説明

炭素化物・無機材料複合系環境浄化材及びその製造方法、環境浄化用積層体並びに環境浄化用成形体

【課題】 窒素酸化物や粒子状物質を消去無害化することが可能な炭素化物・無機材料複合系環境浄化材及びその製造方法、環境浄化用積層体並びに環境浄化用成形体の提供。
【解決手段】 炭素化物・無機材料複合系環境浄化材は、セメント1と水2とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマス3を炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物とからなり、セメントペーストと粉末状の炭素化物とを混合したスラリー状の混合物である。木炭粉末が大気中に拡散された窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの汚染物質を消去無害化する。スラリー状の混合物を養生、固化させて環境浄化用成形体が、基材に吹き付きつけ養生、固化させて環境浄化用積層体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中に拡散された人体に有害な窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの汚染物質を消去無害化する炭素化物・無機材料複合系環境浄化材及びその製造方法、環境浄化用積層体並びに環境浄化用成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前世紀から科学技術の著しい発達によって、人類は利便性と快適性を与えられたが、一方で資源エネルギーの消費による地球の温暖化、有害ガスの発生など環境破壊が進み、21世紀は「環境の時代」と言われるようになった。
【0003】
地球温暖化は、その利便性と快適性の代償としてエネルギー消費の拡大、すなわち、炭酸ガスなど温室効果ガスの著しい増加にもとづくもので、近年のハイテクを含めた高度技術をもってしても化石資源を原料とする限り、二酸化炭素(CO)の発生量を抑制する技術はほぼ限界点に達している。
【0004】
近年、COの発生量を抑える手段として、森林資源の持続的成長とそれらの炭化物としての利用が脚光を浴びており、そのことが大きく期待される時代になった。
【0005】
また、わが国では、大都市圏やトンネルなど覆蓋道路における工場や自動車からの排気ガス、特に人体に有害な窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の汚染が深刻になっている。
これらの影響を抑えるために排気ガスの発生源や拡散後の周辺環境、特にトンネルなど覆蓋道路における大気環境の浄化技術が研究され、NOxの濃縮や加熱脱着操作、或いは排風機などを用いて閉鎖空間内の汚染空気を外部へ排出するなどの手法が用いられている。
これらは、エネルギー消費が大きく、設備費、運転費とも巨額に達する問題をもつことや、汚染空気を外部へ拡散しているに過ぎない。
【0006】
一方、平成8〜9年度文部省科学研究費補助金「残廃木材の高温焼成炭と遷移金属元素酸化物の複合によるNOxの無害化変換材料の開発」などの研究の中で、400〜1800℃、特に、600〜1000℃で炭化された木質炭化物は周辺環境のNOxを常温で無害な二窒素(N)に変換できること、また、高い耐熱性、耐酸化性、耐熱衝撃性、熱に対する高寸法安定性をもつ木炭調製法と高機能複合材料の技術開発、さらに、炭素化木材は木材自身から発生する自己発熱によって炭素化されるため、製造過程における二酸化炭素(CO)の生成量が少ないことや燃焼をしない限りCOを発生しない等の特徴を持つことが報告されており、NOxの無害化変換複合材料の創成が提案されている。
【0007】
従来、粉状、粒状又は片状の木質炭化材料と、粉状の天然多孔質無機素材とを含む混合組成物を所定形状の型内に充填した状態で高温加熱することにより一体的に複合化してなることを特徴とする浄化用成形体が特許文献1として開示されている。
【特許文献1】特開2003−201189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
21世紀は「環境の時代」と言われているのは、今日の社会経済システムは前世紀からの科学技術の進歩によって多くの利便性、快適性を受けてきたが、一方では、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済活動が急速に環境負荷を増大させ、人類の生存基盤である自然環境のバランスを崩し、様々な環境問題を起こしてきたためである。
【0009】
特に、大気環境に係る環境問題としては、a.温室効果ガスの発生による地球温暖化、b.健康被害をもたらす有害ガスの増加、の二つが大きくのしかかっている。
これらの問題を解決するためには、排気拡散されたガスを新たなエネルギーを使用せずに消去無害化できる材料と技術が必要である。
【0010】
