説明

炎症性障害、脱髄障害および癌を治療するためのインダゾール化合物

式(I)または式(Ia)の化合物、および患者に、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む、ある種の炎症性障害、脱髄障害、FLT3媒介性障害、CSF-1R媒介性障害、癌および白血病に苦しむ患者を治療する方法 。(Ia)。変量の定義は本明細書において提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2007年8月2日に出願され、その全教示が参照により本明細書中に援用される、米国仮特許出願第60/963,144号の恩恵を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
患者における炎症性障害、脱髄障害、FLT3媒介性障害、癌、白血病またはCSF-1R媒介性障害のための、新規の薬学的に許容され得る治療剤の必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
(発明の概要)
本発明は、患者における炎症性障害、脱髄障害、FLT3媒介性障害、癌、白血病、MYLK2媒介性障壁機能不全障害またはCSF-1R媒介性障害の治療に使用され得る新規の化合物の群に関する。
【0004】
一態様において、本発明は、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または式(Ia)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩であり、


式中、R1はHまたはNRaRbであり;RaおよびRbはそれぞれ独立して水素または任意に置換されたアルキルであるか;またはRaおよびRbはそれらが結合する窒素と共に、1つ以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシルもしくはメトキシで任意に置換され、C1〜C4アルキルもしくは-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルで任意にN’置換された非芳香族複素環を形成し;ここでRcおよびRdは個々に、H、メチルまたはエチルであり;R2はHまたはC1〜C4アルキルであり;R3はHまたはC1〜C4アルキルであり;nは2〜5の整数であり、R4はHまたはC1〜C4アルキルである。
【0005】
別の態様において、本発明は、患者に治療有効量の化合物を投与する工程を含む、患者における炎症性障害、脱髄障害、FLT3媒介性障害、癌、白血病またはCSF-1R媒介性障害の治療方法である。
【0006】
別の態様において、本発明は、薬学的に許容され得る担体中に、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)またはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物である。
【0007】
別の態様において、本発明は、患者における炎症性障害、脱髄障害、FLT3媒介性障害、癌、白血病またはCSF-1R媒介性障害の治療のための医薬の製造のための、式(I)または式(Ia)の化合物の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
ここに、特定のインダゾール化合物の投与が、患者における炎症性障害、脱髄障害、FLT3媒介性障害、癌、白血病またはCSF-1R媒介性障害を治療するために使用され得ることが発見された。
【0009】
一態様において、本発明は、下記の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または式(Ia)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩である。


式(I)または式(Ia)における変数の値および好ましい値は以下に規定される。
【0010】
R1はHまたはNRaRbである。一態様においてR1はH、あるいはR1はNRaRbである。
【0011】
R2はHまたは任意に置換されたC1〜C4アルキルである。好ましくは、R2はHである。
【0012】
R3はHまたはC1〜C4アルキル;好ましくは、R3はメチルである。
【0013】
R4はHまたはC1〜C4アルキル;好ましくは、R4はメチルまたエチルである。
【0014】
整数nは2〜5、好ましくは2または3である。別の態様において、nは2;または、nは3である。別の態様において、nは4;またはnは5である。
【0015】
RaおよびRbはそれぞれ独立して、水素または任意に置換されたアルキルである。あるいは、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に、1つ以上の置換可能な炭素原子がそれぞれ任意にメチル、ヒドロキシルまたはメトキシで任意に置換され、C1〜C4アルキルもしくは-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルで任意にN’置換された非芳香族複素環を形成する。
【0016】
好ましくは、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に、1つ以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシルまたはメトキシで任意に置換され、C1〜C4アルキルまたは-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルで任意にN’置換された5〜7員非芳香族複素環を形成する。あるいは、RaおよびRbまたは個々に、水素であるか、または-OH、-SH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、-COOH、C1〜C3アルキルで任意に置換されたC1〜C3アルキルである。
【0017】
より好ましくは、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に、1つ以上の置換可能な炭素原子が、メチル、ヒドロキシルまたはメトキシで任意に置換され、C1〜C4アルキルまたは-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルで任意にN’置換された5〜7員の非芳香族複素環を形成する。
【0018】
より好ましくは、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に


からなる群より選択される、5〜7員の非芳香族複素環を形成する。
【0019】
QはS、O、CH2、NHまたはNR102であり、R102はメチルまたはエチルである。より好ましくは、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共にN-モルホリニルまたはN-ピペリジニルを形成する。
【0020】
より好ましくは、RaおよびRbはそれぞれ、水素であるか、または-OH、-SH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、-COOH、C1〜C3アルキルで任意に置換されたC1〜C3アルキルである。より好ましくは、RaおよびRbはそれぞれ、H、メチルまたはエチルである。
【0021】
RcおよびRdはそれぞれH、メチルまたはエチルである。
【0022】
第1の好ましい態様において、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に、1つ以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシルまたはメトキシで任意に置換され、C1〜C4アルキルもしくは-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルで任意にN’置換された5〜7員の非芳香族複素環を形成するか;またはRaおよびRbまたはその両方は水素であるか、または-OH、-SH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、-COOH、C1〜C3アルキルで任意に置換されたC1〜C3アルキルである。好ましくは、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に、1つ以上の置換可能な炭素原子が、メチル、ヒドロキシルまたはメトキシで任意に置換され、C1〜C4アルキルもしくは-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルで任意にN’置換された5〜7員の非芳香族複素環を形成する。変数の残りの値および好ましい値は式(I)および式(Ia)中で上述されたとおりである。
【0023】
別の態様において、本発明の化合物は式(II)または式(IIa)


で表される。
【0024】
式(II)および式(IIa)についての値および好ましい値は、式(I)および式(Ia)について上述されたとおりである。
【0025】
別の態様において、本発明の化合物は、式(II)または式(IIa)で表され、式中RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に、1つ以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシルまたはメトキシで任意に置換され、C1〜C4アルキルもしくは-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルで任意にN’置換された5〜7員の非芳香族複素環を形成する。変数の残りの値および好ましい値は式(I)および式(Ia)中で上述されたとおりである。
【0026】
別の態様において、本発明の化合物は、式(II)または式(IIa)で表され、式中nは2または3であり;RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に、1つ以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシルまたはメトキシで任意に置換され、C1〜C4アルキルもしくは-NRcRdで置換されたC1-C4アルキルで任意にN’置換された5〜7員の非芳香族複素環を形成し、変数の残りの値および好ましい値は式(I)および(Ia)中で上述されたとおりである。好ましくは、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に


からなる群より選択される5〜7員の非芳香族複素環を形成し、
式中QはS、O、CH2、NHまたはNR102であり、R102はメチルまたはエチルである。より好ましくは、RaおよびRbは、それらが結合する窒素と共に、N-モルホリニルまたはN-ピペリジニルを形成する。
【0027】
別の態様において、本発明の化合物は、式(II)または式(IIa)で表され、式中RaおよびRbは個々に、水素であるか、または-OH、-SH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、-COOHまたはC1〜C3アルキルで任意に置換されたC1〜C3アルキルであり;変数の残りについての値および好ましい値は、式(I)および(Ia)について上述されたとおりである。
【0028】
別の態様において、本発明の化合物は、式(II)または式(IIa)で表され、式中nは2または3であり、RaおよびRbは個々に水素であるか、または-OH、-SH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、-COOHもしくはC1〜C3アルキルで任意に置換されたC1〜C3アルキルであり;変数についての好ましい値は式(I)について記載されたとおりである。より好ましくは、RaおよびRbは両方H、メチルまたはエチルである。
【0029】
あるいは、前述の7つの段落に記載された態様について、R1はHであり、変数の残りは上述の通りである。別の代替例では、前述の7つの段落に記載された態様において、R1はNRaRbであり、変数の残りは記載されたとおりである。
【0030】
本発明の化合物の例としては:




