説明

炊飯器

【課題】水を過剰に入れられることによってご飯の出来具合が悪くなり食味が低下しても、簡単にその状態を改善して炊くことができること。
【解決手段】炊飯器本体の内部に収納される鍋1と、鍋1を加熱する加熱装置2と、鍋1の温度を検知する鍋温度検知部3を備え、鍋温度検知部3で検知した温度から加熱装置2を制御して炊飯動作を行う制御部8は、鍋温度検知部3で検知した温度が第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったときに、鍋1へ第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行っても第2の所定の温度まで上昇しなかった場合に炊飯異常として異常処理動作することにより、水を過剰に入れられることによってご飯の出来具合が悪くなり食味が低下しても、簡単にその状態を改善して炊くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭あるいは業務用に使用した炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は炊飯時にご飯をやわらかく炊くためには、米と水との比率を変更して炊飯を実行させるものが一般的であった。このためやわらかくするためには水を多く入れる必要があり、水を入れすぎたために沸騰維持工程などでおねば等による吹きこぼれが発生してしまうことがある。この吹きこぼれ防止には、炊飯量に応じた沸騰維持電力で制御している間の所定内に所定の温度に達していない場合に加熱を停止し、吹きこぼれを防ぐものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、特許文献1に記載された従来の炊飯器のブロック図を示すものである。図8に示すように、鍋21と、鍋21を加熱する加熱手段22と、炊飯物の沸騰状態を検知する第一の温度手段23と、鍋21の温度を検知する第二の温度手段24と、加熱手段22を制御する制御手段25から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3642119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、吹きこぼれ防止のために水の量を多めに入れられたときには、沸騰維持工程の工程時間が延びるが、この沸騰維持工程時間は本体の温度が高温になりすぎないために所定時間で加熱を停止し、異常な温度上昇を防いでいる。そのため連続で加熱を行えず所定時間で加熱停止することで、過剰な水分が残ってしまい、このため水分の多いべたべたした御飯またはおかゆのような状態になってしまい、出来具合が著しく悪くなってしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、水が過剰に入れられた場合でも、炊飯器本体の温度上昇を抑えつつ、加熱を続ける炊飯シーケンスを実施することで、安全に、ご飯の食味の低下を改善して炊くことができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、鍋温度検知部で検知した温度が第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったときに、前記鍋へ前記第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行っても第2の所定の温度まで上昇しなかった場合に炊飯異常として異常表示と異常処理動作するとしたものである。
【0008】
これによって、やわらかいご飯を炊くために水を過剰に入れられた炊飯において、炊き上げ工程での加熱時間が加熱時間の制限により、炊きあがる前に工程時間の異常を検知した場合に、炊飯器本体の温度上昇を抑えつつ、加熱を続ける早切れ対策の炊飯シーケンスを実行できるので食味が低下した状態を改善させたご飯を使用者に提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器は、炊き上げ工程での加熱時間が加熱時間の制限により、炊きあがる前に工程時間の異常を検知した場合に早切れ対策の炊飯シーケンスを実行できるので、水を入れすぎたことによる炊飯の異常終了状態を解決し、食べることができるご飯にまで改善することができる。早切れ対策の炊飯シーケンスは、加熱量を下げることで長時間の加熱により高温になった炊飯器本体を冷やしその後加熱量を上げた加熱を行うので、炊飯器本体の温度上昇を抑えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における炊飯器の要部動作フローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器のブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における炊飯器の要部動作フローチャート
【図6】本発明の実施の形態3における炊飯器のブロック図
【図7】本発明の実施の形態3における炊飯器の要部動作フローチャート