また、森林資源や地場資源を用い、地域産業の振興に寄与しながら地球環境の保全や経済活動の活性化につながる技術開発が望まれている。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、地場での安定的な原料供給が可能なセメントと木材などの木質系バイオマスを用い、セメントと木炭粉末を主原料とするスラリー状の混合物を吹き付け材料や成形材料として使用可能で、製造コストも安価であり、大気中に拡散された人体に有害な窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を省エネルギーで消去無害化することが可能な炭素化物・無機材料複合系環境浄化材及びその製造方法、環境浄化用積層体並びに環境浄化用成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材は、大気中に拡散された窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を消去無害化する炭素化物・無機材料複合系環境浄化材であって、セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物とからなり、前記セメントペーストと前記炭素化物とを混合したスラリー状の混合物であることを特徴とするものである。
【0013】
さらに炭素化物・無機材料複合系環境浄化材は、上記セメントが、普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,高炉セメントである。
【0014】
また、炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の、上記木質系バイオマスは、間伐材,林産廃材などの木材である。
【0015】
本発明の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の上記炭素質物質としては、炭素化木材(木炭)であり、該木炭粉末の粒径が0.1〜5.0mmとするものである。
【0016】
本発明の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材は、上記木質系バイオマスの炭化温度が、400〜1800℃である。
【0017】
本発明の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の製造方法は、セメントと水とを混練してセメントペーストを生成する工程と、木質系バイオマスを炭化温度で炭素化して炭素質物質を得る工程と、前記炭素質物質を粉砕して粉末状の炭素化物を得る工程と、前記セメントペーストと前記炭素化物とを混合してスラリー状の混合物を生成する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の環境浄化用積層体は、大気中に拡散された窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を消去無害化する環境浄化用積層体であって、セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物と、平板状の基材とからなり、前記セメントペーストと前記炭素化物とを混合したスラリー状の混合物を生成し、前記スラリー状の混合物を前記基材の表面に吹き付け、基材に吹き付けた前記スラリー状の混合物を養生、固化させて構成される。
【0019】
本発明の環境浄化用成形体は、大気中に拡散された窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を消去無害化する環境浄化用成形体であって、セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物とからなり、前記セメントペーストと前記炭素化物とを混合したスラリー状の混合物を生成し、前記スラリー状の混合物を型枠に流し込み、流し込んだ前記スラリー状の混合物を養生、固化させて構成される。
【発明の効果】
【0020】
以上に述べたように、本発明によれば、地場での安定的な原料供給が可能なセメントと木材などの木質系バイオマスを用い、セメントと木炭粉末を主原料とするスラリー状の混合物であって、吹き付け材料や成形材料として使用可能で、製造コストも安価であり、大気中に拡散された人体に有害な窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を省エネルギーで消去無害化することが可能な炭素化物・無機材料複合系環境浄化材及びその製造方法、環境浄化用積層体並びに環境浄化用成形体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
本発明の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材は、大気中に拡散された窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの汚染物質を消去無害化するものである。
【0023】
さらに炭素化物・無機材料複合系環境浄化材は、セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物とからなる。
【0024】
また、炭素化物・無機材料複合系環境浄化材は、セメントペーストと粉末状の炭素化物とを混合したスラリー状の混合物である。
【0025】
炭素化物・無機材料複合系環境浄化材のセメントは、普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,高炉セメント、或いは白セメントなどである。
【0026】
炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の木質系バイオマスは、間伐材,林産廃材などの木材であり、炭素質物質は、木炭である。
