説明

炭化水素組成物用の流動点降下剤

炭化水素ブレンドの質量基準で、0.001質量%から10質量%までの少なくとも一種のポリ-α-オレフィン(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは10〜3000cStの範囲内のKv100及び1.0〜4.5の範囲内の分子量分布を有する);及び20.0cSt未満のKv100を有する原料油からつくられた炭化水素ブレンド(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンはそのブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃低下するのに充分な量で存在する)が開示される。そのブレンドは(a)触媒組成物及び少なくとも二組のα-オレフィンを含む供給原料(第一の組のα-オレフィンはC4-C12α-オレフィンから選ばれ、かつ第二の組のα-オレフィンはC14以上のα-オレフィンから選ばれる)を反応させることにより生成される。そのα-オレフィン供給原料は少なくとも8個又はそれより多い炭素原子の数平均炭素数を有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2008年6月5日に出願された先の米国特許出願第12/133,927号及び2008年8月19日に出願された欧州特許出願第08162595.6号(これらの両方が参考として本明細書にそのまま含まれる)の利益を主張する。
本発明は一般に潤滑剤組成物及び燃料組成物、更に特別には所望により原料油の総合粘度を維持しつつ、低粘度炭化水素原料油の濁度及び流動点を低下し得るポリ-α-オレフィンのクラスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の出現以降、潤滑油を改良するようにとの要望があった。自動車エンジンを潤滑することにおける一つの関心事は潤滑剤の低温挙動である。自動車の初期の装置製造業者(“OEM”)はほぼ全ての精製鉱物潤滑剤中に含まれるワックスに関心があり、そのワックスは低温で結晶化でき、潤滑剤が流動することを妨げる。最新の高性能潤滑剤は望ましい粘度を維持し、実生活の運転条件下で磨耗を防止するであろうと予想される。これは特に条件が、例えば、カナダ及び米国の北部のように時間の長期にわたって低温である場合に魅力的である。流動点降下剤(即ち、“PPD”)が典型的には低温の気候で潤滑剤の流動を改良するのに使用される。普通のPPDはポリアクリレート及びフマレートをベースとする。しかしながら、これらのPPDは高価であることがあり、それらの機能を考えると比較的不十分な安定性を有する。市場の変化する要望により、“正しい”流動点降下剤の選択は今日よりも重要ではなかった。装置製造業者及びユーザーは一層大きい効率及び一層大きい耐久性を加える潤滑剤を要求している。同時に、エンジン及びドライブライン潤滑剤についての新しい仕様は一層やっかいな制限を低温流動性に課している。更に、ベースオイルスレートが、苛酷に水素化処理されたAPIグループII及びIIIオイルの増大する使用により、絶えず変化している。
ポリオレフィンを含む幾つかの潤滑剤組成物が米国特許第6,420,618号、WO 2007/146081、WO 2007/145924、WO 2007/070691、及びWO 2004/033595に開示されている。これらの組成物の幾つかは原料油に対し改良された流動点を有するが、依然として高性能及び低流動点を有する潤滑剤についての要望がある。
同様の状況が最新燃料組成物、特に蒸留燃料について存する。蒸留燃料は通常の石油精製方法からつくられ、又は合成ガス(gas to liquids)(“GTL”)技術もしくは石炭もしくはビチュメンから液体への(“CTL”)技術からつくられる。このような蒸留燃料の例が米国特許第6,811,683号、同第7,344,631号及び同第5,487,763号に見られる。高品質蒸留燃料が改良された流動点、潤滑性、低温におけるポンプ輸送可能性及び流動性、減少された排出物を与えるために需要がある。この改良が総合の機械運転性を増進し、燃料経済性を改良し得る。本発明において製造されたポリ-α-オレフィンはこのような増進を与え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
必要とされるものは改良された安定性を有する低コストPPDであり、APIグループI〜IVの原料油、特に合成ガス(“GTL”)由来の原料油、及び燃料原料油中にPPDとして使用し得る。このようなものが本明細書に提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施態様において、ブレンドの質量基準で、0.001質量%から10質量%までの少なくとも一種のポリ-α-オレフィン(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは10〜5000cStの範囲内のKv100及び1.0〜4.5の範囲内の分子量分布を有する);及び20.0cSt未満のKv100を有する原料油を含む、炭化水素ブレンド、特別な実施態様では燃料又は潤滑剤が記載され、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンはその炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃低下するのに充分な量で存在する。或る実施態様において、原料油が潤滑原料油又は燃料原料油である。
また、一局面において、(a)触媒組成物及び少なくとも二組のα-オレフィンを含む供給原料(第一の組のα-オレフィンはC4-C13α-オレフィンから選ばれ、かつ第二の組のα-オレフィンはC14以上のα-オレフィンから選ばれる)を反応させて少なくとも10.0cStのKv100を有する少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを生成し、そして(b)その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを20.0cSt未満のKv100値を有する原料油又は燃料原料油と合わせて炭化水素ブレンドを生成することを含む、炭化水素ブレンド、特別な実施態様では燃料又は潤滑剤を生成する方法が本明細書に記載される。
別の局面において、(a)触媒組成物及び少なくとも8個の炭素原子の数平均炭素数を有するα-オレフィン供給原料を反応させて少なくとも10.0cStのKv100を有する少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを生成し、そして(b)その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを20.0cSt未満のKv100値を有する原料油と合わせて炭化水素ブレンドを生成することを含む、炭化水素ブレンド、特別な実施態様では燃料又は潤滑剤を生成する方法が記載される。
本明細書に開示された種々の記述要素及び数的範囲はその他の記述要素及び数的範囲と組み合わされて本発明の一つ以上の好ましい実施態様を記載し得る。更に、要素の数的上限が同要素の数的下限と組み合わせ得る。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書に記載された全ての流体“粘度”は、明記されない限り、ASTM D445 100℃に従って測定された100℃の動粘度(“Kv100”)(単位:センチストークス(“cSt”))を表す。全ての粘度指数(“VI”)値はASTM D2270に従って測定される。
本明細書に使用される“潤滑剤”は二つ以上の移動表面間に導入されて、移動表面間の摩擦のレベルを低下し得る液体物質を表す。一実施態様において、“潤滑剤”は潤滑剤の質量を基準として、0.01〜10質量%の少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを含み、かつ10〜5000cStの範囲内のKv100を有し、かつ20.0cSt未満のKv100を有する少なくとも一つの型の炭化水素原料油を含む材料である。“炭化水素組成物”は或る実施態様において潤滑剤である。
本明細書に使用される“燃料”は制御された化学反応でエネルギーを発生するあらゆる物質である。本記載において、炭化水素物質、好ましくは室温で液体である炭化水素物質は燃料であり、酸化剤と反応させられてエネルギーを発生する。一実施態様において、“燃料”は燃料の質量を基準として、0.01〜10質量%の少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを含み、かつ10〜5000cStの範囲内のKv100を有し、かつ20.0cSt未満のKv100を有する少なくとも一つの型の燃料原料油を含む材料である。“炭化水素組成物”は或る実施態様において燃料である。
【0006】
本明細書に使用される“原料油”は以下に記載される少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを含まない炭化水素流体を記載するのに使用され、一実施態様において最終潤滑剤又は燃料の主成分(容積基準)である。“原料油”という用語は蒸留燃料〜潤滑範囲の分子を含み、これはC10より大きい有機分子の連続体及び混合物である。低沸点フラクション(通常C10からC22まで)が蒸留燃料又は“燃料原料油”として使用され、高沸点フラクションが潤滑原料油のために使用される。一実施態様において、原料油(燃料、潤滑剤その他のための)は少なくとも100、別の実施態様では少なくとも120のVIを有する。或る実施態様において、原料油が10℃もしくは-10℃又は-15℃より下の流動点を有する。或る実施態様において、原料油がグループII、III又はGTLの原料油である。或る実施態様において、原料油が10cStもしくは20cSt又は30cSt未満、他の実施態様では、0.1cStもしくは1cSt又は3cStより大きいKv100値を有する。
潤滑剤中の好適な炭化水素原料油(又は“原料油”)の非限定例として、APIグループI、グループII、グループIII、グループIV、グループV及びグループVIの原料油並びにフィッシャー-トロプッシュ方法又は合成ガス(“GTL”)方法から誘導された炭化水素質の流体が挙げられる。
【0007】
合成ガス原料油として、一種以上の可能な型のGTL方法から誘導された原料油及び/又はベースオイルが挙げられる。GTL方法は一般に合成ガス(主としてCO及び水素)への天然ガス、殆どメタンの化学変換を表す。また、固体石炭が主としてCO及び水素の合成ガスに変換し得る。次いで合成ガスがフィッシャー-トロプッシュ方法により殆ど線状のパラフィンに変換される。線状パラフィンは広い分子サイズ分布を有する。C25以上の高分子量線状パラフィンフラクションは蒸留又は分別により単離でき、次いで潤滑剤原料油への異なる触媒による水素異性化にかけられる。このGTL原料油は或る実施態様において3〜20又は30cStのKv100を有する。GTL原料油及び/又はベースオイルはそのまま使用されてもよく、又はその他の水素脱ワックス化又は水素異性化され、接触脱ワックス化又は溶剤脱ワックス化された潤滑原料油と組み合わせて使用されてもよい。一実施態様において、本明細書に記載された潤滑剤中に有益なGTLは少なくとも100、別の実施態様では少なくとも120のVIを有する。或る実施態様において、GTL原料油は20℃又は10℃から-15℃又は-20℃までの範囲内の流動点を有する。GTL潤滑原料油及びこれらの原料油を製造するための方法が米国特許第7,344,631号、同第6,846,778号、同第7,241,375号、同第7,053,254号、又はWO 2005 121280 A1に見られる。一般に、GTL方法から誘導されたあらゆる潤滑原料油が本明細書に記載されたブレンド中に使用し得る。
