説明

溶融金属の製造方法

【課題】設備コストおよびエネルギ原単位を従来プロセスよりも大幅に低減しうる、炭材内装酸化金属塊成化物を用いた溶融金属の製造方法を提供する。
【解決手段】原料装入シュート4,4を炉幅両端部2,2に、電極5を炉中央部に、炉上部に二次燃焼バーナ6をそれぞれ設置した定置式非傾動型電気炉を用い、予めシュート4,4から炭材Aを装入して電極5下方に向かう下り斜面を有する炭材充填層12を形成しておき、次いで炭材内装酸化金属塊成化物Bを装入して炭材充填層12斜面上に塊成化物層13を形成し、その後電極5にてアーク加熱を行い塊成化物層13下端部を順次溶融して、炉内に溶融金属層14と溶融スラグ層15を形成するとともに、塊成化物層13を炭材充填層12斜面に沿って降下させつつ、二次燃焼バーナ6から吹込んだ酸素含有ガスCで、塊成化物層12から発生するCO含有ガスを燃焼させ、その放射熱により塊成化物層13を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭材内装塊成化物を、予備還元することなく、直接、電気式加熱溶解炉で還元溶融して溶融金属を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高炉法や溶融還元法に代わる新しい製鉄法として、炭材内装酸化金属塊成化物を回転炉床炉で予備還元して固体還元金属とし、この固体還元金属をアーク炉またはサブマージドアーク炉で溶解して溶融金属を得る溶融金属製造プロセスが種々提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
しかしながら、溶解炉としてアーク炉を用いるプロセスでは、その溶解効率の確保、耐火物の保護、スラグフォーミングの抑制等の観点から、固体還元金属は金属化率を高く維持するとともに、粉率を低く維持する必要がある。このため、このプロセスでは、回転炉床炉の生産性を高めることが難しく、設備が大型化する問題が残されていた。
【0004】
一方、溶解炉としてサブマージドアーク炉を用いるプロセスでは、炉内に固体還元金属が堆積層を形成するため、上記アーク炉を用いたプロセスと比べて、耐火物の損傷やスラグフォーミングの問題は少なく、固体還元金属の金属化率や粉率の制約が小さく、回転炉床炉を比較的小型化することができる。しかしながら、このプロセスでは、固体還元金属中に残留する酸化金属の還元に伴って発生するCOガスの化学エネルギを有効に利用することが困難なため、その生産性を十分に高めて操業コストを十分に低減させることができないという問題が残されていた。
【0005】
なお、サブマージドアーク炉を用いた溶融金属の製造方法として、回転炉床炉による予備還元を省略して、未還元の炭材内装酸化金属塊成化物を直接、サブマージドアーク炉に装入し、予備還元工程と溶融工程とを一つの炉内で行うことも考えられる。しかしながら、該炭材内装酸化金属塊成化物が、溶融金属となる非揮発性金属元素の他に揮発性金属元素をも含有する場合(すなわち、製鉄所ダストなどを酸化金属原料として用いた場合)には、該揮発金属元素は、せっかく炉下部で固体還元金属から揮発除去されても、炉上部の低温領域で再度凝縮し、固体還元金属に付着して炉内を循環したり、炉壁に付着物を形成したりする。このため、排ガスから該揮発性金属元素を効率的に回収できなくなるだけでなく、固体還元金属の降下不良等の操業トラブルを引き起こすことが想定される。
【0006】
したがって、従来のプロセスでは、溶解炉としてアーク炉、サブマージドアーク炉のいずれを採用する場合も、回転炉床炉による予備還元工程と溶解炉による溶解工程との2工程からなる構成を必須としている。これに伴い、回転炉床炉から溶解炉への固体還元金属の移送手段が必要となるとともに、排ガス処理系統も回転炉床炉と溶解炉の2系統が必要となり、トータルプロセスとして、設備コストが高くなることに加え、熱ロスも大きく、エネルギ原単位も十分に低減できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2000−513411号公報
【特許文献2】特表2001−515138号公報
【特許文献3】特表2001−525487号公報
【特許文献4】特開2003−105415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、炭材内装塊成化物を用いて溶融金属を製造する方法であって、設備コストおよびエネルギ原単位を従来プロセスよりも大幅に低減しうる溶融金属の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の一局面は、定置式非傾動型電気炉を用いて溶融金属を製造する方法であって、前記電気炉は、炉幅方向の一方の端部に上方から炉内に接続する原料装入シュートと、炉幅方向の他方の端部であって炉内高さ方向の下部である位置を電気で加熱する加熱器と、炉上部において前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられた二次燃焼バーナとを備えており、前記原料装入シュートから炭材および/または溶融金属となる非揮発性金属元素を含有する炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、炉内上方の前記一方の端部から炉内下方の前記他方の端部に向かう下り勾配の斜面を有する原料充填層を形成し、次いで、前記原料装入シュートから前記炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、前記原料充填層の斜面上に塊成化物層を形成し、その後、前記塊成化物層の下端部を前記加熱器で加熱して前記炭材内装塊成化物を溶融することにより、炉内に溶融金属層と溶融スラグ層を形成するとともに、前記溶融により前記塊成化物層をその下端部に向かって前記原料充填層の斜面に沿って降下させつつ、前記二次燃焼バーナから炉内に酸素含有ガスを吹き込んで、前記塊成化物層から発生するCO含有ガスを燃焼させ、その放射熱により前記塊成化物層を加熱して還元する溶融金属の製造方法である。
