説明

炭化水素ガスからのイオウ化合物の除去

本発明は、炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法であって、活性炭及びゼオライトを含まず、且つ銅、銀、亜鉛、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの混合物を含む触媒を、−50〜150℃の温度、及び0.1〜10バールの圧力で使用することを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭及びゼオライトを含まず、銅、銀、亜鉛、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの混合物を含む触媒の存在下に、炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素ガス、例えば天然ガスは、一般にイオウ化合物を含んでいるか、或いは安全のために悪臭のイオウ化合物が混合されている。大規模的には、天然ガスは、脱硫が、例えば水素化により行われている。しかしながら、これは、全ての用途に対しては不可能であるか、適切でない。
【0003】
燃料電池を稼働させるために必要な水素は、一般に天然ガスから製造される。少なくとも工業先進国では、緻密な網状の国家ガス組織網(close-meshed national gas grid)が存在するので、天然ガスは、有用性が大きいとの点で有利である。さらに、天然ガスは、高い水素/炭素比を有し、このため水素リッチ改質ガスの製造を可能にする。用語「天然ガス」は、坑井(well)の位置に依存して大きく変化し得る多種多様のガス組成を意味している。天然ガスは、実質的にメタン(CH4)のみからなるが、場合により、かなりの量の高級炭化水素を有し得る。ここでの「高級炭化水素」は、エタン(C26)以上の炭化水素(飽和、不飽和又は環状であるか否かは関係ない)を意味する。原則として、天然ガス中の高級炭化水素の割合は、分子量及び蒸気圧の増加と共に減少する。例えば、エタン及びプロパンは、パーセント範囲で存在するが、炭素原子数10個を超える炭化水素の割合は通常天然ガス中に数ppmにすぎない。高級炭化水素の中には、環状化合物、例えばベンゼン、トルエン及びキシレンも存在する。これらの化合物はそれぞれ、天然ガス中に>100ppmの濃度で存在し得る。
【0004】
天然ガス中の高級炭化水素に加えて、ヘテロ原子を含む別の不純物も存在する。これに関連して、特に、イオウ化合物が天然ガス中に低濃度であるが見られる。その例としては、硫化水素(H2S)、硫化カルボニル(COS)及び二硫化炭素(CS2)を挙げることができる。
【0005】
メタン及び天然ガスは、本質的に毒性のない無色のガスであるが、空気と一緒になって爆発混合物になり得る。天然ガスの散逸を即座に検出することができるように、天然ガスは低濃度の悪臭物質(いわゆる臭気剤)が予め混合されており、これが天然ガスの特徴的な臭いの元になっている。天然ガスの着臭は、ほとんどの国で、使用すべき臭気剤と共に法律で規定されている。いくつかの国(例、アメリカ合衆国)では、tert−ブチルメルカプタン又はエチルメルカプタン等のメルカプタンが臭気剤として使用されており、一方、欧州連合の加盟国においては、テトラヒドロチオフェン等の環状イオウ化合物が通常使用されている。従って、天然ガス中に当然含まれるイオウ化合物と共に、天然ガス中に他種類の異なるイオウ化合物がもたらされる。天然ガスの組成に対する異なる規則及び規制は、天然ガス中のイオウを100ppm以下まで認めている。この状況は、出発材料が液化石油ガス(LPG)の場合と類似している。LPGは、主成分としてプロパン及びブタンを含み、天然ガスと同様に、臭気マーカーとしてイオウ化合物を予め混合されている。
【0006】
天然ガス又はLPG中のイオウ化合物は、燃料電池又は改質装置中の触媒に対して厳しく、不可逆的な毒をもたらし得る。このため、燃料電池に供給されるガスは、いかなるイオウ成分も含むべきでない。このような理由で、燃料電池は、使用される天然ガス又はLPGのための脱硫装置を常に有している。燃料電池を液体炭化水素(例、加熱オイル)で稼働させる場合、同様に脱硫が必要である。
【0007】
炭化水素ガスを、室温で、直接経路で吸着体を通過させるプロセス手順が好ましい。この吸着体は全てのイオウ成分をできるだけ完全に除去するものである。吸着体は、室温、及び大気圧で作動することができることが好ましい。吸着体は、種々の組成の天然ガスに対して好適に作動することが必要があるので、天然ガスからのイオウ成分の吸着だけでなく、高級炭化水素の共吸着も無視できる範囲に抑えることが重要である。このような前提条件下で、イオウ化合物に対して高い吸着を達成することは可能であるが、それは十分に長い作動時間を要する。これにより吸着媒体の頻繁な交換を避けることはできる。
【0008】
さらに、高級炭化水素の共吸着、特に天然ガスからのベンゼンの共吸着により、吸着体内のベンゼン含有量の法的制限値を超えることになり、その吸着体ユニット(発ガン性)を標識付けせざるを得なくなる。このようなベンゼン飽和吸着体は、さらに、吸着媒体の交換中又は吸着体の再生に移す間等において、顕著に大きな出費を生じさせる。
【0009】
特許文献1(EP−A−1121922)には、有機イオウ成分、例えば硫化物、メルカプタン及びチオフェンを、室温で、銀ドープゼオライトを用いて天然ガスから吸着により除去する方法が記載されている。高い銀含有量が不利な点である。
【0010】
ゼオライトを基礎とする組成物のさらに顕著な不利は、ゼオライトが、ガス流中に存在する全ての高級炭化水素を、その細孔中に吸着するとの点である。特に、環状炭化水素、例えばベンゼンは、完全に吸着され、数質量%の範囲までゼオライト中に蓄積し得る。さらに、特許文献2(EP−A−1121977A2)の実施例では、さらに、有機イオウ化合物を吸着する発明触媒の効力は示されているが、H2S、COS等の無機イオウ化合物については示されていない。
【0011】
特許文献3(US−A−2002/0159939)には、臭気剤除去用のXゼオライト、及び燃料電池作動用の天然ガスからイオウ成分を除去するニッケルを基礎とする触媒から構成される二段階触媒床が開示されている。この方法の不利は、COSを直接除去することはできず、H2Sを予め加水分解した後にのみ可能であることである。
【0012】
非特許文献1(BWK 54(2002) No. 9 62-68頁)には、これまで、燃料電池分野における使用を妨げている、天然ガスからの全イオウ成分を除去する簡単な解決法がないことを開示している。
【0013】
【特許文献1】EP−A−1121922
【特許文献2】EP−A−1121977A2
【特許文献3】US−A−2002/0159939
【非特許文献1】BWK 54(2002) No. 9 62-68頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、上述の不利を解消し、特に、イオウ化合物不純物を含む炭化水素ガスを燃料電池に使用することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は、
上記目的が、炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法であって、
活性炭及びゼオライトを含まず、銅、銀、亜鉛、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの混合物を含む触媒を、−50〜150℃の温度、及び0.1〜10バールの圧力で使用することを特徴とする方法により達成されることを見いだした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の方法は、以下のようにして実施することができる:
イオウ化合物の不純物を含有する炭化水素ガスを、一種以上の本発明の触媒上を、−50〜150℃、好ましくは−20〜80℃、さらに好ましくは0〜80℃、特に好ましくは15〜40℃、特に極めて好ましくは室温、及び0.1〜10バール(bar)、さらに好ましくは0.5〜4.5バール、特に好ましくは0.8〜1.5バールの圧力、中でも大気圧の圧力で通過させることができる。
【0017】
好適なイオウ化合物の不純物を含有する炭化水素ガスとしては、例えば天然ガス、都市ガス、バイオガス及び液化石油ガス(LPG)を挙げることができ、天然ガス及び都市ガスが好ましく、特に天然ガスが好ましい。
【0018】
イオウ化合物の不純物は、一般にCOS、H2S及びCS2、さらにメルカプタン及び二硫化物、そして安全のために工業的に添加される悪臭のイオウ化合物、例えばテトラヒドロチオフェン、エチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン又はこれらの化合物である。
【0019】
