滑り軸受装置および内燃機関
【課題】運転始動時のフリクションを低減することができる滑り軸受装置および内燃機関を提供する。
【解決手段】エンジン滑り軸受装置10は、シリンダブロックのバルクヘッド21およびベアリングキャップ22と軸受メタル40との間にオイルを流通可能な熱交換部50と、メインギャラリ5と熱交換部50とを連通する潤滑油供給流路25と、熱交換部50と外部とを連通する潤滑油排出流路26と、を備える。これによって、クランクシャフト30の回転運動時に潤滑油供給流路25を通じて熱交換部50に供給されたオイルが、クランクシャフト30の回転運動の停止中に潤滑油排出流路26から排出されるために、軸受メタル40の冷却効率が低下する。よって、次回の回転運動の始動時に軸受近傍のオイルをすばやく低粘度化することができることから、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【解決手段】エンジン滑り軸受装置10は、シリンダブロックのバルクヘッド21およびベアリングキャップ22と軸受メタル40との間にオイルを流通可能な熱交換部50と、メインギャラリ5と熱交換部50とを連通する潤滑油供給流路25と、熱交換部50と外部とを連通する潤滑油排出流路26と、を備える。これによって、クランクシャフト30の回転運動時に潤滑油供給流路25を通じて熱交換部50に供給されたオイルが、クランクシャフト30の回転運動の停止中に潤滑油排出流路26から排出されるために、軸受メタル40の冷却効率が低下する。よって、次回の回転運動の始動時に軸受近傍のオイルをすばやく低粘度化することができることから、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り軸受装置および内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のシリンダブロックのバルクヘッド部に代表される滑り軸受装置は、回転運動するクランクシャフトのジャーナル部との間に潤滑油を供給して油膜を形成させることで、回転運動時におけるフリクションの低減および焼付き発生の抑制を図っている。
【0003】
この種の滑り軸受装置としては、軸受部に形成した溝部分に潤滑液の温度を検出する温度センサおよび圧力変動を検出する圧力センサを設け、これらセンサからの検出信号に基づき軸部分に供給する潤滑液の量を制御する技術が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、その他本発明と関連性があると考えられる技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平02−065796号公報
【特許文献2】実開昭63−038902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、内燃機関に用いられる潤滑油は、その温度が低くなるほど粘度が高くなり、潤滑油の粘度が高くなると内燃機関のフリクションが増大することが知られている。そのため、潤滑油の温度が比較的低い内燃機関の運転始動時、特に、冬場等の低温環境下での運転始動時には潤滑油が高粘度化して内燃機関のフリクションが高くなるために、車両の燃費および排気エミッションの悪化が生じてしまう。更に、内燃機関と電動アシストモータとを組み合わせたハイブリッドカーでは、内燃機関の運転始動時のフリクションが高いほど運転始動の際に電動アシストモータが消費する電力がより大きくなるために、車両に搭載するバッテリ容量を小さくすることが困難になる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、運転始動時のフリクションを低減することができる滑り軸受装置および内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の滑り軸受装置は、回動軸と滑り軸受部との間に前記回動軸よりも柔らかい材料からなる軸受部材を有し、前記回動軸と前記軸受部材との間に潤滑油が供給される滑り軸受装置であって、前記滑り軸受部と前記軸受部材との間に潤滑油を流通可能な熱交換部と、前記熱交換部と連通し、前記回動軸の回転運動時に外部から供給される潤滑油を前記熱交換部へ供給可能な潤滑油供給流路と、前記熱交換部と連通し、前記熱交換部の潤滑油を外部へ排出可能な潤滑油排出流路と、を備えることを特徴とする。
上記の構成により、回動軸の回転運動時には潤滑油供給流路を通じて供給される潤滑油が熱交換部および潤滑油排出流路を流通することで軸受部材の冷却効率が向上するために、回動軸と軸受部材との焼付き発生を抑制することができる。一方、回動軸の回転運動が停止すると潤滑油排出流路を通じて熱交換部の潤滑油が外部へ排出されて軸受部材の冷却効率が低下する。そのため、次回の回転運動の始動時に回動軸および軸受部材の温度を迅速に上昇させて軸受近傍にある潤滑油をすばやく低粘度化することができる。よって、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【0009】
特に、本発明の滑り軸受装置は、前記潤滑油排出流路を単位時間当りに流通する潤滑油量が、前記潤滑油供給流路を単位時間当りに流通する潤滑油量よりも少ない構成である。
上記の構成により、回動軸の回転運動時に潤滑油供給流路を通じて供給される単位時間当りの潤滑油の量が外部へ排出される量よりも多くなるために、熱交換部を潤滑油で満たして軸受部材の冷却効率を向上させることができる。よって、回動軸と軸受部材との焼付き発生を適切に抑制することができる。