が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、他に指定されなければ、用語「アルキル」は直鎖または分枝鎖の、飽和一価炭化水素基、典型的にはC1〜C10、好ましくはC1〜C6を含む。アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびt-ブチルが挙げられる。置換アルキルについての適切な置換基としては、-OH、-SH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、-COOH、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシまたはC1〜C3アルキルスルファニル、または-(CH2)p-(CH2)q-C(O)OH(式中pおよびqは独立して1〜6の整数である)が挙げられる。
【0032】
本明細書中で使用する場合、用語「ハロアルキル」は、1つ以上のF、Cl、BrまたはIで置換されたアルキルを含み、ここでアルキルは上述で規定されたとおりである。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は「アルキル-O-」基を意味し、ここでアルキルは上述で規定される。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルコキシ」は「ハロアルキル-O-」を意味し、ここでハロアルキルは上述で規定される。
【0035】
本明細書で使用される場合、アミノ基は一級(-NH2)、二級(-NHRx)、または三級(-NRxRy)であり得、ここでRxおよびRyは上述の任意に置換されたアルキルのいずれかである。
【0036】
用語「非芳香族複素環」は、典型的に4〜8個、好ましくは5〜6個のメンバーを有し、1つ以上の環炭素、好ましくは1〜4個の環炭素がそれぞれN、OまたはSなどのヘテロ原子で置換された非芳香族炭素環系のことをいう。非芳香族複素環は、任意に不飽和であり得る。非芳香族複素環の例としては、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、[1,3]-ジオキサラニル、[1,3]-ジチオラニル、[1,3]-ジオキサニル、2-テトラヒドロチオフェニル、3-テトラヒドロチオフェニル、2-モルホリニル、3-モルホリニル、4-モルホリニル、2-チオモルホリニル、3-チオモルホリニル、4-チオモルホリニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロロリジニル(pyrorolidinyl)、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、4-チアゾリジニル、ジアゾロニルおよびN-置換ジアゾロニルが挙げられる。
【0037】
非芳香族複素環基は、(可能である場合)C-結合またはN-結合であり得る。例えば、ピロール由来の基はピロール-1-イル(N-結合)またはピロール-3-イル(C-結合)であり得る。
【0038】
非芳香族複素環基に適切な置換基は、開示される化合物の医薬活性を実質的に妨害しないものである。同一であり得るかまたは異なり得る1つ以上の置換基が存在し得る。アリール、ヘテロアリールまたは非芳香族複素環基中の置換可能な炭素原子に適切な置換基の例としては、-OH、ハロゲン(-F、-Cl、-Brおよび-I)、-R'、ハロアルキル、-OR'、-CH2R'、-CH2OR'、-CH2CH2OR'、-CH2OC(O)R'、-O-COR'、-COR'、-SR'、-SCH2R'、-CH2SR'、-SOR'、-SO2R'、-CN、-NO2、-COOH、-SO3H、-NH2、-NHR'、-N(R')2、-COOR'、-CH2COOR'、-CH2CH2COOR'、-CHO、-CONH2、-CONHR'、-C0N(R')2、-NHCOR'、-NR'COR'、-NHCONH2、-NHCONR'H、-NHCON(R')2、-NR'CONH2、-NR'CONR'H、-NR'CON(R')2、-C(=NH)-NH2、-C(=NH)-NHR'、-C(=NH)-N(R')2、-C(=NR')-NH2、-C(=NR')-NHR'、-C(=NR')-N(R')2、-NH-C(=NH)-NH2、-NH-C(=NH)-NHR'、-NH-C(=NH)-N(R')2、-NH-C(=NR')-NH2、-NH-C(=NR')-NHR'、-NH-C(=NR')-N(R')2、-NR'H-C(=NH)-NH2、-NR'-C(=NH)-NHR'、-NR'-C(=NH)-N(R')2、-NR'-C(=NR')-NH2、-NR'-C(=NR')-NHR'、-NR'-C(=NR')-N(R')2、-SO2NH2、-SO2NHR'、-SO2NR'2、-SH、-SOkR'(kは0、1または2である)ならびに-NH-C(=NH)-NH2が挙げられる。それぞれR'は独立してアルキル基である。オキソ(C==O)およびチオ(C==S)も非芳香族複素環に適切な置換基である。
【0039】
非芳香族複素環基の窒素上の適切な置換基としては、-R"、-N(R")2、-C(O)R"、-CO2R"、-C(O)C(O)R"、-C(O)CH2C(O)R"、-SO2R"、-SO2N(R")2、-C(=S)N(R")2、-C(=NH)-N(R")2および-NR"SO2R"が挙げられる。R"は水素、アルキルまたはアルコキシ基である。
【0040】
本明細書中のさまざまな箇所に、化合物の置換基の基または範囲が開示される。該記載は、かかる基および範囲のメンバーのそれぞれおよび全ての個々の下位組合せを含むことが、具体的に意図される。例えば、用語「C1〜6アルキル」は、具体的に、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1〜C6、C1〜C5、C1〜C4、C1〜C3、C1〜C2、C1〜C6、C2〜C5、C2〜C4、C2〜C3、C3〜C6、C3〜C5、C3〜C4、C4〜C6、C4〜C5およびC5〜C6のアルキルを個々に開示することを意図する。別の例として、用語「5〜7員非芳香族複素環」は、具体的に、5、6、7、5〜7、5〜6および6〜7個の環原子を有する複素環を個々に開示することを意図する。
【0041】
本明細書を通じて、構造は化学名で表している場合もあり、表していない場合もある。命名法に関して何らかの疑問が生じる場合は、該構造が優勢である。
【0042】
本発明の化合物により治療可能な障害
ここに、式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物は、患者における炎症性障害、脱髄障害、FLT3媒介性障害、癌、白血病またはCSF-1R媒介性障害を治療するために使用可能であることが見い出された。用語「患者」は、温血動物、すなわち哺乳動物、例えばラット、マウス、イヌ、ネコ、モルモットおよびヒトを含む霊長類を意味する。用語「治療」または「治療すること」は、限定されないが、名前を挙げた障害もしくは状態の症状を緩和すること、一時的または永久的な基準のいずれかで症状の原因を排除すること、または症状の発生および進行を予防もしくは遅延することを含む、任意の治療を含む。
【0043】
1. 癌
一態様において、本発明は、癌に苦しむ患者の治療方法である。該方法は、患者に、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。
【0044】
別の態様において、本発明は、癌に苦しむ被検体の治療方法である。本明細書で使用される場合、用語「癌」は、正常組織から変異した異常細胞の制御できない増殖のことをいう。癌性腫瘍(悪性腫瘍)は、無限増殖が可能であり、浸潤により局所に、および転移により全身に拡大する。本発明の化合物により治療され得る癌の例としては、乳癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、腎癌、肉腫、黒色腫、頭頸部癌、肝細胞癌、甲状腺癌、多剤耐性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、食道癌、大腸癌、膵臓癌、中皮腫、癌腫(例えば、食道腺癌を含む腺癌)、肉腫(例えば、紡錐体細胞癌、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、腹部平滑筋肉腫、硬化類上皮肉腫)および黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)が挙げられる。一態様において、患者は骨転移について治療され得る。前述の癌の下位分類の治療も含まれる。下位分類は以下の段落に記載される。
【0045】
「癌に苦しむ被検体を治療すること」は、部分的または実質的に、以下:癌の増殖または拡散を停止すること、癌の程度を低減すること(例えば、腫瘍の大きさを低減することまたは罹患部位の数を低減すること)、癌の増殖速度を抑制することおよび癌に関連する臨床的症状もしくは指標(例えば組織または血清成分)を緩和または改善することの1つ以上を達成することを含む。
【0046】
本明細書で使用される場合、「骨転移を治療すること」は、骨転移の大きさを(部分的または完全に)低減すること、治療なしに比べて転移の増殖を遅延すること、および癌の更なる拡散を低減することをいう。「骨転移を治療すること」は、苦痛の低減、骨折の発生の低下、骨髄の圧迫の軽減、高カルシウム血症(hypercalcaemia)の制御および/または正常血液細胞数の回復も含む。
【0047】
「乳癌」としては、限定されないが、腺管癌、小葉癌、炎症性乳癌、髄様癌、膠質性または粘液性癌腫、乳頭状癌、管状腺癌、トリプルネガティブ乳癌(triple negative breast cancer)、炎症性乳癌、化生性癌、パジェット病および葉状腫瘍が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「卵巣癌」は、生殖細胞、ストロマ細胞および上皮細胞の癌を含む、卵巣またはファローピウス管の癌である。卵巣癌の例としては、限定されることなく:
血清腺腫、ムチン腺腫、およびブレンナー腫、低悪性の腫瘍(tumors of low malignant potential)(LMP腫瘍)、境界上皮卵巣癌、上皮卵巣癌、癌腫および未分化上皮卵巣癌を含むがこれに限定されない上皮卵巣腫瘍;
奇形腫、未分化胚細胞腫、内胚葉洞腫瘍および絨毛癌を含むがこれに限定されない生殖細胞腫瘍;ならびに
顆粒膜細胞腫、顆粒膜-被膜腫瘍およびセルトーリ-ライディッヒ細胞腫を含むがこれに限定されないストロマ腫瘍
が挙げられる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「腎癌」または「腎臓癌」としては、腎盂の移行細胞癌(TCC)、ウィルムス腫および腎細胞癌が挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
腎細胞癌は、腎腺癌または副腎腫とも称される。腎細胞癌において、癌性細胞は細管の内層(lining)(血液の濾過を補助して尿を作製するネフロン内部の最も小さい管)中に見られる。
【0051】
明細胞、好色素性、色素嫌性、腫瘍細胞性、回収管および類肉腫様の細胞を含むがこれに限定されない腎細胞癌のいくつかの種類がある。
【0052】
1つより多くの上述の細胞の種類を含む癌も腎癌に含まれる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「黒色腫」は、メラニン形成細胞と称される皮膚を着色する細胞中に生じる皮膚癌の種類である。黒色腫の種類としては:
皮膚黒色腫、表在性拡散黒色腫、結節性悪性黒色腫、黒子悪性黒色腫、末端部黒子黒色腫、線維形成性(demoplastic)悪性黒色腫、巨大メラニン形成細胞母斑、メラニン欠乏性悪性黒色腫、粘膜性悪性黒色腫および眼悪性黒色腫を含む末端黒子黒色腫異常黒色腫変形体
が挙げられるが、これに限定されない。
【0054】
本明細書で使用される場合、「肉腫」としては、線維体組織由来の線維肉腫、筋肉組織由来の平滑筋肉腫および横紋筋肉腫、脂肪由来の脂肪肉腫、滑膜肉腫、血管由来の血管肉腫、MPNST-悪性末梢神経梢腫瘍(PNST)、GIST-胃腸ストロマ肉腫、骨肉腫、筋肉腫、軟骨肉腫、胆管肉腫、脳肉腫、胸肉腫、軟組織肉腫、子宮肉腫、心臓内肉腫、支持組織由来のストロマ肉腫(子宮内膜ストロマ肉腫)、顆粒球(granuloytic)肉腫、組織溶解性(histiolytic)肉腫、血管内皮肉腫、クップファー細胞肉腫、神経肉腫、円形細胞肉腫、小網細胞肉腫、紡垂細胞肉腫、皮膚のカポジ肉腫、ユーイング肉腫およびPNETが上げられるがこれに限定されない。特定の態様において、肉腫は平滑筋肉腫または脂肪肉腫である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「甲状腺癌」としては、乳頭状および/または混合乳頭状/小胞状、小胞状および/またはヒュルトレ細胞、リンパ腫、髄質、未分化ならびにそれらの組合せが挙げられるが、これに限定されない。
【0056】
本明細書中で使用される場合、用語「頭頸部癌」は、鼻腔、洞、口、のど、咽頭(発声器)、嚥下管、唾液腺を含む頭部および頸部のいくつかの領域で生じる腫瘍を包含し、ならびに頭皮、顔面、または頸部で発症する皮膚癌も頭頸部癌と見なされ得る。これらの癌としては、扁平上皮癌、粘液性類表皮癌、腺様嚢胞癌、リンパ腫、腺癌、感覚神経芽腫、鼻腔および副鼻腔の腫瘍、鼻咽頭癌、口腔の癌(口の全ての種々の部分、唇および頬の内部の内層(頬粘膜)、口の底、舌の前面、口上部の前面部分(硬口蓋)、歯茎、および親知らずの背後の領域(臼後三角)を含む)、口腔咽頭部の腫瘍、下咽頭腫瘍、咽頭癌および唾液腺癌(悪性唾液腺腫瘍を含む)が挙げられるが、これに限定されない。
【0057】
本明細書で使用される場合、「肝細胞癌」または「肝臓癌」としては、肝細胞の癌(しばしば肝癌またはHCCとも称される)「癌腫」、線維層HCC、胆管癌、血管肉腫(angiosarcoma)(血管肉腫(haemangiosarcoma)とも称される)および胚芽腫が挙げられるが、これに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される場合、「非小細胞肺癌」としては、扁平上皮癌、腺癌および未分化非小細胞肺癌(発達していない癌細胞は未分化細胞として公知である)および大細胞癌が挙げられる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「結腸直腸癌」としては、任意の種類の結腸または直腸の癌、例えば、腺癌、肉腫、黒色腫、ストロマ、カルチノイドおよびリンパ腫が挙げられるが、これに限定されない。
【0060】
2. 炎症性状態
一態様において、本発明は炎症性状態に苦しむ患者の治療方法である。該方法は、患者に、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。該状態は、全身性狼瘡、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、慢性関節リウマチ、サルコイド、アルツハイマー病、インスリン依存性真性糖尿病、アテローム硬化症、喘息、脊髄損傷、脳卒中、慢性炎症性脱髄神経障害、多発性硬化症、先天性代謝障害、異常髄鞘形成を伴う神経障害、薬物誘導性脱髄、放射線誘導性脱髄、遺伝性脱髄状態、プリオン誘導性脱髄、脳炎誘導性脱髄であり得る。
【0061】
慢性炎症性脱髄神経障害の例としては、慢性免疫脱髄多発性神経障害(CIDP);多病巣性CIDP;多病巣性運動神経障害(MMN);抗MAG症候群(ミエリン関連糖タンパク質に結合するIgMを伴う神経障害);GALOP症候群(歩行障害自己抗体高齢発症多発性神経障害);抗スルファチド抗体症候群;抗GM2ガングリオシド抗体症候群;POEMS症候群(多発性神経障害臓器巨大症内分泌障害または水腫Mタンパク質皮膚変化);神経周膜炎;およびIgM抗GD1bガングリオシド抗体症候群が挙げられる。
【0062】
3. 脱髄状態
別の態様において、本発明は脱髄状態に苦しむ患者の治療方法である。該方法は、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「脱髄状態」は、ミエリン鞘の完全性を破壊、分解する、またはミエリン鞘を損傷する状態である。本明細書で使用される場合、用語「ミエリン鞘」は、導電速度を増加し、末梢神経系のシュヴァン細胞または中枢神経系の希突起膠細胞により形成される、脊椎動物のニューロン周辺にある絶縁層のことをいう。かかる状態は、多発性硬化症、先天性代謝障害、異常ミエリン形成を伴う神経障害、薬物誘導性脱髄、放射線誘導性脱髄、遺伝性脱髄状態、プリオン誘導性脱髄、脳炎誘導性脱髄、脊髄損傷、アルツハイマー病および慢性炎症性脱髄神経障害であり得、その例は上述される。一態様において、該状態は多発性硬化症である。該方法は、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与する工程を含む。
【0063】
別の態様において、本発明は、患者における神経細胞の髄再形成を促進する方法であり、髄再形成の促進を必要とする患者に治療有効量の式(I)または式(Ia)の化合物を投与する工程を含む。患者は任意の上述の脱髄状態に苦しみ得る。
【0064】
別の態様において、本発明は、脱髄の予防および髄再形成の促進を必要とする患者において、脱髄を予防し、髄再形成を促進する方法であり、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および下記の抗炎症剤の組合せを投与する工程を含む。