【0010】
また、本発明の他の一局面は、定置式非傾動型電気炉を用いて溶融金属を製造する方法であって、前記電気炉は、炉幅方向の一方の端部と他方の端部に上方から炉内にそれぞれ接続する複数の原料装入シュートと、炉幅方向において前記一方の端部に接続する原料装入シュートと他方の端部に接続する原料装入シュートの間であって炉内高さ方向の下部である位置を電気で加熱する加熱器と、高さ方向では炉上部であって炉幅方向では前記一方の端部に接続する原料装入シュートと前記加熱器との間である位置および高さ方向では炉上部であって炉幅方向では前記他方の端部に接続する原料装入シュートと当該加熱器との間である位置にそれぞれ設けられた二次燃焼バーナとを備えており、前記原料装入シュートから炭材および/または溶融金属となる非揮発性金属元素を含有する炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、炉内上方の前記一方の端部から炉内下方の前記加熱器が加熱する位置に向かう下り勾配の斜面と、炉内上方の前記他方の端部から炉内下方の当該加熱器が加熱する位置に向かう下り勾配の斜面とを有する原料充填層を形成し、次いで、前記原料装入シュートから前記炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、前記原料充填層の各斜面上に塊成化物層を形成し、その後、前記塊成化物層の下端部を前記加熱器で加熱して前記炭材内装塊成化物を溶融することにより、炉内に溶融金属層と溶融スラグ層を形成するとともに、前記溶融により前記塊成化物層をその下端部に向かって前記原料充填層の各斜面に沿って降下させつつ、前記二次燃焼バーナから炉内に酸素含有ガスを吹き込んで、前記塊成化物層から発生するCO含有ガスを燃焼させ、その放射熱により前記塊成化物層を加熱して還元する溶融金属の製造方法である。
【0011】
本発明の目的、特徴、局面および利点は、以下の詳細な説明および図面によって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態に係る定置式非傾動型アーク炉の概略構成を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。
【図2】図2は、定置式非傾動型アーク炉に備えられたアウターシュートを有する原料装入シュートの原料投入口の動きを示す模式縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
[実施形態]
〔定置式非傾動型電気炉の構成〕
図1に、本発明の一実施形態に係る定置式非傾動型電気炉の概略構成を示す。本実施形態に係る定置式非傾動型電気炉(以下、単に「炉」ということもある。)は、水平断面形状が略矩形のアーク 炉であり、炉上部(本実施形態では炉天井部1)には、排ガスダクト3および複数の原料装入シュート4が接続されるとともに、炉内には、加熱器として、炉天井部1を介して複数本の電極5が挿入されている。原料装入シュート4は、炉幅方向の両端部(一方の端部と他方の端部)2,2にそれぞれ設置される一方、電極5は、炉幅方向の中央部に設置されている。さらに、炉上部(炉天井部1)には、複数本の二次燃焼バーナ6が設けられている。
【0015】
排ガスダクト3は、電極5より原料装入シュート4に近い側に設置するのが好ましい。二次燃焼後の酸化性の排ガスが電極5の方向に流れて電極5を損傷するのを抑制するためである。
【0016】
電極5と二次燃焼バーナ6との間、二次燃焼バーナ6と排ガスダクト3との間、排ガスダクト3と原料装入シュート4との間には、炉天井部1から炉内に垂下する隔壁9,10,11を設けるのが好ましい。
【0017】
電極5と二次燃焼バーナ6との間に隔壁9を設けるのが推奨されるのは、上記と同様、二次燃焼後の酸化性排ガスが電極5に接触するのを防止するためである。
【0018】
また、二次燃焼バーナ6と排ガスダクト3との間に隔壁10を設けるのが推奨されるのは、二次燃焼後の排ガスが排ガスダクト3へショートカットするのを防止して、塊成化物層13への放射伝熱量を十分に確保するためである。
【0019】
また、排ガスダクト3と原料装入シュート4との間に隔壁11を設けるのが推奨されるのは、原料装入シュート4が高温の排ガスで過熱されて損傷するのを防止するためである。
【0020】
隔壁9,10,11は、設置による上記各効果の度合い、設置コスト、メンテナンスの手間等を総合的に勘案して、その全部を設置するようにしてもよいし、その一部を設置するようにしてもよい。
【0021】