【0010】
また、本発明の滑り軸受装置は、前記潤滑油排出流路が、前記回動軸の回転運動が停止する間に前記熱交換部の潤滑油が流れる方向に対面する前記熱交換部の部分と連通する構成である。
上記の構成により、回動軸の回転運動が停止する間に熱交換部の潤滑油が流れる方向(例えば重力方向)に対面する熱交換部の部分と連通する排出流路を通じて、熱交換部の潤滑油を適切に外部へ排出させることができる。よって、次回の回転運動の始動時に回動軸および軸受部材の温度を迅速に上昇させて軸受近傍にある潤滑油をすばやく低粘度化することができるために、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【0011】
そして、本発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の滑り軸受装置を備える内燃機関であって、前記回動軸はクランクシャフトのジャーナル部であり、前記潤滑油供給流路はシリンダブロックのバルクヘッドに設けられ、前記潤滑油排出流路は前記シリンダブロックのベアリングキャップに設けられることを特徴とする。
上記の構成により、内燃機関の運転始動時におけるクランクシャフトのジャーナル部とシリンダブロックのバルクヘッドおよびベアリングキャップとの間のフリクションを低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の滑り軸受装置および内燃機関によれば、回転運動の始動時に回動軸および軸受部材の温度を迅速に上昇させて軸受近傍にある潤滑油をすばやく低粘度化することができる。よって、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例のエンジンの一構成例を示した図である。
【図2】実施例の滑り軸受装置の一構成例を示した図である。
【図3】実施例の熱交換部の他の構成例を示した図である。
【図4】実施例のエンジンの運転始動時における軸受フリクションを示している。
【図5】実施例の滑り軸受装置の一構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の滑り軸受装置10を組み込んだエンジン100の一構成例を示した図である。なお、図1にはエンジンの1気筒の構成のみを示している。
【0016】
図1に示すエンジン100は、車両に搭載される多気筒の火花点火式ガソリンエンジンであって、各気筒は燃焼室を構成するピストンを備えている。各燃焼室のピストンはそれぞれコネクティングロッドを介して出力軸部材であるクランクシャフト30に連結されている。
吸気ポートから燃焼室内へ流入した混合ガスは、ピストンの上昇運動により燃焼室内で圧縮される。ECU(Electronic Control Unit)は、クランク角センサからのピストンの位置、および吸気カム角センサからのカム軸回転位相の情報に基づき、点火タイミングを決定しイグナイタに信号を送る。イグナイタはECUの信号に従って、指示された点火タイミングでバッテリからの電力を点火プラグに通電する。点火プラグはバッテリからの電力により点火し、圧縮混合ガスを着火させて、燃焼室内を膨張させピストンを下降させる。この下降運動がコネクティングロッドを介してクランクシャフト30の軸回転に変更されることにより、エンジン100は動力を得る。
この場合、エンジン100は、火花点火式ガソリンエンジンに限られず、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合した燃料を使用するフレキシブルフューエルエンジンであってもよいし、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであってもよい。更に、エンジン100は、電動アシストモータと組み合わされることでハイブリッドシステムを構成してもよい。
なお、エンジン100は、本発明の内燃機関の一構成例である。
【0017】
図2は、実施例の滑り軸受装置10の一構成例を示した図である。図2に示す滑り軸受装置10は、シリンダブロック20のバルクヘッド21およびベアリングキャップ22に潤滑油供給流路25および潤滑油排出流路26を備えている。また、滑り軸受装置10は、バルクヘッド21およびベアリングキャップ22とクランクシャフト30のジャーナル部31との間に設けられた軸受メタル40の背面(外周面)側に熱交換部50を備えている。
【0018】
エンジン100のシリンダブロック20は、例えば、アルミニウム(Al)合金によって構成されており、バルクヘッド21およびベアリングキャップ22が形成する滑り軸受部23,24によってクランクシャフト30のジャーナル部31を回転自在に支持している。
【0019】
クランクシャフト30は、例えば、炭素鋼(Fe)等の高剛性材料によって構成されており、ジャーナル部31、ピン部32、アーム部33およびカウンタウエイト34を備えている。各ピン部32には、それぞれ各気筒のコンロッド(図示しない)が軸受メタルを介して回転自在に連結している。クランクシャフト30の内部には、ジャーナル部31とピン部32とを連通するクランクシャフト流路(図示しない)が形成されており、後述する潤滑油供給流路25を通じてジャーナル部31に供給される潤滑油(オイル)の一部をピン部32へ流通させる。