GTL原料油の一例はメチル水素の%により測定される、分岐の程度(“分岐指数”又は“BI”)、及び末端基又は分岐から除かれる4個以上の炭素である反復メチレン炭素の%により測定される、分岐の近接が全体としての前記液体炭化水素組成物について測定して(a)BI-0.5(CH2≧4)>15、及び(b)BI+0.85(CH2≧4)<45であるようなものであるパラフィン炭化水素成分を含むものである。
【0008】
GTL原料油の別の例はまた、潤滑剤原料油が分岐パラフィンの混合物の少なくとも90%を含むことを特徴とする、分岐パラフィンの混合物を含むと特徴づけられ、前記分岐パラフィンがC20-C40の炭素鎖長、280〜562の分子量、343℃〜566℃の沸騰範囲を有するパラフィンであり、前記分岐パラフィンが4個までのアルキル分岐を含み、かつ前記分岐パラフィンの遊離炭素指数が少なくとも3である。GTL原料油、及び分岐指数の測定方法が、例えば、WO 2007/070691に更に詳しく記載されている。
燃料“原料油”は、例えば、中間蒸留燃料油、例えば、ディーゼル燃料、航空燃料、ケロセン、燃料油、ジェット燃料、暖房油等であってもよい。一般に、好適な燃料原料油は120℃〜500℃の範囲で沸騰するもの(ASTM D1160)、別の実施態様では150℃〜400℃の範囲で沸騰するものである。代表的な暖房油仕様は約226℃より高くない10%蒸留温度、272℃より高くない50%蒸留温度及び少なくとも282℃、かつ338℃〜343℃より高くない90%蒸留温度を要求するが、或る仕様は357℃程度に高い90%蒸留温度を定めている。或る実施態様において、暖房油がバージン蒸留物、例えば、ガスオイル、ナフサ等及びクラッキングされた蒸留物、例えば、接触サイクル原料のブレンドからつくられる。ディーゼル燃料原料油に代表的な仕様は38℃の最低引火点及び282℃〜338℃の90%蒸留温度を含む(ASTM D-396及びD-975を参照のこと)。これらの蒸留燃料原料油は通常の石油精製方法からつくられ、又はそれらは“合成ガス”(GTL)技術もしくは“石炭液化(coal-to-liquid)”(“CTL”)技術からつくられる。
本明細書に使用される“ポリ-α-オレフィン”は一実施態様において10又は20cStから1000もしくは2000又は5000cStまでの範囲内のKv100を有するコポリマーであり、そのコポリマーは触媒組成物をα-オレフィンモノマーの供給原料と反応させることにより製造される。本明細書に記載されたブレンドは本明細書に記載された少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを含む。本明細書に使用される“コポリマー”は2種の異なるモノマー誘導単位から構成されたポリマーに限定されないが、3種、4種又はそれ以上の異なるコモノマー誘導単位を含み得る。触媒組成物はオレフィンモノマーからのポリオレフィンの生成を触媒作用し得る、一種以上のあらゆる既知の化合物を単独で、又は組み合わせて含むことができ、これらの非限定例はチーグラー-ナッタ触媒、クロム酸化物をベースとする触媒、グループ4のアミド/イミド配位触媒、及びメタロセン触媒であり、夫々が任意の活性剤、例えば、アルモキサン又は非配位陰イオン(例えば、嵩高のホウ酸塩化合物)を含んでもよい。或る実施態様において、少なくとも一種のポリ-α-オレフィンがメタロセン及び活性剤を含む触媒組成物を使用して製造される。
【0009】
少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの生成方法が二つの補足局面において記載し得る。第一の局面において、少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが触媒組成物を或る数平均炭素数を有するオレフィン供給原料と反応させることにより製造される。第二の局面において、少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが触媒組成物を二組のオレフィン(第一の組がC4-C13α-オレフィンの範囲内のオレフィンであり、かつ第二の組がC14α-オレフィン以上のオレフィンである)から選ばれた一種以上のオレフィンと反応させることにより製造される。更に別の局面において、少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの生成方法が第一の局面及び第二の局面の組み合わせにより記載し得る。
こうして、一局面において、少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが触媒組成物及び少なくとも8個の炭素原子、別の実施態様では少なくとも9個の炭素原子、別の実施態様では少なくとも10個の炭素原子、更に別の実施態様では少なくとも11個の炭素原子、更に別の実施態様では少なくとも11.5個の炭素原子の数平均炭素数を有するα-オレフィン供給原料を反応させることにより製造される。更に別の実施態様において、α-オレフィン供給原料が8個から15個までの炭素原子、別の実施態様では10個から15個までの炭素原子、別の実施態様では10.5個から14.5個までの炭素原子、更に別の実施態様では10個から14個までの炭素原子の範囲内の数平均炭素数を有する。“供給”は連続式又は回分式であってもよく、α-オレフィンの一定の供給が反応させられている成分に与えられ、又はその反応が停止され、もしくは供給原料の別の新しい“バッチ”が導入されるまで単一量が反応させられている成分に添加されることを意味する。
或る実施態様において、α-オレフィン供給原料はC4-C24α-オレフィン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも2種のα-オレフィンを含む。別の実施態様において、α-オレフィングループはC5-C24α-オレフィン及びこれらの混合物を含む。或る実施態様において、少量、一実施態様では0.01質量%から5質量%までの一層高級のC24-32のα-オレフィンがまた存在し得る。更に別の実施態様において、α-オレフィングループが実質的にC6-C24α-オレフィン及びこれらの混合物からなり、一層低級又は高級のオレフィンがC6-C24供給原料から実用的に多く分離されて除かれたことを意味する。
【0010】
更に別の実施態様において、α-オレフィン供給原料はC6-C24α-オレフィン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも2種のα-オレフィンを含む。供給原料が更に別の実施態様において、供給原料の質量を基準として、0.1質量%から15質量%の範囲内のC6α-オレフィン及び少なくとも8質量%のC18α-オレフィンを含む。或る実施態様において、供給原料を構成するα-オレフィンが線状α-オレフィンである。
或る実施態様において、α-オレフィン供給原料が実質的にC6-C24α-オレフィンからなる群から選ばれた2種以上のオレフィンからなる。α-オレフィン供給原料が更に別の実施態様において実質的に1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、1-ヘネイコセン、1-ドコセン、1-トリコセン、1-テトラコセンから選ばれた2種以上のオレフィンからなる。α-オレフィン供給原料が更に別の実施態様において実質的に1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン及び1-オクタデセンからなる。或る実施態様において、エチレンがα-オレフィン供給原料から実質的に不在であり、また特別な実施態様においてエチレン及びプロピレンがα-オレフィン供給原料から実質的に不在である。“実質的に不在”はエチレン又はエチレン/プロピレンが供給原料の1.5質量%のレベルまでの検出できるレベルで存在しないことを意味する。
【0011】
別の局面において、少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが触媒組成物を二組のα-オレフィンから選ばれたα-オレフィン供給原料と接触させることにより生成される。第一の組のα-オレフィンは一実施態様ではC4-C13α-オレフィン、別の実施態様ではC5-C12α-オレフィン、また更に別の実施態様ではC6-C12α-オレフィン、また更に別の実施態様ではC6-C10α-オレフィンから選ばれた少なくとも一種以上のオレフィンである。一実施態様において、少なくとも一種のオレフィンが第二の組のα-オレフィンから選ばれ、唯一のオレフィンが別の実施態様において選ばれ、また2種のオレフィンのみが更に別の実施態様において第二の組から選ばれる。
或る実施態様において、第一の組のオレフィンが全α-オレフィン供給原料の10%もしくは15%又は20%或いは30%又は40%から70%もしくは80%又は90%までを含む。一実施態様ではC4-C13α-オレフィンの一種以上、また別の実施態様ではC5-C12α-オレフィンの一種以上、又は更に別の実施態様ではC6-C10α-オレフィンの一種以上が使用し得る。供給原料の残部は第二の組のC14以上のα-オレフィンから選ばれる。或る実施態様において、α-オレフィン供給原料の少なくとも20%、もしくは30%、又は40%がC14以上のα-オレフィンを含み、また別の実施態様において供給原料が90%未満のC14以上のα-オレフィンを含む。
或る実施態様において、2組のα-オレフィンを含む混合α-オレフィン供給原料は少なくとも8個の炭素原子の数平均炭素数、別の実施態様では少なくとも9個の炭素原子の数平均炭素数、更に別の実施態様では少なくとも10個の炭素原子の数平均炭素数、更に別の実施態様では少なくとも10.1個の炭素原子、更に別の実施態様では少なくとも10.2個の炭素原子、更に別の実施態様では少なくとも10.5個の炭素原子、更に別の実施態様では少なくとも11個の炭素原子、更に別の実施態様では少なくとも11.5個の炭素原子を有することが好ましい。更に別の実施態様において、α-オレフィン供給原料が8個から15個までの炭素原子、別の実施態様では10個から15個までの炭素原子、別の実施態様では10.5個から14.5個の炭素原子、更に別の実施態様では10個から14個までの炭素原子の範囲内の数平均炭素数を有する。
【0012】
