演奏装置および電子楽器
【課題】音色を含む楽音構成要素を、演奏者が所望のように変化させる。
【解決手段】演奏者が手で保持するための長手方向に延びる演奏装置本体11に、地磁気センサ22および加速度センサ23が配置されている。CPU21は、地磁気センサ22および加速度センサ23により得られた演奏装置本体11の位置が、予め設定された発音領域に位置するときを発音タイミングとして、電子楽器本体に対して、空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域に対応付けられた音色にて発音するように指示を与える。発音領域と発音すべき音色は、RAM26の領域息・音色テーブルに格納されている。発音楽器本体は、発音指示の受信にしたがって、発音領域ごとに対応付けられた音色で楽音をさせる。
【解決手段】演奏者が手で保持するための長手方向に延びる演奏装置本体11に、地磁気センサ22および加速度センサ23が配置されている。CPU21は、地磁気センサ22および加速度センサ23により得られた演奏装置本体11の位置が、予め設定された発音領域に位置するときを発音タイミングとして、電子楽器本体に対して、空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域に対応付けられた音色にて発音するように指示を与える。発音領域と発音すべき音色は、RAM26の領域息・音色テーブルに格納されている。発音楽器本体は、発音指示の受信にしたがって、発音領域ごとに対応付けられた音色で楽音をさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏者が手で保持して、振ることにより楽音を発生させる演奏装置および電子楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スティック状の部材にセンサを設け、演奏者が部材を手で保持して振ることで、センサが、当該部材の動きを検出し、楽音を発音するように構成された電子楽器が提案されている。特に、この電子楽器では、スティック状の部材は、ドラムのスティックや太鼓の撥のような形状を備え、演奏者があたかもドラムや太鼓をたたくような動作に応じて、打楽器音が発声されるようになっている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、スティック状の部材に加速度センサを設け、加速度センサからの出力(加速度センサ値)が、所定の閾値に達した後、所定時間が経過すると、楽音を発音するように構成された演奏装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2663503号公報
【特許文献2】特願2007−256736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された演奏装置では、スティック状の部材の加速度センサ値に基づいて楽音の発音が制御されるだけであり、演奏者の所望のような楽音の変化を実現するのが容易ではないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2には、複数の音色を発音可能として、地磁気センサを用いて、スティック状の部材が向けられる方向にしたがって、複数の音色のうち、何れかを発音する装置が提案されている。特許文献2に開示された装置においては、部材の方向によって音色を変化させるため、発音すべき音色の種別が増大すると、その音色に割り当てられる方向(角度範囲)が小さくなるため、所望の音色の楽音を発生することが容易ではないという問題点があった。
【0007】
本発明は、音色を含む楽音構成要素を、演奏者が所望のように変化させることができる演奏装置および電子楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、演奏者が手で保持するための長手方向に延びる保持部材と、
前記保持部材内に配置された、前記保持部材の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域であって、発音すべき楽音の音色と対応付けられた発音領域を特定する情報と、前記対応付けられた音色とを格納する領域・音色記憶手段と、
所定の楽音を発音する楽音発生手段に対して発音の指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記位置情報手段により取得された前記保持部材の位置が、前記発音領域に位置するときを発音タイミングとして、前記領域・音高記憶手段に記憶された音色にて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える発音タイミング検出手段を有することを特徴とする演奏装置により達成される。
【0009】
好ましい実施態様においては、前記位置情報取得手段が、地磁気センサと、加速度センサとを有し、
前記地磁気センサのセンサ値に基づき、前記保持部材の移動方向を検出するとともに、前記加速度センサのセンサ値に基づき、前記保持部材の移動量を算出するように構成されている。
【0010】
より好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前記加速度センサ値の最大値を検出し、当該最大値にしたがった音量レベルを算出する音量レベル算出手段を有し、
前記発音タイミング検出手段が、前記音量レベル算出手段により算出された音量レベルで、前記発音タイミングにおいて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える。
【0011】
また、好ましい実施態様においては、前記発音領域を特定するために、指定された中心位置の位置情報と、当該中心位置と異なる他の位置の位置情報とに基づき、前記中心位置を中心として、前記他の位置を通る円形の平面を、発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有する。
【0012】
別の好ましい実施態様においては、前記発音領域を特定するために、前記保持部材の軌跡を、位置情報を所定の時間間隔で取得することにより特定し、当該保持部材の軌跡を、発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有する。
【0013】
さらに別の好ましい実施態様においては、前記発音領域を特定するために、指定された3以上の頂点の位置情報に基づき、前記頂点を結ぶ平面を発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有する。
【0014】
また、本発明の目的は、演奏者が手で保持するための長手方向に延びる保持部材と、
前記保持部材内に配置された、前記保持部材の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域であって、発音すべき楽音の音高と対応付けられた発音領域を特定する情報と、前記対応付けられた音高とを格納する領域・音高記憶手段と、
所定の楽音を発音する楽音発生手段に対して発音の指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記位置情報手段により取得された前記保持部材の位置が、前記発音領域に位置するときを発音タイミングとして、前記領域・音高記憶手段に記憶された音高にて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える発音タイミング検出手段を有することを特徴とする演奏装置により達成される。
【0015】
さらに、本発明の目的は、上記演奏装置と、
前記楽音発生手段を備えた楽器部と、を備え、
前記演奏装置と、前記楽器部とが、それぞれ、通信手段を備えたことを特徴とする電子楽器により達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、音色を含む楽音構成要素を、演奏者が所望のように変化させることができる演奏装置および電子楽器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる電子楽器の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる演奏装置本体の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図3】図3は、本実施の形態にかかる演奏装置本体において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本実施の形態にかかる現在位置取得処理の例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施の形態にかかる音色設定処理の例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施の形態にかかる発音領域の決定を概略的に示す図である。
【図8】図8は、本実施の形態にかかるRAM中の領域・音色テーブルの例を示す図である。
【図9】図9は、本実施の形態にかかる発音タイミング検出処理の例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本実施の形態にかかるノートオンイベント生成処理の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施の形態にかかる楽器部において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本実施の形態にかかる演奏装置本体11の領域設定処理および音色設定処理において設定された発音領域および対応する音色の例を概略的に示す図である。
【図13】図13は、第2の実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、第3の実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。
【図15】図15は、第4の実施の形態にかかる音色設定処理の例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本実施の形態にかかるノートオンイベント生成処理の例を示すフローチャートである。
【図17】図17は、本実施の形態にかかる演奏装置本体11の領域設定処理および音高設定処理において設定された発音領域および対応する音高の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる電子楽器の構成を示すブロックダイヤグラムである。図1に示すように、本実施の形態にかかる電子楽器10は、演奏者が手に持って振るための、長手方向に延びるスティック状の演奏装置本体11を有している。また、電子楽器10は、楽音を発生するための楽器部19を備え、楽器部19は、CPU12、インタフェース(I/F)13、ROM14、RAM15、表示部16、入力部17およびサウンドシステム18を有する。演奏装置本体11は、後述するように、演奏者が保持する根元側と反対側である先端側の付近に加速度センサ23と、地磁気センサ22とを有する。
【0019】
楽器部19のI/F13は、演奏装置本体11からのデータ(たとえばノートオンイベント)を受け入れて、RAM15に格納するとともに、CPU12にデータの受け入れを通知する。本実施の形態においては、たとえば、演奏装置本体11の根元側端部に赤外線通信装置24が設けられ、I/F13にも赤外線通信装置33が設けられている。したがって、楽器部19は、演奏装置本体11の赤外線通信装置24が発した赤外線を、I/F13の赤外線通信装置33が受信することで、演奏装置本体11からのデータを受信することができる。
【0020】
CPU12は、電子楽器10全体の制御、特に、電子楽器の楽器部19の制御、入力部17を構成するキースイッチ(図示せず)の操作の検出、I/F13を介して受信したノートオンイベントに基づく楽音の発生など、種々の処理を実行する。
【0021】
ROM14は、電子楽器10全体の制御、特に、電子楽器の楽器部19の制御、入力部17を構成するキースイッチ(図示せず)の操作の検出、I/F13を介して受信したノートオンイベントに基づく楽音の発生など、種々の処理プログラムを格納する。また、ROM14は、種々の音色の波形データ、特に、バスドラム、ハイハット、スネア、シンバルなど打楽器の波形データを格納する波形データエリアを含む。無論、打楽器の波形データに限定されず、ROM22には、フルート、サックス、トランペットなどの管楽器、ピアノなどの鍵盤楽器、ギターなどの弦楽器の音色の波形データが格納されていても良い。
【0022】
RAM15は、ROM14から読み出されたプログラムや、処理の過程で生じたデータやパラメータを記憶する。処理の過程で生じたデータには、入力部17のスイッチの操作状態、I/F13を介して受信したセンサ値、楽音の発音状態(発音フラグ)などが含まれる。
【0023】
表示部16は、たとえば、液晶表示装置(図示せず)を有し、選択された音色や後述する発音領域と楽音の音色とを対応付けた領域・音色テーブルの内容などを表示することができる。また、入力部17は、スイッチ(図示せず)を有し、音色の指定などを指示することができる。
【0024】
サウンドシステム18は、音源部31、オーディオ回路32およびスピーカ35を備える。音源部31は、CPU12からの指示にしたがって、ROM15の波形データエリアから波形データを読み出して、楽音データを生成して出力する。オーディオ回路32は、音源部31から出力された楽音データをアナログ信号に変換し、変換されたアナログ信号を増幅してスピーカ35に出力する。これによりスピーカ35から楽音が出力される。