【0020】
シリンダブロック20のバルクヘッド21は、クランクシャフト30のジャーナル部31を上方側(エンジン天部側)から支持するものである。バルクヘッド21には、内部にメインギャラリ5と滑り軸受部23とを連通する潤滑油供給流路25が設けられている。エンジン100が始動すると、オイルポンプ(図示しない)によって汲み上げられたオイルが、メインギャラリ5から潤滑油供給流路25を通じて滑り軸受部23へ供給される。滑り軸受部23へ供給されたオイルは、その一部が後述する軸受メタル40に設けられたオイル孔41を通じて軸受メタル40とジャーナル部31との間(クリアランス)に供給され、残りは後述する熱交換部50から潤滑油排出流路26へ流通する。一方、エンジン100の運転が停止するとオイルポンプの駆動も停止し、それによって滑り軸受部23へのオイル供給が停止する。
【0021】
ベアリングキャップ22は、クランクシャフト30のジャーナル部31を下方側(エンジン底部側)から支持するものである。ベアリングキャップ22には、内部に滑り軸受部24と外部(例えばオイルパン)とを連通する潤滑油排出流路26が設けられている。潤滑油排出流路26は、滑り軸受部24の任意の位置と外部とを連通する構成を採用することができるが、滑り軸受部24のより下方側(例えば重力方向側)の位置と外部とを連通する構成が望ましい。これによって、エンジン100の運転が停止する間に、滑り軸受部24と軸受メタル40との間に形成された熱交換部50のオイルが自重(重力)によって適切に外部へ排出される。
【0022】
また、潤滑油排出流路26は、その断面積が上述した潤滑油供給流路25の断面積よりも小さく構成されている。これによって、エンジン100の運転時に潤滑油供給流路25を通じて単位時間当りに熱交換部50に供給されるオイルの量よりも、潤滑油排出流路26を通じて単位時間当りに熱交換部50から排出されるオイルの量が少なくなっている。そのため、エンジン100の運転中は後述する熱交換部50が常にオイルで満たされるために、軸受メタル40の冷却効率が向上し、ジャーナル部31と軸受メタル40との焼付き発生を適切に抑制することができる。この場合、潤滑油排出流路26は、その流路の全部の断面積が潤滑油供給流路25の断面積よりも小さく構成されるのみならず、その流路の一部の断面積が潤滑油供給流路25の断面積よりも小さく構成されてもよい。また、潤滑油供給流路25と潤滑油排出流路26とは、双方の断面積を変える構成に限られずに、単位時間当りの流量差を生じさせる為のあらゆる構成を採用することができる。
【0023】
クランクシャフト30のジャーナル部31と滑り軸受部23,24との間には軸受メタル40が設けられている。軸受メタル40は、ジャーナル部31よりも柔らかい材料であって、例えば銅(Cu)を主成分としている。軸受メタル40は、滑り軸受部23側に設置されるアッパメタルと、滑り軸受部24側に設置されるロアメタルからなる半割り構造であって、滑り軸受部23,24側とジャーナル部31側とを連通する複数のオイル孔41を有している。
なお、軸受メタル40は、本発明の軸受部材の一構成例である。
【0024】
そして、軸受メタル40は、滑り軸受部23,24との間に熱交換部50を有している。熱交換部50は、軸受メタル40と滑り軸受部23,24との間に所定の空間が形成されるよう、滑り軸受部23,24と接する側の軸受メタル40の面(すなわち外周面)の全周に亘って形成された溝構造である。本実施例の熱交換部50は、クランクシャフト30の軸と直交する方向に対して単一の溝構造であるが、複数の溝構造を組み合わせた構成であってもよい(図3参照)。また、熱交換部50は、軸受メタル40とオイルとの接触面積をより大きくとるために、クランクシャフト30の軸方向に対して潤滑油供給流路25よりも幅広に構成されることが望ましい。
【0025】
エンジン100の運転中は、メインギャラリ5から潤滑油供給流路25を通じて熱交換部50にオイルが供給される。熱交換部50に供給されたオイルは、軸受メタル40と熱交換し、それによって軸受メタル40が冷却される。そして、軸受メタル40との熱交換によって高温となったオイルは、潤滑油排出流路26から外部へ排出されて冷却された後に、また潤滑油供給流路25を通じて熱交換部50へ供給される。このように、エンジン100の運転中は熱交換部50を常に低温のオイルが流通するために、軸受メタル40の冷却効率が向上し、ジャーナル部31と軸受メタル40との焼付き発生が抑制される。
【0026】
一方、エンジン100の運転が停止すると、オイルポンプの運転が停止するために熱交換部50へのオイル供給が停止する。そして、熱交換部50のオイルは潤滑油排出流路26を通じて外部へ排出されて、熱交換部50が大気で満たされるために、軸受メタル40の冷却効率が低下する。これによって、次回のエンジン100の運転開始時に軸受メタル40およびジャーナル部31が迅速に昇温するために、軸受近傍にあるオイルをすばやく低粘度化することができる。よって、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【0027】