また、炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の木質系バイオマスの炭化温度は、400〜1800℃である。特に600〜1000℃が望ましい。
【0027】
炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の炭素化物としては、粒径が0.1〜5.0mmの木炭粉末を用いている。
【0028】
炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の製造方法は、セメントと水とを混練してセメントペーストを生成する工程と、木質系バイオマスである間伐材を炭化温度で炭素化して炭素質物質である木炭を得る工程と、木炭を粉砕して粉末状の炭素化物である木炭粉末を得る工程と、セメントペーストと木炭粉末とを混合してスラリー状の混合物を生成する工程とを含んでいる。
【0029】
また、環境浄化用積層体として、大気中に拡散された窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を消去無害化するパネル状の吹付け成形板を構成している。
【0030】
この環境浄化用積層体は、セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物と、合板,石膏ボード,木片セメント板,木毛セメント板,コンクリート構造体などの平板状の基材とからなる。
【0031】
環境浄化用積層体は、セメントペーストと炭素化物とを混合したスラリー状の混合物を生成し、スラリー状の混合物を基材の表面に吹き付け、吹き付けたスラリー状の混合物を養生、固化させることにより、基材に混合物を積層した構造を形成している。
【0032】
また、環境浄化用成形体としては、大気中に拡散された窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を消去無害化するブロックがある。
【0033】
この環境浄化用成形体であるブロックは、セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物とからなる。
そして、セメントペーストと炭素化物とを混合したスラリー状の混合物を生成し、スラリー状の混合物を型枠に流し込み、流し込んだスラリー状の混合物を養生、固化させて形成される。
【0034】
次に炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の構成を詳述する。
炭素化物・無機材料複合系環境浄化材は、原料となるセメントと水とを混練したセメントペーストと、原料となる木質系バイオマスである、例えば、トドマツの間伐材を炭素化して得られた炭素質物質である木炭を粉砕した粉末状の炭素化物である木炭粉末とからなり、セメントペーストと木炭粉末とを混合したスラリー状の混合物である。
【0035】
木質系バイオマスは、例えば、北海道産トドマツ間伐材であり、この間伐材を丸太のままバッチ式の炭化装置を用いて、或いは、間伐材をチップ状にして連続式の炭化装置を用いて、800〜1000℃の炭化温度で炭化処理してトドマツ木炭を得た。
【0036】
このトドマツ木炭をハンマー等で粗砕した後、粗砕したトドマツ木炭を従来の粉砕機でさらに粉砕した結果、0.1μm〜5.0mmの粒径をもつ木炭粉末を得ることができた。
【0037】
粉砕した木炭粉末を篩い分け機を用いて100μm以下、100μm〜1mm、1〜5mmに分級した。
【0038】
主に粉塵の飛散による作業環境への影響、他材料との混合性、NOx低減性能に及ぼす影響などを中心に木炭粉末の粒度を検討した。
その結果、粒径0.1mm以下の木炭粉末は、多孔性と低比重に基因する気相空間への浮遊性が大きく、粉塵の飛散に伴う作業管理が困難である。
粒径0.1〜5.0mmの木炭粉末は、粉塵の飛散を最小限に抑えることが可能で、セメントとの混合も可能であった。
【0039】
以上の検討により、木炭粉末の粒径は、0.1〜5.0mmで、特に0.1〜1.0mmが望ましいことが判明した。
【0040】
そして、セメントペーストと上記粒径の木炭粉末とを混合機で混合して吹き付け機で吹き付け可能な炭素化物・無機材料複合系環境浄化材として、スラリー状の混合物を生成した。
【0041】
図1は、本発明の実施例に係る炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の製造方法を示すブロック図である。
まず、原料となるセメント1と水2とを混練してセメントペーストを生成する(ステップS100)。
【0042】
次いで、木質系バイオマスであるトドマツ間伐材3を原料として、トドマツ間伐材3を炭化装置で炭素化処理して炭素質物質である木炭を得る(ステップS101)。
次いで、木炭をハンマー等で粗砕した後、粗砕した木炭を粉砕機で粉砕して木炭粗砕物を得る。さらに、この木炭粗砕物を篩い分け機で分級して粒径0.1〜1.0mmの木炭粉末を得る(ステップS102)。
【0043】
その後、セメントペーストと木炭粉末とを混合機で混合して炭素化物・無機材料複合系環境浄化材となるスラリー状の混合物を得る(ステップS103)。
【0044】
図2は、本発明の実施例に係る炭素化物・無機材料複合系環境浄化材による窒素酸化物及び粒子状物質の低減性能試験を行う小型トンネル試験設備を示す正面図、図3は、小型トンネル試験設備及び小型トンネル試験設備に排気ガスを導入する排気ガス導入装置の配置状態を示す平面図、図4は、小型トンネル試験設備を構成するボックスカルバートを示す正面図、図5は、図3の排気ガス導入装置を拡大して示す平面図である。
