説明

濾過装置及び水処理装置

【課題】逆浸透膜装置等に供給可能な清澄な処理水が得られ且つ閉塞し難く安価な濾過装
置及びそれを用いた水処理装置を提供する。
【解決手段】シート状部材が渦巻状に巻回される濾過体本体4と、被処理水が通水され、
濾過体本体4の軸芯が通水方向に沿うように濾過体本体4が内部に充填される濾過槽1と
を有し、シート状部材は、被処理水が通過する空孔を有するシート状のメッシュシート5
と、メッシュシート5に比べて被処理水が通過し難いシート状のスペーサー6のシート面
同士が重ねられたものである濾過装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用水、市水、井水、河川水、湖沼水、工場廃水など懸濁物質等を含む被
処理水を処理する濾過装置及びそれを用いた水処理装置に関し、特に、逆浸透膜装置等の
前段で好適に用いることができる濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用水、市水、井水、河川水、湖沼水、工場廃水などの被処理水を処理する方法とし
て、例えば被処理水に無機凝集剤及びアニオン性等の高分子凝集剤を添加して被処理水に
含まれる濁質を吸着や凝結等する凝集処理をした後、砂濾過や加圧浮上処理により濁質を
除去する方法がある。しかしながら砂濾過や加圧浮上処理では、装置が大きくなってしま
うという問題がある。また、被処理水の濁度が高い場合は濁質の除去が不十分になるおそ
れがある。
【0003】
このような問題を解決するため最近では、濾過装置として、膜分離処理手段、具体的に
は、限外濾過膜(UF)装置又は精密濾過膜(MF)装置の適用が広がってきている。し
かしながら、限外濾過膜装置や精密濾過膜装置は、懸濁物質、無機物質や有機物質による
閉塞が発生するという問題や、膜のコストが高いという問題がある。
【0004】
また、純水等を製造するために、被処理水を逆浸透膜(RO)装置で処理する技術があ
る。そして、逆浸透装置では、前段で上記砂濾過、加圧浮上処理や、限外濾過装置、精密
濾過膜装置等で処理したある程度清澄な被処理水を用いる必要がある。しかしながら、砂
濾過、加圧浮上処理、限外濾過装置、精密濾過膜装置等には、上述したように、濁質の除
去が不十分になることや、閉塞が発生する等の問題がある。
【0005】
ここで、濾過体として長繊維束を用いる濾過装置を、逆浸透膜装置の上流側に設けた発
電所補給水の製造装置が開示されているが(特許文献1参照)、この装置においても、逆
浸透膜装置や濾過装置の閉塞が生じるという問題や、処理水質が悪化するという問題があ
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−134490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した事情に鑑み、逆浸透膜装置等に供給可能な清澄な処理水が得られ且つ
閉塞し難く安価な濾過装置及びそれを用いた水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、濁質を捕捉する濾過体とし
て、被処理水が通過する空孔を有するシート状のメッシュシートと、メッシュシートに比
べて被処理水が通過し難いシート状のスペーサーのシート面同士が重ねられたシート状部
材が渦巻状に巻回されたものを用い、被処理水がメッシュシートを縦断するように通水さ
れる構造の濾過装置とすることにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を
完成した。
【0009】
即ち、本発明の濾過装置は、シート状部材が渦巻状に巻回される濾過体本体と、被処理
水が通水され、前記濾過体本体の軸芯が通水方向に沿うように前記濾過体本体が内部に充
填される濾過槽とを有し、前記シート状部材は、被処理水が通過する空孔を有するシート
状のメッシュシートと、メッシュシートに比べて被処理水が通過し難いシート状のスペー
サーのシート面同士が重ねられたものであること特徴とする。
【0010】
そして、前記濾過体本体は、前記シート状部材が芯材に渦巻状に巻回されたものである
ことが好ましい。
【0011】
また、前記スペーサーが、直径0.1〜100μmの繊維で形成された不織布でもよい

【0012】
さらに、前記スペーサーが、直径0.1〜100μmの活性炭繊維で形成されたもので
あってもよい。
【0013】
また、前記スペーサーが、直径0.1〜100μmの繊維で形成された不織布と被処理
水を透過しない水不透過シートとからなることが好ましい。
【0014】
さらに、前記メッシュシートは、直径0.1〜0.6mmの繊維で形成されていること
が好ましい。
【0015】
本発明の他の態様は、前記濾過装置の後段に、逆浸透膜装置を有することを特徴とする
水処理装置にある。
【0016】
そして、前記濾過装置の前段に、紐状の濁質捕捉部を有し通水される被処理水中の濁質
を捕捉する粗濾過体を通水時の濾過部の空隙率が50〜95%となるように粗濾過槽に充
填した粗濾過装置を有することが好ましい。
【0017】
また、前記粗濾過装置と前記濾過装置とが一つの容器に収容され、前記粗濾過装置及び
前記濾過装置が一体となっていてもよい。
【0018】
さらに、前記濾過装置の前段に、被処理水が導入される反応槽と、凝集剤を前記反応槽
又は反応槽の前段で導入して被処理水に前記凝集剤を添加する凝集剤導入手段とを具備す
る凝集処理手段を有することが好ましい。
【0019】
そして、洗浄液又は洗浄液と空気との混合液を、任意の頻度で、処理時とは逆方向から
導入する洗浄液導入手段をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
シート状部材が渦巻状に巻回される濾過体本体と、被処理水が通水され、濾過体本体の
軸芯が通水方向に沿うように濾過体本体が内部に充填される濾過槽とを有し、シート状部
材が、被処理水が通過する空孔を有するシート状のメッシュシートと、メッシュシートに
比べて被処理水が通過し難いシート状のスペーサーのシート面同士が重ねられたものであ
る濾過装置とすることにより、清澄な処理水が得られ且つ後段の装置や濾過装置自体の閉
塞を抑制でき、そして安価な濾過装置を提供することができる。したがって、逆浸透膜装
置等の前段にこの濾過装置を設けることで、好適に長期間被処理水を処理することができ
る。また、この濾過装置は前段に凝集処理手段を有する水処理装置とすることができる。
さらに、高速で水処理する場合や被処理水の濁度が高い場合は、特に、清澄な処理水が得
られ難く、また、濾過装置や後段に設ける逆浸透膜装置などの膜分離処理手段で閉塞が生
じ、良好に水処理することができないという問題が生じやすいが、この濾過装置の前段に
所定の空隙率を有する粗濾過装置を設けることにより、高速処理や濁度が高い被処理水で
あっても、清澄な処理水が得られ且つ逆浸透膜装置等や濾過装置の閉塞がさらに抑制でき
、良好に水処理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1に係る濾過装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】実施形態1に係る濾過装置の横断面図である。
【図3】実施形態1に係る濾過体を示す斜視図である。
【図4】実施形態1に係るメッシュシートの要部拡大図である。
【図5】実施形態2に係る水処理装置例の概略系統図である。
【図6】実施形態2に係る水処理装置例の構成を示す図である。
【図7】実施形態2に係る水処理装置例の概略系統図である。
【図8】実施形態2に係る水処理装置例の概略系統図である。
【図9】実施形態2に係る水処理装置例の概略系統図である。
【図10】実施形態3に係る水処理装置例の構成を示す断面図である。
【図11】実施形態3に係る粗濾過装置の構成を示す断面図である。
【図12】実施形態3に係る粗濾過装置の要部拡大図である。
【図13】実施形態3に係る粗濾過装置の濁質捕捉部の一例を示す図である。
【図14】逆浸透膜の差圧の測定方法を示す図である。
【図15】逆浸透膜の差圧の測定結果を示す図である。