図4は、実施例のエンジン100の運転始動時における軸受フリクションを示している。図4には、比較例として熱交換部50および潤滑油排出流路26を有していないエンジンの軸受フリクションも掲載している。エンジン100の運転が開始されると、エンジン回転数、すなわちクランクシャフト30の回転数が所定の回転数(例えばクランキング回転数)まで上昇する。また、クランクシャフト30の回転開始に伴って、オイルポンプから潤滑油の供給が開始されてメインギャラリ5の油圧が上昇してゆくが、クランクシャフト30の回転開始から油圧が上昇するまで所定のタイムラグが生じる。この油圧が上昇するまでのタイムラグの間は、熱交換部50をオイルが流通しない、すなわち、軸受メタル40の冷却効率が低い状態であるため、軸受メタル40およびジャーナル部31が迅速に昇温し、軸受近傍にあるオイルがすばやく低粘度化する。そのため、比較例に対して軸受フリクションを大幅に低減することができる。
【0028】
以上のように、本実施例のエンジンの滑り軸受装置は、シリンダブロックのバルクヘッドおよびベアリングキャップと軸受メタルとの間にオイルを流通可能な熱交換部と、メインギャラリと熱交換部とを連通する潤滑油供給流路と、熱交換部と外部とを連通する潤滑油排出流路と、を備える。これによって、クランクシャフトの回転運動時に潤滑油供給流路を通じて熱交換部に供給されたオイルが、クランクシャフトの回転運動の停止中に潤滑油排出流路から排出されるために、軸受メタルの冷却効率が低下する。よって、次回の回転運動の始動時に軸受近傍のオイルをすばやく低粘度化することができることから、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【実施例2】
【0029】
つづいて、本発明の実施例2について説明する。本実施例の滑り軸受装置60は、シリンダブロック20のバルクヘッド71およびベアリングキャップ72側に熱交換部90が形成される点で実施例1の滑り軸受装置10と相違している。
【0030】
図5は、実施例の滑り軸受装置60の一構成例を示した図である。滑り軸受部73,74は、軸受メタル80(本発明の軸受部材に相当する)との間に熱交換部90を有している。熱交換部90は、滑り軸受部73,74と軸受メタル80との間に所定の空間が形成されるよう、軸受メタル80と接する側の滑り軸受部73,74の面(すなわち内周面)の全周に亘って形成された溝構造である。すなわち、本実施例の熱交換部90は、実施例1において熱交換部50を滑り軸受部23,24側に形成した構成に相当する。
【0031】
本実施例の構成によっても、エンジン100の運転中は熱交換部90を常に低温のオイルが流通するために、軸受メタル80の冷却効率が向上し、ジャーナル部31と軸受メタル80との焼付き発生が抑制される。そして、エンジン100の運転が停止すると、熱交換部90のオイルは潤滑油排出流路76を通じて外部へ排出されて、熱交換部90が大気で満たされるために、軸受メタル80の冷却効率が低下する。これによって、次回のエンジン100の運転開始時に軸受メタル80およびジャーナル部31が迅速に昇温するために、軸受近傍にあるオイルをすばやく低粘度化することができる。よって、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【0032】
この場合、熱交換部90は、クランクシャフト30の軸と直交する方向に対して単一の溝構造であるが、実施例1と同様に、複数の溝構造を組み合わせた構成であってもよい。また、熱交換部90は、軸受メタル80とオイルとの接触面積をより大きくとるために、実施例1と同様に、クランクシャフト30の軸方向に対して潤滑油供給流路75よりも幅広に構成されることが望ましい。
【0033】
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0034】
例えば、本実施例では、熱交換部を軸受メタル側、またはシリンダブロックのバルクヘッドおよびベアリングキャップ側のいずれか一方に形成したが、双方に形成する構成であってもよい。
【0035】
また、本実施例では、シリンダブロックのバルクヘッドおよびベアリングキャップとクランクシャフトのジャーナル部とを滑り軸受装置として説明したが、これ以外の滑り軸受部分(例えば、コンロッドとクランクシャフトのピン部、カムシャフトとカムホルダ等)にも本技術を適用することができる。また、内燃機関以外の滑り軸受部分においても本技術を適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
5 メインギャラリ
10 滑り軸受装置
20 シリンダブロック
21 バルクヘッド
22 ベアリングキャップ
23,24 滑り軸受部
25 潤滑油供給流路
26 潤滑油排出流路
30 クランクシャフト
31 ジャーナル部
40 軸受メタル(軸受部材)
50 熱交換部
100 エンジン
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り軸受装置および内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のシリンダブロックのバルクヘッド部に代表される滑り軸受装置は、回転運動するクランクシャフトのジャーナル部との間に潤滑油を供給して油膜を形成させることで、回転運動時におけるフリクションの低減および焼付き発生の抑制を図っている。
【0003】
この種の滑り軸受装置としては、軸受部に形成した溝部分に潤滑液の温度を検出する温度センサおよび圧力変動を検出する圧力センサを設け、これらセンサからの検出信号に基づき軸部分に供給する潤滑液の量を制御する技術が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、その他本発明と関連性があると考えられる技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平02−065796号公報
