説明

滑動テーブル

【課題】テーブル板の支持ユニットのサイズが比較的に小さく、そしてテーブル板を大きな角度で回転移動させることができる滑動テーブルを提供すること。
【解決手段】基台11の上に支持装置を介して滑動可能に支持されたテーブル板13を備え、そして上記支持装置が、基台に固定された中央に開口部を備える支持板22と、その上下の各表面に複数個の球体23を介して接触配置され且つ互いに上記開口部を通る支柱を介して接合された上側可動板24及び下側可動板と、複数個の球体23を保持する球体保持板47とを有する、テーブル板の下面中央に配置された主支持ユニット21、および基台に固定された支持板42と、支持板の上面に複数個の球体43を介して接触配置された可動板44と、複数個の球体43を保持する球体保持板47と、球体保持板の移動距離を制限する手段48とを有する、主支持ユニット21の周囲に配置された複数個の副支持ユニット41からなる滑動テーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決めテーブルの部品として用いられる滑動テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
位置決めテーブルは、滑動可能なテーブル板を備える滑動テーブルと、前記テーブル板の駆動装置とから構成される。
【0003】
位置決めテーブルは、例えば、液晶セルを構成する二枚のガラス基板を位置決めする際に用いられる。液晶セルの一方のガラス基板をテーブル板の上に載置し、このガラス基板の上方に他方のガラス基板を支持し、そして駆動装置を作動させてテーブル板をX軸方向もしくはY軸方向に直線移動、あるいはZ軸(テーブル板に垂直な軸)を中心として回転移動させることにより、二枚のガラス基板を互いに位置決めすることができる。
【0004】
滑動テーブルは、基台と基台上に支持装置を介して滑動可能に支持されたテーブル板とから構成される。支持装置は、例えば、基台に固定された中央に開口部を備える支持板と、支持板の上下の各表面に複数個の球体を介して接触配置され且つ上記支持板の開口部を通る支柱を介して互いに接続された一対の可動板とを備える支持ユニットの一個あるいは複数個から構成される。
【0005】
テーブル板を安定に支持するため、一個の支持ユニットを用いる場合には、テーブル板はその下面中央(テーブル板の重心の下方の位置)に配置された一個の支持ユニットにより支持される。そして複数個の支持ユニットを用いる場合には、テーブル板はその下面中央の周囲に配置された複数個の支持ユニットにより支持される。
【0006】
上記の支持ユニットは、一対の可動板が複数個の球体を介して支持板を緊密に挟んだ状態にて滑動するため、可動板に支持されたテーブル板の傾斜移動を抑制することができる。可動板が滑動する際の複数個の球体の転動を円滑なものとするため、支持板と可動板との対向面は極めて平滑に研磨される。
【0007】
特許文献1には、テーブル板が一個の支持ユニットによって滑動可能に支持された滑動テーブルが開示されている。支持ユニットは、基台(支持台3)に固定された支柱を備える支持板(上向支持面15uと下向支持面15lとを有する板材)と、支持板の各表面に複数個の球体を介して配置された一対の可動板を互いに接続して一体化した構成の可動部材(支持部材14)とを備えている。支持板の支柱の側に配置された可動板の中央には、上記支柱が通る開口部が備えられている。上記の可動板に支持固定されたテーブル板(テーブル1)は、上記可動板の開口部が支柱に接触するまで直線移動することができる。
【0008】
特許文献2にはテーブル板が複数個(例えば、四個)の支持ユニットによって滑動可能に支持された滑動テーブルが開示されている。各々の支持ユニット(滑動テーブル40)は、基台(大型支持台77)の隅部に配置されている。支持ユニットは、基台に固定された中央に開口部を備える支持板と、支持板の各表面に複数個の球体を介して配置され且つ互いに上記支持板の開口部を通る支柱を介して固定された一対の可動板とを備えている。上記の可動板に支持固定されたテーブル板(大型テーブル板75)は、上記支柱が支持板の開口部に接触するまで直線移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平1−242989号公報(第2図)
