説明

灰溶融炉装置

【課題】
本発明の目的は安価な構成で灰溶融炉からのスラグ排出量を精度良く測定できる灰溶融炉装置を提供することにある。
【解決手段】
灰溶融炉1で生成された溶融スラグをスラグ冷却槽5において粒状スラグを生成し排出コンベア装置6で搬送して粒状スラグ貯留槽10に貯留する。粒状スラグ貯留槽10の重量を計量器7で測定して単位時間当りの粒状スラグ排出量、つまり、溶融スラグ排出量を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみや産業廃棄物の焼却炉、石炭焚ボイラなどの焼却炉から排出される焼却灰や飛灰を溶融処理する灰溶融炉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、都市ごみや産業廃棄物は焼却処分されている。焼却により生成した焼却灰は減容とダイオキシン類による周辺環境への影響を防止するために灰溶融炉装置で処理している。灰溶融炉装置は焼却灰の表面を高温で加熱して溶融させ、流動状の溶融スラグを冷却水で急速冷却することによって結晶化した粒状スラグとして排出する。
【0003】
焼却灰の性状は被焼却物によって一定でなく、溶融温度にばらつきがある。灰溶融炉は定量の焼却灰を供給され、設定温度で運転される。溶融温度の高い焼却灰は溶融時間が長くなり炉内に多く滞留する。また、溶融温度の低い焼却灰は溶融時間が短くなり、炉内の滞留量が減少して炉床が露出する。いずれの状態になって灰溶融炉の運転に支障が発生するので炉内の灰滞留量を所定量(所定レベル)に保持する必要がある。
【0004】
灰溶融炉内の灰滞留量は炉全体の重量をロードセルで計量し、重量の変化量に測定できる。しかし、灰の重量に比して炉全体の重量がはるかに大きく、測定誤差が大きくなる。
【0005】
このことを解決するために、溶融スラグの出滓状況をCCDカメラで撮像して面積を求め。面積の経時的変化により灰溶融炉から流出する溶融スラグ量を検出して灰供給量、バーナーの加熱量などを制御することが提案されている。このことは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−281037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術はCCDカメラの撮影画像を画像処理して間接的に溶融スラグの排出量を検出しているので測定精度が悪く、かつ高価になるという問題点を有する。
【0008】
本発明の目的は安価な構成で灰溶融炉からのスラグ排出量を精度良く測定できる灰溶融炉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴とするところは、灰溶融炉で生成された溶融スラグを急速冷却して生成した粒状スラグを排出コンベア装置で搬送して粒状スラグ貯留槽に貯留し、粒状スラグ貯留槽の重量を計量器で測定して単位時間当りの粒状スラグ排出量、つまり、溶融スラグ排出量を求めるようにしたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明は単位時間当りの粒状スラグの重量を直接計量器で測定しているので、安価な構成で灰溶融炉からのスラグ排出量を精度良く測定できる。その結果、灰溶融炉内の焼却灰滞留量を所定量に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ごみを焼却して生成した焼却灰は灰貯蔵槽に貯蔵される。灰貯蔵槽に貯蔵されている焼却灰は投入コンベア装置によりホッパーに投入される。ホッパーに投入された焼却灰は灰定量供給手段により灰溶融炉に供給される。灰溶融炉は供給された焼却灰をバーナーで高温加熱して溶融し溶融スラグを生成する。スラグ冷却槽は灰溶融炉で生成された溶融スラグを急速冷却し粒状スラグを生成する。粒状スラグ貯留槽はスラグ冷却槽から排出コンベア装置によって排出された粒状スラグを貯留する。計量器は粒状スラグ貯留槽の重量を計量する。排出量演算装置は計量器で計量した粒状スラグ貯留槽の重量により単位時間当りの粒状スラグ量、つまり灰溶融炉の溶融スラグ排出量を求める。
【実施例】
【0012】
図1に本発明の一実施例を示す。
【0013】
図1において、ごみを焼却して生成された焼却灰は灰貯蔵槽3に貯蔵されている。灰貯蔵槽3に貯蔵されている焼却灰は投入コンベア装置4によりホッパー3に投入される。投入コンベア装置4はモータ11により駆動される。ホッパー3に投入された焼却灰は灰定量供給機構2により灰溶融炉1に供給される。灰定量供給機構2は送り機構を有し、モータ12により駆動される。灰定量供給機構2は図示しない制御装置で設定した設定量の焼却灰を供給する。
【0014】
灰溶融炉1は内部に最高千数百℃程度の高温炎を噴射するバーナー(図示せず)が設置されている。灰溶融炉1は投入された焼却灰の表面を加熱溶融することにより溶融スラグを生成し、炉底の末端に設けた出滓口からスラグ冷却槽5内に落下させる。スラグ冷却槽5は冷水が注入されており、溶融スラグを冷水により急冷して結晶化した粒状スラグを生成する。
【0015】