そして、炉下部には、炉幅方向と垂直な炉長手方向の炉側壁に、例えば、原料装入シュート4が設けられていない(すなわち、炉内に原料充填層12が形成されていない)炉長手方向の中央部に、出銑孔7と排滓孔8とを設けるのが好ましい。出銑滓の際における開孔作業を容易にするためである。
【0022】
また、排ガスダクト3の下流側には、周知の熱交換器(図示せず)を設置すればよく、これにより炉から排出された高温排ガスの顕熱を回収して、アーク用電力の発電やペレットBの乾燥等のエネルギとして有効利用することができる。
【0023】
電極5としては、例えば、熱効率に優れた、製鋼用アーク電気炉で常用される三相交流型のものが推奨される。例えば、三相電極の各2相の組合せでできる3組の単相電極から電極6本を作るという構成を採用することができる。
【0024】
また、電極5は、その先端部を後記塊成化物層13または溶融スラグ層15中に位置させ(浸漬させ)つつ、溶解操作を行うのが好ましい。これにより、アークによる放射加熱と抵抗加熱の効果を並存させることができ、溶解をより促進することができるとともに、後記原料充填層12で保護されていない炉壁内面の損傷を抑制することができる。
【0025】
以下、この定置式非傾動型アーク炉を使用して、炉内に原料充填層を形成するための充填層形成用原料として石炭を、該原料充填層上に積層する炭材内装塊成化物として炭材内装酸化金属塊成化物である炭材内装酸化鉄ペレットをそれぞれ用い、溶融金属として溶鉄を製造する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
〔溶融金属の製造方法〕
予め、上記炉幅方向の両端部2,2に設置された原料装入シュート4,4から所定量の充填層形成用原料としての炭材である石炭Aを炉内に装入して、該炉幅方向の両端部2,2から電極5の下端部の下方に向かう下り勾配の斜面12aを有する原料充填層としての炭材充填層12を形成しておく。ここで、石炭Aの粒度は、後記炭材内装酸化鉄ペレットBが炭材充填層12の空隙内に潜り込まない程度に、炭材内装酸化鉄ペレットBの粒度に応じて調整しておくとよい。
【0027】
次いで、上記炉幅方向の両端部2,2に設置された原料装入シュート4,4から炭材内装塊成化物としての炭材内装酸化鉄ペレット(以下、単に「ペレット」ともいう。)Bを連続的または間欠的に装入して、炭材充填層12の斜面12a上に塊成化物層としてのペレット層13を形成する。ペレットB中の内装炭材の配合量は、酸化鉄が金属鉄まで還元されるに必要な理論C量に、溶鉄の目標C濃度を加味して決定するとよい。なお、ペレットBは、炉内装入時に爆裂(バースティング)しないように、事前に乾燥しておくのが好ましい。
【0028】
電極5は、上述のごとく、その下端部がペレット層13中に浸漬された状態となるように、予め高さを調節しておくとよい。
【0029】
その後、前記電極に通電してアーク加熱を行うことにより、ペレット層13の下端部近傍のペレットBが急速に加熱されて順次還元溶融し、溶融金属としての溶鉄と溶融スラグとに分離され、炉下部に溶鉄層14と溶融スラグ層15を形成する。なお、溶融スラグ層15の塩基度等を調整するため、ペレットB中には、予め石灰石やドロマイトなどのCaO源やMgO源を添加しておくのが好ましい。
【0030】
上記のようにして、ペレット層13の下端部近傍からペレットBが順次溶融されていくと、ペレット層13自体はその自重により前記炭材充填層の斜面に沿って電極5の下端部に向かって炉内を順次降下していくこととなる。なお、万一ペレット層13中のペレットの一部が炭材充填層12の空隙内に潜り込んだとしても、該ペレットの一部は炉内に長時間滞留するため加熱還元されてやがて溶融し、溶鉄と溶融スラグに分離して炭材充填層12の空隙を介して炉下部の溶鉄層14および溶融スラグ層15に滴下するので問題ない。
【0031】
そして、ペレット層13中のペレットが電極5に近づくと、電極5からのアークによる放射熱と抵抗熱により効率的に加熱され、ペレット中の酸化鉄が内装炭材により固体金属鉄に予備還元されるとともに、CO含有ガス(可燃性ガス)を生成する。内装炭材として石炭など揮発分を含有する炭材を用いた場合は、加熱により内装炭材から脱揮された揮発分も該CO含有ガスに加わる。
【0032】
このCO含有ガスは、炉天井部1に設けられた二次燃焼バーナ6から吹込まれた酸素含有ガスとしての例えば酸素ガスにより燃焼(二次燃焼)され、その放射熱によってもペレット層13は加熱される。このように放射熱にて加熱されたペレット層13では、上記電極5からのアークによる放射加熱と抵抗加熱による場合と同様、当該ペレット層13中の酸化鉄が固体金属鉄に予備還元されるとともにCO含有ガスが生成するので、上記二次燃焼による放射加熱がさらに促進されることとなる。
【0033】
上記のようにして、原料供給シュート4から炉内に装入されたペレットBは、炭材充填層12の斜面12a上を降下する間に、上記二次燃焼による放射加熱(以下、「二次燃焼熱」ともいう。)により固体状態で高金属化率まで予備還元された後、電極5下端部近傍でアーク加熱および抵抗加熱により溶融し、溶鉄と溶融スラグとに分離されることとなる。
【0034】
したがって、電極5下端部近傍に生成する溶融スラグ中の酸化鉄濃度は十分に低くなり、電極5の損耗を抑制することができる。
【0035】
溶融スラグと分離された溶鉄は、ペレット中に残存する炭材を溶解して目標C濃度の溶鉄となる。
【0036】
