説明

溶接電源装置

【課題】 変圧器の補助巻線の補助電圧を用いてフィードバック制御を行なうと溶接電源の出力電圧が低下してしまう。
【解決手段】 直流電圧を高周波交流電圧に変換するインバータ回路と、1次巻線、2次巻線及び補助巻線を有し高周波交流電圧を負荷に適した電圧に変換する変圧器と、変圧器の2次巻線からの2次電圧を整流する2次整流回路と、次整流電圧を平滑して負荷に供給する直流リアクトルと、変圧器の補助巻線からの補助電圧をインバータ回路が導通した時点からエネルギー伝達遅延時間が経過すると補助電圧の検出を開始しインバータ回路が遮断すると補助電圧の検出を停止し検出した補助電圧をフィードバック制御信号に生成するフィードバック制御回路と、この制御信号の値と所定の出力設定値との誤差に応じてインバータ回路を制御する主制御回路と、を備えたことを特徴とする溶接電源装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力電圧を所望の値に保つようフィードバック制御する溶接電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶接電源の出力電圧を所定値に保持するために、変圧器の2次側に補助巻線を設け、この補助電圧を用いてフィードバック制御を行ない出力電圧を所定値に保持していた。しかし、変圧器には漏れインダクタンスが存在するために、インバータ回路を形成する各スイッチング素子が遮断するときに変圧器の2次側にフライバック電圧(逆起電圧)が発生する。さらに、変圧器の1次巻線と2次巻線との浮遊容量、各スイッチング素子間の浮遊容量及び配線間の浮遊容量が存在するために、各スイッチング素子を遮断するときに寄生振動が発生する。このフライバック電圧及び寄生振動を含んだ補助電圧を用いてフィードバック制御を行なうと、溶接電源の出力電圧は所定値より低めに制御されてしまう。この対策として、従来では各スイッチング素子が導通した時間に同期して補助電圧を検出し、この補助電圧を用いてフィードバック制御を行っていた。以下、従来の溶接電源のフィードバック制御について説明する。
【0003】
図8は、従来技術の溶接電源装置の電気接続図である。同図において、直流電源回路は、三相交流商用電源ACの出力を整流し直流電圧に変換する1次整流回路DR1と、直流電圧に変換した電圧を平滑する平滑コンデンサーC1とから形成されている。
【0004】
図8に示すブリッジ接続されたインバータ回路は、第1スイッチング素子TR1乃至第4スイッチング素子TR4によって形成され、相対向する辺を形成する第1スイッチング素子TR1及び第4スイッチング素子TR4と、第2スイッチング素子TR2及び第3スイッチング素子TR3とがそれぞれ対をなし、これらの対をなす第1スイッチング素子TR1及び第4スイッチング素子TR4又は第2スイッチング素子TR2及び第3スイッチング素子TR3が交互に導通と遮断を繰り返して直流電圧を高周波交流電圧に変換する。
【0005】
変圧器INTは、1次巻線、1次側の高周波交流電圧をアーク加工に適した電圧に変換して出力する2次巻線と、高周波交流電圧をフィードバック制御に適した電圧に変換して出力する補助巻線とで形成されている。出力変換回路は、2次整流回路DR2及び直流リアクトルDCLで形成され、2次整流回路DR2は、変圧器INTの2次巻線の2次出力を整流しアーク加工に適した直流電圧に変換し、直流リアクトルDCLは整流された直流電圧を平滑して負荷に供給する。
【0006】
図8に示す補助整流回路DR3は変圧器INTの補助巻線の出力を整流し、補助スイッチング素子SWは第1の出力制御信号Sc1及び第2の出力制御信号Sc2がHighレベルのとき導通し、補助整流回路DR3によって整流された補助整流電圧を補助電圧平均化回路VRCに供給する。補助電圧平均化回路VRCは、図示省略の抵抗器及びコンデンサー等でローパスフィルタを形成し、補助整流電圧を平均値化してフィードバック制御信号Vrcとして出力する。
【0007】
誤差増幅回路ERは、出力電圧設定回路VRによって設定した所定の出力電圧設定信号Vrの値とフィードバック制御信号Vrcの値とを誤差増幅し誤差増幅信号Erとして出力する。主制御回路SCは、パルス周波数が一定でパルス幅を変調するパルス幅変調制御を行ない、誤差増幅信号Erの値に応じてパルス幅変調制御を行ない互いに半周期ずれた信号で第1の出力制御信号Sc1及び第2の出力制御信号Sc2を出力する。
【0008】
図9は、図8に示す従来技術の溶接電源装置の動作を説明する波形タイミング図であり、同図(A)の波形は第1の出力制御信号Sc1を示し、同図(B)の波形は第2の出力制御信号Sc2を示す。同図(C)の波形は第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ったオア信号Orを示し、同図(D)の波形は補助スイッチ出力信号Swを示し、同図(E)の波形はフィードバック制御信号Vrcを示し、同図(F)の波形は変圧器の2次巻線の2次電圧波形N2を示し、同図(G)の波形は変圧器の補助巻線の補助電圧波形N3を示す。
【0009】
次に、図9の波形タイミング図を用いて従来技術の動作について説明する。
