説明

炭化珪素基材の多孔構造を得る方法

この発明は少なくとも95%の炭化珪素SiCを含む多孔質セラミック物質からなる構造物を得る方法に関し、前記方法は前記構造物が少なくとも
― 中位数径が5ミクロン未満であるα-SiC結晶粒子の第1画分;
― 中位数径がα-SiC結晶粒子の第1画分より少なくとも2倍大きく、しかも中位数径が5ミクロン以上であるα-SiC結晶粒子の第2画分;および
― β-SiC結晶粒子もしくは少なくともβ-SiC結晶粒子の先駆物質の画分
を含むα-SiC結晶粒子の混合物から得られることを特徴とする。
この発明はまた当該方法により得られる多孔構造物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は内燃機関の排気ラインで使用されるもののようにSiCを基剤としかつ触媒化合物を含むガス処理構造物の分野に関する。一般的にこの発明は接触経路でHC、COまたはNOxのような汚染ガス処理向け保持材、もしくは好ましくは燃料の燃焼によりディーゼルまたはガソリン機関で生成される汚染ガスおよびすすの結合除去を容易にする触媒フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
この発明はそれに限定されないが、内燃機関の排気ラインの粒子フィルターの事情は残余の明細書にもっと詳しく記述される。そのような触媒フィルターはガス処理及びディーゼル機関から導出されるすすの除去を許し、先行技術でよく知られている。これらの構造はすべて大抵ハネカム構造を有し、この構造の一の作用面は処理される排気ガスの吸気およびもう一方の作用面に処理排気ガスの排出を許容する。この構造は吸気ならびに排出面の間に相互平行軸線を有し、多孔質壁体により隔てられる一連の隣接導管または流路を含む。導管は一のまたはほかの端面で停止され、吸気面に開放する入口室と排出面に開放する出口室を画定する。流路は排気ガスがハネカム体を通過するときに入流路の側壁を強制して順に通過させられる程度に交互停止され、出流路を接合する。このように微分子または煤はフィルター分離体の多孔質壁体に付着堆積される。
【0003】
知られた方法で使用の間に粒子フィルターは連続の濾過分離相(煤蓄積)及び再生相(煤除去)にさらされる。濾過分離相の間に機関により吐出される煤粒子は保持され、濾材内部に付着される。再生相の間に煤粒子は濾過分離性質を復原するために濾材内部で燃焼される。多孔構造は次に強度機械的および熱機械的応力にさらされ、装置の濾過分離能力の酷損、もしくは失活または完劣化までももたらすことが時間を通して可能である微小亀裂の原因となることがある。この現象は特に大径一体式フィルター、しかしまた少ない程度に集成フィルターで観測され、換言すればそれらのものは接合剤により相接合される複数のモノリシック仕上フィルター分離要素を組込む。
【0004】
通例、フィルターは多孔質セラミック物質、例えば炭化珪素SiCから製造される。
【0005】
そのような触媒フィルターならびにそれらの製造法の例は欧州特許出願公開第816065号明細書、欧州特許出願公開第1142619号明細書、欧州特許出願公開第1455923号明細書さもなければ国際公開第2004/090294号及び国際公開第2004/065088号に記述され、当該分野で熟練した者は必要ならばこの発明によるSiC系構造の実施及び組立の実際的詳細を求めるであろう。
【0006】
すす処理の問題に加えて気相汚染放出物(すなわち主として窒素酸化物(NOx)と一酸化炭素(CO)、または未燃焼炭化水素でも)のそれほど有害でないガス(気体窒素(N2)または二酸化炭素(CO2))への転換は追加触媒処理を要する。
【0007】
気体ならびに固体汚染物質を一しかも同一の段階の間に処理するために触媒機能を前述される粒子フィルターに加えることは望ましい。慣用される製法によればハネカム構造は触媒または触媒の先駆物質を含む溶液で浸漬される。
【0008】
そのような製法は一般に触媒先駆物質または水(もしくはほかの極性溶媒)に溶解される触媒を含有する溶液か触媒粒子の水中懸濁液いずれかで浸入による少なくとも一の含浸段階を含む。そのようなプロセス例は米国特許第5866210号明細書により記述される。
【0009】
知られた手法で含浸法は一以上の工程で実施されることが可能である。含浸工程は触媒をできるだけ均一に構造物に沈着することを目指す。
【0010】