【0065】
別の態様において、本発明は、麻痺の逆行を必要とする、脱髄疾患を有する被検体における麻痺の逆行方法であり、脊髄中の免疫細胞のリンパ球浸潤を阻害するのに十分な量の化合物を被検体に投与して脊髄中の神経細胞の髄再形成を促進し、それにより被検体における麻痺を治療する工程を含み、ここで該化合物は式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0066】
例えば多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)および乾癬などの疾患は、本質的に全身性であり得るか、そうでなければ身体の個々の器官で誘導され得る身体の免疫系による攻撃を示す自己免疫疾患と見なされる。それらは、免疫系が防御機能を媒介する代わりに間違いを起こして、侵略者となる疾患であると思われる。一局面において、本発明の化合物は、自己免疫疾患の治療のために使用される。
【0067】
本発明の化合物は、多発性硬化症および慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療のための様式で使用され得る。多発性硬化症(MS)に関連する種々の状態の治療のための薬剤化合物の有用性を示す一方法は、実験動物において、実験的アレルギー性脳脊髄炎の効果を抑制する該化合物の能力である。
【0068】
実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、MSの動物モデルであり、特定の感受性哺乳動物において、ミエリン塩基性タンパク質に対するT細胞媒介性自己免疫疾患の誘導を必然的に伴う。EAEモデルは、MSに関連する脳および脊髄の炎症を研究するための適切な方法である(Bolton, C. Mult, Scler, 1995;1(3);143-9参照)。
【0069】
げっ歯類において、全脊髄成分またはミエリン塩基性タンパク質などの脊髄成分の注射は、Tリンパ球の活性化に基づいた自己免疫応答を誘導する。典型的に、臨床的な疾患は、接種の8〜10日後頃に現れ、軽度の歩行障害および尾の無緊張から完全麻痺および死の範囲の行動異常の広範囲の一連のものとして観察される。典型的に体重減少が起こる。生存する動物においては、ほとんどの運動機能の種々の回復を伴って、自発的な回復が生じる。使用した種、抗原および方法に応じて、EAEモデルで試験される動物は単回(急性EAE)または数回(慢性再発EAE)の攻撃を受ける。
【0070】
EAEの治療には多くの構造的形態がある:治療は予防的または保護的であり得、免疫前に治療組成物が投与される:治療は誘導の第1週の内に開始され得る:および、治療は介入的であり得るか、臨床的症状が(急性または慢性の)程度になった後に開始され得る。予防プロトコルは文献中で非常に一般的であり、疾患後の治療は稀であり、疾患の数週間後の治療は最もめずらしい。
【0071】
慢性関節リウマチ(RA)は、軟骨および骨の破壊を引き起こす、関節中の慢性びらん性炎症を特徴とする自己免疫障害である。いくつかの疾患改変抗リウマチ薬(DMARDS)がRAの治療に使用される。現在、最も重要な2種類のDMARDSは、腫瘍壊死因子α(TNF-α)のインヒビターおよびメトトレキサートである(MTX)。RAに関連する種々の状態の治療のための薬剤化合物の有用性を示すための一方法は、マウスにおけるコラーゲンモノクローナル抗体(mAB)による関節炎の誘導を阻害する該化合物の能力である。
【0072】
コラーゲン誘導性関節炎(CIA)は、関節の軟骨の主要な構成タンパク質であるII型コラーゲンを用いた免疫により、げっ歯類の罹患し易い種(ラットおよびマウス)および非ヒト霊長類で誘発され得る実験的自己免疫疾患である。CIAは、マウスの四肢にはれおよび紅斑を示す。自己免疫のこのモデルは、慢性関節リウマチ(RA)といくつかの臨床的および病理的な特徴を共有し、最も広く研究されるRAのモデルとなっている。マウスモデルのCIAは、1980年にCourtenayらにより最初に記載された(Courtnay, J. S., Dallman, M. J., Dayman, A.D., Martin A.およびMosedale, B. (1980) Immunisation against heterologous type II collagen induces arthritis in mice. Nature 283, 666-668)。RAのように、CIAに対する罹患性は、主要組織適合性複合体(MHC)のII型分子により制御され、T細胞が担う重要な役割を示す。
【0073】
4. FLT3媒介性障害
一態様において、本発明は、FLT3媒介性障害に苦しむ患者の治療方法である。該方法は、患者に、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「FLT3媒介性障害」は、FLT3タンパク質キナーゼを完全にまたは部分的に阻害することにより、1つ以上の症状が阻害、緩和、減少し得るか、または該症状の開始が遅延され得る障害である。FLT3の阻害は、おそらく、DC誘導性のT細胞刺激の阻害を介して免疫応答を抑制することが示されており、自己免疫疾患の治療のためのものであると考えられ得る(WO 2006/020145 A2;Whartenby, et al, PNAS, 2005, 102, 16741-16746参照)。
【0075】
用語「治療」または「治療すること」は、FLT3媒介性状態に関して使用される場合、症状の緩和、一時的または永久的基準のいずれかのFLT3媒介性状態に関する症状の原因の排除、または症状の発症および該障害もしくは状態の進行の予防もしくは遅延を含む任意の治療を含むが、これに限定されない。
【0076】
本明細書において使用される用語「治療有効量」は、FLT3媒介性状態に関して使用される場合、患者におけるFLT3媒介性障害の進行の部分的または全体的な阻害もしくは遅延を達成する、本明細書に開示される化合物の量である。
【0077】
FLT3媒介性障害および状態としては、軸索変性、急性横断脊髄炎、筋萎縮側索硬化症、乳児期脊髄性筋萎縮症、若年性脊髄性筋萎縮症、クロイツフェルト-ヤコブ病、亜急性硬化性汎脳炎、器官拒絶、骨髄移植拒絶、非骨髄剥離性骨髄移植拒絶、強直性脊椎炎、再生不良性貧血、ベーチェット病、対宿主性移植片病、グレーヴズ病、自己免疫溶血性貧血、ヴェーゲナー肉芽腫症、過剰IgE症候群、特発性血小板減少性紫斑病および重症筋無力症が挙げられる。
【0078】
5. 白血病
一態様において、本発明の化合物、例えば式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物は、FLT3媒介性白血病を含む特定の白血病を治療するために使用され得る。
【0079】
一態様において、本発明は、FLT3変異を特徴とする急性骨髄性白血病に苦しむ患者を治療する方法である。該方法は、患者に、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。
【0080】
本明細書において使用する場合、用語「白血病」は、血液細胞、通常白血球細胞(白血球)の異常増殖を特徴とする、血液または骨髄の癌である。これは、血液学的新生物と称される広範囲の疾患の群の一部である。
【0081】
白血病は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)および慢性リンパ性白血病(CLL)から選択される。一態様において、本発明は毛様細胞性白血病(HCL)に苦しむ患者の治療方法である。
【0082】
急性リンパ性白血病(急性リンパ芽球性白血病またはALLとしても公知)は、若年小児における最も一般的な種類の白血病である。この疾患には、成人、特に65歳以上の成人もかかる。
【0083】
急性骨髄性(Myelogenous)白血病(急性骨髄性(myeloid)白血病またはAMLとしても公知)は、小児よりも成人に、より一般的に生じる。この種類の白血病は、以前は、急性非リンパ性白血病と称されていた。
【0084】
慢性リンパ性白血病(CLL)には、55歳以上の成人が最も頻繁にかかる。これはしばしば、より若い成人も発症するが、小児はほとんどかからない。
【0085】
慢性骨髄性白血病(CML)は、主に成人に生じる。非常に少数の小児もこの疾患を発症する。
【0086】
毛様細胞白血病(HCL)白血病は、変異した部分成熟B細胞が骨髄中に蓄積する、不治の無痛性血液障害である。その名称は、短く鋭い毛状の突起で覆われたような細胞の形状に由来する。任意の他の白血病とは異なり、HCLは、少ない白血球数を特徴とする。
【0087】
6. CSF-1R媒介性障害
一態様において、本発明は、CSF-1R媒介性状態の治療を必要とする患者における、CSF-1R媒介性状態の治療方法であり、該患者に、治療有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。
【0088】
コロニー刺激因子-1レセプター(CSF-1R)シグナル伝達は、上述の障害および状態の病因に重要な役割を果たし、例えば、Simoncic et al., Mol.Cel. Biol., Vol.26, No.11(2006), pp. 41-49- 4160.;Yang et al., Ann. Rheum. Dis. (2006); 65, pp. 1671-1672;Irving et al., The FASEB J., Vol. 20 (2006): pp.E1315-E1326;Irving et al., The FASEB J., Vol. 20 (2006), pp. 1921-1923;Heinonen et al., PNAS (2006), vol. 103, no. 8, pp. 2776-2781;Conway et al., PNAS (2006), vol. 102, no. 44, pp. 16078-16083;Himes et al., The J. Immunol. (2006), 176: 2219-2228;Pixley et al., Trends in Cell Biol. (2004), Vol. 14, No. 11, pp.628-638;米国特許出願公開公報第2006/0094081号;米国特許出願公開公報第2006/0189623号;米国特許出願公開公報第2006/0148812号;米国特許出願公開公報第2006/0100201号;米国特許第5,714,493号;米国再発行特許(U.S.RE)37,650号に記載される。これら全ての参考文献の関連部分は参照により本明細書中に援用される。
【0089】
CSF-1R媒介性障害としては、心臓血管疾患(例えば、動脈硬化症)、糸球体腎炎を含む炎症成分を有する疾患、プロテーゼ欠損、サルコイドーシス、うっ血性閉塞性肺疾患、喘息、膵炎、HIV感染、乾癬、糖尿病、腫瘍関連血管新生、加齢関連黄斑変性、糖尿病網膜症、再狭窄、統合失調症、腫瘍転移もしくは変形性関節症に生じる骨格痛、または内臓炎症性神経痛、骨粗しょう症、パジェット病、プロテーゼ欠損、骨溶解性肉腫、骨髄腫、および骨への腫瘍転移、子宮癌、胃癌、毛様細胞白血病、シェーグレン症候群、またはブドウ膜炎が挙げられる。該障害は、骨溶解性肉腫、骨髄腫、および骨への腫瘍転移、子宮癌、胃癌、毛様細胞白血病などの癌を含む。
【0090】
本発明の化合物により阻害されるキナーゼ
FLT3(Fms様チロシンキナーゼ;他の名称としてはCD135、FLK2(胎児性肝臓キナーゼ2)、STK1(幹細胞キナーゼ1)が挙げられる)は、血小板由来増殖因子(PDGF)、コロニー刺激因子1(CSF1)およびKITリガンド(KL)のレセプターに構造的に関連があるクラスIIIレセプターチロシンキナーゼ(RTK)である。これらのRTKは、細胞外ドメイン中に5つの免疫グロブリン様ドメイン、および特異的親水性挿入物(キナーゼ挿入物)により二つが離れた細胞内チロシンキナーゼドメインを含む。しかしながら、PDGFレセプターおよびc-Kitに非常に関連のあるFLT3は、PDGFおよびc-Kitの小分子インヒビターによって阻害されない;(G Del Zotto et al., J Biol. Regulators Homeostatic Agents 15: 103-106, 2001)。
【0091】
本発明の化合物は、低ナノモル濃度でFLT3の阻害を示す。また、本発明の化合物は、FLT3に高度に特異的であり、チロシンキナーゼのより広い群のV561D変異PDGFRA(60〜80nM EC50)およびCSF-1R(200〜400nM EC50)に対してはより低い程度に特異性である。FLT3の阻害は、樹状細胞およびその漸増T細胞との相互作用および再訓練により媒介される抗原提示およびシグナル伝達経路を変更することによる、遊走炎症細胞の調節に関連する(Ajami et al. A.M., Boss, M. A.およびPaterson, J. Compounds for treating autoimmune and demyelinating diseases. 米国特許出願第2006/0189546A1号、その開示は参照により本明細書中に援用される)。
【0092】
一態様において、本発明は、被検体におけるFLT3の活性の調節方法であり、該被検体に、有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。
【0093】
本発明の化合物は、さらに、Flt3キナーゼクラスに活性部位関係を有さないMYLK2、軽鎖ミオシンキナーゼ、カルシウム依存性、セリントレオニンキナーゼに対して、予想外のオフターゲット阻害効果を示す。
【0094】
MYLK2はFlt3とは構造的に関連はないが、両キナーゼの阻害により、本発明の化合物の作用様式に、偶然の関連のある機能的な関係が示唆される。
【0095】
骨髄細胞、リンパ細胞および癌細胞が転移に共有する侵襲性細胞の関連のある特徴は、基底膜などの細胞障壁を破り(breech)、組織、例えば多発性硬化症の場合はミエリン、またはクローン病もしくは潰瘍性大腸炎の場合は小腸上皮細胞に侵入して該組織を破壊する能力である(Behanna HA, Watterson DMおよびRanaivo HR (2006) Biochim. Biophys. Acta 1763:1266-1274;Shen L, Black ED, Witkowski ED, Lencer WI, Guerriero V, Schneeberger EEおよびTurner JR (2006), J Cell. Sci. 119:2095-2106)。炎症性関節炎における血管から滑膜および骨への遊走は、転移性癌における腫瘍関連マクロファージおよび破骨細胞の認識される遊走行動がなされる別の場合と同様に働く。
【0096】
これらのいわゆる血管外遊走細胞は、アクトミオシン制御複合体に支配される細胞内収縮力および細胞内ミオシン複合体の収縮サイクルの分子機構の過剰発現を有する。同様の特徴により、免疫系細胞の侵入による破壊的輸送を可能にする漏出性構造の原因となる、基底障壁の機能不全は、それ自体が、接着結合などの細胞内接着力とこれらの接着構造に結合する細胞内収縮力の不均衡の結果である。これらの収縮力も、アクチン-ミオシン細胞骨格機能に媒介される。この細胞骨格機能の活性化には、ミオシン軽鎖キナーゼ(MYLK2)によるミオシン制御軽鎖(MLC)のリン酸化が必要である(Kuhlmann CRW, Tamaki R, Gamerdinger M, Lessman V, Behl C, Kempski OSおよびLuhmann HJ, J. Neurochem. 102:501-507)。
【0097】
したがって、高レベルのMYLK2の阻害は、活性化された免疫細胞輸送能力を抑制することおよび免疫学的に変化した障壁細胞がそれ自体を引き離されて基底組織への侵入の影響を悪化させる性質を抑制することの両方において有益であり得ることがわかる。このように、本発明の例示である化合物(IV)により達成される低nMの阻害EC50値は、(ミオシン軽鎖キナーゼ)インヒビター(マイクロモーラーEC50レベルで)前述のMLCKとして公知であるアリールスルホンアミドよりも有意に高い潜在力で、予期されない新規の結果を示す(Saitoh M, Ishikawa T, Matsushima S, Naka M,およびHidaka H (1987), J. Biol. Chem. 262(16):7796-7801)。
【0098】
MYLK2媒介性障壁機能不全障害としては、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸虚血、腸閉塞、血管原性虚血、病巣大脳虚血、出血性または敗血性ショック、ウイルス関連ミエロパシー、敗血性脳障害、糸球体腎炎、プロテーゼ欠損、移植片対宿主病、サルコイドーシス、うっ血性閉塞性肺疾患、喘息、膵炎、HIV感染、HIV関連痴呆、乾癬、アトピー性皮膚炎、糖尿病、腫瘍関連血管形成、再狭窄、腫瘍転移もしくは変形性関節症により生じる骨格痛、または内臓炎症性神経痛、骨溶解性肉腫、骨髄腫、および骨への腫瘍転移、子宮癌、胃癌、毛様細胞白血病、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、子宮癌ならびに胃癌などの炎症成分を有する疾患が挙げられる。
【0099】
一態様において、本発明は、被検体におけるMYLK2の活性の調節方法であり、該被検体に、有効量の式(I)もしくは式(Ia)もしくは式(II)もしくは式(IIa)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。