【特許文献2】実開昭63−038902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、内燃機関に用いられる潤滑油は、その温度が低くなるほど粘度が高くなり、潤滑油の粘度が高くなると内燃機関のフリクションが増大することが知られている。そのため、潤滑油の温度が比較的低い内燃機関の運転始動時、特に、冬場等の低温環境下での運転始動時には潤滑油が高粘度化して内燃機関のフリクションが高くなるために、車両の燃費および排気エミッションの悪化が生じてしまう。更に、内燃機関と電動アシストモータとを組み合わせたハイブリッドカーでは、内燃機関の運転始動時のフリクションが高いほど運転始動の際に電動アシストモータが消費する電力がより大きくなるために、車両に搭載するバッテリ容量を小さくすることが困難になる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、運転始動時のフリクションを低減することができる滑り軸受装置および内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の滑り軸受装置は、回動軸と滑り軸受部との間に前記回動軸よりも柔らかい材料からなる軸受部材を有し、前記回動軸と前記軸受部材との間に潤滑油が供給される滑り軸受装置であって、前記滑り軸受部と前記軸受部材との間に潤滑油を流通可能な熱交換部と、前記熱交換部と連通し、前記回動軸の回転運動時に外部から供給される潤滑油を前記熱交換部へ供給可能な潤滑油供給流路と、前記熱交換部と連通し、前記熱交換部の潤滑油を外部へ排出可能な潤滑油排出流路と、を備えることを特徴とする。
上記の構成により、回動軸の回転運動時には潤滑油供給流路を通じて供給される潤滑油が熱交換部および潤滑油排出流路を流通することで軸受部材の冷却効率が向上するために、回動軸と軸受部材との焼付き発生を抑制することができる。一方、回動軸の回転運動が停止すると潤滑油排出流路を通じて熱交換部の潤滑油が外部へ排出されて軸受部材の冷却効率が低下する。そのため、次回の回転運動の始動時に回動軸および軸受部材の温度を迅速に上昇させて軸受近傍にある潤滑油をすばやく低粘度化することができる。よって、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【0009】
特に、本発明の滑り軸受装置は、前記潤滑油排出流路を単位時間当りに流通する潤滑油量が、前記潤滑油供給流路を単位時間当りに流通する潤滑油量よりも少ない構成である。
上記の構成により、回動軸の回転運動時に潤滑油供給流路を通じて供給される単位時間当りの潤滑油の量が外部へ排出される量よりも多くなるために、熱交換部を潤滑油で満たして軸受部材の冷却効率を向上させることができる。よって、回動軸と軸受部材との焼付き発生を適切に抑制することができる。
【0010】
また、本発明の滑り軸受装置は、前記潤滑油排出流路が、前記回動軸の回転運動が停止する間に前記熱交換部の潤滑油が流れる方向に対面する前記熱交換部の部分と連通する構成である。
上記の構成により、回動軸の回転運動が停止する間に熱交換部の潤滑油が流れる方向(例えば重力方向)に対面する熱交換部の部分と連通する排出流路を通じて、熱交換部の潤滑油を適切に外部へ排出させることができる。よって、次回の回転運動の始動時に回動軸および軸受部材の温度を迅速に上昇させて軸受近傍にある潤滑油をすばやく低粘度化することができるために、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【0011】
そして、本発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の滑り軸受装置を備える内燃機関であって、前記回動軸はクランクシャフトのジャーナル部であり、前記潤滑油供給流路はシリンダブロックのバルクヘッドに設けられ、前記潤滑油排出流路は前記シリンダブロックのベアリングキャップに設けられることを特徴とする。
上記の構成により、内燃機関の運転始動時におけるクランクシャフトのジャーナル部とシリンダブロックのバルクヘッドおよびベアリングキャップとの間のフリクションを低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の滑り軸受装置および内燃機関によれば、回転運動の始動時に回動軸および軸受部材の温度を迅速に上昇させて軸受近傍にある潤滑油をすばやく低粘度化することができる。よって、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例のエンジンの一構成例を示した図である。
【図2】実施例の滑り軸受装置の一構成例を示した図である。
【図3】実施例の熱交換部の他の構成例を示した図である。
【図4】実施例のエンジンの運転始動時における軸受フリクションを示している。
【図5】実施例の滑り軸受装置の一構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の滑り軸受装置10を組み込んだエンジン100の一構成例を示した図である。なお、図1にはエンジンの1気筒の構成のみを示している。
【0016】