大抵触媒は貴金属(Pt、Pd、Rh)および所望により希土類酸化物、例えば白金セリウム酸化物Pt/CeO2を含む活性成分を含む。活性成分は不均一触媒においてよく知られている技法によって高比表面積を有する酸化物支持体、例えばアルミナ、酸化チタン、シリカ、セリンまたは酸化ジルコニウムの気孔の中に通常沈積される。
さらに前述されるような粒子フィルターの機関排気ラインへの挿入はよく現場圧力低下と称され、機関性能を損なうことができる圧力損失につながることは知られている。フィルターの気孔率はそれ故にそのような減損の発生を防止するだけ高くなるように選択され、一般に20及び75%の間である。
【0011】
しかしながら圧力低下はフィルターが触媒機能を含むならばもっと大である。これは特に前述されるような触媒支持体の構造物の壁の上及び/又は気孔の中への触媒塗被の沈積物は、排気ライン中のフィルターの存在のために圧力低下をさらに増加する傾向があるからである。この限定のために沈積触媒量及び従って排気ガスの触媒処理効率は現在は限定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第816065号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1142619号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1455923号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/090294号
【特許文献5】国際公開第2004/065088号
【特許文献6】米国特許第5866210号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
良好な機械的および熱機械的強度を有するフィルター分離構造物を得る必要があることは前述に由来し、微構造(気孔率、細孔比表面積)はガスの処理効率を増加するほど、しかしとはいえ排気ラインのようなガス排気導管にフィルターの挿入によりもたらされる圧力低下の多数増を結果として生ずることなく沈積される触媒の増量を可能にすることができる。
【0014】
既に記述された第一解決は炭化珪素結晶粒の網状組織の気孔率を現存だけアクリル樹脂のような合成樹脂型または欧州特許出願公開第1403231号明細書に記述されるものほどの澱粉のような有機ポリマー型の規定量の気孔形成剤の初期混合物で増加することに存する。しかしながら気孔率の増加は同時にフィルターの機械的性質の激減につながり、特に粒子フィルターのような適用でその運転性能を減少する。
【0015】
例えば、欧州特許出願公開第1142619号明細書から初期粉末混合物の組成に粒度が異なる、換言すれば一般的には大画分として10ミクロンならびに細画分として1ミクロンの大きさである二画分のα-SiC結晶粒を使用することにより高気孔率を有するSiC構造物を得る可能性はあることも知られている。格別に適量の水で混合し、押出成形、乾燥次に焼成する主要段階を含む常用の構造付形法によってかくして約40%の開放気孔と自動車排気ラインで適用に許容できる圧力降下を達成する可能性はある。そのような構造で測定される気孔の全展開比表面積はしかしながらあまりに低くて触媒作用を及ぼされるフィルターにより排気ラインでもたらされる圧力低下を大変増加することなく十分量の触媒の沈積と汚染ガスHC、COおよびNOxを処理する十分効験を容易にできない。
【0016】
欧州特許出願公開第1541817号明細書は平均粒度が10ミクロンと50ミクロンの間である多画分のα-SiCと平均粒度が0.1及び1ミクロンの間である細画分のβ-SiCを混合することを提起した。以前と同様にそのような構造で気孔の比表面積はあまりに低く触媒作用を及ぼされるフィルターによりもたらされる圧力低下を大変増加することなく十分量の触媒の沈積と汚染ガスHC、COおよびNOxを処理する十分効験を許容できない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の対象はSiC含有量が95%超過であり、開放気孔が40%超過である多孔構造物を得る方法そして前に説明された課題に応えることを可能にするものを提供することであり、前記構造物はもっと詳しくは:
― 触媒の沈積量の増加及びCO、HCおよびNOx種の気体汚染物質の触媒処理の効率の改善を可能にする気孔比表面積;