図8に示す主制御回路SCから第1の出力制御信号Sc1がインバータ駆動回路SDに入力されると、インバータ駆動回路SDは第1スイッチング駆動信号Tr1及び第4スイッチング駆動信号Tr4を出力して相対向する辺を形成する第1スイッチング素子TR1及び第4スイッチング素子TR4を導通する。このとき、図8に示す変圧器INTの1次巻線N1に電圧が印加されると、変圧器INTの2次側の2次巻線に図9(F)に示す2次電圧波形N2が発生すると同時に、補助巻線にも図9(G)に示す補助電圧波形N3が発生する。このとき、補助電圧波形N3には各スイッチング素子が遮断するときフライバック電圧が発生する。
【0010】
図8に示すオア回路ORは、図9(A)に示す第1の出力制御信号Sc1がHighレベルになると、図9(C)に示すオア信号OrもHighレベルになり補助スイッチング素子SWを導通させる。このとき、フライバック電圧が補助スイッチング素子SWによって除去され、図9(D)に示す補助スイッチング信号Swを補助電圧平均化回路VRCに供給する。補助電圧平均化回路VRCは、補助スイッチング出力信号Swを平均値化して図9(E)に示すフィードバック制御信号としてを出力する。
【0011】
誤差増幅回路ERは、出力電圧設定信号Vrの値とフィードバック制御信号Vrcの値とを誤差増幅し誤差増幅信号Erとして出力する。主制御回路SCは、パルス周波数が一定でパルス幅を変調するパルス幅変調制御を行ない、誤差増幅信号Erの値に応じて第1の出力制御信号Sc1を出力制御する。
【0012】
図8に示す第1の出力制御信号Sc1がLowレベルになると、インバータ駆動回路SDは第1のスイッチング素子TR1及び第4のスイッチング素子TR4を遮断すると共に図9(C)に示すオア信号OrもLowレベルになり、補助スイッチング素子SWが遮断し補助電圧平均化回路VRCに補助スイッチング出力信号Swの供給を停止する。
【0013】
続いて、第2の出力制御信号Sc2がインバータ駆動回路SDに入力されると、インバータ駆動回路SDは相対向する辺を形成する第2スイッチング素子TR2及び第3のスイッチング素子TR4を導通する。このとき、オア回路ORは、図9(B)に示す第2の出力制御信号Sc2がHighレベルになると、図9(C)に示すオア信号OrもHighレベルになり補助スイッチング素子SWが導通する。このとき、フライバック電圧が除去され、図9(D)に示す整流された補助スイッチング信号Swを補助電圧平均化回路VRCに供給する。補助電圧平均化回路VRCは、補助スイッチング出力信号Swを平均値化して図9(E)に示すフィードバック制御信号としてを出力する。
【0014】
誤差増幅回路ERは、出力電圧設定信号Vrの値とフィードバック制御信号Vrcの値とを誤差増幅し誤差増幅信号Erとして出力する。主制御回路SCは、誤差増幅信号Erの値に応じて第2の出力制御信号Sc2を出力制御する。
【0015】
上述より、補助スイッチング素子SWは、第1の出力制御信号Sc1及び第2の出力制御信号Sc2がHighレベルのとき、補助整流電圧を補助電圧平均化回路VRCに供給し、補助電圧平均化回路VRCは供給される補助整流電圧を平均値化しフィードバック信号として出力する。このとき各スイッチング素子が遮断するときに発生するフライバック電圧や振動電圧のような不要成分をフィードバック信号から除去させることで、出力電圧の精度を向上させていた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平9−150265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
変圧器の補助巻線から出力される補助電圧を第1の出力制御信号及び第2の出力制御信号がHighレベルのときに検出すると、インバータ回路を形成する各スイッチング素子が遮断するときに発生するフライバック電圧や振動電圧のような誤差要因となる成分を除去した補助電圧が検出でき、この補助電圧を用いてフィードバック制御を行なって溶接電源の出力電圧の精度を向上させていた。
【0018】
しかし、変圧器には漏れインダクタンスが存在するために、インバータ回路を形成する各スイッチング素子を導通して変圧器の1次側に1次電圧を印加しても、漏れインダクタンスにより変圧器の2次側にエネルギーの伝達が遅れるエネルギー伝達遅延時間が発生する。このエネルギー伝達遅延時間内では変圧器の2次側の出力電圧が略零となり、変圧器の1次電流値が大きくなるとエネルギー伝達遅延時間は長くなる。
また、変圧器の補助巻線は2次巻線と比較して小さなエネルギーで励磁するので変圧器の1次側に1次電圧が印加されると素早く補助電圧が発生する。よって、変圧器の2次巻線の出力電圧発生時点は、補助巻線の補助電圧発生時点よりエネルギー伝達遅延時間分遅れてしまう。この補助電圧を用いて溶接電源の出力電圧のフィードバック制御を行なうと、小電流領域では変圧器の2次巻線の出力電圧発生時点と補助巻線の補助電圧発生時点との差が小さいため溶接電源の出力電圧が所望の値に制御されるが、大電流領域では変圧器の2次巻線の出力電圧発生時点と補助巻線の補助電圧発生時点との差が大きくなり、この差により溶接電源の出力電圧が所望の値に対して低めになるという大きな問題を発生する。