このようにして生成した、溶鉄と溶融スラグは、炉下部に設けた出銑孔7と出滓孔8から、例えば高炉の出銑滓方法と同様にして、間欠的に排出することができる。
【0037】
一方、初期に炉内に石炭Aを装入して形成した炭材充填層12は、炉内で徐々に加熱されて、その揮発分が除去され、やがてチャー化ないしコークス化する。除去された揮発分は、ペレット層13から発生する一酸化炭素(CO)含有ガスとともに、二次燃焼バーナ6から吹込まれた酸素含有ガスで燃焼され、ペレット層13の放射加熱エネルギとして有効に利用される。上述したように、ペレットB中の内装炭材の炭素(C)にて内装酸化鉄の還元および溶鉄への浸炭が賄われるので、チャー化ないしコークス化した炭材充填層13は、理論上は消費されないが、実操業では、炭材充填層12中に潜り込んだペレットとの直接還元反応や、溶鉄への浸炭反応等により長期間の操業中に徐々に消費されていく。したがって、例えば一定の操業期間ごとに、原料装入シュート4からのペレットBの供給を停止した状態にて、少なくともアーク加熱を一定時間継続して、炉内のペレット層13をほぼ完全に溶融し切って炭材充填層12の斜面12aを露出させたのち、アーク加熱および二次燃焼を中断した状態で、原料装入シュート4から石炭(炭材)Aを所定量装入することで、炭材充填層12の炉内充填量を維持することができる。
【0038】
炉幅方向の両側壁の内面は、炭材充填層で覆われているので、これらの部分の耐火物の損耗は大幅に抑制される。したがって、炭材充填層で覆われていない、炉長手方向の両側壁にのみ、耐腐食性に優れた高品質の耐火物や水冷構造を採用すればよく、大幅に設備コストを低減できることとなる。
【0039】
(変形例)
上記実施形態では、原料装入シュート4および電極5の配置に関し、原料装入シュート4を炉幅方向の両端部2,2にそれぞれ設置する一方、電極5を炉天井部1の中央部に設置する例を示したが、原料装入シュート4を炉幅方向の片端部(一方の端部)2に設置する一方、電極5を炉幅方向の他端部(他方の端部)2に設置するようにしてもよい。本変形例を採用すると、炉内に形成される炭材充填層12の斜面が片側だけになるので、上記実施形態に比べて、耐火物保護の観点からは不利になるが、炉幅が縮小され、設備のコンパクト化が図れるメリットがある。
【0040】
また、上記実施形態では、電気炉としてアーク炉を用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、サブマージドアーク炉、電磁誘導加熱炉など電気エネルギによって加熱する炉であればよい。アーク炉では、加熱器として電極を用いることができ、電磁誘導加熱炉では、加熱器としてソレノイド型加熱コイルを用いることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、排ガスダクト3と原料装入シュート4は、いずれも炉天井部1に接続する例を示したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方または双方を炉側壁の上部に接続するようにしてもよい。なお、原料装入シュート4を炉側壁の上部に接続した場合は、原料装入シュート4は自動的に炉幅方向の端部に設置されることになる。
【0042】
また、上記実施形態では、定置式非傾動型アーク炉の水平断面形状として、略矩形のものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば略楕円のものや真円のものを用いてもよい。この場合単相電極でなく、三相電源の各相を用いて3本の電極を作るように構成してもよい。ただし、略矩形のものを用いた場合、炉幅は一定にしておいて、炉長手方向(炉幅方向に垂直な方向)を延長することで、スケールアップを容易に行えるメリットがある。
【0043】
また、上記実施形態では、炭材内装塊成化物Bとして、炭材内装酸化金属塊成化物である炭材内装酸化鉄ペレットを用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、酸化金属に代えて塩化金属を含有する炭材内装塩化金属塊成化物を用いてもよいし、酸化金属、塩化金属等の金属化合物を複数含有する炭材内装金属化合物塊成化物を用いてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、炭材内装塊成化物Bとして、非揮発性の金属元素である鉄のみを含有するものを例示したが、非揮発性の金属元素の他、揮発性の金属元素、例えば、Zn、Pbを含有するものであってもよい。すなわち、塊成化物Bとして、揮発性の金属元素を含有する製鉄所ダストなどを酸化金属原料として用いることができる。揮発性の金属元素は、炉内で加熱されて炭材内装塊成化物Bから揮発するが、本発明では、炉上部に設けられた二次燃焼バーナ6から供給される酸素含有ガスが炉内のCOガスを燃焼することによって、炉上部の温度を十分に高く保持できるので、炭材内装塊成化物Bから揮発した揮発性金属元素が、炉上部で再凝縮することが確実に防止され、炉から排出された排ガスから該揮発性金属元素を効率的に回収することができる。
【0045】
