説明

炎症性腹部疾患のためのカッパ−アヘン製剤作働薬

【課題】 炎症性腹部疾患の治療に適する薬剤調製物を提供する。
【解決手段】 薬剤調製物は、一般式I、即ち
【化1】


[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、A、Ar、DおよびHalは、請求項1で定義の通りである]
の少なくとも一つの化合物および/または生理学的に容認し得るその塩の一つおよび/またはそのグリコシル化誘導体の一つおよび少なくとも一つの生理学的に容認し得る賦形剤または助剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性腹部疾患の治療に適する薬剤調製物であって、一般式I、すなわち
【0002】
【化1】

【0003】
[式中、
1は、Ar、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルまたは4〜8個のC原子を有するシクロアルキルアルキルであり、
2は、Arであり、
1およびR2は合一してまた、
【0004】
【化2】

【0005】
であり、
3は、H、OH、OAまたはAであり、
4は、A、またはHal、OH、OA、CF3、NO2、NH2、NHA、NHCOA、NHSO2AまたはNA2で適宜に一基または二基置換され得るフェニルであり、
5は、OH、CH2OHであり、
6およびR7は、それぞれ互いに独立して、H、Hal、OH、OA、CF3、NH2、NHA、NA2、NHCOA、NHCONH2、NO2またはメチレンジオキシであり、
Aは、1〜7個のC原子を有するアルキルであり、
Arは、N、OまたはS原子を適宜含み、かつA、Hal、OH、OA、CF3、NH2、NHA、NA2、NHCOAおよび/またはNHCONH2で一基、二基または三基置換され得る単または二環式芳香族原子団であり、
Dは、CH2、O、S、NH、NA、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH2NH−、−CH2−NA−または結合であり、
Halは、F、Cl、BrまたはIである]
の少なくとも一つの化合物および/または生理学的に容認し得るその塩の一つおよび/またはそのグリコシル化(glycosylated)誘導体の一つおよび少なくとも一つの生理学的に容認し得る賦形剤または助剤を含んでなる医薬調製物に関する。
【背景技術】
【0006】
同様の構造の一般式を有する化合物およびそれらの適当な調製法は、公開DE4034785(特許文献1)に記載がある。
【0007】
炎症性腹部疾患は、しばしば結腸痛、消化障害および最悪の場合は腸閉塞を引き起こす。後者は、強い収縮性刺激、糞便およびガス滞留の結果としての疝痛、嘔吐、さらに症状が持続して、脱水、腹部の反跳圧痛、ついにはショックを起こす。
【0008】
機能的腹部疾患の原因は、多様である。とくに、腸平滑筋の収縮性および胃腸管の運動活性の異常に起因する。過剰な収縮活性および運動活性の変化した共同作用は、力学的受容器の活性化によってまたは腸拡張をもたらす輸送異常によって痛みを起こし得る。これらの原因は、今日まで、心臓に起因しない胸痛を説明するもの、また炎症性腹部症候群または潰瘍とは関連しない消化不良症による腹痛を説明するものとされてきた。一方、この関係はさらに、心臓に起因しない胸痛または潰瘍に起因しない消化不良症の患者の食道および胃十二指腸機能運動の24時間記録によって支持された(非特許文献1)。運動異常は無症状の対照の健康人においても起き得るが、また消失し得ることから、時間的関係が患者の症状について示され得る(非特許文献2)。
【0009】
種々の治療活性剤、例えば胃腸管の動きを促進するような薬剤、抗コリン性作働薬、またはカルシウムチャネルおよびコレシストキニン拮抗剤などを用いる運動異常の治療は、ほとんどの場合、運動異常の正常化に有効であるが、患者の症状は必ずしも改善されない。
【特許文献1】独国特許出願公開第4034785号明細書
【非特許文献1】Katz,P.O. et al.,Ann.Intern.Med.,106,593−597,1987
【非特許文献2】Fefer,L. et al.,Gastroenterology,102,A447,1992、要旨集
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、炎症性腹部疾患に関連する痛みを軽減すると同時に、炎症性腹部疾患によって起きそうなまたは起きる急性の腸閉塞の場合には、腸の運動性を再び正常化するかまたは目立った副作用を起こさずに運動再開させるような、炎症性腹部疾患の治療に用い得る有効な薬剤活性化合物を提供することであった。さらに、本発明の目的は、正常な腸管蠕動には影響しないが、炎症性腹部疾患の治療効果を発揮するような薬剤活性化合物を提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
今、一般式I、すなわち
【0012】
【化3】

