説明

炭化水素を転化するためのGeゼオライト触媒、その製造方法および使用方法

本発明は、炭化水素の転化のための触媒に関する。この触媒は、細孔が中くらいのゲルマニウムゼオライト、ゲルマニウムアルミノリン酸塩(AlPO)またはゲルマニウムシリコアルミノリン酸塩(SAPO)である。第10族から選択される少なくとも1種類の金属が、細孔が中くらいのゼオライトおよび随意的に、ゲルマニウムアルミノリン酸塩(AlPO)またはゲルマニウムシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に堆積される。この触媒は、ゲルマニウムを骨格中に含ませて、細孔が中くらいのゼオライト、アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)を合成し、細孔が中くらいのゲルマニウムゼオライト、ゲルマニウムアルミノリン酸塩(AlPO)またはゲルマニウムシリコアルミノリン酸塩(SAPO)をか焼することによって、調製される。少なくとも1種類の金属を、ゲルマニウムゼオライト、ゲルマニウムアルミノリン酸塩(AlPO)またはゲルマニウムシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に堆積させてもよい。この触媒は、触媒を、分子当たり2から12の炭素原子を有するアルカンを含有する炭化水素流と接触させ、生成物を回収することによる、プロパンの芳香族化合物への炭化水素の転化のためのプロセスに用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素の転化のための触媒、例えば、分子当たり2から12の炭素原子を有するアルカン、オレフィンおよびそれらの混合物の芳香族化のための触媒に関する。その触媒は、その上に金属が堆積された、微小多孔質ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩である。
【背景技術】
【0002】
結晶性ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩およびシリコアルミノリン酸塩は、炭化水素の転化のための公知の触媒であり、他の金属を含有することもある。ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩は、アルミニウムとケイ素だけでなく、アルミニウムを置き換える他の三価元素およびケイ素を置き換える他の四価元素を含有することもある。また、このケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩上に他の元素が堆積されていてもよい。
【0003】
特許文献1には、モル比で表した化学組成が1のAl23:1.0±0.2のP25である骨格構造を有し、公称直径が約3から約10オングストロームの均一な細孔を有して微小多孔質である、結晶性アルミノリン酸塩が開示されている。
【0004】
特許文献2には、均一であり、公称直径が約3オングストロームより大きい細孔を有する結晶性微小多孔質シリコアルミノリン酸塩であって、ケイ素、アルミニウムおよびリンのモル分率の化学組成が、x、yおよびzがケイ素、アルミニウムおよびリンのモル分率であり、ACBDEが、特許文献2の図1に示されるような三成分図の五角形区域を画成する点である、

により定義される五角形組成内にあるシリコアルミノリン酸塩が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4310440号明細書
【特許文献2】米国特許第4440871号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、三次元相互連結結晶性四面体骨格において第4族、第5族、第13族、第14族、第15族および第1遷移金属から選択される少なくとも1種類の他の元素と共に、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)を形成するのに必要なだけ、ケイ素、アルミニウム、リンを含有する触媒を提供する。この結晶性四面体骨格は、必要に応じて、シリカ源と、アルミニウム源と、リン源と、第4族、第5族、第13族、第14族、第15族および第1遷移金属元素の供給源と、並びに随意的に、有機構造規定剤とを含有する水性ゲルから合成される。その反応混合物を加熱して結晶を形成し、次いで、冷却する。その結晶を、合成溶液から分離し、洗浄し、乾燥し、か焼する。第6族、第7族、第8族、第9族または第10族から選択される少なくとも1種類の金属を、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩上に堆積させる(以後、「堆積金属」と称する)。この触媒は、C2〜C12炭化水素を芳香族化合物に転化するプロセスに用いられる。
【0007】
本発明の一例は、ゼオライト骨格内に、ゲルマニウムなどの、ケイ素以外の第14族から選択された少なくとも1種類の元素を有する細孔が中くらいの(medium pore)ゼオライト上に白金などの少なくとも1種類の第10族金属が堆積された触媒である。この例は、a)ゲルマニウムなどの、ケイ素以外の第14族から選択される元素を少なくとも1種類含有する、細孔が中くらいのゼオライトを調製する工程、b)細孔が中くらいのゼオライト上に、白金などの、第10族から選択される少なくとも1種類の金属を堆積させる工程、およびc)第10族の金属がその上に堆積された、細孔が中くらいのゼオライトをか焼する工程により、細孔が中くらいのゼオライト触媒を合成するプロセスを含む。本発明のこの例は、炭化水素の転化プロセスであって、a)分子当たり2から12の炭素原子を有するアルカン、オレフィンおよびそれらの混合物を含有する炭化水素流を、ゼオライトがその骨格中に組み込まれたゲルマニウムを含有し、白金などの、第10族から選択される少なくとも1種類の金属が、細孔が中くらいのゼオライト上に堆積された、少なくとも1種類の、細孔が中くらいのゼオライト系触媒と接触させる工程、およびb)生成物を回収する工程を有してなるプロセスも含む。細孔が中くらいのゼオライトの例は、ZSM−11、ZSM−12およびZSM−48である。
【0008】
本発明の別の例は、ゲルマニウムがアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)骨格中に含まれ、随意的に、第10族から選択された少なくとも1種類の金属がアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に堆積された、アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)の触媒である。この例は、ゲルマニウムがアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)骨格中に含まれたアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)を調製し、このアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)をか焼することによって、ゼオライトを合成するプロセスを含む。随意的に、第10族から選択された少なくとも1種類の金属がアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に堆積され、か焼は、アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)の調製後、アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に第10族から選択された少なくとも1種類の金属を堆積させる前、またはアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に第10族から選択された少なくとも1種類の金属を堆積させた後に、行われる。本発明のこの例は、炭化水素の転化プロセスであって、分子当たり2から12の炭素原子を有するアルカン、オレフィンおよびそれらの混合物を含有する炭化水素流を、触媒が、アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)骨格中に組み込まれたゲルマニウムを含有し、随意的に、第10族から選択された少なくとも1種類の金属をアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に堆積させることによって、第10族から選択された少なくとも1種類の金属が、アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に堆積された、少なくとも1種類の、アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)系触媒と接触させ、生成物を回収する各工程を有してなるプロセスも含む。
【0009】
本発明の別の例は、ゼオライト骨格中に組み込まれたゲルマニウムを有する、細孔が中くらいのゼオライトである。このゼオライトは、一次元、二次元または三次元である細孔構造を有していてもよい。細孔が中くらいのゼオライトの例は、ZSM−11、ZSM−12またはZSM−48である。この例は、ゼオライトの骨格中にゲルマニウムを含有する、細孔が中くらいのゼオライトを調製し、このゼオライトをか焼することによつて、ゼオライトを合成するプロセスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のより完全な認識およびそれに付随する利点の多くが、添付の図面と共に検討したときに、以下の詳細な説明を参照することによって、容易に理解されるであろう。
