濃塩水生成装置
【課題】広大な設置面積を必要とせず、かつエネルギー消費量が少ない濃塩水生成装置を得る。
【解決手段】原水ポンプ12を稼動して濃塩水タンク24に海水90を貯留した後、循環ポンプ34及び熱源40を稼動して濃塩水タンク24の海水90を加熱すると共に濃塩水タンク24と膜蒸留膜モジュール18との間で循環させる。これと共に加熱していない海水90を膜蒸留膜モジュール18内を通過させることにより、膜蒸留膜モジュール18では上記循環されている海水から淡水のみを抽出して排出し、上記循環されている海水は塩分濃度が徐々に高くなるので、該塩分濃度が15%に達した時点で上記循環を停止する。その後、濃塩水タンク24に貯留されている濃塩水を蒸発タンク42に移した後に熱源44を稼動させて塩分濃度約18%の濃塩水を生成する。そして、加圧ポンプ50を稼動することによって吹付器52を介して岩塩ルーム54の内壁に濃塩水を吹き付ける。
【解決手段】原水ポンプ12を稼動して濃塩水タンク24に海水90を貯留した後、循環ポンプ34及び熱源40を稼動して濃塩水タンク24の海水90を加熱すると共に濃塩水タンク24と膜蒸留膜モジュール18との間で循環させる。これと共に加熱していない海水90を膜蒸留膜モジュール18内を通過させることにより、膜蒸留膜モジュール18では上記循環されている海水から淡水のみを抽出して排出し、上記循環されている海水は塩分濃度が徐々に高くなるので、該塩分濃度が15%に達した時点で上記循環を停止する。その後、濃塩水タンク24に貯留されている濃塩水を蒸発タンク42に移した後に熱源44を稼動させて塩分濃度約18%の濃塩水を生成する。そして、加圧ポンプ50を稼動することによって吹付器52を介して岩塩ルーム54の内壁に濃塩水を吹き付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃塩水生成装置に係り、特に、塩分濃度が海水より高い濃塩水を生成する濃塩水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、塩分濃度が海水より高い濃塩水を生成する技術として適用し得る方法として、天日塩田法、塩田−せんごう法、イオン交換膜法(電気透析法)があった。
【0003】
図11は、天日塩田法、塩田−せんごう法、及びイオン交換膜法の各々の手順をまとめて示したものである。なお、同図における矢印の破線が天日塩田法、一点鎖線が塩田−せんごう法、実線がイオン交換膜法、の各々の手順の流れを示している。
【0004】
同図に示すように、天日塩田法は、塩田に貯留した海水中の水分を太陽エネルギーによって蒸発させることにより塩分濃度が高められたかん水を生成し、該かん水に対して引き続き塩田において太陽エネルギーによる蒸発を継続して結晶塩を生成するものである。
【0005】
また、塩田−せんごう法は、塩田に貯留した海水中の水分を太陽エネルギー及び風によって蒸発させることにより塩分濃度が高められたかん水を生成し、該かん水を蒸発結晶缶で煮詰めることによってかん水中の水分を蒸発させて固形塩を生成するものである。
【0006】
また、イオン交換膜法は、図12に示すように、海水90が貯留された容器内に2枚のイオン交換膜97を所定間隔隔てて設け、容器内における一方のイオン交換膜97の外側にプラス電極98Aを、他方のイオン交換膜97の外側にマイナス電極98Bを、各々海水90に浸すように設置して海水90内に電気を流すことによってイオンを移動させて、イオン交換膜97によって淡水と濃塩水とに分離した後に淡水のみを排出することによって塩分濃度が高められたかん水を生成し、該かん水を蒸発結晶缶で煮詰めることによってかん水中の水分を蒸発させて固形塩を生成するものである。
【0007】
上記の天日塩田法、塩田−せんごう法、イオン交換膜法の各々の途中段階として生成されるかん水が塩分濃度が海水より高い濃塩水に相当する。
【0008】
一方、従来より、海水、海藻等の海洋資源と海洋性気候を利用した療法であり、人間が本来保有している自然治癒力を活かして心身の機能を高めるタラソテラピー(海洋療法)の有効性が知られている。
【0009】
このタラソテラピーのための施設の一つとして、内部の壁面が岩塩層で覆われた岩塩ルームがあり、岩塩ルームの内部は岩塩層から発散されるマイナスイオンが充満した空間となっており、人間の健康増進に有効である。
【0010】
従来、このような岩塩ルームを人工的に施工する技術はなかった。
【特許文献1】特開平10−245219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した天日塩田法及び塩田−せんごう法では、塩田を構成するための広大な土地を必要とする、という問題点があった。
【0012】
また、上述したイオン交換膜法では、電気エネルギーの消費量が非常に大きい、という問題点があった。
【0013】
本発明は上記問題点を解消するために成されたものであり、広大な設置面積を必要とせず、かつエネルギー消費量が少ない濃塩水生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1記載の濃塩水生成装置は、海水を貯留した第1のタンクと、前記第1のタンクに貯留された海水を加熱する第1の加熱手段と、内部に設けられた膜を隔てて配置された温海水が通過する第1の通路と冷海水が通過する第2の通路とを備えると共に前記第1の加熱手段によって加熱された海水が前記第1のタンクと前記第1の通路との間で循環されかつ前記第2の通路に加熱されていない海水が通過された際に前記加熱された海水から淡水のみを抽出することによって第1の濃塩水を生成する第1の濃塩水生成手段と、前記第1の濃塩水生成手段により生成された前記第1の濃塩水を貯留する第2のタンクと、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水を加熱することにより前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度を高めて第2の濃塩水とする第2の加熱手段と、を備えている。
【0015】
請求項1に記載の濃塩水生成装置によれば、内部に設けられた膜を隔てて配置された温海水が通過する第1の通路と冷海水が通過する第2の通路とを備えた第1の濃塩水生成手段により、第1の加熱手段によって加熱された海水が該海水を貯留した第1のタンクと第1の通路との間で循環されかつ第2の通路に加熱されていない海水が通過された際に、加熱された海水から淡水のみが抽出されて第1の濃塩水が生成される。なお、この際生成される第1の濃塩水の塩分濃度は、第1の濃塩水生成手段に設けられた膜の特性に基づいて決定される所定濃度が上限とされる。また、上述した第1の濃塩水生成手段による淡水の抽出方法は膜蒸留法と呼ばれている。
【0016】
次に、第1の濃塩水生成手段により生成された第1の濃塩水が第2のタンクに貯留された後、第2の加熱手段によって、第2のタンクに貯留された第1の濃塩水が加熱されることにより第1の濃塩水の塩分濃度を高めた第2の濃塩水が生成される。
【0017】
このように、請求項1に記載の濃塩水生成装置によれば、加熱されていない海水を膜蒸留法における冷却源として用いていると共に、加熱されていない海水と加熱された海水とを各々第1の濃塩水生成手段の内部を膜を隔てて隣接して通過させることにより第1の濃塩水を生成しているので、エネルギー効率が非常によく、エネルギー消費量を少なくすることができると共に、海水の加熱面積を小さくすることができ、設備の設置面積を小さくすることができる。
【0018】
また、請求項2記載の濃塩水生成装置は、請求項1記載の濃塩水生成装置において、前記第1の加熱手段によって加熱された海水の前記第1のタンクと前記第1の通路との間の循環を制御すると共に前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が所定の濃度に達した場合に前記第1のタンクと前記第1の通路との間の前記循環を停止するように制御する制御手段を更に備えたことを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項3記載の濃塩水生成装置は、請求項2記載の濃塩水生成装置において、前記制御手段は、前記海水の原水の塩分濃度及び前記第1のタンクの寸法に基づいて前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が前記所定の濃度になった場合の水位を算出し、該算出された水位に前記第1のタンクの水位が達したときに前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が前記所定の濃度に達したと判断して前記循環を停止するように制御することを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項4記載の濃塩水生成装置は、請求項2又は請求項3に記載の濃塩水生成装置において、前記制御手段は、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水に対する前記第2の加熱手段による加熱動作を制御すると共に前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が第2の所定の濃度に達した場合に前記加熱動作を停止するように制御することを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項5記載の濃塩水生成装置は、請求項4記載の濃塩水生成装置において、前記制御手段は、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度及び前記第2のタンクの寸法に基づいて前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が前記第2の所定の濃度になった場合の水位を算出し、該算出された水位に前記第2のタンクの水位が達したときに前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が前記第2の所定の濃度に達したと判断して前記加熱動作を停止するように制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の濃塩水生成装置によれば、加熱されていない海水を膜蒸留法における冷却源として用いていると共に、加熱されていない海水と加熱された海水とを各々第1の濃塩水生成手段の内部を膜を隔てて隣接して通過させることにより第1の濃塩水を生成しているので、エネルギー効率が非常によく、エネルギー消費量を少なくすることができると共に、海水の加熱面積を小さくすることができ、設備の設置面積を小さくすることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る濃塩水生成装置の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る濃塩水生成装置で生成した濃塩水を用いて岩塩ルームを施工する場合について説明する。