【0025】
図2は、本実施の形態にかかる演奏装置本体の構成を示すブロックダイヤグラムである。図2に示すように、演奏装置本体11は、演奏者が保持する根元側と反対側である先端側に、地磁気センサ22および加速度センサ23を有する。地磁気センサ22の位置は、先端側に限定されず、根元側に配置されていても良い。しかしながら、演奏者は、演奏装置本体11の先端の位置を基準と考えて(つまり、先端を目でみながら)演奏装置本体11を振ることが多い。したがって、演奏装置本体11の先端の位置情報を取得することを考慮して、地磁気センサ22は先端側に位置するのが望ましい。
【0026】
地磁気センサ22は、磁気抵抗効果素子やホール素子を有し、x、y、z方向のそれぞれの磁界の成分を検出することができる、3軸地磁気センサである。したがって、本実施の形態においては、3軸地磁気センサのセンサ値に基づいて、演奏装置本体11の位置情報(座標値)を取得することができる。また、加速度センサ23は、たとえば、静電容量型或いはピエゾ抵抗素子型のセンサであり、生じた加速度を示すデータ値を出力することができる。本実施の形態にかかる加速度センサ23は、たとえば、演奏装置本体11の軸方向の加速度センサ値を出力する。
【0027】
また、演奏装置本体11は、CPU21、赤外線通信装置24、ROM25、RAM26、インタフェース(I/F)27および入力部28を有する。CPU21は、演奏装置本体11におけるセンサ値の取得、地磁気センサ22のセンサ値および加速度センサ23のセンサ値にしたがった位置情報の取得、楽音を発音する発音タイミングを規定する領域である発音領域の設定、位置情報に基づく楽音の発音タイミングの検出、ノートオンイベントの生成、I/F27および赤外線通信装置24を介したノートオンイベントの送信制御などの処理を実行する。
【0028】
ROM25には演奏装置本体11におけるセンサ値の取得、地磁気センサ22のセンサ値および加速度センサ23のセンサ値にしたがった位置情報の取得、楽音を発音する発音タイミングを規定する領域である発音領域の設定、位置情報に基づく楽音の発音タイミングの検出、ノートオンイベントの生成、I/F27および赤外線通信装置24を介したノートオンイベントの送信制御などの処理プログラムが格納される。RAM26には、センサ値等、処理において取得され或いは生成された値が格納される。I/F27は、CPU21からの指示にしたがって赤外線通信装置24にデータを出力する。また、入力部28は、スイッチ(図示せず)を有する。
【0029】
図3は、本実施の形態にかかる演奏装置本体において実行される処理の例を示すフローチャートである。図3に示すように、演奏装置本体11のCPU21は、RAM26のデータのクリアなどを含むイニシャライズ処理を実行する(ステップ301)。イニシャライズ処理においては、タイマインタラプトが解除される。タイマインタラプトが解除されると、演奏装置本体11において、所定の時間間隔で、地磁気センサ22のセンサ値、および、加速度センサ23のセンサ値が、CPU21により読み込まれ、それぞれがRAM26に格納される。また、イニシャライズ処理においては、地磁気センサ22の初期値と、加速度センサ値23の初期値とに基づいて、演奏装置本体11の初期位置が取得され、これもRAM26に格納される。以下に説明する現在位置取得処理(ステップ304)において取得される現在位置は、上記初期位置に対する相対位置となる。イニシャライズ処理の後、ステップ302〜308は繰り返し実行される。
【0030】
CPU21は、インタラプト処理により得られている加速度センサ23のセンサ値(加速度センサ値)を取得してRAM26に格納する(ステップ302)。また、CPU21は、インタラプト処理により得られている地磁気センサ22のセンサ値(地磁気センサ値)を取得する(ステップ303)。
【0031】
次いで、CPU21は、現在位置取得処理を実行する(ステップ304)。図4は、本実施の形態にかかる現在位置取得処理の例を示すフローチャートである。図4に示すように、CPU21は、RAM26に格納された、前回実行されたステップ303で得られた地磁気センサ値と、今回実行されたステップ303で得られた地磁気センサ値と、に基づいて、演奏装置本体11の移動方向を算出する(ステップ401)。前述したように、本実施の形態にかかる地磁気センサ22は、3軸地磁気センサであるため、x成分、y成分、z成分の各成分の差からなる3次元のベクトルに基づいて方向を得ることができる。
【0032】
また、CPU21は、RAM26に格納された、前回実行されたステップ302で得られた加速度センサ値と、今回実行されたステップ302で得られた加速度センサ値と、に基づいて、演奏装置本体11の移動量を算出する(ステップ402)。これは、加速度センサ値、および、それぞれの加速度センサ値の取得時刻の差(時間間隔)を用いて、2回積分をすることにより取得できる。次いで、CPU21は、RAM26に格納された前回の位置情報、ステップ401、402でそれぞれ得られた移動方向および移動量に基づき、現在位置の座標を算出する(ステップ403)。
【0033】
CPU21は、算出された座標が、前回の位置座標から変化があったかを判断する(ステップ404)。ステップ404でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26中、新たな位置情報として、算出された現在位置の座標を格納する(ステップ405)。
【0034】
現在位置取得処理(ステップ304)の後、CPU21は、領域設定処理を実行するステップ305)。図5は、本実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。図5に示すように、PCU21は、演奏装置本体11の入力部28中、中心設定スイッチがオンされたかを判断する(ステップ501)。ステップ501でNoと判断された場合には、領域設定処理を終了する。ステップ501でYesと判断された場合には、CPU21は、中心設定スイッチが新規オンであるかを判断する(ステップ502)。ステップ502でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、中心位置Cの位置情報(座標(xc,yc,zc))として、RAM26に格納する(ステップ502)。この位置は、以下で設定される発音領域の基準位置となる。
【0035】
ステップ502でNoと判断された場合、つまり、スイッチがオン中である場合、或いは、ステップ503が実行された後に、CPU21は、中心設定スイッチがオフされたかを判断する(ステップ504)。ステップ504でNoと判断された場合には、領域設定処理を終了する。ステップ504でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、中心設定スイッチがオフされたときの演奏装置本体11の位置Pの位置情報(座標(xp,yp,zp))として、RAM26に格納する(ステップ505)。また、CPU21は、さらに、位置Cと位置Pとの間の距離dpを算出する(ステップ505)。CPU21は、中心位置を位置Cとして位置Pを通る半径dpの範囲(円盤:円形の平面)を、発音領域と決定して(ステップ506)、発音領域を特定する情報(中心位置Cの座標、位置P(「通過位置」とも称する)の座標および半径d)を、RAM26中の領域・音色テーブルに格納する(ステップ507)。その後、CPU21は、RAM26中の領域設定フラグを「1」にセットする(ステップ508)。
【0036】
上述したように、第1の実施の形態においては、演奏者は、中心位置Cと設定したい位置にて、演奏装置本体11の設定スイッチをオンして、その状態を維持したまま、半径に相当する位置まで移動し、その位置で、設定スイッチをオフすることにより、設定スイッチがオンされた位置を中心位置Cとして、設定スイッチがオフされた位置Pを通る、半径d(d:中心位置Cと位置Pとの間の距離)の円形の平面を、発音領域として設定することができる。
【0037】
図7は、本実施の形態にかかる発音領域の決定を概略的に示す図である。符号70は、中心設定スイッチがオンされたときの演奏装置本体を示し、符号71は、中心設定スイッチがオフされたときの演奏装置本体を示す。便宜上、図7においては、演奏者が、演奏装置本体を水平に移動させ、それを、上側から見ている状態としている。
【0038】
演奏者が演奏装置本体の中心設定スイッチをオンすることで、演奏装置本体70の先端位置が、中心位置Cの座標(xc,yc,zc)としてRAM26に格納され、中心設定スイッチがオンされた状態のまま、演奏装置本体11を移動して所望の位置にてオフすると、演奏装置本体71の先端位置が、位置Pの座標(xp,yp,zp)として得られ、かつ、中心位置Cと位置Pとの間の距離dpが算出される。これにより、中心を中心位置Cとした、位置Pを通る半径dpの円形の平面700が発音領域として設定される。後述するように、演奏装置本体11の先端(地磁気センサ22)が、この発音領域上に位置し、或いは、発音領域を通過することにより、楽音が発生することになる。
【0039】
なお、図7の例では、演奏者が演奏装置本体11を水平に移動させており、そのため、円形の平面は地表面から平行に位置しているが、これに限定されるものではなく、上記演奏者により設定される円形の平面は地表面に対して任意の角度をもって位置していて良い。また、領域の設定については、他の手法を考えることができる。これについては後述する。
【0040】
領域設定処理(ステップ305)が終了すると、CPU21は、音色設定処理を実行する(ステップ306)。図6、本実施の形態にかかる音色設定処理の例を示すフローチャートである。図6に示すように、CPU21は、領域設定フラグが「1」であるかを判断する(ステップ601)。ステップ601でNoと判断された場合には、音色設定処理を終了する。
【0041】
ステップ601でYesと判断された場合には、CPU21は、入力部28中、音色指定スイッチがオンされたかを判断する(ステップ602)。ステップ602でNoと判断された場合には、音色指定スイッチがオンされるまで待機する。音色指定スイッチがオンされた場合には(ステップ602でYes)、CPU21は、選択された音色の情報を、発音領域の情報と関連付けて、RAM26中の領域・音色テーブルに格納する(ステップ603)。次いで、CPU21は、領域設定フラグを「0」にリセットする(ステップ604)。
【0042】
図8は、本実施の形態にかかるRAM中の領域・音色テーブルの例を示す図である。図8に示すように、本実施の形態にかかる領域・音色テーブル800のレコード(たとえば、符号801参照)は、領域ID、中心位置Cの座標、通過位置Pの座標、半径d、および、音色という項目を有する。領域IDは、レコードを一意的に特定するためのもので、領域・音色テーブル800のレコード生成の際に、CPU21により採番される。本実施の形態においては、打楽器の音色が指定できるようになっている。無論、打楽器以外の楽器(鍵盤楽器、弦楽器、管楽器など)の音色が設定できるように構成しても良い。
【0043】
音色設定処理306が終了すると、CPU21は、発音タイミング検出処理を実行する(ステップ307)。図9は、本実施の形態にかかる発音タイミング検出処理の例を示すフローチャートである。
【0044】
図9に示すように、CPU21は、ステップ302で取得された加速度センサ値が所定値αより大きいかを判断する(ステップ901)。所定値αは0より大きな任意の値であって良く、演奏者により演奏装置本体11が振られていることが検出できれば良い。ステップ901でNoと判断された場合には、ステップ904に進む。ステップ901でYesと判断された場合には、CPU21は、加速度センサ値が、RAM26に格納されている最大値よりも大きいかを判断する(ステップ902)。ステップ902でNoと判断された場合には、ステップ904に進む。
【0045】
ステップ902でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26中の最大値として、取得された加速度センサ値を格納する(ステップ903)。次いで、CPU21は、演奏装置本体11の位置が、発音領域に接し或いは発音領域を通過したかを判断する(ステップ904)。ステップ904において、CPU21は、領域・音色テーブルの各レコード中、中心位置Cの座標、通過位置Pの座標および半径を参照して、発音領域を規定する円形の平面を特定する情報を取得して、RAM26に格納された、地磁気センサ22等から得られた今回の演奏装置本体11の位置が、発音領域の平面に接し、或いは、前回の処理による座標および今回の処理による座標から得られる演奏装置本体11の軌跡が、発音領域の平面と交差しているかを判断する。ステップ904でNoと判断された場合には、発音タイミング検出処理を終了する。
【0046】
ステップ904でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された、当該発音領域に対応付けられた発音ステータスが「消音中」であるかを判断する(ステップ905)。ステップ905でYesと判断された場合には、CPU21は、ノートオンイベント処理を実行する(ステップ906)。本実施の形態においては、発音ステータスは、発音領域ごとに対応付けられてRAM26中に格納され、楽器部19の音源部31において、発音領域に関連付けられた音色が発音中であるか(発音ステータス=発音中)、或いは、消音されているか(発音ステータス=消音中)を示す。
