説明

湿式多板クラッチ

【課題】クラッチのトルク容量を確保しつつ、回転体とプレートとの引きずりを低減させることを可能とする湿式多板クラッチを提供する。
【解決手段】クラッチは、表面に摩擦材32が設けられた回転体31と、摩擦材32と対向するように配設されるプレートとを備える。回転体31の径方向における断面形状にあって内周部31iの厚さは同回転体31の回転軸方向に向かって薄くなるように、摩擦材32が設けられる側の回転体31の表面が形成されている。回転体31の径方向における断面形状であって外周部31pの厚さは回転軸から離間する方向に向かって薄くなるように、摩擦材32が設けられる側の回転体31の表面が形成されている。プレートとの接触面における摩擦材32の表面形状は、プレートの表面形状に沿った形状とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は湿式多板クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される変速機には、変速段の切替や前後進の切替を行うためのクラッチ機構として湿式多板クラッチが設けられている。このクラッチは、表面に摩擦材が設けられた複数の回転体と、前記摩擦材と対向するように設けられる複数のプレートとで構成されている。これら回転体及びプレートは、交互に配設されており、同軸上において相対回転可能とされている。また、それら回転体とプレートとの間には潤滑油が供給される。そしてピストンによりプレートが回転体側に押圧されることによって、回転体の摩擦材とプレートとの係合状態が変更され、これにより回転体とプレートとの間における動力伝達状態が変更される。
【特許文献1】特開2006‐105280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の湿式多板クラッチでは、ピストンによるプレートの押圧が解除されると、摩擦材とプレートとの係合が解除されるのであるが、こうした係合状態の解除時には、回転体の回転に伴う遠心力によって、潤滑油が回転体の内周側から外周側へと流れる。
【0004】
ここで、例えば、潤滑油が回転体上の摩擦材に沿って流れる際には、回転体の表面と摩擦材との段差により、潤滑油の流れが剥離するおそれがある。こうした剥離が生じると、その段差部において渦が発生するなどして潤滑油の流れが阻害されるようになるため、回転体とプレートとの間で潤滑油を介した引きずりが生じるおそれがある。このような引きずりが生じると、回転体とプレートとの係合が十分に解除されないため、自動変速機内での回転抵抗が増大して動力伝達効率が悪化することとなる。
【0005】
こうした引きずりを低減するべく、例えば特許文献1のクラッチでは、部分的に断面曲線状をなす摩擦材を回転体に備えるようにしている。こうした摩擦材であれば上記段差にて生じる潤滑油の剥離を抑制することはできる。
【0006】
しかしながら、摩擦材を断面曲線状にすると、その曲線状の部分についてはプレートに接触しなくなるため、クラッチのトルク容量(回転体とプレートとの間で伝達可能なトルクの大きさ)が減少してしまう。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、クラッチのトルク容量を確保しつつ、回転体とプレートとの引きずりを低減させることを可能とする湿式多板クラッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、表面に摩擦材が設けられた回転体と、摩擦材と対向するように配設されるプレートとを備え、摩擦材とプレートとの係合状態を変更することにより回転体とプレートとの間における動力伝達状態が変更される湿式多板クラッチにおいて、回転体の径方向における断面形状にあって摩擦材よりも内周側の部位の厚さは同回転体の回転軸方向に向かって薄くなるように、摩擦材が設けられる側の回転体の表面は形成されており、回転体の径方向における断面形状であって摩擦材よりも外周側の部位の厚さは回転軸から離間する方向に向かって薄くなるように、摩擦材が設けられる側の回転体の表面は形成されており、プレートとの接触面における摩擦材の表面形状は、プレートの表面形状に沿った形状とされていることをその要旨とする。
【0009】