【0024】
〔第1実施形態〕
まず、図1を参照して、本発明の濃塩水生成装置の第1の濃塩水生成手段として本実施形態で適用する膜蒸留法の原理について説明する。
【0025】
同図に示すように、本実施形態で適用する膜蒸留法では、厚さ約300ミクロンの膜92により仕切られた一方側に所定温度に加熱された温海水90Aを膜92の表面に平行(図1矢印A方向)に流すと共に、他方側に上記温海水90Aより温度が低い冷海水90Bを温海水90Aと平行でかつ逆方向(図1矢印B方向)に流す。
【0026】
従って、膜92の両側には温度差が発生し、この温度差によって温海水90Aの水蒸気が図1矢印C方向に膜92を通過して移動し、冷海水90Bの通過によって冷却された冷却面94の表面で凝縮されて水滴96になり、この水滴96を図1矢印D方向に移動させて淡水を得ることができる。従って、このような膜蒸留法を実施した後の温海水90Aは、得られた淡水の量に応じて塩分濃度が高められた塩水となる。
【0027】
次に、図2を参照して、本第1実施形態に係る濃塩水生成装置10、岩塩ルーム54、及びその周辺の構成について説明する。同図に示すように、本第1実施形態に係る濃塩水生成装置10は海水90を汲み上げる原水ポンプ12を備えており、原水ポンプ12の海水90を流出する流出口はろ過装置14の流入口に配管されている。なお、原水ポンプ12は濃塩水生成装置10全体の動作を制御する制御盤32に接続されており、制御盤32は原水ポンプ12の作動の制御を随時行うことができる。
【0028】
ろ過装置14のろ過処理がなされた海水90を流出する流出口は上述した膜蒸留法を実現する膜蒸留膜モジュール18の冷海水90Bを流入する流入口に配管されており、膜蒸留膜モジュール18の冷海水90Bを流出する流出口はモータ20によって流出方向が変更される1流入2流出のモータ弁22の流入口に配管されている。なお、モータ20は制御盤32に接続されており、制御盤32はモータ弁22の流出方向を随時変更することができる。
【0029】
また、モータ弁22の一方の流出口は濃塩水タンク24の流入口に配管されており、モータ弁22の他方の流出口は濃塩水生成装置10の外部へと配管されている。また、濃塩水タンク24の上部には濃塩水タンク24内に貯留された塩水の水位を検知するレベル計28が設置されており、さらに、濃塩水タンク24の内部には濃塩水タンク24内に貯留された塩水の塩分濃度を検知するセンサ30が設置されている。なお、レベル計28、及びセンサ30は制御盤32に接続されており、制御盤32は濃塩水タンク24内に貯留された塩水の水位及び塩分濃度を随時知ることができる。センサ30としては、電気伝導度計や塩分計等が適用できる(後述するセンサ48も同様)。
【0030】
一方、濃塩水タンク24の流出口は循環ポンプ34の流入口に配管されており、循環ポンプ34の流出口はモータ36によって流出方向が変更される1流入2流出のモータ弁38の流入口に配管されている。なお、循環ポンプ34及びモータ36は制御盤32に接続されており、制御盤32は循環ポンプ34の作動の制御及びモータ弁38の流出方向の変更を随時行うことができる。
【0031】
また、モータ弁38の一方の流出口は蒸発タンク42の流入口に配管されており、他方の流出口は流入された塩水を所定温度(本実施形態では最高約80℃)に加熱する熱源40の流入口に配管されている。なお、熱源40は制御盤32に接続されており(接続線は図示省略)、制御盤32は熱源40による塩水の加熱動作を制御することができる。
【0032】
さらに、熱源40の流出口は膜蒸留膜モジュール18の温海水90Aを流入する流入口に配管されており、膜蒸留膜モジュール18の温海水90Aを流出する流出口は濃塩水タンク24の流入口に配管されており、膜蒸留膜モジュール18の淡水を流出する流出口は濃塩水生成装置10の外部へと配管されている。
【0033】
一方、蒸発タンク42の上部には蒸発タンク42内に貯留された塩水の水位を検知するレベル計46が設置されており、また、蒸発タンク42の内部には蒸発タンク42内に貯留された塩水の塩分濃度を検知するセンサ48が設置されており、さらに蒸発タンク42の下部には蒸発タンク42内に貯留された塩水を加熱する熱源44が蒸発タンク42と一体的に設置されている。なお、熱源44、レベル計46、及びセンサ48は制御盤32に接続されており(熱源44から制御盤32への接続線は図示省略)、制御盤32は熱源44による蒸発タンク42内に貯留された塩水の加熱動作を制御することができると共に、蒸発タンク42内に貯留された塩水の水位及び塩分濃度を随時知ることができる。また、熱源44による加熱動作によって、蒸発タンク42内に貯留された塩水の水分が水蒸気として蒸発タンク42の外部に放出される。
【0034】
また、蒸発タンク42の流出口は圧力ポンプ50の流入口に配管されており、圧力ポンプ50の流出口はノズル、或いはスプレーガン等の吹付器52の流入口に配管されている。この際、吹付器52は、施工者によって、施工対象とする岩塩ルーム54内の任意の位置に移動することができると共に、吹出口(流出口)を任意の方向に向けることができるように構成されている。なお、圧力ポンプ50は制御盤32に接続されており、制御盤32は圧力ポンプ50の作動の制御を随時行うことができる。
【0035】
一方、岩塩ルーム54の床面には排水路56が備えられており、排水路56の排出口は貯留槽58の上端外縁に位置されており、排水路56から排出された排水(塩水)は貯留槽58内に貯留される。また、貯留槽58の上部には貯留槽58内に貯留された塩水の水位を検知するレベル計59が設置されている。なお、レベル計59は制御盤32に接続されており、制御盤32は貯留槽58内に貯留された塩水の水位を随時知ることができる。
【0036】
また、貯留槽58の近傍には流入口が貯留槽58に配管された取水ポンプ60が設置されており、取水ポンプ60の流出口はろ過装置62の流入口に配管されており、さらにろ過装置62の流出口は蒸発タンク42の流入口に配管されている。なお、取水ポンプ60は制御盤32に接続されており、制御盤32は取水ポンプ60の作動の制御を随時行うことができる。
【0037】
なお、膜蒸留膜モジュール18が本発明の第1の濃塩水生成手段に、濃塩水タンク24が本発明の第1のタンクに、熱源40が本発明の第1の加熱手段に、蒸発タンク42が本発明の第2のタンクに、熱源44が本発明の第2の加熱手段に、各々相当する。
【0038】
次に、以上のように構成されたものの作用について説明する。まず制御盤32は、モータ20によってモータ弁22の流出方向を濃塩水タンク24側に設定した後、原水ポンプ12の稼動を開始する。これによって、原水ポンプ12により海水90が汲み上げられ、汲み上げられた海水90はろ過装置14、膜蒸留膜モジュール18、及びモータ弁22を順に通過した後に濃塩水タンク24内へ至り、濃塩水タンク24への海水90の貯留が開始される。
【0039】
次に制御盤32は、レベル計28によって濃塩水タンク24内の水位を検知し、該水位が濃塩水タンク24の上限水位に達した時点で、モータ20によりモータ弁22の流出方法を濃塩水生成装置10の外部方向に変更する。従って原水ポンプ12によって汲み上げられた海水90は、これ以降、ろ過装置14、膜蒸留膜モジュール18、及びモータ弁22を順に通過した後に濃塩水生成装置10の外部へ排出される。
【0040】
次に制御盤32は、モータ36によってモータ弁38の流出方向を膜蒸留膜モジュール18側に設定した後に、循環ポンプ34の稼動を開始すると共に熱源40による加熱動作を開始する。これによって、熱源40により最高約80℃に加熱された海水90が濃塩水タンク24と膜蒸留膜モジュール18との間で循環される。この循環の際に膜蒸留膜モジュール18内には加熱されていない海水90が通過されているので、この加熱されていない海水90及び上記加熱された海水90の間の温度差によって膜蒸留膜モジュール18内では、加熱された海水90からの淡水の抽出が行われ、抽出された淡水は濃塩水生成装置10の外部に排出される。一方、加熱された海水90は、海水90中の水分が淡水として抽出されるので、徐々に量が減少すると共に塩分濃度が高くなる。なお、本実施形態に係る濃塩水生成装置10では、塩分濃度が最大約15%に達するまで、濃塩水タンク24内に貯留された海水90(塩水)の濃縮が可能とされている。この約15%は、本実施形態で使用する膜蒸留膜モジュール18の膜素材の特性から設定した上限値である。従って、この値は一例であり、使用する膜素材の特性によって上下するものである。
【0041】
次に制御盤32は、センサ30によって濃塩水タンク24内の塩水の塩分濃度を検知し、該塩分濃度が15%に達した時点で原水ポンプ12、循環ポンプ34の稼動及び熱源40の加熱動作を停止した後、モータ36によってモータ弁38の流出方向を蒸発タンク42側に変更し、循環ポンプ34の稼動を再開する。これによって、濃塩水タンク24に貯留されている塩分濃度が15%とされた濃塩水の蒸発タンク42への給水が開始される。
【0042】
次に制御盤32は、レベル計46によって蒸発タンク42内の水位を検知し、該水位が蒸発タンク42の上限水位に達した時点で循環ポンプ34の稼動を停止した後、熱源44による加熱動作を開始する。これによって、蒸発タンク42内に貯留された濃塩水への加熱が開始されるので、時間の経過に伴って濃塩水の水分が水蒸気となって蒸発タンク42の外部へ放出され、濃塩水の量が徐々に少なくなると共に塩分濃度が徐々に高くなる。そこで制御盤32は、センサ48によって蒸発タンク42内の塩分濃度を検知し、該塩分濃度が18%に達した時点で熱源44の加熱動作を停止する。なお、この18%は海水中の塩類が析出し始める塩分濃度である。
