説明

火災防災装置、帯電散布装置、帯電散布ヘッド、消火剤散布方法及び帯電散布方法

【課題】散布量が増加しても十分な帯電量を確保してクーロン力を利用した高い消火消煙効果を可能とし、帯電量の大きな消火剤を広範囲に、均一的に散布する。
【解決手段】火災時に、水系の消火剤を、配管を介して防護区間に設置された帯電散布ヘッド10に加圧供給し、帯電散布ヘッド10から噴射した消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流56を形成した後に粒子群流58に分裂分離させて散布し、薄膜流58の分裂分離部P近傍に外部電界を印加して帯電させる。帯電散布ヘッド10は、消火剤を外部空間に噴射するノズル部40、ノズル部40の内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部46、ノズル部40から放出された消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流56を形成した後に粒子群流58に分裂分離させて散布するデフレクター42、及び薄膜流56の分裂分離部P近傍に配置された誘導電極部48を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、海水、消火薬剤などを含有した水系の消火剤をヘッドから帯電散布する火災防災装置、帯電散布装置、帯電散布ヘッド、消火剤散布方法及び帯電散布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災時において、帯電散布ヘッドから散布する消火剤粒子を帯電させることにより、消火剤粒子と被消火物や煙粒子との間に働くクーロン力を利用し、燃焼物への立体的で高効率の濡らし効果や煙補足効果等を高めて、高い消火と消煙性能を得ることができることが知られている(特許文献1)。
【0003】
図9は従来の帯電散布ヘッドを示している。図9において、帯電散布ヘッド100はポンプユニットからの配管に接続した立下り配管134の先端にヘッド本体136をねじ込み固定し、ヘッド本体136の先端内側には、絶縁部材141を介して、円筒状の水側電極部(消火剤側電極部)140が組み込まれている。
【0004】
水側電極部(消火剤側電極)140に対しては、図示しない電圧印加部より引き出されたアースケーブル150が絶縁部材141を挿通して接続され、水側電極部140をアース側に接続している。
【0005】
水側電極部140の図示下側には噴射ノズル138が設けられ、水側電極部140側の内部に設けたノズル回転子138aと、先端側に設けたノズルヘッド138bで構成される。噴射ノズル138は、加圧供給された消火剤を立下り配管134から受け、ノズル回転子138aにより旋回流に変換した後にノズルヘッド138bから外部に噴射することにより消火剤を粒子群流に変換して散布する。
【0006】
噴射ノズル138に対しては、固定部材143を介して、絶縁性材料を用いたカバー142がビス止めにより固定され、カバー142の下側の開口部に、リング状誘導電極部144を組み込んでストッパリングと共にネジ止め固定している。リング状誘導電極部144は、リング状本体の中央に噴射ノズル138からの消火剤噴射粒子を通過させる開口を形成している。リング状誘導電極部144に対しては、外部に設けた電圧印加部からの電極印加ケーブル48が接続されている。
【0007】
帯電散布ヘッド100から消火剤を散布する際には、水側電極部140を0ボルトとなるアース側とし、リング状誘導電極部144に対し例えば数KVから十数KV程度の直流、交流又はパルス状となる印加電圧(帯電電圧)を印加する。この電圧印加によって両電極間に外部電界が生じ、この外部電界の作用を受けて、噴射ノズル138から消火剤が粒子群流に変換される噴射過程を通じて、消火剤がこの外部電界の作用を受けて帯電され、帯電された粒子群流を外部に散布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−106405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の帯電散布(噴霧)ヘッドによる消火剤の帯電散布によれば、例えば消火剤が水の場合に消火や消煙に要する水量は、非帯電の散布ヘッドによる必要散布水量と比較して大きく減少させることができる。しかし、火災の規模が大きい場合などには、帯電散布ヘッドによる必要水量は、非帯電の散布ヘッドによる場合に比べ相当少水量となるものの、火災による発生熱量を所定以上吸収することができる最低限の総比熱と蒸発潜熱が得られる水量の散布は必要であり、水量が不足すると所望の効果を得ることができない。このように、火災規模が大きい時には、当然に水量の多い帯電散布ヘッドが必要となる。
【0010】
しかし、図9に示した従来の帯電散布ヘッド100にあっては、ヘッド本体136のノズル回転子138aで水流に回転を与え遠心力を利用して噴射ノズル138から散布放射することで粒子群流に変換したフルコーン形の散布パターンを得ているが、このような従来の帯電散布にあっては、散布量の増加と共に単位水量当たりの帯電量が減少し、クーロン力による消火消煙効果を高める作用が小さくなってしまうという問題が、本願発明者の実験等によって確認されている。
【0011】
図10は図9に示した従来の帯電散布ヘッド100に印加する帯電用電圧を定常的に+5KVとしたときの帯電散布水の単位散布量当たりの平均帯電量をファラディーケージ法で計測した比電荷で示しており、散布量が増すほど(ヘッドが大型になるほど)平均帯電量を示す比電荷は小さい結果となっている。
【0012】
また、従来の水流に回転を与えて噴射ノズル138から遠心力を利用して散布放射する帯電散布ヘッド100では、消火剤の噴射角度(拡がり角度)はせいぜい90°程度であり、且つ飛距離も比較的短いことから、帯電消火剤を広範囲に散布することができないという問題もある。
【0013】
本発明は、散布量が増加しても十分な帯電量を確保してクーロン力を利用した高い消火消煙効果を奏する火災防災装置、帯電散布装置(設備)、帯電散布(噴霧)ヘッド、消火剤散布(噴霧)方法及び帯電散布方法を提供することを目的とする。
【0014】
また本発明は、帯電量の大きな消火剤を広範囲に、均一的に散布する火災防災装置(設備)、帯電散布装置、帯電散布(噴霧)ヘッド、消火剤散布(噴霧)方法及び帯電散布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(火災防災装置A)
本発明は、
水系の消火剤を、配管を介して供給する消火剤供給設備と、
防護区画に設置され、消火剤供給設備により供給された消火剤の噴射粒子に帯電させて散布する帯電散布ヘッドと、
帯電散布ヘッドに帯電電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた火災防災装置に於いて、
帯電散布ヘッドは、
消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
ノズルから出た消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
ここで、偏向散布部材は、ノズルから出た消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状をもつデフレクターである。
【0017】
誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体である。誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆する。
【0018】
消火剤側電極部は、消火剤供給流路の一部またはノズルである。
【0019】
消火剤側電極部の電圧を所定の基準値とし、これに対し、誘導電極部に所定の帯電電圧を印加する。誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加する。
【0020】
(消火剤の帯電散布ヘッドA)
本発明は、防護区画に設置され、消火剤供給設備により供給された消火剤の噴射粒子に、電圧印加部からの帯電電圧の印加により帯電させて散布する帯電散布ヘッドに於いて、
消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
ノズルから出た消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
それ以外の構成は、火災防災装置Aの場合と基本的に同じになる。
【0022】
(散布方法A)
本発明は、火災防災装置の消火剤散布方法において、
火災時に水系の消火剤を、配管を介して防護区間に設置された帯電散布ヘッドに供給し、
帯電散布ヘッドから噴射した消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させる、
ことを特徴とする。
【0023】
ここで、帯電散布ヘッドは、
消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
ノズルから出た消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備え、
誘導電極部と消火剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、偏向散布部材による薄膜流の分裂分離部近傍の消火剤に印加して帯電させる。
【0024】
それ以外の構成は、火災防災装置Aの場合と基本的に同じになる。
【0025】
(火災防災装置B)
本発明の別の形態にあっては、
水系の消火剤を、配管を介して加圧供給する消火剤供給設備と、
防護区画に設置され、消火剤供給設備により供給された消火剤の噴射粒子に帯電させて散布する帯電散布ヘッドと、
帯電散布ヘッドに帯電電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた火災防災装置に於いて、
帯電散布ヘッドは、
消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
ノズルから出た消火剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
ノズルから出た消火剤の残りを、第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする。
【0026】
ここで、ノズルは中心ノズル穴とその後方周囲にリング状ノズル穴を同軸に形成し、
第1偏向散布部材は、ノズルの中心ノズル穴から放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第1デフレクターであり、
第2偏向散布部材は、ノズルのリング状ノズル穴から放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第2デフレクターである。
【0027】
第1誘導電極部及び第2誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体である。
【0028】