【0100】
投与の様式
用語「治療有効量」は、前記障害または状態の治療に有効な化合物の量を意味する。特定の状態または障害の治療または阻害のために投与される場合、有効用量は、利用される特定の化合物、投与の様式、および治療される状態の重症度、ならびに治療される個体に関する種々の身体的要因に応じて変化し得ることが理解される。治療的応用において、本発明の教示の化合物は、すでに疾患に苦しんでいる患者に、該疾患およびその合併症の症状を治療するのに充分な量で提供され得る。特定の個体の治療に使用される用量は、典型的には、主治医により主観的に決定されるべきである。関連のある変形物は、患者の具体的な状態およびその状態(state)ならびに体格、年齢および応答パターンを含む。
【0101】
特定の態様において、治療有効量は、患者における神経細胞の髄再形成をもたらすのに充分な量を意味する。
【0102】
上述の状態に苦しむ患者の治療において、全ての開示された化合物は、化合物が治療有効量で生体利用可能となる任意の形態または様式で投与され得る。例えば、式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物は、薬学的に許容され得る塩の形態で投与され得る。用語「薬学的に許容され得る塩」は、本発明の化合物を機能させることが可能である場合、酸付加塩または塩基付加塩のいずれかを意味する。「薬学的に許容され得る酸付加塩」は、式(I)または式(Ia)で表される基本化合物の任意の非毒性、有機または無機の酸付加塩である。適当な塩を形成する代表的な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸、ならびに一水素オルトリン酸ナトリウムおよび硫酸水素カリウムなどの酸金属塩が挙げられる。適当な塩を形成する代表的な有機酸としては、モノ-、ジ-およびトリカルボン酸が挙げられる。かかる酸の代表例は、例えば酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸(salicyclic)、2-フェノキシ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、ならびにメタンスルホン酸および2-ヒドロキシエタンスルホン酸などのスルホン酸である。一酸塩または二酸塩のいずれを形成することも可能であり、かかる塩は水和または実質的に無水のいずれかの形態で存在し得る。一般的に、これらの化合物の酸付加塩は、水および種々の親水性有機溶媒に対して、より可溶性であり、それらの遊離塩基形態と比較して、一般的に、より高い融点を示す。「薬学的に許容され得る塩基付加塩」は、式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物の非毒性、有機または無機の塩基付加塩を意味する。例は、アルカリ金属またはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムの水素化物などのアルカリ土類金属の水素化物;アンモニア、ならびに脂肪族、脂環式またはメチルアミン、トリメチルアミンおよびピコリンなどの芳香族有機アミンである。エステルが加水分解されないような適切な塩の選択が重要であり得る。適切な塩の選択基準は、当業者に公知である。
【0103】
本発明の化合物は、経口、舌下、口腔内、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、鼻腔内、直腸、局所などを含む多くの経路により投与され得る。製剤を調製する当業者は、治療される状態または疾患、疾患の段階、患者の状態および他の関連のある状況について選択される化合物の特定の特性に応じた適切な形態および投与の様式を決定し得る。例えば、参照により本明細書中に援用されるRemington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Co. (1990)を参照。
【0104】
開示される化合物は、例えば、カプセル、懸濁物または錠剤で、経口などの任意の適切な経路により投与される。
【0105】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、限定されることなく、錠剤(例えばチュアブル錠剤)、カプレット、カプセルおよび液体(例えば味のついたシロップ)などの種々の投与形態で存在し得る。かかる投与形態は所定量の活性成分を含み、当業者に周知の薬学法により調製され得る。一般的に、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) 第18版, Mack Publishing, Easton PAを参照。
【0106】
本発明の典型的な経口投与形態は、(1つまたは複数の)活性成分を、従来の医薬調合技術に従った少なくとも1つの賦形剤と組み合わせて調製される。賦形剤は、投与に望ましい製剤の形態に依存した種々の形態を取り得る。例えば、経口の液体またはエーロゾル投与形態における使用に適した賦形剤としては、限定されないが、水、グリコール、油、アルコール、香料、保存剤および着色剤が挙げられる。固形経口投与形態(例えば、粉末、錠剤、カプセルおよびカプレット)における使用に適した賦形剤の例としては、限定されないが、デンプン、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤および崩壊剤が挙げられる。
【0107】
また、溶液または懸濁物は、1つ以上の以下の補助薬:注射用の水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸またはリン酸などのバッファ、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性を調整するための薬剤を含み得る。非経口製剤は、アンプル、使い捨てシリンジまたは複数投与バイアルに含まれ得る。
【0108】
本発明の式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物はまた、局所投与され得、そうされる場合には担体は溶液、軟膏またはゲルベースを適切に含み得る。例えば、該ベースは、1つ以上のペトロラタン、ラノリン、ポリエチレングリコール、ミツバチワックス、鉱物油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳化剤および安定化剤を含み得る。
【0109】
本発明の化合物が癌の治療に使用される態様において、開示される化合物、例えば前述の例を含む式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物が治療的に作用する能力を発揮する用量範囲は、状態の重症度、患者、製剤、患者が苦しんでいる他の基礎疾患状態、ならびに患者に同時に投与され得る他の医薬に応じて変化し得る。一般的に、本明細書に記載される化合物は、約0.1mg/m2遊離塩基当量/体表面積平方メートル/単回投与〜約1000mg/m2遊離塩基当量/体表面積平方メートル/単回投与の範囲の用量で治療活性を発揮する。例えば、これらの用量は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回または4週間のうち3週間毎に周に1回投与され得る。
【0110】
あるいは、癌の治療に使用される場合、開示される化合物は毎日(典型的には経口)投与され得る。本発明の化合物の投与の日用量は、一態様において、1週間反復され得る。他の態様において、日用量は1ヶ月〜6ヶ月、6ヶ月〜1年、1年〜5年および5年〜10年反復され得る。代表的な全1日用量は10〜2000mgの範囲の用量を含む。全1日用量は当量に分けられ、1日に2回、1日に3回、または1日に4回投与され得る。他の態様において、反復投与による治療の長さは医師により決定される。
【0111】
他の適応症の治療に使用される場合、式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の開示される化合物が治療的に作用する能力を発揮する用量範囲は、状態の重症度、患者、製剤、患者が苦しんでいる他の基礎疾患状態および患者に同時投与され得る他の医薬に応じて変化し得る。一般的に、本発明の化合物は、約0.001mg/kg患者体重/日〜約100mg/kg患者体重/日の用量で、その治療活性を発揮する。例えば、用量は、0.1〜100mg/kg/2日または1週間であり得る。
【0112】
併用療法
本発明に使用される化合物は、単独または治療される炎症性状態および/または脱髄障害に有効な1つ以上の他の医薬活性剤と組み合わせて投与され得る。
【0113】
本明細書で使用される場合、医薬活性剤に関して用語「組合せ」、ならびに用語「共投与する」および「共投与」は、必ずしも同時または混合物でなく、1つより多くの医薬活性剤を、一治療サイクル中に患者に投与することをいう。
【0114】
一態様において、本発明の化合物は抗炎症剤と組み合わせて投与される。抗炎症剤は、副腎皮質刺激ホルモン、コルチコステロイド、インターフェロン、酢酸グラチラマーまたは非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)であり得る。
【0115】
適切な抗炎症剤の例としては、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾンコルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、またはベタメタゾンなどのコルチコステロイドが挙げられる。
【0116】
適切な抗炎症剤の他の例としては、アミノアリールカルボン酸誘導体(例えば、エンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルメート、テロフェナメート(Terofenamate)およびトルフェナム酸)、アリール乳酸誘導体(例えば、アセマチシン(Acematicin)、アルクロフェナク、アンフェナク、ブフェキサマク、カプロフェン(Caprofen)、シンメタシン(Cinmetacin)、クロピラク、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク、フェンクロラク(Fenclorac)、フェンクロジン酸(Fenclozic Acid)、フェノプロフェン、フェンチアザク、フルビプロフェン(Flubiprofen)、グルカメタシン(Glucametacin)、イブフェナック、イブプロフェン、インドメタシン、イソフェゾラク(Isofezolac)、イソキセパック(Isoxepac)、ケトプロフェン、ロナゾラク、メチアジン酸、ナプロキセン、オキサメタシン、プログルメタシン(Proglumrtacin)、スリンダク、テニダップ、チラミド(Tiramide)、トレクチン(Tolectin)、トルメチン、ゾマックス(Zomax)およびゾメピラック)、アリール酪酸誘導体(ferivatives)(例えば、ブマジゾン、ブチブフェン(Butibufen)、フェンブフェンおよびキセンブシン(Xenbucin))アリールカルボン酸(例えば、クリダナク、ケトロラクおよびチノリジン)、アリールプロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸(Bucloxic Acid)、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフェン(Piketoprofen)、ピロプロフェン(Piroprofen)、プラノプロフェン、プロチニジン酸(Protinizinic Acid)、スプロフェンおよびチアプロフェン酸)ピラゾール(例えば、ジフェナミゾール(Difenamizole)およびエピリゾール)、ピラゾロン(例えば、アパゾン、ベンズピペロン(Benzpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン(Morazone)、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン(Pipebuzone)、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン(Ramifenazone)、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾン(Thiazolinobutazone))、サリチル酸誘導体(例えば、アセトアミノサロール、5-アミノサリチル酸、アスピリン、ベノリラート(Benorylate)、ビフェニルアスピリン、ブロモサリゲニン(Bromosaligenin)、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート(Etersalate)、フェンドサール(Fendosal)、フルフェニサール(Flufenisal)、ゲンチシン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、1-ナフチルサリチル酸、オルサラジン、パルサルミド(Parsalmide)、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、2-ホスホノキシ安息香酸、サラセタミド(Salacetamide)、サリチルアミドO-酢酸、サリチル酸、サリチロイルサリチル酸、サリチル硫酸、サルサラートおよびスルファサラジン)、チアジンカルボキシアミド(例えば、ドロキシカム、イソキシカム、ピロキシカムおよびテノキシカム)、ε-アセトアミドカプロン酸、S-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(Amixetrine)、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、グアイアズレン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メファナム酸、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン(Paranyline)、ペリソキサール、ピホキシム(Pifoxime)、ピロキシカム、プロカゾン、テニダップおよびCOX-2インヒビター(例えば、ロフェコキシブ、バルデコキシブおよびセレコキシブ)などのNSAIDが挙げられる。
【0117】
抗炎症剤のさらなる例としては、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サルサラート、ジフルニサル、スルファサラジン、オルサラジン、パラ-アミノフェノール誘導体、インドール、インデン酢酸、酢酸ヘテロアリール、アントラニル酸、エノール酸、アルカノン、ジアリール置換フラノン、ジアリール置換ピラゾール、インドール酢酸またはスルホンアニリドが挙げられる。
【0118】
いくつかの態様において、本発明の化合物は、インターフェロンおよびナタリズマブのような抗インテグリン阻害抗体などの免疫治療剤と組み合わせて投与され得る。
【0119】
脱髄障害の治療に適した薬剤の例としては、ピルフェニドン、エパルレスタット、塩酸ネファゾドン、塩酸メマンチン、塩酸ミトキサントロン、塩酸ミトザントロン、サリドマイド、ロキニメックス、塩酸ベンラファクシン、インタクセル(Intaxel)、パクリタキセル、組換えヒト神経成長因子;神経成長因子、イブジラスト、クラドリビン、ベラプロストナトリウム、塩酸レバセカルニン(Levacecarnine);アセチル-L-塩酸カルニチン;塩酸レボカルニチンアセチル、ドロキシドパ、インターフェロンα、天然インターフェロンα、ヒトリンパ芽球様細胞インターフェロン、インターフェロンβ-1b、インターフェロンβ-Ser、アレムツズマブ、ミコフェノール酸モフェチル、ゾレドロン酸一水和物、アダパレン、エリプロディル、塩酸ドネペジル、デキサナビノール(Dexanabinol)、デキサナビノン(Dexanabinone)、塩酸キサリプロデン、インターフェロンα-n3、リポ酸、チオクト酸、テリフルノミド(Teriflunomide)、アトルバスタチン、ピマジン(Pymadin)、4-アミノピリジン、ファムプリジン、フィダレスタット、ピリリキシマブ(Priliximab)、マレイン酸ピクサントロン、ダクリキシマブ(Dacliximab)、ダクリズマブ、酢酸グラチラマー、リツキシマブ、フィンゴリモド塩酸塩、インターフェロンβ-1a、ナタリズマブ、アバタセプト、テムシロリムス、レネルセプト、ルボキシストーリンメシレート水和物、デキストロメトルファン/硫酸キニジン、カプサイチン、ジメチルフマル酸またはドロナビノール/カンナビジオールが挙げられる。
【0120】
いくつかの態様において、本発明の化合物は、多発性硬化症に有効な1つ以上の他の医薬活性剤と組み合わせて投与され得る。かかる薬剤の例としては、インターフェロン(インターフェロンβ1-a、β1-bおよびα)、酢酸グラチラマー、またはメチルプレドニゾロンおよびプレドニゾンなどのコルチコステロイド、ならびにミトキサントロン、メトトレキサート、アザチオプリン、クラドリビンシクロホスファミド、シクロスポリンおよびタイサブリなどの化学治療剤が挙げられる。
【0121】
多発性硬化症に有効であり、本発明の化合物との併用投与に適した医薬活性剤のさらなる例としては、以下の構造式:










の化合物が挙げられる。
【0122】
式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物と共投与され得る薬剤のさらなる例としては以下のもの:
TCR Vβ6からなるT細胞レセプター(TCR)Vβ6 CDR2ペプチドワクチン、アミノ酸配列39〜58、Leu-Gly-Gln-Gly-Pro-Glu-Phe-Leu-Thr-Tyr-Phe-Gln-Asn-Glu-Ala-Gln-Leu-Glu-Lys-Ser(配列番号:1);
ミエリン塩基性タンパク質免疫原ペプチド、アミノ酸配列75〜95、Lys-Ser-His-Gly-Arg-Thr-Gln-Asp-Glu-Asn-Pro-Val-Val-His-Phe-Phe-Lys-Asn-Ile-Val-Thr(配列番号:2);
チプリモチド、ミエリン塩基性タンパク質免疫原ワクチンペプチド、アミノ酸配列83〜99、D-Ala-lys-pro-va1-va1-his-leu-phe-ala-asp-ile-va1-thr-pro-arg-thr-pro(配列番号:3);
ミエリン塩基性タンパク質免疫原ペプチド、アミノ酸配列82〜98、Asp-glu-asp-pro-va1-va1-his-phe-phe-lys-asp-ile-va1-thr-pro-arg-thr(配列番号:4);
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、Ser-Tyr-Ser-met-glu-his-phe-arg-try-gly-lys-pro-va1-gly-lys-lys-arg-arg-pro-va1-lys-va1-tyr-pro-asp-gly-ala-glu-asp-glu-leu-ala-glu-ala-phe-pro-leu-glut-phe(配列番号:5)
が挙げられる。
【0123】
多発性硬化症に対して有効であり、本発明の化合物と組み合わせて投与するのに適した医薬的に活性な薬剤のさらなる例としては、
3-4ジアミノピリジン;ABT-874;Actos(登録商標)(ピオグリタゾン);ALCAR(アセチル-L-カルニチン);αリポ酸;AndroGel(登録商標)(テストステロンゲル);トリメトプリムとビタミンCの組合せ;アジスロマイシンとリファンピンの組合せ;ミノサイクリン;ドネゼピルHCL;Avandia(登録商標)( マレイン酸ロシグリタゾン;IFN β-1a)とアセトアミノフェン、イブプロフェンまたはプレドニゾンの組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)+CellCept(登録商標)(ミコフェノール酸モヘチル)の組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とCopaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)の組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とドキシサイクリンの組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とEMLA(リドカインおよびプリロカイン)麻酔クリームの組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)およびエストロゲンおよびプロゲステロン;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)+Fludara(登録商標)(リン酸フルダラビン)の組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とメトトレキサートとロイコボリンレスキューの組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とメトトレキサートとメチルプレドニゾロンの組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とNovantrone(登録商標)(ミトザントロン)の組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とProzac(登録商標)(フルオキセチン)の組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とTopamax(登録商標)(トピラメート)の組合せ;Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)とZocor(登録商標)(シンバスタチン)の組合せ;AVP-923(デキストロメトルファン/キニジン)の組合せ;Betaseron(登録商標)(インターフェロンβ-1b)とImuran(登録商標)(アザチオプリン)の組合せ;Betaseron(登録商標)(インターフェロンβ-1b)とCopaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)の組合せ;BHT-3009-01とLipitor(登録商標)(アトルバスタチン)の組合せ;骨髄/末梢幹細胞移植物;CellCept(登録商標)(ミコフェノール酸モヘチル);CellCept(登録商標)(ミコフェノール酸モヘチル)とAvonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)の組合せ;経口クラドリビン;CNTO 1275(モノクローナル抗体);Copaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)と抗生物質療法(ミノサイクリン)の組合せ;Copaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)とNovantrone(登録商標)(ミトザントロン)の組合せ;Copaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)とプレドニゾンの組合せ;Copaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)とProventil(登録商標)(アルブテロール)の組合せ;シクロホスファミド;ダクリツマブ;Deskar(登録商標)(ピルフェニドン);エストリオール;フマル酸エステル;Gabitril(登録商標)(チアガビンHCL);イチョウ;IDEC-131(抗CD40Lまたは抗CD154);免疫グロブリンとメチルプレドニゾロンの組合せ;イノシン;インターフェロンτ;Lamictal(登録商標)(ラモトリジン);Lexapro(登録商標)(エスシタロプラム);Lipitor(登録商標)(アトルバスタチン);Lipitor(登録商標)(アトルバスタチン)とRebif(登録商標)(インターフェロンβ-1a)の組合せ;リンパ球除去(免疫細胞の除去)、Imuran(登録商標)(アザチオプリン)およびプレドニゾンの組合せ;MBP8298;メチルプレドニゾロン;メチルプレドニゾロンとAvonex(インターフェロンβ-1a)の組合せ;モディオダール(モダフィニル);NBI-5788(改変ペプチドリガンド);Novantrone(登録商標)(注射濃縮物用のミトザントロン)とAvonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)またはCopaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)の組合せ;ω-3脂肪酸補給物;ピキサントロン(BBR 2778);Provigil(登録商標)(モダフィニル)とAvonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)の組合せ;Rapamune(登録商標)(シロリムス);RG2077;Rituxan(登録商標)(リツキシマブ);ロリプラム(ホスホジエステラーゼ-4インヒビター);SAIK-MS(ラキニモド、ABR-215062);T細胞ワクチン接種;テリフルノミド;テトラヒドロカンナビノール;テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール);視床刺激;Tysabri(登録商標)(ナタリツマブ)とAvonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)の組合せ;Tysabri(登録商標)(ナタリツマブ)とCopaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)の組合せ;ならびにViagra(登録商標)(クエン酸シルデナフィル(sildafenil))が挙げられる。
【0124】
多発性硬化症に対して有効であり、本発明の化合物と組み合わせて投与するのに適した医薬的に活性な薬剤のさらなる例は、Copaxone(グラチラマー)であり、これは本発明の化合物と経口共投与され得る。
【0125】
他の態様において、多発性硬化症に対して有効であり、本発明の化合物と組み合わせて投与するのに適した医薬的に活性な薬剤としては、Mylinax、白血病治療に使用されるクラドルビンの経口製剤、Serono/Ivexによって開発;テリフルノミド、Aravaの代謝産物、経口免疫抑制剤、Sanof1-Aventisによって開発;FTY 720、経口免疫調節因子(スフィンゴシン-1-リン酸受容体アゴニスト)、Novartisによって開発;MBP 8298、ミエリンに対する抗体の出現が低下するように設計された合成ミエリン塩基性(basis)タンパク質、Bio MS Medicalによって開発;稀用薬4-アミノピリドリン(aminopyridline)(4-AP)、カリウムチャネル遮断薬、Acordaによって開発;Gamunex、静脈内免疫グロブリン製剤、Bayerによって開発;BG-12フマル酸塩、第2世代経口フトナレート(futnarate)、Biogen Idec/Fumapharmによって開発;Temシロリムス、T-リンパ球増殖遮断薬、Wyethによって開発;E-2007、AMPA受容体アゴニスト、Eisalによって開発;Campath、CD52に対するヒト化抗体、Genzymeによって開発;Neuro Vax、ワクチン、Immune Responseによって開発;Zocor、スタチン、Merckによって開発;NBI 5788、ミエリン模倣ペプチドリガンド、Neurocrineによって開発;Tauferon、インターフェロンτ、Pepgenによって開発;Zenapax、ヒト化抗CD25免疫抑制抗体、Protein Designによって開発;MS-IETとEMZ 701の組合せ、メチル供与体、Transition Therapeuticsによって開発;Laquinlmod、リノミドの誘導体の経口製剤、Active Biotech/Tevaによって開発;デスカーピルフェニドン、TNF-αインヒビター、Mamacによって開発;ATL-1102、VLA4を標的化する第2世代アンチセンスインヒビター、Antisense Therapeuticsによって開発などの(include)化合物が挙げられる。
【0126】
いくつかの態様において、式(A)の化合物は、抗血管剤、特に、成長因子受容体を阻害する薬剤、上皮成長因子受容体(EGFR)、血管上皮成長因子受容体(VEGFR)、および線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)と組み合わせて投与され得る。かかる薬剤の例としては、イレッサ、タルセバ、エルビタクス、ペリチニブ、AEE-788、CP-547632、CP-547623、タイカーブ(GW-2016)、INCB-7839、ARRY-334543、BMS-599626、BIBW-2992、ファルニダモール、AGl 517、E-7080、KRN-951、GFKI-258、BAY-579352、CP-7055、CEP-5214、ステント、マクゲン、ネキサバル、ネオバスタット、コハク酸バタラニブ、GW-78603413、ルセンティス、テアビゴ、AG-13958、AMG-706、アキシチニブ、ABT-869、エヴィゾン(Evizon)、アプリジン、NM-3、PI-88、コプレクサ、AZD-2171、XL-189、XL-880、XL-820、XL-647、ZK-CDK、VEGFTrap、OSI-930、アバスチン、レブリミド、エンドスター、リノミド、キシンレイ(Xinlay)、SU-668、BIBF-1120、BMS-5826624、BMS-540215が挙げられる。
【0127】
いくつかの態様において、式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物は、T細胞ホーミング、溢出および遊出に影響を及ぼす薬剤と組み合わせて投与され得る。かかる薬剤の例としては、FTY-720PKI-166、PTK-787、SU-11248が挙げられる。
【0128】
いくつかの態様において、式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物は、VLA-4を阻害する薬剤と組み合わせて投与され得る。かかる薬剤の例としては、Tysabri、Bio-1211、HMR-1031、SB-683698、RBx-4638、RO-0272441、RBx-7796,SB-683699、DW-908e、AJM-300、およびPS-460644が挙げられる。
【0129】
特定の態様において、式(I)または式(Ia)または式(II)または式(IIa)の化合物は、単独または抗癌剤と組み合わせて投与され得る。
【0130】
本明細書で使用される場合、医薬的に活性な薬剤に関する用語「組合せ」ならびに用語「共投与すること」および「共投与」は、患者への1種類より多くの医薬的に活性な薬剤の1つの治療サイクル中の投与をいい、必ずしも同時または混合物での投与をいうのではない。
【0131】
本発明の化合物と組み合わせて使用され得る抗癌剤としては、TaxolTM(「パクリタキセル」とも称され、タキサン基本骨格を有する化合物)、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アムタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;二メシル酸ビサナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴル;クロラムブシル;シロレマイシン;クラドリビン;メシル酸クリナトル;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ジュアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;エソルビシン塩酸;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキンII(組換えインターロイキンII、またはrIL2を含む)、インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンγ-Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドマイド;マイトカルシン;マイトクロミン;マイトギリン;マイトマルシン;マイトマイシン;マイトスペル;マイトタン;塩酸ミトザントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴル;塩酸サフィンゴル;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフル;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン; 酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリムトレキサート;グルクロン酸トリムトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビンエピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチンおよび塩酸ゾルビシンが挙げられる。
【0132】
本明細書に記載の化合物と組み合わせて使用され得る他の抗癌薬としては、20-epi-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生インヒビター;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背側化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立腺癌腫;抗エストロゲン;抗ネオプラストン(neoplaston);アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシン酸;アポトーシス遺伝子調節因子;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン;βクラマイシンB;ベツリン酸;bFGFインヒビター;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトセシン誘導体;カナリポックスIL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来インヒビター;カルゼレシン;カゼインキナーゼインヒビター(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン(chlorln);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クランベシチジン816;クリスナトル;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デキストラゾキサン;デキシベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメックス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;テキサフィリンガドリニウム;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼインヒビター;ゲムシタビン;グルタチオンインヒビター;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビサセタミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモッド;免疫賦活ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体インヒビター;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミゾール;リアロゾール;線状ポリアミンアナログ;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;テキサフィリンルテチウム;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシンインヒビター;マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIFインヒビター;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;マイトグアゾン;マイトラクトール;マイトマイシンアナログ;マイトナフィド;マイト毒素線維芽細胞成長因子-サポリン;ミトザントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミコバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子インヒビター;多腫瘍抑制因子1系治療;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;ミコバクテリウム細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節因子;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導因子;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;ホスファターゼインヒビター;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノゲン活性化因子インヒビター;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソームインヒビター;タンパク質A系免疫調節因子;プロテインキナーゼCインヒビター;プロテインキナーゼCインヒビター、マイクロアルガル;タンパク質チロシンホスファターゼインヒビター;プリンヌクレオシドホスホリラーゼインヒビター;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター;rasインヒビター;ras-GAPインヒビター;レテリプチン脱メチル化;レニウムRe 186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツカイン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビジノンB1;ルボキシル;サフィンゴル;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1模倣物;セムスチン;老化由来インヒビター 1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達インヒビター;シグナル伝達調節因子;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;ナトリウムフェニル酢酸;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞インヒビター;幹細胞分裂インヒビター;スチピアミド;ストロメリシンインヒビター;スルフィノシン;過剰活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフル;テルラピリリウム;テロメラーゼインヒビター;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;サリブラスチン;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイエチン模倣物;サイマルファシン;サイモポイエチン受容体アゴニスト;サイモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能幹細胞因子;翻訳インヒビター;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリムトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼインヒビター;チルホスチン;UBCインヒビター;ウベニメックス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子治療;ベラレゾール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマーが挙げられる。好ましい抗癌薬は、5-フルオロウラシルおよびロイコボリンである。
【0133】
本発明の化合物と組み合わせて使用され得る他の化学療法剤としては、限定されないが、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然産物、またはホルモンが挙げられる。
【0134】
本発明を、いかなる様式でも限定することが意図されない以下の実施例によって説明する。当業者は、具体的な生成物を調製するための適当な出発物質の選択、合成工程の順序、および離れた官能基のための保護基の必要性に関して通常の判断を行うことができる。
【実施例】
【0135】
実施例1 本発明の化合物の合成
式(I)または式(Ia)および式(II)または式(IIa)の化合物は、以下の実施例に従って合成され得る。有機合成の当業者には、出発物質の置換パターンによって生成物の置換パターンが決定されることが理解され、当業者は、具体的な生成物を調製するための適当な出発物質の選択、合成工程の順序、および離れた官能基のための保護基の必要性に関して通常の判断を行うことができる。
【0136】
保護基の化学は、例えば、その全開示が参照により本明細書に援用されるGreene,et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版,Wiley & Sons,1991に見られ得る。
【0137】
有機分子の調製ならびに官能基の変換および操作のための標準的な合成方法および手順は、関連する科学文献から、または当該分野の標準的な教科書から容易に得られ得る。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応体のモル比、溶媒、圧力など)が与えられている場合、特に記載のない限り、他のプロセス条件もまた使用され得ることは認識されよう。最適な反応条件は、使用される特定の反応体または溶媒により異なり得るが、当業者は、通常の最適化手順によって、かかる条件を決定することができる。
【0138】
(A)2-フルオロ-5-ニトロ-6-(1H-インダゾール-5-イルアミノ)安息香酸