【0047】
図10は、本実施の形態にかかるノートオンイベント生成処理の例を示すフローチャートである。図10に示すように、CPU21は、RAM26に格納された加速度センサ値の最大値に基づき音量レベル(ベロシティ)を決定する(ステップ1001)。
【0048】
加速度センサの最大値をAmax、音量レベル(ベロシティ)の最大値をVmaxとすると、音量レベルVelは、たとえば、以下のように求めることができる。
【0049】
Vel=a・Amax
(ただし、a・Amax>Vmaxであれば、Vel=Vmax、また、aは所定の正の係数)
次いで、CPU21は、RAM26中の領域・音色テーブルを参照して、演奏装置本体11が位置する発音領域についてのレコード中の音色を、発音すべき楽音の音色として決定する(ステップ1002)。CPU21は、決定された音量レベル(ベロシティ)および音色を含むノートオンイベントを生成する(ステップ1003)。なお、ノートオンイベント中の音高は、規定値とすれば良い。
【0050】
CPU21は、生成されたノートオンイベントをI/F27に出力する(ステップ1004)。I/F27は、赤外線通信装置24にノートオンイベントを赤外線信号として送信させる。赤外線通信装置24からの赤外線信号は楽器部19の赤外線通信装置33に受信される。その後、CPU21は、RAM26中の発音ステータスを「発音中」に変更する(ステップ1005)。
【0051】
発音タイミング検出処理(ステップ307)が終了すると、CPU21は、パラメータ通信処理を実行する(ステップ308)。パラメータ通信処理(ステップ308)については、後述する楽器部19におけるパラメータ通信処理(図11のステップ1105)とともに説明する。
【0052】
図11は、本実施の形態にかかる楽器部において実行される処理の例を示すフローチャートである。楽器部19のCPU12は、RAM15のデータのクリア、表示部16の画面上の画像のクリア、音源部31のクリアなどを含むイニシャライズ処理を実行する(ステップ1101)。次いで、CPU12は、スイッチ処理を実行する(ステップ1102)。スイッチ処理においては、たとえば、CPU12は、入力部17のスイッチ操作にしたがって、発音すべき楽音についての効果音のパラメータなどを設定する。設定された効果音のパラメータ(たとえば、リバーブのデプスなど)は、RAM15に格納される。また、スイッチ処理においては、後述するパラメータ通信処理により演奏装置本体11から送信され、楽器部19のRAM15に記憶される領域・音色テーブルを、スイッチ操作により編集することもできる。この編集では、中心位置や半径を修正し、或いは、音色を変更することもできる。
【0053】
次いで、CPU12は、I/F13が、ノートオンイベントを新たに受信しているかを判断する(ステップ1103)。ステップ1103でYesと判断された場合には、CPU12は発音処理を実行する(ステップ1104)。発音処理においては、CPU12は、受信したノートオンイベントを音源部31に出力する。音源部31は、ノートオンイベントに示される音色にしたがってROMの波形データを読み出す。打楽器の音色の楽音を発生する場合には、波形データ読み出しの際の速度は一定である。なお、後述するように音高を有する楽器(鍵盤楽器、管楽器、弦楽器等)の音色を発音する場合には、音高は、ノートオンイベントに含まれるもの(第1の実施の形態では規定値)に従う。また、音源部31は、読み出された波形データに、ノートオンイベントに含まれる音量データ(ベロシティ)にしたがった係数を乗算して、所定の音量レベルの楽音データを生成する。生成された楽音データはオーディオ回路32に出力され、最終的に、所定の楽音がスピーカ35から発生される。
【0054】
また、CPU12は、音源部31における音色ごとの楽音の発音状況を調べ、ある音色の発音が終了している(消音済)である場合には、RAM15中に、当該音色について消音済であることを示す情報を格納する(ステップ1105)。この消音済であることを示す情報は、パラメータ通信処理において、演奏装置本体11に送信される。
【0055】
その後、CPU12は、パラメータ通信処理を実行する(ステップ1106)。パラメータ通信処理(ステップ1106)においては、CPU12の指示によって、たとえば、スイッチ処理(ステップ1102)で編集された領域・音色テーブルのデータが、演奏装置本体11に送信される。演奏装置本体11において、赤外線通信装置24が、データを受信すると、CPU21は、I/F27を介してデータを受け入れ、RAM26に格納する(図3のステップ308)。また、ステップ1106においては、ステップ1105において生成された、ある音色について消音済であることを示す情報も、楽器部19から送信され、演奏装置本体11により受信される。
【0056】
図3のステップ308においても、演奏装置本体11のCPU21は、パラメータ通信処理を実行する。演奏装置本体11のパラメータ通信処理においては、ステップ305、306で設定された発音領域および音色に基づきレコードが生成され、RAM26中に格納された領域・音色テーブルのデータが、楽器部19に送信される。また、演奏装置本体11のパラメータ通信処理においては、楽器部19から、ある音色について消音済であることを示す情報を受信した場合に、CPU21は、RAM26に格納された当該音色についての発音ステータスを「消音中」に変更する。
【0057】
楽器部19のパラメータ通信処理(ステップ1106)が終了すると、CPU12は、その他の処理、たとえば、表示部16の画面上に表示される画像の更新などを実行する(ステップ1107)。
【0058】
図12は、本実施の形態にかかる演奏装置本体11の領域設定処理および音色設定処理において設定された発音領域および対応する音色の例を概略的に示す図である。この例は、図8に示す領域・音色テーブルのレコードに対応している。図12に示すように、この例では、4つの発音領域110〜113が設けられている。発音領域120〜123は、それぞれ、領域・音色テーブル中、領域ID0〜3のレコードに対応している。演奏者が、演奏装置本体(符号1201)を振り下ろし(或いは振り上げ)、当該演奏装置本体(符号1202)の先端が、発音領域121を通過すると、スネアの音色の楽音が発生する。また、演奏者が、演奏装置本体(符号1211)を振り下ろし(或いは振り上げ)、当該演奏装置本体(符号1212)の先端が、発音領域122を通過すると、シンバルの音色の楽音が発生する。
【0059】
本実施の形態においては、CPU21が、演奏装置本体11の位置が、発音領域に位置する(つまり、発音領域上に位置し、或いは、発音領域を通過する)ときを発音タイミングとして、電子楽器本体19に対して、空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域に対応付けられた音色にて発音するように指示を与える。これにより、発音領域ごとに対応付けられた種々の音色で楽音をさせることが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態においては、演奏装置本体11は、地磁気センサ22と、加速度センサ23とを有し、CPU21は、地磁気センサ22のセンサ値に基づき、演奏装置本体11の移動方向を検出するとともに、加速度センサ23のセンサ値に基づき、演奏装置本体11の移動量を算出する。移動方向および移動量によって、演奏装置本体11の現在位置が取得される。これにより、大規模な装置を用いず、また、複雑な演算なく、演奏装置本体11の位置を得ることが可能となる。
【0061】
さらに、本実施の形態においては、CPU21は、加速度センサ23のセンサ値の最大値を検出し、当該最大値にしたがった音量レベルを算出し、算出された音量レベルで、前述した発音タイミングにおいて、楽器部19に対して発音の指示を与える。したがって、演奏者による演奏装置本体11の振りに応じて、演奏者の所望の音量で楽音を発音することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態においては、CPU21は、指定された中心位置Cの位置情報と、当該中心位置と異なる他の位置Pの位置情報とに基づき、中心位置Cを中心として、他の位置Pを通る円形の平面を、発音領域として、RAM26中の領域・音色テーブルに、音領域を特定する情報と音色とを対応付けて格納する。これにより、演奏者は2点を指定することにより、所望のサイズの発音領域を設定することが可能となる。
【0063】
次に、本発明の第2の形態について説明する。第1の実施の形態においては、円形の平面形状の発音領域を設定するために、中心位置Cおよび通過位置Pを設定し、中心位置Cを中心とする、位置Pを通る半径d(位置Cと位置Pとの距離)の円盤(円形の平面)を画定している。第2の実施の形態では、演奏者が、演奏装置本体11を空間において所望の領域に沿って移動させることにより、円形或いは楕円形の平面を画定している。図13は、第2の実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。第2の実施の形態においては、発音領域の設定のために、演奏装置本体11のスイッチ部28が設定開始スイッチおよび設定終了スイッチを有する。
【0064】
図13に示すように、CPU21は、設定開始スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1301)。ステップ1301でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、始点位置の座標(始点座標)として、RAM26に格納する(ステップ1302)。また、CPU21は、設定中フラグを「1」にセットする(ステップ1303)。
【0065】
ステップ1301でNoと判断された場合には、CPU21は、設定中フラグが「1」であるかを判断する(ステップ1304)。ステップ1304でYesと判断された場合には、RAM26に格納された位置情報を取得して、経過位置の座標(経過位置座標)としてRAM26に格納する(ステップ1305)。なお、ステップ1305は、演奏者により演奏装置本体11の終了スイッチがオンされるまで、複数回実行される。したがって、ステップ1305においては、RAM26に、ステップ1305の実行回数と関連付けて経過位置座標を格納するのが望ましい。
【0066】
その後、CPU21は、終了スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1306)。ステップ1306でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、終点位置の座標(終点座標)としてRAM26に格納する(ステップ1307)。次いで、CPU21は、終点座標が、始点座標から所定の範囲内に位置しているかを判断する(ステップ1308)。ステップ1308でNoと判断された場合には、領域設定処理を終了する。ステップ1304、1306でNoと判断された場合にも、同様に、領域設定処理は終了する。
【0067】
ステップ1308でYesと判断された場合には、始点座標、経過位置座標、終点位置座標に基づいて、これら座標を通るような楕円或いは円形の平面を特定する情報を取得する(ステップ1309)。CPU21は、隣接する座標を結ぶ閉曲線を作成し、この閉曲線に近似する円或いは楕円を得れば良い。たとえば、近似においては、最小二乗法など既知の手法を適用することができる。CPU21は、取得した楕円或いは円形の平面を示す情報を、発音領域の情報として、RAM26中の領域・音色テーブルに格納する(ステップ1310)。その後、CPU21は、RAM26中の設定中フラグを「0」にリセットするとともに、領域設定フラグを「1」にセットする(ステップ1311)。
【0068】
なお、第2の実施の形態における他の処理(たとえば、現在位置取得処理、発音タイミング毛出処理など)は、第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態においても、演奏者により所望の大きさの円形或いは楕円形の平面を発音領域として設定することができる。特に、第2の実施の形態では、演奏者が演奏装置本体11を移動させた軌跡とほぼ同様の外郭を有する発音領域を設定することが可能である。
【0069】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態においては、演奏者が演奏装置本体11を用いて、発音領域の頂点を指定し、頂点で囲まれる平面が発音領域となるように構成される。以下、頂点が4つの平面(四辺形)の発音領域を設定する場合について説明する。図14は、第3の実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。
【0070】
図14に示すように、CPU21は、設定スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1401)。ステップ1401でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、頂点の座標(頂点座標)として、RAM26に格納する(ステップ1402)。次いで、CPU21は、RAM26中、頂点数を示すパラメータNをインクリメントする(ステップ1403)。なお、第3の実施の形態では、上記パラメータNは、イニシャライズ処理(図3のステップ301)において「0」に初期化される。次いで、CPU21は、パラメータNが「4」より大きいかを判断する(ステップ1404)。ステップ1404でNoと判断された場合には、領域設定処理を終了する。