【図1A】Pt/Ge−ZSM−5のXRDのチャート
【図1B】Pt/Ge−ZSM−5のXRDのピークリスト
【図2】Ge−ZSM−11のSEM(形態1)
【図3】Ge−ZSM−11のXRD(形態1)
【図4】Ge−ZSM−11のSEM(形態2)
【図5】Ge−ZSM−11のXRD(形態2)
【図6】Ge−ZSM−12のSEM
【図7】Ge−ZSM−12のXRD
【図8】Pt/[Ge;Al]ZSM−11に関するプロパンの転化率、BTXの選択率および燃料ガスの選択率のグラフ
【図9】Pt/[Ge;Al]ZSM−48に関するプロパンの転化率、BTXの選択率および燃料ガスの選択率のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
結晶性ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩およびシリコアルミノリン酸塩は、分子がその中を通って拡散できる均一な細孔を有する。アルミノケイ酸塩はゼオライトを含む。ゼオライトの例は、MFI(ZSM−5)、BEA(ベータ)、MWW(MCM−22)、MOR(モルデンフッ石)、LTL(ゼオライトL)、MTT(ZSM−23)、MTW(ZSM−12)、TON(ZSM−22)、MEL(ZSM−11)、LTA(Linde A型)、CHA(菱フッ石)、VFI(VPI−5)、MSE(MCS−68)、MOZ(ZSM−10)、ZSM−48、MAZ(マッチーフッ石)、MEI(ZSM−18)、MFS(ZSM−57)、NES(NU−87)、OFF(オフレットフッ石)、STI(スティルバイト)、BOG(ボクザイト)、ERI(エリオンフッ石)、FAU(フォージャサイト)、EUO(EU−1)、FER(フェリエライト)、およびGME(Gemelinite)である。細孔が中くらいのゼオライトの例は、細孔径が5オングストロームから8オングストロームの範囲にある、MFI、MEL、LTL、BEA、MOR、MWW、MTT、MTW、TON、MSE、MOZ、ZSM−48、MAZ、MEI、MFS、NES、OFF、STI、BOG、ERI、FAU、EUO、FERおよびGMEである。細孔が中くらいのゼオライトを含むゼオライトは、一次元(1D)、二次元(2D)または三次元(3D)である細孔構造を有する。MTWおよびZSM−48が、1Dの細孔構造を有するゼオライトの例である。MELが、2Dの細孔構造を有するゼオライトの例である。MFIおよびBEAが、3Dの細孔構造を有するゼオライトの例である。
【0012】
結晶性ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩およびシリコアルミノリン酸塩は、酸素原子を共有することによって三次元網状組織を形成する、TO4四面体の構造を有し、ここで、Tは、ケイ素などの四価元素、アルミニウムなどの三価元素、およびリンなどの五価元素を表す。本出願における「ゼオライト」は、TがAlまたはSiであるだけでなく、骨格におけるSiおよびAlを等電子的に置き換えることのできる四価、三価および二価のT原子、例えば、ゲルマニウム(4+)、チタン(4+)、ホウ素(3+)、ガリウム(3+)、鉄(2+)、亜鉛(2+)およびベリリウム(2+)を含む、角を共有するTO4四面体からなる開いた三次元骨格構造(上述した次元の細孔構造を問わない)を有するアルミノケイ酸塩を含む。「ゼオライト」は、主に、組成ではなく、構造の記述である。
【0013】
ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩およびシリコアルミノリン酸塩は、一般に、水溶液から結晶化する。ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩を合成するための典型的な技法は、溶解/再結晶化機構を利用した、水熱プロセスによって、必要に応じて、シリカ源、アルミニウム源およびリン源の水性ゲルを結晶に転化させる工程を含む。この反応媒質は、結晶化中に結晶性網状組織の微小多孔質空間に含まれる有機構造規定剤を含有してもよく、それゆえ、網状組織の構成を調節し、ケイ素、アルミニウムまたはリン成分との相互作用によって、その構造を安定化させるのを促進させてもよい。ゲルの固形分は、約5%から約25%までに及ぶ。本発明のある実施の形態において、固形分は、約10%から約20%に及ぶ。
【0014】
水性ゲルは、必要に応じての、シリカ源、アルミニウム源、リン源、および随意的な有機構造規定剤に加えて、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩の骨格に組み込むべき第4族、第5族、第13族、第14族、第15族または第1遷移金属からの少なくとも1種類の他の元素の供給源を含有する。
【0015】
シリカ源の例としては、Ludox AS−40(商標)として市販されているシリカゾル、Ultrasil WN3SP(商標)として市販されている沈降シリカ、およびAerosil 200(商標)として市販されているヒュームドシリカなどの様々な形態で入手できる酸化ケイ素すなわちシリカ(SiO2)が挙げられる。
【0016】
アルミニウム源の例としては、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび擬ベーマイトが挙げられる。
【0017】
リン源の例としては、オルトリン酸、リン酸トリエチル、メタリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0018】
第4族、第5族、第13族、第14族、第15族または第1遷移金属の供給源の例としては、酸化物、塩化物、硫酸塩、アルコキシド、フッ化物、硝酸塩およびシュウ酸塩が挙げられる。
【0019】
構造規定剤の例としては、水酸化テトラn−プロピルアンモニウム、臭化テトラn−プロピルアンモニウムおよび塩化テトラn−プロピルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、ヘキサメチレンイミン、水酸化1,4−ジ(1’4’−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)ブタン、モルホリン、シクロヘキシルアミンおよびジエチルエタノールアミン、N,N’−ジイソプロピルイミダゾリウム陽イオン、テトラブチルアンモニウム化合物、ジ−n−プロピルアミン(DPA)、トリプロピルアミン、トリエチルアミン(TEA)、トリエタノールアミン、ピペリジン、2−メチルピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、コリン陽イオン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N’,N’,N,N−テトラメチル−(1,6)ヘキサンジアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチル−エタノールアミン、N−メチル−ピペリジン、3−メチル−ピペリジン、N−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルピリジン、4−メチル−ピリジン、キヌクリジン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンイオン;ジ−n−ブチルアミン、ネオペンチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチル−アミン、エチレンジアミン、ピロリジン、2−イミダゾリドン、N−ベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン陽イオン、1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムまたは1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジウム陽イオンおよびそれらの混合物などの有機アミンおよび第四級アンモニウム化合物およびその塩と陽イオンが挙げられる。構造規定剤の特別な例としては、臭化テトラエチルアンモニウム;1,8−ジアミノオクタン;1,6−ヘキサンジアミン;塩化テトラメチルアンモニウム;臭化テトラエチルアンモニウム;臭化テトラブチルアンモニウムが挙げられる。構造規定剤の他の特別な例としては、Ge−ZSM−5については水酸化(または臭化)テトラプロピルアンモニウム;ZSM−11およびGe−ZSM−11については臭化テトラブチルアンモニウム;ZSM−12、Ge−ZSM−12、Al−ベータおよびGe−Al−ベータについては水酸化テトラエチルアンモニウム;並びにZSM−48およびGe−ZSM−48については1,6−ヘキサンジアミンが挙げられる。
【0020】
前記反応では、試薬として酸を利用してもよい。その酸は、ブレンステッド酸またはルイス酸であってよい。本発明において有用な酸の非限定的な例としては、硫酸、酢酸、硝酸、リン酸、塩化水素酸、フッ化水素酸、シュウ酸または蟻酸が挙げられる。ゼオライトの反応混合物のpHの一例は、約9から約13までである。ゼオライトの反応混合物のpHの別の例は、約9.5から約12.5までである。反応混合物のpHの他の例は、Ge−ZSM−5については約9.2;Ge−ZSM−11については約11.2;Ge−ZSM−12については約12.4;およびGe−Al−ベータについては約13.8である。アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)の反応混合物のpHの一例は、約3から約9までである。アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)の反応混合物のpHの別の例は、約4から約8までである。