【0045】
排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)などの汚染物質の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材による低減性能を測定するための小型トンネル試験設備Aとしては、図2及び図3に示すように、高さ2m,幅2m,長さ2mのコンクリート製のボックスカルバート4を長手方向に直列に5個接続して全長10mのトンネルTが構成されている。
【0046】
小型トンネル試験設備AのトンネルTの開口する両端には、覗き窓(図示せず)を備えたコンクリート製の端壁板5,6がそれぞれ配設され、トンネルTの両端開口が端壁板5,6により閉塞されている。
【0047】
ボックスカルバート4の上壁40と底壁41との間には、図4に示すように、トンネルTの長手方向に沿って側壁42,43の中間に内部空間を左右に区切る仕切り板44が設置され、トンネルTのボックスカルバート4の内部空間が仕切り板44により2等分されている。
【0048】
ボックスカルバート4の側壁42と仕切り板44との間に形成されたトンネルT内の一方の空間が試料となる供試体8を入れないブランク区Bとされ、ボックスカルバート4の側壁43と仕切り板44との間に形成されたトンネルT内の他方の空間が供試体8を入れるサンプル区Sとされている。
【0049】
小型トンネル試験設備Aの端壁板5には、図5に示すように、トンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sに排気ガスを導入する排気ガス導入装置7の排気ガス導入管を挿通する貫通孔50,51が設けられている。
【0050】
ボックスカルバート4の一方の側壁42には、図4に示すように、小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bに導入された排気ガス中に含まれるNO,NO濃度を測定する検知管(図示せず)を設置するNO,NO測定孔45aと、小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bに導入された排気ガス中に含まれるNOx濃度を測定するNOxセンサ(図示せず)を設置するNOx測定孔46aと、小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bに導入された排気ガスをSPM(浮遊粒子状物質)を採取するためのSPM採取装置(図示せず)へ吸引するSPM測定孔47aとが設けられている。
【0051】
また、ボックスカルバート4の他方の側壁43には、小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sに導入された排気ガス中に含まれるNO,NO濃度を測定する検出管(図示せず)を設置するNO,NO測定孔45bと、小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sに導入された排気ガス中に含まれるNOx濃度を測定するNOxセンサ(図示せず)を設置するNOx測定孔46bと、小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sに導入された排気ガスをSPMを採取するためのSPM採取装置(図示せず)へ吸引するSPM測定孔47bとが設けられている。
【0052】
ボックスカルバート4の側壁42,43のNO,NO測定孔45a,45bに設置した検知管のNOセンサ,NOセンサを用いて、NOx濃度計(堀場製作所製 APNA−360)で小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sに導入した標準ガス中に含まれるNO,NOの濃度を測定した。
【0053】
また、ボックスカルバート4の側壁42,43に設けたNOx測定孔46a,46bに設置したNOxセンサを用いて、NOx濃度計(堀場製作所製 APNA−360)で小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sに導入した標準ガス中に含まれるNOxの濃度を測定した。
【0054】
さらに、ボックスカルバート4の側壁42,43に設けたSPM測定孔47a,47bから小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sに導入した排気ガスをSPM採取装置(図示せず)へ吸引し、このSPM採取装置に吸引した小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sに導入した排気ガス中に含まれるSPMの濃度をSPM濃度計(堀場製作所製 APDA−361)で測定した。
【0055】
小型トンネル試験設備Aの一端側には、図3に示すように、排気ガスと空気を混合して濃度調整を行い、そのガスを標準ガスとしてトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sに導入するための排気ガス導入装置7が設置されている。
【0056】