第1誘導電極部及び第2誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆する。
【0029】
消火剤側電極部は、消火剤供給流路の一部またはノズルである。
【0030】
消火剤側電極部の電圧所定の基準値とし、これに対し、第1誘導電極部及び第2誘導電極部に所定の帯電電圧を印加する。第1誘導電極部及び第2誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加する。
【0031】
帯電散布ヘッドとして、1又は複数の誘導電極部に対し数の異なる偏向散布部材を設ける。
【0032】
帯電散布ヘッドとして、1又は複数の誘導電極部に対し数の異なる偏向散布部材を1組として複数組設ける。
【0033】
(消火剤の帯電散布ヘッドB)
本発明の別の形態にあっては、
防護区画に設置され、消火剤供給設備により供給された消火剤の噴射粒子に、電圧印加部からの帯電電圧の印加により帯電させて散布する帯電散布ヘッドに於いて、
消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
ノズルから出た消火剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
ノズルから出た消火剤の残りを、第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする。
【0034】
それ以外の特徴は、火災防災装置Bの場合と基本的に同じになる。
【0035】
(散布方法B)
本発明の別の形態にあっては、火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、
火災時に水系の消火剤を、配管を介して防護区間に設置された帯電散布ヘッドに供給し、
帯電散布ヘッドから噴射した消火剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、第1薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させ、
帯電散布ヘッドから噴射した消火剤の残りを、第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、第2薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させ、
2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする。
【0036】
ここで、帯電散布ヘッドは、
消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
ノズルから出た消火剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
ノズルから出た消火剤の残りを、第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、
第1誘導電極部と消火剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、第1偏向散布部材による第1薄膜流の分裂分離部近傍の消火剤に印加して帯電させると共に、第2誘導電極部と消火剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、第2偏向散布部材による第2薄膜流の分裂分離部近傍の消火剤に印加して帯電させる。
【0037】
それ以外の特徴は、火災防災装置Bの場合と基本的に同じになる。
【0038】
(帯電散布装置A)
本発明は、
水系の散布剤を、配管を介して供給する散布剤供給設備と、
散布区画に設置され、前記散布剤供給設備により供給された散布剤の噴射粒子に帯電させて散布する帯電散布ヘッドと、
前記帯電散布ヘッドに帯電電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた帯電散布装置に於いて、
帯電散布ヘッドは、
散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
ノズルから出た散布剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
前記薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備えたことを特徴とする。
【0039】
それ以外の特徴は前述した火災防災装置Aと基本的に同じになる。ただし、火災防災装置Aにおける消火剤及び消火剤側電極部を、散布剤及び散布剤側電極部と読み替える。
【0040】
(散布剤の帯電散布ヘッドA)
本発明は、散布区画に設置され、散布剤供給設備により供給された散布剤の噴射粒子に、電圧印加部からの帯電電圧の印加により帯電させて散布する帯電散布ヘッドに於いて、
散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
ノズルから出た散布剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備えたことを特徴とする。
【0041】
それ以外の特徴は前述した火災防災装置Aと基本的に同じになる。ただし、火災防災装置Aにおける消火剤及び消火剤側電極部を、散布剤及び散布剤側電極部と読み替える。
【0042】
(帯電散布装置の帯電散布方法A)
本発明は、帯電散布装置の散布方法に於いて、
水系の散布剤を、配管を介して散布区間に設置された帯電散布ヘッドに供給し、
帯電散布ヘッドから噴射した散布剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、前記薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させる、
ことを特徴とする。
【0043】
ここで、帯電散布ヘッドは、
散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
ノズルから出た散布剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備え、
誘導電極部と散布剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、偏向散布部材による薄膜流の分裂分離部近傍の散布剤に印加して帯電させる。
【0044】
それ以外の特徴は前述した火災防災装置Aと基本的に同じになる。ただし、火災防災装置Aにおける消火剤及び消火剤側電極部を、散布剤及び散布剤側電極部と読み替える。
【0045】
(帯電散布装置B)
本発明は、
水系の散布剤を、配管を介して供給する散布剤供給設備と、
散布区画に設置され、散布剤供給設備により加圧供給された散布剤の噴射粒子に帯電させて散布する帯電散布ヘッドと、
帯電散布ヘッドに帯電電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた帯電散布装置に於いて、
帯電散布ヘッドは、
散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
ノズルから出た散布剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
ノズルから出た散布剤の残りを、第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする。
【0046】
それ以外の特徴は前述した火災防災装置Bと基本的に同じになる。ただし、火災防災装置Bにおける消火剤及び消火剤側電極部を、散布剤及び散布剤側電極部と読み替える。
【0047】
(散布剤の帯電散布ヘッドB)
本発明は、散布区画に設置され、散布剤供給設備により供給された散布剤の噴射粒子に、電圧印加部からの帯電電圧の印加により帯電させて散布する帯電散布ヘッドに於いて、
散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
ノズルから出た散布剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
ノズルから出た散布剤の残りを、第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする。
【0048】
それ以外の特徴は前述した火災防災装置Bと基本的に同じになる。ただし、火災防災装置Bにおける消火剤及び消火剤側電極部を、散布剤及び散布剤側電極部と読み替える。
【0049】
(帯電散布装置の帯電散布方法B)
本発明は、帯電散布装置の散布方法に於いて、
水系の散布剤を、配管を介して散布区間に設置された帯電散布ヘッドに供給し、
帯電散布ヘッドから噴射した散布剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、第1薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させ、
帯電散布ヘッドから噴射した散布剤の残りを、第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、第2薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させ、
2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする。
【0050】
ここで、帯電散布ヘッドは、
散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
ノズルから出た散布剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
ノズルから出た散布剤の残りを、第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、
第1誘導電極部と散布剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、第1偏向散布部材による第1薄膜流の分裂分離部近傍の散布剤に印加して帯電させると共に、第2誘導電極部と散布剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、第2偏向散布部材による第2薄膜流の分裂分離部近傍の散布剤に印加して帯電させる。
【0051】
それ以外の特徴は前述した火災防災装置Bと基本的に同じになる。ただし、火災防災装置Bにおける消火剤及び消火剤側電極部を、散布剤及び散布剤側電極部と読み替える。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、帯電散布ヘッドのノズルから噴出した消火剤を偏向散布部材となるデフレクターによって任意の所定方向に広がる薄膜流を形成し、薄膜流が粒子群流に変換される分裂分離部近傍に誘導電極を配置して外部電界を印加し帯電させることで、散布量が多いヘッドでありながら、帯電量の大きな帯電散布を行うことができる。
【0053】