【0021】
反応混合物は、静置しても、1から7日間に亘り約600rpmで撹拌し、約100℃から約200℃の温度に加熱して、結晶を形成してもよい。本発明のある実施の形態において、温度範囲は、約135℃から約180℃までであった。反応混合物は、毎分約3℃から10℃の比率で15から60分の範囲で室温まで冷却される。結晶は、合成溶液から分離される。合成溶液の液体部分は、濾過、蒸発、噴霧乾燥または結晶から水を除去するための任意の他の手段によって除去してよい。結晶は、水で洗浄され、次いで、乾燥され、か焼される。
【0022】
ケイ酸塩は、アルミニウムを実質的に含まないが、500ppmまでアルミニウムおよび他の不純物を含有してもよい。
【0023】
アルミノケイ酸塩は、2:1より大きいケイ素のアルミニウムに対する原子比(Si:Al)を有してよい。本発明のある実施の形態において、ケイ素のアルミニウムに対する原子比は、15:1から200:1の範囲にある。本発明の別の実施の形態において、ケイ素のアルミニウムに対する原子比は、18:1から100:1の範囲にある。
【0024】
アルミノリン酸塩は、ここに引用する特許文献1に開示されているように、約0.8:1から約1.2:1の範囲にあるアルミニウムのリンに対する原子比(Al:P)を有してよい。
【0025】
シリコアルミノリン酸塩は、「x」、「y」および「z」がそれぞれケイ素、アルミニウムおよびリンのモル分率を表し、四面体酸化物として存在する(SxAlyz)O2により示されるケイ素対アルミニウム対リンの原子比を有し、このモル分率は、ここに引用する特許文献2に開示されたような、以下の表:

に示される値を有する三成分図の点ABCDおよびEにより画成される五角形組成区域内に含まれるようなものである。
【0026】
結晶骨格中に存在する第4族、第5族、第13族、第14族、第15族および第1遷移金属の量は、0.1質量%から25質量%の範囲にある。本発明のある実施の形態において、この範囲は、0.1質量%から10質量%までである。本発明の別の実施の形態において、この範囲は、0.1質量%から5質量%までである。
【0027】
ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩は、2オングストロームから20オングストロームの範囲の平均細孔径を有し、すなわち、微小多孔質である。
【0028】
第6族、第7族、第8族、第9族または第10族から選択される少なくとも1種類の金属が、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩上に堆積される(「堆積金属」)。その金属は、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩の表面上だけでなく、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩内に生じる細孔および通路内にも堆積する。その金属は、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩上に金属を堆積させる任意の公知の方法によって、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩上に堆積する。ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩上に金属を堆積させる典型的な方法は、イオン交換および含浸である。本発明のある実施の形態において、金属は、0.05質量%から3質量%の範囲で存在する。本発明の別の実施の形態において、金属は、0.1質量%から2質量%の範囲で存在する。本発明の別の実施の形態において、金属は、0.2質量%から1.5質量%の範囲で存在する。
【0029】
しかしながら、金属がその上に堆積したケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩系の触媒について、プロセス温度および触媒再生温度により、金属が「焼結」し、すなわち、金属粒子が凝集し、その結果、ゼオライトの表面上の金属粒径が増加し、金属の表面積が減少し、触媒性能、特に、活性および/または選択性などの触媒性能が損なわれてしまう。
【0030】
本発明およびその特許請求の範囲が理論により制限されるものではないが、骨格中のある元素およびケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩上に堆積したある金属が、堆積した金属の焼結に抵抗するように結合すると考えられる。米国特許第6784333号明細書には、炭化水素の芳香族化のプロセスに使用するための、白金がその上に堆積したアルミニウム−ケイ素−ゲルマニウムゼオライトが開示され、請求されている。ゼオライトの骨格にあるゲルマニウムの存在およびゼオライト上に堆積した白金の存在により、ベンゼン、トルエンおよびキシレン(BTX)の選択性が明らかに高くなり、これは、相当な時間に亘り運転されても実質的に一定のままである。米国特許第6784333号明細書の発明およびその特許請求の範囲を理論により制限するものではないが、骨格中のゲルマニウムおよびゼオライト上に堆積した白金は、その白金が分散されたままであり、焼結が減少するように結合するのであろう。骨格中のある元素および堆積したある金属の結合が、米国特許第6784333号明細書に開示されているように、ZSM−5以外のゼオライトに存在するであろう。骨格にゲルマニウムがあり、ゼオライトに白金が堆積した、他のゼオライトを合成して、Pt/Ge−ゼオライト触媒を形成してもよい。
【0031】
ゲルマニウムに加えて、白金または他の堆積金属と結合する、結晶骨格中の他の元素があってもよい。結晶骨格中の元素は、元素の周期表の第4族、第5族、第13族、第14族、第15族および第1遷移金属から選択してよい。これらの元素の特別な例としては、ゲルマニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、スズ、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、鉄、ニオブおよびリンが挙げられる。結晶骨格中に1種類以上の元素があってもよい。
【0032】
白金に加えて、結晶骨格中のゲルマニウムまたは他の元素と結合する他の堆積金属があってもよい。堆積金属は、元素の周期表の第6族、第7族、第8族、第9族および第10族から選択してよい。堆積金属の特別な例としては、白金、モリブデン、レニウム、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウムおよびイリジウムが挙げられる。バイメタル、例えば、Pt/Sn、Pt/Ge、Pt/Pbなどの1種類以上の金属または金属/金属酸化物の組合せ、例えば、Pt/GeO2を堆積してもよい。
【0033】
第4族、第5族、第13族、第14族、第15族および第1遷移金属からのこれらの元素がその一部であり、第6族、第7族、第8族、第9族および第10族から選択される金属がその上に堆積した結晶骨格は、ゼオライトに制限される必要はなく、任意の微小多孔質ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩であってよい。
【0034】
金属の堆積の前または後に、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩は、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、トリウム、ケイ素、ホウ素またはそれらの混合物の酸化物またはリン酸塩と結合させてもよい。金属を結合および堆積させるプロセス工程は、どの順序で行っても差し支えない。結合は、金属の堆積の前または後に行ってよい。
【0035】
触媒は、合成の違う段階でか焼してもよい。ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩は、有機構造規定剤を除去するためにか焼してもよい。このか焼は、どのような構造規定剤も実質的に全てを除去するのに十分な時間に亘り、例えば、1から6時間または約4時間に亘り、約300℃から約1000℃または約300℃から約750℃の温度で行われる。か焼の一例は、10時間に亘る550℃である。か焼は、結合後に行ってもよい。このか焼は、約1時間から約24時間の範囲の期間に亘り、約300℃から約1000℃の範囲の温度で行われる。か焼は、金属を固定するために、金属の堆積後に行ってもよい。このか焼は、500℃の温度を超えるべきでなく、約0.5時間から約24時間の範囲の期間に亘り約200℃から約500℃の温度で行ってよい。これらのか焼は、別々である必要はなく、複数の目的を達成するために、組み合わせてもよい。ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩をか焼する場合、それらは、結合されていても未結合であってもよく、その上に金属が堆積されていても、いなくてもよい。
【0036】
触媒は、結合されていてもいなくても、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩の均一な多孔性に加えて、多孔性を有する。未結合の触媒について、触媒の平均細孔径は、結合と未結合の触媒で様々であって差し支えなく、2オングストロームから100オングストロームの範囲にある。本発明のある実施の形態において、平均細孔径は、5オングストロームから50オングストロームの範囲にある。本発明の別の実施の形態において、平均細孔径は、5オングストロームから20オングストロームの微小多孔質範囲にある。結合触媒について、触媒の平均細孔径は、5オングストロームから100マイクロメートルまで様々であってよい。