【特許文献2】特開2009−190123号公報(第7図−第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、位置決め対象物(例えば、液晶セルのガラス基板)の大型化に伴い、滑動テーブルの大型化が進んでいる。
【0011】
特許文献1の滑動テーブルは、テーブル板のサイズを大きくすると、テーブル板を支持する支持ユニットのサイズ、すなわち支持板や可動部材のサイズを大きくする必要がある。このため、支持板と可動部材との対向面を、大型の研磨装置を用いて極めて平滑に研磨する複雑な工程が必要になる。
【0012】
特許文献2の滑動テーブルでは、複数個の支持ユニットがテーブル板の隅部(テーブル板の回転移動の中心から離れた位置)を支持している。このため、各支持ユニットの可動板は、テーブル板を回転移動する際に、上記特許文献1のテーブル板の下面中央に配置された支持ユニットの可動部材と比較して、テーブル板の回転移動方向に長距離にて移動する。一方、各支持ユニットの可動板は、一対の可動板を互いに固定している支柱が支持板の開口部に接触するまで移動可能とされている。従って、テーブル板のサイズが大きくなる(例えば、テーブル板の各辺の長さが500mm程度以上になる)と、テーブル板を回転移動する際に、各支持ユニットの可動板がテーブル板の回転移動方向に更に長距離にて移動するため、テーブル板の回転移動の角度が小さくても上記支柱が支持板の開口部に接触するようになる。従って、テーブル板を大きな角度で回転移動させることができなくなる。
【0013】
本発明の課題は、テーブル板の支持ユニットのサイズが比較的に小さく、またテーブル板の傾斜移動が抑制されていて、そしてテーブル板のサイズが大きい場合であっても、テーブル板を大きな角度で回転移動させることができる滑動テーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基台と基台上に下記(1)乃至(3)の条件を満足する支持装置を介して滑動可能に支持されたテーブル板とを含む滑動テーブルにある。
(1)上記の支持装置は、上記テーブル板の下面中央に配置された主支持ユニットと主支持ユニットの周囲に配置された複数個の副支持ユニットとからなる。
(2)(イ)上記の主支持ユニットは、基台もしくはテーブル板に固定された中央に開口部を備える支持板と、支持板の上下の各々の表面に複数個の球体を介して接触配置され且つ支持板の開口部を通る支柱を介して互いに接続された上側可動板及び下側可動板と、そして支持板と各可動板との間の複数個の球体を回転可能に保持する球体保持板とからなるか、あるいは(ロ)上記の主支持ユニットは、基台もしくはテーブル板に固定された支柱を上下の一方の表面の中央に備える支持板と、支持板の支柱の側の表面に複数個の球体を介して接触配置され且つ中央に前記支柱が通る開口部を備える第一可動板と、支持板の反対側の表面に複数個の球体を介して接触配置された第二可動板と、第一可動板と第二可動板とを支持板の周囲にて互いに接続する接続部材と、そして支持板と各可動板との間の複数個の球体を回転可能に保持する球体保持板とからなる。
(3)上記の各々の副支持ユニットは、基台に固定された支持板と、支持板の上面に複数個の球体を介して接触配置された可動板と、支持板と可動板との間の複数個の球体を回転可能に保持する球体保持板と、そして球体保持板の移動距離を制限する手段とからなる。
【0015】
本発明の滑動テーブルの好ましい態様は、次の通りである。
(I)各副支持ユニットの球体保持板の中央に開口部が備えられていて、そして球体保持板の移動距離を制限する手段が、支持板の上面に備えられた前記球体保持板の開口部に係合する突起である。
(II)主支持ユニットが上記(2)の(イ)の条件を満足し、主支持ユニットの支持板が基台に固定されていて、そして前記の基台に主支持ユニットの下側可動板を収容する開口部が備えられている。
(III)主支持ユニットが上記(2)の(イ)の条件を満足し、主支持ユニットの支持板が基台に固定されていて、そして前記の支持板と基台との固定が、基台に下側可動板が接触することのないよう、スペーサを介してなされている。
【0016】