【図16】参考例に係る水処理装置の概略系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る濾過装置の構成を示す被処理水の通水方向の縦断面
図であり、図2は、横断面図であり、図3は、濾過装置の濾過体を示す斜視図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、濾過装置10は、被処理水が通水される筒状の濾過槽1と
、通水される被処理水中の濁質を捕捉する濾過体2とを有する。該濾過体2は、濾過槽1
の通水方向の両端に接続される芯材3と、芯材3に渦巻状に巻回されたシート状部材から
なる濾過体本体4を有する。このシート部材は、被処理水が通過する空孔を有するシート
状のメッシュシート5と、メッシュシート5に比べて被処理水が通過し難いシート状のス
ペーサー6のシート面同士が重ねられたものである。
【0024】
また、濾過槽1の通水方向両端には、濁質(懸濁物質)等を含有する被処理水が自由に
通水できる程度の穴が複数設けられた樹脂製等の円形のプレート7が設けられ、各プレー
ト7の中心に芯材3の両端が固定されている。そして、濾過体2は、濾過体本体4の軸芯
が被処理水の通水方向に沿うように、濾過体2が濾過槽1内部全体に充填されている。ま
た、濾過槽1の内壁と濾過体本体4の外周との隙間や、芯材3付近の隙間は、接着剤等の
被処理水が通過しない水不透過部材8で埋められており被処理水が通過できない構成にな
っている。なお、濾過体本体4の軸芯とは、渦巻状に巻回された濾過体本体4の渦巻きの
中心であり、本実施形態では芯材3が該当する。
【0025】
このような濾過装置10に被処理水を通水すると、スペーサー6はメッシュシート5に
比べて被処理水が通過し難いため、被処理水の多くは、メッシュシート5の空孔を通りメ
ッシュシート5を略縦断、すなわちメッシュシート5を面方向に通過し、その際被処理水
に含まれる濁質がメッシュシート5にトラップされ、濁質が除去された被処理水が濾過槽
1から排出される。このように、被処理水が通過する空孔を有し濁質を捕捉することがで
きるメッシュシート5を、厚さ方向に横断するのではなく縦断するように、被処理水が通
水される構造の濾過装置10とすることで、清澄な処理水が得られる。したがって、濾過
装置10は、限外濾過膜(UF)装置又は精密濾過膜(MF)装置等の膜分離装置の代わ
りに逆浸透膜(RO)装置の前段で使用することができ、逆浸透膜装置の閉塞を抑制する
ことができる。そして、濾過装置10は、限外濾過膜置又は精密濾過膜装置のように、膜
を用いた濾過ではないので閉塞し難く、また安価である。
【0026】
ここで、メッシュシート5は、被処理水が通過することができる空孔を有し被処理水が
含有する濁質を所望の程度除去できればよく、特に限定はないが、例えば、図4に示すよ
うな、縦糸9aと横糸9bで形成された織物が挙げられる。なお、図4は、メッシュシー
ト5の要部拡大平面図(図4(a))及び図4(a)のA−A´断面図(図4(b))で
ある。
【0027】
そして、メッシュシート5の隣り合う縦糸9a同士や隣り合う横糸9b同士の距離、す
なわち、オープニング(図4中OPで示す。)は200〜4000μm程度が好ましく、
また、空孔(図4中斜線で示す。)の大きさ、すなわち、メッシュシート5の平面視の空
間率(オープニングエリア)は40〜90%程度とすることが好ましく、そして、交点部
の高さ(図中Tで示す厚さ)は500〜1200μmであることが好ましい。具体的な商
品としては、例えば、100目〜8目(NBC社)程度のものを用いればよい。この範囲
であれば、特に好適に濁質を除去することができる。また、逆浸透膜装置、例えば逆浸透
膜を巻き回した形状のスパイラル型逆浸透膜装置では、交点部の高さが通常0.65〜1
.2mm程度のメッシュシートを原水流路スペーサーとして用いているため、逆浸透膜装
置の前段で用いる濾過装置、すなわち、逆浸透膜装置に処理水を供給する濾過装置として
用いて逆浸透膜装置の閉塞を防止させる場合、逆浸透膜装置よりも交点部の高さの低いメ
ッシュシートを用いることが好ましいためである。
【0028】
また、縦糸9aや横糸9bとなる繊維の直径Dは、それぞれ直径0.1〜0.6mmが
好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.4mm程度である。被処理水の濁度や処理量に
もよるが、被処理水を略縦断できるようにするためには、ある程度の太さの繊維で被処理
水が通過させる空孔を形成する必要があり、また、太すぎると形成される空孔が大きくな
りすぎて、濁質を除去できなくなるためである。
【0029】
メッシュシート5を構成する糸等の材質としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエス
テル、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの合成樹脂や、金属繊維等が挙
げられるが、耐薬品性や経済性の観点から、ポレオレフィンが好ましい。なお、図4にお
いては、織物を例示したが、繊維で形成された比較的大きな空孔を有する不織布でもよい

【0030】
また、スペーサー6は、メッシュシート5に比べて被処理水が通過し難いシート状のも
のであれば特に限定されず、例えば、空孔を全く有さず被処理水を通過させない水不透過
シートや、直径0.1〜100μm、好ましくは0.5〜30μm程度の繊維で形成され
た不織布等、又は、これらを貼り合わせたり熱融着で一体成型する等により重ねられたも
のとしてもよい。なお、スペーサー6が被処理水を通過させない水不透過シートであれば
、被処理水をメッシュシート5に均一に接触させることができるので、スペーサー6は水
不透過シートを有するものであることが好ましい。そして、不織布をスペーサー6として
用いると、不織布表面の毛羽立ち部位で被処理水の濁質を捕捉することができ濾過装置1
0の濁質捕捉性を向上させることができるため、不織布と水不透過シートとからなるスペ
ーサーとすることが好ましい。
【0031】
スペーサー6の材質としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポ
リフッ化ビニリデン(PVDF)、金属繊維、活性炭繊維等が挙げられる。耐薬品性や経
済性の観点からは、ポレオレフィンが好ましい。また、被処理水中に含まれるNaClO
等の還元処理をすることができ、活性炭塔などの装置を不要にすることができるという観
点からは、活性炭繊維が好ましい。
【0032】
そして、メッシュシート5及びスペーサー6を重ね合わせる形態に特に限定はなく、シ
ート面同士を貼り合わせてもよく熱融着で一体成型してもよい。なお、メッシュシート5
とスペーサー6の大きさは同一でなくてもよいが、均一に被処理水を処理するためには、
ほぼ同一であることが好ましい。メッシュシートやスペーサー6の通水方向の長さは、被
処理水の濁度、処理量や求める処理水の濁度にもよるが、例えば、200〜1000mm
程度とすればよい。
【0033】
このメッシュシート5及びスペーサー6を重ね合わせたシート部材を巻きつける芯材3
の材質は特に限定されず、プラスチックや金属などを用いることができるが、経済性の観
点からは塩化ビニル配管(CVP配管)とすることが好ましい。また、芯材の形状3も特
に限定されず、例えば円柱状でも角柱状でもよい。なお、シート部材を芯材3に巻きつけ
る方法も特に限定は無く、例えばシート部材の端部を接着剤等で芯材3に固定し、該芯材
3を中心として、シート部材をのり巻き状に巻き込み、被処理水の処理量や濁度等に応じ
て、任意の径となるように巻きつければよい。
【0034】
そして、濾過槽1に限定はなく、例えば材質はステンレス製や繊維強化プラスチック(
FRP)製とすることができ、また、大きさは中空の円柱状(筒状)であれば、直径10
0〜1000mm、高さ200〜1000mmとすることができる。また、図1では、筒
状の濾過槽1としたが、筒状でなくてもよく、通水できる形状、すなわち、中空であれば
よく、例えば角柱に空洞を設けた形状でもよい。
【0035】
なお、被処理水としては、工業用水、市水、井水、河川水、湖沼水、工場廃水(特に、
工場からの廃水を生物処理した生物処理水)、及びこれらに凝集剤を添加して凝集処理し
た水が挙げられる。
【0036】
