説明

溶融加工中のエステル−アルコキシエステル交換反応によって調製されたポリマー−無機混成体から形成された医療器具用物品

ポリマーエステル、エステル交換触媒、およびトリまたはテトラアルコキシシランからなるポリマー溶融組成物から、前記組成物を形成・固化し、固化後に、組成物に残留する少なくともいくつかのアルコキシシリル基の加水分解を行って、シラノール基を形成するための反応条件、および前記シラノール基の縮合を行って、セラミック網を形成するための反応条件を該組成物に施すことによって調製された成形医療器具用物品。ポリマーエステルは、ビニルエステルホモポリマーもしくはコポリマー、またはその骨格にエステル基を有するポリマーであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルおよびバルーン等の医療器具またはその部品に使用される材料に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルおよびバルーンのような医療器具またはその部品に新規な物理特性を与えることができ、既存の加工形態に統合できる材料を識別することが望ましい。例えば、血管形成カテーテルおよびステント搬送カテーテル等の医療器具用バルーンは、典型的には、熱可塑性ポリマーからなる管材を押出し、次いで該管材をTg(ブロックコポリマーの場合はより高いTg)と融解点の間の温度で管材をバルーンへ吹き込み成形する方法によって形成される。吹込バルーンは、ポリマーの結晶性およびバルーンの寸法安定性を高めるために、吹込温度より高い温度に保持されることもある。本発明は、その処理を当該加工形態に統合することができる混成有機ポリマー−無機セラミック材料(hybrid organic polymer−inorganic ceramic materials)を提供する。
【0003】
特許文献1には、遊離ラジカル反応によって加水分解性シラン成分が結合され、水分への曝露および縮合触媒によって架橋され得るシラン処理ポリオレフィンが記載されている。
【0004】
特許文献2には、架橋ポリマー材料から形成された膨張バルーンからなる医療器具が記載されており、該架橋ポリマー材料は、少なくとも1つのポリマーと、以下の一般構造を有する少なくとも1つの加水分解性シランとの反応生成物からなる。
【0005】
【化1】

式中、Xは、Si−C結合が、SiとWとの間に存在するという条件で、前記ポリマーと反応する少なくとも1つの官能基Wからなる1価の非加水分解性有機成分であり、Yは加水分解基であり、Zは1価の炭化水素基であり、mは1から3の整数である。次いで、加水分解性シラン基Yを水分で活性化させて、架橋ポリマー材料を形成する。
【0006】
特許文献3には、有機ポリマーおよびゾル−ゲル誘導セラミックからなる医療器具に使用される、有機−無機混成体材料が記載されており、同特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【特許文献1】米国特許第3,646,155号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/689139号
【特許文献3】米国特許出願第11/094638号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、カテーテルおよびバルーン等の医療器具またはその部品に新規な物理特性を与えることができ、既存の加工形態に統合できる材料を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような材料から形成された医療器具またはその部品ならびにその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、いくつかの態様において、医療器具用物品、例えば、特定の混成体材料および該材料を得るための方法から形成された医療器具バルーンに関する。他の態様において、本発明は、新規の有機−無機混成体材料、該材料の調製方法およびそれから得られる製品に関する。
【0009】
本発明によれば、溶媒の不在下で、混成体ポリマー−セラミック前駆体組成物を溶融状態で調製することができる。調製された組成物を押出または射出成形のような従来の熱可塑性ポリマー加工に統合することができ、その後、組成物を加工して、溶媒に溶解または分散することなく無機セラミック相を形成する。
【0010】
一態様において、本発明は、ポリマーエステル、エステル交換触媒およびトリまたはテトラアルコキシシランからなるポリマー溶融組成物から、該組成物を形成・固化し、固化後に、該組成物に残留する少なくともいくつかのアルコキシシリル基の加水分解を行って、シラノール基を形成するための反応条件、および該シラノール基の縮合を行って、セラミック網を形成するための反応条件を該組成物に施すことによって調製された成形医療器具またはその部品に向けられる。
【0011】
別の態様において、本発明は、ポリマーエステルと、エステル交換触媒と、トリまたはテトラアルコキシシランとからなるポリマー溶融組成物を提供する工程と、前記組成物を形成・固化する工程と、固化後に、組成物に残留する少なくともいくつかのアルコキシシリル基の加水分解を行って、シラノール基を形成するための反応条件、および該シラノール基の縮合を行って、セラミック網を形成するための反応条件を該組成物に施す工程とからなる成形医療器具またはその部品を形成する方法に向けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本出願のいずれかの箇所で言及されているすべての米国特許文献を含むすべての文献は、その全体を本願明細書に援用する。本出願のいずれかの箇所で言及されているあらゆる同時係属出願もその全体を本願明細書に援用する。
