説明

溶湯金属攪拌用回転体およびこれを備えた溶湯金属の脱ガス処理装置

【課題】 溶湯金属中の不純物の除去効率を高めるために溶湯金属攪拌用回転体の回転方向を一方向のみならず、左周りから右周りへまたは右回りから左回りへ急反転させた場合であっても、シャフトまたはローターが破損することが少なく、不純物の処理が長時間可能な溶湯金属攪拌用回転体およびこれを備えた脱ガス処理装置を提供する。
【解決手段】 筒状のシャフト4の一方の端部に溶湯金属2を攪拌するローター5が、他方の端部に回転駆動機構6に接続する連結具3が取り付けられた溶湯金属攪拌用回転体1であって、シャフト4およびローター5の表面に、シャフト4またはローター5に用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部11を設け、凹凸部11を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮によりシャフト4とローター5とを嵌合して接合させた溶湯金属攪拌用回転体1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムやその合金の溶湯金属中に窒素ガスやアルゴンガスを放出しながら回転して溶湯金属を攪拌することにより、溶湯金属中の水素や非金属酸化物等の不純物を処理する溶湯金属攪拌用回転体およびこれを備えた溶湯金属の脱ガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模の環境意識の高まりから燃費の向上やCO排出の削減を図るため、自動車の構成部品の軽量化対策として、アルミニウムやその合金の溶融状態の溶湯を鋳型に流し込んで冷却し、所定の形状とする鋳造方法が採用されている。そして、このような構成部品の軽量化の要求は、さらなる燃費の向上やCO排出の削減を図るため一層厳しくなっており、これら構成部品を軽量化するためには薄肉化が必要になってきている。
【0003】
しかしながら、これらの構成部品の材料にアルミニウムやその合金を用いて薄肉化しただけでは機械的強度が不足するため、薄肉化するには構成部品の材料そのものの機械的強度の向上が必要となる。この構成部品の材料そのものの機械的強度の向上には、材質の変更や製造方法の変更などが考えられるが、最も簡単な方法は、構成部品に用いる材料に含まれる不純物の量を減らすことにより、機械的強度をできるだけ材料そのものの理論的強度に近づけることである。
【0004】
この構成部品に用いる材料に含まれる不純物の量を減らすには、不純物の少ない原材料を用いればよいが、不純物の少ない原材料を用いようとすると、原材料自体の価格が非常に高くなり、構成部品の価格もこれに伴って高くなってしまうため、原材料自体および構成部品の価格を高騰させることなく、薄肉化を図る必要があった。そのため、アルミニウムやその合金の溶湯金属中の不純物の処理に、溶湯金属攪拌用回転体を備えた脱ガス処理装置が用いられている。
【0005】
図5は、従来の溶湯金属攪拌用回転体を備えた脱ガス処理装置の断面図である。
【0006】
図5に示す従来の溶湯金属32の脱ガス処理装置30は、溶湯金属攪拌用回転体31が、連結具33を介して回転駆動機構36に接続されて、溶湯金属32の容器39内に配置されているものである。溶湯金属攪拌用回転体31は、筒状のシャフト34と、シャフト34の一方の端部に取り付けられた溶湯金属32を攪拌するローター35と、他方の端部に取り付けられたシャフト34を回転させるための回転駆動機構36に接続する連結具33とから構成されている。そして、連結具33には、図示しないガス導入口を備え、筒状のシャフト34の内部がガス供給路37となっており、ローター35側の先端がガス噴出口38となっている。
【0007】
この溶湯金属攪拌用回転体31を備えた脱ガス処理装置30による溶湯金属32中の不純物40の処理方法は、連結具33を介して接続されている回転駆動機構36によって、容器39内の溶湯金属32に浸漬したシャフト34およびローター35を回転させながら、連結具33のガス導入口からガス供給路37を通じて処理ガスをガス噴出口38より溶湯金属32中に放出し、ローター35の回転によって生じる遠心力により処理ガスを溶湯金属32中で微細化して分散させ、溶湯金属32中の水素や非金属酸化物等の不純物40を処理ガスの気泡に取り込んだり付着させたりして、不純物40を浮上させて処理する方法である。
【0008】
そして、このような脱ガス処理装置30に用いられる溶湯金属攪拌用回転体31を構成するシャフト34およびローター35において、内部にガス供給路37を有するシャフト34と、溶湯