少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを製造する最初に記載された局面について、エチレン、又はエチレン/プロピレンが或る実施態様では供給原料から実質的に不在であり、他の実施態様では供給原料が実質的に線状α-オレフィンからなってもよい。
本明細書に記載されたα-オレフィン供給原料は触媒組成物と“反応させられて”少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを生成する。“触媒組成物”という用語は触媒前駆体/活性剤の対、例えば、メタロセン/活性剤の対を意味すると本明細書に定義される。“触媒組成物”という用語が活性化の前のこのような対を記載するのに使用される場合、それは活性剤そして、必要により、補助活性剤(例えば、トリアルキルアルミニウム化合物)と一緒の未活性化触媒(前触媒)を意味する。それが活性化後のこのような対を記載するのに使用される場合、それは活性化触媒及び活性剤又はその他の電荷をバランスする部分を意味する。更に、この活性化“触媒組成物”は必要により補助活性剤及び/又はその他の電荷をバランスする部分を含んでもよい。いずれにしても、少なくとも一種以上のポリ-α-オレフィンがその反応から“製造される”(又は“生成される”)。
一実施態様において、触媒組成物が触媒組成物を生成するためにメタロセン及び活性剤を含む。メタロセン触媒化合物は少なくとも1個の金属原子に結合されたシクロペンタジエニル(“Cp”)にイソローバル(isolobal)の1個以上のシクロペンタジエニルリガンド、及び少なくとも1個の金属原子に結合された1個以上の脱離基を有するハーフ(金属中心に結合された1個のシクロペンタジエニル)及び完全(金属中心に結合された2個のシクロペンタジエニル)サンドイッチ化合物を含む。ハーフ-サンドイッチ化合物の例は所謂“拘束された形状寸法”のメタロセンである。“脱離基”という用語はメタロセン触媒化合物から引き抜かれて一種以上のオレフィンを重合し得るメタロセン触媒陽イオンを生成し得るあらゆるリガンドを表す。
【0013】
Cpリガンドは一般に開放系もしくは環系又は一つ以上の縮合系又はこれらの組み合わせであってもよいπ結合を含む一つ以上の結合系により代表される。これらの一つ以上の環又は一つ以上の環系は典型的には13族〜16族の原子から選ばれ、別の実施態様では炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ホウ素及びアルミニウム又はこれらの組み合わせからなる群から選ばれた原子を含む。金属原子は一実施態様において、また本明細書に記載されたその他でも元素の周期律表の4族〜12族から選ばれる。特別な実施態様において、メタロセンが4族の橋かけされたビス-Cp化合物であり、両方のCpリガンドが当業界で知られているように、また以下に記載されるように金属中心に結合されるだけでなく、或る“橋かけ”部分により互いに結合されることを意味する。
一実施態様において、メタロセン触媒化合物が式(1):LALBMQn(式中、夫々のLA及びLBは金属中心Mに結合され、かつ夫々のQは金属中心に結合され、nは0又は1から4までの整数であり、別の実施態様では1又は2であり、更に別の実施態様では2である)により表される橋かけされていないビス-シクロペンタジエニルメタロセン化合物である。
式(1)中で、金属原子“M”は一実施態様では3族〜10族の原子からなる群から選ばれ、更に特別な実施態様では4族、5族及び6族の原子からなる群から選ばれ、更に別の特別な実施態様ではZr又はHfである。メタロセンの金属は本発明において特別な酸化状態であることに限定されない。一つ以上のCpリガンドは金属原子Mと少なくとも一つの化学結合を形成して“メタロセン触媒化合物”を生成する。Cpリガンドはそれらが置換/引き抜き反応を高度に受け難い点で触媒化合物に結合された脱離基とは異なる。
式(1)のLA基及びLB基はCpリガンド、例えば、シクロアルカジエニルリガンド及び複素環類似体である。Cpリガンドは典型的には13族〜16族の原子からなる群から選ばれた原子を含み、更に特別には、Cpリガンドを構成する原子は炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ゲルマニウム、ホウ素及びアルミニウム並びにこれらの組み合わせからなる群から選ばれ、炭素が環員の少なくとも50%を構成する。更に特別には、一つ以上のCpリガンドが置換シクロペンタジエニルリガンド及び未置換シクロペンタジエニルリガンド並びにシクロペンタジエニルにイソローバルのリガンドからなる群から選ばれ、これらの非限定例として、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル及びその他の構造が挙げられる。このようなリガンドの更なる非限定例として、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレニル、インデニル、ベンズインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントリンデニル、3,4-ベンゾフルオレニル、9-フェニルフルオレニル、8-H-シクロペンタアセナフチレニル、7-H-ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2-9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、これらの水素化別型(例えば、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)、これらの置換別型(以下に更に詳しく記載されるような)、及びこれらの複素環別型が挙げられる。
【0014】
独立に、夫々のLA及びLBは置換されていなくてもよく、又は置換基Rの組み合わせで置換されていてもよい。置換基Rの非限定例として、ハロゲン;水素;及び線状、分岐、又は環状アルキルC1〜C20もしくはC30又はC50基;並びにアルケニル基、又はアリール基、或いはこれらの組み合わせから選ばれた基の一種以上が挙げられる。アルキル又はアリール置換基Rの非限定例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基又はフェニル基等が挙げられ、全てのそれらの異性体、例えば、ターシャリーブチル、イソプロピル等を含む。また、少なくとも二つのR基、或る実施態様では二つの隣接R基が、結合されて炭素、窒素、酸素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素又はこれらの組み合わせから選ばれた3個から30個までの原子を有する環構造を形成する。
式(1)の脱離基QはMに結合されたモノ陰イオンの不安定なリガンドである。その金属の酸化状態に応じて、nに関する値が0、1又は2であり、その結果、上記式(1)は中性メタロセン触媒化合物、又は正に荷電された化合物を表す。脱離基の例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子、水素原子、アルコキシ基、メチル基、エチル基、並びにその他のアルキル基が挙げられる。
【0015】
一実施態様において、本発明のメタロセン触媒化合物として、LA及びLBが橋かけ基“A”により互いに橋かけされている式(1)の化合物が挙げられる。これらの橋かけされた化合物は橋かけされたメタロセン触媒化合物と称され、式(2):LA(A)LBMQn(式中、夫々のLA及びLBは金属Mに結合され、かつ夫々のQは金属中心に結合され、nは0又は1から4までの整数、或る実施態様では1又は2であり、また更に別の実施態様では2であり、基LA、LB、M及びQは式(1)に定義されたとおりであり、かつ2価の橋かけ基“A”は少なくとも一つの結合によりLA及びLBの両方に結合され、又は2価の部分により夫々に結合される)により表し得る。
式(2)からの橋かけ基“A”の非限定例として、少なくとも1個の13族〜16族の原子、例えば、炭素、酸素、窒素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム及びスズ原子(これらに限定されない)の少なくとも一つ又はこれらの組み合わせを含む2価の橋かけ基が挙げられる。或る実施態様において、橋かけ基“A”が炭素、ケイ素又はゲルマニウム原子を含む。“A”基が特別な実施態様では少なくとも1個のケイ素原子又は少なくとも1個の炭素原子を含む。橋かけ基“A”はまた先に定義された置換基R(ハロゲンを含む)を含んでもよい。更に特別には、橋かけ基“A”の非限定例がR’2C=、R’2Si=、-(R’)2Si(R’)2Si-、-(R’)2Si(R’)2C-、R’2Ge=、-(R’)2C(R’)2C-、-(R’)2Si(R’)2Ge-、-(R’)2Ge(R’)2C-、R’N=、R’P=、-(R’)2C(R’)N-、-(R’)2C(R’)P-、-(R’)2Si(R’)N-、-(R’)2Si(R’)P-、-(R’)2Ge(R’)N-、及び-(R’)2Ge(R’)P-(式中、R’は独立に水素化物、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、ヒドロカルビル置換オルガノメタロイド、ハロカルビル置換オルガノメタロイド、二置換ホウ素、二置換15族原子、置換16族原子、又はハロゲンである基であり、又は二つ以上のR’が結合されて環もしくは環系を形成してもよく、かつQは先に記載されたとおりである)により表し得る。
上記メタロセン触媒成分はそれらの構造異性体又は光学異性体もしくは鏡像異性体(ラセミ混合物)を含み、一実施態様では純粋な鏡像体であってもよいことが意図されている。更に、本明細書に使用される、ラセミ異性体及び/又はメソ異性体を有する単一、橋かけ、非対称置換メタロセン触媒成分それ自体は少なくとも二つの異なる橋かけメタロセン触媒成分を構成しない。本発明に有益な“メタロセン触媒成分”は本明細書に記載されたあらゆる“実施態様”のあらゆる組み合わせ、例えば、LA基、LB基、M基、Q基、A基及びR基のあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0016】
本明細書に記載された触媒組成物は一実施態様においてメタロセン及び活性剤を含む。触媒組成物は当業界で知られているように支持体物質を含んでもよい。本明細書に使用される“活性剤”という用語は、例えば、陽イオン種を触媒成分から生じることにより、単一部位触媒化合物(例えば、メタロセン、4族のイミド/アミン配位化合物、等)を活性化し得る、支持され、又は支持されていない、あらゆる化合物又は化合物の組み合わせであると定義される。典型的には、これは触媒成分の金属中心から少なくとも一つの脱離基(上記式/構造中のQ基)の引抜を伴なう。こうして、本発明の触媒成分はこのような活性剤を使用してオレフィン重合に向けて活性化される。このような活性剤の実施態様として、ルイス酸、例えば、環状又はオリゴマーのポリ(ヒドロカルビルアルミニウムオキサイド)及び所謂非配位活性剤(“NCA”)(また、“イオン化活性剤”又は“化学量論量の活性剤”)、又は中性メタロセン触媒成分をオレフィン重合に関して活性であるメタロセン陽イオンに変換し得るあらゆるその他の化合物が挙げられる。