図1においては、濾過体2として、芯材3に3回巻回された濾過体本体4を有するもの
を用いたが、巻回す回数に制限はなく、被処理水の処理量及び濁度等により適宜調節すれ
ばよい。したがって、濾過体本体4が1回のみ巻回された濾過体2としてもよいが、巻回
す回数が多いほどスペーサー6によりメッシュシート5の形状が保持しやすくなり、被処
理水が均一にメッシュシート5を縦断できるようになって、水処理が安定するため好まし
い。
【0037】
また、図1においては、濾過体2として、芯材3に濾過体本体4が巻回された物を用い
たが、芯材3はなくてもよく、例えばスペーサー6等でメッシュシート5の通水時の形状
を保持し、被処理水がメッシュシート5を面方向に通過(縦断)することができれば、濾
過体本体4のみからなる濾過体2としてもよい。
【0038】
また、図1においては、中空の円柱状の濾過槽1に濾過体2を充填した濾過装置10と
したが、濾過体2にFRPなどのシートを巻きつけて被処理水が漏れないように接合した
ものとしてもよい。また、スペーサー6を水不透過の材質とし、被処理水が漏れないよう
にすることにより、スペーサー6が濾過槽1を兼ねるようにしてもよい。
【0039】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る水処理装置の概略系統図である。なお、実施形態1
と同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略してある。
【0040】
図5に示すように、水処理装置30は、実施形態1の濾過装置10の後段(下流側)に
、逆浸透膜で被処理水を膜分離処理する逆浸透膜装置31を設けたものである。
【0041】
このような水処理装置30では、まず、被処理水(原水)が、濾過装置10に導入され
る。そして、濾過装置10に導入された被処理水がメッシュシート5を縦断することによ
り、被処理水中に含まれる濁質がある程度除去される。そして、濾過装置10から排出さ
れた清澄な処理水が後段の逆浸透膜装置31に供給されて、逆浸透膜により膜分離処理さ
れる。本実施形態では、実施形態1の濾過装置10を用いているため、濾過装置10から
排出される処理水は清澄である。したがって、限外濾過膜装置や精密濾過膜装置等の膜分
離装置の代わりに逆浸透膜装置31の前段で使用することができる。そして、UF装置又
はMF装置のように、膜を用いた濾過ではないので閉塞し難く、また安価である。
【0042】
濾過装置10の後段に設ける逆浸透膜装置31は、メッシュシート5の被処理水通水方
向の断面積よりも被処理水の通水路の断面積が大きい、例えば、スパイラル型のものでは
メッシュシート5の交点部の高さよりも原水流路の幅が大きいものが好ましい。逆浸透膜
装置31の形態に特に限定はないが、例えば、袋とじにした逆浸透膜を側面に通水孔を有
する中空の芯材に巻き回した形状のいわゆるスパイラル型のものが、大型化に対応し易い
ため好ましい。特に、濾過装置10と同一の直径を有するスパイラル型の逆浸透膜装置と
することが好ましい。なお、スパイラル型の逆浸透膜装置31を用いると、逆浸透膜で不
純物を膜分離処理された処理水が、中空の芯材から排出され、芯材以外からは逆浸透膜で
膜分離処理されていない不純物を多く含んだいわゆる濃縮水が排出される。
【0043】
なお、逆浸透膜装置31の代わりに、精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、
ナノ濾過膜(NF膜)などの膜分離処理手段を、濾過装置10の後段に設けた水処理装置
としてもよい。
【0044】
図5においては、濾過装置10と逆浸透膜装置31とを別々に設けた水処理装置とした
が、これに限定されず、図6に示すように、濾過装置10と逆浸透膜装置31とを一つの
中空の容器32に収納する等して一体的な水処理装置としてもよい。一体的な水処理装置
とすることで、コンパクト化が図れると共に、部品数を少なくすることができる。なお、
濾過装置10や逆浸透膜装置31は、複数設けても一つずつ設けてもよい。
【0045】
また、濾過装置10の前段に凝集処理手段41を設けた水処理装置40としてもよい。
水処理装置40は、図7に示すように、被処理水(原水)が導入される反応槽42と、高
分子凝集剤等の薬品が保持される薬品槽43から反応槽42に薬品を導入するポンプ等か
らなる薬品導入手段44と、無機凝集剤が保持される無機凝集剤槽45から反応槽42に
無機凝集剤を導入するポンプ等からなる無機凝集剤導入手段46からなる凝集処理手段4
1の後段に、反応槽42で吸着や凝結など凝集処理した被処理水が導入される実施形態1
の濾過装置10を有し、さらに、濾過装置10の後段に、逆浸透膜で被処理水を膜分離処
理する上記水処理装置30と同様の逆浸透膜装置31を設けたものである。
【0046】
このような水処理装置40では、まず、被処理水(原水)が、反応槽42に導入される
。そして、薬品槽43に保持された高分子凝集剤等の薬品や、無機凝集剤槽45に保持さ
れた無機凝集剤が、薬品導入手段44や無機凝集剤導入手段46により反応槽42に導入
され被処理水に添加される。そして、高分子凝集剤や無機凝集剤が添加された被処理水は
、攪拌機47で攪拌されて、凝集処理される。次いで、凝集処理された被処理水は、反応
槽42から排出され、濾過装置10に送られる。そして、濾過装置10に導入された被処
理水がメッシュシート5を縦断することにより、被処理水中に含まれる濁質が除去される
。そして、濾過装置10から排出された清澄な処理水が後段の逆浸透膜装置31に供給さ
れて、逆浸透膜により膜分離処理される。なお、逆浸透膜装置31を設けない水処理装置
としてもよい。
【0047】
被処理水としては、例えば、フミン酸・フルボ酸系有機物、藻類等が生産する糖などの
生物代謝物、又は、界面活性剤等の合成化学物質などを含む水、具体的には、工業用水、
市水、井水、河川水、湖沼水、工場廃水(特に、工場からの廃水を生物処理した生物処理
水)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、フミン質とは、植物
などが微生物に分解されることにより生じる腐食物質をいい、フミン酸等を含むものであ
り、フミン質を含有する水は、フミン質および/またはフミン質に由来する溶解性COD
成分、懸濁物質や色度成分を有する。
【0048】
被処理水に凝集剤として添加する高分子凝集剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドの共重合物、及び、それらのアルカ
リ金属塩等のアニオン系の有機系高分子凝集剤、ポリ(メタ)アクリルアミド等のノニオ
ン系の有機系高分子凝集剤、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはその4
級アンモニウム塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはその4級ア
ンモニウム塩等のカチオン性モノマーからなるホモポリマー、及び、それらカチオン性モ
ノマーと共重合可能なノニオン性モノマーとの共重合体等のカチオン系の有機系高分子凝
集剤、及び上記アニオン性モノマー、カチオン性モノマーやこれらモノマーと共重合可能
なノニオン性モノマーとの共重合体である両性の有機系高分子凝集剤が挙げられる。また
、高分子凝集剤の添加量にも特に限定はなく、被処理水の性状に応じて調整すればよいが
、被処理水に対して概ね固形分で0.01〜10mg/Lである。
【0049】
また、被処理水に添加する無機凝集剤は特に限定はなく、例えば、硫酸バンド、ポリ塩
化アルミニウム等のアルミニウム塩、塩化第二鉄、硫酸第一鉄等の鉄塩などが挙げられる
。また、無機凝集剤の添加量にも特に限定はなく、処理する被処理水の性状に応じて調整
すればよいが、被処理水に対して概ねアルミニウム又は鉄換算で0.5〜10mg/Lで
ある。また、被処理水の性状にもよるが、無機凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PA
C)を用いた場合、高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加した被処理水のpHを、pH5.