【0013】
[式中、
1は、Ar、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルまたは4〜8個のC原子を有するシクロアルキルアルキルであり、
2は、Arであり、
1およびR2は合一してまた、
【0014】
【化4】

【0015】
であり、
3は、H、OH、OAまたはAであり、
4は、A、またはHal、OH、OA、CF3、NO2、NH2、NHA、NHCOA、NHSO2AまたはNA2で適宜に一基または二基置換され得るフェニルであり、
5は、OH、CH2OHであり、
6およびR7は、それぞれ互いに独立して、H、Hal、OH、OA、CF3、NH2、NHA、NA2、NHCOA、NHCONH2、NO2またはメチレンジオキシであり、
Aは、1〜7個のC原子を有するアルキルであり、
Arは、N、OまたはS原子を適宜含み、かつA、Hal、OH、OA、CF3、NH2、NHA、NA2、NHCOAおよび/またはNHCONH2で一基、二基または三基置換され得る単または二環式芳香族原子団であり、
Dは、CH2、O、S、NH、NA、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH2NH−、−CH2−NA−または結合であり、
Halは、F、Cl、BrまたはIである]
の少なくとも一つの化合物および/または生理学的に容認し得るその塩の一つ、とくに一般式I
[式中、
Arはフェニルであり、
3はHであり、そして
Aはメチルである]
の化合物は炎症性腹部疾患の治療のための医薬物としてきわめて適する薬剤活性化合物であることが見出された。対応する疾患の治療のためにとくに活性の化合物は、R5がOH基であり、R1およびR2がそれぞれArである場合である。この点で、とくにきわめて活性である化合物は、R1、R2およびR4がフェニルであり、Aがメチルであり、R5がOHである一般式Iの化合物である。
【0016】
本発明は、このように炎症性腹部疾患の治療のための医薬物としての一般式Iの化合物の使用に加えてまた、一般式Iの化合物を薬剤調製物の組成分として含み、したがって炎症性腹部疾患およびそれらの関連症状の有効治療、さらに激痛、とくに痛覚過敏症のための治療に用いられる調製物に関する。
【0017】
本発明はまた、ミエロパシー、火傷、日焼けおよびリウマチ性障害において起きる痛みおよび痛覚過敏症およびこれに関連して起きる炎症性反応の治療のための医薬物としての一般式Iの化合物の使用に関する。本発明はまた、術後痛、痛覚過敏症および腹部手術後にしばしば起きる腸疝痛の治療のためのこれら医薬物の使用に関する。本発明はさらに、神経皮膚炎の治療のための薬剤調製物におけるこれら対応化合物の使用に関する。
【0018】
上記したように、同様の構造の一般式を有する化合物およびそれらの調製法自体は、公開DE4034785に開示されている。しかし、それらの治療的作用は新規である。
【0019】
一般式Iの化合物および生理学的に容認し得るそれらの塩は、とくに良好な鎮痛性作用を示す。これに関して、これらは、とくに炎症関連の痛覚過敏に拮抗するが、実際の炎症の抑制にも有効であり、広スペクトルの作用を有する。
【0020】
本発明による化合物は、マウスまたはラットを用いた「苦悶試験」(方法はSiegmund et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.,95,729−731,1957を参照されたい)において活性を有することが実験的に示された。そのような鎮痛性作用は、マウスまたはラットを用いた「尾部打ち振り試験」(方法についてはd’Amour and Smith,J.Pharmacol.Exp.Ther.,72,74−79,1941を参照されたい)さらに「ホットプレート試験」(Schmauss and Yaksh,J.Pharmacol.Exp.Ther.,228,1−12,1984およびそこでの引用文献を参照されたい)において検出できる。とくに強い作用は、カラゲナン誘導痛覚過敏モデルにおけるラットを用いて観察される(Bartoszyk and Wild,Neuroscience Letters,101,95,1989を参照)。これに関し、化合物は皆無か僅少の身体依存の傾向を示す。
【0021】
加えて、周知の方法によって行われる対応実験によって、顕著な抗炎症性、利尿促進性、抗痙攣性および神経保護的作用が示された。化合物はカッパ−受容体との結合反応性の点で高親和性を示す。
【0022】
同様の作用スペクトルを有する他の化合物に対して、一般式Iの化合物は、鎮痛および抗炎症作用に加えて炎症性腹部疾患によって起きる腸管運動障害の正常化に適していることから、それら炎症性腹部疾患の治療のための薬剤調製物における使用にとくに適している。とくに、炎症性腹部疾患によって腸閉塞が起きるおそれがある、あるいは起きてしまった場合に腹部運動を再開させるためにこれらは適している。この作用はまた、術後腸疝痛およびそれに関連する痛みの治療のために適用し得る。
【0023】