【0019】
例えば、出力電流が25Aにときエネルギー伝達遅延時間0.05μsであるが、出力電流が400Aになると0.8μsまで長くなってしまう。昨今、溶接電源に使用されるインバータ回路は高速化が要求され、10μs(100KHz)の周期で使用される場合も多々ある。このとき、インバータ回路の最大オンdutyを4.5μsとしエネルギー伝達遅延時間が0.8μsのとき、出力電圧は所望の値に対して約15%も低くなってしまう。
【0020】
そこで、本発明では、変圧器の補助巻線の補助電圧を用いて出力電圧をフィードバック制御したとき、出力電流に影響されず安定した出力電圧が得られる溶接電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、直流電源回路からの直流電圧を高周波交流電圧に変換するインバータ回路と、1次巻線、2次巻線及び補助巻線を有し前記高周波交流電圧を負荷に適した電圧に変換する変圧器と、前記変圧器の2次巻線から出力される2次電圧を整流する2次整流回路と、前記2次整流回路から出力される2次整流電圧を平滑して負荷に供給する直流リアクトルと、前記変圧器の補助巻線から出力される補助電圧を前記インバータ回路が導通した時点からエネルギー伝達遅延時間が経過すると前記補助電圧の検出を開始し前記インバータ回路が遮断すると前記補助電圧の検出を停止し前記検出した補助電圧をフィードバック制御信号に生成して出力するフィードバック制御回路と、前記フィードバック制御信号の値と予め定めた出力設定値との誤差に応じて前記インバータ回路の導通時間を制御する主制御回路と、を備えたことを特徴とする溶接電源装置
である。
【0022】
第2の発明は、前記フィードバック制御回路は、前記エネルギー伝達遅延時間を予め定めた時間とすること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置である。
【0023】
第3の発明は、前記フィードバック制御回路は、前記変圧器の漏れインダクタンス値を予め定めた値とし前記インバータ回路が導通したときに検出した1次電流値、1次電圧値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出すること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置である。
【0024】
第4の発明は、前記エネルギー伝達遅延時間は、前記漏れインダクタンス値をLsとし、前記検出した1次電流値IN1及び1次電圧値VN1によって、エネルギー伝達遅延近似式(IN1×Ls)/VN1より算出すること、を特徴とする請求項3記載の溶接電源装置である。
【0025】
第5の発明は、前記フィードバック制御回路は、前記変圧器の漏れインダクタンス値及び1次電圧値を予め定めた値とし前記インバータ回路が導通したときに検出した1次電流値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出すること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置である。
【0026】
第6の発明は、前記エネルギー伝達遅延時間は、前記漏れインダクタンス値をLs及び前記1次電圧値をVN1とし、前記検出した1次電流値IN1によって、エネルギー伝達遅延近似式(IN1×Ls)/VN1より算出すること、を特徴とする請求項5記載の溶接電源装置である。
【0027】
第7の発明は、前記フィードバック制御回路は、前記変圧器の漏れインダクタンス値及び1次電流を予め定めた値とし前記インバータ回路が導通したときに検出した1次電圧値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出すること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置である。
【0028】
第8の発明は、前記エネルギー伝達遅延時間は、前記漏れインダクタンス値をLs及び前記1次電流値をIN1とし、前記検出した1次電圧値VN1によって、エネルギー伝達遅延近似式(IN1×Ls)/VN1より算出すること、を特徴とする請求項7記載の溶接電源装置である。
【0029】
第9の発明は、前記フィードバック制御回路は、前記インバータ回路が導通したときに検出した前記変圧器の2次電流値を巻線比に応じて1次電流値に換算すると共に、前記検出した前記変圧器の補助電圧を巻線比に応じて1次電圧値を換算し、前記変圧器の漏れインダクタンス値を予め定めた値とし前記換算した1次電流値及び次電圧値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出すること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置である。
【0030】
第10の発明は、前記エネルギー伝達遅延時間は、前記漏れインダクタンス値をLsとし、前記換算した1次電流値IN1及び1次電圧値VN1によって、エネルギー伝達遅延近似式(IN1×Ls)/VN1より算出すること、を特徴とする請求項11記載の溶接電源装置である。