図1に示すエンジン100は、車両に搭載される多気筒の火花点火式ガソリンエンジンであって、各気筒は燃焼室を構成するピストンを備えている。各燃焼室のピストンはそれぞれコネクティングロッドを介して出力軸部材であるクランクシャフト30に連結されている。
吸気ポートから燃焼室内へ流入した混合ガスは、ピストンの上昇運動により燃焼室内で圧縮される。ECU(Electronic Control Unit)は、クランク角センサからのピストンの位置、および吸気カム角センサからのカム軸回転位相の情報に基づき、点火タイミングを決定しイグナイタに信号を送る。イグナイタはECUの信号に従って、指示された点火タイミングでバッテリからの電力を点火プラグに通電する。点火プラグはバッテリからの電力により点火し、圧縮混合ガスを着火させて、燃焼室内を膨張させピストンを下降させる。この下降運動がコネクティングロッドを介してクランクシャフト30の軸回転に変更されることにより、エンジン100は動力を得る。
この場合、エンジン100は、火花点火式ガソリンエンジンに限られず、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合した燃料を使用するフレキシブルフューエルエンジンであってもよいし、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであってもよい。更に、エンジン100は、電動アシストモータと組み合わされることでハイブリッドシステムを構成してもよい。
なお、エンジン100は、本発明の内燃機関の一構成例である。
【0017】
図2は、実施例の滑り軸受装置10の一構成例を示した図である。図2に示す滑り軸受装置10は、シリンダブロック20のバルクヘッド21およびベアリングキャップ22に潤滑油供給流路25および潤滑油排出流路26を備えている。また、滑り軸受装置10は、バルクヘッド21およびベアリングキャップ22とクランクシャフト30のジャーナル部31との間に設けられた軸受メタル40の背面(外周面)側に熱交換部50を備えている。
【0018】
エンジン100のシリンダブロック20は、例えば、アルミニウム(Al)合金によって構成されており、バルクヘッド21およびベアリングキャップ22が形成する滑り軸受部23,24によってクランクシャフト30のジャーナル部31を回転自在に支持している。
【0019】
クランクシャフト30は、例えば、炭素鋼(Fe)等の高剛性材料によって構成されており、ジャーナル部31、ピン部32、アーム部33およびカウンタウエイト34を備えている。各ピン部32には、それぞれ各気筒のコンロッド(図示しない)が軸受メタルを介して回転自在に連結している。クランクシャフト30の内部には、ジャーナル部31とピン部32とを連通するクランクシャフト流路(図示しない)が形成されており、後述する潤滑油供給流路25を通じてジャーナル部31に供給される潤滑油(オイル)の一部をピン部32へ流通させる。
【0020】
シリンダブロック20のバルクヘッド21は、クランクシャフト30のジャーナル部31を上方側(エンジン天部側)から支持するものである。バルクヘッド21には、内部にメインギャラリ5と滑り軸受部23とを連通する潤滑油供給流路25が設けられている。エンジン100が始動すると、オイルポンプ(図示しない)によって汲み上げられたオイルが、メインギャラリ5から潤滑油供給流路25を通じて滑り軸受部23へ供給される。滑り軸受部23へ供給されたオイルは、その一部が後述する軸受メタル40に設けられたオイル孔41を通じて軸受メタル40とジャーナル部31との間(クリアランス)に供給され、残りは後述する熱交換部50から潤滑油排出流路26へ流通する。一方、エンジン100の運転が停止するとオイルポンプの駆動も停止し、それによって滑り軸受部23へのオイル供給が停止する。
【0021】
ベアリングキャップ22は、クランクシャフト30のジャーナル部31を下方側(エンジン底部側)から支持するものである。ベアリングキャップ22には、内部に滑り軸受部24と外部(例えばオイルパン)とを連通する潤滑油排出流路26が設けられている。潤滑油排出流路26は、滑り軸受部24の任意の位置と外部とを連通する構成を採用することができるが、滑り軸受部24のより下方側(例えば重力方向側)の位置と外部とを連通する構成が望ましい。これによって、エンジン100の運転が停止する間に、滑り軸受部24と軸受メタル40との間に形成された熱交換部50のオイルが自重(重力)によって適切に外部へ排出される。
【0022】
また、潤滑油排出流路26は、その断面積が上述した潤滑油供給流路25の断面積よりも小さく構成されている。これによって、エンジン100の運転時に潤滑油供給流路25を通じて単位時間当りに熱交換部50に供給されるオイルの量よりも、潤滑油排出流路26を通じて単位時間当りに熱交換部50から排出されるオイルの量が少なくなっている。そのため、エンジン100の運転中は後述する熱交換部50が常にオイルで満たされるために、軸受メタル40の冷却効率が向上し、ジャーナル部31と軸受メタル40との焼付き発生を適切に抑制することができる。この場合、潤滑油排出流路26は、その流路の全部の断面積が潤滑油供給流路25の断面積よりも小さく構成されるのみならず、その流路の一部の断面積が潤滑油供給流路25の断面積よりも小さく構成されてもよい。また、潤滑油供給流路25と潤滑油排出流路26とは、双方の断面積を変える構成に限られずに、単位時間当りの流量差を生じさせる為のあらゆる構成を採用することができる。