なお、本明細書において、上記の「テーブル板の下面中央」とは、テーブル板の下面内で且つテーブル板の重心の下方の位置を意味する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の滑動テーブルでは、テーブル板が主支持ユニットと複数個の副支持ユニットとで支持されているため、各支持ユニットのサイズが比較的に小さい。従って、各支持ユニットの支持板や可動板の研磨に大型の研磨装置を用いる必要はない。このため、滑動テーブルを簡単に製造することができる。また、本発明の滑動テーブルでは、主支持ユニットの上側可動板と下側可動板とが支持板を複数個の球体を介して緊密に挟んだ状態にて滑動するため、テーブル板の傾斜移動が抑制される。そして、テーブル板の下面の中央の周囲(テーブルが回転移動する際に大きく移動する部位)を支持している各副支持ユニットは、主支持ユニットと比較して長距離にて滑動可能な可動板(テーブル板を支持する機械部品)を備えている。このため、本発明の滑動テーブルは、テーブル板のサイズが大きい場合であっても、テーブル板を大きな角度にて回転移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の滑動テーブルの構成例を示す一部切り欠き平面図である。但し、図1にはテーブル板13の駆動装置60a、60b、60cを記入してある。
【図2】図1に示す主支持ユニット21を拡大して示す一部切り欠き平面図である。
【図3】図2に記入した切断線III−III線に沿って切断した主支持ユニット21の断面図である。但し、図3には基台11及びテーブル板13を記入してある。
【図4】図1に示す基台11の右上隅に配置された副支持ユニット41を拡大して示す一部切り欠き平面図である。
【図5】図4に記入した切断線V−V線に沿って切断した副支持ユニット41の断面図である。但し、図5には基台11及びテーブル板13を記入してある。
【図6】図1に示す駆動装置60aの近傍の部位の拡大図である。
【図7】図6の駆動装置60aの近傍の部位を図の下側から見た図である。
【図8】主支持ユニットの別の構成例を示す断面図である。但し、図8には基台51及びテーブル板13を記入してある。
【図9】主支持ユニットの更に別の構成例を示す断面図である。但し、図9には基台51及びテーブル板13を記入してある。
【図10】本発明の滑動テーブルの別の構成例を示す一部切り欠き平面図である。但し、図10にはテーブル板103の駆動装置60a、60b、60cを記入してある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の切断装置を、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の滑動テーブルの構成例を示す一部切り欠き平面図である。図2は、図1に示す主支持ユニット21を拡大して示す一部切り欠き平面図であり、そして図3は、図2に記入した切断線III−III線に沿って切断した主支持ユニット21の断面図である。図4は、図1に示す基台11の右上隅に配置された副支持ユニット41を拡大して示す一部切り欠き平面図であり、そして図5は、図4に記入した切断線V−V線に沿って切断した副支持ユニット41の断面図である。
【0020】
図1〜図5に示す本発明の滑動テーブル10は、基台11と基台11の上に前記(1)乃至(3)の条件を満足する支持装置を介して滑動可能に支持されたテーブル板13とを備えている。
【0021】
支持装置は、テーブル板13の下面中央に配置された主支持ユニット21と主支持ユニット21の周囲に配置された複数個(例えば、合計で四個の)の副支持ユニット41とから構成されている。
【0022】
このように、テーブル板13を、主支持ユニット21と複数個の副支持ユニット41とで支持すると、テーブル板を一個の支持ユニットで支持する場合と比較して、各支持ユニットのサイズを小さくすることができる。従って、各支持ユニットの支持板や可動板の表面を大型の研磨装置を用いて研磨する必要はない。このため、滑動テーブル10を簡単に製造することができる。
【0023】
図2及び図3に示す主支持ユニット21は、前記の(2)の(イ)の条件を満足するものであり、基台11に固定された中央に開口部22aを備える支持板22と、支持板22の上下の各々の表面に複数個の球体23を介して接触配置され且つ支持板22の開口部22aを通る支柱26を介して互いに接続された上側可動板24及び下側可動板25と、そして支持板22と各可動板との間の複数個の球体23を回転可能に保持する球体保持板27とから構成されている。