上記の薬理学的活性のために、これら化合物は熱や炎による火傷および重度の日焼けによる火傷の双方の治療においてとくに適していることが証明された。とくに、実際の痛みおよび痛覚過敏性反応に加えて、これら適応症における炎症プロセスが本発明の活性化合物を含む適当な薬剤調製物の投与によってさらに影響され得る。また、きわめて重症の火傷症例で生じる反射性腸疝痛を予防または治療することができる。
【0024】
これに関連して、とくに、本発明による一般式Iの化合物の影響下でアレルギー性皮膚反応が速やかに衰退し、それに関連する掻痒が速やかにおさまることから、太陽光線に対するアレルギーの治療における有利な作用を示す徴候もまた見出された。同様の肯定的結果はまた、神経皮膚炎の治療において見出された。とくに、疾患による皮膚の掻痒および炎症反応は、その疾患中でも、上記活性化合物によって好ましい作用効果を受ける。
【0025】
さらに、一般式Iの化合物は、リウマチ性疾患およびミエロパシーの治療において有効であることが証明された。これに関連して、これら活性化合物がそれに関連する痛みに活性であり、またリウマチ性疾患において起きる炎症プロセスに確実に作用し、結果として患者の全身状態の改善に寄与することはとくに有利である。これに関連して、胃腸管の正常運動に悪影響を及ぼさないという有利性が示された。
【0026】
ここで記述する全適応領域において、とくに、N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2,2−ジフェニルアセトアミドの塩酸塩の医薬物としての使用が、各種の調製物形態においてとくに効果的であることが明らかになった。
【0027】
加えて、本発明の化合物の場合は、その構造から血液脳関門を通過できないことが明らかで、したがって依存性の可能性を示さないということはきわめて有利となる。また、今日まで、請求の範囲に示した適応症のための有利な作用の使用を限定するような作用は見出されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
したがって、一般式Iの化合物および生理学的に容認し得るそれらの塩は、少なくとも一つの賦形剤または補助物質とともに、必要であれば一つまたはそれ以上の他の活性化合物と組み合わせて適当な投薬成形物にすることによって薬剤調製物の生産に用いることができる。このようにして得られる調製物は、ヒト用または動物用医薬物として用いることができる。適当な賦形剤は、経腸的(例えば経口または経直腸)または非経腸的投与に適しており、かつ新規の化合物と反応しない有機または無機物質であって、例えば、水、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、三酢酸グリセリンおよび他の脂肪酸グリセリド、ゼラチン、大豆レシチン、乳糖またはデンプンなどの炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはセルロースなどがあげられる。
【0029】
経口的投与にはとくに錠剤、被覆錠剤、カプセル、シロップ、ジュースまたはドロップが用いられる。注目されるものは、腸溶性被覆またはカプセルシェルを有する特殊被覆錠剤およびカプセルである。直腸適用には座剤が用いられ、非経腸的投与には溶液、そしてまた懸濁液、乳濁液またはインプラントが用いられる。
【0030】
本発明によって特許請求された活性化合物はまた、凍結乾燥することができ、得られる凍結乾燥物は、例えば注射用調製物の製造に用いられる。
【0031】
上記調製物は、滅菌が可能で、そして/または、保存剤、安定剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝性物質、着色物質、風味物質などの補助物質を含むことができる。必要であれば、これらはまた、例えば一つまたはそれ以上のビタミン、利尿剤または抗炎症剤などの一つまたはそれ以上の追加の活性化合物を含むことができる。
【0032】
本発明の一般式Iの化合物は、特許請求した適応症のための公知の市販調製物と同様に一般に投与されるが、好ましくは用量単位当り約1〜50mg、とくに5〜30mgである。日用量は、好ましくは約0.02〜20mg/kg体重、とくに0.2〜0.4mg/kg体重である。
【0033】
しかし、それぞれ個々の患者の特定の用量は、多様な要因、例えば、使用される特定化合物の活性、年齢、体重、全身的健康状態、性別、食餌、投与時間および経路、排泄速度、併用薬剤および治療対象の特定疾患の軽重などによって異なる。経口投与が好ましい。
【0034】
以下の実施例によって、本発明をより具体的に説明するが、実施例は本発明を限定するものではない。
【0035】
以下において温度はすべて摂氏(℃)で表す。
【実施例】
【0036】
[実施例1]
N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2、2−ジフェニルアセトアミド、塩酸塩
