溶液中で酸化剤を生成する高効率電解セル
アノード及びカソードを具備する膜不使用電解セル内に、何らかの形態のハロゲン化物塩を含有する水を含む供給水溶液をアノードに隣接して通過させ、その間にアノードとカソードとの間に電流を流して供給水溶液を電気分解し、ハロゲン化物塩を抗微生物性混合酸化剤に変換することによって、水中の微生物を死滅させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然に存在する塩(例えば、自然に存在するNaCl)又は添加された塩(例えば、添加されたNaCl)を含有する水溶液から、次亜塩素酸塩及び塩素のような混合酸化剤を生成する装置及び方法に関する。本手法は、一対の電極間の電位差を用いて水を通る電流を誘導し、電極間を通過する水を電気分解して水を殺菌する。汚染された水が電極間を通過すると、微生物が死滅し、水が殺菌される。さらに、処理された水もまた、遊離塩素(Cl2)、次亜塩素酸イオン(OCl-)、他の殺生物イオン、及び遊離ラジカルのような殺生物剤を発生する水中の残留塩化物イオンに関わる反応に起因する、いくらかの残留殺生物利益を保持する。水中の微生物を効果的に死滅させることができるように、塩化物イオンの電気分解効率を向上させる重要な2つのパラメータは、アノードとカソードとを隔てる膜をなくすこと、及び2つの電極を近接させる(例えば、<0.5mm)ことである。その結果、本発明者らは、汚染された溶液中の微生物を効果的に死滅させることができる、小型で効率的な携帯型電池駆動装置をいくつか開発した。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸塩、塩素、二酸化塩素、及び他の塩素ベースの酸化剤のような様々な酸化剤は、産業及び家庭内の処理及び設備における使用のため、ならびに商業用及び消費者用製品のための最も有効な殺微生物剤の一部である。これらの酸化剤分子の強力な潜在的酸化能力は、消毒及び殺菌を含む多種多様な使用に理想的である。百万分の一(1ppm)以下程度の低濃度の水溶液中の酸化剤種は、バクテリア類、ウイルス類、カビ類、菌類、及び胞子類を含む多種多様な微生物を死滅させることで既知である。数百ppmまでの高濃度の酸化剤は、廃水処理、産業用水処理(例えば、冷却水)、果物・野菜類の消毒、亜硫酸塩の製油業処理、繊維業、ならびに医療廃棄物処理を含む様々な用途で、多数の化合物をさらに強力に消毒及び酸化する。酸化剤は、フェノール化合物と反応して分解することができ、その結果フェノールに由来する味覚及び臭気を水から除去する。また酸化剤は、シアン化物類、硫化物類、アルデヒド類、及びメルカプタン類を排除するために、飲用水及び廃水の処理にも使用される。
【0003】
【特許文献1】
米国仮特許出願公開第60/280,913号(整理番号8492P)明細書
【特許文献2】
米国特許出願公開第09/947,846号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,534,120号明細書
【特許文献4】
米国特許第4,062,754号明細書
【特許文献5】
米国特許第5,316,740号明細書
【特許文献6】
米国特許第5,858,201号明細書
【特許文献7】
米国特許第4,761,208号明細書
【特許文献8】
米国特許第3,632,498号明細書
【特許文献9】
米国特許第3,771,385号明細書
【特許文献10】
米国特許第5,447,774号明細書
【特許文献11】
米国特許第5,937,641号明細書
【特許文献12】
米国特許第4,337,136号明細書
【特許文献13】
米国特許第5,013,417号明細書
【特許文献14】
米国特許第5,059,296号明細書
【特許文献15】
米国特許第5,085,753号明細書
【特許文献16】
国際公開第00/71783A1号明細書
【特許文献17】
国際公開第0107090A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商業規模での次亜塩素酸塩及び他の酸化剤の製造に分離区画・膜使用電解セルが使用されてきたが、消費者レベル(すなわち、小型・携帯型レベル)では完全に満足のいくものではなかった。本発明者らが電気化学的手法を用いて消費者用途に開発した電気化学的ユニットがいくつかあるが、所望の効果を達成するには、これらは生産に費用がかかることが確認され、大きな電力量を必要とした。イオン透過性の膜又は隔膜を使用する、従来技術で開示される商用の電解セルでは、陽極液がマグネシウム及びカルシウムのような二価の陽イオンを実質的に含まないようにして、膜を急速に妨害及び被覆し電解反応を著しく低下又は停止させる沈殿カルシウム又はマグネシウム塩の形成を避ける必要がある。
【0005】
したがって、広範囲な状況下でこれらの家庭用抗微生物酸化剤を製造する単純で安全な方法及び装置がなお必要とされている。本発明は、抗微生物酸化剤を安価に、容易に、及び効果的に製造する方法及び装置について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、膜不使用電解セルを用いて、自然に存在する塩(例えば、自然にNaClを含有する水)又は添加された塩(例えば、NaClが添加された水)を含む水溶液から抗微生物酸化剤を製造する方法に関する。膜不使用電解セルとは、アノード電極とカソード電極とを具備し、セル室を有する電解セルであって、セル経路を2つ(又はそれ以上)の別個のアノード室とカソード室とに分けるイオン透過膜をもたない電解セルである。アノード表面に隣接したセル室の一部分を形成する経路内の供給水溶液に電気が流れると、様々な塩が抗微生物酸化剤に変換される。
【0007】
本発明は、抗微生物酸化剤を製造する方法を提供するものであり、この方法は、(1)自然の水もしくは塩化物が既に存在するか又は塩化物が添加された水を含む供給水溶液を提供する工程、(2)供給水溶液を、アノードとカソードとを含む膜不使用電解セルのセル室内に入れ、アノードに隣接した経路に沿って通過させる工程、(3)アノードとカソードとの間に電流を流して経路内の供給水溶液を電気分解し、それによって経路内の塩の一部を抗微生物酸化剤に変換する工程、及び(4)電気分解された水溶液を電解セルから流出させて、請求項1に列記する選択した手法に基づいた場合には不要な、抗微生物酸化剤を含む流出液を形成する工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、アノードとカソードとの間の供給水溶液を流れる電流を使用して、水(例えば、川又は井戸)中に自然に存在するものにせよ、後で溶液中に溶解したもの(例えば、添加されたNaClのような塩)にせよ、低レベルの塩前駆体を変換するものである。水溶液が電解セルの室を通って流れ、アノードとカソードとの間を電流が流れると、水と同様に、水溶液中に含まれる他の1つ以上の塩又はイオンに関わる、いくつかの化学反応が起こる。
【0009】
アノードにおいては、アノード表面に隣接した経路内の水溶液の狭い層の中で、次の塩素発生反応が起こる:
2Cl-⇔Cl2(g)+2e-
塩素反応によって発生した塩素気体(Cl2)は、水に溶解して次亜塩素酸イオン(OCl-)を発生する。他の潜在的ないくつかの塩素−酸素間反応(例えば、二酸化塩素)も起こり得ることに留意する。特定の理論に束縛されるものではないが、アノード電極がアノードに隣接した水及び他のイオンから電子を引き寄せ、その結果、供給水溶液の狭い表層内に抗微生物酸化剤種が形成されると考えられている。この表層の厚さは、アノード界面において約100ナノメートルと考えられている。結果として、間隙サイズが小さい方が、間隙サイズが大きい場合よりも高い効率の変換が得られた。当然ながら、もはやかなりの背圧を伴わずに水溶液を流すことができない点、又は間隙が小さすぎて電極間の抵抗が小さくなり非常に大きな電流が誘導される点のような、ある種の限界が存在する。乱流による流動溶液中の分子の運動を含めた流体力学から、溶液の流路がアノード表層に近付くほど塩の変換が増加することが予測される。したがって、本発明の電解セル及び電気分解システムは、好ましくは、抗微生物酸化剤の変換を最大限にするために、アノードに隣接したこの表面層を通る供給水溶液の流れを最大限にする。またさらに、通常はアノード室とカソード室とを隔てている膜を取り去ることで、この膜を横切るイオンの速度の遅い移動を防ぐことにより反応速度が増加する。
【0010】
本発明は、1つ以上の混合酸化剤生成物の生成に関し、次亜塩素酸塩、塩素、二酸化塩素、オゾン、過酸化水素、及び他のいくつかの塩素由来種を含むことができる。
【0011】
供給水溶液は、少なくとも一種のハロゲン化物塩から製造される電解液を含むが、以後、簡単にするために本明細書では最も好ましいハロゲン化物塩である塩化ナトリウムによって例示する。塩化ナトリウムは、水道水、井戸水、及び他の水源で普通に見られる塩である。したがって、普通は、所望の濃度の混合酸化剤を得るのに十分な塩化物イオンが水中に存在する。また、ある量のナトリウム塩化物を、一般には少なくとも0.1ppmの所望の濃度で供給水溶液に添加することも可能である。
【0012】
供給水溶液中に含まれる塩化物の濃度は、塩化ナトリウムを混合酸化剤生成物に変換する電解セルの変換効率に加え、塩素含有種(例えば、次亜塩素酸塩)が必要とする消毒レベルに基づいて選択することができる。自然に存在するか又は添加される塩化ナトリウムの濃度は、一般に約1ppm〜約500ppmである。水源の消毒には、塩化ナトリウムの濃度は、好ましくは約1ppm〜約300ppm、より好ましくは約10ppm〜約200ppmである。得られる混合酸化剤生成物の濃度は、約0.1ppm〜約10ppm、好ましくは約1ppm〜約2ppmである。
【0013】
本発明の電解セルにおいて達成可能な塩化物からの混合酸化剤の変換範囲は、一般に約1%〜約99%未満の範囲である。変換レベルは、以下で説明する電解セルの設計と同様に、電解セルで使用される電流特性に最も強く依存する。
【0014】
供給水溶液は、塩化ナトリウムに加えて、任意選択的に1つ以上の他の塩を含むことができる。これらの任意の塩を使用して、電解セルから排出された流出液の消毒性能を高めるか、又は電解セルを通過する電流に反応して他の混合酸化剤を提供することができる。他の好ましい塩は、臭化ナトリウムである。ハロゲン化アルカリを含む水溶液を電気分解する好ましい装置及び方法は、譲受人に譲渡された同時係属で2001年4月2日に出願された米国仮特許出願(特許文献1参照)に開示されている。他の好ましい塩は、アルカリ岩塩(alkali halite)からなり、最も好ましくは亜塩素酸ナトリウムからなる。アルカリ岩塩を含む水溶液を電気分解する好ましい装置及び方法は、米国特許出願(特許文献2参照)で例として開示されており、参照のために本明細書に示す。
【0015】
本発明は、任意選択的に、局所的な塩化物源、及び供給水溶液に塩化物を送達する手段を使用することができる。この実施形態は、電解セルで処理すべき標的の水が塩化物を十分な量含有していないか、又は全く含有していない状況で有利に使用される。局所的な塩化物源を水溶液の流れの中に放出して、その後それを電解セルに通過させることができる。また局所的な塩化物源を水溶液リザーバの一部分の中に放出して、その後その部分を電解セル内に引き入れることもできる。混合酸化剤への変換を最大限にし、リザーバへの塩の添加を概ね制限するように、局所的な塩化物源すべてが電解セルを通過することが好ましい。また局所的な塩化物源は、水溶液中に既に含まれていた塩化物の残留レベルを補うこともできる。
【0016】
局所的な塩化物源は、濃縮食塩水溶液、電解液リザーバと流体接触する塩の錠剤、又はその両方であり得る。好ましい局所的な塩化物源は、固体又は粉末材料である。局所的な塩化物源を送達する手段は、好ましくは丸剤又は錠剤の塩化物を含む塩室を含むことができ、その中を水溶液の一部が通過し、塩化物の一部を溶解させて供給水溶液を形成する。塩室は、電解セルを保持する装置の本体内に形成された塩の空隙を含むことができ、これは電解セルを通過する水溶液の一部と流体連通するように配置されている。
【0017】
供給水溶液の形成には、井戸水、水道水、軟水、産業処理水、及び廃水を含む、いかなる水源を使用することもできる。ただし、本発明の多くの用途では、本質的に自然に存在する塩化物イオンしか存在しない流出液を形成するには、川の水又は井戸水のような処理されていない水が最も好ましい。これらの種類の自然の水は、塩化ナトリウムを含む、十分な量の塩を含有しているので、かなりの量の混合酸化剤が形成される。
【0018】
選択された水源に他の塩又は電解質を加えると、水の伝導度が増加し、それが生成される混合酸化剤の量を増加させる。しかしながら、伝導度が増加すると電流が増加するので、伝導度の増加が生産効率を高めることにはならないことがある。したがって、生成される混合酸化剤は増加するが、消費される電力も増加する。好適な混合酸化剤の生産性方程式は、式Iで表される。
η=(CMO×Q)/(I×V) (I)
式中、
ηの単位は、1分当りの、使用される電力1ワット当りの混合酸化剤量(マイクログラム)であり、
CMOは、1リットル当りに生成された混合酸化剤の濃度(mg/l)であり、
Iは、電流(アンペア)であり、
Qは、1分当りの体積流量(ml/m)であり、
Vは、セルを横切る電位(ボルト)である。
【0019】
塩化ナトリウムを含有する供給水溶液は、バッチ貯蔵式容器から電解セルに送り込むことができる。あるいは、塩化ナトリウムの濃縮水溶液を第二水源と混合すること、及び続けてその混合物を連続的に電解セルに通過させることによって、供給溶液を連続的に調製することができる。任意選択的に、供給水溶液の一部分は、電解セルからの流出液の再循環部分を含むこともできる。また供給水溶液は、前述の供給源のいずれかの組み合わせを含むこともできる。供給水溶液を、電解セル内に連続的又は周期的に流すことができる。
【0020】
(電解セル)
電解セルは、セル室を通過する供給水溶液に電流を流すことによって、塩化物イオンから混合酸化剤を発生させる。障壁不使用電解セルは、少なくとも一対の電極、すなわちアノードとカソードとを含む。またセルは、供給水溶液がそれを通過するセル室を具備し、アノードに隣接した経路を含む。経路には、変換反応が起こる、アノードに隣接した狭い表層が含まれる。できる限り多量の流出水溶液を、経路及びその狭いアノード表面領域に通過させることが好ましい。
【0021】
本発明の一実施形態では、セルは、アノードならびに対向する(及び好ましくは同一の広がりをもつ)カソードを含んでおり、これらは電極対の対向表面によって画定される形状のセル室によって隔てられている。セル室は、対向する2つの電極間の垂直間隔であるセル間隙を有する。通常、セル間隙は電極の対向表面全体にわたってほぼ一定である。セル間隙は、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下である。
【0022】
また電解セルは、2つ以上のアノード又は2つ以上のカソードを含むこともできる。アノード板及びカソード板は、アノードがセル室を間において各面でカソードと対向するように、交互に配置される。複数のアノード及びカソードを含むことのできる電解セルの例が、1996年7月9日発行のアンドウ(Ando)らによる米国特許公報(特許文献3参照)、及び1977年12月13日発行のエイブル(Eibl)による米国特許公報(特許文献4参照)に開示されており、これらを本明細書に引用して援用する。
【0023】
一般に、電解セルは、各セル室と流体連通する1つ以上の入口開口部、及びセル室と流体連通する1つ以上の出口開口部を有する。また入口開口部は供給水溶液源とも流体連通していて、供給水溶液が電解セルの入口から流入してセル室を通り、出口から流出することができる。廃溶液(電解セルから流出する電気分解された供給水溶液)には、溶液を通る電流の流れに応じてセル経路内で変換された、ある量の混合酸化剤が含まれる。廃溶液は、例えば、物品を消毒するために、又は他の体積の水もしくは水溶液を処理するために、混合酸化剤源として使用することができる。供給溶液が、微生物、又は形成される混合酸化剤溶液によって原位置で(in situ)酸化され得る他の何らかの酸化可能な供給源材料を含んでいる場合、流出液自体を処理済み溶液にすることができる。
【0024】
また本発明は、混合酸化剤発生システムを提供し、このシステムは、
a)ハロゲン化物塩を含む供給水溶液源と、
b)セル室を有し、アノードとカソードとを具備する膜不使用電解セルであって、セル室がアノードに隣接した経路を有し、入口及び出口がセル室と流体連通している膜不使用電解セルと、
