説明

湿度制御装置、及びこれを用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置

【課題】 画像形成装置における湿度制御の省電力化を図る。
【解決手段】 プロセスカートリッジPC内に取り付けた湿度センサSによってプロセスカートリッジPC内の湿度を検知し、コントローラボードCBに電気信号として伝達する。コントローラボードCBでこの電気信号を監視し、プロセスカートリッジPC内の湿度が所定の湿度となるようにファンFや湿度制御装置HCUへの供給電力を制御する。駆動には、圧板C5の上面に設置してある太陽電池SCによって発電させた電力を用い、コントローラボードCBを経由して湿度制御装置HCUやファンFへ電力を供給する。太陽電池SCで発電する電力が不十分な場合には、主電源PSUや補助電源装置SPSUからも電力を供給し得るように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関し、詳細には画像を形成する作像部周りの雰囲気を湿度制御するようにしたものと、湿度制御装置並びにプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複写機等の電子写真方式の画像形成装置では、環境負荷低減のため省エネルギー化が叫ばれている。この省エネルギー化に関しては、エナジースター規格が良く知られており、現在、省エネルギーモードの規格値は、1分あたり20〜44枚の複写機については15W、45枚以上の複写機に付いては20Wというように規定されている。
【0003】
また規格以外に関しても、日本国内の一般オフィスにおける商用電源は100V、15Aとなっており、それ以上の電力が必要な場合は、電源工事が必要となってしまうので、その意味でも省エネルギー化が必要である。
【0004】
その反面、電子写真の機能に関しては、高速化、カラー化、高画質化が市場から要求されており、使用環境に依らず、長期に亘って安定した画質を提供することは重要な課題である。
【0005】
その課題に対して、湿度制御装置を搭載して、作像部の雰囲気を一定環境に保つ手段が従来多々提案されているが、前述のように消費電力に関する制約が厳しくなってゆく中で実装するのは徐々に困難なものとなってきている。
【0006】
すなわち、従来の提案は、待機時における除湿/加熱装置の制御に関するものであり、湿度制御装置の電力消費に関してはなんら考慮されていないためである。
【特許文献1】特開平10−146993号公報
【特許文献2】特開2001−296787号公報
【特許文献3】特開2003−18340号公報
【特許文献4】特開2002−215006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来の問題点にかんがみ、湿度制御の省電力化を図ることを目的とし、またそのような湿度制御装置を備える画像形成装置やプロセスカートリッジを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る湿度制御装置は、湿度制御手段と発電装置とを有し、該発電装置から前記湿度制御手段へ作動用の電力を供給可能としてなることを特徴とする。
【0009】
同請求項2に係るものは、湿度制御手段、主電源装置及び発電装置とを有し、該主電源装置及び該発電装置から前記湿度制御手段へ作動用の電力を供給可能としてなり、前記発電装置の発電量が不十分な時に、前記主電源装置の電力を併用して前記湿度制御手段へ電力を供給可能としてなることを特徴とする。
【0010】
同請求項3に係るものは、湿度制御手段、主電源装置、補助電源装置及び発電装置とを有し、該補助電源装置及び該発電装置から前記湿度制御手段へ作動用の電力を供給可能としてなり、前記発電装置の発電量が不十分な時に、前記補助電源装置の電力を併用して前記湿度制御手段へ電力を供給可能としてなることを特徴とする。
【0011】
同請求項4に係るものは、請求項1ないし4のいずれかの湿度制御装置において、前記発電装置が太陽電池であることを特徴とする。
【0012】
同請求項5に係るものは、請求項4の湿度制御装置において、前記太陽電池が色素増感型太陽電池であることを特徴とする。
【0013】
同請求項6に係るプロセスカートリッジは、請求項1ないし5の湿度制御装置を用いて湿度制御可能としてなることを特徴とする。
【0014】
同請求項7に係るものは、請求項1ないし5のいずれかの湿度制御装置を備えてなることを特徴とする。
【0015】
同請求項8に係るものは、請求項6または7のプロセスカートリッジにおいて、現像剤に重合トナーを用いてなることを特徴とする。
【0016】
同請求項9に係る画像形成装置は、請求項1ないし5のいずれかの湿度制御装置によって湿度制御可能としてなることを特徴とする。
【0017】
同請求項10に係るものは、請求項9の画像形成装置において、現像剤に重合トナーを用いてなることを特徴とする。
【0018】