吸着体としても働き得る本発明の好適な触媒は、1〜99.8質量%、好ましくは2〜85質量%、さらに好ましくは3〜75質量%、特に好ましくは5〜70質量%の銅、銀、亜鉛、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの混合物、及び0.2〜99質量%、好ましくは15〜98質量%、さらに好ましくは25〜97質量%、特に好ましくは30〜95質量%の、元素周期表の第IIB、IIIB、IVB、VIB、VIII、IIIA及びIVA族から選択される元素の酸化物で、少なくとも250℃までは固体である酸化物を含む触媒であることが好ましい。上記酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、クロム、タングステン、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズの酸化物、好ましくはマグネシウム、カルシウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、クロム、アルミニウム及びケイ素の酸化物、特に好ましくはマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、クロム、アルミニウム及びケイ素の酸化物を挙げることができる。上述の、元素周期表の第IIB、IIIB、IVB、VIB、VIII、IIIA及びIVA族から選択される元素の酸化物は、任意に、担体(例、酸化アルミニウム、二酸化チタン又は二酸化ケイ素)として使用することができる。
【0020】
本発明の触媒の中で、銅触媒、即ち、30〜99.8質量%、好ましくは40〜85質量%、特に好ましくは50〜75質量%の酸化銅、及び0.2〜70質量%、好ましくは15〜60質量%、特に好ましくは25〜50質量%の、元素周期表の第IIB、IIIB、IVB、VIB、VIII、IIIA及びIVA族から選択される元素の酸化物で、少なくとも250℃までは固体である酸化物を含む銅触媒が好適である。上記酸化物の例としては、亜鉛、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズの酸化物、好ましくは亜鉛、ランタン、チタン、ジルコニウム、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム及びケイ素の酸化物、特に好ましくは亜鉛、ランタン、チタン、ジルコニウム、ニッケル、アルミニウム及びケイ素の酸化物を挙げることができる。この「銅触媒」における銅は、どのような酸化状態でも使用することができ、例えば、+1又は+2の酸化状態、或いは単体として(酸化状態=0)、或いはこれらの混合物、好ましくは+2の酸化状態、或いは単体として(酸化状態=0)、或いはこれらの混合物、特に+2の酸化状態で使用することができる。
【0021】
本発明の触媒の中で、モリブデン触媒、即ち、1〜80質量%、好ましくは2〜60質量%、特に好ましくは3〜50質量%の酸化モリブデン、及び20〜99質量%、好ましくは40〜98質量%、特に好ましくは50〜97質量%の、元素周期表の第IIB、IIIB、IVB、VIB、VIII、IIIA及びIVA族から選択される元素の酸化物で、少なくとも250℃までは固体である酸化物を含むモリブデン触媒が好適である。上記酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、クロム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズの酸化物、好ましくはマグネシウム、カルシウム、亜鉛、ランタン、チタン、ジルコニウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム及びケイ素の酸化物、特に好ましくマグネシウム、カルシウム、亜鉛、チタン、ジルコニウム、コバルト、ニッケル、アルミニウム及びケイ素の酸化物を挙げることができる。この「モリブデン触媒」におけるモリブデンは、どのような酸化状態でも使用することができ、例えば、+1〜+6の酸化状態、或いは単体として(酸化状態=0)、或いはこれらの混合物、好ましくは+2又は+6の酸化状態で使用することができる。
【0022】
銅触媒及びモリブデン触媒は好ましい態様である。銅触媒及びモリブデン触媒は、任意の配列(順序)で分離して、又は混合して、好ましくは均一に混合して、或いは特に好ましくはモリブデン触媒の上流に銅触媒との配列で使用することができる。混合物は、一般に本発明の最も簡単な変法であり、少量規模の使用で好ましく用いることができる(例えば小型燃料電池)。他の場合、一般に、モリブデン触媒の上流に銅触媒との配列で、触媒を分離することが有利である。他の触媒については、例えばEP−A−1121977に開示されており、下流に設けることができる。
【0023】
本発明の触媒は、一般に公知の方法、例えば沈殿、含浸、混合、混練、焼結、噴霧、噴霧乾燥、イオン交換、又は無電流メッキ(zero-current deposition)、好ましくは沈殿、含浸、混合、焼結、又は噴霧乾燥、特に好ましくは沈殿又は含浸、中でも含浸により、製造することができる。
【0024】
沈殿により一般に得ることができる本発明の触媒の粉末は、沈殿後に混合することができ、含浸により製造される本発明の触媒は、含浸の前又は後に、任意に、孔形成剤(例、セルロース、グリセロール、尿素、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、メラミン、炭素繊維又はこれらの混合物)と混合し、そして慣用助剤、例えばバインダ(例、ギ酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリケイ酸、又はこれらの混合物)、及び任意に、活剤(例、グラファイト、ステアリン酸、硫化モリブデン、又はこれらの混合物)を用いて、タブレット化し、押出し或いは所望の形状にし、そしてその後任意に粉末に処理することができる。
【0025】
本発明の好適な触媒は、ゼオライト非含有物であり、例えば溝構造のないものであり;また活性炭、及びドープされた活性炭も含んでいない。
【0026】
本発明の触媒は、250〜750℃の温度で、例えば水素、一酸化炭素、一酸化二窒素、又はこれらの混合物の存在下に、或いは一般に還元ガス雰囲気下(特に銅触媒又はモリブデン触媒の場合)に、成形の前又は後に任意に活性化することができる。
【0027】
燃料電池装置に関連して、本発明の方法(工程)は、一般に上流に設けられ、即ち炭化水素ガスの本発明の精製の下流に設けられ、これは燃料電池に供給する水素を製造するために使用することができる。本発明の方法は、公知のタイプの燃料電池、例えばPEM燃料電池、リン酸燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩(エステル)燃料電池(MCFC)及び高温固体酸化物燃料電池(SOFC)に好適である。
【0028】
本発明の方法を燃料電池に関連して使用する場合、装置内で使用された触媒を直接再生せず、それを交換し、除去後分離してそれを再生するのが有利である。特に、低出力燃料電池に適用される。
【0029】
対照的に、比較的高い電力の装置の燃料電池の場合、触媒を再生すること、或いは少なくとも一部を再生することが便利であり得る。このため、公知の方法、例えば>200℃の温度での熱脱着、又は同様に比較的高温での触媒の還元/再酸化による再生を、用いることができる。
【0030】
本発明の方法は、固体型、及び非固定型の用途に好適である。固定型の分野での使用は、例えば電気及び熱を同時に発生するための燃料電池装置(例えば、ブロック・熱及び電力・ステーション)が好ましく、特に好ましくは家庭用エネルギー供給の場合のものが好ましい。非固定型分野での使用では、この方法は、自動車、トラック、バス又は機関車、好ましくは自動車及びバス、特に自動車における燃料電池用炭化水素の精製に使用することができる。燃料電池が、その搭載出力装置に使用されるにせよ、運転に使用されるにせよ、等しく好適である。
【実施例】
【0031】
<触媒の製造>
[触媒1]
組成:52.5質量%のCuO、30質量%のZnO及び17.5質量%のAl23
420gの酸化銅(II)の硝酸溶液、420gの酸化亜鉛の硝酸溶液、及び140gの非水和硝酸アルミニウムの硝酸溶液の混合物を、474gの炭酸ナトリウムを2Lの脱塩水に溶解した液を用いて約6のpHにて沈殿させ、50℃に保持された水槽に移し、さらに3時間撹拌した。沈殿を分離し、水洗することによりナトリウムイオン及び硝酸イオンを除去し、120℃で乾燥し、そして400℃で1時間か焼した。得られた272gの混合酸化物に、1質量%のグラファイトを添加して圧縮して20mmのタブレットを形成し、<1.6mmのスクリーン(網)を機械的に通過させ、再び、2質量%のグラファイトを混合し、そして圧縮して5×3mm(直径×高さ)の寸法のタブレットを得た。タブレットの横圧縮強度は66Nであった。
【0032】
[触媒2]
組成:40質量%のCuO、40質量%のZnO及び20質量%のAl23
触媒1と同様にして、120gの酸化銅(II)の硝酸溶液、120gの酸化亜鉛の硝酸溶液、及び60gの分散酸化アルミニウム(PuralR SFC, SASOL社製)の混合物を、474gの炭酸ナトリウムを2Lの脱塩水に溶解した液を用いて約6.5のpHにて沈殿させ、後処理をした。か焼は300℃で2時間行った。得られた235gの混合酸化物は、実施例1と同様にして処理し、横圧縮強度71Nのタブレットを形成させた。
【0033】
[触媒3]
組成:73.9質量%のCuO、21.1質量%のZnO及び5質量%のZrO2
触媒1と同様にして、370gの酸化銅(II)の硝酸溶液、105.5gの酸化亜鉛の硝酸溶液、及び25gの炭酸ジルコニウムの混合物を、474gの炭酸ナトリウムを2Lの脱塩水に溶解した液を用いて70℃で約6.5のpHにして沈殿させ、後処理をした。か焼は300℃で4時間行った。こうして得られた540gの混合酸化物は、実施例1と同様にして処理し、横圧縮強度66Nのタブレットを形成させた。
【0034】
[触媒4]
組成:50質量%のCuO、30質量%のZnO、17.5質量%のAl23及び2.5質量%のZrO2