更に特別には、活性剤としてのルイス酸、例えば、アルモキサン(例えば、“MAO”)、変性アルモキサン(例えば、“TIBAO”)、及びアルキルアルミニウム化合物、及び/又はイオン化活性剤(中性又はイオン性)、例えば、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素及び/又はトリスペルフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体を使用して本明細書に記載された望ましいメタロセンを活性化することが本発明の範囲内である。MAO及びその他のアルミニウムをベースとする活性剤が当業界で公知である。イオン化活性剤は当業界で公知であり、触媒成分(例えば、メタロセン)と会合して、又は触媒成分とは別に、支持体と会合されてもよく、又は支持体に結合されてもよい。
【0017】
中性のイオン化活性剤の例として、13族の三置換化合物、特に、三置換ホウ素化合物、テルル化合物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物及びインジウム化合物、並びにこれらの混合物が挙げられる。三つの置換基は夫々独立にアルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシ及びハライドから選ばれる。一実施態様において、三つの基が独立にハロゲン、単環式又は多環式(ハロ置換を含む)アリール、アルキル、及びアルケニル化合物並びにこれらの混合物から選ばれる。別の実施態様において、三つの基が1〜20個の炭素原子を有するアルケニル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基及び3〜20個の炭素原子を有するアリール基(置換アリールを含む)、並びにこれらの組み合わせから選ばれる。更に別の実施態様において、三つの基が1〜4個の炭素基を有するアルキル、フェニル、ナフチル及びこれらの混合物から選ばれる。更に別の実施態様において、三つの基が1〜4個の炭素基を有する高度にハロゲン化されたアルキル基、高度にハロゲン化されたフェニル、及び高度にハロゲン化されたナフチル並びにこれらの混合物から選ばれる。“高度にハロゲン化された”は水素の少なくとも50%がフッ素、塩素及び臭素から選ばれたハロゲン基により置換されていることを意味する。更に別の実施態様において、中性の化学量論量の活性剤は高度にフッ素化されたアリール基(これらの基は高度にフッ素化されたフェニル基及び高度にフッ素化されたナフチル基である)を含む三置換13族化合物である。
別の実施態様において、中性の三置換13族化合物はホウ素化合物、例えば、トリスペルフルオロフェニルホウ素、トリスペルフルオロナフチルホウ素、トリス(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素、トリス(ジ-t-ブチルメチルシリル)ペルフルオロフェニルホウ素、及びその他の高度にフッ素化されたトリスアリールホウ素化合物並びにこれらの組み合わせ、及びそれらのアルミニウム均等物である。
【0018】
イオン性イオン化活性剤の限定ではない例示の例として、トリアルキル置換アンモニウム塩、例えば、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素等;N,N-ジアルキルアニリニウム塩、例えば、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素等;ジアルキルアンモニウム塩、例えば、ジ(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素等;トリアリールカルボニウム塩(トリチル塩)、例えば、トリフェニルカルボニウムテトラ(フェニル)ホウ素及びトリフェニルカルボニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素;及びトリアリールホスホニウム塩、例えば、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素等、並びにそれらのアルミニウム均等物が挙げられる。
非配位陰イオン(“NCA”)又はイオン性活性剤が使用される場合、活性剤対メタロセンのモル比は通常10:1〜1:10の範囲内、或る実施態様では0.5:1から2:1までの範囲内である。NCA又はイオン性活性剤が使用される場合、補助活性剤がまた使用されてもよい。補助活性剤(存在する場合)対メタロセンのモル比は一実施態様では1000:1〜10:1、別の実施態様では500:1〜20:1、更に別の実施態様では200:1〜20:1、更に別の実施態様では150:1〜20:1の範囲である。一実施態様において、脱除剤がまた触媒毒を脱除するのに使用される。脱除剤は補助活性剤と同じ化合物、一実施態様ではアルキルアルミニウム化合物であってもよい。
【0019】
アルモキサン、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)が活性剤として使用される場合、活性剤対メタロセンのモル比は通常5:1〜5000:1、或る実施態様では1000:1〜500:1、又はその他の実施態様では500:1もしくは300:1又は50:1から1:1もしくは20:1又は100:1の範囲内である。
触媒組成物とα-オレフィン供給原料の間で “反応させること”(又は“反応”)はポリオレフィンを生成するのに適した当業界で知られているあらゆる好適な手段により起こる。“反応させること”は互いに合わされた化合物間の化学結合の組み合わせ及び/又は置換及び/又は転位により生じ得る化学反応を意味する。特別な発明において、その反応はポリマーを生成するためのモノマー反復単位の触媒された組み合わせの反応である。或る実施態様において、その反応はバッチ反応器中で回分式反応として起こるかもしれず、或る実施態様では反応が連続反応器中で起こり、これらの例として、気相反応器、スラリー反応器、溶液反応器が挙げられ、その最後の二つは高圧反応器であってもよい。存在する場合、モノマーそれら自体を含み得る希釈剤が使用されてもよい。
反応中に存在する条件は本明細書に記載された少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを製造するためのような条件である。反応は或る実施態様では10℃又は20℃から80℃、もしくは100℃、又は120℃、或いは200℃までの範囲内の温度で起こる。更に、その反応は或る実施態様では1.0もしくは1.1又は1.2或いは1.4MPaより大きい圧力、或る実施態様では0.8又は1.0MPa〜2.0又は3.0MPaの圧力で起こる。重合反応は通常発熱性である。一定かつ/又は安定な温度を維持するために、熱除去手段が或る実施態様において使用される。熱除去は多くの既知の方法、例えば、反応器内部の管中の循環冷媒、予備冷却された供給原料流の供給、内容物を外部の冷却システムに循環することによる反応器内容物の一部の冷却、又はこれらの方法の組み合わせによる冷却を使用して行ない得る。
【0020】
或る実施態様において、触媒濃度はオレフィン供給原料1g当り0.01又は0.5μgのメタロセン化合物〜オレフィン供給原料1g当り20もしくは50又は100或いは1000μgのメタロセン化合物の範囲である。
或る実施態様において、重合反応が水素の存在下で行なわれる。水素供給原料の量は一実施態様では反応器系中で5もしくは10又は20ppmから1000もしくは4000又は5000或いは10,000ppmまでの範囲であってもよく、例示の値は10〜1000ppmの範囲内である。別の実施態様において、水素の量は反応器系中の水素の分圧により調節される。この場合、0.35又は0.70kg/cm2(5又は10psi)の水素〜14又は21kg/cm2(200又は300psi)の水素が好適であり、例示の値は0.7〜7kg/cm2(10〜100psi)の範囲内である。
或る実施態様において、不活性溶媒が反応器系に添加されて反応器成分の混合並びに下流の濾過及び作業を促進する。反応時間は一実施態様では使用される触媒の量、望ましい転化率等に応じて、5分から50時間までの範囲であってもよい。通常、10分〜25時間、別の実施態様では20分〜10時間の反応時間又は滞留時間が使用される。触媒成分はあらゆる通常の手段、例えば、希薄な酸又は塩基水溶液との任意の混合とともに水溶液及び/又はアルコール洗浄、次いで水溶液洗浄からの有機成分の分離により失活かつ/又は除去し得る。この洗浄は触媒成分が除去されるまで数回繰り返される。また、触媒はWO 2008010862 A1に記載された方法に従って除去し得る。
或る実施態様において、その方法で製造された少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは高い臭素価又は高度の不飽和を有する。そうである場合、或る実施態様では少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが水素化されて不飽和を除去し得る。これは多くの普通の水素化触媒、例えば、担持されたNi/けいそう土触媒を使用して固定床連続水素化、又はスラリー水素化により達成し得る。その他の例がWO 2008010862 A1に見られる。また、この不飽和が少なくとも一種のポリ-α-オレフィン中に残される。
【0021】
本明細書に記載された全ての実施態様/局面において、触媒とα-オレフィンの反応の生成物は本明細書に記載された所望の基準を満足する少なくとも一種のポリ-α-オレフィン、その他の実施態様では一種より多いポリ-α-オレフィンの生成をもたらすであろう。こうして、或る実施態様において、ブレンドが所望の基準を満足しないが、少なくとも一種のこのようなポリ-α-オレフィンを含むポリ-α-オレフィンを含んでもよい。ブレンド中の付加的なポリ-α-オレフィンはいずれかの源に由来することがあり、またいずれかの手段により生成し得る。
ポリ-α-オレフィンはその反応から生じる生成物混合物から分離でき、次いでこれが添加剤及び/又は原料油と合わされて潤滑剤を生成し得る。その他の実施態様において、反応混合物がその反応の生成物と直接合わされる。一実施態様において、少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは10〜5000cStの範囲内のKv100を有するポリオレフィンである。その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは或るその他の実施態様では2000もしくは2500又は3000或いは3500もしくは4000又は4500或いは5000cStより下のKv100を有する。更に、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは更に別の実施態様では10もしくは15又は20又は50cStから500もしくは1000又は1500或いは2000もしくは2500又は4000或いは3000又は5000cStまでの範囲内のKv100を有する。更に別の実施態様において、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは200もしくは220又は250より大きく、また100もしくは150又は200から300又は400までの範囲内のVIを有する。更に別の実施態様において、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量、又は“MWD”)はゲル透過クロマトグラフィーにより測定して1.0もしくは1.2又は1.5から3.5もしくは4.0又は4.5までの範囲内であり、その測定は±0.15単位の典型的な精度を有する。