【図8】従来の炊飯器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する加熱装置と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知部と、炊飯動作を開始させるための炊飯開始スイッチを含む入力部と、炊飯工程の時間を計時するタイマー装置と、炊飯が正常に終了しなかった場合に表示を行う表示部と、複数の炊飯シーケンスを記憶している記憶部と、前記鍋温度検知部で検知した温度から前記加熱装置を制御して炊飯動作を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記鍋温度検知部で検知した温度が第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったときに、前記鍋へ前記第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行っても第2の所定の温度まで上昇しなかった場合に炊飯異常として異常表示と異常処理動作することにより、やわらかいご飯を炊くために水を過剰に入れられた炊飯において、炊き上げ工程での加熱時間が加熱時間の制限により、炊きあがる前に工程時間の異常を検知した場合に早切れ対策の炊飯シーケンスを実行できるので、水を入れすぎたことによる炊飯の異常終了状態を解決し、食べることができるご飯にまで改善することができる。早切れ対策の炊飯シーケンスは、加熱量を下げることで長時間の加熱により高温になった炊飯器本体を冷やしその後加熱量を上げた加熱を行うので、炊飯器本体の温度上昇を抑えることもできる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御部は、鍋温度検知部で検知した温度が第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったとき、前記鍋へ前記第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行う動作を第2の所定の温度に上昇するまで複数回繰り返すことにより、やわらかいご飯を炊くために水を過剰に入れられた炊飯において、炊き上げ工程での加熱時間が加熱時間の制限により、炊きあがる前に工程時間の異常を検知した場合に早切れ対策の炊飯シーケンスがご飯の炊きあがり状態が改善するまで繰り返し実行できるので、水を入れすぎたことによる炊飯の異常終了状態を解決し、食べることができるご飯にまで改善することができる。早切れ対策の炊飯シーケンスは、加熱量を下げることで長時間の加熱により高温になった炊飯器本体を冷やしその後加熱量を上げた加熱を行うので、炊飯器本体の温度上昇を抑えることもできる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1の発明の制御部は、鍋温度検知部で検知した温度が第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったとき、前記鍋へ前記第1の所定
の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行う動作を複数回繰り返した後でも、前記第2の所定温度に上昇しない場合には炊飯異常として異常表示と異常処理動作することにより、やわらかいご飯を炊くために水を過剰に入れられた炊飯において、炊き上げ工程での加熱時間が加熱時間の制限により、炊きあがる前に工程時間の異常を検知した場合に早切れ対策の炊飯シーケンスがご飯の炊きあがり状態を改善するまで繰り返し実行するだけでなく、炊飯時間が長時間になる場合には異常表示を行うことにより使用者に状況をお知らせできるので、水を入れすぎたことによる炊飯の異常終了状態を解決し、食べることができるご飯にまで改善することができる。早切れ対策の炊飯シーケンスは、加熱量を下げることで長時間の加熱により高温になった炊飯器本体を冷やしその後加熱量を上げた加熱を行うので、炊飯器本体の温度上昇を抑えることもできる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器のブロック図、図2は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図、図3は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の要部動作フローチャートを示すものである。
【0016】
図1および図2に示すように、鍋1は米と水を入れるもので、この鍋1を加熱装置2により底面から加熱するようにしている。鍋温度検知部3は鍋1の底面に接触して鍋1の温度を検知する。炊飯動作を開始させるための炊飯開始スイッチを含む入力部4への入力によって炊飯を開始し、炊き上げ工程中にタイマー装置7によって計時されている第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったときに炊飯異常として処理する場合に、すぐに表示部6へ異常表示するのではなく鍋1へ第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行いその後第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行っても第2の所定の温度まで上昇しなかった場合に炊飯異常として異常表示と異常処理動作する構成としている。11はマイクロコンピュータであり入力部4と制御部8と記憶部5とタイマー装置7とで構成されている。
【0017】
以上のように構成された炊飯器について、図3を参照しながら以下その動作、作用を説明する。
【0018】
ステップ51からステップ71までの各工程は、炊き上げ工程中、第1の所定の時間に鍋温度を第1の所定の温度まで上昇するよう所定量の加熱を行う条件分岐群の工程であり、ステップ74以降の工程は、第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行って、第2の所定の温度まで上昇するか否かを判定する工程で、各加熱によっても、第2の所定の温度まで上昇しない場合、水分量の多い異常終了と判定する工程である。
【0019】