排気ガス導入装置7は、図5に示すように、外気(空気)を吸引するファンFと、空気と排気ガスとを混合して標準ガスとなるように排気ガスの濃度調整を行う混合器70と、ファンFで吸引された空気を混合器70に導入する空気導入筒71と、ディーゼル自動車のディーゼルエンジンの排気系から外部に排出される排気ガスを空気導入筒71に導入する排気ガス導入管72とを有する。さらに、混合器70で濃度調整された排気ガスの流量を制御するバルブV1,V2と、濃度調整された排気ガスの風量を測定するパイプ状の風量計(カラムアイ;商標)C1,C2と、バルブV1を通過した濃度調整された排気ガスを風量計C1に導入する排気ガス配管73a,74aと、バルブV2を通過した濃度調整された排気ガスを風量計C2に導入する排気ガス配管73b,74bと、濃度調整された排気ガスを排気ガス配管73aから排気ガス配管74aに導入するホース75aと、濃度調整された排気ガスを排気ガス配管73bから排気ガス配管74bに導入するホース75bと、風量計C1の短管76aを通過した濃度調整された排気ガスを小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bに導入する排気ガス配管77aと、風量計C2の短管76bを通過した濃度調整された排気ガスを小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sに導入する排気ガス配管77bとから構成されている。
【0057】
ファンFには、図5に示すように、空気導入筒71の基端が接続され、混合器70には、空気導入筒71の先端が接続されている。
【0058】
空気導入筒71の筒状本体には、排気ガス導入管72の一端部が貫通して接続されている。
【0059】
バルブV1は、混合器70と排気ガス配管73aとの間に配置され、バルブV2は、混合器70と排気ガス配管73bとの間に配置されている。
【0060】
排気ガス配管73aと排気ガス配管74aとは、ホース75aで接続され、排気ガス配管73bと排気ガス配管74bとは、ホース75bで接続されている。
【0061】
また、風量計C1は、排気ガス配管74aと排気ガス配管77aとの間に、風量計C2は、排気ガス配管74bと排気ガス配管77bとの間にそれぞれ配置されている。
【0062】
排気ガス配管77aは、小型トンネル試験設備Aの端壁板5に設けた貫通孔50に挿通されている。
排気ガス配管77bは、小型トンネル試験設備Aの端壁板5に設けた貫通孔51に挿通されている。
【0063】
実際のトンネル内におけるNOx濃度は、トンネルの長さ、その排気設備の能力、交通量、季節などで変動するが、道内の総延長1000m以上のトンネルの中間部で2ppm程度と考えられるが、ここでは、ディーゼル自動車を運転した時の排気ガスを空気と混合して、そのNOx濃度が2ppmとなるように調整し、排気ガス中に含まれるNOx及びSPMの低減性能試験の標準ガスとして使用した。
【0064】
図6は、小型トンネル試験設備における炭素化物・無機材料複合系環境浄化材によるNOx及びSPMの低減性能の測定に用いる試料を示す側面図である。
まず、試料として、炭素化木材(トドマツ)の木炭粉末とセメント(普通ポルトランドセメント)との比率を1:5、空気率0%のスラリー状の混合物を基材である90cm角の型枠合板80の両面に吹き付け機で吹き付け、このスラリー状の混合物を養生、固化して、型枠合板80の表面に炭素化物・無機材料複合系環境浄化材81,81を積層したNOx及びSPMの低減性能試験用の環境浄化用積層体である吹付け成形板からなる供試体8を得た。
【0065】
図7は、小型トンネル試験設備のトンネル内のブランク区及びサンプル区への排気ガス導入停止状態におけるNOx濃度の経時変化の特性を表すNOx濃度減衰グラフである。ここで、横軸は時間、縦軸は濃度である。
この供試体8を小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sに長手方向に沿って吊り下げた状態に5枚設置した後、約2ppmのNOx濃度に調整した排気ガスを排気ガス導入装置7でトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sにそれぞれ導入し、トンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sに導入した排気ガスが平衡状態に達した時点で、排気ガスのトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sへの供給を停止し、NOxの低減効果をNOx濃度計で測定した。この結果を図7に示す。
【0066】
窒素酸化物として測定したガスは、NO,NO,NOxである。
供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、約200分後には、NO濃度は約0.5ppm程度まで低下したが、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、約200分後には、NO濃度はトンネルT内のブランク区BのNO濃度よりも低い約0.25ppm程度まで低下した。
【0067】
また、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、約200分後には、NO濃度は約0.1ppm程度まで低下したが、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、約60分後には、NO濃度はトンネルT内のブランク区BのNO濃度よりも低い約0.004ppm程度以下まで低下した。
【0068】