0〜7.0程度とすると、凝集が最適となる。無機凝集剤の添加は、高分子凝集剤を被処
理水に添加する前でも後でもよく、また、高分子凝集剤と同時に添加してもよい。
【0050】
そして、上記水処理装置30や水処理装置40に追加して、図8に示すように、被処理
水(原水)が貯留された原水槽に、被処理水の吸光度を測定する吸光度測定手段51が設
けられ、この吸光度測定手段51で測定された吸光度データを受け取り、薬品槽43から
反応槽42へ導入する高分子凝集剤の添加量、及び、無機凝集剤槽45から反応槽42へ
導入する無機凝集剤の添加量を算出し添加量を制御する添加量制御手段52が設けられて
いる水処理装置50としてもよい。
【0051】
添加量制御手段52は、予め水質の異なる様々な吸光度の被処理水をジャーテスターで
高分子凝集剤を用いて水処理することにより、被処理水の吸光度と高分子凝集剤の最適添
加量との関係を求めた式を、添加量補正情報として有する。そして、添加量制御手段52
では、吸光度測定手段51で測定された被処理水(原水)の吸光度データとこの関係式(
添加量補正情報)とから最適添加量を算出し、薬品導入手段44から導入される高分子凝
集剤の添加量を制御する。また、同様に、添加量制御手段52は、予め水質の異なる様々
な吸光度の被処理水を無機凝集剤を用いて水処理することにより、被処理水の吸光度と無
機凝集剤の最適添加量との関係を求めた式を、添加量補正情報として有する。そして、添
加量制御手段52では、吸光度測定手段51で測定された被処理水(原水)の吸光度デー
タとこの関係式(添加量補正情報)とから最適添加量を算出し、無機凝集剤導入手段46
から導入される無機凝集剤の添加量を制御する。
【0052】
高分子凝集剤を例に、詳述すると、まず、予め被処理水の吸光度と、その吸光度を有す
る被処理水を処理するのに適した高分子凝集剤の添加量、即ち、濁質となる溶解性有機物
を凝集させるために十分な添加量であって過剰とならない量の添加量との関係を添加量制
御情報として求めておく。そして、水処理する際に被処理水の吸光度を測定し、その吸光
度の測定結果と、添加量補正情報とに基づいて、高分子凝集剤の添加量を制御する。
【0053】
ここで、被処理水について、波長200nm〜400nmの紫外部と波長500nm〜
700nmの可視部をそれぞれ1波長以上測定した吸光度と、溶解性有機物濃度には下記
式で示す相関関係がある。
【0054】
【数1】

【0055】
そして、溶解性有機物濃度と、0.45μmメンブレンフィルターを用いて一定量の試
料水を濾過するのに要する時間(KMF値)から判断した高分子凝集剤の最適な添加量と
の間には相関関係がある。従って、紫外部及び可視部吸光度をそれぞれ1波長以上測定す
ることにより、高分子凝集剤の最適添加量を推算できる。
【0056】
具体的には、水質の異なる被処理水、例えば、異なる日に採取した工業用水などの被処
理水について予めジャーテストを行って、下記式(I)に示すような紫外部吸光度と可視
部吸光度との差と高分子凝集剤の最適添加濃度との関係式(添加量制御情報)を求めてお
く。なお、式(I)中、A〜Cは、被処理水の溶解性有機物の濃度など水質に依存する定
数であり、E260は波長260nmでの吸光度、E660は波長660nmでの吸光度
を表す。そして、水処理する際に被処理水の吸光度を測定し、吸光度の測定結果と下記式
(I)から高分子凝集剤の最適添加濃度を求め、その最適添加量の高分子凝集剤を被処理
水に添加する。
【0057】
【数2】

【0058】
なお、上述した例では、添加量制御情報として紫外部吸光度と可視部吸光度との差と高
分子凝集剤の最適添加濃度との関係式を求めたものを示したが、これに限定されず、例え
ば、閾値制御としてもよい。閾値制御としては、吸光度差が所定値a1未満のときには高
分子凝集剤の添加濃度をb1とし、吸光度差が所定値a1〜a2のときには高分子凝集剤の
添加濃度をb2とし、吸光度差が所定値a2超のときには高分子凝集剤の添加濃度をb3
するものなどが例示されるが、これに限定されない。
【0059】
このように、被処理水に含まれる濁質となる溶解性有機物量に基づいて、高分子凝集剤
の添加量を制御することにより、最適な量の高分子凝集剤を被処理水に添加することがで
きるので、効率よく被処理水を処理することができる。また、被処理水の水質が変動した
場合においても、変動した後の被処理水の水質に応じて高分子凝集剤を最適量添加するの
で、安定して清澄度の高い処理水を得ることができる。なお、無機凝集剤の添加量の制御
についても、上記高分子凝集剤の添加量の制御と同様にすればよい。
【0060】
また、被処理水の濁度と溶解性有機物濃度にも相関関係があるため、吸光度の代わりに
濁度を測定し、上記吸光度と同様の制御をするようにすれば、最適な量の高分子凝集剤や
無機凝集剤を被処理水に添加することができるので、効率よく被処理水を処理することが
でき、また、被処理水の水質が変動した場合においても、変動した後の被処理水の水質に
応じて高分子凝集剤や無機凝集剤を最適量添加するので、安定して清澄度の高い処理水を
得ることができる。なお、被処理水(原水)の吸光度データに応じた凝集剤添加量の制御
と、被処理水の濁度データに応じた凝集剤添加量の制御の両方を行ってもよい。
【0061】
さらに、上記水処理装置30や水処理装置40に追加して、被処理水の通水方向とは逆
方向から水処理装置に洗浄液又は洗浄液と空気との混合液を導入する洗浄液導入手段を有
する水処理装置としてもよい。具体的には、例えば図9に示すように、水処理装置は、逆
浸透膜装置31で処理された被処理水を貯留する処理水槽61を有し、この処理水槽61
の被処理水(洗浄液)、又は、該被処理水と空気との混合液(洗浄液)を逆浸透膜装置3
1及び濾過装置10に導入する洗浄液導入手段62を有する。
【0062】
このような水処理装置60では、濾過後、膜分離処理された被処理水は、処理水槽61
に貯留される。ここで、濾過装置10の濾過体2等は、被処理水の通水によって次第に凝
集剤として添加した高分子凝集剤や無機凝集剤に起因する固形物やその他濁質などの汚染
物質の付着により、性能が劣化する。また、逆浸透膜装置31の逆浸透膜等の分離膜は、
膜分離処理によって次第に凝集剤として添加した高分子凝集剤や無機凝集剤に起因する固
形物やその他濁質などの汚染物質の付着により、膜分離性能が劣化する。そこで、任意の
頻度で、反応槽42と濾過装置10との間に設けられたバルブ63と、逆浸透膜装置31
等と処理水槽61との間に設けられ膜分離処理の際には開かれているバルブ64を閉じて
膜分離処理を中断する。そして、処理水槽61と逆浸透膜装置31とを繋ぐもう一つのバ
ルブ65を開け、処理水槽61に貯留された被処理水やこれに空気を混合した液をポンプ
等の洗浄液導入手段62で逆浸透膜装置31に処理時とは逆方向に、例えば1分程度通水