― 格別には自動車用排気ラインのフィルター分離システムとして使用されるような構造の存在に結び付けられる燃料消耗に過消耗を限定するほどに低圧力降下;および
― 構想される適用、格別には自動車用排気ラインの使用に結び付けられる強度の機械的もしくは熱機械的応力に耐えるのに十分な機械的強度を有する。
【0018】
包括的形態で本発明は炭化珪素SiCを少なくとも95%含む多孔質セラミック物質からなる構造物を得る方法に関し、前記方法は前記構造物が少なくとも
― 中位数径が5ミクロン未満である第1画分のα-SiC結晶粒子;
― 中位数径が第1画分のα-SiC結晶粒子のものより少なくとも2倍大であり、しかも中位数径が5ミクロン以上、好ましくは10ミクロン以上である第2画分のα-SiC結晶粒子;
― β-SiC結晶粒子もしくは少なくともβ-SiC結晶粒子先駆物質の画分、
を含むSiC結晶粒の混合物から得られる点を特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書の意味では画分を構成する結晶粒または粒子の中位数径d50は結晶粒子の50 wt%の個体数がそれ以下に求められる粒径を示す。
【0020】
例えば、第1画分のα-SiC結晶粒子について粒子中位数径は約1ミクロン未満、好ましくは0.8ミクロン未満である。
【0021】
第2画分のα-SiC結晶粒子について粒子中位数径は、例えば約5ミクロンと約100ミクロンの間、好ましくは約10ミクロンと約20ミクロンの間である。
【0022】
この発明によればβ-SiC結晶粒子の画分は少なくともα-SiC結晶粒子の第1画分のものと等しい中位数径を有することが可能であり、好ましくは約3ミクロンと約30ミクロンの間である。
【0023】
第1画分のα-SiC結晶粒子はSiC結晶粒子の混合物の15及び50 wt%の間、好ましくはSiC結晶粒子の混合物の20及び40 wt%の間を示す。
【0024】
第2画分のα-SiC結晶粒子はSiC結晶粒子の混合物の30及び80 wt%の間、好ましくはSiC結晶粒子の混合物の30及び60 wt%の間を示すことが可能である。
【0025】
この発明の様態となりうるものによればβ-SiC結晶粒子の画分はSiC結晶粒子の混合物の5及び40 wt%、好ましくはSiC結晶粒子の混合物の10及び35 wt%の間を示す。
【0026】
代替様態によればβ-SiC結晶粒子の先駆物質は非晶質炭素または黒鉛型炭素と組合せて珪素粉末からなる群から、非晶質炭素または黒鉛型炭素と組合せて珪素アルコキシド、もしくは珪素系有機金属化合物を選択される。
【0027】
例えば、炭化珪素SiCを少なくとも95%含む多孔質セラミック物質からなる構造物を得る方法はこの発明により以下の工程:
― 前述同様の混合物を得るため異画分のSiC結晶粒子を混合し;
― 混合物を水のような液体中に配合後にフィルター分離構造を例えば、押出により成形し;
― 例えば、加熱によるかまたはマイクロ波作用の下で乾燥し;及び
― 成形多孔構造を非酸化性雰囲気で約1450℃と約2300℃間の温度で焼成することを含む。
【0028】
この発明による方法の実施形態となりうるが限定しないものは下記に与えられる:
【0029】
初期粒子混合物は付形段階前に例えば、多糖及びセルロース誘導体、PVAs、PEGs、またはリグノン誘導体もしくは化学ゲル化剤、燐酸または珪酸ナトリウムほどのものまでの範囲から選択される一時結合剤および可塑剤を後のものが焼成工程に適合する限り含むことが可能である。
【0030】
これがとはいえ本発明による構造の適当実施に必要であるのでなくては常用されるか文献に記載されるもの、特に欧州特許出願公開第1403231号明細書に記載されるものの類型の気孔形成剤を混合物に添加することは可能である。
【0031】
物質を付形する段階は好ましくは本発明によれば押出で実行される、しかしほかの製法は、例えば既知の加圧、振動または塑造法どれも除かれない。
【0032】
粘結剤を除去する中間段階(または解結合)は好ましくは空気で、好ましくは700℃未満の温度で実焼成または焼結段階の前に十分な機械的強度を確保しそしてSiCもしくはSiC先駆物質の酸化を防止するほどに実行されることが可能である。
【0033】
焼成はこの発明によれば1450℃を越える温度、好ましくは1600℃を越えて、もっと好ましくはさらに1900℃を越えて、もしくは2100℃を越えても実行されるが、通常2400℃未満でSiCの分解を防止する。焼成は好ましくはアルゴンArの非酸化性雰囲気の下で最後に高機械的強度を有する材質を得るほどに実行される。