c)供給水溶液をセル室内に流入させ、経路に沿って通過させて、出口から流出させる手段と、
d)セル室内の水溶液に電流を流し、経路内のハロゲン化物塩の一部を混合酸化剤に変換して、混合酸化剤を含む流出水液を形成する電流供給源と
を含む。
【0025】
図1及び図2は、本発明の電解セル10の一実施形態を示す。セルは、アノード電極21及びカソード電極22を含む。電極は、電極スペーサ31を有する一対の対向する非導電性電極ホルダ30によって互いに固定距離をあけて保持されており、スペーサ31が、アノード及びカソードの対向する長手方向縁部を間隔をあけて配置して、間隙を有するセル室23を形成している。セル室23は、供給水溶液がそこを通ってセル内に流入できるセル入口25、及び流出液がそこを通って電解セルから流出できる反対側のセル出口26を有する。アノード及びカソード組立体、ならびに対向する板ホルダは、非導電性・耐水性の接着剤、ボルト、又は他の手段を含むことのできる固定手段(図示せず)によって、非導電性アノードカバー33(一部を切り取って示す)とカソードカバー34との間で1つにまとめて堅固に保持されていて、2つの電極の露出を室23内を流れる電解液だけに制限している。アノードリード27及びカソードリード28は、電極ホルダ30内に作られたチャネルを通り、側面に沿って密封可能に延びている。
【0026】
図2は、セル室23、及びアノード21表面に沿った経路24を示す。経路24は、セル室23の一部分であり、図では境界29によって示されているが、これはアノード21と隣接していることを示すためのものにすぎず、セル室に対する相対的な割合又は尺度を示すものではない。
【0027】
本発明の電解セルの他の実施形態を図3に示す。この電解セルは、アノード出口35を有する。アノード出口は、アノード21に隣接した経路24内を流れる電気分解された供給溶液の一部を、アノード流出液として取り出す。残りのセル流出液は、セル出口26から流出するが、以後これらをそれぞれカソード流出液及びカソード出口とも呼ぶ。アノードに隣接して流れる電気分解された溶液の一部をアノード出口を通じて取り出す同様の電解セルは、1994年5月31日発行のベイカー(Baker)らによる米国特許公報(特許文献5参照)、1996年7月9日発行のアンドウ(Ando)らによる米国特許公報(特許文献3参照)、及び1999年1月12日発行のオーツカ(Otsuka)らによる米国特許公報(特許文献6参照)に記載されている。特に好ましいのは、米国特許公報(特許文献7参照)の図3に示される電解セルであり、これは、出口に隣接してアノードとカソードとの間に配置された物理障壁(要素16)を使用していて、アノード出口を通じて取り出される前にアノードに隣接した溶液がカソードに隣接した溶液と混合されるのを最小限に抑えるか又はなくすことができる。好ましくは、低レベルの混合酸化剤生成物を含む又は混合酸化剤生成物を含まないカソード流出液を、供給水溶液に戻し、その中に混合する。
【0028】
電極は、一般に、それ自体と他の電極との間の供給水溶液を通る電気を効果的に導くことができるいずれの形状にもすることができ、平面状電極、環状電極、バネ型電極、及び多孔質電極が挙げられるが、これらに限定されない。アノード及びカソード電極は、図2に示すように、カソード及びアノードの電極対間にほぼ均一な間隙を与えるように、形状設定し配置することができる。一方、アノード及びカソードを、異なる形状、異なる寸法にすることもでき、互いに不均等な間隔をあけて配置することもできる。アノードとカソードとの間の重要な関係とは、アノードに隣接したセル経路内でのハロゲン化塩の混合酸化物への変換を促進するように、アノードに適切な電圧で十分な電流を通すことに関する。
【0029】
図2に示すような平面状電極は、溶液の流路に沿った長さと、流路を横断して配向する幅とを有する。平面状電極のアスペクト比は、長さと幅の比で定義され、一般に0.2〜10、より好ましくは0.1〜6、最も好ましくは2〜4である。
【0030】
アノードとカソードの両方の電極は、通常は金属の導電性材料であるが、炭素のような非金属の導電性材料も使用することができる。アノード及びカソードの材料は、同一にすることもできるが、有利には異なるものにすることができる。腐食を最小限に抑えるために、好ましくは耐薬品性金属が使用される。好適な電極の例が、米国特許公報(特許文献8及び特許文献9参照)に開示されている。好ましいアノード金属は、ステンレス鋼、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウムと同様に、鉄、ニッケル、クロム、ならびにこれらの合金及び金属酸化物である。より好ましいのは、チタン、タンタル、アルミニウム、ジルコニウム、タングステン、又はこれらの合金のようなα金属製(a metals)の電極であり、これらは好ましくは白金、イリジウム、及びルテニウムから選択されるVIII族金属、ならびにこれらの酸化物及び合金でコーティング又は層形成される。好ましいアノードの1つは、チタン芯で作られ、ルテニウム、酸化ルテニウム、イリジウム、酸化イリジウム、及びこれらの混合物でコーティング又は層形成されており、厚さが少なくとも0.1ミクロン、好ましくは少なくとも0.3ミクロンである。
【0031】
多くの用途に、厚さ約0.03mm〜約0.3mmの金属箔を使用することができる。箔電極は、適切な電気分解作用に干渉し得る、経路内の液体の流れに応じた撓み又は曲げを生じないよう、セル内で安定させるべきである。箔電極の使用は、装置のコストを最小限に抑えなければならないとき、又は電気分解装置の寿命が短い(一般には約一年以下)と予想又は意図されているときに特に有利である。箔電極は、前述のいずれかの金属から作製することができ、好ましくは、タンタル、ステンレス鋼、及び他のもののような、あまり高価でない導電性の卑金属に積層体として取り付けられる。
【0032】
本発明の特に好ましいアノード電極は、多孔質又は流通式アノードである。多孔質アノードは、大量の供給水溶液を通過させるのに十分に大きい表面積及び大きい孔容積を有する。多孔質アノード内の複数の孔及び流通チャネルは、供給水溶液が通過できる複数の経路を提供する、大幅に増加した表面積を提供する。本発明で有用な多孔質媒体は、アストロ金属社(Astro Met Inc.)(オハイオ州シンシナティ)、ポールベア社(Porvair Inc.)(ノースカロライナ州ヘンダーソン)、又はモット・メタラージカル社(Mott Metallurgical)(コネチカット州ファーミントン)から市販されている。あるいは、米国特許公報(特許文献10及び特許文献11参照)が、多孔質媒体処理の好適な例を示している。好ましくは、多孔質アノードの表面積(平方センチメートル)と全体積(立方センチメートル)との比が、約5cm-1より大きく、より好ましくは約10cm-1より大きく、さらに好ましくは約50cm-1より大きく、最も好ましくは約200cm-1より大きい。好ましくは、多孔質アノードの孔隙率が、少なくとも約10%、より好ましくは約30%〜約98%、最も好ましくは約40%〜約70%である。好ましくは、アノードを通る溶液の流量、及び溶液中に含まれる塩化物の混合酸化剤生成物への変換を最適化するために、多孔質アノードが、アノードの全体積にわたる高い表面積と電気伝導度との組み合わせを有する。
【0033】
多孔質アノードを通る供給水溶液の流路は、溶液のアノード表面への曝露時間の観点から、塩化物を混合酸化剤に変換するのに十分なものにするべきである。流路は、アノードを通る電気の流れに平行に(電気の流れと同方向もしくは逆方向のいずれか)、又は電気の流れを横断する方向に、供給溶液を通過させるように選択することができる。多孔質アノードによって、供給水溶液のより多くの部分をアノード表面に隣接した経路に通過させることができ、その結果、ハロゲンを含有する混合酸化剤生成物に変換できるハロゲン塩の割合が増加する。
【0034】
図4は、多孔質アノード21を含む電解セルを示す。多孔質アノードは、供給水溶液がそこからアノード表面に隣接して多孔質電極内を通過できる、多数の毛管様流体経路24を有する。図4の電解セルでは、供給水溶液は、アノードとカソードとの間の電気の流れに平行な方向に流れる。
【0035】
多孔質アノードを有する電解セルの他の実施形態を図5に示す。この実施形態では、供給水溶液の流れは、アノードとカソードとの間の電気の流れを横断する方向である。一般に多孔質アノードを通る流体経路が小さい(0.2mm未満)ので、ある単位の溶液が多孔質アノードを通って流れるには、同じ量が開放セル室を通って流れるよりも大幅に高い圧力が必要になる。したがって、供給水溶液が多孔質アノードと開放室とを有する電解セル内に導かれる場合、溶液が優先的に開放セル室を通って流れるので、一般に、多孔質アノードを通りその表面を横切って流れる溶液の量が大幅に減少する。
【0036】
供給水溶液が多孔質アノードをバイパスし得るという前述の問題に対処するために、図6に示すように、好ましくはセル室は、カソード22と多孔質アノード21との間のセル室24の体積内に非導電性で多孔質の流体障壁40を設けられる。多孔質障壁40は、アノードとカソードとの間で室材料を介して電気が短絡するのを防ぐために非導電性である。供給水溶液がセル室を通って流れると、多孔質障壁によって溶液の圧力損失が生じる。多孔質障壁は、水を吸収又は保持しないようにすべきであり、混合酸化剤生成物を含め、水溶液及びその中の化学成分と反応しないようにすべきである。多孔質障壁40は、これらだけに限るものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリオレフィンのようなプラスチック類、ガラス又は他のシリカ質材料、ならびにシリコンから選択される、非導電性の材料製にすることができる。多孔質障壁は、同一のサイズ又は異なるサイズの、球形、楕円形、及び他の形状の複数の物体を含むことができ、これらを室の中に緩やかに詰め込むか、又は室内で物品の一体型マトリックスにすることができる。図6は、多孔質障壁40を様々な直径の球形物体のマトリックスとして示す。また多孔質障壁40は、1つ以上のバッフルにすることもでき、これらがセル室24を通る溶液の流れを実質的に制限する。図7に示すように、このようなバッフルは、溶液の流れを制限する開孔をその中に有する、一連の垂直障壁を含むことができる。非導電性の多孔質障壁を通る供給水溶液の流れが制限されると、セル室内を通過できる供給水溶液の割合が大幅に減少し、その結果多孔質アノード21内の経路23内で変換されるハロゲン化物塩の割合が増加する。
【0037】
多孔質アノード及び多孔質障壁40を含むセル室24を通って流れる溶液は、互いに混ざり合い、いくらか前後に流れることができるが、セルの出口端部26の異なる領域から流出する流出液は、溶液組成が実質的に異なる。多孔質アノードから流出する流出液38は、カソードに隣接したセル室から流出する流出液39よりも、顕著にpHが低く、ハロゲン生成物の生成量が多い。多孔質アノードを流出する流出液38は、図8に示すように障壁37を設置することによって、流出液39と隔てて、セルから取り出すことができる。
【0038】
本発明の他の実施形態は、開放室を有する電解セルを使用する。開放室式の電解セルは、本発明を、プール、浴槽、温泉、タンク、及び他の水の開放体を含めた供給水溶液のリザーバにおいて実施する際に特に有用である。供給水溶液は、セルに流入して、様々な方向からアノードに到達することができる。供給水溶液中のハロゲン化物塩は、前記したように、リザーバ溶液に含有させること、又は局所的なハロゲン化物塩源としてリザーバ溶液内に局所的に送達することができる。開放室式の電解セルの例としては、ダールグレン(Dahlgren)による米国特許公報(特許文献12参照)、ジャッド(Judd)による米国特許公報(特許文献13参照)、シャーマン(Sherman)による米国特許公報(特許文献14及び特許文献15参照)に記載のものが挙げられる。
【0039】
混合酸化剤を発生する代替的なシステムは、供給水溶液が入ったバッチ容器を含む。再循環ポンプが、容器から電解セル内を通して供給溶液を循環させ、流出液を排出させてバッチ容器に戻す。やがて、溶液中の未反応の塩化物濃度が本質的にゼロまで低下し、供給水溶液中に充填した塩化ナトリウムがほぼ完全に混合酸化剤生成物に変換される。わずかに異なるシステムでは、電解セルを、バッチ容器内に配置して、塩化ナトリウムを含む水溶液に沈めることができる。容器内のポンプ又は混合装置が、溶液を電解セルに通過させ、混合酸化剤への塩化ナトリウムの標的変換が達成されるまで溶液を再循環させる。
【0040】
また電解セルは、ある体積の供給水溶液を電気分解するバッチ型セルを含むこともできる。バッチ型セルは、一対の電極を有するバッチ室を含む。バッチ室は、ナトリウム塩化物を含む供給水溶液で満たされており、次いでそれを電気分解して、混合酸化剤を含有する流出液のバッチを形成する。電極は、好ましくは、外側の環状アノードと同心の内側カソードとを含む。本発明によるナトリウム塩化物供給源と共に使用するのに好適なバッチセルの一例が、2000年11月30日公開の国際公開特許(特許文献16参照)に開示されており、これを参照によりここに援用する。
【0041】
(電流供給源)
電流供給源は、アノードを横切って通過する供給水溶液の経路を横切って電極間を流れる電流の流れを提供する。多くの用途では、好ましい電流供給源は、一般的な100〜230ボルトのAC電流をDC電流に変換する家庭用(又は産業用)の電流整流器である。
【0042】
携帯型又は小型の個人用システムに関わる用途では、好ましい電流供給源は、電池又は一式の電池であり、好ましくは、アルカリ、リチウム、酸化銀、酸化マンガン、又は炭素亜鉛電池から選択される。電池は、公称電位1.5ボルト、3ボルト、4.5ボルト、6ボルト、又は電気分解装置の電力要件を満足する他のいずれかの電圧を有するものにすることができる。最も好ましいのは、1.5Vの電位を有する、「AA」サイズ、「AAA」サイズ、「C」サイズ、及び「Dサイズ」電池のような、一般的な種類の電池である。2つ以上の電池を、直列に(電位を加算するため)、又は並列に(電流容量を加算するため)、又はその両方で(電位及び電流の両方を増加させるため)配線することができる。また、再充電可能な電池及び機械式巻バネ装置も、有利に使用することができる。
【0043】
他の代替例は、太陽エネルギーを電力に変換(及び貯蔵)できる太陽電池である。太陽電池式光起電性パネルは、電解セルの電力要件が、1.5〜9ボルトの電位差に2000ミリアンペア未満の電流を誘導するようなものであるときに、有利に使用することができる。他の多くの既知の電源を本発明の実施の際に使用してもよく、手動クランク式発電システム及び水圧/流体タービンシステムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
一実施形態では、電解セルは、1つ以上の電池の陽極リードに接続されたアノード、及び陰極リードに接続されたカソードを有する、単一対の電極を含むことができる。一連の2つ以上の電極又は2つ以上のセル(電極対のそれぞれ)を、電流源に配線することができる。各セルアノードを陽極端子に、各セルカソードを陰極端子に接続することによってセルを並列に配置すると、各セルをまたぐ電位(電圧)が同一になり、総電流が2つ以上の電極対の間で(均等又は不均等に)分けられる。2つのセル(例えば)を、第一セルアノードを陽極端子に、第一セルカソードを第二セルアノードに、及び第二セルカソードを陰極端子に接続することによって直列に配置すると、各セルをまたぐ電流が同一になり、総電位が2つのセルの間で(均等又は不均等に)分けられる。
【0045】
電流供給源は、さらに、長期にわたって高いレベルの電気効率を維持するために、1つ以上の電池の出力極性を周期的に反転させる回路を含むことができる。極性を反転させると、電極表面上へのスケールの堆積及び帯電化学種のメッキ形成が最小限に抑えられるか、又は妨げられる。極性の反転は、対向するアノード及びカソード電極を使用するときに特にうまく作用する。
【0046】
(電気分解の流出液)
ほとんどの用途では、塩化物が既に含まれている溶液を電気分解装置に通過させると、汚染された溶液中の微生物が死滅する。他の用途では、変換された混合酸化剤を含有する排出された流出液を電解セルから取り出し、例えば、消毒水溶液として使用する。流出液は、混合酸化剤によって酸化される酸化可能源に直接送達することによって、形成時に使用することができる。酸化可能源は、流出溶液と混合又は接触させると死滅する微生物を含む、水又は他の水溶液の第二供給源にすることができる。また、供給水溶液内に含まれる微生物も死滅する。
【0047】
(不純物の除去)