【0037】
炭化水素の転化に用いられるある触媒は、硫黄被毒を受けやすい。しかしながら、炭化水素の転化に用いられるある触媒について、供給原料中の約0から200ppmなどの、適量の硫黄は許容され、ときには好ましい。触媒を硫黄で前処理してもよい。当該技術分野においてよく知られた標準的な加硫法は、硫化水素などの硫黄化合物、または硫黄化合物と、水素または窒素などの不活性ガスとの混合物の存在下で、150および800℃の間の温度まで加熱する工程にある。硫黄化合物の非限定的例としては、H2S、二硫化ジメチルまたはDMSO(ジメチルスルホキシド)などの有機硫化物、もしくはn=1〜20である、Cn2n+2SまたはCn2n+22が挙げられる。本発明のある実施の形態において、温度は250および600℃の間にある。
【0038】
触媒は、触媒を硫黄または硫黄化合物と接触させることによって形成される、堆積金属の硫化物などの、反応生成物を含有してもよい。本発明のある実施の形態において、触媒上の硫黄の量は、10ppmから0.1質量%の範囲にある。
【0039】
触媒は、スズ、ゲルマニウムまたは鉛などの、硫黄以外の元素を含有してもよい。これらの元素は、堆積金属のスズ、ゲルマニウムまたは鉛に対する比として、1:1から1:100の範囲で存在するであろう。これらの元素は、湿式含浸、化学蒸着または当該技術分野に公知の他の方法によって、触媒に加えられる。
【0040】
ゼオライト骨格中に同形で組み込まれた第4族、第5族、第13族、第14族、第15族および第1遷移金属から選択される少なくとも1種類の元素、並びにゼオライト上に堆積した第6族、第7族、第8族、第9族および第10族から選択される少なくとも1種類の金属を含有するケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩またはシリコアルミノリン酸塩は、直鎖、分岐鎖、環式またはそれらの混合物であってよいC2〜C12アルカン、オレフィンまたはそれらの混合物を含有する炭化水素流の芳香族化合物への転化プロセスに使用することができる。
【0041】
ゼオライトは、酸性を減少させ、非酸性ゼオライトを形成するために、セシウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、バリウム、カルシウム、マグネシウムおよびそれらの混合物などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属で塩基交換されてもよい。非酸性ゼオライトは、交換の陽イオン部位、例えば、典型的にアルミニウムに結合する部位の実質的に全てが、水素ではない陽イオン種、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属により占められている。これらの陽イオン部位は、炭化水素の望ましくない生成物への分解の原因であることが多い。ゼオライトは、塩基交換によって、または本発明の意味および目的に関しては、アルミニウム含有量が少ない、すなわち、アルミニウム含有量が0.4質量%以下であることにより、非酸性であってよい。塩基交換は、貴金属が堆積される前に行っても後に行ってもよい。そのような塩基交換された触媒は、天然ガス凝縮液、軽質ナフサ、芳香族化合物抽出および他の精油所または化学プロセスからのラフィネートから得られるであろう、C6〜C12アルカンを、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族化合物に転化するのに用いてよい。塩基交換は、反応混合物の一成分としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属が加えられたゼオライトの合成中に行っても、もしくは貴金属の堆積の前または後に結晶性ゼオライトに行ってもよい。ゼオライトは、アルミニウムが結合する陽イオンのほとんどまたは全てがアルカリ金属またはアルカリ土類金属である程度まで、塩基交換されている。塩基交換後のゼオライトにおける一価塩基:アルミニウムのモル比の例は、少なくとも約0.9である。二価または三価の塩基について、そのモル比は、それぞれ、一価の塩基に関するものの半分(0.45)または三分の一(0.3)であり、一価と二価と三価の塩基の混合物については、このモル比は、混合物中のそれぞれの含有量によって割り当てられるであろう。
【0042】
この触媒を使用できる炭化水素転化プロセスの例には以下のものがある。
【0043】
(A) 軽質オレフィンを生成するためのナフサ供給原料の接触分解。典型的な反応条件としては、約500℃から約750℃までの温度、一般に、約10気圧(ゲージ圧で)までに及ぶ減圧または大気圧、および約10ミリ秒から約10秒までの触媒滞留時間(触媒の体積/供給原料の流量)が挙げられる。
【0044】
(B) 低分子量炭化水素への高分子量炭化水素の接触分解。接触分解の典型的な反応条件としては、約400℃から約700℃までの温度、約0.1気圧(バール)から約30気圧までの圧力、および約0.1から約100h-1までの質量基準の空間速度が挙げられる。
【0045】
(C) ポリアルキル芳香族炭化水素の存在下での芳香族炭化水素のトランスアルキル化。典型的な反応条件としては、約200℃から約500℃までの温度、ほぼ大気圧から約200気圧までの圧力、約1から約100h-1までの質量基準の空間速度、および約1/1から約16/1までの芳香族炭化水素/ポリアルキル芳香族炭化水素のモル比が挙げられる。
【0046】
(D) 芳香族(例えば、キシレン)の供給原料成分の異性化。そのような異性化に関する典型的な反応条件としては、約230℃から約510℃までの温度、約0.5気圧から約50気圧までの圧力、約0.1から約200h-1までの質量基準の空間速度、および約0から約100までの水素/炭化水素のモル比が挙げられる。
【0047】
(E) 直鎖パラフィンを選択的に除去することによる炭化水素の脱ろう。その反応条件は、大半は、使用する供給原料に、並びに所望の流動点に依存する。典型的な反応条件としては、約200℃と450℃の間の温度、ゲージ圧で3,000psi(約20.1MPa)までの圧力、および0.1から20h-1まで液空間速度が挙げられる。
【0048】
(F) アルキル化剤、例えば、1から20の炭素原子を有するオレフィン、ホルムアルデヒド、ハロゲン化アルキル、およびアルコールの存在下での、芳香族炭化水素、例えば、ベンゼンおよびアルキルベンゼンのアルキル化。典型的な反応条件としては、約100℃から約500℃までの温度、ほぼ大気圧から約200気圧までの圧力、約1h-1から約100h-1までの質量基準の空間速度、および約1/11から約20/1までの芳香族炭化水素/アルキル化剤のモル比が挙げられる。
【0049】
(G) 芳香族炭化水素、例えば、ベンゼンの、長鎖オレフィン、例えば、C14オレフィンによるアルキル化。典型的な反応条件としては、約50℃から約200℃までの温度、ほぼ大気圧から約200気圧までの圧力、約2h-1から約2000h-1までの質量基準の空間速度、および約1/1から約20/1までの芳香族炭化水素/オレフィンのモル比が挙げられる。この反応から得られる生成物は、その後にスルホン化したときに、合成洗剤としての特殊な用途を有する長鎖アルキル芳香族化合物である。
【0050】
(H) 短鎖アルキル芳香族化合物を提供するための、芳香族炭化水素の軽質オレフィンによるアルキル化、例えば、クメンを提供するための、ベンゼンのプロピレンによるアルキル化。典型的な反応条件としては、約10℃から約200℃までの温度、約1気圧から約30気圧までの圧力、および約1h-1から約50h-1までの芳香族炭化水素の質量基準の空間速度が挙げられる。
【0051】
(I) 重質石油供給原料、環式供給原料、および他の水素添加分解原料の水素添加分解。ゼオライトに結合した高シリカゼオライトは、水素添加分解触媒に用いられる種類の少なくとも1種類の水素化成分を効果的な量で含有する。
【0052】
(J) モノ−およびジ−アルキレートを生成するための、多量のベンゼンおよびトルエンを含有する改質油の、短鎖オレフィン(例えば、エチレンおよびプロピレン)を含有する燃料ガスによるアルキル化。好ましい反応条件としては、約100℃から約250℃までの温度、ゲージ圧で約100から約800psi(約0.69から5.5MPa)までの圧力、約0.4h-1から約0.8h-1までの改質油の質量基準の空間速度、および随意的に、約1.5から2.5体積/燃料ガス供給原料の体積のガスの再循環が挙げられる。
【0053】
(K) アルキル化芳香族基礎原料を製造するための、芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびナフタレンの、長鎖オレフィン、例えば、C14オレフィンによるアルキル化。典型的な反応条件としては、約100℃から約400℃までの温度、およびゲージ圧で約50から約450psi(約345から3100kPa)までの圧力が挙げられる。
【0054】
(L) 長鎖アルキルフェノールを提供するための、フェノールのオレフィンまたは相当するアルコールによるアルキル化。典型的な反応条件としては、約100℃から約250℃までの温度、ゲージ圧で約1から約300psi(約6.9から2070kPa)までの圧力、および約2h-1から約10h-1までの合計の質量基準の空間速度が挙げられる。
【0055】
(M) 軽質パラフィンのオレフィンおよび/または芳香族化合物への転化。典型的な反応条件としては、約425℃から約760℃までの温度、およびゲージ圧で約10から約2000psi(約0.069から13.8MPa)までの圧力が挙げられる。