金属32との接触面積の大きなローター35との間には熱膨張差が生じることから、シャフト34およびローター35の嵌合が緩んで外れたり、溶湯金属32中で回転させたときの接合部にかかる応力によって破損したりして不純物40の処理を長時間継続することができないという問題があり、このような問題に対し、特許文献1には、セラミック製のシャフトおよびローターを焼き嵌めにより嵌合固定した溶湯(溶融)金属攪拌用回転体が提案されている。これによれば、従来のねじ接合のような切り欠き部が存在せず応力の集中を回避でき、嵌合部が破損するのを防止することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−95540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された溶湯(溶融)金属攪拌用回転体は、焼き嵌めにより嵌合固定され、従来のねじ接合のような切り欠き部が存在しないことから、従来のねじ接合に比べて、溶湯金属中での回転時の応力の集中を回避でき、嵌合部が破損するのを防止することができるものであったが、近年の溶湯金属攪拌用回転体を備えた脱ガス処理装置による溶湯金属の中の不純物の除去においては、溶湯金属攪拌用回転体を一方向に回転させた際に生じる渦によって、処理ガスの気泡に取り込んだり付着させたりして浮上させた不純物が再度溶湯金属中に巻き込まれるという問題を解決するために、溶湯金属攪拌用回転体の回転方向を左回りから右回りへまたは右回りから左回りへ急反転させて、渦が生じないようにして不純物の除去効率をさらに高めることが行なわれている。このような運転条件において、特許文献1の溶湯(溶融)金属攪拌用回転体を長時間運転させたときには、シャフトとローターとの熱膨張差によって嵌合が緩んで外れたり、溶湯金属中で回転させたときのシャフトとローターとの接合部にかかる応力によってシャフトまたはローターが破損したりするという問題があった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、溶湯金属中の不純物の除去効率を高めるために溶湯金属攪拌用回転体の回転方向を一方向のみならず、左周りから右周りへまたは右回りから左回りへ急反転させた場合であっても、シャフトとローターとの熱膨張差によって嵌合が緩んで外れたり、溶湯金属中で回転させたときのシャフトとローターとの接合部にかかる応力によってシャフトまたはローターが破損したりすることが少なく、不純物の処理が長時間可能な溶湯金属攪拌用回転体およびこれを備えた脱ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の溶湯金属攪拌用回転体は、筒状のシャフトの一方の端部に溶湯金属を攪拌するローターが、他方の端部に回転駆動機構に接続する連結具が取り付けられた溶湯金属攪拌用回転体であって、前記シャフトおよび前記ローターの表面に、前記シャフトまたは前記ローターに用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部を設け、該凹凸部を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により前記シャフトと前記ローターとを嵌合して接合させたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体は、上記構成において、前記シャフトおよび前記ローターが窒化珪素質焼結体からなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体は、上記いずれかの構成において、前記凹凸部の表面に無機系接着剤を塗布して前記シャフトと前記ローターとを接合させたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体は、上記構成において、前記無機系接着剤が、Y,AlおよびSiOを含むことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体の製造方法は、上記いずれかの構成において、セラミックス原料にバインダおよび溶媒を混合してスラリーとし、噴霧造粒法によりセラミックス2次原料を得る工程と、該セラミックス2次原料を用いて成形した後に切削加工を施して、セラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凸部または凹部を互いに対応させて設けたシャフトとなる成形体およびローターとなる成形体を得る工程と、前記ローターとなる成形体を熱処理して前記ローターとなる仮焼体を得る工程と、前記シャフトとなる成形体を焼成して焼結体である前記シャフトを得る工程と、前記凸部または凹部を設けた前記ローターとなる仮焼体および対応する前記凸部または凹部を設けた焼結体である前記シャフトとを組み合わせる形で焼成して、前記ローターとなる仮焼体の焼成時の収縮により、前記シャフトと前記ローターとを嵌合して接合する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の溶湯金属の脱ガス処理装置は、上記いずれかに記載の構成において、溶湯金属攪拌用回転体が、前記連結具を介して前記回転駆動機構に接続されて、前記溶湯金属の容器内に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の溶湯金属攪拌用回転体によれば、筒状のシャフトの一方の端部に溶湯金属を攪拌するローターが、他方の端部に回転駆動機構に接続する連結具が取り付けられた溶湯金属攪拌用回転体であって、シャフトおよびローターの表面に、シャフトまたはローターの表面に、シャフトまたはローターに用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部を設け、凹凸部を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮によりシャフトとローターとを嵌合して接合させたことにより、シャフトとローターとの熱膨張差によって嵌合が緩んで外れたり、溶湯金属中で回転させたときのシャフトとローターとの接合部にかかる応力によってシャフトまたはローターが破損したりすることの少ない溶湯金属攪拌用回転体とすることができる。