まず、ステップ51で入力部4の炊飯開始スイッチが押されるまで待機する。ステップ51で炊飯開始スイッチが押されたと判定されたらステップ52へ進み炊飯に必要な火力(80%火力)を設定する。その後ステップ53で40分間のタイマを設定し計時開始する。
【0020】
つぎにステップ54で加熱装置2を動作させ加熱を行う。ステップ55でタイマの計時時間を確認し40分以内であればステップ56へ進み、ステップ56で鍋温度検知部3で検知した温度が80℃を超えているか判定する。80℃を超えていなければステップ54
へ戻り、炊飯火力で加熱開始してから40分を超えるか鍋1温度が80℃に達するまでステップ54から56を繰り返す。
【0021】
ステップ56で鍋1温度が80℃を超えたならばステップ57へ進み30分間のタイマを設定し計時開始する。
【0022】
つぎにステップ58で鍋1内の水を沸騰させるための火力(100%火力)を設定し加熱する。ステップ59で鍋1の温度が96℃を超えているか判定し、超えていなければステップ60へ進む。ステップ60でタイマの計時時間が30分以内であればステップ58へ戻る。ステップ58からステップ60において、鍋1内を加熱し鍋1内の温度が80℃から96℃に達する時間が30分かかるかどうかを判定する。
【0023】
ステップ60で計時時間が30分を超えたならばステップ61へ進み第1の火力に40%火力、第2の火力に60%火力、第2の加熱時間に10分間、第3の加熱時間に10分間を設定しステップ70へ進む。
【0024】
ステップ59で鍋1内の温度が96℃に達したならば鍋1内が沸騰したと判定しステップ62へ進む。ステップ62で25分間のタイマを設定し計時開始する。
【0025】
ステップ63で沸騰維持し炊き上げるための火力(75%火力)を設定し加熱する。ステップ64で鍋1内が120℃に達しているかどうか判定し、超えていなければステップ65へ進む。ステップ65でタイマの計時時間が25分以内であればステップ63へ戻る。ステップ63からステップ65において、鍋1内が沸騰してから120℃に達する時間が25分かかるかどうかを判定する。
【0026】
ステップ65で計時時間が25分を超えたならばステップ66へ進み第1の火力に30%火力、第2の火力に50%火力、第2の加熱時間に10分間、第3の加熱時間に8分間を設定しステップ70へ進む。
【0027】
ステップ64で鍋1内の温度が120℃に達したならば鍋1内のご飯が炊きあがりドライアップしたと判定しステップ67へ進む。ステップ67で13分間火力0%の「むらし工程」を実行した後ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0028】
ステップ54から56の繰り返しの中で、ステップ55で炊飯火力で加熱開始して80℃に達するまでに40分を超えたときにはステップ69へ進み第1の火力に50%火力、第2の火力に70%火力、第2の加熱時間に10分間、第3の加熱時間に15分間を設定しステップ70へ進む。
【0029】
ステップ70ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第1の火力で鍋1を加熱する。つぎにステップ71ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第2の加熱時間を経過したか判定し、第2の加熱時間以内であればステップ72へ進む。ステップ72では鍋1内が炊き上げ温度120℃に達しているか判定し、120℃に達していなければステップ70へ戻る。
【0030】
ステップ70からステップ72において、ステップ70で第1の火力で加熱開始してから第2の加熱時間以内に炊き上げ温度である120℃に達するかどうかを判定し、120℃に達すればステップ67へ進み15分間火力0%の「むらし工程」を実行し、ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0031】
ステップ71で第2の加熱時間を超えた場合はステップ73へ進む。ステップ73ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第2の火力で鍋1を加熱する。つぎにステップ74ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第3の加熱時間を経過したか判定し、第3の加熱時間以内であればステップ75へ進む。ステップ75では鍋1内が炊き上げ温度120℃に達しているか判定し、120℃に達していなければステップ73へ戻る。
【0032】
ステップ73からステップ75において、ステップ73で第2の火力で加熱開始してから第3の加熱時間以内に炊き上げ温度である120℃に達するかどうかを判定し、120℃に達すればステップ67へ進み15分間火力0%の「むらし工程」を実行し、ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0033】
ステップ74で第3の加熱時間を超えた場合はステップ77へ進み、「水分量が多い」という情報をLCD表示部6へ表示した後ステップ78で20分間火力0%の「むらし工程」を実行した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0034】
これらのステップから、炊飯開始から80%火力で40分経過までに鍋1内の温度が80℃に達しない場合は炊飯異常と判断し「火力50%で10分間その後火力70%で15分間の加熱」を設定する。この10分+15分の合計25分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。10分+15分の合計25分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は異常であることをお知らせし異常炊飯時の20分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。