さらに、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、約200分後には、NOx濃度は約0.6ppm程度まで低下したが、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、約200分後には、NOx濃度はトンネルT内のブランク区BのNOx濃度よりも低い約0.25ppm程度まで低下した。
【0069】
図7から明らかなように、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、ボックスカルバート4のコンクリート壁がNOxを吸着するため、その濃度は一時的に低下するものの、約200分後には、NO,NO,NOx濃度が平衡状態に達し、それ以上の低下はなかった。
【0070】
しかし、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、約200分後には、NO,NO,NOx濃度ともトンネルT内のブランク区BのNO,NO,NOx濃度よりも低下した。
【0071】
このように、木炭粉末をセメントに20%程度加えるだけで、窒素酸化物(NOx)を低下する優れた炭素化物・無機材料複合系環境浄化材になることがわかった。
【0072】
図8は、小型トンネル試験設備のトンネル内のブランク区及びサンプル区への排気ガス連続導入状態におけるNOx濃度の経時変化の特性を表すNOx濃度減衰グラフである。ここで、横軸は時間、縦軸は濃度である。
次に、供試体8を小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sに長手方向に沿って吊り下げた状態に5枚設置した後、約2ppmのNOx濃度に調整した排気ガスを排気ガス導入装置7で連続的にトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sにそれぞれ導入しながらNOxの低減効果をNOx濃度計で測定した。その結果を図8に示す。
【0073】
窒素酸化物として測定したガスは、NO,NO,NOxである。
供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、約30分後には、NO濃度は最大の約1.3ppmに達し、約90分後には、NO濃度は約1.2ppm程度まで低下したが、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、約30分後には、NO濃度は最大の約1.0ppmに達し、約90分後には、NO濃度はトンネルT内のブランク区BのNO濃度よりも低い約0.8ppm程度まで低下した。
【0074】
また、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、約30分後には、NO濃度は最大の約0.8ppmに達し、約90分後には、NO濃度は約0.3ppm程度まで低下したが、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、約30分後には、NO濃度は最大の約0.2ppmに達し、約90分後には、NO濃度はほぼ0.0ppmまで低下した。
【0075】
さらに、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、約30分後には、NOx濃度は最大の約2.0ppmに達し、約90分後には、NOx濃度は約1.5ppm程度まで低下したが、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、約30分後には、NOx濃度は最大の約1.1ppmに達し、約90分後には、NOx濃度はトンネルT内のブランク区BのNOx濃度よりも低い約0.8ppm程度まで低下した。
【0076】
図8から明らかなように、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、約30分後にはNO,NO,NOx濃度はそれぞれ最大の1.3ppm,0.8ppm,2.0ppmに達し、約90分後には、NO,NO,NOx濃度はそれぞれ1.2ppm,0.3ppm,1.5ppm程度まで低下したが、その後のNO,NO,NOx濃度の低下はほとんどない。
【0077】
しかし、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、約30分後にはNO,NO,NOx濃度はそれぞれ最大の1.0ppm,0.2ppm,1.2ppmに達し、約90分後には、NO濃度はほぼ0、NO,NOx濃度もそれぞれ0.8ppm程度まで低下した。
【0078】
木炭粉末を20%程度含むセメントを吹き付けた吹付け成型板は、優れたNOx低減性能を示すと共に、このボックスカルバート4を用いた小型トンネル試験設備Aは、簡易なNOx低減性能評価試験法になることがわかった。
【0079】
図9は、小型トンネル試験設備のトンネル内のブランク区及びサンプル区へ導入した排気ガス中に含まれるSPM濃度をSPM濃度計で測定した結果を表すSPM測定グラフである。ここで、横軸は測定時間、縦軸はSPM測定数である。
ここでは、NOx濃度の測定の場合と同様に、約2ppmのNOx濃度に調整した排気ガスを排気ガス導入装置7で小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sにそれぞれ導入した後、ボックスカルバート4の側壁42,43のSPM測定孔47a,47bからトンネルT内のブランク区B及びサンプル区Sに導入した排気ガスをSPM採取装置へ吸引し、SPM濃度計でSPM濃度測定を行った。