22gの(2S)−2−N−カルボキシエチル−2−フェニルグリシン−N、N−[(3S)−3−ヒドロキシテトラメチルアミド]を最初に500mlの装置容器に入れて150mlのテトラヒドロフラン中に溶解する。攪拌しながら、150mlのテトラヒドロフランおよび24.1gの塩化ジフェニルアセチルからなる溶液を10−20℃で1時間かけて滴下して加える。沈殿が初めに形成されるが、反応進行中に再び溶液となる。反応終結にかけて沈殿が再形成される。混合物を室温でさらに12時間攪拌する。次いでそれを約5℃まで冷却して、沈殿物を吸引によって濾過する。分離物を約100mlのテトラヒドロフランで洗浄して乾燥する。このようにして、39gの粗生成物が得られる。これを約250mlのエタノールおよび1gの活性炭素を用いて再結晶させる
収量:33g(理論量の73.2%)。
【0037】
炎症性腹部疾患の治療における本発明の物質の薬剤活性を、European J.of Pharmacology,271,245−251,1994に記載の方法によって調べた。
【0038】
周辺作用性カッパ−作働薬の大腸神経活性への作用を、健康人および炎症性大腸を有するヒトの双方について調べた。この目的のために、全部で14個の感覚神経繊維(うち8個はC繊維(遅伝導性)であり、6個はA繊維(速伝導性)である)の周期圧変化への応答を決定した。
【0039】
腸領域の炎症を、トリニトロベンゼンスルホン酸の投与によって作った。測定はこの物質の投与後4日目に行った。
【0040】
N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2,2−ジフェニルアセトアミド塩酸塩の神経発射への作用を、例えば、標準比較物質ICI 204,488の作用と比較した。N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2、2−ジフェニルアセトアミド塩酸塩は、周期圧増加に対する神経応答の用量依存性阻害を示した。炎症のない大腸においては、応答は全量32mg/kgの投与後に75.4%阻害された。炎症を有する大腸においては、この投与によって99.8%の作用が実際に阻害された。N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2、2−ジフェニルアセトアミド塩酸塩のED50値は、炎症のない大腸において13±4mg/kgであった。これに対して、ICI 204,488では、全量2mg/kgの投与後でも、作用が認められなかった。
【0041】
したがって、N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2、2−ジフェニルアセトアミド塩酸塩の阻害作用は、明らかに感覚神経終末上のカッパ−オピオイド受容体の活性化によって生じ、一方、ICI 204,488はこれら受容体に作用しない。
【0042】
以下の実施例は、薬剤調製物に関する。
【0043】
[実施例A]:注射用液
100gの一般式Iの活性化合物および5gのリン酸水素二ナトリウムの3リットルの再蒸留水溶液を2N塩酸でpH6.5に調整して、滅菌濾過してから、注射液用小瓶に充填し、滅菌条件下で凍結乾燥して、滅菌密封する。各注射液用小瓶は5mgの活性化合物を含む。
【0044】
[実施例B]:座剤
20gの一般式Iの活性化合物を、100gの大豆レシチンおよび1400gのカカオバターと混合融解して、混合物を鋳型に注いでから放冷する。各座剤は20mgの活性化合物を含む。
【0045】
[実施例C]:溶液
1gの一般式Iの活性化合物、9.38gのNaH2PO4・2H2O、28.48gのNa2HPO4・12H2Oおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムを940mlの再蒸留水に溶かして溶液を調製する。溶液をpH6.8に調整して、1リットルにして、照射滅菌する。
【0046】
[実施例D]:軟膏
500mgの一般式Iの活性化合物を99.5gのペトロラタムと無菌条件下で混合する。
【0047】
[実施例E]:錠剤
1kgの一般式Iの活性化合物、4kgの乳糖、1.2kgのポテト澱粉、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を通常の方法で錠剤に圧縮して、各錠剤が10mgの活性化合物を含むようにする。
【0048】
[実施例F]:被覆錠剤
実施例Eと同様にして錠剤を圧縮して、次いで通常の方法でショ糖、ポテト澱粉、タルク、トラガカントゴムおよび着色剤からなる被覆物で被覆する。
【0049】
[実施例G]:カプセル
2kgの一般式Iの活性化合物を、各カプセルが20mgの活性化合物を含むように通常の方法でハードゼラチンカプセルに充填する。
【0050】
[実施例H]:アンプル
1kgの一般式Iの活性化合物を60リットルの再蒸留水に溶解した溶液を濾過滅菌して、アンプルに充填し、無菌条件下で凍結乾燥して、滅菌密封する。各アンプルは10mgの活性化合物を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I、すなわち
【化1】