【0013】
本明細書に用いられているように、「ポリマーエステル」という用語は、ペンダントエステル基を有するポリマー、およびその骨格にエステル基を有するポリマーに関する。
エチレン−酢酸ビニルコポリマーをテトラアルコキシシランおよびエステル交換触媒としてのジブチル酸化錫と溶融混合した後、押出および次いで加水分解/縮合を行って、良好な弾力性および強度特性を有する混成体材料を生成することによって調製された混成体有機−無機組成物が、V.ボウナー−レガレ(Bounor−Legare)ら、Polymer43(2002)6085〜6092ページ;V.ボウナー−レガレ(Bounor−Legare)ら、Polymer45(2004)1485〜1493ページ;V.ボウナー−レガレ(Bounor−Legare)ら、Polym.Int.53:484〜494ページ(2004);およびY.グーティレ(Goutille)ら、Polymer44(2003)3165〜3171ページに記載されている。これらの文献に記載されている組成物を本発明に採用することができる。
【0014】
本発明に採用されるポリマーエステルは、酢酸ビニルまたは他のビニルエステル、例えば、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルおよび安息香酸ビニルのホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ビニルエステルの混合物を採用してもよい。ビニルエステルポリマーおよびコポリマーは、部分的に加水分解されていてもよい。
【0015】
ビニルエステルのコポリマーについては、他のビニルまたはビニリデンモノマーを採用することができる。ビニルエステルモノマーを採用できる特定のモノマーとしては、式CH=CH(CH2)aH(式中、aは、2以上の整数である)のアルファ−オレフィンを含むオレフィンおよび/またはシクロオレフィンが挙げられる。当該オレフィンおよびシクロオレフィンモノマーの例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ペンテン、1−テトラデセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、シクロペンテン、シクロブテン、ノルボルネン、置換ノルボルネンならびにフッ化オレフィンおよびシクロオレフィンモノマーが挙げられる。それと共重合できるさらに他のモノマーとしては、スチレンおよびα−メチルスチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ビニルスルホン酸またはその塩(例えば、スルホン酸ビニルナトリウム)、アクリロニトリル、ビニルケトンおよび塩化ビニリデンのようなビニル芳香族モノマーが挙げられる。コポリマーのビニルエステル含有量は、約1〜99重量%、例えば1〜34重量%、35〜79重量%または80〜99.5重量%であってもよい。
【0016】
ビニルエステルポリマーには縮合に対してエステル交換を優先する触媒が採用される。ジブチル酸化錫またはジオクチル酸化錫のようなジアルキル酸化錫は、エステル交換触媒の例である。1−アルコキシ−3−アシルオキシテトラブチルジスタノキサンのようなジスタノキサン触媒を使用することもできる。触媒量は、ポリマー上のエステル成分に対して0.1モル%程度の低量であってもよく、例えば、0.5〜5モル%であってもよい。
【0017】
ビニルエステルポリマーとエステル交換触媒の溶融混合組成物は、1分子当たり3個または4個のアルコキシ基をセラミック前駆体として有する少なくとも1つのアルコキシシランをも含む。テトラアルコキシシランの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびテトライソプロポキシシランが挙げられる。トリアルコキシシランとしては、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシランおよびトリメトキシエチルシラン等の、アルキル基が非置換のトリアルコキシアルキルシラン、アルキル基が、芳香族炭化水素基、1個もしくは複数個のハロゲン原子、または1個もしくは複数個の酸素、窒素もしくは硫黄原子を有する有機官能基で任意で置換されたトリアルコキシアルキルシラン、アリール基が、非置換のトリアルコキシアリールシラン、例えばトリエトキシフェニルシラン、ならびにアリール基が、脂肪族炭化水素基、1個もしくは複数個のハロゲン原子、または1個もしくは複数個の酸素、窒素もしくは硫黄原子を有する有機官能基で任意で置換されたトリアルコキシアリールシランが挙げられる。トリアルコキシフルオロアルキルシランを使用して、例えば、材料の摩擦特性を調整することができる。
【0018】
シリコンアルコキシドに加えて、加水分解/縮合手順によって金属または半金属の酸化物を形成することができる当該金属または半金属、例えば、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、錫、ハフニウム、ルビジウム、ビスマス、ストロンチウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウムおよび/またはイリジウムの他のセラミック前駆体化合物を組成物に組み込むことができる。典型的には、当該セラミック前駆体化合物もアルコキシドであるが、加水分解して、金属または半金属の水酸化物を形成できる他の化合物が知られており、当該化合物を本発明に採用することもできる。チタニウムプロポキシド、ジルコニウムプロポキシドまたは他の金属アルコキシドを使用することにより、放射線不透過性または引張強度のような特定の物理化学特性を付与することができる。