【0022】
その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは一実施態様において実質的に2種以上のC4又はC6からC18又はC24までのα-オレフィン誘導単位からなる。その他の実施態様において、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは実質的に1-ヘキセン誘導単位、1-オクテン誘導単位、1-デセン誘導単位、1-ドデセン誘導単位、1-テトラデセン誘導単位、1-ヘキサデセン誘導単位及び1-オクタデセン誘導単位からなる。更に別の実施態様において、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは実質的に1-ヘキセン誘導単位、1-オクテン誘導単位、1-デセン誘導単位、1-ドデセン誘導単位、1-テトラデセン誘導単位、1-ヘキサデセン誘導単位及び1-オクタデセン誘導単位からなる群から選ばれた少なくとも3種のオレフィンからなる。
その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは一実施態様においてブレンドの流動点を原料油の流動点に対して少なくとも5℃もしくは10℃又は15℃低下する量で炭化水素原料油中に存在する(又はそれに添加される)。或る実施態様において、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは原料油の質量基準で、0.001又は0.01質量%から5もしくは7又は10質量%までのポリ-α-オレフィンでそのブレンド中に存在する。原料油は或る実施態様においてブレンドの99.999質量%から40もしくは50又は60或いは70質量%までの範囲内、又は本明細書に記載された範囲を含む。潤滑剤又は燃料の残部は添加剤(その幾つかが本明細書にリストされる)から構成されてもよい。
こうして、一局面において、10cStから1000又は3000cStまでの範囲内(又は本明細書に記載されたそれ以外の)のKv100及び1.0から4.5までの範囲内(又は本明細書に記載されたそれ以外の)の分子量分布を有するポリ-α-オレフィン;及び20.0cStより下の(又は本明細書に記載されたそれ以外の)Kv100を有する原料油を含む潤滑剤が提供され、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは潤滑剤の流動点を未処理の原料油の流動点に対して低下するのに充分な量で存在する。
【0023】
或る実施態様において、原料油へのその少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの添加はブレンドの粘度に実質的に影響しないであろう。こうして、一実施態様において、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンはブレンドの流動点が原料油の流動点より少なくとも5℃又は10℃低いように原料油に添加されてブレンドを生成し、そのKv100が5又は10%より小さく変化する。
或る実施態様において、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが実質的に2種以上のC6-C24α-オレフィン誘導単位からなる。また、或る実施態様において、エチレン誘導単位がその少なくとも一種のポリ-α-オレフィンから実質的に不在であり、またエチレン誘導単位及びプロピレン誘導単位が更に別の実施態様では実質的に不在であり、“実質的に不在”はこれらの基がポリマー鎖中に存在する場合に、それらがそのポリマーの0.5もしくは1又は1.5質量%以下まで存在することを意味する。
潤滑剤はまた当業界で普通であるようにあらゆる一種以上の添加剤を含み得る。一実施態様において、潤滑剤が一種以上の添加剤を含み、その添加剤が酸化抑制剤、酸化防止剤、分散剤、洗剤、腐食抑制剤、錆抑制剤、金属失活剤、耐磨耗剤、極圧添加剤、焼付き防止剤、非オレフィンをベースとする流動点降下剤、ワックス改質剤、粘度指数改良剤、粘度改質剤、輸液蒸泄添加剤、シール適合剤、摩擦改質剤、潤滑剤、汚れ防止剤、発色剤、消泡剤、解乳化剤、乳化剤、高密度化剤、湿潤剤、ゲル化剤、粘着性付与剤、着色剤、及びこれらのブレンドからなる群から選ばれる。
一実施態様において、非ポリオレフィンをベースとする流動点降下剤が実質的に不在であり、それらがあったとしても潤滑剤の1質量%未満まで存在することを意味する。非ポリオレフィンをベースとするPPDの例として、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、及びフマレートが挙げられる。こうして、一実施態様において、“添加剤”が“非オレフィンをベースとする流動点降下剤”を含まない上記のリストを含む。
【0024】
別の実施態様において、本明細書に記載された少なくとも一種のポリ-α-オレフィンはまたその他の炭化水素流体とともに使用されてこれらの流体の流動点又は低温流動特性を改良し得る。これらの炭化水素流体の例として、蒸留燃料が挙げられ、これらはジェット燃料、ディーゼル燃料、及び暖房油を含む。これらの蒸留燃料の特別な例は米国特許第7,132,042号に記載されたようなGTL方法で製造された燃料、又は通常の石油製油所で製造された多くの蒸留燃料である。それらの製造方法から製造されたような、これらの燃料は少量のワックス状成分を含む。これらのワックス状成分は流体の低温流動性及び流動点を劣化する。少量のその少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが燃料に添加される場合、流動点又はその他の方法により測定される、低温特性が有意に改善する。燃料組成物中のポリ-α-オレフィンの量は0.0001質量%から5質量%まで、好ましくは0.001質量%から0.5質量%まで(10ppmから5000ppmまでに相当する)の範囲である。加えて、完成蒸留燃料製品は洗剤、潤滑性改良剤、燃焼改良剤、セタン改良剤、その他の低温流動改良剤、濾過改良剤、曇り点改良剤を含むその他の添加剤成分を含んでもよい。加えて、燃料は適当な量の再用源、例えば、脂肪酸アルキルエステル(又はメチルエステル(“FAME”)或いはエチルエステル等)、グリセロール、モノ-グリセリド等を含むバイオ-ディーゼルに由来する燃料又は成分を含んでもよい。
本発明において製造された一種以上のポリ-α-オレフィンは幾つかの特異な特性を有する。第一に、或る実施態様において、それらは少なくとも10%もしくは20%又は30%或いは35%以上のC14線状α-オレフィン誘導単位を含んでもよい。第二に、これらのポリ-α-オレフィンの多くは、それらのC14線状α-オレフィンの高含量のために、比較的高い流動点を有する。流動点降下効果を有する少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの殆どが通常-15もしくは-10又は0℃より高い流動点を有する。低流動点(-20℃未満)を有する幾つかのポリ-α-オレフィンが良好な流動点降下剤特性を有する。それ故、本明細書に記載された方法は優れた流動点及び低温特性の両方を有するポリ-α-オレフィンを提供し、依然として優れた流動点降下剤特性を与え得る。
或る実施態様において、流動点降下効果又は低温粘度改良効果はC4-C13線状α-オレフィンから選ばれた一層小さいオレフィン及びC14より大きい線状α-オレフィンから選ばれた一層大きいオレフィンが一層小さいオレフィン又は一層大きいオレフィンのかなりのクラスター形成なしに少なくとも一種のポリ-α-オレフィン中にランダムに分布されることを確実にすることにより最適化し得る。換言すれば、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは、ポリマー構造中にかなりブロック状の一つ以上のセグメントを含まない、ランダムポリ-α-オレフィンであることが好ましい。単一部位触媒系、例えば、メタロセン触媒系が、ランダムモノマー分布を有するこのようなポリ-α-オレフィンを製造するのに最適である。メタロセン触媒系はほぼ等しい反応性を有するC4-C24α-オレフィンの線状α-オレフィンを重合し、それ故、比較的ランダムなモノマー分布を有するポリマーを生成する。このようなポリマーはグループI〜VI原料油の低温改良効果に最も望ましいであろう。こうして、一実施態様において、殆どランダムなポリマーをもたらす単一部位触媒が選ばれる。
本明細書に記載された実施態様が下記の実験により説明される。
【実施例】
【0025】
全ての実験について、個々に、又は予備混合されて使用されたα-オレフィンを、未処理のオレフィン原料1リットルをグローブボックス内で少なくとも2日にわたって活性化13Xモレキュラーシーブ20g及び脱酸素化触媒(還元された銅触媒)10gと混合することにより精製した。次いでモレキュラーシーブ及び脱酸素化触媒を濾過により除去した。次いで処理された個々のα-オレフィンを合わせて望ましい組成物を得た。同様に、この精製をα-オレフィン(単独又は予備混合されたもの)の流れを反応器に入る前に、活性化13Xモレキュラーシーブ単独の床、又は活性化13Xモレキュラーシーブの床続いて脱酸素化触媒の床にポンプ輸送することにより行ない得る。
ブレンドの流動点及び曇り点をヘルツォーク流動点(“PP”)装置モデルHCP852(ヴァルター・ヘルツォーク、GmbH)により測定した。
ポリ-α-オレフィン合成実験
例1 18.4%の1-ヘキセン、22.3%の1-オクテン、21.6%の1-デセン、16.8%の1-ドデセン、10.4%の1-テトラデセン、6.4%の1-ヘキサデセン及び4%の1-オクタデセンを含むオレフィン混合物を供給原料として使用した。この組成は典型的な線状α-オレフィンプラント(α-オレフィン適用ブック3章(G.R. Lappin及びJ.D. Sauer編集, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク, 1989))から製造された線状α-オレフィンと同様である。このオレフィン混合物30g及びトルエン1g当りトリイソブチルアルミニウム(TIBA)20mgを含む溶液0.522gを反応器に仕込んだ。トルエン11g、TIBA原液0.0133g、rac-ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(メタロセン“A”)0.30798mg及びN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート(補助触媒“B”)0.5408mgを含む触媒溶液を撹拌しながら反応器に添加し、その間温度を30℃に維持した。約19時間の撹拌後に、その反応をイソプロパノール約3mlの添加により停止し、続いて5%の水酸化ナトリウム溶液及び水約120mlで洗浄した。その単離された有機層を2時間にわたって約160℃/1ミリトルの真空で蒸留してライトエンドを除去し、所望のポリ-α-オレフィンフラクションを単離した。ポリ-α-オレフィンの全収率は85%であった。回収されたポリ-α-オレフィンの性質を表1に要約する。