【0035】
同様に、80℃から96℃に達するまで30分以上かかる場合は炊飯異常と判断し「火力40%で10分間その後火力60%で10分間の加熱」を設定する。この10分+10分の合計20分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。10分+10分の合計20分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は異常であることをお知らせし異常炊飯時の20分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。
【0036】
同様に、96℃から120℃に達するまで25分以上かかる場合は炊飯異常と判断し「火力30%で10分間その後火力50%で8分間の加熱」を設定する。この10分+8分の合計18分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。10分+8分の合計18分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は異常であることをお知らせし異常炊飯時の20分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。
【0037】
以上の動作から、やわらかいご飯を炊くために水を過剰に入れられた炊飯において、炊飯工程での加熱が加熱時間の制限により、炊きあがる前に炊飯異常として判定された場合でも、早切れ対策の炊飯シーケンスとして、炊飯器本体の温度を十分に下げることが出来るように加熱量を下げることで長時間の加熱により高温になった炊飯器本体を冷やしその後加熱量を上げた加熱を行うので、過剰な水分を吸水・蒸発させるだけではなく炊飯器本体の温度上昇を抑えてことで安全に炊飯することができる。
【0038】
また、米の水分吸収過程においてご飯のできあがり状態に対して与える影響は、米と水へ与えた火力と加熱時間とが大きく影響する。そこで、高温で吸水時間が長かったものほど早切れ対策での炊飯シーケンスでの火力と加熱時間を短く設定する、つまり水温上昇初期(80℃まで)と中期から沸騰まで(80℃から96℃)と沸騰維持から炊き上げまで(96℃から120℃)の3段階からの復帰時において、それぞれ正常炊飯に復帰できる最大時間「25分間」、「20分間」、「18分間」とそれぞれに応じた火力とを設定す
ることにより正常なご飯に炊き上げることができる。
【0039】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態の炊飯器のブロック図、図5は、本発明の第2の実施の形態の炊飯器の要部動作フローチャートである。
【0040】
図4に示すように、制御部9は、第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったときに炊飯異常として処理する場合に、すぐに異常表示するのではなく前記鍋1へ前記第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行いその後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行う動作を第2の所定の温度に上昇するまで複数回繰り返す構成としたものである。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
以上のように構成された炊飯器について、図5を参照しながら以下その動作、作用を説明する。
【0042】
ステップ51からステップ60までは実施の形態1と同じ動作であり説明を省略する。
【0043】
ステップ60で計時時間が30分を超えたならばステップ61へ進み第1の火力に40%火力、第2の火力に60%火力、第2の加熱時間に5分間、第3の加熱時間に5分間を設定しステップ70へ進む。
【0044】
ステップ59で鍋1内の温度が96℃に達したならば鍋1内が沸騰したと判定しステップ62へ進む。
【0045】
ステップ62で25分間のタイマを設定し計時開始する。ステップ63で沸騰維持し炊き上げるための火力(75%火力)を設定し加熱する。ステップ64で鍋1内が120℃に達しているかどうか判定し、超えていなければステップ65へ進む。ステップ65でタイマの計時時間が25分以内であればステップ63へ戻る。ステップ63からステップ65において、鍋1内が沸騰してから120℃に達する時間が25分かかるかどうかを判定する。
【0046】
ステップ65で計時時間が25分を超えたならばステップ66へ進み第1の火力に30%火力、第2の火力に50%火力、第2の加熱時間に5分間、第3の加熱時間に4分間を設定しステップ70へ進む。
【0047】
ステップ64で鍋1内の温度が120℃に達したならば鍋1内のご飯が炊きあがりドライアップしたと判定しステップ67へ進む。ステップ67で13分間火力0%の「むらし工程」を実行した後ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0048】
ステップ54から56の繰り返しの中で、ステップ55で炊飯火力で加熱開始して80℃に達するまでに40分を超えたときにはステップ69へ進み第1の火力に50%火力、第2の火力に70%火力、第2の加熱時間に5分間、第3の加熱時間に7分間を設定しステップ70へ進む。
【0049】
ステップ70ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第1の火力で鍋1を加熱する。つぎにステップ71ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第2の加熱時間を経過したか判定し、第2の加熱時間以内であればステップ72へ進む。ステップ72では鍋1内が炊き上げ温度120℃