【0024】
この主支持ユニット21の上側可動板24と下側可動板25とが、支持板22を複数個の球体23を介して緊密に挟んだ状態にて滑動するため、上側可動板24に支持固定されたテーブル板13の傾斜移動が抑制される。これにより、例えば、テーブル板13の端部に大きな荷重が加わった際に反対側の端部が浮き上がることによって生じるテーブル板13の傾斜移動が抑制される。
【0025】
図3の主支持ユニット21の支持板22は、前記のように基台11に固定されていて、そして基台11には下側可動板25を収容する開口部11bが備えられている。このように、基台11の開口部11bに下側可動板25を収容することにより、滑動テーブルの高さを低くすることができる。
【0026】
主支持ユニットの支持板は、テーブル板に固定することもできる。この場合、テーブル板に上側可動板を収容する開口部を形成することにより、滑動テーブルの高さを低くすることができる。
【0027】
図3の主支持ユニット21の上側可動板24は、下側可動板25が基台11に接触するまで、例えば、図にて右側の方向に直線移動させることができる。
【0028】
従って、上側可動板24に支持固定されたテーブル板13の移動可能距離は、下側支持板25の端面と基台11の開口部11bの内面との距離D1に等しくなる。なお、上記距離D1よりも、支柱26の外周面と支持板22の開口部22aの内面との距離D2のほうが小さければ、テーブル板13の移動可能距離は距離D2に等しくなる。
【0029】
一方、主支持ユニット21の上側可動板24を、支柱26を中心として回転移動させる場合、下側可動板25と基台11とが接触したり、支柱26と支持板22とが接触したりすることはない。従って、主支持ユニット21が、テーブル板13の支柱26を中心とする回転移動を妨げることはない。
【0030】
図4及び図5に示す副支持ユニット41は、基台11に固定された支持板42と、支持板42の上面に複数個の球体43を介して接触配置された可動板44と、支持板42と可動板44との間の複数個の球体43を回転可能に保持する球体保持板47と、そして球体保持板47の移動距離を制限する手段(以下「球体保持板移動距離制限手段」とも云う)48とから構成されている。
【0031】
球体保持板移動距離制限手段は、球体保持板が球体と共に支持板の上面に沿って移動した際に、この球体保持板の移動距離を、支持板の上面の周縁から球体が落下しない範囲に制限する機能を有する。球体保持板移動距離制限手段は、前記機能を有する限り、その構成に特に制限はない。
【0032】
球体保持板移動距離制限手段としては、支持板に備えられた球体保持板に係合する突起を用いることが好ましい。例えば、支持板の表面に形成された、球体保持板の周囲を囲むように配置された複数個の突起、あるいは環状の突起などを用いることができる。
【0033】
図4及び図5に示す副支持ユニット41では、球体保持板47の中央に開口部47aが備えられていて、そして球体保持板移動距離制限手段48として、支持板42の上面に備えられた球体保持板47の開口部47aに係合する突起が用いられている。球体保持板47に開口部47aを形成することにより、簡単な構成の球体保持板移動距離制限手段(一個の突起)48を用いることが可能になる。
【0034】
図5の副支持ユニット41の可動板44を、例えば、図にて右側の方向に直線移動させると、複数個の球体43が転動して、これらの球体43を保持している球体保持板47と共に図にて右側の方向に移動する。
【0035】
球体保持板47は、その開口部47aの内面が支持板42の突起(すなわち球体保持板移動距離制限手段)48に接触するまで直線移動することができる。従って、球体保持板47の移動可能距離は、球体保持板47の開口部47aの内面と突起48の外周面との距離D3に等しくなる。従って、球体保持板47に保持された球体43の移動可能距離もまた、上記距離D3に等しくなる。一方、可動板44は、転動する複数個の球体43に支持されながら、球体43の移動距離の二倍の距離にて直線移動する。従って、可動板44の移動可能距離は、距離D3の二倍の距離に等しくなる。
【0036】
