、窒化シリコン/ポリシリコンのバイレイヤーでは、ポリシリコン層は圧縮応力を生成し、窒化シリコン層は引張り応力を生成するので、この組合せが有効応力傾斜によって弾性バイレイヤー24が自然に複数の安定湾曲状態の1つに座曲する(図2A−2C、3及び4には不図示)。図3の略長方形又は正方形の弾性バイレイヤー24について、2つの湾曲状態は図1に示す弾性バイレイヤー10のものとほぼ同様の形状を有する。
【0018】
弾性バイレイヤー24はまた、図2A−2C、3及び4に示すように、下部導電表面からの1以上の突起部を含む。
【0019】
突起部は、バイレイヤー24の一部分が基板22の近くに引っ張られたときに下部導電層36がその下層にあるアレイ28の制御電極と電気的に短絡するのを物理的に防止するように構成された短いストッパー42の規則的なアレイを含む。下部導電層36がポリシリコンで形成されている場合、ストッパー42はポリシリコン下部導電層36からの短いポリシリコン柱であればよい。このような実施例では、ストッパー42は電気的に絶縁された隆起部44(例えば、図2A−2C、5A及び5Bに示すように、短いポリシリコン柱)に沿って横方向に配列されていてもよい。隆起部44は基板22の平坦上表面26に固定されている。
【0020】
突起部は弾性バイレイヤー24の中央を基板22に物理的に係止するとともに弾性バイレイヤー24の導電下部層36と基板22の間を電気的に導電する経路を与える中央コネクタ40を含む。コネクタ40はスプリングであってもよいし、1以上の堅い柱であってもよい。コネクタ40がスプリングである実施例では、スプリングは弾性バイレイヤー24を基板22へ向けて引っ張る圧縮力を与える。コネクタ40が1以上の堅い柱である実施例では、1以上の柱はバイレイヤー24の中央を基板22の上に堅く固定する。代表的実施例では、コネクタ40は、例えば、重度にnタイプ又はpタイプドーピングされたポリシリコンからなり、約3μmから約5μmの直径を有していればよい。コネクタ40は、それが圧縮スプリングの場合はより大きな幅寸法を有することになる。コネクタ40はまた、弾性バイレイヤー24の重度にドーピングされたポリシリコン下部導電層36からの突起として形成されてもよい。
【0021】
制御電極のアレイ28は平坦上表面26上に配置され、そこに強固に固定された平面構造を形成する。アレイ28は、図5A及び5Bの弾性バイレイヤー24の長方形/正方形の図形として示すように、動作グループA、Bにセグメント化され、選択的にガードグループO1、O2を含む。各動作グループA、B、O1、O2は中央コネクタ40の対向する側に対称に配置された一対の制御電極を含む。各電極は電気的に絶縁するギャップによってその隣接のものから離隔されている。電気的に絶縁するギャップは誘電体で充填されていても、されていなくてもよい。図示する代表的実施例では、制御電極のグループA、B、O1、O2は重度にドーピングされたポリシリコン構造体で形成される。動作グループA、Bの制御電極は弾性バイレイヤー24のエッジの中心領域周辺に配置され、ガードグループO1、O2の制御電極は弾性バイレイヤー24のエッジの間の角近辺に配置される。
【0022】
図5Aに図示するように、代表的な正方形の弾性バイレイヤー24について、各グループA、B、O1及びO2の両電極はともに電気的に短絡されている。そのため、各動作グループA、Bの両電極、及び各ガードグループO1、O2の両電極は実質的に同じ値の電位に維持される。動作グループAの電極は、例えば、1×2スイッチ46の一方の出力1に接続され、動作グループBの電極は、例えば、1×2スイッチ46の他方の出力2に接続される。1×2スイッチ46は基板22上又は基板22外にあればよい。1×2スイッチ46は、その出力1、2の一方を外部電圧源48に切換可能に接続するように構成される。従って、電圧源48は動作グループAの制御電極又は動作グループBの制御電極のいずれかに電圧を印加することができる。ガードグループO1、O2の制御電極は装置のグランドに電気的に接続されるので、動作グループA又は動作グループBの制御電極に電圧が印加されているときでも電圧はそこに印加されない。ガードグループO1、O2の制御電極が接地されているので、弾性バイレイヤー24の角には有効な静電力は通常は加えられない。その代わり、有効な静電力は弾性バイレイヤー24のエッジの中央領域付近に、弾性導電バイレイヤー24の対辺を通る中心線に沿って加えられる。
【0023】
図5Aに図示するように、孔が制御電極内又は制御電極間に配置されていてもよい。孔は隆起部44を含み、これは弾性バイレイヤー24の導電下部面のストッパー42の縦方向に配列される。従って、ストッパー42は、弾性バイレイヤー24の周縁部が基板22の近くに引き寄せられたときに隆起部44と物理的な接触をなすことができる。隆起部44もドーピングされたポリシリコンで形成される。図5Aにおいて、拡大図は隆起部44の1つを示す。拡大図は、隆起部44がグループA、B、O1、O2の周辺電極からギャップによって離隔されることを示している。各隆起部44と隣接する制御電極の間にギャップがあるために、弾性バイレイヤー24のいくつかのストッパー42が隆起部44のいくつかと接触する場合であっても、メカニカルスイッチ20の動作中に弾性バイレイヤー24の下部導電層36がアレイ28の制御電極に電気的に短絡されることはない。ギャップは空洞でもよいし、例えば窒化シリコン等の誘電体で充填されていてもよい。
【0024】
薄い誘電体層30はアレイ28の制御電極、I/O電線34、隆起部44、及び接続パッド52、54を下層にある基板22から絶縁する。代表的実施例では、誘電体層30は、例えば、温度酸化によって形成された高密度の酸化シリコンで形成されてもよいし、例えば、0.3μmから1.0μmの窒化シリコンのように、窒化シリコンで形成されてもよい。
【0025】
図2A−2Cを参照すると、導電ジャンパー32は弾性バイレイヤー24の上表面に強固に固定され、その1つのエッジ、例えば、上記エッジの中心点付近の上に突き出ている。代表的実施例では、導電ジャンパー32は金属層、又は、例えば、金(Au)を含む層及びチタン(Ti)のような結合金属層等の金属複層で作製されていればよい。導電ジャンパー32は、導電ジャンパー32が突き出るエッジが接続パッド52、54へ向けて引き寄せられるのに応じて、一対の接続パッド52、54間が電気的短絡を形成するように、即ち、図5Aに示すように配列される。即ち、導電ジャンパー32は2つの電線34を互いに電気的に短絡することによってメカニカルスイッチ20を閉じる。導電ジャンパー32はまた、メカニカルスイッチ20が閉状態にあるとき、即ち、バイレイヤー24の対辺が接続パッド52、54に向けて力を加えられるときに接続パッド52、54に接触するための一対の縦方向突起56を含んでいてもよい。
【0026】
I/O電線34は外部電気リード(不図示)を、その電気状態(即ち、電気的に接続されるか切断されるか)がメカニカルスイッチ20によって制御される接続パッド52、54に接続させるよう構成される。2つのI/O電線34は金属層、例えばAu/Ti等の金属複層、及び/又は重度にnタイプ若しくはpタイプドーピングされたポリシリコンを含んでいてもよい。
【0027】
メカニカルスイッチ20の他の実施例は、その横方向形状が種々のタイプの略多角形であるバイレイヤー24を使用することができる。例えば、弾性バイレイヤー24は4、6、8辺の略正多角形であればよい。他の実施例は、複数のエッジが上方に持ち上げられる複数の安定湾曲状態をバイレイヤーが有する限りは、応力が加えられる他の形状のバイレイヤー24を用いることができる。
【0028】
図2A−2Cの実施例は導電ジャンパー32及びI/O電線34について異なる構成を有する。
【0029】
図2Aの実施例では、電気ジャンパー32は下向きの力を閉スイッチ状態にあるI/O電線34の接続パッド52、54に加える。弾性バイレイヤー24の(電気ジャンパー32が張り出す)エッジが湾曲される時に下向きの力が加えられる。本実施例では、コネクタ40が圧縮スプリング(CS)なので下向きの力が生成される。
【0030】