水の不純物は、多くの形態を取る。ある場合には、それは微生物の性質であり、ウイルス性、バクテリア性、菌性、寄生性、又は他の生物の形態のことがある。これらの不純物の一部又はすべての除去を、電解層の前又は後のフィルタによって支援してもよい。特に関心事であるのは、クリプトスポリジウム(cryptosporidium)のような嚢胞有機体の99.95%の除去であり、これは、フィルタの有効濾過サイズが嚢胞のサイズ未満である場合に(例えば、3ミクロンを越える微粒子を除去できるフィルタ)、汚染された水から除去される。
【0048】
不純物はまた、微生物でないこともある。これらの不純物の一部も、サイズごとにフィルタを介して除去可能なことがある。ある場合には、水中の汚染が有機又は無機的な性質のこともある。また、フィルタが、有機又は無機の汚染物質の一部又はすべてを除去することが望ましい。他の場合には、有機又は無機種の形態をさらに容易に濾過を介して除去されるよう変換することが望まれることもある。例えば、砒素(As)は、2つの酸化レベル(As(III)及びAs(V))の一方で存在することある。一般に、As(III)形態の方が毒性が強いと考えられているが、両方の酸化レベルが健康に悪影響を及ぼす。水中で見られることのあるAsの酸化状態は、その発生源によって異なる。地表水は、普通、空気酸化のために、地下水よりもAs(V)の割合が多い。無機のAs(III)(亜ヒ酸塩)及びAs(V)(ヒ酸塩)の構造、ならびにそれらの対応する酸の解離定数を以下に示す。
【0049】
【化1】
飲用水のpHでは、As(V)が一価又は二価の陰イオンとして存在し、As(III)が中性の分子として存在することに留意する。これは、As(V)は陰イオン交換樹脂によって容易に水から除去されるが、As(III)は容易に除去されないことを示唆している。したがって、As(III)を酸化させて容易にAs(V)にすることができれば、イオン交換がAsを除去するための優れた処置の選択肢を表すことになる。典型的な強塩基イオン交換樹脂では、水中に見られることのある陰イオンの除去選択性は次の順序になる(最も容易なものから最も困難なものへ):硫酸塩>ヒ酸塩>硝酸塩>亜ヒ酸塩>塩化物>重炭酸塩。
【0050】
状況によっては、電解セルに入れる電解液に対する前処理として、フィルタの一部分又は全体をイオン交換樹脂から構成してもよい。イオン交換樹脂で特に関心事であるのは、例えば塩化物の形態の陰イオン交換樹脂を用いて、電気分解の前に電解液中のハロゲン化物イオンの濃度を増加させる流出液を産出することである。陽イオン交換樹脂を用いると、電解セル中のカルシウム及びマグネシウムのようなスケール形成イオンの濃度を最小限に抑え、それによってアノード及びカソードの洗浄の必要を最小限に抑えることができる。
【実施例1】
【0051】
図9は、流体セル100の非限定的な代表的実施形態を示す。流体セル100は、入口110及び出口120を含んでよい。従来の家庭用電池によって供給される電流及び電圧を使用できる、低電力(好ましくは携帯型)電気分解流体セルを使用してもよい。電解セルは、アノード表面積が約0.1cm2〜約60cm2を有する様々なサイズにすることができる。本発明の特に好ましい一実施形態は、アノード表面積が約1cm2〜約20cm2、より好ましくは約3cm2〜約10cm2の電解セルを含む。電気駆動式モータ付きポンプは、流体セルの構成を介して、溶液を電解セルに送り込むことができる。このようなポンプユニットは、通常、約100〜約300cc/分の流量で溶液を流す。
【0052】
図10は、セル100を含む再循環セル200の非限定的な代表的実施形態を示す。再循環セル200は、水溶液リザーバ204を含んでよい。リザーバ204には、ハロゲン塩を含む供給水溶液を入れてよい。出口120から流出する溶液をリザーバ204内に導き、供給水溶液と混合して、所望の電気分解された種を増やしていくことができる。これら両方の溶液を混合した後、入口110内に導く。両方の溶液は、ポンプ206が挙げられるがこれに限定されない、同様の物質を移動させる現在既知のいずれかの方法によって移動させてもよい。任意選択的に、リザーバ204は、利用できるように追加の供給水溶液及び流出する電気分解された溶液を誘導することができる、入口210及び出口220を含んでもよい。
【0053】
図11は、流体セル100の非限定的な代表的実施形態を示す。流体セル100は、前置フィルタ装置300を含んでよい。前置フィルタ装置300は、沈降物、微粒子、不溶性物質、大きな有機体(例えば、嚢胞)を含むが挙げられるが、これらに限定されない様々な望ましくない構成成分を、供給水溶液から濾過除去するために使用してよい。フィルタ機構300は、所望の利益を達成するために様々な材料から構築してよく、粒状活性炭フィルタ、粒状活性炭ブロック、活性炭繊維類、珪藻土ガラス繊維類、濾紙、イオン交換樹脂類、サイズ排除物質類、帯電変性物質類(その例が国際公開特許(特許文献17参照))に示されており、これを参考のためにここに示す)、ゼオライト類、活性アルミナ、シリカゲル、硫酸カルシウム、フラー土、及び活性ボーキサイトが挙げられるが、これらに限定されない。飲用水に関わる用途には、ANSI/NSF標準53を満足するために、少なくとも3ミクロン以上のサイズを有する微粒子の99.95%を電解液から除去することがさらに望ましい場合がある。
【0054】
図12は、再循環セル200の非限定的な代表的実施形態を示しており、これは図10に示すものと同様であるが、図11に示すものと同様のフィルタ機構も含んでいる。
【0055】
図13は、流体セル100の非限定的な代表的実施形態を示す。流体セル100は、オン−オフ・センサ400を含んでよい。オン−オフ・センサ400を使用して、流入する供給水溶液の存在を検出し、それに対応して水溶液の電気分解に必要な電力として使用される電源(図示せず)をオンにしてもよい。同様に、オン−オフ・センサによって、流入する供給水溶液がないことを検出し、それに対応して電源(図示せず)をオフにしてもよい。
【0056】
図14は、再循環セル200の非限定的な代表的実施形態を示しており、これは図10に示すものと同様であるが、図13に示すものと同様のオン−オフ・センサも含んでいる。
【0057】
図15は、イオン交換樹脂500を有する流体セルのブロック図の非限定的な代表的実施形態を示す。このイオン交換樹脂は、2つの目的を果たすことができる。第一に、セル100を通過する水の全硬度を低減させる、硬水軟化装置としての役目を果たすことができる。第二に、ハロゲン化物陰イオン交換装置としての役目を果たすことができ、陰イオン交換樹脂を使用して、陰イオンのハロゲン化物イオンを水中に自然に存在する非ハロゲンイオンに交換し、システムの効率を向上させる。水中のほとんどの陰イオンに容易に交換できるハロゲン陰イオンの例が、塩化物である。
【0058】
硬水軟化装置は、水の全硬度を低下させるように設計される。全硬度は、水の重炭酸カルシウム及び重炭酸マグネシウム含量によって化学的に測定してもよい。硬水軟化装置は、特殊な種類のイオン交換樹脂の水調整装置である。通常、陽イオン交換樹脂は、水中のカルシウム及びマグネシウムの陽イオンを、普通は一価の他の陽イオンに交換するために使用される。最も一般的な交換イオンは、ナトリウム又は水素イオンである。また、ほとんどの硬水軟化システムは、陽イオン交換樹脂床を再生する手段も含む。最も一般的な樹脂の再生方法は、食塩水フラッシュである。普通、この目的にはナトリウム塩化物が使用される。
【0059】
図16は、再循環セル200の非限定的な代表的実施形態を示しており、これは図10に示すものと同様であるが、図15に示すものと同様のイオン交換樹脂500も含んでいる。
【0060】
(実施例1)−(流体セルと水中に自然に存在する塩)
図9に示す一般的な設計の電解セルを使用して、塩素除去された水道水を処理した。電解セルは、経路間隙が約0.46mmの一対の対向電極を有する。アノードは、ES300−チタン製で、酸化ルテニウム及び酸化イリジウムでコーティングした。カソードは、201ステンレス鋼製とした。平面状電極の寸法は、長さ73.0mm、幅25.4mmとした。電極の表面積は、電極の長さに電極の幅を乗ずることによって計算した(例えば、7.30cm×2.54cm=18.54cm2)。水道水をPuR蛇口取付型フィルタ(炭素ブロックフィルタ)に通過させ、水から塩素を除去することによって、塩素除去された水を調製した。使用した水道水の電気伝導度は、150uS/cmである。水道水中の測定された塩化物イオンの量は、78ppmであった。イオン除去された水10リットルを回収した。蠕動ポンプによって、ガラス容器から電解セルを通る溶液の流量が300ml/分と計測された。電源(テンマ研究所(Tenma Laboratory)、モデル72−630A)を介し、0.43アンペアの電流で電解セルを横切る4.5ボルトの電位差を与えた。得られる電力は、電圧と電流を乗ずることによって計算した(例えば、4.5V×0.44A=1.98W)。電解セルから流出液を引き出して分析した。遊離塩素についてDPDハック(Hach)法を介して測定すると、流出液に含まれていた混合酸化剤の濃度は合計2.90ppmであった。達成された生産性指数は、式I(η=(CMO×Q)/(I×V))に記載の効率計算によって測定すると439であった。他の様々な試験条件の一覧を表Aに記載する。
【0061】
【表1】
【0062】
(実施例2)−(流体セルと塩を添加した水)
実施例1の電解セルを、調製された塩の溶液から構成される供給水溶液を用いて動作させた。ナトリウム塩化物を脱イオン水に加えた。この試験には、500mgの工業銘柄塩化ナトリウム(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company,Inc.)(53233ウィスコンシン州ミルウォーキー))を加え、溶解するまで攪拌棒で混合して、ナトリウム塩化物溶液から50ppm塩化物を形成した。供給水溶液を10リットルガラス容器内で保持した。蠕動ポンプによって、ガラス容器から電解セルを通る溶液の流量が300ml/分と計測された。電流0.22アンペアで、電解セルを横切る4.5ボルトの電位差を与えた。電解セルから流出液を引き出して分析した。流出液に含まれる酸化剤は、2.13ppmであった。生産性指数は、645と計算された。
【0063】
(実施例3)−(AA電池を備える流体セル)
実施例1に記載したものと同じ方法で、実施例1の電解セルを動作させた。ただし、電源を3つのAA電池(デュラセル(Duracell))に置き換えた。蠕動ポンプによって、ガラス容器から電解セルを通る塩素除去された水の流量が300ml/分と計測された。3つのAA電池から、電解セルを横切る4.1ボルトの電位差を与えた。電流は0.34アンペアと測定された。電解セルから流出液を引き出して分析した。流出液に含まれる酸化剤は、1.96ppmであった。生産性指数は、427と計算された。
【0064】
(実施例4)−(水中に塩が自然に存在する再循環セル)
図10の電解セルを、実施例1に一覧にしたものと同一の動作条件下で動作させた。10リットルの水の遊離酸化剤濃度は、長時間にわたって増加する。結果を以下の表Bに示す。
【0065】
【表2】
本発明は、蛇口取付型フィルタ、調理台用浄水器、シンク下用浄水器、キャンプ/バックパック用浄水器、旅行用浄水器、冷蔵庫用浄水器、ピッチャー型重力流浄水器、水浴用(bathing)浄水器、及び温泉型浄水器が挙げられるが、これらに限定されない多数の用途において正しく評価され得る。
【0066】
本発明の様々な利点は、前述の明細書及び次の特許請求の範囲を検討すれば当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明の様々な利点は、本明細書を検討し図面を参照すれば当業者には明らかになる。
【図1】本発明の実施の際に使用される電解セルを示す。
【図2】図1の電解セルの線2−2を通る断面図である。
【図3】本発明の実施の際に使用される代替的な電解セルの断面図である。
【図4】多孔質アノードを有するもう1つの電解セルの断面図である。
【図5】多孔質アノードを有するさらにもう1つの電解セルの断面図である。
【図6】多孔質アノード及び多孔質流体障壁を有するもう1つの電解セルの断面図である。
【図7】多孔質アノード及び多孔質流体障壁を有するさらにもう1つの電解セルの断面図である。
【図8】多孔質アノード及び多孔質流体障壁を有するさらにもう1つの電解セルの断面図である。
【図9】流体セルの構成のブロック図である。
【図10】再循環セルの構成のブロック図である。
【図11】フィルタ機構を有する流体セルのブロック図である。
【図12】フィルタ機構を有する再循環セルのブロック図である。
【図13】オフ/オン・センサを有する流体セルのブロック図である。
【図14】オフ/オン・センサを有する再循環セルのブロック図である。
【図15】イオン交換樹脂を有する流体セルのブロック図である。
【図16】イオン交換樹脂を有する再循環セルのブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然に存在する塩(例えば、自然に存在するNaCl)又は添加された塩(例えば、添加されたNaCl)を含有する水溶液から、次亜塩素酸塩及び塩素のような混合酸化剤を生成する装置及び方法に関する。本手法は、一対の電極間の電位差を用いて水を通る電流を誘導し、電極間を通過する水を電気分解して水を殺菌する。汚染された水が電極間を通過すると、微生物が死滅し、水が殺菌される。さらに、処理された水もまた、遊離塩素(Cl2)、次亜塩素酸イオン(OCl-)、他の殺生物イオン、及び遊離ラジカルのような殺生物剤を発生する水中の残留塩化物イオンに関わる反応に起因する、いくらかの残留殺生物利益を保持する。水中の微生物を効果的に死滅させることができるように、塩化物イオンの電気分解効率を向上させる重要な2つのパラメータは、アノードとカソードとを隔てる膜をなくすこと、及び2つの電極を近接させる(例えば、<0.5mm)ことである。その結果、本発明者らは、汚染された溶液中の微生物を効果的に死滅させることができる、小型で効率的な携帯型電池駆動装置をいくつか開発した。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸塩、塩素、二酸化塩素、及び他の塩素ベースの酸化剤のような様々な酸化剤は、産業及び家庭内の処理及び設備における使用のため、ならびに商業用及び消費者用製品のための最も有効な殺微生物剤の一部である。これらの酸化剤分子の強力な潜在的酸化能力は、消毒及び殺菌を含む多種多様な使用に理想的である。百万分の一(1ppm)以下程度の低濃度の水溶液中の酸化剤種は、バクテリア類、ウイルス類、カビ類、菌類、及び胞子類を含む多種多様な微生物を死滅させることで既知である。数百ppmまでの高濃度の酸化剤は、廃水処理、産業用水処理(例えば、冷却水)、果物・野菜類の消毒、亜硫酸塩の製油業処理、繊維業、ならびに医療廃棄物処理を含む様々な用途で、多数の化合物をさらに強力に消毒及び酸化する。酸化剤は、フェノール化合物と反応して分解することができ、その結果フェノールに由来する味覚及び臭気を水から除去する。また酸化剤は、シアン化物類、硫化物類、アルデヒド類、及びメルカプタン類を排除するために、飲用水及び廃水の処理にも使用される。
【0003】
【特許文献1】
米国仮特許出願公開第60/280,913号(整理番号8492P)明細書
【特許文献2】
米国特許出願公開第09/947,846号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,534,120号明細書
【特許文献4】
米国特許第4,062,754号明細書
【特許文献5】
米国特許第5,316,740号明細書
【特許文献6】
米国特許第5,858,201号明細書
【特許文献7】
米国特許第4,761,208号明細書
【特許文献8】
米国特許第3,632,498号明細書
【特許文献9】
米国特許第3,771,385号明細書
【特許文献10】
米国特許第5,447,774号明細書
【特許文献11】
米国特許第5,937,641号明細書
【特許文献12】
米国特許第4,337,136号明細書
【特許文献13】
米国特許第5,013,417号明細書
【特許文献14】
米国特許第5,059,296号明細書
【特許文献15】
米国特許第5,085,753号明細書
【特許文献16】
国際公開第00/71783A1号明細書
【特許文献17】