【発明の効果】
【0031】
第1及び第2の発明は、変圧器の補助巻線から出力される補助電圧をインバータ回路が導通した時点から予め定めたエネルギー伝達遅延時間が経過すると補助電圧の検出を開始する。これによって、変圧器の2次巻線の出力電圧発生時点と補助巻線の補助電圧発生時点との差が小さくなり、この補助電圧を用いて溶接電源の出力電圧をフィードバック制御すると出力電圧の低下が抑制できるので、良好な溶接を得ることができる。
【0032】
第3及び第4の発明は、変圧器の漏れインダクタンス値を予め定めた値とし、変圧器の1次電流値及び1次電圧値を検出し、エネルギー伝達遅延時間式(1N1×Ls)/VN1より検出した1次電流値IN1及び1次電圧値VN1に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出する。そして、補助電圧の発生時点をエネルギー伝達遅延時間分遅らせて、変圧器の2次巻線の出力電圧発生時点と補助巻線の補助電圧発生時点とを略同一にする。この補助電圧発生時点を遅らせてた補助電圧を用いて溶接電源の出力電圧をフィードバック制御すると、出力電圧の低下が小電流領域から大電流領域の広い範囲で抑制でき、出力電圧を所望の値に精度の良く保つことができる。
【0033】
第5及び第6の発明は、変圧器の漏れインダクタンス値と前記1次電圧値とを予め定めた値とし、エネルギー伝達遅延時間を1次電流値に基づいて算出するので、変圧器の1次電圧値を検出する入力電圧検出回路を必要としないので回路構成の簡素化が可能となり、出力電圧の低下も抑制できるという2つの効果を得ることができる。
【0034】
第7及び第8の発明は、変圧器の漏れインダクタンス値と前記1次電流値とを予め定めた値とし、エネルギー伝達遅延時間を1次電圧値に基づいて算出するので、変圧器の1次電流値を検出する入力電流検出回路を必要としないので回路構成の簡素化が可能となり、出力電圧の低下も抑制できるという2つの効果を得ることができる。
【0035】
第9及び第10の発明は、変圧器の漏れインダクタンス値を予め定めた値とし、インバータ回路が導通したときに検出した変圧器の2次電流値を巻線比に応じて1次電流値を換算すると共に補助電圧を巻線比に応じて1次電圧値を換算し、この換算した1次電流値及び1次電圧値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出するので、回路構成が大きく簡素化できる。そして、この簡素化された回路構成でも出力電圧の低下が小電流領域から大電流領域の広い範囲で抑制でき良好な溶接を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係る溶接電源装置の電気接続図である。
【図2】図1に示す補助制御回路TCの詳細図である。
【図3】実施の形態1の動作を説明する波形タイミング図である。
【図4】実施の形態2に係る溶接電源装置の電気接続図である。
【図5】図4に示す補助演算制御回路TPの詳細図である。
【図6】実施の形態2の動作を説明する波形タイミング図である。
【図7】実施の形態3に係る溶接電源装置の電気接続図である。
【図8】従来技術の溶接電源装置の電気接続図である。
【図9】従来技術の溶接電源装置の動作を説明する波形タイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明の実施の形態1に係る溶接電源装置の電気接続図である。
同図において、図9に示す従来技術の溶接電源装置の電気接続図と同一符号の構成物は、同一動作を行なうので説明は省略し符号の相違する構成物についてのみ説明する。
【0038】
実施の形態1のフィードバック制御回路は、図1に示す補助スイッチング素子SW、補助整流回路DR3、補助電圧平均化回路VRC及び補助制御回路TCによって形成される。そして、補助スイッチング素子SWは、下記に示す補助制御信号Tcに応じて導通し補助巻線からの補助電圧を補助整流回路DR3に供給する。補助整流回路DR3は補助電圧を整流し補助整流電圧として出力する。続いて、補助電圧平均化回路VRCは補助整流電圧を平均値化してフィードバック制御信号Vrcとして出力する。
【0039】
図2は、補助制御回路TCの詳細図を示し、オア論理回路OR、スイッチ遅延時限回路TB、反転回路IN及びアンド論理回路ANDによって形成され、まず、オア論理回路ORは第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ってオア論理信号Orとして出力する。
【0040】
スイッチ遅延時限回路TBは、実験結果より、出力電流が25Aにときエネルギー伝達遅延時間0.05μsであるが、出力電流が400Aになると0.8μsまで長くなる。この結果に基づいて、例えば、エネルギー伝達遅延時間を0.6μsに設定し、オア論理信号OrがHighレベルになると、0.6μsの時間を有するスイッチ遅延時限信号Tbが出力する。そして、アンド論理回路ANDは、オア論理信号Orとスイッチ遅延時限信号Tbを反転した反転信号とのアンド論理を行って補助制御信号Tcとして出力する。
【0041】
