説明

潜在的な危険性を持つ液体製品の移送のためのゾーンが設けられた船

【課題】潜在的な危険性を持つ液体製品の移送のためのゾーンが設けられた船を提供する。
【解決手段】例えば天然ガスを扱う船の手段により達成される。船はデッキ4を含み、デッキの少なくとも一分部分2が潜在的に危険性のある液体製品を、少なくとも1つの供給ユニット3と、貯蔵及び/又は船内の液体を使用する他の手段との間に、少なくとも1つの移送パイプT及びバルブRを含む移送ステーション5の手段により移送するためのゾーンを含み、ゾーン2が、少なくとも1つの可動供給ユニット3を受けるための少なくとも1つの領域を含むことを特徴とし、かつデッキ4がそのフロアの下に、少なくとも1つの移送ステーション5を格納するための空間を含み、空間はフロアの平面内に置かれる少なくとも1つの除去可能なトラップドア53でカバーされ得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船、例えば天然ガスを操作する船に関し、デッキを含み、デッキの少なくとも一部分に、潜在的に危険性を持つ液体製品を、少なくとも供給ユニットと、この液体の貯蔵及び/又は使用手段との間に移送するためのゾーンを持つ。
【0002】
本出願の全体において、用語「船」は、任意の浮体構造物を意味し、特にまた限定するものではないがバージを含む。
【背景技術】
【0003】
現在では、液化天然ガス(LNG)を前記船の外部供給ユニットから貯蔵ユニット又は前記船に設けられたこのガスを消費する装置へ移送する場合には、固定パイプシステムを用いることが通常である。この方法では前記接続パイプが許容される場合には、バンカー又は空になる場合には脱着可能であって交換可能なユニットにより供給された固定貯蔵ユニットの船上での使用を生じさせる。
【0004】
LNGが潜在的に危険性のある液体液品であり、これを移送する操作の際には多くの安全のための配置構成がなされていることはよく知られている。
【0005】
このことは、液化天然ガスだけでなく他の液体又はガス、特に化学物質についても当てはまる。
【0006】
実用上、前記移送パイプの接続は、岸壁又はバージ上に設けられる外部供給ユニットとの接続のためのバンカーステーション、又は前記船中に一時的に配置される可動供給ユニットのいずれかでなされる。
【0007】
いずれにしても、前記パイプ接続が船内部でなされる場合には、少なくとも1つの移送ステーションが存在し、それは少なくとも1つの移送パイプとバルブを持ち、それにより容器又はシステムに液化ガスを供給する。
【0008】
通常はこの移送ステーションの存在は、前記可動供給ユニットを前記ゾーンで接続する場合に、特に問題となる。というのは、この存在は、事故の危険を増加させ、人及び車両が動く際に邪魔となる、からである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、これらの問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これは本発明により、例えば天然ガスを扱う船の手段により達成される。前記船はデッキを含み、前記デッキの少なくとも一部分が潜在的に危険性のある液体製品を、少なくとも1つの供給ユニットと、貯蔵及び/又は前記船内の前記液体を使用する手段との間に、少なくとも1つの移送パイプ及びバルブを含む移送ステーションの手段により移送するためのゾーンを含み、前記ゾーンが、少なくとも1つの可動供給ユニットを受けるための少なくとも1つの領域を含むことを特徴とし、かつ前記デッキがそのフロアの下に、少なくとも1つの前記移送ステーションを格納するための空間を含み、前記空間は前記フロアの平面内に置かれる少なくとも1つの除去可能なトラップドアでカバーされ得ることを特徴とする。
【0011】
これらの構成により、前記移送ゾーンで移送ステーションがデッキから飛び出ることはなく、従って人及び車両の通過に際して前記装置の安全性が特に改善される。
【0012】
限定されるものではないが、本発明の他の構成及び利点によると:
− 前記デッキがその下に胞状構造を持ち、前記胞状構造のそれぞれのセルがチャンバを形成し、前記貯蔵空間がこれらのチャンバの少なくとも1つで限定され;
− 前記チャンバが前記デッキに付された底部壁を持ち;
− 前記壁が前記デッキに補強材の手段により付されて、チャンバをその下に設けられるデッキから密閉分離され;
− 前記空間が少なくとも1つのフレキシブルホースを格納するための少なくとも1つのハウジングを含み;
− 前記ハウジングが円筒形状を持ち;
− 前記デッキの下又は前記空間の外側に設けられるパイプの少なくとも一部が、気密二重タイプであり;