国際公開第0107090A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商業規模での次亜塩素酸塩及び他の酸化剤の製造に分離区画・膜使用電解セルが使用されてきたが、消費者レベル(すなわち、小型・携帯型レベル)では完全に満足のいくものではなかった。本発明者らが電気化学的手法を用いて消費者用途に開発した電気化学的ユニットがいくつかあるが、所望の効果を達成するには、これらは生産に費用がかかることが確認され、大きな電力量を必要とした。イオン透過性の膜又は隔膜を使用する、従来技術で開示される商用の電解セルでは、陽極液がマグネシウム及びカルシウムのような二価の陽イオンを実質的に含まないようにして、膜を急速に妨害及び被覆し電解反応を著しく低下又は停止させる沈殿カルシウム又はマグネシウム塩の形成を避ける必要がある。
【0005】
したがって、広範囲な状況下でこれらの家庭用抗微生物酸化剤を製造する単純で安全な方法及び装置がなお必要とされている。本発明は、抗微生物酸化剤を安価に、容易に、及び効果的に製造する方法及び装置について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、膜不使用電解セルを用いて、自然に存在する塩(例えば、自然にNaClを含有する水)又は添加された塩(例えば、NaClが添加された水)を含む水溶液から抗微生物酸化剤を製造する方法に関する。膜不使用電解セルとは、アノード電極とカソード電極とを具備し、セル室を有する電解セルであって、セル経路を2つ(又はそれ以上)の別個のアノード室とカソード室とに分けるイオン透過膜をもたない電解セルである。アノード表面に隣接したセル室の一部分を形成する経路内の供給水溶液に電気が流れると、様々な塩が抗微生物酸化剤に変換される。
【0007】
本発明は、抗微生物酸化剤を製造する方法を提供するものであり、この方法は、(1)自然の水もしくは塩化物が既に存在するか又は塩化物が添加された水を含む供給水溶液を提供する工程、(2)供給水溶液を、アノードとカソードとを含む膜不使用電解セルのセル室内に入れ、アノードに隣接した経路に沿って通過させる工程、(3)アノードとカソードとの間に電流を流して経路内の供給水溶液を電気分解し、それによって経路内の塩の一部を抗微生物酸化剤に変換する工程、及び(4)電気分解された水溶液を電解セルから流出させて、請求項1に列記する選択した手法に基づいた場合には不要な、抗微生物酸化剤を含む流出液を形成する工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、アノードとカソードとの間の供給水溶液を流れる電流を使用して、水(例えば、川又は井戸)中に自然に存在するものにせよ、後で溶液中に溶解したもの(例えば、添加されたNaClのような塩)にせよ、低レベルの塩前駆体を変換するものである。水溶液が電解セルの室を通って流れ、アノードとカソードとの間を電流が流れると、水と同様に、水溶液中に含まれる他の1つ以上の塩又はイオンに関わる、いくつかの化学反応が起こる。
【0009】
アノードにおいては、アノード表面に隣接した経路内の水溶液の狭い層の中で、次の塩素発生反応が起こる:
2Cl-⇔Cl2(g)+2e-
塩素反応によって発生した塩素気体(Cl2)は、水に溶解して次亜塩素酸イオン(OCl-)を発生する。他の潜在的ないくつかの塩素−酸素間反応(例えば、二酸化塩素)も起こり得ることに留意する。特定の理論に束縛されるものではないが、アノード電極がアノードに隣接した水及び他のイオンから電子を引き寄せ、その結果、供給水溶液の狭い表層内に抗微生物酸化剤種が形成されると考えられている。この表層の厚さは、アノード界面において約100ナノメートルと考えられている。結果として、間隙サイズが小さい方が、間隙サイズが大きい場合よりも高い効率の変換が得られた。当然ながら、もはやかなりの背圧を伴わずに水溶液を流すことができない点、又は間隙が小さすぎて電極間の抵抗が小さくなり非常に大きな電流が誘導される点のような、ある種の限界が存在する。乱流による流動溶液中の分子の運動を含めた流体力学から、溶液の流路がアノード表層に近付くほど塩の変換が増加することが予測される。したがって、本発明の電解セル及び電気分解システムは、好ましくは、抗微生物酸化剤の変換を最大限にするために、アノードに隣接したこの表面層を通る供給水溶液の流れを最大限にする。またさらに、通常はアノード室とカソード室とを隔てている膜を取り去ることで、この膜を横切るイオンの速度の遅い移動を防ぐことにより反応速度が増加する。
【0010】
本発明は、1つ以上の混合酸化剤生成物の生成に関し、次亜塩素酸塩、塩素、二酸化塩素、オゾン、過酸化水素、及び他のいくつかの塩素由来種を含むことができる。
【0011】
供給水溶液は、少なくとも一種のハロゲン化物塩から製造される電解液を含むが、以後、簡単にするために本明細書では最も好ましいハロゲン化物塩である塩化ナトリウムによって例示する。塩化ナトリウムは、水道水、井戸水、及び他の水源で普通に見られる塩である。したがって、普通は、所望の濃度の混合酸化剤を得るのに十分な塩化物イオンが水中に存在する。また、ある量のナトリウム塩化物を、一般には少なくとも0.1ppmの所望の濃度で供給水溶液に添加することも可能である。
【0012】
供給水溶液中に含まれる塩化物の濃度は、塩化ナトリウムを混合酸化剤生成物に変換する電解セルの変換効率に加え、塩素含有種(例えば、次亜塩素酸塩)が必要とする消毒レベルに基づいて選択することができる。自然に存在するか又は添加される塩化ナトリウムの濃度は、一般に約1ppm〜約500ppmである。水源の消毒には、塩化ナトリウムの濃度は、好ましくは約1ppm〜約300ppm、より好ましくは約10ppm〜約200ppmである。得られる混合酸化剤生成物の濃度は、約0.1ppm〜約10ppm、好ましくは約1ppm〜約2ppmである。
【0013】
本発明の電解セルにおいて達成可能な塩化物からの混合酸化剤の変換範囲は、一般に約1%〜約99%未満の範囲である。変換レベルは、以下で説明する電解セルの設計と同様に、電解セルで使用される電流特性に最も強く依存する。
【0014】
供給水溶液は、塩化ナトリウムに加えて、任意選択的に1つ以上の他の塩を含むことができる。これらの任意の塩を使用して、電解セルから排出された流出液の消毒性能を高めるか、又は電解セルを通過する電流に反応して他の混合酸化剤を提供することができる。他の好ましい塩は、臭化ナトリウムである。ハロゲン化アルカリを含む水溶液を電気分解する好ましい装置及び方法は、譲受人に譲渡された同時係属で2001年4月2日に出願された米国仮特許出願(特許文献1参照)に開示されている。他の好ましい塩は、アルカリ岩塩(alkali halite)からなり、最も好ましくは亜塩素酸ナトリウムからなる。アルカリ岩塩を含む水溶液を電気分解する好ましい装置及び方法は、米国特許出願(特許文献2参照)で例として開示されており、参照のために本明細書に示す。
【0015】
本発明は、任意選択的に、局所的な塩化物源、及び供給水溶液に塩化物を送達する手段を使用することができる。この実施形態は、電解セルで処理すべき標的の水が塩化物を十分な量含有していないか、又は全く含有していない状況で有利に使用される。局所的な塩化物源を水溶液の流れの中に放出して、その後それを電解セルに通過させることができる。また局所的な塩化物源を水溶液リザーバの一部分の中に放出して、その後その部分を電解セル内に引き入れることもできる。混合酸化剤への変換を最大限にし、リザーバへの塩の添加を概ね制限するように、局所的な塩化物源すべてが電解セルを通過することが好ましい。また局所的な塩化物源は、水溶液中に既に含まれていた塩化物の残留レベルを補うこともできる。
【0016】
局所的な塩化物源は、濃縮食塩水溶液、電解液リザーバと流体接触する塩の錠剤、又はその両方であり得る。好ましい局所的な塩化物源は、固体又は粉末材料である。局所的な塩化物源を送達する手段は、好ましくは丸剤又は錠剤の塩化物を含む塩室を含むことができ、その中を水溶液の一部が通過し、塩化物の一部を溶解させて供給水溶液を形成する。塩室は、電解セルを保持する装置の本体内に形成された塩の空隙を含むことができ、これは電解セルを通過する水溶液の一部と流体連通するように配置されている。
【0017】
供給水溶液の形成には、井戸水、水道水、軟水、産業処理水、及び廃水を含む、いかなる水源を使用することもできる。ただし、本発明の多くの用途では、本質的に自然に存在する塩化物イオンしか存在しない流出液を形成するには、川の水又は井戸水のような処理されていない水が最も好ましい。これらの種類の自然の水は、塩化ナトリウムを含む、十分な量の塩を含有しているので、かなりの量の混合酸化剤が形成される。
【0018】
選択された水源に他の塩又は電解質を加えると、水の伝導度が増加し、それが生成される混合酸化剤の量を増加させる。しかしながら、伝導度が増加すると電流が増加するので、伝導度の増加が生産効率を高めることにはならないことがある。したがって、生成される混合酸化剤は増加するが、消費される電力も増加する。好適な混合酸化剤の生産性方程式は、式Iで表される。
η=(CMO×Q)/(I×V) (I)
式中、
ηの単位は、1分当りの、使用される電力1ワット当りの混合酸化剤量(マイクログラム)であり、
CMOは、1リットル当りに生成された混合酸化剤の濃度(mg/l)であり、
Iは、電流(アンペア)であり、
Qは、1分当りの体積流量(ml/m)であり、
Vは、セルを横切る電位(ボルト)である。
【0019】
塩化ナトリウムを含有する供給水溶液は、バッチ貯蔵式容器から電解セルに送り込むことができる。あるいは、塩化ナトリウムの濃縮水溶液を第二水源と混合すること、及び続けてその混合物を連続的に電解セルに通過させることによって、供給溶液を連続的に調製することができる。任意選択的に、供給水溶液の一部分は、電解セルからの流出液の再循環部分を含むこともできる。また供給水溶液は、前述の供給源のいずれかの組み合わせを含むこともできる。供給水溶液を、電解セル内に連続的又は周期的に流すことができる。
【0020】
(電解セル)
電解セルは、セル室を通過する供給水溶液に電流を流すことによって、塩化物イオンから混合酸化剤を発生させる。障壁不使用電解セルは、少なくとも一対の電極、すなわちアノードとカソードとを含む。またセルは、供給水溶液がそれを通過するセル室を具備し、アノードに隣接した経路を含む。経路には、変換反応が起こる、アノードに隣接した狭い表層が含まれる。できる限り多量の流出水溶液を、経路及びその狭いアノード表面領域に通過させることが好ましい。
【0021】
本発明の一実施形態では、セルは、アノードならびに対向する(及び好ましくは同一の広がりをもつ)カソードを含んでおり、これらは電極対の対向表面によって画定される形状のセル室によって隔てられている。セル室は、対向する2つの電極間の垂直間隔であるセル間隙を有する。通常、セル間隙は電極の対向表面全体にわたってほぼ一定である。セル間隙は、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下である。
【0022】
また電解セルは、2つ以上のアノード又は2つ以上のカソードを含むこともできる。アノード板及びカソード板は、アノードがセル室を間において各面でカソードと対向するように、交互に配置される。複数のアノード及びカソードを含むことのできる電解セルの例が、1996年7月9日発行のアンドウ(Ando)らによる米国特許公報(特許文献3参照)、及び1977年12月13日発行のエイブル(Eibl)による米国特許公報(特許文献4参照)に開示されており、これらを本明細書に引用して援用する。
【0023】
一般に、電解セルは、各セル室と流体連通する1つ以上の入口開口部、及びセル室と流体連通する1つ以上の出口開口部を有する。また入口開口部は供給水溶液源とも流体連通していて、供給水溶液が電解セルの入口から流入してセル室を通り、出口から流出することができる。廃溶液(電解セルから流出する電気分解された供給水溶液)には、溶液を通る電流の流れに応じてセル経路内で変換された、ある量の混合酸化剤が含まれる。廃溶液は、例えば、物品を消毒するために、又は他の体積の水もしくは水溶液を処理するために、混合酸化剤源として使用することができる。供給溶液が、微生物、又は形成される混合酸化剤溶液によって原位置で(in situ)酸化され得る他の何らかの酸化可能な供給源材料を含んでいる場合、流出液自体を処理済み溶液にすることができる。
【0024】
また本発明は、混合酸化剤発生システムを提供し、このシステムは、
a)ハロゲン化物塩を含む供給水溶液源と、
b)セル室を有し、アノードとカソードとを具備する膜不使用電解セルであって、セル室がアノードに隣接した経路を有し、入口及び出口がセル室と流体連通している膜不使用電解セルと、
c)供給水溶液をセル室内に流入させ、経路に沿って通過させて、出口から流出させる手段と、
d)セル室内の水溶液に電流を流し、経路内のハロゲン化物塩の一部を混合酸化剤に変換して、混合酸化剤を含む流出水液を形成する電流供給源と
を含む。
【0025】
図1及び図2は、本発明の電解セル10の一実施形態を示す。セルは、アノード電極21及びカソード電極22を含む。電極は、電極スペーサ31を有する一対の対向する非導電性電極ホルダ30によって互いに固定距離をあけて保持されており、スペーサ31が、アノード及びカソードの対向する長手方向縁部を間隔をあけて配置して、間隙を有するセル室23を形成している。セル室23は、供給水溶液がそこを通ってセル内に流入できるセル入口25、及び流出液がそこを通って電解セルから流出できる反対側のセル出口26を有する。アノード及びカソード組立体、ならびに対向する板ホルダは、非導電性・耐水性の接着剤、ボルト、又は他の手段を含むことのできる固定手段(図示せず)によって、非導電性アノードカバー33(一部を切り取って示す)とカソードカバー34との間で1つにまとめて堅固に保持されていて、2つの電極の露出を室23内を流れる電解液だけに制限している。アノードリード27及びカソードリード28は、電極ホルダ30内に作られたチャネルを通り、側面に沿って密封可能に延びている。
【0026】
図2は、セル室23、及びアノード21表面に沿った経路24を示す。経路24は、セル室23の一部分であり、図では境界29によって示されているが、これはアノード21と隣接していることを示すためのものにすぎず、セル室に対する相対的な割合又は尺度を示すものではない。
【0027】
本発明の電解セルの他の実施形態を図3に示す。この電解セルは、アノード出口35を有する。アノード出口は、アノード21に隣接した経路24内を流れる電気分解された供給溶液の一部を、アノード流出液として取り出す。残りのセル流出液は、セル出口26から流出するが、以後これらをそれぞれカソード流出液及びカソード出口とも呼ぶ。アノードに隣接して流れる電気分解された溶液の一部をアノード出口を通じて取り出す同様の電解セルは、1994年5月31日発行のベイカー(Baker)らによる米国特許公報(特許文献5参照)、1996年7月9日発行のアンドウ(Ando)らによる米国特許公報(特許文献3参照)、及び1999年1月12日発行のオーツカ(Otsuka)らによる米国特許公報(特許文献6参照)に記載されている。特に好ましいのは、米国特許公報(特許文献7参照)の図3に示される電解セルであり、これは、出口に隣接してアノードとカソードとの間に配置された物理障壁(要素16)を使用していて、アノード出口を通じて取り出される前にアノードに隣接した溶液がカソードに隣接した溶液と混合されるのを最小限に抑えるか又はなくすことができる。好ましくは、低レベルの混合酸化剤生成物を含む又は混合酸化剤生成物を含まないカソード流出液を、供給水溶液に戻し、その中に混合する。
【0028】
電極は、一般に、それ自体と他の電極との間の供給水溶液を通る電気を効果的に導くことができるいずれの形状にもすることができ、平面状電極、環状電極、バネ型電極、及び多孔質電極が挙げられるが、これらに限定されない。アノード及びカソード電極は、図2に示すように、カソード及びアノードの電極対間にほぼ均一な間隙を与えるように、形状設定し配置することができる。一方、アノード及びカソードを、異なる形状、異なる寸法にすることもでき、互いに不均等な間隔をあけて配置することもできる。アノードとカソードとの間の重要な関係とは、アノードに隣接したセル経路内でのハロゲン化塩の混合酸化物への変換を促進するように、アノードに適切な電圧で十分な電流を通すことに関する。
【0029】
図2に示すような平面状電極は、溶液の流路に沿った長さと、流路を横断して配向する幅とを有する。平面状電極のアスペクト比は、長さと幅の比で定義され、一般に0.2〜10、より好ましくは0.1〜6、最も好ましくは2〜4である。
【0030】