【0056】
(N) 軽質オレフィンのガソリン、留出油および潤滑剤範囲の炭化水素への転化。典型的な反応条件としては、約175℃から約500℃までの温度、およびゲージ圧で約10から約2000psi(約0.069から13.8MPa)までの圧力が挙げられる。
【0057】
(O) 約200℃より高い初期沸点を有する炭化水素流を石油留分およびガソリンの沸点範囲の生成物に、またはさらなる燃料または化学処理工程への供給原料に改良するための二段階水素添加分解。第1段階は、1種類以上の触媒活性物質、例えば、第8族金属を含む、ゼオライトに結合した高シリカゼオライトであって差し支えなく、第1段階からの留出液は、触媒として1種類以上の触媒活性物質、例えば、第8族金属を含む第2のゼオライト、例えば、ゼオライトベータを用いて、第2段階で反応させられるであろう。典型的な反応条件としては、約315℃から約455℃までの温度、ゲージ圧で約400から約2500psi(約2.8から17MPa)までの圧力、約1000から約10,000SCF/bblまでの水素循環、および約0.1から10h-1までの液空間速度(LHSV)が挙げられる。
【0058】
(P) 水素化成分およびゼオライトベータなどのゼオライトを含む、ゼオライトに結合した高シリカゼオライトの存在下での水素添加分解/脱ろう複合プロセス。典型的な反応条件としては、約350℃から約400℃までの温度、ゲージ圧で約1400から約1500psi(約9.7から10MPa)までの圧力、および約3000から約5000SCF/bblまでの水素循環が挙げられる。
【0059】
(Q) 混合エーテルを提供するための、アルコールのオレフィンとの反応、例えば、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)および/またはt−アミルメチルエーテル(TAME)を提供するための、メタノールのイソブテンおよび/またはイソペンテンとの反応。典型的な転化条件としては、約20℃から約200℃の温度、2気圧から約200気圧までの圧力、約0.1h-1から約200h-1までの質量基準の空間速度(オレフィンのグラム/時・ゼオライトのグラム)、および約0.1/1から約5/1までのアルコールのオレフィンに対する供給モル比が挙げられる。
【0060】
(R) 芳香族化合物の不均化、例えば、ベンゼンおよびキシレンを製造するためのトルエンの不均化。典型的な反応条件としては、約200℃から約760℃の温度、ほぼ大気圧から約60気圧(バール)までの圧力、約0.1h-1から約30h-1までの質量基準の空間速度が挙げられる。
【0061】
(S) ナフサ(例えば、C6〜C10)および同様の混合物の高級芳香族混合物への転化。それゆえ、沸点範囲が約40℃より高く、約200℃未満であることが好ましい、通常のわずかに分岐鎖を有する炭化水素を、この炭化水素供給原料を、約400℃から600℃まで、好ましくは480℃から550℃までの範囲の温度で、大気圧から40バールまでに及ぶ圧力、および0.1から15h-1に及ぶ液空間速度(LHSV)で、ゼオライトと接触させることによって、オクタンの芳香族化合物含有量が実質的に多い生成物に転化できる。
【0062】
(T) アルキル芳香族化合物の様々な異性体を分離する目的のためのその化合物の吸着。
【0063】
(U) 約275℃から約600℃までの温度、約0.5気圧から約50気圧までの圧力、および約0.1から100h-1までの液空間速度を含む反応条件による、酸素含有物質、例えば、メタノールなどのアルコール、またはジメチルエーテルなどのエーテル、もしくはそれらの混合物の、オレフィンおよび芳香族化合物を含む炭化水素への転化。
【0064】
(V) 約2から約5の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖オレフィンのオリゴマー化。このプロセスの生成物であるオリゴマーは、燃料、すなわち、ガソリンまたはガソリンブレンド原料、および化学薬品の両方にとって有用である、中くらいから重質オレフィンである。オリゴマー化プロセスは、ガス状のオレフィン供給原料を、ゼオライトと結合した高シリカゼオライトに、約250℃から約800℃間での範囲の温度で、約0.2から約50h-1のLHSVおよび約0.1から約50気圧までの炭化水素分圧で、接触させることによって、一般に行われる。供給原料が液相にあり、ゼオライトと結合した高シリカゼオライト触媒を接触させる場合、約250℃より低い温度を用いて、供給原料をオリゴマー化してもよい。それゆえ、オレフィン供給原料が液相で触媒と接触したときに、約10℃から約250℃までの温度を使用することができる。
【0065】
(W) C2不飽和炭化水素(エチレンおよび/またはアセチレン)の脂肪族C6-12アルデヒドへの転化およびそのアルデヒドの対応するC6-12アルコール、酸、またはエステルへの転化。
【0066】
(X) FCC(流動式接触分解)供給流の脱硫。この脱硫プロセスは、100℃から約600℃まで、好ましくは約200℃から約500℃まで、より好ましくは約260℃から約400℃までの温度で、ゲージ圧で、0から約2000psi(0から約13.8MPa)まで、好ましくは約60から約1000psi(約0.41から約6.9MPa)より好ましくは約60から約500psi(約0.41から約3.4MPa)までの圧力で、1から10h-1に及ぶLHSVで、一般に行われる。本発明のプロセスにより脱硫できる炭化水素混合物は、150ppmより多く硫黄を含有し、例えば、炭化水素混合物は、硫黄含有量が、1000ppmより多く、さらには10000ppmより多い。
【0067】
本発明を一般的に説明してきたが、以下の実施例は、本発明の特定の実施の形態として、その実施および利点を実証するために与えられたものである。これらの実施例は、例証のために与えられたものであり、明細書や以下の特許請求の範囲をどのようにも制限することを意図したものではないことが理解されよう。
【実施例】
【0068】
実施例1
Ge−ZSM−5の合成
使用した化学薬品:
「Ludox AS−40」コロイドシリカSiO2;水中40質量%の懸濁液;Aldrich;
水酸化ナトリウムNaOH;50質量%の水溶液;Sigma-Aldrich;
二酸化ゲルマニウムGeO2;米国GTAH68002のGermanium Corporation;
アルミン酸ナトリウムNaAlO2(23.6質量%のAl23;19.4質量%のNa2O;57.0質量%のH2O);Southern Ionics;
水酸化テトラプロピルアンモニウム(CH3CH2CH24NOH、水中40質量%;SACHEM;
酢酸CH3CO2H、99.7%;Aldrich
【0069】

溶液1
15.84gの水酸化ナトリウム溶液を151.25gの脱イオン水と混合した。この溶液中に7.11gのGeO2を撹拌しながら溶解させた。
【0070】
溶液2
3.84gのアルミン酸ナトリウムを153.9gの脱イオン水と混合した。
【0071】
溶液1を、150gの「Ludox AS−40」中に、10分間に亘り激しくゲル撹拌しながら注ぎ入れた。次いで、溶液2を入れ、ゲルを15分間に亘り撹拌した。この混合物に水酸化テトラプロピルアンモニウム(105.42g)を加え、ゲルを約1時間に亘り撹拌した。23.32gの酢酸を、連続的に撹拌しながら、ゲルに加えた。10分間の撹拌後のゲルのpHは9.25であった。36時間に亘り撹拌しながら(300rpm)、1Lのステンレス鋼製オートクレーブ内において160℃で結晶化を行った。ゼオライトを濾過し、脱イオン水で洗浄した。ゼオライトを90℃で一晩乾燥させ、空気を強制的に送り込む炉内で10時間に亘り550℃でか焼した。
【0072】
XRF分析結果は、0.244質量%のNa;41.04質量%のSi;0.73質量%のAl;5.67質量%のGeである。
【0073】
XRD分析により、ZSM−5構造の形成が確認された。
【0074】
Pt/CsGeZSM−5
研究室で調製した15gのGeZSM−5を350mlのCsNO3(0.5M)水溶液で洗浄し、濾過した。次いで、濾液を0.5MのCsNO3でさらに3回洗浄し、最後の濾過の際に蒸留水で濯いだ。次いで、ゼオライト粉末を空気中において280℃で3時間に亘りか焼した。
【0075】
0.8150gの脱イオン水中に溶解させた0.0408gのPt(NH24(NO32溶液を1.99gのCs交換したGeZSM−5に滴下で加えることによって、初期湿式含浸を行った。この材料を、110℃の乾燥炉内で1時間に亘り乾燥させ、次いで、空気中において280℃で3時間に亘りか焼した。
【0076】
元素分析により、41.0質量%のSi、0.71質量%のAl、5.27質量%のCs、4.13質量%のGeおよび0.96質量%のPtが得られた。
【0077】
XRD分析により、ZSM−5構造の形成が確認された(図1AおよびB)。
【0078】
触媒粉末を圧縮し、20〜40メッシュのサイズに分類した。0.25cm3(0.123g)のサイズ分けした触媒を1.75mlの不活性石英片と混合し、H2を流しながら1時間に亘り460℃で前処理した。次いで、触媒テストを開始した。
【0079】
不活性石英片と混合された触媒粒子を、外径1/4インチ(約0.64cm)の栓流式反応装置中に充填した。n−ヘキサンを、約150℃の温度で流動水素の流れ中に気化させた。このガス混合物を8.6h-1のLHSVで反応装置に通し、反応装置は、外部の加熱ジャケットにより515℃の温度に維持した。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した。メタンからジメチルナフタレンまでのサイズに及ぶ生成物が観察された。イソヘキサン(例えば、2−メチルペンタン)およびオレフィン(例えば、1−ヘキセン)を含む様々なC6異性化生成物が観察された。転化率および選択率を計算する目的で、これらのC6生成物は、未反応であると考えた。報告された選択率は、生成されたベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンの合計を、回収された全ベンゼン、C1〜C5、およびC7+材料の総量で割ったものとして計算した。これらの選択率は、C6モル基準で表されている。