【0019】
溶融において、セラミック前駆体アルコキシド化合物とポリマーのペンダントエステル基とのエステル交換は、誘導時間後に開始される。この反応は、溶融段階で開始されるが、材料を問題なく押し出し、または射出成形して成形品にすることを可能にするために、ゲル化の前に十分な誘導時間をとる。揮発性酢酸エステルの損失は、ビニルエステルポリマーまたはコポリマーとの架橋反応を伴う。
【0020】
最初の架橋により、材料は、強度を低下させ、極めて脆くなり得る。しかしながら、初期成形後に、それをさらに加工して、未反応アルコキシおよび/またはセラミック前駆体の他の加水分解基を加水分解・縮合して、組成中にセラミック網を形成する。これを蒸気または水による処理に続いて、乾燥することによって実施することができる。残留エステル交換触媒は、水の存在下では、残留アルコキシ基のシナノール基への加水分解、次いでその縮合を効率的に実施して、セラミック網を生成するのに十分な触媒性を有することができる。しかしながら、必要に応じて、酸もしくはアミンまたは他の既知の触媒を水とともに添加して、加水分解および縮合反応を触媒することができる。その結果、良好な弾力性および強度特性ならびに一連の特異的な分子輸送、熱安定性、または混成体ポリマー/セラミック網材料によって付与される他の特性を有する混成体材料の成形品を得ることができる。
【0021】
一実施形態において、ビニルエステルポリマー、ジブチル酸化錫触媒および少なくとも1つのトリまたはテトラアルコキシシランを混合し、架橋が開始されてから組成物の溶融粘度の管理不可能な上昇が起こるまでの間に、材料を押し出すように押出機における滞留時間を設定して、管状に押し出す。管材を標準的なブロー成形法、好適には、軸延伸の後に高温で放射状に膨張させて型に送り込むことによってバルーンに成形する。成形バルーンを任意で成形温度またはより高い温度に保持しながら、少なくとも成形圧力と同じくらい高い圧力で加圧して、ポリマーをさらに結晶化させ、ビニルエステルとアルコキシシランの架橋反応を促すことができる。次いで、シランの残留アルコキシ基を加水分解する間に、バルーンを水浴に浸し、あるいは蒸気処理し、次いで乾燥させて、得られたシラノール成分の縮合を誘導して、セラミック網を形成する。必要に応じて、低濃度の鉱酸を水浴または蒸気供給物に導入して、加水分解および縮合反応を促すことができる。
【0022】
さらなる実施形態において、シランは、テトラアルコキシシランであり、かつ/または溶融組成物は、先述した別の前駆体化合物を、例えばチタンまたはジルコニウムアルコキシドをさらに含む。
【0023】
別の実施形態において、先述のように管材を形成し、さらに管材を高温で処理することによって架橋反応を誘導する。温度は、数時間から数日間の期間、例えば約4時間から48時間にわたって、約50℃から約85℃であってもよい。好適には、架橋反応をさらに誘導するために当該処理を真空下、または流動乾燥不活性ガスパージによって実施する。架橋後に、管材材料を加水分解・縮合して、エラストマー医療器具用の管材を得ることができる。
【0024】
他の実施形態において、溶融組成物を標準的な射出成形条件下で型に射出し、続いて加水分解および縮合を実施する。任意で、加水分解および縮合を実施する前に材料をさらに架橋するために、組成物を、固化後に、先の実施形態について記載した条件下で、型の内部または外部において高温に保持することができる。
【0025】
本発明のさらなる実施形態において、ポリマー材料の一部またはすべてが、その骨格にエステル基を有するポリマーであってもよい。そのような場合、ポリマーとセラミック前駆体の架橋反応は、ポリマー単位が分割される(segmented)ようにポリマー骨格上で行われる。ポリマーの例としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンナフタレート)ならびにそれらのコポリマーのようなポリエステル;ポリエステル−ブロック−ポリエーテル、例えばHytrel(登録商標)およびArnitel(登録商標)の商品名で販売されているようなポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリエーテル;ポリエステルウレタン;およびPebax(登録商標)の商品名で販売されているようなエステル結合されたポリアミド−ブロック−ポリエーテルが挙げられる。当該反応の生成物は、ポリマー骨格内の位置にセラミックブロックが導入されている結果として、極めて特異的な特性を有することになる。ビニルエステルポリマーの実施形態、例えば、処方、成形、固体状態におけるさらなる架橋、ならびに加水分解および縮合について先述した様々な選択肢をこれらの実施形態に採用することもできる。
【0026】
本発明による成形医療器具は、処置用またはインプラントとして移植または挿入される移植可能または挿入可能な医療器具であってもよい。例としては、バルーン、カテーテル(例えば、バルーンカテーテルのような腎臓または血管カテーテル)、ガイドワイヤー、フィルタ(例えば、大静脈フィルタ)、ステント(冠状動脈ステント、脳ステントのような末梢血管ステント、尿道ステント、尿管ステント、胆管ステント、気管ステント、胃腸ステントおよび食道ステントを含む)、ステントグラフト、血管グラフト、血管アクセスポート、脳動脈流充填コイル(グーグリルミ(Guglilmi)検出可能コイルおよび金属コイルを含む)を含む塞栓デバイス、心筋梗塞プラグ、ペースメーカリード線、左心室補助心臓およびポンプ、全人工心臓、心臓弁、血管弁、組織増量デバイス、縫合糸、縫合糸固定具、接合クリップおよびリング、組織ステープルおよび結紮クリップ、カニューレ、整形外科用人工器官、人工関節、ならびに体内に移植または挿入するように構成された様々な他の医療器具が挙げられる。