出発物質3-ニトロ-2,6-ジフルオロ安息香酸を、一部Kuramoto Y,Ohshita Y,Yoshida J,Yazaki A,Shiro M.およびKoike T,J. Med. Chem.(2003),46:1905-1917)に記載のようにして、硫酸中硝酸カリウムでの2,6-ジフルオロ安息香酸のニトロ化によって調製し、Yoshida Y,Barrett D,Azami H,Morinaga C,Matsumoto S,Matsumoto YおよびTakasugi H,(1999),Bioorg. Med. Chem. 7:2647-2666による同様の調製に記載のようにして単離した。3-ニトロ-2,6-ジフルオロ安息香酸(20.0g、98.44mmol)を、エタノール(100mL)および水(100mL)の溶液に添加した。酸溶液を10℃に冷却し、温度が40℃を超えないことを確実にするための急速攪拌下で、トリエチルアミン(25.09mL)を滴下した。次いで、5-アミノインダゾール(13.01g、98.44mmol)を分配して添加し、合わせた混合物を70℃に16時間加熱した。水(100mL)および濃HCl(100mL)の溶液を調製し、60℃に加熱し、激しい攪拌下に配置した。なお70℃の反応混合物をHCl/水溶液に少量分配して移し、室温に冷却した。最大の沈殿を確実にするためにさらに混合物を4時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過して除去し、水(2×60mL)で洗浄し、真空炉内で一晩乾燥した(28.3g、89.56mmol、94%)。