同請求項11に係るものは、請求項6ないし8のいずれかのプロセスカートリッジを着脱可能に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、電力供給源を商用電源に限ることなく、発電装置を装備して湿度制御装置の電源として用いることで省エネルギー化に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る湿度制御装置は、大まかには、制御対象とする箇所の湿度を検知するセンサ部と、ファンやポンプ等からなる送風部、ペルチェ素子やSPE膜、中空糸膜等からなる除湿/加湿部から構成する。センサは常時制御対象部の湿度を検知しており、所定の湿度条件から外れたと判断される場合、除湿/加湿部が作動して除湿/加湿を始めるようになっている。除湿/加湿部で除湿/加湿した空気は、送風部の送風装置によって制御対象部へ送る。送風装置は、制御対象部の湿度が所定の湿度条件内か条件外かによってOFF/ONを繰り返すが、より正確な制御を行う場合、制御対象部における湿度むらを均一にならすために、条件内の場合においてもON、あるいは微風を送風するように設定してもよい。センサでの湿度検知とその後の除湿/加湿の応答が遅い場合は、所定の湿度環境に安定して制御するのが困難となるため、PID等のコントロールを行うと良い。また発電装置は、さまざまな種類があるが、太陽電池が良い。その理由は、光は日中であれば容易に、また安定して手に入れることが可能であるからである。色素増感型太陽電池を用いれば、ADFや圧板等ユーザーの目に触れやすい箇所に使用しても外観を損なうこともなく、また、曲げることが可能なため設計自由度が増える。
【0021】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。なお以下では、本発明の湿度制御装置を画像形成装置とした実施例と、画像形成装置に取り付けるプロセスカートリッジとした実施例として説明するが、本発明はこのような形態のものには限定されず、種々の装置に適用できる。また、これら画像形成装置、プロセスカートリッジは、現像剤に重合トナーを用い、高画質な画像を出力できるものとし得る。
【実施例1】
【0022】
本発明の湿度制御装置を画像形成装置とした一実施例について、図面を参照して説明する。図1により本実施例の画像形成装置の全体構成から説明すると、胴内排紙型画像形成装置の略中央に画像形成部Aが配置してあり、この画像形成部Aのすぐ下方に給紙部Bが位置する。必要に応じ別の給紙装置を下部に増設することができる。画像形成部Aの上方には、排紙収納部Dを隔てて原稿を読み取る読み取り部Cを配設している。画像形成部Aと読み取り部Cとの空間部が排紙収納部Dとしてあり、画像を形成した記録媒体(以下、用紙と言う)を排紙して収納するようにしてある。
【0023】
画像形成部Aでは、ドラム状の感光体A1の周囲に、感光体A1の表面に帯電処理を行う帯電装置A2、画像情報を感光体A1の表面にレーザ光で照射する露光装置A8、感光体A1の表面に露光により形成した静電潜像を可視化する現像装置A3、感光体A1上で現像されたトナー像を用紙に転写する転写装置A4、転写後に感光体A1の表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置(図はクリーニングブレードで示す)A5等がそれぞれ配置してある。なお近年では、メンテナンスの容易さから、感光体A1、帯電装置A2、現像装置A3、クリーニング装置A5等をプロセスカートリッジ(PC)として1つのユニットに組み込んでいるものが増えている。
【0024】
また、トナー像を得た用紙上のトナーを定着処理する定着装置A6が用紙の搬送経路での下流側に配置してある。定着装置A6を通過した用紙は、排紙ローラA7を経て排紙収納部Dへと排紙収納されるようになっている。
【0025】
一方、給紙部Bには未使用の用紙が収容してあり、給紙ローラB1の回転により、最上紙を給紙カセットから送り出し、レジストローラA9へと搬送する。レジストローラA9は、用紙の搬送を一時止め、感光体A1表面のトナー像と用紙の先端との位置関係が所定の位置になるよう、タイミングをとって回転を開始するよう制御する。
【0026】
読み取り部Cでは、コンタクトガラスC2上に原稿(不図示)を載置させ、圧板C5によって読み取り面をコンタクトガラスC2へ押しつけて原稿面の読み取りを行う。載置された原稿の読み取り走査を行うために、原稿照明用光源とミラーよりなる読み取り走行体C1が往復移動するようになっている。この読み取り走行体C1により走査して得た画像情報は、レンズC3の後方に設置したCCD(C4)に画像信号として読み込み、その後、デジタル化して画像処理する。そして、画像処理した信号に基づいて露光装置A8のレーザダイオード(不図示)を発光させ、それにより感光体A1の表面に静電潜像を形成する。レーザダイオードからの光信号は、公知のポリゴンミラーやレンズからなる光学系を介して感光体A1に至る。
【0027】
本実施例の湿度制御は次のように行う。まず、プロセスカートリッジPC内に取り付けた湿度センサSによってプロセスカートリッジPC内の湿度を検知し、コントローラボードCBに電気信号として伝達する。コントローラボードCBでは、常にこの電気信号を監視し、プロセスカートリッジPC内の湿度が所定の湿度となるようにファンFや湿度制御装置HCUへの供給電力を制御する。例えば、湿度が高いと検知した場合は、湿度制御装置HCUの除湿力を向上させるために電力を増やし、また、早急にプロセスカートリッジPC内を除湿できるよう風量を増やすため、ファンFの電力も増やす。すなわち、環境に依らず、安定して画像形成が行えるようになる。
【0028】
これらの駆動には、圧板C5の上面に設置してある太陽電池SCによって発電させた電力を用い、コントローラボードCBを経由して湿度制御装置HCUやファンFへ電力を供給するが、例えば太陽電池SCで発電する電力が不十分な場合には、コントローラボードCBはそれを検知し、主電源PSUや、場合によっては補助電源装置SPSUからも電力を供給し得るように制御する。すなわち太陽電池SCの発電力が不十分な時も安定して湿度制御を行える。逆に、太陽電池SCで発電した電力が余る場合には、補助電源装置SPSUへ供給して電力を蓄えるような制御も行える。太陽電池SCを用いることで、容易に省電力化が行え、また、発電に廃棄物を生成しないため、クリーンである。さらに、外観を損なうことなく、外装等に太陽電池を設置できる。