【0043】
その後、制御盤32は、施工者からの指示に応じて圧力ポンプ50の稼動を開始する。従って、これ以降、吹付器52の吹出口からは、蒸発タンク42内に貯留された塩分濃度が約18%とされた濃塩水が吹き出すので、施工者は吹付器52を把持して、吹付器52から吹き出された濃塩水を岩塩ルーム54内の壁面全般に渡って吹き付ける。
【0044】
この結果、岩塩ルーム54内の壁面に吹き付けられた濃塩水は壁面の表面をつたって図2矢印E方向に流下し、この流下の際に析出した塩類の結晶が壁面に付着する。一方、岩塩ルーム54の床面まで流下した濃塩水は、排水路56を図2矢印F方向に移動して貯留槽58に流入する。
【0045】
その後、制御盤32は取水ポンプ60を稼動することにより、貯留槽58に貯留された濃塩水を取水し、ろ過装置62を介することによってろ過した後に蒸発タンク42内に流出する。このようにして蒸発タンク42内に流入された濃塩水は再度圧力ポンプ50によって加圧されて岩塩ルーム54の壁面に吹き付けられる。
【0046】
蒸発タンク42に貯留された濃塩水の岩塩ルーム54内の壁面への吹き付け、岩塩ルーム54の床面に流下された濃塩水の排水路56を介した貯留槽58への流入、取水ポンプ60による貯留槽58に貯留された濃塩水の取水及びろ過装置62を介した蒸発タンク42への流出、という一連の動作を繰り返す間に、濃塩水は水分が蒸発して濃縮される。従って、岩塩ルーム54内の壁面の表面や貯留槽58内で結晶が析出して水量が徐々に減少するので、レベル計59によって貯留槽58内に貯留された濃塩水の水位を測定し、該測定値が一定値以下になった時点で圧力ポンプ50及び取水ポンプ60の稼動を停止し、再び上述した海水90の濃塩水タンク24への取水、膜蒸留膜モジュール18による濃縮、蒸発タンク42による濃縮を行うことによって、蒸発タンク42内に塩分濃度約18%の濃塩水が十分に溜まった時点で再び岩塩ルーム54内の壁面への吹き付け操作を再開する。
【0047】
このように、本第1実施形態に係る濃塩水生成装置10では、比較的熱量を必要としない膜蒸留法によって塩分濃度が約15%に達するまで海水90を濃縮しているので、イオン交換膜法を利用した場合に比較して、少ない消費エネルギーで岩塩ルームを施工することができると共に、塩田を用いる場合に比較して、設備を設けるための敷地面積を狭くすることができる。
【0048】
また、本第1実施形態に係る岩塩ルーム施工方法では、岩塩ルーム54の内壁に対して濃塩水を繰り返し吹き付けることのみにより岩塩ルーム54の内壁に岩塩層を形成しているので、簡易に岩塩ルームを施工することができる。
【0049】
なお、本第1実施形態では、岩塩ルーム54内の壁面に濃塩水を吹き付ける操作を施工者が行う場合について説明したが、岩塩ルーム54内の壁面に濃塩水を吹き付けることができる形態であれば如何なる形態であってもよく、例えば図3に示すような形態としてもよい。
【0050】
同図に示すように、この形態は、一定の間隔を隔てて複数の流出口が設けられた散水パイプ70を岩塩ルーム54内の天井面近傍に設け、圧力ポンプ50の流出口を散水パイプ70の流入口に配管したものである。この場合、圧力ポンプ50及び取水ポンプ60を駆動させるのみで施工者を介することなく自動的に岩塩ルーム54内の壁面に濃塩水を吹き付けたり、シャワー状に流したりする操作を繰り返し実施することができるので、人件費を削減することができる。
【0051】
また、本第1実施形態では、通常の環境における岩塩ルーム54内の壁面に対して濃塩水を吹き付けて岩塩層を形成する場合について説明したが、この吹き付けの際に岩塩ルーム54の内部の除湿、岩塩ルーム54内の空気の加温等を実施することにより岩塩ルーム54内を乾燥した環境とすることによって、岩塩ルーム54内の壁面の岩塩層をより速く形成することができる。また、濃塩水を吹き付けた壁面及びその周辺をバーナー等によって加熱し、水分の蒸発を促進することによっても、岩塩ルーム54内の壁面の岩塩層をより速く形成することができる。
【0052】
また、本第1実施形態では、通常の壁面に対して濃塩水を吹き付けることにより岩塩層を形成する場合について説明したが、壁面に凹凸を設ける形態としてもよい。
【0053】
図4(A)は、壁68の岩塩層を形成する側の表面に凸部74A及び凹部74Bを網状に設けた場合の壁68の正面図及び側面図であり、図4(B)は、壁68の岩塩層を形成する側の表面に凸部74A及び凹部74Bを格子状に設けた場合の壁68の正面図及び側面図である。このように、壁68の表面を凹凸のある形状に仕上げたり、ネットや網を壁面に貼り付けたりすることによって、凸部に濃塩水が滞留し、該滞留した濃塩水の水分が蒸発して結晶が析出するので、岩塩層の形成を促進することができる。
【0054】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態で示した形態は、濃塩水生成装置10によって生成された濃塩水を用いて直接岩塩ルームを施工する(以下、直接施工法という)場合の形態であったが、本第2実施形態では、工場において表面に岩塩層を形成した一定の大きさの複数の岩塩パネルをプレキャストで製作し、図5で示すように、製作した岩塩パネル76を岩塩ルームの壁68に取り付ける場合の実施の形態について説明する。
【0055】
まず、図6を参照して、本第2実施形態に係る濃塩水生成装置10、岩塩パネル76を製作する工場55、及びその周辺の構成について説明する。なお、図6の図2に示した構成と同様の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図6に示すように、本第2実施形態に係る形態は、図2に示した第1実施形態に対して、岩塩ルーム54が内部に複数枚のパネル下地66が設置された工場55とされている点のみが相違している。
【0057】
以上の構成において、施工者はパネル下地66の表面に対して蒸発タンク42に貯留された塩分濃度が約18%とされた濃塩水を吹付器52によって吹き付ける。パネル下地66の表面に吹き付けられた濃塩水はパネル下地66の表面をつたって流下し、この流下の際に析出した塩類の結晶がパネル下地66の表面に付着する。一方、工場55の床面まで流下した濃塩水は、排水路56を介して貯留槽58に流入する。
【0058】
その後、制御盤32は取水ポンプ60を稼動することにより、貯留槽58に貯留された濃塩水を取水し、ろ過装置62を介することによってろ過した後に蒸発タンク42内に流出する。このようにして蒸発タンク42内に流入された濃塩水は再度圧力ポンプ50によって加圧されて工場55内のパネル下地66の表面に吹き付けられる。
【0059】
蒸発タンク42に貯留された濃塩水のパネル下地66の表面への吹き付け、工場55の床面に流下した濃塩水の排水路56を介した貯留槽58への流入、取水ポンプ60による貯留槽58に貯留された濃塩水の取水及びろ過装置62を介した蒸発タンク42への流出、という一連の動作を繰り返す間に、濃塩水は水分が蒸発して濃縮される。従って、工場55内のパネル下地66の表面や貯留槽58内で塩分の結晶が析出して水量が徐々に減少するので、レベル計59によって貯留槽58内に貯留された濃塩水の水位を測定し、該測定値が一定値以下になった時点で圧力ポンプ50及び取水ポンプ60の稼動を停止し、再び上述した海水90の濃塩水タンク24への取水、膜蒸留膜モジュール18による濃縮、蒸発タンク42による濃縮を行うことによって、蒸発タンク42内に塩分濃度約18%の濃塩水が十分に溜まった時点で再び工場55内のパネル下地66への吹き付け操作を再開する。
【0060】
以上の動作を繰り返して実施することによって、表面に岩塩層が形成された岩塩パネル76を製作することができる。
【0061】
次に、図7を参照して、以上によって製作された岩塩パネル76を岩塩ルーム54の壁68に取り付ける手順について説明する。
【0062】
同図に示すように、まず岩塩ルーム54の壁68に胴縁84を据え付け、岩塩パネル76を岩塩パネル76の四隅に設けられたネジ穴を介してネジ86によって胴縁84に固定する。
【0063】
次に、ネジ86の頭の部分を白色のパテ、粘土等の材料88で埋めると共に、岩塩パネル76間の隙間を白色のコーキング材89によりコーキングする。
【0064】
最後に、材料88及びコーキング材89の表面(露出面)に濃塩水をスプレー等で吹き付けて乾燥させることにより岩塩層64Bを形成し、周辺の岩塩層64と一体化する。
【0065】
このように、本第2実施形態に係る濃塩水生成装置10では、上記第1実施形態と同様に、比較的熱量を必要としない膜蒸留法によって塩分濃度が約15%に達するまで海水90を濃縮しているので、イオン交換膜法を利用した場合に比較して、少ない消費エネルギーで岩塩ルームを施工することができると共に、塩田を用いる場合に比較して、設備を設けるための敷地面積を狭くすることができる。
【0066】
また、本第2実施形態に係る岩塩ルーム施工方法では、岩塩パネル76をプレキャストで製作した後に岩塩ルーム54の壁面に取り付ける形態としているので、岩塩ルーム54の施工場所の近傍に濃塩水生成装置10を含めた岩塩ルーム施工設備を設置する必要がなく、岩塩ルーム54の施工場所の自由度を高くすることができる。
【0067】
なお、本第2実施形態では、工場55の内部に設置されたパネル下地66に濃塩水を吹き付ける操作を施工者が行う場合について説明したが、工場55内のパネル下地66に濃塩水を吹き付けることができる形態であれば如何なる形態であってもよく、例えば図8に示す形態としてもよい。
【0068】
同図に示すように、この形態は、一定の間隔を隔てて複数の流出口が設けられた散水パイプ70を工場55内の天井面近傍に設け、かつ圧力ポンプ50の流出口を散水パイプ70の流入口に配管すると共に、工場55内の壁面に複数のパネル下地66を設置したものである。この場合、圧力ポンプ50及び取水ポンプ60を駆動させるのみで施工者を介することなく自動的に工場55内のパネル下地66に濃塩水を繰り返し吹き付けたり、シャワー状に流したりすることができるので、人件費を削減することができる。
【0069】