【表1】

【0080】
実施例2
Ge−ZSM−11(形態1)の合成
使用した化学薬品:
アルミン酸ナトリウム(23.6%のAl23;19.4%のNa2O;57%のH2O);Southern Ionics;
水酸化ナトリウム;>98%;Aldrich;
臭化テトラブチルアンモニウム、98%;Sigma-Aldrich;
「Ludox HS−30」コロイドシリカ;水中30質量%の懸濁液;Sigma-Aldrich;
酸化ゲルマニウム(IV)GeO2;米国GTAH68002のGermanium Corporation;
【0081】

1.7gのアルミン酸ナトリウムおよび2.817gの水酸化ナトリウムを136.0gの脱イオン水中に溶解させた。この溶液に28.16gの臭化テトラブチルアンモニウムを加え、溶解させた。この溶液中に2.8452gの酸化ゲルマニウムを溶解させた。この溶液中に、約15分間撹拌しながら、コロイドシリカ「Lusox HS−30」(80g)を溶液中に入れた。ゲルのpHは12.61であった。撹拌しながら(200rpm)、144時間に亘り150℃で300mlのステンレス鋼製オートクレーブ内において結晶化を行った。
【0082】
材料を濾過し、脱イオン水で洗浄した。この材料を、90℃で一晩乾燥させ、40メッシュのサイズで篩い分けし、強制空気を流した炉内で10時間に亘り550℃でか焼した。
【0083】
サンプルのXRF分析のデータ:42.50質量%のSi;0.99質量%のAl;1.177質量%のNa;2.81質量%のGe。
【0084】
Ge−ZSM−11(形態1)のSEMが図2に示されている。XRD分析により、“Collection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites”, 5th edition, M.M.J. Treacy & J. B. Higgins, Amsterdam: Elsevier (2007)などの文献において公表されたZSM−11のパターンとの比較により、ZSM−11の形成を確認した。図3を参照のこと。
【0085】
1%Pt/CsGeZSM−11の合成
4gの研究室で調製したGeZSM−11(形態1)を200mlのCsNO3水溶液(0.5M)で洗浄し、次いで、濾過した。次いで、濾液を0.5MのCsNO3でさらに3回洗浄し、最後の濾過の際に蒸留水で濯いだ。次いで、ゼオライト粉末を空気中において280℃で3時間に亘りか焼した。
【0086】
1.962gの脱イオン水中に溶解させた0.0396gのPt(NH24(NO32の溶液を1.962gのCs交換したZSM−11に滴下で加えることによって、初期湿式含浸を行った。この材料を110℃の乾燥炉内で1時間に亘り乾燥させ、次いで、3時間に亘り280℃で空気中においてか焼した。元素分析が以下に示されている。
【0087】
触媒粉末を圧縮し、20〜40メッシュのサイズに分類した。0.25cm3(0.124g)のサイズ分けした触媒を1.75mlの不活性石英片と混合し、H2を流しながら1時間に亘り460℃で前処理した。次いで、触媒テストを開始した。
【0088】
実施例3
Ge−ZSM−11(形態2)の合成
使用した化学薬品:
硫酸アルミニウム水和物Al2(SO43・xH2O、99.998%;Aldrich;
水酸化カリウム;>90%;Sigma-Aldrich;
1,8−ジアミノオクタン、98%;Alcrich;
「Ludox HS−30」コロイドシリカ;水中30質量%の懸濁液;Sigma-Aldrich;
酸化ゲルマニウム(IV)GeO2;米国GTAH68002のGermanium Corporation;
硫酸、95〜98%;Sigma-Aldrich
【0089】

7.2gの硫酸アルミニウム水和物を544gの脱イオン水中に溶解させた。この溶液中に水酸化カリウム(16g)を溶解させた。同じ溶液中に6.83gの酸化ゲルマニウムを溶解させた。この溶液中に、64gの1,8−ジアミノオクタンを加え、撹拌により溶解させた。約15分間撹拌しながら、コロイドシリカ「Lusox HS−30」(192g)を溶液中に徐々に入れた。白色のゲルが形成された。ゲルを約1時間に亘り撹拌した。次いで、激しく溶液を撹拌しながら、10mlの硫酸を徐々に加えた。ゲルのpHは約11であった。
【0090】
撹拌しながら(200rpm)、120時間に亘り160℃で1Lのステンレス鋼製オートクレーブ内において結晶化を行った。材料を濾過し、脱イオン水で洗浄した。この材料を、90℃で一晩乾燥させ、40メッシュのサイズで篩い分けし、強制空気を流した炉内で10時間に亘り550℃でか焼した。
【0091】
サンプルのXRF分析のデータ:40.80質量%のSi;1.12質量%のAl;1.06質量%のK;5.52質量%のGe。
【0092】
Ge−ZSM−11(形態2)のSEMが図4に示されている。XRD分析により、“Collection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites”, 5th edition, M.M.J. Treacy & J. B. Higgins, Amsterdam: Elsevier (2007)などの文献において公表されたZSM−11のパターンとの比較により、ZSM−11の形成を確認した。図5を参照のこと。
【0093】
1%Pt/CsGeZSM−11の合成
3gの研究室で調製したGeZSM−11(形態2)を150mlのCsNO3水溶液(0.5M)で洗浄し、次いで、濾過した。次いで、濾液を0.5MのCsNO3でさらに3回洗浄し、最後の濾過の際に蒸留水で濯いだ。次いで、ゼオライト粉末を空気中において280℃で3時間に亘りか焼した。
【0094】
1.00gの脱イオン水中に溶解させた0.0398gのPt(NH24(NO32の溶液を2.002gのCs交換したZSM−11に滴下で加えることによって、初期湿式含浸を行った。この材料を110℃の乾燥炉内で1時間に亘り乾燥させ、次いで、3時間に亘り280℃で空気中においてか焼した。元素分析が以下に示されている。
【0095】
触媒粉末を圧縮し、20〜40メッシュのサイズに分類した。0.25cm3(0.129g)のサイズ分けした触媒を1.75mlの不活性石英片と混合し、H2を流しながら1時間に亘り460℃で前処理した。次いで、触媒テストを開始した。
【表2】

【0096】
不活性石英片と混合された触媒粒子を、外径1/4インチ(約0.64cm)の栓流式反応装置中に充填した。n−ヘキサンを、約150℃の温度で流動水素の流れ中に気化させた。このガス混合物を8.6h-1のLHSVで反応装置に通し、反応装置は、外部の加熱ジャケットにより515℃の温度に維持した。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した。メタンからジメチルナフタレンまでのサイズに及ぶ生成物が観察された。イソヘキサン(例えば、2−メチルペンタン)およびオレフィン(例えば、1−ヘキセン)を含む様々なC6異性化生成物が観察された。転化率および選択率を計算する目的で、これらのC6生成物は、未反応であると考えた。報告された選択率は、生成されたベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンの合計を、回収された全ベンゼン、C1〜C5、およびC7+材料の総量で割ったものとして計算した。これらの選択率は、C6モル基準で表されている。
【表3】

【0097】
実施例4
Ge−ZSM−12の合成
使用した化学薬品:
水酸化ナトリウムNaOH、50%水溶液;Aldrich;
アルミン酸ナトリウムNaAlO2(23.6%のAl23;19.4%のNa2O;57.0%のH2O);Southern Ionics;
二酸化ゲルマニウムGeO2;米国GTAH68002のGermanium Corporation;
水酸化テトラエチルアンモニウム(CH2CH24NOH;35%w/w水溶液;Alfa-Aesar;
「Ludox HS−30」SiO2コロイドシリカ;(30質量%);Sigma-Aldrich;
【0098】

2.0042gの水酸化ナトリウム、1.6808gのアルミン酸ナトリウムおよび26.29gの水酸化テトラエチルアンモニウムを25.00gの脱イオン水中に溶解させた。この溶液中に3.0648gの二酸化ゲルマニウムを溶解させた。この溶液中に、撹拌しながら、100gのシリカ源「Lusox HS−30」を溶液に徐々に加えた。撹拌を1時間継続した。粘性のゲルが形成された。
【0099】
結晶化は、6日間に亘り160℃で、テフロン(登録商標)が裏打ちされた300mlの反応装置内において、静止様式で行った。結晶化後、pH=12.01であった。材料を濾過し、脱イオン水で洗浄した。この材料を、90℃で乾燥させ、40メッシュのサイズで篩い分けし、10時間に亘り600℃でか焼した。
【0100】
Ge−ZSM−12のSEMが図6に示されている。
【0101】
XRF分析結果は:0.793質量%のNa;43.97質量%のSi;0.69質量%のAl;3.28質量%のGe。
【0102】
XRD分析により、ZSM−12の構造の形成を確認した(図7)。
【0103】
Pt/CsGeZSM−12