触媒1と同様にして、150gの酸化銅(II)の硝酸溶液、90gの酸化亜鉛の硝酸溶液、386.3gの非水和硝酸アルミニウムの硝酸溶液及び7.5gの炭酸ジルコニウムの硝酸溶液の混合物(予め炭酸ナトリムで約2.5のpHに調整されている)を、2モルの水酸化ナトリウム溶液と0.3モルの炭酸ナトリウム溶液との混合物を用いて、室温で約8のpHにて沈殿させ、50℃で2時間保持し、後処理をした。か焼は600℃で4時間行った。得られた300gの混合酸化物は、実施例1と同様にして処理し、横圧縮強度101Nのタブレットを形成させた。
【0035】
[触媒5]
組成:60質量%のCuO、20質量%のZnO、17.5質量%のAl23及び2.5質量%のZrO2
この触媒は、触媒4と同様にして製造した。タブレットの圧縮強度は100Nであった。
【0036】
[触媒6]
組成:67質量%のCuO、26.4質量%のZnO及び6.6質量%のAl23
320gのZn(NO32・6H2O及び336.4gのAl(NO33・9H2Oを600mlの水に溶解した液、及び2000mlの20質量%のソーダ溶液を、一緒にし、50℃の温度及びpH6.7〜6.9において撹拌しながら沈殿させ、さらに混合物を30分間撹拌し、ろ過し、ナトリウム及び硝酸塩を除去するため洗浄し、120℃で12時間乾燥し、そして350℃で2時間か焼した。
【0037】
上記に得られたか焼したZnAl混合酸化物を、硝酸銅及び硝酸亜鉛の硝酸溶液に溶解し、全原子比Cu:Zn:Al=65:25:10を製造し、上記の沈殿操作と同様にして70℃の温度及びpH6.8において、2000mlの20質量%のソーダ溶液と一緒にし、さらに混合物を60分間撹拌し、ろ過し、ナトリウム及び硝酸塩を除去するため洗浄し、120℃で16時間乾燥し、そして300℃で4時間か焼した。
【0038】
こうして得られた320gの混合酸化物は、実施例1と同様にして処理し、横圧縮強度80Nのタブレットを形成させた。BET表面積は85m2/gで、孔隙量は0.29ml/g(Hgポーラシメトリー(porosimetry))であった。
【0039】
[触媒7]
組成:65質量%のCuO、20質量%のZnO、6質量%のAl23、6質量%のZrO2及び3質量%のLa23
これは、触媒2と同様に作製した。その際、215gのCuO、66gのZnO、145gのAl(NO33・9H2O、20gのZrO2及び10gのLa23の硝酸溶液を使用し、沈殿を70℃の温度で行った。こうして得られた330gの混合酸化物は、実施例1と同様にして処理し、横圧縮強度80Nのタブレットを形成させた。BET表面積は109m2/gであった。
【0040】
[触媒8]
組成:60質量%のCuO、20質量%のZnO、10質量%のAl23、5質量%のZrO2及び5質量%のMgO
製造を、触媒2と同様に行った。その際、231gのCuO、77gのZnO、290gのAl(NO33・9H2O、19.2gのZrO2及び19.5gのMgOを使用し、沈殿を70℃の温度で行った。こうして得られた350gの混合酸化物は、実施例1と同様にして処理し、横圧縮強度90Nのタブレットを得た。BET表面積は96m2/gであった。
【0041】
[触媒9]
組成:60質量%のCuO、20質量%のZnO、10質量%のAl23、5質量%のZrO2及び5質量%のNiO
これは、触媒2と同様に作製した。その際、264gのCuO、88gのZnO、323gのAl(NO33・9H2O、22gのZrO2及び22gのNiOを使用し、沈殿を70℃の温度で行った。こうして得られた400gの混合酸化物は、実施例1と同様にして処理し、横圧縮強度80Nのタブレットを得た。BET表面積は114m2/gであった。
【0042】
[触媒10]
組成:60質量%のCuO、20質量%のZnO、10質量%のAl23、5質量%のZrO2及び5質量%のSiO2
これは、触媒2と同様に作製した。その際、200gのCuO、66gのZnO、241gのAl(NO33・9H2O、16.5gのZrO2及び16.5gのSiO2(colloidal;LudoxTM; 50%水溶液)使用し、沈殿を70℃の温度で行った。こうして得られた300gの混合酸化物は、実施例1と同様にして処理し、横圧縮強度90Nのタブレットを得た。BET表面積は125m2/gであった。
【0043】
[触媒11]
含浸触媒の組成:14.6質量%のCuO、7.4質量%のZnO及び87質量%のAl23
1.77kgの、直径4mm及び水吸着0.577ml/gを有する酸化アルミニウムを、1L当たり343gの硝酸銅及び1L当たり156gの硝酸亜鉛を有する上澄み水溶液に浸漬して含浸させ、120℃で乾燥し、そして520℃で3時間か焼した。乾燥及びか焼を含む含浸操作を繰り返した。こうして844g/Lのリットル質量、0.44ml/gの水吸着及び266Nの切断硬度を有する含浸触媒2100gを得た。
【0044】
[触媒12]
含浸触媒の組成:71.15質量%のAl23、18質量%のMoO3、7.5質量%のCuO及び3.35質量%のBaO
294gの3mmのトリローブ(trilobe)形状の酸化アルミニウムロッドを充填し、89gのアンモニウムヘプタモリブデート(7モリブデン酸アンモニウム)224mlの水に溶解した液(81質量%濃度)に含浸し、120℃で乾燥し、そして370℃75分及び400℃で135分か焼した。その後ロッドを19質量%濃度硝酸銅溶液155mlに含浸し、その後乾燥しそして前記と同様にか焼した。最後に、触媒を、230gの硝酸バリウム含有溶液260mlに含浸し、その後乾燥しそして前記と同様にか焼した。こうして750g/Lの充填密度、0.5ml/gの水吸着及び9.5Nの切断硬度を有する含浸触媒405gを得た。
【0045】
[触媒の使用例]
直径10mmの加熱可能管型反応器に、粒子形状(1〜2mm)の上述の触媒の1種を10g充填し、直通流モード(straight flow-through mode)で操作した。排出ガスを、有機炭素化合物のフレーム−イオン化検出器による検出及びフレーム光度検出器による選択的イオウ検出のためにガス・クロマトグラフィーに給送した。
【0046】
実験終了後、即ちイオウ化合物の除去(breakthrough)後、触媒を取りだし、イオウ含有量を標準法(例えば、Ehrenbergerの "Quantitative Organishe Elementaranalyse" [Quantative Organic Elemental Analysis], VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, 1991, 242頁以降に記載されている)により測定した。
【0047】
[使用例1]
触媒1〜15を1000ppmのCOSを含むメタン流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は1000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのCOS量が1ppmを超えたときに終了させた。
【0048】
表Aに、その後即座に取りだされた触媒のイオウ含有量の結果を纏めた。
【0049】
[使用例2]
触媒1〜15を1000ppmのH2Sを含むメタン流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は1000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのH2S量が1ppmを超えたときに終了させた。
【0050】
表Aに、その後即座に取りだされた触媒のイオウ含有量の結果を纏めた。
【0051】
[使用例3]
触媒1〜15を500ppmのH2S及び500ppmのCOSを含むメタン流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は1000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのH2S及びCOS量が1ppmを超えたときに終了させた。
【0052】
表Aに、その後即座に取りだされた触媒のイオウ含有量の結果を纏めた。
【0053】
[使用例4]
触媒1〜15を500ppmのH2S及び500ppmのCOSを含む60容量%のメタン及び40容量%のプロパンから構成され、さらに2000ppmのトルエンを含むガス流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は1000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのH2S及びCOS量が1ppmを超えたときに終了させた。
【0054】
表Aに、その後即座に取り出された触媒のイオウ含有量の結果を纏めた。
【0055】
表Aから、高級炭化水素の存在に関係なく、COS及びH2Sは触媒に完全に吸着され続けられると、結論づけることができる。高級炭化水素(トルエン等)の触媒への吸着は観察されなかった。
【0056】
【表1】

【0057】
[使用例5]
実験を始める前に、触媒を約200℃の温度で、窒素中に約1容量%水素を含むガス流を用いて還元した。
【0058】
上記のように還元された触媒1〜15を、15容量ppmのテトラヒドロチオフェン(THT)を含むメタン流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は1000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのTHT量が1ppmを超えたときに終了させた。
【0059】
表Bに、終結までのTHTに対する触媒の吸着容量(吸着能力)の結果を纏めた。