図3は、実施の形態1の溶接電源装置の動作を説明する波形タイミング図であり、
同図(A)の波形は第1の出力制御信号Sc1を示し、同図(B)の波形は第2の出力制御信号Sc2を示す。同図(C)の波形は第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ったオア論理号Orを示し、同図(D)の波形は補助整流電圧信号Dr3を示す。同図(E)の波形はフィードバック制御信号Vrcを示し、同図(F)の波形はスイッチ遅延時限信号Tbの波形を示す。同図(G)の波形は補助制御信号Tcを示し、同図(H)の波形は変圧器の2次巻線の2次電圧波形N2を示し、同図(I)の波形は変圧器の補助巻線の補助電圧波形N3を示し、同図(J)の波形は補助スイッチング素子の出力波形Vaを示す。以下、同図を参照して説明する。
【0042】
図3に示す時刻t=t1において、図3(A)に示す第1の出力制御信号Sc1がHighレベルになると、インバータ回路を形成する第1スイッチング素子TR1及び第4スイッチング素子TR4が導通し、主変圧器INTの1次側に図示省略の高周波交流電圧が印加される。
【0043】
時刻t=t1において、図2に示すオア論理回路ORは、第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ない、図3(C)に示すオア論理信号OrをHighレベルにする。スイッチ遅延時限回路TBは、同図(C)に示すオア論理信号OrがHighレベルになると、予め定めた時間T1のパルス幅有するスイッチ遅延時限信号Tbを出力する。
【0044】
図2に示すアンド論理回路ANDは、オア論理信号Orとスイッチ遅延時限信号Tbの反転信号とのアンド論理を行って図3(G)に示す補助制御信号Tcとして出力する。
【0045】
図1に示す補助スイッチング素子SWは、時刻t=t2において、補助制御信号TcがHighレベルになると導通し、図3(I)に示す補助巻線の補助電圧波形N3を補助整流回路DR3に供給する。このときスイッチ遅延時限信号Tbの間(時刻t=t1〜t2)、補助整流回路DR3に供給される電圧は略零になり、変圧器の2次巻線の出力電圧発生時点と同図(J)に示す補助スイッチング素子SWの出力波形Vaの発生時点との差が非常に小さくなり、更に、フライバック電圧も削除された補助スイッチング素子SWの出力波形Vaが補助整流回路DR3に供給される。
【0046】
補助整流回路DR3は、図3(J)に示す補助スイッチング素子SWの出力波形Vaを整流して同図(D)に示す補助整流電圧信号Dr3を出力する。図1に示す補助電圧平均化回路VRCは補助整流電圧信号Dr3を平均値化し、同図(E)に示すフィードバック制御信号Vrcとして誤差増幅回路ERに供給する。
【0047】
図3に示す時刻t=t3において、図3(A)に示す第1の出力制御信号Sc1がLowレベルになると、インバータ回路を形成する第1スイッチング素子TR1及び第4スイッチング素子TR4が遮断し、主変圧器INTの1次側に高周波交流電圧の供給が停止する。
【0048】
時刻t=t3において、図2に示すオア論理回路ORは、第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ない、図3(C)に示すオア論理信号OrをLowレベルにする。スイッチ遅延時限回路TBは、同図(C)に示すオア論理信号OrがLowレベルになると動作を停止する。
【0049】
図2に示すアンド論理回路ANDは、オア論理信号Orとスイッチ遅延時限信号Tbの反転信号とのアンド論理を行ない図3(G)に示す補助制御信号TcがLowレベルになる。そして、補助スイッチング素子SWは、補助制御信号TcがLowレベルになると遮断し図3(I)に示す補助電圧波形N3を補助整流回路DR3に供給するのを停止する。
【0050】
図3に示す時刻t=t4において、図3(B)に示す第2の出力制御信号Sc2がHighレベルになると、インバータ回路を形成する第2スイッチング素子TR2及び第3スイッチング素子TR3が導通し、主変圧器INTの1次側に高周波交流電圧が印加される

【0051】
時刻t=t4において、図2に示すオア論理回路ORは、第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ない、図3(C)に示すオア論理信号OrをHighレベルにする。スイッチ遅延時限回路TBは、同図(C)に示すオア論理信号OrがHighレベルになると、再び予め定めた時間T1のパルス幅有するスイッチ遅延時限信号Tbを出力する。
【0052】
図2に示すアンド論理回路ANDは、オア論理信号Orとスイッチ遅延時限信号Tbの反転信号とのアンド論理を行って図3(G)に示す補助制御信号Tcとして出力する。
【0053】
図1に示す補助スイッチング素子SWは、時刻t=t5において、補助制御信号TcがHighレベルになると導通し、図3(I)に示す補助巻線の補助電圧波形N3を補助整流回路DR3に供給する。このときスイッチ遅延時限信号Tbの間(時刻t=t4〜t5)、補助整流回路DR3に供給される電圧は略零になり、変圧器の2次巻線の出力電圧発生時点と同図(J)に示す補助スイッチング素子SWの出力波形Vaの発生時点との差が非常に小さくなり、更に、フライバック電圧も削除された補助スイッチング素子SWの出力波形Vaが補助整流回路DR3に供給される。