なお、本明細書において、揮発性金属元素とは金属単体またはその塩等の化合物の1気圧での融点が1100℃以下の金属元素をいう。金属単体として例えば、亜鉛、鉛等を挙げることができる。揮発性金属元素の化合物として例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等を挙げることができる。揮発性金属元素の化合物中の揮発性金属は、電気炉(例えば、アーク炉、サブマージドアーク炉)で金属に還元されることで、その一部またはすべてが炉内で気体状態で存在する。また、揮発性金属元素の塩化物は、電気炉内で加熱されて、その一部またはすべてが炉内で気体状態で存在する。一方、非揮発性金属元素とは金属単体またはその酸化物等の化合物の1気圧での融点が1100℃を超える金属元素をいう。金属単体として例えば、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、チタン等を挙げることができる。非揮発性金属の酸化物として、例えば、CaO、SiO、Al等を挙げることができる。非揮発性金属元素の化合物は、電気炉としてアーク炉やサブマージドアーク炉を用いたときには、炉内での加熱や還元反応によって、還元された金属単体としてまたは還元されない化合物として、炉内アーク近傍(アーク温度領域)では気体状態で存在できるものの、アークから離れたところでは液体または固体状態で存在する。
【0046】
また、上記実施形態では、炭材内装塊成化物Bの形態として、ペレットを例示したが、ブリケットを採用してもよい。ブリケットは、球状のペレットより安息角が大きいので、炭材充填層12の斜面12a上における滞留時間を確保するためには、ペレットを用いた場合に比べて、炉高は高くする必要があるものの、炉幅は縮小できるメリットがある。
【0047】
また、上記実施形態では、炭材内装塊成化物Bおよび溶融金属14を構成する非揮発性金属元素として鉄(Fe)のみを例示したが、Feの他、Ni、Mn、Cr等の非鉄金属を含有してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、溶融スラグの塩基度調整手段として、炭材内装塊成化物Bに予めCaO源やMgO源を添加しておく手段を例示したが、この手段に代えてまたは加えて、原料装入シュート4から炭材内装塊成化物Bとともに石灰石やドロマイトを装入するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、原料充填層としての炭材充填層12を形成する炭材として、石炭を例示したが、コークスを用いてもよい。コークスを用いた場合、すでに乾留されており、炉内で揮発分が発生しないため、二次燃焼への寄与は低下するものの、石炭より粉化されにくいので、飛散ロス量を低減できるメリットがある。
【0050】
さらには、原料充填層12を形成する充填層形成用原料として、石炭やコークスなどの炭材に代えてまたは加えて炭材内装塊成化物Bを用いてもよい。原料充填層12を形成する原料として炭材内装塊成化物Bを用いても、溶鉄との接触部分においては還元・溶融が進行するものの、該溶鉄との接触部分から離れた部分には熱が伝わりにくく、塊成化物Bは固体状態に維持されるため、一旦形成された原料充填層12は長期間充填層状態に保たれる。また、原料充填層12内の温度は上記溶鉄との接触部分から離れて炉壁に近づくほど低下するので、溶融FeOの形成による耐火物の損傷も問題とならない。
【0051】
また、上記実施形態では、二次燃焼バーナ6は炉天井部にのみ設置する例を示したが、これに加えてさらに長手方向の側壁上部に設けてもよく、また、例えば炉長が短い場合は、長手方向の側壁上部にのみ設けてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、出銑孔7と排滓孔8とを、対向する側壁にそれぞれ分けて設置する例を示したが、同じ側壁側に両者とも設置してもよいし、あるいは、排滓孔8を省略して出銑孔7のみを設置し、該出銑孔7から溶鉄と溶融スラグを排出するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、原料装入シュートとして、原料投入口の炉内高さを固定した原料装入シュート4を用いた例を示したが、炉内の高さ方向の異なる位置に原料を装入することができる原料装入シュートを用いることができる。
【0054】
具体的には、図2に示すように、原料装入シュートとして、原料投入口40を上下方向に移動可能なアウターシュート42を備えた原料装入シュート41を用いることが好ましい。原料装入シュート41は、原料を蓄えるホッパー44と、ホッパー44に連結したインナーシュート43と、インナーシュート43に摺動可能に上下方向に移動可能なアウターシュート42からなる。炭材および炭材内装塊成化物の安息角に応じてアウターシュート42を上下させることで、塊成化物層13の下端部 を適正な位置に調整することができる。
【0055】
原料装入シュートとして、炉内の高さ方向の異なる位置に原料を装入可能な原料装入シュート41を用いた場合には、例えば、溶解中に装入原料を安息角の異なるものに変更しても原料投入口を上下させることで、加熱器の加熱部(加熱器として電極5を用いた場合には、下端部)と塊成化物層13の下端部との距離を一定に調整することができ、原料投入口の炉内高さを固定した原料装入シュート4を用いた場合と比べて、溶解特性および熱効率をより一層適正化することができる。
【0056】