【0060】
[使用例6]
実験を、使用例5と同様に実施したが、触媒を実験開始前に還元はしなかった。
【0061】
表Bに、終結までのTHTに対する触媒の吸着容量の結果を纏めた。
【0062】
表Bから、吸着は、触媒を還元体で使用した使用例5よりは小さいことが結論づけられた。
【0063】
[使用例7]
最適な吸着体カートリッジを検討するために、下記の手順を実施した:
メタンの代わりに天然ガスを使用した。これは実質的に以下に規定された組成を有する;即ち84容量%のメタン、3.5容量%のエタン、0.6容量%のプロパン、9.3容量%の窒素、1.6容量%の二酸化炭素及び合計で約3500ppmの高級炭化水素(C3〜C8)。
【0064】
次の成分を天然ガスに混合した:20ppmのCOS、20ppmのH2S及び15ppmのTHT。
【0065】
充填した触媒は80%予備還元し、これにより80%の触媒床がTHTの取り込みのために最適化される。一方、残りの部分はCOS及びH2Sの吸着に利用される。
【0066】
ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は1000L/L*-1で、反応温度は25℃であった。実験は、反応器の下流の排出ガスのTHT量が1ppmを超えるて検出されたとき終了させる。触媒の吸着容量を、触媒上をこの時点までに通過したガス容量流速により、触媒のリットル当たりのTHTのgで計算した。全ての場合において、この時点まで、COSもH2Sも、反応器排気ガス中には検出されなかった。
【0067】
触媒1〜15を、1000ppmのCOSを含むメタン流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は1000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのCOS量が5ppmを超えたときに終了させた。
【0068】
表Bに、イオウ成分に対する触媒の吸着容量の結果を纏めた。
【0069】
【表2】

【0070】
[比較実施例]
[比較例1]
使用例6と同様にして、市販のCuドープ活性炭(G32-JR;Sud-Chemie社製;4.5質量%のCu、0.25ml/gの孔隙量、及び1000m2/gの表面積を有する)を、1〜2mm粒子で用いて検討した。
【0071】
この活性炭のTHT吸着容量は、活性炭1L当たりTHT9gであった。
【0072】
[比較例2]
使用例6と同様にして、市販の活性炭(C38/4R,Article 2722; Carbo Tech., Essen社製)を用いて検討した。
【0073】
この活性炭のTHT吸着容量は、活性炭1L当たりTHT6.5gであった。
【0074】
[比較例3]
使用例6と同様にして、市販の活性炭(NoritR RB4; Norit社製;0.13ml/gの孔隙量、及び1292m2/gの表面積を有する)を、1〜2mm粒子で用いて検討した。
【0075】
この活性炭のTHT吸着容量は、活性炭1L当たりTHT0.5gであった。
【0076】
[比較例4]
使用例6と同様にして、市販の活性炭(DesorexR K; Lurgi社製;0.55ml/gの孔隙量、及び1494m2/gの表面積を有する)を、1〜2mm粒子で用いて検討した。
【0077】
この活性炭のTHT吸着容量は、活性炭1L当たりTHT0.6gであった。
【0078】
[比較例5]
使用例1と同様にして、市販のCuドープ活性炭(G32-JR;Sud-Chemie社製;4.5質量%のCu、0.25ml/gの孔隙量、及び1000m2/gの表面積を有する)を、1〜2mm粒子で用いて検討した。
【0079】
この活性炭のCOS吸着容量は、活性炭1L当たりCOS1.1gであった。
【0080】
[比較例6]
使用例1と同様にして、市販のCuドープ活性炭(NoritR RB4; Norit社製;0.13ml/gの孔隙量、及び1292m2/gの表面積を有する)を、1〜2mm粒子で用いて検討した。
【0081】
この活性炭のCOS吸着容量は、活性炭1L当たりCOS0.6gであった。
【0082】
[比較例7]
使用例1と同様にして、市販の活性炭(DesorexR K; Lurgi社製;0.55ml/gの孔隙量、及び1494m2/gの表面積を有する)を、1〜2mm粒子で用いて検討した。
【0083】
この活性炭のCOS吸着容量は、活性炭1L当たりCOS0.55gであった。
【0084】
[触媒13]
組成:1.5質量%のCoO、7質量%のMoO3及び91.5質量%のAl23
1981gの酸化アルミニウム(PuralR SB, SASOL社製)及び140gのアンモニウムヘプタモリブデート((NH46Mo724・4H2O)をドライで混合し、69mlのギ酸(85%)を458mlの水に溶解した液と混合し、その後別の500mlの水と混合し、そして混練した。得られた可塑性混合物を、260barの入口圧力で押出し、長さ3〜8mm及び直径1.5mmのロッドを形成し、120℃で7時間乾燥し、その後550℃で3時間か焼した。得られたロッドを、102gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を420mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、再び120℃で7時間乾燥し、そして550℃で3時間か焼した。得られた触媒は、736g/Lのリットル質量、12.5Nの切断硬度、250m2/gのBET表面積、1.4質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして1.5質量%のCoO、7質量%のMoO3及び91.5質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0085】
[触媒14]
組成:4.5質量%のCoO、22質量%のMoO3及び73.5質量%のAl23
触媒13と同様にして、1641gの酸化アルミニウム、455.1gのアンモニウムヘプタモリブデート、57mlのギ酸(85%)を379mlの水に溶解した液、及び別の440mlの水を反応させ、押出し、乾燥し、か焼した;得られたロッドを、356gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を121mlの水に溶解した混合物を、2層ノズル及びガスとして窒素を用いて160℃に加熱された回転ディスク上に噴霧することにより処理し、その際処理し、乾燥し、そしてか焼した。得られた触媒は、915g/Lのリットル質量、14.7Nの切断硬度、241m2/gのBET表面積、2.7質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして4.5質量%のCoO、22質量%のMoO3及び73.5質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0086】
[触媒15]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3、4.4質量%のSiO2及び77.6質量%のAl23
触媒14と同様にして、1749gの、SiO2含有量5質量%のケイ素アルミニウム混合酸化物(SIRALR 5; SASOL社製)、及び305.4gのアンモニウムヘプタモリブデート、61mlのギ酸(85%)を404mlの水に溶解した液、及び別の500mlの水を反応させ、171barの入口圧力で押出し、乾燥し、か焼した;得られたロッドを、222gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を384mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、そしてか焼した。得られた触媒は、770g/Lのリットル質量、14.8Nの切断硬度、307m2/gのBET表面積、2.2質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3、4.4質量%のSiO2及び77.6質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0087】
[触媒16]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3、4.3質量%のSiO2及び77.7質量%のAl23
触媒14と同様にして、1586gの、SiO2含有量5質量%のケイ素アルミニウム混合酸化物(SIRALOXR 5; SASOL社製)、及び343.6gのアンモニウムヘプタモリブデート、56mlのギ酸(85%)を366mlの水に溶解した液、及び別の750mlの水を反応させ、117barの入口圧力で押出し、乾燥し、か焼した;得られたロッドを、234gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を729mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、そしてか焼した。得られた触媒は、602g/Lのリットル質量、3.95Nの切断硬度、265m2/gのBET表面積、2.6質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3、4.3質量%のSiO2及び77.7質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0088】