【0019】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体によれば、シャフトおよびローターが窒化珪素質焼結体からなるときには、シャフトとローターとの接合部にかかる応力に耐え得る機械的強度を有し、溶湯金属との濡れ性が低いことから、本発明の溶湯金属攪拌用回転体を溶湯金属中から取り出したときに、シャフトおよびローターへの溶湯金属の付着が極めて少なく、容易にメンテナンスを実施することができる。
【0020】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体によれば、凹凸部の表面に無機系接着剤を塗布して前記シャフトと前記ローターとを接合させたときには、凹凸部に存在する微少な隙間までを完全に閉塞することができるので、より接合強度を高めることができる。
【0021】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体によれば、前記無機系接着剤が、Y,AlおよびSiOを含むときには、接合するセラミック材料との反応性が低く、機械的特性の低下を招くことが少ない。
【0022】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体の製造方法によれば、セラミックス原料にバインダおよび溶媒を混合してスラリーとし、噴霧造粒法によりセラミックス2次原料を得る工程と、該セラミックス2次原料を用いて成形した後に切削加工を施して、セラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凸部または凹部を互いに対応させて設けたシャフトとなる成形体およびローターとなる成形体を得る工程と、前記ローターとなる成形体を熱処
理して前記ローターとなる仮焼体を得る工程と、前記シャフトとなる成形体を焼成して焼結体である前記シャフトを得る工程と、前記凸部または凹部を設けた前記ローターとなる仮焼体および対応する前記凸部または凹部を設けた焼結体である前記シャフトとを組み合わせる形で焼成して、前記ローターとなる仮焼体の焼成時の収縮により、前記シャフトと前記ローターとを嵌合して接合する工程とを含むことにより、シャフトとローターとを強固に接合することができる。
【0023】
また、本発明の溶湯金属の脱ガス処理装置によれば、本発明の溶湯金属攪拌用回転体が、前記連結具を介して前記回転駆動機構に接続されて、前記溶湯金属の容器内に配置されていることにより、除去効率の高い不純物の処理を長期間にわたって行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の溶湯金属攪拌用回転体を備えた脱ガス処理装置の実施の形態の一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の溶湯金属攪拌用回転体の実施の形態の一例を示す、(a)はシャフトとローターとの接合部の断面図であり、(b)は(a)におけるシャフトのみの断面図であり、(c)は(a)におけるローターのみの断面図である。
【図3】本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を構成するシャフトの実施の形態の他の例を示す正面図および底面図であり、(a)は周方向に帯状の凸部を設けたシャフトであり、(b)は周方向に複数の凸部を設けたシャフトであり、(c)は周方向に凹凸有する凸部を設けたシャフトであり、(d)は周方向に段差を有する凸部を設けたシャフトである。
【図4】本発明の溶湯金属攪拌用回転体を構成するシャフトおよびローターの配置から接合までの過程を示す断面図であり、(a)は配置前であり、(b)は配置後であり、(c)は接合後である。
【図5】従来の溶湯金属攪拌用回転体を備えた脱ガス処理装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の溶湯金属攪拌用回転体およびこれを備えた溶湯金属の脱ガス処理装置の実施の形態の例について説明する。
【0026】
図1は、本発明の溶湯金属攪拌用回転体を備えた脱ガス処理装置の実施の形態の一例を示す縦断面図である。
【0027】
本発明の溶湯金属2の脱ガス処理装置20は、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1が、連結具3を介して回転駆動機構6に接続されて、溶湯金属2の容器9内に配置されているものである。本発明の溶湯金属攪拌用回転体1は、筒状のシャフト4と、シャフト4の一方の端部に取り付けられた溶湯金属2を攪拌するローター5と、他方の端部に取り付けられたシャフト4を回転させるための回転駆動機構6に接続する連結具3とから構成されている。そして、連結具33には、図示しないガス導入口を備え、筒状のシャフト4の内部がガス供給路7となっており、ローター5側の先端がガス噴出口8となっている。
【0028】