【0026】
例2 70%のメソ-ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド及び30%のラセミ-ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドを含むメタロセン(C)を調製に使用した以外は、例1と同様であった。
例3 反応を60℃で行なった以外は、例1と同様であった。
例4 反応を60℃で行なった以外は、例2と同様であった。
例5 1-オクテン33.6g、1-デセン42.0g及び1-ドデセン50.4gを含むオレフィン混合物を丸底フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で70℃に加熱した。トルエン溶液中の10質量%のメタルモキサン(MAO)2.34g、トルエン60g及びrac-ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(C)3.7mgを含む触媒溶液をオレフィン混合物に徐々に添加し、その間一定温度を維持した。その反応を4時間続けた。ガスクロマトグラフィーは94%のオレフィンが変換されたことを示した。その反応をイソプロパノール約3mlの添加により停止し、続いて5%の水酸化ナトリウム溶液及び水約120mlで洗浄した。単離された有機層を2時間にわたって約160℃/1ミリトルの真空で蒸留してライトエンドを除去した。潤滑剤特性を表1に要約する。
【0027】
例6は比較例である。純粋な1-デセンを供給原料として使用した以外は、例5と同じ反応を行なった。ポリデセンの性質を表1に要約する。
例1-5はC8-C12からC6-C18までの範囲の、広範囲の混合α-オレフィンから優れた粘度指数(“VI”、ASTM-D2270)及び流動点を有する広い粘度範囲の潤滑剤原料油を製造し得ることを実証した。潤滑剤特性は純粋な1-デセンからつくられたものと同様である。
例7 7.1%の1-ヘキセン、9.5%の1-オクテン、11.9%の1-デセン、14.3%の1-ドデセン、16.7%の1-テトラデセン、19.1%の1-ヘキサデセン及び21.4%の1-オクタデセンを含むオレフィン混合物を供給原料として使用した。この供給原料30gを31℃で反応器に仕込んだ。トルエン中の10質量%のMAO 0.195g、トルエン9.7g及び触媒A0.308mgを含む触媒溶液を反応器に添加した。3日後、その反応液を先の例と同様の方法で処理した。ポリ-α-オレフィンの性質を表1にリストする。
例8 供給原料組成が例7に記載された以外は、例1と同様であった。
例9 触媒Cを使用した以外は、例7と同様であった。
例10 供給原料組成が例7に記載されたとおりであり、触媒組成物が触媒Cであった以外は、例1と同様であった。
例11 反応温度が60℃であった以外は、例7と同様であった。
例12 使用したメタロセンがラセミ-エチレンビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド(触媒D)であった以外は、例7と同様であった。
【0028】
ポリ-α-オレフィン及び原料油ブレンド実験
例13 水素処理された潤滑剤原料油A(表2に要約された性質を有する)を米国特許第6,420,618号又はWO 2004/033595に従って調製した。
ブレンド14 1質量%の例1のポリ-α-オレフィンを原料油Aとブレンドした場合、ブレンドは100℃の粘度をわずかに増大した。しかしながら、流動点が-15℃から-18℃に低下された。
ブレンド15 20質量%の例1を原料油Aとブレンドした場合、ブレンドが27.92cStの100℃の粘度を有する。しかしながら、流動点が-30℃に低下された。
ブレンド16 0.1質量%の例7を原料油Aとブレンドした場合、ブレンドは6.14cStのKv100を有し、これは出発原料油Aよりほんのわずかに高い。しかしながら、流動点が-15℃から-45℃に低下された。
更に、ブレンド17、18、19、20は、0.5、1.0、5.0又は20質量%の例7が原料油Aとブレンドされた場合、同じ流動点降下効果を示した。
ブレンド21 0.05質量%の例10を原料油Aとブレンドした場合、ブレンドは6.12cStのKv100を有し、これは出発原料油Aよりほんのわずかに高い。しかしながら、流動点が-15℃から-39℃に低下された。
更に、ブレンド22、23、24は同じ流動点降下効果を示した。
ブレンド25 0.1質量%の例12を原料油Aとブレンドした場合、ブレンドは6.12cStのKv100を有し、これは出発原料油Aよりほんのわずかに高い。しかしながら、流動点が-15℃から-45℃に低下された。
【0029】
線状オレフィン供給原料実験
供給原料組成:13.24から9.27までの範囲の異なる数平均炭素数を有する6種の線状α-オレフィン(線状α-オレフィン)混合物を表3中の質量に従って調製した。“供給原料-1”〜“供給原料-6”とラベルされたこれらの供給原料をメタロセン触媒系を使用するその後のポリマー合成のために使用した。
ポリ-α-オレフィン合成のための一般操作:例26〜31 メタロセン触媒系を伴なう全ての反応操作を窒素雰囲気下で行なって空気及び水分又はあらゆるその他の触媒毒を排除した。200mlの反応容器に、混合オレフィン供給原料40gを仕込み、続いてトルエン20g、原液1g当り20mgを含むトリイソブチルアルミニウム(“TIBA”)原液3.232g、触媒rac-ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(触媒A)0.456mg及びN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート(活性剤B)0.8012mgを仕込んだ。その混合物を70℃の反応温度に加熱した。15時間の反応後に、活性化アルミナ5gをその反応混合物に添加し、約30分間撹拌した。次いで生成物を濾過して固体を除去した。有機濾液を約20mm H2Oのハウス真空下で100℃で蒸留した。残留物を2時間にわたって1ミリトルより高い圧力で160℃で更に蒸留した。次いで残留粘稠液体を集め、Kv40、Kv100についての粘度特性及び流動点測定(Kv40は40℃におけるASTM D445による動粘度であり、Kv100は100℃における動粘度である)を行なった。結果を表4に要約する。
【0030】
反応温度を供給原料-1〜供給原料-6について35℃に維持した以外は、例32〜37を例26〜31のように調製した。生成物の性質を表5に要約する。一般に、表5中のポリ-α-オレフィンは表4中のポリ-α-オレフィンより高い粘度を有する。
異なる触媒及び反応温度を使用して異なるタクチシティ及び粘度のポリ-α-オレフィンを製造した以外は、表6中のサンプルを例32〜37と同様の様式で調製した。例38及び40は低度の立体規則性を有し、殆どアタクチックポリマーであった。例39は高度のシンジオタクチック立体規則性を有していた。
それらの性質を表6に要約する。触媒Dはジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドであり、重合を触媒Dと活性剤Bを合わせて触媒組成物を生成することにより行なった。
次いで0.01質量%から10質量%までの異なる量の生成物例26〜40を6cStのGTL原料油(“GTL6”)とブレンドした。出発GTL6は-21℃の流動点を有する。ブレンドの流動点特性を表7に要約した。この表中、列A〜Hと関連するマトリックス中の流動点数値はGTL6中の異なる量の例26〜40サンプルにおけるブレンドの流動点である。例えば、GTL6中に0.025質量%の例26ポリ-α-オレフィンを含む、ブレンドA-26は-39℃の流動点を有する。GTL6中に0.5質量%の例26ポリ-α-オレフィンを含む、ブレンドE-26は-51℃の流動点を有する。GTL中に0.1質量%の例33ポリ-α-オレフィンを含む、ブレンドC-33は-51℃の流動点を有する。GTL6中に0.1質量%の例36ポリ-α-オレフィンを含む、ブレンドC-36は-21℃の流動点を有する。
表7中のデータは本発明の幾つかの局面を示す。供給原料の数平均炭素数は生成物が流動点(“PP”)降下効果を有するか否かを決める際の因子である。
10.0より大きい数平均炭素数の供給原料でつくられたポリ-α-オレフィンは優れたPPD効果を有する(例26-29、32-35及び38-40)。
【0031】
10未満の平均炭素数の供給原料でつくられたポリ-α-オレフィンは非常に小さいPPD効果を有する(例30、31、36及び37)。これらのポリ-α-オレフィンは原料油としてより一層挙動する。それらはVI及び非常に低い流動点を含む、優れた原料油特性を有する。それらを添加剤量、0.025質量%〜1質量%でブレンドする場合、それらは非常に小さいPPD効果を示す。それらは、多量(通常5質量%より大きい)で使用されてその他の原料油とブレンドする場合に、ブレンド原料油として最適である。多量、5%以上で使用された場合、それらはブレンド粘度をかなり増大し、VIを増大し、流動点を低下する。これらの流体がWO 2007/14681、WO 2007/145924、及びWO 2007/070691に説明されている。
広い粘度範囲(又は分子サイズ)のポリ-α-オレフィンは、それらが10より大きい数平均炭素数を有する供給原料からつくられる限り、高度に有効なPPDである。例26〜29のポリ-α-オレフィンは70〜90cStのKv100を有し、また例40は19.5cStである。それらはPPDとして高度に有効である。例32-36及び39は200cStより大きい、高粘度を有する。再度、それらはPPDとして高度に有効である。PPDとして利用できる粘度のこの広い範囲が配合融通性を与えるのに非常に望ましい。例えば、時折、PPDを使用してブレンド粘度を増大しないで流動点を改良することが望ましい。この場合、ブレンド粘度を増大しない低粘度PPDが最適である。時折、ブレンド粘度を増大するとともに同時に流動点を低下することが望ましい。この場合、高粘度のポリ-α-オレフィンPPDが最適であろう。
アタクチック、アイソタクチック又はシンジオタクチックの立体序列を有するポリ-α-オレフィンは、それらが10より大きい平均炭素数を有する供給原料からつくられる場合に、PPDとして全て有効である。例38及び40はアタクチック立体序列に富む。例39はシンジオタクチック序列に富む。例26〜29及び32〜35はアイソタクチック立体序列に富む。それらはPPDとして全て有効である。