【0034】
この発明はまた一の前述請求項に請求される方法により達成されることが可能である多孔構造物に関する。
【0035】
例えば、前記構造物はハネカムフィルター分離要素または継目セメント接合で相接合される複数のハネカムフィルター分離要素を組込む心部を含み、前記要素は相互平行軸線を有し、多孔質壁体により隔てられる一連の隣接導管または溝形路を含み、前記導管は栓子で一または他の端面をガスが多孔質壁体を通過するように目止され、ガス吸気面に開放する入口室とガス排出面に開放する出口室を画定する。
【0036】
この発明はさらに前述構造物から得られ、典型的にPtおよび/またはRhおよび/またはPdのような少なくとも1つの貴金属及び選択的にCeO2、ZrO2、CeO2/ZrO2のような酸化物を含む少なくとも1つの活性触媒相の沈着、好ましくは含浸による触媒フィルターまたは触媒保持材に関する。そのような触媒保持材はディーゼルまたはガソリン機関の排気ラインで使用可能である。同様に前述触媒フィルターは粒子フィルターとしてディーゼルまたはガソリン機関の排気ラインで使用可能である。
【0037】
この発明及び利点はあとに続く非限定的実施例を読むとよくわかるものである。実施例では百分率はすべて重量で与えられる。
【実施例】
【0038】
配合機で異なったα-SiC、β-SiCまたはβ-SiC先駆物質粉末は表2に示される重量比率で混合された。
【0039】
例えば、先行技術によって実施例1で70 wt%のα-SiC粉末は結晶粒子が10ミクロンの中位数径d50を有し、欧州特許出願公開第1142619号に記述される粉末混合物に比較できる第一の様態で初めに結晶粒子が0.5ミクロンの中位数径d50を有する第二α-SiC粉末を混ぜられた。この混合物にポリエチレン類型の気孔形成剤はSiC結晶粒子の全重量の5 wt%に等しい割合で及びメチルセルロース類型の成形添加剤は表2に列記されるようにSiC結晶粒子の全重量の10 wt%に等しい割合で加えられた。
【0040】
次いで必要量の水は加えられ、混合物は均質練合物が得られるまで混ぜ合わされ、可塑性は押出型を通したハネカム構造の押出成形を可能にした。実施例1で水要求条件は例えば、混合物に導入される乾燥SiC結晶粒子の全重量に関して22 wt%の水分である。
【0041】
押出後に得られる構造の寸法特性は実施例すべてについて表1に示される:
【0042】
【表1】

【0043】
次いで得られる未焼成モノリスはマイクロ波作用で化学未結合水含量を重量で1%未満にさせるのに十分時間で乾燥された。
【0044】
モノリスの各作用面の溝形路は、例えば国際公開第2004/065088号に記述されるよく知られた技法によって交互に閉塞された。
【0045】
モノリスは次に空気中で20℃/hourの温度上昇に従って2200℃の最高温度が達せられるまで焼成され、6時間保持された。
【0046】
前述の方法によって得られるフィルター分離材ならびに構造の特性及び性質は以下の技法によって評価された:
【0047】
気孔率ならびに比表面積測定
ポロシメーターを用いる気孔率分析はMicrometrics 9500高圧水銀剤ポロシメーターで実施された。
【0048】
異なった多孔物質の気孔の展開比表面積はBET法によって慣用表面分析で定量された。この不活性ガス吸着による比表面積測定法はブルナウアー、エメット及びテラー(S. Brunauer, P. H. Emmet and J. Teller)により開発され、当該分野の熟練した者によく知られている。
【0049】
機械的強度測定
破壊強さは周囲温度で各実施例について一及び同一の製造回分からの要素に該当し、15.2 cm相等の長さ及び3.6 cm相等の幅を有する10個の一体式構成単位で測定された。三点曲げ組立品はISO 5014標準規格に従って140 mmの二支持面間距離で達成された。心棒の降下速度は約10 mm/minで一定であった。
【0050】
曲げ破壊係数MORは以下の等式:
【数1】

【0051】
ただし、F(ニュートンで)は破壊強さに相当し、le(mmで)は支点間距離の長さに相当し、H(mmで)は断面高さにとってI(mm4で)は慣性モーメントにとる、
に従って算定される。慣性モーメントは当該分野の熟練した者の認識によって内壁及び外壁厚さと溝形密度の関数として算定される。