【0054】
補助整流回路DR3は、図3(J)に示す補助スイッチング素子SWの出力波形Vaを整流して同図(D)に示す補助整流電圧信号Dr3を出力する。図1に示す補助電圧平均化回路VRCは補助整流電圧信号Dr3を平均値化し、同図(E)に示すフィードバック制御信号Vrcとして誤差増幅回路ERに供給する。
【0055】
図3に示す時刻t=t6において、図3(A)に示す第2の出力制御信号Sc2がLowレベルになると、インバータ回路を形成する第2スイッチング素子TR2及び第3スイッチング素子TR3が遮断し、主変圧器INTの1次側に高周波交流電圧の供給が停止する。
【0056】
時刻t=t6において、図2に示すオア論理回路ORは、第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ない、図3(C)に示すオア論理信号OrをLowレベルにする。スイッチ遅延時限回路TBは、同図(C)に示すオア論理信号OrがLowレベルになると動作を停止する。
【0057】
図2に示すアンド論理回路ANDは、オア論理信号Orとスイッチ遅延時限信号Tbの反転信号とのアンド論理を行ない図3(G)に示す補助制御信号TcがLowレベルになる。そして、補助スイッチング素子SWは、補助制御信号TcがLowレベルになると遮断し図3(I)に示す補助電圧波形N3を補助整流回路DR3に供給するのを停止する。そして、以後は上記と同一動作を行なう。
【0058】
上述より、図3(H)に示す変圧器の2次巻線の2次電圧波形N2の発生時点と、図3(J)に示す補助スイッチング素子の出力波形Vaの発生時点との差が小さくなるので、この発生時点との差が小さくなった補助電圧を用いてフィードバック制御を行なうと、溶接電圧の低下を可也抑制できる。
【0059】
図4は、実施形態2に係る溶接電源装置の電気接続図である。同図において、図1、図2及び図9に示す溶接電源装置の電気接続図と同一符号の構成物は、同一動作を行なうので説明は省略し、符号の相違する構成物についてのみ説明する。
【0060】
図4に示す入力電流検出回路IDは、変圧器INTの1次電流を検出し1次電流検出信号Idとして出力し、入力電圧検出回路VIは、変圧器INTの1次電圧を検出し1次電圧検出信号Idとして出力する。
【0061】
フィードバック制御回路は、図4に示す補助スイッチング素子SW、補助整流回路DR3、補助電圧平均化回路VRC及び補助演算制御回路TPよって形成される。そして、補助スイッチング素子SWは下記に示す補助演算制御信号Tpに応じて導通し、補助巻線からの補助電圧を補助整流回路DR3に供給する。補助整流回路DR3は補助電圧を整流し補助整流電圧として出力する。続いて、補助電圧平均化回路VRCは補助整流電圧を平均値化してフィードバック制御信号Vrcとして出力する。
【0062】
図5は、補助演算制御回路TPの詳細図を示し、オア論理回路OR、スイッチ遅延演算時限回路TO、反転回路IN及びアンド論理回路ANDによって形成され、まず、オア論理回路ORは第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ってオア論理信号Orとして出力する。
【0063】
スイッチ遅延演算時限回路TOは、オア論理信号OrがHighレベルになると演算を開始し、予めさだめた変圧器INTの漏れインダクタンス値をLsとし、検出した変圧器INTの1次電流値IN1及び1次電圧値VN1に基づいて変圧器INTのエネルギー伝達遅延時間T2を
T2=(IN1×Ls)/VN1
のエネルギー伝達遅延近似式より求めて、スイッチ遅延演算時限信号Toとして出力する。アンド論理回路ANDは、オア論理信号Orとスイッチ遅延演算時限信号Toを反転した反転信号とのアンド論理を行って補助演算制御信号Tpとして出力する。
【0064】
図6は、実施形態2の溶接電源装置の動作を説明する波形タイミング図であり、
同図(A)の波形は第1の出力制御信号Sc1を示し、同図(B)の波形は第2の出力制御信号Sc2を示す。同図(C)の波形は第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ったオア論理号Orを示し、同図(D)の波形は1次電流検出信号を示す。同図(D)の波形は1次電流検出信号Idを示し、同図(E)の波形は1次電圧検出信号Vdを示し、同図(F)の波形はフィードバック制御信号Vrcを示し、同図(E)の波形はスイッチ遅延演算時限信号Toの波形を示す。同図(G)の波形は補助演算制御信号Tpを示し、同図(I)の波形は変圧器の2次巻線の2次電圧波形N2を示し、同図(J)の波形は変圧器の補助巻線の補助電圧波形N3を示し、同図(K)の波形は補助スイッチング素子の出力波形Vaを示す。以下、同図を参照して説明する。
【0065】
図3に示す時刻t=t1において、図6(A)に示す第1の出力制御信号Sc1がHighレベルになると、インバータ回路を形成する第1スイッチング素子TR1及び第4スイッチング素子TR4が導通し、主変圧器INTの1次側に図示省略の高周波交流電圧が印加される。