【0071】
ステップ1404でYesと判断された場合には、CPU21は、4つの頂点座標により画定される平面(四辺形)の情報を取得する(ステップ1405)。次いで、CPU21は、取得した四辺形を示す情報を、発音領域の情報として、RAM26中の領域・音色テーブルに格納する(ステップ1406)。その後、CPU21は、RAM26中のパラメータNを「0」に初期化するとともに、領域設定フラグを「1」にセットする(ステップ1407)。
【0072】
第3の実施の形態においては、演奏者が頂点を指定することにより、頂点を結んだ平面からなる発音領域を設定することができる。上記実施の形態では、頂点の数が4である平面(四辺形)を発音領域として設定しているが、頂点の数を変更することにより、三角形など任意の多角形の発音領域を設定することが可能となる。
【0073】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第1〜第3の実施の形態においては、発音領域ごとに音色を対応付けて、領域・音色テーブルに、発音領域を特定する情報と、対応付けられた音色の情報とが格納される。これにより、演奏装置本体11が、発音領域を通過すると、対応する音色の楽音が発音される。第4の実施の形態においては、発音領域ごとに音高を対応付け、演奏装置本体11が、発音領域を通過すると、対応する音高の楽音が発音される。このような構成は、たとえば、マリンバやヴィブラフォンのような打楽器の楽音の音色を発音するのに適する。
【0074】
第4の実施の形態においては、図3に示す処理において、音色設定処理(ステップ306)の代わりに音高設定処理が実行される。図15は、第4の実施の形態にかかる音色設定処理の例を示すフローチャートである。第4の実施の形態において、領域設定処理は、第1の実施の形態〜第3の実施の形態の何れかを適用することができる。第4の実施の形態においては、入力部28は、音高を指定するために、音高確認スイッチと確定スイッチとを有する。また、図15の処理にて使用される音高を示すパラメータ(たとえば、MIDIに基づく音高情報)は、イニシャライズ処理において、初期値(たとえば、最低音)に設定される。図15に示すように、CPU21は、領域設定フラグが「1」であるかを判断する(ステップ1501)。ステップ1501でNoと判断された場合には、音色設定処理を終了する。
【0075】
ステップ1501でYesと判断された場合には、CPU21は、音高確認スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1502)。ステップ1502でYesと判断された場合には、CPU21は、音高を示すパラメータNNにしたがった音高情報を含むノートオンイベントを生成する(ステップ1503)。このノートオンイベントにおいては、音量レベルや音色を示す情報は予め定められたものであれば良い。次いで、CPU21は、生成されたノートオンイベントをI/F26に出力する(ステップ1504)。I/F27は、赤外線通信装置24にノートオンイベントを赤外線信号として送信させる。赤外線通信装置24からの赤外線信号は楽器部19の赤外線通信装置33に受信される。これにより、楽器部19において所定の音高の楽音が発音される。
【0076】
ステップ1504の後、CPU21は、確認スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1505)。ステップ1505でNoと判断された場合には、CPU21は、音高を示すパラメータNNをインクリメントして(ステップ1506)、ステップ1502に戻る。ステップ1505でYesと判断された場合には、CPU21は、パラメータNNに示す音高情報を、発音領域の情報と関連付けて、RAM26中の領域・音高テーブルに格納する(ステップ1507)。次いで、CPU21は、領域設定フラグを「0」にリセットする(ステップ1508)。
【0077】
図15に示す音色設定処理においては、音高確認スイッチがオンされるたびに、前回より1つ高い音高の楽音が発音される。演奏者は、所望の音高の楽音が発音されたときに、確認スイッチをオンすることにより、所望の音高を、発音領域と対応付けることが可能となる。また、第4の実施の形態にかかる、RAM26に設けられる領域・音高テーブルは、図8に示す領域・音色テーブルと類似した構成を備える。図8の領域・音色テーブルにおいては、領域ID並びに発音領域を特定する情報(図8の例では、中心位置P、通過位置Pおよび半径d)と、音色とが対応付けられている。領域・音高テーブルでは、領域ID並びに発音領域を特定する情報と、音高とが対応付けられている。
【0078】
第4の実施の形態においても、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様に、発音タイミング検出処理が実行され(図9参照)、所定の場合にノートオンイベント生成処理が実行される。図16は、本実施の形態にかかるノートオンイベント生成処理の例を示すフローチャートである。図16のステップ1601は、図10のステップ1001と同様である。ステップ1601の後、CPU21は、RAM26中の領域・音高テーブルを参照して、演奏装置本体11が位置する発音領域についてのレコード中の音高を、発音すべき楽音の音高として決定する(ステップ1602)。CPU21は、決定された音量レベル(ベロシティ)および音高を含むノートオンイベントを生成する(ステップ1603)。ノートオンイベントにおいて、音色は規定値とすれば良い。ステップ1604およびステップ1605は、図10のステップ1004、1005にそれぞれ対応する。このようにして、発音領域に対応付けられた音高の楽音を発生することが可能となる。
【0079】
図17は、本実施の形態にかかる演奏装置本体11の領域設定処理および音高設定処理において設定された発音領域および対応する音高の例を概略的に示す図である。この例では、領域設定処理において、第3の実施の形態に記載したように、4つの頂点により画定される四辺形が発音領域として設定されている。図14においては、それぞれが四辺形の、6つの発音領域170〜175が例示されている。発音領域170〜175の領域IDは、それぞれ、「0」〜「5」である。また、発音領域170〜175のそれぞれには、C3〜A3の音高が割り当てられている。これらの情報は、RAM26の領域・音高テーブルに格納される。たとえば、演奏者が、演奏装置本体(符号1701)を振り下ろし、当該演奏装置本体(符号1702)の先端が、発音領域172を通過すると、E3の音高の楽音が発音される。
【0080】
この実施の形態によれば、発音領域ごとに音高を対応付け、演奏装置本体11が、発音領域を通過すると、対応する音高の楽音が発音される。したがって、マリンバやヴィブラフォンのような音高を変化させることができる打楽器のような演奏形態で所望の音高の楽音を発音させることが可能となる。
【0081】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0082】
前記実施の形態においては、演奏装置本体11のCPU21は、演奏者が演奏装置本体11を振っている際の地磁気センサ値および加速度センサ値を検出して、これらセンサ値に基づき演奏装置本体11の位置情報を取得し、演奏装置本体11が、発音領域に接し、或いは、発音領域を通過したかを判断している。CPU21は、演奏装置本体11が発音領域に接し、或いは、発音領域を通過したと判断すると、発音領域に対応付けられた音色(第1〜第3の実施の形態)、或いは、発音領域に対応付けられた音高(第4の実施の形態)を含むノートオンイベントを生成して、I/F27および赤外線通信装置24を介して楽器部19に送信している。その一方、楽器部19においては、ノートオンイベントを受信すると、CPU12が、受信したノートオンイベントを音源部31に出力して楽音を発生させている。上記構成は、楽器部19が、MIDIボードなどが取り付けられたパーソナルコンピュータやゲーム機など、楽音生成の専用機ではないときに好適である。
【0083】
しかしながら、演奏装置本体11における処理、および、楽器部19における処理の分担は、上記実施の形態のものに限定されない。たとえば、演奏装置本体11は、領域・音色テーブルの情報を楽器部19に送信し、また、センサ値に基づき演奏装置本体に位置情報を取得して、楽器部19に送信するように構成しても良い。この場合には、発音タイミング検出処理(図9)、ノートオンイベント生成処理(図10)は、楽器部19において実行される。上述した構成は、楽器部19が、楽音生成の専用機である電子楽器について好適である。
【0084】
また、本実施の形態においては、演奏装置本体11と楽器部19との間は、赤外線通信装置24、33を用いて赤外線信号にてデータが通信されているが、これに限定されるものではない。たとえば、打楽器本体11と楽器部19とは他の無線通信でデータ通信してもよいし、ワイヤケーブルによって有線でデータ通信するように構成しても良い。
【0085】
さらに、前記実施の形態においては、地磁気センサ23により演奏装置本体11の移動方向を検出するとともに、加速度センサ22により演奏装置本体11の移動量を検出し、これらに基づき演奏装置本体11の位置を取得しているが、このような手法に限定されず、他の位置検出装置、たとえば、3軸加速度センサによるセンサ値や、角速度センサのセンサ値を用いて、演奏装置本体11の位置を取得しても良いことは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0086】
10 電子楽器
11 演奏装置本体
12 CPU
13 I/F
14 ROM
15 RAM
16 表示部
17 入力部
18 サウンドシステム
19 楽器部
21 CPU
22 地磁気センサ
23 加速度センサ
24 赤外線通信装置
25 ROM
26 RAM
27 I/F
31 音源部
32 オーディオ回路
33 赤外線通信装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏者が手で保持して、振ることにより楽音を発生させる演奏装置および電子楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スティック状の部材にセンサを設け、演奏者が部材を手で保持して振ることで、センサが、当該部材の動きを検出し、楽音を発音するように構成された電子楽器が提案されている。特に、この電子楽器では、スティック状の部材は、ドラムのスティックや太鼓の撥のような形状を備え、演奏者があたかもドラムや太鼓をたたくような動作に応じて、打楽器音が発声されるようになっている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、スティック状の部材に加速度センサを設け、加速度センサからの出力(加速度センサ値)が、所定の閾値に達した後、所定時間が経過すると、楽音を発音するように構成された演奏装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2663503号公報
【特許文献2】特願2007−256736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された演奏装置では、スティック状の部材の加速度センサ値に基づいて楽音の発音が制御されるだけであり、演奏者の所望のような楽音の変化を実現するのが容易ではないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2には、複数の音色を発音可能として、地磁気センサを用いて、スティック状の部材が向けられる方向にしたがって、複数の音色のうち、何れかを発音する装置が提案されている。特許文献2に開示された装置においては、部材の方向によって音色を変化させるため、発音すべき音色の種別が増大すると、その音色に割り当てられる方向(角度範囲)が小さくなるため、所望の音色の楽音を発生することが容易ではないという問題点があった。
【0007】
本発明は、音色を含む楽音構成要素を、演奏者が所望のように変化させることができる演奏装置および電子楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、演奏者が手で保持するための長手方向に延びる保持部材と、
前記保持部材内に配置された、前記保持部材の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域であって、発音すべき楽音の音色と対応付けられた発音領域を特定する情報と、前記対応付けられた音色とを格納する領域・音色記憶手段と、
所定の楽音を発音する楽音発生手段に対して発音の指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記位置情報手段により取得された前記保持部材の位置が、前記発音領域に位置するときを発音タイミングとして、前記領域・音高記憶手段に記憶された音色にて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える発音タイミング検出手段を有することを特徴とする演奏装置により達成される。
【0009】
好ましい実施態様においては、前記位置情報取得手段が、地磁気センサと、加速度センサとを有し、
前記地磁気センサのセンサ値に基づき、前記保持部材の移動方向を検出するとともに、前記加速度センサのセンサ値に基づき、前記保持部材の移動量を算出するように構成されている。