3.22gの研究室で調製したGeZSM−12(361−032)を150mlのCsNO3水溶液(0.5M)で洗浄し、次いで、濾過した。次いで、濾液を0.5MのCsNO3でさらに3回洗浄し、最後の濾過の際に蒸留水で濯いだ。次いで、ゼオライト粉末を空気中において280℃で3時間に亘りか焼した。
【0104】
1.04gの脱イオン水中に溶解させた0.0410gのPt(NH24(NO32の溶液を2.012gのCs交換したZSM−12に滴下で加えることによって、初期湿式含浸を行った。この材料を110℃の乾燥炉内で1時間に亘り乾燥させ、次いで、3時間に亘り280℃で空気中においてか焼した。元素分析により、以下が得られた:42.95質量%のSi、5.83質量%のCs;0.70質量%のAl、1.60質量%のGe、および0.80質量%のPt。
【0105】
触媒粉末を圧縮し、20〜40メッシュのサイズに分類した。0.25cm3(0.127g)のサイズ分けした触媒を1.75mlの不活性石英片と混合し、H2を流しながら1時間に亘り460℃で前処理した。次いで、触媒テストを開始した。
【0106】
不活性石英片と混合された触媒粒子を、外径1/4インチ(約0.64cm)の栓流式反応装置中に充填した。n−ヘキサンを、約150℃の温度で流動水素の流れ中に気化させた。このガス混合物を8.6h-1のLHSVで反応装置に通し、反応装置は、外部の加熱ジャケットにより515℃の温度に維持した。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した。メタンからジメチルナフタレンまでのサイズに及ぶ生成物が観察された。イソヘキサン(例えば、2−メチルペンタン)およびオレフィン(例えば、1−ヘキセン)を含む様々なC6異性化生成物が観察された。転化率および選択率を計算する目的で、これらのC6生成物は、未反応であると考えた。報告された選択率は、生成されたベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンの合計を、回収された全ベンゼン、C1〜C5、およびC7+材料の総量で割ったものとして計算した。これらの選択率は、C6モル基準で表されている。
【表4】

【0107】
実施例5
Pt/Ge−ZSM−11
使用した化学薬品:
硫酸アルミニウム水和物Al2(SO43・xH2O、99.998%;Aldrich;
水酸化カリウムKOH;>90%;Sigma-Aldrich;
1,8−ジアミノオクタンNH2(CH28NH2、98%;Alcrich;
「Ludox HS−30」コロイドシリカ;水中30質量%の懸濁液;Sigma-Aldrich;
酸化ゲルマニウム(IV)GeO2;米国GTAH68002のGermanium Corporation;
硫酸H2SO4、95〜98%;Sigma-Aldrich
【0108】

7.2gの硫酸アルミニウム水和物を544gの脱イオン水中に溶解させた。この溶液中に水酸化カリウム(16g)を溶解させた。同じ溶液中に6.83gの酸化ゲルマニウムを溶解させた。この溶液中に、64gの1,8−ジアミノオクタンを加え、撹拌により溶解させた。撹拌しながら、コロイドシリカ「Lusox HS−30」(192g)を溶液中に徐々に入れた。ゲルが形成され、これを約1時間に亘り撹拌した。次いで、激しく溶液を撹拌しながら、10mlの硫酸を徐々に加えた。ゲルのpHは約11であった。
【0109】
撹拌しながら(200rpm)、120時間に亘り160℃で1Lのステンレス鋼製オートクレーブ内において結晶化を行った。材料を濾過し、脱イオン水で洗浄した。この材料を、90℃で一晩乾燥させ、40メッシュのサイズで篩い分けし、強制空気を流した炉内で10時間に亘り550℃でか焼した。
【0110】
サンプルのXRF分析のデータ:0.518質量%のNa;40.80質量%のSi;1.12質量%のAl;1.06質量%のK;5.52質量%のGe。
【0111】
Ge−ZSM−11ゼオライトを50/50質量でシリカと結合させた。結合ゼオライトを90℃で乾燥させ、6時間に亘り550℃でか焼した。材料を粉砕し、20/40メッシュサイズに篩い分けした。次いで、三工程における60℃での0.5MのNH4NO3によるサンプル処理によって、アンモニウムによるイオン交換を行った。60℃での0.005Mの(NH24Pt(NO32によるイオン交換によって、白金を触媒に導入した。脱イオン水で濯いだ後、触媒を60℃で一晩乾燥させ、5.5時間に亘り300℃で空気中においてか焼した。
【0112】
XRF分析結果は:0.045質量%のNa;45.77質量%のSi;0.53質量%のAl;0.89質量%のGe;0.36質量%のPt;Kは検出されなかった。
【0113】
実施例6
Pt/Ge−ZSM−48
使用した化学薬品:
水酸化ナトリウムNaOH;50%水溶液;Sigma-Aldrich;
Hi−Sil(登録商標)SiO2、水和アモルファスシリカ;PPT Industries, Inc.;
1,6−ジアミノヘキサンH2N(CH26NH2、98+%;Alfa-Aesar;
エタノールCH3CH2OH;94〜96%;Alfa-Aesar;
酸化ゲルマニウム(IV)GeO2;米国GTAH68002のGermanium Corporation;
【0114】

4.5597gの水酸化ナトリウム溶液を40gの脱イオン水中に加えた。酸化ゲルマニウム(2.2846g)を入れ、溶解させた。この溶液に363.86gの脱イオン水を加えた。38.5gのシリカ源である「Hi−Sil」233を、撹拌しながら入れた。この混合物を約10分間に亘り撹拌した。次いで、1.6−ジアミノヘキサン(28g)をこの混合物に加え、撹拌を一晩続けた。9.1gのエタノールを、撹拌しながら加えた。混合物のpHは11.74であった。
【0115】
撹拌しながら(300rpm)、4日間に亘り160℃で1Lのステンレス鋼製オートクレーブ内において結晶化を行った。
【0116】
材料を濾過し、脱イオン水で洗浄した。この材料を、90℃で一晩乾燥させ、40メッシュのサイズで篩い分けし、強制空気を流した炉内で10時間に亘り600℃でか焼した。
【0117】
サンプルのXRF分析のデータ:0.428量%のNa;45.38質量%のSi;0.30質量%のAl;1.01質量%のGe。
【0118】
Ge−ZSM−48ゼオライトを50/50質量でシリカと結合させた。結合ゼオライトを90℃で乾燥させ、6時間に亘り550℃でか焼した。材料を粉砕し、20/40メッシュサイズに篩い分けした。次いで、三工程における60℃での0.5MのNH4NO3によるサンプル処理によって、アンモニウムによるイオン交換を行った。サンプルを脱イオン水で濯ぎ、90℃で乾燥させ、6時間に亘り550℃でか焼した。
【0119】
60℃での0.005Mの(NH24Pt(NO32によるイオン交換によって、白金を触媒に導入した。脱イオン水で濯いだ後、触媒を60℃で一晩乾燥させ、5.5時間に亘り300℃で空気中においてか焼した。
【0120】
XRF分析結果は:0.055質量%のNa;46.43質量%のSi;0.17質量%のAl;0.19質量%のGe;0.12質量%のPt。
【0121】
全ての触媒を、ゲージ圧で22psi(約152kPa)の全圧で34cc/分のプロパンを用いて、500℃でステンレス鋼管内でテストした。生成物は、ガスクロマトグラフィーへのオンラインサンプリングによって分析した。ここでは、1および10の間の炭素数を有する全ての炭化水素成分が定量された。以下のグラフに、、収率[生成物中のBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)の分率]および転化率(転化されたプロパンの比率)に関する結果が示されている。
【0122】
本発明の様々な改変および変更が、上述した教示に鑑みて可能である。添付の特許請求の範囲内で、本発明は、具体的に記載された以外に実施してもよいことが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素の転化のための触媒であって、
a) ゲルマニウムがゼオライト骨格中に組み込まれた、細孔が中くらいのゼオライト、および
b) 前記細孔が中くらいのゼオライト上に堆積した第10族から選択された少なくとも1種類の金属、
を有してなる触媒。
【請求項2】
前記細孔が中くらいのゼオライト上に堆積した金属が白金であることを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項3】
前記ゼオライトが非酸性であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ゼオライトが一次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項5】
前記ゼオライトが二次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項6】
前記ゼオライトが三次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項7】
前記ゼオライトが、MFI、MEL、LTL、BEA、MOR、MWW、MTT、MTW、TON、MSE、MOZ、ZSM−48、MAZ、MEI、MFS、NES、OFF、STI、BOG、ERI、FAU、EUO、FERまたはGMEであることを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項8】
細孔が中くらいのゼオライト触媒を合成するプロセスであって、
a) ゼオライトの骨格中にゲルマニウムを含有する、細孔が中くらいのゼオライトを調製する工程、
b) 前記細孔が中くらいのゼオライト上に、第10族から選択される少なくとも1種類の金属を堆積させる工程、および