このように、副支持ユニット41は、下側可動板や支柱を備えていないため、上記主支持ユニットの上側可動板と比較して、可動板44を長距離にて直線移動させることができる。例えば、図5の副支持ユニット41の可動板44の移動可能距離(2×D3)は、図3の主支持ユニット21の上側可動板24の移動可能距離D1の概ね2.7倍にもなる。
【0037】
但し、テーブル板13は、図1に示すように下面中央が主支持ユニット21により支持されているため、テーブル板13を直線移動する際の移動可能距離は前記のように距離D1(あるいは距離D2)に等しくなる。
【0038】
一方、前記のように主支持ユニット21は、テーブル板13の支柱26を中心とする回転移動を妨げることはない。従って、テーブル板13を回転移動させた場合、例えば、図4及び図5に示す副支持ユニット41(図1にて基台11の右上隅に配置されたもの)の可動板44は、球体保持板47が図4に記入した矢印47bに沿って移動して、その開口部47aの内面が突起(球体保持板移動距離制限手段)48に接触するまで、長距離にて(上記距離D3に概ね等しい距離にて)旋回移動することができる。このため、テーブル板13を大きな角度にて回転移動させることができる。
【0039】
このように、図1〜図5に示す本発明の滑動テーブル10では、テーブル板13の下面中央の周囲(テーブル板13が回転移動する際に大きく移動する部位)を支持している各副支持ユニット41が、主支持ユニット21と比較して長距離にて滑動可能な可動板44を備えている。このため、滑動テーブル10は、テーブル板13のサイズが大きい場合であっても、テーブル板13を大きな角度にて回転移動させることができる。
【0040】
本発明の滑動テーブルのテーブル板の駆動方法は、公知の滑動テーブル、例えば、前記の各特許文献の滑動テーブルの場合と同様である。以下では、図1の滑動テーブル10のテーブル板13の駆動方法について、図1、図6及び図7に示す駆動装置60a〜60cを用いる場合を代表例として説明を行なう。
【0041】
図1に示す滑動テーブル10には、例えば、合計で三台の駆動装置60a、60b、60cが接続されている。駆動装置60a、60b、60cの構成は互いに同一である。以下では、駆動装置60aの構成を説明する。
【0042】
図6は、図1に示す駆動装置60aの近傍の部位の拡大図であり、そして図7は、図6の駆動装置60aの近傍の部位を図の下側から見た図である。
【0043】
駆動装置60aは、滑動テーブル10の基台11の側面に固定された補助台11aの上に設置されている。
【0044】
駆動装置60aは、回転駆動装置(代表例、ステッピングモータ)61、そして回転駆動装置61の回転軸61aにカップリング62を介して接続されたねじ軸63aと、ねじ軸63aの周囲に嵌め合わされたナット63bとからなる送りねじ63を備えている。
【0045】
送りねじ63のねじ軸63aは、補助台11aに設置された回転軸受64a、64bにより回転可能に支持されている。一方、送りねじ63のナット63bには、二本のロッド65が接続されている。各々のロッド65は、補助台11aに設置された直動軸受66により、その長さ方向に滑動可能に支持されている。
【0046】
二本のロッド65の先端には、一対の回転軸受67を介して軸体68が回転可能に支持されている。軸体68には、レール69aとスライダ69bとからなるリニアガイド69が揺動可能に支持されている。リニアガイド69のレール69aは接続部材71を介してテーブル板13に固定されている。
【0047】
例えば、回転駆動装置61の回転軸61aを送りねじ63のねじ軸63aと共に回転させ、ねじ軸63aに嵌め合わされたナット63bをX軸方向(図にて右側の方向)に移動させることにより、ナット63bにロッド65を介して接続された接続部材71をX軸方向に移動させることができる。回転駆動装置61の回転軸61aを前記の回転の向きとは逆向きに回転させることにより、接続部材71をX軸方向とは逆向き(図にて左側の方向)に移動させることができる。
【0048】
そして、図1に示す駆動装置60a、60bの各々の接続部材71をX軸方向に互いに等しい距離にて移動させることにより、テーブル板13をX軸方向に移動させることができる。この際に、駆動装置60cの接続部材71に固定されているリニアガイド69のレール69aがスライダ69bに支持された状態にてX軸方向に移動する。このため、駆動装置60cがテーブル板13のX軸方向への移動を妨げることはない。