また、ノズルから噴射した消火剤を任意の所定方向の薄膜流に偏向する偏向散布部材の偏向形状の設定により、従来に比べ広角の帯電散布が容易に実現でき、散水量の増加と相俟って十分な飛距離が得られ、広範囲に帯電消火剤を散布してクーロン力を利用した高い消火消煙効果を得ることができる。
【0054】
また本発明の他の形態によれば、帯電散布ヘッドのノズルから噴出した消火剤を偏向散布部材となる2段階に同軸配置したデフレクターによってそれぞれ任意の所定方向に広がる薄膜流を形成し、各薄膜流が粒子群流に変換される分裂分離部近傍に誘導電極をそれぞれ配置して外部電界を印加し帯電させることで、二重円錐状(ダブルコーン状)となる粒子群流を散布し、広範囲に帯電量の大きな帯電散布を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による火災防災設備の実施形態を示した説明図
【図2】図1の防護エリアAを取り出して示した説明図
【図3】本発明による帯電散布ヘッドの実施形態を示した断面図
【図4】図2の帯電散布ヘッドを下側から見た説明図
【図5】本実施形態による散布量と比電荷の関係を従来ヘッドと対比して示したグラフ図
【図6】本実施形態の帯電散布ヘッドに供給する印加電圧を示したタイムチャート図
【図7】本発明による帯電散布ヘッドの他の実施形態を示した断面図
【図8】図7の帯電散布ヘッドを天井設置状態に於ける下側から見た説明図
【図9】従来の帯電散布ヘッドを示した断面図
【図10】従来の帯電散布ヘッドによる散布量と比電荷の関係を示したグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は本発明による火災防災装置(火災防災設備)の実施形態を示した説明図である。図1において、建物内の例えばコンピュータルームなどの防護エリアA及びBの天井側には、本実施形態による帯電散布ヘッド10が設置されており、これら帯電散布ヘッド10から、ぞれぞれの防護エリアに対し消火剤散布を行うようにしている。
【0057】
消火剤貯留・供給設備として機能する水源14に対し設置されたポンプユニット12から手動弁(仕切弁)13を介して配管16が接続され、配管16は分岐後に調圧弁30及び自動開閉弁32を介して、防護エリアA,Bのそれぞれに設置した帯電散布ヘッド10に接続している。水源14は水、海水、或いはその他水系の消火剤を貯留している。
【0058】
防護エリアA,Bのそれぞれには、帯電散布ヘッド10からの消火剤散布を制御する入力信号源となる専用火災検出器18が設置されている。また防護エリアA,Bのそれぞれに対しては連動制御中継装置20が設けられ、信号線に専用火災検出器18が接続されている。連動制御中継装置20には更に帯電散布ヘッド10からの散布制御を手動操作で行うための手動操作箱22が接続されている。
【0059】
連動制御中継装置20に対しては、このように専用火災検出器18及び手動操作箱22からの信号線が接続されると共に、帯電散布ヘッド10に帯電電圧(帯電駆動電圧)を印加制御するための信号線、及び自動開閉弁32を開閉制御するための信号線が引き出されている。
【0060】
更に防護エリアAには自動火災報知設備の火災感知器26が設置され、自動火災報知設備の受信機28から引き出された感知器回線に接続している。なお、防護エリアBについては自動火災報知設備の火災感知器26を設けていないが、必要に応じて設けてもよいことはもちろんである。
【0061】
防護エリアA,Bに対応して設置した連動制御中継装置20は、一方でシステム監視制御盤24に信号線接続されている。システム監視制御盤24には自動火災報知設備の受信機28も接続されている。更にシステム監視制御盤24はポンプユニット12を信号線接続し、ポンプユニット12のポンプ起動停止を制御するようになっている。
【0062】
図2は図1の防護エリアAを取り出して示した説明図である。防護エリアAの天井側には帯電散布ヘッド10が設置されている。帯電散布ヘッド10が接続された天井側配管(図3の立下がり配管34)は、図1に示したポンプユニット12からの配管16に、調圧弁30及び自動開閉弁32を介して接続されている。
【0063】
また帯電散布ヘッド10の上部には電圧印加部15が設置されており、後の説明で明らかにするように、帯電散布ヘッド10に所定の電圧を印加して、帯電散布ヘッド10から噴射する消火剤を帯電させて散布できるようにしている。また防護エリアAの天井側には専用火災検出器18が設置され、併せて自動火災報知設備の火災感知器26も接続されている。なお、電圧印加部15は帯電散布ヘッド10と一体に設けても良い。
【0064】
図3は図1及び図2に示した帯電散布ヘッド10の実施形態であり、その縦断面を示している。また図4には、帯電散布ヘッド10を天井設置状態で下側(床側)から見た説明図を示す。
【0065】
図3及び図4において、帯電散布ヘッド10は上下に分割した金属製のボディ36,38をボルト37で連結固定しており、ポンプユニット12からの配管16に接続した立下り配管34の先端にボディ36をねじ込み固定している。ボディ36,38の内部流路には円筒状の消火剤側)電極部46が組み込まれている。消火剤側電極部46は導電性を持つ金属材料で作られ、更に絶縁材料で被覆されており、金属製のボディ36,38に対し電気的に絶縁されている。
【0066】
消火剤側電極部46に対しては、図2に示したように、外部近傍に設置している電圧印加部15から引き出されたアースケーブル54が接続されている。このアースケーブル54の接続で、消火剤側電極部46を接地するようにしている。
【0067】
下部に配置したボディ38の内部流路先端にはノズル部40が形成される。ノズル部40の噴射側には偏向散布部として機能するデフレクター42が配置される。デフレクター42はボディ38内の消火剤側電極部46に続いて絶縁性のスペーサ43を介して組込み固定したデフレクター支持部44から延在したロッド45の先端に設けられ、ノズル部40前方(図示下方)の空間に対向配置されている。
【0068】
本実施形態において、デフレクター42は所定の頂角θをもった円錐状板体であり、ノズル部40から出た消火剤を円錐状面に沿って偏向し、薄膜流56に変換して放射する。デフレクター42により形成された薄膜流56は、分裂分離部P付近から薄膜流56が分裂分離して粒子群流58となって放射され、模式的に図示した散布パターン60のように散布される。
【0069】
ボディ38には下部に開口した筒状のフレーム50がボルト37により組付け固定されている。フレーム50はその開口端を分裂分離部Pよりも下部、即ち散布空間側に位置させており、更に分裂分離部Pの近傍となる内周面に円環状の誘導電極部48を配置している。
【0070】
誘導電極部48は導電性の部材で形成されると共に絶縁材料で被覆されており、金属製のフレーム50及び散布される消火剤に対し電気的に絶縁されている。
【0071】
フレーム50の下部内周側に配置した誘導電極部48に対しては、図2に示した電圧印加部15から引き出された電圧印加ケーブル52が接続されている。
【0072】
なお図3では、前記誘導電極部48を例えば薄膜流56の分裂分離部Pの上流方向に10mm以下、下流方向に30mm以下、また薄膜流56の表面から20mm以下となる領域内に配置している。
【0073】
ここで、本実施形態の帯電散布ヘッド10に使用している消火剤側電極部46及び誘導電極部48としては、導電性を有する金属以外に、導電性を有する樹脂、繊維束、ゴム等であってもよく、更にこれらを組合せた複合体であってもよい。
【0074】
帯電散布ヘッド10から消火剤を散布する際には、図2に示した電圧印加部15が図1に示す連動制御中継装置20からの制御信号により動作し、消火剤側電極部46を基準電位(アース)側とし、誘導電極部48に対し例えば数KVから十数KV程度の直流状(定常)印加電圧、交流又はパルス状となる印加電圧を印加する。発明者の実験によれば、印加電圧は20KVを超えない範囲とするのが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0075】
このように消火剤側電極部46と誘導電極部48との間に例えば数KVとなる電圧が加えられると、この電圧印加によって外部電界が生じ、この作用により、ノズル部40から噴射放出した消火剤がデフレクター42の円錐状面に沿った薄膜流56となり、薄膜流56が分裂分離部P付近から分裂分離を始めて粒子群流58に変換される噴射過程を通じて噴射粒子が帯電され、帯電された噴射粒子を外部の防護エリア対象領域に散布することができる。
【0076】
なお、ノズル部40から噴射した消火剤をデフレクター42で偏向する場合、剥離や飛散等により消火剤の一部が誘導電極部48に接触する場合があるが、誘導電極部48は絶縁材料で被覆されているため、消火剤が接触して短絡や電荷の中和が問題になることなく、消火剤に帯電させることができる。
【0077】
図5はある条件における散布量と比電荷の関係を、デフレクターを設けた本実施形態による帯電散布ヘッドとデフレクターを設けない従来の帯電散布ヘッドの場合とで対比した例を模式的に示したグラフ図である。
【0078】
図5において、特性Bは従来の帯電散布ヘッドの特性であり、所定帯電電圧を定常印加した場合である。単位時間当りの散布量の増加に対し、帯電量を示す比電荷が大きく減少しているが、これに対し本実施形態の帯電散布ヘッド10にあっては、例えば特性Aのように、散布量の増加に対して比電荷の減少が少ない。図5の例では、本実施形態のノズルの、散布量7[リットル/min]における比電荷(特性Aのa点)は、従来ノズルの散布量1.5[リットル/min]における比電荷(特性Bのb点)に相当するレベルとなっている。
【0079】
このように、本実施形態の帯電散布ヘッド10によれば、従来の帯電散布ヘッドにおける散布量増加に伴い単位水量当りの帯電量が大きく減少してしまうという問題を解決し、高効率で帯電させることができるので、散布量の多い帯電散布ヘッドでありながら、帯電量の大きな散布を行うことができる。
【0080】
また、デフレクター42によりノズル部40から噴射した消火剤を、薄膜流56を経て粒子群流58に変換して散布するので、デフレクター42の頂角θを適宜設定することにより、従来の帯電散布ヘッドに比べ広角の帯電散布が容易に実現でき、帯電ロスを抑えつつ散水量を増加させることができるため十分な飛距離が得られ、広範囲に帯電消火剤を散布して高い消火消煙効果を得ることができる。
【0081】
次に図1の実施形態における監視動作を説明する。いま、防護エリアAにおいて火災Fが発生したとすると、例えば専用火災検出器18が火災を検出して連動制御中継装置20を介しシステム監視制御盤24に火災検出信号を送る。
【0082】
システム監視制御盤24は防護エリアAに設置している専用火災検出器18からの火災検出信号を受信するとポンプユニット12を起動し、水源14から消火用水を汲み上げてポンプユニット12により加圧し、配管16に供給する。
【0083】