図6A−6Bに、そのような圧縮スプリングCSについての一実施例を示す。圧縮スプリングCSは柱P、中央アームCA、及び対称配置された側方アームSAを含む。中央アームCAは柱Pと各側方アームSAの一端の間を接続する。空間ギャップ(EG)が中央アームCAと側方アームSAの長手方向を相互に、及び弾性バイレイヤー24から、離隔しているので、中央アームCAと側方アームSAは独立して曲がることができる。中央アームCAは、例えば、上部窒化シリコン層及び下部ドーピングポリシリコン層、即ち、弾性バイレイヤー24と同じ層を含む。その形状と取付けによって、中央アームCAは、柱Pに固定されている中央アームCAの一端が中央アームCAの他端よりも低くなるようにして安定湾曲状態となる。側方アームSAは二層ではなく単層なので、側方アームSAは直線状であり、即ち湾曲していない。例えば、側方アームSAは弾性バイレイヤー24の下部導電層36と同じドーピングポリシリコンで作製されていればよい。代替的に、側方アームSAは弾性バイレイヤー24の上部誘電層38と同様に窒化シリコンで作製されていてもよい。後者の場合、側方アームSAは、弾性バイレイヤー24、即ち、その導電下部層36、導電性ドーピングポリシリコンの中央アームCA及び柱Pの間の導電ブリッジを与える金属層で覆われていてもよい。中央アームCAの曲率及び側方アームSAの長さによって、圧縮スプリングCSは側方アームSAの遠端に基板22の方向に力を加える。バイレイヤー24は側方アームSAの遠端に固定されているので、圧縮スプリングCSもバイレイヤー24の取付け中心を基板22の方向に押す。
【0031】
図2Bの実施例では、電気ジャンパー32は閉スイッチ状態にあるI/O電線34の接続パッド52、54に上方向の力を加える。各接続パッド52、54は対応する金属構造体35の下側に配置される。各金属構造体は電気導電線34の対応する一方に結合され、導電ジャンパー32の縦方向に張り出す。図2Bのマイクロメカニカルスイッチを閉じている間、電気ジャンパー32が張り出すバイレイヤー24のエッジが湾曲されていない時に、金属構造体35に上方向の力が加えられる。この状態において、バイレイヤー24の他方のエッジは閉スイッチ状態に対応する安定湾曲状態にあり、基板22の表面26に近い。図2Bのマイクロメカニカルスイッチ20を閉じている間、その安定湾曲状態の1つにおいて、電気ジャンパー32がオーバーラップするエッジをバイレイヤー24の湾曲状態によって上方に押すので、上方の力が生成される。
【0032】
図2Cの実施例では、各接続パッド52が対応のバイレイヤー構造体37の隆起した上部に配置されるので、導電ジャンパー32はI/O電線34の接続パッド52、54に下向きの力を加える。2つのバイレイヤー構造体37は、例えば、下部ポリシリコン層36の上に上部窒化シリコン層38等、バイレイヤー24と同じバイレイヤー構造を有していればよい。各バイレイヤー構造体37の自由端部は、その端部の下の犠牲層の除去に応じて製造中にアーチ形状となる。特に、その下の犠牲層が除去される時の有効応力傾斜に起因して、各バイレイヤー構造体37の形状及び誘電体層30に対するその形状的固定状態によって端部がアーチ形状をとる。
【0033】
図5Bに、図2A及び5Aのものと類似のマイクロメカニカルスイッチにおけるアレイ28の制御電極の代替実施例を示す。マイクロメカニカルスイッチの間での主な相違は、図5Bのスイッチでは、図2A及び5Aのマイクロメカニカルスイッチ20とは異なり、導電コネクタ40が誘電体層30を貫通しないことである。その代わり、導電コネクタ40はガードグループO1、O2の一方又は両方の制御電極の中央導電拡張部(E)に接続されている。導電拡張部E及び導電コネクタ40は弾性バイレイヤー24の下部導電層36とガードグループO1、O2の制御電極の間の導電電気経路を形成する。この導電電気経路によって、弾性バイレイヤー24の下部導電性層36はガードグループO1、O2の制御電極とともに接地される。
【0034】
図7は導電性下部層を有する弾性バイレイヤー(例えば、バイレイヤー24)を含むマイクロメカニカルスイッチを動作させるための方法60を示す。弾性バイレイヤーは2以上の安定湾曲状態を有し、略多角形の形状であればよい。安定湾曲状態の各々において、バイレイヤーの異なるエッジが湾曲される。弾性バイレイヤーはまた、導電性コネクタ、例えば、コネクタ40によって基板に取り付けられている。例えば、方法60によって図2A−2Cのバイレイヤーに基づくメカニカルスイッチ20を動作させることができる。
【0035】
方法60はバイレイヤーを第1の安定湾曲状態から別の第2の安定湾曲状態に変化させるために第1の制御力を弾性バイレイヤーに加えるステップを含む(ステップ62)。第1の制御力は、例えば、バイレイヤーの導電層の近くに配置された帯電した制御電極によって生成される静電力であればよい。制御電極は、例えば、図5A−5Bにおける動作グループA又はBの制御電極と同様に、バイレイヤーの一対の対辺の中央部付近に配置される。第2の安定湾曲状態では、バイレイヤー上の導電ジャンパーは2つのI/O電気接点又は線を電気的に短絡し、それによりメカニカルスイッチを閉じる。例えば、図2A−2Cのバイレイヤー24の各々は、弾性バイレイヤー24の安定湾曲状態の一方においてI/O電線34を電気的に短絡する導電ジャンパー32を有する。
【0036】
方法60は、そこへのさらなる制御力の付加なしにバイレイヤーが第2の安定湾曲状態に留まるように第1の制御力を解放するステップを含む(ステップ64)。即ち、バイレイヤーは第2の安定湾曲状態にラッチすることになるので、閉スイッチ状態への変形後にスイッチを閉じた状態に維持するために電力は消費されない。そして、方法60は、バイレイヤーが第2の安定湾曲状態にある間に電流をマイクロメカニカルスイッチに流すことができる。
【0037】
方法60は、バイレイヤーが第2の安定湾曲状態から他の安定湾曲状態へ変化するように第2の制御力を弾性バイレイヤーに加えるステップを含む(ステップ66)。他の安定湾曲状態は第1の安定湾曲状態、又は第2の安定湾曲状態ではない他の安定湾曲状態とすることができる。第2の安定湾曲状態とは異なる安定湾曲状態にあるバイレイヤー上の導電ジャンパーはI/O導電線又は接点を電気的に短絡しないので、状態変化によってメカニカルスイッチが開く。第2の制御力は他の制御電極を帯電させることによって生成される静電力であればよい。例えば、図5A又は5Bにおいて、第1の制御力を加えた制御電極が動作グループAの制御電極の場合、第2の制御力を加える制御電極は動作グループBの制御電極であればよい。第1及び第2の制御力の付加は、導電ジャンパーを有するバイレイヤーのエッジが第1及び第2の安定湾曲状態の一方で湾曲され、第1及び第2の安定湾曲状態の他方で実質的に湾曲されないような態様のものである。
【0038】
ある実施例では、方法60は、バイレイヤーが他の安定湾曲状態に留まるように、第2の制御力を解放するステップを含む(ステップ68)。即ち、バイレイヤーが他の安定湾曲状態でラッチするので、開スイッチ状態への変形後にスイッチを開いた状態に維持するために電力は消費されない。
【0039】
図8に、開スイッチ状態及び閉スイッチ状態がその弾性バイレイヤーの異なる安定湾曲状態に対応するマイクロメカニカルスイッチを製造するための方法70を示す。方法70の種々の実施例によって、例えば、図2A−2Cに示すマイクロメカニカルスイッチ20を製造できる。方法70の種々の実施例によって、図9−11に示す中間構造体108、114、116を生成することができる。
【0040】
方法70は、第1の窒化シリコン層100を結晶シリコン基板等の基板102の平坦上表面に従来のプロセスを介して付着させる工程を含む(工程72)。付着された第1の窒化シリコン層100はSi3N4の約0.3μmから約1.0μmの厚さを有していればよい。
【0041】
方法70は、第1の重度にpタイプ又はnタイプでドーピングされたポリシリコン層104を第1の窒化シリコン層100の上に従来のプロセスを介して形成する工程を含む(工程74)。第1のポリシリコン層104は約1μmから約3μmの厚さを有していればよい。
【0042】
方法70は、横方向に第1のポリシリコン層104をパターニングする、マスク制御されたドライ又はウェットエッチングを行う工程を含む(工程76)。エッチングは、例えば、下層にある第1の窒化シリコン層100の上で停止するように選択される。エッチングによって第1のポリシリコン層104を不連続な横領域に分離する。分離した横方向領域は、例えば、図5A又は5Bに示すように、アレイ28の制御電極、I/O電線34、隆起部44、及び接続パッド52、54を含むことになる。
【0043】
ある実施例では、方法70は、第1のポリシリコン層104の一部分にマスク制御金属蒸着を行う工程を含んでいてもよい。このような金属蒸着によって、例えば、図2A及び2Bのマイクロメカニカルスイッチ20の金属I/O電線34及び接続パッド52、54を生成する。
【0044】
方法70は、従来のプロセスを実行して酸化シリコン層106を第1のポリシリコン層104及び第1の窒化シリコン層100の露出部に付着させる工程を含む(工程78)。酸化シリコン層106は他の構造体の製造の補助として使用されるが、最終的なマイクロメカニカルスイッチからは除去される犠牲層である。
【0045】
方法70は、付着された酸化シリコン層106の表面を平坦化して、その後の製造で使用する滑らかな上表面を生成する工程を含んでいてもよい(工程80)。平坦化は、酸化シリコンに対する選択性を持つ化学機械平坦化(CMP)を実行する工程を含んでいてもよい。最終的な平らな酸化シリコン層106は、例えば、約1μmから約5μmの厚さを有していればよい。