に達しているか判定し、120℃に達していなければステップ70へ戻る。
【0050】
ステップ70からステップ72において、ステップ70で第1の火力で加熱開始してから第2の加熱時間以内に炊き上げ温度である120℃に達するかどうかを判定し、120℃に達すればステップ67へ進み15分間火力0%の「むらし工程」を実行し、ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0051】
ステップ71で第2の加熱時間を超えた場合はステップ73へ進む。ステップ73ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第2の火力で鍋1を加熱する。つぎにステップ74ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第3の加熱時間を経過したか判定し、第3の加熱時間以内であればステップ75へ進む。ステップ75では鍋1内が炊き上げ温度120℃に達しているか判定し、120℃に達していなければステップ73へ戻る。
【0052】
ステップ73からステップ75において、ステップ73で第2の火力で加熱開始してから第3の加熱時間以内に炊き上げ温度である120℃に達するかどうかを判定し、120℃に達すればステップ67へ進み15分間火力0%の「むらし工程」を実行し、ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0053】
ステップ74で第3の加熱時間を超えた場合はステップ70へ戻り、ステップ70から75を繰り返す。
【0054】
これらのステップから、炊飯開始から80%火力で40分経過までに鍋1内の温度が80℃に達しない場合は炊飯異常と判断し「火力50%で5分間その後火力70%で7分間の加熱」を設定する。この5分+7分の合計12分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。5分+7分の合計12分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は、設定されている「火力50%で5分間その後火力70%で7分間の加熱」の動作を炊き上げ温度120℃に達するまで繰り返す。
【0055】
同様に、80℃から96℃に達するまで30分以上かかる場合は炊飯異常と判断し「火力40%で5分間その後火力60%で5分間の加熱」を設定する。この5分+5分の合計10分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。5分+5分の合計10分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は、設定されている「火力40%で5分間その後火力60%で5分間の加熱」の動作を炊き上げ温度120℃に達するまで繰り返す。
【0056】
同様に、96℃から120℃に達するまで25分以上かかる場合は炊飯異常と判断し「火力30%で5分間その後火力50%で4分間の加熱」を設定する。この5分+4分の合計9分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。5分+4分の合計9分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は、設定されている「火力30%で5分間その後火力50%で4分間の加熱」の動作を炊き上げ温度120℃に達するまで繰り返す。
【0057】
以上の動作から、やわらかいご飯を炊くために水を過剰に入れられた炊飯において、炊飯工程での加熱が加熱時間の制限により、炊きあがる前に炊飯異常として判定された場合でも、早切れ対策の炊飯シーケンスがご飯の炊きあがり状態が改善するまで繰り返し実行できるために余分な水分を除去し確実に鍋1内の水分を適正状態にすることが出来る。さらに、加熱方法も炊飯器本体の温度を十分に下げることが出来るように加熱量を下げることで長時間の加熱により高温になった炊飯器本体を冷やしその後加熱量を上げた加熱を行
うので、過剰な水分を吸水・蒸発させるだけではなく炊飯器本体の温度上昇を抑えることで安全に炊飯することができる。
【0058】
また、米の水分吸収過程においてご飯のできあがり状態に対して与える影響は、米と水へ与えた火力と加熱時間とが大きく影響する。また炊飯器本体の温度上昇も加熱時間が長いほど高温になる。そこで、高温で吸水時間が長かったものほど早切れ対策での炊飯シーケンスでの火力と加熱時間を短く設定する、つまり水温上昇初期(80℃まで)と中期から沸騰まで(80℃から96℃)と沸騰維持から炊き上げまで(96℃から120℃)の3段階からの復帰時において、それぞれ正常炊飯に復帰できる加熱周期を(12分間、10分間、9分間)と火力とを設定することにより炊飯器本体温度の上昇を抑えながら正常なご飯に炊き上げることができる。
【0059】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における炊飯器のブロック図、図7は、本発明の第3の実施の形態における炊飯器の要部動作フローチャートを示すものである。
【0060】