することにより、分離膜を洗浄液や空気でフラッシングする。次いで、逆浸透膜装置31
に通水した洗浄液や空気が濾過装置10を通過することにより、濾過体本体4等を洗浄液
や空気で逆洗する。そして、洗浄液は、濾過装置10からバルブ66を介して水処理装置
60外へ排水として排出される。なお、逆浸透膜装置31及び濾過装置10の間に洗浄液
を送液するためのポンプ等がなくても、逆浸透膜装置31に洗浄液を導入する洗浄液導入
手段62により、濾過装置10に洗浄液を導入することができる。
【0063】
そして、洗浄液や空気による逆浸透膜装置31及び濾過装置10の洗浄が終了した後は
、再び、バルブ63及び64を開けバルブ65及び66を閉じて、濾過及び膜分離処理を
再開する。このように、濾過装置10及び逆浸透膜装置31等の膜分離処理手段を洗浄す
ることにより、濾過体2及び分離膜に吸着した濁質を除去することができるので、濾過性
能や、膜分離性能の劣化を確実に抑制することができる。なお、濾過装置10のみに被処
理水や空気を導入するようにしてもよい。
【0064】
本実施形態では、凝集剤として、高分子凝集剤及び無機凝集剤を用いたが、いずれか一
方でもよい。また、本実施形態では、凝集剤を反応槽42に導入するようにしたが、反応
槽42の前段で導入するようにしてもよい。
【0065】
また、脱炭酸処理や、活性炭処理等、被処理水の精製処理手段をさらに有する水処理装
置としてもよい。そして、必要に応じて、紫外線照射手段、オゾン処理手段、生物処理手
段などを具備する水処理装置としてもよい。
【0066】
さらに、必要に応じて、凝結剤、殺菌剤、消臭剤、消泡剤、防食剤などを添加してもよ
く、例えば、薬品槽43に各添加剤を混合することにより、添加することができる。
【0067】
(実施形態3)
図10は、本発明の実施形態3に係る水処理装置70の構成を示す縦断面図であり、図
11は、粗濾過装置20の構成を示す断面図である。なお、実施形態1や実施形態2と同
じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略してある。
【0068】
図10に示すように、水処理装置70は、上流側から順に、粗濾過装置20及び実施形
態1の濾過装置10が、水処理容器71に縦に並べられて収容されている。
【0069】
そして、粗濾過装置20は、図11に示すように、被処理水が通水される筒状の粗濾過
槽21と、通水される被処理水中の濁質を捕捉する粗濾過体22とを有する。該粗濾過体
22は、粗濾過槽21の通水方向の両端に接続される芯材23と、紐状の濁質捕捉部24
とからなる。そして、粗濾過槽21の通水方向両端には、濁質を含有する被処理水が自由
に通水できる程度の穴が複数設けられた樹脂製等の円形のプレート26が設けられ、各プ
レート26の中心に芯材23の両端が固定されている。また、濁質捕捉部24は、芯材2
3に一部が編みこまれて固定されると共に固定されていないいわゆるループ状の部分が粗
濾過槽21の内壁面に向かって放射状に広がるように設けられており、粗濾過槽21全体
に粗濾過体22が広がっている。このため、濁質捕捉部24は通水方向と交差するので、
濁質捕捉部24によって被処理水に含まれる濁質を捕捉できる。なお、紐状の濁質捕捉部
24は長い矩形(テープ)をループ状にしたものであり、図12の紐状の濁質捕捉部24
の拡大図に示すように、長手方向の端部まで達しないスリット25が複数設けられている
。このようにスリット25を設けることにより、濁質の捕捉効果が向上する。
【0070】
ここで、粗濾過体22は、被処理水の通水時の濾過部の空隙率が50〜95%、好まし
くは60〜90%になるように粗濾過槽21に充填されている。空隙率は下記式から求め
られる値である。そして、濾過部とは、被処理水の濁質が粗濾過体22に捕捉される領域
、すなわち、粗濾過槽21の内壁面を側面とし通水時の粗濾過体22の通水方向両端を厚
さ方向の両端として粗濾過体22の濁質捕捉部24が充填されている層の内、濾過に寄与
しない部分(本実施形態では芯材23の部分)を排除した部分をいう。なお、濾過に寄与
しない部分が無い場合は、濾過部は、粗濾過槽21の内壁面を側面とし通水時の粗濾過体
22の通水方向両端を厚さ方向の両端として粗濾過体22の濁質捕捉部24が充填されて
いる層をいう。「濾過部の体積−濁質捕捉部の体積」は、例えば本実施形態のように、濾
過操作時(被処理水通水時)に粗濾過体22が圧密せず、粗濾過槽21内に充填された状
態のまま濾過操作時の濾過部が形成される例では、被処理水で満たした粗濾過槽21に粗
濾過体22を入れた際に溢れた被処理水の量から芯材23の体積を減ずることで容易に求
めることができる。なお、本実施形態においては、粗濾過体22の両端がそれぞれ粗濾過
槽21の通水方向両端に固定されており、粗濾過体22は被処理水の通水時に粗濾過槽2
1全体に広がっているため、粗濾過槽21の内部全体から芯材23の部分を減じた部分が
濾過部である。
【0071】
【数3】

【0072】
このような粗濾過装置20に被処理水を通水すると、被処理水は各紐状の濁質捕捉部2
4の間や濁質捕捉部24に設けられたスリット25の間を通り、その際被処理水に含まれ
る濁質が紐状の濁質捕捉部24やスリット25にトラップされ、濁質が除去された被処理
水が粗濾過槽21から排出される。そして、通水時の濾過部の空隙率が50〜95%にな
るように粗濾過体22が充填されているため、通水が妨げられず且つ濁質のトラップも良
好である。
【0073】
このように、通水時の濾過部の空隙率が50〜95%になるように粗濾過体22を充填
することにより、通水が妨げられず且つ濁質のトラップが良好になるため、粗濾過装置2
0で処理された被処理水は清澄なもの(例えば濁度3以下程度)となるという効果を奏す
る。また、粗濾過装置20自体や、後段に設ける濾過装置10や、必要に応じて設ける逆
浸透膜装置31の閉塞が抑制できる。空隙率が95%よりも高いと通水が良好になり高速
で濾過し易くなるが処理水の濁度が顕著に高くなってしまい、また、50%よりも低いと
濁質のトラップは良好であるが通水が不十分で粗濾過装置20や後段に設ける濾過装置1
0や逆浸透膜装置31に閉塞が生じる場合があり、差圧上昇速度が顕著に高くなってしま
う。特に、例えば100m/h以上の高速で濾過運転をしたり、濁度が高い(例えば20
度以上)被処理水を処理すると、得られる処理水の濁質が悪くなるという問題や、装置が
閉塞してしまうという問題が生じやすいが、空隙率が50〜95%になるように粗濾過体
22を充填した粗濾過装置20を用いることによって、高速運転や濁度の高い被処理水で
あっても、閉塞が抑制でき、また、清澄な処理水が得られる。勿論、低速で処理したり、
濁度が低い被処理水を処理する場合であっても、閉塞が抑制でき、また、清澄な処理水が
得られる。なお、空隙率は均一であることが好ましいため、濁質捕捉部24が粗濾過槽2