【0046】
方法70は、弾性バイレイヤーの短いストッパー(例えば、図2A−2C、3及び4のストッパー42)を形成するために、酸化シリコン層106への従来のマスク制御ドライエッチングを実行して孔H1を生成する工程を含む(工程82)。エッチングは、例えば、酸化シリコン層106を貫通する前に停止するように時間調節される。
【0047】
方法70は、酸化シリコン層106への第2の従来的なマスク制御ドライエッチングを実行して、例えば、図2A−2Cの導電コネクタ40に対する柱等の柱のための孔H2を形成する工程を含む(工程84)。このエッチング工程はまた、後に図2Aの導電ジャンパーの先端を形成するために、酸化シリコン層内に孔(不図示)を形成する工程を含んでいてもよい。エッチング剤は下層にある基板102上で停止するように選択されればよい。他の実施例では、代替的に、例えば図5Bに示すようなマイクロメカニカルスイッチ20を形成するように、エッチング工程84が第1の窒化シリコン層100上で停止するように構成されていてもよい。
【0048】
第1及び第2のエッチング工程82及び84は、所望の構成の孔H1、H2のために適当なウィンドウを持つマスクを用いる。エッチング工程82及び84は図9に示すような中間構造108を生成する。
【0049】
方法70は、重度にpタイプ又はnタイプドーピングされた第2のポリシリコン層110を中間構造体108の酸化シリコン層106上に形成する工程を含む(工程86)。形成工程86は、ドーピングされたポリシリコンを付着させる工程、そして、従来の平坦化、例えば、ポリシリコンに対するCMP選択を実行する工程を含んでいてもよい。第2のポリシリコン層110は約1μmから約3μmの代表的な厚さを有する。形成された第2のポリシリコン層110の一部はまた、例えば図11に示すように、下層にある第1のポリシリコン層104上に直接存在するようにしてもよい。
【0050】
方法70は、例えば図2A−2C及び3−4の弾性バイレイヤー24のような略多角形状の弾性バイレイヤーを生成するために、従来のマスク制御エッチングを実行して第2のポリシリコン層110をパターニングする工程を含む(工程88)。図2Aのメカニカルスイッチ20を作製するために、パターニングする工程は、図6Aに示すように第2のポリシリコン層112におけるギャップEGのセットも生成することができる。このようなギャップは図6A及び6Bの圧縮スプリングCSを形成するために作製される。エッチング工程88は、代替的に、第2のポリシリコン層110の第2の部分をパターニングして図2Cに示すバイレイヤー構造体37の下部層36を作製する工程を含んでいてもよい。この第2のポリシリコン層110の第2の部分は、部分的に酸化シリコン層106上に、かつ、部分的に酸化シリコン層106外に作製される。即ち、第2のポリシリコン層110の第2の部分の一部は下層にある第1のポリシリコン層104上に直接存在し、又は第1の窒化シリコン層100上に直接存在する。
【0051】
方法70は第2のポリシリコン層110上に一致する第2窒化シリコン層112を付着させる工程を含む(工程90)。第2の窒化シリコン層112は例示的厚さとして約0.3μmから約1.0μm、0.5μmを有し得る。
【0052】
方法70は、第2の窒化シリコン層112のマスク制御エッチングを実行して図10の中間構造体114又は図11の中間構造体116のいずれかを形成する工程を含む(工程92)。図10の中間構造体114において、第2の窒化シリコン層112は、第2のポリシリコン層110とほぼ同じ形状を有するように横方向にパターニングされて、例えば、図3及び4にあるような略多角形状の弾性バイレイヤー24を生成している。図11の中間構造体116において、横方向パターニングは図2A−2C、3及び4の略多角形状弾性バイレイヤー24並びに図2Cの形状のバイレイヤー構造体37の両方を形成している。
【0053】
図2Aのマイクロメカニカルスイッチ20を製造する実施例において、エッチング工程92は、略多角形状の弾性バイレイヤー24の中央部において、側方アームSA及びギャップEGから第2の窒化シリコン層112を選択的に除去することもできる。これらのパターニングされた構成は第2のポリシリコン層110を通ってパターニングされるギャップEGで整列され、図6Aの圧縮スプリングCSにおけるように構成されることになる。
【0054】
図2Aのメカニカルスイッチ20を形成するために、方法70はまた、バイレイヤー110、112の右側エッジに隣接する第2の酸化シリコン層106の一部分へのマスク制御エッチングを行ってそこに1以上の孔を生成する工程を含んでいてもよい。1以上の孔は、そこに導電ジャンパー32の縦方向突起56のその後の形成に対して適切となるようにサイズが定められる。
【0055】
方法70は、第2の窒化シリコン層112の1つのパターニングされたエッジに張り出す金属電気ジャンパー、例えば、図2A−2Cの導電ジャンパー32を形成する工程を含む(工程96)。金属電気ジャンパーの金属は、金属の従来的なマスク制御蒸着、続いて、マスク上にある過多な金属のリフトオフによって付着されればよい。代替的に、金属電気ジャンパーの金属は従来の電気めっきプロセスによって付着されるようにしてもよい。金属電気ジャンパーのための代表的金属はAu/Tiを含むが、他の金属の組合せを用いてもよい。図2Aのメカニカルスイッチ20を製造する実施例では、接続パッド52、54の露出部が、例えば、この金属の導電ジャンパーの実施例20の形成中に、薄いフォトレジスト層によって保護されるようにしてもよい。
【0056】
図2Bのメカニカルスイッチ20を形成するために、方法70はまた接続パッド52、54に対する2つの金属構造体35を作製する工程のシーケンスを実行する工程を含んでいてもよい(図5Aも参照)。このシーケンスは、それまでの中間構造体上に第2の犠牲酸化シリコン層を形成する工程、及び第2の酸化シリコン層を平坦化する工程を含んでいればよい。そして、このシーケンスは、第2の酸化シリコン層を通過して導電I/O電線34の上で止まる2つのバイア(穴)を生成するためにドライエッチングを実行する工程、及び導電I/O電線34に接触する金属柱を生成するためにそのバイアを金属で充填する工程を含んでいてもよい。最後に、そのシーケンスは金属のマスク制御蒸着及び第2の犠牲層の上表面上の過多な金属のリフトオフを実行する工程を含んでいてもよい。この最後の工程は金属充填バイアに接触する金属構造体35の上部水平部分を生成することになる。第2の犠牲酸化シリコン層のその後の除去によって、図2Bに示す接続パッド52、54に対する縦方向金属構造体35が生成される。
【0057】
図2Cのメカニカルスイッチ20を形成するために、工程96は導電ジャンパー32を作製する工程のシーケンスを実行するようにしてもよい。このシーケンスは工程94で生成された中間構造体116上に第2の犠牲酸化シリコン層を形成する工程、及び第2の酸化シリコン層を平坦化する工程を含んでいてもよい。このシーケンスは、第2の犠牲層を通り、バイレイヤー24のエッジの付近の第2の窒化シリコン層112で止まるバイアを生成するためにドライエッチングを実行する工程、そして、バイアを充填する金属柱を生成するためにマスク制御金属めっきを実行する工程を含んでいてもよい。このシーケンスは、金属充填バイア上でそれに接触する導電ジャンパー32の上部水平部分を生成するために、マスク制御金属めっき及び第2の犠牲層上の過多な金属のリフトオフを実行する工程を含んでいてもよい。第2の犠牲層のその後の除去によって図2Cに示す導電ジャンパー32の金属実施例が生成される。
【0058】
最後に、方法70は、犠牲酸化シリコン層(単数又は複数)、例えば層106を除去するエッチングを実行することによって弾性バイレイヤーを物理的に解放する工程を含む(工程98)。このエッチングはHFの水溶液によるウェットエッチングであればよい。
【0059】
バイレイヤー24を解放するのに加えて、犠牲酸化層の除去によって図2Bの金属接続構造体35が生成され、図2Cに示すようにバイレイヤー構造体37の端部が跳ね上がる。
【0060】
例えば、図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチ20のようなマイクロメカニカルスイッチを製造する方法の他の実施例では、他の材料が上述の方法70で使用した材料に代替されてもよい。例えば、これらの他の方法は、上記方法70の特定の半導体、金属、及び/又は誘電体を、適切な代替物としてマイクロ電子技術の当業者又はマイクロ電気機械システム(MEMS)技術の当業者に周知の他の機能的に及び/又は構造的に類似の材料によって代替してもよい。
【0061】
上記の開示、図面、及び特許請求の範囲から、当業者には他の実施例も明白なものとなる。