【0049】
また、駆動装置60cの接続部材71をY軸方向に移動させることにより、テーブル板13をY軸方向に移動させることができる。この際に、駆動装置60a、60bの各々の接続部材71に固定されているリニアガイド69のレール69aがスライダ69bに支持された状態にてY軸方向に移動する。このため、駆動装置60a、60bがテーブル板13のY軸方向への移動を妨げることはない。
【0050】
更にまた、駆動装置60aの接続部材71をX軸方向とは逆向きに、駆動装置60bの接続部材71をX軸方向に、互いに等しい距離にて移動させることにより、テーブル板13を図1に記入したθ方向に回転移動させることができる。この際に、駆動装置60cの接続部材71に固定されているリニアガイド69が、テーブル板13の回転移動の角度に応じて、リニアガイド69とロッド65との間に備えられた軸体を中心として揺動する。このため、駆動装置60cがテーブル板13のθ方向への回転移動を妨げることはない。
【0051】
そして前記のように、滑動テーブル10は、テーブル板13の下面中央の周囲(テーブル板13が回転移動する際に大きく移動する部位)を支持していて各副支持ユニット41が、主支持ユニット21と比較して長距離にて滑動可能な可動板44を備えているため、テーブル板13のサイズが大きい場合であっても、テーブル板13を大きな角度にて回転移動させることができる。
【0052】
図8は、主支持ユニットの別の構成例を示す断面図である。
【0053】
図8の主支持ユニット81の構成は、支持板22と基台51との固定が、基台51に下側可動板25が接触することのないよう、スペーサ28を介してなされていること以外は図3の主支持ユニット21と同様である。
【0054】
主支持ユニット81を用いる場合、基台51に下側可動板25を収容する開口部を形成することは不要である。
【0055】
図9は、主支持ユニットの更に別の構成例を示す断面図である。但し、図9には基台51及びテーブル板13を記入してある。
【0056】
図9に示す主支持ユニット91は、前記の(2)の(ロ)の条件を満足するものであり、基台51に固定された支柱36を下面の中央に備える支持板32と、支持板32の支柱36の側の表面に複数個の球体23を介して接触配置され且つ中央に前記支柱36が通る開口部34aを備える第一可動板34と、支持板32の反対側の表面に複数個の球体23を介して接触配置された第二可動板35と、第一可動板34と第二可動板35とを支持板32の周囲にて互いに接続する接続部材38と、そして支持板32と各可動板との間の複数個の球体23を回転可能に保持する球体保持板37とから構成されている。
【0057】
この主支持ユニット91もまた、第一可動板34と第二可動板35とが、支持板32を複数個の球体23を介して緊密に挟んだ状態にて滑動するため、第二可動板35に支持固定されたテーブル板13の傾斜移動が抑制される。
【0058】
主支持ユニット91は、例えば、第一可動板34と第二可動板35との周縁部を接続部材38を介して隙間無く接続することにより、支持板32と各可動板との間への塵や埃の侵入を抑制することができる。
【0059】
図9の主支持ユニット91の第二可動板35は、接続部材38が支持板32に接触するまで、例えば、図にて右側の方向に直線移動させることができる。
【0060】
従って、第二可動板35に支持固定されたテーブル板13の移動可能距離は、接続部材38の内面と支持板32の端面との距離D4に等しくなる。なお、上記距離D4よりも、第一可動板34の開口部34aの内面と支柱36の外周面との距離D5のほうが小さければ、テーブル板13の移動可能距離は距離D5に等しくなる。
【0061】
一方、主支持ユニット91の第二可動板35を、支柱36を中心として回転移動させる場合、接続部材38と支持板32とが接触したり、第一可動板34と支柱36とが接触したりすることはない。従って、主支持ユニット91が、テーブル板13の支柱36を中心とする回転移動を妨げることはない。
【0062】
なお、前記の(2)の(ロ)の条件を満足する主支持ユニットの支柱は、テーブル板に固定することもできる。
【0063】
図10は、本発明の滑動テーブルの別の構成例を示す一部切り欠き平面図である。
【0064】