1の通水方向両端の近傍まで充填されていることが好ましく、また、濁質捕捉部24が粗
濾過槽21の内壁面の近傍まで充填されていることが好ましい。
【0074】
また、濾過部の体積は、被処理水の通水時と、後述する逆洗時や濾過停止時などのその
他の状態とで、体積変動しないことが好ましく、濾過部の体積変動率は30%以下、好ま
しくは10%以下であることが好ましい。このような範囲とすることで、粗濾過装置をコ
ンパクトにすることができる。
【0075】
そして、本実施形態においては、粗濾過槽21の大きさは、例えば筒状であれば、直径
100〜1000mm、高さ200〜1000mmとすることができる。なお、粗濾過槽
21の大きさが粗濾過体22に比べて大きい場合は、複数の粗濾過体22を粗濾過槽21
に充填したり、粗濾過体22の濁質捕捉部24を大きくする等して、通水時の濾過部の空
隙率が50〜95%になるようにすればよい。
【0076】
また、芯材23や濁質捕捉部24の材質としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ナ
イロンなどの合成樹脂が挙げられる。ここで、芯材23は、ポリプロピレン、ポリエステ
ル、ナイロンなどの合成繊維を製造過程で編み上げることで強度を持たせてもよい。また
、ねじりブラシの様に腐食されないSUSや樹脂で被覆された金属による針金を芯材23
とし、濁質捕捉部24を均等に並べた後、金属を捩ることで、放射状に広げた粗濾過体2
2としてもよい。このように芯材23の強度を向上させることで、芯材23が屈曲するこ
とがなくなると共に、粗濾過体22端部の固定が容易となるので、粗濾過体22の交換作
業が容易になる。
【0077】
芯材23や濁質捕捉部24の大きさは、空隙率が上記範囲内になるようにする以外は特
に限定はないが、例えば、厚さ0.05〜2mm、幅1〜50mm、長さ(被処理水を通
水した際の芯材からの距離)10〜500mm程度、好ましくは、厚さ0.3〜2mm、
幅1〜20mm、長さ50〜200mm程度とすることができる。
【0078】
上述した例では、筒状の粗濾過槽21としたが、筒状でなくてもよく、通水できる形状
、すなわち、中空であればよく、例えば角柱に空洞を設けた形状でもよい。また、上述し
た例では、プレート26に芯材23の両端を固定したが、これに限定されず、例えば芯材
の一端のみを固定するようにしてもよい。
【0079】
また、上述した例では、ループ状の濁質捕捉部24を芯材23に突設するようにしたが
、これに限定されず、例えば、図13に示すように、短冊状の複数の濁質捕捉部とし各濁
質捕捉部の一端を芯材に固定するようにしてもよい。また、本実施形態では、濁質捕捉部
24の断面形状を四角形になるようにしたが、特に限定はなく、例えば円形状でもよい。
なお、各濁質捕捉部の長さは同一でも異なっていてもよい。さらに、上述した実施形態で
は、濁質捕捉部24の材質は一種類としたが、二種以上としてもよい。また、濁質捕捉部
に設けるスリットは、複数でも単数でもよく、設けなくてもよい。そして、芯材23がな
くてもよく、濁質捕捉部のみで構成される粗濾過体22としてもよいが、粗濾過体22は
粗濾過槽21に略均一に存在していることが好ましいので、濁質捕捉部を濾過槽の所定位
置に固定することが好ましい。
【0080】
また、図10においては、濾過装置10と粗濾過装置20とが一体的になった例を示し
たが、別々に設けて配管等でつないだものとしてもよい。そして、上述した例では、濾過
装置10の前段に粗濾過装置20を設けた水処理装置70としたが、例えば、実施形態2
の水処理装置30、水処理装置40、水処理装置50や水処理装置60に追加して、各濾
過装置10の前段に粗濾過装置20を設けた水処理装置としてもよい。
【実施例】
【0081】
以下、実施例及び比較例に基づいてさらに詳述するが、本発明はこの実施例により何ら
限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
被処理水(原水)として、濁度2.0〜3.0度、残留塩素(as.Cl):0.0
5ppm未満、水温:24.5〜25.5℃の工業用水を図5に示す水処理装置を用い、
逆浸透膜装置の入り口圧力:0.75MPa、逆浸透膜装置から排出される濃縮水量:1
.35m/h、処理水量:0.25m/hとなる水量で、被処理水を通水して処理し
た。なお、濾過装置10や、逆浸透膜装置31の構成は以下の通りである。
【0083】
<濾過装置>
濾過槽・・・内径100mmの円筒状容器(ベッセル)
濾過体・・・メッシュシートをポリエチレン製の直径0.3mmの繊維からなる縦糸及
び横糸で形成された図4に示す1m×10mで交点部の高さTが0.85mm、オープニ
ング3000μm、オープニングエリア82%の織物とし、スペーサーをPET(ポリエ
チレンテレフタラート)製の1m×10m×厚さ0.1mmのフィルム(水不透過フィル
ム)とし、これらを重ね合わせて四隅を熱融着したシート状部材を作成し、このシート部
材を水不透過フィルムが外側になるようにして直径20mmの塩化ビニル製のパイプ(芯
材)に10m巻きつけて形成した、直径100mmの濾過体
水不透過部材:濾過槽の内壁と濾過体本体の外周との隙間や、芯材付近の隙間を、被処
理水を通過させない接着剤で充填した
濾過装置の通水量:1.6m/h(LV=200m/h)
【0084】
<逆浸透膜装置>
逆浸透膜・・・ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製FILMTEC LE−4040(
原水流路スペーサーの交点部の高さ:0.85mm)を用いたスパイラル型のもの(直径
100mm)
【0085】
処理時における逆浸透膜の差圧を、図14に示すように、逆浸透膜装置の入口の圧力P
1と濃縮水出口の圧力P2の差(P1−P2(MPa))として求めたところ、72時間
通水してもほぼ一定で安定しており、閉塞が防止されることが確認された。なお、その後
、0.2MPaに上昇し通水が不能となった。
【0086】
また、濾過装置10に導入する被処理水(原水)、及び、被処理水の通水開始から72
時間経過時に逆浸透膜装置31から排出された処理水について、微粒子数をレーザー光遮
断方式の微粒子カウンターで測定し、また、濁度をカオリン標準液を用いた透過光測定方
法により求めたところ、表1に示す結果となった。表1に示すように、実施例1では、2
00μm以上の濁質が除去されており、濾過装置10を用いなかった比較例1と比べて顕
著に濁質が除去されていたことから、実施例1では濾過装置10から排出される処理水が
清澄で、その結果後段の逆浸透膜装置31での膜分離処理が好適に行われたことが確認さ
れた。
【0087】
【表1】

【0088】
(比較例1)
濾過装置10を設けず、逆浸透膜装置のみとした以外は、実施例1と同様の操作を行っ