また、本第2実施形態では、通常の環境における工場55内に設置されたパネル下地66に対して濃塩水を吹き付けることにより岩塩パネル76を製作する場合について説明したが、この吹き付けの際に、工場55の内部の除湿、工場55内の空気の加温等を実施することにより工場55内を乾燥した環境とすることによって、パネル下地66表面の岩塩層をより速く形成することができる。また、濃塩水を吹き付けたパネル下地66をバーナー等によって加熱して水分の蒸発を促進することによっても、パネル下地66表面の岩塩層をより速く形成することができる。
【0070】
また、本第2実施形態では、表面が滑らかなパネル下地66に対して濃塩水を吹き付けることにより岩塩層を形成する場合について説明したが、パネル下地66の表面に凹凸を設ける形態としてもよい。この場合、流下する濃塩水が凸部に滞留し、該滞留した濃塩水の水分が蒸発して結晶が析出するので、岩塩層の形成を促進することができる。
【0071】
〔第3実施形態〕
上記第2実施形態は、工場55内に設置したパネル下地66の表面に濃塩水を吹き付けることにより岩塩層を形成する形態であったが、本第3実施形態は、図9(A)に示すように、上記第2実施形態における濃塩水タンク24(図6も参照)または蒸発タンク42内に生成された濃塩水を貯留した水槽78にパネル下地66を長時間浸すことによって岩塩層を形成するものである。
【0072】
従って、この場合は、濃塩水生成装置10における蒸発タンク42より下流側の設備、即ち圧力ポンプ50、吹付器52、工場55、貯留槽58、取水ポンプ60、及びろ過装置62は設置する必要がない。
【0073】
上述したようにパネル下地66を濃塩水に浸すことによって、時間の経過に伴ってパネル下地66の表面に塩分の結晶が析出してくるので、十分に析出した段階でパネル下地66を水槽78から取り出し、乾かすことによって岩塩パネル76を製作することができる。
【0074】
このように、本第3実施形態に係る岩塩ルーム施工方法では、蒸発タンク42より下流側の設備が必要ないので、低コストに岩塩ルーム施工設備を構成することができる。
【0075】
〔第4実施形態〕
本第4実施形態では、図9(B)に示すように、まず、海水90が貯留された水槽78内に鉄板、鉄製のネット等の基材82を浸してこれを陰極とすると共に、フェライト等の電極80を浸してこれを陽極とし、上記陰極及び陽極の間に微弱電流を流す。これによって、基材82の表面には海水90中のカルシウム、マグネシウム等のプラスイオンが付着して積層する(電着工法という)。
【0076】
次に、プラスイオンが付着した基材82をパネル下地66として用いて、上記第2実施形態に示した構成及び手順によって、基材82の表面に岩塩層を形成する。
このように、本第4実施形態に係る岩塩ルーム施工方法では、カルシウム、マグネシウム等のプラスイオンが付着して表面に微細な凹凸が形成された基材82をパネル下地66として用いているので、表面の岩塩層の形成を促進することができる。
【0077】
なお、上記各実施形態では、センサ30により検知された塩分濃度が15%になった場合に濃塩水タンク24内の濃塩水の生成を停止する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、取水海水の濃度(約3.5%)、濃塩水タンク24の上限水位、濃塩水タンク24の寸法等に基づいて濃塩水タンク24に貯留された濃塩水の塩分濃度が15%になった場合の目標水位を予め算出しておき、レベル計28によって検知された水位が上記目標水位に達した場合に濃塩水タンク24内の濃塩水の生成を停止する形態としてもよい。
【0078】
また、上記各実施形態では、センサ48により検知された塩分濃度が18%になった場合に蒸発タンク42内の濃塩水の生成を停止する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蒸発タンク42に当初に貯留された濃塩水の濃度(約15%)、蒸発タンク42の上限水位、蒸発タンク42の寸法等に基づいて蒸発タンク42に貯留された濃塩水の塩分濃度が18%になった場合の目標水位を予め算出しておき、レベル計46によって検知された水位が上記目標水位に達した場合に蒸発タンク42内の濃塩水の生成を停止する形態としてもよい。
【0079】
また、上記第1実施形態では、直接施工法によって岩塩ルーム54を施工する場合について説明し、上記第2実施形態乃至第4実施形態では岩塩パネル76をプレキャストで製作した後に岩塩ルーム54内に取り付ける場合について説明したが、これらの実施形態を組み合わせて適用する形態としてもよい。
【0080】
この場合、例えば、略半球状(所謂ドーム型)で、かつ天井の中心部分に水平な天井面が設けられた岩塩ルームを施工する場合、水平な天井面についてはプレキャストで製作した岩塩パネルを取り付け、水平な天井面の外周から床面に向けて曲面状とされた壁面に対しては直接施工法により岩塩層を形成することにより、天井面及び壁面全体に岩塩層を形成した効果的な岩塩ルームを容易に構築することができる。
【0081】
また、上記第1実施形態乃至第4実施形態で示したように岩塩ルーム54を施工した後は、図10に示すように、濃塩水生成装置10をそのまま残して、吹付器52をより微細な粒子の噴霧が可能なノズル53に取り替え、さらに海水90の濃縮の度合いを調整することによって、岩塩ルーム54内に各種塩分濃度の海塩粒子91を霧状に噴霧することが可能となり、岩塩ルーム54内を海塩粒子91によるマイナスイオンで充満させる設備として利用することができる。
【0082】
また、本発明の濃塩水生成装置は、海水から自然塩を製造する手段としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】各実施形態に係る膜蒸留法の構成及び原理の説明に用いる概略図である。
【図2】第1実施形態に係る濃塩水生成装置、岩塩ルーム、及びその周辺の概略構成を示す構成図である。
【図3】第1実施形態における岩塩ルームの内部構成の変形例を示す概略図である。
【図4】第1実施形態における岩塩ルーム内の壁面に凹凸を設けた状態を示す図であり、(A)は網状の凹凸を設けた場合の正面図及び側面図、(B)は格子状の凹凸を設けた場合の正面図及び側面図である。
【図5】岩塩パネルをプレキャストで製作した後に壁面に取り付ける状態を示した破断側面図である。
【図6】第2実施形態に係る濃塩水生成装置、工場、及びその周辺の概略構成を示す構成図である。
【図7】第2実施形態においてプレキャストで製作した岩塩パネルを壁に取り付ける際の手順を示す破断側面図である。
【図8】第2実施形態における工場の内部構成の変形例を示す概略図である。
【図9】(A)は第3実施形態における岩塩パネルの製作手順を示す概略図、(B)は第4実施形態における岩塩パネルの製作手順を示す概略図である。
【図10】岩塩ルーム施工後の岩塩ルーム施工設備の利用形態の説明に用いる構成図である。
【図11】従来の濃塩水を生成するための技術として適用し得る天日塩田法、塩田−せんごう法、及びイオン交換膜法の手順を示すブロック図である。
【図12】イオン交換膜法を実施する際の電気透析を行う部分の構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0084】
10 濃塩水生成装置
18 膜蒸留膜モジュール(第1の濃塩水生成手段)
24 濃塩水タンク(第1のタンク)
32 制御盤
40 熱源(第1の加熱手段)
42 蒸発タンク(第2のタンク)
44 熱源(第2の加熱手段)
52 吹付器
54 岩塩ルーム
55 工場
58 貯留槽
64 岩塩層
66 パネル下地(板状部材)
68 壁
70 散水パイプ
76 岩塩パネル
78 水槽
82 基材(板状部材)
90 海水
92 膜
99 濃塩水
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃塩水生成装置に係り、特に、塩分濃度が海水より高い濃塩水を生成する濃塩水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、塩分濃度が海水より高い濃塩水を生成する技術として適用し得る方法として、天日塩田法、塩田−せんごう法、イオン交換膜法(電気透析法)があった。
【0003】
図11は、天日塩田法、塩田−せんごう法、及びイオン交換膜法の各々の手順をまとめて示したものである。なお、同図における矢印の破線が天日塩田法、一点鎖線が塩田−せんごう法、実線がイオン交換膜法、の各々の手順の流れを示している。
【0004】
同図に示すように、天日塩田法は、塩田に貯留した海水中の水分を太陽エネルギーによって蒸発させることにより塩分濃度が高められたかん水を生成し、該かん水に対して引き続き塩田において太陽エネルギーによる蒸発を継続して結晶塩を生成するものである。
【0005】
また、塩田−せんごう法は、塩田に貯留した海水中の水分を太陽エネルギー及び風によって蒸発させることにより塩分濃度が高められたかん水を生成し、該かん水を蒸発結晶缶で煮詰めることによってかん水中の水分を蒸発させて固形塩を生成するものである。
【0006】
また、イオン交換膜法は、図12に示すように、海水90が貯留された容器内に2枚のイオン交換膜97を所定間隔隔てて設け、容器内における一方のイオン交換膜97の外側にプラス電極98Aを、他方のイオン交換膜97の外側にマイナス電極98Bを、各々海水90に浸すように設置して海水90内に電気を流すことによってイオンを移動させて、イオン交換膜97によって淡水と濃塩水とに分離した後に淡水のみを排出することによって塩分濃度が高められたかん水を生成し、該かん水を蒸発結晶缶で煮詰めることによってかん水中の水分を蒸発させて固形塩を生成するものである。
【0007】
上記の天日塩田法、塩田−せんごう法、イオン交換膜法の各々の途中段階として生成されるかん水が塩分濃度が海水より高い濃塩水に相当する。
【0008】
一方、従来より、海水、海藻等の海洋資源と海洋性気候を利用した療法であり、人間が本来保有している自然治癒力を活かして心身の機能を高めるタラソテラピー(海洋療法)の有効性が知られている。
【0009】
このタラソテラピーのための施設の一つとして、内部の壁面が岩塩層で覆われた岩塩ルームがあり、岩塩ルームの内部は岩塩層から発散されるマイナスイオンが充満した空間となっており、人間の健康増進に有効である。
【0010】
従来、このような岩塩ルームを人工的に施工する技術はなかった。