[触媒17]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のAl23
触媒14と同様にして、1581gの酸化アルミニウム(PURALOXR SCCa5/150; SASOL社製)、及び353.3gのアンモニウムヘプタモリブデート、55mlのギ酸(85%)を365mlの水に溶解した液、及び別の750mlの水を反応させ、200barの入口圧力で押出し、乾燥し、か焼した;得られたロッドを、233gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を448mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、そしてか焼した。得られた触媒は、705g/Lのリットル質量、2.65Nの切断硬度、167m2/gのBET表面積、2.8質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0089】
[触媒18]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のSiO2
1360gの直径1.5mmの二酸化ケイ素ロッド担体(BASF社製)を、286gのアンモニウムヘプタモリブデート((NH46Mo724・4H2O)を1075mlの水に溶解した混合物を、160℃に加熱された回転ディスクで2層ノズル及びガスとして窒素を用いて噴霧することにより処理し、120℃で7時間乾燥し、そして550℃でか焼した。
【0090】
得られたロッドを、780gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を1106mlのH2Oに溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、そしてか焼した。得られた触媒は、530g/Lのリットル質量、7.88Nの切断硬度、51.1m2/gのBET表面積、6.2質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のSiO2の組成を有するものであった。
【0091】
[触媒19]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のTiO2
触媒18と同様にして、1421gの直径1.5mmの二酸化チタンロッド担体(FINNTIR S150; Kemira社製)を、306gのアンモニウムヘプタモリブデートを715mlの水に溶解した液を噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した;得られたロッドを、257gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液の混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した。得られた触媒は、1142g/Lのリットル質量、5.0Nの切断硬度、72.7m2/gのBET表面積、6.9質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のTiO2の組成を有するものであった。
【0092】
[触媒20]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3、15.6質量%のCaO及び66.4質量%のAl23
触媒18と同様にして、1052gのカルシウムアルミニウム混合酸化物(80質量%のAl23及び20質量%のCaO;4mmの押出物)を、217gのアンモニウムヘプタモリブデートを763mlの水に溶解した液を噴霧することにより、1〜2mm粒子として処理し、乾燥し、か焼した;得られた粒子を、210gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を279mlの水に溶解した混合物上に噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した。得られた触媒は、1134g/Lのリットル質量、142.1m2/gのBET表面積、6.0質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3、15.6質量%のCaO及び66.4質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0093】
[触媒21]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のZrO2
触媒18と同様にして、1383gの二酸化ジルコニウム担体(BASF社製、1126g/Lの充填密度及び79m2/gのBET表面積)を、286gのアンモニウムヘプタモリブデートを987mlの水に溶解した液を噴霧することにより、1〜2mm粒子として処理し、乾燥し、か焼した;得られた粒子を、282gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を19mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した。得られた触媒は、1134g/Lのリットル質量、51.2m2/gのBET表面積、1.7質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のZrO2の組成を有するものであった。
【0094】
[触媒22]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3、15.7質量%のMgO及び66.3質量%のAl23
触媒18と同様にして、750gのマグネシウムアルミニウム混合酸化物担体(BASF社製、4mmのロッド;81.3質量%のAl23及び18.7質量%のMgO)を、138gのアンモニウムヘプタモリブデートを335mlの水に溶解した液を噴霧することにより、1〜2mm粒子として処理し、乾燥し、か焼した;得られた粒子を、143gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を314mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した。得られた触媒は、752g/Lのリットル質量、179.2m2/gのBET表面積、5.5質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3、15.7質量%のMgO及び66.3質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0095】
[触媒23]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のAl23
触媒18と同様にして、915gの、975℃で8時間か焼された直径1mm球形の酸化アルミニウム(SASOL社製)を、207gのアンモニウムヘプタモリブデートを745mlの水に溶解した液上に噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した;得られた球形物を、191gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を304mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した。得られた球形物は、977g/Lのリットル質量、109m2/gのBET表面積、1.8質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0096】
[触媒24]
組成:3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のAl23
触媒18と同様にして、700gの、975℃で8時間か焼された直径1mm球形の酸化アルミニウム(SASOL社製)を、158gのアンモニウムヘプタモリブデートを570mlの水に溶解した液を噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した;得られた球形物を、141gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を354mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、か焼した。得られた球形物は、771g/Lのリットル質量、99m2/gのBET表面積、3.4質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3質量%のCoO、15質量%のMoO3及び82質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0097】
[触媒25]
組成:3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23
触媒14と同様にして、1581gの酸化アルミニウム(PURALOXR SCCa5/150; SASOL社製)、及び353gのアンモニウムヘプタモリブデート、55mlのギ酸(85%)を365mlの水に溶解した液、及び別の750mlの水を反応させ、200barの入口圧力で押出し、乾燥し、か焼した;得られたロッドを、233gの15.9質量%濃度硝酸コバルト溶液を448mlの水に溶解した混合物を噴霧することにより処理し、乾燥し、そしてか焼した。得られたロッドは、705g/Lのリットル質量、2.65Nの切断硬度、167m2/gのBET表面積、2.8質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23の組成を有するものであった。製造経路を6回繰り返す。