た。微粒子数及び濁度の測定結果を表1に示す。また、逆浸透膜の差圧は、通水直後から
が上昇し、24時間後には0.2MPaとなり、通水不能になった。
【0089】
(実施例2)
スペーサーとして、直径17.5μmのポレオレフィン系繊維で形成された1m×10
m×厚さ0.22mmの不織布(日本バイリーン製 FT−330N)1枚と、PET(
ポリエチレンテレフタラート)製の1m×10m×厚さ0.1mmのフィルム(水不透過
フィルム)1枚とを重ね合わせて四隅を熱融着して固定したものを用いた以外は、実施例
1と同様の操作を行った。微粒子数及び濁度の測定結果を表1に示す。この結果、逆浸透
膜の差圧は、30日間通水してもほぼ一定で安定しており、閉塞が長期間防止されること
が確認された。また、表1に示すように、実施例2では、50μm以上の濁質が除去され
ており、濾過装置10を用いなかった比較例1や、実施例1と比べても顕著に濁質が除去
されていたことから、実施例2では濾過装置10から排出される処理水が顕著に清澄で、
その結果後段の逆浸透膜装置31での膜分離処理が好適に行われたことが確認された。
【0090】
(実施例3)
スペーサーとして、直径15μmの活性炭繊維で形成された1m×10m×厚さ0.3
mmの不織布(ユニチカ製活性炭繊維 A−15)1枚と、PET(ポリエチレンテレフ
タラート)製の1m×10m×厚さ0.1mmのフィルム(水不透過フィルム)1枚とを
重ね合わせて四隅を熱融着して固定したものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行
った。微粒子数及び濁度の測定結果を表1に示す。この結果、逆浸透膜の差圧は、30日
間通水してもほぼ一定で安定しており、閉塞が長期間防止されることが確認された。また
、表1に示すように、実施例3では、50μm以上の濁質が除去されており、比較例1や
、実施例1と比べても顕著に濁質が除去されていたことから、実施例3では濾過装置10
から排出される処理水が顕著に清澄で、その結果後段の逆浸透膜装置31での膜分離処理
が好適に行われたことが確認された。
【0091】
そして、この実施例3と同様の水処理装置に、0.5ppm(as.Cl)の残留塩
素を有する栃木県野木町の水道水を100時間通水した結果、安定して残留塩素濃度0.
05ppm(as.Cl)未満の処理水が得られた。
【0092】
(実施例4)
被処理水(原水)として、濁度8.0〜10度、残留塩素(as.Cl):0.05
ppm未満、水温:24.5〜25.5℃の工業用水を図7に示す水処理装置40の直前
に粗濾過装置20を設けた水処理装置、具体的には、上流側から凝集処理手段41、粗濾
過装置20、濾過装置10、逆浸透膜装置31が順に設けられている水処理装置を用い、
逆浸透膜装置の入り口圧力:0.75MPa、逆浸透膜装置から排出される濃縮水量:1
.35m/h、処理水量:0.25m/hとなる水量で、被処理水を通水して処理し
た。なお、凝集処理手段41、粗濾過装置20、濾過装置10や、逆浸透膜装置31の構
成は以下の通りである。
【0093】
<凝集処理手段>
凝集剤・・・被処理水に対して30mg/Lのポリ塩化アルミニウム(PAC:10重
量% as Al23)、及び、被処理水に対してカチオン性高分子凝集剤として1.0p
pmのクリフィックスCP604(栗田工業製)を添加
【0094】
<粗濾過装置>
図11に示すように芯材23及び紐状の濁質捕捉部24からなり、粗濾過槽21の通水
方向両端のプレート26にそれぞれ両端が固定されている。そして、芯材23は体積25
0mLで、各濁質捕捉部14の厚さは、0.5mm、幅2mm、長さ(被処理水を通水し
た際の芯材からの距離)100mmとなるようループ状に芯材に編みこんだものであり、
通水時の濾過部(粗濾過槽21内部の体積から芯材23の体積を引いたもの)の空隙率が
、85%である。なお、芯材は両端で固定しているため、被処理水通水時とその他の時と
では濾過部の体積変化率はほぼ0%であった。また、粗濾過槽21の大きさは、直径20
0mm、高さ500mmである。
粗濾過装置の通水量:1.6m/h(LV=200m/h)
【0095】
<濾過装置>
濾過槽・・・内径100mmの円筒状容器(ベッセル)
濾過体・・・メッシュシートをポリエチレン製の直径0.3mmの繊維からなる縦糸及
び横糸で形成された図4に示す1m×10mで交点部の高さTが0.85mm、オープニ
ング3000μm、オープニングエリア82%の織物とし、スペーサーを直径17.5μ
mのポレオレフィン系繊維で形成された1m×10m×厚さ0.22mmの不織布(日本
バイリーン製 FT−330N)1枚と、PET(ポリエチレンテレフタラート)製の1
m×10m×厚さ0.1mmのフィルム(水不透過フィルム)1枚とを重ね合わせて四隅
を熱融着したものとし、これらを重ね合わせて四隅を熱融着したシート状部材を作成し、
このシート部材を水不透過フィルムが外側になるようにして直径20mmの塩化ビニル製
のパイプ(芯材)に10m巻きつけて形成した、直径100mmの濾過体
水不透過部材:濾過槽の内壁と濾過体本体の外周との隙間や、芯材付近の隙間を、被処
理水を通過させない接着剤で充填した
濾過装置の通水量:1.6m/h(LV=200m/h)
【0096】
<逆浸透膜装置>
逆浸透膜・・・ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製FILMTEC LE−4040(
原水流路スペーサーの交点部の高さ:0.85mm)を用いたスパイラル型のもの(直径
100mm)
【0097】
処理時における逆浸透膜の差圧を、図14に示すように、逆浸透膜装置の入口の圧力P
1と濃縮水出口の圧力P2の差(P1−P2(MPa))として求めたところ、120時
間通水してもほぼ一定で安定しており、閉塞が防止されることが確認された。なお、その
後、0.2MPaに上昇し通水が不能となった。
【0098】
また、凝集処理手段41に導入する被処理水(原水)、及び、被処理水の通水開始から
120時間経過時に逆浸透膜装置31から排出された処理水について、微粒子数をレーザ
ー光遮断方式の微粒子カウンターで測定し、また、濁度をカオリン標準液を用いた透過光
測定方法により求めたところ、表1に示す結果となった。表1に示すように、実施例4で
は、100μm以上の濁質が除去されており、濾過装置10を用いなかった比較例1と比
べて顕著に濁質が除去されていたことから、実施例4では濾過装置10から排出される処
理水が清澄で、その結果後段の逆浸透膜装置31での膜分離処理が好適に行われたことが
確認された。
【0099】
(実施例5)
逆浸透膜装置31から排出された処理水及び空気を、30分に一度、通水方向とは逆方
向に濾過装置10及び粗濾過装置20に、処理水流量:1.6m/h、空気流量:1.