【特許文献1】特開平10−245219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した天日塩田法及び塩田−せんごう法では、塩田を構成するための広大な土地を必要とする、という問題点があった。
【0012】
また、上述したイオン交換膜法では、電気エネルギーの消費量が非常に大きい、という問題点があった。
【0013】
本発明は上記問題点を解消するために成されたものであり、広大な設置面積を必要とせず、かつエネルギー消費量が少ない濃塩水生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1記載の濃塩水生成装置は、海水を貯留した第1のタンクと、前記第1のタンクに貯留された海水を加熱する第1の加熱手段と、内部に設けられた膜を隔てて配置された温海水が通過する第1の通路と冷海水が通過する第2の通路とを備えると共に前記第1の加熱手段によって加熱された海水が前記第1のタンクと前記第1の通路との間で循環されかつ前記第2の通路に加熱されていない海水が通過された際に前記加熱された海水から淡水のみを抽出することによって第1の濃塩水を生成する第1の濃塩水生成手段と、前記第1の濃塩水生成手段により生成された前記第1の濃塩水を貯留する第2のタンクと、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水を加熱することにより前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度を高めて第2の濃塩水とする第2の加熱手段と、を備えている。
【0015】
請求項1に記載の濃塩水生成装置によれば、内部に設けられた膜を隔てて配置された温海水が通過する第1の通路と冷海水が通過する第2の通路とを備えた第1の濃塩水生成手段により、第1の加熱手段によって加熱された海水が該海水を貯留した第1のタンクと第1の通路との間で循環されかつ第2の通路に加熱されていない海水が通過された際に、加熱された海水から淡水のみが抽出されて第1の濃塩水が生成される。なお、この際生成される第1の濃塩水の塩分濃度は、第1の濃塩水生成手段に設けられた膜の特性に基づいて決定される所定濃度が上限とされる。また、上述した第1の濃塩水生成手段による淡水の抽出方法は膜蒸留法と呼ばれている。
【0016】
次に、第1の濃塩水生成手段により生成された第1の濃塩水が第2のタンクに貯留された後、第2の加熱手段によって、第2のタンクに貯留された第1の濃塩水が加熱されることにより第1の濃塩水の塩分濃度を高めた第2の濃塩水が生成される。
【0017】
このように、請求項1に記載の濃塩水生成装置によれば、加熱されていない海水を膜蒸留法における冷却源として用いていると共に、加熱されていない海水と加熱された海水とを各々第1の濃塩水生成手段の内部を膜を隔てて隣接して通過させることにより第1の濃塩水を生成しているので、エネルギー効率が非常によく、エネルギー消費量を少なくすることができると共に、海水の加熱面積を小さくすることができ、設備の設置面積を小さくすることができる。
【0018】
また、請求項2記載の濃塩水生成装置は、請求項1記載の濃塩水生成装置において、前記第1の加熱手段によって加熱された海水の前記第1のタンクと前記第1の通路との間の循環を制御すると共に前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が所定の濃度に達した場合に前記第1のタンクと前記第1の通路との間の前記循環を停止するように制御する制御手段を更に備えたことを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項3記載の濃塩水生成装置は、請求項2記載の濃塩水生成装置において、前記制御手段は、前記海水の原水の塩分濃度及び前記第1のタンクの寸法に基づいて前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が前記所定の濃度になった場合の水位を算出し、該算出された水位に前記第1のタンクの水位が達したときに前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が前記所定の濃度に達したと判断して前記循環を停止するように制御することを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項4記載の濃塩水生成装置は、請求項2又は請求項3に記載の濃塩水生成装置において、前記制御手段は、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水に対する前記第2の加熱手段による加熱動作を制御すると共に前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が第2の所定の濃度に達した場合に前記加熱動作を停止するように制御することを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項5記載の濃塩水生成装置は、請求項4記載の濃塩水生成装置において、前記制御手段は、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度及び前記第2のタンクの寸法に基づいて前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が前記第2の所定の濃度になった場合の水位を算出し、該算出された水位に前記第2のタンクの水位が達したときに前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が前記第2の所定の濃度に達したと判断して前記加熱動作を停止するように制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の濃塩水生成装置によれば、加熱されていない海水を膜蒸留法における冷却源として用いていると共に、加熱されていない海水と加熱された海水とを各々第1の濃塩水生成手段の内部を膜を隔てて隣接して通過させることにより第1の濃塩水を生成しているので、エネルギー効率が非常によく、エネルギー消費量を少なくすることができると共に、海水の加熱面積を小さくすることができ、設備の設置面積を小さくすることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る濃塩水生成装置の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る濃塩水生成装置で生成した濃塩水を用いて岩塩ルームを施工する場合について説明する。
【0024】
〔第1実施形態〕
まず、図1を参照して、本発明の濃塩水生成装置の第1の濃塩水生成手段として本実施形態で適用する膜蒸留法の原理について説明する。
【0025】
同図に示すように、本実施形態で適用する膜蒸留法では、厚さ約300ミクロンの膜92により仕切られた一方側に所定温度に加熱された温海水90Aを膜92の表面に平行(図1矢印A方向)に流すと共に、他方側に上記温海水90Aより温度が低い冷海水90Bを温海水90Aと平行でかつ逆方向(図1矢印B方向)に流す。
【0026】
従って、膜92の両側には温度差が発生し、この温度差によって温海水90Aの水蒸気が図1矢印C方向に膜92を通過して移動し、冷海水90Bの通過によって冷却された冷却面94の表面で凝縮されて水滴96になり、この水滴96を図1矢印D方向に移動させて淡水を得ることができる。従って、このような膜蒸留法を実施した後の温海水90Aは、得られた淡水の量に応じて塩分濃度が高められた塩水となる。
【0027】
次に、図2を参照して、本第1実施形態に係る濃塩水生成装置10、岩塩ルーム54、及びその周辺の構成について説明する。同図に示すように、本第1実施形態に係る濃塩水生成装置10は海水90を汲み上げる原水ポンプ12を備えており、原水ポンプ12の海水90を流出する流出口はろ過装置14の流入口に配管されている。なお、原水ポンプ12は濃塩水生成装置10全体の動作を制御する制御盤32に接続されており、制御盤32は原水ポンプ12の作動の制御を随時行うことができる。
【0028】
ろ過装置14のろ過処理がなされた海水90を流出する流出口は上述した膜蒸留法を実現する膜蒸留膜モジュール18の冷海水90Bを流入する流入口に配管されており、膜蒸留膜モジュール18の冷海水90Bを流出する流出口はモータ20によって流出方向が変更される1流入2流出のモータ弁22の流入口に配管されている。なお、モータ20は制御盤32に接続されており、制御盤32はモータ弁22の流出方向を随時変更することができる。
【0029】
また、モータ弁22の一方の流出口は濃塩水タンク24の流入口に配管されており、モータ弁22の他方の流出口は濃塩水生成装置10の外部へと配管されている。また、濃塩水タンク24の上部には濃塩水タンク24内に貯留された塩水の水位を検知するレベル計28が設置されており、さらに、濃塩水タンク24の内部には濃塩水タンク24内に貯留された塩水の塩分濃度を検知するセンサ30が設置されている。なお、レベル計28、及びセンサ30は制御盤32に接続されており、制御盤32は濃塩水タンク24内に貯留された塩水の水位及び塩分濃度を随時知ることができる。センサ30としては、電気伝導度計や塩分計等が適用できる(後述するセンサ48も同様)。
【0030】
一方、濃塩水タンク24の流出口は循環ポンプ34の流入口に配管されており、循環ポンプ34の流出口はモータ36によって流出方向が変更される1流入2流出のモータ弁38の流入口に配管されている。なお、循環ポンプ34及びモータ36は制御盤32に接続されており、制御盤32は循環ポンプ34の作動の制御及びモータ弁38の流出方向の変更を随時行うことができる。
【0031】
また、モータ弁38の一方の流出口は蒸発タンク42の流入口に配管されており、他方の流出口は流入された塩水を所定温度(本実施形態では最高約80℃)に加熱する熱源40の流入口に配管されている。なお、熱源40は制御盤32に接続されており(接続線は図示省略)、制御盤32は熱源40による塩水の加熱動作を制御することができる。
【0032】
さらに、熱源40の流出口は膜蒸留膜モジュール18の温海水90Aを流入する流入口に配管されており、膜蒸留膜モジュール18の温海水90Aを流出する流出口は濃塩水タンク24の流入口に配管されており、膜蒸留膜モジュール18の淡水を流出する流出口は濃塩水生成装置10の外部へと配管されている。