この溶湯金属攪拌用回転体1を備えた脱ガス処理装置20による溶湯金属2中の不純物10の処理方法は、連結具3を介して接続されている回転駆動機構6によって、容器9内の溶湯金属2に浸漬したシャフト4およびローター5を回転させながら、連結具3のガス導入口からガス供給路7を通じて処理ガスをガス噴出口8より溶湯金属2中に放出し、ローター5の回転によって生じる遠心力により処理ガスを溶湯金属2中で微細化して分散させ、溶湯金属2中の水素や非金属酸化物等の不純物10を処理ガスの気泡に取り込んだり付着させたりして不純物10を浮上させて処理する方法である。
【0029】
図2は、本発明の溶湯金属攪拌用回転体の実施の形態の一例を示す、(a)はシャフトとローターとの接合部の断面図であり、(b)は(a)におけるシャフトのみの断面図であり、(c)は(a)におけるローターのみの断面図である。
【0030】
ここで、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1は、図2に示すように、シャフト4の表面にシャフト4またはローター5に用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部11を設け、凹凸部11を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮によりシャフト4とローター5とを嵌合して接合させたことが重要である。具体的には、シャフト4の表面に凸部11a、ローター5の表面に凹部11bが設けられており、これらの凸部11aおよび凹部11bの高さが、シャフト4またはローター5に用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きく、これらの凸部11aおよび凹部11bを組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮によりシャフト4とローター5とを嵌合して接合させている。なお、図2において、シャフト4に凸部11aを、ローター5に凹部11bを設けた例を示したが、シャフト4に凹部を設け、ローター5にシャフト4に設けた凹部に対応する凸部を設けてよいことはいうまでもない。
【0031】
そして、以上の構成の溶湯金属攪拌用回転体1であることにより、脱ガス処理装置20の溶湯金属2の容器9内に配置して行なわれる溶湯金属2中の不純物10の処理において、処理ガスの気泡に取り込んだり付着させたりして浮かせた不純物10が、溶湯金属攪拌用回転体1を一方向に回転させたときに生じる渦によって、再度溶湯金属2中に巻き込まれるという、不純物10の処理量の低下を招かないために、溶湯金属攪拌用回転体1の回転方向を左回りから右回りへまたは右回りから左回りへ急反転させた場合であっても、シャフト4の凸部11aとローター5の凹部11bとが、シャフト4またはローター5に用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さを有し、この凸部11aおよび凹部11bを組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮によりシャフト4とローター5とを嵌合して接合されているので、シャフト4とローター5との熱膨張差によって嵌合が緩んで外れたり、溶湯金属2中で回転させたときのシャフト4とローター5との接合部にかかる応力によってシャフト4またはローター5が破損したりすることの少ない溶湯金属攪拌用回転体1とすることができる。
【0032】
具体的には、セラミックスの熱膨張を利用した焼き嵌めの嵌め代に対し、シャフト4またはローター5に用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さ、すなわち焼き嵌めの嵌め代よりも大きな嵌め代を有しているため、熱膨張差によって嵌合が緩んで外れることは少ない。また、シャフト4とローター5とが焼成時のセラミックスの収縮によって嵌合して強固に接合されているので、溶湯金属2中で回転させたときのシャフト4とローター5との接合部にかかる応力によってシャフト4またはローター5が破損したりすることが少ないのである。
【0033】
また、図2に示す例の凹凸部11の嵌め合わせ高さとなる寸法H(シャフト4の凸部11aにおいては突出高さ、ローターの凹部11bにおいては深さに相当する)については、少なくともそれぞれの下限値は、シャフト4またはローター5に用いられるセラミックスの材質の使用時(溶湯金属2の温度約700℃)の熱膨張よりも大きくなるように設定し、上限値はシャフト4またはローター5に用いられるセラミックスの焼成時の収縮を考慮する必要がある。
【0034】
図3は、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を構成するシャフトの実施の形態の他の例を示す正面図および底面図であり、(a)は周方向に帯状の凸部を設けたシャフトであり、(b)は周方向に複数の凸部を設けたシャフトであり、(c)は周方向に凹凸を有する凸部を設けたシャフトであり、(d)は周方向に段差を有する凸部を設けたシャフトである

【0035】
ここで図3(a)のように、周方向に帯状の凸部11aが設けられ、この凸部11aと対応する凹部11bが設けられたローター5とを組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により嵌合して接合させた場合には、凸部11aの形状が単純な形をしており嵌合しやすく、かつ凸部11aおよび対応する凹部11bの加工が容易であり、低いコストで加工することができる。