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロメカニカルスイッチ並びにマイクロメカニカルスイッチを作製し及び動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メカニカルスイッチは、開スイッチ状態及び閉スイッチ状態間の切換えの転換中に移動する電気接続を有する電気スイッチである。多くのメカニカルスイッチにおいて、制御可能な電気機械装置が開スイッチ状態及び閉スイッチ状態間の転換を駆動する。電気機械装置は、これらの状態の一方又は両方において連続的に通電されなくてはならないことが多い。そのようなメカニカルスイッチの一例として、閉スイッチ状態では電磁石がスイッチの接点同士を常に保持する電気機械リレーがある。スイッチ状態の一方又は両方においてそのような電気機械制御装置を連続的に通電することが必要となることによって、そのようなスイッチを用いるための電力コストが高くなってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
種々の実施例は、バイレイヤーの異なる安定湾曲構成が異なるスイッチ状態、即ち、開スイッチ状態及び閉スイッチ状態に対応するようなメカニカルスイッチを含む装置を提供する。あるメカニカルスイッチでは、閉スイッチ状態及び開スイッチ状態を維持するのに電力が不要である。
【0004】
一側面において、装置はメカニカルスイッチを含む。メカニカルスイッチは第1及び第2の安定湾曲状態を持つバイレイヤーを含む。第1の状態から第2の状態へのバイレイヤーの変形によってスイッチが閉じる。
【0005】
他の側面において、装置は、上表面を有する基板、上表面に沿って配置され基板に固定された複数の電極、及び基板に1以上の柱によって取り付けられたバイレイヤーを含む。バイレイヤーは第1の安定湾曲状態と第2の安定湾曲状態の間で変形することができる。バイレイヤーは第1及び第2の安定湾曲状態で湾曲する異なるエッジを有する。
【0006】
ある実施例では、上述の装置はバイレイヤー上に配置された電気ジャンパー及び上表面上に配置され基板に固定された第1及び第2の電気線を含んでいてもよい。電気ジャンパーは、バイレイヤーが第1の湾曲状態にあることに応じてこれらの線を電気的に接続し、バイレイヤーが第2の湾曲状態にあることに応じてこれらの線を短絡しないように構成されている。
【0007】
他の側面において、メカニカルスイッチを製造する方法は、応力を加えられたバイレイヤーを基板の上表面に、コネクタがバイレイヤーを基板に物理的に接続する態様で、形成する工程、及びバイレイヤーと上表面の間に配置された犠牲金属層を除去することによってバイレイヤーを解放する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は長方形状の例示の弾性バイレイヤーの2つの座曲又は湾曲安定状態を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、マイクロメカニカルスイッチの開スイッチ状態又は閉スイッチ状態を切り換えるために、異なる安定湾曲状態間でのバイレイヤーの変形を用いるマイクロメカニカルスイッチの3つの実施例の断面図である。
【図2B】図2Bは、マイクロメカニカルスイッチの開スイッチ状態又は閉スイッチ状態を切り換えるために、異なる安定湾曲状態間でのバイレイヤーの変形を用いるマイクロメカニカルスイッチの3つの実施例の断面図である。
【図2C】図2Cは、マイクロメカニカルスイッチの開スイッチ状態又は閉スイッチ状態を切り換えるために、異なる安定湾曲状態間でのバイレイヤーの変形を用いるマイクロメカニカルスイッチの3つの実施例の断面図である。
【図3】図3は図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチのバイレイヤーを示す底面図である。
【図4】図4は図2A−2Cのバイレイヤーの実施例を通る一垂直面を示す断面図である。
【図5A】図5Aは図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチの一実施例におけるバイレイヤーの下側に面し配置される表面を上から見た図である。
【図5B】図5Aは図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチの他の実施例におけるバイレイヤーの下側に面し配置される表面を上から見た図である。
【図6A】図6Aは図2Aのメカニカルスイッチにおいてバイレイヤーの中心を基板に固定する圧縮スプリング(CS)の上面図である。
【図6B】図6Bはどのようにスプリングがバイレイヤーの中心を基板に作用させるかを示す、図6Aの圧縮スプリング(CS)の側面図である。
【図7】図7は複数の安定湾曲状態を有するバイレイヤーを持つマイクロメカニカルスイッチ、例えば、図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチを動作させる方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は異なるスイッチ状態が異なる安定湾曲状態に関連付けられるマイクロメカニカルスイッチを製造するための、例えば、図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチの実施例を作製するための、方法を示すフローチャートである。
【図9】図9は図8の方法の種々の実施例の実行中に製作された中間構造体の断面図である。
【図10】図10は図8の方法の種々の実施例の実行中に製作された中間構造体の断面図である。
【図11】図11は図8の方法の種々の実施例の実行中に製作された中間構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面及び文章において、同じ符号は同様の構造及び/又は機能を持つ要素を示す。
図面において、ある構成の相対寸法は、そこにおける構造の一以上をより明確に示すために誇張されている場合もある。
なお、種々の実施例が「図面」及び「発明を実施するための形態」によってより完全に記載されている。それでもなお、本発明は種々の形態で具現化されることができ、「図面」及び「発明を実施するための形態」に記載される実施例に限定されるものではない。
【0010】
2つのレイヤーが非類似の組成を持つ弾性平面バイレイヤーは内部応力傾斜をしばしば受ける。内部応力傾斜は多角形状のバイレイヤーの平面状態を不安定にさせる。そのため、そのような平面バイレイヤーは自然に座曲して湾曲し得る。座曲又は湾曲された状態では、バイレイヤーは軸、例えば、バイレイヤーの対辺の中間点を通る軸に関して湾曲する。バイレイヤーが偶数のエッジ(辺)の多角形状を有する場合、バイレイヤーは1より多い安定湾曲状態を持つことになる。
【0011】
図1は平坦な表面12上に配置された弾性バイレイヤー10の安定湾曲状態を示す。弾性バイレイヤー10は平らになったときには長方形状又は正方形状を有する。弾性バイレイヤー10において、一方の対の対辺の中心点が「A」で示され、他方の対の対辺の中心点が「B」で示される。
【0012】
図1の上段及び下段にそれぞれ示すように、弾性レイヤー10は2つの安定湾曲状態を持つ。図1の上段は、弾性バイレイヤー10がバイレイヤーの中心線B−Bの長さ全体に沿って平板表面12と接触する第1の安定湾曲状態を示す。この湾曲状態では、中心点「A」を含む弾性レイヤーの対辺は、縦方向の点線で示すように平坦表面12の上方に持ち上げられ、中心点「B」を有するバイレイヤーエッジが湾曲される。第2の安定湾曲状態では、弾性バイレイヤー10はバイレイヤーの中心線A−Aの長さ全体に沿って平坦表面12と接触する。この湾曲状態では、中心点「B」を含む弾性バイレイヤーの対辺は、縦方向の点線で示すように平坦表面12の上方に持ち上げられ、中心点「A」を有するバイレイヤーエッジが湾曲される。従って、安定湾曲状態の各々は弾性バイレイヤー10の1つの中心線を平坦表面12に接触配置する。バイレイヤーの安定湾曲状態はバイレイヤーの多角形状によって定められる。
【0013】
図1は弾性バイレイヤー10をその2つの安定湾曲状態間で変形する方法を示している。本方法は、その各湾曲状態が1つの中心線、即ち、A−A又はB−Bを線の長さ全体に沿って平坦支持表面12に接触させて位置させることを利用する。特に、弾性多角形バイレイヤー10の第1の湾曲状態から第2の湾曲状態への変形は、中心線、即ち、最初は平坦表面12に接触していないA−A又はB−Bを平坦表面12に接触させるようにしなければならない。従って、本方法は、中心線A−Aの長さ全体を平坦表面12の近く又は接触状態に至らせる力を弾性バイレイヤー10に加えて、多角形バイレイヤーを図1の上段の安定湾曲状態から下段の安定湾曲状態に変形する。同様に、本方法は、中心線B−Bの長さ全体を平坦表面12の近くに、又は接触状態に、至らせる力を弾性バイレイヤー10に加えて、弾性バイレイヤー10を図1の下段の安定湾曲状態から上段の安定湾曲状態に変形する。