【0098】
これらのロッド7420gを、0.3〜0.7mmの粒子の磨砕し、222.6gのグラファイトと混合し、成形して、直径1.5mm及び高さ2.5mmのタブレットを得た。タブレットは、40Nの横圧縮強度、906g/Lの充填(tamped)密度、236m2/gのBET表面積及び5.8質量%の燃焼損失(900℃で)を有していた。
【0099】
[触媒26]
組成:3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23
5kgのギ酸を含む150リットルの水を、250kgの酸化アルミニウム(PuralR SB; SASOL社製)に加えた。粘チョウなペーストを形成した後、90kgのリン酸モリブデン溶液(600kgの三酸化モリブデン(純度90%;粉末)を200kgのオルトリン酸及び1500リットルの水において100℃で3時間その後40℃で24時間反応させ、ろ過することにより作製される)を、2時間混練し、1.7mmの球形のロッドに押出し、120〜150℃で乾燥させ、そして550℃でか焼した。
【0100】
こうして作製された200kgの担体を、6質量%濃度硝酸コバルト溶液の上澄みに2時間含浸させ、120℃で7時間乾燥させ、そして450℃で3時間か焼した。得られた触媒は、610g/Lのリットル質量、5.3Nの切断硬度、6.39質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0101】
[触媒27]
組成:3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23
製造を触媒26におけると同様に行った。さらに、生成物を500℃で2時間加熱した。得られた触媒は、613g/Lのリットル質量、5.1Nの切断硬度、5.5質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0102】
[触媒28]
組成:3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23
製造を触媒26におけると同様に行った。さらに、生成物を600℃で2時間加熱した。得られた触媒は、627g/Lのリットル質量、5.1Nの切断硬度、4.6質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0103】
[触媒29]
組成:3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23
製造を触媒26におけると同様に行った。さらに、生成物を700℃で2時間加熱した。得られた触媒は、644g/Lのリットル質量、4.3Nの切断硬度、4.2質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして3.3質量%のCoO、14質量%のMoO3及び82.7質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0104】
[触媒30]
組成:7.5質量%のMoO3及び92.5質量%のAl23
触媒14と同様にして、1981gの酸化アルミニウム(PURALR SB; SASOL社製)、140gのアンモニウムヘプタモリブデート、69mlのギ酸(85%)を468mlの水に溶解した液、及び別の500mlの水を反応させ、260barの入口圧力で押出し、乾燥し、そしてか焼した。得られたロッドは、735g/Lのリットル質量、13.5Nの切断硬度、1.4質量%の燃焼損失(900℃で)、261m2/gのBET表面積を有し、そして7.5質量%のMoO3及び92.5質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0105】
[触媒31]
組成:24質量%のMoO3及び76質量%のAl23
触媒14と同様にして、1641gの酸化アルミニウム(PURALR SB; SASOL社製)、455.1gのアンモニウムヘプタモリブデート、57mlのギ酸(85%)を379mlの水に溶解した液、及び別の440mlの水を反応させ、240barの入口圧力で押出し、乾燥し、そしてか焼した。得られた触媒は、856g/Lのリットル質量、12.2Nの切断硬度、9.35質量%の燃焼損失(900℃で)、252m2/gのBET表面積を有し、そして24質量%のMoO3及び76質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0106】
[触媒32]
組成:17質量%のMoO3、5.4質量%のSiO2及び77.6質量%のAl23
触媒14と同様にして、1749gのケイ素アルミニウム混合酸化物(5質量%のSiO2含有混合酸化物:;SIRALR 5; SASOL社製)、305.4gのアンモニウムヘプタモリブデート、61mlのギ酸(85%)を404mlの水に溶解した液、及び別の500mlの水を反応させ、171barの入口圧力で押出し、乾燥し、そしてか焼した。得られた触媒は、720g/Lのリットル質量、12.6Nの切断硬度、7.8質量%の燃焼損失(900℃で)、315m2/gのBET表面積を有し、そして17質量%のMoO3、5.4質量%のSiO2及び77.6質量%のAl23の組成を有するものであった。
【0107】
[触媒33]
組成:16質量%のMoO3及び84質量%のSiO2
触媒18と同様にして、1360gの直径1.5mmの二酸化ケイ素のロッド担体(BASF社製)を、286gのアンモニウムヘプタモリブデートを1075mlの水に溶解した液を噴霧することにより処置し、乾燥し、そしてか焼した。得られた触媒は、520g/Lのリットル質量、7.98Nの切断硬度、54.1m2/gのBET表面積、6.1質量%の燃焼損失(900℃で)を有し、そして16質量%のMoO3及び84質量%のSiO2の組成を有するものであった。
【0108】
[触媒の使用実施例]
<反応の段取り及び検出>
直径10mmの加熱可能管型反応器に、40mlの上述の触媒の1種を充填し、直通モード(straight-through mode)で操作した。排出ガスをガス・クロマトグラフィーに給送した。有機炭素化合物の検出のために、GCは、フレーム−イオン化検出器を有し、及び選択的イオウ検出のためにフレーム光度検出器を有する。
【0109】
実験終了後、即ちイオウ化合物の除去(breakthrough)後、触媒を取りだし、イオウ含有量を標準法(例えば、Ehrenbergerの "Quantitative Organishe Elementaranalyse" [Quantative Organic Elemental Analysis], VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, 1991, 242頁以降に記載されている)により測定した。
【0110】
[使用例8]
触媒13〜33を、上記の反応の段取りにおいて、15ppmのテトラヒドロチオフェン(THT)を含むメタン流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は7000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのイオウ量が100ppbを超えたときに終了させた。
【0111】
表Aに、その結果を纏めた。
【0112】
[使用例9]
触媒13〜33を、上記の反応の段取りにおいて、15ppmのテトラヒドロチオフェン(THT)及び2000ppmのトルエンを含む、60容量%のメタン及び40容量%のプロパンから構成されるガス流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は7000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのイオウ量が100ppbを超えたときに終了させた。
【0113】
表Cに、その結果を纏めた。
【0114】
【表3】

【0115】
[使用例10]
触媒13〜33を、上記の反応の段取りにおいて、15ppmのtert−ブチルメルカプタン及び15ppmのテトラヒドロチオフェンを含む天然ガス(実質的に、9.27容量%の窒素、1.64容量%の二酸化炭素、84.5容量%のメタン、3.46容量%のエタン、0.579容量%のプロパン、及び約12000ppmの他の炭化水素(C2〜C8)を含む。)から構成されるガス流に曝露した。ガス空間速度、即ち触媒容量当たりのガス容量は7000h-1で、反応温度は25℃であった。実験は、排出ガスのイオウ量が200ppbを超えたときに終了させた。
【0116】
表Dに、その結果を纏めた。
【0117】
【表4】

【0118】
[比較例8]
使用例10と同様にして、市販の活性炭(C38/4R,Article 2722; Carbo Tech., Essen社製)を用いて検討した。この活性炭のTHT吸着容量は、活性炭1L当たりTHT6.5gであった。
【0119】
[比較例9]
使用例10と同様にして、市販の活性炭(NoritR RB4; Norit社製;0.13ml/gの孔隙量、及び1292m2/gの表面積を有する)を、1〜2mm粒子で用いて検討した。この活性炭のTHT吸着容量は、活性炭1L当たりTHT0.5gであった。
【0120】
[比較例10]