− 前記製品が液化天然ガスであり;
− 前記が、推進エンジン用燃料として使用される。
【0013】
本発明の他の構成及び利点は、本発明の好ましい実施態様についての以下の記載に基づき説明される。この説明は添付された図面を参照して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、前記のとおり、液化天然ガスを使用又は貯蔵する船の従来の構造を示す図である。
【図2】図2は、可動供給ユニットを移送する船の前記移送ゾーンの斜視図である。
【図3】図3は、移送ステーションを受ける前記船のタンク部分及びデッキのフロアゾーンの斜視詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による船は、上で説明され図1で模式的に示されるものと実質的に同じ構造を持つ。
【0016】
しかし本発明及び図2に示される本質的特徴によると、前記ゾーン2は、危険性液体、この場合は液化天然ガス(LVG)を供給するための少なくとも1つの可動ユニットを受け取るための領域20を含む。この移送ゾーンは、前記船の構造を構成するデッキ4の一部分からなる。
【0017】
それぞれの可動供給ユニット3は、ここでは、車軸構造上に置かれるタンク30からなり、タンクローリーのトレイラーを形成するが、これらのユニットは他の形でもよい。
【0018】
実用的には、前記船の近くで岸壁に停車したタンカーローリーが、順に前記移送ゾーンに案内され、それぞれのドライバーは自分のタンカー30をこの目的で与えられた前記領域20に停車させる。
【0019】
ここでは12のタンクが示されるが、もちろん12よりも多く又は少なくてもよく、数の異なるタンクを受け入れ可能な領域20を設けることも可能である。
【0020】
前記デッキ4は、構造的に、金属フロア40からなり、これは一組の一次補強材41及び42の上に、それぞれ縦方向(ビーム)及び横方向(ストリンガー)に置かれている。
【0021】
これは、自体完全に知られた構造であり、前記デッキ4の全体に対して剛性と厚みを与えるものである。
【0022】
図2には、このデッキ4の前記フロアが符号40で示される。
【0023】
これは図2では示されていないが、しかし図3でタンク30のそれぞれの組の間に移送ステーション5があることが示される。
【0024】
本発明の本質的特徴によると、それぞれの移送ステーションは貯蔵スペースE内に設けられ、これは前記フロア40の面の下、即ち前記デッキ4の実際の構造厚みの内に設けられている。
【0025】
この場合では、フロア40と補強材41と42を持つ前記デッキ4は、通常の胞状構造であり、従って「チャンバ」を形成するセル又はスペースを持ち、前記貯蔵スペースEは少なくとも1つのチャンバCからなる。
【0026】
用語「胞状」とは。本出願の全体において、底部壁及び側部壁を持つ少なくとも1つのキャビティを持ち、そのキャビティの輪郭が六角形状であってもよいし、そうでなくてもよい、全ての構造を意味する。
【0027】
これらのチャンバは前記デッキ4へ付される底部壁43によりそれらの底部部分で閉鎖されており、より詳細には前記強化材41と42へ溶接されている。
【0028】
前記移送ステーション5は、少なくとも1つの移送パイプT及び少なくとも1つのバルブRからなる。
【0029】
前記ステーションはまた、フレキシブルホース50と51を含み、これらは関連するタンク30と統合されたそれぞれのバルブ310及び311へ接続され得るものであり、及び貯蔵される材料の前記液体及びガス分画それぞれを分配することができるものである。
【0030】
図3に示されるように、これらのフレキシブルホースは重複しており、従って他のタンク(図示されていない)がそこへ接続され得る。
【0031】
図3の符号52は、気密性二重壁パイプを示し、これは前記デッキのフロア4の下を、前記船のエンジンM、又は固定液体−気体貯蔵容器のいずれかの方向へ通される。従って、前記デッキの下に1つの空間が形成され、これが前記移送される製品の危険性に対する保護となり、非危険とされ得る空間である。
【0032】
ドレイン7は前記チャンバ5の下に設けられ、前記壁43の表面に蓄積された全ての液体を放出する。
【0033】
最後に、4つのハウジング6(ここでは円筒形状であるが)が、前記チャンバ内に設けられ、前記フレキシブルホースを使用しない際にはその中に格納することを可能とする。
【0034】
通常は前記デッキ4のフロア40は、それぞれの空間Eの上に垂直開口部Oを持ち、また開口部Oとして同じ数の除去可能なトラップドア又はハッチ53を含む。それぞれのトラップドア53は、前記移送ステーションを使用しない場合には開口部Oをカバーする。従ってトラップドア53は、前記ステーションにアクセスするためにはそれを開くだけで十分となる。