【0010】
より好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前記加速度センサ値の最大値を検出し、当該最大値にしたがった音量レベルを算出する音量レベル算出手段を有し、
前記発音タイミング検出手段が、前記音量レベル算出手段により算出された音量レベルで、前記発音タイミングにおいて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える。
【0011】
また、好ましい実施態様においては、前記発音領域を特定するために、指定された中心位置の位置情報と、当該中心位置と異なる他の位置の位置情報とに基づき、前記中心位置を中心として、前記他の位置を通る円形の平面を、発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有する。
【0012】
別の好ましい実施態様においては、前記発音領域を特定するために、前記保持部材の軌跡を、位置情報を所定の時間間隔で取得することにより特定し、当該保持部材の軌跡を、発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有する。
【0013】
さらに別の好ましい実施態様においては、前記発音領域を特定するために、指定された3以上の頂点の位置情報に基づき、前記頂点を結ぶ平面を発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有する。
【0014】
また、本発明の目的は、演奏者が手で保持するための長手方向に延びる保持部材と、
前記保持部材内に配置された、前記保持部材の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域であって、発音すべき楽音の音高と対応付けられた発音領域を特定する情報と、前記対応付けられた音高とを格納する領域・音高記憶手段と、
所定の楽音を発音する楽音発生手段に対して発音の指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記位置情報手段により取得された前記保持部材の位置が、前記発音領域に位置するときを発音タイミングとして、前記領域・音高記憶手段に記憶された音高にて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える発音タイミング検出手段を有することを特徴とする演奏装置により達成される。
【0015】
さらに、本発明の目的は、上記演奏装置と、
前記楽音発生手段を備えた楽器部と、を備え、
前記演奏装置と、前記楽器部とが、それぞれ、通信手段を備えたことを特徴とする電子楽器により達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、音色を含む楽音構成要素を、演奏者が所望のように変化させることができる演奏装置および電子楽器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる電子楽器の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる演奏装置本体の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図3】図3は、本実施の形態にかかる演奏装置本体において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本実施の形態にかかる現在位置取得処理の例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施の形態にかかる音色設定処理の例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施の形態にかかる発音領域の決定を概略的に示す図である。
【図8】図8は、本実施の形態にかかるRAM中の領域・音色テーブルの例を示す図である。
【図9】図9は、本実施の形態にかかる発音タイミング検出処理の例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本実施の形態にかかるノートオンイベント生成処理の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施の形態にかかる楽器部において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本実施の形態にかかる演奏装置本体11の領域設定処理および音色設定処理において設定された発音領域および対応する音色の例を概略的に示す図である。
【図13】図13は、第2の実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、第3の実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。
【図15】図15は、第4の実施の形態にかかる音色設定処理の例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本実施の形態にかかるノートオンイベント生成処理の例を示すフローチャートである。
【図17】図17は、本実施の形態にかかる演奏装置本体11の領域設定処理および音高設定処理において設定された発音領域および対応する音高の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる電子楽器の構成を示すブロックダイヤグラムである。図1に示すように、本実施の形態にかかる電子楽器10は、演奏者が手に持って振るための、長手方向に延びるスティック状の演奏装置本体11を有している。また、電子楽器10は、楽音を発生するための楽器部19を備え、楽器部19は、CPU12、インタフェース(I/F)13、ROM14、RAM15、表示部16、入力部17およびサウンドシステム18を有する。演奏装置本体11は、後述するように、演奏者が保持する根元側と反対側である先端側の付近に加速度センサ23と、地磁気センサ22とを有する。
【0019】
楽器部19のI/F13は、演奏装置本体11からのデータ(たとえばノートオンイベント)を受け入れて、RAM15に格納するとともに、CPU12にデータの受け入れを通知する。本実施の形態においては、たとえば、演奏装置本体11の根元側端部に赤外線通信装置24が設けられ、I/F13にも赤外線通信装置33が設けられている。したがって、楽器部19は、演奏装置本体11の赤外線通信装置24が発した赤外線を、I/F13の赤外線通信装置33が受信することで、演奏装置本体11からのデータを受信することができる。
【0020】
CPU12は、電子楽器10全体の制御、特に、電子楽器の楽器部19の制御、入力部17を構成するキースイッチ(図示せず)の操作の検出、I/F13を介して受信したノートオンイベントに基づく楽音の発生など、種々の処理を実行する。
【0021】
ROM14は、電子楽器10全体の制御、特に、電子楽器の楽器部19の制御、入力部17を構成するキースイッチ(図示せず)の操作の検出、I/F13を介して受信したノートオンイベントに基づく楽音の発生など、種々の処理プログラムを格納する。また、ROM14は、種々の音色の波形データ、特に、バスドラム、ハイハット、スネア、シンバルなど打楽器の波形データを格納する波形データエリアを含む。無論、打楽器の波形データに限定されず、ROM22には、フルート、サックス、トランペットなどの管楽器、ピアノなどの鍵盤楽器、ギターなどの弦楽器の音色の波形データが格納されていても良い。
【0022】
RAM15は、ROM14から読み出されたプログラムや、処理の過程で生じたデータやパラメータを記憶する。処理の過程で生じたデータには、入力部17のスイッチの操作状態、I/F13を介して受信したセンサ値、楽音の発音状態(発音フラグ)などが含まれる。
【0023】
表示部16は、たとえば、液晶表示装置(図示せず)を有し、選択された音色や後述する発音領域と楽音の音色とを対応付けた領域・音色テーブルの内容などを表示することができる。また、入力部17は、スイッチ(図示せず)を有し、音色の指定などを指示することができる。
【0024】
サウンドシステム18は、音源部31、オーディオ回路32およびスピーカ35を備える。音源部31は、CPU12からの指示にしたがって、ROM15の波形データエリアから波形データを読み出して、楽音データを生成して出力する。オーディオ回路32は、音源部31から出力された楽音データをアナログ信号に変換し、変換されたアナログ信号を増幅してスピーカ35に出力する。これによりスピーカ35から楽音が出力される。
【0025】
図2は、本実施の形態にかかる演奏装置本体の構成を示すブロックダイヤグラムである。図2に示すように、演奏装置本体11は、演奏者が保持する根元側と反対側である先端側に、地磁気センサ22および加速度センサ23を有する。地磁気センサ22の位置は、先端側に限定されず、根元側に配置されていても良い。しかしながら、演奏者は、演奏装置本体11の先端の位置を基準と考えて(つまり、先端を目でみながら)演奏装置本体11を振ることが多い。したがって、演奏装置本体11の先端の位置情報を取得することを考慮して、地磁気センサ22は先端側に位置するのが望ましい。
【0026】
地磁気センサ22は、磁気抵抗効果素子やホール素子を有し、x、y、z方向のそれぞれの磁界の成分を検出することができる、3軸地磁気センサである。したがって、本実施の形態においては、3軸地磁気センサのセンサ値に基づいて、演奏装置本体11の位置情報(座標値)を取得することができる。また、加速度センサ23は、たとえば、静電容量型或いはピエゾ抵抗素子型のセンサであり、生じた加速度を示すデータ値を出力することができる。本実施の形態にかかる加速度センサ23は、たとえば、演奏装置本体11の軸方向の加速度センサ値を出力する。
【0027】
また、演奏装置本体11は、CPU21、赤外線通信装置24、ROM25、RAM26、インタフェース(I/F)27および入力部28を有する。CPU21は、演奏装置本体11におけるセンサ値の取得、地磁気センサ22のセンサ値および加速度センサ23のセンサ値にしたがった位置情報の取得、楽音を発音する発音タイミングを規定する領域である発音領域の設定、位置情報に基づく楽音の発音タイミングの検出、ノートオンイベントの生成、I/F27および赤外線通信装置24を介したノートオンイベントの送信制御などの処理を実行する。
【0028】
ROM25には演奏装置本体11におけるセンサ値の取得、地磁気センサ22のセンサ値および加速度センサ23のセンサ値にしたがった位置情報の取得、楽音を発音する発音タイミングを規定する領域である発音領域の設定、位置情報に基づく楽音の発音タイミングの検出、ノートオンイベントの生成、I/F27および赤外線通信装置24を介したノートオンイベントの送信制御などの処理プログラムが格納される。RAM26には、センサ値等、処理において取得され或いは生成された値が格納される。I/F27は、CPU21からの指示にしたがって赤外線通信装置24にデータを出力する。また、入力部28は、スイッチ(図示せず)を有する。
【0029】
図3は、本実施の形態にかかる演奏装置本体において実行される処理の例を示すフローチャートである。図3に示すように、演奏装置本体11のCPU21は、RAM26のデータのクリアなどを含むイニシャライズ処理を実行する(ステップ301)。イニシャライズ処理においては、タイマインタラプトが解除される。タイマインタラプトが解除されると、演奏装置本体11において、所定の時間間隔で、地磁気センサ22のセンサ値、および、加速度センサ23のセンサ値が、CPU21により読み込まれ、それぞれがRAM26に格納される。また、イニシャライズ処理においては、地磁気センサ22の初期値と、加速度センサ値23の初期値とに基づいて、演奏装置本体11の初期位置が取得され、これもRAM26に格納される。以下に説明する現在位置取得処理(ステップ304)において取得される現在位置は、上記初期位置に対する相対位置となる。イニシャライズ処理の後、ステップ302〜308は繰り返し実行される。
【0030】
CPU21は、インタラプト処理により得られている加速度センサ23のセンサ値(加速度センサ値)を取得してRAM26に格納する(ステップ302)。また、CPU21は、インタラプト処理により得られている地磁気センサ22のセンサ値(地磁気センサ値)を取得する(ステップ303)。
【0031】
次いで、CPU21は、現在位置取得処理を実行する(ステップ304)。図4は、本実施の形態にかかる現在位置取得処理の例を示すフローチャートである。図4に示すように、CPU21は、RAM26に格納された、前回実行されたステップ303で得られた地磁気センサ値と、今回実行されたステップ303で得られた地磁気センサ値と、に基づいて、演奏装置本体11の移動方向を算出する(ステップ401)。前述したように、本実施の形態にかかる地磁気センサ22は、3軸地磁気センサであるため、x成分、y成分、z成分の各成分の差からなる3次元のベクトルに基づいて方向を得ることができる。
【0032】
また、CPU21は、RAM26に格納された、前回実行されたステップ302で得られた加速度センサ値と、今回実行されたステップ302で得られた加速度センサ値と、に基づいて、演奏装置本体11の移動量を算出する(ステップ402)。これは、加速度センサ値、および、それぞれの加速度センサ値の取得時刻の差(時間間隔)を用いて、2回積分をすることにより取得できる。次いで、CPU21は、RAM26に格納された前回の位置情報、ステップ401、402でそれぞれ得られた移動方向および移動量に基づき、現在位置の座標を算出する(ステップ403)。