【0080】
なお、SPM濃度測定に用いた試料は、NOx濃度の測定の場合と同様に、木炭とセメントとの比率を1:5、空気率0%のスラリー状の混合物を90cm角の型枠合板80の両面に吹き付け機で吹き付け、このスラリー状の混合物を養生、固化して、型枠合板80の表面に炭素化物・無機材料複合系環境浄化材81,81を積層したSPMの低減性能試験用の吹付け成型板からなる供試体8である。
【0081】
SPMの低減効果をSPM濃度計で測定した結果を図9に示す。
SPM測定数の回数は、SPMの累積濃度が6000ppmに達した段階でオーバフローして回数を1とする。
SPM測定数の回数が多ければ、SPM濃度が高いことを意味する。
【0082】
供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、測定時間60分後のSPM測定数は2回であり、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、測定時間60分後のSPM測定数は2回であった。
【0083】
また、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、測定時間120分後のSPM測定数は3回であり、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、測定時間120分後のSPM測定数はトンネルT内のブランク区BのSPM測定数よりも少ない1回であった。
【0084】
また、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、測定時間180分後のSPM測定数は5回であり、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、測定時間180分後のSPM測定数はトンネルT内のブランク区BのSPM測定数よりも少ない1回であった。
【0085】
さらに、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、測定時間240分後のSPM測定数は5回であり、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、測定時間240分後のSPM測定数はトンネルT内のブランク区BのSPM測定数よりも少ない1回であった。
【0086】
図9から明らかなように、供試体8の入っていない小型トンネル試験設備AのトンネルT内のブランク区Bでは、測定時間の経過と共にSPM測定数が上昇し、測定時間180分後にはSPM濃度がほぼ飽和状態に達する。
【0087】
しかし、供試体8の入っている小型トンネル試験設備AのトンネルT内のサンプル区Sでは、測定時間60分後のSPM測定数はトンネルT内のブランク区BのSPM測定数と同等であったが、測定時間120分からSPM測定数はトンネルT内のブランク区BのSPM測定数の半分以下に低下し、木炭粉末の持つSPMに対する低減効果が実証された。
【0088】
本発明の実施例に係る炭素化物・無機材料複合系環境浄化材によって得られた試験結果の概要を以下に説明する。
(1)北海道産トドマツ間伐材を800℃前後で炭化した木炭は、本州産スギ,ヒノキ木炭のそれぞれと同等のNOxの低減性能を保持した。
(2)木炭の粉砕は、既存の技術で可能であり、0.1〜5.0mmの粒径は、粉塵の飛散を最小限に抑えることが可能で、普通ポルトランドセメントなどのセメント類との混合も可能であった。
(3)複合素材として、主に普通ポルトランドセメントを用いたが、普通ポルトランドセメント単独では、NOxの低減効果はある程度認められるものの、顕著ではなかった。
しかし、普通ポルトランドセメントを木炭粉末と混合した場合には、適正な配合比の範囲では木炭に近似したNOxの低減性能を保持した。
(4)木炭粉末とセメントを原料とする吹き付け材料及び成形材料は、NOxやSPMの消去無害化に優れた機能を発揮した。
(5)市販のボックスカルバートを連結して用いた小型トンネル試験設備では、実大トンネルに近い設備としてNOxやSPMの低減性能を測定する試験を行うことが可能であった。
ディーゼル自動車からの排気ガスを空気と混合し、安定的に精度良く小型トンネル試験設備のトンネル内へ導入する排気ガス導入装置を用いることにより、実際に近い状態でNOxやSPMの低減性能試験を行うことができる。
(6)セメントと木炭粉末を主原料とする環境浄化用積層体である吹付け成形板について、小型トンネル試験設備によるNOx,SPMの低減性能試験を行った結果、吹付け成形板は顕著なNOx,SPMの低減性能を持つことが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例に係る炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の製造方法を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る炭素化物・無機材料複合系環境浄化材による窒素酸化物及び粒子状物質の低減性能試験を行う小型トンネル試験設備を示す正面図。
【図3】小型トンネル試験設備及び小型トンネル試験設備に排気ガスを導入する排気ガス導入装置の配置状態を示す平面図。
【図4】小型トンネル試験設備を構成するボックスカルバートを示す正面図。