【0033】
一方、蒸発タンク42の上部には蒸発タンク42内に貯留された塩水の水位を検知するレベル計46が設置されており、また、蒸発タンク42の内部には蒸発タンク42内に貯留された塩水の塩分濃度を検知するセンサ48が設置されており、さらに蒸発タンク42の下部には蒸発タンク42内に貯留された塩水を加熱する熱源44が蒸発タンク42と一体的に設置されている。なお、熱源44、レベル計46、及びセンサ48は制御盤32に接続されており(熱源44から制御盤32への接続線は図示省略)、制御盤32は熱源44による蒸発タンク42内に貯留された塩水の加熱動作を制御することができると共に、蒸発タンク42内に貯留された塩水の水位及び塩分濃度を随時知ることができる。また、熱源44による加熱動作によって、蒸発タンク42内に貯留された塩水の水分が水蒸気として蒸発タンク42の外部に放出される。
【0034】
また、蒸発タンク42の流出口は圧力ポンプ50の流入口に配管されており、圧力ポンプ50の流出口はノズル、或いはスプレーガン等の吹付器52の流入口に配管されている。この際、吹付器52は、施工者によって、施工対象とする岩塩ルーム54内の任意の位置に移動することができると共に、吹出口(流出口)を任意の方向に向けることができるように構成されている。なお、圧力ポンプ50は制御盤32に接続されており、制御盤32は圧力ポンプ50の作動の制御を随時行うことができる。
【0035】
一方、岩塩ルーム54の床面には排水路56が備えられており、排水路56の排出口は貯留槽58の上端外縁に位置されており、排水路56から排出された排水(塩水)は貯留槽58内に貯留される。また、貯留槽58の上部には貯留槽58内に貯留された塩水の水位を検知するレベル計59が設置されている。なお、レベル計59は制御盤32に接続されており、制御盤32は貯留槽58内に貯留された塩水の水位を随時知ることができる。
【0036】
また、貯留槽58の近傍には流入口が貯留槽58に配管された取水ポンプ60が設置されており、取水ポンプ60の流出口はろ過装置62の流入口に配管されており、さらにろ過装置62の流出口は蒸発タンク42の流入口に配管されている。なお、取水ポンプ60は制御盤32に接続されており、制御盤32は取水ポンプ60の作動の制御を随時行うことができる。
【0037】
なお、膜蒸留膜モジュール18が本発明の第1の濃塩水生成手段に、濃塩水タンク24が本発明の第1のタンクに、熱源40が本発明の第1の加熱手段に、蒸発タンク42が本発明の第2のタンクに、熱源44が本発明の第2の加熱手段に、各々相当する。
【0038】
次に、以上のように構成されたものの作用について説明する。まず制御盤32は、モータ20によってモータ弁22の流出方向を濃塩水タンク24側に設定した後、原水ポンプ12の稼動を開始する。これによって、原水ポンプ12により海水90が汲み上げられ、汲み上げられた海水90はろ過装置14、膜蒸留膜モジュール18、及びモータ弁22を順に通過した後に濃塩水タンク24内へ至り、濃塩水タンク24への海水90の貯留が開始される。
【0039】
次に制御盤32は、レベル計28によって濃塩水タンク24内の水位を検知し、該水位が濃塩水タンク24の上限水位に達した時点で、モータ20によりモータ弁22の流出方法を濃塩水生成装置10の外部方向に変更する。従って原水ポンプ12によって汲み上げられた海水90は、これ以降、ろ過装置14、膜蒸留膜モジュール18、及びモータ弁22を順に通過した後に濃塩水生成装置10の外部へ排出される。
【0040】
次に制御盤32は、モータ36によってモータ弁38の流出方向を膜蒸留膜モジュール18側に設定した後に、循環ポンプ34の稼動を開始すると共に熱源40による加熱動作を開始する。これによって、熱源40により最高約80℃に加熱された海水90が濃塩水タンク24と膜蒸留膜モジュール18との間で循環される。この循環の際に膜蒸留膜モジュール18内には加熱されていない海水90が通過されているので、この加熱されていない海水90及び上記加熱された海水90の間の温度差によって膜蒸留膜モジュール18内では、加熱された海水90からの淡水の抽出が行われ、抽出された淡水は濃塩水生成装置10の外部に排出される。一方、加熱された海水90は、海水90中の水分が淡水として抽出されるので、徐々に量が減少すると共に塩分濃度が高くなる。なお、本実施形態に係る濃塩水生成装置10では、塩分濃度が最大約15%に達するまで、濃塩水タンク24内に貯留された海水90(塩水)の濃縮が可能とされている。この約15%は、本実施形態で使用する膜蒸留膜モジュール18の膜素材の特性から設定した上限値である。従って、この値は一例であり、使用する膜素材の特性によって上下するものである。
【0041】
次に制御盤32は、センサ30によって濃塩水タンク24内の塩水の塩分濃度を検知し、該塩分濃度が15%に達した時点で原水ポンプ12、循環ポンプ34の稼動及び熱源40の加熱動作を停止した後、モータ36によってモータ弁38の流出方向を蒸発タンク42側に変更し、循環ポンプ34の稼動を再開する。これによって、濃塩水タンク24に貯留されている塩分濃度が15%とされた濃塩水の蒸発タンク42への給水が開始される。
【0042】
次に制御盤32は、レベル計46によって蒸発タンク42内の水位を検知し、該水位が蒸発タンク42の上限水位に達した時点で循環ポンプ34の稼動を停止した後、熱源44による加熱動作を開始する。これによって、蒸発タンク42内に貯留された濃塩水への加熱が開始されるので、時間の経過に伴って濃塩水の水分が水蒸気となって蒸発タンク42の外部へ放出され、濃塩水の量が徐々に少なくなると共に塩分濃度が徐々に高くなる。そこで制御盤32は、センサ48によって蒸発タンク42内の塩分濃度を検知し、該塩分濃度が18%に達した時点で熱源44の加熱動作を停止する。なお、この18%は海水中の塩類が析出し始める塩分濃度である。
【0043】
その後、制御盤32は、施工者からの指示に応じて圧力ポンプ50の稼動を開始する。従って、これ以降、吹付器52の吹出口からは、蒸発タンク42内に貯留された塩分濃度が約18%とされた濃塩水が吹き出すので、施工者は吹付器52を把持して、吹付器52から吹き出された濃塩水を岩塩ルーム54内の壁面全般に渡って吹き付ける。
【0044】
この結果、岩塩ルーム54内の壁面に吹き付けられた濃塩水は壁面の表面をつたって図2矢印E方向に流下し、この流下の際に析出した塩類の結晶が壁面に付着する。一方、岩塩ルーム54の床面まで流下した濃塩水は、排水路56を図2矢印F方向に移動して貯留槽58に流入する。
【0045】
その後、制御盤32は取水ポンプ60を稼動することにより、貯留槽58に貯留された濃塩水を取水し、ろ過装置62を介することによってろ過した後に蒸発タンク42内に流出する。このようにして蒸発タンク42内に流入された濃塩水は再度圧力ポンプ50によって加圧されて岩塩ルーム54の壁面に吹き付けられる。
【0046】
蒸発タンク42に貯留された濃塩水の岩塩ルーム54内の壁面への吹き付け、岩塩ルーム54の床面に流下された濃塩水の排水路56を介した貯留槽58への流入、取水ポンプ60による貯留槽58に貯留された濃塩水の取水及びろ過装置62を介した蒸発タンク42への流出、という一連の動作を繰り返す間に、濃塩水は水分が蒸発して濃縮される。従って、岩塩ルーム54内の壁面の表面や貯留槽58内で結晶が析出して水量が徐々に減少するので、レベル計59によって貯留槽58内に貯留された濃塩水の水位を測定し、該測定値が一定値以下になった時点で圧力ポンプ50及び取水ポンプ60の稼動を停止し、再び上述した海水90の濃塩水タンク24への取水、膜蒸留膜モジュール18による濃縮、蒸発タンク42による濃縮を行うことによって、蒸発タンク42内に塩分濃度約18%の濃塩水が十分に溜まった時点で再び岩塩ルーム54内の壁面への吹き付け操作を再開する。
【0047】
このように、本第1実施形態に係る濃塩水生成装置10では、比較的熱量を必要としない膜蒸留法によって塩分濃度が約15%に達するまで海水90を濃縮しているので、イオン交換膜法を利用した場合に比較して、少ない消費エネルギーで岩塩ルームを施工することができると共に、塩田を用いる場合に比較して、設備を設けるための敷地面積を狭くすることができる。
【0048】
また、本第1実施形態に係る岩塩ルーム施工方法では、岩塩ルーム54の内壁に対して濃塩水を繰り返し吹き付けることのみにより岩塩ルーム54の内壁に岩塩層を形成しているので、簡易に岩塩ルームを施工することができる。
【0049】
なお、本第1実施形態では、岩塩ルーム54内の壁面に濃塩水を吹き付ける操作を施工者が行う場合について説明したが、岩塩ルーム54内の壁面に濃塩水を吹き付けることができる形態であれば如何なる形態であってもよく、例えば図3に示すような形態としてもよい。
【0050】
同図に示すように、この形態は、一定の間隔を隔てて複数の流出口が設けられた散水パイプ70を岩塩ルーム54内の天井面近傍に設け、圧力ポンプ50の流出口を散水パイプ70の流入口に配管したものである。この場合、圧力ポンプ50及び取水ポンプ60を駆動させるのみで施工者を介することなく自動的に岩塩ルーム54内の壁面に濃塩水を吹き付けたり、シャワー状に流したりする操作を繰り返し実施することができるので、人件費を削減することができる。
【0051】
また、本第1実施形態では、通常の環境における岩塩ルーム54内の壁面に対して濃塩水を吹き付けて岩塩層を形成する場合について説明したが、この吹き付けの際に岩塩ルーム54の内部の除湿、岩塩ルーム54内の空気の加温等を実施することにより岩塩ルーム54内を乾燥した環境とすることによって、岩塩ルーム54内の壁面の岩塩層をより速く形成することができる。また、濃塩水を吹き付けた壁面及びその周辺をバーナー等によって加熱し、水分の蒸発を促進することによっても、岩塩ルーム54内の壁面の岩塩層をより速く形成することができる。
【0052】
また、本第1実施形態では、通常の壁面に対して濃塩水を吹き付けることにより岩塩層を形成する場合について説明したが、壁面に凹凸を設ける形態としてもよい。
【0053】
図4(A)は、壁68の岩塩層を形成する側の表面に凸部74A及び凹部74Bを網状に設けた場合の壁68の正面図及び側面図であり、図4(B)は、壁68の岩塩層を形成する側の表面に凸部74A及び凹部74Bを格子状に設けた場合の壁68の正面図及び側面図である。このように、壁68の表面を凹凸のある形状に仕上げたり、ネットや網を壁面に貼り付けたりすることによって、凸部に濃塩水が滞留し、該滞留した濃塩水の水分が蒸発して結晶が析出するので、岩塩層の形成を促進することができる。