アノードとカソードの両方の電極は、通常は金属の導電性材料であるが、炭素のような非金属の導電性材料も使用することができる。アノード及びカソードの材料は、同一にすることもできるが、有利には異なるものにすることができる。腐食を最小限に抑えるために、好ましくは耐薬品性金属が使用される。好適な電極の例が、米国特許公報(特許文献8及び特許文献9参照)に開示されている。好ましいアノード金属は、ステンレス鋼、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウムと同様に、鉄、ニッケル、クロム、ならびにこれらの合金及び金属酸化物である。より好ましいのは、チタン、タンタル、アルミニウム、ジルコニウム、タングステン、又はこれらの合金のようなα金属製(a metals)の電極であり、これらは好ましくは白金、イリジウム、及びルテニウムから選択されるVIII族金属、ならびにこれらの酸化物及び合金でコーティング又は層形成される。好ましいアノードの1つは、チタン芯で作られ、ルテニウム、酸化ルテニウム、イリジウム、酸化イリジウム、及びこれらの混合物でコーティング又は層形成されており、厚さが少なくとも0.1ミクロン、好ましくは少なくとも0.3ミクロンである。
【0031】
多くの用途に、厚さ約0.03mm〜約0.3mmの金属箔を使用することができる。箔電極は、適切な電気分解作用に干渉し得る、経路内の液体の流れに応じた撓み又は曲げを生じないよう、セル内で安定させるべきである。箔電極の使用は、装置のコストを最小限に抑えなければならないとき、又は電気分解装置の寿命が短い(一般には約一年以下)と予想又は意図されているときに特に有利である。箔電極は、前述のいずれかの金属から作製することができ、好ましくは、タンタル、ステンレス鋼、及び他のもののような、あまり高価でない導電性の卑金属に積層体として取り付けられる。
【0032】
本発明の特に好ましいアノード電極は、多孔質又は流通式アノードである。多孔質アノードは、大量の供給水溶液を通過させるのに十分に大きい表面積及び大きい孔容積を有する。多孔質アノード内の複数の孔及び流通チャネルは、供給水溶液が通過できる複数の経路を提供する、大幅に増加した表面積を提供する。本発明で有用な多孔質媒体は、アストロ金属社(Astro Met Inc.)(オハイオ州シンシナティ)、ポールベア社(Porvair Inc.)(ノースカロライナ州ヘンダーソン)、又はモット・メタラージカル社(Mott Metallurgical)(コネチカット州ファーミントン)から市販されている。あるいは、米国特許公報(特許文献10及び特許文献11参照)が、多孔質媒体処理の好適な例を示している。好ましくは、多孔質アノードの表面積(平方センチメートル)と全体積(立方センチメートル)との比が、約5cm-1より大きく、より好ましくは約10cm-1より大きく、さらに好ましくは約50cm-1より大きく、最も好ましくは約200cm-1より大きい。好ましくは、多孔質アノードの孔隙率が、少なくとも約10%、より好ましくは約30%〜約98%、最も好ましくは約40%〜約70%である。好ましくは、アノードを通る溶液の流量、及び溶液中に含まれる塩化物の混合酸化剤生成物への変換を最適化するために、多孔質アノードが、アノードの全体積にわたる高い表面積と電気伝導度との組み合わせを有する。
【0033】
多孔質アノードを通る供給水溶液の流路は、溶液のアノード表面への曝露時間の観点から、塩化物を混合酸化剤に変換するのに十分なものにするべきである。流路は、アノードを通る電気の流れに平行に(電気の流れと同方向もしくは逆方向のいずれか)、又は電気の流れを横断する方向に、供給溶液を通過させるように選択することができる。多孔質アノードによって、供給水溶液のより多くの部分をアノード表面に隣接した経路に通過させることができ、その結果、ハロゲンを含有する混合酸化剤生成物に変換できるハロゲン塩の割合が増加する。
【0034】
図4は、多孔質アノード21を含む電解セルを示す。多孔質アノードは、供給水溶液がそこからアノード表面に隣接して多孔質電極内を通過できる、多数の毛管様流体経路24を有する。図4の電解セルでは、供給水溶液は、アノードとカソードとの間の電気の流れに平行な方向に流れる。
【0035】
多孔質アノードを有する電解セルの他の実施形態を図5に示す。この実施形態では、供給水溶液の流れは、アノードとカソードとの間の電気の流れを横断する方向である。一般に多孔質アノードを通る流体経路が小さい(0.2mm未満)ので、ある単位の溶液が多孔質アノードを通って流れるには、同じ量が開放セル室を通って流れるよりも大幅に高い圧力が必要になる。したがって、供給水溶液が多孔質アノードと開放室とを有する電解セル内に導かれる場合、溶液が優先的に開放セル室を通って流れるので、一般に、多孔質アノードを通りその表面を横切って流れる溶液の量が大幅に減少する。
【0036】
供給水溶液が多孔質アノードをバイパスし得るという前述の問題に対処するために、図6に示すように、好ましくはセル室は、カソード22と多孔質アノード21との間のセル室24の体積内に非導電性で多孔質の流体障壁40を設けられる。多孔質障壁40は、アノードとカソードとの間で室材料を介して電気が短絡するのを防ぐために非導電性である。供給水溶液がセル室を通って流れると、多孔質障壁によって溶液の圧力損失が生じる。多孔質障壁は、水を吸収又は保持しないようにすべきであり、混合酸化剤生成物を含め、水溶液及びその中の化学成分と反応しないようにすべきである。多孔質障壁40は、これらだけに限るものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリオレフィンのようなプラスチック類、ガラス又は他のシリカ質材料、ならびにシリコンから選択される、非導電性の材料製にすることができる。多孔質障壁は、同一のサイズ又は異なるサイズの、球形、楕円形、及び他の形状の複数の物体を含むことができ、これらを室の中に緩やかに詰め込むか、又は室内で物品の一体型マトリックスにすることができる。図6は、多孔質障壁40を様々な直径の球形物体のマトリックスとして示す。また多孔質障壁40は、1つ以上のバッフルにすることもでき、これらがセル室24を通る溶液の流れを実質的に制限する。図7に示すように、このようなバッフルは、溶液の流れを制限する開孔をその中に有する、一連の垂直障壁を含むことができる。非導電性の多孔質障壁を通る供給水溶液の流れが制限されると、セル室内を通過できる供給水溶液の割合が大幅に減少し、その結果多孔質アノード21内の経路23内で変換されるハロゲン化物塩の割合が増加する。
【0037】
多孔質アノード及び多孔質障壁40を含むセル室24を通って流れる溶液は、互いに混ざり合い、いくらか前後に流れることができるが、セルの出口端部26の異なる領域から流出する流出液は、溶液組成が実質的に異なる。多孔質アノードから流出する流出液38は、カソードに隣接したセル室から流出する流出液39よりも、顕著にpHが低く、ハロゲン生成物の生成量が多い。多孔質アノードを流出する流出液38は、図8に示すように障壁37を設置することによって、流出液39と隔てて、セルから取り出すことができる。
【0038】
本発明の他の実施形態は、開放室を有する電解セルを使用する。開放室式の電解セルは、本発明を、プール、浴槽、温泉、タンク、及び他の水の開放体を含めた供給水溶液のリザーバにおいて実施する際に特に有用である。供給水溶液は、セルに流入して、様々な方向からアノードに到達することができる。供給水溶液中のハロゲン化物塩は、前記したように、リザーバ溶液に含有させること、又は局所的なハロゲン化物塩源としてリザーバ溶液内に局所的に送達することができる。開放室式の電解セルの例としては、ダールグレン(Dahlgren)による米国特許公報(特許文献12参照)、ジャッド(Judd)による米国特許公報(特許文献13参照)、シャーマン(Sherman)による米国特許公報(特許文献14及び特許文献15参照)に記載のものが挙げられる。
【0039】
混合酸化剤を発生する代替的なシステムは、供給水溶液が入ったバッチ容器を含む。再循環ポンプが、容器から電解セル内を通して供給溶液を循環させ、流出液を排出させてバッチ容器に戻す。やがて、溶液中の未反応の塩化物濃度が本質的にゼロまで低下し、供給水溶液中に充填した塩化ナトリウムがほぼ完全に混合酸化剤生成物に変換される。わずかに異なるシステムでは、電解セルを、バッチ容器内に配置して、塩化ナトリウムを含む水溶液に沈めることができる。容器内のポンプ又は混合装置が、溶液を電解セルに通過させ、混合酸化剤への塩化ナトリウムの標的変換が達成されるまで溶液を再循環させる。
【0040】
また電解セルは、ある体積の供給水溶液を電気分解するバッチ型セルを含むこともできる。バッチ型セルは、一対の電極を有するバッチ室を含む。バッチ室は、ナトリウム塩化物を含む供給水溶液で満たされており、次いでそれを電気分解して、混合酸化剤を含有する流出液のバッチを形成する。電極は、好ましくは、外側の環状アノードと同心の内側カソードとを含む。本発明によるナトリウム塩化物供給源と共に使用するのに好適なバッチセルの一例が、2000年11月30日公開の国際公開特許(特許文献16参照)に開示されており、これを参照によりここに援用する。
【0041】
(電流供給源)
電流供給源は、アノードを横切って通過する供給水溶液の経路を横切って電極間を流れる電流の流れを提供する。多くの用途では、好ましい電流供給源は、一般的な100〜230ボルトのAC電流をDC電流に変換する家庭用(又は産業用)の電流整流器である。
【0042】
携帯型又は小型の個人用システムに関わる用途では、好ましい電流供給源は、電池又は一式の電池であり、好ましくは、アルカリ、リチウム、酸化銀、酸化マンガン、又は炭素亜鉛電池から選択される。電池は、公称電位1.5ボルト、3ボルト、4.5ボルト、6ボルト、又は電気分解装置の電力要件を満足する他のいずれかの電圧を有するものにすることができる。最も好ましいのは、1.5Vの電位を有する、「AA」サイズ、「AAA」サイズ、「C」サイズ、及び「Dサイズ」電池のような、一般的な種類の電池である。2つ以上の電池を、直列に(電位を加算するため)、又は並列に(電流容量を加算するため)、又はその両方で(電位及び電流の両方を増加させるため)配線することができる。また、再充電可能な電池及び機械式巻バネ装置も、有利に使用することができる。
【0043】
他の代替例は、太陽エネルギーを電力に変換(及び貯蔵)できる太陽電池である。太陽電池式光起電性パネルは、電解セルの電力要件が、1.5〜9ボルトの電位差に2000ミリアンペア未満の電流を誘導するようなものであるときに、有利に使用することができる。他の多くの既知の電源を本発明の実施の際に使用してもよく、手動クランク式発電システム及び水圧/流体タービンシステムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
一実施形態では、電解セルは、1つ以上の電池の陽極リードに接続されたアノード、及び陰極リードに接続されたカソードを有する、単一対の電極を含むことができる。一連の2つ以上の電極又は2つ以上のセル(電極対のそれぞれ)を、電流源に配線することができる。各セルアノードを陽極端子に、各セルカソードを陰極端子に接続することによってセルを並列に配置すると、各セルをまたぐ電位(電圧)が同一になり、総電流が2つ以上の電極対の間で(均等又は不均等に)分けられる。2つのセル(例えば)を、第一セルアノードを陽極端子に、第一セルカソードを第二セルアノードに、及び第二セルカソードを陰極端子に接続することによって直列に配置すると、各セルをまたぐ電流が同一になり、総電位が2つのセルの間で(均等又は不均等に)分けられる。
【0045】
電流供給源は、さらに、長期にわたって高いレベルの電気効率を維持するために、1つ以上の電池の出力極性を周期的に反転させる回路を含むことができる。極性を反転させると、電極表面上へのスケールの堆積及び帯電化学種のメッキ形成が最小限に抑えられるか、又は妨げられる。極性の反転は、対向するアノード及びカソード電極を使用するときに特にうまく作用する。
【0046】
(電気分解の流出液)
ほとんどの用途では、塩化物が既に含まれている溶液を電気分解装置に通過させると、汚染された溶液中の微生物が死滅する。他の用途では、変換された混合酸化剤を含有する排出された流出液を電解セルから取り出し、例えば、消毒水溶液として使用する。流出液は、混合酸化剤によって酸化される酸化可能源に直接送達することによって、形成時に使用することができる。酸化可能源は、流出溶液と混合又は接触させると死滅する微生物を含む、水又は他の水溶液の第二供給源にすることができる。また、供給水溶液内に含まれる微生物も死滅する。
【0047】
(不純物の除去)
水の不純物は、多くの形態を取る。ある場合には、それは微生物の性質であり、ウイルス性、バクテリア性、菌性、寄生性、又は他の生物の形態のことがある。これらの不純物の一部又はすべての除去を、電解層の前又は後のフィルタによって支援してもよい。特に関心事であるのは、クリプトスポリジウム(cryptosporidium)のような嚢胞有機体の99.95%の除去であり、これは、フィルタの有効濾過サイズが嚢胞のサイズ未満である場合に(例えば、3ミクロンを越える微粒子を除去できるフィルタ)、汚染された水から除去される。
【0048】
不純物はまた、微生物でないこともある。これらの不純物の一部も、サイズごとにフィルタを介して除去可能なことがある。ある場合には、水中の汚染が有機又は無機的な性質のこともある。また、フィルタが、有機又は無機の汚染物質の一部又はすべてを除去することが望ましい。他の場合には、有機又は無機種の形態をさらに容易に濾過を介して除去されるよう変換することが望まれることもある。例えば、砒素(As)は、2つの酸化レベル(As(III)及びAs(V))の一方で存在することある。一般に、As(III)形態の方が毒性が強いと考えられているが、両方の酸化レベルが健康に悪影響を及ぼす。水中で見られることのあるAsの酸化状態は、その発生源によって異なる。地表水は、普通、空気酸化のために、地下水よりもAs(V)の割合が多い。無機のAs(III)(亜ヒ酸塩)及びAs(V)(ヒ酸塩)の構造、ならびにそれらの対応する酸の解離定数を以下に示す。
【0049】
【化1】
飲用水のpHでは、As(V)が一価又は二価の陰イオンとして存在し、As(III)が中性の分子として存在することに留意する。これは、As(V)は陰イオン交換樹脂によって容易に水から除去されるが、As(III)は容易に除去されないことを示唆している。したがって、As(III)を酸化させて容易にAs(V)にすることができれば、イオン交換がAsを除去するための優れた処置の選択肢を表すことになる。典型的な強塩基イオン交換樹脂では、水中に見られることのある陰イオンの除去選択性は次の順序になる(最も容易なものから最も困難なものへ):硫酸塩>ヒ酸塩>硝酸塩>亜ヒ酸塩>塩化物>重炭酸塩。
【0050】
状況によっては、電解セルに入れる電解液に対する前処理として、フィルタの一部分又は全体をイオン交換樹脂から構成してもよい。イオン交換樹脂で特に関心事であるのは、例えば塩化物の形態の陰イオン交換樹脂を用いて、電気分解の前に電解液中のハロゲン化物イオンの濃度を増加させる流出液を産出することである。陽イオン交換樹脂を用いると、電解セル中のカルシウム及びマグネシウムのようなスケール形成イオンの濃度を最小限に抑え、それによってアノード及びカソードの洗浄の必要を最小限に抑えることができる。
【実施例1】
【0051】
図9は、流体セル100の非限定的な代表的実施形態を示す。流体セル100は、入口110及び出口120を含んでよい。従来の家庭用電池によって供給される電流及び電圧を使用できる、低電力(好ましくは携帯型)電気分解流体セルを使用してもよい。電解セルは、アノード表面積が約0.1cm2〜約60cm2を有する様々なサイズにすることができる。本発明の特に好ましい一実施形態は、アノード表面積が約1cm2〜約20cm2、より好ましくは約3cm2〜約10cm2の電解セルを含む。電気駆動式モータ付きポンプは、流体セルの構成を介して、溶液を電解セルに送り込むことができる。このようなポンプユニットは、通常、約100〜約300cc/分の流量で溶液を流す。
【0052】
図10は、セル100を含む再循環セル200の非限定的な代表的実施形態を示す。再循環セル200は、水溶液リザーバ204を含んでよい。リザーバ204には、ハロゲン塩を含む供給水溶液を入れてよい。出口120から流出する溶液をリザーバ204内に導き、供給水溶液と混合して、所望の電気分解された種を増やしていくことができる。これら両方の溶液を混合した後、入口110内に導く。両方の溶液は、ポンプ206が挙げられるがこれに限定されない、同様の物質を移動させる現在既知のいずれかの方法によって移動させてもよい。任意選択的に、リザーバ204は、利用できるように追加の供給水溶液及び流出する電気分解された溶液を誘導することができる、入口210及び出口220を含んでもよい。