【0014】
図1の2つの安定湾曲状態間で多角形弾性バイレイヤー10を変形するのに必要な力は静電的に加えられてもよい。そのような静電力によって、図2A−2C、3、4、5A及び5Bに図示されるマイクロメカニカルスイッチ20の種々の実施例が動作する。各実施例では、バイレイヤーの各安定湾曲状態は閉スイッチ状態に対応し、同じバイレイヤーの1以上の他の安定湾曲状態は開スイッチ状態に対応する。
【0015】
実施例の各々において、マイクロメカニカルスイッチ20は基板22、弾性バイレイヤー24、制御電極のアレイ28、誘電体層30、導電ジャンパー32、及び入出力(I/O)電線34を含む。図2A、2B及び2Cの異なる実施例は、導電ジャンパー32及び/又はI/O電線34については異なる構造を有する。
【0016】
基板22は微細電子製作のための堅い支持構造である。基板22は、例えば、結晶シリコンウエハ基板、堅い誘電体基板、又は1以上の絶縁誘電体層に覆われた結晶半導体ウエハ基板等であればよい。基板22はメカニカルスイッチ20の他の要素がその上に配置される上表面26を有する。上表面26は平坦であってもよいし、ほぼ平坦、即ち、平板の状態からわずかにばらついたものであってもよい。
【0017】
弾性レイヤー24は略多角形の横形状を有し、多角形は偶数のエッジを有する。例えば、8、6又は4辺の多角形状を有していてもよいし、その横形状を完全な多角形でなくすような小辺及び/又は角の不規則性を有していても、いなくてもよい。例示の弾性バイレイヤー24は、辺の長さが約100μmと約500μmの間の正方形又は長方形である。弾性バイレイヤー24は2つの結合された異なる組成を有する薄い層36、38で形成される。下部層は導電層であり、例えば、1マイクロメートル(μm)から3μmの厚さの重度にドーピングされた多結晶シリコン(ポリシリコン)である。上部層38は無機誘電体層であり、例えば、約0.3μmから約1.0μmの厚さの窒化シリコン層、即ち、0.5μmのSi3N4である。結合された薄い層36、38は大きく異なる組成を有するので、これらは弾性バイレイヤー24が平らなときに有効応力傾斜を生成することになる。例えば、窒化シリコン/ポリシリコンのバイレイヤーでは、ポリシリコン層は圧縮応力を生成し、窒化シリコン層は引張り応力を生成するので、この組合せが有効応力傾斜によって弾性バイレイヤー24が自然に複数の安定湾曲状態の1つに座曲する(図2A−2C、3及び4には不図示)。図3の略長方形又は正方形の弾性バイレイヤー24について、2つの湾曲状態は図1に示す弾性バイレイヤー10のものとほぼ同様の形状を有する。
【0018】
弾性バイレイヤー24はまた、図2A−2C、3及び4に示すように、下部導電表面からの1以上の突起部を含む。
【0019】
突起部は、バイレイヤー24の一部分が基板22の近くに引っ張られたときに下部導電層36がその下層にあるアレイ28の制御電極と電気的に短絡するのを物理的に防止するように構成された短いストッパー42の規則的なアレイを含む。下部導電層36がポリシリコンで形成されている場合、ストッパー42はポリシリコン下部導電層36からの短いポリシリコン柱であればよい。このような実施例では、ストッパー42は電気的に絶縁された隆起部44(例えば、図2A−2C、5A及び5Bに示すように、短いポリシリコン柱)に沿って横方向に配列されていてもよい。隆起部44は基板22の平坦上表面26に固定されている。
【0020】
突起部は弾性バイレイヤー24の中央を基板22に物理的に係止するとともに弾性バイレイヤー24の導電下部層36と基板22の間を電気的に導電する経路を与える中央コネクタ40を含む。コネクタ40はスプリングであってもよいし、1以上の堅い柱であってもよい。コネクタ40がスプリングである実施例では、スプリングは弾性バイレイヤー24を基板22へ向けて引っ張る圧縮力を与える。コネクタ40が1以上の堅い柱である実施例では、1以上の柱はバイレイヤー24の中央を基板22の上に堅く固定する。代表的実施例では、コネクタ40は、例えば、重度にnタイプ又はpタイプドーピングされたポリシリコンからなり、約3μmから約5μmの直径を有していればよい。コネクタ40は、それが圧縮スプリングの場合はより大きな幅寸法を有することになる。コネクタ40はまた、弾性バイレイヤー24の重度にドーピングされたポリシリコン下部導電層36からの突起として形成されてもよい。
【0021】
制御電極のアレイ28は平坦上表面26上に配置され、そこに強固に固定された平面構造を形成する。アレイ28は、図5A及び5Bの弾性バイレイヤー24の長方形/正方形の図形として示すように、動作グループA、Bにセグメント化され、選択的にガードグループO1、O2を含む。各動作グループA、B、O1、O2は中央コネクタ40の対向する側に対称に配置された一対の制御電極を含む。各電極は電気的に絶縁するギャップによってその隣接のものから離隔されている。電気的に絶縁するギャップは誘電体で充填されていても、されていなくてもよい。図示する代表的実施例では、制御電極のグループA、B、O1、O2は重度にドーピングされたポリシリコン構造体で形成される。動作グループA、Bの制御電極は弾性バイレイヤー24のエッジの中心領域周辺に配置され、ガードグループO1、O2の制御電極は弾性バイレイヤー24のエッジの間の角近辺に配置される。
【0022】
図5Aに図示するように、代表的な正方形の弾性バイレイヤー24について、各グループA、B、O1及びO2の両電極はともに電気的に短絡されている。そのため、各動作グループA、Bの両電極、及び各ガードグループO1、O2の両電極は実質的に同じ値の電位に維持される。動作グループAの電極は、例えば、1×2スイッチ46の一方の出力1に接続され、動作グループBの電極は、例えば、1×2スイッチ46の他方の出力2に接続される。1×2スイッチ46は基板22上又は基板22外にあればよい。1×2スイッチ46は、その出力1、2の一方を外部電圧源48に切換可能に接続するように構成される。従って、電圧源48は動作グループAの制御電極又は動作グループBの制御電極のいずれかに電圧を印加することができる。ガードグループO1、O2の制御電極は装置のグランドに電気的に接続されるので、動作グループA又は動作グループBの制御電極に電圧が印加されているときでも電圧はそこに印加されない。ガードグループO1、O2の制御電極が接地されているので、弾性バイレイヤー24の角には有効な静電力は通常は加えられない。その代わり、有効な静電力は弾性バイレイヤー24のエッジの中央領域付近に、弾性導電バイレイヤー24の対辺を通る中心線に沿って加えられる。
【0023】
図5Aに図示するように、孔が制御電極内又は制御電極間に配置されていてもよい。孔は隆起部44を含み、これは弾性バイレイヤー24の導電下部面のストッパー42の縦方向に配列される。従って、ストッパー42は、弾性バイレイヤー24の周縁部が基板22の近くに引き寄せられたときに隆起部44と物理的な接触をなすことができる。隆起部44もドーピングされたポリシリコンで形成される。図5Aにおいて、拡大図は隆起部44の1つを示す。拡大図は、隆起部44がグループA、B、O1、O2の周辺電極からギャップによって離隔されることを示している。各隆起部44と隣接する制御電極の間にギャップがあるために、弾性バイレイヤー24のいくつかのストッパー42が隆起部44のいくつかと接触する場合であっても、メカニカルスイッチ20の動作中に弾性バイレイヤー24の下部導電層36がアレイ28の制御電極に電気的に短絡されることはない。ギャップは空洞でもよいし、例えば窒化シリコン等の誘電体で充填されていてもよい。
【0024】
薄い誘電体層30はアレイ28の制御電極、I/O電線34、隆起部44、及び接続パッド52、54を下層にある基板22から絶縁する。代表的実施例では、誘電体層30は、例えば、温度酸化によって形成された高密度の酸化シリコンで形成されてもよいし、例えば、0.3μmから1.0μmの窒化シリコンのように、窒化シリコンで形成されてもよい。
【0025】
図2A−2Cを参照すると、導電ジャンパー32は弾性バイレイヤー24の上表面に強固に固定され、その1つのエッジ、例えば、上記エッジの中心点付近の上に突き出ている。代表的実施例では、導電ジャンパー32は金属層、又は、例えば、金(Au)を含む層及びチタン(Ti)のような結合金属層等の金属複層で作製されていればよい。導電ジャンパー32は、導電ジャンパー32が突き出るエッジが接続パッド52、54へ向けて引き寄せられるのに応じて、一対の接続パッド52、54間が電気的短絡を形成するように、即ち、図5Aに示すように配列される。即ち、導電ジャンパー32は2つの電線34を互いに電気的に短絡することによってメカニカルスイッチ20を閉じる。導電ジャンパー32はまた、メカニカルスイッチ20が閉状態にあるとき、即ち、バイレイヤー24の対辺が接続パッド52、54に向けて力を加えられるときに接続パッド52、54に接触するための一対の縦方向突起56を含んでいてもよい。