【0033】
CPU21は、算出された座標が、前回の位置座標から変化があったかを判断する(ステップ404)。ステップ404でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26中、新たな位置情報として、算出された現在位置の座標を格納する(ステップ405)。
【0034】
現在位置取得処理(ステップ304)の後、CPU21は、領域設定処理を実行するステップ305)。図5は、本実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。図5に示すように、PCU21は、演奏装置本体11の入力部28中、中心設定スイッチがオンされたかを判断する(ステップ501)。ステップ501でNoと判断された場合には、領域設定処理を終了する。ステップ501でYesと判断された場合には、CPU21は、中心設定スイッチが新規オンであるかを判断する(ステップ502)。ステップ502でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、中心位置Cの位置情報(座標(xc,yc,zc))として、RAM26に格納する(ステップ502)。この位置は、以下で設定される発音領域の基準位置となる。
【0035】
ステップ502でNoと判断された場合、つまり、スイッチがオン中である場合、或いは、ステップ503が実行された後に、CPU21は、中心設定スイッチがオフされたかを判断する(ステップ504)。ステップ504でNoと判断された場合には、領域設定処理を終了する。ステップ504でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、中心設定スイッチがオフされたときの演奏装置本体11の位置Pの位置情報(座標(xp,yp,zp))として、RAM26に格納する(ステップ505)。また、CPU21は、さらに、位置Cと位置Pとの間の距離dpを算出する(ステップ505)。CPU21は、中心位置を位置Cとして位置Pを通る半径dpの範囲(円盤:円形の平面)を、発音領域と決定して(ステップ506)、発音領域を特定する情報(中心位置Cの座標、位置P(「通過位置」とも称する)の座標および半径d)を、RAM26中の領域・音色テーブルに格納する(ステップ507)。その後、CPU21は、RAM26中の領域設定フラグを「1」にセットする(ステップ508)。
【0036】
上述したように、第1の実施の形態においては、演奏者は、中心位置Cと設定したい位置にて、演奏装置本体11の設定スイッチをオンして、その状態を維持したまま、半径に相当する位置まで移動し、その位置で、設定スイッチをオフすることにより、設定スイッチがオンされた位置を中心位置Cとして、設定スイッチがオフされた位置Pを通る、半径d(d:中心位置Cと位置Pとの間の距離)の円形の平面を、発音領域として設定することができる。
【0037】
図7は、本実施の形態にかかる発音領域の決定を概略的に示す図である。符号70は、中心設定スイッチがオンされたときの演奏装置本体を示し、符号71は、中心設定スイッチがオフされたときの演奏装置本体を示す。便宜上、図7においては、演奏者が、演奏装置本体を水平に移動させ、それを、上側から見ている状態としている。
【0038】
演奏者が演奏装置本体の中心設定スイッチをオンすることで、演奏装置本体70の先端位置が、中心位置Cの座標(xc,yc,zc)としてRAM26に格納され、中心設定スイッチがオンされた状態のまま、演奏装置本体11を移動して所望の位置にてオフすると、演奏装置本体71の先端位置が、位置Pの座標(xp,yp,zp)として得られ、かつ、中心位置Cと位置Pとの間の距離dpが算出される。これにより、中心を中心位置Cとした、位置Pを通る半径dpの円形の平面700が発音領域として設定される。後述するように、演奏装置本体11の先端(地磁気センサ22)が、この発音領域上に位置し、或いは、発音領域を通過することにより、楽音が発生することになる。
【0039】
なお、図7の例では、演奏者が演奏装置本体11を水平に移動させており、そのため、円形の平面は地表面から平行に位置しているが、これに限定されるものではなく、上記演奏者により設定される円形の平面は地表面に対して任意の角度をもって位置していて良い。また、領域の設定については、他の手法を考えることができる。これについては後述する。
【0040】
領域設定処理(ステップ305)が終了すると、CPU21は、音色設定処理を実行する(ステップ306)。図6、本実施の形態にかかる音色設定処理の例を示すフローチャートである。図6に示すように、CPU21は、領域設定フラグが「1」であるかを判断する(ステップ601)。ステップ601でNoと判断された場合には、音色設定処理を終了する。
【0041】
ステップ601でYesと判断された場合には、CPU21は、入力部28中、音色指定スイッチがオンされたかを判断する(ステップ602)。ステップ602でNoと判断された場合には、音色指定スイッチがオンされるまで待機する。音色指定スイッチがオンされた場合には(ステップ602でYes)、CPU21は、選択された音色の情報を、発音領域の情報と関連付けて、RAM26中の領域・音色テーブルに格納する(ステップ603)。次いで、CPU21は、領域設定フラグを「0」にリセットする(ステップ604)。
【0042】
図8は、本実施の形態にかかるRAM中の領域・音色テーブルの例を示す図である。図8に示すように、本実施の形態にかかる領域・音色テーブル800のレコード(たとえば、符号801参照)は、領域ID、中心位置Cの座標、通過位置Pの座標、半径d、および、音色という項目を有する。領域IDは、レコードを一意的に特定するためのもので、領域・音色テーブル800のレコード生成の際に、CPU21により採番される。本実施の形態においては、打楽器の音色が指定できるようになっている。無論、打楽器以外の楽器(鍵盤楽器、弦楽器、管楽器など)の音色が設定できるように構成しても良い。
【0043】
音色設定処理306が終了すると、CPU21は、発音タイミング検出処理を実行する(ステップ307)。図9は、本実施の形態にかかる発音タイミング検出処理の例を示すフローチャートである。
【0044】
図9に示すように、CPU21は、ステップ302で取得された加速度センサ値が所定値αより大きいかを判断する(ステップ901)。所定値αは0より大きな任意の値であって良く、演奏者により演奏装置本体11が振られていることが検出できれば良い。ステップ901でNoと判断された場合には、ステップ904に進む。ステップ901でYesと判断された場合には、CPU21は、加速度センサ値が、RAM26に格納されている最大値よりも大きいかを判断する(ステップ902)。ステップ902でNoと判断された場合には、ステップ904に進む。
【0045】
ステップ902でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26中の最大値として、取得された加速度センサ値を格納する(ステップ903)。次いで、CPU21は、演奏装置本体11の位置が、発音領域に接し或いは発音領域を通過したかを判断する(ステップ904)。ステップ904において、CPU21は、領域・音色テーブルの各レコード中、中心位置Cの座標、通過位置Pの座標および半径を参照して、発音領域を規定する円形の平面を特定する情報を取得して、RAM26に格納された、地磁気センサ22等から得られた今回の演奏装置本体11の位置が、発音領域の平面に接し、或いは、前回の処理による座標および今回の処理による座標から得られる演奏装置本体11の軌跡が、発音領域の平面と交差しているかを判断する。ステップ904でNoと判断された場合には、発音タイミング検出処理を終了する。
【0046】
ステップ904でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された、当該発音領域に対応付けられた発音ステータスが「消音中」であるかを判断する(ステップ905)。ステップ905でYesと判断された場合には、CPU21は、ノートオンイベント処理を実行する(ステップ906)。本実施の形態においては、発音ステータスは、発音領域ごとに対応付けられてRAM26中に格納され、楽器部19の音源部31において、発音領域に関連付けられた音色が発音中であるか(発音ステータス=発音中)、或いは、消音されているか(発音ステータス=消音中)を示す。
【0047】
図10は、本実施の形態にかかるノートオンイベント生成処理の例を示すフローチャートである。図10に示すように、CPU21は、RAM26に格納された加速度センサ値の最大値に基づき音量レベル(ベロシティ)を決定する(ステップ1001)。
【0048】
加速度センサの最大値をAmax、音量レベル(ベロシティ)の最大値をVmaxとすると、音量レベルVelは、たとえば、以下のように求めることができる。
【0049】
Vel=a・Amax
(ただし、a・Amax>Vmaxであれば、Vel=Vmax、また、aは所定の正の係数)
次いで、CPU21は、RAM26中の領域・音色テーブルを参照して、演奏装置本体11が位置する発音領域についてのレコード中の音色を、発音すべき楽音の音色として決定する(ステップ1002)。CPU21は、決定された音量レベル(ベロシティ)および音色を含むノートオンイベントを生成する(ステップ1003)。なお、ノートオンイベント中の音高は、規定値とすれば良い。
【0050】
CPU21は、生成されたノートオンイベントをI/F27に出力する(ステップ1004)。I/F27は、赤外線通信装置24にノートオンイベントを赤外線信号として送信させる。赤外線通信装置24からの赤外線信号は楽器部19の赤外線通信装置33に受信される。その後、CPU21は、RAM26中の発音ステータスを「発音中」に変更する(ステップ1005)。
【0051】
発音タイミング検出処理(ステップ307)が終了すると、CPU21は、パラメータ通信処理を実行する(ステップ308)。パラメータ通信処理(ステップ308)については、後述する楽器部19におけるパラメータ通信処理(図11のステップ1105)とともに説明する。
【0052】
図11は、本実施の形態にかかる楽器部において実行される処理の例を示すフローチャートである。楽器部19のCPU12は、RAM15のデータのクリア、表示部16の画面上の画像のクリア、音源部31のクリアなどを含むイニシャライズ処理を実行する(ステップ1101)。次いで、CPU12は、スイッチ処理を実行する(ステップ1102)。スイッチ処理においては、たとえば、CPU12は、入力部17のスイッチ操作にしたがって、発音すべき楽音についての効果音のパラメータなどを設定する。設定された効果音のパラメータ(たとえば、リバーブのデプスなど)は、RAM15に格納される。また、スイッチ処理においては、後述するパラメータ通信処理により演奏装置本体11から送信され、楽器部19のRAM15に記憶される領域・音色テーブルを、スイッチ操作により編集することもできる。この編集では、中心位置や半径を修正し、或いは、音色を変更することもできる。
【0053】
次いで、CPU12は、I/F13が、ノートオンイベントを新たに受信しているかを判断する(ステップ1103)。ステップ1103でYesと判断された場合には、CPU12は発音処理を実行する(ステップ1104)。発音処理においては、CPU12は、受信したノートオンイベントを音源部31に出力する。音源部31は、ノートオンイベントに示される音色にしたがってROMの波形データを読み出す。打楽器の音色の楽音を発生する場合には、波形データ読み出しの際の速度は一定である。なお、後述するように音高を有する楽器(鍵盤楽器、管楽器、弦楽器等)の音色を発音する場合には、音高は、ノートオンイベントに含まれるもの(第1の実施の形態では規定値)に従う。また、音源部31は、読み出された波形データに、ノートオンイベントに含まれる音量データ(ベロシティ)にしたがった係数を乗算して、所定の音量レベルの楽音データを生成する。生成された楽音データはオーディオ回路32に出力され、最終的に、所定の楽音がスピーカ35から発生される。
【0054】
また、CPU12は、音源部31における音色ごとの楽音の発音状況を調べ、ある音色の発音が終了している(消音済)である場合には、RAM15中に、当該音色について消音済であることを示す情報を格納する(ステップ1105)。この消音済であることを示す情報は、パラメータ通信処理において、演奏装置本体11に送信される。
【0055】
その後、CPU12は、パラメータ通信処理を実行する(ステップ1106)。パラメータ通信処理(ステップ1106)においては、CPU12の指示によって、たとえば、スイッチ処理(ステップ1102)で編集された領域・音色テーブルのデータが、演奏装置本体11に送信される。演奏装置本体11において、赤外線通信装置24が、データを受信すると、CPU21は、I/F27を介してデータを受け入れ、RAM26に格納する(図3のステップ308)。また、ステップ1106においては、ステップ1105において生成された、ある音色について消音済であることを示す情報も、楽器部19から送信され、演奏装置本体11により受信される。
【0056】