【0053】
図11は、流体セル100の非限定的な代表的実施形態を示す。流体セル100は、前置フィルタ装置300を含んでよい。前置フィルタ装置300は、沈降物、微粒子、不溶性物質、大きな有機体(例えば、嚢胞)を含むが挙げられるが、これらに限定されない様々な望ましくない構成成分を、供給水溶液から濾過除去するために使用してよい。フィルタ機構300は、所望の利益を達成するために様々な材料から構築してよく、粒状活性炭フィルタ、粒状活性炭ブロック、活性炭繊維類、珪藻土ガラス繊維類、濾紙、イオン交換樹脂類、サイズ排除物質類、帯電変性物質類(その例が国際公開特許(特許文献17参照))に示されており、これを参考のためにここに示す)、ゼオライト類、活性アルミナ、シリカゲル、硫酸カルシウム、フラー土、及び活性ボーキサイトが挙げられるが、これらに限定されない。飲用水に関わる用途には、ANSI/NSF標準53を満足するために、少なくとも3ミクロン以上のサイズを有する微粒子の99.95%を電解液から除去することがさらに望ましい場合がある。
【0054】
図12は、再循環セル200の非限定的な代表的実施形態を示しており、これは図10に示すものと同様であるが、図11に示すものと同様のフィルタ機構も含んでいる。
【0055】
図13は、流体セル100の非限定的な代表的実施形態を示す。流体セル100は、オン−オフ・センサ400を含んでよい。オン−オフ・センサ400を使用して、流入する供給水溶液の存在を検出し、それに対応して水溶液の電気分解に必要な電力として使用される電源(図示せず)をオンにしてもよい。同様に、オン−オフ・センサによって、流入する供給水溶液がないことを検出し、それに対応して電源(図示せず)をオフにしてもよい。
【0056】
図14は、再循環セル200の非限定的な代表的実施形態を示しており、これは図10に示すものと同様であるが、図13に示すものと同様のオン−オフ・センサも含んでいる。
【0057】
図15は、イオン交換樹脂500を有する流体セルのブロック図の非限定的な代表的実施形態を示す。このイオン交換樹脂は、2つの目的を果たすことができる。第一に、セル100を通過する水の全硬度を低減させる、硬水軟化装置としての役目を果たすことができる。第二に、ハロゲン化物陰イオン交換装置としての役目を果たすことができ、陰イオン交換樹脂を使用して、陰イオンのハロゲン化物イオンを水中に自然に存在する非ハロゲンイオンに交換し、システムの効率を向上させる。水中のほとんどの陰イオンに容易に交換できるハロゲン陰イオンの例が、塩化物である。
【0058】
硬水軟化装置は、水の全硬度を低下させるように設計される。全硬度は、水の重炭酸カルシウム及び重炭酸マグネシウム含量によって化学的に測定してもよい。硬水軟化装置は、特殊な種類のイオン交換樹脂の水調整装置である。通常、陽イオン交換樹脂は、水中のカルシウム及びマグネシウムの陽イオンを、普通は一価の他の陽イオンに交換するために使用される。最も一般的な交換イオンは、ナトリウム又は水素イオンである。また、ほとんどの硬水軟化システムは、陽イオン交換樹脂床を再生する手段も含む。最も一般的な樹脂の再生方法は、食塩水フラッシュである。普通、この目的にはナトリウム塩化物が使用される。
【0059】
図16は、再循環セル200の非限定的な代表的実施形態を示しており、これは図10に示すものと同様であるが、図15に示すものと同様のイオン交換樹脂500も含んでいる。
【0060】
(実施例1)−(流体セルと水中に自然に存在する塩)
図9に示す一般的な設計の電解セルを使用して、塩素除去された水道水を処理した。電解セルは、経路間隙が約0.46mmの一対の対向電極を有する。アノードは、ES300−チタン製で、酸化ルテニウム及び酸化イリジウムでコーティングした。カソードは、201ステンレス鋼製とした。平面状電極の寸法は、長さ73.0mm、幅25.4mmとした。電極の表面積は、電極の長さに電極の幅を乗ずることによって計算した(例えば、7.30cm×2.54cm=18.54cm2)。水道水をPuR蛇口取付型フィルタ(炭素ブロックフィルタ)に通過させ、水から塩素を除去することによって、塩素除去された水を調製した。使用した水道水の電気伝導度は、150uS/cmである。水道水中の測定された塩化物イオンの量は、78ppmであった。イオン除去された水10リットルを回収した。蠕動ポンプによって、ガラス容器から電解セルを通る溶液の流量が300ml/分と計測された。電源(テンマ研究所(Tenma Laboratory)、モデル72−630A)を介し、0.43アンペアの電流で電解セルを横切る4.5ボルトの電位差を与えた。得られる電力は、電圧と電流を乗ずることによって計算した(例えば、4.5V×0.44A=1.98W)。電解セルから流出液を引き出して分析した。遊離塩素についてDPDハック(Hach)法を介して測定すると、流出液に含まれていた混合酸化剤の濃度は合計2.90ppmであった。達成された生産性指数は、式I(η=(CMO×Q)/(I×V))に記載の効率計算によって測定すると439であった。他の様々な試験条件の一覧を表Aに記載する。
【0061】
【表1】
【0062】
(実施例2)−(流体セルと塩を添加した水)
実施例1の電解セルを、調製された塩の溶液から構成される供給水溶液を用いて動作させた。ナトリウム塩化物を脱イオン水に加えた。この試験には、500mgの工業銘柄塩化ナトリウム(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company,Inc.)(53233ウィスコンシン州ミルウォーキー))を加え、溶解するまで攪拌棒で混合して、ナトリウム塩化物溶液から50ppm塩化物を形成した。供給水溶液を10リットルガラス容器内で保持した。蠕動ポンプによって、ガラス容器から電解セルを通る溶液の流量が300ml/分と計測された。電流0.22アンペアで、電解セルを横切る4.5ボルトの電位差を与えた。電解セルから流出液を引き出して分析した。流出液に含まれる酸化剤は、2.13ppmであった。生産性指数は、645と計算された。
【0063】
(実施例3)−(AA電池を備える流体セル)
実施例1に記載したものと同じ方法で、実施例1の電解セルを動作させた。ただし、電源を3つのAA電池(デュラセル(Duracell))に置き換えた。蠕動ポンプによって、ガラス容器から電解セルを通る塩素除去された水の流量が300ml/分と計測された。3つのAA電池から、電解セルを横切る4.1ボルトの電位差を与えた。電流は0.34アンペアと測定された。電解セルから流出液を引き出して分析した。流出液に含まれる酸化剤は、1.96ppmであった。生産性指数は、427と計算された。
【0064】
(実施例4)−(水中に塩が自然に存在する再循環セル)
図10の電解セルを、実施例1に一覧にしたものと同一の動作条件下で動作させた。10リットルの水の遊離酸化剤濃度は、長時間にわたって増加する。結果を以下の表Bに示す。
【0065】
【表2】
本発明は、蛇口取付型フィルタ、調理台用浄水器、シンク下用浄水器、キャンプ/バックパック用浄水器、旅行用浄水器、冷蔵庫用浄水器、ピッチャー型重力流浄水器、水浴用(bathing)浄水器、及び温泉型浄水器が挙げられるが、これらに限定されない多数の用途において正しく評価され得る。
【0066】
本発明の様々な利点は、前述の明細書及び次の特許請求の範囲を検討すれば当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明の様々な利点は、本明細書を検討し図面を参照すれば当業者には明らかになる。
【図1】本発明の実施の際に使用される電解セルを示す。
【図2】図1の電解セルの線2−2を通る断面図である。
【図3】本発明の実施の際に使用される代替的な電解セルの断面図である。
【図4】多孔質アノードを有するもう1つの電解セルの断面図である。
【図5】多孔質アノードを有するさらにもう1つの電解セルの断面図である。
【図6】多孔質アノード及び多孔質流体障壁を有するもう1つの電解セルの断面図である。
【図7】多孔質アノード及び多孔質流体障壁を有するさらにもう1つの電解セルの断面図である。
【図8】多孔質アノード及び多孔質流体障壁を有するさらにもう1つの電解セルの断面図である。
【図9】流体セルの構成のブロック図である。
【図10】再循環セルの構成のブロック図である。
【図11】フィルタ機構を有する流体セルのブロック図である。
【図12】フィルタ機構を有する再循環セルのブロック図である。
【図13】オフ/オン・センサを有する流体セルのブロック図である。
【図14】オフ/オン・センサを有する再循環セルのブロック図である。
【図15】イオン交換樹脂を有する流体セルのブロック図である。
【図16】イオン交換樹脂を有する再循環セルのブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液を電気分解するための装置であって、該装置が、
(a)障壁不使用電解槽であり、
(i)アノードと、
(ii)カソード(前記アノードと前記カソードとは、その間に経路を画定する)と、
(iii)前記経路と連通する入口ポート(前記入口ポートは電解液の流れを受けるために使用される)と、
(iv)前記経路と連通する出口ポート(前記出口ポートは電気分解された電解液の流れのための流出口を提供する)と
を具備する障壁不使用電解槽と、
(b)前記アノードから前記カソードへの電流を提供する電流供給源であり、約5ワット未満の電力を供給し、電流が電解液の流れを電気分解する電流供給源と
を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置がさらに本体を具備し、該本体が前記電解槽及び前記電流供給源を格納することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置がさらに、電解液を前記入口ポートに流入させ前記出口ポートから流出させる流体移動機構を具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記流体移動機構が、電解液の電気分解を繰り返すために前記出口ポートから流出した電解液を前記入口ポート内に再循環させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置がさらに不純物を除去するフィルタを具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記フィルタが前記電解槽の前に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタが、電解液から少なくとも3ミクロン以上のサイズを有する微粒子の99.95%を除去するように適合されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタが有機種を除去することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が有機種を前記フィルタで除去可能な形態に変換することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記フィルタが無機種を除去することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が無機種の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記フィルタが砒素を除去するように適合されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が砒素の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記フィルタが一部分又は全体を樹脂で構築されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項17】
前記フィルタが一部分又は全体を炭素で構築されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項18】
前記装置がさらに、電気分解前の電解液に対する前処理としてイオン交換樹脂を具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記イオン交換樹脂が、電解液のハロゲン含有イオン濃度を増加するように適合されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記イオン交換樹脂が、電解液からスケール形成イオン濃度を減少するように適合されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記イオン交換樹脂が硬水軟化装置であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記装置がさらに、水が存在すると電解プロセス開始を誘発し、また水がなくなると電解プロセス停止を誘発することができる水存在検知センサを具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記水存在検知センサが電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記電流供給源が、電池、AC/DC変換器、太陽電池、手動クランク式発電システム、水圧/タービンエネルギーシステム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記アノードが箔電極であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記アノードがVIII族金属を具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
アノードが多孔質アノードであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項28】
多孔質アノードが多孔質金属アノードであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記装置が、次の用途、蛇口取付型フィルタ、調理台用浄水器、シンク下用浄水器、キャンプ/バックパック用浄水器、旅行用浄水器、冷蔵庫用浄水器、ピッチャー型重力流浄水器、水浴用(bathing)浄水器、及び温泉型浄水器の1つ以上として使用するように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記装置が不純物を除去するように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記装置が微生物を死滅させるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
電解液を電気分解するための装置であって、該装置が、
(a)障壁不使用電解槽であり、
(i)表面積が約30平方cm未満のアノードと、
(ii)カソード(前記アノードと該カソードとは、その間に経路を画定する)と、
(iii)前記経路と連通する入口ポート(前記入口ポートは電解液の流れを受けるために使用される)と、
(iv)前記経路と連通する出口ポート(前記出口ポートは電気分解された電解液の流れのための流出口を提供する)と
を具備する障壁不使用電解槽と、
(b)前記アノードから前記カソードへの電流を提供する電流供給源であり、約5ワット未満の電力を供給し、電流が電解液の流れを電気分解する電流供給源と
を具えることを特徴とする装置。
【請求項33】
前記装置がさらに本体を具備し、該本体が前記電解槽及び前記電流供給源を格納することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記装置がさらに、電解液を前記入口ポートに流入させ前記出口ポートから流出させる流体移動機構を具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記流体移動機構が、電解液の電気分解を繰り返すために前記出口ポートから流出した電解液を前記入口ポート内に再循環させることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記装置がさらに不純物を除去するフィルタを具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記フィルタが前記電解槽の前に配置されていることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記フィルタが、電解液から少なくとも3ミクロン以上のサイズを有する微粒子の99.95%を除去するように適合されていることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項40】