図10の滑動テーブル100の構成は、基台101及びテーブル板103の形状が異なること、そして副支持ユニットの数が二個であること以外は、図1の滑動テーブル10と同様である。
【0065】
本願発明の滑動テーブルの副支持ユニットの数は、2〜10個の範囲にあることが好ましく、2〜4個の範囲にあることが更に好ましい。
【符号の説明】
【0066】
10 滑動テーブル
11 基台
11a 補助台
11b 開口部
13 テーブル板
21 主支持ユニット
22 支持板
22a 開口部
23 球体
24 上側可動板
25 下側可動板
26 支柱
27 球体保持板
28 スペーサ
31 主支持ユニット
32 支持板
34 第一可動板
34a 開口部
35 第二可動板
36 支柱
37 球体保持板
38 接続部材
41 副支持ユニット
42 支持板
43 球体
44 可動板
47 球体保持板
47a 開口部
47b 球体保持板47の移動方向を示す矢印
48 球体保持板の移動距離制限手段(突起)
51 基台
60a、60b、60c 駆動装置
61 回転駆動装置
61a 回転軸
62 カップリング
63 送りねじ
63a ねじ軸
63b ナット
64a、64b 回転軸受
65 ロッド
66 直動軸受
67 回転軸受
68 軸体
69 リニアガイド
69a レール
69b スライダ
71 接続部材
81、91 主支持ユニット
100 滑動テーブル
101 基台
103 テーブル板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と該基台上に下記(1)乃至(3)の条件を満足する支持装置を介して滑動可能に支持されたテーブル板とを含む滑動テーブル:
(1)上記の支持装置は、上記テーブル板の下面中央に配置された主支持ユニットと主支持ユニットの周囲に配置された複数個の副支持ユニットとからなる;
(2)(イ)上記の主支持ユニットは、基台もしくはテーブル板に固定された中央に開口部を備える支持板と、該支持板の上下の各々の表面に複数個の球体を介して接触配置され且つ該支持板の開口部を通る支柱を介して互いに接続された上側可動板及び下側可動板と、そして支持板と各可動板との間の複数個の球体を回転可能に保持する球体保持板とからなるか、あるいは(ロ)上記の主支持ユニットは、基台もしくはテーブル板に固定された支柱を上下の一方の表面の中央に備える支持板と、該支持板の支柱の側の表面に複数個の球体を介して接触配置され且つ中央に該支柱が通る開口部を備える第一可動板と、該支持板の反対側の表面に複数個の球体を介して接触配置された第二可動板と、第一可動板と第二可動板とを支持板の周囲にて互いに接続する接続部材と、そして支持板と各可動板との間の複数個の球体を回転可能に保持する球体保持板とからなる;および
(3)上記の各々の副支持ユニットは、基台に固定された支持板と、該支持板の上面に複数個の球体を介して接触配置された可動板と、支持板と可動板との間の複数個の球体を回転可能に保持する球体保持板と、そして該球体保持板の移動距離を制限する手段とからなる。
【請求項2】
各副支持ユニットの球体保持板の中央に開口部が備えられていて、そして該球体保持板の移動距離を制限する手段が、支持板の上面に備えられた該球体保持板の開口部に係合する突起である請求項1に記載の滑動テーブル。
【請求項3】
主支持ユニットが上記(2)の(イ)の条件を満足し、該主支持ユニットの支持板が基台に固定されていて、そして該基台に該主支持ユニットの下側可動板を収容する開口部が備えられている請求項1もしくは2に記載の滑動テーブル。
【請求項4】
主支持ユニットが上記(2)の(イ)の条件を満足し、該主支持ユニットの支持板が基台に固定されていて、そして該支持板と基台との固定が、該基台に下側可動板が接触することのないよう、スペーサを介してなされている請求項1もしくは2に記載の滑動テーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−112715(P2012−112715A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260255(P2010−260255)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(394000493)ヒーハイスト精工株式会社 (76)
【Fターム(参考)】