【0054】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態で示した形態は、濃塩水生成装置10によって生成された濃塩水を用いて直接岩塩ルームを施工する(以下、直接施工法という)場合の形態であったが、本第2実施形態では、工場において表面に岩塩層を形成した一定の大きさの複数の岩塩パネルをプレキャストで製作し、図5で示すように、製作した岩塩パネル76を岩塩ルームの壁68に取り付ける場合の実施の形態について説明する。
【0055】
まず、図6を参照して、本第2実施形態に係る濃塩水生成装置10、岩塩パネル76を製作する工場55、及びその周辺の構成について説明する。なお、図6の図2に示した構成と同様の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図6に示すように、本第2実施形態に係る形態は、図2に示した第1実施形態に対して、岩塩ルーム54が内部に複数枚のパネル下地66が設置された工場55とされている点のみが相違している。
【0057】
以上の構成において、施工者はパネル下地66の表面に対して蒸発タンク42に貯留された塩分濃度が約18%とされた濃塩水を吹付器52によって吹き付ける。パネル下地66の表面に吹き付けられた濃塩水はパネル下地66の表面をつたって流下し、この流下の際に析出した塩類の結晶がパネル下地66の表面に付着する。一方、工場55の床面まで流下した濃塩水は、排水路56を介して貯留槽58に流入する。
【0058】
その後、制御盤32は取水ポンプ60を稼動することにより、貯留槽58に貯留された濃塩水を取水し、ろ過装置62を介することによってろ過した後に蒸発タンク42内に流出する。このようにして蒸発タンク42内に流入された濃塩水は再度圧力ポンプ50によって加圧されて工場55内のパネル下地66の表面に吹き付けられる。
【0059】
蒸発タンク42に貯留された濃塩水のパネル下地66の表面への吹き付け、工場55の床面に流下した濃塩水の排水路56を介した貯留槽58への流入、取水ポンプ60による貯留槽58に貯留された濃塩水の取水及びろ過装置62を介した蒸発タンク42への流出、という一連の動作を繰り返す間に、濃塩水は水分が蒸発して濃縮される。従って、工場55内のパネル下地66の表面や貯留槽58内で塩分の結晶が析出して水量が徐々に減少するので、レベル計59によって貯留槽58内に貯留された濃塩水の水位を測定し、該測定値が一定値以下になった時点で圧力ポンプ50及び取水ポンプ60の稼動を停止し、再び上述した海水90の濃塩水タンク24への取水、膜蒸留膜モジュール18による濃縮、蒸発タンク42による濃縮を行うことによって、蒸発タンク42内に塩分濃度約18%の濃塩水が十分に溜まった時点で再び工場55内のパネル下地66への吹き付け操作を再開する。
【0060】
以上の動作を繰り返して実施することによって、表面に岩塩層が形成された岩塩パネル76を製作することができる。
【0061】
次に、図7を参照して、以上によって製作された岩塩パネル76を岩塩ルーム54の壁68に取り付ける手順について説明する。
【0062】
同図に示すように、まず岩塩ルーム54の壁68に胴縁84を据え付け、岩塩パネル76を岩塩パネル76の四隅に設けられたネジ穴を介してネジ86によって胴縁84に固定する。
【0063】
次に、ネジ86の頭の部分を白色のパテ、粘土等の材料88で埋めると共に、岩塩パネル76間の隙間を白色のコーキング材89によりコーキングする。
【0064】
最後に、材料88及びコーキング材89の表面(露出面)に濃塩水をスプレー等で吹き付けて乾燥させることにより岩塩層64Bを形成し、周辺の岩塩層64と一体化する。
【0065】
このように、本第2実施形態に係る濃塩水生成装置10では、上記第1実施形態と同様に、比較的熱量を必要としない膜蒸留法によって塩分濃度が約15%に達するまで海水90を濃縮しているので、イオン交換膜法を利用した場合に比較して、少ない消費エネルギーで岩塩ルームを施工することができると共に、塩田を用いる場合に比較して、設備を設けるための敷地面積を狭くすることができる。
【0066】
また、本第2実施形態に係る岩塩ルーム施工方法では、岩塩パネル76をプレキャストで製作した後に岩塩ルーム54の壁面に取り付ける形態としているので、岩塩ルーム54の施工場所の近傍に濃塩水生成装置10を含めた岩塩ルーム施工設備を設置する必要がなく、岩塩ルーム54の施工場所の自由度を高くすることができる。
【0067】
なお、本第2実施形態では、工場55の内部に設置されたパネル下地66に濃塩水を吹き付ける操作を施工者が行う場合について説明したが、工場55内のパネル下地66に濃塩水を吹き付けることができる形態であれば如何なる形態であってもよく、例えば図8に示す形態としてもよい。
【0068】
同図に示すように、この形態は、一定の間隔を隔てて複数の流出口が設けられた散水パイプ70を工場55内の天井面近傍に設け、かつ圧力ポンプ50の流出口を散水パイプ70の流入口に配管すると共に、工場55内の壁面に複数のパネル下地66を設置したものである。この場合、圧力ポンプ50及び取水ポンプ60を駆動させるのみで施工者を介することなく自動的に工場55内のパネル下地66に濃塩水を繰り返し吹き付けたり、シャワー状に流したりすることができるので、人件費を削減することができる。
【0069】
また、本第2実施形態では、通常の環境における工場55内に設置されたパネル下地66に対して濃塩水を吹き付けることにより岩塩パネル76を製作する場合について説明したが、この吹き付けの際に、工場55の内部の除湿、工場55内の空気の加温等を実施することにより工場55内を乾燥した環境とすることによって、パネル下地66表面の岩塩層をより速く形成することができる。また、濃塩水を吹き付けたパネル下地66をバーナー等によって加熱して水分の蒸発を促進することによっても、パネル下地66表面の岩塩層をより速く形成することができる。
【0070】
また、本第2実施形態では、表面が滑らかなパネル下地66に対して濃塩水を吹き付けることにより岩塩層を形成する場合について説明したが、パネル下地66の表面に凹凸を設ける形態としてもよい。この場合、流下する濃塩水が凸部に滞留し、該滞留した濃塩水の水分が蒸発して結晶が析出するので、岩塩層の形成を促進することができる。
【0071】
〔第3実施形態〕
上記第2実施形態は、工場55内に設置したパネル下地66の表面に濃塩水を吹き付けることにより岩塩層を形成する形態であったが、本第3実施形態は、図9(A)に示すように、上記第2実施形態における濃塩水タンク24(図6も参照)または蒸発タンク42内に生成された濃塩水を貯留した水槽78にパネル下地66を長時間浸すことによって岩塩層を形成するものである。
【0072】
従って、この場合は、濃塩水生成装置10における蒸発タンク42より下流側の設備、即ち圧力ポンプ50、吹付器52、工場55、貯留槽58、取水ポンプ60、及びろ過装置62は設置する必要がない。
【0073】
上述したようにパネル下地66を濃塩水に浸すことによって、時間の経過に伴ってパネル下地66の表面に塩分の結晶が析出してくるので、十分に析出した段階でパネル下地66を水槽78から取り出し、乾かすことによって岩塩パネル76を製作することができる。
【0074】
このように、本第3実施形態に係る岩塩ルーム施工方法では、蒸発タンク42より下流側の設備が必要ないので、低コストに岩塩ルーム施工設備を構成することができる。
【0075】
〔第4実施形態〕
本第4実施形態では、図9(B)に示すように、まず、海水90が貯留された水槽78内に鉄板、鉄製のネット等の基材82を浸してこれを陰極とすると共に、フェライト等の電極80を浸してこれを陽極とし、上記陰極及び陽極の間に微弱電流を流す。これによって、基材82の表面には海水90中のカルシウム、マグネシウム等のプラスイオンが付着して積層する(電着工法という)。
【0076】
次に、プラスイオンが付着した基材82をパネル下地66として用いて、上記第2実施形態に示した構成及び手順によって、基材82の表面に岩塩層を形成する。
このように、本第4実施形態に係る岩塩ルーム施工方法では、カルシウム、マグネシウム等のプラスイオンが付着して表面に微細な凹凸が形成された基材82をパネル下地66として用いているので、表面の岩塩層の形成を促進することができる。
【0077】
なお、上記各実施形態では、センサ30により検知された塩分濃度が15%になった場合に濃塩水タンク24内の濃塩水の生成を停止する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、取水海水の濃度(約3.5%)、濃塩水タンク24の上限水位、濃塩水タンク24の寸法等に基づいて濃塩水タンク24に貯留された濃塩水の塩分濃度が15%になった場合の目標水位を予め算出しておき、レベル計28によって検知された水位が上記目標水位に達した場合に濃塩水タンク24内の濃塩水の生成を停止する形態としてもよい。
【0078】
また、上記各実施形態では、センサ48により検知された塩分濃度が18%になった場合に蒸発タンク42内の濃塩水の生成を停止する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蒸発タンク42に当初に貯留された濃塩水の濃度(約15%)、蒸発タンク42の上限水位、蒸発タンク42の寸法等に基づいて蒸発タンク42に貯留された濃塩水の塩分濃度が18%になった場合の目標水位を予め算出しておき、レベル計46によって検知された水位が上記目標水位に達した場合に蒸発タンク42内の濃塩水の生成を停止する形態としてもよい。
【0079】
また、上記第1実施形態では、直接施工法によって岩塩ルーム54を施工する場合について説明し、上記第2実施形態乃至第4実施形態では岩塩パネル76をプレキャストで製作した後に岩塩ルーム54内に取り付ける場合について説明したが、これらの実施形態を組み合わせて適用する形態としてもよい。
【0080】