図6に示すように、制御部10は、第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったときに炊飯異常として処理する場合に、すぐに異常表示するのではなく前記鍋1へ前記第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行いその後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行う動作を第2の所定の温度に上昇するまで複数回繰り返した後でも前記第2の所定温度に上昇しない場合には炊飯異常として異常表示と異常処理動作する構成としたものである。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
以上のように構成された炊飯器について、図7を参照しながら以下その動作、作用を説明する。
【0062】
ステップ51からステップ60までは実施の形態1と同じ動作であり説明を省略する。
【0063】
ステップ60で計時時間が30分を超えたならばステップ61へ進み第1の火力に40%火力、第2の火力に60%火力、第2の加熱時間に5分間、第3の加熱時間に5分間、繰り返し回数を2回分を設定しステップ70へ進む。
【0064】
ステップ59で鍋1内の温度が96℃に達したならば鍋1内が沸騰したと判定しステップ62へ進む。
【0065】
ステップ62で25分間のタイマを設定し計時開始する。ステップ63で沸騰維持し炊き上げるための火力(75%火力)を設定し加熱する。ステップ64で鍋1内が120℃に達しているかどうか判定し、超えていなければステップ65へ進む。ステップ65でタイマの計時時間が25分以内であればステップ63へ戻る。
【0066】
ステップ63からステップ65において、鍋1内が沸騰してから120℃に達する時間が25分かかるかどうかを判定する。
【0067】
ステップ65で計時時間が25分を超えたならばステップ66へ進み第1の火力に30%火力、第2の火力に50%火力、第2の加熱時間に3分間、第3の加熱時間に2分間、繰り返し回数を3回分を設定しステップ70へ進む。
【0068】
ステップ64で鍋1内の温度が120℃に達したならば鍋1内のご飯が炊きあがりドライアップしたと判定しステップ67へ進む。ステップ67で13分間火力0%の「むらし
工程」を実行した後ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0069】
ステップ54から56の繰り返しの中で、ステップ55で炊飯火力で加熱開始して80℃に達するまでに40分を超えたときにはステップ69へ進み第1の火力に50%火力、第2の火力に70%火力、第2の加熱時間に10分間、第3の加熱時間に15分間繰り返し回数を1回分を設定しステップ70へ進む。
【0070】
ステップ70ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第1の火力で鍋1を加熱する。つぎにステップ71ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第2の加熱時間を経過したか判定し、第2の加熱時間以内であればステップ72へ進む。ステップ72では鍋1内が炊き上げ温度120℃に達しているか判定し、120℃に達していなければステップ70へ戻る。
【0071】
ステップ70からステップ72において、ステップ70で第1の火力で加熱開始してから第2の加熱時間以内に炊き上げ温度である120℃に達するかどうかを判定し、120℃に達すればステップ67へ進み15分間火力0%の「むらし工程」を実行し、ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0072】
ステップ71で第2の加熱時間を超えた場合はステップ73へ進む。ステップ73ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第2の火力で鍋1を加熱する。つぎにステップ74ではステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された第3の加熱時間を経過したか判定し、第3の加熱時間以内であればステップ75へ進む。ステップ75では鍋1内が炊き上げ温度120℃に達しているか判定し、120℃に達していなければステップ73へ戻る。
【0073】
ステップ73からステップ75において、ステップ73で第2の火力で加熱開始してから第3の加熱時間以内に炊き上げ温度である120℃に達するかどうかを判定し、120℃に達すればステップ67へ進み15分間火力0%の「むらし工程」を実行し、ステップ68でご飯のできあがりをLCD表示部6へ表示した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0074】
ステップ74で第3の加熱時間を超えた場合はステップ76へ進み、ステップ61、ステップ66、ステップ69の各ステップで設定された「ステップ70からステップ75」の繰り返し回数を判定する。設定された繰り返し回数に達するまで「ステップ70からステップ75」を繰り返す。ステップ76で繰り返し回数に達したならばステップ77へ進みLCD表示に異常内容と注意が表示され、ステップ78で15分間火力0%の「むらし工程」を実行した後炊飯を終了し次工程へすすむ。
【0075】
これらのステップから、炊飯開始から80%火力で40分経過までに鍋1内の温度が80℃に達しない場合は炊飯異常と判断し「火力50%で10分間その後火力70%で15分間の加熱、この加熱繰り返し回数1回分」を設定する。この10分+15分の合計25分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。10分+15分の合計25分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は、異常であることをお知らせし異常炊飯時の20分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。