【0026】
I/O電線34は外部電気リード(不図示)を、その電気状態(即ち、電気的に接続されるか切断されるか)がメカニカルスイッチ20によって制御される接続パッド52、54に接続させるよう構成される。2つのI/O電線34は金属層、例えばAu/Ti等の金属複層、及び/又は重度にnタイプ若しくはpタイプドーピングされたポリシリコンを含んでいてもよい。
【0027】
メカニカルスイッチ20の他の実施例は、その横方向形状が種々のタイプの略多角形であるバイレイヤー24を使用することができる。例えば、弾性バイレイヤー24は4、6、8辺の略正多角形であればよい。他の実施例は、複数のエッジが上方に持ち上げられる複数の安定湾曲状態をバイレイヤーが有する限りは、応力が加えられる他の形状のバイレイヤー24を用いることができる。
【0028】
図2A−2Cの実施例は導電ジャンパー32及びI/O電線34について異なる構成を有する。
【0029】
図2Aの実施例では、電気ジャンパー32は下向きの力を閉スイッチ状態にあるI/O電線34の接続パッド52、54に加える。弾性バイレイヤー24の(電気ジャンパー32が張り出す)エッジが湾曲される時に下向きの力が加えられる。本実施例では、コネクタ40が圧縮スプリング(CS)なので下向きの力が生成される。
【0030】
図6A−6Bに、そのような圧縮スプリングCSについての一実施例を示す。圧縮スプリングCSは柱P、中央アームCA、及び対称配置された側方アームSAを含む。中央アームCAは柱Pと各側方アームSAの一端の間を接続する。空間ギャップ(EG)が中央アームCAと側方アームSAの長手方向を相互に、及び弾性バイレイヤー24から、離隔しているので、中央アームCAと側方アームSAは独立して曲がることができる。中央アームCAは、例えば、上部窒化シリコン層及び下部ドーピングポリシリコン層、即ち、弾性バイレイヤー24と同じ層を含む。その形状と取付けによって、中央アームCAは、柱Pに固定されている中央アームCAの一端が中央アームCAの他端よりも低くなるようにして安定湾曲状態となる。側方アームSAは二層ではなく単層なので、側方アームSAは直線状であり、即ち湾曲していない。例えば、側方アームSAは弾性バイレイヤー24の下部導電層36と同じドーピングポリシリコンで作製されていればよい。代替的に、側方アームSAは弾性バイレイヤー24の上部誘電層38と同様に窒化シリコンで作製されていてもよい。後者の場合、側方アームSAは、弾性バイレイヤー24、即ち、その導電下部層36、導電性ドーピングポリシリコンの中央アームCA及び柱Pの間の導電ブリッジを与える金属層で覆われていてもよい。中央アームCAの曲率及び側方アームSAの長さによって、圧縮スプリングCSは側方アームSAの遠端に基板22の方向に力を加える。バイレイヤー24は側方アームSAの遠端に固定されているので、圧縮スプリングCSもバイレイヤー24の取付け中心を基板22の方向に押す。
【0031】
図2Bの実施例では、電気ジャンパー32は閉スイッチ状態にあるI/O電線34の接続パッド52、54に上方向の力を加える。各接続パッド52、54は対応する金属構造体35の下側に配置される。各金属構造体は電気導電線34の対応する一方に結合され、導電ジャンパー32の縦方向に張り出す。図2Bのマイクロメカニカルスイッチを閉じている間、電気ジャンパー32が張り出すバイレイヤー24のエッジが湾曲されていない時に、金属構造体35に上方向の力が加えられる。この状態において、バイレイヤー24の他方のエッジは閉スイッチ状態に対応する安定湾曲状態にあり、基板22の表面26に近い。図2Bのマイクロメカニカルスイッチ20を閉じている間、その安定湾曲状態の1つにおいて、電気ジャンパー32がオーバーラップするエッジをバイレイヤー24の湾曲状態によって上方に押すので、上方の力が生成される。
【0032】
図2Cの実施例では、各接続パッド52が対応のバイレイヤー構造体37の隆起した上部に配置されるので、導電ジャンパー32はI/O電線34の接続パッド52、54に下向きの力を加える。2つのバイレイヤー構造体37は、例えば、下部ポリシリコン層36の上に上部窒化シリコン層38等、バイレイヤー24と同じバイレイヤー構造を有していればよい。各バイレイヤー構造体37の自由端部は、その端部の下の犠牲層の除去に応じて製造中にアーチ形状となる。特に、その下の犠牲層が除去される時の有効応力傾斜に起因して、各バイレイヤー構造体37の形状及び誘電体層30に対するその形状的固定状態によって端部がアーチ形状をとる。
【0033】
図5Bに、図2A及び5Aのものと類似のマイクロメカニカルスイッチにおけるアレイ28の制御電極の代替実施例を示す。マイクロメカニカルスイッチの間での主な相違は、図5Bのスイッチでは、図2A及び5Aのマイクロメカニカルスイッチ20とは異なり、導電コネクタ40が誘電体層30を貫通しないことである。その代わり、導電コネクタ40はガードグループO1、O2の一方又は両方の制御電極の中央導電拡張部(E)に接続されている。導電拡張部E及び導電コネクタ40は弾性バイレイヤー24の下部導電層36とガードグループO1、O2の制御電極の間の導電電気経路を形成する。この導電電気経路によって、弾性バイレイヤー24の下部導電性層36はガードグループO1、O2の制御電極とともに接地される。
【0034】
図7は導電性下部層を有する弾性バイレイヤー(例えば、バイレイヤー24)を含むマイクロメカニカルスイッチを動作させるための方法60を示す。弾性バイレイヤーは2以上の安定湾曲状態を有し、略多角形の形状であればよい。安定湾曲状態の各々において、バイレイヤーの異なるエッジが湾曲される。弾性バイレイヤーはまた、導電性コネクタ、例えば、コネクタ40によって基板に取り付けられている。例えば、方法60によって図2A−2Cのバイレイヤーに基づくメカニカルスイッチ20を動作させることができる。
【0035】
方法60はバイレイヤーを第1の安定湾曲状態から別の第2の安定湾曲状態に変化させるために第1の制御力を弾性バイレイヤーに加えるステップを含む(ステップ62)。第1の制御力は、例えば、バイレイヤーの導電層の近くに配置された帯電した制御電極によって生成される静電力であればよい。制御電極は、例えば、図5A−5Bにおける動作グループA又はBの制御電極と同様に、バイレイヤーの一対の対辺の中央部付近に配置される。第2の安定湾曲状態では、バイレイヤー上の導電ジャンパーは2つのI/O電気接点又は線を電気的に短絡し、それによりメカニカルスイッチを閉じる。例えば、図2A−2Cのバイレイヤー24の各々は、弾性バイレイヤー24の安定湾曲状態の一方においてI/O電線34を電気的に短絡する導電ジャンパー32を有する。
【0036】
方法60は、そこへのさらなる制御力の付加なしにバイレイヤーが第2の安定湾曲状態に留まるように第1の制御力を解放するステップを含む(ステップ64)。即ち、バイレイヤーは第2の安定湾曲状態にラッチすることになるので、閉スイッチ状態への変形後にスイッチを閉じた状態に維持するために電力は消費されない。そして、方法60は、バイレイヤーが第2の安定湾曲状態にある間に電流をマイクロメカニカルスイッチに流すことができる。
【0037】
方法60は、バイレイヤーが第2の安定湾曲状態から他の安定湾曲状態へ変化するように第2の制御力を弾性バイレイヤーに加えるステップを含む(ステップ66)。他の安定湾曲状態は第1の安定湾曲状態、又は第2の安定湾曲状態ではない他の安定湾曲状態とすることができる。第2の安定湾曲状態とは異なる安定湾曲状態にあるバイレイヤー上の導電ジャンパーはI/O導電線又は接点を電気的に短絡しないので、状態変化によってメカニカルスイッチが開く。第2の制御力は他の制御電極を帯電させることによって生成される静電力であればよい。例えば、図5A又は5Bにおいて、第1の制御力を加えた制御電極が動作グループAの制御電極の場合、第2の制御力を加える制御電極は動作グループBの制御電極であればよい。第1及び第2の制御力の付加は、導電ジャンパーを有するバイレイヤーのエッジが第1及び第2の安定湾曲状態の一方で湾曲され、第1及び第2の安定湾曲状態の他方で実質的に湾曲されないような態様のものである。
【0038】
ある実施例では、方法60は、バイレイヤーが他の安定湾曲状態に留まるように、第2の制御力を解放するステップを含む(ステップ68)。即ち、バイレイヤーが他の安定湾曲状態でラッチするので、開スイッチ状態への変形後にスイッチを開いた状態に維持するために電力は消費されない。
【0039】
図8に、開スイッチ状態及び閉スイッチ状態がその弾性バイレイヤーの異なる安定湾曲状態に対応するマイクロメカニカルスイッチを製造するための方法70を示す。方法70の種々の実施例によって、例えば、図2A−2Cに示すマイクロメカニカルスイッチ20を製造できる。方法70の種々の実施例によって、図9−11に示す中間構造体108、114、116を生成することができる。