【0027】
上記例および開示内容は、例示的なものであって、網羅することを意図するものではない。これらの例および記述は、当業者に対して多くの変更物および代替物を示唆する。これらすべての代替物および変更物は、請求項の範囲内に含まれることを意図しており、用語「からなる(comprising)」は、「含む(including)」を意味するが、それに限定されない。当業者は、本明細書に記載されている具体的な実施形態の他の同等物を認識することができ、それらの同等物も請求項に包括されることを意図する。さらに、従属請求項に記載された特定の特徴は、発明の範囲内において他の方法で互いに組み合わせることができ、本願は、従属請求項に記載された特徴のその他全ての組み合わせによる他の実施例についても、範囲が及ぶものとする。例えば、請求の範囲の公開にあたり、多数従属形式が管轄区域内で許容される場合には、後続するいずれの従属項も、当該従属項において引用された全先行語を有する先行請求項すべてに従属する多数従属形式で択一的に記述されたものと解釈されるべきである(例えば、請求項1に直接従属する請求項はそれぞれ、先行するすべての請求項に従属するものと択一的に解釈されるべきである)。多数従属形式が禁止されている管轄区域においては、後続の各従属項についても、これら下位従属項に列挙される特定請求項以外の先行語を有する先行する一請求項にそれぞれ単独に従属する形式で択一的に記述されたものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーエステル、エステル交換触媒、およびトリまたはテトラアルコキシシランからなるポリマー溶融組成物から、該組成物を形成・固化し、固化後に、該組成物に残留する少なくともいくつかのアルコキシシリル基の加水分解を行って、シラノール基を形成するための反応条件、および該シラノール基の縮合を行って、セラミック網を形成するための反応条件を該組成物に施すことによって調製された成形医療器具またはその部品。
【請求項2】
前記ポリマーエステルが、ビニルエステルホモポリマーまたはコポリマーである、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項3】
前記ポリマーエステルが、ビニルエステルと、ビニルエステルでない少なくとも1つの他のビニルまたはビニリデンモノマーとのコポリマーである、請求項2に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項4】
前記コポリマーのビニルエステル含有量が、該コポリマーの約1重量%〜約99.5重量%である、請求項2に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項5】
前記エステル交換触媒が、ジアルキル酸化錫、ジスタノキサン触媒およびそれらの混合物からなる群の構成要素である、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項6】
前記エステル交換触媒が、ジブチル酸化錫、ジオクチル酸化錫または1−アルコキシ−3−アクリルオキシテトラアルキルジスタノキサンである、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項7】
前記エステル交換触媒が、前記ポリマー溶融組成物に与えられるアルコキシシラン基に対して0.5〜5モル%の量で該組成物に与えられる、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項8】
前記ポリマー溶融組成物が、少なくとも1つのテトラアルコキシシランからなる、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項9】
前記少なくとも1つのテトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、またはそれらの混合物である、請求項8に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項10】
前記ポリマー溶融組成物が、トリアルコキシシランをさらに含む、請求項8に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項11】
前記トリアルコキシシランが、アルキル基が、芳香族炭化水素基、1個もしくは複数個のハロゲン原子、もしくは1個または複数個の酸素、窒素もしくは硫黄原子を有する有機官能基で任意で置換されたトリアルコキシアルキルシラン、アリール基が非置換、あるいは脂肪族炭化水素基、1個もしくは複数個のハロゲン原子、または1個もしくは複数個の酸素、窒素もしくは硫黄原子を有する有機官能基で置換されたトリアルコキシアリールシラン、およびそれらの混合物からなる群の構成要素である、請求項10に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項12】
前記ポリマー溶融組成物が、トリアルコキシフルオロアルキルシランからなる、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項13】