【0066】
スイッチ遅延演算時限回路TOは、オア論理信号OrがHighレベルになると演算を開始し、予めさだめた変圧器INTの漏れインダクタンス値をLsとし、検出した変圧器INTの1次電流値IN1及び1次電圧値VN1に基づいて変圧器INTのエネルギー伝達遅延時間T2を
T2=(IN1×Ls)/VN1
のエネルギー伝達遅延近似式より求めて、図6(G)に示すパルス幅T2を有するスイッチ遅延演算時限信号Toとして出力する。そして、アンド論理回路ANDは、オア論理信号Orとスイッチ遅延演算時限信号Toを反転した反転信号とのアンド論理を行って図6(H)に示す補助演算制御信号Tpとして出力する。
【0067】
図1に示す補助スイッチング素子SWは、時刻t=t2において、補助演算制御信号TpがHighレベルになると導通し、図6(J)に示す補助巻線の補助電圧波形N3を補助整流回路DR3に供給する。このときスイッチ遅延演算時限信号Toの間(時刻t=t1〜t2)、補助整流回路DR3に供給される電圧は略零になり、変圧器の2次巻線の出力電圧発生時点と同図(k)に示す補助スイッチング素子SWの出力波形Vaの発生時点との差が略零になると共にフライバック電圧も削除された補助スイッチング素子SWの出力波形Vaが補助整流回路DR3に供給される。
【0068】
補助整流回路DR3は、図3(K)に示す補助スイッチング素子SWの出力波形Vaを整流して補助電圧平均化回路VRCに供給する。補助電圧平均化回路VRCは補助整流電圧信号を平均値化し、同図(F)に示すフィードバック制御信号Vrcとして誤差増幅回路ERに供給する。
【0069】
図3に示す時刻t=t3において、図6(A)に示す第1の出力制御信号Sc1がLowレベルになると、インバータ回路を形成する第1スイッチング素子TR1及び第4スイッチング素子TR4が遮断し、主変圧器INTの1次側に高周波交流電圧の供給が停止する。
【0070】
時刻t=t3において、図5に示すオア論理回路ORは、第1の出力制御信号Sc1と第2の出力制御信号Sc2とのオア論理を行ない、図3(C)に示すオア論理信号OrをLowレベルにする。スイッチ遅延演算時限回路TOは、同図(C)に示すオア論理信号OrがLowレベルになると動作を停止する。そして、時刻t=t4以後は上記と同一動作を行なう。
【0071】
上記より、図6(I)に示す変圧器の2次巻線の2次電圧波形N2の発生時点と、図6(K)に示す補助スイッチング素子の出力波形Vaの発生時点との差が略零になり、この補正された補助巻線の補助電圧を用いてフィードバック制御を行なうと、溶接電圧の低下小電流領域から大電流領域の広い範囲で抑制でき、出力電圧を所望の値に精度の良く保つことができる。
【0072】
上述の実施形態2では、エネルギー伝達遅延時間T2を検出した変圧器INTの1次電流値IN1及び1次電圧値VN1に基づいて T2=(IN1×Ls)/VN1 のエネルギー伝達遅延近似式より求めているが、1次電流値又は1次電圧値のどちらか一方を予め定めた値にしてエネルギー伝達遅延時間を求めてもよい。
【0073】
図7は、実施形態3に係る溶接電源装置の電気接続図である。同図において、図4、図5及び図9に示す溶接電源装置の電気接続図と同一符号の構成物は、同一動作を行なうので説明は省略し、符号の相違する構成物についてのみ説明する。
【0074】
図7に示す出力電流検出回路ODは、出力電流を検出し出力電流検出信号Odとして出力する。
【0075】
1次電流・電圧換算回路OIは、出力電流検出信号Odの値から変圧器INTの巻線比に応じて1次電流IN1を換算すると共に補助電圧平均化信号Vrcの値から変圧器INTの巻線比に応じて1次電圧VN1も換算する。
【0076】
スイッチ遅延演算時限回路TOは、オア論理信号OrがHighレベルになると演算を開始し、予めさだめた変圧器INTの漏れインダクタンス値をLsとし、検出した変圧器INTの1次電流値IN1及び1次電圧値VN1に基づいて変圧器INTのエネルギー伝達遅延時間T2を
T2=(IN1×Ls)/VN1
のエネルギー伝達遅延近似式より求めて、スイッチ遅延演算時限信号Toとして出力する。
アンド論理回路ANDは、オア論理信号Orとスイッチ遅延演算時限信号Toを反転した反転信号とのアンド論理を行って補助演算制御信号Tpとして出力する。
そして、以後は実施の形態2と同一動作を行なうので動作説明は省略する。
【符号の説明】
【0077】
AND アンド論理回路
C1 平滑コンデンサー
DCL 直流リアクトル
DR1 1次整流回路
DR2 2次整流回路
DR3 補助整流回路
ER 誤差増幅回路
Er 誤差増幅信号
ID 入力電流検出回路
Id 入力電流検出信号
IN 反転回路
INT 主変圧器
M 被加工物
OD 出力電流検出回路
Od 出力電流検出信号
OI 1次電流・電圧換算回路
OR オア論理回路
Or オア論理信号
SC 主制御回路
Sc1 第1の出力制御信号
Sc2 第2の出力制御信号
SD インバータ駆動回路
SW 補助スイッチング素子
Sw 補助スイッチ出力信号
TC 補助制御回路
Tc 補助制御信号
TB スイッチ遅延時限回路
Tb スイッチ遅延時限信号
TO スイッチ遅延演算時限回路