【0036】
また、図3(b)のように、周方向に複数の凸部11aが設けられ、この凸部11aと対応する凹部11bが設けられたローター5とを組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により嵌合して接合させた場合には、シャフト4とローター5と熱膨張差によりわずかな緩みが生じたとしても、ローター5が周方向にすべりが生じるおそれを少なくすることができる。
【0037】
また、図3(c)のように、周方向に凹凸を有する凸部11aが設けられ、この凸部11aと対応する凹部11bが設けられたローター5とを組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により嵌合して接合させた場合には、シャフト4の凸部11aとローター5の凹部11bとの接合面積が増加するので、より強固に接合することができるとともに、シャフト4とローター5と熱膨張差によりわずかな緩みが生じたとしても、ローター5が周方向にすべりが生じるおそれを少なくすることができる。
【0038】
また、図3(d)のように、周方向に段差を有する凸部11aが設けられ、この凸部11aと対応する凹部11bが設けられたローター5とを組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により嵌合して接合させた場合には、シャフト4の凸部11aとローター5の凹部11bとの接合面積が増加するので、比較的容易な加工で強固に接合することができる。
【0039】
このように、例えばシャフト4には様々な形状の凸部11aを設けることが可能であるが、これら凸部11aに対応するローター5の凹部11bとの嵌合のしやすさ、凸部11aおよび凹部11bの加工コスト等を考慮すると、図3(a)のような単純な形状の凸部11aとするのがより好ましい。
【0040】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を構成するシャフト4およびローター5の材質としては、アルミナ,ジルコニア,窒化珪素,炭化珪素またはコージェライトなど種々のセラミックスを適用可能であるが、機械的強度に優れており、溶湯金属2との濡れ性が低い特性を有している点で、窒化珪素質焼結体からなることが好ましい。本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を構成するシャフト4およびローター5が窒化珪素質焼結体からなることにより、溶湯金属攪拌用回転体1を左回りから右回りなどに急反転させた際にシャフト4とローター5との接合部にかかる応力に耐え得る機械的強度を有し、溶湯金属2との濡れ性が低いことから、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を溶湯金属2中から取り出したときに、シャフト4およびローター5への溶湯金属2の付着が極めて少なく、容易にメンテナンスを実施することができる。また、シャフト4とローター5との熱膨張差によって嵌め合いが緩んだり亀裂や破損が生じたりすることを少なくするためには、シャフト4およびローター5が同じ材質の窒化珪素質焼結体からなることが好ましい。
【0041】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1は、凹凸部11の表面に無機系接着剤を塗布してシャフト4とローター5とを接合させることが好ましい。接合前に予めシャフト4の凸部11aの表面およびローター5の凹部11bの表面に無機系接着剤を塗布した後、凹凸部11を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮によりシャフト4とローター5とを嵌合して接合したときには、シャフト4の凸部11aとローター5の凹部11bとに塗布した無機系接着剤によって、凹凸部11に存在する微少な隙間までを完全に閉塞することができるので
、より接合強度を高めることができる。
【0042】
また、凹凸部11のみならず、ガス噴出口8付近のシャフト4およびローター5の接合面に無機系接着剤を塗布することによって、シャフト4とローター5との隙間に溶湯金属2の浸入を抑制することができる。
【0043】
また、無機系接着剤が、Y,AlおよびSiOを含むものを用いることが好ましい。これは、接合するセラミック材料との反応性が低く、機械的特性の低下を招かないためである。特に、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を構成するシャフト4およびローター5が窒化珪素質焼結体からなるときには、Y,AlおよびSiOを含む無機系接着剤を用いれば、接合時の1800〜2000℃の温度において、窒化珪素質焼結体と無機系接着剤とが反応することが少なく、接合部の強度が劣化するおそれが少ないので好ましい。
【0044】
次に、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1の製造方法の一例として、シャフト4およびローター5について窒化珪素質焼結体を用いた例の詳細を説明する。
【0045】