前記ポリマー溶融組成物が、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、錫、ハフニウム、ルビジウム、ビスマス、ストロンチウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウムおよび/またはイリジウムの化合物であり、加水分解/縮合手順によって当該金属または半金属の酸化物を形成することができるシリコンアルコキシド以外のセラミック前駆体をさらに含む、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項14】
前記シリコンアルコキシド以外のセラミック前駆体が、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、またはそれらの2つ以上の混合物からなる、請求項13に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項15】
前記ポリマーエステルが、その骨格にエステル基を有するポリマーである、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項16】
その骨格にエステル基を有する前記ポリマーが、ポリエステル、ポリエステル−ブロック−ポリエーテル、ポリエステルウレタン、およびエステル結合されたポリアミド−ブロック−ポリエーテルからなる群の少なくとも1つの構成要素からなる、請求項15に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項17】
前記医療器具が、移植可能または挿入可能な医療器具である、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項18】
前記医療器具が、バルーン、カテーテル、ガイドワイヤー、フィルタ、ステント、ステントグラフト、血管グラフト、血管アクセスポート、塞栓デバイス、心筋梗塞プラグ、ペースメーカリード線、左心室補助心臓およびポンプ、全人工心臓、心臓弁、血管弁、組織増量デバイス、縫合糸、縫合糸固定具、接合クリップおよびリング、組織ステープルおよび結紮クリップ、カニューレ、整形外科用人工器具ならびに人工関節からなる群の構成要素である、請求項1に記載の成形医療器具またはその部品。
【請求項19】
ポリマーエステルと、
エステル交換触媒と、
トリまたはテトラアルコキシシランとからなるポリマー溶融組成物を提供する工程と、
該組成物を形成・固化する工程と、固化後に、
該組成物に残留する少なくともいくつかのアルコキシシリル基の加水分解を行って、シラノール基を形成するための反応条件、および該シラノール基の縮合を行って、セラミック網を形成するための反応条件を該組成物に施す工程とからなる、成形医療器具またはその部品の形成方法。
【請求項20】
前記組成物を形成・固化する工程が、押出または射出成形工程からなる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
形成後成形工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物を形成・固化する工程が、前記ポリマー溶融組成物からなる管材を押し出す工程からなり、前記形成後工程が、該管材を医療器具バルーンへ吹き込む工程からなる、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマーエステルが、その骨格にエステル基を有するポリマーである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー溶融組成物が、少なくとも1つのテトラアルコキシシランからなる、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマー溶融組成物が、トリアルコキシフルオロアルキルシランをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマー溶融組成物が、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、錫、ハフニウム、ルビジウム、ビスマス、ストロンチウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウムおよび/またはイリジウムの化合物であり、加水分解/縮合手順によって当該金属または半金属の酸化物を形成することができるシリコンアルコキシド以外のセラミック前駆体をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記シリコンアルコキシド以外のセラミック前駆体が、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、またはそれらの2つ以上の混合物からなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
固化から加水分解および縮合工程までの間に、前記組成物を固体状態でさらに加工して、前記ポリマーエステルと前記トリまたはテトラアルコキシシランの架橋を増加させる、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2009−508574(P2009−508574A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531101(P2008−531101)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/030963
【国際公開番号】WO2007/040819
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】