上記構成では、回転体の径方向における断面形状にあって摩擦材よりも内周側の部位の厚さは同回転体の回転軸方向に向かって薄くなるように、摩擦材が設けられる側の回転体の表面は形成されている。従って、回転体の表面に摩擦材との段差がある場合であっても、回転体の内周側における摩擦材の端面と回転体の表面とがなす角度は、回転体の断面形状における厚さが一定の場合と比較して大きくなる。そのため、回転体の内周側から外周側に向かって潤滑油が流れる際、回転体と摩擦材との段差で潤滑油が衝突する場合であっても、その流れ方向の変化度合は小さくなり、潤滑油の剥離が抑えられるようになるため、回転体とプレートとの引きずりを低減させることができる。
【0010】
また、回転体の径方向における断面形状であって摩擦材よりも外周側の部位の厚さは回転軸から離間する方向に向かって薄くなるように、摩擦材が設けられる側の回転体の表面は形成されている。従って、回転体の内周側から外周側に向かって潤滑油が流れる際、摩擦材を通過した潤滑油が再び回転体の表面に沿って流れるときの同潤滑油の剥離も好適に抑えられるようになり、これによっても回転体とプレートとの引きずりを低減させることができる。
【0011】
さらに、プレートとの接触面における摩擦材の表面形状は、プレートの表面形状に沿った形状にされている。したがって、摩擦材とプレートとの接触面積を十分に確保することができ、これによりクラッチのトルク容量が十分に確保される。
【0012】
このように、同構成によれば、クラッチのトルク容量を確保しつつ、回転体とプレートとの引きずりを低減させることが可能となる。
なお、プレートとの接触面における摩擦材の表面形状をプレートの表面形状に沿った形状とする際には、例えば平面状等のように、摩擦材とプレートとの係合に支障がないような形状を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明にかかる湿式多板クラッチを、多段式自動変速機の湿式多板クラッチに具体化した一実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
図1(a),(b)は、湿式多板クラッチ20(以下、単にクラッチと称する)を用いた多段式の自動変速機の部分断面図であり、自動変速機を構成する複数のクラッチの1つを示している。そして、図1(a)はクラッチ20の摩擦係合時を、図1(b)はクラッチ20の摩擦係合の解除時をそれぞれ示す。図1(a)において、クラッチ20のドラム11は、入力側である回転軸(図示なし)周りにスプライン嵌合されている。また、ドラム11の内面にはスプライン11sが形成されており、同スプライン11sとプレート21の外周に形成されたスプラインエッジ21sとが噛み合うことにより同プレート21がドラム11内に配設される。
【0014】
プレート21は鉄系材料等の金属により平面円環状に形成されており、スプライン11sに沿って回転軸方向(図1(a)の横方向)に複数(同図1(a)では4枚)配設されている。なお、本実施形態において、プレート21は全て平面板状をなしている。また、プレート21は、スプライン11sに沿って回転軸方向に摺動可能であり、回転軸の回転と同期してドラム11と共に同回転軸周りに回転する。
【0015】
一方、クラッチ20の回転軸周りにあって、ドラム11及びプレート21の配設位置よりも回転軸に近接する位置(図1(a)における下方)には、出力側であるハブ41が配設される。ハブ41の外面にはスプライン41sが形成されており、同スプライン41sと回転体31の内周に形成されたスプラインエッジとが噛み合うことにより同回転体31がハブ41の外周に配設される。
【0016】
回転体31は、鉄系材料等の金属により円環状に形成されており、外周側の係合部31aと内周側の平面部31bとで構成されている。また、回転体31も、スプライン41sに沿って回転軸方向に複数(図1(a)では4枚)配設されている。なお、本実施形態において、回転体31は全て同形状をなしており、同回転体31の係合部31aの表面、すなわち図1(a)の横方向における側面の両方には、摩擦材32が着設されている。回転体31の詳しい形状については後述する。こうした回転体31も、スプライン41sに沿って回転軸方向に摺動可能である。
【0017】