まず、1次原料として平均粒径が1μmの窒化珪素粉末を用意し、所定量を秤量して溶媒とバインダとを加えてスラリーとする。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒して2次原料を得る。そして、この2次原料を所定の成形型に入れて静水圧プレス成形装置(ラバープレス装置)を用いて、シャフト4およびローター5となる所定形状の成形体を成形し、その後これらの成形体にそれぞれ切削加工を施して、凸部4aを設けた筒状のシャフト4の成形体と、中央に孔を有し、孔の内面に凹部11bを設けたローター5となる成形体とを得る。
【0046】
次に、凸部4aを設けた筒状のシャフト4となる成形体を還元雰囲気炉に入れて、1800〜2000℃の温度にて焼成し、シャフト4(焼結体)を得る。また、凹部11bを設けたローター5となる成形体については、同じく還元雰囲気炉に入れて1000〜1500℃の温度で熱処理(仮焼)して、ローター5となる仮焼体を得る。ここで、焼成時のセラミックスの収縮によりシャフト4とローター5とを嵌合して接合する例について図4を用いて説明する。
【0047】
図4は、本発明の溶湯金属攪拌用回転体を構成するシャフトおよびローターの配置から接合までの過程を示す断面図であり、(a)は配置前であり、(b)は配置後であり、(c)は接合後である。
【0048】
図4(a)に示すように、ローター5となる仮焼体22の中央の孔に、焼結体であるシャフト4を挿入し、図4(b)に示すように、焼成後に凸部11aと凹部11bとが組み合わせられる位置にトチ等用いて配置する。なお、接合前に予めシャフト4の凸部11aの表面およびローター5の凹部11bの表面にY,AlおよびSiOを含む無機系接着剤を塗布してもよい。そして、還元雰囲気炉内に入れて、1800〜2000℃の温度にて焼成する。このときの焼成時のローター5となる仮焼体22の収縮によって、図4(c)に示すように、最終的にシャフト4の凸部11aとローター5の凹部11bとが組み合わされて、シャフト4とローター5とを嵌合して接合することができる。その後、必要に応じて研削加工を施してもよい。
【0049】
そして、ステンレス鋼のインゴットを用いて作製した連結具3を、シャフト4の他方の端部に取り付けることにより、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を得ることができる。なお、図4(a)〜(d)に示すシャフト4やこれに対応するローター5とするには、シャフト4およびローター5となる所定形状の成形体に、それぞれが対応する所望の形状となるように切削加工を施せばよい。
【0050】
このようにして得られた本発明の溶湯金属攪拌用回転体1は、筒状のシャフト4の一方の端部に溶湯金属2を攪拌するローター5が、他方の端部に回転駆動機構6に接続する連結具3が取り付けられた溶湯金属攪拌用回転体1であって、シャフト4およびローター5の表面に、シャフト4またはローター5に用いられるセラミックスの熱膨張よりも大きい高さの凹凸部11を設け、この凹凸部11を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮によりシャフト4とローター5とを嵌合して接合させていることから、シャフト4とローター5との熱膨張差によって嵌合が緩んで外れたり、溶湯金属2中で回転させたときのシャフト4とローター5との接合部にかかる応力によってシャフト4またはローター5が破損したりすることが少ない。また、このような本発明の溶湯金属攪拌用回転体1が、連結具3を介して回転駆動機構6に接続されて、溶湯金属2の容器9内に配置された脱ガス処理装置20は、除去効率の高い不純物10の処理を長期間にわたって行なうことができる。
【実施例1】
【0051】
本発明の溶湯金属攪拌用回転体の実施例を以下に示す。
【0052】
本発明の実施の形態の一例である、溶湯金属攪拌用回転体1を作製し、図1に概略構成を示す脱ガス処理装置20に設置し、溶湯金属2中の不純物を除去する試験を実施した。以下に詳細を示す。なお、溶湯金属攪拌用回転体1の形状としては、図1および図2に示すものである。
【0053】
<ローター5となる仮焼体の作製>
本発明の溶湯金属攪拌用回転体1のローター5の仮焼体の作製を実施した。まず、1次原料として平均粒径が1μmの窒化珪素粉末を用意し、所定量を秤量して溶媒とバインダとを加えてスラリーとした。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒して2次原料を得た。そして、円板形状を得ることのできるゴム型に2次原料を入れて、静水圧プレス成形装置(ラバープレス装置)を用いて円板状の成形体を得た。次に、この円板状の成形体に切削加工を施して、中央にシャフト4を嵌合する孔と、孔の内面にシャフト4の凸部11aと嵌合可能な凹部11bとを設けたローター5となる成形体を得た。なお、ローター5となる成形体の孔の内径および凹部11bの深さ等の設定については、用いる材料である窒化珪素の焼成時の収縮を考慮した寸法であり、嵌め代となる凹部11bの深さは、焼成後にセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きいものである。そして、このローター5となる成形体を還元雰囲気炉に入れて1350℃で熱処理(仮焼)して、ローター5となる仮焼体を得た。