【0139】
(B)1-フルオロ-4-ニトロピラゾロ[7,8a]-アクリジン-9(10H)-オン


クロロホルム中2-フルオロ-5-ニトロ-6-(1H-インダゾール-5-イルアミノ)安息香酸(20.0g、65.096mmol)の懸濁液に、アルゴン下、新鮮蒸留POCl3(24.3mL、260.383mmol)を添加した。混合物を80℃に16時間加熱した。冷却されたら、エタノール(50mL)をゆっくりと添加して過剰POCl3反応をクエンチし、次いで、室温で30分間攪拌した。この時点で、混合物を真空下で乾燥させた。残渣に水(100mL)を添加し、pH=8まで飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加した。次いで、混合物を室温で60分間攪拌し、沈殿物を濾過して除去し、水(2×80mL)で洗浄し、一晩真空炉内で乾燥した(19.219g、64.445mmol、99%)。1H δ(d6-DMSO):NMRは、化合物が非常に不溶性のため取得不可能;HPLC:Rt=6.22分;LRMS:m/z=299.1(M+H)
【0140】
(C)1-フルオロ-4-ニトロピラゾロ[7,8a]-イミダゾ[4,5,1-de]-アクリジン-9(10H)-オン(化合物XVIII)


ギ酸(75mL)中出発物質(7.112g、23.846mmol)のスラリーに、濃HCl(15mL)中SnCl2.2H2O(23.07g、102.25mmol)を添加した。合わせた混合物を室温で30分間攪拌し、次いで、95℃に20時間加熱した。冷却されたら、固体を濾過して除去し、一部乾燥した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液中でスラリー化し、60分間攪拌した。次いで、沈殿物を濾過して除去し、水(2×100mL)で洗浄し、真空炉内で一晩乾燥した(6.303g、22.654mmol、95%)。
【0141】
(D)4-アミノ-1-フルオロピラゾロ[7,8a]-アクリジン-9(10H)-オン


エタノール(100mL)中1-フルオロ-4-ニトロピラゾロ[7,8a]-アクリジン-9(10H)-オン(10g、33.5mmol)は、濃HCl(30mL)中塩化スズ二水和物(22.7g、100.5mmol)の溶液を有した。混合物を、TLCで出発物質の残留が示されなくなるまで80℃に25時間加熱した。混合物を冷却し、固体を濾過して除去し、水(4×100mL)で洗浄し、次いで、真空下で乾燥した。

【0142】
(E)1-フルオロ-4-ニトロピラゾロ[7,8a]-イミダゾ[4,5,1-de]-アクリジン-9(10H)-オン(化合物XVIII)


ギ酸(100mL)および濃HCl(20mL)中4-アミノ-1-フルオロピラゾロ[7,8a]-アクリジン-9(10H)-オン(8g、29.8mmol)を95℃に35時間加熱した。混合物を冷却し、固体を濾過して除去し、水(4×100mL)で洗浄し、真空下で乾燥した。さらなる精製は行わなかった。
【0143】
(F)化合物(V)


化合物XVIII(0.294g、1.057mmol)、2-モルホリンエチルアミン(0.220g、1.961mmol、0.222mL)、ジイソプロピルエチルアミン(0.273g、2.114mmol、0.368mL)およびジメチルアセトアミド(2.0mL)を5mL反応チューブ内で合わせ、150℃に、マイクロ波照射の下で20分間加熱した。冷却されたら、溶媒を除去し、残渣をシリカゲル(CHCl3中0〜20%MeOH)上でカラム処理した。所望の画分をプールし、溶媒を除去して目的化合物を得た。

【0144】
(G)1-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-4-ニトロピラゾロ[7,8a]-アクリジン-9(10H)-オン


DMF(220mL)中1-フルオロ-4-ニトロピラゾロ[7,8a]-アクリジン-9(10H)-オン(8.75g、29.34mmol)の攪拌スラリーに、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(8.99g、88.02mmol、3当量)を添加した。混合物を室温で18時間攪拌し、次いで、乾燥するまで濃縮した。残渣を炭酸水素ナトリウム水溶液(400mL)で処理し、15分間攪拌した。沈殿物を濾過によって回収し、水および酢酸エチルですすいだ。濾過ケークを真空乾燥して表題化合物(8.11g、72%収率)を黄色固体として得た。

【0145】
(H)化合物(IV)


ギ酸(250mL)中1-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-4-ニトロピラゾロ[7,8a]-アクリジン-9(10H)-オン(8.05g、21.10mmol)の攪拌溶液に、37%塩酸(28mL)中塩化(II)スズ二水和物(21.43g、94.95mmol)溶液を室温で添加した。混合物を穏やかな還流下で22時間加熱し、次いで、乾燥するまで濃縮した。得られた固体を水に溶解し、過剰の炭酸水素ナトリウム水溶液(1.2L)で塩基性化し、造粒のための30分間攪拌した。沈殿物を濾過によって回収し、水ですすぎ、真空乾燥し、無機不純物(水酸化スズ)を含有する粗生成物を得た。無機不純物を除去するため、粗生成物をシリカゲルパッドによって濾過し、DMFで溶出し、表題化合物(3.12g、41%収率)を橙黄色固体として得た。
【0146】
縮合ピラゾール骨格を有する代表的な化合物が同様にして調製される。例えば、化合物(III)および(IV)は、(V)で使用された方法に従って、すなわち、2-モルホリンエチルアミンでのモデル反応に示した同じ反応化学量論を用いて化合物(XVIII)をジアルキルアミノ-アルキルアミンで処理する方法に従って、化合物(VI)に5-N,N-ジメチルアミノペンチルアミンおよび3-N,N-ジメチルアミノプロピルアミンを添加することにより調製した。
【0147】
得られた化合物は、化合物(XVIII)およびその誘導体の分析特性を示す表1に示すそのNMRおよび質量分析の特徴によって証明された理論に適合した。
【0148】





【0149】
実施例2:インビトロでのFLT3および関連プロテインチロシンキナーゼ阻害性標的化の測定
式(I)または式(Ia)の代表的な化合物を、標準的な薬理学的試験手順で、FLT3および関連プロテインチロシンキナーゼに対する活性に関してスクリーニングする。標準的な薬理学的試験手順において示された活性に基づき、本教示の化合物は、FLT-3インヒビターとして有用であり得る。
【0150】
用語「IC50」および「EC50」は互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「EC50」は、用量応答(DR)アッセイによって決定されたメジアン阻害パーセントのナノモル濃度をいう。本明細書で使用される場合、用語「E1000」は、アッセイによって決定された1000ナノモルでの阻害パーセントをいう。EC50は、4パラメータHill式にフィットさせた用量応答曲線に基づいて計算した。
【0151】
本発明において記載した化合物の試験は、Invitrogen,Inc.(Carlsbad,CA,USA)のSelectScreenTMプラットフォームを用いて行い、実施の詳細は、http://www.invitrogen.com/downloads/SelectScrn_Brochure.pdfにリンクさせることによりウェブによって容易に見られる。
【0152】
簡単には、このアプローチは、100マイクロモルのATPの存在下で各特異的キナーゼを特異基質および光学的レポーター系で処理することに基づく。対照において、基質をリン酸化し、ベースライン最適応答を記録する。
【0153】
化合物を最初に1000ナノモル濃度で試験し、酵素活性の阻害%を測定した(E1000)。次いで、用量応答曲線を作成するために5回の分割漸増で添加した段階的な量の推定インヒビターを添加することにより、化合物を再試験した。後者は、S字飽和式である4パラメータHill等式にフィットさせることにより得られる。次いで、用量応答式から、50%酵素阻害を引き起こす濃度(EC50)を計算した。
【0154】
低ナノモル範囲での阻害の有効レベルを、試験化合物が、これが阻害した特異的キナーゼに対する潜在的な薬物または標的化剤として適格であるとみなす。したがって、EC50値は効力の尺度である。別の重要な特徴は特異性である。同じ分子によってどれだけ多くのキナーゼが阻害されたかを調べて有効性を主張される場合、望ましい性質とみなす。特異性に対する阻害点の数が少ないほど、阻害乱雑性が大きい。
【0155】
本発明の化合物について、実験条件は以下のとおりであった。2×FLT3/Tyr 02ペプチド混合物を、50mM HEPES pH7.5、0.01 BRIJ-35、10mM MgCl2、1mM EGTA中で調製した。最終10uLのキナーゼ反応液は、50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ-35、10mM MgCl2、1mM EGTA中0.6〜76.0 ng FLT3および2uM Tyr 02ペプチドからなる。1時間のキナーゼ反応インキュベーション後、5uLの開発試薬Aの1:64希釈液を添加した。
【0156】
FLT3に対するインビトロ用量応答アッセイで試験した場合、表1の同定された代表的な化合物は、表2に示すEC50およびE1000アッセイ値を示した。データはSelectScreenアッセイにおいて誘導し、この新規な種類の化合物では、Flt3の活性インヒビターとして認識されている現在の薬種の化合物から選んだ5つの公知の陽性対照と比べて、低ナノモル阻害効力が容易に達成されることを示す。注目すべきことに、本発明の化合物は、10倍まで大きくはないがSymadexと少なくとも同等の効力を有する。Flt3インヒビターおよび免疫系調節因子としてのSymadexの性質は、Ajami,A.M.,Boss,M.A.およびPaterson,J. Compounds for treating autoimmune and demyelinating disease. 米国特許第出願公開公報2006/0189546A1によって以前に記載されている。本明細書で使用される場合、「Symadex」および「C-1311」はともに、化合物5-(2-(ジエチルアミノ)エチルアミノ)-8-ヒドロキシ-6H-イミダゾ[4,5,1-de]アクリジン-6-オンの名称である。
【0157】
本発明者らは、平面コア骨格の側鎖の修飾が阻害活性の決定に重要な特徴であることを見い出した。
【0158】



【0159】
実施例3:FLT3および関連プロテインチロシンキナーゼ特異性のインビトロでの測定
実施例2に記載のもと同じアッセイシステムが、キナーゼ特異性の測定に適用され得る。キナーゼインヒビターの開発において、得られる分子がしばしば特異性を欠くことは、医薬品化学者によってよく理解されている。相同キナーゼが同じ種類の化合物によって阻害されるだけでなく、非相同キナーゼも、アロステリック、誘導性、活性化コンホメーションと(vs)不活性化コンホメーション、および別の様式で特異的となるように設計された推定インヒビターとのタンパク質フォールディング相互作用によって影響され得る。これらのオフターゲット効果は、予測することが困難であり、多数の組のキナーゼを経験的に調べることにより判定または除外され得る。また、骨格に対する変化および化学修飾の多様性は、キナーゼ種類間のキナーゼ阻害のパターンの乱雑性の程度に影響を及ぼし得ることは理解されよう。
【0160】
本発明の化合物では、Flt3媒介性生物学的プロセスの調節因子としての特異性の程度が高いこと望ましかろう。また、Symadex中のフェノールをインダゾール部分で置き換えることにより、新たな分子種に前駆物質イミダゾアクリジニンと類似した特異性が付与されるはずであることを確実にすることが望ましいであろう。
【0161】
以下の実験は、この問題に対処するために行なった。実施例2に記載し、新しい種の代表であるインダゾール化合物(IV)をSymadexとともに、すべての公知のキナーゼ種の代表的な一群の230種のキナーゼに対して試験した。調査には、Flt3、その変異体、およびクラスIII受容体チロシンキナーゼ種の近縁種が、例えば、各キナーゼのそれぞれの「遺伝子カード(genecard)」に示され、http://www.genecards.org/のウェブ上で閲覧が利用可能なFlt3の活性部位と相同性を共有しないものが多いセリン-トレオニンキナーゼおよび異型キナーゼとともに含まれた。
【0162】
表3は、Symadex(C-1311)およびCF-123の簡易用量応答曲線からの推定EC50値を示す。キナーゼは、群およびファミリーごとにアルファベット順に示す。結果は、インダゾールファーマフォアを用いた新しい分子種の代表的な分子の両方が、フェノール性ファーマフォアを有する分子と同じパターンのキナーゼ阻害特異性を示すことを示す。注目すべきことに、本発明の化合物は、FLT3に非常に特異的であり、程度は低いが、表3で「TK群」と同定した広範な種類のチロシンキナーゼ中でV561D変異体PDGFRA(60〜80nM EC50)およびCSF-1R(200〜400nM EC50)に特異的である。オフターゲット、したがって予測外の活性、注目すべきことに、Flt3キナーゼ類に活性部位関係のないカルシウム依存性セリン-トレオニンキナーゼである軽鎖ミオシンキナーゼMYLK2に対する阻害効果もまた両方の化合物で類似する。
【0163】