【実施例2】
【0029】
次に、本発明の湿度制御装置を上述した画像形成装置に取り付けるプロセスカートリッジPCとした実施例を図2を用いて説明する。
本実施例の主な構成は、図1の実施例と同様に、感光体A1を中心として帯電ローラA2、現像ローラA3、クリーニングブレードA5を1つのカートリッジ内に収容したものとなっている。湿度センサSは筐体内に向けて設置してあり、湿度制御装置HCUは、プロセスカートリッジPCの筐体の内外両方に面するように設置してある。これらセンサSおよび湿度制御装置HCUの電気的な入出力は、コネクタ(不図示)を通して先に説明したコントローラボードCBと接続してあり、プロセスカートリッジPCの着脱に応じて同じく着脱されるものである。この例では、環境に依らず、安定して画像形成が行えるプロセスカートリッジとすることができるようになる。また本実施例では、湿度制御装置HCUがプロセスカートリッジPCと一体であるため、湿度制御装置HCUの交換性が向上する。
【0030】
(比較評価例)
上述した2つの本発明の実施例と従来の例を、菱彩テクニカ株式会社製の固体高分子電解質膜(SPE膜)を除湿装置として用い、高温多湿環境における画像比較評価を行った結果を下表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
図3は、従来例装置と本発明装置における、画像形成装置本体、湿度制御装置、主電源、補助電源、発電装置における電力供給形態を示す図である。図において、実線が主たる電力供給を、一点鎖線が待機電流を、点線が小量の電力供給を示す。
【0033】
従来例は湿度制御を行っておらず、スタート時に像流れと呼ばれるぼやけた画像が出力されたのに対し、本発明の実施例では、いずれもスタート時から良好な画像を得ることができた。また従来例では、画像を出力することで像流れは徐々に回復していったが、本発明の実施例では一貫して良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例の概念図である。
【図2】本発明の第1実施例の概念図である。
【図3】比較評価での従来例装置と本発明装置における、画像形成装置本体、湿度制御装置、主電源、補助電源、発電装置における電力供給形態を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
A 画像形成部
A1 感光体
A2 帯電装置
A3 現像装置
A4 転写装置
A5 クリーニング装置(クリーニングブレード)
A6 定着装置
A7 排紙ローラ
A8 露光装置
A9 レジストローラ
B 給紙部
B1 給紙ローラ
C 読み取り部
C1 読み取り走行体
C2 コンタクトガラス
C3 レンズ
C4 CCD
C5 圧板
D 排紙収納部
PC プロセスカートリッジ
PSU 主電源装置
SPSU 補助電源装置
CB コントローラボード
HCU 湿度制御装置
S 湿度センサ
SC 太陽電池


【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度制御手段と発電装置とを有し、該発電装置から前記湿度制御手段へ作動用の電力を供給可能としてなることを特徴とする湿度制御装置。
【請求項2】
湿度制御手段、主電源装置及び発電装置とを有し、該主電源装置及び該発電装置から前記湿度制御手段へ作動用の電力を供給可能としてなり、前記発電装置の発電量が不十分な時に、前記主電源装置の電力を併用して前記湿度制御手段へ電力を供給可能としてなることを特徴とする湿度制御装置。
【請求項3】
湿度制御手段、主電源装置、補助電源装置及び発電装置とを有し、該補助電源装置及び該発電装置から前記湿度制御手段へ作動用の電力を供給可能としてなり、前記発電装置の発電量が不十分な時に、前記補助電源装置の電力を併用して前記湿度制御手段へ電力を供給可能としてなることを特徴とする湿度制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの湿度制御装置において、前記発電装置が太陽電池であることを特徴とする湿度制御装置。
【請求項5】
請求項4の湿度制御装置において、前記太陽電池が色素増感型太陽電池であることを特徴とする湿度制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の湿度制御装置を用いて湿度制御可能としてなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかの湿度制御装置を備えてなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項6または7のプロセスカートリッジにおいて、現像剤に重合トナーを用いてなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれかの湿度制御装置によって湿度制御可能としてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9の画像形成装置において、現像剤に重合トナーを用いてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項6ないし8のいずれかのプロセスカートリッジを着脱可能に備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−39071(P2006−39071A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216730(P2004−216730)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】