具体的には、原料を安息角のより大きなものに変更して、塊成化物層13の下端部と加熱器の加熱部との距離が離れ始めたときには、アウターシュート42(原料投入口40)を上昇させて塊成化物層13の下端部と加熱器の加熱部とを離れすぎないようにすることで、スラグ温度の上昇およびその輻射熱による排ガス温度の上昇を防止することができる。また、電気炉の天井を水冷している場合でもその冷却水出側温度の上昇を防止することができる。一方、原料を安息角のより小さなものに変更したときには、塊成化物層13の下端部と加熱器の加熱部との距離が接近するので、アウターシュート42(原料投入口40)を下降させることによって、塊成化物層13の下端部と加熱器の加熱部との接触を防止することができる。その結果、原料の金属化率が低い場合であっても、そのFeO中の酸素と電極材料であるグラファイトとの反応による電極の消耗を防止することができる。
【0057】
また、一定電圧 の条件下で操業する場合には、電流をモニターし、電流値が上昇した場合にはアウターシュート42を下降させて、塊成化物層13の下端部と加熱器の加熱部との距離を離して、電流値の上昇と電極の異常損耗を防ぐことができる。
【0058】
なお、塊成化物層13の下端部と加熱器の加熱部との距離は、排ガス温度、天井温度、冷却水温度、スラグ温度、およびカメラ等でモニターできる。加熱器として電極を用いた場合には、電極消耗量や電極間抵抗でもモニターできる。
【0059】
以上、詳述したように、本発明の一局面は、定置式非傾動型電気炉を用いて溶融金属を製造する方法であって、前記電気炉は、炉幅方向の一方の端部に上方から炉内に接続する原料装入シュートと、炉幅方向の他方の端部であって炉内高さ方向の下部である位置を電気で加熱する加熱器と、炉上部において前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられた二次燃焼バーナとを備えており、前記原料装入シュートから炭材および/または溶融金属となる非揮発性金属元素を含有する炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、炉内上方の前記一方の端部から炉内下方の前記他方の端部に向かう下り勾配の斜面を有する原料充填層を形成し、次いで、前記原料装入シュートから前記炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、前記原料充填層の斜面上に塊成化物層を形成し、その後、前記塊成化物層の下端部を前記加熱器で加熱して前記炭材内装塊成化物を溶融することにより、炉内に溶融金属層と溶融スラグ層を形成するとともに、前記溶融により前記塊成化物層をその下端部に向かって前記原料充填層の斜面に沿って降下させつつ、前記二次燃焼バーナから炉内に酸素含有ガスを吹き込んで、前記塊成化物層から発生するCO含有ガスを燃焼させ、その放射熱により前記塊成化物層を加熱して還元する溶融金属の製造方法である。
【0060】
また、本発明の他の一局面は、定置式非傾動型電気炉を用いて溶融金属を製造する方法であって、前記電気炉は、炉幅方向の一方の端部と他方の端部に上方から炉内にそれぞれ接続する複数の原料装入シュートと、炉幅方向において前記一方の端部に接続する原料装入シュートと他方の端部に接続する原料装入シュートの間であって炉内高さ方向の下部である位置を電気で加熱する加熱器と、高さ方向では炉上部であって炉幅方向では前記一方の端部に接続する原料装入シュートと前記加熱器との間である位置および高さ方向では炉上部であって炉幅方向では前記他方の端部に接続する原料装入シュートと当該加熱器との間である位置にそれぞれ設けられた二次燃焼バーナとを備えており、前記原料装入シュートから炭材および/または溶融金属となる非揮発性金属元素を含有する炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、炉内上方の前記一方の端部から炉内下方の前記加熱器が加熱する位置に向かう下り勾配の斜面と、炉内上方の前記他方の端部から炉内下方の当該加熱器が加熱する位置に向かう下り勾配の斜面とを有する原料充填層を形成し、次いで、前記原料装入シュートから前記炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、前記原料充填層の各斜面上に塊成化物層を形成し、その後、前記塊成化物層の下端部を前記加熱器で加熱して前記炭材内装塊成化物を溶融することにより、炉内に溶融金属層と溶融スラグ層を形成するとともに、前記溶融により前記塊成化物層をその下端部に向かって前記原料充填層の各斜面に沿って降下させつつ、前記二次燃焼バーナから炉内に酸素含有ガスを吹き込んで、前記塊成化物層から発生するCO含有ガスを燃焼させ、その放射熱により前記塊成化物層を加熱して還元する溶融金属の製造方法である。
【0061】
本発明では、塊成化物層の下端部が加熱器に加熱されて溶融することで、まだ溶融していない塊成化物層を原料充填層の斜面に沿って塊成化物層の下端部、すなわち加熱器の加熱部近傍に向かって移動させつつ、該塊成化物層から発生したCO含有ガスを二次燃焼バーナから吹き込んだ酸素含有ガスで燃焼させて、その放射熱で該塊成化物層自身を加熱して予備還元する。そして、この予備還元された塊成化物層を上記加熱器の加熱部近傍で還元溶融して溶融金属とするので、未還元の炭材内装塊成化物から直接溶融金属を得ることができる。このため、従来法に比べて設備コストおよびエネルギ原単位がともに大幅に低減できる。また、上記二次燃焼バーナによる燃焼熱が炉上部の温度を十分に高く保持するので、炭材内装塊成化物が揮発性金属元素を含有する場合には、揮発した該揮発性金属元素の再凝縮を防止することができる。