【0052】
圧力降下測定
語句「圧力降下」は本発明の意義内でフィルターの上流および下流の間に存在する差圧を言うものである。圧力降下は当該技術手法によって周囲気流で300 m3/hの空気流量について測定された。測定は表1に記載されるような16要素からの集成フィルターで実施された。一及び同一の初混合物から生ずるこれらの要素は国際公開第2004/065088号に記述される成分によって以下の化学組成:72 wt%のSiC、15 wt%のAl23、11 wt%のSiO2、残部は大部分がFe23とアルカリもしくはアルカリ土類金属酸化物の不純物から構成される、を有するセメントを用いる結合で合わせて集成された。二構成部分間の接合平均厚さは約2 mmであった。集成体は次に5.66インチ、すなわち約14.4 cmの直径の円筒形を有する集成フィルターを形成するために機械加工された。
【0053】
SiCの初混合物導入向け種々ベクトル元機能として前述される技法によって評価された物質特性及び性質は後続の表2に報告される:
【0054】
【表2】

【0055】
表2に再現される結果で積MOR×比表面積も報告され、フィルターを形成する多孔物質の機械的強度特性に比較した予想触媒特性間の折衷能率を簡単直接に表わすことを可能にする。
【0056】
実施例2〜実施例5はこの発明による例示実施形態である。
【0057】
実施例1及び実施例6〜実施例9は単に本発明の利点を際立たせる例証のために与えられる比較実施例を例解する。
【0058】
さらに詳細には:
【0059】
この発明による実施例2〜実施例4からの結果と先行技術によって実施例1の比較は開気孔率OP容積の多数増加はあるにしても比表面積の有意増加および物質の機械的性質の向上または残率を示す。
【0060】
結局はMOR×比表面積成果の相当向上はこの発明によるフィルターの期待触媒ならびに機械的性質間の良折衷物を表わす。
【0061】
比較実施例6〜実施例9は本発明によるSiC画分の1つが初混合物で欠いている様態を例証する。
【0062】
実施例6及び実施例7により得られる結果(表2を参照)は2つのα-SiC画分の一方不在は十分機械的強度の得られる素材を許容しないことを提示する。加えてMOR×比表面積成果は実施例7によって得られる物質に関して低過ぎ、圧力降下は実施例6によって得られる物質に関して高度過ぎる。
【0063】
実施例8から欧州特許出願公開第1541817号の実施例1に記述される実験法によって得られる物質はSiC画分の初期混合物の処方から導かれ、α-SiC結晶粒子の細画分がなく、β-SiC粉末の中位数径が0.5ミクロン(微粉)である。結果は機械的強度MOR及びこの発明によって実施例2〜実施例5に従って得られる数値大体未満の比表面積を示す。
【0064】
実施例9は高過ぎる大形β-SiC粒子の添加分は機械的強度を不利にしてもっと低過ぎるMOR×比表面積に結果としてなることを提示する。
【0065】
前述明細書及び実施例では単純理由でこの発明はディーゼル機関の排気系列を出る排気ガスに存在する気体汚染物質およびすすの除去を許容する触媒添加粒子フィルターに関して記述された。
【0066】
本発明はしかしながらまた、汚染ガスを処理する他の構造、例えばガソリンまたはディーゼル機関でさえもその流出口に一般的に配置され、気体汚染物質を除去する触媒保持材に関する。この型式の構造でハネカム流路は一または他の端面を塞がれない。これらの保持材に適用され、本発明の実施は保持材の比表面積および結果として保持材に存在する活性相の量を増加する利点を有し、とはいえ保持材全部の機械的強度に影響しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも95%の炭化珪素SiCを含む多孔質セラミック物質からなる構造物を得る方法であって、前記方法は前記構造物が少なくとも
― 中位数径が5ミクロン未満であるα-SiC結晶粒子の第1画分;
― 中位数径がα-SiC結晶粒子の第1画分の中位数径より少なくとも2倍大きく、しかも中位数径が5ミクロン以上であるα-SiC結晶粒子の第2画分;および
― β-SiC結晶粒子もしくは少なくともβ-SiC結晶粒子の先駆物質の画分
を含むSiC結晶粒子の混合物から得られることを特徴とする方法。
【請求項2】