[式中、
1は、Ar、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルまたは4〜8個のC原子を有するシクロアルキルアルキルであり、
2は、Arであり、
1およびR2は合一してまた、
【化2】

であり、
3は、H、OH、OAまたはAであり、
4は、A、またはHal、OH、OA、CF3、NO2、NH2、NHA、NHCOA、NHSO2AまたはNA2で適宜に一基または二基置換され得るフェニルであり、
5は、OH、CH2OHであり、
6およびR7は、それぞれ互いに独立して、H、Hal、OH、OA、CF3、NH2、NHA、NA2、NHCOA、NHCONH2、NO2またはメチレンジオキシであり、
Aは、1〜7個のC原子を有するアルキルであり、
Arは、N、OまたはS原子を適宜含み、かつA、Hal、OH、OA、CF3、NH2、NHA、NA2、NHCOAおよび/またはNHCONH2で一基、二基または三基置換され得る単または二環式芳香族原子団であり、
Dは、CH2、O、S、NH、NA、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH2NH−、−CH2−NA−または結合であり、
Halは、F、Cl、BrまたはIである]
の医薬物であって、N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2,2−ジフェニルアセトアミド塩酸塩を除く。
【請求項2】
式中、Arはフェニルであり、R3はHであり、Aはメチルである、請求項1に記載の一般式Iの医薬物。
【請求項3】
式中、R1はArであり、R2はArであり、R5はOHである、請求項1に記載の一般式Iの医薬物。
【請求項4】
式中、R1はフェニルであり、R2はフェニルであり、R4はフェニルであり、R5はOHであり、Aはメチルである、請求項1に記載の一般式Iの医薬物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬物および生理学的に容認し得るそれらの塩の、カッパ−アヘン製剤作働薬としての薬理作用を有する薬剤調製物の製造のための使用。
【請求項6】
N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2,2−ジフェニルアセトアミド塩酸塩の、カッパ−アヘン製剤作働薬としての薬理作用を有する薬剤調製物の製造のための使用。
【請求項7】
炎症性腹部疾患の治療のための請求項5または6項に記載の使用。
【請求項8】
ミエロパシーにおいて起きる痛みおよび痛覚過敏症の治療ためのカッパ−アヘン製剤作働薬としての請求項5または6項に記載の使用。
【請求項9】
リウマチ性疾患、火傷、日焼けまたは神経皮膚炎における痛み、痛覚過敏症および炎症反応の治療のための請求項5または6項に記載の使用。
【請求項10】
術後痛、痛覚過敏症および術後腸疝痛の治療のための請求項5または6項に記載の使用。
【請求項11】
請求項1〜4の少なくとも一つの医薬物および/または一般式Iの化合物のグリコライズド誘導体の一つまたはN−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2,2−ジフェニルアセトアミド塩酸塩を含んでなることを特徴とする薬剤調製物。

【公開番号】特開2008−201794(P2008−201794A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112917(P2008−112917)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【分割の表示】特願平8−165988の分割
【原出願日】平成8年6月26日(1996.6.26)
【出願人】(507244002)ティオガ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】