図3のステップ308においても、演奏装置本体11のCPU21は、パラメータ通信処理を実行する。演奏装置本体11のパラメータ通信処理においては、ステップ305、306で設定された発音領域および音色に基づきレコードが生成され、RAM26中に格納された領域・音色テーブルのデータが、楽器部19に送信される。また、演奏装置本体11のパラメータ通信処理においては、楽器部19から、ある音色について消音済であることを示す情報を受信した場合に、CPU21は、RAM26に格納された当該音色についての発音ステータスを「消音中」に変更する。
【0057】
楽器部19のパラメータ通信処理(ステップ1106)が終了すると、CPU12は、その他の処理、たとえば、表示部16の画面上に表示される画像の更新などを実行する(ステップ1107)。
【0058】
図12は、本実施の形態にかかる演奏装置本体11の領域設定処理および音色設定処理において設定された発音領域および対応する音色の例を概略的に示す図である。この例は、図8に示す領域・音色テーブルのレコードに対応している。図12に示すように、この例では、4つの発音領域110〜113が設けられている。発音領域120〜123は、それぞれ、領域・音色テーブル中、領域ID0〜3のレコードに対応している。演奏者が、演奏装置本体(符号1201)を振り下ろし(或いは振り上げ)、当該演奏装置本体(符号1202)の先端が、発音領域121を通過すると、スネアの音色の楽音が発生する。また、演奏者が、演奏装置本体(符号1211)を振り下ろし(或いは振り上げ)、当該演奏装置本体(符号1212)の先端が、発音領域122を通過すると、シンバルの音色の楽音が発生する。
【0059】
本実施の形態においては、CPU21が、演奏装置本体11の位置が、発音領域に位置する(つまり、発音領域上に位置し、或いは、発音領域を通過する)ときを発音タイミングとして、電子楽器本体19に対して、空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域に対応付けられた音色にて発音するように指示を与える。これにより、発音領域ごとに対応付けられた種々の音色で楽音をさせることが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態においては、演奏装置本体11は、地磁気センサ22と、加速度センサ23とを有し、CPU21は、地磁気センサ22のセンサ値に基づき、演奏装置本体11の移動方向を検出するとともに、加速度センサ23のセンサ値に基づき、演奏装置本体11の移動量を算出する。移動方向および移動量によって、演奏装置本体11の現在位置が取得される。これにより、大規模な装置を用いず、また、複雑な演算なく、演奏装置本体11の位置を得ることが可能となる。
【0061】
さらに、本実施の形態においては、CPU21は、加速度センサ23のセンサ値の最大値を検出し、当該最大値にしたがった音量レベルを算出し、算出された音量レベルで、前述した発音タイミングにおいて、楽器部19に対して発音の指示を与える。したがって、演奏者による演奏装置本体11の振りに応じて、演奏者の所望の音量で楽音を発音することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態においては、CPU21は、指定された中心位置Cの位置情報と、当該中心位置と異なる他の位置Pの位置情報とに基づき、中心位置Cを中心として、他の位置Pを通る円形の平面を、発音領域として、RAM26中の領域・音色テーブルに、音領域を特定する情報と音色とを対応付けて格納する。これにより、演奏者は2点を指定することにより、所望のサイズの発音領域を設定することが可能となる。
【0063】
次に、本発明の第2の形態について説明する。第1の実施の形態においては、円形の平面形状の発音領域を設定するために、中心位置Cおよび通過位置Pを設定し、中心位置Cを中心とする、位置Pを通る半径d(位置Cと位置Pとの距離)の円盤(円形の平面)を画定している。第2の実施の形態では、演奏者が、演奏装置本体11を空間において所望の領域に沿って移動させることにより、円形或いは楕円形の平面を画定している。図13は、第2の実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。第2の実施の形態においては、発音領域の設定のために、演奏装置本体11のスイッチ部28が設定開始スイッチおよび設定終了スイッチを有する。
【0064】
図13に示すように、CPU21は、設定開始スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1301)。ステップ1301でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、始点位置の座標(始点座標)として、RAM26に格納する(ステップ1302)。また、CPU21は、設定中フラグを「1」にセットする(ステップ1303)。
【0065】
ステップ1301でNoと判断された場合には、CPU21は、設定中フラグが「1」であるかを判断する(ステップ1304)。ステップ1304でYesと判断された場合には、RAM26に格納された位置情報を取得して、経過位置の座標(経過位置座標)としてRAM26に格納する(ステップ1305)。なお、ステップ1305は、演奏者により演奏装置本体11の終了スイッチがオンされるまで、複数回実行される。したがって、ステップ1305においては、RAM26に、ステップ1305の実行回数と関連付けて経過位置座標を格納するのが望ましい。
【0066】
その後、CPU21は、終了スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1306)。ステップ1306でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、終点位置の座標(終点座標)としてRAM26に格納する(ステップ1307)。次いで、CPU21は、終点座標が、始点座標から所定の範囲内に位置しているかを判断する(ステップ1308)。ステップ1308でNoと判断された場合には、領域設定処理を終了する。ステップ1304、1306でNoと判断された場合にも、同様に、領域設定処理は終了する。
【0067】
ステップ1308でYesと判断された場合には、始点座標、経過位置座標、終点位置座標に基づいて、これら座標を通るような楕円或いは円形の平面を特定する情報を取得する(ステップ1309)。CPU21は、隣接する座標を結ぶ閉曲線を作成し、この閉曲線に近似する円或いは楕円を得れば良い。たとえば、近似においては、最小二乗法など既知の手法を適用することができる。CPU21は、取得した楕円或いは円形の平面を示す情報を、発音領域の情報として、RAM26中の領域・音色テーブルに格納する(ステップ1310)。その後、CPU21は、RAM26中の設定中フラグを「0」にリセットするとともに、領域設定フラグを「1」にセットする(ステップ1311)。
【0068】
なお、第2の実施の形態における他の処理(たとえば、現在位置取得処理、発音タイミング毛出処理など)は、第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態においても、演奏者により所望の大きさの円形或いは楕円形の平面を発音領域として設定することができる。特に、第2の実施の形態では、演奏者が演奏装置本体11を移動させた軌跡とほぼ同様の外郭を有する発音領域を設定することが可能である。
【0069】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態においては、演奏者が演奏装置本体11を用いて、発音領域の頂点を指定し、頂点で囲まれる平面が発音領域となるように構成される。以下、頂点が4つの平面(四辺形)の発音領域を設定する場合について説明する。図14は、第3の実施の形態にかかる領域設定処理の例を示すフローチャートである。
【0070】
図14に示すように、CPU21は、設定スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1401)。ステップ1401でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM26に格納された位置情報を取得して、頂点の座標(頂点座標)として、RAM26に格納する(ステップ1402)。次いで、CPU21は、RAM26中、頂点数を示すパラメータNをインクリメントする(ステップ1403)。なお、第3の実施の形態では、上記パラメータNは、イニシャライズ処理(図3のステップ301)において「0」に初期化される。次いで、CPU21は、パラメータNが「4」より大きいかを判断する(ステップ1404)。ステップ1404でNoと判断された場合には、領域設定処理を終了する。
【0071】
ステップ1404でYesと判断された場合には、CPU21は、4つの頂点座標により画定される平面(四辺形)の情報を取得する(ステップ1405)。次いで、CPU21は、取得した四辺形を示す情報を、発音領域の情報として、RAM26中の領域・音色テーブルに格納する(ステップ1406)。その後、CPU21は、RAM26中のパラメータNを「0」に初期化するとともに、領域設定フラグを「1」にセットする(ステップ1407)。
【0072】
第3の実施の形態においては、演奏者が頂点を指定することにより、頂点を結んだ平面からなる発音領域を設定することができる。上記実施の形態では、頂点の数が4である平面(四辺形)を発音領域として設定しているが、頂点の数を変更することにより、三角形など任意の多角形の発音領域を設定することが可能となる。
【0073】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第1〜第3の実施の形態においては、発音領域ごとに音色を対応付けて、領域・音色テーブルに、発音領域を特定する情報と、対応付けられた音色の情報とが格納される。これにより、演奏装置本体11が、発音領域を通過すると、対応する音色の楽音が発音される。第4の実施の形態においては、発音領域ごとに音高を対応付け、演奏装置本体11が、発音領域を通過すると、対応する音高の楽音が発音される。このような構成は、たとえば、マリンバやヴィブラフォンのような打楽器の楽音の音色を発音するのに適する。
【0074】
第4の実施の形態においては、図3に示す処理において、音色設定処理(ステップ306)の代わりに音高設定処理が実行される。図15は、第4の実施の形態にかかる音色設定処理の例を示すフローチャートである。第4の実施の形態において、領域設定処理は、第1の実施の形態〜第3の実施の形態の何れかを適用することができる。第4の実施の形態においては、入力部28は、音高を指定するために、音高確認スイッチと確定スイッチとを有する。また、図15の処理にて使用される音高を示すパラメータ(たとえば、MIDIに基づく音高情報)は、イニシャライズ処理において、初期値(たとえば、最低音)に設定される。図15に示すように、CPU21は、領域設定フラグが「1」であるかを判断する(ステップ1501)。ステップ1501でNoと判断された場合には、音色設定処理を終了する。
【0075】
ステップ1501でYesと判断された場合には、CPU21は、音高確認スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1502)。ステップ1502でYesと判断された場合には、CPU21は、音高を示すパラメータNNにしたがった音高情報を含むノートオンイベントを生成する(ステップ1503)。このノートオンイベントにおいては、音量レベルや音色を示す情報は予め定められたものであれば良い。次いで、CPU21は、生成されたノートオンイベントをI/F26に出力する(ステップ1504)。I/F27は、赤外線通信装置24にノートオンイベントを赤外線信号として送信させる。赤外線通信装置24からの赤外線信号は楽器部19の赤外線通信装置33に受信される。これにより、楽器部19において所定の音高の楽音が発音される。
【0076】
ステップ1504の後、CPU21は、確認スイッチがオンされたかを判断する(ステップ1505)。ステップ1505でNoと判断された場合には、CPU21は、音高を示すパラメータNNをインクリメントして(ステップ1506)、ステップ1502に戻る。ステップ1505でYesと判断された場合には、CPU21は、パラメータNNに示す音高情報を、発音領域の情報と関連付けて、RAM26中の領域・音高テーブルに格納する(ステップ1507)。次いで、CPU21は、領域設定フラグを「0」にリセットする(ステップ1508)。
【0077】
図15に示す音色設定処理においては、音高確認スイッチがオンされるたびに、前回より1つ高い音高の楽音が発音される。演奏者は、所望の音高の楽音が発音されたときに、確認スイッチをオンすることにより、所望の音高を、発音領域と対応付けることが可能となる。また、第4の実施の形態にかかる、RAM26に設けられる領域・音高テーブルは、図8に示す領域・音色テーブルと類似した構成を備える。図8の領域・音色テーブルにおいては、領域ID並びに発音領域を特定する情報(図8の例では、中心位置P、通過位置Pおよび半径d)と、音色とが対応付けられている。領域・音高テーブルでは、領域ID並びに発音領域を特定する情報と、音高とが対応付けられている。
【0078】