α-SiC結晶粒子の該第1画分について該粒子の中位数径は約1ミクロン未満、好ましくは0.8ミクロン未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
α-SiC結晶粒子の該第2画分について該粒子の中位数径は約10ミクロンと約100ミクロンの間、好ましくは約10ミクロンと約20ミクロンの間である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
β-SiC結晶粒子の該画分はα-SiC結晶粒子の第1画分の中位数径に少なくとも相等する中位数径を有し、好ましくは約3ミクロンと約30ミクロンの間である、前記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
α-SiC結晶粒子の該第1画分はSiC結晶粒子の該混合物の15 wt%及び50 wt%の間、好ましくはSiC結晶粒子の該混合物の20 wt%及び40 wt%の間を示す、前記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
α-SiC結晶粒子の該第2画分はSiC結晶粒子の該混合物の30 wt%と80 wt%の間、好ましくはSiC結晶粒子の該混合物の30 wt%と60 wt%の間を示す、前記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
β-SiC結晶粒子の該画分はSiC結晶粒子の該混合物の5 wt%と40 wt%の間、好ましくはSiC結晶粒子の該混合物の10 wt%と35 wt%の間を示す、前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
β-SiC結晶粒子の該先駆物質は非晶質炭素または黒鉛型炭素と組合せて珪素粉末、珪素アルコキシドを非晶質炭素または黒鉛型炭素と組合せて、もしくは珪素系有機金属化合物からなる群から選択される、前記請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも95%の炭化珪素SiCを含む多孔質セラミック物質からなる構造物を得る方法であって、以下の:
― 前述請求項の1項に記載される混合物を得るために異画分のSiC結晶粒子を混合し;
― 該混合物を水のような液体中に配合後に該フィルター分離構造を例えば、押出成形で成形し;
― 例えば加熱またはマイクロ波作用により、乾燥し;および
― 該成形多孔構造物を非酸化性雰囲気で約1450℃と約2300℃の間の温度で焼成する工程を含む、方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれか1項に記載される方法により得ることができる多孔構造物。
【請求項11】
該心部はハネカムフィルター分離要素または目地セメント接合により相接合される複数のハネカムフィルター分離要素を含み、前記要素は相互平行軸線を有して多孔質壁体により隔てられる一連の隣接導管または溝形材を含み、前記導管は栓子で一または他の端面をガスが該多孔質壁体を通過するように目止され、ガス吸気面に開放する入口室とガス排出面に開放する出口室を画定する、請求項10に記載のフィルター分離多孔構造物。
【請求項12】
請求項10および請求項11のいずれかに記載の構造物から得られ、典型的にPtまたは(および)Rhまたは(および)Pdのような少なくとも1つの貴金属及び所望によりCeO2、ZrO2、CeO2/ZrO2のような酸化物を含む少なくとも1つの活性触媒相の沈積、好ましくは含浸による触媒フィルターまたは触媒保持材。
【請求項13】
ディーゼルまたはガソリン機関の排気ラインにおける請求項12に記載の触媒保持材の使用。
【請求項14】
ディーゼルまたはガソリン機関の排気ラインにおける粒子フィルターとしての請求項12に記載の触媒フィルターの使用。

【公表番号】特表2010−513206(P2010−513206A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542145(P2009−542145)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/FR2007/052506
【国際公開番号】WO2008/078046
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(508004498)
【Fターム(参考)】