【0054】
<シャフト4(焼結体)の作製>
本発明の溶湯金属攪拌用回転体1のシャフト4(焼結体)の作製を実施した。まず、ローター5となる仮焼体の作製に用いた同様の窒化珪素の2次原料を用意し、円筒形状を得ることのできるゴム型に2次原料を入れて、静水圧プレス成形装置(ラバープレス装置)を用いて円筒形状の成形体を得た。次に、この円筒形状の成形体に切削加工を施して、表面に凸部11aを設けたシャフト4となる成形体を得た。なお、このシャフト4となる成形体において、凸部11aの突出高さおよび凸部11aを除く部分の外径は、ローター5となる仮焼体を焼成した後の孔の内径および凹部11bの寸法と等しくなるように、用いる材料である窒化珪素の焼成時の収縮を考慮した寸法である。そして、凸部11aを設けたシャフト4となる成形体を還元雰囲気炉に入れて1950℃の温度で焼成し、シャフト4(焼結体)を得た。
【0055】
<ローター5となる仮焼体とシャフト4(焼結体)の接合>
次に、ローター5となる仮焼体の中央の孔に焼結体であるシャフト4を挿入し、トチ上に載置して焼成後に凸部11aと凹部11bとが組み合わせることのできる位置に配置した。
そして、この配置状態で還元雰囲気炉内に入れて、1950℃の温度で焼成し、シャフト4とローター5との接合体を得た。その後、所望の研削加工を施した後の焼結体であるシャフト4とローター5との接合体の各寸法は、シャフト4の外径は60mm,内径は30mmであり、シャフト4の一方の端部に接合されたローター5は、外径が250mm,厚みが30mm
,シャフト4を嵌合する孔の内径が60mmであり、接合体の長さは1000mmである。なお、凹凸部11の形状については、図2に示す形状であり、寸法Hが20mm,寸法Wが20mmである。
【0056】
<連結部材3の作製および接合体への取付>
ステンレス鋼のインゴットを用いて連結具3を作製した。そして、シャフト4の他方の端部に連結具3を取り付けることにより、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を得た。
【0057】
<不純物除去試験>
図1に示す脱ガス処理装置20に、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を設置し、溶湯金属2中の不純物を除去する試験を実施した。試験は、連結具3を介して接続されている回転駆動機構6によって、容器9内の溶湯金属2に浸漬したシャフト4およびローター5を回転させながら、ガス供給路7を通じて処理ガスをガス噴出口8より溶湯金属2中に放出した。なお、溶湯金属攪拌用回転体1の回転条件としては、15秒間隔で溶湯金属攪拌用回転体1の回転方向を左回りから右回りへまたは右回りから左回りへ急反転させながら絶えず回転させ、溶湯金属2中に渦を発生させない条件とし、これらの条件による運転を実施した。なお、途中5日後,10日後および20日後のそれぞれに、溶湯金属2中から溶湯金属攪拌用回転体1を引き上げて、シャフト4とローター5との嵌合に緩みが生じたことによる溶湯金属2の浸入がないか、またシャフト4またはローター5に破損がないかを確認した。
【0058】
なお、比較のために、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1と同サイズのシャフト4とローター5とを焼き嵌めにより接合した溶湯金属攪拌用回転体も製造し、これについても、同様に脱ガス処理装置に設置し、かつ同様の運転条件にて試験を実施した。
【0059】
<試験結果>
まず、比較例の焼き嵌めによりシャフト4とローター5とを接合した溶湯金属攪拌用回転体については、運転から5日後の確認では異常は見受けられなかったものの、運転から10日後にシャフト4とローター5との接合に緩みを生じ、シャフト4とローター5との接合部の隙間に溶湯金属2が侵入していた。また、20日後では、緩みを生じたローター5がシャフト4と接触・摩耗し、完全に空回りしており、溶湯金属2を攪拌することができなくなっていた。
【0060】
これに対し、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1については、運転から20日後の確認においても、シャフト4とローター5との間に金属溶湯2の浸入は見受けられず、嵌合に緩みが生じていないことが確認できたので、不純物10の除去効率を高めるために溶湯金属攪拌用回転体1の回転方向を左周りから右周りへまたは右回りから左回りへ急反転させた場合であっても、長時間にわたって使用可能であることが確認された。
【実施例2】
【0061】
次に、凹凸部11に無機系接着剤を塗布して接合させたこと以外は実施例1と同様の作製方法により、本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を作製した。そして、実施例1と同様に図1に概略構成を示す脱ガス処理装置20に設置し、溶湯金属2中の不純物を除去する試験を実施した。
【0062】
以下に、無機系接着剤の作製方法および塗布工程の詳細を示す。市販のイットリア粉末
(純度が98%,平均粒径が1μm),アルミ長時間にわたって使用可能とするには、ナ粉末(純度が95%,平均粒径が1μm),酸化珪素粉末(純度が99%,平均粒径が0.5μm