【0164】
実施例4:細胞増殖アッセイによるFLT3発現細胞に対する成長阻害活性の測定
Flt3発現細胞の生存能力は、テトラゾリウム塩還元細胞系アッセイを用いて評価され得る。生存可能細胞、注目すべきことに中でも種々の不死化リンパ系株および骨髄系株において、この比色アッセイでは、不溶性ホルマザン生成物へのテトラゾリウム成分(MTS)のミトコンドリア還元が測定され得る。BaF3は、野生型および変異体とも、ならびにトランスフェクト株MV4-11およびMOLM14は、充分特徴付けされた、活性Flt3受容体を発現するFlt3依存性ヒト化またはヒト細胞株である(Yee et al. Blood(2002)100(8):2941-2949;Levis et al.(2002)99(11):3885-3891参照のこと)。これらの細胞株を用いて、本明細書に提供する化合物がインタクト細胞においてFlt3を阻害する能力を調べた。各場合において、および細胞培養の当業者に公知の方法によって、本明細書に提供した化合物との72時間のインキュベーション後、標準的なMTSプロトコル(Promegaカタログ番号5430“Cell Titer 96 Aqueous Non-radioactive Cell Proliferation Assay”)を用いて増殖を測定した。
【0165】
一般に、細胞をウェル1つあたり10,000〜20,000細胞で、0.5%血清を含むDMEM培地中にプレーティングした。96ウェル300uIポリプロピレンプレートのカラム1に陰性対照(DMSO)の等分量を加え、カラム12に陽性対照の等分量を加え、連続希釈物の試験化合物をカラム2〜11に滴定することにより化合物プレートを設定した。化合物プレートの各ウェルの等分量を、プレーティングした細胞に移し、次いで、5%CO2中37℃でインキュベートした。[00538]MTSテトラゾリウム化合物(オーウェン試薬)をH2O浴中で解凍した。20μlのMTSテトラゾリウムを光学プレートの各ウェルに添加し、細胞を5%CO2中37℃で2時間インキュベートした。マイクロプレートリーダーを用いて吸光度を490nmで測定した。細胞増殖値は、対照と比べて細胞増殖の50%阻害が達成される試験化合物の濃度(IC50)に関して測定され、表4に報告される。
【0166】
これらの結果は、本発明の化合物がインビボでFlt3発現細胞の増殖を阻害することを示す。再度、代表的なインダゾール類分子である(IV)の有効性、およびフェノール系置換イミダゾアクリジノンSymadexとの好ましい比較に注目のこと。
【0167】

【0168】
本発明を、その好ましい態様を参照して具体的に示し、記載したが、形態および詳細における種々の変形が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることは、当業者によって理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)


(式中、
R1は、HまたはNRaRbである;
R2は、HまたはC1〜C4アルキルである;
R3は、HまたはC1〜C4アルキルである;
R4は、HまたはC1〜C4アルキルである;
nは、2〜5の整数である;ならびに
RaおよびRbは、各々独立して、水素もしくは任意に置換されたアルキルである;または
RaおよびRbは、これらが結合している窒素と一緒になって、1個以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシル、もしくはメトキシで任意に置換され、-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルキルで任意にN’置換された非芳香族複素環を形成する;
RcおよびRdは、独立して、H、メチルまたはエチルである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
R1がHである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1がNRaRbである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
RaおよびRbは、各々独立して、水素または任意に置換されたアルキルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
RaおよびRbは、これらが結合している窒素と一緒になって、1個以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシル、もしくはメトキシで任意に置換され、NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルキルで任意にN’置換された非芳香族複素環を形成する、請求項3記載の化合物。
【請求項6】
式(Ia)


で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
RaおよびRbは、これらが結合している窒素と一緒になって、1個以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシル、もしくはメトキシで任意に置換され、-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルキルで任意にN’置換された5〜7員の非芳香族複素環を形成する;または
RaおよびRbは、個々に(or individually)、水素、または-OH、-SH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、-COOH、C1〜C3アルキルで任意に置換されたC1〜C3アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
RaおよびRbは、これらが結合している窒素と一緒になって、1個以上の置換可能な炭素原子がメチル、ヒドロキシル、もしくはメトキシで任意に置換され、-NRcRdで置換されたC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルキルで任意にN’置換された5〜7員の非芳香族複素環を形成する、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
以下の式:


で表される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
nが2または3である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
RaおよびRbは、これらが結合している窒素と一緒になって、


(式中、Qは、S、O、CH2、NH、またはNR102であり、R102は、メチルまたはエチルである)
からなる群より選択される5〜7員の非芳香族複素環を形成する、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
RaおよびRbは、これらが結合している窒素と一緒になって、N-モルホリニルまたはN-ピペリジニルを形成する、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
RaおよびRbは、個々に、水素、または-OH、-SH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、-COOH、もしくはC1〜C3アルキルで任意に置換されたC1〜C3アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項14】
以下の構造:


で表される、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
nが2または3である、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
RaおよびRbは、個々にH、メチルまたはエチルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】


から選択される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項18】


から選択される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
患者に治療有効量の請求項1〜18いずれか1項記載の化合物を投与する工程を含む、患者の炎症性障害、脱髄障害、癌、または白血病の治療方法。
【請求項20】
障害が、乳癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、腎臓癌、肉腫、黒色腫、頭頸部癌、肝細胞癌、甲状腺癌、多剤耐性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、食道癌、大腸癌、膵臓癌、中皮腫、癌腫、肉腫および黒色腫から選択される癌である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
障害が、全身性狼瘡、炎症性腸疾患、乾癬、クローン病、慢性関節リウマチ、サルコイド、アルツハイマー病、インスリン依存性真性糖尿病、アテローム性動脈硬化症、喘息、脊椎損傷、脳卒中、慢性炎症性脱髄ニューロパシー、多発性硬化症、先天性代謝障害、異常な髄鞘形成を伴うニューロパシー、薬物誘導性脱髄、放射線誘導性脱髄、遺伝性脱髄状態、プリオン誘導性脱髄、および脳炎誘導性脱髄から選択される炎症性障害である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
障害が、多発性硬化症、先天性代謝障害、異常な髄鞘形成を伴うニューロパシー、薬物誘導性脱髄、放射線誘導性脱髄、遺伝性脱髄状態、プリオン誘導性脱髄、脳炎誘導性脱髄、脊椎損傷、アルツハイマー病、慢性免疫脱髄性多発性ニューロパシー(CIDP);多病巣性CIDP;多病巣性運動ニューロパシー(MMN);抗MAG症候群(ミエリン結合糖タンパク質へのIgM結合を伴うニューロパシー);GALOP症候群(歩行障害自己抗体高年齢発症多発性ニューロパシー);抗スルファチド抗体症候群;抗GM2ガングリオシド抗体症候群;POEMS症候群(多発性ニューロパシー 臓器巨大内分泌障害または水腫M-タンパク質皮膚変化);神経周膜炎;およびIgM抗GD1bガングリオシド抗体症候群から選択される脱髄状態である、請求項19記載の方法。
【請求項23】
障害が慢性関節リウマチまたは多発性硬化症である、請求項19記載の方法。
【請求項24】
障害が、クローン病、潰瘍性大腸炎、または炎症性腸疾患である、請求項19記載の方法。
【請求項25】
障害が白血病である、請求項19記載の方法。
【請求項26】
白血病が、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)および慢性リンパ性白血病(CLL)から選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
白血病が、FLT3変異を特徴とする急性骨髄性白血病である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
患者に治療有効量の請求項1〜18いずれか1項記載の化合物を投与する工程を含む、FLT3、CSF-1R、およびMYLK2から選択されるキナーゼの1つ以上によって媒介される疾患または障害の治療方法。
【請求項29】
障害が、軸索変性、急性横断脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症、乳児脊髄性筋萎縮症、若年性脊髄性筋萎縮症、クロイツフェルト‐ヤーコプ疾患、亜急性硬化性汎脳炎、臓器拒絶、骨髄移植拒絶、骨髄非破壊的骨髄移植拒絶、強直性脊椎炎、再生不良性貧血、ベーチェット病、対宿主性移植片病、グレーヴズ病、自己免疫性溶血性貧血、ヴェーゲナー肉芽腫症、過剰IgE症候群、特発性血小板減少性紫斑病、および重症筋無力症から選択されるFLT3媒介性障害である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
障害が、心血管疾患、炎症性成分を伴う疾患、例えば、糸球体腎炎、プロテーゼ機能不全、サルコイドーシス、鬱血性閉塞性肺疾患、喘息、膵炎、HIV感染、乾癬、糖尿病、腫瘍関連血管新生、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、再狭窄、統合失調症、腫瘍転移もしくは変形性関節症によって引き起こされる骨格の痛み、または内臓性、炎症性、および神経原性の痛み、骨粗鬆症、パジェット病、プロテーゼ機能不全、骨溶解性肉腫、骨髄腫、および骨への腫瘍転移、子宮癌、胃癌、ヘアリーセル白血病、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、骨溶解性肉腫、子宮癌、ならびに胃癌から選択されるCSF-1R媒介性障害である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
障害が、炎症性成分を伴う疾患、例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸虚血、結腸の腸閉塞、血管原性虚血、限局性脳虚血、出血性または敗血性ショック、ウイルス関連ミエロパシー、敗血性脳障害、糸球体腎炎、プロテーゼ機能不全、対宿主性移植片病、サルコイドーシス、鬱血性閉塞性肺疾患、喘息、膵炎、HIV感染、HIV関連痴呆、乾癬、アトピー性皮膚炎、糖尿病、腫瘍関連血管新生、再狭窄、腫瘍転移もしくは変形性関節症によって引き起こされる骨格の痛み、または内臓性、炎症性、および神経原性の痛み、骨溶解性肉腫、骨髄腫、および骨への腫瘍転移、子宮癌、胃癌、ヘアリーセル白血病、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、子宮癌、ならびに胃癌から選択されるMYLK2媒介性関門機能不全障害である、請求項28記載の方法。
【請求項32】
1種類以上のさらなる医薬剤が式(I)の化合物と共投与される、請求項19または請求項28記載の方法。
【請求項33】
以下の式:


で表される化合物またはその塩。
【請求項34】
請求項1〜18いずれか1項記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および薬学的に許容され得る担体または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項35】
さらなる治療剤をさらに含む、請求項32記載の医薬組成物。
【請求項36】
炎症性障害、脱髄障害、FLT3媒介性障害、癌、白血病、MYLK2媒介性関門機能不全障害、またはCSF-1R媒介性障害の治療のための医薬の調製における請求項1〜18いずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項37】
被検体に、有効量の請求項1〜18いずれか1項記載の化合物または薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む、被検体においてFLT3の活性を調節する方法。
【請求項38】
被検体に、有効量の請求項1〜18いずれか1項記載の化合物または薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む、被検体においてMYLK2の活性を調節する方法。


【公表番号】特表2010−535211(P2010−535211A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519926(P2010−519926)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/009263
【国際公開番号】WO2009/017795
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510027397)アンティソーマ ベンチャーズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】