【図5】図3の排気ガス導入装置を拡大して示す平面図。
【図6】小型トンネル試験設備における炭素化物・無機材料複合系環境浄化材によるNOx及びSPMの低減性能の測定に用いる試料を示す側面図。
【図7】小型トンネル試験設備のトンネル内のブランク区及びサンプル区への排気ガス導入停止状態におけるNOx濃度の経時変化の特性を表すNOx濃度減衰グラフ。
【図8】小型トンネル試験設備のトンネル内のブランク区及びサンプル区への排気ガス連続導入状態におけるNOx濃度の経時変化の特性を表すNOx濃度減衰グラフ。
【図9】小型トンネル試験設備のトンネル内のブランク区及びサンプル区へ導入した排気ガス中に含まれるSPM濃度をSPM濃度計で測定した結果を表すSPM測定グラフ。
【符号の説明】
【0090】
1 セメント
2 水
3 トドマツ間伐材(木質系バイオマス)
4 ボックスカルバート
5 端壁板
6 端壁板
7 排気ガス導入装置
8 供試体(試料)
40 上壁
41 底壁
42 側壁
43 側壁
44 仕切り板
45a,45b NO,NO測定孔
46a,46b NOx測定孔
47a,47b SPM測定孔
50 貫通孔
51 貫通孔
70 混合器
71 空気導入筒
72 排気ガス導入管
73a,73b 排気ガス配管
74a,74b 排気ガス配管
75a,75b ホース
76a,76b 短管
77a,77b 排気ガス配管
80 型枠合板(基材)
81 炭素化物・無機材料複合系環境浄化材
A 小型トンネル試験設備
B ブランク区
C1,C2 風量計
F ファン
S サンプル区
T トンネル
V1,V2 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中に拡散された窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を消去無害化する炭素化物・無機材料複合系環境浄化材であって、
セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物とからなり、前記セメントペーストと前記炭素化物とを混合したスラリー状の混合物であることを特徴とする炭素化物・無機材料複合系環境浄化材。
【請求項2】
上記セメントは、普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,高炉セメントである請求項1に記載の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材。
【請求項3】
上記木質系バイオマスは、間伐材,林産廃材などの木材である請求項1に記載の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材。
【請求項4】
上記炭素質物質は、木炭である請求項1に記載の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材。
【請求項5】
上記木質系バイオマスの炭化温度は、400〜1800℃である請求項1に記載の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材。
【請求項6】
上記炭素化物は、木炭粉末である請求項1に記載の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材。
【請求項7】
上記木炭粉末の粒径は、0.1〜5.0mmである請求項6に記載の炭素化物・無機材料複合系環境浄化材。
【請求項8】
セメントと水とを混練してセメントペーストを生成する工程と、木質系バイオマスを炭素化して炭素質物質を得る工程と、前記炭素質物質を粉砕して粉末状の炭素化物を得る工程と、前記セメントペーストと前記炭素化物とを混合してスラリー状の混合物を生成する工程とを含むことを特徴とする炭素化物・無機材料複合系環境浄化材の製造方法。
【請求項9】
大気中に拡散された窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を消去無害化する環境浄化用積層体であって、
セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物と、平板状の基材とからなり、前記セメントペーストと前記炭素化物とを混合したスラリー状の混合物を生成し、前記スラリー状の混合物を前記基材の表面に吹き付け、基材に吹き付けた前記スラリー状の混合物を養生、固化させてなる環境浄化用積層体。
【請求項10】
大気中に拡散された窒素酸化物や粒子状物質などの汚染物質を消去無害化する環境浄化用成形体であって、
セメントと水とを混練したセメントペーストと、木質系バイオマスを炭素化して得られた炭素質物質を粉砕した粉末状の炭素化物とからなり、前記セメントペーストと前記炭素化物とを混合したスラリー状の混合物を生成し、前記スラリー状の混合物を型枠に流し込み、流し込んだ前記スラリー状の混合物を養生、固化して形成されてなる環境浄化用成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−232630(P2006−232630A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50655(P2005−50655)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(503060204)株式会社 騎西組 (3)
【Fターム(参考)】