例41〜44 例41及び42はGTL6とポリ-α-オレフィン例33及び例34の夫々とのブレンドである。ブレンドの性質(高温粘度及び低温粘度流動点、-30℃及び-40℃におけるブルックフィールド粘度を含む)を表8に要約する。表8はまた純粋なGTL6(例42)の性質及びGTL6と普通の市販の流動点降下剤アクリロイドTM156(メチルメタクリレートコポリマー、ローム・アンド・ハース)のブレンド(例43)の性質を含む。これらのデータはGTL6中に添加剤量(0.1〜1質量%)を含むブレンドが純粋なGTL6原料油と同様の粘度を有することを示した。しかしながら、それらの流動点は-21℃(例43)から-39〜-45℃(例41及び42)に低下された。低温ブルックフィールド粘度(ASTM D2983により測定される)は、たとえ全ての流体が同様のKv100、Kv40及びVIを有するとしても、出発GTL6原料油と較べて更に低下された。更に、例41及び42の低温ブルックフィールド粘度は、再度Kv100及びKv40をかなり変化しないで、最も普通に使用されるPPD(例43)よりも良好である。
表9はGTL原料油の濁度を低下する際の高粘度GTL原料油中の例26〜37からの少量のポリ-α-オレフィンの有益な効果を要約する。米国特許第7,241,375号及び同第7,132,042号に記載された方法により製造され、これらに記載された組成を有する、高粘度GTL原料油は、濁度計(VWRインターナショナルから入手し得るVWRモデル800濁度計)により測定して、0℃で1.99の高濁度値により示されるように、曇った外観をしばしば有する。非常に少量のポリ-α-オレフィン例27〜37をGTLサンプルに添加した場合、濁度が表9中のブレンドにより示されるように、1.0より下に低下した。これらのデータは10個の炭素より大きい数平均炭素数からつくられたポリ-α-オレフィンが高粘度GTL原料油の濁度を低下するのに有益であることを実証する。
こうして、或る実施態様において、炭化水素ブレンド、特別な実施態様では潤滑剤又は燃料の濁度が0.90もしくは0.95又は1.00より小さく、別の実施態様では0.50又は0.60から0.90又は1.00までの範囲内である。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【0038】
【表7】

【0039】
【表8】

【0040】
【表9】

【0041】
炭化水素ブレンド、その種々の特徴及びその中の成分の局面を記載したので、炭化水素ブレンドが以下の例示の番号付きの実施態様により更に記載し得る。
1. 炭化水素ブレンドの質量基準で、0.001質量%から10質量%までの少なくとも一種のポリ-α-オレフィン(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは10〜3000cStの範囲内のKv100及び1.0〜4.5の範囲内の分子量分布を有する);及び20.0cSt未満のKv100を有する原料油を含む、炭化水素ブレンド(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンはその炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃低下するのに充分な量で存在する)。
2. 少なくとも一種のポリ-α-オレフィンがポリマー組成物中に少なくとも二組のα-オレフィン誘導単位を含むコポリマーであり、第一の組がC4又はC6からC10もしくはC12又はC13までのα-オレフィンから選ばれ、かつ第二の組がC14以上のα-オレフィンから選ばれる、番号付き実施態様1の炭化水素ブレンド。
3. α-オレフィン誘導単位の第二の組が少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの少なくとも20質量%である、番号付き実施態様1及び2の炭化水素ブレンド。
4. α-オレフィン誘導単位の第二の組が少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの少なくとも30質量%である、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
5. α-オレフィン誘導単位の第二の組が少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの少なくとも40質量%である、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
6. 少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが少なくとも8個もしくは9個又は10個或いは10.5個又は11個の炭素原子の平均炭素数を有するα-オレフィン供給原料から製造される、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
7. 少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが実質的に2種以上のC4又はC6からC24までのα-オレフィン誘導単位からなる、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
8. 少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃もしくは10℃又は15℃低下する量で存在する、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
9. 原料油が10℃以上の流動点を有する、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
10. 原料油が20.0cSt未満のKv100を有する、GTL原料油、グループI、グループII、グループIII、グループIV、グループV原料油、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた混合物である、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
【0042】
11. 原料油が少なくとも100のVIを有する、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
12. エチレン誘導単位が少なくとも一種のポリ-α-オレフィンから実質的に不在である、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
13. 少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが100から300までの範囲内のVIを有する、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
14. 炭化水素ブレンドが原料油の99.999質量%から30もしくは40又は50質量%までの範囲内を含む、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
15. また一種以上の添加剤を含み、その添加剤が酸化抑制剤、酸化防止剤、分散剤、洗剤、腐食抑制剤、錆抑制剤、金属失活剤、耐磨耗剤、極圧添加剤、焼付き防止剤、非オレフィンをベースとする流動点降下剤、ワックス改質剤、粘度指数改良剤、粘度改質剤、輸液蒸泄添加剤、シール適合剤、摩擦改質剤、潤滑剤、汚れ防止剤、発色剤、消泡剤、解乳化剤、乳化剤、高密度化剤、湿潤剤、ゲル化剤、粘着性付与剤、着色剤、及びこれらのブレンドからなる群から選ばれる、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンド。
16. 先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンドからつくられた潤滑剤又は燃料。
【0043】
17. (a)触媒組成物及び少なくとも二組のα-オレフィンを含む供給原料(第一の組のα-オレフィンはC4-C13α-オレフィンから選ばれ、かつ第二の組のα-オレフィンはC14以上のα-オレフィンから選ばれる)を反応させて少なくとも10.0cStのKv100を有する少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを生成し、そして(b)その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを20.0cSt未満のKv100値を有する原料油と合わせて炭化水素ブレンドを生成することを含む、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンドを生成する方法。
18. (a)触媒組成物を少なくとも8個もしくは9個又は10個或いは10.5個又は11個の炭素原子の数平均炭素数を有するα-オレフィン供給原料と反応させて少なくとも10.0cStのKv100を有する少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを生成し、そして(b)その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを20.0cSt未満のKv100を有する原料油と合わせて炭化水素ブレンドを生成することを含む、先の番号付き実施態様のいずれかの炭化水素ブレンドを生成する方法。
19. エチレンがα-オレフィン供給原料から実質的に不在である、番号付き実施態様17及び18の方法。
20. α-オレフィン供給原料が8個から15個までの炭素原子の範囲内の平均炭素数を有する、番号付き実施態様17-19の方法。
21. α-オレフィン供給原料がC6-C24α-オレフィン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも2種のα-オレフィンを含む、番号付き実施態様18の方法。
22. 供給原料が供給原料の質量を基準として、0.1質量%から15質量%までの範囲内のC6α-オレフィン及び少なくとも8質量%のC18α-オレフィンを含む、番号付き実施態様18の方法。
23. 供給原料がC14以上の炭素数を有する少なくとも20質量%のα-オレフィンを含む、番号付き実施態様17の方法。
24. 供給原料がC14以上の炭素数を有する少なくとも30質量%のα-オレフィンを含む、番号付き実施態様17の方法。
25. 供給原料がC14以上の炭素数を有する少なくとも40質量%のα-オレフィンを含む、番号付き実施態様17の方法。
26. 触媒組成物がメタロセン及び活性剤を含む、番号付き実施態様17-25の方法。
【0044】
27. メタロセンがグループ4の橋かけされ、又は橋かけされていないビス-Cp化合物である、番号付き実施態様26の方法。橋かけされていない場合、メタロセンが上記式(1)に関して記載し得る。橋かけされている場合、橋かけ基“A”を含むメタロセンが上記式(2)に関して記載されている。或る実施態様において、メタロセンが式(1)及び(2)に関して記載されたような特徴を有するハフノセン又はジルコノセンである。
28. 反応が10℃から200℃までの範囲内の温度で起こる、番号付き実施態様17及び18の方法。
29. 反応が1.0MPaより大きい圧力で起こる、番号付き実施態様17及び18の方法。