第4の実施の形態においても、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様に、発音タイミング検出処理が実行され(図9参照)、所定の場合にノートオンイベント生成処理が実行される。図16は、本実施の形態にかかるノートオンイベント生成処理の例を示すフローチャートである。図16のステップ1601は、図10のステップ1001と同様である。ステップ1601の後、CPU21は、RAM26中の領域・音高テーブルを参照して、演奏装置本体11が位置する発音領域についてのレコード中の音高を、発音すべき楽音の音高として決定する(ステップ1602)。CPU21は、決定された音量レベル(ベロシティ)および音高を含むノートオンイベントを生成する(ステップ1603)。ノートオンイベントにおいて、音色は規定値とすれば良い。ステップ1604およびステップ1605は、図10のステップ1004、1005にそれぞれ対応する。このようにして、発音領域に対応付けられた音高の楽音を発生することが可能となる。
【0079】
図17は、本実施の形態にかかる演奏装置本体11の領域設定処理および音高設定処理において設定された発音領域および対応する音高の例を概略的に示す図である。この例では、領域設定処理において、第3の実施の形態に記載したように、4つの頂点により画定される四辺形が発音領域として設定されている。図14においては、それぞれが四辺形の、6つの発音領域170〜175が例示されている。発音領域170〜175の領域IDは、それぞれ、「0」〜「5」である。また、発音領域170〜175のそれぞれには、C3〜A3の音高が割り当てられている。これらの情報は、RAM26の領域・音高テーブルに格納される。たとえば、演奏者が、演奏装置本体(符号1701)を振り下ろし、当該演奏装置本体(符号1702)の先端が、発音領域172を通過すると、E3の音高の楽音が発音される。
【0080】
この実施の形態によれば、発音領域ごとに音高を対応付け、演奏装置本体11が、発音領域を通過すると、対応する音高の楽音が発音される。したがって、マリンバやヴィブラフォンのような音高を変化させることができる打楽器のような演奏形態で所望の音高の楽音を発音させることが可能となる。
【0081】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0082】
前記実施の形態においては、演奏装置本体11のCPU21は、演奏者が演奏装置本体11を振っている際の地磁気センサ値および加速度センサ値を検出して、これらセンサ値に基づき演奏装置本体11の位置情報を取得し、演奏装置本体11が、発音領域に接し、或いは、発音領域を通過したかを判断している。CPU21は、演奏装置本体11が発音領域に接し、或いは、発音領域を通過したと判断すると、発音領域に対応付けられた音色(第1〜第3の実施の形態)、或いは、発音領域に対応付けられた音高(第4の実施の形態)を含むノートオンイベントを生成して、I/F27および赤外線通信装置24を介して楽器部19に送信している。その一方、楽器部19においては、ノートオンイベントを受信すると、CPU12が、受信したノートオンイベントを音源部31に出力して楽音を発生させている。上記構成は、楽器部19が、MIDIボードなどが取り付けられたパーソナルコンピュータやゲーム機など、楽音生成の専用機ではないときに好適である。
【0083】
しかしながら、演奏装置本体11における処理、および、楽器部19における処理の分担は、上記実施の形態のものに限定されない。たとえば、演奏装置本体11は、領域・音色テーブルの情報を楽器部19に送信し、また、センサ値に基づき演奏装置本体に位置情報を取得して、楽器部19に送信するように構成しても良い。この場合には、発音タイミング検出処理(図9)、ノートオンイベント生成処理(図10)は、楽器部19において実行される。上述した構成は、楽器部19が、楽音生成の専用機である電子楽器について好適である。
【0084】
また、本実施の形態においては、演奏装置本体11と楽器部19との間は、赤外線通信装置24、33を用いて赤外線信号にてデータが通信されているが、これに限定されるものではない。たとえば、打楽器本体11と楽器部19とは他の無線通信でデータ通信してもよいし、ワイヤケーブルによって有線でデータ通信するように構成しても良い。
【0085】
さらに、前記実施の形態においては、地磁気センサ23により演奏装置本体11の移動方向を検出するとともに、加速度センサ22により演奏装置本体11の移動量を検出し、これらに基づき演奏装置本体11の位置を取得しているが、このような手法に限定されず、他の位置検出装置、たとえば、3軸加速度センサによるセンサ値や、角速度センサのセンサ値を用いて、演奏装置本体11の位置を取得しても良いことは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0086】
10 電子楽器
11 演奏装置本体
12 CPU
13 I/F
14 ROM
15 RAM
16 表示部
17 入力部
18 サウンドシステム
19 楽器部
21 CPU
22 地磁気センサ
23 加速度センサ
24 赤外線通信装置
25 ROM
26 RAM
27 I/F
31 音源部
32 オーディオ回路
33 赤外線通信装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者が手で保持するための長手方向に延びる保持部材と、
前記保持部材内に配置された、前記保持部材の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域であって、発音すべき楽音の音色と対応付けられた発音領域を特定する情報と、前記対応付けられた音色とを格納する領域・音色記憶手段と、
所定の楽音を発音する楽音発生手段に対して発音の指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記位置情報手段により取得された前記保持部材の位置が、前記発音領域に位置するときを発音タイミングとして、前記領域・音高記憶手段に記憶された音色にて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える発音タイミング検出手段を有することを特徴とする演奏装置。
【請求項2】
前記位置情報取得手段が、地磁気センサと、加速度センサとを有し、
前記地磁気センサのセンサ値に基づき、前記保持部材の移動方向を検出するとともに、前記加速度センサのセンサ値に基づき、前記保持部材の移動量を算出するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の演奏装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記加速度センサ値の最大値を検出し、当該最大値にしたがった音量レベルを算出する音量レベル算出手段を有し、
前記発音タイミング検出手段が、前記音量レベル算出手段により算出された音量レベルで、前記発音タイミングにおいて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与えることを特徴とする請求項2に記載の演奏装置。
【請求項4】
前記発音領域を特定するために、指定された中心位置の位置情報と、当該中心位置と異なる他の位置の位置情報とに基づき、前記中心位置を中心として、前記他の位置を通る円形の平面を、発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の演奏装置。
【請求項5】
前記発音領域を特定するために、前記保持部材の軌跡を、位置情報を所定の時間間隔で取得することにより特定し、当該保持部材の軌跡を、発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の演奏装置
【請求項6】
前記発音領域を特定するために、指定された3以上の頂点の位置情報に基づき、前記頂点を結ぶ平面を発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の演奏装置。
【請求項7】
演奏者が手で保持するための長手方向に延びる保持部材と、
前記保持部材内に配置された、前記保持部材の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域であって、発音すべき楽音の音高と対応付けられた発音領域を特定する情報と、前記対応付けられた音高とを格納する領域・音高記憶手段と、
所定の楽音を発音する楽音発生手段に対して発音の指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記位置情報手段により取得された前記保持部材の位置が、前記発音領域に位置するときを発音タイミングとして、前記領域・音高記憶手段に記憶された音高にて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える発音タイミング検出手段を有することを特徴とする演奏装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の演奏装置と、
前記楽音発生手段を備えた楽器部と、を備え、
前記演奏装置と、前記楽器部とが、それぞれ、通信手段を備えたことを特徴とする電子楽器。
【請求項1】
演奏者が手で保持するための長手方向に延びる保持部材と、
前記保持部材内に配置された、前記保持部材の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域であって、発音すべき楽音の音色と対応付けられた発音領域を特定する情報と、前記対応付けられた音色とを格納する領域・音色記憶手段と、
所定の楽音を発音する楽音発生手段に対して発音の指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記位置情報手段により取得された前記保持部材の位置が、前記発音領域に位置するときを発音タイミングとして、前記領域・音高記憶手段に記憶された音色にて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える発音タイミング検出手段を有することを特徴とする演奏装置。
【請求項2】
前記位置情報取得手段が、地磁気センサと、加速度センサとを有し、
前記地磁気センサのセンサ値に基づき、前記保持部材の移動方向を検出するとともに、前記加速度センサのセンサ値に基づき、前記保持部材の移動量を算出するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の演奏装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記加速度センサ値の最大値を検出し、当該最大値にしたがった音量レベルを算出する音量レベル算出手段を有し、
前記発音タイミング検出手段が、前記音量レベル算出手段により算出された音量レベルで、前記発音タイミングにおいて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与えることを特徴とする請求項2に記載の演奏装置。
【請求項4】
前記発音領域を特定するために、指定された中心位置の位置情報と、当該中心位置と異なる他の位置の位置情報とに基づき、前記中心位置を中心として、前記他の位置を通る円形の平面を、発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の演奏装置。
【請求項5】
前記発音領域を特定するために、前記保持部材の軌跡を、位置情報を所定の時間間隔で取得することにより特定し、当該保持部材の軌跡を、発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の演奏装置
【請求項6】
前記発音領域を特定するために、指定された3以上の頂点の位置情報に基づき、前記頂点を結ぶ平面を発音領域として、前記発音領域を特定する情報と音色とを対応付けて、前記領域・音色記憶手段に格納する、領域・音色設定手段を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の演奏装置。
【請求項7】
演奏者が手で保持するための長手方向に延びる保持部材と、
前記保持部材内に配置された、前記保持部材の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
空間中の一定範囲の閉ざされた発音領域であって、発音すべき楽音の音高と対応付けられた発音領域を特定する情報と、前記対応付けられた音高とを格納する領域・音高記憶手段と、
所定の楽音を発音する楽音発生手段に対して発音の指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記位置情報手段により取得された前記保持部材の位置が、前記発音領域に位置するときを発音タイミングとして、前記領域・音高記憶手段に記憶された音高にて、前記楽音発生手段に対して発音の指示を与える発音タイミング検出手段を有することを特徴とする演奏装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の演奏装置と、
前記楽音発生手段を備えた楽器部と、を備え、
前記演奏装置と、前記楽器部とが、それぞれ、通信手段を備えたことを特徴とする電子楽器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−118299(P2012−118299A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268067(P2010−268067)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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