【0040】
方法70は、第1の窒化シリコン層100を結晶シリコン基板等の基板102の平坦上表面に従来のプロセスを介して付着させる工程を含む(工程72)。付着された第1の窒化シリコン層100はSi3N4の約0.3μmから約1.0μmの厚さを有していればよい。
【0041】
方法70は、第1の重度にpタイプ又はnタイプでドーピングされたポリシリコン層104を第1の窒化シリコン層100の上に従来のプロセスを介して形成する工程を含む(工程74)。第1のポリシリコン層104は約1μmから約3μmの厚さを有していればよい。
【0042】
方法70は、横方向に第1のポリシリコン層104をパターニングする、マスク制御されたドライ又はウェットエッチングを行う工程を含む(工程76)。エッチングは、例えば、下層にある第1の窒化シリコン層100の上で停止するように選択される。エッチングによって第1のポリシリコン層104を不連続な横領域に分離する。分離した横方向領域は、例えば、図5A又は5Bに示すように、アレイ28の制御電極、I/O電線34、隆起部44、及び接続パッド52、54を含むことになる。
【0043】
ある実施例では、方法70は、第1のポリシリコン層104の一部分にマスク制御金属蒸着を行う工程を含んでいてもよい。このような金属蒸着によって、例えば、図2A及び2Bのマイクロメカニカルスイッチ20の金属I/O電線34及び接続パッド52、54を生成する。
【0044】
方法70は、従来のプロセスを実行して酸化シリコン層106を第1のポリシリコン層104及び第1の窒化シリコン層100の露出部に付着させる工程を含む(工程78)。酸化シリコン層106は他の構造体の製造の補助として使用されるが、最終的なマイクロメカニカルスイッチからは除去される犠牲層である。
【0045】
方法70は、付着された酸化シリコン層106の表面を平坦化して、その後の製造で使用する滑らかな上表面を生成する工程を含んでいてもよい(工程80)。平坦化は、酸化シリコンに対する選択性を持つ化学機械平坦化(CMP)を実行する工程を含んでいてもよい。最終的な平らな酸化シリコン層106は、例えば、約1μmから約5μmの厚さを有していればよい。
【0046】
方法70は、弾性バイレイヤーの短いストッパー(例えば、図2A−2C、3及び4のストッパー42)を形成するために、酸化シリコン層106への従来のマスク制御ドライエッチングを実行して孔H1を生成する工程を含む(工程82)。エッチングは、例えば、酸化シリコン層106を貫通する前に停止するように時間調節される。
【0047】
方法70は、酸化シリコン層106への第2の従来的なマスク制御ドライエッチングを実行して、例えば、図2A−2Cの導電コネクタ40に対する柱等の柱のための孔H2を形成する工程を含む(工程84)。このエッチング工程はまた、後に図2Aの導電ジャンパーの先端を形成するために、酸化シリコン層内に孔(不図示)を形成する工程を含んでいてもよい。エッチング剤は下層にある基板102上で停止するように選択されればよい。他の実施例では、代替的に、例えば図5Bに示すようなマイクロメカニカルスイッチ20を形成するように、エッチング工程84が第1の窒化シリコン層100上で停止するように構成されていてもよい。
【0048】
第1及び第2のエッチング工程82及び84は、所望の構成の孔H1、H2のために適当なウィンドウを持つマスクを用いる。エッチング工程82及び84は図9に示すような中間構造108を生成する。
【0049】
方法70は、重度にpタイプ又はnタイプドーピングされた第2のポリシリコン層110を中間構造体108の酸化シリコン層106上に形成する工程を含む(工程86)。形成工程86は、ドーピングされたポリシリコンを付着させる工程、そして、従来の平坦化、例えば、ポリシリコンに対するCMP選択を実行する工程を含んでいてもよい。第2のポリシリコン層110は約1μmから約3μmの代表的な厚さを有する。形成された第2のポリシリコン層110の一部はまた、例えば図11に示すように、下層にある第1のポリシリコン層104上に直接存在するようにしてもよい。
【0050】
方法70は、例えば図2A−2C及び3−4の弾性バイレイヤー24のような略多角形状の弾性バイレイヤーを生成するために、従来のマスク制御エッチングを実行して第2のポリシリコン層110をパターニングする工程を含む(工程88)。図2Aのメカニカルスイッチ20を作製するために、パターニングする工程は、図6Aに示すように第2のポリシリコン層112におけるギャップEGのセットも生成することができる。このようなギャップは図6A及び6Bの圧縮スプリングCSを形成するために作製される。エッチング工程88は、代替的に、第2のポリシリコン層110の第2の部分をパターニングして図2Cに示すバイレイヤー構造体37の下部層36を作製する工程を含んでいてもよい。この第2のポリシリコン層110の第2の部分は、部分的に酸化シリコン層106上に、かつ、部分的に酸化シリコン層106外に作製される。即ち、第2のポリシリコン層110の第2の部分の一部は下層にある第1のポリシリコン層104上に直接存在し、又は第1の窒化シリコン層100上に直接存在する。
【0051】
方法70は第2のポリシリコン層110上に一致する第2窒化シリコン層112を付着させる工程を含む(工程90)。第2の窒化シリコン層112は例示的厚さとして約0.3μmから約1.0μm、0.5μmを有し得る。
【0052】
方法70は、第2の窒化シリコン層112のマスク制御エッチングを実行して図10の中間構造体114又は図11の中間構造体116のいずれかを形成する工程を含む(工程92)。図10の中間構造体114において、第2の窒化シリコン層112は、第2のポリシリコン層110とほぼ同じ形状を有するように横方向にパターニングされて、例えば、図3及び4にあるような略多角形状の弾性バイレイヤー24を生成している。図11の中間構造体116において、横方向パターニングは図2A−2C、3及び4の略多角形状弾性バイレイヤー24並びに図2Cの形状のバイレイヤー構造体37の両方を形成している。
【0053】
図2Aのマイクロメカニカルスイッチ20を製造する実施例において、エッチング工程92は、略多角形状の弾性バイレイヤー24の中央部において、側方アームSA及びギャップEGから第2の窒化シリコン層112を選択的に除去することもできる。これらのパターニングされた構成は第2のポリシリコン層110を通ってパターニングされるギャップEGで整列され、図6Aの圧縮スプリングCSにおけるように構成されることになる。
【0054】
図2Aのメカニカルスイッチ20を形成するために、方法70はまた、バイレイヤー110、112の右側エッジに隣接する第2の酸化シリコン層106の一部分へのマスク制御エッチングを行ってそこに1以上の孔を生成する工程を含んでいてもよい。1以上の孔は、そこに導電ジャンパー32の縦方向突起56のその後の形成に対して適切となるようにサイズが定められる。
【0055】
方法70は、第2の窒化シリコン層112の1つのパターニングされたエッジに張り出す金属電気ジャンパー、例えば、図2A−2Cの導電ジャンパー32を形成する工程を含む(工程96)。金属電気ジャンパーの金属は、金属の従来的なマスク制御蒸着、続いて、マスク上にある過多な金属のリフトオフによって付着されればよい。代替的に、金属電気ジャンパーの金属は従来の電気めっきプロセスによって付着されるようにしてもよい。金属電気ジャンパーのための代表的金属はAu/Tiを含むが、他の金属の組合せを用いてもよい。図2Aのメカニカルスイッチ20を製造する実施例では、接続パッド52、54の露出部が、例えば、この金属の導電ジャンパーの実施例20の形成中に、薄いフォトレジスト層によって保護されるようにしてもよい。
【0056】
図2Bのメカニカルスイッチ20を形成するために、方法70はまた接続パッド52、54に対する2つの金属構造体35を作製する工程のシーケンスを実行する工程を含んでいてもよい(図5Aも参照)。このシーケンスは、それまでの中間構造体上に第2の犠牲酸化シリコン層を形成する工程、及び第2の酸化シリコン層を平坦化する工程を含んでいればよい。そして、このシーケンスは、第2の酸化シリコン層を通過して導電I/O電線34の上で止まる2つのバイア(穴)を生成するためにドライエッチングを実行する工程、及び導電I/O電線34に接触する金属柱を生成するためにそのバイアを金属で充填する工程を含んでいてもよい。最後に、そのシーケンスは金属のマスク制御蒸着及び第2の犠牲層の上表面上の過多な金属のリフトオフを実行する工程を含んでいてもよい。この最後の工程は金属充填バイアに接触する金属構造体35の上部水平部分を生成することになる。第2の犠牲酸化シリコン層のその後の除去によって、図2Bに示す接続パッド52、54に対する縦方向金属構造体35が生成される。