同時にシステム監視制御盤24は、防護エリアAに対応して設けている連動制御中継装置20に対し帯電散布ヘッド10の起動信号を出力する。この起動信号を受けて、連動制御中継装置20は自動開閉弁32を開放動作し、これによって調圧弁30により調圧された一定圧力の水系消火剤が、開放した自動開閉弁32を介して帯電散布ヘッド10に供給され、図2に取り出して示すように、帯電散布ヘッド10から防護エリアAに噴射粒子(群)として散布されることになる。
【0084】
このとき連動制御中継装置20は、図2に示す帯電散布ヘッド10に設けている電圧印加部15に対し起動信号を送り、この起動信号を受けて電圧印加部15は、帯電散布ヘッド10に対し例えば数KVとなる直流、交流又はパルス状となる印加電圧を供給する。
【0085】
このため図3及び図4に示した帯電散布ヘッド10にあっては、ノズル部40から加圧された水系の消火剤を噴射してデフレクター42により偏向した薄膜流56を粒子群流58に変換して散布する際に、フレーム50の内側に設けた環状の誘導電極部48側に例えば消火剤側電極部46の基準電位(アース)に対し数KVの電圧が所定パターンで印加され、この電圧印加により生じた外部電界を、分裂分離部P付近で消火剤に印加することにより帯電させて散布することができる。
【0086】
図2に示すように、帯電散布ヘッド10から火災Fが発生している防護エリアAに向けて噴射された消火剤粒子は帯電しているため、帯電によるクーロン力により火災Fの燃焼源に効率良く付着する。また回り込み効果により燃焼剤のあらゆる面への付着が起こり、従来のように非帯電の水粒子を散布した場合に比べ、燃焼剤に対する濡らし効果が大幅に増大し、高い消火能力が発揮される。
【0087】
また、燃焼に伴い発生する煙(火災煙)に対しても同様にして消火剤が付着して落下するため、高い消煙効果が得られる。つまり、このような本実施形態における消煙効果は、従来のような非帯電消火剤粒子の散布による消煙効果が消火剤粒子と煙粒子との確率的な衝突による捕捉作用であることに対し、本実施形態にあっては、帯電散布している消火剤粒子のクーロン力により、反対極性の帯電状態にある煙粒子を捕集し、これによって煙拡散抑制効果を含む高い消煙効果が発揮される。
【0088】
更に図3及び図4の帯電散布ヘッド10にあっては、例えば消火剤側電極部46を0ボルトとし、誘導電極部48に対しプラスの電圧を直流的或いはパルス的に印加したような場合には、散布される水粒子はマイナスの電荷のみに帯電することとなる。
【0089】
このようにマイナスの電荷のみに同極性帯電した消火剤粒子を散布した場合には、空間中で帯電した消火剤粒子間には斥力が働き、これによって消火剤粒子が衝突会合して成長落下する確率が小さくなり、空間中に滞留する消火剤粒子の密度が高くなるため高い消火能力が発揮される。即ち、消火剤粒子同士を同極性に帯電させることで、粒子間に働く斥力により対流粒子密度を低下させることなく散布することができ、高い消火能力が発揮される。
【0090】
このような本実施形態における消煙効果は、従来のような非帯電水粒子の散布による消煙効果が水粒子と煙粒子との確率的な衝突による捕捉作用であることに対し、本実施形態にあっては、帯電散布している水粒子のクーロン力により、同じく帯電状態にある煙粒子を捕集し、これによって大幅な消煙効果が発揮される。
【0091】
なお、帯電の極性は、散布対象によって適宜選択することができ、単純には、例えば散布対象の極性が概ねプラスである場合には、消火剤粒子をマイナスの極性に帯電させるといった制御を行う。
【0092】
図6は本実施形態の電圧印加部15から帯電散布ヘッド10に加える電圧印加パターンを示したタイムチャートであり、それぞれの時刻t1から以下のように電圧印加している。
【0093】
図6(A)は+Vの直流状(定常)電圧を印加する場合であり、この場合には、マイナスに帯電した消火剤粒子が連続的に散布される。
【0094】
図6(B)は−Vの直流状(定常)電圧を印加する場合であり、この場合には、プラスに帯電した消火剤粒子が連続的に散布される。
【0095】
図6(C)は±Vの交流電圧を印加する場合であり、この場合には、プラスの半サイクルの期間に交流電圧の変化に応じてマイナスに帯電した消火剤粒子が散布され、マイナスの半サイクルの期間に交流電圧の変化に応じてプラスに帯電した消火剤粒子が交互に散布される。
【0096】
図6(D)は+Vのパルス状電圧を所定のインターバルを空けて繰り返し印加する場合であり、この場合には、マイナスに帯電した消火剤粒子が間欠的に散布され、電圧を印加していない期間には、帯電していない消火剤粒子の散布となる。
【0097】
図6(E)は−Vのパルス状電圧を所定のインターバルを空けて繰り返し印加する場合であり、この場合には、プラスに帯電した消火剤粒子が間欠的に散布され、電圧を印加していない期間には、帯電していない消火剤粒子の散布となる。
【0098】
図6(F)は±Vのパルス状電圧を所定のインターバルを空けて交互に繰り返し印加する場合であり、この場合には、マイナスに帯電した消火剤粒子とプラスに帯電した消火剤粒子がインターバルを空けて交互に散布され、電圧を印加していない期間には、帯電していない消火剤粒子の散布となる。このようなインターバルを設けずに±Vのパルス状電圧を交互に繰り返し印加しても良い。
【0099】
図6(C)〜(F)に例示した印加電圧パターンにおける印加周期や転極周期は適宜に定めることができ、また図6(A)〜(F)の各パターンのうち複数を組み合わせたパターンとすること等もできる。
【0100】
図6に例示した各パターンの印加電圧を帯電散布ヘッド10に供給する電圧印加部15としては、制御入力付きの市販の昇圧ユニットを利用することができる。市販の昇圧ユニットには、例えば入力にDC0〜20ボルトを加えると出力にDC〜20キロボルトを出力するものがあり、このような昇圧ユニットが利用できる。
【0101】
図7は本発明による帯電散布ヘッドの他の実施形態であり、その縦断面を示している。また図8には、図7の帯電散布ヘッドを天井設置状態で下側(床側)から見た説明図を示す。本実施形態の帯電散布ヘッドは広範囲に散布するために2重円錐状(ダブルコーン状)に消火剤粒子群流を帯電散布するようにしたことを特徴とする。
【0102】
図7及び図8において、帯電散布ヘッド10は上下に分割した金属製のボディ36,38をボルト37で連結固定しており、ポンプユニット12からの配管16に接続した立下り配管34の先端にボディ36をねじ込み固定している。ボディ36,38の内部流路には円筒状の消火剤側電極部46が組み込まれている。消火剤側電極部46は導電性を持つ金属材料で作られ、更に絶縁材料で被覆されており、金属製のボディ36,38に対し電気的に絶縁されている。また消火剤側電極部46の下側には絶縁性のスペーサ43が配置される。
【0103】
消火剤側電極部46に対しては、図2に示したように、外部近傍に設置している電圧印加部15から引き出されたアースケーブル54が接続されている。このアースケーブル54の接続で、消火剤側電極部46を接地するようにしている。
【0104】
下部に配置したボディ38の内部流路の先端にはノズル部70が形成される。本実施形態のノズル部70は、図7に示す如く、中心位置に配置したデフレクター支持部44−1から延在したロッド45の先端側の空間に第1偏向散布部材として第1デフレクター42−1を配置し、また、同軸に配置したデフレクター支持部44−2に円筒基部をねじ込み支持して第1デフレクター42−1の後方となる先端側の空間に第2散布偏向部材として第2デフレクター42−2を配置している。
【0105】
第2デフレクター42−2は中央にノズル穴を開口形成し、先端外周側を外側に向けて円錐状に広げた形状であり、中央のノズル穴にはロッド42−1は挿通されるようになるが、この挿通部に於けるノズル穴とロッド42−1との隙間によって、第1デフレクター42−1に向けて消火剤を放出する第1ノズル部40−1を形成している。
【0106】
またノズル部70のノズル開口と、このノズル開口に挿通して第2デフレクター40−2を支持している円筒基部との間にはリング状の隙間(リング状ノズル穴)が形成され、このリング状の隙間が第2デフレクター42−2に向けて消火剤を放出する第2ノズル部40−2を形成している。
【0107】
本実施形態において、第1デフレクター42−1は所定の頂角θ1をもった円錐状体であり、第1ノズル部40−1から射出された消火剤を円錐状面に沿って偏向し、薄膜流56−1に変換して放射する。第1デフレクター42−1により形成された薄膜流56−1は、分裂分離部P1付近から分裂分離して第1粒子群流58−1となって放射され、模式的に図示した散布パターン60−1のように散布される。
【0108】
また第2デフレクター42−2は、第1デフレクター40−1の頂角θ1より大きな所定の頂角θ2をもった円錐状体を円筒基部の先端に図示の如く形成しており、リング状の隙間をもつ第2ノズル部40−2から射出された消火剤を円錐状面に沿って広角に偏向し、薄膜流56−2に変換して放射する。第2デフレクター42−2により形成された薄膜流56−2は、分裂分離部P2付近から分裂分離して第2粒子群流58−2となって放射され、模式的に図示した散布パターン60−2のように、第1デフレクター40−1による散布パターン60−2の外側を覆うように広角に散布され、これによって2重円錐状(ダブルコーン状)の広域を均一的にカバーする散布パターンを形成する。
【0109】
ボディ38には下側に開口した筒状のフレーム50がボルト37により組付け固定されている。フレーム50はその開口端を第2デフレクター42−2で偏向形成された薄膜流56−2の分裂分離部P2よりも下部、即ち散布空間側に位置させており、更に分裂分離部P2の近傍となる内周面に円環状の第2誘導電極部48−2を配置している。
【0110】
またフレーム50の下方にはホルダアーム72によりリング状のフレーム74が支持されている。フレーム74はその下側の開口端を第1デフレクター40−1で偏向された薄膜流56−1の分裂分離部P1よりも下部、即ち散布空間側に位置させており、更に分裂分離部P1の近傍となる内周面に円環状の第1誘導電極部48−1を配置している。
【0111】
第1誘導電極部48−1及び第2誘導電極48−2は導電性の部材で形成されると共に絶縁材料で被覆されており、金属製のフレーム50,74及び散布される消火剤に対し電気的に絶縁されている。
【0112】
フレーム50,74に配置した第1誘導電極部48−1及び第2誘導電極48−2に対しては、図2に示した電圧印加部15から引き出された電圧印加ケーブル52が接続されている。
【0113】
また第1誘導電極部48−1及び第2誘導電極48−2は、例えば薄膜流56−1,56−2の分裂分離部P1,P2の上流方向に10mm以下、下流方向に30mm以下、また薄膜流56−1,56−2の表面から20mm以下となる領域内に配置している。
【0114】
ここで、本実施形態の帯電散布ヘッド10に使用している消火剤側電極部46、第1誘導電極部48−1及び第2誘導電極部48−2としては、導電性を有する金属以外に、導電性を有する樹脂、繊維束、ゴム等であってもよく、更にこれらを組合せた複合体であってもよい。
【0115】