)を準備し、各粉末をそれぞれ40,20,40質量%の割合で合計100質量%となるように混
合した。そして、溶媒(イソパラフィン)およびバインダを適量加えてスラリーとし、このスラリーをアルミナボールとともにプラスチック容器内で24時間攪拌し、粘度1Pa・sの無機系接着剤を作製した。なお、無機系接着剤の粘度については、市販のE型粘度計にて測定した。
【0063】
次に、無機系接着剤をローター5となる仮焼体の凹部11bの表面と、シャフト4(焼結体)の凸部11aの表面とに、刷毛などを用いて1mm以下の厚さで塗布し、実施例1と同様の方法にて配置して焼成することによりローター5となる仮焼体とシャフト4(焼結体)とを嵌合して接合させた本発明の溶湯金属攪拌用回転体1を得た。
【0064】
次に、無機系接着剤を塗布して接合した本発明の溶湯金属攪拌用回転体1について、実施例1と同様に図1に示す脱ガス処理装置20に設置し、同様の運転条件にて溶湯の不純物除去試験を実施したところ、運転から20日後の確認においても、シャフト4とローター5との間に金属溶湯2の浸入は見受けられず、嵌合に緩みが生じていないことが確認できた。
【0065】
また、無機系接着剤を塗布して接合した溶湯金属攪拌用回転体1と、無機系接着剤を用いずに接合した実施例1の溶湯金属攪拌用回転体1を、それぞれ図1の脱ガス処理装置20に設置して、連続して不純物の除去試験を実施した。そして、運転から120日後に溶湯金
属2中から溶湯金属攪拌用回転体1を引き上げて、シャフト4とローター5との接合部の断面を観察可能なように研削加工したところ、無機系接着剤を用いてずに接合した実施例1の溶湯金属攪拌用回転体1の接合部の断面には、ところどころに溶湯金属2の侵入が観察された。これに対し、無機系接着剤を塗布して接合した溶湯金属攪拌用回転体1の接合部の断面には溶湯金属2の侵入が見受けられず嵌合に緩みが生じていないことが確認され、無機系接着剤を塗布して接合することにより、さらに長時間にわたって使用可能となることが確認された。
【符号の説明】
【0066】
1:溶湯金属攪拌用回転体
2:溶湯金属
3:連結具
4:シャフト
5:ローター
6:回転駆動機構
7:ガス供給路
8:ガス噴出口
9:容器
10:不純物
11:凹凸部
11a:凸部
11b:凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシャフトの一方の端部に溶湯金属を攪拌するローターが、他方の端部に回転駆動機構に接続する連結具が取り付けられた溶湯金属攪拌用回転体であって、前記シャフトおよび前記ローターの表面に、前記シャフトまたは前記ローターに用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部を設け、該凹凸部を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により前記シャフトと前記ローターとを嵌合して接合させたことを特徴とする溶湯金属攪拌用回転体。
【請求項2】
前記シャフトおよび前記ローターが窒化珪素質焼結体からなることを特徴とする請求項1に記載の溶湯金属攪拌用回転体。
【請求項3】
前記凹凸部の表面に無機系接着剤を塗布して前記シャフトと前記ローターとを接合させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶湯金属攪拌用回転体。
【請求項4】
前記無機系接着剤が、Y,AlおよびSiOを含むことを特徴とする請求項3に記載の溶湯金属攪拌用回転体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の溶湯金属攪拌用回転体の製造方法であって、セラミックス原料にバインダおよび溶媒を混合してスラリーとし、噴霧造粒法によりセラミックス2次原料を得る工程と、
該セラミックス2次原料を用いて成形した後に切削加工を施して、セラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凸部または凹部を互いに対応させて設けたシャフトとなる成形体およびローターとなる成形体を得る工程と、
前記ローターとなる成形体を熱処理して前記ローターとなる仮焼体を得る工程と、
前記シャフトとなる成形体を焼成して焼結体である前記シャフトを得る工程と、
前記凸部または凹部を設けた前記ローターとなる仮焼体および対応する前記凸部または凹部を設けた焼結体である前記シャフトとを組み合わせる形で焼成して、前記ローターとなる仮焼体の焼成時の収縮により、前記シャフトと前記ローターとを嵌合して接合する工程とを含むことを特徴とする溶湯金属攪拌用回転体の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の溶湯金属攪拌用回転体が、前記連結具を介して前記回転駆動機構に接続されて、前記溶湯金属の容器内に配置されていることを特徴とする溶湯金属の脱ガス処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−173137(P2011−173137A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37491(P2010−37491)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】