使用例10と同様にして、市販の活性炭(DesorexR K; Lurgi社製;0.55ml/gの孔隙量、及び1494m2/gの表面積を有する)を、1〜2mm粒子で用いて検討した。この活性炭のTHT吸着容量は、活性炭1L当たりTHT0.6gであった。
【0121】
[触媒の使用実施例]
<反応の段取り及び検出>
直径30mmの加熱可能管型反応器に、合計280mlの上述の触媒2種を充填し、直通モード(straight-through mode)で操作した。排出ガスをガス・クロマトグラフィーに給送した。有機炭素化合物の検出のために、GCは、フレーム−イオン化検出器を有し、及び選択的イオウ検出のためにフレーム光度検出器を有する。
【0122】
実験終了後、即ちイオウ化合物の除去後、触媒を取りだしし、イオウ含有量を標準法(例えば、Ehrenbergerの "Quantitative Organishe Elementaranalyse" [Quantative Organic Elemental Analysis], VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, 1991, 242頁以降に記載されている)により測定した。
【0123】
[使用例]
[使用例11]
銅触媒及びモリブデン触媒の同容量部の均一混合物
銅触媒及びモリブデン触媒の同容量部の均一混合物を用いた。
【0124】
下記の組成:
窒素: 9.27%
二酸化炭素: 1.64%
メタン: 84.5%
エタン: 3.46%
プロパン: 0.579%
他のC4〜C8 HCs: 約12000容量ppm
を有する天然ガスに、20容量ppmのH2S、17容量ppmのCOS及び10容量ppmのテトラヒドロチオフェンを添加した。全ての実験において、まずテトラヒドロチオフェン(THT)が触媒床で除去された。THTを除去するまでの通過時間は、表Eに示されている。
【0125】
【表5】

【0126】
[使用例12]
2つの分離床:モリブデン触媒の上流の銅触媒
2つの床(それぞれ、1つの銅触媒及び1つのモリブデン触媒)を、2つの触媒量が同量となるように使用した。床の開始点(反応器入口)に、銅触媒を配置した;モリブデン触媒を、反応器の最後に配置した。天然ガスに、20容量ppmのH2S、5容量ppmのCOS及び10容量ppmのテトラヒドロチオフェンを添加した。実験手順を、使用例11と同様に実施した。全ての実験において、テトラヒドロチオフェン(THT)が触媒床でまず除去された。THTを除去するまでの通過時間は、表Fに示されている。
【0127】
【表6】

【0128】
[使用例13]
2種の分離床:モリブデン触媒の上流の銅触媒
2つの床(それぞれ、1つの銅触媒及び1つのモリブデン触媒)を、2つの触媒量が同量なるように使用した。床の開始点(反応器入口)に、モリブデン触媒を配置した;銅触媒を、反応器の最後に配置した。天然ガスに、20容量ppmのH2S、5容量ppmのCOS及び10容量ppmのテトラヒドロチオフェンを添加した。実験手順を、使用例11と同様に実施した。全ての実験において、テトラヒドロチオフェン(THT)が触媒床でまず除去された。THTを除去するまでの通過時間は、表Gに示されている。
【0129】
【表7】

【0130】
[触媒34]
組成:10質量%のMoO3及び90質量%のAl23
480gの、噴霧乾燥酸化アルミニウム(PuralR SB; SASOL社製;951g/Lのリットル質量、24.9質量%の燃焼損失(900℃で))及び49gのアンモニウムヘプタモリブデート(Riedel de Hean社製)を混合し、85mlの希ギ酸(85%濃度)と共に混練し、100barの入口圧力で押出プレスにより押出し、3mmのロッドを形成し、200℃で4時間乾燥し、その後750℃で2時間か焼した。得られた触媒は、212m2/gのBET表面積、723g/Lのリットル質量及び0.44ml/gの孔隙量を有するものであった。
【0131】
[触媒35]
組成:15質量%のMoO3及び85質量%のAl23
451gの触媒34の酸化アルミニウム及び76gのアンモニウムヘプタモリブデートを混合し、65mlの希ギ酸(85%濃度)と共に混練し、90barの入口圧力で押出プレスにより押出し、3mmのロッドを形成し、200℃で4時間乾燥し、その後550℃で3時間か焼した。得られた触媒は、289m2/gのBET表面積、884g/Lのリットル質量及び0.40ml/gの孔隙量を有するものであった。
【0132】
[触媒36]
組成:20質量%のMoO3及び80質量%のAl23
427gの触媒34の酸化アルミニウム及び98gのアンモニウムヘプタモリブデートを混合し、50mlの希ギ酸(85%濃度)と共に混練し、100barの入口圧力で押出プレスにより押出し、3mmのロッドを形成し、200℃で4時間乾燥し、その後750℃で2時間か焼した。得られた触媒は、294m2/gのBET表面積、823g/Lのリットル質量及び0.42ml/gの孔隙量を有するものであった。
【0133】
[触媒37]
組成:50質量%の菫青石(cordierite)を含む酸化アルミニウム上の15質量%のMoO3
乾燥ミキサーにおいて、230gの酸化アルミニウム(PuralR SB; SASOL社製)、95gのアンモニウムヘプタモリブデート及び310gの菫青石(Mg−Al−Si混合酸化物、20質量%の燃焼損失を有する)を混合し、30mlの希ギ酸(85%濃度)と共に混練し、130barでラム(lam)プレスにより押出し、3mmのロッドを形成し、200℃で4時間乾燥し、その後750℃で2時間か焼した。得られた触媒は、42m2/gのBET表面積及び1027g/Lのリットル質量を有するものであった。
【0134】
[触媒38]
組成: 15質量%のMoO3及び85質量%のAl23
600gの噴霧酸化アルミニウム(PuralR SB; SASOL社製)を、440mlの水及び18mlの希ギ酸(85%濃度)と共に混練し、95barでラムプレスにより押出し、直径3mmのロッドを形成し、200℃で4時間乾燥し、その後750℃で2時間か焼した。
【0135】
これらのロッドを、15.5質量%のアンモニウムヘプタモリブデート溶液に含浸し、15質量%のMo含有量を最終的に得た(MoO3として計算)。触媒を200℃で4時間乾燥し、その後750℃で2時間か焼した。押出ロッド触媒は、143m2/gのBET表面積、0.35ml/gの水吸着及び1028g/Lのリットル質量を有するものであった。
【0136】
[触媒39]
組成: 15質量%のMoO3及び85質量%のAl23
製造を触媒38と同様に実施したが、酸化アルミニウムロッドを1025℃で2時間か焼した。触媒は、87m2/gのBET表面積、0.25ml/gの水吸着及び1038g/Lのリットル質量を有するものであった。
【0137】
[触媒40]
組成: 15質量%のMoO3及び85質量%のAl23
600gの、直径3mmの酸化アルミニウムの押出ロッドの担体(BASF社製;0.65ml/gの孔隙量、223m2/gのBET表面積及び649g/Lの充填質量(tamped weight))を750℃で2時間か焼し、その後15.5質量%のアンモニウムヘプタモリブデート溶液に含浸し、そして120℃で16時間乾燥し、その後550℃で3時間か焼した。触媒は、160m2/gのBET表面積、750g/Lのリットル質量及び0.5ml/gの孔隙量を有するものであった。
【0138】
[触媒41]
組成: 15質量%のMoO3及び85質量%のAl23
触媒40と同様に製造を実施したが、酸化アルミニウム担体を1050℃で2時間か焼した。触媒は、77m2/gのBET表面積、750g/Lのリットル質量及び0.39ml/gの孔隙量を有するものであった。
【0139】
[実施例42]
組成: 37%のCuO、32%のZnO、17%のAl23及び14%のMoO3の組成を有するCu−Zn−Al−Mo触媒
485gの触媒19を、15.5質量%のアンモニウムヘプタモリブデート溶液に含浸し、200℃で4時間乾燥し、その後550℃で3時間か焼した。触媒は、0.24ml/gの水吸着、38m2/gのBET表面積及び1248g/Lのリットル質量を有するものであった。
【0140】
[実施例43]
組成: 12.5%Fe23、75質量%のCuO及び12.5質量%のAl23から構成されるFe−Cu−Al触媒
260gの硝酸鉄(II)非水和物、387gの硝酸アルミニウム非水和物、及び239gの硝酸銅を2.5リットルの水に溶解した液を、70℃で撹拌しながら混合し、そして1000gの水酸化ナトリウムを2リットルの水に溶解した液でpH11にし、沈殿した生成物を50リットルの水で洗浄し、200℃で4時間乾燥し、その後500℃で2時間か焼し、次いで3質量%のグラファイトと混合し、プレスして4.75×3mmのタブレットを得た。タブレットは、36N/タブレットの横圧縮強度、115m2/gのBET表面積及び0.24ml/gの孔隙量を有するものであった。
【0141】
[実施例44]
組成:75質量%のNiOを含むAl−Ni触媒
775gの硝酸アルミニウム非水和物及び729gの硝酸ニッケルを2.5リットルの水に溶解した液を、70℃で撹拌しながら混合し、そして1000gの水酸化ナトリウムを2リットルの水に溶解した液でpH11にし、沈殿した生成物を50リットルの水で洗浄し、200℃で4時間乾燥し、その後500℃で2時間か焼し、次いで3質量%のグラファイトと混合し、プレスして4.75×2mmのタブレットを得た。タブレットは、41N/タブレットの横圧縮強度、142m2/gのBET表面積及び0.23ml/gの孔隙量を有するものであった。
【0142】
[実施例45]
組成: 20%Fe23を含むNi−Fe触媒