スラグ冷却槽5で生成された粒状スラグは排出コンベア装置6により粒状スラグ貯留槽10に送られる。計量器7は粒状スラグ貯留槽10の重量を計量する。計量器7の測定値が所定重量になると、粒状スラグは粒状スラグ貯留槽10から排出されスラグ保管箱8に貯留される。排出量演算装置11は計量器7で計量した粒状スラグ貯留槽10の重量により単位時間当りの粒状スラグ量、つまり灰溶融炉1の溶融スラグ排出量を求める。
【0016】
図2に粒状スラグ貯留槽10の一例構成を示す。
【0017】
粒状スラグ貯留槽10は床面が勾配をつけて構成されており、スラグ排出扉12と扉開閉装置13を有している。粒状スラグ貯留槽10は計量器7の上に搭載され重量を計量される。計量器7は計量した粒状スラグ貯留槽10の重量、つまり、粒状スラグの重量を演算する排出量演算装置11に加える。排出量演算装置11は粒状スラグの全体重量と単位時間当りの粒状スラグ量を演算する。
【0018】
排出量演算装置11(計量器7)で測定された粒状スラグの全体重量(貯留槽10内の粒状スラグ量)が所定値になると、扉開閉装置13がスラグ排出扉12開き排出ダクト14を介してスラグ保管容器8に排出する。排出後は扉開閉装置13によりスラグ排出扉12を閉じ、次の計量に備える。
【0019】
排出量演算装置11は粒状スラグ貯留槽10から排出直前の粒状スラグ重量(所定時間積算値)を単位時間で除して単位時間当りの粒状スラグ排出量を求める。粒状スラグは溶融スラグを急冷して結晶化したものであり、単位時間当りの粒状スラグ排出量は単位時間当りの溶融スラグ排出量に相当する。このようにして測定した溶融スラグ排出量に基づいて温度制御、速度制御、添加剤供給などが行われる。
【0020】
なお、排出コンベア装置6から一定速度で粒状スラグが送られてくるので、粒状スラグ貯留槽10からの排出時にも粒状スラグ貯留槽10に粒状スラグが流入している。しかし、粒状スラグ排出は瞬時に行われ、その量は僅かで誤差の範囲内になる。
【0021】
このような灰溶融炉装置は良く知られているので詳細説明を省略するが、焼却灰を高温で加熱して溶融させ、流動状の溶融スラグを急速冷却することによって結晶化した粒状スラグとして排出する。
このようにして焼却灰を処理する際に、本発明は単位時間当りの粒状スラグの重量を計量器で直接計量して粒状スラグ排出量つまり溶融スラグ排出量を検出しているので、安価な構成で灰溶融炉からのスラグ排出量を精度良く測定できる。その結果、灰溶融炉内の焼却灰滞留量を所定量に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】粒状スラグ貯留槽の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0023】
1…灰溶融炉、2…灰定量供給機構、3…ホッパー、4…投入コンベア装置、5…スラグ冷却槽、6…排出コンベア装置、7…計量器、8…スラグ保管容器、9…灰貯留槽、10…粒状スラグ貯留槽、11…排出量演算装置、12…スラグ排出扉、13…扉開閉装置、14…排出ダクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却により生成した焼却灰を供給する灰供給手段と、前記灰供給手段から供給される焼却灰を高温加熱して溶融し溶融スラグを生成する灰溶融炉と、前記灰溶融炉で生成された溶融スラグを急速冷却し粒状スラグを生成するスラグ冷却槽と、前記スラグ冷却槽から粒状スラグを排出する排出コンベア装置と、前記排出コンベア装置で排出された粒状スラグを貯留する粒状スラグ貯留槽と、前記粒状スラグ貯留槽の重量を計量する計量器と、前記計量器で計量した前記粒状スラグ貯留槽の重量により単位時間当りの粒状スラグ排出量を求める排出量演算装置とを具備することを特徴とする灰溶融炉装置。
【請求項2】
ごみを焼却して生成した焼却灰を貯蔵する灰貯蔵槽と、前記灰貯蔵槽に貯蔵されている焼却灰をホッパーに投入する投入コンベア装置と、前記ホッパーに投入された焼却灰を供給する灰定量供給手段と、前記灰定量供給手段から供給される焼却灰をバーナーで高温加熱して溶融し溶融スラグを生成する灰溶融炉と、前記灰溶融炉で生成された溶融スラグを急速冷却し粒状スラグを生成するスラグ冷却槽と、前記スラグ冷却槽から粒状スラグを排出する排出コンベア装置と、前記排出コンベア装置で排出された粒状スラグを貯留する粒状スラグ貯留槽と、前記粒状スラグ貯留槽の重量を計量する計量器と、前記計量器で計量した前記粒状スラグ貯留槽の重量により単位時間当りの前記灰溶融炉の溶融スラグ排出量を求める排出量演算装置とを具備することを特徴とする灰溶融炉装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−2948(P2006−2948A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176536(P2004−176536)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリングサービス (276)
【Fターム(参考)】