そして、回転体31の摩擦材32とプレート21とが回転軸方向において対向するように、同回転体31は同プレート21と交互に配設されている。クラッチ20においては、こうしてプレート21と回転体31とが交互に重ね合わされた状態でピストン15とスナップリング18との間に配設されている。ピストン15は、例えば、スプリングによってプレート21及び回転体31から離間する方向(図1(a)の右方向)へ付勢されて配設されているとともに、ドラム11内の油圧室に供給される油圧に応じて回転軸方向であってプレート21及び回転体31に近づく方向(図1(a)の左方向)に変位することが可能である。また、プレート21と回転体31との間には潤滑油が供給される。
【0018】
上述のクラッチ20が係合する際は、まず上記ドラム11内の油圧室に油圧が供給されることにより、スプリングの付勢力に抗してピストン15が図1(a)の左方向へ移動する。そして、ピストン15は図1(a)の右端に位置するプレート21を押圧するとともに、押圧されるプレート21とスナップリング18との間でプレート21と回転体31の摩擦材32との積層部分を圧縮する。こうして、図1(a)に示すように、プレート21と回転体31の摩擦材32とが回転軸方向に相対的に押圧されることにより、同プレート21と同回転体31とが係合状態となり動力が伝達可能な状態となる。
【0019】
また、上述のクラッチ20の係合状態が解除される際は、図1(b)に示すように、同図1(b)の右端に位置するプレート21へのピストン15による押圧が解除されて、プレート21と回転体31の摩擦材32との積層部分の圧縮が解除される。そして、プレート21及び回転体31の係合が解除される。
【0020】
ところで、こうした係合状態の解除時には、回転体31の回転に伴う遠心力によって、潤滑油が回転体の内周側から外周側へと流れる。
ここで、回転体の表面と摩擦材との間に段差があると、潤滑油が回転体上の摩擦材に沿って流れる際、そうした段差によって潤滑油の流れが剥離するおそれがある。こうした剥離が生じると、その段差部において渦が発生するなどして潤滑油の流れが阻害されるようになるため、回転体とプレートとの間で潤滑油を介した引きずりが生じるおそれがある。このような引きずりが生じると、回転体とプレートとの係合が十分に解除されないため、自動変速機内での回転抵抗が増大して動力伝達効率が悪化することとなる。
【0021】
こうした引きずりを低減するべく、部分的に断面曲線状をなす摩擦材を回転体に備えるようにすれば上記段差にて生じる潤滑油の剥離を抑制することはできる。
しかしながら、摩擦材を断面曲線状にすると、その曲線状の部分についてはプレートに接触しなくなるため、クラッチのトルク容量(回転体とプレートとの間で伝達可能なトルクの大きさ)が減少してしまう。
【0022】
そこで、本実施形態のクラッチ20においては、同クラッチ20のトルク容量を確保しつつ、プレート21と回転体31の引きずりを低減させることが可能なように、回転体31の形状及び摩擦材32の形状を設定している。回転体31及び摩擦材32の形状について、図2(a),(b)を参照して次に詳しく説明する。
【0023】
図2(a),(b)は回転体31の形状を示しており、とくに図2(a)は回転体31の正面図(回転軸に直交する平面図)、図2(b)は図2(a)のB−B線に沿った断面図をそれぞれ示している。
【0024】
図2(a)に示すように、回転体31の係合部31aの側面31c上にあって、径方向の略中間部分には摩擦材32が設けられている。摩擦材32は、平面板状をなすとともに回転体31の周方向に沿って同回転体31の側面31c上に複数配設されている。
【0025】
また、図2(b)に示すように、係合部31aの両方の側面31cには凹部31dが形成されており、この凹部31dに摩擦材32が埋設されている。なお、回転軸方向における凹部31dの深さを摩擦材32の厚みtと同一にすれば、係合部31aの表面と摩擦材32との間には上述したような段差が生じないようになるが、この場合には、摩擦材32の摩耗が進むと係合部31aとプレート21とが直接接触してしまう。そのため、摩擦材32の厚さtから少なくとも同摩擦材32の摩耗分mを引いた値が、凹部31dの深さとして設定されている。これにより、上述したような段差が極力小さくなるようにされている。
【0026】