【0023】
クランクシャフト30のジャーナル部31と滑り軸受部23,24との間には軸受メタル40が設けられている。軸受メタル40は、ジャーナル部31よりも柔らかい材料であって、例えば銅(Cu)を主成分としている。軸受メタル40は、滑り軸受部23側に設置されるアッパメタルと、滑り軸受部24側に設置されるロアメタルからなる半割り構造であって、滑り軸受部23,24側とジャーナル部31側とを連通する複数のオイル孔41を有している。
なお、軸受メタル40は、本発明の軸受部材の一構成例である。
【0024】
そして、軸受メタル40は、滑り軸受部23,24との間に熱交換部50を有している。熱交換部50は、軸受メタル40と滑り軸受部23,24との間に所定の空間が形成されるよう、滑り軸受部23,24と接する側の軸受メタル40の面(すなわち外周面)の全周に亘って形成された溝構造である。本実施例の熱交換部50は、クランクシャフト30の軸と直交する方向に対して単一の溝構造であるが、複数の溝構造を組み合わせた構成であってもよい(図3参照)。また、熱交換部50は、軸受メタル40とオイルとの接触面積をより大きくとるために、クランクシャフト30の軸方向に対して潤滑油供給流路25よりも幅広に構成されることが望ましい。
【0025】
エンジン100の運転中は、メインギャラリ5から潤滑油供給流路25を通じて熱交換部50にオイルが供給される。熱交換部50に供給されたオイルは、軸受メタル40と熱交換し、それによって軸受メタル40が冷却される。そして、軸受メタル40との熱交換によって高温となったオイルは、潤滑油排出流路26から外部へ排出されて冷却された後に、また潤滑油供給流路25を通じて熱交換部50へ供給される。このように、エンジン100の運転中は熱交換部50を常に低温のオイルが流通するために、軸受メタル40の冷却効率が向上し、ジャーナル部31と軸受メタル40との焼付き発生が抑制される。
【0026】
一方、エンジン100の運転が停止すると、オイルポンプの運転が停止するために熱交換部50へのオイル供給が停止する。そして、熱交換部50のオイルは潤滑油排出流路26を通じて外部へ排出されて、熱交換部50が大気で満たされるために、軸受メタル40の冷却効率が低下する。これによって、次回のエンジン100の運転開始時に軸受メタル40およびジャーナル部31が迅速に昇温するために、軸受近傍にあるオイルをすばやく低粘度化することができる。よって、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【0027】
図4は、実施例のエンジン100の運転始動時における軸受フリクションを示している。図4には、比較例として熱交換部50および潤滑油排出流路26を有していないエンジンの軸受フリクションも掲載している。エンジン100の運転が開始されると、エンジン回転数、すなわちクランクシャフト30の回転数が所定の回転数(例えばクランキング回転数)まで上昇する。また、クランクシャフト30の回転開始に伴って、オイルポンプから潤滑油の供給が開始されてメインギャラリ5の油圧が上昇してゆくが、クランクシャフト30の回転開始から油圧が上昇するまで所定のタイムラグが生じる。この油圧が上昇するまでのタイムラグの間は、熱交換部50をオイルが流通しない、すなわち、軸受メタル40の冷却効率が低い状態であるため、軸受メタル40およびジャーナル部31が迅速に昇温し、軸受近傍にあるオイルがすばやく低粘度化する。そのため、比較例に対して軸受フリクションを大幅に低減することができる。
【0028】
以上のように、本実施例のエンジンの滑り軸受装置は、シリンダブロックのバルクヘッドおよびベアリングキャップと軸受メタルとの間にオイルを流通可能な熱交換部と、メインギャラリと熱交換部とを連通する潤滑油供給流路と、熱交換部と外部とを連通する潤滑油排出流路と、を備える。これによって、クランクシャフトの回転運動時に潤滑油供給流路を通じて熱交換部に供給されたオイルが、クランクシャフトの回転運動の停止中に潤滑油排出流路から排出されるために、軸受メタルの冷却効率が低下する。よって、次回の回転運動の始動時に軸受近傍のオイルをすばやく低粘度化することができることから、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【実施例2】
【0029】
つづいて、本発明の実施例2について説明する。本実施例の滑り軸受装置60は、シリンダブロック20のバルクヘッド71およびベアリングキャップ72側に熱交換部90が形成される点で実施例1の滑り軸受装置10と相違している。
【0030】
図5は、実施例の滑り軸受装置60の一構成例を示した図である。滑り軸受部73,74は、軸受メタル80(本発明の軸受部材に相当する)との間に熱交換部90を有している。熱交換部90は、滑り軸受部73,74と軸受メタル80との間に所定の空間が形成されるよう、軸受メタル80と接する側の滑り軸受部73,74の面(すなわち内周面)の全周に亘って形成された溝構造である。すなわち、本実施例の熱交換部90は、実施例1において熱交換部50を滑り軸受部23,24側に形成した構成に相当する。
【0031】