【0035】
それぞれの外部パイプは前記空間Eに前記同じ壁を通って入り、全ての前記バルブを集中させることができる。このことは、集中化の効果に加えて、手動で容易に操作できるトラップドアにアクセスすることが可能となる、という効果を持つ。
【0036】
同様に、前記ホースはまた、横並びで設けられることができ、同じように、手動操作のために最適化された寸法のハッチの使用を可能とする。後者のトラップドアは、脱着可能であり、前記ホースが前記タンク間の流通を可能とするように接続されると再配置され得る。
【0037】
このことは迅速かつ安全な接続を可能とする。前記デッキの実際の構造において前記移送ステーションを「導入すること」は、前記受け入れ領域上に最大数の可動タンクを容易に配置することを可能にし、かつ前記タンクが置かれていない場合には車両及び/又は通行人の通路を損なわないことを可能とする。
【0038】
前記構造中の製品を、気密性かつ保護二重パイプを介して移送するパイプの経路配置は、ここで「非危険」とされ得る前記領域を通過することを可能とする。
【0039】
さらに、前記構造の他の側上の通路を邪魔するさらなる障害物も存在しない。
【0040】
前記デッキの実際の構造に移送ステーションを統合することは、従来の構造と比較して、実際上さらに重量の追加を起こすものではない。
【0041】
いずれにしても、このことは、二重底内にパイプを配線することを可能とし、またデッキに自由な通路を残し得るガレー内又は格子上での移送の解決とは比較することはできない。
【0042】
さらに、前記パイプ作業は構造的により好ましく保護されており、前記ステーションのメンテナンスも限定的なものとなる。
【0043】
通常、前記記載の全体において、それぞれのタンクはそれ自身ポンプを持つことが前提となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば天然ガスを扱う船であり、前記船はデッキを含み、前記デッキの少なくとも一部分が潜在的に危険性のある液体製品を、少なくとも1つの供給ユニットと、貯蔵及び/又は前記船内の前記液体を使用する手段との間に、少なくとも1つの移送パイプ及びバルブを含む移送ステーションの手段により移送するためのゾーンを含み、前記ゾーンが、少なくとも1つの可動供給ユニットを受けるための少なくとも1つの領域を含むことを特徴とし、かつ前記デッキがそのフロアの下に、少なくとも1つの前記移送ステーションを格納するための空間を含み、前記空間は前記フロアの平面内に置かれる少なくとも1つの除去可能なトラップドアでカバーされ得ることを特徴とする、船。
【請求項2】
請求項1に記載の船であり、前記デッキがその下に胞状構造を持ち、前記胞状構造のそれぞれのセルがチャンバを形成し、前記貯蔵空間がこれらのチャンバの少なくとも1つで限定される、船。
【請求項3】
請求項2に記載の船であり、前記チャンバが前記デッキに付された底部壁を持つ、船。
【請求項4】
請求項3に記載の船であり、前記壁が前記デッキに補強材の手段により付されて、チャンバがその下に設けられるデッキから密閉分離される、船。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の船であり、前記空間が、少なくとも、1つのフレキシブルホースを格納するための少なくとも1つのハウジングを含む、船。
【請求項6】
請求項5に記載の船であり、前記ハウジングが円筒形状である、船。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の船であり、前記デッキの下又は前記空間の外側に設けられるパイプの少なくとも一部が、気密二重タイプである、船。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の船であり、前記製品が液化天然ガスである、船。
【請求項9】
請求項8に記載の船であり、前記が、推進エンジン用燃料として使用される、船。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−107629(P2013−107629A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235501(P2012−235501)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【出願人】(510031464)エス テ イクス フランス ソシエテ アノニム (7)
【Fターム(参考)】