図7、図8の帯電散布ヘッド10から消火剤を散布する場合には、図2に示した電圧印加部15が図1に示す連動制御中継装置20からの制御信号により動作し、消火剤側電極部46をアース側とし、第1誘導電極部48−1及び第2誘導電極48−2に対し例えば数KVから十数KV程度の直流、交流又はパルス状となる印加電圧を印加する。発明者の実験によれば、印加電圧は20KVを超えない範囲とするのが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0116】
このように消火剤側電極部46と第1誘導電極部48−1及び第2誘導電極部48−2の間に例えば消火剤側電極46の基準電位(アース)に対し数KVとなる電圧が所定パターンで印加され、この電圧印加によって外部電界が生じ、第1ノズル部40−1及び第2ノズル部40−2から噴射した消火剤が第1デフレクター42−1及び第2デフレクター42−2の円錐状面に沿った薄膜流56−1,56−2となり、薄膜流56−1.56−2が分裂分離部P1,P2付近から分裂分離を始めて第1粒子群流58−1及び第2粒子群流58−2に変換される過程を通じて消火剤の噴射粒子が帯電され、帯電された噴射粒子を外部に広域を均一的にカバーする2重円錐状(ダブルコーン状)のパターンとして帯電散布することができる。
【0117】
なお、本実施形態で使用する帯電散布ヘッド10としては、デフレクター42や42−1、42−2の頂角を適宜調整することで、防護区画の広さに適合した散布パターンを確保することができる。
【0118】
また、上記の実施形態にあっては、誘導電極部48、48−1、48−2として環状電極を使用しているが、それぞれの形状は任意で、例えばデフレクター42、42−1、42−2で生成された薄膜流56、56−1、56−2の流れ方向に略平行な電極面をもつ環状電極を使用してもよい。このように誘導電極部48、48−1、48−2として薄膜流の流れ方向に略平行な環状電極を使用した場合には、電極面内各部と薄膜流表面との距離が均一となり、帯電効率を高めると共に安定した帯電を得ることができる。
【0119】
また、帯電散布ヘッドへの印加電圧パターンを、消火剤側電極部に対し誘導電極部側をプラスマイナス交互の印加電圧とするか、プラスのみの印加電圧とするか、あるいはマイナスのみの印加電圧とするか、また直流状の印加とするかパルス状の印加とするか、或いは、例えば正弦波状に変化する交流印加等とするかは、散布対象や散布対象領域、その他各種の条件、状況やその変化等に応じて適宜に定めることができる。もちろん、印加や転極の周期なども適宜さだめることができる。
【0120】
また、誘導電極部やデフレクターの数は任意で、例えばそれぞれを3つ組み合わせたトリプルコーン型としてもよい。もちろん、ノズル部の数の任意である。
【0121】
また、誘導電極部の数とデフレクターの数の組み合わせも任意で、例えば1つの誘導電極部に対して複数のデフレクターを設けるものであっても、複数の誘導電極部に対して1つのデフレクターを設けるものであってもよい。またこのように異なる数の誘導電極部とデフレクターの組み合わせからなるノズル部を複数備えたものであってもよい。
【0122】
また、本発明の帯電散布ヘッドおよび消火剤散布方法は、消火や延焼防止、或いは消煙のうち1つまたは複数を目的とした各種の利用が可能である。もちろん、これ以外の他の目的に使用するものであってもよい。
【0123】
また本発明は、上記に限定されず、適宜の散布対象区画に水系の散布剤を帯電散布する静電散布装置(設備)、帯電散布ヘッド及び帯電散布装置の散布方法を含む。この場合には上記の実施形態における消火剤、消火剤側電極部を、散布剤、散布剤側電極部と読み替えれば良い。
【0124】
また、誘導電極部やデフレクターは必ずしも円錐形状である必要は無く、例えば角錐状
としてもよい。
【0125】
また、本発明の帯電散布ヘッドにより帯電散布される消火剤は水或いは各種の水系消火剤などの散布剤が適用できる。
【0126】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0127】
10:帯電散布ヘッド
12:ポンプユニット
13:手動弁
14:水源
15:電圧印加部
16:配管
18:専用火災検出器
20:連動制御中継装置
22:手動操作箱
24:システム監視制御盤
26:火災感知器
28:受信機
30:調圧弁
32:自動開閉弁
34:立下り配管
36,38:ボディ
40,70:ノズル部
42:デフレクター
42−1:第1デフレクター
42−2:第2デフレクター
44,44−1,44−2:デフレクター支持部
45:ロッド
46:消火剤側電極部
48:誘導電極部
48−1:第1誘導電極部
48−2:第2誘導電極部
50,74:フレーム
52:電圧印加ケーブル
54:アースケーブル
55:ケーブルホルダ
56,56−1,56−2:薄膜流
58:粒子群流
58−1:第1粒子群流
58−2:第2粒子群流
60:散布パターン
60−1:第1散布パターン
60−2:第2散布パターン
P,P1,P2:分裂分離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系の消火剤を、配管を介して供給する消火剤供給設備と、
防護区画に設置され、前記消火剤供給設備により供給された消火剤の噴射粒子に帯電させて散布する帯電散布ヘッドと、
前記帯電散布ヘッドに帯電電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた火災防災装置に於いて、
前記帯電散布ヘッドは、
前記消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
前記ノズルから出た消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
前記薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備えたことを特徴とする火災防災装置。
【請求項2】
請求項1記載の火災防災装置に於いて、前記偏向散布部材は、ノズルから放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有するデフレクターであることを特徴とする火災防災装置。
【請求項3】
請求項1記載の火災防災装置に於いて、前記誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする火災防災装置。
【請求項4】
請求項1記載の火災防災装置に於いて、前記誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする火災防災装置。
【請求項5】
請求項1記載の火災防災装置に於いて、前記消火剤側電極部は、消火剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする火災防災装置。
【請求項6】
請求項1記載の火災防災装置に於いて、前記消火剤側電極部の電圧所定の基準値とし、これに対し、前記誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする火災防災装置。
【請求項7】
請求項6記載の火災防災装置に於いて、前記誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする火災防災装置。
【請求項8】
防護区画に設置され、消火剤供給設備により供給された消火剤の噴射粒子に、電圧印加部からの帯電電圧の印加により帯電させて散布する帯電散布ヘッドに於いて、
前記消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
前記ノズルから出た消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
前記薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備えたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項9】
請求項8記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記偏向散布部材は、ノズルから放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有するデフレクターであることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項10】
請求項8記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項11】
請求項8記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項12】
請求項8記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記消火剤側電極部は、消火剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項13】
請求項8記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記消火剤側電極部の電圧を所定の基準値とし、これに対し、前記誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項14】
請求項13記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項15】
火災時に水系の消火剤を、配管を介して防護区間に設置された帯電散布ヘッドに供給し、
前記帯電散布ヘッドから噴射した消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、前記薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させる、
ことを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項16】
請求項15記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、
前記帯電散布ヘッドは、
前記消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
前記ノズルから出た消火剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
前記薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備え、
前記誘導電極部と消火剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、前記偏向散布部材による薄膜流の分裂分離部近傍の消火剤に印加して帯電させることを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項17】
請求項15記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記偏向散布部材は、ノズルから放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有するデフレクターであることを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項18】