この場合、例えば、略半球状(所謂ドーム型)で、かつ天井の中心部分に水平な天井面が設けられた岩塩ルームを施工する場合、水平な天井面についてはプレキャストで製作した岩塩パネルを取り付け、水平な天井面の外周から床面に向けて曲面状とされた壁面に対しては直接施工法により岩塩層を形成することにより、天井面及び壁面全体に岩塩層を形成した効果的な岩塩ルームを容易に構築することができる。
【0081】
また、上記第1実施形態乃至第4実施形態で示したように岩塩ルーム54を施工した後は、図10に示すように、濃塩水生成装置10をそのまま残して、吹付器52をより微細な粒子の噴霧が可能なノズル53に取り替え、さらに海水90の濃縮の度合いを調整することによって、岩塩ルーム54内に各種塩分濃度の海塩粒子91を霧状に噴霧することが可能となり、岩塩ルーム54内を海塩粒子91によるマイナスイオンで充満させる設備として利用することができる。
【0082】
また、本発明の濃塩水生成装置は、海水から自然塩を製造する手段としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】各実施形態に係る膜蒸留法の構成及び原理の説明に用いる概略図である。
【図2】第1実施形態に係る濃塩水生成装置、岩塩ルーム、及びその周辺の概略構成を示す構成図である。
【図3】第1実施形態における岩塩ルームの内部構成の変形例を示す概略図である。
【図4】第1実施形態における岩塩ルーム内の壁面に凹凸を設けた状態を示す図であり、(A)は網状の凹凸を設けた場合の正面図及び側面図、(B)は格子状の凹凸を設けた場合の正面図及び側面図である。
【図5】岩塩パネルをプレキャストで製作した後に壁面に取り付ける状態を示した破断側面図である。
【図6】第2実施形態に係る濃塩水生成装置、工場、及びその周辺の概略構成を示す構成図である。
【図7】第2実施形態においてプレキャストで製作した岩塩パネルを壁に取り付ける際の手順を示す破断側面図である。
【図8】第2実施形態における工場の内部構成の変形例を示す概略図である。
【図9】(A)は第3実施形態における岩塩パネルの製作手順を示す概略図、(B)は第4実施形態における岩塩パネルの製作手順を示す概略図である。
【図10】岩塩ルーム施工後の岩塩ルーム施工設備の利用形態の説明に用いる構成図である。
【図11】従来の濃塩水を生成するための技術として適用し得る天日塩田法、塩田−せんごう法、及びイオン交換膜法の手順を示すブロック図である。
【図12】イオン交換膜法を実施する際の電気透析を行う部分の構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0084】
10 濃塩水生成装置
18 膜蒸留膜モジュール(第1の濃塩水生成手段)
24 濃塩水タンク(第1のタンク)
32 制御盤
40 熱源(第1の加熱手段)
42 蒸発タンク(第2のタンク)
44 熱源(第2の加熱手段)
52 吹付器
54 岩塩ルーム
55 工場
58 貯留槽
64 岩塩層
66 パネル下地(板状部材)
68 壁
70 散水パイプ
76 岩塩パネル
78 水槽
82 基材(板状部材)
90 海水
92 膜
99 濃塩水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水を貯留した第1のタンクと、
前記第1のタンクに貯留された海水を加熱する第1の加熱手段と、
内部に設けられた膜を隔てて配置された温海水が通過する第1の通路と冷海水が通過する第2の通路とを備えると共に前記第1の加熱手段によって加熱された海水が前記第1のタンクと前記第1の通路との間で循環されかつ前記第2の通路に加熱されていない海水が通過された際に前記加熱された海水から淡水のみを抽出することによって第1の濃塩水を生成する第1の濃塩水生成手段と、
前記第1の濃塩水生成手段により生成された前記第1の濃塩水を貯留する第2のタンクと、
前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水を加熱することにより前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度を高めて第2の濃塩水とする第2の加熱手段と、
を備えた濃塩水生成装置。
【請求項2】
前記第1の加熱手段によって加熱された海水の前記第1のタンクと前記第1の通路との間の循環を制御すると共に前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が所定の濃度に達した場合に前記第1のタンクと前記第1の通路との間の前記循環を停止するように制御する制御手段
を更に備えた請求項1記載の濃塩水生成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記海水の原水の塩分濃度及び前記第1のタンクの寸法に基づいて前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が前記所定の濃度になった場合の水位を算出し、該算出された水位に前記第1のタンクの水位が達したときに前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が前記所定の濃度に達したと判断して前記循環を停止するように制御する請求項2記載の濃塩水生成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水に対する前記第2の加熱手段による加熱動作を制御すると共に前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が第2の所定の濃度に達した場合に前記加熱動作を停止するように制御する請求項2又は請求項3に記載の濃塩水生成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度及び前記第2のタンクの寸法に基づいて前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が前記第2の所定の濃度になった場合の水位を算出し、該算出された水位に前記第2のタンクの水位が達したときに前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が前記第2の所定の濃度に達したと判断して前記加熱動作を停止するように制御する請求項4記載の濃塩水生成装置。
【請求項1】
海水を貯留した第1のタンクと、
前記第1のタンクに貯留された海水を加熱する第1の加熱手段と、
内部に設けられた膜を隔てて配置された温海水が通過する第1の通路と冷海水が通過する第2の通路とを備えると共に前記第1の加熱手段によって加熱された海水が前記第1のタンクと前記第1の通路との間で循環されかつ前記第2の通路に加熱されていない海水が通過された際に前記加熱された海水から淡水のみを抽出することによって第1の濃塩水を生成する第1の濃塩水生成手段と、
前記第1の濃塩水生成手段により生成された前記第1の濃塩水を貯留する第2のタンクと、
前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水を加熱することにより前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度を高めて第2の濃塩水とする第2の加熱手段と、
を備えた濃塩水生成装置。
【請求項2】
前記第1の加熱手段によって加熱された海水の前記第1のタンクと前記第1の通路との間の循環を制御すると共に前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が所定の濃度に達した場合に前記第1のタンクと前記第1の通路との間の前記循環を停止するように制御する制御手段
を更に備えた請求項1記載の濃塩水生成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記海水の原水の塩分濃度及び前記第1のタンクの寸法に基づいて前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が前記所定の濃度になった場合の水位を算出し、該算出された水位に前記第1のタンクの水位が達したときに前記第1のタンクに貯留された海水の塩分濃度が前記所定の濃度に達したと判断して前記循環を停止するように制御する請求項2記載の濃塩水生成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水に対する前記第2の加熱手段による加熱動作を制御すると共に前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が第2の所定の濃度に達した場合に前記加熱動作を停止するように制御する請求項2又は請求項3に記載の濃塩水生成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度及び前記第2のタンクの寸法に基づいて前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が前記第2の所定の濃度になった場合の水位を算出し、該算出された水位に前記第2のタンクの水位が達したときに前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水の塩分濃度が前記第2の所定の濃度に達したと判断して前記加熱動作を停止するように制御する請求項4記載の濃塩水生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−137765(P2007−137765A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345990(P2006−345990)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【分割の表示】特願平10−55298の分割
【原出願日】平成10年3月6日(1998.3.6)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【分割の表示】特願平10−55298の分割
【原出願日】平成10年3月6日(1998.3.6)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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