To スイッチ遅延演算時限信号、
TP 補助演算制御回路
Tp 補助演算制御信号
TH トーチ
TS 起動スイッチ
Ts 起動信号
TR1 第1スイッチング素子
TR2 第2スイッチング素子
TR3 第3スイッチング素子
TR4 第4スイッチング素子
Tr1 第1スイッチング素子駆動信号
Tr2 第2スイッチング素子駆動信号
Tr3 第3スイッチング素子駆動信号
Tr4 第4スイッチング素子駆動信号
VR 出力電圧設定回路
Vr 出力電圧設定信号
VRC 補助電圧平均化回路
Vrc フィードバック制御信号



【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源回路からの直流電圧を高周波交流電圧に変換するインバータ回路と、1次巻線、2次巻線及び補助巻線を有し前記高周波交流電圧を負荷に適した電圧に変換する変圧器と、前記変圧器の2次巻線から出力される2次電圧を整流する2次整流回路と、前記2次整流回路から出力される2次整流電圧を平滑して負荷に供給する直流リアクトルと、前記変圧器の補助巻線から出力される補助電圧を前記インバータ回路が導通した時点からエネルギー伝達遅延時間が経過すると前記補助電圧の検出を開始し前記インバータ回路が遮断すると前記補助電圧の検出を停止し前記検出した補助電圧をフィードバック制御信号に生成して出力するフィードバック制御回路と、前記フィードバック制御信号の値と予め定めた出力設定値との誤差に応じて前記インバータ回路の導通時間を制御する主制御回路と、を備えたことを特徴とする溶接電源装置。
【請求項2】
前記フィードバック制御回路は、前記エネルギー伝達遅延時間を予め定めた時間とすること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置。
【請求項3】
前記フィードバック制御回路は、前記変圧器の漏れインダクタンス値を予め定めた値とし前記インバータ回路が導通したときに検出した1次電流値、1次電圧値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出すること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置。
【請求項4】
前記エネルギー伝達遅延時間は、前記漏れインダクタンス値をLsとし、前記検出した1次電流値IN1及び1次電圧値VN1によって、エネルギー伝達遅延近似式(IN1×Ls)/VN1より算出すること、を特徴とする請求項3記載の溶接電源装置。
【請求項5】
前記フィードバック制御回路は、前記変圧器の漏れインダクタンス値及び1次電圧値を予め定めた値とし前記インバータ回路が導通したときに検出した1次電流値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出すること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置。
【請求項6】
前記エネルギー伝達遅延時間は、前記漏れインダクタンス値をLs及び前記1次電圧値をVN1とし、前記検出した1次電流値IN1によって、エネルギー伝達遅延近似式(IN1×Ls)/VN1より算出すること、を特徴とする請求項5記載の溶接電源装置。
【請求項7】
前記フィードバック制御回路は、前記変圧器の漏れインダクタンス値及び1次電流を予め定めた値とし前記インバータ回路が導通したときに検出した1次電圧値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出すること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置。
【請求項8】
前記エネルギー伝達遅延時間は、前記漏れインダクタンス値をLs及び前記1次電流値をIN1とし、前記検出した1次電圧値VN1によって、エネルギー伝達遅延近似式(IN1×Ls)/VN1より算出すること、を特徴とする請求項7記載の溶接電源装置。
【請求項9】
前記フィードバック制御回路は、前記インバータ回路が導通したときに検出した前記変圧器の2次電流値を巻線比に応じて1次電流値に換算すると共に、前記検出した前記変圧器の補助電圧を巻線比に応じて1次電圧値を換算し、前記変圧器の漏れインダクタンス値を予め定めた値とし前記換算した1次電流値及び次電圧値に基づいてエネルギー伝達遅延時間を算出すること、を特徴とする請求項1記載の溶接電源装置。
【請求項10】
前記エネルギー伝達遅延時間は、前記漏れインダクタンス値をLsとし、前記換算した1次電流値IN1及び1次電圧値VN1によって、エネルギー伝達遅延近似式(IN1×Ls)/VN1より算出すること、を特徴とする請求項11記載の溶接電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−269314(P2010−269314A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120458(P2009−120458)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】