請求項15記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項19】
請求項15記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項20】
請求項15記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記消火剤側電極部は、消火剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項21】
請求項15記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記消火剤側電極部の電圧をゼ所定の基準値とし、これに対し、前記誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項22】
請求項21記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項23】
水系の消火剤を、配管を介して供給する消火剤供給設備と、
防護区画に設置され、前記消火剤供給設備により加圧供給された消火剤の噴射粒子に帯電させて散布する帯電散布ヘッドと、
前記帯電散布ヘッドに帯電電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた火災防災装置に於いて、
前記帯電散布ヘッドは、
前記消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
前記ノズルから出た消火剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
前記第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
前記ノズルから出た消火剤の残りを、前記第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
前記第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする火災防災装置。
【請求項24】
請求項23記載の火災防災装置に於いて、
前記ノズルは中心ノズル穴とその後方周囲にリング状ノズル穴を同軸に形成し、
前記第1偏向散布部材は、前記ノズルの中心ノズル穴から放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第1デフレクターであり、
前記第2偏向散布部材は、前記ノズルのリング状ノズル穴から放出された消火剤を円錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状を有する第2デフレクターである、
ことを特徴とする火災防災装置。
【請求項25】
請求項23記載の火災防災装置に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする火災防災装置。
【請求項26】
請求項23記載の火災防災装置に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする火災防災装置。
【請求項27】
請求項23記載の火災防災装置に於いて、前記消火剤側電極部は、消火剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする火災防災装置。
【請求項28】
請求項23記載の火災防災装置に於いて、前記消火剤側電極部の電圧所定の基準値とし、これに対し、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする火災防災装置。
【請求項29】
請求項28記載の火災防災装置に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする火災防災装置。
【請求項30】
請求項23記載の火災防災装置に於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を設けたことを特徴とする火災防災装置。
【請求項31】
請求項30記載の火災防災装置に於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を1組として複数組設けたことを特徴とする火災防災装置。
【請求項32】
防護区画に設置され、消火剤供給設備により供給された消火剤の噴射粒子に、電圧印加部からの帯電電圧の印加により帯電させて散布する帯電散布ヘッドに於いて、
前記消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
前記ノズルから出た消火剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
前記第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
前記ノズルから出た消火剤の残りを、前記第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
前記第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項33】
請求項32記載の帯電散布ヘッドに於いて、
前記ノズルは中心ノズル穴とその後方周囲にリング状ノズル穴を同軸に形成し、
前記第1偏向散布部材は、前記ノズルの中心ノズル穴から放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第1デフレクターであり、
前記第2偏向散布部材は、前記ノズルのリング状ノズル穴から放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第2デフレクターである、
ことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項34】
請求項32記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記第1誘導電極部および第2誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項35】
請求項32記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記第1誘導電極部および第2誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項36】
請求項32記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記消火剤側電極部は、消火剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項37】
請求項32記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記消火剤側電極部の電圧を所定の基準値とし、これに対し、前記第1誘導電極部および第2誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項38】
請求項37記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記第1誘導電極部および第2誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項39】
請求項32記載の帯電散布ヘッドに於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を設けたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項40】
請求項39記載の帯電散布ヘッドに於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を1組として複数組設けたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項41】
火災時に水系の消火剤を、配管を介して防護区間に設置された帯電散布ヘッドに供給し、
前記帯電散布ヘッドから噴射した消火剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、前記第1薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させ、
前記帯電散布ヘッドから噴射した消火剤の残りを、前記第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、前記第2薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させ、
2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項42】
請求項41記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、
前記帯電散布ヘッドは、
前記消火剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて消火剤に接触する消火剤側電極部と、
前記ノズルから出た消火剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
前記第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
前記ノズルから出た消火剤の残りを、前記第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
前記第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、
前記第1誘導電極部と消火剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、前記第1偏向散布部材による第1薄膜流の分裂分離部近傍の消火剤に印加して帯電させると共に、前記第2誘導電極部と消火剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、前記第2偏向散布部材による第2薄膜流の分裂分離部近傍の消火剤に印加して帯電させることを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項43】
請求項41記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、
前記ノズルは中心ノズル穴とその後方周囲にリング状ノズル穴を同軸に形成し、
前記第1偏向散布部材は、前記ノズルの中心ノズル穴から放出された消火剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第1デフレクターであり、