本実施例の構成によっても、エンジン100の運転中は熱交換部90を常に低温のオイルが流通するために、軸受メタル80の冷却効率が向上し、ジャーナル部31と軸受メタル80との焼付き発生が抑制される。そして、エンジン100の運転が停止すると、熱交換部90のオイルは潤滑油排出流路76を通じて外部へ排出されて、熱交換部90が大気で満たされるために、軸受メタル80の冷却効率が低下する。これによって、次回のエンジン100の運転開始時に軸受メタル80およびジャーナル部31が迅速に昇温するために、軸受近傍にあるオイルをすばやく低粘度化することができる。よって、運転始動時のフリクションを低減することができる。
【0032】
この場合、熱交換部90は、クランクシャフト30の軸と直交する方向に対して単一の溝構造であるが、実施例1と同様に、複数の溝構造を組み合わせた構成であってもよい。また、熱交換部90は、軸受メタル80とオイルとの接触面積をより大きくとるために、実施例1と同様に、クランクシャフト30の軸方向に対して潤滑油供給流路75よりも幅広に構成されることが望ましい。
【0033】
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0034】
例えば、本実施例では、熱交換部を軸受メタル側、またはシリンダブロックのバルクヘッドおよびベアリングキャップ側のいずれか一方に形成したが、双方に形成する構成であってもよい。
【0035】
また、本実施例では、シリンダブロックのバルクヘッドおよびベアリングキャップとクランクシャフトのジャーナル部とを滑り軸受装置として説明したが、これ以外の滑り軸受部分(例えば、コンロッドとクランクシャフトのピン部、カムシャフトとカムホルダ等)にも本技術を適用することができる。また、内燃機関以外の滑り軸受部分においても本技術を適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
5 メインギャラリ
10 滑り軸受装置
20 シリンダブロック
21 バルクヘッド
22 ベアリングキャップ
23,24 滑り軸受部
25 潤滑油供給流路
26 潤滑油排出流路
30 クランクシャフト
31 ジャーナル部
40 軸受メタル(軸受部材)
50 熱交換部
100 エンジン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸と滑り軸受部との間に前記回動軸よりも柔らかい材料からなる軸受部材を有し、前記回動軸と前記軸受部材との間に潤滑油が供給される滑り軸受装置であって、
前記滑り軸受部と前記軸受部材との間に潤滑油を流通可能な熱交換部と、
前記熱交換部と連通し、前記回動軸の回転運動時に外部から供給される潤滑油を前記熱交換部へ供給可能な潤滑油供給流路と、
前記熱交換部と連通し、前記熱交換部の潤滑油を外部へ排出可能な潤滑油排出流路と、
を備えることを特徴とする滑り軸受装置。
【請求項2】
前記潤滑油排出流路を単位時間当りに流通する潤滑油量は、前記潤滑油供給流路を単位時間当りに流通する潤滑油量よりも少ないことを特徴とする請求項1記載の滑り軸受装置。
【請求項3】
前記潤滑油排出流路は、前記回動軸の回転運動が停止する間に前記熱交換部の潤滑油が流れる方向に対面する前記熱交換部の部分と連通することを特徴とする請求項1または2記載の滑り軸受装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の滑り軸受装置を備える内燃機関であって、
前記回動軸はクランクシャフトのジャーナル部であり、前記潤滑油供給流路はシリンダブロックのバルクヘッドに設けられ、前記潤滑油排出流路は前記シリンダブロックのベアリングキャップに設けられることを特徴とする内燃機関。
【請求項1】
回動軸と滑り軸受部との間に前記回動軸よりも柔らかい材料からなる軸受部材を有し、前記回動軸と前記軸受部材との間に潤滑油が供給される滑り軸受装置であって、
前記滑り軸受部と前記軸受部材との間に潤滑油を流通可能な熱交換部と、
前記熱交換部と連通し、前記回動軸の回転運動時に外部から供給される潤滑油を前記熱交換部へ供給可能な潤滑油供給流路と、
前記熱交換部と連通し、前記熱交換部の潤滑油を外部へ排出可能な潤滑油排出流路と、
を備えることを特徴とする滑り軸受装置。
【請求項2】
前記潤滑油排出流路を単位時間当りに流通する潤滑油量は、前記潤滑油供給流路を単位時間当りに流通する潤滑油量よりも少ないことを特徴とする請求項1記載の滑り軸受装置。
【請求項3】
前記潤滑油排出流路は、前記回動軸の回転運動が停止する間に前記熱交換部の潤滑油が流れる方向に対面する前記熱交換部の部分と連通することを特徴とする請求項1または2記載の滑り軸受装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の滑り軸受装置を備える内燃機関であって、
前記回動軸はクランクシャフトのジャーナル部であり、前記潤滑油供給流路はシリンダブロックのバルクヘッドに設けられ、前記潤滑油排出流路は前記シリンダブロックのベアリングキャップに設けられることを特徴とする内燃機関。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−42040(P2012−42040A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186419(P2010−186419)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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