【0076】
同様に、80℃から96℃に達するまで30分以上かかる場合は炊飯異常と判断し「火力40%で5分間その後火力60%で5分間の加熱、この加熱繰り返し回数2回分」を設定する。この「5分+5分」これを2回繰り返し、その合計20分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了す
る。「5分+5分」の繰り返し2回で合計20分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は、異常であることをお知らせし異常炊飯時の20分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。
【0077】
同様に、96℃から120℃に達するまで25分以上かかる場合は炊飯異常と判断し「火力30%で3分間その後火力50%で2分間の加熱、この加熱繰り返し回数3回分」を設定する。この「3分+2分」これを3回繰り返し、その合計15分間以内に炊き上げ温度120℃に達すれば正常炊飯時の15分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。「3分+2分」の繰り返し3回で合計15分間経過しても炊き上げ温度に達しない場合は、異常であることをお知らせし異常炊飯時の20分間火力0%の「むらし工程」を行い炊飯を終了する。
【0078】
以上の動作から、やわらかいご飯を炊くために水を過剰に入れられた炊飯において、炊飯工程での加熱が加熱時間の制限により、炊きあがる前に炊飯異常として判定された場合でも、早切れ対策の炊飯シーケンスが炊飯異常と判定された炊飯工程に応じて、ご飯の炊きあがり状態が改善するように設定された最大回数まで繰り返し実行するために余分な水分を除去し鍋1内の水分を適正状態にすることが出来る。さらに、加熱方法も炊飯器本体の温度を十分に下げることが出来るように、細かい制御で鍋1内の温度を下げすぎないようにしつつ炊飯器本体の温度上昇も抑えることで、過剰な水分を吸水・蒸発させるだけではなく安全に炊飯することができる。
【0079】
また、米の水分吸収過程においてご飯のできあがり状態に対して与える影響は、米と水へ与えた火力と加熱時間とが大きく影響する。また炊飯器本体の温度上昇も加熱時間が長いほど高温になる。そこで、高温で吸水時間が長かったものほど早切れ対策での炊飯シーケンスでの火力と加熱時間を短く設定する、つまり水温上昇初期(80℃まで)と中期から沸騰まで(80℃から96℃)と沸騰維持から炊き上げまで(96℃から120℃)の3段階からの復帰時において、それぞれ正常炊飯に復帰できる加熱周期を「25分間」、「20分間」、「15分間」とそれぞれに応じた火力とを設定することにより炊飯器本体温度の上昇を抑えながら正常なご飯に炊き上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、やわらかいご飯を炊くために水を過剰に入れられた炊飯において、炊き上げ工程での加熱時間が加熱時間の制限により、炊きあがる前に炊飯異常と判定してしまった場合にでも簡単に食味が低下した状態を改善させたご飯を炊く炊飯器として有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 鍋
2 加熱装置
3 鍋温度検知部
4 入力部
5 記憶部
6 表示部
7 タイマー装置
8、9、10 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する加熱装置と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知部と、炊飯動作を開始させるための炊飯開始スイッチを含む入力部と、炊飯工程の時間を計時するタイマー装置と、炊飯が正常に終了しなかった場合に表示を行う表示部と、複数の炊飯シーケンスを記憶している記憶部と、前記鍋温度検知部で検知した温度から前記加熱装置を制御して炊飯動作を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記鍋温度検知部で検知した温度が第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったときに、前記鍋へ前記第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行っても第2の所定の温度まで上昇しなかった場合に炊飯異常として異常表示と異常処理動作するものとした炊飯器。
【請求項2】
制御部は、鍋温度検知部で検知した温度が第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったとき、前記鍋へ前記第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行う動作を第2の所定の温度に上昇するまで複数回繰り返す請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
制御部は、鍋温度検知部で検知した温度が第1の所定の時間加熱しても第1の所定の温度まで上昇しなかったとき、前記鍋へ前記第1の所定の時間加熱した加熱量より下げた第1の加熱を第2の所定の時間行い、その後前記第1の加熱より加熱量を上げた第2の加熱を第3の所定の時間行う動作を複数回繰り返した後でも、前記第2の所定温度に上昇しない場合には炊飯異常として異常表示と異常処理動作する請求項1に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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