前記第2偏向散布部材は、前記ノズルのリング状ノズル穴から放出された消火剤を円錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状を有する第2デフレクターである、
ことを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項44】
請求項41記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項45】
請求項41記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項46】
請求項41記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記消火剤側電極部は、消火剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項47】
請求項41記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部の電圧を所定の基準値とし、これに対し、前記誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項48】
請求項47記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項49】
請求項47記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を設けたことを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項50】
請求項49記載の火災防災装置の消火剤散布方法に於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を1組として複数組設けたことを特徴とする火災防災装置の消火剤散布方法。
【請求項51】
水系の散布剤を、配管を介して供給する散布剤供給設備と、
散布区画に設置され、前記散布剤供給設備により供給された散布剤の噴射粒子に帯電させて散布する帯電散布ヘッドと、
前記帯電散布ヘッドに帯電電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた帯電散布装置に於いて、
前記帯電散布ヘッドは、
前記散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
前記ノズルから出た散布剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
前記薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備えたことを特徴とする帯電散布装置。
【請求項52】
請求項51記載の帯電散布装置に於いて、前記偏向散布部材は、ノズルから放出された散布剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有するデフレクターであることを特徴とする帯電散布装置。
【請求項53】
請求項51記載の帯電散布装置に於いて、前記誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする帯電散布装置。
【請求項54】
請求項51記載の帯電散布装置に於いて、前記誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする帯電散布装置。
【請求項55】
請求項51記載の帯電散布装置に於いて、前記散布剤側電極部は、散布剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする帯電散布装置。
【請求項56】
請求項51記載の帯電散布装置に於いて、前記散布剤側電極部の電圧所定の基準値とし、これに対し、前記誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布装置。
【請求項57】
請求項56記載の帯電散布装置に於いて、前記誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布装置。
【請求項58】
散布区画に設置され、散布剤供給設備により供給された散布剤の噴射粒子に、電圧印加部からの帯電電圧の印加により帯電させて散布する帯電散布ヘッドに於いて、
前記散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
前記ノズルから出た散布剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
前記薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備えたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項59】
請求項58記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記偏向散布部材は、ノズルから放出された散布剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有するデフレクターであることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項60】
請求項58記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項61】
請求項58記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項62】
請求項58記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記散布剤側電極部は、散布剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項63】
請求項58記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記散布剤側電極部の電圧を所定の基準値とし、これに対し、前記誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項64】
請求項63記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項65】
水系の散布剤を、配管を介して散布区間に設置された帯電散布ヘッドに供給し、
前記帯電散布ヘッドから噴射した散布剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、前記薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させる、
ことを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項66】
請求項65記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、
前記帯電散布ヘッドは、
前記散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
前記ノズルから出た散布剤を任意の方向に偏向して薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する偏向散布部材と、
前記薄膜流の分裂分離部近傍に配置された誘導電極部と、
を備え、
前記誘導電極部と散布剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、前記偏向散布部材による薄膜流の分裂分離部近傍の散布剤に印加して帯電させることを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項67】
請求項65記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記偏向散布部材は、ノズルから放出された散布剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有するデフレクターであることを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項68】
請求項65記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項69】
請求項65記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項70】
請求項65記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記散布剤側電極部は、散布剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項71】
請求項65記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記散布剤側電極部の電圧をゼ所定の基準値とし、これに対し、前記誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項72】
請求項71記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項73】
水系の散布剤を、配管を介して供給する散布剤供給設備と、
散布区画に設置され、前記散布剤供給設備により加圧供給された散布剤の噴射粒子に帯電させて散布する帯電散布ヘッドと、
前記帯電散布ヘッドに帯電電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた帯電散布装置に於いて、
前記帯電散布ヘッドは、
前記散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
前記ノズルから出た散布剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
前記第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
前記ノズルから出た散布剤の残りを、前記第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
前記第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする帯電散布装置。
【請求項74】
請求項73記載の帯電散布装置に於いて、
前記ノズルは中心ノズル穴とその後方周囲にリング状ノズル穴を同軸に形成し、
前記第1偏向散布部材は、前記ノズルの中心ノズル穴から放出された散布剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第1デフレクターであり、