前記フィルタが有機種を除去することを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項41】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が有機種を前記フィルタで除去可能な形態に変換することを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記フィルタが無機種を除去することを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項43】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が無機種の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記フィルタが砒素を除去するように適合されていることを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項45】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が砒素の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項46】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項47】
前記フィルタが一部分又は全体を樹脂で構築されることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項48】
前記フィルタが一部分又は全体を炭素で構築されることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項49】
前記装置がさらに、電気分解前の電解液に対する前処理としてイオン交換樹脂を具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項50】
前記イオン交換樹脂が、電解液のハロゲン含有イオン濃度を増加するように適合されていることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記イオン交換樹脂が、電解液からスケール形成イオン濃度を減少するように適合されていることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項52】
前記イオン交換樹脂が硬水軟化装置であることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項53】
前記装置がさらに、水が存在すると電解プロセス開始を誘発し、また水がなくなると電解プロセス停止を誘発することができる水存在検知センサを具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項54】
前記水存在検知センサが電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記電流供給源が、電池、AC/DC変換器、太陽電池、手動クランク式発電システム、水圧/タービンエネルギーシステム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項56】
前記アノードが箔電極であることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項57】
前記アノードがVIII族金属を具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項58】
アノードが多孔質アノードであることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項59】
多孔質アノードが多孔質金属アノードであることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項60】
前記装置が、次の用途、蛇口取付型フィルタ、調理台用浄水器、シンク下用浄水器、キャンプ/バックパック用浄水器、旅行用浄水器、冷蔵庫用浄水器、ピッチャー型重力流浄水器、水浴用浄水器、及び温泉型浄水器の1つ以上として使用するように適合されていることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項61】
前記装置が不純物を除去するように適合されていることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項62】
前記装置が微生物を死滅させるように適合されていることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項63】
電解液を電気分解するための装置であって、該装置が、
(a)障壁不使用電解槽であり、
(i)アノードと、
(ii)カソード(前記アノードと前記カソードがその間に経路を画定し、前記経路が前記アノードと前記カソードとの間に約0.6mm未満の距離を有する)と、
(iii)前記経路と連通する入口ポート(前記入口ポートは電解液の流れを受けるために使用される)と、
(iv)前記経路と連通する出口ポート(前記出口ポートは電気分解された電解液の流れのための流出口を提供する)と
を具備する障壁不使用電解槽と、
(b)前記アノードから前記カソードへの電流を提供する電流供給源であり、約5ワット未満の電力を供給し、電流が電解液の流れを電気分解する電流供給源と
を具えることを特徴とする装置。
【請求項64】
前記装置がさらに本体を具備し、該本体が前記電解槽及び前記電流供給源を格納することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記装置がさらに、電解液を前記入口ポートに流入させ前記出口ポートから流出させる流体移動機構を具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項66】
前記流体移動機構が、電解液の電気分解を繰り返すために前記出口ポートから流出した電解液を前記入口ポート内に再循環させることを特徴とする請求項65に記載の装置。
【請求項67】
前記装置がさらに不純物を除去するフィルタを具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項68】
前記フィルタが前記電解槽の前に配置されていることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項70】
前記フィルタが、電解液から少なくとも3ミクロン以上のサイズを有する微粒子の99.95%を除去するように適合されていることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項71】
前記フィルタが有機種を除去することを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項72】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が有機種を前記フィルタで除去可能な形態に変換することを特徴とする請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記フィルタが無機種を除去することを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項74】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が無機種の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項75】
前記フィルタが砒素を除去するように適合されていることを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項76】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が砒素の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項77】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項78】
前記フィルタが一部分又は全体を樹脂で構築されることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項79】
前記フィルタが一部分又は全体を炭素で構築されることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項80】
前記装置がさらに、電気分解前の電解液に対する前処理としてイオン交換樹脂を具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項81】
前記イオン交換樹脂が、電解液のハロゲン含有イオン濃度を増加するように適合されていることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記イオン交換樹脂が、電解液からスケール形成イオン濃度を減少するように適合されていることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項83】
前記イオン交換樹脂が硬水軟化装置であることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項84】
前記装置がさらに、水が存在すると電解プロセス開始を誘発し、また水がなくなると電解プロセス停止を誘発することができる水存在検知センサを具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項85】
前記水存在検知センサが電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項84に記載の装置。
【請求項86】
前記電流供給源が、電池、AC/DC変換器、太陽電池、手動クランク式発電システム、水圧/タービンエネルギーシステム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項87】
前記アノードが箔電極であることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項88】
前記アノードがVIII族金属を具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項89】
アノードが多孔質アノードであることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項90】
多孔質アノードが多孔質金属アノードであることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項91】
前記装置が、次の用途、蛇口取付型フィルタ、調理台用浄水器、シンク下用浄水器、キャンプ/バックパック用浄水器、旅行用浄水器、冷蔵庫用浄水器、ピッチャー型重力流浄水器、水浴用浄水器、及び温泉型浄水器の1つ以上として使用するように適合されていることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項92】
前記装置が不純物を除去するように適合されていることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項93】
前記装置が微生物を死滅させるように適合されていることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項1】
電解液を電気分解するための装置であって、該装置が、
(a)障壁不使用電解槽であり、
(i)アノードと、
(ii)カソード(前記アノードと前記カソードとは、その間に経路を画定する)と、
(iii)前記経路と連通する入口ポート(前記入口ポートは電解液の流れを受けるために使用される)と、
(iv)前記経路と連通する出口ポート(前記出口ポートは電気分解された電解液の流れのための流出口を提供する)と
を具備する障壁不使用電解槽と、
(b)前記アノードから前記カソードへの電流を提供する電流供給源であり、約5ワット未満の電力を供給し、電流が電解液の流れを電気分解する電流供給源と
を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置がさらに本体を具備し、該本体が前記電解槽及び前記電流供給源を格納することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置がさらに、電解液を前記入口ポートに流入させ前記出口ポートから流出させる流体移動機構を具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記流体移動機構が、電解液の電気分解を繰り返すために前記出口ポートから流出した電解液を前記入口ポート内に再循環させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置がさらに不純物を除去するフィルタを具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記フィルタが前記電解槽の前に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタが、電解液から少なくとも3ミクロン以上のサイズを有する微粒子の99.95%を除去するように適合されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタが有機種を除去することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が有機種を前記フィルタで除去可能な形態に変換することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記フィルタが無機種を除去することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が無機種の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記フィルタが砒素を除去するように適合されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が砒素の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記フィルタが一部分又は全体を樹脂で構築されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項17】
前記フィルタが一部分又は全体を炭素で構築されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項18】
前記装置がさらに、電気分解前の電解液に対する前処理としてイオン交換樹脂を具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記イオン交換樹脂が、電解液のハロゲン含有イオン濃度を増加するように適合されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記イオン交換樹脂が、電解液からスケール形成イオン濃度を減少するように適合されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記イオン交換樹脂が硬水軟化装置であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記装置がさらに、水が存在すると電解プロセス開始を誘発し、また水がなくなると電解プロセス停止を誘発することができる水存在検知センサを具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記水存在検知センサが電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記電流供給源が、電池、AC/DC変換器、太陽電池、手動クランク式発電システム、水圧/タービンエネルギーシステム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記アノードが箔電極であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記アノードがVIII族金属を具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