30. 反応が0.07kg/cm2(1psi)から21kg/cm2(300psi)までの範囲内の水素分圧の存在下で起こる、番号付き実施態様17及び18の方法。
31. 反応が反応器系中で1000もしくは2000又は3000ppm未満の水素含量を有する連続水素供給原料を用いて起こる、番号付き実施態様17及び18の方法。
32. 少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃もしくは10℃又は15℃低下するのに充分な量で合わせる、番号付き実施態様17及び18の方法。
33. 原料油が10℃未満の流動点を有する、番号付き実施態様17及び18の方法。
34. 先の番号付き実施態様17-33のいずれかの方法によりつくられた潤滑剤又は燃料。
【0045】
別の実施態様において、炭化水素ブレンドの質量基準で、0.001質量%から10質量%までの少なくとも一種のポリ-α-オレフィン(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは10〜3000cStの範囲内のKv100及び1.0〜4.5の範囲内の分子量分布を有する);及び20.0cSt未満のKv100を有する原料油(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンはその炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃低下するのに充分な量で存在する)の使用がある。
別の実施態様において、炭化水素ブレンドの質量基準で、0.001質量%から10質量%までの少なくとも一種のポリ-α-オレフィン(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンは10〜3000cStの範囲内のKv100及び1.0〜4.5の範囲内の分子量分布を有する);及び20.0cSt未満のKv100を有する原料油を含む、燃料又は潤滑剤中のポリ-α-オレフィン(その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンはその炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃低下するのに充分な量で存在する)の使用がある。
更に別の実施態様において、0.001質量%から10質量%までのポリ-α-オレフィンを含む燃料又は潤滑剤としての本明細書に記載された少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを含む炭化水素ブレンドの使用がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ブレンドの質量基準で、0.001質量%から10質量%までの少なくとも一種のポリ-α-オレフィン、及び20.0cSt未満のKv100を有する原料油を含む炭化水素ブレンドであって、そのブレンドが10〜3000cStの範囲内のKv100及び1.0〜4.5の範囲内の分子量分布を有する少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを特徴とし、その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンがその炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃低下するのに充分な量で存在することを特徴とする炭化水素ブレンド。
【請求項2】
少なくとも一種のポリ-α-オレフィンがポリマー組成物中に少なくとも二組のα-オレフィン誘導単位を含むコポリマーであり、第一の組がC4又はC6からC10もしくはC12又はC13までのα-オレフィンから選ばれ、かつ第二の組がC14以上のα-オレフィンから選ばれる、請求項1記載の炭化水素ブレンド。
【請求項3】
α-オレフィン誘導単位の第二の組が少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの少なくとも20質量%である、請求項2記載の炭化水素ブレンド。
【請求項4】
α-オレフィン誘導単位の第二の組が少なくとも一種のポリ-α-オレフィンの少なくとも30質量%である、請求項2又は3のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項5】
少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが少なくとも8個もしくは9個又は10個或いは10.5個又は11個の炭素原子の平均炭素数を有するα-オレフィン供給原料から製造される、請求項1から4のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項6】
少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃もしくは10℃又は15℃低下する量で存在する、請求項1から5のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項7】
原料油が10℃以上の流動点を有する、請求項1から6のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項8】
原料油が20.0cSt未満のKv100を有する、GTL原料油、グループI、グループII、グループIII、グループIV、グループV原料油、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた混合物である、請求項1から7のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項9】
原料油が少なくとも100のVIを有する、請求項1から8のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項10】
エチレン誘導単位が少なくとも一種のポリ-α-オレフィンから実質的に不在である、請求項1から9のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項11】
少なくとも一種のポリ-α-オレフィンが100から300までの範囲内のVIを有する、請求項1から10のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項12】
また一種以上の添加剤を含み、その添加剤が酸化抑制剤、酸化防止剤、分散剤、洗剤、腐食抑制剤、錆抑制剤、金属失活剤、耐磨耗剤、極圧添加剤、焼付き防止剤、非オレフィンをベースとする流動点降下剤、ワックス改質剤、粘度指数改良剤、粘度改質剤、輸液蒸泄添加剤、シール適合剤、摩擦改質剤、潤滑剤、汚れ防止剤、発色剤、消泡剤、解乳化剤、乳化剤、高密度化剤、湿潤剤、ゲル化剤、粘着性付与剤、着色剤、及びこれらのブレンドからなる群から選ばれる、請求項1から11のいずれかに記載の炭化水素ブレンド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の炭化水素ブレンドからつくられた潤滑剤又は燃料。
【請求項14】
(a)触媒組成物及び少なくとも二組のα-オレフィンを含む供給原料(第一の組のα-オレフィンはC4-C13α-オレフィンから選ばれ、かつ第二の組のα-オレフィンはC14以上のα-オレフィンから選ばれる)を反応させて少なくとも10.0cStのKv100を有する少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを生成し、そして(b)その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを20.0cSt未満のKv100値を有する原料油と合わせて炭化水素ブレンドを生成することを特徴とする炭化水素ブレンドを生成する方法。
【請求項15】
(a)触媒組成物を少なくとも8個もしくは9個又は10個或いは10.5個又は11個の炭素原子の数平均炭素数を有するα-オレフィン供給原料と反応させて少なくとも10.0cStのKv100を有する少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを生成し、そして(b)その少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを20.0cSt未満のKv100を有する原料油と合わせて炭化水素ブレンドを生成することを特徴とする炭化水素ブレンドを生成する方法。
【請求項16】
エチレンがα-オレフィン供給原料から実質的に不在である、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
α-オレフィン供給原料が8個から15個までの炭素原子の範囲内の平均炭素数を有する、請求項14から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
α-オレフィン供給原料がC6-C24α-オレフィン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも2種のα-オレフィンを含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
供給原料が供給原料の質量を基準として、0.1質量%から15質量%までの範囲内のC6α-オレフィン及び少なくとも8質量%のC18α-オレフィンを含む、請求項14記載の方法。
【請求項20】
供給原料がC14以上の炭素数を有する少なくとも20質量%のα-オレフィンを含む、請求項14から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
供給原料がC14以上の炭素数を有する少なくとも30質量%のα-オレフィンを含む、請求項14から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
触媒組成物がメタロセン及び活性剤を含む、請求項14から21に記載の方法。
【請求項23】
メタロセンがグループ4の橋かけされ、又は橋かけされていないビス-Cp化合物である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
少なくとも一種のポリ-α-オレフィンを炭化水素ブレンドの流動点を原料油の流動点に対し少なくとも5℃もしくは10℃又は15℃低下するのに充分な量で合わせる、請求項17及び18記載の方法。
【請求項25】
請求項14から24のいずれかに記載の方法によりつくられた潤滑剤又は燃料。

【公表番号】特表2011−521095(P2011−521095A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511662(P2011−511662)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/038014
【国際公開番号】WO2009/148685
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】