回転体31の径方向(図2(b)の上下方向)における係合部31aの端部であって摩擦材32よりも内周側(図2(b)の下側)の部位である内周部31iの厚さ(図2(b)における横方向の厚さ)は、回転軸L1方向(図2(b)の下方向)に向かって薄くなるように、同内周部31iの表面は曲面形状にて形成されている。
【0027】
また、係合部31aの端部であって摩擦材32よりも外周側(図2(b)の上側)の部位である外周部31pの厚さは、回転軸L1から離間する方向(図2(b)の上方向)に向かって薄くなるように、同外周部31pの表面は曲面形状にて形成されている。なお、本実施形態においては、内周部31i及び外周部31pの曲面形状は略同一とされている。
【0028】
こうして構成されるクラッチ20において、係合状態の解除時には、回転体31の回転に伴う遠心力によって、潤滑油が回転体31の内周側から外周側へと流れる際、潤滑油は、内周部31i、摩擦材32、そして外周部31pの順で各表面に沿って流れる。
【0029】
以上説明した本実施形態によれば、以下の作用効果が得られるようになる。
(1)回転体31の径方向における断面形状にあって摩擦材32よりも内周側の部位である内周部31iの厚さは、同回転体31の回転軸方向に向かって薄くなるように、摩擦材32が設けられる側の回転体31の表面は形成されている。従って、回転体31の表面に摩擦材32との段差がある場合であっても、回転体31の内周側における摩擦材32の端面と回転体31の表面とがなす角度は、回転体31の断面形状における厚さが一定の場合と比較して大きくなる。そのため、回転体31の内周側から外周側に向かって潤滑油が流れる際、回転体31と摩擦材32との段差で潤滑油が衝突する場合であっても、その流れ方向の変化度合は小さくなり、潤滑油の剥離が抑えられるようになるため、回転体31とプレート21との引きずりを低減させることができる。
【0030】
また、回転体31の径方向における断面形状であって摩擦材32よりも外周側の部位である外周部31pの厚さは回転軸から離間する方向に向かって薄くなるように、摩擦材32が設けられる側の回転体の表面は形成されている。従って、回転体31の内周側から外周側に向かって潤滑油が流れる際、摩擦材32を通過した潤滑油が再び回転体31の表面に沿って流れるときの同潤滑油の剥離も好適に抑えられるようになり。これによっても回転体31とプレート21との引きずりを低減させることができる。
【0031】
さらに、プレート21との接触面における摩擦材32の表面形状は、プレート21の表面形状に沿った形状にされている。したがって、摩擦材32とプレート21との接触面積を十分に確保することができ、これによりクラッチ20のトルク容量が十分に確保される。
【0032】
(2)係合部31aの両方の側面31cに凹部31dを形成し、この凹部31dに摩擦材32を埋設するようにしている。そのため、係合部31aの表面と摩擦材32との間に生じる段差を極力小さくすることができ、これによっても回転体31とプレート21との引きずりを低減させることが可能となる。
【0033】
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、内周部31i及び外周部31pの表面形状を曲面形状とした。この他、上述したような内周部31i及び外周部31pにおける厚さの設定を保持しつつ、それらの表面形状を平面形状にしてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、係合部31aの側面31cに凹部31dを形成し、この凹部31dに摩擦材32を埋設するようにした。この他、図3に示すように、凹部31dを形成することなく、係合部31aの側面31cに摩擦材32を設けるようにしてもよい。この場合には、上述したような段差が大きくなるものの、上記実施形態による(1)に準じた作用効果を得ることができる。
【0035】
・上記実施形態では、内周部31i及び外周部31pの曲面形状を略同一とした。この他、図4に示すように、内周部31iの曲面よりも外周部31pの曲面の方が緩やかになるようにそれら各部位を形成して、回転体31の径方向(図4の上下方向)における断面形状が翼状、あるいは流線形状をなすようにしてもよい。この場合には、外周部31pでの潤滑油の剥離をより好適に抑えることができる。尚、この変形例は、先の図3に示した変形例にも適用可能である。
【0036】