c) 前記ゼオライトの調製中、もしくは前記第10族の金属の堆積の前または後に、前記細孔が中くらいのゼオライトをか焼する工程、
を有してなるプロセス。
【請求項9】
前記細孔が中くらいのゼオライト上に堆積された金属が白金であることを特徴とする請求項8記載のプロセス。
【請求項10】
前記ゼオライトが、該ゼオライトを非酸性にするためにアルカリ金属またはアルカリ土類金属により塩基交換されることを特徴とする請求項8記載のプロセス。
【請求項11】
前記ゼオライトが、セシウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、バリウム、カルシウム、マグネシウムまたはれそらの混合物により塩基交換されることを特徴とする請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
前記ゼオライトが一次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項8記載のプロセス。
【請求項13】
前記ゼオライトが二次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項8記載のプロセス。
【請求項14】
前記ゼオライトが三次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項8記載のプロセス。
【請求項15】
前記ゼオライトが、MFI、MEL、LTL、BEA、MOR、MWW、MTW、MTT、TON、MSE、MOZ、ZSM−48、MAZ、MEI、MFS、NES、OFF、STI、BOG、ERI、FAU、EUO、FERまたはGMEであることを特徴とする請求項8記載のプロセス。
【請求項16】
炭化水素の転化プロセスであって、
a) 分子当たり2から12の炭素原子を有する、アルカン、オレフィンまたはそれらの混合物を含有する炭化水素流を、少なくとも1種類の、細孔が中くらいのゼオライト系触媒と接触させる工程であって、前記ゼオライトが、ゼオライト骨格中に組み込まれたゲルマニウムを含有し、第10族から選択された少なくとも1種類の金属が、前記細孔が中くらいのゼオライト上に堆積されるものである工程、および
b) 生成物を回収する工程、
を有してなるプロセス。
【請求項17】
前記細孔が中くらいのゼオライト上に堆積した金属が白金であることを特徴とする請求項16記載のプロセス。
【請求項18】
前記ゼオライトが非酸性であることを特徴とする請求項16記載のプロセス。
【請求項19】
前記アルカンまたは前記オレフィンが、直鎖、分岐鎖、または環式またはそれらの混合であることを特徴とする請求項16記載のプロセス。
【請求項20】
前記ゼオライトが一次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項16記載のプロセス。
【請求項21】
前記ゼオライトが二次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項16記載のプロセス。
【請求項22】
前記ゼオライトが三次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項16記載のプロセス。
【請求項23】
前記ゼオライトが、MFI、MEL、LTL、BEA、MOR、MWW、MTW、MTT、TON、MSE、MOZ、ZSM−48、MAZ、MEI、MFS、NES、OFF、STI、BOG、ERI、FAU、EUO、FERまたはGMEであることを特徴とする請求項16記載のプロセス。
【請求項24】
ゼオライト骨格中にゲルマニウムが組み込まれた、細孔が中くらいのゼオライトからなるゼオライト。
【請求項25】
前記ゼオライトが一次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項24記載のゼオライト。
【請求項26】
前記ゼオライトが二次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項24記載のゼオライト。
【請求項27】
前記ゼオライトが三次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項24記載のゼオライト。
【請求項28】
前記ゼオライトが、MFI、MEL、LTL、BEA、MOR、MWW、MTT、MTW、TON、MSE、MOZ、ZSM−48、MAZ、MEI、MFS、NES、OFF、STI、BOG、ERI、FAU、EUO、FERまたはGMEであることを特徴とする請求項16記載の
【請求項29】
ゼオライトを合成するプロセスであって、
a) ゼオライトの骨格中にゲルマニウムを含有する、細孔が中くらいのゼオライトを調製する工程、および
b) 前記ゼオライトをか焼する工程、
を有してなるプロセス。
【請求項30】
前記ゼオライトが一次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項31】
前記ゼオライトが二次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項32】
前記ゼオライトが三次元の細孔構造を有することを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項33】
前記ゼオライトが、MFI、MEL、LTL、BEA、MOR、MWW、MTT、MTW、TON、MSE、MOZ、ZSM−48、MAZ、MEI、MFS、NES、OFF、STI、BOG、ERI、FAU、EUO、FERまたはGMEであることを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項34】
炭化水素の転化のための触媒であって、
アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)の骨格中にゲルマニウムが組み込まれたアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)
を有してなる触媒。
【請求項35】
第10族から選択された少なくとも1種類の金属が、前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に堆積していることを特徴とする請求項34記載の触媒。
【請求項36】
触媒を合成するプロセスであって、
a) アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)の骨格中にゲルマニウムが組み込まれたアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)を調製する工程、および
b) 前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)をか焼する工程、
を有してなるプロセス。
【請求項37】
前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に、第10族から選択された少なくとも1種類の金属を堆積させる工程をさらに含み、前記か焼する工程が、前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)の調製後、前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に第10族から選択された少なくとも1種類の金属を堆積させる前、もしくは前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に第10族から選択された少なくとも1種類の金属を堆積させた後に行われることを特徴とする請求項36記載のプロセス。
【請求項38】
炭化水素の転化プロセスであって、
a) 分子当たり2から12の炭素原子を有する、アルカン、オレフィンまたはそれらの混合物を含有する炭化水素流を、少なくとも1種類のアルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)系触媒と接触させる工程であって、前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)が、該アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)骨格中に組み込まれたゲルマニウムを含有するものである工程、および
b) 生成物を回収する工程、
を有してなるプロセス。
【請求項39】
前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)が、該前記アルミノリン酸塩(AlPO)またはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)上に第10族から選択された少なくとも1種類の金属を有することを特徴とする請求項38記載のプロセス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−527769(P2010−527769A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509396(P2010−509396)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/006630
【国際公開番号】WO2008/153758
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(502132128)サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション (109)
【Fターム(参考)】