0Nm/hで10分間通水した以外は、実施例4と同様の操作を行った。
【0100】
この結果、逆浸透膜の差圧は、図15に示すように、3ヶ月間通水してもほぼ一定で安
定しており、閉塞が長期間防止されることが確認された。
【0101】
以下に粗濾過装置20の効果を示す参考例を示す。
(空隙率と差圧上昇及び処理水濁度の関係)
被処理水(原水)として、濁度20度の工業用水を、図11に示す粗濾過装置の前段に
凝集処理手段41を設けた水処理装置を用いて、LV200m/hで1週間処理した。な
お、粗濾過装置に用いた濾過体は、図11に示すように芯材23及び紐状の濁質捕捉部2
4からなり、粗濾過槽21の通水方向両端のプレート26にそれぞれ両端が固定されてい
る。そして、芯材23は体積250mLで、各濁質捕捉部24の厚さは、0.5mm、幅
2mm、長さ(被処理水を通水した際の芯材からの距離)100mmとなるようループ状
に芯材に編みこんだものであり、濁質捕捉部24の編込み密度を変化させて、通水時の濾
過部(粗濾過槽21内部の体積から芯材23の体積を引いたもの)の空隙率が、30、4
0、50、60、70、80、90、95、98%の濾過体を作製し、各濾過体を用いて
水処理した。なお、芯材は両端で固定しているため、被処理水通水時とその他の時とでは
濾過部の体積変化率はほぼ0%であった。また、粗濾過槽21の大きさは、直径200m
m、高さ500mmである。また、凝集剤として、被処理水に対して30mg/Lのポリ
塩化アルミニウム(PAC:10重量% as Al23)及び被処理水に対して0.7m
g/Lの両性の高分子凝集剤クリベストE851(栗田工業製)を添加した。粗濾過装置
から排出された処理水の濁度(処理水濁度)及び粗濾過装置の差圧上昇速度(差圧上昇速
度)を測定した結果を表2に示す。なお、処理水の濁度はカオリン標準液を用いた透過光
測定方法により求め、粗濾過装置の差圧上昇速度は入口と出口の圧力差で求めた。
【0102】
この結果、濾過体を通水時の濾過部の空隙率が50〜95%になるように充填した粗濾
過装置では、50〜95%の範囲外のものに比べて顕著に差圧上昇速度及び処理水濁度が
低く、清澄な処理水が得られまた閉塞が抑制できることが分かった。
【0103】
【表2】

【0104】
(参考例1)
被処理水(原水)として、濁度3.4〜22度、TOC(全有機炭素)0.3〜4.8
mg/L、水温:24.5〜26.0℃の工業用水を図16に示す装置(原水の供給水量
:50L/h)、具体的には、上流側から順に、凝集処理手段41、粗濾過装置20、膜
分離処理手段81が設けられている水処理装置80を用いて、定期的に水質を変動させな
がら、LV200m/hで処理した。なお、膜分離処理手段81の分離膜として、MF膜
を用いた。粗濾過装置20から排出された処理水の濁度及び粗濾過装置20の差圧上昇速
度を測定した結果を表3に示す。なお、粗濾過装置20は図11に示すように芯材23及
び紐状の濁質捕捉部24からなる濾過体を有し、各濁質捕捉部24の厚さは0.5mm、
幅2mm、長さ100mmで、通水時の濾過部(粗濾過槽21)の空隙率は85%である
。そして、粗濾過体22の芯材23の一端のみが、通水方向の上流側のプレート26に固
定されている。なお、芯材23の一端は固定されていないが、一端が上流側のプレート2
6に固定されているため、処理水の通水時に濾過体は濾過槽全体に略均一に広がっていた
。また、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC:10重量%as Al23)を被
処理水に対して、30mg/Lとなるように添加した。
【0105】
(参考例2)
ループ形状の各濁質捕捉部の芯材に固定された箇所以外に2〜5本のスリットを入れた
以外は、参考例1と同様の操作を行った。
【0106】
(参考例3)
粗濾過体22の芯材23の両端をそれぞれ通水方向の上流側及び下流側のプレート26
に固定するようにした以外は参考例2と同様の操作を行った。
【0107】
【表3】

【0108】
表3に示すように、参考例1〜3では、処理水濁度及び差圧上昇速度が低く、清澄な処
理水が得られ、また粗濾過装置の閉塞も生じなかったことが分かった。また、濾過体にス
リットを設けた参考例2では、参考例1よりも処理水濁度が下がり、差圧上昇速度が遅か
った。そして、濾過体の両端を濾過槽に固定した参考例3では、参考例2よりも被処理水
が高濁度時の処理水濁度が低下した。
【符号の説明】
【0109】
1 濾過槽、 2 濾過体、 3 芯材、 4 濾過体本体、 5 メッシュシート、
6 スペーサー、 7 プレート、 8 水不透過部材、 9a 縦糸、 9b 横糸
、 10 濾過装置、 21 粗濾過槽、 22 粗濾過体、 23 芯材、 24 濁
質捕捉部、 25 スリット、 26 プレート、 30、40、50、60、70、8
0 水処理装置、 31 逆浸透膜装置、 41 凝集処理手段、 42 反応槽、 4
3 薬品槽、 44 薬品導入手段、 45 無機凝集剤槽、 46 無機凝集剤導入手
段、 51 吸光度測定手段、 52 添加量制御手段、 61 処理水槽、 62 洗
浄液導入手段、 63〜66 バルブ、 81 膜分離処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材が渦巻状に巻回される濾過体本体と、
被処理水が通水され、前記濾過体本体の軸芯が通水方向に沿うように前記濾過体本体が
内部に充填される濾過槽とを有し、
前記シート状部材は、被処理水が通過する空孔を有するシート状のメッシュシートと、
メッシュシートに比べて被処理水が通過し難いシート状のスペーサーのシート面同士が重
ねられたものであること特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記濾過体本体は、前記シート状部材が芯材に渦巻状に巻回されたものであることを特
徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記スペーサーが、直径0.1〜100μmの繊維で形成された不織布であることを特
徴とする請求項1又は2に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記スペーサーが、直径0.1〜100μmの活性炭繊維で形成されたものであること
を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の濾過装置。
【請求項5】
前記スペーサーが、直径0.1〜100μmの繊維で形成された不織布と被処理水を透
過しない水不透過シートとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の濾過装置。
【請求項6】
前記メッシュシートは、直径0.1〜0.6mmの繊維で形成されていることを特徴と
する請求項1〜5の何れかに記載の濾過装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の濾過装置の後段に、逆浸透膜装置を有することを特徴と
する水処理装置。
【請求項8】
前記濾過装置の前段に、紐状の濁質捕捉部を有し通水される被処理水中の濁質を捕捉す
る粗濾過体を通水時の濾過部の空隙率が50〜95%となるように粗濾過槽に充填した粗
濾過装置を有することを特徴とする請求項7に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記粗濾過装置と前記濾過装置とが一つの容器に収容され、前記粗濾過装置及び前記濾
過装置が一体となっていることを特徴とする請求項8に記載の水処理装置。
【請求項10】
前記濾過装置の前段に、被処理水が導入される反応槽と、凝集剤を前記反応槽又は反応
槽の前段で導入して被処理水に前記凝集剤を添加する凝集剤導入手段とを具備する凝集処
理手段を有することを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の水処理装置。
【請求項11】
洗浄液又は洗浄液と空気との混合液を、任意の頻度で、処理時とは逆方向から導入する
洗浄液導入手段をさらに有することを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の水処理
装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−212541(P2011−212541A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81549(P2010−81549)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】