【0057】
図2Cのメカニカルスイッチ20を形成するために、工程96は導電ジャンパー32を作製する工程のシーケンスを実行するようにしてもよい。このシーケンスは工程94で生成された中間構造体116上に第2の犠牲酸化シリコン層を形成する工程、及び第2の酸化シリコン層を平坦化する工程を含んでいてもよい。このシーケンスは、第2の犠牲層を通り、バイレイヤー24のエッジの付近の第2の窒化シリコン層112で止まるバイアを生成するためにドライエッチングを実行する工程、そして、バイアを充填する金属柱を生成するためにマスク制御金属めっきを実行する工程を含んでいてもよい。このシーケンスは、金属充填バイア上でそれに接触する導電ジャンパー32の上部水平部分を生成するために、マスク制御金属めっき及び第2の犠牲層上の過多な金属のリフトオフを実行する工程を含んでいてもよい。第2の犠牲層のその後の除去によって図2Cに示す導電ジャンパー32の金属実施例が生成される。
【0058】
最後に、方法70は、犠牲酸化シリコン層(単数又は複数)、例えば層106を除去するエッチングを実行することによって弾性バイレイヤーを物理的に解放する工程を含む(工程98)。このエッチングはHFの水溶液によるウェットエッチングであればよい。
【0059】
バイレイヤー24を解放するのに加えて、犠牲酸化層の除去によって図2Bの金属接続構造体35が生成され、図2Cに示すようにバイレイヤー構造体37の端部が跳ね上がる。
【0060】
例えば、図2A−2Cのマイクロメカニカルスイッチ20のようなマイクロメカニカルスイッチを製造する方法の他の実施例では、他の材料が上述の方法70で使用した材料に代替されてもよい。例えば、これらの他の方法は、上記方法70の特定の半導体、金属、及び/又は誘電体を、適切な代替物としてマイクロ電子技術の当業者又はマイクロ電気機械システム(MEMS)技術の当業者に周知の他の機能的に及び/又は構造的に類似の材料によって代替してもよい。
【0061】
上記の開示、図面、及び特許請求の範囲から、当業者には他の実施例も明白なものとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1及び第2の安定湾曲状態を有するバイレイヤーを含むメカニカルスイッチを含み、
該バイレイヤーは、該第1の安定湾曲状態において軸に沿って曲げられ、該第2の安定湾曲状態において異なる非平行な軸に沿って曲げられ、
該バイレイヤーの該第1の安定湾曲状態から該第2の安定湾曲状態への変化によって該スイッチが閉じ、
該バイレイヤーは、制御力が無い場合に、該第1の安定湾曲状態のままであることができ、該第2の安定湾曲状態のままであることができる、装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、該バイレイヤーが偶数の辺を持つ略多角形状を有する、装置。
【請求項3】
請求項2の装置において、
該多角形が4又は6個の辺を有し、
該辺が500マイクロメートルよりも短い、装置。
【請求項4】
請求項1の装置において、
該バイレイヤーが、電圧が該バイレイヤーと第1の電極間に印加されることに応じて該第1の安定湾曲状態に変化するように構成され、
該バイレイヤーが、電圧が該バイレイヤーと第2の電極間に印加されることに応じて該第2の安定湾曲状態に変化するように構成された、装置。
【請求項5】
請求項1の装置であって、さらに、
第1の表面を有する基板と、
該第1の表面に沿って配置され、該基板に固定された複数の電極とを含み、
該バイレイヤーが、コネクタによって該基板に物理的に取り付けられ、
該バイレイヤーが、該第1の安定湾曲状態と第2の安定湾曲状態において湾曲する異なるエッジを有する、装置。
【請求項6】
請求項1の装置であって、さらに、
該バイレイヤー上に配置された電気ジャンパーと、
基板に固定された第1及び第2の電線とを含み、
該電気ジャンパーが、該バイレイヤーが該第1の安定湾曲状態にあることに応じて該第1及び第2の電線に電気的に接続し、該バイレイヤーが該第2の安定湾曲状態にあることに応じて該第1及び第2の電線を電気的に接続しないように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1の装置であって、さらに、
該バイレイヤー上に配置された電気ジャンパーを含み、
該電気ジャンパーが、該バイレイヤーが該第1の安定湾曲状態にあることに応じて該第1及び第2の電線に電気的に接続し、該バイレイヤーが該第2の安定湾曲状態にあることに応じて該第1及び第2の電線を電気的に接続しないように構成されている、装置。
【請求項8】
請求項1の装置であって、さらに、
複数の電極と、
該複数の電極を支持する基板とを含み、
該複数の電極の一対は、該バイレイヤーのエッジの第1の対の一部を該基板に向けて引き寄せるように構成され、
該複数の電極の別の対は、該該バイレイヤーのエッジの第2の対の一部を該基板に向けて引き寄せるように構成されている、装置。
【請求項9】
請求項1の装置であって、該制御力が静電気力を含む、装置。
【請求項1】
装置であって、
第1及び第2の安定湾曲状態を有するバイレイヤーを含むメカニカルスイッチを含み、
該バイレイヤーは、該第1の安定湾曲状態において軸に沿って曲げられ、該第2の安定湾曲状態において異なる非平行な軸に沿って曲げられ、
該バイレイヤーの該第1の安定湾曲状態から該第2の安定湾曲状態への変化によって該スイッチが閉じ、
該バイレイヤーは、制御力が無い場合に、該第1の安定湾曲状態のままであることができ、該第2の安定湾曲状態のままであることができる、装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、該バイレイヤーが偶数の辺を持つ略多角形状を有する、装置。
【請求項3】
請求項2の装置において、
該多角形が4又は6個の辺を有し、
該辺が500マイクロメートルよりも短い、装置。
【請求項4】
請求項1の装置において、
該バイレイヤーが、電圧が該バイレイヤーと第1の電極間に印加されることに応じて該第1の安定湾曲状態に変化するように構成され、
該バイレイヤーが、電圧が該バイレイヤーと第2の電極間に印加されることに応じて該第2の安定湾曲状態に変化するように構成された、装置。
【請求項5】
請求項1の装置であって、さらに、
第1の表面を有する基板と、
該第1の表面に沿って配置され、該基板に固定された複数の電極とを含み、
該バイレイヤーが、コネクタによって該基板に物理的に取り付けられ、
該バイレイヤーが、該第1の安定湾曲状態と第2の安定湾曲状態において湾曲する異なるエッジを有する、装置。
【請求項6】
請求項1の装置であって、さらに、
該バイレイヤー上に配置された電気ジャンパーと、
基板に固定された第1及び第2の電線とを含み、
該電気ジャンパーが、該バイレイヤーが該第1の安定湾曲状態にあることに応じて該第1及び第2の電線に電気的に接続し、該バイレイヤーが該第2の安定湾曲状態にあることに応じて該第1及び第2の電線を電気的に接続しないように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1の装置であって、さらに、
該バイレイヤー上に配置された電気ジャンパーを含み、
該電気ジャンパーが、該バイレイヤーが該第1の安定湾曲状態にあることに応じて該第1及び第2の電線に電気的に接続し、該バイレイヤーが該第2の安定湾曲状態にあることに応じて該第1及び第2の電線を電気的に接続しないように構成されている、装置。
【請求項8】
請求項1の装置であって、さらに、
複数の電極と、
該複数の電極を支持する基板とを含み、
該複数の電極の一対は、該バイレイヤーのエッジの第1の対の一部を該基板に向けて引き寄せるように構成され、
該複数の電極の別の対は、該該バイレイヤーのエッジの第2の対の一部を該基板に向けて引き寄せるように構成されている、装置。
【請求項9】
請求項1の装置であって、該制御力が静電気力を含む、装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−146403(P2011−146403A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87072(P2011−87072)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2009−527357(P2009−527357)の分割
【原出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2009−527357(P2009−527357)の分割
【原出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】
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