417gの硝酸鉄(II)非水和物を1.5リットルの水に溶解した液、及び1750gの、13.5質量%のNi含有量を有する硝酸ニッケル水溶液を、70℃で撹拌しながら混合し、そして1000gの水酸化ナトリウムを2リットルの水に溶解した液でpH11にし、沈殿した生成物を50リットルの水で洗浄し、200℃で4時間乾燥し、その後500℃で2時間か焼し、次いで3質量%のグラファイトと混合し、プレスして4.75×2mmのタブレットを得た。タブレットは、43N/タブレットの横圧縮強度、142m2/gのBET表面積及び0.23ml/gの孔隙量を有するものであった。
【0143】
[比較例11]
Ag−ドープNa−Yゼオライトの製造
250gのNa−Yゼオライト(CBVR 100、Zeolyst Int.社製;Si/Al比が5.1)を、撹拌しながら、2.5Lの、硝酸銀(424.6g)の0.5モル溶液と混合し、80℃で4時間加熱し、沈殿した生成物をろ過し、500mlの水で1回洗浄し、120℃で2時間乾燥し、その後500℃で4時間か焼し(昇温速度1℃/分)、再び2.5Lの、硝酸銀の0.5モル溶液と共に80℃で4時間加熱し、そしてろ過し、500mlの水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した。こうして372gのゼオライトを製造した。
【0144】
[比較例12]
Ag−H−YゼオライトのNa交換
372gの比較例11のゼオライトを、撹拌しながら、1860mlの10%濃度硝酸アンモニウム溶液と混合し、80℃で4時間加熱し、沈殿した生成物をろ過し、新しい10%濃度硝酸アンモニウム溶液(1.860L)と再び混合し、80℃で4時間加熱し、沈殿生成物をろ過し、500mlの水で2回洗浄し、120℃で2時間乾燥し、その後450℃で5時間か焼した(昇温速度1℃/分)。こうして150gのゼオライトを製造した。
【0145】
[比較例13]
Cu−H−Yゼオライトの製造
250gのNa−Yゼオライト(CBVR 100; Zeolite Int.社製;5.1のSi/Al比を有する)を、撹拌しながら、0.5モル硝酸銅溶液(290g)と混合し、80℃で4時間加熱し、沈殿した生成物をろ過し、500mlの水で洗浄し、120℃で2時間乾燥し、その後500℃で4時間か焼した(昇温速度1℃/分)、その後2.5Lの0.5モル硝酸銅溶液と共に80℃で4時間再び加熱し、ろ過し、500mlの水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した。こうして253gのゼオライトを製造した。
【0146】
253gのゼオライトを、1200mlの10%濃度硝酸アンモニウム溶液と共に80℃で4時間加熱し、沈殿した生成物をろ過し、再び新しい10%濃度硝酸アンモニウム溶液(1.2L)と混合し、80℃で4時間加熱し、沈殿生成物をろ過し、500mlの水で2回洗浄し、120℃で2時間乾燥し、450℃で5時間か焼した(昇温速度1℃/分)。こうして100.2gのゼオライトを製造した。
【0147】
[比較例14]
Cuドープ活性炭タイプG-32J(Sud Chemie社製)。活性炭は、4.5質量%の銅含有量、1120m2/gの表面積及び約550g/Lの嵩密度を有するものであった。
【0148】
<実験手順>
全ての触媒又は吸着体を1〜2mmの粒子で検討した。1.5mmのロッド及び1.5mmのタブレットをそのまま直接使用した。使用した反応器は、加熱可能なステンレス綱管であり、その頂部から底部に流れが通過するものであった。実験毎に、40mlの触媒を使用した。
【0149】
市販の天然ガス(Linde社製)を用いた。これは以下の組成を有するものであった:即ち84.5容量%のメタン、3.5容量%のエタン、0.6容量%のプロパン、1000容量ppmのブタン、約1200容量ppmの高級炭化水素>C4HCs(このうち100ppmはベンゼン);9.3容量%の窒素及び1.7容量%の二酸化炭素。
【0150】
ガスを、1時間当たり240Lの容量流速(1時間当たり6000の時空速度)で、触媒上を通過させた。全ての測定法は、標準圧力及び室温で行われた。触媒の前処理(例えば還元)は行わなかった。
【0151】
反応器の下流のガスの分析のために、2カラムスイッチング及び2個の検出器を有する市販のガス・クロマトグラフィーを使用した。第1の検出器、フレーム−イオン化検出器(FID)は、天然ガス中の個々の炭化水素、特にベンゼンの検出器として働く。第2の検出器、フレーム光度検出器(FPD)は、イオウ化合物に敏感であり、このような化合物を40ppb以下の本質的な検出限界まで検出を可能にした。
【0152】
実験終了後、即ちそれぞれの最初のイオウ成分の除去(約40ppbの検出限界)後、触媒を取りはずし、イオウ含有量を標準法(例えば、Ehrenbergerの "Quantitative Organishe Elementaranalyse" [Quantative Organic Elemental Analysis], VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, 1991, 242頁以降に記載されている)により測定した。これらの結果は、全てのケースにおいて同一であり、そして結果は、結果の+/−5%の精度で、測定中にイオウ成分を除去(breakthrough)することにより測定されている。
【0153】
有機イオウ化合物で選択されたモデル物質は、テトラヒドロチオフェン(THT)であった。これは、環式イオウ化合物は、最終イオウ化合物と対照的に、吸着だけで除去することは極めて困難であることが知られているためである。
【0154】
無機イオウ化合物の吸着の実験は、モデル物質としてCOS及びH2Sを用いて行った。
【0155】
実験シリーズ1:THTを例とする有機イオウ化合物の吸着
THTの吸着を測定するために、天然ガスを、飽和器により、15容量ppmの平均THT含有量を持つように補強した。列挙された触媒について、THT(触媒1L当たりTHTのg)及びベンゼン(質量%)についてこの後に規定された吸着容量が示された。
【0156】
【表8】

【0157】
比較例の結果は以下の通りである。
【0158】
【表9】

【0159】
比較例の触媒は、50ファクター増加したベンゼン吸着量を示している。
【0160】
下記の表は、比較例6、7及び11〜14と共にいくつかの発明触媒の結果を示している。各場合において、15容量ppmのCOS及びH2Sを、脱硫された天然ガスに添加した。COS及びH2Sの吸着容量を、実験終了後、触媒のイオウ測定により決定した。全ての測定において、まずCOSが触媒床で除去された。
【0161】
【表10】

【0162】
本発明の触媒はまた、天然ガスから無機イオウ化合物を除去するために使用することができることが分かった。高イオウ負荷を達成することができる。同時に、ベンゼンの共吸着は低いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法であって、
活性炭及びゼオライトを含まず、銅、銀、亜鉛、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの混合物を含む触媒を、−50〜150℃の温度、及び0.1〜10バールの圧力で使用することを特徴とする方法。
【請求項2】
銅触媒を使用する請求項1に記載の炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法。
【請求項3】
モリブデン触媒を使用する請求項1に記載の炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法。
【請求項4】
銅触媒及びモリブデン触媒を一緒に使用する請求項1に記載の炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法。
【請求項5】
0〜80℃の温度、及び0.8〜4.5バールの圧力を用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法を、水素製造用のイオウ非含有炭化水素ガスを製造するために使用する方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法を、燃料電池作動用の水素を製造するためのイオウ非含有炭化水素ガスを製造するために使用する方法。
【請求項8】
1〜99.8質量%の銅、銀、亜鉛、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの混合物、及び0.2〜99質量%の元素周期表の第IIB、IIIB、IVB、VIB、VIII、IIIA及びIVA族から選択される元素の酸化物で、少なくとも250℃までは固体である酸化物を含む触媒。
【請求項9】
燃料電池装置で使用するための請求項8に記載の触媒。
【請求項10】
炭化水素ガスからイオウ化合物を除去するために請求項8に記載の触媒を使用する方法。

【公表番号】特表2006−511678(P2006−511678A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502540(P2005−502540)
【出願日】平成15年12月13日(2003.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014193
【国際公開番号】WO2004/056949
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】