【0062】
これら製造方法において、前記加熱器で加熱するときに、前記原料装入シュートから前記炭材内装塊成化物を連続的または間欠的に炉内に装入し、前記塊成化物層のうち、前記塊成化物層の下端部に位置する前記炭材内装塊成化物を順次溶融させることが好ましい。炭材内装塊成化物を連続的または間欠的に装入することにより、溶融金属を継続して製造することができる。
【0063】
これら製造方法において、前記電気炉が排ガスダクトを備えており、前記炭材内装塊成化物が揮発性金属元素をさらに含有するときには、前記排ガスダクトによって排出された排ガスから前記揮発性金属を分離および回収することが好ましい。これにより、排ガスダクトを介して炉から排出された排ガス中から、揮発除去された揮発性金属元素を効率的に回収することができる。
【0064】
これら製造方法において、前記電気炉として、前記加熱器は上方から炉内に挿入される電極であり、通電によって当該加熱器の下端がアーク加熱されるアーク炉を用いることでできる。そして、前記電極の下端部を前記塊成化物層中または前記溶融スラグ層中に浸漬してアーク加熱を行うことが好ましい。これにより、アークによる放射加熱と抵抗加熱の効果を並存させることができ、炭材内装塊成化物の溶解をより促進することができるとともに、原料充填層で保護されていない炉壁内面の損傷を抑制することができる。
【0065】
これら製造方法において、前記電気炉の炉上部において、前記排ガスダクトと前記原料装入シュートとの距離が、当該排ガスダクトと前記電極との距離より短いことが好ましい。排ガスダクトと原料装入シュートの距離が、排ガスダクトと電極の距離より短いので、電極で加熱されることにより発生した可燃性ガスを順次二次燃焼させることが可能となる領域が広くなるとともに、二次燃焼後の酸化性の排ガスが排ガスダクトの方向に流れて、この排ガスが電極に流れて電極を損傷するのを抑制することができる。
【0066】
これら製造方法において、前記電気炉は、前記排ガスダクトと前記原料装入シュートの間に、炉内に垂下する隔壁をさらに備えていることが好ましい。この隔壁によって、原料装入シュートが高温の排ガスで過熱されて損傷するのを防止することができる。
【0067】
これら製造方法において、前記電気炉は、前記電極と前記二次燃焼バーナとの間に、炉内に垂下する隔壁をさらに備えていることが好ましい。この隔壁によって、二次燃焼後の酸化性排ガスが電極に接触するのを防止することができる。
【0068】
これら製造方法において、前記電気炉は、前記二次燃焼バーナと前記排ガスダクトとの間に、炉内に垂下する隔壁をさらに備えていることが好ましい。この隔壁によって、二次燃焼後の排ガスが排ガスダクトへショートカットするのを防止して、塊成化物層への放射伝熱量を十分に確保することができる。
【0069】
これら製造方法において、原料に応じた位置から原料を装入することが好ましく、原料の安息角に応じて前記原料装入シュートの原料投入口の高さを変更することが好ましい。例えば、前記原料装入シュートが原料投入口を上下方向に移動可能なアウターシュートを備えていればよい。これにより、原料の安息角に応じて原料装入シュートのアウターシュートを上下方向に移動させて原料投入口の高さを変更することで、塊成化物層の下端部と加熱器の加熱部との距離を適正に保つことができるので、溶解特性または熱効率を適正化できる。例えば、加熱器としてアーク炉(電気炉)の上方から炉内に挿入される電極を用いた場合において、炭材内装塊成化物をブリケットから安息角がより小さなペレットに切り替えたときに、ペレットの溶解が最も効果的に進行するようにアウターシュートを下方に移動させて、電極とペレット層(塊成化物層)の下端部との距離を調整することで、エネルギ原単位を上昇させずに、また電極を異常に消耗させること無く 、ペレットを溶解することが適正化できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の溶融金属の製造方法を用いれば、設備コストおよびエネルギ原単位を従来の溶融金属の製造方法よりも大幅に低減して溶融金属を製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置式非傾動型電気炉を用いて溶融金属を製造する方法であって、
前記電気炉は、炉幅方向の一方の端部に上方から炉内に接続する原料装入シュートと、炉幅方向の他方の端部であって炉内高さ方向の下部である位置を電気で加熱する加熱器と、炉上部において前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられた二次燃焼バーナとを備えており、
前記原料装入シュートから炭材および/または溶融金属となる非揮発性金属元素を含有する炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、炉内上方の前記一方の端部から炉内下方の前記他方の端部に向かう下り勾配の斜面を有する原料充填層を形成し、
次いで、前記原料装入シュートから前記炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、前記原料充填層の斜面上に塊成化物層を形成し、