・上記実施形態において、プレート21と摩擦材32とはどちらも平面板状をなしていたが、摩擦材の表面形状におけるプレートとの接触面が、同プレートの表面形状に沿った形状にされているのであれば、プレート及び摩擦材の形状は適宜変更することができる。
【0037】
・上記実施形態における内周部31i及び外周部31pについて、その回転体31の径方向における厚さの設定は、回転体の周方向において部分的に適用するようにしてもよい。こうした形態においては、上記実施形態における効果に準じた効果が得られる。
【0038】
・上記実施形態におけるクラッチ20において、配設されるプレート21、回転体31、そして同回転体31に配設される摩擦材32の数については上記実施形態に示したものに限定されるものではない。
【0039】
・上記実施形態におけるプレート21、回転体31、そして摩擦材32について、その材料については上記実施形態に示したものに限定されるものではない。
・上記実施形態においては、ピストン15によりプレート21が押圧されることでプレート21と回転体31の摩擦材32が相対的に押圧され、クラッチ20が係合状態とされていた。この他、プレートと回転体の摩擦材とが相対的に押圧状態となることをもってクラッチの係合状態となりさえすれば、同クラッチを係合状態にさせる方法は、ピストンによるプレートの押圧以外の方法を採用しても構わない。
【0040】
・上記プレート21は、回転体であるドラム11にスプライン嵌合されており、これによりプレート21自体も回転するものであった。この他、プレート21が自動変速機の壁面などに固定されており、クラッチ20が自動変速機のブレーキ機構に適用される場合でもあっても、上記実施形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0041】
・本発明は、上記実施形態のような多段式の自動変速機における多板クラッチのほか、自動変速機以外の多板式クラッチ、多板式ブレーキ等、その他の多板摩擦係合機構にも採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の一実施形態にかかるクラッチを備えた自動変速機であって、(a)はクラッチが係合状態であるときを示す要部断面図,(b)はクラッチの係合が解除されたときを示す要部断面図。
【図2】(a)は同実施形態にかかる回転体の平面図,(b)は図2(a)のB−B線における断面図。
【図3】同実施形態にかかる回転体の変形例を示す断面図。
【図4】同実施形態にかかる回転体の変形例を示す断面図。
【符号の説明】
【0043】
11…ドラム、11s,41s…スプライン、15…ピストン、18…スナップリング、20…クラッチ、21…プレート、21s…スプラインエッジ、31…回転体、31a…係合部、31b…平面部、31c…側面、31d…凹部、31i…内周部、31p…外周部、32…摩擦材、41…ハブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に摩擦材が設けられた回転体と、前記摩擦材と対向するように配設されるプレートとを備え、前記摩擦材と前記プレートとの係合状態を変更することにより前記回転体と前記プレートとの間における動力伝達状態が変更される湿式多板クラッチにおいて、
前記回転体の径方向における断面形状にあって前記摩擦材よりも内周側の部位の厚さは同回転体の回転軸方向に向かって薄くなるように、前記摩擦材が設けられる側の前記回転体の表面は形成されており、
前記回転体の径方向における断面形状であって前記摩擦材よりも外周側の部位の厚さは回転軸から離間する方向に向かって薄くなるように、前記摩擦材が設けられる側の前記回転体の表面は形成されており、
前記プレートとの接触面における前記摩擦材の表面形状は、前記プレートの表面形状に沿った形状とされている
ことを特徴とする湿式多板クラッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−138970(P2010−138970A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314703(P2008−314703)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】