アノードが多孔質アノードであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項28】
多孔質アノードが多孔質金属アノードであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記装置が、次の用途、蛇口取付型フィルタ、調理台用浄水器、シンク下用浄水器、キャンプ/バックパック用浄水器、旅行用浄水器、冷蔵庫用浄水器、ピッチャー型重力流浄水器、水浴用(bathing)浄水器、及び温泉型浄水器の1つ以上として使用するように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記装置が不純物を除去するように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記装置が微生物を死滅させるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
電解液を電気分解するための装置であって、該装置が、
(a)障壁不使用電解槽であり、
(i)表面積が約30平方cm未満のアノードと、
(ii)カソード(前記アノードと該カソードとは、その間に経路を画定する)と、
(iii)前記経路と連通する入口ポート(前記入口ポートは電解液の流れを受けるために使用される)と、
(iv)前記経路と連通する出口ポート(前記出口ポートは電気分解された電解液の流れのための流出口を提供する)と
を具備する障壁不使用電解槽と、
(b)前記アノードから前記カソードへの電流を提供する電流供給源であり、約5ワット未満の電力を供給し、電流が電解液の流れを電気分解する電流供給源と
を具えることを特徴とする装置。
【請求項33】
前記装置がさらに本体を具備し、該本体が前記電解槽及び前記電流供給源を格納することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記装置がさらに、電解液を前記入口ポートに流入させ前記出口ポートから流出させる流体移動機構を具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記流体移動機構が、電解液の電気分解を繰り返すために前記出口ポートから流出した電解液を前記入口ポート内に再循環させることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記装置がさらに不純物を除去するフィルタを具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記フィルタが前記電解槽の前に配置されていることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記フィルタが、電解液から少なくとも3ミクロン以上のサイズを有する微粒子の99.95%を除去するように適合されていることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項40】
前記フィルタが有機種を除去することを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項41】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が有機種を前記フィルタで除去可能な形態に変換することを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記フィルタが無機種を除去することを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項43】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が無機種の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記フィルタが砒素を除去するように適合されていることを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項45】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が砒素の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項46】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項47】
前記フィルタが一部分又は全体を樹脂で構築されることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項48】
前記フィルタが一部分又は全体を炭素で構築されることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項49】
前記装置がさらに、電気分解前の電解液に対する前処理としてイオン交換樹脂を具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項50】
前記イオン交換樹脂が、電解液のハロゲン含有イオン濃度を増加するように適合されていることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記イオン交換樹脂が、電解液からスケール形成イオン濃度を減少するように適合されていることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項52】
前記イオン交換樹脂が硬水軟化装置であることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項53】
前記装置がさらに、水が存在すると電解プロセス開始を誘発し、また水がなくなると電解プロセス停止を誘発することができる水存在検知センサを具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項54】
前記水存在検知センサが電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記電流供給源が、電池、AC/DC変換器、太陽電池、手動クランク式発電システム、水圧/タービンエネルギーシステム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項56】
前記アノードが箔電極であることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項57】
前記アノードがVIII族金属を具備することを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項58】
アノードが多孔質アノードであることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項59】
多孔質アノードが多孔質金属アノードであることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項60】
前記装置が、次の用途、蛇口取付型フィルタ、調理台用浄水器、シンク下用浄水器、キャンプ/バックパック用浄水器、旅行用浄水器、冷蔵庫用浄水器、ピッチャー型重力流浄水器、水浴用浄水器、及び温泉型浄水器の1つ以上として使用するように適合されていることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項61】
前記装置が不純物を除去するように適合されていることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項62】
前記装置が微生物を死滅させるように適合されていることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項63】
電解液を電気分解するための装置であって、該装置が、
(a)障壁不使用電解槽であり、
(i)アノードと、
(ii)カソード(前記アノードと前記カソードがその間に経路を画定し、前記経路が前記アノードと前記カソードとの間に約0.6mm未満の距離を有する)と、
(iii)前記経路と連通する入口ポート(前記入口ポートは電解液の流れを受けるために使用される)と、
(iv)前記経路と連通する出口ポート(前記出口ポートは電気分解された電解液の流れのための流出口を提供する)と
を具備する障壁不使用電解槽と、
(b)前記アノードから前記カソードへの電流を提供する電流供給源であり、約5ワット未満の電力を供給し、電流が電解液の流れを電気分解する電流供給源と
を具えることを特徴とする装置。
【請求項64】
前記装置がさらに本体を具備し、該本体が前記電解槽及び前記電流供給源を格納することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記装置がさらに、電解液を前記入口ポートに流入させ前記出口ポートから流出させる流体移動機構を具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項66】
前記流体移動機構が、電解液の電気分解を繰り返すために前記出口ポートから流出した電解液を前記入口ポート内に再循環させることを特徴とする請求項65に記載の装置。
【請求項67】
前記装置がさらに不純物を除去するフィルタを具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項68】
前記フィルタが前記電解槽の前に配置されていることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項70】
前記フィルタが、電解液から少なくとも3ミクロン以上のサイズを有する微粒子の99.95%を除去するように適合されていることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項71】
前記フィルタが有機種を除去することを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項72】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が有機種を前記フィルタで除去可能な形態に変換することを特徴とする請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記フィルタが無機種を除去することを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項74】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が無機種の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項75】
前記フィルタが砒素を除去するように適合されていることを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項76】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置され、前記電解槽が砒素の酸化状態を前記フィルタで除去可能な状態に変換することを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項77】
前記フィルタが前記電解槽の後に配置されていることを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項78】
前記フィルタが一部分又は全体を樹脂で構築されることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項79】
前記フィルタが一部分又は全体を炭素で構築されることを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項80】
前記装置がさらに、電気分解前の電解液に対する前処理としてイオン交換樹脂を具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項81】
前記イオン交換樹脂が、電解液のハロゲン含有イオン濃度を増加するように適合されていることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記イオン交換樹脂が、電解液からスケール形成イオン濃度を減少するように適合されていることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項83】
前記イオン交換樹脂が硬水軟化装置であることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項84】
前記装置がさらに、水が存在すると電解プロセス開始を誘発し、また水がなくなると電解プロセス停止を誘発することができる水存在検知センサを具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項85】
前記水存在検知センサが電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項84に記載の装置。
【請求項86】
前記電流供給源が、電池、AC/DC変換器、太陽電池、手動クランク式発電システム、水圧/タービンエネルギーシステム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項87】
前記アノードが箔電極であることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項88】
前記アノードがVIII族金属を具備することを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項89】
アノードが多孔質アノードであることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項90】
多孔質アノードが多孔質金属アノードであることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項91】
前記装置が、次の用途、蛇口取付型フィルタ、調理台用浄水器、シンク下用浄水器、キャンプ/バックパック用浄水器、旅行用浄水器、冷蔵庫用浄水器、ピッチャー型重力流浄水器、水浴用浄水器、及び温泉型浄水器の1つ以上として使用するように適合されていることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項92】
前記装置が不純物を除去するように適合されていることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【請求項93】
前記装置が微生物を死滅させるように適合されていることを特徴とする請求項63に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2004−525259(P2004−525259A)
【公表日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−565904(P2002−565904)
【出願日】平成14年2月15日(2002.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2002/004614
【国際公開番号】WO2002/066382
【国際公開日】平成14年8月29日(2002.8.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年2月15日(2002.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2002/004614
【国際公開番号】WO2002/066382
【国際公開日】平成14年8月29日(2002.8.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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