その後、前記塊成化物層の下端部を前記加熱器で加熱して前記炭材内装塊成化物を溶融することにより、炉内に溶融金属層と溶融スラグ層を形成するとともに、前記溶融により前記塊成化物層をその下端部に向かって前記原料充填層の斜面に沿って降下させつつ、前記二次燃焼バーナから炉内に酸素含有ガスを吹き込んで、前記塊成化物層から発生するCO含有ガスを燃焼させ、その放射熱により前記塊成化物層を加熱して還元する溶融金属の製造方法。
【請求項2】
定置式非傾動型電気炉を用いて溶融金属を製造する方法であって、
前記電気炉は、炉幅方向の一方の端部と他方の端部に上方から炉内にそれぞれ接続する複数の原料装入シュートと、炉幅方向において前記一方の端部に接続する原料装入シュートと他方の端部に接続する原料装入シュートの間であって炉内高さ方向の下部である位置を電気で加熱する加熱器と、高さ方向では炉上部であって炉幅方向では前記一方の端部に接続する原料装入シュートと前記加熱器との間である位置および高さ方向では炉上部であって炉幅方向では前記他方の端部に接続する原料装入シュートと当該加熱器との間である位置にそれぞれ設けられた二次燃焼バーナとを備えており、
前記原料装入シュートから炭材および/または溶融金属となる非揮発性金属元素を含有する炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、炉内上方の前記一方の端部から炉内下方の前記加熱器が加熱する位置に向かう下り勾配の斜面と、炉内上方の前記他方の端部から炉内下方の当該加熱器が加熱する位置に向かう下り勾配の斜面とを有する原料充填層を形成し、
次いで、前記原料装入シュートから前記炭材内装塊成化物を所定量炉内に装入して、前記原料充填層の各斜面上に塊成化物層を形成し、
その後、前記塊成化物層の下端部を前記加熱器で加熱して前記炭材内装塊成化物を溶融することにより、炉内に溶融金属層と溶融スラグ層を形成するとともに、前記溶融により前記塊成化物層をその下端部に向かって前記原料充填層の各斜面に沿って降下させつつ、前記二次燃焼バーナから炉内に酸素含有ガスを吹き込んで、前記塊成化物層から発生するCO含有ガスを燃焼させ、その放射熱により前記塊成化物層を加熱して還元する溶融金属の製造方法。
【請求項3】
前記加熱器で加熱するときに、前記原料装入シュートから前記炭材内装塊成化物を連続的または間欠的に炉内に装入し、前記塊成化物層のうち、前記塊成化物層の下端部に位置する前記炭材内装塊成化物を順次溶融する請求項1または2に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項4】
前記電気炉は炉上部に接続して炉内に生成した排ガスを排出する排ガスダクトをさらに備えている請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項5】
前記炭材内装塊成化物は揮発性金属元素をさらに含有し、前記排ガスダクトによって排出された排ガスから前記揮発性金属を分離および回収する請求項4に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項6】
前記加熱器は上方から炉内に挿入される電極であり、通電によって当該加熱器の下端がアーク加熱される請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項7】
前記電極の下端部を前記塊成化物層中または前記溶融スラグ層中に浸漬してアーク加熱を行う請求項6に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項8】
前記電気炉の炉上部において、前記排ガスダクトと前記原料装入シュートとの距離が、当該排ガスダクトと前記電極との距離より短い請求項6または7に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項9】
前記電気炉は、前記排ガスダクトと前記原料装入シュートの間に、炉内に垂下する隔壁をさらに備えている請求項4、5または8に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項10】
前記電気炉は、前記電極と前記二次燃焼バーナとの間に、炉内に垂下する隔壁をさらに備えている請求項6〜8のいずれか1項に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項11】
前記電気炉は、前記二次燃焼バーナと前記排ガスダクトとの間に、炉内に垂下する隔壁をさらに備えている請求項4、5、8または9に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項12】
前記原料装入シュートは炉内の高さ方向の異なる位置に原料を装入する請求項1〜11のいずれか1項に記載の溶融金属の製造方法。
【請求項13】
前記原料装入シュートは原料投入口を上下方向に移動可能なアウターシュートを備えている請求項12に記載の溶融金属の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−280910(P2009−280910A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105397(P2009−105397)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】