前記第2偏向散布部材は、前記ノズルのリング状ノズル穴から放出された散布剤を円錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状を有する第2デフレクターである、
ことを特徴とする帯電散布装置。
【請求項75】
請求項73記載の帯電散布装置に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする帯電散布装置。
【請求項76】
請求項73記載の帯電散布装置に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする帯電散布装置。
【請求項77】
請求項73記載の帯電散布装置に於いて、前記散布剤側電極部は、散布剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする帯電散布装置。
【請求項78】
請求項73記載の帯電散布装置に於いて、前記散布剤側電極部の電圧所定の基準値とし、これに対し、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布装置。
【請求項79】
請求項78記載の帯電散布装置に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布装置。
【請求項80】
請求項73記載の帯電散布装置に於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を設けたことを特徴とする帯電散布装置。
【請求項81】
請求項80記載の帯電散布装置に於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を1組として複数組設けたことを特徴とする帯電散布装置。
【請求項82】
散布区画に設置され、散布剤供給設備により供給された散布剤の噴射粒子に、電圧印加部からの帯電電圧の印加により帯電させて散布する帯電散布ヘッドに於いて、
前記散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
前記ノズルから出た散布剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
前記第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
前記ノズルから出た散布剤の残りを、前記第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
前記第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項83】
請求項82記載の帯電散布ヘッドに於いて、
前記ノズルは中心ノズル穴とその後方周囲にリング状ノズル穴を同軸に形成し、
前記第1偏向散布部材は、前記ノズルの中心ノズル穴から放出された散布剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第1デフレクターであり、
前記第2偏向散布部材は、前記ノズルのリング状ノズル穴から放出された散布剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第2デフレクターである、
ことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項84】
請求項82記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記第1誘導電極部および第2誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項85】
請求項82記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記第1誘導電極部および第2誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項86】
請求項82記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記散布剤側電極部は、散布剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項87】
請求項82記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記散布剤側電極部の電圧を所定の基準値とし、これに対し、前記第1誘導電極部および第2誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項88】
請求項87記載の帯電散布ヘッドに於いて、前記第1誘導電極部および第2誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項89】
請求項82記載の帯電散布ヘッドに於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を設けたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項90】
請求項89記載の帯電散布ヘッドに於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を1組として複数組設けたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項91】
水系の散布剤を、配管を介して散布区間に設置された帯電散布ヘッドに供給し、
前記帯電散布ヘッドから噴射した散布剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、前記第1薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させ、
前記帯電散布ヘッドから噴射した散布剤の残りを、前記第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布し、前記第2薄膜流の分裂分離部近傍に外部電界を印加して帯電させ、
2重円錐状に粒子群流を散布させることを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項92】
請求項91記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、
前記帯電散布ヘッドは、
前記散布剤を外部空間に噴射するノズルと、
前記ノズルの内部に配置されて散布剤に接触する散布剤側電極部と、
前記ノズルから出た散布剤の一部を、任意の方向に偏向して第1薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第1偏向散布部材と、
前記第1薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第1誘導電極部と、
前記ノズルから出た散布剤の残りを、前記第1薄膜流の外側に位置して同方向に偏向する第2薄膜流を形成した後に粒子群流に分裂分離させて散布する第2偏向散布部材と、
前記第2薄膜流の分裂分離部近傍に配置された第2誘導電極部と、
を備え、
前記第1誘導電極部と散布剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、前記第1偏向散布部材による第1薄膜流の分裂分離部近傍の散布剤に印加して帯電させると共に、前記第2誘導電極部と散布剤側電極部との間に電圧を加えることにより生じる外部電界を、前記第2偏向散布部材による第2薄膜流の分裂分離部近傍の散布剤に印加して帯電させることを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項93】
請求項91記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、
前記ノズルは中心ノズル穴とその後方周囲にリング状ノズル穴を同軸に形成し、
前記第1偏向散布部材は、前記ノズルの中心ノズル穴から放出された散布剤を円錐面状又は角錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状又は角錐形状を有する第1デフレクターであり、
前記第2偏向散布部材は、前記ノズルのリング状ノズル穴から放出された散布剤を円錐面状の薄膜流に偏向する円錐形状を有する第2デフレクターである、
ことを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項94】
請求項91記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部は、導電性を有する、金属、樹脂、繊維束、ゴムのいずれか又は複合体であることを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項95】
請求項91記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部の一部又は全部を絶縁性材料で被覆したことを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項96】
請求項91記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記散布剤側電極部は、散布剤供給流路の一部またはノズルであることを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項97】
請求項91記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部の電圧を所定の基準値とし、これに対し、前記誘導電極部に所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項98】
請求項97記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、前記第1誘導電極部及び第2誘導電極部に直流、交流又はパルス状となる所定の帯電電圧を印加することを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項99】
請求項97記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を設けたことを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。
【請求項100】
請求項99記載の帯電散布装置の帯電散布方法に於いて、1又は複数の前記誘導電極部に対し数の異なる前記偏向散布部材を1組として複数組設けたことを特徴とする帯電散布装置の帯電散布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−120822(P2012−120822A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23595(P2011−23595)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】